JP2016191918A - トナーバインダーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 酸価が5KOHmg/g未満であり、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物(x1)のジオール成分(x)とジカルボン酸成分(y)を重縮合したポリエステル樹脂(A)と、酸価が5KOHmg/g以上30KOHmg/g以下であるポリエステル樹脂(B)との溶融混合物に、多価イソシアネート化合物(D)を反応させてウレタン変性ポリエステル樹脂(C)を得る工程を含むことを特徴とする製造方法により得られたトナーバインダーを用いる。
【選択図】 なし
Description
トナーの定着温度を低くする手段として、結着樹脂のガラス転移点を低くする技術が一般的に使用されている。しかしながら、ガラス転移点を低くし過ぎると、粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなりトナーの保存性が低下するため、ガラス転移点の下限は実用上50℃である。このガラス転移点は、結着樹脂の設計ポイントであり、ガラス転移点を下げる方法では、更に低温定着可能なトナーを得ることはできない。
また、別の手段として、分子量を小さくすることが行われている。しかしながら、分子量を小さくしすぎると、トナー画像を熱ロール定着方式により定着する場合には定着時に熱ロールと溶融状態のトナーとが直接接触するが、このとき熱ロール上に移行したトナーが次に送られてくる転写紙等を汚す、いわゆるオフセット現象が生じ易いという欠点がある。
しかしながら、この方法でも同様に高温でのオフセット現象はある程度防止できても、同時に光沢性が悪化したり、定着下限温度も上昇するため低温定着が困難となり、未だ高速化、省エネルギー化の要求には十分に答えられていない。
すなわち、本発明は、トナーバインダーの製造方法において、酸価が5KOHmg/g未満であり、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物(x1)のジオール成分(x)とジカルボン酸成分(y)を重縮合したポリエステル樹脂(A)と、酸価が5KOHmg/g以上30KOHmg/g以下であるポリエステル樹脂(B)との溶融混合物に、多価イソシアネート化合物(D)を反応させてウレタン変性ポリエステル樹脂(C)を得る工程を含むことを特徴とするトナーバインダーの製造方法である。
そして、このポリエステル樹脂(A)はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(x1)を含むジオール成分(x)とジカルボン酸成分(y)を重縮合して得られるものであるが、その酸価は5KOHmg/g未満である。
一方、ポリエステル樹脂(B)の酸価は5KOHmg/g以上30KOHmg/g以下である。
以下に、順次、説明する。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(x1)を使用しない場合は、得られたポリエステル樹脂(A)の溶融性が悪化し、(x1)を使用する場合と比較して、低温定着性と耐熱保存性が悪化する。
また、(x1)中のビスフェノールAのEO1モル付加物の含有量は、保存性の観点から1.5%以下が好ましく、更に好ましくは1.2%以下である。
下記の条件で上澄み液のガスクロマトグラフィーによる分析を行い、ビスフェノールAの未反応物、ビスフェノールAのEO1、2、3、4モル以上付加物のピーク面積中の1モル付加物の面積、2モル付加物の面積、3モル付加物の面積、および4モル付加物の面積を百分率で表したものを、それぞれビスフェノールAのEO1モル付加物の含有量、EO2モル付加物の含有量、EO3モル付加物の含有量、およびEO4モル付加物の含有量とする。
なお、本発明の実施例、比較例に用いたビスフェノールAのEOモル付加物中に、ビスフェノールAの未反応物、5モル以上付加物は存在しなかった。
ガスクロマトグラフィー:GC―14B〔(株)島津製作所製〕
キャリアーガス:ヘリウム
流量:5mL/分
検出器:水素炎イオン化検出器
水素圧力:0.6kg/cm2
空気圧力:0.5kg/cm2
カラム温度:200〜300℃(昇温速度:15℃/分)
また(A)として2種類以上を含有していてもいいし、(B)としても2種類以上を含有していてもよい。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
分子量の測定は、0.25重量%になるようにポリエステル樹脂等をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
チャート中のピークは1つとは限らないので、複数のピークがある場合は、複数のピークの中でカウント数が最大値を示すピークを採用してピーク分子量を求める。
なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定され、測定条件は、以下のとおりである。
酸価が5KOHmg/g未満であるとトナーとして用いた時の低温定着性、光沢性がより良好となる。
酸価が5KOHmg/g以上30KOHmg/g以下であると、トナーとして用いた時の低温定着性、帯電性、光沢性がより良好となる。
水酸基価が80mgKOH/g以下であるとトナーとして用いた時の低温定着性、光沢性がより良好となる。
水酸基価が5mgKOH/g以下であると、トナーとして用いた時の低温定着性、光沢性が良好となる。これは、多価イソシアネート化合物(D)と反応させてウレタン変性ポリエステル樹脂(C)を得る際に、水酸基価が5mgKOH/g以下であればポリエステル樹脂(B)の反応点が少なくなり、ポリエステル樹脂(B)を低粘度にすることができるためと考えられる。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えばセイコーインスツル(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる
炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールAの2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等);
