JPH0656974A - トナーバインダー用ポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

トナーバインダー用ポリエステル樹脂の製造方法

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JPH0656974A
JPH0656974A JP4213000A JP21300092A JPH0656974A JP H0656974 A JPH0656974 A JP H0656974A JP 4213000 A JP4213000 A JP 4213000A JP 21300092 A JP21300092 A JP 21300092A JP H0656974 A JPH0656974 A JP H0656974A
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acid
polyester resin
toner
reaction
resin
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JP4213000A
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Masahiro Akimoto
雅裕 秋元
Masayo Yamamoto
雅世 山本
Keijiro Yamada
慶次郎 山田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】A:3価以上の多価カルボン酸、その酸無水物
またはその低級エステル、および/または3価以上の多
価アルコール、5〜45モル%、B:2価カルボン酸ま
たはその低級エステル、45〜5モル%、C:次式の芳
香族ジオール、5〜49モル%、 (Rは炭素数3以下のアルキレン基であり、x,yはそ
れぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値が2〜
7である)、およびD:脂肪族ジオール、1〜45モル
%、をエステル化またはエステル交換反応させた後に、
150〜400mmHgの真空度で重縮合を行い架橋を
形成させてなるポリエステル樹脂の製法。 【効果】粉砕工程で粉砕性が良く、吸湿性が少ないこと
によって保存安定性、帯電安定性に優れ、耐オフセット
性、耐ブロッキング性をバランス良く備えたトナーバイ
ンダーを得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電記録
法、静電印刷法などにおいて静電価像の現像に用いる乾
式トナー用バインダーとして有用なポリエステル樹脂の
製造方法に関する。さらに詳しくは、耐オフセット性、
耐ブロッキング性、良好な粉砕性、低吸湿性をバランス
良く備えたトナーバインダー用ポリエステル樹脂の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】静電荷像により恒久的な顕像を得る方法
においては、光導電性感光体または静電記録体上に形成
された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナ
ーを用いて現像したのち定着される。定着は光導電性感
光体または静電記録体上に現像によって得られたトナー
像を直接融着させるか、紙やフィルム上にトナー像を転
写した後、これを転写シート上に融着させることによっ
て行われる。トナー像の融着は溶剤蒸気との接触、加圧
および加熱によって行われ、加熱方式には電気オーブン
による無接触加熱方式と加熱ローラーによる圧着加熱方
式があるが、定着工程の高速化が要請される最近では主
として後者が用いられている。
【0003】乾式現像方式で使用されるトナーには1成
分系トナーと2成分系トナーがある。2成分系トナー
は、先ずトナーバインダー用樹脂、着色剤、荷電制御剤
およびその他必要な添加剤を溶融混練して十分に分散し
た後、ついで粗粉砕、微粉砕し、所定の粒度範囲に分級
して製造される。1成分系トナーは上記の2成分系トナ
ーの各成分の他に磁性鉄分を添加して同様にして製造さ
れる。
【0004】トナーバインダー用樹脂はトナー配合中の
主成分であるため、トナーに要求される性能の大部分を
支配する。このためトナーバインダー用樹脂には、トナ
ーの製造においては溶融混練工程での着色剤の分散性、
粉砕工程での粉砕性の良いことなどが要求され、また、
トナーの使用においては定着性、オフセット性、ブロッ
キング性および電気的性質が良いこと、また保存中など
の環境変化によっても安定した品質を維持することなど
が要求される。
【0005】トナーの製造に用いられるトナーバインダ
ー用樹脂としてはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リスチレン樹脂、メタクリル系樹脂などが公知である
が、圧着加熱定着方式用には主としてスチレンと(メ
タ)アクリル酸エステルの共重合体が用いられてきた。
【0006】しかしより低温で定着が可能であることや
定着されたトナー像の耐塩ビ可塑剤性が優れること、透
明性に優れカラー化にも対応可能であることなどから、
最近ポリエステル樹脂が注目されている。
【0007】ポリエステル樹脂は、2価のカルボン酸お
よびその低級エステルとジオールを直接エステル化する
か、エステル交換による縮合反応により製造されるが、
トナーバインダー用ポリエステル樹脂においては、定着
工程における耐オフセット性を付与するため樹脂に架橋
構造をもたせ、耐ブロッキング性を良くするためにビス
フェノール骨格を有する芳香族ジオール成分を用いたポ
リエステル樹脂が提案されている(特開昭57−373
53号公報)。しかし3価以上のカルボン酸またはアル
コールを共縮合して得られるポリエステル樹脂は、適度
な架橋構造を有するまで縮合反応を進行させる必要があ
るが、この時反応系の粘度が急激に上昇するため、反応
の制御が困難である。そこで、特開平3−54574号
公報記載のごとく、240℃以上でエステル化反応また
