JP2017223944A - トナー用樹脂及びトナー - Google Patents
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Abstract
Description
トナーの定着温度を低くする手段として、結着樹脂のガラス転移点を低くする技術が一般的に使用されている。
しかしながら、ガラス転移点を低くし過ぎると、耐ホットオフセット性が低下し、また粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなることからトナーの保存性が低下するため、ガラス転移点の下限は実用上50℃である。このガラス転移点は、結着樹脂の設計ポイントであり、ガラス転移点を下げる方法では、更に低温定着可能なトナーを得ることはできない。
しかしながら、結晶性樹脂の含有量を増やすと樹脂強度が低下する場合があり、また溶融混練時に結晶性樹脂と結着樹脂の相溶化により結晶性樹脂が非晶化し、その結果、トナーのガラス転移点が低下することで前述と同様の課題が生じる。
かかる方法ではトナーの低温定着性及び光沢性は確保できるが、耐ホットオフセット性やトナーの流動性、高温保存時の安定性である耐熱保存性が不充分であり、また帯電安定性や粉砕する際の粉砕性が低下する問題もある。
溶融懸濁法や乳化凝集法を用いて得られたシェル層で被覆する方法等も提案されているが(特許文献6〜9)、結晶性樹脂がコアの結着樹脂と相溶化し、短時間では結晶の再析出が不充分なことから定着後の画像強度及び耐折り曲げ性が未だ不充分である。
すなわち本発明は、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性樹脂(A)を含有するトナー用樹脂であって、カルボン酸成分(y)がポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)を含み、トナー用樹脂が30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温、10℃/分の条件で0℃まで冷却、10℃/分の条件で180℃まで昇温した際の示差走査熱量計(DSC)によるチャートで結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを40℃〜100℃の範囲に少なくとも1個有するトナー用樹脂である。
本発明のトナー用樹脂は、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性樹脂(A)を含有するトナー用樹脂であって、カルボン酸成分(y)がポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)を含み、トナー用樹脂が30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温、10℃/分の条件で0℃まで冷却、10℃/分の条件で180℃まで昇温した際の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に吸熱ピークを有し、ピークトップの温度Tpが40℃〜100℃であるトナー用樹脂である。
装置:Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
測定温度の昇温、冷却、昇温のパターンは以下の通り:
(1)30℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温
(2)180℃で10分間保持後、0℃まで降温速度10℃/分で冷却
(3)0℃で10分間保持後、180℃まで昇温速度10℃/分で再び昇温
樹脂約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、一回測定を行った。リファレンスとしてはアルミ製の空パンを用いた。そのときの、(3)の昇温過程(第2回目の昇温過程)の結晶性樹脂(A)の吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度を、吸熱ピークトップを示す温度Tpとした。結晶性樹脂(A)の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、それらの中で最も高い吸熱ピークトップを示す温度をTpとした。
なお、本発明における「結晶性」とは前述のDSC測定の第1回目の昇温過程において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、吸熱量の極値を持つようなピークのことをいう。
Tp(℃)の範囲は40〜100℃、好ましくは45〜95℃、更に好ましくは50〜90℃である。
なお、吸熱ピークトップを示す温度とは、吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度のことを指す。
そして、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、少なくとも1つの吸熱ピークの吸熱ピークトップを示す温度がこの範囲にあればよい。
結晶性樹脂(A)は、アルコール成分(x)と、ポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するカルボン酸成分(y)とを構成原料とする樹脂であり、結晶性ポリエステル樹脂(a11)、結晶性ポリウレタン樹脂(a12)、結晶性ポリウレア樹脂(a13)、結晶性ポリアミド樹脂(a14)、結晶性ポリビニル樹脂(a15)等が挙げられる。これらのうち、結晶性ポリエステル樹脂(a11)が好ましい。なお、これらの結晶性樹脂(A)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
3〜8価又はそれ以上の価数のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びポリグリセリン;糖類及びその誘導体、例えばショ糖、及びメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等];等が挙げられる。
これらの官能基を有するジオール(x1’)を構成単位とすることにより、トナーの帯電性、耐熱保存安定性が向上する。
なお、本発明における「酸(塩)」は、酸又は酸塩を意味する。
ジオール成分(x1)と、官能基を有するジオール(x1’)と、カルボン酸成分(y)とを原料として反応して得られるポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂(a11)として好ましい。官能基を有するジオール(x1’)は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸塩を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルエタノールアミン塩、N−エチルエタノールアミン塩、N,N−ジメチルエタノールアミン塩、N,N−ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
またアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)として2種以上を含むことでトナー定着後の画像強度、ドキュメントオフセット性が良好となり好ましい。
