JP6348361B2 - トナーバインダーおよびトナー組成物 - Google Patents

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本発明は、トナーバインダーおよびトナー組成物に関する。
複写機、プリンタ等における画像の定着方式として一般的に採用されている熱定着方式用の電子写真用トナーバインダーには、高い定着温度でもトナーが熱ロールに融着せず(耐ホットオフセット性)、定着温度が低くてもトナーが定着できること(低温定着性)や、保存安定性、帯電性が要求されている。
結晶性樹脂をトナー組成物中に添加することにより、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立を目指したトナー組成物が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載のトナー組成物は、帯電安定性が劣るという課題があり、また、近年、低温定着性の更なる向上が要求されていることから、低温定着性が不十分である。
特開2012−98719号公報
本発明は、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立が可能であり、保存安定性、帯電安定性に優れるトナーバインダーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、非結晶性ポリエステル樹脂(A)と、結晶性部(b)のみで構成される結晶性ポリエステル樹脂(B)と、結晶性部(b)と非結晶性部(c)とで構成されるブロック樹脂(C)からなるトナーバインダーであって、結晶性部(b)が炭素数4〜12の直鎖型脂肪族ジオール成分と炭素数6〜14の直鎖型脂肪族ジカルボン酸成分とから合成される重縮合ポリエステル樹脂又は炭素数5〜12のモノラクトンのラクトン開環重合物を82〜100重量%含有し、結晶性部(b)の融解熱の最大ピーク温度(Tb)が50〜72℃であり、(A)、(B)および(C)の合計重量を100とした場合の(A)、(B)、(C)の重量比[(A):(B):(C)]が、(60〜90):(1〜30):(1〜10)あることを特徴とするトナーバインダーである。

本発明のトナーバインダーは、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立が可能であり、保存安定性、帯電安定性に優れる。
以下、本発明を詳述する。
本発明のトナーバインダーは、非結晶性ポリエステル樹脂(A)と、結晶性部(b)のみで構成される結晶性ポリエステル樹脂(B)と、結晶性部(b)と非結晶性部(c)とで構成されるブロック樹脂(C)を含有する。
本発明における結晶性とは、樹脂の軟化点[以下(Tm)と略記する]と融解熱の最大ピーク温度[以下(Tb)と略記する]との比〔Tm/Tb〕が0.8〜1.55であり、DSCにおいて、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを意味する。
一方、本発明における非結晶性とは、樹脂のTmとTbとの比〔Tm/Tb〕が1.55より大きいことを意味する。
(Tm)、(Tb)は以下の方法で測定することができる。
<(Tm)の測定方法>
高化式フローテスター{例えば「CFT−500D」[(株)島津製作所製]}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を(Tm)とする。
<(Tb)の測定方法>
示差走査熱量計{例えば「DSC210」[セイコーインスツル(株)製]}を用いて
測定する。
(Tb)の測定に供する(A)は、前処理として、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分の速度で降温する。ここで、一度DSCにより、昇温速度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される20〜100℃にある吸熱ピークの最大値を示す温度を(Tb)’とする。複数ある場合は最も吸熱量が大きいピークの温度を(Tb)’とする。最後に試料を(Tb’−10)℃で6時間保管した後、(Tb’−15)℃で6時間保管する。
次いで、前記(A)を、DSCにより降温速度10℃/分で0℃まで冷却した後、昇温
速度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して同様のグラフを描き、吸熱量の最大ピー
クに対応する温度を、融解熱の最大ピーク温度(Tb)とする。
非結晶性ポリエステル樹脂(A)は、少なくともカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有するブロック樹脂でない非結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。なお、(A)は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
カルボン酸成分(x)としては、ジカルボン酸(x1)、3価以上のポリカルボン酸(x2)、およびモノカルボン酸(x3)が挙げられる。
ジカルボン酸(x1)としては、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸等);炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、およびセバシン酸);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔例えばダイマー酸(2量化リノール酸)〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(例えば、ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、およびメサコン酸);およびこれらのエステル形成性誘導体;等が挙げられる。
上記エステル形成性誘導体としては、酸無水物、アルキル(炭素数1〜24:メチル、エチル、ブチル、ステアリル等、好ましくは炭素数1〜4)エステル、および部分アルキル(上記と同様)エステル等が挙げられる。以下のエステル形成性誘導体についても同様である。
これらのうち好ましいものは、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸;炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸および、これらのエステル形成性誘導体であり、さらに好ましくは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、および/またはそれらのエステル形成性誘導体である。
3価以上(好ましくは3〜6価)のポリカルボン酸(x2)としては、炭素数9〜20の芳香族カルボン酸(トリメリット酸、およびピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族(脂環式を含む)カルボン酸(ヘキサントリカルボン酸、およびデカントリカルボン酸等)、およびこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらのエステル形成性誘導体である。
モノカルボン酸(x3)としては、炭素数1〜30の脂肪族(脂環式を含む)モノカルボン酸(x31)、および炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸(x32)が挙げられる。
炭素数1〜30の脂肪族(脂環式を含む)モノカルボン酸(x31)としては、炭素数1〜30(好ましくは1〜24)のアルカンモノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モニタン酸、およびメリシン酸等)、炭素数3〜30(好ましくは3〜24)のアルケンモノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、およびリノール酸等)などが挙げられる。
炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸(x32)としては、炭素数7〜14の安息香酸およびその誘導体(誘導体とは、安息香酸の芳香環の1個以上の水素が、炭素数1〜7の有機基に置換された構造を有するものを意味する。例えば、安息香酸、4−フェニル安息香酸、パラ−tert−ブチル安息香酸、トルイル酸、オルト−ベンゾイル安息香酸、およびナフトエ酸。)、並びに炭素数8〜14の芳香族置換基を有する酢酸の誘導体(誘導体とは、酢酸のカルボキシル基に含まれる水素以外の1個以上の水素が、炭素数6〜12の芳香族基に置換された構造を有するものを意味する。例えば、ジフェニル酢酸、フェノキシ酢酸、およびα−フェノキシプロピオン酸。)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。これらのうち好ましくは、炭素数7〜14の安息香酸およびその誘導体である。
カルボン酸成分(x)中のジカルボン酸(x1)の量は、70モル%以上であり、好ましくは75〜98モル%、さらに好ましくは80〜96モル%である。
また、(x)中のポリカルボン酸(x2)の量としては25モル%以下が好ましく、さらに好ましくは0.1〜20モル%、とくに好ましくは0.5〜18モル%である。
また、(x)中のモノカルボン酸(x3)の量としては20モル%以下が好ましく、さらに好ましくは0.1〜15モル%、とくに好ましくは0.5〜10モル%である。
ポリオール成分(y)としては、ジオール(y1)および3価以上のポリオール(y2)等が挙げられる。
