JP2016224432A - トナーバインダーおよびトナー - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、この方法でも同様に高温でのオフセット現象はある程度防止できても、同時に定着下限温度も上昇するため低温定着が困難となり、さらに樹脂の均一性が損なわれ耐熱保存性も悪化し、未だ高速化、省エネルギー化の要求には十分に答えられていない。
すなわち、本発明は、
カルボン酸成分(x)とアルコール成分(y)とオキサゾリン化合物(a)を構成原料とするポリエステル樹脂(A)を含有し、−20℃〜80℃の温度範囲に示差走査熱量測定(DSC)によるチャートでガラス転移温度(Tg)を示す変曲点を少なくとも1個有し、アミド基濃度が0.07〜3.00ミリモル/gであり、かつ界面活性剤の含有量が100ppm以下であること特徴とするトナーバインダー;このトナーバインダー及び着色剤を含有し、界面活性剤の含有量が100ppm以下であるトナーである。
以下に、本発明のトナーバインダーを順次、説明する。
ここでアミド基とは、−NHCO−結合のことである。アミド基濃度(ミリモル/g)は、単位質量あたりのトナーバインダーに含まれるアミド結合の数である。本発明のアミド基はカルボキシル基とオキサゾリン基が反応したときに得られるアミドエステル由来のアミド基のことである 。
そして、本発明のトナーバインダーは示差走査熱量測定(DSC)により得られるチャートの−20℃〜80℃の温度範囲に、ガラス転移温度(Tg)を示す変曲点を少なくとも1個有する。Tgを示す変曲点は全体で2個以上あってもよい。さらに、本発明のトナーバインダーは、その製造時に界面活性剤を一切使用せず、そのため界面活性剤を実質的に添加しないため、仮に含んでいたとしても含有量が100ppm以下である。
また、ポリエステル樹脂(A)は単独で含有してもいいし、条件を満足する2種以上のポリエステル樹脂(A)の組み合わせでもいいし、さらに、ポリエステル樹脂(A)を除く、別の線形ポリエステル樹脂(B)との併用でもよく、低温定着性と光沢性および耐ホットオフセット性を両立し易い点で別の線形ポリエステル樹脂(B)との併用が好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、1種類以上のカルボン酸成分(x)と1種類以上のアルコール成分(y)の重縮合と、1種類以上のカルボン酸成分(x)と1種類以上のオキサゾリン化合物(a)の重付加により得られる。
カルボン酸成分(x)として、これらのカルボン酸の、無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよいし、これらのカルボン酸と併用してもよい。
保存安定性の観点からさらに好ましくは、アジピン酸、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらの併用である。
特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びこれらの併用である。これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等);
上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン及びオキシプロピレン等)以下のポリオキシアルキレン基も同じ〕エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30〕;
2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);等が挙げられる。
[式中、Xは炭素数1〜3のアルキレン基、−SO2−、−O−、−S−、または直接結合を表し;Arは、ハロゲン原子または炭素数1〜30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
これらの中で好ましくはEO及び/又はPOである。AOの付加モル数は、好ましくは2〜30モル、さらに好ましくは2〜10モルである。
ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルのうち、トナーの定着性の観点から好ましいものは、ビスフェノールAのEO及び/又はPO付加物(平均付加モル数2〜4、特に2〜3)である。
糖類及びその誘導体、例えばショ糖及びメチルグルコシド);
上記脂肪族多価アルコールの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(AO単位の数1〜30);
トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);
ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等、平均重合度3〜60)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)等が挙げられる。
保存安定性の観点からさらに好ましいものは、炭素数2〜10のアルキレングリコール、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜5)、ノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
特に好ましくは、炭素数2〜6のアルキレングリコール、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜5)であり、最も好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜3)である。
(1)カルボン酸成分(x)とアルコール成分(y)とオキサゾリン化合物(a)を投入し、重縮合と重付加と同時に行い、ポリエステル樹脂(A)を製造する方法
(2)一旦、カルボン酸成分(x)とアルコール成分(y)からポリエステル樹脂(A)の前駆体(P)を重合した後に、オキサゾリン化合物(a)を投入し、重付加を行ってポリエステル樹脂(A)を製造する方法
