JP2017223944A - トナー用樹脂及びトナー - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性と光沢性及び耐ホットオフセット性を両立しつつ、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性に優れたトナー用樹脂及びトナーを提供する。【解決手段】アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性樹脂(A)を含有するトナー用樹脂であって、カルボン酸成分(y)がポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)を含み、トナー用樹脂が30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温、10℃/分の条件で0℃まで冷却、10℃/分の条件で180℃まで昇温した際の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に吸熱ピークを有し、ピークトップの温度Tpが40℃〜100℃であるトナー用樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像又は磁気潜像の現像に用いられるトナー用樹脂及びトナーに関する。
近年、電子写真装置の小型化、高速化、高画質化の促進とともに、定着工程における消費エネルギーを低減するという省エネルギーの観点から、トナーの低温定着性の向上が強く求められている。
トナーの定着温度を低くする手段として、結着樹脂のガラス転移点を低くする技術が一般的に使用されている。
しかしながら、ガラス転移点を低くし過ぎると、耐ホットオフセット性が低下し、また粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなることからトナーの保存性が低下するため、ガラス転移点の下限は実用上50℃である。このガラス転移点は、結着樹脂の設計ポイントであり、ガラス転移点を下げる方法では、更に低温定着可能なトナーを得ることはできない。
その中で、低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れた、ポリエステル系トナー用樹脂を含有するトナー組成物が知られている(特許文献1及び2参照)。しかし、近年、保存安定性や、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅)の要望がますます高まっており、なお不充分である。
その他の方法として結着樹脂に非晶性樹脂と結晶性樹脂を併用することで、結晶性樹脂の溶融特性から、トナーの低温定着性や光沢性が向上することが知られている。
しかしながら、結晶性樹脂の含有量を増やすと樹脂強度が低下する場合があり、また溶融混練時に結晶性樹脂と結着樹脂の相溶化により結晶性樹脂が非晶化し、その結果、トナーのガラス転移点が低下することで前述と同様の課題が生じる。
これに対し、溶融混練工程後に加熱処理を行い結晶性樹脂の結晶性を再現させる方法や(特許文献3)、使用するモノマー成分を変える方法(特許文献4及び5)等が提案されている。
かかる方法ではトナーの低温定着性及び光沢性は確保できるが、耐ホットオフセット性やトナーの流動性、高温保存時の安定性である耐熱保存性が不充分であり、また帯電安定性や粉砕する際の粉砕性が低下する問題もある。
溶融懸濁法や乳化凝集法を用いて得られたシェル層で被覆する方法等も提案されているが(特許文献6〜9)、結晶性樹脂がコアの結着樹脂と相溶化し、短時間では結晶の再析出が不充分なことから定着後の画像強度及び耐折り曲げ性が未だ不充分である。
特開2005−77930号公報 特開2012−98719号公報 特開2005−308995号公報 特開2012−8371号公報 特開2007−292816号公報 特開2011−197193号公報 特開2011−197192号公報 特開2011−186053号公報 特開2006−251564号公報
本発明は、低温定着性と光沢性及び耐ホットオフセット性を両立しつつ、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性に優れたトナー用樹脂及びトナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの問題点を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性樹脂(A)を含有するトナー用樹脂であって、カルボン酸成分(y)がポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)を含み、トナー用樹脂が30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温、10℃/分の条件で0℃まで冷却、10℃/分の条件で180℃まで昇温した際の示差走査熱量計(DSC)によるチャートで結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを40℃〜100℃の範囲に少なくとも1個有するトナー用樹脂である。
本発明により、低温定着性と光沢性及び耐ホットオフセット性を両立しつつ、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性に優れたトナー用樹脂及びトナーを提供することが可能になった。
以下、本発明を詳述する。
本発明のトナー用樹脂は、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性樹脂(A)を含有するトナー用樹脂であって、カルボン酸成分(y)がポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)を含み、トナー用樹脂が30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温、10℃/分の条件で0℃まで冷却、10℃/分の条件で180℃まで昇温した際の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に吸熱ピークを有し、ピークトップの温度Tpが40℃〜100℃であるトナー用樹脂である。
本発明のトナー用樹脂は、結晶性樹脂(A)を含有する。そして、後で詳述するが、本発明のトナー用樹脂を一定の条件で昇温、冷却、昇温した際に、示差走査熱量計(DSC)により測定すると吸熱ピークが示される。
トナー用樹脂の吸熱ピークトップ温度(Tp)は、示差走査熱量計(DSC)により以下の方法で測定した。
装置:Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
測定温度の昇温、冷却、昇温のパターンは以下の通り:
(1)30℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温
(2)180℃で10分間保持後、0℃まで降温速度10℃/分で冷却
(3)0℃で10分間保持後、180℃まで昇温速度10℃/分で再び昇温
樹脂約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、一回測定を行った。リファレンスとしてはアルミ製の空パンを用いた。そのときの、(3)の昇温過程(第2回目の昇温過程)の結晶性樹脂(A)の吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度を、吸熱ピークトップを示す温度Tpとした。結晶性樹脂(A)の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、それらの中で最も高い吸熱ピークトップを示す温度をTpとした。
本発明に使用する結晶性樹脂(A)は、結晶性を示し、そのTpが前述の範囲にあれば特に限定されない。
なお、本発明における「結晶性」とは前述のDSC測定の第1回目の昇温過程において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、吸熱量の極値を持つようなピークのことをいう。
トナーの流動性、耐熱保存性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性の観点からTpは40℃以上であり、低温定着性及び光沢性の観点から100℃以下である。
Tp(℃)の範囲は40〜100℃、好ましくは45〜95℃、更に好ましくは50〜90℃である。
なお、吸熱ピークトップを示す温度とは、吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度のことを指す。
そして、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、少なくとも1つの吸熱ピークの吸熱ピークトップを示す温度がこの範囲にあればよい。
結晶性樹脂(A)はアルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料として、カルボン酸成分(y)がポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)を含むカルボン酸成分であれば特にその化学構造は限定されない。
結晶性樹脂(A)は、アルコール成分(x)と、ポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するカルボン酸成分(y)とを構成原料とする樹脂であり、結晶性ポリエステル樹脂(a11)、結晶性ポリウレタン樹脂(a12)、結晶性ポリウレア樹脂(a13)、結晶性ポリアミド樹脂(a14)、結晶性ポリビニル樹脂(a15)等が挙げられる。これらのうち、結晶性ポリエステル樹脂(a11)が好ましい。なお、これらの結晶性樹脂(A)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アルコール成分(x)と、ポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)とを構成原料として含む結晶性ポリエステル樹脂(a11)について説明する。
アルコール成分(x)にはジオール成分(x1)、3価以上のアルコール成分(x2)が挙げられる。
ジオール成分(x1)のジオールとしては、脂肪族ジオール、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、「ブチレンオキサイド」をBOと略記する)等〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオール等);ポリブタジエンジオール等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
これらのジオールの中で、結晶性の観点から、好ましくは脂肪族ジオールであり、更に好ましくは炭素数2〜36個の脂肪族ジオールであり、特に好ましくは炭素数2〜20個の脂肪族ジオールであり、最も好ましくは炭素数2〜20個の分岐型脂肪族ジオールである。
直鎖型脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等の炭素数2〜20のアルキレングリコールが挙げられる。これらのうち、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。
結晶性の観点から直鎖型脂肪族ジオールの含有率が、使用するジオール成分(x1)中の80モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは90モル%以上である。
3価以上のアルコール成分(x2)として、3価以上のポリオール、具体的には、3〜8価又はそれ以上の価数のポリオールが挙げられる。
