JP4544095B2 - 電子写真用トナー、電子写真用トナーの製造方法、電子写真用現像剤並びに画像形成方法 - Google Patents
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Description
トナーの定着温度を低くする手段として、トナー用樹脂(結着樹脂)のガラス転移点を低くする技術が一般的に行われている。しかし、ガラス転移点をあまりに低くし過ぎると、粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなったり、定着画像表面のトナーの保存性がなくなるため、実用上50℃が下限である。このガラス転移点は、現在多く市販されているトナー用樹脂の設計ポイントであり、ガラス転移点を下げる方法では、今以上に低温定着可能なトナーを得ることはできず問題があった。また可塑剤を用いることによっても、定着温度を下げることはできるが、トナーの保存時または現像器内においてブロッキングが発生するため問題があった。
着色剤と、離型剤と、非結晶性樹脂と、結晶部及び非結晶部から構成されるブロックポリマーと、を含んでなるコア部、並びに前記コア部を被覆するシェル部からなるカプセル構造の電子写真用トナーであって、前記ブロックポリマーの重量平均分子量が10000以上であり、前記ブロックポリマーの非結晶部の形成に用いられる樹脂の重量平均分子量が1000以上5000以下あり、前記ブロックポリマーの結晶部の形成に用いられる樹脂の重量平均分子量が、前記非結晶部の形成に用いられる樹脂の重量平均分子量の2倍以上であることを特徴とする電子写真用トナーである。
(式(1)中、Kはポリマー中のエステル基数を、Aはポリマーの高分子鎖を構成する原子数をそれぞれ表す。)
(1)前記ブロックポリマーの重量平均分子量が10000以上
(2)前記ブロックポリマーの非結晶部の形成に用いられる樹脂(以下、単に「非結晶部用樹脂」という。)の重量平均分子量が1000以上5000以下
(3)前記ブロックポリマーの結晶部の形成に用いられる樹脂(以下、単に「結晶部用樹脂」という。)の重量平均分子量が、前記非結晶部用樹脂の重量平均分子量の2倍以上
以下、本発明の電子写真用トナーの各構成成分について説明する。
本発明の構成成分である結着樹脂には、非結晶性樹脂と、結晶部及び非結晶部から構成されるブロックポリマーと、が用いられる。
本発明に用いられるブロックポリマーは、まず、(1)重量平均分子量が10000以上であることを必須の要件とする。重量平均分子量が10000未満であると、結着樹脂としてブロックポリマーと併用してコア部に含有される非結晶性樹脂(以下、単に「コア用非結晶性樹脂」という)の影響が大きくなりすぎ、画像が折り曲げに弱く、良好な低温定着性を得ることができない。
また、上限値としては、高いグロスの画像が得られるという観点から40000以下であることが好ましく、前記重量平均分子量は、更に13000〜30000であることが好ましく、15000〜25000であることが特に好ましい。
尚、非結晶部用樹脂の重量平均分子量は、より好ましくは2000〜5000であり、特に好ましくは2500〜4500である。
尚、結晶部用樹脂の重量平均分子量は、2000〜25000であることが好ましく、5000〜20000であることがより好ましい。
ここで、前記樹脂の重量平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて行われる。重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンスタンダードを用いて求められ、前記GPCとしては東ソー製 HLC−8120 GPCシステムに、TSK guardcolmun Super H-Hと、TSKgel SuperHM-Hを2本直列につなげ、40℃、0.6mm/分で、テトラヒドロフラン媒体を用い、資料濃度0.5質量%で測定され、システム付属のソフトウエアを用いて解析し求められる。尚、前記ポリスチレンスタンダードは、東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルを用いた。また、数平均分子量(Mn)も、同様にして求めることができる。
結晶部の形成に用いられる樹脂は、結晶性物質なら何でも使用できるが、融点が65〜85℃の範囲が好ましく、ポリエステル、特には脂肪族ポリエステルが望ましい。また他の結晶性樹脂の場合でも、融点が65〜85℃の範囲が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成される特定のポリエステル樹脂である。以降の説明においては、ポリエステル樹脂において、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を「酸由来構成成分」と、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を「アルコール由来構成成分」と、それぞれ示す。
前記酸由来構成成分となるための酸としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが、特定のポリエステル樹脂における主たる酸由来構成成分としては、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が望ましく、特に脂肪族ジカルボン酸は直鎖型のカルボン酸が望ましい。