はエステル交換反応を行い、次いで230℃以下の反応
温度を保ち、150mmHg以下の真空度で架橋状態を
形成させる際に、重合体の粘度に応じて反応系の圧力を
上昇させて実質的に架橋反応速度を制御することが提案
されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】トナーバインダー用ポ
リエステル樹脂では、3価以上の多価カルボン酸および
/または3価以上の多価アルコールを共縮合することに
よりトナーの耐オフセット性をすぐれたものとなし得る
反面、架橋を形成する縮合反応時に、架橋反応が急激に
進行するため、特開平3−54574号公報記載のごと
く、240℃以上でエステル化反応またはエステル交換
反応を行い、次いで230℃以下の反応温度を保ち、1
50mmHg以下の真空度で架橋状態を形成させる際
に、重合体の粘度に応じて反応系の圧力を上昇させて実
質的に架橋反応速度を制御する方法を用いてトナーバイ
ンダー用ポリエステル樹脂を製造した場合、重合体の粘
度の急上昇により、反応器からの取り出しが不可能とな
ったり、所望の架橋度の樹脂を得られないなどの問題点
があり、改良が望まれている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの問
題を解決すべく鋭意検討した結果、耐オフセット性と耐
ブロッキング性、良好な粉砕性、低吸湿性を両立したポ
リエステル樹脂を製造するためには、3価以上の多価カ
ルボン酸および/または3価以上の多価アルコールを共
縮合し、架橋構造を持たせることが必要であるが、架橋
の程度が低すぎても、高すぎても求める性能を持つポリ
エステル樹脂を得ることはできない。そこで、架橋反応
を制御する目的で150〜400mmHgの真空度で重
縮合を行い架橋を形成させる方法を見いだし本発明を完
成した。
【0010】本発明は、 A:3価以上の多価カルボン酸、その酸無水物またはそ
の低級エステル、および/または3価以上の多価アルコ
ール、5〜45モル%、 B:2価カルボン酸またはその低級エステル、45〜5
モル%、 C:式(1)で表される芳香族ジオール、5〜49モル
%、
【0011】
【化2】
【0012】(式中のRは炭素数3以下のアルキレン基
であり、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx
+yの平均値が2〜7である)、および、D:脂肪族ジ
オール、1〜45モル%、をエステル化またはエステル
交換反応させた後に、150〜400mmHgの真空度
で重縮合を行い架橋を形成させることを特徴とするトナ
ーバインダー用ポリエステル樹脂の製造方法である発明
からなる。
【0013】本発明で使用される3価以上の多価カルボ
ン酸としては、分子量300以下の3価以上の官能基を
有する多価カルボン酸またはその酸無水物およびその低
級エステルが使用できる。例としては、1,2,4−ベ
ンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5
−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレント
リカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、
1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカル
ボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパ
ン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,
7,8−オクタンテトラカルボン酸、トリメシン酸、ピ
ロメリット酸、およびこれらの無水物、低級アルキルエ
ステル体などが挙げられ、特にトリメリット酸、ピロメ
リット酸、およびこれらの無水物、メチルエステル体、
エチルエステル体が好ましい。また、本発明で使用され
る3価以上の多価アルコールとしては分子量1000以
下のヒドロキシル基3ないし9個を含有するポリヒドロ
キシ化合物が使用でき、例えば、グリセリン、2,5,
6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタ
エリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトー
ル、キシリトール、1,2,4−ブタントリオール、
1,2,5−ペンタントリオール、ポリオキシエチレン
(3)−1,3,5−ベンゼントリオール、ポリオキシ
エチレン(3)1,2,4−ベンゼントリオール、ポリ
オキシプロピレン(3)−1,3,5−ベンゼントリオ
ール、ポリオキシエチレン(3)−α,α’,α’’−
トリス(4ーヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリ
イソプロピルベンゼン、5,5’(1−メチルエチリデ
ン)ビス(2ーヒドロキシ−1,3−ベンゼンジメタノ
ール、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−1,
3−ベンゼンジメタノール)等が挙げられる。
【0014】また、これらの3価以上の多価カルボン酸
成分と多価アルコール成分とを併用してもよい。さら
に、上記の3価以上の多価カルボン酸および/または3
価以上の多価アルコール成分の使用量の全構成成分中に
占める比率は5〜45モル%であることが必要である。
5モル%未満ではトナー物性における耐オフセット性が
得られにくく、45モル%を越えると樹脂のガラス転移
温度が低くなり、耐ブロッキング性が不良となるだけで
なく、架橋反応のコントロールが困難になる。
【0015】さらに反応制御と耐オフセット性の点から
10〜30モル%が好ましい。
【0016】本発明で使用されるジカルボン酸およびそ
の低級エステルとしては、分子量500以下のジカルボ
ン酸および炭素数5以下のアルコールとのエステル体を