3〜8価又はそれ以上の価数のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びポリグリセリン;糖類及びその誘導体、例えばショ糖、及びメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等];等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物であり、更に好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物である。
結晶性ポリエステル樹脂(a11)は、前記ジオール成分(x1)に加え、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、スルファミン酸(塩)基及びリン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するジオール(x1’)を構成単位としてもよい。
これらの官能基を有するジオール(x1’)を構成単位とすることにより、トナーの帯電性、耐熱保存安定性が向上する。
なお、本発明における「酸(塩)」は、酸又は酸塩を意味する。
ジオール成分(x1)と、官能基を有するジオール(x1’)と、カルボン酸成分(y)とを原料として反応して得られるポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂(a11)として好ましい。官能基を有するジオール(x1’)は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボン酸(塩)基を有するジオール(x1’)としては、酒石酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(塩)及び3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロパン酸(塩)等が挙げられる。
スルホン酸(塩)基を有するジオール(x1’)としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エタンスルホン酸(塩)、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸(塩)及び5−スルホ−イソフタル酸−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)エステル(塩)等が挙げられる。
スルファミン酸(塩)基を有するジオール(x1’)としては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(4−ヒドロキシブチル)スルファミン酸(塩)及びN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)等が挙げられる。
リン酸(塩)基を有するジオール(x1’)としては、ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート(塩)等が挙げられる。
酸塩を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルエタノールアミン塩、N−エチルエタノールアミン塩、N,N−ジメチルエタノールアミン塩、N,N−ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
官能基を有するジオール(x1’)のうち、トナーの帯電性及び耐熱保存安定性の観点から好ましいのは、カルボン酸(塩)基を有するジオール(x1’)及びスルホン酸(塩)基を有するジオール(x1’)である。
カルボン酸成分(y)としてはポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)等が挙げられる。
アルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)を構成成分とすることが必須であり、これらの成分が結晶樹脂(A)の末端に導入されることでトナーの流動性、耐熱保存性が良好となる。
またアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)として2種以上を含むことでトナー定着後の画像強度、ドキュメントオフセット性が良好となり好ましい。
具体的なモノカルボン酸(y1)としてはヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸及びウンデカン酸が挙げられる。
これらの中ではヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸が好ましい。
なお、結晶性樹脂(A)の物性に影響のない範囲で、アルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)以外のモノカルボン酸を使用することができる。
ポリカルボン酸(y2)としては2価のポリカルボン酸及び3価以上のカルボン酸が挙げられる。
2価のポリカルボン酸としては、炭素数(カルボニル基の炭素を含める)2〜50のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸等のドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等);炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)等〕;炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等)等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
3価以上のカルボン酸成分としては、3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸が挙げられる。3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸として、例えば、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[数平均分子量(Mn):450〜10,000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、及びスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる。
これらポリカルボン酸(y2)の中では、結晶性の観点から好ましくはアルカンジカルボン酸及びアルケンジカルボン酸であり、更に好ましくは炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸及び炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸であり、特に好ましくは直鎖型のジカルボン酸である炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸及び炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸であり、最も好ましくはアジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸である。
また、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、及びこれらの低級アルキルエステル類)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としてはカルボン酸成分(y)の重量に対して20モル%以下が好ましい。
カルボン酸成分(y)の合計重量に対してモノカルボン酸(y1)の含有量は0.01重量%以上であると低温定着性の観点から好ましく、3重量%以下であると臭気の観点から好ましい。更に好ましくは0.05〜2.5重量%、特に好ましくは0.1〜2.0重量%である。
次に、アルコール成分(x)と、ポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸成分(y1)とを構成原料として含む結晶性ポリウレタン樹脂(a12)について説明する。
結晶性ポリウレタン樹脂(a12)としては、前記の結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジイソシアネート(v2)を構成単位とするもの、及び前記の結晶性ポリエステル樹脂(a11)と前記ジオール成分(x)とジイソシアネート(v2)を構成単位とするもの等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン樹脂(a12)は、結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジオール成分(x1)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジオール成分(x1)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
また、前記ジオール成分(x1)に加え、前記の官能基を有するジオール(x1’)を構成単位とすることにより、トナーの帯電性、耐熱保存安定性が向上する。
結晶性ポリウレタン樹脂(a12)の構成原料であるジイソシアネート(v2)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下同様。)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
炭素数6〜20の芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジアミノフェニルメタンジイソシアネート(粗製MDI)等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネート及び炭素数3〜18の環状脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
炭素数3〜18の環状脂肪族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及び/又はオキサゾリドン基を含有する変性物等が用いられ、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI及びこれらの混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との混合物]等が挙げられる。
これらのジイソシアネート(v2)のうちで好ましいのは、炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂肪族ジイソシアネートであり、更に好ましいのはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
次に、アルコール成分(x)と、ポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性ポリウレア樹脂(a13)について説明する。
結晶性ポリウレア樹脂(a13)としては、前記結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジアミン(z)とジイソシアネート(v2)を構成原料とするもの等が挙げられる。このような結晶性ポリウレア樹脂(a13)は、結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジアミン(z)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