具体的なモノカルボン酸(y1)としてはヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸及びウンデカン酸が挙げられる。
これらの中ではヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸が好ましい。
なお、結晶性樹脂(A)の物性に影響のない範囲で、アルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)以外のモノカルボン酸を使用することができる。
2価のポリカルボン酸としては、炭素数(カルボニル基の炭素を含める)2〜50のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸等のドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等);炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)等〕;炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等)等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
また、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、及びこれらの低級アルキルエステル類)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としてはカルボン酸成分(y)の重量に対して20モル%以下が好ましい。
結晶性ポリウレタン樹脂(a12)としては、前記の結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジイソシアネート(v2)を構成単位とするもの、及び前記の結晶性ポリエステル樹脂(a11)と前記ジオール成分(x)とジイソシアネート(v2)を構成単位とするもの等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン樹脂(a12)は、結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジオール成分(x1)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジオール成分(x1)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
結晶性ポリウレア樹脂(a13)としては、前記結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジアミン(z)とジイソシアネート(v2)を構成原料とするもの等が挙げられる。このような結晶性ポリウレア樹脂(a13)は、結晶性ポリエステル樹脂(a11)とジアミン(z)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
炭素数2〜18の脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族ジアミン及び環状脂肪族ジアミン等が挙げられる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ジアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ジアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
結晶性ポリアミド樹脂(a14)としては、前記結晶性ポリエステル樹脂(a11)と、前記ジアミン(z)と、前記カルボン酸成分(y)を構成原料とするもの等が挙げられる。このような結晶性ポリアミド樹脂(a14)は、結晶性ポリエステル樹脂(a11)と、上記ジアミン(z)と、カルボン酸成分(y)とを反応させることにより得ることができる。
結晶性ポリビニル樹脂(a15)としては、アルコール成分(x)と、ポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸成分(y1)とのエステルを単独重合又は共重合した重合体が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂(a’11)を構成するカルボン酸成分(y)としては、ポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が11以上であるアルキル基を有するモノカルボン酸を用いることができ、アルコール成分(x’)としては、結晶性ポリエステル樹脂(a11)と同じものを用いることができる。
35≦(S2/S1)×100≦100 (1)
[但し、トナー用樹脂を30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温した際のDSC曲線から得られる吸熱ピーク温度を第1回目の測定で得られる結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積S1、1回目の昇温を終えた後、10℃/分の条件で0℃まで冷却して再び30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温した際のDSC曲線から得られる吸熱ピーク温度を2回目の測定で得られる結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積S2とする。]
また結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが結晶性樹脂(A)由来ではない吸熱ピークと重なる場合は、各々のピークに分解して結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積を求める。なお、トナー用樹脂に更に配合する原料のうち、ワックス等の結晶性の原料は吸熱ピークを発現する場合がある。
吸熱ピーク面積は、ピークの谷の箇所にてベースラインに対して垂直に線を引いて分割し、その分割線によって分けられた面積を用いて計算する。
なお、ピークが特定できれば、トナー用樹脂ではなくトナーでDSCを測定しても差し支えない。
本発明のトナー用樹脂は、例えば、上記のように結晶性樹脂(A)と非晶性ポリエステル樹脂(B)とを混合することにより得ることができる。
関係式(2)の上限が小さいほど、結晶性樹脂(A)が再結晶化し、Tg低下が生じ難いことを意味する。
前述の方法で非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)を混合した混合物を、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)が、非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点Tg1+30(℃)以下である場合には、トナー用樹脂をTg1+30(℃)に加熱した場合において、Tpが(Tg1+30)を超える場合にはトナー用樹脂をTp(℃)に加熱した場合において、目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあることが好ましい。濁りがあると結晶性樹脂(A)が非晶性ポリエステル樹脂(B)に完全に相溶化していないことを意味し、冷却した際に結晶性樹脂(A)が再結晶し易くなることから好ましい。
