JP2769626B2 - 画像形成法 - Google Patents

画像形成法

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JP2769626B2
JP2769626B2 JP1019197A JP1919789A JP2769626B2 JP 2769626 B2 JP2769626 B2 JP 2769626B2 JP 1019197 A JP1019197 A JP 1019197A JP 1919789 A JP1919789 A JP 1919789A JP 2769626 B2 JP2769626 B2 JP 2769626B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は画像形成法に係り、更に詳しくは高画質画像
が長期に亘って安定して得られる画像形成法に関する。
[従来の技術] 近年、高速複写機あるいは複写機の小型化の要請か
ら、従来より一層低温での定着が可能なトナーの開発が
強く望まれている。また、負帯電有機感光体の普及にと
もない正帯電性トナーを用いた画像形成法の開発が重要
となってきている。
[発明が解決しようとする課題] 従来、低温での定着を可能とするために、次のような
技術が提案されている。
特開昭50−87032号には融点が45〜150℃の少なくとも
1つの結晶性重合体部分を、ガラス転移点が0℃以下の
非晶質重合体部分に化学的に連結してなる重合体を含有
するトナー、特開昭59−3446号には融点が45〜90℃の結
晶質ブロックおよびガラス転移点が前記結晶質ブロック
の融点より少なくとも10℃高い非晶質ブロックを分子中
に含有し、前記結晶質ブロックの含有量が70〜95wt%で
ある熱可塑性重合体を含有するトナーがそれぞれ開示さ
れている。
また、特開昭56−154740号にはエチレン、プロピレン
および酢酸ビニルから選ばれる1種または2種以上の単
量体から成る結晶性重合体とビニル重合体の1種または
2種以上から成る無定形重合体とからなるグラフト共重
合体を含有するトナーが開示され、更に特開昭57−8549
号にはエチレン、プロピレンおよび酢酸ビニルから選ば
れる少なくとも1種の単量体から成る結晶性幹重合体部
分と不飽和ポリエステル幹重合体部分とビニル系枝重合
体部分とから成るグラフト共重合体を含有するトナーが
開示されている。
しかしながら、前記特開昭50−87032号に開示された
トナーは、軟質な結晶性重合体部分と、ガラス転移点が
0℃以下の粘着性かつ軟質である非晶質重合体部分とが
化学的に結合された共重合体によって構成されたトナー
であるため、常温においても、ブロッキング現象を起
し、また摩擦帯電性および流動性が悪く、かぶりの多い
不鮮明な画像となる。またトナーが軟質であるため、多
数回の複写によってフィルミング現象が発生し、さらに
その粘着性に起因するオフセット現象が発生しやすい。
また特開昭59−3446号に開示された技術においては、
ガラス転移点が100℃以上と高い非晶質ブロックを用い
るので、低温での溶融性を得るために結晶質ブロックを
70〜95重量%と多量に使用する必要がある。従って、軟
質の結晶質ブロックのため摩擦帯電性および流動性、現
象性が不良となり、かぶりの多い不鮮明な画像となる。
また、多数回に亘る複写に於ては、フィルミング現象や
オフセット現象も発生する。
更に、特開昭56−154740号及び同57−8549号に開示さ
れたトナーは流動性が悪く、トナーとキャリアとの均一
混合分散が困難で、トナーに十分な摩擦帯電性を付与出
来ず、画像ぬけ等が発生して画質は劣化する。
また、更に結晶性ポリエステルと、数平均分子量Mnと
重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが3.5以上である無定形ビニ
ル重合体(特開昭63−27855号)もしくは分子量分布に
2つ以上のピークを有する無定形ビニル重合体(特開昭
63−27856号)とのブロックもしくはグラフト共重合体
を含むトナーが提案された。
しかしながら、上記のような共重合体をバインダーと
するトナーにおいても尚、結晶性ポリエステルの感光体
ドラムへのフィルミングによるクニーリング不良、得に
有機感光体の場合には画像流れ等の画像不良が発生す
る。また現像スリーブへの結晶性ポリエステルのフィル
ミングによる現像剤搬送不良にともない画像濃度ムラ、
画像カスレ、並びに現像器中のトナーの凝集物が原因で
発生する画像ヌケ等不満足な点を残している。
一方、こうしたフィルミングやブロッキング現象を防
止し、さらにクリーニング性、流動性、摩擦帯電性を改
善するために、次のような有機微粒子を含有させる技術
が提案されている。
(1)熱定着性母体粒子Aの表面に、その軟化点よりも
高い平均粒径0.1μm以上、粒子Aの平均粒径の1/4以下
の有機微粒子Bを埋設被覆したトナー(特開昭63−1311
49号)。
(2)正帯電性のトナーとこれより小さい平均粒径の負
帯電可能でTg=50℃以下の重合性微粉末を含有(特開昭
60−186858号)。
しかしながら、上記(1)の技術においては、2成分
現像剤として使用する場合、キャリアと有機微粒子の帯
電性が大きく異なるために、トナー表面に埋設された微
粒子がキャリアへ移行しやすく、その結果キャリア表面
に微粒子が静電的に付着し、キャリアの帯電能力を大き
く低下させ、耐久性を損うといった問題点がある。また
正帯電トナー用に正帯電性の強い微粒子を用いる場合に
は、定着ローラの被覆層として一般的に使用されるポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチ
レン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
(PFA)等のフッ素系樹脂が良好な電気絶縁性をもち、
負帯電しやすい材料であることから、定着ローラへの静
電的な付着が増加し、耐オフセット性が低下し、定着ロ
ーラへの巻き付きや顕著な定着分離ズメあとが発生しや
すくなる。
また、上記(2)の技術においては、重合体微粉末が
単に混合されるのみであるため、当該重合性微粉末がト
ナー粒子から遊離しやすく、十分な耐フィルミング性、
耐ブロッキング性を得ることができない。十分な耐フィ