アルコール由来構成成分となるためのアルコールとしては、脂肪族ジオールが好ましく、鎖炭素数が7〜20の範囲である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。
エステル濃度(M)=K/A
(式中Kはポリマー中のエステル基数を、Aはポリマーの高分子鎖を構成する原子数、をそれぞれ表す。)
非結晶部の形成に用いられる樹脂としては、ガラス転移点が40〜70℃(より好ましくは50〜65℃)の範囲にあるものが好適に使用できる。
尚、ガラス転移点Tgは、例えば、示差走査熱量計(マックサイエンス社製:DSC3110、熱分析システム001)を用いて、昇温速度5℃/分の条件で測定することができ、得られたチャートのTgに相当する吸熱点の低温側の肩の温度をTgとすることができる。
結晶部と非結晶部とからなるブロックポリマーは、前記結晶部用樹脂及び非結晶部用樹脂の末端官能基の反応性を考慮して、種々の方法のより選択して作製することができる。
結合剤を使わない場合、すなわち、結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルとの場合は、そのまま加熱減圧しつつ、縮合反応を進めることにより得られる。特に片方のポリエステルの酸価が高く、もう一方のポリエステルの水酸基価が高い場合、反応がスムーズに進行する。反応温度は200℃付近でおこなうのが好ましく、また反応時間は前記反応温度によっても異なるものの、一般的に1〜4時間程度が好ましい。
一方で、樹脂がポリエステル以外である場合でも、ブロックポリマーになる結晶部用樹脂及び非結晶部用樹脂の末端が酸とアルコールの組み合わせになる場合には、前記同様の方法で合成することができる。
また、結合剤を使う場合には、種々の結合剤が使用可能であり、たとえば、多価カルボン酸、多価アルコール、多価イソシアネート、多官能エポキシ、多酸無水物等を用いて、脱水反応や、付加反応を行うことができる。
尚、得られるブロックポリマーの重量平均分子量を1万以上とする観点から、用いる結晶部用樹脂及び非結晶部用樹脂には、重量平均分子量が前述の範囲のようなものが用いられる。
本発明においては、トナーを構成する結着樹脂として前記ブロックポリマーの他に非結晶性樹脂(コア用非結晶性樹脂)を用いることを特徴とする。コア用非結晶性樹脂としては、ガラス転移点が50〜70℃(より好ましくは55〜65℃)の範囲のものが好ましく、通常トナーに用いられる非結晶性樹脂がそのまま適用できる。具体的には、ポリスチレンやスチレンブタジエン系ポリマー、スチレンアクリル系ポリマー、ポリエステル等が挙げられるが、その限りではない。これら非結晶性樹脂は、ウレタン,ウレア,その他エポキシ等の変性を行ってもよい。ただし、加熱時の相溶を考慮すると、ポリエステルであることが望ましい。
用いられる着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。着色剤を1種単独で用いてもよいし、同系統の着色剤を2種以上混合して用いてもよい。また異系統の着色剤を2種以上混合して用いてもよい。さらに、これらの着色剤を表面処理して用いてもよい。
前記離型剤は、一般に離型性を向上させる目的で使用される。前記離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられる。本発明において、これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用
してもよい。
これらの離型剤の添加量としては、トナー粒子の全量に対して、0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。0.5質量%未満であると離型剤添加の効果がなく、50質量%以上であると、トナー表面に離型剤が顔出しした場合に粉体流動性や帯電性に悪影響が現れやすくなったり、現像機内部においてトナー粒子が破壊されやすくなり、離型剤のキャリアへのスペント化が生じ、帯電が低下しやすくなる等の影響が現れるばかりでなく、例えばカラートナーを用いた場合、定着時の画像表面への染み出しが不十分になり易く、OHP画像を定着した際等、画像中に離型剤が在留しやすくなってしまうため、透明性が悪化することがあり好ましくない。
本発明の電子写真用トナーに用いられ得るその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、無機微粒子、有機微粒子、帯電制御剤、離型剤等の公知の各種添加剤等が挙げられる。
本発明の電子写真用トナーは、前記組成物によって形成されるコア部の表面が表面層(シェル部)によって覆われている。シェル部は、トナー全体の力学特性、溶融粘弾性特性に大きな影響を与えないことが望ましい。また、結晶性物質がトナー表面に出ていると、外添剤が結晶性物質に埋没することがあり、品質の維持が難しい場合がある。一方、表面層がトナーを厚く覆っていると、結晶性樹脂を用いたことによる低温定着性を十分に発揮し得なくなる。従って、表面層の膜厚はできるだけ薄いことが望ましく、樹脂による表面層を用いた場合、具体的には、0.05〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。また微粒子表面層の場合粒子は0.5μm以下のものが望ましい。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm3/mol)、Δei:各々の原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:各々の原子又は原子団のモ