ジオール(y1)としては、炭素数2〜10のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,10−デカンジオール等);炭素数4〜10のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等);炭素数11〜36のアルキレングリコール(1,12−ドデカンジオール等);炭素数11〜36のアルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、および水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン、オキシプロピレン等)。以下のポリオキシアルキレン基も同じ)エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30〕;および2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);等が挙げられる。
これら(y1)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、およびビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)が好ましい。
3価以上のポリオール(y2)としては、炭素数3〜36の3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、およびジペンタエリスリトール;糖類およびその誘導体、例えばショ糖およびメチルグルコシド);上記脂肪族多価アルコールの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(AO単位の数1〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラックおよびクレゾールノボラック等、平均重合度3〜60)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール、およびノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
ポリオール成分(y)中のジオール(y1)の量〔重縮合反応中に系外に留去されるものは除く、以下同様。〕は、50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上である。
本発明における非結晶性ポリエステル樹脂(A)は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造することができる。例えば、カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは170〜260℃、とくに好ましくは190〜240℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに2〜40時間である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
ポリオール成分(y)とポリカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
本発明に用いる非結晶性ポリエステル樹脂(A)は、耐ホットオフセット性と低温定着性の両立の観点から、非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL)および非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH)を含有することが好ましい。
非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL)の軟化点(Tm)は70〜120℃であり、73〜118℃が好ましく、更に好ましくは75〜115℃である。この範囲であると、トナーの低温定着性が良好となる。
また、非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH)の軟化点(Tm)は、115〜165℃が好ましく、さらに好ましくは118〜163℃、特に好ましくは120〜160℃である。この範囲であると、トナーの耐ホットオフセット性と低温定着性の両立が良好となる。
(AL)と(AH)の軟化点(Tm)の差の絶対値は、好ましくは10〜80℃、さらに好ましくは、15〜70℃、特に好ましくは20〜60℃である。この範囲であると、トナーの耐ホットオフセット性と低温定着性の両立が良好となる。

なお、非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL)および非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH)の(Tm)は、上記の方法で測定される。
非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL)および非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH)の酸価は、好ましくは0〜100(mgKOH/g、以下同じ)、さらに好ましくは0〜80、とくに好ましくは0〜60である。酸価が100以下であるとトナーとして用いた時の帯電特性が低下しない。
また、非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL)および非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH)の水酸基価は、好ましくは0〜100(mgKOH/g、以下同じ)、さらに好ましくは0〜80、とくに好ましくは0〜50である。水酸基価が100以下であるとトナーとして用いた時の耐ホットオフセット性がより良好となる。
本発明において、ポリエステル樹脂の酸価および水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定される。
なお、試料に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL4M150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL)のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のピークトップ分子量(以下Mpと記載)は、トナーの耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、1000〜10000が好ましく、さらに好ましくは2000〜8000、特に好ましくは2500〜7500である。
また、非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH)のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のMpは、トナーの耐久性と低温定着性の両立の観点から、2000〜20000が好ましく、さらに好ましくは3000〜18500、特に好ましくは4000〜17000である。
本発明において、樹脂の分子量〔Mp、数平均分子量(Mn)、および重量平均分子量(Mw)〕は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 910018100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。また、分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL)のガラス転移温度(Tg)は、定着性および保存性の観点から、30〜75℃が好ましく、さらに好ましくは35〜72℃、特に好ましくは40〜70℃である。
また、非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH)のガラス転移温度(Tg)は、定着性および耐久性等の観点から、35〜80℃が好ましく、さらに好ましくは40〜82℃、特に好ましくは45〜80℃である。
なお、上記および以下において、(Tg)は、セイコーインスツル(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
本発明のトナーバインダー中には、非結晶性ポリエステル樹脂(A)と共に、結晶性部(b)のみで構成される結晶性ポリエステル樹脂(B)、および結晶性部(b)と非結晶性部(c)とで構成されるブロック樹脂(C)を含有する。
結晶性ポリエステル樹脂(B)は、耐熱保存性の観点から、その融解熱の最大ピーク温度(Tb)が40〜100℃の範囲であり、好ましくは45〜80℃、さらに好ましくは50〜72℃である。なお、(B)の(Tb)は、上記の方法で測定することができる。
結晶性ポリエステル樹脂(B)の(Tm)と(Tb)との比〔Tm/Tb〕は、前記のように0.8〜1.55であり、この範囲以外であると、画像劣化しやすくなる。好ましくは0.85〜1.2、より好ましくは0.9〜1.15である。
結晶性ポリエステル樹脂(B)の粘弾性特性において、(Tb+20)℃における貯蔵弾性率G’は、50〜1×10Paの範囲(条件1)であり、好ましくは100〜5×10Paである。
(Tb+20)℃におけるG’が50Pa未満であると、低温定着時でもホットオフセットが起き、定着温度領域が狭くなる。また1×10Paを超えると低温側で定着可能な粘性になりにくく、低温での定着性が悪化する。