(3)一旦、カルボン酸成分(x)とオキサゾリン化合物(a)からポリエステル樹脂(A)の前駆体(Q)を重合した後に、アルコール成分(y)を投入し、重縮合を行ってポリエステル樹脂(A)を製造する方法
これらのうち、一旦、ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P)を重合した後に、ポリエステル樹脂(A)を製造する(2)の方法が反応速度の制御や樹脂の均一性の点で好ましい。
なお、GPC測定の測定条件は、以下のとおりである。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
分子量の測定は、0.25重量%になるようにポリエステル樹脂等をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えばセイコーインスツル(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P)の酸価、水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定することができる。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えばセイコーインスツル(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは160〜250℃、とくに好ましくは170〜235℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに好ましくは2〜40時間である。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で示差走査熱量測定され、DSCによるチャートでガラス転移温度(Tg)を示す変曲点を確認することができる。例えばセイコーインスツル(株)製DSC20、SSC/580を用いて測定できる。
上記測定から吸発熱量と温度とのグラフを描き、そのグラフの低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
(1)トナーバインダー中の酸価を、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定し、定量を行い以下の計算式に従って算出され得る方法。
C(mmol/g)={(前駆体(P)の酸価×トナーバインダー中の前駆体(P)の重量比)−トナーバインダーの酸価}/56100×1000
C(mmol/g)={(使用したオキサゾリン化合物の量(g)−トナーバインダー中のオキサゾリン化合物の量(g))/使用したオキサゾリン化合物の量}×反応前の理論オキサゾリン基量(mmol/g)/トナーバインダーの重量(g)
1)トナーバインダーの粉砕品約0.5gを精秤し、その重さをS(g)とする。
2)200ml三角フラスコにトナーバインダーの粉砕品を入れ、THF50mlを加え、フェノールフタレイン指示薬を数滴加え、0.1規定のKOH・THF溶液を用いて滴定する。この時のKOH溶液の量をA(ml)とする。同時にブランクテストをし、この時のKOH溶液量をB(ml)とする。
3)次式によりトナーバインダーの酸価を測定する。
トナーバインダーの酸価=(A−B)×f×5.61÷S(f:KOH溶液の力価)
(1)<サンプル調製>トナーバインダー200mgをスクリュー管に秤量し、メタノール25mlを入れ30分超音波を当てオキサゾリン化合物を抽出する。その後、遠心分離をかけ、上澄みをサンプリングし、ろ過して測定用サンプルを調製する。
分析装置:LCMS−8030(島津製作所製)
カラム:InertSustainSwift(GLサイエンス社製)粒子径1.9μm、内径2.1mm、長さ50mm
移動相:A(酢酸アンモニウム水溶液/メタノール=80/20)
Bメタノール A/B=40/60
流速:0.3mL/分
注入量:0.2μl
イオン源:ESI(±)
G’x150/G’x180≦10 (2)
G’ x150/G’ y150≧30 (3)
G’x150≧10,000 (1)
G’x150が10,000以上であると、高温領域でも実用範囲において粘度が低くなりすぎないと考えられ、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となるので好ましい。
G’x150/G’x180は更に好ましくは9以下であり、特に好ましくは0.1〜8である。
G’x150、G’x18010以下であると、高温領域でも実用範囲において粘度が低くなりすぎないと考えられ、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となるので好ましい。
左辺のG’ x150/G’ y150は更に好ましくは32〜5,000であり、特に好ましくは34〜1,000である。
G’x150、G’ y150が30以上であると、高温領域でも実用範囲において粘度が低くなりすぎないで、さらに低温領域では低粘度化しやすくなると考えられ、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となり、低温定着性も良好となるので好ましい。
さらに好ましくは左辺のG’ x60の上限は更に好ましくは10,000,000、特に好ましくは5,000,000、最も好ましくは1,000,000であり、下限は更に好ましくは50,000、特に好ましくは100,000である。
G’ x60が50,000,000以下であると、低温領域では低粘度化しやすくなると考えられ、低温定着性が良好となるので好ましい。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。室温まで冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧し、THFを完全に除去するまで乾燥する。乾燥して得られた樹脂をトナーバインダー中のTHFに対する不溶解分とした。