ルミング性、耐ブロッキング性を確保するために微粉末
を多量に添加した場合、流動性の低下を招き、また耐久
性についても低下してしまう。
また、耐オフセット性を向上させるために、次のよう
な加熱ローラ被覆層を導電化する技術が提案されてい
る。
(1)加熱ローラ被覆層に低抵抗物質を含有させる技術
(特公昭58−23626号)。
(2)プライマ層に導電性物質を含有させる技術(特開
昭57−150869号、同59−83181号、同59−111177号)。
(3)加熱ローラ被覆層にオキソベンゾイルポリエーテ
ル及びカーボンブラックを含有させる技術(特開昭61−
100777号)。
しかしながら、何れの技術においても、低抵抗の転写
材の場合、あるいは高温高湿環境下に転写材が吸湿し転
写材の抵抗が低下した場合には、加熱ローラから、転写
電流がリークして、転写不良、転写効率の低下を引き起
こす欠点があった。
本発明は上記従来の課題に鑑みなされたもので、耐ブ
ロッキング性、耐フィルミング性、クリーニング性、摩
擦帯電性、流動性を改善し、しかも低温での定着が可能
な正帯電トナーを用い、さらに画質の耐久性の向上、定
着ローラへの静電的なトナーの付着の現象、高温高湿下
での転写性の向上を可能とすることにより、画像形成プ
ロセスの高耐久化を図ることを目的とする。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成法
は、結晶性ポリエステルと無定形ビニル重合体とが化学
的に結合してなるブロック共重合体またはグラフト共重
合体をバインダーとする母体粒子に、鉄粉に対して負帯
電性で、かつ、体積固有抵抗が1012Ω・cm以上の樹脂微
粒子を機械的衝撃力により固着させた正帯電トナーを用
いて、感光体上に形成された静電潜像を現像し、形成し
たトナー像を転写材に転写した後、体積抵抗率が103〜1
011Ω・cmの樹脂被膜層を有する熱ローラにより定着す
ることを特徴とする。
[作用] 本発明の要件を備えたトナーは、結晶性ポリエステル
の有する良好な低温溶融性及び紙等の転写材に対する良
好な浸透性のため、優れた低温定着性が発揮されると同
時に、無定形ビニル重合体による適度な粘弾性により耐
オフセット性の向上効果が発揮され、広い定着可能温度
範囲が得られる。また、母体粒子表面に樹脂微粒子を機
械的衝撃力により固着させているので、結晶性ポリエス
テルの軟質な特性の発現が樹脂微粒子により抑止されて
耐ブロッキング性、耐フィルミング性および流動性が向
上する。したがって感光体の結晶性ポリエステルによる
汚染が防止されてオナーが感光体の表面の付着物に埋没
するような現象が発生せず、クリーニング性が向上す
る。
また、樹脂微粒子によるいわば潤滑的な作用によりト
ナーの感光体に対する物理的な付着力が弱められ、この
点からもクリーニング性が向上する。
また、感光体が有機光導電体からなる場合、転写材か
ら発生する紙粉、ロジン、タルク等の析出物や、装置内
のコロナ放電器に起因して発生するコロナ放電生成物、
あるいは前述した結晶性ポリエステル等が感光体に付着
し、高温高湿下ではそれらが吸水するため感光体の表面
が低抵抗化しやすく、潜像が流れて、画像不良(画像ぼ
け)が発生するが、上記のように樹脂微粒子により感光
体へのフィルミングが防止され、また適度な研磨性能も
得られるため、高温高湿下においても画像流れのない良
好な画像を形成することができる。
また、現像スリーブの結晶性ポリエステルによる汚染
が防止されるため、現像工程においては多数回にわたり
画像を形成するときにも安定した現像性を得ることがで
きる。
また、負帯電性の樹脂微粒子を機械的衝撃力により、
母体粒子の表面に固着させて正帯電トナーとしているた
め、耐久性が格段に向上し、体積抵抗率が103〜1011Ω
・cmの樹脂被覆層を有する定着ローラと組み合わせるこ
とことにより、静電的なオフセットが著しく減少する。
しかも樹脂微粒子の体積固有抵抗が1012Ω・cm以上と高
いために、高温高湿下においても良好な転写性を維持で
きる。
[具体的構成] 本発明に使用する結晶性ポリエステルは得に限定され
るものではないが、特にポリアルキレンポリエステルが
好ましい。
斯かるポリアルキレンポリエステルの具体例として
は、例えばポリエチレセバケート、ポリエチレンアジペ
ート、ポリエチレンスベレート、ポリエチレンサクシネ
ート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデ
カエート、ポリヘキサメチレンオクザレート、ポリヘキ
サメチレンセバケート、ポリヘキサメチレンデカンジオ
エート、ポリオクタメチレンドデカンジオエート、ポリ
ノナメチレンアゼレート、ポリデカメチレンアジベー
ト、ポリデカメチレンアゼレート、ポリデカメチレンオ
クザレート、ポリデカメチレンセバケート、ポリデカメ
チレンサクシネート、ポリデカメチレンドデカンジオエ
ート、ポリデカメチレンオクタデカンジオエート、ポリ
テトラメチレンセバケート、ポリトリメチレンドデカン
ジオエート、ポリトリメチレンオクタデカンジオエー
ト、ポリトリメチレンオクザレート、ポリヘキサメチレ
ン−デカメチレン−セバケート、ポリオキシデカメチレ
ン−2−メチル−1,3−プロパン−ドデカンジオエー
ト、その他を挙げることができる。
以上の如きポリアルキレンポリエステル類を用いるこ
とにより、トナーの低温定着性が有効に得られるように
なり、またその流動性を良好にすることができる。
前記結晶性ポリエステルは、その融点Tmが50〜120
℃、特に50〜100℃の範囲であることが好ましい。用い
る結晶性ポリエステルの融点Tmが50℃未満の場合には得
られるトナーの耐ブロッキング性が不良となり、また12
0℃を超える場合にはトナーの低温における溶融流動性
が低下して定着性が悪くなるおそれがある。なお、結晶
性ポリエステルの融点Tmは、無定形ビニル重合体と結合
されていない状態における結晶性ポリエステルの融点を
意味する。結晶性ポリエステルの融点Tmの値は示差走査
熱量測定法(DSC)に従い、例えば「DCS−20」(セイコ
ー電子工業社製)によって測定でき、測定条件は、試料
約10mgを一定の昇温速度10℃/minで加熱したときの融解
ピーク値を融点とする。
この結晶性ポリエステルは、その重量平均分子量Mwが