なお、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、それらの中で最も高い吸熱ピークトップを示す温度をこの場合のTpとする。
本発明において非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶しないとは、非晶性ポリエステル樹脂(B)と各セグメントを構成する化合物とを混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあることをいう。一方、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶するとは、混合物全体に濁りがないことをいう。
その際に、非晶性ポリエステル樹脂(B)の溶解性パラメーターをSPB、セグメント(a1)の溶解性パラメーターをSPa1、セグメント(a2)の溶解性パラメーターをSPa2とすると、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たすことが、関係式(3)については非晶性ポリエステル樹脂(B)とセグメント(a1)の相溶性の観点から、関係式(4)については非晶性ポリエステル樹脂(B)とセグメント(a2)の相溶性の観点から好ましい。
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
上記式中、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは非晶性ポリエステル樹脂(B)のSP値を表す。
セグメント(a1)及びセグメント(a2)のSP値は、各セグメントを構成する化合物のSP値である。
同様に、関係式(4)の左辺の下限は、更に好ましくは2.0以上であり、その上限は、好ましく4.0以下が好ましく、3.5以下がより好ましい。
関係式(3)及び(4)を両方満たすことにより、結晶性樹脂(A)による加熱時の可塑化と冷却時の再結晶が起こりやすくなり、低温定着性、光沢性、トナーの流動性、耐熱保存性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性が向上する。
また、1種のセグメント(a1)と1種のセグメント(a2)の組み合わせ以外に、3種以上のセグメントを含む場合でもよく、セグメント(a1)とセグメント(a2)は直接化学結合してもよいし、セグメント(a1)とセグメント(a2)以外のセグメント(a3)を介して結合してもよい。
このセグメント(a3)としては、例えば、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶する非結晶性のセグメントが挙げられる。
本発明においては、結晶性樹脂(A)中のセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基及びビニル基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されていることが好ましい。
なお、Mwと数平均分子量(本明細書中、Mnとも記載する)は結晶性樹脂(A)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000
2890000)
なお、本発明における「非晶性」とは前述の「結晶性」ではないものをいい、非晶性樹脂とは結晶性樹脂ではない樹脂をいう。
モノカルボン酸(Y1)としては、アルキル基の炭素数が1〜4であるアルキル基を有するモノカルボン酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。
更に好ましくは、安息香酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらの2種以上の併用であり、特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びこれらの2種以上の併用である。
また、これらのカルボン酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
なお、Tgは、DSCを用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のMw及びMnは、上述した結晶性樹脂(A)と同様の方法でGPCにより求められる。
本発明において、酸価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
本発明において、水酸基価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求める。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求める。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求める。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求める。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
高化式フローテスター{例えば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔Tm〕とする。
本発明のトナーは、好ましくは、非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)とからなるトナー用樹脂及び着色剤を含有する組成物である。
トナー用樹脂の微粒子の作成方法は、樹脂を凍結粉砕して微粒子化する方法や、樹脂を溶剤に溶解させて転相乳化により樹脂微粒子を得る方法が挙げられる。
具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
なお、磁性粉を用いる場合は、非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)の合計100重量部に対して、好ましくは20〜150重量部、更に好ましくは40〜120重量部である。上記及び以下において、部は重量部を意味する。
離型剤としては、フローテスターによる軟化点〔Tm〕が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明のトナーは、公知の混練粉砕法、乳化転相法、重合法等のいずれの方法により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、更に分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
〔結晶性セグメント(a1−1)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性ポリエステルである結晶性セグメント(a1−1)を得た。結晶性セグメント(a1−1)のSPa1は9.9であった。(a1−1)のTpは67℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は0.16%であった。後記する樹脂(B−1)とセグメント(a1−1)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