上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン及びオキシプロピレン等)以下のポリオキシアルキレン基も同じ〕エーテル〔オキシアルキレン単位(以下、AO単位と略記することがある。)の数1〜30〕;
2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(X1)を除くビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);等が挙げられる。
[式中、Xは炭素数1〜3のアルキレン基、−SO2−、−O−、−S−、または直接結合を表し;Arは、ハロゲン原子または炭素数1〜30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
保存安定性の観点からさらに好ましくは、アジピン酸、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらの併用である。
特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、安息香酸、トリメリット酸、及びこれらの併用である。これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは160〜250℃、とくに好ましくは170〜235℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに好ましくは2〜40時間である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
チタン含有触媒としては、チタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)等が挙げられる。
アンチモン含有触媒としては、三酸化アンチモン等が挙げられる。
ジルコニウム含有触媒としては、酢酸ジルコニル等が挙げられる。
ニッケル含有触媒としては、ニッケルアセチルアセトナート等が挙げられる。
アルミニウム含有触媒としては、水酸化アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド等が挙げられる。
上記および以下において、%は、特に断りの無い場合は重量%を意味する。
イソシアヌレート3量体とは、ジイソシアネートモノマー3分子からなり、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートであり、例えば、下記の化学式(3)で表される化合物などが挙げられる。
さらに3〜8価のポリイソシアネート化合物(D1)のうち、イソシアヌレート、ビウレットの化学構造を含むポリイソシアネート化合物(D11)がさらに好ましい。
例えばポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との混合物を二軸押出機に一定速度で注入し、同時に多価イソシアネート化合物(D)も一定速度で注入し、150℃で混練搬送しながら反応を行わせる方法;反応容器にポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を仕込み、溶液状態となる温度に加熱し、混合するような方法などがある。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、さらに好ましくは40〜120重量部である。
荷電制御剤はトナー重量に基づき、0〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜7.5重量%である。
流動化剤はトナー重量に基づき、0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜4重量%である。
また、添加剤の合計量はトナー重量に基づき、3〜70重量%、好ましくは4〜58重量%、特に好ましくは5〜50重量%である。トナーの組成比が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのEOの平均2.2モル付加物(X1−1)(三洋化成工業製ニューポールBPE−20:EO2モル付加物の純度約81%)500部を仕込み120℃に昇温した。120℃にて溶解させた後、100℃まで冷却した。そこへ、100℃のイオン交換水500部を仕込み、100℃にて1時間撹拌した後、上層の水相を抜き取った。これを3回繰り返した後、130℃で0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間脱水し、ビスフェノールAのEO1モル付加物の含有量が1.2%、ビスフェノールAのEO2モル付加物の含有量が93%、ビスフェノールAのEO3モル付加物の含有量が4.8%のビスフェノールAのEOの平均2.0モル付加物(X1−2)を得た。
撹拌機および窒素導入管の付いた加圧反応槽中に、ビスフェノールA277部、イオン交換水138.5部、トリエチルアミン2部を仕込み、窒素置換を2回行った。その後、130℃に昇温し、0.3MPaの加圧下、EO176部を2時間かけて滴下した。その後、2時間反応させ、取り出した。その後、0.5〜2.5kPaの減圧下130℃で4時間脱水し、ビスフェノールAのEO1モル付加物の含有量が0.1%、ビスフェノールAのEO2モル付加物の含有量が18%、ビスフェノールAのEO3モル付加物の含有量が69%、ビスフェノールAのEO4モル付加物の含有量が13%のビスフェノールAのEOの平均3.0モル付加物(X1−3)を得た。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO付加物(X1−2)693部(97.5モル%)、トリメチロールプロパン8部(2.5モル%)テレフタル酸135部(42.0モル%)、アジピン酸164部(58.0モル%)、縮合触媒としてジブチル錫オキシド0.6部を入れ、220℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。さらに、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させ、酸価が1未満になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(A−1)を得た。