使用することができ、例として、フタル酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、セバシン酸、イソデシルこはく酸、
マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、グルタコン酸、
シクロヘキサンジカルボン酸、およびこれらのモノメチ
ル、モノエチル、ジメチル、ジエチルエステルなどがあ
り、特にテレフタル酸、イソフタル酸およびこれらのジ
メチルエステルが好ましい。また、定着性を向上させる
ために脂肪族系のアジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸、イソデシルこはく酸、マレイン酸、フマール酸など
を組み合わせて使用してもよい。
【0017】本発明で使用される芳香族ジオールは、前
記、式(1)で表される化合物が用いられ、例として
は、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレ
ン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキ
シプロピレン(6.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.
0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロ
ピレン(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、な
どが挙げられる。これらを、単独もしくは複数を組み合
わせて用いることが出来る。特に、ポリオキシエチレン
(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキ
シエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6.0)
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0018】また、全構成成分中に占める芳香族ジオー
ルの比率は、ポリエステル樹脂の性能に大きく影響し、
5〜49モル%である必要がある。本発明においては、
この比率が5モル%未満では、ポリエステル樹脂の粉砕
性が低くなるだけでなく、低吸湿性も得られない。反応
性の点も考慮すると、30モル%以上48モル%以下が
望ましい。
【0019】本発明で使用される脂肪族ジオールとして
は、分子量500以下の直鎖状グリコールが使用でき、
エチレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、分子量500以下の
ポリエチレングリコールなどが挙げられる。オキシメチ
レン鎖の伸長にともない、ガラス転移温度の低下による
ブロッキング性の悪化など不都合が生じるためエチレン
グリコール、ブタンジオールが特に好ましい。しかし、
不都合の生じない範囲において、これらを組み合わせて
使用することも可能である。
【0020】また、本発明のポリエステル樹脂の特性を
損なわない限りにおいて、側鎖を持つ脂肪族ジオール、
例えば、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブタ
ンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−シクロ
ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−
ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4
−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,
5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタン
ジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパン
ジオール、ピナコール、ジプロピレングリコール、2,
2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジ
メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2−
2プロピル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメ
チル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3
−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、2−
ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−
ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,
2−デカンジオール、水素化ビスフェノールA、ポリオ
キシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.
0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン(6.0)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロ
ピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポ
リオキシプロピレン(2.4)−2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン
(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールAF、な
どが挙げられる。また、1官能性モノマー、例えば、安
息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチ
ル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビ
フェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オク
タン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、などの
モノカルボン酸、これらモノカルボン酸のアルキルエス
テルなどのモノカルボン酸成分、n−ブタノール、イソ
ブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、
n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘ
キサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジ
ルアルコール、ドデシルアルコール等の1価アルコール
などを添加することができる。
【0021】次に、本発明のポリエステル樹脂の製造法
について述べる。
【0022】本発明では、通常公知のエステル化反応、
またはエステル交換反応によりビスヒドロキシ体を得る
ことが出来る。すなわち、カルボン酸成分つまり3価以
上の多価カルボン酸と2価のカルボン酸成分の合計量
と、アルコール成分つまり3価以上の多価アルコールと
芳香族ジオール、脂肪族ジオールの合計量とを混合し加
熱昇温することによりエステル化反応またはエステル交
換反応を行う。この時、前述した側鎖を有するジオー
ル、1価の単量体を添加することが可能である。このエ
ステル化またはエステル交換反応の時必要に応じて硫
酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢
酸マグネシウム、酢酸マンガンなどの通常のエステル化
触媒またはエステル交換触媒を使用することが出来る。
【0023】引続き重縮合反応を実施するが、この時、
本発明では、真空度を150〜400mmHgに保つこ
とが重要である。ポリエステル樹脂の重縮合反応では、
通常150mmHg以下の真空下でジオール成分を留出
除去させながら重合を行うが、本発明のごとく、ポリエ
ステル樹脂にトナーバインダー用樹脂としての耐オフセ
ット性を付与する目的で、3価以上の多価カルボン酸お
よび/または3価以上のアルコール成分を共重合して適
度の架橋構造を有するまで重縮合反応を進行させる必要
があるが、150mmHg以下の高真空下では、架橋が
急激に進行するために、重合体の粘度が急激に上昇し、
重合体の反応装置からの取り出しが不可能になったり、
反応を制御できないため所望の樹脂を得ることが出来な
い等の問題を生じる。また、常圧で窒素気流下にジオー
ル成分を留出除去しながら重縮合反応を行う場合もある
が、本発明のごとく、ポリエステル樹脂にトナーバイン
ダー用樹脂としての耐ブロッキング性を付与する目的で
芳香族ジオールを共重合する場合には、常圧では重縮合
反応が進行せず、ポリエステル樹脂のガラス転移温度
が、所望する温度まで上昇しない等の問題が生じる。そ
こで、本発明における、重縮合反応過程の真空度は、1
50〜400mmHgに保つ必要がある。重縮合反応の
時間と、架橋のコントロールのしやすさのバランスから
真空度を200〜350mmHgに保つのがより好まし
い。
【0024】本発明の製造法によって得られるポリエス
テル樹脂のガラス転移温度はが50〜80℃を示すこと
が好ましい。ガラス転移温度が50℃未満であると定着
性は良好となるが、ブロッキング性が極めて悪くなり、
一方80℃以上であると定着性が不良となる。したがっ
てガラス転移温度は50〜80℃が好ましい。
【0025】本発明において重量平均分子量はゲルパー
ミエーションクロマトグラフィーによって測定した値か
ら算出した。一般に架橋した樹脂のGPCによる分子量
測定は意味が無いと言われているが、本発明の樹脂の場
合は架橋度も低く、同一条件下のGPCでは、再現性あ
るクロマトグラムが得られる。また本発明でいう重量平
均分子量は、以下に述べるGPC条件で測定したもので
あり、その数値はポリスチレン換算のまま使用してい
る。
【0026】測定条件は、温度40℃で溶媒としてテト
ラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、試料濃度
0.5wt/vol%のテトラヒドロフランの試料溶液
を0.2ml注入して測定する。なお、カラムとして
は、1000〜200000の分子量領域を適確に測定
するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数本組
み合わせて用いるのが好ましい。例えば、waters
社製のμ−styragel 1000、10000、
100000の組合せや昭和電工社製のshodex
A、803、804、805の組合せが良い。試料の分
子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を、数
種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量
線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線
作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、東ソ
ー社製の分子量が600、2100、4000、175
00、51000、110000、390000のもの
を用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料
を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折
率)検出器を用いる。
【0027】本発明のガラス転移温度は示差走差熱量計
を用いて、昇温速度10℃で測定したときのチャートの
ベースラインとガラス転移温度近傍の吸熱カーブの接線
の交点の温度をいう。