つぎに、上記グラスフィルターにてろ別した溶解液を80℃で3時間減圧し、THFを完全に除去するまで乾燥する。ここで得られた樹脂分をトナーバインダー中のTHFに対する溶解分とした。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/分
昇温開始:100℃
昇温終了:200℃
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :8mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/分
昇温開始:40℃
昇温終了:130℃
Tmxは更に好ましくは170以上245以下であり、特に好ましくは190以上240以下である。
Tmxが150以上250以下であると、高温領域でも実用範囲において粘度が高く維持され、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となるので好ましい。
左辺のTmx−Tmyの下限は更に好ましくは72、特に好ましくは74であり、上限は更に好ましくは130、特に好ましくは110である。
Tmx−Tmyが70以上であると、高温領域でも実用範囲において粘度が低くなりすぎないで、さらに低温領域では低粘度化しやすくなると考えられ、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となり、低温定着性も良好となるので好ましい。
<軟化点〔Tm〕>
降下式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔Tm〕とする。
トナーバインダーはポリエステル樹脂(A)を含有していればとくに限定されず、たとえば2種類のポリエステル樹脂や添加剤を混合する場合、混合方法は通常行われる公知の方法でよく、粉体混合、溶融混合、溶剤混合のいずれでもよい。また、トナー化時に混合してもよい。この方法の中では、均一に混合し、溶剤除去の必要のない溶融混合が好ましい。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
また、溶融混合する方法がこれら具体的に例示された方法に限られるわけではなく、例えば反応容器中に原料を仕込み、溶液状態となる温度に加熱し、混合するような方法など適宜の方法で行うことができることはもちろんである。
界面活性剤とは分子内に疎水部分と親水部分の両方を有する化合物で、水相中で粒子を造粒する乳化凝集法、懸濁重合法、乳化重合等により得られるケミカルトナーを製造するときに一般的に使用する界面活性剤のことである。水相中で樹脂、モノマー、重合開始剤、着色剤、離型剤等から安定な油滴を形成させるために必要となる。
しかし、本発明のトナーは、界面活性剤の使用が必要なケミカルトナーではなく、界面活性剤を使用しない製造方法、例えば粉砕法でトナーを製造するために、界面活性剤を実質的に添加しないため、仮に含んでいたとしても含有量が100ppm以下である。トナーの界面活性剤の含有量は、好ましくは20ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、特に好ましくは5ppm以下である。
(1)<サンプル調製>トナーまたはトナーバインダー200mgをスクリュー管に秤量し、メタノール25mlを入れ30分超音波を当て界面活性剤を抽出する。その後、遠心分離をかけ、上澄みをサンプリングし、ろ過して測定用サンプルを調製した。
分析装置:LCMS−8030(島津製作所製)
カラム:InertSustainSwift(GLサイエンス社製)粒子径1.9μm、内径2.1mm、長さ50mm
移動相:A(酢酸アンモニウム水溶液/メタノール=80/20)
Bメタノール A/B=40/60
流速:0.3mL/分
注入量:0.2μl
イオン源:ESI(±)
なお、今回の上記の定量分析方法では、界面活性剤量5ppm以下が検出限界のため、表1で、粉砕法による実施例すべてと一部の比較例は界面活性剤量5ppm以下の場合検出されずとした。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、さらに好ましくは40〜120重量部である。
荷電制御剤はトナー重量に基づき、0〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜7.5重量%である。
流動化剤はトナー重量に基づき、0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜4重量%である。
また、添加剤の合計量はトナー重量に基づき、3〜70重量%、好ましくは4〜58重量%、特に好ましくは5〜50重量%である。トナーの組成比が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物701部(46.7モル%)、テレフタル酸227部(29.8モル%)、縮合触媒としてジブチル錫オキシド1.5部を入れ、0.5〜2.5kPaの減圧下、230℃で、生成する水を留去しながら4時間反応させた。次いで200℃まで冷却し、アジピン酸157部(23.5モル%)を加え、0.5〜2.5kPaの減圧下、4時間反応した後取り出し、ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P−1)を得た。
ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P−1)の酸価は31であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO3モル付加物735部(50.9モル%)、テレフタル酸228部(37.0モル%)、縮合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5部を入れ、加圧下、220℃で、生成する水を留去しながら10時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。酸価が5未満になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸86部(12.1モル%)加え、2時間反応した後取り出し、ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P−2)を得た。
ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P−2)の酸価は47であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物754部(51.8モル%)、アジピン酸281部(42.6モル%)、縮合触媒としてジブチル錫オキシド1.5部を入れ、0.5〜2.5kPaの減圧下、230℃で、生成する水を留去しながら4時間反応させた。次いで180℃まで冷却し、フマル酸38部(7.3モル%)を加え、0.5〜2.5kPaの減圧下、4時間反応した後取り出し、ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P−3)を得た。
ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P−3)の酸価は8であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P’−1)、(P’−2)を得た。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例2と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P’−3)を得た。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物608部(45.1モル%)、ビスフェノールA・PO3モル付加物170部(11.3モル%)、テレフタル酸280部(43.6モル%)および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5部を入れ、220℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた。酸価が1未満になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(B−1)を得た。
ポリエステル樹脂(B−1)のTgは57℃、水酸基価は53、酸価は0.5だった。
ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P−1)100部を二軸混練器(栗本鉄工所製, S5KRCニーダー)に10kg/時で供給し、同時にオキサゾリン化合物(a−1)として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン4.5部を0.45kg/時で供給して190℃で30分間混練押出反応を行った。得られたものを冷却し、本発明のポリエステル樹脂(A)を含有するトナーバインダー(C−1)を得た。
トナーバインダー(C−1)のTgは49℃、アミド基濃度は0.42ミリモル/g、酸価は7KOHmg/gであった。
実施例1において、オキサゾリン化合物(a−1)をオキサゾリン化合物(a−2)としてエポクロスWS−700[日本触媒 製]24.3部、2.43kg/時とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、本発明のポリエステル樹脂(A)を含有するトナーバインダー(C−2)を得た。
トナーバインダー(C−2)のTgは45℃、アミド基濃度は0.27ミリモル/g、酸価は15KOHmg/gであった。
実施例1において、ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P−1)100部をポリエステル樹脂(A)の前駆体(P−2)30部とポリエステル樹脂(B−1)70部とし、オキサゾリン化合物(a−1)4.5部、0.45kg/時を2.1部、0.21kg/時とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、本発明のポリエステル樹脂(A)を含有するトナーバインダー(C−3)を得た。
トナーバインダー(C−3)のTgは57℃、アミド基濃度は0.19ミリモル/g、酸価は3KOHmg/gであった。
実施例1において、ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P−1)100部をポリエステル樹脂(A)の前駆体(P−3)45部とポリエステル樹脂(B−1)55部とし、オキサゾリン化合物(a−1)4.5部、0.45kg/時を0.7部、0.07kg/時とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、本発明のポリエステル樹脂(A)を含有するトナーバインダー(C−4)を得た。
トナーバインダー(C−4)のTgは40℃、アミド基濃度は0.07ミリモル/g、酸価は0KOHmg/gであった。
表2に示したポリエステル樹脂(A)の前駆体(P’−1)、(P’−2)、(P’−3)とオキサゾリン化合物(a−1)を仕込み、実施例1に準じて反応を行いトナーバインダー(C’−1)〜(C’−3)を得た。
5リットルのステンレス釜に、ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P’−1) 330部、非イオン性界面活性剤 [花王社製 エマルゲン430] 3部、アニオン性界面活性剤 [三洋化成工業社製 エレミノールMON−7] 6部、中和剤として5%水酸化カリウム水溶液198部(混練物を100%中和する量)を仕込み、カイ型の攪拌機で200rpmの攪拌下、95℃で2時間溶融させた。次に、カイ型の攪拌機で200rpmの攪拌下、計512部の脱イオン水を3g/minの速度で滴下し、樹脂分散液を作製した。最後に、室温まで冷却し200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、樹脂分31重量%を含有する微粒化した樹脂微粒子の乳化液を得た。一次粒子の体積中位粒径(D50)は0.14μm、粒度分布の変動係数(CV値)は29であり、金網上には何も残らなかった。ここにイオン交換水を加え、樹脂分23重量%に調整して樹脂乳化液Aを得た。