5×103〜5×104であれば、トナーの耐オフセット性お
よびトナーの製造における粉砕効率が良好となる。
以上の結晶性ポリエステルの使用割合は、無定形ビニ
ル重合体とのブロック重合体またはグラフト共重合体に
おいて3〜50wt%、好ましくは5〜40wt%である。この
割合によりトナーは定着下限温度が低く、また耐オフセ
ット性を良好とすることができる。
本発明に使用する無定形ビニル重合体は、前記結晶性
ポリエステルとのブロックまたはグラフト共重合に関与
するカルボキシル基、水酸基、アミノ基またはエポキシ
基を有する単量体を含むものであればよい。
その主体部分を構成するビニル重合体としては、スチ
レン系単量体、アクリル酸エステル系単量体、メタクリ
ル酸エステル系単量体から選択される少なくとも1種と
カルボキシル基、水酸基、アミノ基、またはエポキシ基
を有する単量体を用いて得られ、特にカルボキシル基を
有するビニル重合体のカルボキシル基に多価金属化合物
が反応してイオン架橋結合が形成されていることが好ま
しい。
上記ビニル重合体を得るための単量体としては、例え
ばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エ
チルスチレン、2,3−ジメチルスチレン、2,4−ジメチル
スチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレ
ン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレン系単量体;ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アク
リル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウ
リル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ス
テアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸
フェニル、α−クロルアクリル酸メチル等のアクリル酸
エステル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、
メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸オクチル、メタ
クリル酸ドデシル、メタクチル酸ラウリル、メタクリル
酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メ
タクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチ
ル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル
酸エステル系単量体等を挙げることができる。
前記カルボキシル基、水酸基、アミノ基またはエポキ
シ基を有する単量体としては、例えばアクリル酸、β,
β−ジメチルアクリル酸、α−エチルアクリル酸、メタ
クリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロト
ン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、フタル酸モノ
アクリロイルオキシエチルエステル、琥珀酸モノアクリ
ロイルオキシエチルエステル、N−ヒドロキシエチルア
クリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミ
ド、p−アミノスチレン、グリシジルメタクリレート、
その他を挙げることができる。このような官能基を有す
る単量体は、無定形ビニル重合体を得るための単量体組
成物中に、0.1〜20モル%、好ましくは0.5〜10モル%の
範囲内で用いられる。
前記官能基に反応してイオン架橋結合を形成する多価
金属化合物の金属元素としては、例えばCu,Ag,Be,Mg,C
a,Sr,Ba,Zn,Cd,Al,Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mo,Mn,Fe,Ni,Co,Zr,S
e等を挙げることができる。これらの中でもアルカリ土
類金属(Be,Mg,Ca,Sr,Ba)および亜鉛族元素(Zn,Cd)
が好ましく、特にMgおよびZnが好ましい。
これらの金属を含む多価金属化合物としては、例え
ば、上記金属元素の弗化物、塩化物、塩素酸塩、臭化
物、沃化物、酸化物、水酸化物、硫化物、亜硫酸塩、硫
酸塩、セレン化物、テルル化物、窒化物、硝酸塩、燐化
物、ホスフィン酸塩、燐酸塩、炭酸塩、オルト珪酸塩、
酢酸塩、蓚酸塩、メチル化合物もしくはエチル化合物等
の低級アルキル金属化合物を挙げることができ、特に上
記金属元素の酢酸塩、或は酸化物が好ましい。
多価金属化合物の添加量は、官能基を有するビニル重
合体を構成する単量体1モルに対して、0.1〜1モル程
度である。
ビニル重合体をイオン架橋するには、例えば溶液重合
法により重合して得られた官能基を有するビニル重合体
を含有する溶液に、前記多価金属化合物を混合し、昇温
して約1〜3時間にわたり脱溶剤処理を行い、反応系内
の温度が150〜180℃程度に達した状態で1時間以上この
温度に維持して反応を完結させるのがよい。
このようにして得られるイオン架橋無定形ビニル重合
体は、共有結合に比して遥かに緩かな結合であるイオン
結合による一種の架橋構造が形成されたものとなる。
また、低温定着性、耐オフセット性のより一層の向上
を図る観点から、無定形ビニル重合体は、分子量分布に
おいて少なくとも2つ以上の極大値を有することが好ま
しい。即ち少なくとも低分子量成分と高分子量成分の2
群に分けられる分子量分布を有し、かつゲル・パーミュ
エーション・クロマトグラフィ(GPC)により測定され
た分子量分布曲線において、少なくとも1つの極大値が
2×103〜2×104の範囲内にあり、少なくとも1つの極
大値が1×105〜1×106の範囲内にあるような、少なく
とも2つの極大値を有することが好ましい。
上記高分子量成分により無定形ビニル重合体は一層強
靭なものとなり、キャリアとの摩擦あるいは現像器内で
の撹拌等の機械的な外力によるトナー粒子の破壊が防止
され、フィルミング現象の原因となる微粉滓の発生が抑