ル体積)
次に、本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーの製造方法としては、形状制御および、樹脂表面層(シェル部)形成が容易な凝集合一法が好ましい。
尚、前述のようにして得られる本発明のトナーは、その形状係数SF1が100〜140であることが好ましく、特に好ましくは110〜135である。
形状係数SF1は次のようにして求められる。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じて画像解析装置(ルーゼックスIII、(株)ニレコ製)に取り込み、50個のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、下記式によりSF1を求めた。
式:SF1=(ML2/A)×(100×π)/4
尚、形状係数SF1が140を超えると、トナー間凝集力が大きくなるため、転写時に転写不良を起こす場合がある。
次に、本発明の現像剤について説明する。
本発明の現像剤は、上記本発明のトナーを含有する以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。本発明の現像剤は、前記トナーを、単独で用いると一成分系の現像剤となり、また、トナーとキャリアとを組み合わせて用いると二成分系の現像剤となる。
次に、本発明の画像形成方法について説明する。
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を熱定着する定着工程と、を有する画像形成方法であって、前記現像剤は、本発明の電子写真用トナーを含有する現像剤である。前記現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。
潜像保持体としては、例えば、電子写真感光体及び誘電記録体等が使用できる。電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー画像を形成する(現像工程)。形成されたトナー画像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー画像は、定着機により熱定着され、最終的なトナー画像が形成される。
ドデカン2酸241部、1,10−デカンジオール174部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、170℃で4時間、さらに減圧下210℃で4時間反応させ、重量平均分子量(Mw)13000、数平均分子量5900、融点79℃、エステル濃度0.083の結晶性ポリエステル(1)を得た。
ドデカン2酸241部、1,9−ノナンジオール160部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、170℃で4時間、さらに減圧下210℃で4時間反応させ、重量平均分子量(Mw)12000、数平均分子量5100、融点73℃、エステル濃度0.087の結晶性ポリエステル(2)を得た。
3,3’−チオジプロピオン酸62部、ドデカン2酸173部、1,10−デカンジオール174部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、170℃で4時間、さらに減圧下210℃で4時間反応させ、重量平均分子量(Mw)11000、数平均分子量5000、融点74℃、エステル濃度0.088の結晶性ポリエステル(3)を得た。
ドデカン2酸241部、1,10−デカンジオール174部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、170℃で4時間、さらに減圧下210℃で4時間反応させ、重量平均分子量(Mw)15000、数平均分子量6300、融点81℃、エステル濃度0.083の結晶性ポリエステル(4)を得た。
ドデカン2酸230部、1,4−ブタンジオール90部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、170℃で4時間、さらに減圧下210℃で4時間反応させ、重量平均分子量(Mw)8000、数平均分子量4000、融点72℃、エステル濃度0.11の結晶性ポリエステル(5)を得た。
アジピン酸153部、1,6−ヘキサンジオール118部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、170℃で4時間、さらに減圧下210℃で4時間反応させ、重量平均分子量(Mw)12000、数平均分子量5600、融点65℃、エステル濃度0.143の結晶性ポリエステル(6)を得た。
テレフタル酸ジメチル97部、イソフタル酸ジメチル78部、無水ドデセニルコハク酸27部、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物164部、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物179部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、150℃で4時間、さらに減圧下200℃で4時間反応させ、重量平均分子量(Mw)8000、数平均分子量3500、ガラス転移点(Tg)62℃の非結晶性ポリエステル(3)を得た。