【0028】次に、トナーバインダー用ポリエステル樹
脂に特有な試験方法について述べる。
【0029】(1)粉砕試験 通常の粉砕工程を終った樹脂をふるいにかけ、16メッ
シュを通過し、20メッシュは通過しない樹脂粉体を得
る。上記の分級された樹脂粉体を10.00g精秤し、
アイカ分析用粉砕器(柴田科学器械工業製)にて60秒
間粉砕後、150μmのふるいにかけ、通過しない樹脂
の重量W(g)を精秤する。W(g)の粉砕前の重量1
0.00gに対する割合を残存率(%)で表し、残存率
0〜30.0%を○、30.1〜45.0%を△、4
5.1〜100%を×と表示する。
【0030】(2)簡易定着性試験 ローラー温度、ローラー圧力を自由に変えることの出来
る熱ローラー方式の定着試験器を用いて、ローラー温度
160℃と200℃での簡易定着性試験を行った。16
0℃でコールドオフセット現象の発生の有無、200℃
でのホットオフセット現象の発生の有無を確認した。な
お、それぞれの現象が発生しない場合を○、発生した場
合を×として示した。
【0031】(3)ブロッキング性試験 粉末試料を容器内に充填し、50℃雰囲気下24時間放
置した後、容器をさかさまにしたときに、粒子が全く凝
集していない状態を○、凝集しているがたたくと再分散
する状態を△、再分散しない状態を×とした。
【0032】
【実施例】以下、実施例および比較例としてトナーバイ
ンダー樹脂の製造例を述べるが、本発明はこれらの例に
限定されるものではない。
【0033】なお、実施例と比較例中の(%)は、すべ
てモル基準である。
【0034】実施例1、2、比較例1〜4のポリエステ
ル樹脂は以下のようにして製造した。
【0035】3価以上のカルボン酸または、多価アルコ
ール、2価カルボン酸、芳香族ジオールおよび脂肪族ジ
オールより選ばれた単量体を表1の組成になるように調
整し、触媒として、全単量体重量の0.5wt%のジブ
チルすずオキサイドとともに、ガラス製2lのセパラブ
ルフラスコに入れ、温度計、ステンレス撹拌棒、流下式
コンデンサーおよび窒素導入管を取り付け、マントルヒ
ーター中で窒素気流下にてエステル化反応を200℃の
条件で4時間行った。
【0036】エステル化反応せしめた後、反応温度を2
30℃に上昇させ、所定の真空度でグリコールを系外に
除去しながら重縮合反応を行い、本発明のトナーバイン
ダー用ポリエステル樹脂を得た。
【0037】ついで得られたポリエステル樹脂94重量
部にカーボンブラック5重量部、荷電制御剤1重量部を
加え、2軸押出機を用いて混練し、冷却した後、ジェッ
トミルで粉砕し、分級機で分級して粒径10〜15μm
のトナーを得た。これに外添剤としてシリカを0.5w
t%添加したものを用いて一連の評価を行った。
【0038】上記の方法で得られたトナーバインダー用
ポリエステル樹脂およびトナーの評価結果を表2に示
す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】表1、表2から明らかなように、Aで示す
組成のものは、重合時真空度が300mmHgの場合
(実施例1)は、重合時間2.5時間でトナーバインダ
ー用ポリエステル樹脂として良好な物性を示すものが得
られたが、重合時の真空度が150mmHg未満の場合
(比較例1、2)は、急激に増粘が起こり、ゲル化によ
り反応器からの取り出しが不可能となった。また、常圧
で重合反応を行う(比較例3)と、10時間以上反応を
行っても、所定の撹拌トルクまで上昇せず、ポリエステ
ル樹脂の着色がみられたため、反応を中止した。
【0042】また、3価以上の単量体としてトリメチロ
ールプロパンを用いた組成Bを30mmHgの真空度で
重合を行う(実施例2)と、実施例1と同様に3時間の
反応で、トナーバインダー用ポリエステル樹脂として良
好な物性を持つものが得られた。一方、ジオールとして
脂肪族ジオールのみを用いた組成Cでは、常圧で反応が
進行したが、得られたポリエステル樹脂は、Tgがやや
低く、ブロッキングを起こすだけでなく、耐オフセット
性、粉砕性ともに不十分であった。さらに、3価以上の
多価単量体を用いない組成Dでは、30mmHgの高真
空での反応が可能であったが、得られたポリエステル樹
脂は、粉砕性が不十分で、これから製造したトナーは、
オフセット現象が生じた。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、耐オフセット性、耐ブ
ロッキング性が良好でかつ粉砕性と低吸湿性をバランス
良く備えたトナーバインダー用ポリエステル樹脂を安定
に製造できる。
【0044】本発明の製造方法により得られた樹脂をト
ナーバインダーとして用いることにより粉砕工程で粉砕
性が良く、吸湿性が少ないことによって保存安定性、帯
電安定性に優れ、耐オフセット性、耐ブロッキング性を
バランス良く備えたトナーバインダーを提供することが
出来る。
【0045】従って本発明の製造方法によって得られた
ポリエステル樹脂はトナーバインダー用樹脂として有用
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A:3価以上の多価カルボン酸、その酸無
    水物またはその低級エステル、および/または3価以上
    の多価アルコール、5〜45モル%、 B:2価カルボン酸またはその低級エステル、45〜5
    モル%、 C:式(1)で表される芳香族ジオール、5〜49モル
    %、 【化1】 (式中のRは炭素数3以下のアルキレン基であり、x,
    yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値
    が2〜7である)、および D:脂肪族ジオール、1〜45モル%、 をエステル化またはエステル交換反応させた後に、15
    0〜400mmHgの真空度で重縮合を行い架橋を形成
    させることを特徴とするトナーバインダー用ポリエステ
    ル樹脂の製造方法。
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