ポリエステル樹脂(A−1)の酸価は1、水酸基価は36、Tgは35℃だった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例3と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(A−2)、(A−3)、(A−4)を得た。
表1に酸価と水酸基価およびTgを記載した。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例3と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(A’−1)、(A’−2)を得た。
なお、比較製造例2ではアルコール成分としてビスフェノールA・PO2.0モル付加物(三洋化成工業製ハイマーBP−2P)を用いた。
ポリエステル樹脂(A’−1)は酸価が10のため、本発明のポリエステル樹脂(A)には該当しない。また、ポリエステル樹脂(A’−2)はビスフェノールAのEO付加物(x1)を使用しないため、本発明のポリエステル樹脂(A)には該当しない。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2.0モル付加物(三洋化成工業製ハイマーBP−2P)698部(100.0モル%)、安息香酸72部(27.2モル%)、縮合触媒としてジブチル錫オキシド1.5部を入れ、200℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。次にテレフタル酸261部(72.8モル%)、縮合触媒としてジブチル錫オキシド1.5部を入れ、次いで230℃まで徐々に昇温しながら、0.5〜2.5kPaの減圧下に4時間反応させた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸34部を加え、常圧密閉下2時間反応後、220℃、常圧で反応させ、水酸基価が5未満になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(B−1)を得た。
ポリエステル樹脂(B−1)の酸価は18、水酸基価は1、Tgは57℃だった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表2に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例7と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(B−2)を得た。
表2に酸価と水酸基価およびTgを記載した。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表2に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例7と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(B’−1)、(B’−2)を得た。
このポリエステル樹脂(B’−1)は酸価が4のため、また(B’−2)は酸価が32のため、本発明のポリエステル樹脂(B)には該当しない。
ポリエステル樹脂(A−1)10部とポリエステル樹脂(B−1)90部を粉体混合した後、二軸混練器(栗本鉄工所製, S5KRCニーダー)に10kg/hrで供給し、同時に多価イソシアネート化合物(D)としてデュラネートTPA−100(イソシアヌレート化合物、旭化成ケミカルズ製) (D−1)3.4部を0.34kg/hrで供給して150℃で30分間混練押出反応を行った。得られたものを冷却し、樹脂(C−1)を得た。
表3に示したポリエステル樹脂(A−1)〜(A−4)とポリエステル樹脂(B−1)、(B−2)と、伸長剤(D−1)を仕込み、実施例1に準じて反応を行い樹脂(C−2)〜(C−5)を得た。
表3に示したポリエステル樹脂(A−1)、(A−2)、(A’−1)、(A’−2)とポリエステル樹脂(B−1)、(B−2)、(B’−1)、(B’−2)と伸長剤(D−1)を仕込み、実施例1に準じて反応を行い樹脂(C’−1)〜(C’−6)を得た。
樹脂(C−1)85部に対して、顔料のカーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]6部、離型剤のカルナバワックス4部、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)]4部を加え下記の方法でトナー化した。まず、ヘンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に流動化剤としてコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)1部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T−1)を得た。
表4に記載した原料の配合で、実施例6と同様にトナーを製造し、トナー(T−2)〜(T−5)を得た。つぎに実施例6と同様に評価し、その結果を表4に示した。
表4に記載した原料の配合で、実施例6と同様にトナーを製造し、トナー(T’−1)〜(T’−6)を得た。つぎに実施例6と同様に評価し、その結果を表4に示した。
以下に得られたトナーの低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット試験の測定方法、評価方法、判定基準を説明する。
トナーを紙面上に0.8mg/cm2となるよう均一に載せる。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm2の条件で通した時のコールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
低温定着性と同様に定着評価を行う。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度(%)を測定した。光沢度が高いほど、光沢性に優れることを意味する。
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
ホソカワミクロン製パウダーテスターでトナーのかさ密度(g/100ml)を測定し、流動性を下記の判定基準で判定した。