ジアミン(z)としては、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン及び炭素数6〜20の芳香族ジアミン等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族ジアミン及び環状脂肪族ジアミン等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジアミンとしては、炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)及びポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン[ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等]等が挙げられる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ジアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ジアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
炭素数6〜20の芳香族ジアミンとしては、非置換芳香族ジアミン、アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミン等が挙げられる。
非置換芳香族ジアミンとしては、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、ナフチレンジアミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミンとしては、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン及びこれらの混合物等が挙げられる。
ジイソシアネート(v2)として好ましいものとしては、炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂肪族ジイソシアネートであり、更に好ましいのはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
次に、アルコール成分(x)と、ポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸成分(y1)とを構成原料として含む結晶性ポリアミド樹脂(a14)について説明する。
結晶性ポリアミド樹脂(a14)としては、前記結晶性ポリエステル樹脂(a11)と、前記ジアミン(z)と、前記カルボン酸成分(y)を構成原料とするもの等が挙げられる。このような結晶性ポリアミド樹脂(a14)は、結晶性ポリエステル樹脂(a11)と、上記ジアミン(z)と、カルボン酸成分(y)とを反応させることにより得ることができる。
次に、アルコール成分(x)と、ポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸成分(y1)とを構成原料として含む結晶性ポリビニル樹脂(a15)について説明する。
結晶性ポリビニル樹脂(a15)としては、アルコール成分(x)と、ポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸成分(y1)とのエステルを単独重合又は共重合した重合体が挙げられる。
本発明のトナーバインダーは、前記アルコール成分(x)と前記カルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性樹脂(A)以外の結晶性樹脂(A’)を含有しても良い。結晶性樹脂(A’)としては、結晶性樹脂であればその構成原料は限定されない。
結晶性樹脂(A’)としては、下記の結晶性ポリエステル樹脂(a’11)、結晶性ポリウレタン樹脂(a’12)、結晶性ポリウレア樹脂(a’13)、結晶性ポリアミド樹脂(a’14)、及び結晶性ポリビニル樹脂(a’15)等が挙げられる。またこれらの結晶性樹脂は併用しても構わないし、これらの結晶性樹脂を含む樹脂を共重合した結晶性樹脂であっても構わない。
結晶性ポリエステル樹脂(a’11)は、アルコール成分(x)と、ポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が11以上であるアルキル基を有するモノカルボン酸を含むカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性ポリエステル樹脂である。
結晶性ポリエステル樹脂(a’11)を構成するカルボン酸成分(y)としては、ポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が11以上であるアルキル基を有するモノカルボン酸を用いることができ、アルコール成分(x’)としては、結晶性ポリエステル樹脂(a11)と同じものを用いることができる。
結晶性ポリウレタン樹脂(a’12)としては、前記のアルコール成分(x)と前記ジイソシアネート(v2)とを構成原料とする結晶性ポリウレタン樹脂、及び前記結晶性ポリエステル(a’11)と前記アルコール成分(x)と前記ジイソシアネート(v2)を構成原料とするもの等が挙げられる。
結晶性ポリウレア(a’13)としては、前記アルコール成分(x)と前記ジアミン(z)と前記ジイソシアネート(v2)を構成原料とするもの、及び前記結晶性ポリエステル(a’11)と前記ジアミン(z)と前記ジイソシアネート(v2)を構成原料とするもの等が挙げられる。
結晶性ポリアミド(a’14)は、前記アルコール成分(x)と前記ジアミン(z)と前記ジカルボン酸(y1)とを構成原料とするもの、及び前記結晶性ポリエステル(a’11)と前記ジアミン(z)と前記ジカルボン酸(y1)とを構成原料とするもの等が挙げられる。
本発明のトナー用樹脂は、同一のトナー用樹脂について2回の示差走査熱量測定を連続して行った場合に、1回目の測定で得られるDSC曲線の吸熱ピーク面積Sと、2回目の測定で得られるDSC曲線の吸熱ピーク面積Sとが下記の関係式(1)を満たすことが好ましい。
35≦(S/S)×100≦100 (1)
[但し、トナー用樹脂を30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温した際のDSC曲線から得られる吸熱ピーク温度を第1回目の測定で得られる結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積S、1回目の昇温を終えた後、10℃/分の条件で0℃まで冷却して再び30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温した際のDSC曲線から得られる吸熱ピーク温度を2回目の測定で得られる結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積Sとする。]
関係式(1)を満たすためには、結晶性樹脂(A)と後記するポリエステル樹脂(B)とのΔSP値や、それぞれの分子量、酸価、水酸基価を調整することで設計が可能である。
結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、S、S共にそれらを合算した面積で計算する。
また結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが結晶性樹脂(A)由来ではない吸熱ピークと重なる場合は、各々のピークに分解して結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積を求める。なお、トナー用樹脂に更に配合する原料のうち、ワックス等の結晶性の原料は吸熱ピークを発現する場合がある。
吸熱ピーク面積は、ピークの谷の箇所にてベースラインに対して垂直に線を引いて分割し、その分割線によって分けられた面積を用いて計算する。
なお、ピークが特定できれば、トナー用樹脂ではなくトナーでDSCを測定しても差し支えない。
関係式(1)の範囲はトナーの低温定着性、流動性、耐熱保存性、粉砕性及び定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点から、より好ましくは40〜99、更に好ましくは50〜98である。
第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積S(J/g)は好ましくは1〜30J/g、より好ましくは2〜25J/g、更に好ましくは3〜20J/gである。低温定着性及び光沢性の観点から、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積Sは1J/g以上が好ましく、耐ホットメルト性の観点から30J/g以下が好ましい。昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積Sは、前記DSCにより測定される。
本発明のトナー用樹脂は、結晶性樹脂(A)を除く、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とする非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有することが耐ホットオフセット性、帯電性、定着画像の熱安定性の観点から好ましい。
本発明において、非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点Tg(℃)と、非晶性ポリエステル樹脂(B)及び結晶性樹脂(A)を含有するトナー用樹脂のうちの樹脂(B)由来のガラス転移点Tg(℃)とが下記の関係式(2)を満たすことが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂(B)に結晶性樹脂(A)を加えた混合物は、好ましくは本発明のトナー用樹脂である。
0≦Tg−Tg≦15 (2)
非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)を混合する方法は特に規定されず、例えば、非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)を溶融混練機で混合する方法、溶剤等で溶解させて混合しその後に溶剤を除去する方法、非晶性ポリエステル樹脂(B)の製造時に結晶性樹脂(A)を混合する方法等がある。混合する温度は樹脂粘度の観点から100〜200℃が好ましく、110〜190℃が更に好ましい。
本発明のトナー用樹脂は、例えば、上記のように結晶性樹脂(A)と非晶性ポリエステル樹脂(B)とを混合することにより得ることができる。
関係式(2)の範囲はトナーの流動性、耐熱保存性、粉砕性、定着後の画像強度の観点からより好ましくは0〜12、更に好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5、最も好ましくは0〜3である。
関係式(2)の上限が小さいほど、結晶性樹脂(A)が再結晶化し、Tg低下が生じ難いことを意味する。
本発明のトナー用樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)との重量比(B)/(A)が、トナーの流動性、耐熱保存性、粉砕性、定着後の画像強度、低温定着性及び光沢性の観点から、好ましくは50/50〜95/5、より好ましくは60/40〜92/8、更に好ましくは70/30〜90/10である。