本発明において、動的粘弾性測定値(貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”)は、Rheometric Scientific社製 動的粘弾性測定装置 RDS−2を用い周波数1Hz条件下で測定される。
測定試料は、測定装置の冶具にセットした後、(Tb+30)℃まで昇温して冶具に密着させてから、(Tb+30)℃から(Tb−30)℃まで0.5℃/分の速度で降温し、(Tb−30)℃で1時間静置し、次いで(Tb−10)℃まで0.5℃/分の速度で昇温し、さらに(Tb−10)℃で1時間静置し、十分に結晶化を進行させたのち、これを用いて測定を行う。測定温度範囲は30℃〜200℃で、この温度間のバインダー溶融粘弾性を測定することによって、温度−G’、温度−G”の曲線として得ることができる。
(条件1)を満たす結晶性ポリエステル樹脂(B)は、組成や分子量を調整すること等により得ることができる。例えば、分子量を低下させることにより、G’(Tb+20)の値は小さくなる。
結晶性ポリエステル樹脂(B)の溶融開始温度〔X〕は、(Tb±30)℃の温度範囲内であり、好ましくは(Tb±20)℃の温度範囲内、さらに好ましくは(Tb±15)℃の温度範囲内である。
〔X〕は、具体的には30〜100℃が好ましく、さらに好ましくは40〜80℃である。
溶融開始温度〔X〕は、次のようにして測定される値である。
<溶融開始温度>
フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、試料の熱膨張によるピストンのわずかな上昇が行われた後、再びピストンが明らかに下降し始める点の温度をグラフから読み取り、この値を溶融開始温度とする。
また、結晶性ポリエステル樹脂(B)は、損失弾性率G”と溶融開始温度〔X〕に関して、(X+20)℃およびX℃における損失弾性率G”(X+20)およびG”(X)が以下の(条件2)を満たすことが好ましく、(条件2−2)を満たすことがさらに好ましく、(X+15)℃およびX℃における損失弾性率G”(X+15)およびG”(X)が(条件2−3)を満たすことが特に好ましい。
(条件2)|logG”(X+20)−logG”(X)|>2.0
[G”:損失弾性率[Pa]]
(条件2−2)|logG”(X+20)−logG”(X)|>2.5
(条件2−3)|logG”(X+15)−logG”(X)|>2.5
結晶性ポリエステル樹脂(B)の溶融開始温度〔X〕が上記範囲内であり、かつ(条件2)を満たすと、樹脂の低粘性化速度が速く、定着温度領域の低温側、高温側で同等の画質を得ることができる。また、溶融開始から定着可能粘性に至るまでが速く、優れた低温定着性を得るのに有利である。(条件2)は、どれだけ早く、少ない熱で定着できるかという、樹脂のシャープメルト性の指標であり、実験的に求めたものである。
溶融開始温度〔X〕の範囲、および(条件2)を満たす結晶性ポリエステル樹脂(B)は、(B)の構成成分中の結晶性成分の比率を調整すること等により得ることができる。例えば、結晶性成分の比率を大きくすると、(Tb)と〔X〕の温度差が小さくなる。
結晶性ポリエステル樹脂(B)は、結晶性部(b)のみで構成され、非結晶性部をもつブロック樹脂は(B)に含まれない。
また、(B)としてはウレタンもしくはウレア変性された結晶性ポリエステル樹脂を用いることがより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂(B)のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMwは、定着の観点から5000〜100000が好ましく、さらに好ましくは6000〜90000、特に好ましくは8000〜80000である。
結晶性ポリエステル樹脂(B)は、トナー強度の観点から鉛筆硬度が3B〜6Hであることが好ましい。鉛筆硬度は下記の方法で測定される。
<鉛筆硬度>
JIS K5600−5−4に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷の付かない鉛筆の硬度を鉛筆硬度とする。
結晶性ポリエステル樹脂(B)を構成する結晶性部(b)に用いられる樹脂について説明する。
結晶性部(b)に用いられる樹脂は、結晶性を有するポリエステル樹脂であり、特に直鎖ポリエステル樹脂が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂(B)の融点は、耐熱保存性の観点から40〜100℃の範囲(より好ましくは50〜70℃の範囲)であることが好ましい。
本発明において、融点は(Tb)と同様、示差走査熱量計{たとえば、セイコーインスツル(株)製、DSC210}で測定される。
(b)として用いるポリエステル樹脂は、アルコール(ジオール)成分と酸(ジカルボン酸)成分とから合成される重縮合ポリエステル樹脂であることが、結晶性の点から好ましい。ただし、必要に応じて3官能以上のアルコール成分や酸成分を用いてもよい。
なお、ポリエステル樹脂としては、重縮合ポリエステル樹脂以外に、ラクトン開環重合物およびポリヒドロキシカルボン酸も同様に好ましい。
[ジオール成分]
ジオール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、炭素数が2〜36の範囲であることが好ましい。また直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。
脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が36を超えると、実用上の材料の入手が困難な場合がある。
ジオール成分は、直鎖型脂肪族ジオールの含有量が使用ジオール成分の80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上である。80モル%以上では、ポリエステル樹脂の結晶性が向上し、融点が上昇するため、耐トナーブロッキング性、及び低温定着性がより良好となる。
直鎖型脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
その他必要に応じて使用されるジオールとしては、炭素数2〜36の上記以外の脂肪族ジオール(1,2−プロピレングリコール、および2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);上記脂環式ジオールのAO〔エチレンオキサイド(以下EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下BOと略記する)など〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)のAO(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオールなど);およびポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
さらにその他必要に応じて使用されるジオールとしては、他の官能基を有するジオールを用いてもよい。官能基を有するジオールとしては、カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基もしくはスルファミン酸基を有するジオール、およびこれらの塩等が挙げられる。
カルボキシル基を有するジオールとしては、ジアルキロールアルカン酸[C6〜24のもの、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸など]が挙げられる。
スルホン酸基もしくはスルファミン酸基を有するジオールとしては、スルファミン酸ジオール[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基のC1〜6)またはそのAO付加物(AOとしてはEOまたはPOなど、AOの付加モル数1〜6):例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸およびN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物など];ビス(2−ヒドロキシエチル)スルフォネートなどが挙げられる。
これらの中和塩基を有するジオールの中和塩基としては、例えば前記炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミンなど)および/またはアルカリ金属(ナトリウムなど)が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、およびこれらの併用である。
必要により用いられる3〜8価またはそれ以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、およびポリグリセリン;糖類およびその誘導体、例えばショ糖、およびメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物など];などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコールおよびノボラック樹脂のAO付加物であり、さらに好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物である。
[ジカルボン酸成分]
ジカルボン酸成分としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が好ましく、脂肪族ジカルボン酸は直鎖型のカルボン酸がより好ましい。
