JP5777953B2 - 電子写真用トナーバインダー及びトナー組成物 - Google Patents
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Description
すなわち本発明は、下記2発明である。
(I) カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを構成単位として有し、カルボン酸成分(x)が1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(x1)と、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x2)を合計で80〜99.5モル%含有し、ポリオール成分(y)が、炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(y1)を80モル%以上含有する、酸価が2(mgKOH/g)以下のポリエステル樹脂(A)と、ウレタン(ウレア)変性ポリエステル樹脂(B)とで構成されるポリエステル樹脂組成物(P)を含有し、(A)、(B)、および(P)が次の式(1)〜(3)を満たす電子写真用トナーバインダー。
{(P)の〔G’180〕}/{(A)の〔G’180〕と(B)の〔G’180〕の加重平均}≧1.5 ・・・式(1)
(A)の〔G’150〕≦10000 ・・・式(2)
(B)の〔G’150〕≦10000 ・・・式(3)
[上記式中、〔G’180〕は180℃における貯蔵弾性率(dyn/cm2)、〔G’
150〕は150℃における貯蔵弾性率(dyn/cm2)を意味する。]
(II) 上記の電子写真用トナーバインダーと着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種類以上の添加剤を含有するトナー組成物。
本発明の電子写真用トナーバインダーは、カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを構成単位として有するポリエステル樹脂(A)と、ウレタン(ウレア)変性ポリエステル樹脂(B)とで構成されるポリエステル樹脂組成物(P)を含有する。
上記「ウレタン(ウレア)変性ポリエステル樹脂」とは、ウレア変性されていてもよいウレタン変性ポリエステル樹脂を意味する。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、カルボン酸成分(x)中に、定着性と粉砕性および耐久性の観点から、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(x1)を必須構成単位として含有する。(x)中の(x1)量は、同様の観点から0.5〜20モル%が好ましく、より好ましくは0.8〜17モル%、さらに好ましくは1〜15モル%である。
(A)は、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立させる(定着温度幅の拡大)観点から、カルボン酸成分(x)が、さらに芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x2)を合計で80〜99.5モル%含有し、ポリオール成分(y)が炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(y1)を80モル%以上含有するのが好ましい。
上記エステル形成性誘導体としては、酸無水物、アルキル(炭素数1〜24:メチル、エチル、ブチル、ステアリル等、好ましくは炭素数1〜4)エステル、および部分アルキル(上記と同様)エステル等が挙げられる。以下のエステル形成性誘導体についても同様である。
なお、本発明においては、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x2)において、芳香族ジカルボン酸とその同一ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とは、1種として数える。
これら(x2)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましくは、以下に挙げた(1)〜(3)から選ばれる2種以上である。
(1)テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(2)イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(3)フタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
好ましい組合せとしては(1)と(2)、および(1)と(3)であり、さらに好ましくは、(1)と(2)の重量比が(1)/(2)=4/6〜8/2であり、(1)と(3)の重量比が(1)/(3)=4/6〜8/2である。
ポリエステル樹脂(A)のカルボン酸成分(x)中のジカルボン酸(x2)の量は、好ましくは80〜99.5モル%であり、さらに好ましくは83〜99.2モル%、とくに好ましくは85〜99モル%である。
カルボン酸成分(x)のうち、(x2)以外のジカルボン酸としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(例えばコハク、アジピン、およびセバシン酸);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔例えばダイマー酸(2量化リノール酸)〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(例えば、ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン、フマル、シトラコン、およびメサコン酸)およびこれらのエステル形成性誘導体;等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルカンジカルボン酸;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体であり、さらに好ましくは、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、および/またはそれらのエステル形成性誘導体である。
これらのうち好ましいものは、ピロメリット酸、およびそのエステル形成性誘導体である。
(x)中の(x1)以外の3価以上のポリカルボン酸の量は、10モル%以下が好ましく、さらに好ましくは7モル%以下、とくに好ましくは5モル%以下である。
また、(x)中の芳香族モノカルボン酸の量は、10モル%以下が好ましく、さらに好ましくは9モル%以下、とくに好ましくは8モル%以下である。