本発明においては、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)が、非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点Tg+30(℃)以下である場合には、トナー用樹脂をTg+30(℃)に加熱した場合において、Tpが(Tg+30)を超える場合にはトナー用樹脂をTp(℃)に加熱した場合において、トナー用樹脂の全体又は一部分に濁りがあることが好ましい。本発明においては、上記温度においてトナー用樹脂の一部に濁りがあることが更に好ましい。
前述の方法で非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)を混合した混合物を、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)が、非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点Tg+30(℃)以下である場合には、トナー用樹脂をTg+30(℃)に加熱した場合において、Tpが(Tg+30)を超える場合にはトナー用樹脂をTp(℃)に加熱した場合において、目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあることが好ましい。濁りがあると結晶性樹脂(A)が非晶性ポリエステル樹脂(B)に完全に相溶化していないことを意味し、冷却した際に結晶性樹脂(A)が再結晶し易くなることから好ましい。
なお、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、それらの中で最も高い吸熱ピークトップを示す温度をこの場合のTpとする。
結晶性樹脂(A)は、少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有するものが耐熱保存性、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。本明細書中、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)を、単にセグメント(a1)ともいう。非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)を、単にセグメント(a2)ともいう。
本発明において非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶しないとは、非晶性ポリエステル樹脂(B)と各セグメントを構成する化合物とを混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあることをいう。一方、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶するとは、混合物全体に濁りがないことをいう。
また、結晶性セグメント(a1)とは上記に説明した、結晶性ポリエステル樹脂(a11)、結晶性ポリウレタン樹脂(a12)、結晶性ポリウレア樹脂(a13)、結晶性ポリアミド樹脂(a14)、結晶性ポリビニル樹脂(a15)等から、後記するセグメント(a2)を除いたものである。
非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と共に結晶性樹脂(A)に含まれるセグメント(a2)としては、非晶性ポリエステル樹脂(B)に相溶しない化合物から構成される構造であれば特に限定しない。非晶性ポリエステル樹脂(B)に相溶しない化合物として、例えば、長鎖アルキルモノアルコール(好ましくは炭素数18〜42)、長鎖アルキルモノカルボン酸(好ましくは炭素数18〜42)、ブタジエンのアルコール変性体、ジメチルシロキサンのアルコール変性体等が挙げられ、好ましくは炭素数18〜42の長鎖アルキルモノアルコール、炭素数18〜42の長鎖アルキルモノカルボン酸等である。セグメント(a2)としては、このような化合物から構成される構造が好ましい。炭素数18〜42の長鎖アルキルモノアルコールとして、例えば、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール等が好ましい。
結晶性樹脂(A)は、前述の通り、少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、非晶性ポリエステル樹脂(B)に相溶する結晶性セグメント(a1)と相溶しないセグメント(a2)とを有することが好ましい。
その際に、非晶性ポリエステル樹脂(B)の溶解性パラメーターをSP、セグメント(a1)の溶解性パラメーターをSPa1、セグメント(a2)の溶解性パラメーターをSPa2とすると、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たすことが、関係式(3)については非晶性ポリエステル樹脂(B)とセグメント(a1)の相溶性の観点から、関係式(4)については非晶性ポリエステル樹脂(B)とセグメント(a2)の相溶性の観点から好ましい。
|SPa1−SP|≦1.9 (3)
|SPa2−SP|≧1.9 (4)
上記式中、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPは非晶性ポリエステル樹脂(B)のSP値を表す。
セグメント(a1)及びセグメント(a2)のSP値は、各セグメントを構成する化合物のSP値である。
関係式(3)の左辺の値は、更に好ましくは0.1〜1.8である。
同様に、関係式(4)の左辺の下限は、更に好ましくは2.0以上であり、その上限は、好ましく4.0以下が好ましく、3.5以下がより好ましい。
関係式(3)及び(4)を両方満たすことにより、結晶性樹脂(A)による加熱時の可塑化と冷却時の再結晶が起こりやすくなり、低温定着性、光沢性、トナーの流動性、耐熱保存性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性が向上する。
本発明の結晶性樹脂(A)は、同一分子内に少なくともセグメント(a1)とセグメント(a2)が化学結合されていることが好ましい。また、結晶性樹脂(A)は、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基及びビニル基からなる群から選ばれる1種類以上を有することが好ましく、更に2種類以上を有することが好ましい。
また、1種のセグメント(a1)と1種のセグメント(a2)の組み合わせ以外に、3種以上のセグメントを含む場合でもよく、セグメント(a1)とセグメント(a2)は直接化学結合してもよいし、セグメント(a1)とセグメント(a2)以外のセグメント(a3)を介して結合してもよい。
このセグメント(a3)としては、例えば、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶する非結晶性のセグメントが挙げられる。
従って、3種以上のセグメントを含む場合としては、例えば、1種のセグメント(a1)と1種のセグメント(a2)と1種のセグメント(a3)の組み合わせ、2種のセグメント(a1)と1種のセグメント(a2)の組み合わせ、1種のセグメント(a1)と2種のセグメント(a2)の組み合わせ等が挙げられる。ここで、2種以上のセグメントの一例として、化学構造の種類(例えば、ポリエステル)が同じであっても分子量やその他の物性が異なる場合が挙げられる。
本発明の結晶性樹脂(A)は、低温定着性の観点から好ましくはエステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基及びビニル基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基を有し、更に好ましくはエステル基及びウレタン基を有する。
本発明においては、結晶性樹脂(A)中のセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基及びビニル基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されていることが好ましい。
結晶性樹脂(A)の重量平均分子量(以下、重量平均分子量をMwと略称することがある。)は、低温定着性及び光沢性の観点から、8,000〜150,000が好ましく、更に好ましくは10,000〜110,000、特に好ましくは12,000〜100,000である。
なお、Mwと数平均分子量(本明細書中、Mnとも記載する)は結晶性樹脂(A)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000
2890000)
本発明のトナー及びトナー用樹脂に使用する非晶性ポリエステル樹脂樹脂(B)は、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)とを原料とするポリエステル樹脂であればその樹脂の組成は特に限定されない。
なお、本発明における「非晶性」とは前述の「結晶性」ではないものをいい、非晶性樹脂とは結晶性樹脂ではない樹脂をいう。
非晶性ポリエステル樹脂(B)としては、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)[ビスフェノールAのAO付加物(付加モル数2〜30)]、3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール、及びノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)[ノボラック樹脂のAO付加物(付加モル数2〜30)]等のアルコール成分(X)と、3価以上のカルボン酸、ジカルボン酸及びモノカルボン酸等のカルボン酸成分(Y)とを原料とするポリエステル等が挙げられる。
そのうち、アルコール成分(X)として、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から、好ましいものは、炭素数2〜10のアルキレングリコール、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜5)、ノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、特に好ましくは、炭素数2〜6のアルキレングリコール、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜5)であり、最も好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜3)である。
非晶性ポリエステル樹脂(B)を構成するカルボン酸成分(Y)としてはモノカルボン酸(Y1)、ジカルボン酸(Y2)、3価以上のカルボン酸(Y3)等が挙げられる。
モノカルボン酸(Y1)としては、アルキル基の炭素数が1〜4であるアルキル基を有するモノカルボン酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。
ジカルボン酸(Y2)としては、炭素数(カルボニル基の炭素を含める)2〜10のアルカンジカルボン酸(コハク酸及びアジピン酸等);炭素数4〜10のアルケンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸及びシトラコン酸等);炭素数6〜10の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸等〕;炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等)等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