ジカルボン酸としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸など);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)など〕、炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸など);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸など)などが挙げられる。
なお、ジカルボン酸または3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物または炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
これらジカルボン酸の中では、脂肪族ジカルボン酸(特に直鎖型のカルボン酸)を単独で用いるのが特に好ましいが、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、および、これらの低級アルキルエステル類が好ましい。)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては20モル%以下が好ましい。
ジカルボン酸成分としては、主には上記のカルボン酸が挙げられるが、この限りではない。これらのうち、結晶性や入手容易性を考慮すると、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸が好ましい。
ラクトン開環重合物は、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどの炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物などの触媒を用いて、開環重合させることにより得ることができる。これらのうち、好ましいラクトンは、結晶性の観点からε−カプロラクトンである。
開始剤として、グリコールを用いると、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物が得られる。例えば、上記ラクトン類とエチレングリコール、ジエチレングリコール等の前記ジオール成分を触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。触媒としては、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物等が一般的であり、0.1〜5000ppm程度の割合で添加して、100〜230℃で、好ましくは不活性雰囲気下に重合させることによって、ラクトン開環重合物を得ることができる。ラクトン開環重合物は、その末端を例えばカルボキシル基になるように変性したものであってもよい。ラクトン開環重合物は、結晶性の高い熱可塑性脂肪族ポリエステル樹脂である。ラクトン開環重合物は、市販品を用いてもよく、例えば、(株)ダイセル製のプラクセルシリーズの230、240、H1Pなど(いずれも、融点約60℃のポリカプロラクトン)が挙げられる。
ポリヒドロキシカルボン酸は、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合することで得られるが、グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間もしくは3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物などの触媒を用いて、開環重合する方が分子量の調整の観点から好ましい。これらのうち、好ましい環状エステルは、結晶性の観点からL−ラクチド、およびD−ラクチドである。
開始剤として、グリコールを用いると、末端にヒドロキシル基を有するポリヒドロキシカルボン酸骨格が得られる。例えば、上記環状エステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール等の前記ジオール成分を触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。触媒としては、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物等が一般的であり、0.1〜5000ppm程度の割合で添加して、100〜230℃で、好ましくは不活性雰囲気下に重合させることによって、ポリヒドロキシカルボン酸を得ることができる。ポリヒドロキシカルボン酸は、その末端を例えばカルボキシル基になるように変性したものであってもよい。
結晶性ポリエステル樹脂(B)は、結晶性部(b)と、ジイソシアネート、および必要によりジアミンと反応させた、ウレタンもしくはウレア変性されたものが好ましい。
ウレタンもしくはウレア変性することにより、トナーとして用いた時の耐ホットオフセット性がより良好となる。
[ジイソシアネート成分]
ジイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネートおよびこれらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。また、必要により、3価以上のポリイソシアネートを併用してもよい。
上記芳香族ジイソシアネートの具体例(3価以上のポリイソシアネートを含む)としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリールポリイソシアネート]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
上記脂肪族ジイソシアネートの具体例(3価以上のポリイソシアネートを含む)としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネートなどが挙げられる。
上記脂環式ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
上記芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、上記ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。
具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ウレタン変性TDIなどのジイソシアネートの変性物およびこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
これらのうちで好ましいものは6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ジイソシアネート、および炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、およびIPDIである。
[ジアミン成分]
ジアミン(必要により用いられる3価以上のポリアミンを含む)の例として、脂肪族ジアミン類(C2〜C18)としては、〔1〕脂肪族ジアミン{C2〜C6 アルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど);〔2〕これらのアルキル(C1〜C4)またはヒドロキシアルキル(C2〜C4)置換体〔ジアルキル(C1〜C3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど〕;〔3〕脂環または複素環含有脂肪族ジアミン{脂環式ジアミン(C4〜C15)〔1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など〕、複素環式ジアミン(C4〜C15)〔3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕;〔4〕芳香環含有脂肪族アミン類(C8〜C15)(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)、等が挙げられる。
芳香族ジアミン類(C6〜C20)としては、〔1〕芳香族ジアミン〔1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミンなど;〔2〕核置換アルキル基〔メチル,エチル,n−およびi−プロピル、ブチルなどのC1〜C4アルキル基)を有する芳香族ジアミン、たとえば2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5´−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5´−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5´−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホンなど〕、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物;〔3〕核置換電子吸引基(Cl,Br,I,Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなど〕;〔4〕2級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔上記〔1〕〜〔3〕の芳香族ジアミンの−NHの一部または全部が−NH−R’(R’はアルキル基たとえばメチル,エチルなどの低級アルキル基)で置き換ったもの〕〔4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど〕が挙げられる。
ジアミン成分としては、これらの他、ポリアミドポリアミン〔ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミンなど〕、ポリエーテルポリアミン〔ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など〕等が挙げられる。