ドデカン2酸253部、1,10−デカンジオール174部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、170℃で4時間、さらに減圧下210℃で0.5時間反応させ、重量平均分子量(Mw)3700、数平均分子量1800、融点78℃、エステル濃度0.083の結晶性ポリエステル(8)を得た。
テレフタル酸ジメチル97部、イソフタル酸ジメチル78部、無水ドデセニルコハク酸27部、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物95部、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物240部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、150℃で4時間、さらに減圧下200℃で6時間反応させた後、無水トリメリット酸8部を加え、さらに減圧下30分反応させ、重量平均分子量(Mw)12000、数平均分子量5500、ガラス転移点(Tg)63℃の非結晶性ポリエステル(4)を得た。
テレフタル酸ジメチル97部、イソフタル酸ジメチル97部、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物221部、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物234部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、150℃で4時間、さらに減圧下200℃で6時間反応させた後、無水トリメリット酸8部を加え、さらに減圧下30分反応させ、重量平均分子量(Mw)12300、数平均分子量5600、ガラス転移点(Tg)62℃の非結晶性ポリエステル(5)を得た。
下記組成のものを混合溶解し、ホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)と超音波照射とにより分散し体積平均粒径150nmの青顔料分散液を得た。
(銅フタロシアニン、大日本インク製) 50部
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC(第一工業製薬社製) 5部
・イオン交換水 200部
下記組成のものを混合し、97℃に加熱した後、ホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)にて分散した。その後、ゴーリンホモジナイザー(盟和商事製)で分散処理し、105℃、550kg/cm2の条件で20回処理することで、体積平均粒径190nmの離型剤分散液を得た。
・ワックス(WEP−5、日本油脂社製) 25部
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC(第一工業製薬社製) 5部
・イオン交換水 200部
<各種ラテックスの作製>
ブロックポリマー(1)60部を酢酸エチル300部に溶解し、アニオン系界面活性剤(ドデシルべンゼンスルホン酸ナトリウム)3部をイオン交換水300部とともに加え、55℃に加熱して、乳化機(Ultra Turrax T−50、IKA製)を用いて8000rpmで10分攪拌し、その後酢酸エチルを蒸発させることで、体積平均粒径230nmのブロックポリマーラテックス(1)を作製した。
下記の組成のものを、丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)で混合分散した後、フラスコ内の混合液を攪拌しながら45℃まで加熱攪拌し、45℃で30分間保持した。
・非結晶性ポリエステルラテックス(4) 360部
・イオン交換水 300部
・顔料分散液 25部
・離型剤分散液 90部
・10%ポリ塩化アルミニウム水溶液(浅田化学社製) 1.5部
次いで、非結晶性ポリエステルラテックス(5)90部のpHを3に調整した後、上記混合液に加え、温度を徐々に上げて55℃にした。得られた内容物を光学顕微鏡で観察すると、粒径が約6.5μmの凝集粒子が生成していることが確認された。水酸化ナトリウム水溶液で、pHを8に調整し、その後、温度を上げて90℃にしたのち約1時間かけて凝集粒子を合一させ、冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、乾燥してトナー(1)を得た。
このトナー(1)の形状係数SF1を前述の方法により測定したところ、135であった。
式:GSDv={(D84v)/(D16v)}0.5
(低温定着性の評価)
調製した現像剤(1)を、富士ゼロックス製DocuCentreColor500改造機(定着温度が可変である外部定着器にて定着可能なように改造したもの)に用いて、富士ゼロックス社製カラー用ぺーパー(J紙)にトナー載り量13.5g/m2に調整して画像形成を行った。画出しした後、外部定着器を用い、Nip幅6.5mm下、定着速度180mm/secにて定着した。尚、最低定着温度の評価を行うため、外部定着器の定着ロールの設定温度を、90℃から+5℃おきに高め画像を定着させた。各定着温度において画像が形成された用紙の、定着トナー像のソリッド部のほぼ中央に内側に折り目を入れ、定着トナー像が破壊された部分をティッシュペーパーで拭い取り、白抜けした線幅を測定し、その線幅が0.5mm以下となる温度を最低定着温度(MFT)とした。結果を表1に示す。
