JPH06128367A - トナーバインダー用ポリエステル樹脂 - Google Patents

トナーバインダー用ポリエステル樹脂

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JPH06128367A
JPH06128367A JP4276194A JP27619492A JPH06128367A JP H06128367 A JPH06128367 A JP H06128367A JP 4276194 A JP4276194 A JP 4276194A JP 27619492 A JP27619492 A JP 27619492A JP H06128367 A JPH06128367 A JP H06128367A
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JP
Japan
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glycol
acid
carboxylic acid
mol
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JP4276194A
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English (en)
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Yoko Furuta
洋子 古田
Akane Narita
あかね 成田
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】ジカルボン酸またはその低級アルキルエステル
(A)と、3価以上の多価カルボン酸またはその酸無水
物またはその低級アルキルエステル(B)からなるカル
ボン酸成分、および脂肪族グリコール(C)と、式
(1)で表される芳香族グリコール(D)からなるグリ
コール成分を縮重合して得られるポリエステルで、ジカ
ルボン酸成分が全カルボン酸成分に対して40〜70モ
ル%、多価カルボン酸成分が全カルボン酸成分に対して
30〜60モル%を占め、また、脂肪族グリコール成分
が全グリコール成分に対して2〜20モル%、芳香族グ
リコール成分が全グリコール成分に対し80〜98モル
%からなるトナーバインダー用ポリエステル樹脂。 (式中のRは炭素数3以下のアルキレン基であり、x,
yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値
が2〜7である。) 【効果】粉砕性が良く、吸湿性が少ない保存安定性、帯
電安定性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電記録
法、静電印刷法などにおいて静電潜像の現像に用いる乾
式トナー用バインダーとして有用なポリエステル樹脂に
関する。さらに詳しくは、耐ブロッキング性、低温定着
性、および耐オフセット性をバランス良く備え、粉砕性
が良好で、低吸湿性で、保存安定性に優れたトナーバイ
ンダー用ポリエステル樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】静電潜像を顕像化するためには、光導電
性感光体または静電記録体上に静電潜像を作成し、あら
かじめ摩擦により静電潜像の反対符号の電荷を与えたト
ナーをクーロン力で付着させたのち、紙やフィルム上に
トナー像を転写し、これを融着させることによって定着
することが行われる。トナー像の融着は加圧や加熱によ
って行われ、加熱による定着には、赤外線ランプやキセ
ノンランプあるいは電気オーブンによる無接触加熱方式
と、加熱ローラーによる圧着加熱方式がある。
【0003】また、現像方式によってトナーを分類する
と、鉄粉やフェライト粒子をキャリアとして用いる2成
分現像剤と、キャリアを用いない1成分現像剤がある。
2成分現像剤に用いるトナーは、トナーバインダー用樹
脂、着色剤、荷電制御剤およびその他必要な添加剤を溶
融混練して十分に分散した後、ついで粗粉砕、微粉砕
し、所定の粒度範囲に分級して製造される。1成分現像
剤に用いるトナーは上記の2成分系トナーの各成分の他
に磁性鉄粉を添加して同様にして製造される。
【0004】トナーバインダー用樹脂はトナーの主成分
であるため、トナーに要求される性能の大部分を支配す
る。このためトナーバインダー用樹脂には、トナーの製
造段階においては溶融混練工程で着色剤や荷電制御剤の
分散性が良いことや、粉砕工程で粉砕性の良いことなど
が、また、トナーの使用段階においては定着性、耐オフ
セット性、耐ブロッキング性および電気的性質が良いこ
と、また保存中などの環境変化によっても安定した品質
を維持することなどが要求される。
【0005】トナーに用いられるトナーバインダー用樹
脂としてはエポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ
スチレン系樹脂、アクリル系樹脂などが公知であるが、
圧着加熱定着方式用には主としてスチレン・(メタ)ア
クリル酸エステル共重合体が用いられてきた。
【0006】しかし、より低温で定着が可能であること
や定着されたトナー像の耐塩ビ可塑剤性が優れること、
透明性に優れカラー化にも対応可能であることなどか
ら、最近ポリエステル樹脂が使用されるようになってき
た。