これらのうち、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(x1)との反応性の観点から、分子末端に1級水酸基を有する脂肪族ジオール(エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオールおよび1,10−デカンジオール等)が好ましく、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコールおよびネオペンチルグリコールがさらに好ましく、エチレングリコール、およびエチレングリコールとネオペンチルグリコールの併用(重量比が、好ましくは100/0〜50/50、さらに好ましくは99/1〜60/40)がとくに好ましい。
ポリオール成分(y)のうち、(y1)以外のジオールとしては、炭素数11〜36のアルキレングリコール(1,12−ドデカンジオール等);炭素数11〜36のアルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、および水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン、オキシプロピレン等)。以下のポリオキシアルキレン基も同じ〕エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30〕;および2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
これらのうち好ましいものは、3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール、およびノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、さらに好ましいものはノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
ポリオール成分(y)とカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1.01/1、さらに好ましくは1.5/1〜1.02/1、とくに好ましくは1.3/1〜1.03/1である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
また、(A)の水酸基価〔OHV〕(mgKOH/g、以下同じ。)は、好ましくは0〜100、さらに好ましくは0〜80、とくに好ましくは0〜70である。水酸基価が100以下であるとトナー化時の耐ホットオフセット性がより良好となる。
なお、試料中に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置 : 東洋精機(株)製ラボプラストミルMODEL4M150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
得られたクロマトグラム上で最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。また、分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
なお、上記および以下において、Tgはセイコー電子工業(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
この範囲であると、耐ホットオフセット性と低温定着性の両立が良好となる。本発明において、T1/2は以下の方法で測定される。
<軟化点〔T1/2〕>
高化式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔T1/2〕とする。
本発明におけるTHF不溶解分は、以下の方法で求めたものである。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
〔1〕脂肪族ジアミン{C2〜C6アルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、ポリアルキレン(C2〜C6)ジアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど〕};
〔2〕これらのアルキル(C1〜C4)またはヒドロキシアルキル(C2〜C4)置換体〔ジアルキル(C1〜C3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど〕;
〔3〕脂環または複素環含有脂肪族ジアミン{脂環式ジアミン(C4〜C15)〔1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など〕、複素環式ジアミン(C4〜C15)〔ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕;
〔4〕芳香環含有脂肪族アミン類(C8〜C15)(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど);等が挙げられる。
〔1〕非置換芳香族ジアミン〔1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4´−および4,4´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4′′−トリアミン、ナフチレンジアミンなど;
〔2〕核置換アルキル基〔メチル,エチル,n−およびi−プロピル、ブチルなどのC1〜C4アルキル基〕を有する芳香族ジアミン、たとえば2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタンなど〕、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物;
〔3〕核置換電子吸引基(Cl,Br,I,Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリンなど〕;
〔4〕2級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔上記〔1〕〜〔3〕の芳香族ジアミンの−NH2の一部または全部が−NH−R´(R´はアルキル基たとえばメチル,エチルなどの低級アルキル基)で置き換ったもの〕〔4,4´−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど〕が挙げられる。
上記モル比率は、ウレタン(ウレア)変性ポリエステル樹脂(B)を製造する際に使用した、ポリイソシアネート(i)と、ポリアミン(j)および(i)と反応する水の重量から、(B)中に含有されるウレタン基(―NHCOO―)のモル数とウレア基(―NHCONH―)のモル数の比を、計算により求めたものである。