3価以上のカルボン酸(Y3)としては、3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸が挙げられる。3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸として、例えば、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[数平均分子量(Mn):450〜10,000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、及びスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる。
これらのカルボン酸成分のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、安息香酸、炭素数2〜10のアルカンジカルボン酸、炭素数4〜10のアルケンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)が好ましい。
更に好ましくは、安息香酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらの2種以上の併用であり、特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びこれらの2種以上の併用である。
また、これらのカルボン酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点(Tg)は、低温定着性、光沢性及びトナーの流動性、耐熱保存性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性の観点から、好ましくは40〜75℃、更に好ましくは45〜72℃、特に好ましくは50〜70℃である。
なお、Tgは、DSCを用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のMwは、低温定着性、光沢性、トナーの流動性、耐熱保存性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性の観点から、好ましくは2,000〜200,000、更に好ましくは2,500〜100,000、特に好ましくは3,000〜60,000である。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のMw及びMnは、上述した結晶性樹脂(A)と同様の方法でGPCにより求められる。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の酸価は、低温定着性、光沢性、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性の観点から、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは20mgKOH/g以下であり、更に好ましくは15mgKOH/g以下、特に好ましくは10mgKOH/g以下であり、最も好ましくは5mgKOH/g以下である。
本発明において、酸価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の酸価を調整する方法は特に限定されないが、例えば、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)との比率、ハーフエステル化するための無水トリメリット酸の仕込量、末端をモノアルコール等でキャップする等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の水酸基価は、低温定着性、光沢性、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性の観点から、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下であり、更に好ましくは20mgKOH/g以下、特に好ましくは10mgKOH/g以下であり、最も好ましくは5mgKOH/g以下である。
本発明において、水酸基価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の水酸基価を調整する方法は特に限定されないが、例えば、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)との比率、末端をモノカルボン酸等でキャップする等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量は、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより非晶性ポリエステル樹脂(B)の分子量を測定した場合のピーク面積で表した場合に、全ピーク面積の10%以下が好ましく、より好ましくは8%以下であり、更に好ましくは6%以下であり、特に好ましくは4%以下であり、最も好ましくは2%以下である。非晶性ポリエステル樹脂(B)に含まれる分子量1,000以下の分子の含有量が上記範囲であると、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性が良好となる
本発明における前記非晶性ポリエステル樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量は前述のGPCによる非晶性ポリエステル樹脂(B)の分子量測定結果を以下のようにデータ処理することにより求める。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求める。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求める。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求める。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求める。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
非晶性ポリエステル樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量を小さくする手法は特に限定されないが、例えば、非晶性ポリエステル樹脂(B)の分子量を上げる、末端をモノカルボン酸等でキャップする、3官能以上の酸等で架橋反応を行う、等が挙げられる。
なお、本発明におけるSP値は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算することができる。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のフローテスターで測定した軟化点(Tm)は、80〜170℃が好ましく、更に好ましくは85〜165℃、特に好ましくは90〜160℃である。
軟化点(Tm)は以下の方法で測定される。
高化式フローテスター{例えば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔Tm〕とする。
非晶性ポリエステル樹脂(B)はTmの異なるものを2種類以上併用してもよく、Tmが80〜110℃のものと110〜170℃のものとの組み合わせが好ましい。
本発明のトナー用樹脂は、結晶性樹脂(A)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)からなるものであってもよく、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他の成分を含んでもよい。好ましくは、結晶性樹脂(A)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)からなるトナー用樹脂である。
本発明のトナー用樹脂及び着色剤を含有するトナーも、本発明の一つである。
本発明のトナーは、好ましくは、非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)とからなるトナー用樹脂及び着色剤を含有する組成物である。
また、本発明のトナー用樹脂の微粒子を外添剤として用いてもよい。
トナー用樹脂の微粒子の作成方法は、樹脂を凍結粉砕して微粒子化する方法や、樹脂を溶剤に溶解させて転相乳化により樹脂微粒子を得る方法が挙げられる。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。
具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)の合計を100重量部とした際に、好ましくは1〜40重量部、更に好ましくは3〜10重量部である。
なお、磁性粉を用いる場合は、非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)の合計100重量部に対して、好ましくは20〜150重量部、更に好ましくは40〜120重量部である。上記及び以下において、部は重量部を意味する。
本発明のトナーは、結晶性樹脂(A)、非晶性ポリエステル樹脂(B)、着色剤以外に、必要により、離型剤、荷電制御剤、流動化剤等から選ばれる1種以上の添加剤を含有する。
離型剤としては、フローテスターによる軟化点〔Tm〕が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、及びサゾールワックス等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス及びライスワックスが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
本発明のトナーの製造方法は特に限定されない。
本発明のトナーは、公知の混練粉砕法、乳化転相法、重合法等のいずれの方法により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、更に分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
本発明のトナーは、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、及び樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリア粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリア粒子との重量比は、トナー/キャリア粒子が1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明のトナーは、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
以下実施例、比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部、%は重量%を示す。
結晶性セグメント(a1)及びセグメント(a2)のSP値(SPa1、SPa2)は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]に従って求めた。
製造例1
〔結晶性セグメント(a1−1)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性ポリエステルである結晶性セグメント(a1−1)を得た。結晶性セグメント(a1−1)のSPa1は9.9であった。(a1−1)のTpは67℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は0.16%であった。後記する樹脂(B−1)とセグメント(a1−1)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