制される。なお、上記無定形ビニル重合体中の高分子量
成分の割合は、15wt%以上であることが好ましく、特に
15〜50wt%が好ましい。
無定形ビニル重合体が、イオン架橋無定形ビニル重合
体であり、かつ上記の如く高分子量成分と低分子量成分
とにより構成される場合には、多価金属化合物と反応す
るカルボキシル基は少なくとも低分子量成分に導入され
ていることが好ましい。すなわち、キャリアとの摩擦あ
るいは現像器内での撹拌等の機械的外力によって生ずる
トナー粒子の破壊は、主としてトナー粒子中における低
分子量の比較的もろい成分に起因するため、このような
低分子量成分をイオン架橋して強靭なものとしトナー粒
子に耐破壊性を与えることが好ましい。
また、無定形ビニル重合体において、重量平均分子量
Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnの値が3.5以上であること
が必要であり、特に4〜40が好ましい。比Mw/Mnが過小
のときには、十分な耐オフセット性および耐久性が得ら
れない。ここで、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量
Mnの値は、種々の方法により求めることができ、測定方
法の相違によって若干の差異があるが、本発明において
は下記の測定方法によって求めたものである。
すなわち、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラ
フィ(GPC)によって以下に記す条件で重量平均分子量M
w、数平均分子量Mn、ピーク分子量を測定する。温度40
℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2ml
の流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロフラン試
料溶液を試料重量として3mg注入し測定を行う。試料の
分子量測定にあたっては、試料の有する分子量が数種の
単分散ポリスチレン標準試料により、作製された検量線
の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含
される測定条件を選択する。なお、測定結果の信頼性
は、上述の測定条件で測定したNBS706ポリスチレン標準
試料(重量平均分子量Mw=28.8×104,数平均分子量Mn=
13.7×104,Mw/Mn=2.11)の比Mw/Mnの値が2.11±0.10と
なることにより確認する。
また、用いるGPCのカラムとしては、前記条件を満足
するものであるならばいかなるカラムを採用してもよ
い。具体的には、例えばTSK−GEL、GMH(東洋曹達社
製)等を用いることができる。なお、溶媒および測定温
度は、上記条件に限定されるものではなく、適宜他の条
件に変更してもよい。
また、高分子量成分もしくは低分子量成分のいずれか
一方を得るための第1段目の重合を行い、これにより限
られた一方の成分を、他方の成分を得るための単量体組
成物中に溶解させて第2段目の重合を行い、これにより
他方の成分を生成させることにより、結果として分子量
分布曲線において少なくとも2つの極大値を有する重合
体を得ることができる。このように2段重合により得ら
れる重合体は、低分子量成分と高分子量成分とが、分子
レベルで均一に混合してなるものと推定される。この2
段重合は、例えば溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法
等の方法により行うことができる。
また、低温定着性、耐オフセット性、耐久性の点か
ら、無定形ビニル重合体のガラス転移点Tgは、50〜100
℃が好ましく、特に50〜85℃が好ましい。ここで、ガラ
ス転移点Tgとは、示差走査熱量測定法(DSC)に基いて
測定された値であり、具体的に例えば「DSC−20」(セ
イコー電子工業社製)を用い、昇温速度10℃/minで測定
した際に、ガラス転移点以下のベースラインの延長線と
ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での
最大傾斜を示す接線との交点の温度をいう。
さらにまた、無定形ビニル重合体の軟化点は100〜170
℃が好ましく、特に100〜150℃が好ましい。この軟化点
は、高化式フローテスター(島津製作所製)を用いて、
1cm3の試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジ
ャーにより20kg/cm2の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmの
ノズルを押し出すようにし、これにより当該フローテス
ターのプランジャー降下量−温度曲線(軟化流動曲線)
を描き、そのS字曲線の高さをhとするときh/2に対応
する温度を軟化点としたものである。
前記結晶性ポリエステルと無定形ビニル重合体を化学
的に連結してなる共重合体を得るためには、例えば各重
合体に依存する末端官能基間のカップリング反応により
頭−尾様式で互いに直接に結合させることができる。あ
るいは、各重合体の末端官能基と二官能性カップリング
剤によって結合することができ、例えば、カップリング
剤としてはイジソシアネート、ジカルボン酸、グリコー
ル、ホスゲン、ジクロルジメチルシラン等を挙げること
ができる。
本発明に係るトナーにおいては、以上の共重合体を少
なくとも30wt%以上、更に50wt%以上含有されることが
好ましい。
前記の如きバインダーからなる母体粒子の表面に固着
させる樹脂微粒子は、鉄粉に対して負帯電性で、かつ、
体積固有抵抗が1012Ω・cm以上のものであり、ビニル系
重合体もしくは共重合体、ポリエステル樹脂、フッ素樹
脂などが挙げられる。特にスチレン系樹脂、アクリル系
樹脂、スチレン−アクリル系樹脂が好ましい。樹脂微粒
子の体積固有抵抗が1012Ω・cm未満になると高温高湿下
での転写性が悪くなる。
樹脂微粒子のガラス転移点Tgは55℃以上のものが好ま
しく、耐ブロッキング性に優れている。
また、樹脂微粒子の軟化点は300℃以下、特に100〜20
0℃が好ましく、低温での定着性に優れ、母体粒子表面
への固着化が容易である。
斯かる樹脂微粒子の平均粒径は、1μm以下、特に0.