〔結晶性セグメント(a1−2)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.99部、ノナン酸(y1−2)0.28部、ヘプタン酸(y1−3)0.071部、デカン酸(y1−4)0.35部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部とする以外は製造例1と同様に反応を行い結晶性ポリエステル(a1−2)を得た。結晶性ポリエステル(a1−2)のSPa1は9.9であった。(a1−2)のTpは66℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は0.24%であった。後記する樹脂(B−1)とセグメント(a1−2)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体分に濁りがなかった。
〔結晶性セグメント(a1−3)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)1.4部、ノナン酸(y1−2)1.2部、ヘプタン酸(y1−3)5.5部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−3)を得た。結晶性ポリエステル(a1−3)のSPa1は9.9であった。(a1−3)のTpは65℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は1.13%であった。後記する樹脂(B−1)とセグメント(a1−3)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
〔結晶性セグメント(a1−4)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.65部、ノナン酸(y1−2)0.51部、1,9−ノナンジカルボン酸(y2−2)10.1部、1,10−デカンジカルボン酸(y2−3)8.0部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−4)を得た。結晶性ポリエステル(a1−4)のSPa1は9.9であった。(a1−1)のTpは63℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は0.16%であった。後記する樹脂(B−1)とセグメント(a1−4)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
〔結晶性セグメント(a1−5)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、セバシン酸(y2−1)669部、ヘキサン酸(y1−5)0.34部、ウンデカン酸(y1−6)0.67部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−5)を得た。結晶性ポリエステル(a1−5)のSPa1は10.1であった。(a1−5)のTpは64℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は0.15%であった。後記する樹脂(B−1)とセグメント(a1−5)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
〔結晶性セグメント(a1−6)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、ドデカン二酸(y2−3)819部、オクタン酸(y1−1)1.2部、デカン酸(y1−4)0.33部、1,4−ブタンジオール(x1−2)309部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−6)を得た。結晶性ポリエステル(a1−6)のSPa1は9.8であった。(a1−6)のTpは73℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は0.19%であった。後記する樹脂(B−1)とセグメント(a1−6)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
〔結晶性セグメント(a1−7)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、ドデカン二酸(y2−3)819部、オクタン酸(y1−1)1.2部、デカン酸(y1−4)0.33部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)309部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−7)を得た。結晶性ポリエステル(a1−7)のSPa1は9.7であった。(a1−7)のTpは73℃であった。またカルボン酸成分(y)中に含有されるモノカルボン酸(y1)含有量は0.31%であった。後記する樹脂(B−2)とセグメント(a1−7)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
〔セグメント(a2)〕
セグメント(a2)としてはベヘニルアルコールを用いた。SPa2は9.3である。後記する樹脂(B−1)及び(B−2)とセグメント(a2)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあった。
装置 : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム: TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
結晶性樹脂(A)のSP値(SPA)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)のSP値(SPB)は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]に従って求めた。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の酸価及び水酸基価は、JIS K0070に規定の方法で測定した。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求めた。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求めた。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求めた。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求めた。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
上記により求めた分子量1,000以下の分子の含有量(%)を、「分子量1,000以下の分子の含有量」として記載した。
〔結晶性樹脂(A−1)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、220℃、0.5〜2.5kPaの減圧下で10時間反応させ、結晶性樹脂(A−1)を得た。結晶性樹脂(A−1)のMwは14,700であった。