結晶性部(b)とジイソシアネートとを反応させる方法の例としては、結晶性部(b)を末端に水酸基を有する樹脂とし、これらをジイソシアネートで結合する反応が挙げられる。この場合、必要によりジアミンを併用することもできる。
例えば、結晶性部(b)とジイソシアネートともに溶解可能な溶剤に溶解させ、反応温度80℃〜150℃で反応することにより、ウレタン変性されたポリエステル樹脂が得られる。
結晶性ポリエステル樹脂(B)のSP値〔ソルビリティー パラメーター:(cal/cm1/2〕は、好ましくは9.0〜12.5、さらに好ましくは9.1〜12.0、とくに好ましくは9.2〜11.5、最も好ましくは9.3〜11.0である。
SP値が上記範囲では、非結晶性ポリエステル樹脂(A)と併用したときの耐久性が良好となる。また、SP値が12.5以下であると、耐ブロッキング性が良好となる。
なお、本発明におけるSP値は、Fedorsらが提案した下記の文献に記載の方法によって計算されるものである。
「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(147〜154頁)」
結晶性部(b)と非結晶性部(c)とで構成されるブロック樹脂(C)について詳述する。結晶性部(b)は前記と同様のものが使用できる。非結晶性部(c)の形成に用いられる樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂等が挙げられる。
非結晶性部(c)の組成は、前記結晶性部(b)と同様のものが挙げられ、使用するモノマーも、前記ジオール成分、前記ジカルボン酸成分、前記ジイソシアネート成分、前記ジアミン成分が具体例として挙げられ、非結晶性樹脂となるものであれば、いかなる組合せでも構わない。
(c)のガラス転移点(Tg)は耐熱保存性の観点から、好ましくは40〜250℃、さらに好ましくは50〜240℃、とくに好ましくは60〜230℃、最も好ましくは65〜180℃である。また、(c)のフローテスター測定における軟化点(Tm)は、好ましくは100〜300℃、さらに好ましくは110〜290℃、とくに好ましくは120〜280℃である。
[ブロックポリマーの製法]
結晶性部(b)と非結晶性部(c)とで構成されるブロックポリマーは、それぞれの末端官能基の反応性を考慮して結合剤の使用、非使用を選択し、また使用の際は末端官能基にあった結合剤種を選択し、(b)と(c)を結合させ、ブロックポリマーとすることができる。
結合剤を使わない場合、必要により加熱減圧しつつ、(b)を形成する樹脂の末端官能基と(c)を形成する樹脂の末端官能基の反応を進める。特に酸とアルコールとの反応や酸とアミンとの反応の場合、片方の樹脂の酸価が高く、もう一方の樹脂の水酸基価やアミン価が高い場合、反応がスムーズに進行する。反応温度は180℃〜230℃で行うのが好ましい。
結合剤を使う場合は、種々の結合剤が使用できる。多価カルボン酸、多価アルコール、多価イソシアネート、多官能エポキシ、酸無水物等を用いて、脱水反応や、付加反応を行うことで得られる。
多価カルボン酸および酸無水物としては、前記ジカルボン酸成分と同様のものが挙げられる。多価アルコールとしては、前記ジオール成分と同様のものが挙げられる。多価イソシアネートとしては、前記ジイソシアネート成分と同様のものが挙げられる。多官能エポキシとしては、ビスフェノールA型および−F型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールAまたは−FのAO付加体のジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのAO付加体のジグリシジルエーテル、ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等)の各ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジおよび/またはトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリおよび/またはテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘプタおよび/またはヘキサグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン・フェノール付加型グリシジルエーテル、メチレンビス(2,7−ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、1,6−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
(b)と(c)を結合させる方法のうち、脱水反応の例としては、結晶性部(b)、非結晶性部(c)とも両末端アルコール樹脂で、これらを結合剤(例えば多価カルボン酸)で結合する反応が挙げられる。この場合、例えば、無溶剤下、反応温度180℃〜230℃で反応し、ブロックポリマーが得られる。
付加反応の例としては、結晶性部(b)、非結晶性部(c)とも末端に水酸基を有する樹脂であり、これらを結合剤(例えば多価イソシアネート)で結合する反応や、また結晶性部(b)、非結晶性部(c)の片方が末端に水酸基を有する樹脂で、もう一方が末端にイソシアネート基を有する樹脂の場合、結合剤を用いずにこれらを結合する反応が挙げられる。この場合、例えば、結晶性部(b)、非結晶性部(c)ともに溶解可能な溶剤に溶解させ、これに必要であるなら結合剤を投入し、反応温度80℃〜150℃で反応し、ブロックポリマーが得られる。
ブロック樹脂(C)を構成する(b)のMwは、2000〜80000が好ましく、さらに好ましくは4000〜60000、特に好ましくは7000〜30000である。
(c)のMwは、500〜50000が好ましく、さらに好ましくは750〜30000であり、特に好ましくは1000〜20000である。
結晶性部(b)が(C)中に占める割合は、50重量%以上が好ましく、より好ましくは60〜96重量%、さらに好ましくは65〜90重量%である。(b)の割合が50重量%以上であると、(C)は結晶性となり、低温定着性がより良好である。
ブロック樹脂(C)は、結晶性部(b)と非結晶性部(c)とが下記の一般式(1)〜(6)のいずれかで表される形式で線状に結合された樹脂であ。なお、合成上実際は上記樹脂の混合物でもよい。
(b)−(c)−(b) (1)
(c)−(b)−(c) (2)
(b)−(c)−(b)−(c)−(b) (3)
(c)−(b)−(c)−(b)−(c) (4)
(b)−(c)−(b)−(c)−(b)−(c)−(b) (5)
(c)−(b)−(c)−(b)−(c)−(b)−(c) (6)
結晶性部(b)と非結晶性部(c)の繰り返しがこれらより多いブロック樹脂に比べて、結晶性ポリエステル樹脂(B)の分散性が向上する。
また、結晶性部(b)と非結晶性部(c)が1個ずつの(b)−(c)に比べて(C)の溶融後の弾性が良好であり、定着時にホットオフセットが発生しにくく定着温度領域がより広くなる。
なお、(C)が結晶性となり低温定着性を悪化させなくなることから、(C)の両末端が結晶性部(b)である方がより好ましい。
本発明のトナーバインダー中の、非結晶性ポリエステル樹脂(A)と結晶性ポリエステル樹脂(B)とブロック樹脂(C)の合計重量を100とした場合の(A)、(B)、(C)の重量比[(A):(B):(C)]は、低温定着性、耐ホットオフセット性および帯電安定性の観点から、好ましくは(5〜90):(1〜70):(1〜70)、さらに好ましくは(10〜85):(3〜60):(3〜60)、特に好ましくは(15〜80):(5〜40):(5〜40)である。
本発明において、非結晶性ポリエステル樹脂(A)と結晶性ポリエステル樹脂(B)およびブロック樹脂(C)の混合方法は、溶融混合が好ましい。また、トナー化時に混合してもよい。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
本発明において、非結晶性ポリエステル樹脂(A)と結晶性ポリエステル樹脂(B)およびブロック樹脂(C)を溶融混合後、冷却した場合、非結晶性ポリエステル樹脂(A)が海相であり、結晶性ポリエステル樹脂(B)が島相である海島構造を有することが好ましい。
海島構造は、例えば、(A)、(B)および(C)を、ラボプラストミルを使用し130℃で70rpmにて30分間溶融混合後、冷却した混合樹脂を切片化し、四酸化ルテニウムにより染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用し倍率5,000〜50,000倍で観察することにより確認できる。
この場合、観察される(B)の体積平均粒径は、好ましくは10nm〜3μmであり、さらに好ましくは50nm〜2.5μmであり、特に好ましくは100nm〜2μmである。
非結晶性ポリエステル樹脂(A)が、非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL)および非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH)を少なくとも両方含有する場合、(AL)と結晶性ポリエステル樹脂(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値ΔSP値(AL−B)が1.0〜3.0(cal/cm1/2であり、かつ(AH)と(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値ΔSP値(AH−B)も1.0〜3.0(cal/cm1/2であることが好ましい。これらのΔSP値(AL−B)とΔSP値(AH−B)はさらに1.1〜3.0が好ましく、特に好ましくは1.2〜3.0である。