02〜0.6μmであり、母体粒子表面への固着化が容易で
あり、母体粒子表面への埋め込みが防止でき、耐ブロッ
キング性に優れる。
本発明において、母体粒子の表面に樹脂微粒子が固着
された状態とは、母体粒子表面から突出している樹脂微
粒子部分の高さが当該樹脂微粒子の直径の10〜90%であ
る状態をいう。なお、このような状態は、透過電子顕微
鏡または通常の電子顕微鏡によりトナー粒子の表面を観
察することにより容易に確認することができる。
このような状態を得るためには、母体粒子と樹脂微粒
子とが共に存在する系において、母体粒子が粉砕されな
い大きさの衝撃力、例えば粉砕時に通常必要とされる力
の1/5〜1/10の大きさの衝撃力を作用させればよい。具
体的には、母体粒子のバインダーの特性によっても異な
るが、母体粒子1個当たり、1.59×10-3〜9.56×10-5er
g、好ましくは1.20×10-3〜1.60×10-4ergの衝撃力を作
用させればよい。
母体粒子のバインダー樹脂と共に用いられるその他の
トナー成分としては、着色剤、荷電制御剤、流動化剤、
滑剤等種々の添加剤があり、必要に応じて用いることが
できる。
着色剤としては、例えばカーボンブラック、クロムイ
エロー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、フ
タロシアニンブルー、マラカイトグリーンオクサレー
ト、その他を用いることができる。
荷電制御剤としては、例えばニグロシン系染料、含金
属アゾ染料、金属錯体等を挙げることができる。
トナーの熔融時の粘弾性を一層好適なものとするた
め、あるいは定着性をさらに向上させるために、ワック
スをバインダー樹脂と共に混練して使用することが好ま
しい。具体的には、固型のパラフィン、ポリエチレンも
しくはポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィン、脂
肪酸エステル、高級アルコール、アミド系ワックス等を
用いることができる。
流動化剤としては、例えばシリカ、アルミナ、チタニ
ア、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン
酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸
化セリウム、三酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、炭
化ケイ素、窒化ケイ素等の微粒子を挙げることができ
る。特にシリカ微粒子が好ましい。さらにアミン変性シ
リコン化合物で表面処理されたシリカがトナーを正に帯
電させるために好ましい。
また、これらの流動化剤の添加混合割合は、トナー全
体の例えば0.01〜5重量%、特に、0.05〜2重量%が好
ましい。
滑剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン
酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン
酸、硬化ヒマシ油、その他を挙げることができる。これ
らの滑剤の添加混合割合は、トナー全体の例えば0.01〜
2重量%が好ましい。
本発明に係るトナーは、キャリアと混合して二成分系
現像剤として用いてもよいし、キャリアと混合せずに磁
性トナーもしくは非磁性トナーのみからなる一成分系現
像剤として用いてもよい。
キャリアとしては、従来公知のものを用いることがで
きるが、トナー粒子を正に帯電させるために、鉄、ニッ
ケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合
金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物
の粒子に、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合
体、テトラフルオロエチレン、2,2,2−トリフルオロエ
チルメタクリレート、ペンタフルオロ−n−プロピルメ
タクリレート等のフッ素樹脂、あるいはシリコーン樹脂
を被覆したものが好ましい。
キャリアの平均粒径は20〜200μmが好ましく、特に3
0〜150μmが好ましい。
本発明に係るトナーの好適な製造方法の一例を挙げる
と、まずバインダー樹脂の材料を粉砕し分級して、トナ
ーとして望ましい粒径の母体粒子を得る。この母体粒子
中には、既述のようなトナー成分を含有させておくこと
ができる。そして母体粒子に、樹脂微粒子を加えて例え
ばV型混合機により撹拌を行い、これにより母体粒子の
表面に静電的に樹脂微粒子を付着させ、次いでこれを衝
撃式微粉砕機に投入して衝撃を加える。このように処理
することによって、母体粒子の粒子の表面に樹脂微粒子
を固着させる。
なお、母体粒子中に、着色剤、定着性向上剤、磁性
体、その他の特性改良剤などのトナー成分を分散含有さ
せる場合には、予めエクストルーダー等によりそれらを
均一に混合させた後、粉砕分級して所望の粒子径の粉体
とすればよい。また、流動化剤、滑剤等の外部添加剤
は、樹脂微粒子を固着させた後に、添加混合すればよ
い。
本発明において、定着用熱ローラに用いられる樹脂被
覆層は、体積抵抗率が103〜1011Ω・cmであり、好まし
くはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフル
オロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共
重合体(PFA)などフッ素樹脂に、例えばSnO2/酸化アン
チオンドープ、TiO2/SnO2/酸化アンチモンドープ、導電
性酸化亜鉛などの金属酸化物や、雲母(マイカ)、ガラ
ス、セラミック中空球に銀、アルミニウム、銅、亜鉛、
フェライト等を表面コートしたメタルコートフィラー、