〔結晶性樹脂(A−2)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a1−2)931部とセグメント(a2)80部に変更する以外は製造例9と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−2)を得た。結晶性樹脂(A−2)のMwは14,100であった。
〔結晶性樹脂(A−3)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a1−3)931部とセグメント(a2)80部に変更する以外は製造例9と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−3)を得た。結晶性樹脂(A−3)のMwは14,000であった。
〔結晶性樹脂(A−4)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a1−4)931部とセグメント(a2)80部に変更する以外は製造例5と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−4)を得た。結晶性樹脂(A−4)のMwは14,200であった。
〔結晶性樹脂(A−5)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、結晶性セグメント(a1−5)600部、及びMEK400部を投入し、90℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート39部を投入し、90℃で15時間反応させた。次いで無水トリメリット酸を21部投入し、120℃で10時間反応させた後MEKを除去して、結晶性樹脂(A−5)を得た。結晶性樹脂(A−5)のMwは21,000であった。
〔結晶性樹脂(A−6)の合成〕
結晶性セグメント(a1−6)を結晶性樹脂(A−6)として用いた。結晶性樹脂(A−6)のMwは18,000であった。
〔結晶性樹脂(A−7)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a1−7)931部とセグメント(a2)80部に変更する以外は製造例9と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−7)を得た。結晶性樹脂(A−7)のMwは37,900であった。
〔非晶性ポリエステル樹脂(B−1)の合成〕
反応槽中に、1,2−プロピレングリコール522部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物1部、テレフタル酸468部、アジピン酸90部、安息香酸20部、無水トリメリット酸26部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら20時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、更に0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。
Tmが130℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−1)を取り出した。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、更に0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが105℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸14部(0.07モル)加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−2)を取り出した。
〔非晶性ポリエステル樹脂(B−2)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物322部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物419部、テレフタル酸274部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが100℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸42部加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−3)を得た。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、更に0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。酸化が1未満になったところで常圧にもどし、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−4)を得た。
〔結晶性セグメント(a’1−1)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、アジピン酸(y2−4)631部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)524部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a’1−1)を得た。結晶性ポリエステル(a’1−1)のSPa1は10.2であった。(a’1−1)のTpは56℃であった。前記した樹脂(B−1)とセグメント(a’1−1)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
〔結晶性セグメント(a’1−2)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、セバシン酸(y2−1)678部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)419部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a’1−2)を得た。結晶性ポリエステル(a’1−2)のSPa1は9.9であった。(a’1−2)のTpは68℃であった。前記した樹脂(B−1)とセグメント(a’1−2)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
〔結晶性セグメント(a’1−3)の合成〕
製造例1において、セバシン酸(y2−1)704部、オクタン酸(y1−1)0.63部、ノナン酸(y1−2)0.49部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)421部を、テレフタル酸(y2−5)716部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1)439部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a’1−3)を得た。結晶性ポリエステル(a’1−3)のSPa1は11.5であった。(a’1−3)のTpは137℃であった。前記した樹脂(B−1)とセグメント(a’1−3)とをそれぞれ混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体に濁りがなかった。