樹脂乳化液A435部を2リットルの容器で室温下混合した。次に、カイ型の攪拌機で100rpmの攪拌下、凝集剤として9.8重量%硫酸アンモニウム水溶液194.5gを添加し、さらに室温で60分間攪拌した。その後、混合分散液を室温から55℃まで昇温し(昇温速度0.25℃/min)、55℃で5時間保持することで、体積中位粒径(D50)5.0μmの凝集粒子を含有する凝集粒子分散液を作製した。
55℃に保持された凝集粒子分散液に、エポクロスWS−700(オキサゾリン基含有重合体、株式会社日本触媒製)24.3部(樹脂乳化液中のポリエステルのカルボキシル基に対して、0.5倍)添加し、15分間攪拌した。
次に、2.8重量%アニオン性界面活性剤[三洋化成工業社製 エレミノールMON−7]水溶液173gを添加し、80℃まで昇温(昇温速度0.25℃/min)した後、1時間保持して合一粒子を得た。得られた合一粒子を室温まで冷却後、吸引ろ過工程、洗浄工程および乾燥工程を経てトナーバインダー(C’−4)を得た。
トナーバインダー(C’−4)のTgは43℃、アミド基濃度は0.27ミリモル/g、酸価は15KOHmg/gであった。
樹脂(C−1)85部に対して、顔料のカーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]6部、離型剤のカルナバワックス4部、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)]4部を加え下記の方法でトナー化した。まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に流動化剤としてコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)1部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T−1)を得た。
原料の配合は表3を参考にして実施例5と同様にトナーを製造し、トナー(T−2)〜(T−4)を得た。つぎに実施例5と同様に評価し、その結果を表3に示した。
原料の配合は表3を参考にして実施例5と同様にトナーを製造し、トナー(T’−1)〜(T’−3)を得た。つぎに実施例5と同様に評価し、その結果を表3に示した。
下記成分からなる原料を、20Lヘンシェルミキサーを用いて1500r/mの撹拌回転数で3分間混合した後、オープンロール型連続混練機[三井鉱山社製 ニーデックス]を用いて溶融混練し、得られたトナー混練物を冷却ベルトにて冷却後、2mmφのスクリーンを有するミルにて粗砕してトナー混練物Aを得た。
(原料)
ポリエステル樹脂(A)の前駆体(P’−1):8500部
カーボンブラックMA−100(三菱化学社製):400部
カルナバワックスNo.1(加藤洋行社製):600部
5リットルのステンレス釜に、トナー混練物A 330部、非イオン性界面活性剤 [花王社製 エマルゲン430] 3部、アニオン性界面活性剤 [三洋化成工業社製 エレミノールMON−7] 6部、中和剤として5%水酸化カリウム水溶液177部(混練物を100%中和する量)を仕込み、カイ型の攪拌機で200rpmの攪拌下、95℃で2時間溶融させた。次に、カイ型の攪拌機で200rpmの攪拌下、計533部の脱イオン水を3g/minの速度で滴下し、樹脂分散液を作製した。最後に、室温まで冷却し200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、樹脂分30重量%を含有する微粒化した樹脂微粒子の乳化液を得た。一次粒子の体積中位粒径(D50)は0.15μm、粒度分布の変動係数(CV値)は30であり、金網上には何も残らなかった。ここにイオン交換水を加え、樹脂分23重量%に調整して離型剤含有樹脂乳化液Aを得た。
離経剤含有樹脂乳化液A360部を2リットルの容器で室温下混合した。次に、カイ型の攪拌機で100rpmの攪拌下、凝集剤として9.8重量%硫酸アンモニウム水溶液194.5部を添加し、さらに室温で60分間攪拌した。その後、混合分散液を室温から55℃まで昇温し(昇温速度0.25℃/分)、55℃で5時間保持することで、体積中位粒径(D50)5.0μmの凝集粒子を含有する凝集粒子分散液を作製した。
55℃に保持された凝集粒子分散液に、エポクロスWS−700(オキサゾリン基含有重合体、株式会社日本触媒製)20.1部(離型剤含有樹脂乳化液中のポリエステルのカルボキシル基に対して、0.5倍)添加し、15分間攪拌した。
次に、2.8重量%アニオン性界面活性剤[三洋化成工業社製 エレミノールMON−7]水溶液173部を添加し、80℃まで昇温(昇温速度0.25℃/分)した後、1時間保持して合一粒子を得た。得られた合一粒子を室温まで冷却後、吸引ろ過工程、洗浄工程および乾燥工程を経てトナー粒子を得た。
このトナー粒子100重量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製;R972)1部をヘンシェルミキサーで外添し、150メッシュの篩いを通過させトナー(T’−4)を得た。トナーの体積粒径は5.1μmであった。つぎに実施例4と同様に評価し、その結果を表3に示した。
以下に得られたトナーの低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット試験の測定方法、評価方法、判定基準を説明する。
トナーを紙面上に0.8mg/cm2となるよう均一に載せる。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm2の条件で通した時のコールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
低温定着性と同様に定着評価を行う。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度(%)を測定した。光沢度が高いほど、光沢性に優れることを意味する。