なお、非結晶性ポリエステル樹脂(A)が非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL)または非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH)のいずれかのみしか含有しない場合は、非結晶性ポリエステル樹脂(A)と結晶性ポリエステル樹脂(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値ΔSP値(A−B)が1.0〜3.0(cal/cm1/2であることが好ましく、より好ましくは、1.1〜3.0、特に好ましくは1.2〜3.0である。この範囲のとき、結晶性ポリエステル樹脂(B)が非結晶性ポリエステル樹脂(A)中に均一に相分離した状態で分散するためポリエステル樹脂の耐ブロッキング性が良好となる。
本発明のトナー組成物は、本発明のトナーバインダーと、着色剤を含有する。さらに、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤等を添加することもできる。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンBおよびオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、さらに好ましくは40〜120重量部である。
離型剤としては、フローテスターによる(Tm)が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸およびこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス(登録商標)等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックスおよびライスワックスが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
本発明のトナー組成物は、混練粉砕法、転相乳化法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたものであってもよい。例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、転相乳化法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
本発明のトナー組成物は、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、および樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリアー粒子との重量比は、通常1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明のトナー組成物は、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
以下実施例、比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<製造例1>〔非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL−1)の合成〕
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例に用いる反応槽も同様。)中に、テレフタル酸400重量部(87.3モル部)、安息香酸32重量部(9.5モル部)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物558重量部(62.0モル部)、1,2−プロピレングリコール232重量部(下記回収分150重量部を差し引くと38.0モル部)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、常圧下180℃で無水トリメリット酸17重量部(3.2モル部)を加え、常圧下で1時間反応させて取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは150重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL−1)とする。
(AL−1)のMpは5000、(Tg)は62℃、(Tm)は106℃、酸価は10、水酸基価は28、SP値は11.6であった。
<製造例2>〔非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL−2)の合成〕
反応槽中に、テレフタル酸265重量部(91.4モル部)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物770重量部(100.0モル部)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、常圧下180℃で無水トリメリット酸29重量部(8.6モル部)を加え、常圧下で1時間反応させて取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL−2)とする。
(AL−2)のMpは3500、(Tg)は58℃、(Tm)は95℃、酸価は15、水酸基価は65、SP値は10.9であった。
<製造例3>〔非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH−1)の合成〕
反応槽中に、テレフタル酸415重量部(54.6モル部)、イソフタル酸275重量部(36.5モル部)、エチレングリコール345重量部(下記回収分235重量部を差し引くと40.0モル部)、ネオペンチルグリコール285重量部(60.0モル部)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸77重量部(8.9モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させ軟化点145℃で取り出した。回収されたエチレングリコールは235重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH−1)とする。
(AH−1)のMpは8500、(Tg)は57℃、(Tm)は140℃、酸価は24、水酸基価は3、SP値は11.5であった。
<製造例4>〔非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH−2)の合成〕
反応槽中に、テレフタル酸420重量部(61.3モル部)、イソフタル酸180重量部(25.8モル部)、エチレングリコール409重量部(下記回収分187部を差し引くと85.0モル部)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物220重量部(15.0モル部)、チタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸106重量部(12.9モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させ軟化点150℃で取り出した。回収されたエチレングリコールは187重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH−2)とする。
(AH−2)のMpは6000、(Tg)は60℃、(Tm)は150℃、酸価は1、水酸基価は40、SP値は12.0であった。
<製造例5>〔結晶性部b1の合成〕
反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール230重量部、ドデカンジカルボン酸475重量部、および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させて取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、(結晶性部b1)を得た。
(結晶性部b1)の(Tb)は72℃、Mwは10000、水酸基価は27、SP値は9.6であった。
<製造例6>〔結晶性部b2の合成〕
反応槽中に、1,4−ブタンジオール262重量部、セバシン酸530重量部、および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)2重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させて取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、(結晶性部b2)を得た。
(結晶性部b2)の(Tb)は65℃、Mwは6000、水酸基価は47、SP値は9.9であった。
<製造例7>〔結晶性部b3の合成〕
反応槽中に、製造例6で得られた(結晶性部b2)500重量部を入れ、80℃で加熱し溶融した。次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート26重量部を投入し、80℃で6時間反応させて取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、(結晶性部b3)を得た。
(結晶性部b3)の(Tb)は67℃、Mwは13000、水酸基価は23、SP値は10.1であった。
<製造例8>〔結晶性部b4の合成〕