製造例2
〔結晶性セグメント(a1−2)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.99部、ノナン酸(y1−2)0.28部、ヘプタン酸(y1−3)0.071部、デカン酸(y1−4)0.35部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部とする以外は製造例1と同様に反応を行い結晶性ポリエステル(a1−2)を得た。結晶性ポリエステル(a1−2)のSPa1は9.9であった。(a1−2)のTpは66℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は0.24%であった。後記する樹脂(B−1)とセグメント(a1−2)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体分に濁りがなかった。
製造例3
〔結晶性セグメント(a1−3)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)1.4部、ノナン酸(y1−2)1.2部、ヘプタン酸(y1−3)5.5部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−3)を得た。結晶性ポリエステル(a1−3)のSPa1は9.9であった。(a1−3)のTpは65℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は1.13%であった。後記する樹脂(B−1)とセグメント(a1−3)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
製造例4
〔結晶性セグメント(a1−4)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.65部、ノナン酸(y1−2)0.51部、1,9−ノナンジカルボン酸(y2−2)10.1部、1,10−デカンジカルボン酸(y2−3)8.0部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−4)を得た。結晶性ポリエステル(a1−4)のSPa1は9.9であった。(a1−1)のTpは63℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は0.16%であった。後記する樹脂(B−1)とセグメント(a1−4)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
製造例5
〔結晶性セグメント(a1−5)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、セバシン酸(y2−1)669部、ヘキサン酸(y1−5)0.34部、ウンデカン酸(y1−6)0.67部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−5)を得た。結晶性ポリエステル(a1−5)のSPa1は10.1であった。(a1−5)のTpは64℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は0.15%であった。後記する樹脂(B−1)とセグメント(a1−5)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
製造例6
〔結晶性セグメント(a1−6)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、ドデカン二酸(y2−3)819部、オクタン酸(y1−1)1.2部、デカン酸(y1−4)0.33部、1,4−ブタンジオール(x1−2)309部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−6)を得た。結晶性ポリエステル(a1−6)のSPa1は9.8であった。(a1−6)のTpは73℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は0.19%であった。後記する樹脂(B−1)とセグメント(a1−6)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
製造例7
〔結晶性セグメント(a1−7)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、ドデカン二酸(y2−3)819部、オクタン酸(y1−1)1.2部、デカン酸(y1−4)0.33部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)309部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−7)を得た。結晶性ポリエステル(a1−7)のSPa1は9.7であった。(a1−7)のTpは73℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は0.31%であった。後記する樹脂(B−2)とセグメント(a1−7)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
製造例8
〔セグメント(a2)〕
セグメント(a2)としてはベヘニルアルコールを用いた。SPa2は9.3である。後記する樹脂(B−1)及び(B−2)とセグメント(a2)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあった。
以下の製造例9〜15では、結晶性樹脂(A)を製造した。製造例16〜17では、非晶性ポリエステル樹脂(B)を製造した。比較製造例1〜6では、比較のための結晶性セグメント(a’1)〜(a’3)、及び結晶性樹脂(A’)を製造した。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定した。
装置 : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム: TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
非晶性ポリエステル樹脂(B)のTg(Tg)は、DSC(TA Instruments社製の型式Q Series Version 2.8.0.394)を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定した。
結晶性樹脂(A)のSP値(SP)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)のSP値(SP)は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]に従って求めた。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の酸価及び水酸基価は、JIS K0070に規定の方法で測定した。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量は、上記のGPCによる各樹脂の測定結果を以下のようにデータ処理することにより求めた。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求めた。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求めた。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求めた。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求めた。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
上記により求めた分子量1,000以下の分子の含有量(%)を、「分子量1,000以下の分子の含有量」として記載した。
製造例9
〔結晶性樹脂(A−1)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、220℃、0.5〜2.5kPaの減圧下で10時間反応させ、結晶性樹脂(A−1)を得た。結晶性樹脂(A−1)のMwは14,700であった。
製造例10
〔結晶性樹脂(A−2)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a1−2)931部とセグメント(a2)80部に変更する以外は製造例9と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−2)を得た。結晶性樹脂(A−2)のMwは14,100であった。
製造例11
〔結晶性樹脂(A−3)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a1−3)931部とセグメント(a2)80部に変更する以外は製造例9と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−3)を得た。結晶性樹脂(A−3)のMwは14,000であった。
製造例12
〔結晶性樹脂(A−4)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a1−4)931部とセグメント(a2)80部に変更する以外は製造例5と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−4)を得た。結晶性樹脂(A−4)のMwは14,200であった。
製造例13
〔結晶性樹脂(A−5)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、結晶性セグメント(a1−5)600部、及びMEK400部を投入し、90℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート39部を投入し、90℃で15時間反応させた。次いで無水トリメリット酸を21部投入し、120℃で10時間反応させた後MEKを除去して、結晶性樹脂(A−5)を得た。結晶性樹脂(A−5)のMwは21,000であった。
製造例14
〔結晶性樹脂(A−6)の合成〕
結晶性セグメント(a1−6)を結晶性樹脂(A−6)として用いた。結晶性樹脂(A−6)のMwは18,000であった。
製造例15
〔結晶性樹脂(A−7)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a1−7)931部とセグメント(a2)80部に変更する以外は製造例9と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−7)を得た。結晶性樹脂(A−7)のMwは37,900であった。
製造例16
〔非晶性ポリエステル樹脂(B−1)の合成〕
反応槽中に、1,2−プロピレングリコール522部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物1部、テレフタル酸468部、アジピン酸90部、安息香酸20部、無水トリメリット酸26部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら20時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、更に0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。