【0007】このような、トナーバインダー用ポリエス
テル樹脂の例として次のものが知られている。ビスフェ
ノールA型骨格を有する芳香族グリコールと2価のカル
ボン酸またはその低級アルキルエステルおよび3価以上
の多価カルボン酸またはその酸無水物を共重合して弱い
架橋構造をもたせたものが、特開昭57−37353号
公報に開示されている。また、3価以上のカルボン酸、
2価のカルボン酸、脂肪族グリコール、芳香族グリコー
ルを共重合すると共に架橋構造を3〜40%のゲル分率
で規定したものが、特開平1−105957号公報に開
示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭57−37
353号公報に開示された、2価のカルボン酸またはそ
の低級アルキルエステルおよび3価以上の多価カルボン
酸またはその酸無水物とビスフェノールA型骨格を有す
るグリコールを共重合したポリエステル樹脂は、耐オフ
セット性があり、ある程度低温定着性も有するトナーを
供給するものであるが、重合度を上げるためにはグリコ
ール成分の酸成分に対するモル比を小さくする必要があ
って、樹脂の酸価を下げることが難しいため、吸湿率が
大きく、耐ブロッキング性が不十分であるうえ、帯電安
定性などの電気的特性が低いなどの問題があり、また、
酸価を下げるためにグリコール成分の酸成分に対するモ
ル比を上げると、重合度が十分に上がらないため、ガラ
ス転移温度が低いものしか得られず、耐オフセット性や
耐ブロッキング性が不十分であるなどの問題があった。
また特開平1−105957号公報に開示された、3価
以上のカルボン酸、2価のカルボン酸、脂肪族グリコー
ル、芳香族グリコールを共重合し、ゲル分率が3〜40
%のポリエステル樹脂は、上記したような特開昭57−
37353号公報に開示されたポリエステル樹脂の問題
点を改善するもので、帯電安定性やオフセット性は向上
するものの、低温定着性が不十分であるだけでなく、微
粉砕が困難であるため、生産効率の点からも改良が望ま
れていた。さらに、特開平1−105957号公報記載
の実施例では、脂肪族ジオール成分の共重合量が全カル
ボン酸成分に対し、30当量%以上と多いために、吸湿
性が大きく、湿度の変化で帯電量が変動しやすい欠点が
あった。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は上
記した欠点を解消するため、鋭意検討した結果、3価以
上の多価カルボン酸と芳香族グリコールの量を限定し、
ガラス転移温度を50〜75℃の範囲に、酸価を2.0
mgKOH/g以下とし、かつゲル分率を3%未満にお
さえることで、耐オフセット性、耐ブロッキング性、低
温定着性をバランス良く備え、粉砕性が良好で、低吸湿
性で保存安定性に優れたトナーバインダー用ポリエステ
ル樹脂が得られることを見いだし本発明を完成するに至
った。
【0010】すなわち、特開昭57−37353号公報
では、もっぱら芳香族グリコールをグリコール成分とし
て使用するのに対して、本発明では、芳香族グリコール
の占める割合を全グリコール成分の80〜98モル%と
し、かつ酸価を2.0mgKOH/g以下におさえるこ
とで、低温定着性、耐ブロッキング性および帯電安定性
の向上をはかった。
【0011】さらに、特開平1−105957号公報記
載の実施例では、脂肪族ジオールの共重合量がジオール
成分に対して30等量%以上と多く、かつ、ゲル分率が
3〜40%であるのに対し、本発明では、芳香族グリコ
ールを全グリコール成分に対して80〜98モル%と
し、さらにゲル分率を3%未満とすることで、吸湿性を
おさえ、粉砕性と帯電安定性、低温定着性を兼ね備えた
トナーバインダー用ポリエステル樹脂を得た。
【0012】すなわち本発明は、ジカルボン酸またはそ
の低級アルキルエステル(A)と、3価以上の多価カル
ボン酸またはその酸無水物またはその低級アルキルエス
テル(B)からなるカルボン酸成分、および脂肪族グリ
コール(C)と、式(1)で表される芳香族グリコール
(D)からなるグリコール成分を縮重合して得られるポ
リエステルで、ジカルボン酸成分が全カルボン酸成分に
対して40〜70モル%、多価カルボン酸成分が全カル
ボン酸成分に対して30〜60モル%を占め、また、脂
肪族グリコール成分が全グリコール成分に対して2〜2
0モル%、芳香族グリコール成分が全グリコール成分に
対し80〜98モル%を占め、かつ、ガラス転移温度が
50〜75℃、酸価が2.0mgKOH/g以下、ゲル
分率が3%未満であることを特徴とするトナーバインダ
ー用ポリエステル樹脂である。
【0013】
【化2】 (式中のRは炭素数3以下のアルキレン基であり、x,
yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値
が2〜7である。)
【0014】本発明で使用されるジカルボン酸またはそ
の低級アルキルエステル(A)としては、分子量500
以下のジカルボン酸または炭素数5以下のアルコールと
のエステル化合物を使用することが出来る。例として
は、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン
酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、イ
タコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン
酸、またはこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチ
ル、ジエチルエステルなどがあり、特にテレフタル酸、
イソフタル酸およびこれらのジメチルエステルが好まし
い。中でも、もっぱらイソフタル酸またはジメチルイソ
フタル酸のみを使用した場合は、特に粉砕性が優れる。
また、定着性を向上させるために脂肪族系のアジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸、イソデシルコハク酸、
マレイン酸、フマール酸などを組み合わせて使用しても
よい。
【0015】本発明で使用される3価以上の多価カルボ
ン酸またはその酸無水物またはその低級アルキルエステ
ル(以下、多価カルボン酸類という)(B)は、分子量
300以下の3価以上の官能基を有するものが使用でき
る。例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸
(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボ
ン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,
2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサン
トリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル
−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレン
カルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテト
ラカルボン酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、および
これらの無水物、低級アルキルエステル化合物などが挙
げられ、特にトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリ
ット酸、またはこれらの無水物、メチルエステル化合
物、エチルエステル化合物が好ましい。
【0016】本発明のポリエステル樹脂のカルボン酸成
分は、ジカルボン酸成分が全カルボン酸成分に対して4
0〜70モル%、好ましくは50〜70モル%、特に好
ましくは60〜70モル%を、多価カルボン酸成分が全
カルボン酸成分に対して30〜60モル%、好ましくは
30〜50モル%、特に好ましくは30〜40モル%を
占める。多価カルボン酸類の占める割合が30モル%未
満である場合も、ある程度、耐オフセット性や低温定着
性や粉砕性の良いものが得られるが、粉砕性において不
十分な場合がある。一方、多価カルボン酸類の占める割
合が70モル%を越すと、重合のコントロールがきわめ
て困難となり、重合度をある程度上げると急激にゲル化
してガラス転移温度とゲル分率が共に高くなって、粉砕
性も低温定着性も悪くなる。ゲル化しない段階で重合を
止めるとガラス転移温度が低くなり、耐ブロッキング性
が不十分となる。
【0017】なお、本発明のポリエステル樹脂の特性を
損なわない限りにおいて、例えば安息香酸、ナフタレン
カルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メ
チル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン
酸、ドデカン酸、ステアリン酸、などのモノカルボン
酸、これらモノカルボン酸のアルキルエステルなどのモ
ノカルボン酸成分の1種以上を、また、n−ブタノー
ル、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサ
ノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−
エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノー
ル、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール等の1価
アルコールの1種以上の1官能性モノマーなどを添加す
ることができる。
【0018】本発明で使用される脂肪族グリコール
(C)としては、分子量500以下の直鎖状グリコール
やメチル基を側鎖に有する分枝グリコールが使用でき、
エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、分子量500以下のポリエチレングリ
コール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタ
ンジオール、ジプロピレングリコール、2−メチル−
1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコールな
どが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール
が好ましい。
【0019】本発明で用いられる式(1)で表わされる
芳香族グリコール(D)としては、ポリオキシプロピレ
ン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオ
キシプロピレン(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.