あるいは金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムなどの金
属粉末、また、グラファイト、カーボンブラックなどを
分散含有させたものである。体積抵抗率が1011Ω・cmを
越える場合には、オフセット性が低下する傾向があり、
また103Ω・cmに満たない時には高温高湿下で転写不良
を起こしやすい。
本発明の画像形成法によれば、本発明に係るトナー
は、例えば電子写真複写機において形成された静電潜像
の現像に供され、得られたトナー像は転写材上に静電転
写された後、上記構成の加熱ローラにより定着されて最
終的な複写画像が得られる。
[実施例] 以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明
がこれらの実施例に限定されるものではない。
<結晶性ポリエステルの製造> (1)結晶性ポリエステル1 セバシン酸1500gと、ヘキサメチレグリコール964gと
を、温度計、ステンレススチール製撹拌器、ガラス製窒
素導入管および流下式コンデンサーを備えた容量5の
丸底フラスコに入れ、次いでこのフラスコをマントルヒ
ータにセットし、ガラス製窒素導入管より窒素ガスを導
入して反応器内を不活性雰囲気に保った状態で昇温させ
た。そして13.2gのp−トルエンスルホン酸を加えて温
度150℃で反応させた。留出した水の量が250mlに達した
時に反応を停止させ、反応型を室温に冷却して分子末端
に水酸基を有するポリヘキサメチレンセバケートよりな
る結晶性ポリエステル1を製造した。この結晶性ポリエ
ステル1の融点Tmは64℃、重量平均分子量Mwは14,000で
ある。
(2)結晶性ポリエステル2 結晶性ポリエステル1と同様にして、融点Tmが77℃、
重量平均分子量Mwが8,370のポリデカメチレンアジペー
トよりなる結晶性ポリエステル2を製造した。
<無定形ビニル重合体の製造> (無定形ビニル重合体1) 容量1のセパラブルフラスコにトルエン100重量部
を入れ、その中に、高分子量成分用単量体として、スチ
レン75重量部と、n−ブチルアクリレート25重量部と、
過酸化ベンゾイル0.2重量部とを加えて、フラスコ内の
気相を窒素ガスによって置換した後、温度80℃に昇温し
て当該温度に15時間保って第1段重合を行なった。な
お、当該高分子量成分用単量体の単独重合体における重
量平均分子量Mwは461,000、ガラス転移点Tgは61℃であ
る。
その後、フラスコ内を温度40℃に冷却して、その中
に、低分子量成分用単量体として、スチレン85重量部
と、n−ブチルメタクリレート10重量部と、アクリル酸
5重量部と、過酸化ベンゾイル4重量部とを加えて、温
度40℃において2時間撹拌を続けた後、温度を80℃に最
昇温してその温度に8時間保って第2段重合を行なっ
た。なお、当該低分子量成分用単量体の単独重合体にお
ける重量平均分子量Mwは8,200、ガラス転移点Tgは64℃
である。
次に、フラスコ内に、多価金属化合物である酸化亜鉛
0.5gを添加し、還流温度に保持して撹拌しながら2時間
にわたり反応を行なった。
その後、トルエンをアスピレータ及び真空ポンプによ
り留去して、ビニル重合体のカルボキシル基に酸化亜鉛
が反応してイオン架橋結合が形成されてなる無定形ビニ
ル重合体1を製造した。
この無定形ビニル重合体1は、GPCによる分子量分布
においてピークが2つ存在し、高分子量側のピーク分子
量は363,000、低分子量側のピーク分子量は7,590であ
る。また、重量平均分子量Mwは165,000、比Mw/Mnの値は
25.9、ガラス転移点Tgは62℃、軟化点Tspは130℃であ
る。
<母体粒子用バインダーの製造> (1)母体粒子用バインダー1(本発明用) 結晶性ポリエステル1の20重量部と、無定形ビニル重
合体1の80重量部と、p−トルエンスルホン酸0.05重量
部と、キシレン100重量部とを、容量3のヒパラブル
フラスコ内に入れ、温度150℃で1時間にわたり還流さ
せ、その後キシレンをアスピレータおよび真空ポンプに
より留去して、結晶性ポリエステルと無定形ビニル重合
体とのグラフト共重合体よりなる母体粒子用バインタ1
を製造した。
(2)母体粒子用バインダー2(本発明用) 上記母体粒子用バインダー1の製造において、結晶性
ポリエステル1を15重量部、無定形ビニル重合体1を85
重量分に変更した他は同様にして母体粒子用バインダー
2を製造した。
(3)母体粒子用バインダー3(本発明用) 上記母体粒子用バインダー2の製造において、結晶性
ポリエステル1を結晶性ポリエステル2に変更した他は
同様にして母体粒子用バインダー3を製造した。
(4)母体粒子用バインダー4(比較例用) 無定形ビニル重合体1単独を母体粒子用バインダー4
とする。
<樹脂微粒子の製造> (1)樹脂微粒子1(本発明用) 過硫酸カリウムとチオ硫酸ナトリウムを開始剤として
用い、スチレン75重量部、メチルメタクリレート5重量
部、n−ブチルアクリレート20重量部を重合させて平均
粒径0.4μmの樹脂微粒子1を得た。
(ガラス転移点Tg=68℃,軟化点Tsp=165℃,体積固有
抵抗2×1013Ω・cm) (2)樹脂微粒子2(本発明用) 過硫酸アンモニウムを開始剤として用い、メチルメタ
クリレート80重量部、n−ブチルアクリレート10重量
部、n−ブチルメタクリレート10重量部を重合させて平
均粒径0.06μmの樹脂微粒子2を得た。
(ガラス転移点Tg=61℃,軟化点Tsp=199℃,体積固有
抵抗9×1012Ω・cm) (3)樹脂微粒子3(本発明用) 樹脂微粒子1と同組成で平均粒径0.06μmの樹脂微粒
子3を得た。
(ガラス転移点Tg=66℃,軟化点Tsp=145℃,体積固有
抵抗3×1013Ω・cm) (4)樹脂微粒子4(比較例用) 樹脂微粒子2において、重合開始剤として、過硫酸ア
ンモニウムの代わりに2,2′−アゾビス(2−アミジノ
プロパン)二塩酸塩を用いた他は同様にして平均粒径0.