Tmが130℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−1)を取り出した。
別の反応槽中に、1,2−プロピレングリコール458部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物40部、テレフタル酸493部、アジピン酸6部、安息香酸70部、無水トリメリット酸46部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、更に0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが105℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸14部(0.07モル)加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−2)を取り出した。
得られた樹脂(b−1)と樹脂(b−2)の重量比(b−1)/(b−2)が50/50になるようヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]にて均一化し、非晶性ポリエステル樹脂(B−1)を得た。樹脂(B−1)のTgは63℃、Mwは30,000、酸価は20、水酸基価は19、分子量1,000以下の分子の含有量は9.5%、SPは11.7であった。
製造例17
〔非晶性ポリエステル樹脂(B−2)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物322部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物419部、テレフタル酸274部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが100℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸42部加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−3)を得た。
別の反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物534重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド3モル付加物211重量部、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)の5.6モルエチレンオキサイド付加物1.1部、テレフタル酸254部、アジピン酸48部、無水トリメリット酸21部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、更に0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。酸化が1未満になったところで常圧にもどし、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−4)を得た。
得られた樹脂(b−3)と樹脂(b−4)の重量比(b−3)/(b−4)が50/50になるようヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]にて均一化し、非晶性ポリエステル樹脂(B−2)を得た。樹脂(B−2)のTgは62℃、Mwは42,000、酸価は12、水酸基価は33、分子量1,000以下の分子の含有量は7.6%、SPは11.4であった。
比較製造例1
〔結晶性セグメント(a’1−1)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、アジピン酸(y2−4)631部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)524部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a’1−1)を得た。結晶性ポリエステル(a’1−1)のSPa1は10.2であった。(a’1−1)のTpは56℃であった。前記した樹脂(B−1)とセグメント(a’1−1)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
比較製造例2
〔結晶性セグメント(a’1−2)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、セバシン酸(y2−1)678部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)419部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a’1−2)を得た。結晶性ポリエステル(a’1−2)のSPa1は9.9であった。(a’1−2)のTpは68℃であった。前記した樹脂(B−1)とセグメント(a’1−2)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
比較製造例3
〔結晶性セグメント(a’1−3)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、テレフタル酸(y2−5)716部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)439部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a’1−3)を得た。結晶性ポリエステル(a’1−3)のSPa1は11.5であった。(a’1−3)のTpは137℃であった。前記した樹脂(B−1)とセグメント(a’1−3)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
比較製造例4
〔結晶性樹脂(A’1)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a’1−1)966部とセグメント(a2)82部に変更する以外は製造例9と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A’1)を得た。結晶性樹脂(A’1)のMwは12,000であった。
比較製造例5
〔結晶性樹脂(A’2)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a’1−2)966部とセグメント(a2)82部に変更する以外は製造例9と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A’2)を得た。結晶性樹脂(A’2)のMwは13,000であった。
比較製造例6
〔結晶性樹脂(A’3)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a’1−3)966部とセグメント(a2)82部に変更する以外は製造例9と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A’3)を得た。結晶性樹脂(A’3)のMwは5,800であった。
実施例1〜4、7及び比較例1〜3
製造例及び比較製造例で得られた結晶性樹脂(A)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)を用いて、表1の配合比(重量部)に従い、結晶性樹脂(A)及び必要により非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有するトナー用樹脂(N−1)〜(N−4)、(N−7)、(N’−1)〜(N’−3)並びにトナー用樹脂(N−1)〜(N−4)、(N−7)、(N’−1)〜(N’−3)と添加剤とを含有するトナー原料を下記の方法でトナー化し、トナー(T−1)〜(T−4)、(T−7)、(T’−1)〜(T’−3)を得た。
なお、着色剤(C−1)としてカーボンブラック[三菱化学(株)製のMA−100]、離型剤(D−1)としてポリオレフィンワックス[三洋化成工業(株)製のビスコール550P]、荷電制御剤(E−1)としてアイゼンスピロンブラック[保土谷化学(株)製のT−77]、流動化剤(F−1)としてコロイダルシリカ[日本アエロジル製のアエロジルR972]を使用した。
Figure 2017223944
まず、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]を用いて流動化剤(F−1)以外のすべての原料を予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。
ついで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
更に、トナー粒子100部に流動化剤(F−1)0.5部をサンプルミルにて混合して、トナーを得た。
実施例5〜6
製造例で得られた結晶性樹脂(A)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)を用いて、表1の配合比(重量部)に従い、結晶性樹脂(A)及び必要により非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有するトナー用樹脂(N−5)〜(N−6)並びにトナー用樹脂(N−5)〜(N−6)と添加剤とを含有するトナー原料を下記の方法でトナー化し、トナー(T−5)〜(T−6)を得た。
なお、着色剤(C−1)としてカーボンブラック[三菱化学(株)製のMA−100]、離型剤(D−1)としてポリオレフィンワックス[三洋化成工業(株)製のビスコール550P]、荷電制御剤(E−1)としてアイゼンスピロンブラック[保土谷化学(株)製のT−77]、流動化剤(F−1)としてコロイダルシリカ[日本アエロジル製のアエロジルR972]を使用した。
まず、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]を用いて結晶性樹脂(A)と流動化剤(F−1)以外のすべての原料を予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。
ついで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
更に、トナー粒子100部に凍結粉砕により微粉砕した結晶性樹脂(A)2.0部と流動化剤(F−1)0.5部をサンプルミルにて混合して、トナーを得た。
トナー用樹脂を昇温、冷却、昇温した際の、DSCにより測定される第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をSとし、S及びS(昇温時の吸熱ピーク面積)を以下のように測定した。
表1に示す割合で配合した結晶性樹脂(A)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)の混合物約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、下記の昇温条件でDSCの測定を行った。
装置: Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温し(第1回目の昇温過程)、次いで、180℃で10分間放置後、10℃/分の条件で0℃まで冷却し(第1回目の冷却過程)、次いで、0℃で10分間放置した後、10℃/分の条件で180℃まで昇温した(第2回目の昇温過程)。
第1回目の昇温過程の最初(30℃)から第2回目の昇温過程が終了するまで(180℃)、DSCを測定した。