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
ホソカワミクロン製パウダーテスターでトナーのかさ密度(g/100ml)を測定し、流動性を下記の判定基準で判定した。
○:30以上
△:25以上30未満
×:25未満
トナーを45℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
△:一部にブロッキングが発生している。
×:全体にブロッキングが発生している。
トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度(1)50%(2)85%で8時間以上調湿する。
ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×60分間摩擦攪拌し、それぞれの湿度での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「相対湿度85%の帯電量/相対湿度50%の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
○:0.5以上
△:0.3以上0.5未満
×:0.3未満
二軸混練機で混練、冷却した粗粉砕物(8.6メッシュパス〜30メッシュオンのもの)を、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]により下記の条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.5MPa
粉砕時間:10分
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
これを分級せずに、体積平均粒径(μm)をコールターカウンター−TAII(米国コールター・エレクトロニクス社製)により測定し、下記の判定基準で粉砕性を評価した。
なお、比較例8のトナー(T’−4)は粉砕工程を実施しないため粉砕性の評価は省略した。
○: 10μm未満
△: 10μm以上12μm未満
×: 12μm以上
低温定着性の評価で定着した画像を、JIS K5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。
v鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。一般にはH以上が必要とされる。
低温定着性の評価で定着した画像を画像面が内側になるように紙を折り曲げ、30gの加重で3往復擦る。
紙を広げて、画像上の折り曲げたあとの白すじの有無を目視で判定した。
[判定基準]
○:白すじなし
△:わずかに白すじあり
×:白すじあり
低温定着性の評価で得られた画像が定着されたA4の紙2枚を、定着面同士で重ね合わせ、420gの加重(0.68g/cm2)をかけ、50℃で30分間静置する。
重ね合わせた紙同士を引き離したときの状態について、下記の判定基準でドキュメントオフセット性を評価した。
○:抵抗なし
△:パリパリと音がするが、紙面から画像は剥がれない
×:紙面から画像が剥がれる
一方、構成原料にオキサゾリン化合物を含有しないポリエステル樹脂(A)を用いた比較例5のトナーはホットオフセット性、流動性、耐熱保存性、ドキュメントオフセット性が不良であり、アミド基量が3.12ミリモル/gのトナーバインダー(C’−2)を用いた比較例6のトナーは低温定着性、光沢性、流動性、帯電安定性、粉砕性、耐折り曲げ性、画像強度が不良であった。
Tgが95℃のトナーバインダー(C’−3)を用いた比較例7のトナーは低温定着性、光沢性、粉砕性、耐折り曲げ性、画像強度が不良であり、また、界面活性剤量が2300ppmの比較例8のトナーは耐熱保存性、帯電安定性、ドキュメントオフセット性が不良であった。
さらに、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、電子ペーパー用粒子などの用途の感光性樹脂組成物として好適である。
Claims (7)
- カルボン酸成分(x)とアルコール成分(y)とオキサゾリン化合物(a)を構成原料とするポリエステル樹脂(A)を含有し、−20℃〜80℃の温度範囲に示差走査熱量測定(DSC)によるチャートでガラス転移温度(Tg)を示す変曲点を少なくとも1個有し、アミド基濃度が0.07〜3.00ミリモル/gであり、かつ界面活性剤の含有量が100ppm以下であること特徴とするトナーバインダー。
- 下記関係式(1)〜(3)を満足する請求項1記載のトナーバインダー。
G’x150≧10,000 (1)
G’x150/G’x180≦10 (2)
G’ x150/G’ y150≧30 (3)
[但し、関係式中、G’x150は、トナーバインダー中のテトラヒドロフラン(THF)に対する不溶解分の150℃における貯蔵弾性率(単位Pa)を、G’x180はTHFに対する不溶解分の180℃における貯蔵弾性率(単位Pa)を、G’y150は、トナーバインダー中のTHFに対する溶解分の150℃における貯蔵弾性率(単位Pa)を表す。] - トナーバインダー中のTHF不溶解分の含有量が1〜40重量%である請求項1または2に記載のトナーバインダー。
- 下記関係式(4)と関係式(5)を満足する請求項1〜3いずれかに記載のトナーバインダー。
150≦Tmx≦250 (4)
Tmx−Tmy≧70 (5)
[但し、関係式中、Tmxは、トナーバインダーのTHF不溶解分のフローテスターによる軟化点(℃)を、TmyはトナーバインダーのTHF溶解分のフローテスターによる軟化点(℃)を表す。] - 酸価が20KOHmg/g以下である請求項1〜4いずれかに記載のトナーバインダー。
- さらにポリエステル樹脂(A)を除く、酸価が5KOHmg/g以下の線形ポリエステル樹脂(B)を含有する請求項1〜5いずれかに記載のトナーバインダー。
- 請求項1〜6いずれかに記載のトナーバインダー及び着色剤を含有し、界面活性剤の含有量が100ppm以下であるトナー。
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