3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン(6.0)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチ
レン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ヒドロキ
シプロピレン−ヒドロキシエチレン−2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレ
ン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキ
シプロピレン(4.4)−ポリオキシエチレン(1.
2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン(3.6)−ポリオキシエチ
レン(1.8)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンなどが挙げられる。これらを単独もしくは
複数を組み合わせて用いる。この中でも、ポリオキシプ
ロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンを単独で用いるか、これとポリオキシ
エチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6.0)−
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポ
リオキシプロピレン(4.4)−ポリオキシエチレン
(1.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、ポリオキシプロピレン(3.6)−ポリオキ
シエチレン(1.8)−2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンなどを組み合わせて用いるのが好ま
しい。
【0020】本発明のポリエステル樹脂のグリコール成
分は、脂肪族グリコール成分が全グリコール成分に対し
て2〜20モル%、好ましくは5〜20モル%、特に好
ましくは10〜20モル%を、式(1)で表わされる芳
香族グリコール成分が全グリコール成分に対し80〜9
8モル%、好ましくは80〜95モル%、特に好ましく
は80〜90モル%を占める。芳香族グリコールの占め
る割合が80モル%未満では、求める粉砕性が得られな
いだけでなく、低吸湿性も得られない。また98モル%
を越すと、重合反応性が著しく低下するとともに、樹脂
の酸価を下げることが難しくなり、また、耐ブロッキン
グ性も不十分となる。
【0021】本発明のポリエステル樹脂は、上記のモノ
マーを縮重合して得られるが、ガラス転移温度が50〜
75℃、酸価が2.0mgKOH/g以下、ゲル分率が
3%未満という特性値を示すポリエステルであることが
重要である。
【0022】ガラス転移温度が50℃未満であると、低
温定着性は良好となるが、耐ブロッキング性が極めて悪
くなり、一方、75℃を越すと低温定着性が不良とな
る。したがってTgは50〜75℃である必要があり、
特に55〜70℃であることが好ましい。
【0023】酸価が2.0mgKOH/gを越すと吸湿
性が大きくなり、耐ブロッキング性が悪くなるととも
に、特に高湿度環境下では帯電安定性が低下し画質が悪
くなる現象がみられる。したがって酸価は2.0mgK
OH/g以下である必要がある。
【0024】ゲル分率が3%以上であると、耐オフセッ
ト性は向上するが、粉砕性が悪くなるだけでなく、低温
定着性の悪化も見られる。
【0025】本発明のポリエステル樹脂は、上記のよう
なグリコール成分とカルボン酸成分を、通常のポリエス
テル合成法、すなわち酸成分とグリコール成分をエステ
ル化反応、またはエステル交換反応せしめた後、低沸点
のグリコールを減圧下または窒素気流下常圧で系外へ除
去することによって重縮合を行う方法によって合成す
る。したがって、グリコール成分に由来する水酸基のモ
ル数を、カルボン酸成分に由来するカルボキシル基のモ
ル数で割った値は1.0以上であることが好ましい。こ
のエステル化またはエステル交換反応の時、必要に応じ
てチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸
亜鉛、酢酸マンガンなどの通常のエステル化触媒または
エステル交換触媒を、また重合に際しては、通常公知の
重合触媒、例えば、チタンブトキサイド、ジブチルスズ
オキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、3酸化アンチモン、
2酸化ゲルマニウムなどを使用することができる。
【0026】また、重合温度、触媒量については特に限
定されるものではなく、必要に応じて任意に設定すれば