製造法〔1〕;カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを重縮合させて得られる、水酸基を有するポリエステル樹脂(a)の有機溶剤(S)溶液を、ポリイソシアネート(i)と反応させてウレタン変性ポリエステル樹脂(B1)を製造する、または、さらに上記の未反応のイソシアネート基を有する反応生成物をポリアミン(j)と反応させてウレタンウレア変性ポリエステル樹脂(B2)を製造する方法。
製造法〔2〕;カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを重縮合させて得られる、水酸基を有するポリエステル樹脂(a)を、液体状態で、ポリイソシアネート(i)と反応させてウレタン変性ポリエステル樹脂(B1)を製造する、または、さらに上記の未反応のイソシアネート基を有する反応生成物をポリアミン(j)と反応させてウレタンウレア変性ポリエステル樹脂(B2)を製造する方法。
製造法〔3〕;ポリイソシアネート(i)とポリアミン(j)を、[(i)中のイソシアネート基]/[(j)中のアミノ基]=1.5/1〜3/1の当量比で反応させ、次いで未反応のイソシアネート基を有する反応生成物とポリオール成分(y)とを反応させて得られる変性ポリオール(y*)を含むポリオール成分(y)と、カルボン酸成分(x)とを重縮合させて、ウレタンウレア変性ポリエステル樹脂(B2)を製造する方法。
ポリオール成分(y)、カルボン酸成分(x)は前記の成分を特に限定なく用いることができる。必要により、前記のエステル化触媒を用いてもよい。
ポリエステル樹脂(a)の水酸基とポリイソシアネート(i)のイソシアネート基の当量比、および、(a)と(i)の反応生成物中の未反応イソシアネート基とポリアミン(j)のアミノ基の当量比は、製造法〔1〕と同様でよい。反応温度はアロファネート化及びビューレット化の開裂の観点から150〜250℃で反応させることが好ましく、より好ましくは170〜230℃、最も好ましくは180〜220℃である。
(B2)を製造する場合、ポリエステル樹脂(a)とポリイソシアネート(i)の反応が完了した後、反応生成物の未反応イソシアネート基とポリアミン(j)のアミノ基とを反応させることが好ましい。(a)と(i)の反応時間は1時間以下が好ましく、より好ましくは30分以下、最も好ましくは20分以下である。(a)と(i)との反応生成物と(j)との反応時間は30分以下が好ましく、より好ましくは20分以下、最も好ましくは15分以下である。
反応の際、ウレタン基とウレア基の導入率、及び貯蔵弾性率の観点から、ポリイソシアネート(i)中のイソシアネート基とポリアミン(j)中のアミノ基の当量比[NCO]/[NH2]が、1.5/1〜3/1であることが好ましく、より好ましくは1.7/1〜2.8/1、さらに好ましくは1.8/1〜2.5/1である。
なお、(y)を過剰に用いると、変性ポリオール(y*)と(y*)以外のポリオールを含むポリオール成分(y)が得られる。
ポリオール成分(y)中の変性ポリオール(y*)の含有量は、好ましくは0.5モル%以上、さらに好ましくは1〜80モル%である。
この範囲であると、耐ホットオフセット性と低温定着性の両立が良好となる。
[〔T1/2〕−〔Tf〕]は、より好ましくは46〜63℃、とくに好ましくは47〜60℃である。
[〔T1/2〕−〔Tf〕]の値を大きくする場合、架橋点の数を増やす、分子量分布を広くする、またはウレタン基濃度、ウレア基濃度を上げる等で達成できる。
<流出開始温度〔Tf〕>
高化式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下が始まり、樹脂の流出が始まる温度を流出開始温度〔Tf〕とする。
この範囲であると、定着性と粉砕性および耐久性の両立が良好となる。
{(P)の〔G’180〕}/{(A)の〔G’180〕と(B)の〔G’180〕の加重平均}≧1.5 ・・・式(1)
{(P)の〔G’180〕}/{(A)の〔G’180〕と(B)の〔G’180〕の加重平均}≧1.7 ・・・式(1’)
{(P)の〔G’180〕}/{(A)の〔G’180〕と(B)の〔G’180〕の加重平均}≧2.0 ・・・式(1”)
(A)の〔G’150〕≦10000 ・・・式(2)
(B)の〔G’150〕≦10000 ・・・式(3)
(A)および(B)の樹脂物性を全て前記の好ましい範囲にすると、式(1)の関係を達成するのが容易である。式(1)を満たすと、高温領域でも実用範囲において粘度が低くなりすぎないと考えられ、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となる。
ポリエステル樹脂(A)の貯蔵弾性率(G’)を増加させるには、(A)のT1/2を上げる、3価以上の構成成分の比率を上げ架橋点の数を増やす、分子量を大きくする、および/またはTgを高くする、等で達成できる。
ウレタン(ウレア)変性ポリエステル樹脂(B)の貯蔵弾性率(G’)を増加させるには、(B)のT1/2を上げる、ウレタン基(およびウレア基)含有量を増やす、分子量を大きくする、および/またはTgを高くする、等で達成できる。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/min
ポリオール成分(y)とカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]が、好ましくは3/1〜1/3、さらに好ましくは2.5/1〜1/2.5、とくに好ましくは2/1〜1/2である。
また、本発明の電子写真用トナーバインダーのフローテスターで測定した軟化点〔T1/2〕は、耐ホットオフセット性と低温定着性の両立の観点から、好ましくは120〜170℃、さらに好ましくは125〜160℃である。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、およびバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
着色剤の含有量は、本発明の電子写真用トナーバインダー100部に対して、好ましくは1〜40部、さらに好ましくは3〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、さらに好ましくは40〜120部である。上記および以下において、部は重量部を意味する。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス等が挙げられる。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
[ポリエステル樹脂(A−1)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸561部(3.4モル)、無水フタル酸214部(1.4モル)、エチレングリコール550部(8.9モル)、ネオペンチルグリコール81部(0.8モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、無水1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(以下無水トリメリット酸と記載)16部(0.1モル)を入れ、5〜20mmHgの減圧下で反応させ所定の粘度で取り出した。回収されたエチレングリコールは275部(4.4モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−1)とする。