反応槽中に、「プラクセル240」(ポリカプロラクトンジオール;(株)ダイセル製)500重量部を入れ、100℃で加熱し溶融した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート11重量部を投入し、100℃で5時間反応させて取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、(結晶性部b4)を得た。
(結晶性部b4)の(Tb)は62℃、Mwは18000、水酸基価は14、SP値は10.2であった。
<製造例9>〔結晶性部b5の合成〕
反応槽中に、「HS2H−200S」(1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸からなるポリエステルジオール;豊国製油(株)製)250重量部およびメチルエチルケトン250重量部を入れ、80℃で加熱し溶解した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート44重量部を投入し80℃で5時間反応させた後40℃まで冷却した。次いで、ヘキサメチレンジアミン10重量部を投入し40℃で2時間反応させた後、メチルエチルケトンを除去して取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して(結晶性部b5)を得た。
(結晶性部b5)の(Tb)は70℃、Mwは22000、水酸基価は9、SP値は9.8であった。
<製造例10>〔非結晶性部c1の合成〕
反応槽中に、イソフタル酸427重量部(100.0モル部)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物580重量部(62.0モル部)、1,2−プロピレングリコール232重量部(下記回収分150重量部を差し引くと38.0モル部)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させて取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは150重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、(非結晶性部c1)を得た。
(非結晶性部c1)のMwは7000、(Tg)は58℃、水酸基価は32であった。
<製造例11>〔非結晶性部c2の合成〕
反応槽中に、テレフタル酸256重量部(91.7モル部)、アジピン酸20重量部(8.3モル部)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物781重量部(100.0モル部)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させて取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、(非結晶性部c2)を得た。
(非結晶性部c2)のMwは3500、(Tg)は53℃、水酸基価は63であった。
<製造例12>〔結晶性ポリエステル樹脂(B−1)〕
製造例5で得られた(結晶性部b1)をそのまま使用し、結晶性ポリエステル樹脂(B−1)とした。(B−1)の物性値は表1に記載した。
<製造例13>〔結晶性ポリエステル樹脂(B−2)〕
製造例6で得られた(結晶性部b2)をそのまま使用し、結晶性ポリエステル樹脂(B−2)とした。(B−2)の物性値は表1に記載した。
<製造例14>〔ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂(B−3)〕
製造例7で得られた(結晶性部b3)をそのまま使用し、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂(B−3)とした。(B−3)の物性値は表1に記載した。
<製造例15>〔ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂(B−4)〕
製造例8で得られた(結晶性部b4)をそのまま使用し、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂(B−4)とした。(B−4)の物性値は表1に記載した。
<製造例16>〔ウレタンウレア変性結晶性ポリエステル樹脂(B−5)〕
製造例9で得られた(結晶性部b5)をそのまま使用し、ウレタンウレア変性結晶性ポリエステル樹脂(B−5)とした。(B−5)の物性値は表1に記載した。
<製造例17>〔ブロック樹脂(C−1)の合成〕
反応槽中に、(非結晶性部c1)120重量部およびメチルエチルケトン120重量部を入れ、80℃で加熱し溶解した。次いで、トリレンジイソシアネート12重量部を投入し80℃で5時間反応させた。別途、(結晶性部b1)284重量部をメチルエチルケトン284重量部に溶解させた溶液を作製し、この溶液を投入して、さらに80℃で5時間反応させた。メチルエチルケトンを除去して取り出し、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、ブロック樹脂(C−1)を得た。
(C−1)中の(b1)の割合は、(C−1)の重量に基づき68重量%であり、(b1)−(c1)−(b1)で表される。
<製造例18>〔ブロック樹脂(C−2)の合成〕
反応槽中に、(結晶性部b3)100重量部およびトルエン100重量部を入れ、80℃で加熱し溶解した。次いで、イソホロンジイソシアネート9重量部を投入し100℃で6時間反応させた。別途、(非結晶性部c1)143重量部をトルエン143重量部に溶解させた溶液を作製し、この溶液を投入して、さらに100℃で6時間反応させた。トルエンを除去して取り出し、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、ブロック樹脂(C−2)を得た。
(C−2)中の(b3)の割合は、(C−2)の重量に基づき40重量%であり、(c1)−(b3)−(c1)で表される。
<製造例19>〔ブロック樹脂(C−3)の合成〕
反応槽中に、(結晶性部b2)110重量部およびメチルエチルケトン110重量部を入れ、80℃で加熱し溶解した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート16重量部を投入し80℃で5時間反応させた。別途、(非結晶性部c2)123重量部をメチルエチルケトン123重量部に溶解させた溶液を作製し、この溶液を投入して、さらに80℃で5時間反応させた。メチルエチルケトンを除去して取り出し、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、ブロック樹脂(C−3)を得た。
(C−3)中の(b2)の割合は、(C−3)の重量に基づき44重量%であり、(c2)−(b2)−(c2)−(b2)−(c2)で表される。
<製造例20>〔ブロック樹脂(C−4)の合成〕
反応槽中に、(結晶性部b2)110重量部およびメチルエチルケトン110重量部を入れ、80℃で加熱し溶解した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート16重量部を投入し80℃で5時間反応させた。別途、(非結晶性部c2)109重量部をメチルエチルケトン109重量部に溶解させた溶液を作製し、この溶液を投入して、さらに80℃で5時間反応させた。メチルエチルケトンを除去して取り出し、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、ブロック樹脂(C−4)を得た。
(C−4)中の(b2)の割合は、(C−4)の重量に基づき47重量%であり、(c2)−(b2)−(c2)−(b2)−(c2)−(b2)−(c2)で表される。
<製造例21>〔ブロック樹脂(C−5)の合成〕
反応槽中に、2,4−トリレンジイソシアネート29重量部およびメチルエチルケトン100重量部を入れ、撹拌して均一に溶解した。次いで、シクロヘキサンジメタノール21重量部を投入し、80℃で3時間反応させ、末端にイソシアネート基を有するポリウレタン(非結晶性部c3)のメチルエチルケトン溶液150重量部を得た。
別途、(結晶性部b1)137重量部をメチルエチルケトン137重量部に溶解させた溶液を作製し、この溶液を投入して、さらに80℃で5時間反応させた。メチルエチルケトンを除去して取り出し、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、ブロック樹脂(C−5)を得た。
(C−5)中の(b1)の割合は、(C−5)の重量に基づき73重量%であり、(b1)−(c3)−(b1)で表される。
<製造例22>〔ブロック樹脂(C−6)の合成〕
反応槽中に、イソホロンジイソシアネート38重量部およびトルエン100重量部を入れ、撹拌して均一に溶解した。次いで、1,2−プロピレングリコール12重量部を投入し、90℃で7時間反応させ、末端にイソシアネート基を有するポリウレタン(非結晶性部c4)のトルエン溶液150重量部を得た。
別途、(結晶性部b1)107重量部をトルエン107重量部に溶解させた溶液を作製し、この溶液を投入して、さらに80℃で7時間反応させた。トルエンを除去して取り出し、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、ブロック樹脂(C−6)を得た。
(C−6)中の(b1)の割合は、(C−6)の重量に基づき68重量%であり、(b1)−(c4)−(b1)−(c4)−(b1)で表される。
Figure 0006348361
<実施例1〜10>、<比較例1、2>