4μmの樹脂微粒子4を得た。
(ガラス転移点Tg=71℃,軟化点Tsp=215℃,体積固有
抵抗6×1012Ω・cm) (5)樹脂微粒子5(比較例用) 樹脂微粒子1と同じ組成で、体積固有抵抗が4×1011
Ω・cm、平均粒径0.4μmの樹脂微粒子を樹脂微粒子5
とする。
(ガラス転移点Tg=69℃,軟化点Tsp=165℃) 樹脂微粒子1〜3及び5はいずれも球形鉄粉(DSP−1
35,同和鉄粉社製)に対して負の帯電性を示し、樹脂微
粒子4は正に帯電した。
尚、樹脂微粒子の体積固有抵抗は、樹脂微粒子を40kg
/cm2で加圧し、直径1.0cm、厚さ約8mmのペレットを形成
し、これを約1.0cmの電極ではさみ、直流100Vを印加し
た後、30秒後の電流値を測定することにより求めた。
<トナー1の製造> 母体粒子用バンイダー1 100重量部 カーボンブラック「モーガルL」(キャボット社製)10
重量部 パラフィンワックス「サゾールワックスH1」(サゾール
マーケッティング社製) 3重量部 アルキレンビス脂肪酸アミド「ヘキストワックスC」
(ヘキスト社製) 3重量部 以上の組成物を混合し、加熱ロールにより溶融混練
し、冷却した後、粗粉砕し、風力分級機により分級し
て、平均粒径11μmの体粒子1を得た。
当該母体粒子1の95重量部に、樹脂微粒子1の5重量
部を添加し、これをV型混合機により十分に撹拌混合し
て、樹脂微粒子1を母体粒子1に静電的に付着させた。
次いで、これらを「奈良ハイブリダイゼーションシステ
ムNHS−1」(奈良機械製作所製)に移し、衝撃羽根の
回転数を6000rpmとして5分間にわたり処理し、もって
母体粒子の表面に樹脂微粒子を固着させた。
さらに、前記樹脂微粒子を固着させた母体粒子100重
量部に対して、表面をポリシロキサンアンモニウム塩で
処理したシリカ微粒子を0.8重量部、ステアリン酸亜鉛
を0.2重量部添加し、V型混合機により混合して、本発
明に係るトナー1を得た。
ここに得られたトナー1は、電子顕微鏡による表面観
察および透過電子顕微鏡による観察により、母体粒子の
表面に静電的に付着していた樹脂微粒子が、母体粒子の
表面に強固に固着された状態となっていることが認めら
れた。
<トナー2の製造> トナー1の製造において、母体粒子用バインダー1の
代わりに母体粒子用バインダー2を用いた他は同様にし
て母体粒子2を得た。この母体粒子2を用いた他はトナ
ー1の製造と同様にして本発明に係るトナー2を得た。
<トナー3の製造> トナー1の製造において、母体粒子用バインダー1の
代わりに母体粒子用バインダー2を用いた他は同様にし
て母体粒子2を得た。
当該母体粒子2の98重量部に、樹脂微粒子2の2重量
部を添加し、これをV型混合機により十分に撹拌混合し
て、樹脂微粒子2を母体粒子2に静電的に付着させた。
次いで、これらを「奈良ハイブリダイゼーションシステ
ムNHS−1」(奈良機械製作所製)に移し、衝撃羽根の
回転数を6000rpmとして5分間にわたり処理し、もって
母体粒子の表面に樹脂微粒子を固着させた。
そして、トナー1の製造と同様にしてシリカ微粒子と
ステアリン酸亜鉛を添加混合処理して、本発明に係るト
ナー3を得た。
<トナー4の製造> トナー3の製造において、樹脂微粒子2の代わりに樹
脂微粒子3を用いた他は同様にして本発明に係るトナー
4を得た。
<トナー5の製造> トナー1の製造において、母体粒子用バインダー1の
代わりに母体粒子用バインダー3を用いた他は同様にし
て母体粒子3を得た。
当該母体粒子3の98.5重量部に、樹脂微粒子2の1.5
重量部を添加し、これをV型混合機により十分に撹拌混
合して、樹脂微粒子2を母体粒子3に静電的に付着させ
た。次いで、これらを「タープラシェイカミキサーT2C
型」(WAR社製)に移し、さらにガラスビーズを加えた
状態で回転数を90rpmとして30分間にわたり処理し、も
って母体粒子の表面に樹脂微粒子を固着させた。
そして、トナー1の製造と同様にしてシリカ微粒子と
ステアリン酸亜鉛を混合処理して本発明に係るトナー5
を得た。
<トナー6の製造> トナー5の製造において、樹脂微粒子2の代わりに樹
脂微粒子3を用いた他は同様にして本発明に係るトナー
6を得た。
<比較トナー1の製造> トナー1の製造において、樹脂微粒子を用いない他は
同様にして比較トナー1を得た。
<比較トナー2の製造> トナー1の製造において「奈良ハイブリダイゼーショ
ンシステムNHS−1」を用いず、ヘンシェルミキサーに
より母体粒子と樹脂微粒子とを単に撹拌混合した他は同
様にして比較トナー2を得た。
<比較トナー3の製造> トナー2の製造において、樹脂微粒子1の代わりに樹
脂微粒子4を用いた他は同様にして比較トナー3を得
た。
<比較トナー4の製造> トナー2の製造において、樹脂微粒子1の代わりに樹
脂微粒子5を用いた他は同様にして比較トナー4を得
た。