(S/S)×100の値を表1に示す。また、DSCにより測定した第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱熱量(J/g)を、「(A)由来の吸熱量(J)/g」として表1に示す。
表1中、Tgは、トナーの製造に使用した非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点(Tg)である。Tgは、表1に示す割合で配合した結晶性樹脂(A)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)の混合物を用いて、該混合物のうちの非晶性ポリエステル樹脂(B)由来のガラス転移点Tg(℃)を、非晶性ポリエステル樹脂(B)のTg(Tg)と同様の方法で測定した。
上記で測定したTg及び(Tg−Tg)を表1に示す。
表1に示す割合で配合した結晶性樹脂(A)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)の混合物の相溶性を、以下のように評価した。その結果を、表1に示す。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点Tg+30(℃)が結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)より高い場合は(Tg+30)(℃)の温度において、(Tg+30)がTpより低い場合はTpの温度において、混合物の全体又は一部分に濁りがあるかを目視で観察した。
[相溶性の判定基準]
◎:一部濁りあり
○:全体に濁りあり
×: 透明
[評価方法]
以下に得られたトナーの低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット試験の測定方法、評価方法及び判定基準を説明する。
<低温定着性>
トナーを紙面上に0.6mg/cmとなるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cmの条件で通したときのコールドオフセットの発生温度である低温定着温度を測定した。
低温定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。トナーの低温定着温度(℃)を、表3及び表4に、低温定着性(℃)として示した。
<光沢性>
低温定着性と同様に定着評価を行った。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度を測定した。
[判定基準]
◎:20以上
○:15以上20未満
△:10以上15未満
×:10未満
<耐ホットオフセット性(ホットオフセット発生温度)>
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
<流動性>
ホソカワミクロン製パウダーテスターでトナーのかさ密度(g/100mL)を測定し、流動性を下記の判定基準で判定した。△以上(30g/100mL以上)が実用範囲である。
[判定基準]
◎:36以上
○:33以上36未満
△:30以上33未満
▲:27以上30未満
×:27未満
<耐熱保存性>
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
×:ブロッキングが発生している。
<帯電安定性>
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
[判定基準]
◎:0.8以上
○:0.7以上0.8未満
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
<粉砕性>
トナーを二軸混練機で混練、冷却した粗粉砕物(8.6メッシュパス〜30メッシュオンのもの)を、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]により下記の条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.5MPa
粉砕時間:10分
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
これを分級せずに、体積平均粒径(μm)をコールターカウンター−TAII(米国コールター・エレクトロニクス社製)により測定し、下記の判定基準で粉砕性を評価した。
[判定基準]
◎:10未満
○:10以上11未満
△:11以上12未満
×:12以上
<画像強度>
低温定着温度の測定に使用したテスト用紙(低温定着性の評価で得られた、画像が定着された紙)を、JISK5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。
鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。
<耐折り曲げ性>
低温定着温度の測定に使用したテスト用紙を画像面が内側になるように紙を折り曲げ、30gの加重で5往復擦った。
紙を広げて、画像上の折り曲げたあとの白すじの有無を目視で判定した。
[判定基準]
○:白すじなし
△:わずかに白すじあり
×:白すじあり
<ドキュメントオフセット性>
低温定着性の評価で得られた画像が定着されたA4の紙2枚を、定着面同士で重ね合わせ、420gの加重(0.68g/cm)をかけ、65℃で10分間静置した。
重ね合わせた紙同士を引き離したときの状態について、下記の判定基準でドキュメントオフセット性を評価した。
[判定基準]
○:抵抗なし
△:パリパリと音がするが、紙面から画像は剥がれない
×:紙面から画像が剥がれる
上記の評価結果を、表2に示す。
Figure 2017223944
表2の評価結果から明らかなように、本発明の実施例1〜7のトナーはいずれもすべての性能評価が優れた結果が得られた。一方、比較例1〜3のトナーは低温定着性、画像強度等いくつかの性能項目が不良であった。
本発明のトナーは、低温定着性及び光沢性と耐ホットオフセット性を両立しつつ、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度及び対折り曲げ性に優れる、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いる静電荷像現像用トナーとして有用である。

Claims (16)

  1. アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性樹脂(A)を含有するトナー用樹脂であって、カルボン酸成分(y)がポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)を含み、トナー用樹脂が30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温、10℃/分の条件で0℃まで冷却、10℃/分の条件で180℃まで昇温した際の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に吸熱ピークを有し、ピークトップの温度Tpが40℃〜100℃であるトナー用樹脂。
  2. モノカルボン酸(y1)の含有量がカルボン酸成分(y)の合計重量に対して0.01〜3重量%である請求項1に記載のトナー用樹脂。
  3. モノカルボン酸(y1)として2種以上のモノカルボン酸を含む請求項1又は2に記載のトナー用樹脂。
  4. 同一のトナー用樹脂について2回の示差走査熱量測定を連続して行った場合に、1回目の測定で得られるDSC曲線の吸熱ピーク面積Sと、2回目の測定で得られるDSC曲線の吸熱ピーク面積Sとが下記の関係式(1)を満たすことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のトナー用樹脂。
    35≦(S/S)×100≦100 (1)
    [但し、トナー用樹脂を30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温した際のDSC曲線から得られる吸熱ピーク温度を第1回目の測定で得られる結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積S、1回目の昇温を終えた後、10℃/分の条件で0℃まで冷却して再び30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温した際のDSC曲線から得られる吸熱ピーク温度を2回目の測定で得られる結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積Sとする。]
  5. 前記吸熱ピーク面積Sが、1〜30J/gである請求項4記載のトナー用樹脂。
  6. 結晶性樹脂(A)が、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基及びビニル基からなる群から選ばれる1種以上の基を有する請求項1〜5いずれか記載のトナー用樹脂。
  7. 更に、非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有する請求項1〜6いずれか記載のトナー用樹脂。
  8. 非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点Tg(℃)と、トナー用樹脂のガラス転移点のうちの樹脂(B)由来のガラス転移点Tg(℃)とが下記の関係式(2)を満たす請求項7に記載のトナー用樹脂。
    0≦Tg−Tg≦15 (2)
  9. 非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)との重量比(B)/(A)が50/50〜95/5である請求項7又は8記載のトナー用樹脂。
  10. 結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)が、非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点Tg+30(℃)以下である場合には、トナー用樹脂をTg+30(℃)に加熱した場合において、
    Tpが(Tg+30)を超える場合にはトナー用樹脂をTp(℃)に加熱した場合において、トナー用樹脂の全体又は一部分に濁りがある請求項7〜9いずれか記載のトナー用樹脂。
  11. 結晶性樹脂(A)が、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有する請求項7〜10いずれか記載のトナー用樹脂。
  12. セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たす請求項11記載のトナー用樹脂。
    |SPa1−SP|≦1.9 (3)
    |SPa2−SP|≧1.9 (4)
    [但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPは非晶性ポリエステル樹脂(B)のSP値を表す。]
  13. 非晶性ポリエステル樹脂(B)の酸価が30mgKOH/g以下である請求項7〜12いずれか記載のトナー用樹脂。
  14. 非晶性ポリエステル樹脂(B)の水酸基価が50mgKOH/g以下である請求項7〜13いずれか記載のトナー用樹脂。
  15. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより非晶性ポリエステル樹脂(B)の分子量を測定したクロマトグラムにおいて、非晶性ポリエステル樹脂(B)の分子量1,000以下のピーク面積が全ピーク面積の10%以下である請求項7〜14いずれか記載のトナー用樹脂。
  16. 請求項1〜15いずれか記載のトナー用樹脂及び着色剤を含有することを特徴とするトナー。
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