〔結晶性樹脂(A’1)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a’1−1)966部とセグメント(a2)82部に変更する以外は製造例9と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A’1)を得た。結晶性樹脂(A’1)のMwは12,000であった。
〔結晶性樹脂(A’2)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a’1−2)966部とセグメント(a2)82部に変更する以外は製造例9と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A’2)を得た。結晶性樹脂(A’2)のMwは13,000であった。
〔結晶性樹脂(A’3)の合成〕
製造例9において、結晶性セグメント(a1−1)931部とセグメント(a2)80部を、結晶性セグメント(a’1−3)966部とセグメント(a2)82部に変更する以外は製造例9と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A’3)を得た。結晶性樹脂(A’3)のMwは5,800であった。
製造例及び比較製造例で得られた結晶性樹脂(A)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)を用いて、表1の配合比(重量部)に従い、結晶性樹脂(A)及び必要により非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有するトナー用樹脂(N−1)〜(N−4)、(N−7)、(N’−1)〜(N’−3)並びにトナー用樹脂(N−1)〜(N−4)、(N−7)、(N’−1)〜(N’−3)と添加剤とを含有するトナー原料を下記の方法でトナー化し、トナー(T−1)〜(T−4)、(T−7)、(T’−1)〜(T’−3)を得た。
なお、着色剤(C−1)としてカーボンブラック[三菱化学(株)製のMA−100]、離型剤(D−1)としてポリオレフィンワックス[三洋化成工業(株)製のビスコール550P]、荷電制御剤(E−1)としてアイゼンスピロンブラック[保土谷化学(株)製のT−77]、流動化剤(F−1)としてコロイダルシリカ[日本アエロジル製のアエロジルR972]を使用した。
ついで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
更に、トナー粒子100部に流動化剤(F−1)0.5部をサンプルミルにて混合して、トナーを得た。
製造例で得られた結晶性樹脂(A)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)を用いて、表1の配合比(重量部)に従い、結晶性樹脂(A)及び必要により非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有するトナー用樹脂(N−5)〜(N−6)並びにトナー用樹脂(N−5)〜(N−6)と添加剤とを含有するトナー原料を下記の方法でトナー化し、トナー(T−5)〜(T−6)を得た。
なお、着色剤(C−1)としてカーボンブラック[三菱化学(株)製のMA−100]、離型剤(D−1)としてポリオレフィンワックス[三洋化成工業(株)製のビスコール550P]、荷電制御剤(E−1)としてアイゼンスピロンブラック[保土谷化学(株)製のT−77]、流動化剤(F−1)としてコロイダルシリカ[日本アエロジル製のアエロジルR972]を使用した。
ついで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
更に、トナー粒子100部に凍結粉砕により微粉砕した結晶性樹脂(A)2.0部と流動化剤(F−1)0.5部をサンプルミルにて混合して、トナーを得た。
表1に示す割合で配合した結晶性樹脂(A)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)の混合物約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、下記の昇温条件でDSCの測定を行った。
装置: Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温し(第1回目の昇温過程)、次いで、180℃で10分間放置後、10℃/分の条件で0℃まで冷却し(第1回目の冷却過程)、次いで、0℃で10分間放置した後、10℃/分の条件で180℃まで昇温した(第2回目の昇温過程)。
第1回目の昇温過程の最初(30℃)から第2回目の昇温過程が終了するまで(180℃)、DSCを測定した。
(S2/S1)×100の値を表1に示す。また、DSCにより測定した第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱熱量(J/g)を、「(A)由来の吸熱量(J)/g」として表1に示す。
上記で測定したTg2及び(Tg1−Tg2)を表1に示す。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点Tg1+30(℃)が結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)より高い場合は(Tg1+30)(℃)の温度において、(Tg1+30)がTpより低い場合はTpの温度において、混合物の全体又は一部分に濁りがあるかを目視で観察した。
[相溶性の判定基準]
◎:一部濁りあり
○:全体に濁りあり
×: 透明
以下に得られたトナーの低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット試験の測定方法、評価方法及び判定基準を説明する。
トナーを紙面上に0.6mg/cm2となるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm2の条件で通したときのコールドオフセットの発生温度である低温定着温度を測定した。
低温定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。トナーの低温定着温度(℃)を、表3及び表4に、低温定着性(℃)として示した。
低温定着性と同様に定着評価を行った。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度を測定した。
◎:20以上
○:15以上20未満
△:10以上15未満
×:10未満
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
ホソカワミクロン製パウダーテスターでトナーのかさ密度(g/100mL)を測定し、流動性を下記の判定基準で判定した。△以上(30g/100mL以上)が実用範囲である。
◎:36以上
○:33以上36未満
△:30以上33未満
▲:27以上30未満
×:27未満
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
×:ブロッキングが発生している。
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
◎:0.8以上
○:0.7以上0.8未満
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