よい。
【0027】本発明のガラス転移温度(Tg)は示差走
差熱量計を用いて、昇温速度10℃で測定したときのチ
ャートのベースラインとTg近傍の吸熱カーブの接線の
交点の温度をいう。
【0028】酸価は通常の滴定法によってKOH溶液で
中和滴定した際に、中和に要したKOHのmg数をい
う。
【0029】ゲル分率はサンプル1gをテトラヒドロフ
ラン100ml中にいれ、50℃で3時間加熱溶解し、
0.45μmのテフロンフィルターで濾過し、真空乾燥
機で60℃で十分に乾燥したときの重量を最初の重量で
割った値をいう。
【0030】次に、トナーバインダー用ポリエステル樹
脂に特有な試験方法について述べる。
【0031】(1)粉砕試験 通常の粉砕工程を終った樹脂をふるいにかけ、目開き1
mmの篩を通過し、目開き0.5mmの篩は通過しない
樹脂粉体を得る。上記の分級された樹脂粉体を10.0
0g精秤し、アイカ分析用粉砕器(柴田科学器械工業
製)にて60秒間粉砕後、目開き125μmのふるいに
かけ、通過しない樹脂の重量W(g)を精秤する。W
(g)の粉砕前の重量10.00gに対する割合を残存
率(%)で表し、残存率0〜30.0%を●、30.1
%〜40.0%を○、40.1〜50.0%を△、5
0.1〜100%を×と表示する。
【0032】(2)定着率の測定 ローラー温度、ローラー圧力を自由に変えることの出来
る熱ローラー方式の定着試験器を用いて、ローラー温度
160℃で簡易定着性試験を行った。簡易定着性試験を
行ったものの印字濃度を測定した後、スコッチメンディ
ングテープを貼った上から500gの荷重をかけて5往
復こすり、テープを剥した後の印字濃度を測定した。テ
ープを貼る前後の印字濃度の比を定着率(%)で示し
た。印字濃度は、反射濃度計を用いて測定した。
【0033】(3)ホットオフセット性試験 ローラー温度210℃で簡易定着性試験を行い、ホット
オフセット現象の発生の有無を確認した。ホットオフセ
ット現象が発生しない場合を○、発生した場合を×とし
て示した。
【0034】(4)耐ブロッキング性試験 粉末試料を容器内に充填し、50℃雰囲気下24時間放
置した後、容器をさかさまにしたときに、粒子が全く凝
集していない状態を○、凝集しているが、たたくと再分
散する状態を△、再分散しない状態を×とした。また、
同様の試験を、40℃、80%RHの高湿度条件下でも
行い、同様の評価を行った。
【0035】(5)吸湿性試験 40℃、80%RHで24時間放置した後、25℃、5
0%RHの環境下に2時間放置した試料の水分率をカー
ルフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製、MKC
−3P)で測定し、樹脂の吸湿率とした。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例について述べるが、本
発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0037】なお、実施例に示した重量平均分子量は、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に
よって測定した値から算出した。以下に述べるGPC条
件で測定したもので、その数値はポリスチレン換算のま
ま使用している。温度40℃で溶媒としてテトラヒドロ
フランを毎分1mlの流速で流し、試料濃度0.5wt
/vol%のテトラヒドロフランの試料溶液を0.2m
l注入して測定したものである。なお、カラムとして
は、市販のポリスチレンゲルカラムを複数本組み合わせ
て用いた。試料の分子量測定に当たっては、試料の有す
る分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料に
より作成された検量線の対数値とカウント数との関係か
ら算出した。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を
用いた。
【0038】実施例1 カルボン酸成分が、イソフタル酸70モル%と無水トリ
メリット酸30モル%からなり、グリコール成分が、エ
チレングリコール20モル%と、ポリオキシプロピレン
(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン80モル%からなるポリエステルが得られるよ
うに単量体重量を調整し、全単量体重量の0.3wt%
のジブチルスズオキサイドとともに、撹拌機と精留管を
備えた反応容器に仕込み、窒素気流下にてエステル化を
200〜240℃で3時間行った。次いで、減圧装置を
備えた反応容器に移し、反応温度190℃、1.5トー
ルの減圧下でグリコールを系外に除去しながら縮重合を
行い、トナーバインダー用ポリエステル樹脂を得た。な
お、ここではグリコール成分に由来する水酸基のモル数