ポリエステル樹脂(A−1)のTgは58℃、T1/2は125℃、Mpは7800、OHVは30、AVは1、THF不溶解分は2%であった。
[ポリエステル樹脂(A−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸549部(3.3モル)、無水フタル酸210部(1.4モル)、エチレングリコール537部(8.7モル)、ネオペンチルグリコール82部(0.8モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、無水トリメリット酸32部(0.2モル)を入れ、5〜20mmHgの減圧下で反応させ所定の粘度で取り出した。回収されたエチレングリコールは261部(4.2モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−2)とする。
ポリエステル樹脂(A−2)のTgは60℃、T1/2は131℃、Mpは6200、OHVは35、AVは1、THF不溶解分は4%であった。
[ポリエステル樹脂(A−3)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸477部(2.9モル)、イソフタル酸318部(1.9モル)、エチレングリコール544部(8.8モル)、ネオペンチルグリコール83部(0.8モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、無水トリメリット酸16部(0.1モル)を入れ、5〜20mmHgの減圧下で反応させ所定の粘度で取り出した。回収されたエチレングリコールは264部(4.3モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−3)とする。
ポリエステル樹脂(A−3)のTgは58℃、T1/2は121℃、Mpは5100、OHVは41、AVは1、THF不溶解分は1%であった。
[ポリエステル樹脂(A−4)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸411部(2.5モル)、イソフタル酸411部(2.5モル)、エチレングリコール613部(9.9モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、無水トリメリット酸22部(0.1モル)を入れ、5〜20mmHgの減圧下で反応させ所定の粘度で取り出した。回収されたエチレングリコールは277部(4.5モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−4)とする。
ポリエステル樹脂(A−4)のTgは60℃、T1/2は119℃、Mpは6100、OHVは36、AVは1、THF不溶解分は2%であった。
[ポリエステル樹脂(a−1)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸558部(3.4モル)、無水フタル酸217部(1.5モル)、エチレングリコール558部(9.0モル)、ネオペンチルグリコール82部(0.8モル)および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に2時間反応させた後取出した。回収されたエチレングリコールは279部(4.5モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−1)とする。
ポリエステル樹脂(a−1)のTgは53℃、Mnは2500、OHVは45、AVは1であった。
[ウレタン変性ポリエステル樹脂(B−1)の合成]
反応槽中に、ポリエステル樹脂(a−1)484部(0.17モル)を入れ、120℃まで加熱し熔融した。窒素気流下で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと記載)を16部(0.06モル)加え、3時間反応させ取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−1)とする。
ウレタン変性ポリエステル樹脂(B−1)のTgは60℃、T1/2は135℃、Mpは8500、Tfは85℃、AVは1、OHVは25、THF不溶解分は5%であった。
[ポリエステル樹脂(a−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸570部(3.4モル)、イソフタル酸244部(1.5モル)、エチレングリコール560部(9.0モル)、ネオペンチルグリコール82部(0.8モル)および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に2時間反応させた後取出した。回収されたエチレングリコールは282部(4.6モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−2)とする。
ポリエステル樹脂(a−2)のTgは55℃、Mnは2800、OHVは40、AVは1であった。
[ウレタン変性ポリエステル樹脂(B−2)の合成]
反応槽中に、ポリエステル樹脂(a−2)480部(0.17モル)、テトラヒドロフラン800部を入れ80℃まで加熱し、(a−2)を溶解した。窒素気流下でMDIを20部(0.08モル)加え、12時間反応させた後、200℃まで加熱しながら5〜20mmHgの減圧下でテトラヒドロフランを10時間かけて留去し、取出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−2)とする。
ウレタン変性ポリエステル樹脂(B−2)のTgは61℃、T1/2は137℃、Mpは8100、Tfは84℃、AVは1、OHVは21、THF不溶解分は4%であった。
[ポリエステル樹脂(a−3)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸592部(3.6モル)、イソフタル酸254部(1.5モル)、エチレングリコール632部(10.2モル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ所定の粘度で取り出した。回収されたエチレングリコールは297部(4.8モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−3)とする。
ポリエステル樹脂(a−3)のTgは56℃、Mnは3200、OHVは35、AVは1であった。
[ウレタンウレア変性ポリエステル樹脂(B−3)の合成]