<比較トナー5の製造> トナー3の製造において、母体粒子用バインダー2の
代わりに母体粒子用バインダー4を用いた他は同様にし
て母体粒子4を得た。この母体粒子4を用いた他はトナ
ー3の製造と同様にして比較トナー5を得た。
<現像剤の調製> 銅−亜鉛系フェライトよりなる磁性体粒子(日本鉄粉
工業社製)にトリフルオロエチルメタクリレートを被覆
した平均粒径80μmのキャリアと、上記各トナーとを混
合して、トナー濃度が5重量%の2成分現像剤を各々調
製した。
<熱ローラ> 表1に本発明の熱ローラ1〜3、及び比較用熱ローラ
4,5の仕様を示す。
尚、体積抵抗率の測定は20μmの樹脂被膜を形成させ
た熱ローラ表面に1cm×1cmに金を真空蒸着させ、エレク
トロメータ(ケスレー製617プログラマブルエレクトロ
メータ)を用いて測定した。
<耐久性の評価> 表2に示す様に、上記各現像剤を熱ローラと組み合わ
せて、定着熱ローラの設定温度を150℃に設定した電子
写真複写機「U−Bix1550MR」(コニカ(株)製)改造
機(線速度139mm/sec)を用いて、高温高湿環境下(温
度33℃,相対湿度80%)において100000回にわたる実写
テストを行ない、トナーの帯電量の推移及び得られた画
像を目視で観察することにより耐久性を評価した。尚、
上記電子写真複写機「U−Bix1550MR」は有機光導体か
らなる感光体、加熱ローラ定着器を備え、該加熱ローラ
定着器にはシリコーンオイル等の離型剤の塗布機構は備
えていないものである。
トナーの帯電量については、350メッシュのステンレ
ス網を通してブローオフ法により測定した。(ブロー圧
力0.2kg,ブロー時間6sec) 結果を表3に示す。
以上の結果から、次のようなことが明らかとなった。
<実施例1〜6> 100000回コピー後のトナー帯電量は初期とほとんど変
わらず、クリーニング不良や画像流れ、カブリのない良
好な画質が維持された。また現像部やクリーニング部で
のトナーブロッキングもなく、定着性も良好で、オフセ
ットや定着ローラへの巻き付きも発生せず、定着ローラ
の汚れも非常に軽微であった。さらに感光体ドラムある
いは現像スリーブへのフィルミングも全く認められず、
転写性も極めて良好であった。また、トナー飛散による
機内汚染も非常に少なかった。
<比較例1> 12000回以降、クリーニング不良が発生し、また画像
汚れが顕著であった。さらに、感光体ドラムあるいは現
像スリーブにはフィルミングが認められ、画質は不鮮明
で、画像濃度ムラ、画像カスレなどの不良が発生した。
<比較例2> 50000回コピー後の帯電量は+3μc/gと初期に比べ大
幅に低下し、そのため5000回以降カブリが著しく、また
トナーや樹脂微粒子の飛散による機内汚染が見られた。
<比較例3> 50000回コピー後の帯電量は+4μc/gと初期に対し大
幅に低下し、したがって5000回以降カブリが著しく、ト
ナー飛散による機内汚染も激しい。キャリア表面を観察
すると樹脂微粒子により覆れていた。また、定着ローラ
へのトナーの静電的な付着が多く、5000回以降定着熱ロ
ーラ汚れによる画像不良や定着熱ローラへの巻き付きが
頻繁に発生した。
<比較例4> 初期から転写性が悪く、転写ヌメが頻繁に発生した。
<比較例5> 初期から定着性が悪く、容易に転写材より定着トナー
が剥離した。また顕著なアンダーオフセットが発生し
た。
<比較例6> 比較例4と同様に、転写ヌケが頻繁に発生した。
<比較例7> 定着熱ローラへのトナーの静電的な付着が多く、4000
回以降定着ローラ汚れによる画像不良や定着ローラの巻
き付きが頻繁に発生した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−186858(JP,A) 特開 昭63−27856(JP,A) 特公 昭58−23626(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 9/087 G03G 9/08 G03G 15/20 103 G03G 15/08 507

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性ポリエステルと無定形ビニル重合体
    とが化学的に結合してなるブロック共重合体またはグラ
    フト共重合体をバインダーとする母体粒子に、鉄粉に対
    して負帯電性で、かつ、体積固有抵抗が1012Ω・cm以上
    の樹脂微粒子を機械的衝撃力により固着させた正帯電ト
    ナーを用いて、感光体上に形成された静電潜像を現像
    し、形成したトナー像を転写材に転写した後、体積抵抗
    率が103〜1011Ω・cmの樹脂被膜層を有する熱ローラに
    より定着することを特徴とする画像形成法。
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