を、カルボン酸成分に由来するカルボキシル基のモル数
で割った値(以下、この値をグリコールモル比という)
が1.6になるようにした。
【0039】ついで得られたポリエステル樹脂94重量
部にカーボンブラック5重量部、荷電制御剤1部を加
え、2軸押出機を用いて溶融混練し、冷却した後、サン
プルミルで粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕し、分級機
で分級して、粒径10〜15μmのトナーを得た。これ
に外添剤としてシリカを0.5wt%添加したものを用
いて一連の評価を行った。
【0040】上記の方法で得られたトナーバインダー用
ポリエステル樹脂およびトナーの評価結果を表2に示
す。
【0041】実施例2〜6および比較例1〜8 実施例1と基本的には同様の方法であるが、グリコール
モル比や、重合系の圧力や、重合温度を、適宜表1およ
び表3に示すように変更して、表1および表3に示す組
成のポリエステル樹脂を製造した。得られたトナーバイ
ンダー用ポリエステル樹脂およびトナーの評価結果を表
2、表4に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】表1、表2から明らかなように、3価以上
の多価カルボン酸を全カルボン酸成分に対し30〜60
モル%、芳香族グリコールを全グリコール成分に対し8
0〜98モル%含み、かつ、ガラス転移温度が50〜7
5℃、酸価が2.0mgKOH/g以下でゲル分率が3
%未満のものは、粉砕性、定着性に優れ、ホットオフセ
ットやブロッキングを起こすこともなく、バランスの取
れた物性を示す。
【0047】それに対し、表3、表4の比較例1および
比較例2のものは、芳香族グリコール成分の共重合量は
全グリコール成分中90モル%であるが、比較例1では
3価以上の多価カルボン酸の共重合量が全カルボン酸成
分中10モル%と低いため、粉砕性と耐ホットオフセッ
ト性が不十分である。また、比較例2では3価以上の多
価カルボン酸の共重合量が70モル%と高いため、ガラ
ス転移温度が低く、耐オフセット性や耐ブロッキング性
が悪い。また、比較例3のものは、脂肪族グリコール成
分が相対的に多く共重合されているため粉砕性が不十分
で、吸湿率が大きいため耐ブロッキング性も悪い結果と
なっている。比較例4および比較例5のものは、脂肪族
グリコールが共重合されていないため、グリコールモル
比が高い場合は重合度が上がらずガラス転移温度が低く
耐オフセット性や耐ブロッキング性が悪いし、グリコー
ルモル比が低い場合は酸価が高く吸湿性があり耐ブロッ
キング性が悪い。さらに比較例6〜8のものは樹脂の組
成は本発明に含まれるが、比較例6ではガラス転移温度
が低く、比較例7では酸価が高く、比較例8ではゲル分
率が高いため、それぞれ物性のバランスが不十分であ
る。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、粉砕性と低吸湿性にす
ぐれたトナーバインダー用ポリエステル樹脂を提供でき
る。
【0049】該樹脂をトナーバインダーとして用いるこ
とにより粉砕工程で粉砕性が良く、吸湿性が少ないこと
によって保存安定性、帯電安定性に優れたトナーバイン
ダーを提供することができる。
【0050】また、低温定着性、耐オフセット性を有
し、貯蔵安定性にも優れる。
【0051】従って本発明のポリエステル樹脂はトナー
バインダー用樹脂として有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジカルボン酸またはその低級アルキルエス
    テル(A)と、3価以上の多価カルボン酸またはその酸
    無水物またはその低級アルキルエステル(B)からなる
    カルボン酸成分、および脂肪族グリコール(C)と、式
    (1)で表される芳香族グリコール(D)からなるグリ
    コール成分を縮重合して得られるポリエステルで、ジカ
    ルボン酸成分が全カルボン酸成分に対して40〜70モ
    ル%、多価カルボン酸成分が全カルボン酸成分に対して
    30〜60モル%を占め、また、脂肪族グリコール成分
    が全グリコール成分に対して2〜20モル%、芳香族グ
    リコール成分が全グリコール成分に対して80〜98モ
    ル%を占め、かつ、ガラス転移温度が50〜75℃、酸
    価が2.0mgKOH/g以下、ゲル分率が3%未満で
    あることを特徴とするトナーバインダー用ポリエステル
    樹脂。 【化1】 (式中のRは炭素数3以下のアルキレン基であり、x,
    yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値
    が2〜7である。)
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