反応槽中に、ポリエステル樹脂(a−3)486部(0.15モル)を入れ、120℃まで加熱し熔融した。窒素気流下でMDIを14部(0.06モル)加え、3時間反応させた後、さらにIPDAを11部(0.06モル)加え、3時間攪拌した後取出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−3)とする。
ウレタンウレア変性ポリエステル樹脂(B−3)のTgは60℃、T1/2は135℃、Mpは8500、Tfは85℃、AVは1、OHVは25、THF不溶解分は5%であった。
[線形ポリエステル樹脂(C−1)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸525部(3.2モル)、無水フタル酸201部(1.4モル)、エチレングリコール515部(8.3モル)、ネオペンチルグリコール76部(0.7モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。安息香酸を43部(0.3モル)入れ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させた。AVが2以下になった時点で、180℃まで冷却後無水トリメリット酸を43部(0.2モル)仕込み、180℃で1時間保持した後取出した。回収されたエチレングリコールは260部(4.2モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(C−1)とする。
線形ポリエステル樹脂(C−1)のTgは61℃、Mpは6500、OHVは5、AVは25であった。
[線形ポリエステル樹脂(C−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸548部(3.3モル)、イソフタル酸235部(1.4モル)、エチレングリコール538部(8.7モル)、ネオペンチルグリコール78部(0.8モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に2時間反応させた。AVが2以下になった時点で、180℃まで冷却後無水トリメリット酸を43部(0.2モル)仕込み、180℃で1時間保持した後取出した。回収されたエチレングリコールは274部(4.4モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(C−2)とする。
線形ポリエステル樹脂(C−2)のTgは62℃、Mpは7100、OHVは22、AVは24であった。
[線形ポリエステル樹脂(C−3)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸510部(3.1モル)、無水フタル酸245部(1.7モル)、エチレングリコール586部(9.5モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。安息香酸を45部(0.4モル)入れ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させた。AVが2以下になった時点で、180℃まで冷却後無水トリメリット酸を34部(0.2モル)仕込み、180℃で1時間保持した後取出した。回収されたエチレングリコールは275部(4.4モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(C−3)とする。
線形ポリエステル樹脂(C−3)のTgは60℃、Mpは6900、OHVは2、AVは20であった。
[線形ポリエステル樹脂(C−4)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸245部(1.5モル)、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2モル付加物720部(2.1モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、AVが2以下になった時点で、180℃まで冷却後無水トリメリット酸を85部(0.4モル)仕込み、180℃で1時間保持した後取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(C−4)とする。
線形ポリエステル樹脂(C−4)のTgは61℃、Mpは3500、AVは50、OHVは48であった。
[比較用ポリエステル樹脂(RA−1)〔(C−5)〕の合成]
反応槽中に、テレフタル酸540部(3.3モル)、無水フタル酸206部(1.4モル)、エチレングリコール529部(8.5モル)、ネオペンチルグリコール79部(0.8モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸52部(0.1モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の粘度で取り出した。回収されたエチレングリコールは264部(4.3モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA−1)〔(C−5)〕とする。
ポリエステル樹脂(RA−1)のTgは62℃、T1/2は148℃、Mpは10500、AVは20、OHVは21、THF不溶解分は5%であった。
[比較用ポリエステル樹脂(RA−2)〔(C−6)〕の合成]
反応槽中に、テレフタル酸574部(3.5モル)、無水フタル酸219部(1.5モル)、エチレングリコール564部(9.1モル)、ネオペンチルグリコール81部(0.8モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ所定の粘度で取り出した。回収されたエチレングリコールは290部(4.7モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA−2)〔(C−6)〕とする。
ポリエステル樹脂(RA−2)のTgは56℃、T1/2は110℃、Mpは8100、OHVは30、AVは1、THF不溶解分は1%であった。
[比較用ポリエステル樹脂(RB−1)の合成]
反応槽中に、ポリエステル樹脂(a−1)469部(0.17モル)を入れ、120℃まで加熱し熔融した。窒素気流下でMDIを31部(0.13モル)加え、3時間反応させ取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RB−1)とする。
ウレタン変性ポリエステル樹脂(RB−1)のTgは63℃、T1/2は155℃、Mpは12500、Tfは98℃、AVは1、OHVは18、THF不溶解分は6%であった。