○:30以上
△:25以上30未満
×:25未満
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
△:一部にブロッキングが発生している。
×:全体にブロッキングが発生している。
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿する。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×20分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間20分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
○:0.7以上
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
二軸混練機で混練、冷却した粗粉砕物(8.6メッシュパス〜30メッシュオンのもの)を、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]により下記の条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.5MPa
粉砕時間:10分
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
これを分級せずに、体積平均粒径(μm)をコールターカウンター−TAII(米国コールター・エレクトロニクス社製)により測定し、下記の判定基準で粉砕性を評価した。
◎: 10μm未満
○: 10μm以上11μm未満
△: 11μm以上12μm未満
×: 12μm以上
低温定着性の評価で定着した画像を、JIS K5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。
鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。
低温定着性の評価で定着した画像を画像面が内側になるように紙を折り曲げ、30gの加重で3往復擦る。
紙を広げて、画像上の折り曲げたあとの白すじの有無を目視で判定した。
[判定基準]
○:白すじなし
△:わずかに白すじあり
×:白すじあり
低温定着性の評価で得られた画像が定着されたA4の紙2枚を、定着面同士で重ね合わせ、420gの加重(0.68g/cm2)をかけ、60℃で30分間静置する。
重ね合わせた紙同士を引き離したときの状態について、下記の判定基準でドキュメントオフセット性を評価した。
○:抵抗なし
△:パリパリと音がするが、紙面から画像は剥がれない
×:紙面から画像が剥がれる
一方、酸価が10の(A’−1)を用いた比較例7のトナーは耐熱保存性、対折り曲げ性が不良であり、ビスフェノールAのEO付加物(X1)を使用しない(A’−2)を用いた比較例8のトナーは低温定着性、光沢性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、画像強度、ドキュメントオフセット性が不良であった。
酸価が4の(B’−1)を用いた比較例9のトナーは低温定着性、光沢性、帯電安定性が不良であり、酸価が32の(B’−2)を用いた比較例10のトナーは耐熱保存性が不良である。また、ポリエステル樹脂(B)を併用しない比較例11のトナーは低温定着性、光沢性、ホットオフセット性、流動性、帯電安定性、画像強度、耐折り曲げ性が不良である。さらに、ポリエステル樹脂(A)を併用しない比較例12のトナーは低温定着性、光沢性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、ドキュメントオフセット性が不良であった。
さらに、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、電子ペーパー用粒子などの用途の感光性樹脂組成物として好適である。
Claims (8)
- 酸価が5KOHmg/g未満であり、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物(x1)のジオール成分(x)とジカルボン酸成分(y)を重縮合しているポリエステル樹脂(A)と、酸価が5KOHmg/g以上30KOHmg/g以下であるポリエステル樹脂(B)との溶融混合物に、多価イソシアネート化合物(D)を反応させてウレタン変性ポリエステル樹脂(C)を得る工程を含むことを特徴とするトナーバインダーの製造方法。
- ポリエステル樹脂(A)の水酸基価が10〜80KOHmg/gで、ポリエステル樹脂(B)の水酸基価が5KOHmg/g以下である請求項1記載のトナーバインダーの製造方法。
- ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が−35〜45℃である請求項1または2に記載のトナーバインダーの製造方法。
- 多価イソシアネート化合物(D)が3〜8価のポリイソシアネート化合物(D1)である請求項1〜3いずれかに記載のトナーバインダーの製造方法。
- 多価イソシアネート化合物(D)が、イソシアヌレートおよびビウレットからなる群から選ばれる1種以上のポリイソシアネート化合物(D11)である請求項1〜4いずれかに記載のトナーバインダーの製造方法。
- ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(x1)のエチレンオキサイドの平均付加モル数が2〜4である請求項1〜5いずれかに記載のトナーバインダーの製造方法。
- ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物(x1)中のビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含有量が85重量%以上である請求項1〜6いずれかに記載のトナーバインダーの製造方法。
- ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の重量比(A)/(B)が1/99〜45/55である請求項1〜7いずれかに記載のトナーバインダーの製造方法。
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