前記製造例で得られた非結晶性ポリエステル樹脂(AL−1)、(AL−2)、(AH−1)、(AH−2)、結晶性ポリエステル樹脂(B−1)〜(B−4)、およびブロック樹脂(C−1)〜(C−6)を表2の配合比(重量部)に従い配合し、本発明のトナーバインダー、および比較のトナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。
まず、カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]8重量部、カルナバワックス5重量部、荷電制御剤T−77[保土谷化学工業(株)製]1重量部を加え、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100重量部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5重量部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−10)、および比較用のトナー組成物(RT−1)〜(RT−2)を得た。
下記評価方法で評価した評価結果を表2に示す。
Figure 0006348361
[評価方法]
〔1〕低温定着性
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる下限温度を最低定着温度(MFT)とした。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
〔2〕耐ホットオフセット性
上記低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。定着ロール通過後ホットオフセットが発生しない上限温度をホットオフセット発生温度(HOT)とした。ホットオフセット発生温度が高いほど、耐ホットオフセット性に優れることを意味する。
HOT−MFTを定着温度幅(℃)として記載した。
〔3〕保存安定性
トナー組成物を、50℃、85%R.H.の高温高湿環境下で、48時間調湿した。同環境下において該現像剤のブロッキング状態を目視し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察し、以下の判定基準で保存安定性を評価した。
[判定基準]
◎:トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。
○:トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに乱れが
観察される。
×:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる。
〔4〕帯電安定性
トナー組成物0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、50%R.H.で8時間以上調湿した後、ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10および60分間摩擦撹拌し、それぞれの時間毎に帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[京セラケミカル(株)製]を用いた。「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、帯電安定性の指標とした。
[判定基準]
◎:0.8以上
○:0.6以上、0.8未満
×:0.6未満
〔5〕海島構造の確認
それぞれの実施例および比較例において、表2の配合比(重量部)に従い、(A)、(B)および(C)を配合し、ラボプラストミル[東洋精機(株)製 MODEL4M150]を使用し、130℃で70rpmにて30分間溶融混合後、冷却した混合樹脂を切片化し、四酸化ルテニウムにより染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)[(株)日立製作所製 H−7100]を使用し倍率5,000倍で観察した。観察される(B)の体積平均粒径を指標とした。
[判定基準]
◎:1μm未満
○:1μm以上、3μm未満
△:3μm以上
×:海島構造が確認できない
実施例1〜10のトナー組成物は、最低定着温度、ホットオフセット発生温度、定着温度幅、保存安定性、および帯電安定性に優れ、(B)の分散径の良好な海島構造が確認できたのに対し、比較例1のトナー組成物は、最低定着温度が著しく悪化し、定着温度幅も悪化した。また、比較例2のトナー組成物は、保存安定性、帯電安定性が著しく悪化した。
本発明のトナー組成物およびトナーバインダーは、低温定着性、耐ホットオフセット性、保存安定性、耐電安定性に優れることから、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いる静電荷像現像用トナーおよびトナーバインダーとして有用である。

Claims (11)

  1. 非結晶性ポリエステル樹脂(A)と、結晶性部(b)のみで構成される結晶性ポリエステル樹脂(B)と、結晶性部(b)と非結晶性部(c)とで構成されるブロック樹脂(C)からなるトナーバインダーであって、結晶性部(b)が炭素数4〜12の直鎖型脂肪族ジオール成分と炭素数6〜14の直鎖型脂肪族ジカルボン酸成分とから合成される重縮合ポリエステル樹脂又は炭素数5〜12のモノラクトンのラクトン開環重合物を結晶性部(b)の重量を基準として82〜100重量%含有し、結晶性部(b)の融解熱の最大ピーク温度(Tb)が50〜72℃であり、(A)、(B)および(C)の合計重量を100とした場合の(A)、(B)、(C)の重量比[(A):(B):(C)]が、(60〜90):(1〜30):(1〜10)であることを特徴とするトナーバインダー。
  2. 結晶性ポリエステル樹脂(B)が炭素数4〜6の直鎖型脂肪族ジオール成分と炭素数10〜14の直鎖型脂肪族ジカルボン酸成分とから合成される重縮合ポリエステル樹脂、前記重縮合ポリエステル樹脂とジイソシアネートとの反応物、ポリカプロラクトン又はポリカプロラクトンとジイソシアネートとの反応物を含有し、ジイソシアネートが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートであり、(B)の融解熱の最大ピーク温度(Tb)が50〜72℃、軟化点(Tm)と(Tb)の比〔Tm/Tb〕が0.8〜1.55、溶融開始温度〔X〕が(Tb±30)℃の温度範囲内であり、かつ(B)が以下の(条件1)、(条件2)を満たす請求項1に記載のトナーバインダー。
    (条件1) 50≦G’(Tb+20)≦1×106
    (条件2) |logG”(X+20)−logG”(X)|>2.0
    {G’(Tb+20):(Tb+20)℃における(B)の貯蔵弾性率[Pa]、G”(X):X℃における(B)の損失弾性率[Pa]、G”(X+20):(X+20)℃における(B)の損失弾性率[Pa]}
  3. ブロック樹脂(C)の結晶性部(b)と非結晶性部(c)とが、下記の一般式(1)〜(6)のいずれかで表される形式で線状に結合している請求項1または2に記載のトナーバインダー。
    (b)−(c)−(b) (1)
    (c)−(b)−(c) (2)
    (b)−(c)−(b)−(c)−(b) (3)
    (c)−(b)−(c)−(b)−(c) (4)
    (b)−(c)−(b)−(c)−(b)−(c)−(b) (5)
    (c)−(b)−(c)−(b)−(c)−(b)−(c) (6)
  4. (A)が、非結晶性線形ポリエステル樹脂(AL)および非結晶性非線形ポリエステル樹脂(AH)を含有し、(AL)の軟化点が70〜120℃であり、(AH)の軟化点が115〜165℃であり、(AL)と(AH)の軟化点の差の絶対値が10〜80℃である請求項1〜3のいずれかに記載のトナーバインダー。
  5. (AL)のガラス転移点が30〜75℃であり、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーのピークトップ分子量が1000〜10000であり、(AH)のガラス転移点が35〜80℃であり、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーのピークトップ分子量が2000〜20000である請求項4に記載のトナーバインダー。
  6. (C)を構成する(b)の重量平均分子量が2000〜80000、(c)の重量平均分子量が500〜50000であり、(C)中の(b)の割合が、(C)の重量に基づき25重量%以上である請求項1〜5のいずれかに記載のトナーバインダー。
  7. (A)が海相であり、(B)が島相である海島構造を有する請求項1〜6のいずれかに記載のトナーバインダー。
  8. (AL)と結晶性ポリエステル樹脂(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値ΔSP値(AL−B)が1.0〜3.0(cal/cm31/2であり、かつ(AH)と(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値ΔSP値(AH−B)が1.0〜3.0(cal/cm31/2である請求項4〜7のいずれかに記載のトナーバインダー。
  9. (B)の、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量が5000〜100000である請求項1〜8のいずれかに記載のトナーバインダー。
  10. (B)の鉛筆硬度が、3B〜6Hである請求項1〜9のいずれかに記載のトナーバインダー。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のトナーバインダーと着色剤を含有するトナー組成物。
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