上記製造例で得られたポリエステル樹脂(A−1)〜(A−4)、(B−1)〜(B−3)、(C−1)〜(C−4)、および比較製造例で得られた比較用ポリエステル樹脂(RA−1)、(RA−2)、(RB−1)を表1の配合比(部)に従い配合し、本発明の電子写真用トナーバインダー、および比較の電子写真用トナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。(カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]、カルナバワックス、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)])
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で140℃で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−9)、および比較用のトナー組成物(RT−1)〜(RT−3)を得た。
前記の方法で測定した、ポリエステル樹脂(A)、ウレタン(ウレア)変性ポリエステル樹脂(B)、ポリエステル樹脂組成物(P)、線形ポリエステル樹脂(C)、およびトナーバインダーの物性値、並びに下記評価方法で評価したトナー組成物の評価結果を表2に示す。
〔1〕最低定着温度(MFT)
上記トナー組成物を使用し、市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる下限温度を最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。定着ロール通過後ホットオフセットが発生しない上限温度をホットオフセット発生温度とした。
〔3〕粉砕性
二軸混練機で混練、冷却したトナー粗粉砕物(8.6メッシュパス〜30メッシュオンのもの)を、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]により下記条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.5MPa
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
粉砕時間:10分
これを分級せずに、体積平均粒径をコールターカウンター−TAII(米国コールター・エレクトロニクス社製)により測定し、粉砕性のテストとした。評価基準を下記の通りとした。(単位:μm)
◎ : 10未満
○ : 10以上11未満
△ : 11以上12未満
× : 12以上
〔4〕耐久性
上記トナー組成物を市販のプリンタLP−1400(エプソン製)用のカートリッジに充填し、同機を用いてべた画像を3000枚連続印刷し、3000枚後の画像を目視で判定した。
判定基準
○ : スジ・ムラなし。
△ : わずかにスジ・ムラがある。
× : スジ・ムラがある。
〔5〕トナーの耐ブロッキング性試験
上記トナー組成物を、40℃・95%R.H.の高温高湿環境下で、48時間調湿した。同環境下において該現像剤のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察した。
判定基準
◎ : トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。
○ : トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに乱れが観察される。
× : トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる
Claims (9)
- カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを構成単位として有し、カルボン酸成分(x)が1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(x1)と、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x2)を合計で80〜99.5モル%含有し、ポリオール成分(y)が、炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(y1)を80モル%以上含有する、酸価が2(mgKOH/g)以下のポリエステル樹脂(A)と、ウレタン(ウレア)変性ポリエステル樹脂(B)とで構成されるポリエステル樹脂組成物(P)を含有し、(A)、(B)、および(P)が次の式(1)〜(3)を満たす電子写真用トナーバインダー。
{(P)の〔G’180〕}/{(A)の〔G’180〕と(B)の〔G’180〕の加重平均}≧1.5 ・・・式(1)
(A)の〔G’150〕≦10000 ・・・式(2)
(B)の〔G’150〕≦10000 ・・・式(3)
[上記式中、〔G’180〕は180℃における貯蔵弾性率(dyn/cm2)、〔G’
150〕は150℃における貯蔵弾性率(dyn/cm2)を意味する。] - ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸(x2)が、下記(1)〜(3)から選ばれる2種以上である請求項1記載の電子写真用トナーバインダー:
(1)テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(2)イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(3)フタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体。 - ポリエステル樹脂組成物(P)中のポリエステル樹脂(A)の含有量が、(P)の重量に対して30〜70重量%である請求項1または2記載の電子写真用トナーバインダー。
- さらに、ポリエステル樹脂(A)以外の線形ポリエステル樹脂(C)を含有する請求項1〜3いずれか記載の電子写真用トナーバインダー。
- 線形ポリエステル樹脂(C)のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーのピークトップ分子量が1000〜10000である請求項4記載の電子写真用トナーバインダー。
- 線形ポリエステル樹脂(C)の含有量が、ポリエステル樹脂組成物(P)と線形ポリエステル樹脂(C)の合計重量に対して70重量%以下である請求項4または5記載の電子写真用トナーバインダー。
- テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーのピークトップ分子量が2000〜20000である請求項1〜6いずれか記載の電子写真用トナーバインダー。
- ガラス転移温度が30〜75℃であり、フローテスターによる軟化点が120〜132℃である請求項1〜7いずれか記載の電子写真用トナーバインダー。
- 請求項1〜8いずれか記載の電子写真用トナーバインダーと着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種類以上の添加剤を含有するトナー組成物。
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