トナーを二軸混練機で混練、冷却した粗粉砕物(8.6メッシュパス〜30メッシュオンのもの)を、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]により下記の条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.5MPa
粉砕時間:10分
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
これを分級せずに、体積平均粒径(μm)をコールターカウンター−TAII(米国コールター・エレクトロニクス社製)により測定し、下記の判定基準で粉砕性を評価した。
◎:10未満
○:10以上11未満
△:11以上12未満
×:12以上
低温定着温度の測定に使用したテスト用紙(低温定着性の評価で得られた、画像が定着された紙)を、JISK5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。
鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。
低温定着温度の測定に使用したテスト用紙を画像面が内側になるように紙を折り曲げ、30gの加重で5往復擦った。
紙を広げて、画像上の折り曲げたあとの白すじの有無を目視で判定した。
[判定基準]
○:白すじなし
△:わずかに白すじあり
×:白すじあり
低温定着性の評価で得られた画像が定着されたA4の紙2枚を、定着面同士で重ね合わせ、420gの加重(0.68g/cm2)をかけ、65℃で10分間静置した。
重ね合わせた紙同士を引き離したときの状態について、下記の判定基準でドキュメントオフセット性を評価した。
○:抵抗なし
△:パリパリと音がするが、紙面から画像は剥がれない
×:紙面から画像が剥がれる
Claims (16)
- アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性樹脂(A)を含有するトナー用樹脂であって、カルボン酸成分(y)がポリカルボン酸(y2)及びアルキル基の炭素数が5〜10であるアルキル基を有するモノカルボン酸(y1)を含み、トナー用樹脂が30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温、10℃/分の条件で0℃まで冷却、10℃/分の条件で180℃まで昇温した際の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に吸熱ピークを有し、ピークトップの温度Tpが40℃〜100℃であるトナー用樹脂。
- モノカルボン酸(y1)の含有量がカルボン酸成分(y)の合計重量に対して0.01〜3重量%である請求項1に記載のトナー用樹脂。
- モノカルボン酸(y1)として2種以上のモノカルボン酸を含む請求項1又は2に記載のトナー用樹脂。
- 同一のトナー用樹脂について2回の示差走査熱量測定を連続して行った場合に、1回目の測定で得られるDSC曲線の吸熱ピーク面積S1と、2回目の測定で得られるDSC曲線の吸熱ピーク面積S2とが下記の関係式(1)を満たすことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のトナー用樹脂。
35≦(S2/S1)×100≦100 (1)
[但し、トナー用樹脂を30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温した際のDSC曲線から得られる吸熱ピーク温度を第1回目の測定で得られる結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積S1、1回目の昇温を終えた後、10℃/分の条件で0℃まで冷却して再び30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温した際のDSC曲線から得られる吸熱ピーク温度を2回目の測定で得られる結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積S2とする。] - 前記吸熱ピーク面積S2が、1〜30J/gである請求項4記載のトナー用樹脂。
- 結晶性樹脂(A)が、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基及びビニル基からなる群から選ばれる1種以上の基を有する請求項1〜5いずれか記載のトナー用樹脂。
- 更に、非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有する請求項1〜6いずれか記載のトナー用樹脂。
- 非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点Tg1(℃)と、トナー用樹脂のガラス転移点のうちの樹脂(B)由来のガラス転移点Tg2(℃)とが下記の関係式(2)を満たす請求項7に記載のトナー用樹脂。
0≦Tg1−Tg2≦15 (2) - 非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)との重量比(B)/(A)が50/50〜95/5である請求項7又は8記載のトナー用樹脂。
- 結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)が、非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点Tg1+30(℃)以下である場合には、トナー用樹脂をTg1+30(℃)に加熱した場合において、
Tpが(Tg1+30)を超える場合にはトナー用樹脂をTp(℃)に加熱した場合において、トナー用樹脂の全体又は一部分に濁りがある請求項7〜9いずれか記載のトナー用樹脂。 - 結晶性樹脂(A)が、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有する請求項7〜10いずれか記載のトナー用樹脂。
- セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たす請求項11記載のトナー用樹脂。
|SPa1−SPB|≦1.9 (3)
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
[但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは非晶性ポリエステル樹脂(B)のSP値を表す。] - 非晶性ポリエステル樹脂(B)の酸価が30mgKOH/g以下である請求項7〜12いずれか記載のトナー用樹脂。
- 非晶性ポリエステル樹脂(B)の水酸基価が50mgKOH/g以下である請求項7〜13いずれか記載のトナー用樹脂。
- ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより非晶性ポリエステル樹脂(B)の分子量を測定したクロマトグラムにおいて、非晶性ポリエステル樹脂(B)の分子量1,000以下のピーク面積が全ピーク面積の10%以下である請求項7〜14いずれか記載のトナー用樹脂。
- 請求項1〜15いずれか記載のトナー用樹脂及び着色剤を含有することを特徴とするトナー。
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JP2016115724 | 2016-06-09 | ||
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