調製した現像剤(1)を、28℃/85%RHの環境下にて24時間放置し、その後ターブラーミキサー(TURBULA社製、商品名:TURBULA)にて60分攪拌を行い、ブローオフトライボ装置(東芝ケミカル社製、商品名:TB-200)を用い、トナーの帯電量を測定した。結果を表1に示す。
調製した現像剤(1)を、28℃/85%RHの環境下で、前記同様の富士ゼロックス製DocuCentreColor500改造機に用いて、富士ゼロックス社製カラー用ぺーパー(J紙)に画像密度1%のプリントテストチャートで10000枚の画像形成を行った。尚、定着温度は、前記で得られた最低定着温度(MFT)から30℃高い温度に設定した。10000枚プリント後の画像のソリッド部の白筋の発生の様子を観察し、また現像器内のトナーを取り出しブロッキングしたトナーの様子を目視で観察した。これら観察より、以下の判断基準により耐ブロッキング性を評価した。結果を表1に示す。
○:白筋の発生は無いが、現像器内でブロッキングしたトナーがわずかに見られる。
△:白筋の発生はわずかで、現像器内でブロッキングしたトナーが若干見られる。
×:白筋の発生がはっきり見られ、現像器内でブロッキングしたトナーが見られる。
前記(ブロッキングの評価)における10000枚の画像形成を行った後、現像器の中に残ったトナーの表面を電子顕微鏡で観察した。100個のトナーを観察し、シェルが剥がれたトナーや、潰れたトナーの個数をカウントし、以下の判断基準によりトナーの保存性を評価した。結果を表1に示す。
◎:シェルの剥がれたトナーや潰れたトナーは無い。
○:シェルの剥がれたトナーや潰れたトナーが1〜2個見られる。
△:シェルの剥がれたトナーや潰れたトナーが3〜5個見られる。
×:シェルの剥がれたトナーや潰れたトナーが10個以上見られる。
前記(ブロッキングの評価)における10000枚の画像形成を行った後、定着画像の表面を目視により観察し、紙送り用ロールのマーク筋のありなしを、下記基準により評価した。結果を表1に示す。
○:ロールマークの筋がほとんど見えない
△:ロールマークの筋が僅かに見える
×:ロールマークの筋がはっきり見える
前記(ブロッキングの評価)における10000枚の画像形成を行った後、感光体上の付着物の様子を目視で確認し、下記判断基準により評価した。結果を表1に示す。
◎:感光体に付着物は確認できず。
○:感光体に付着物が確認できるがわずか。
△:感光体に筋状に成長した付着物が確認できるがわずか。
×:感光体ほぼ全域に付着物がある。
ブロックポリマー(1)をブロックポリマー(2)に変えた以外は実施例1と同じようにラテックスを作製し、トナー(2)を得た。実施例1と同様にして現像剤を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
ブロックポリマー(1)をブロックポリマー(3)に変えた以外は実施例1と同じようにラテックスを作製し、トナー(3)を得た。実施例1と同様にして現像剤を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
ブロックポリマー(1)をブロックポリマー(3)に変えた以外は実施例1と同じようにラテックスを作製した。次いで、トナー(4)を以下の方法で作製した。
下記の組成のものを、丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)で混合分散した後、フラスコ内の混合液を攪拌しながら45℃まで加熱攪拌し、45℃で30分間保持した。
・ブロックポリマーラテックス(4) 225部
・非結晶性ポリエステルラテックス(4) 285部
・イオン交換水 300部
・顔料分散液 25部
・離型剤分散液 90部
・10%ポリ塩化アルミニウム水溶液(浅田化学社製) 1.5部
次いで、非結晶性ポリエステルラテックス(5)90部のpHを3に調整した後、上記混合液に加え、温度を徐々に上げて55℃にした。得られた内容物を光学顕微鏡で観察すると、粒径が約6.5μmの凝集粒子が生成していることが確認された。水酸化ナトリウム水溶液で、pHを8に調整し、その後、温度を上げて90℃にしたのち約1時間かけて凝集体を合一させ、冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、乾燥してトナー(4)を得た。
その後、実施例1と同様にして現像剤を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
ブロックポリマー(1)をブロックポリマー(5)に変えた以外は実施例1と同じようにラテックスを作製し、トナー(5)を得た。実施例1と同様にして現像剤を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
ブロックポリマー(1)をブロックポリマー(6)に変えた以外は実施例1と同じようにラテックスを作製し、トナー(6)を得た。実施例1と同様にして現像剤を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
ブロックポリマー(1)をブロックポリマー(7)に変えた以外は実施例1と同じようにラテックスを作製し、トナー(7)を得た。実施例1と同様にして現像剤を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
ブロックポリマー(1)をブロックポリマー(8)に変えた以外は実施例1と同じようにラテックスを作製し、トナー(8)を得た。実施例1と同様にして現像剤を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
ブロックポリマー(1)をブロックポリマー(4)に変えた以外は実施例1と同じようにラテックスを作製した。次いで、トナー(9)を以下の方法で作製した。
下記の組成のものを、丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)で混合分散した後、フラスコ内の混合物を攪拌しながら45℃まで加熱攪拌し、45℃で30分間保持した。
・ブロックポリマーラテックス(4) 150部
・非結晶性ポリエステルラテックス(4) 450部
・イオン交換水 300部
・顔料分散液 25部
・離型剤分散液 90部
・10%ポリ塩化アルミニウム水溶液(浅田化学社製) 1.5部
その後、得られた混合液の温度を徐々に上げて55℃にした。得られた内容物を光学顕微鏡で観察すると、粒径が約6.5μmの凝集粒子が生成していることが確認された。水酸化ナトリウム水溶液で、pHを8に調整し、その後、温度を上げて90℃にしたのち約1時間かけて凝集体を合一させ、冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、乾燥してトナー(9)を得た。
その後、実施例1と同様にして現像剤を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
ブロックポリマー(1)を結晶性ポリエステル(4)に変えた以外は実施例1と同じようにラテックスを作製した。次いで、トナー(10)を以下の方法で作製した。
下記の組成のものを、丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)で混合分散した後、フラスコ内の混合液を攪拌しながら45℃まで加熱攪拌し、45℃で30分間保持した。
・結晶性ポリエステルラテックス(4) 150部
・非結晶性ポリエステルラテックス(4) 390部
・イオン交換水 300部
・顔料分散液 25部
・離型剤分散液 90部
・10%ポリ塩化アルミニウム水溶液(浅田化学社製) 1.5部
次いで、非結晶性ポリエステルラテックス(5)90部のpHを3に調整した後、上記混合液に加え、温度を徐々に上げて55℃にした。得られた内容物を光学顕微鏡で観察すると、粒径が約6.6μmの凝集粒子が生成していることが確認された。水酸化ナトリウム水溶液で、pHを8に調整し、その後、温度を上げて90℃にしたのち約1時間かけて凝集体を合一させ、冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、乾燥してトナー(10)を得た。
その後、実施例1と同様にして現像剤を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
尚、実施例6のトナーは、結晶部にエステル濃度の低い樹脂を使用しており、他の実施例のトナーに比べて、高温高湿下ので帯電性が若干低く、そのために可塑化が発生して感光体上にトナーが残りやすく、耐フィルミング性に若干劣る。
以上の結果から明らかなように、本実施例のトナーは、高温下での保管、現像器内でのブロッキングの発生また、感光体上へのフィルミングが起こりにくく、その画質を長期にわたり維持することができる。
Claims (4)
- 着色剤と、離型剤と、非結晶性樹脂と、結晶部及び非結晶部から構成されるブロックポリマーと、を含んでなるコア部、並びに前記コア部を被覆するシェル部からなるカプセル構造の電子写真用トナーであって、
前記ブロックポリマーの重量平均分子量が10000以上であり、
前記ブロックポリマーの非結晶部の形成に用いられる樹脂の重量平均分子量が1000以上5000以下あり、
前記ブロックポリマーの結晶部の形成に用いられる樹脂の重量平均分子量が、前記非結晶部の形成に用いられる樹脂の重量平均分子量の2倍以上であることを特徴とする電子写真用トナー。 - 着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液、非結晶性樹脂粒子分散液、並びに結晶部及び非結晶部から構成されるブロックポリマー粒子を分散したブロックポリマー粒子分散液を混合して凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子の表面に被覆樹脂粒子を付着させる付着工程と、前記被覆樹脂粒子が付着した凝集粒子を加熱して融合させる融合工程と、を経て、請求項1に記載の電子写真用トナーを得ることを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
- 請求項1に記載の電子写真用トナーを含むことを特徴とする電子写真用現像剤。
- 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法であって、
前記現像剤として請求項3に記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
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