JP2872352B2 - 正帯電性トナー - Google Patents

正帯電性トナー

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JP2872352B2
JP2872352B2 JP2151525A JP15152590A JP2872352B2 JP 2872352 B2 JP2872352 B2 JP 2872352B2 JP 2151525 A JP2151525 A JP 2151525A JP 15152590 A JP15152590 A JP 15152590A JP 2872352 B2 JP2872352 B2 JP 2872352B2
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    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/0825Developers with toner particles characterised by their structure; characterised by non-homogenuous distribution of components

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電子写真法、静電印刷法、静電記録法等に
適用される正帯電性トナーに関し、詳しくは、フッ素樹
脂による被覆層を有する熱ローラによって定着される正
帯電性トナーに関する。
〔従来の技術〕
例えば電子写真法においては、通常、光導電性感光体
よりなる静電像担持体に帯電、露光により静電潜像を形
成し、次いでこの静電潜像を、バインダー樹脂中に着色
剤等を含有させて微粒子状に形成してなるトナーによっ
て現像し、得られたトナー像を転写紙等の支持体に転写
し定着して可視画像を形成する。
このように可視画像を得るためにはトナー像を定着す
ることが必要であり、従来においては熱効率が高くて高
速定着が可能な熱ローラ定着方式が広く採用されてい
る。
このような熱ローラ定着方式に適用されるトナーにお
いては、耐ブロッキング性、クリーニング性のほかに、
低温定着性、耐オフセット性の条件を満足することが必
要とされる。
しかるに、従来においては、以下に掲げる技術が提案
されている。
トナーのバインダー樹脂として、結晶性ポリエステ
ルと、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnの
値が3.5以上の無定形ビニル重合体とのブロック共重合
体またはグラフト共重合体を用いる技術(特開昭63−27
855号公報)。
トナーのバインダー樹脂として、結晶性ポリエステ
ルと、分子量分布において2つ以上のピークを有する無
定形ビニル重合体とのブロック共重合体またはグラフト
共重合体を用いる技術(特開昭63−27856号公報)。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上記およびの技術では、共重合体の構成
成分である結晶性ポリエステル成分が静電像担持体や現
像剤担持体の表面にフィルミングしやすいために、クリ
ーニング不良、現像剤の搬送不良、摩擦帯電不良が発生
し、その結果、得られる画像においては、画像濃度ム
ラ、画像カスレ、カブリ等の画像不良が発生する問題が
ある。
また、現像器中においてトナーが凝集しやすいため
に、トナーの凝集物が原因となって画像ヌケが発生する
問題がある。
そして、特に静電像担持体が有機光導電性感光体から
なる場合には、転写紙から発生する紙粉、ロジン、タル
ク等の析出物や、画像形成装置内のコロナ放電器に起因
して発生するコロナ放電生成物が有機光導電性感光体の
表面に付着しやすく、さらには前述したように結晶性ポ
リエステル成分も有機光導電性感光体の表面に付着しや
すいために、高温高湿環境下においては当該感光体の表
面の付着物が吸水して低抵抗化して、当該部分の静電像
が流れる現象が発生し、得られる画像においては、画像
流れが発生する問題がある。
これに対して、トナーによるフィルミング、トナーの
凝集を防止して、クリーニング性、摩擦帯電性を改善す
るために、以下の技術が提案されている。
熱定着性の母体粒子の表面に、その軟化点が当該母
体粒子の軟化点よりも高く、かつ平均粒径が0.1μm以
上で当該母体粒子の平均粒径の1/4以下である樹脂微粒
子を埋設被覆する技術(特開昭63−131149号公報)。
バインダー樹脂を含有してなる正帯電性の母体粒子
に、負帯電性の樹脂微粒子を機械的衝撃力により固着、
埋設する技術(特開平1−196070号公報)。
しかし、上記の技術では、次の問題がある。すなわ
ち、正帯電性トナーを熱ローラ定着方式で定着する場合
には、熱ローラの表面を、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアル
キルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂に
より被覆することが有利であるが、これらのフッ素樹脂
は負帯電性の傾向がきわめて強いものであるため、正帯
電性トナーが熱ローラの表面に静電的に付着するという
静電オフセットが発生しやすい傾向がある。しかるに、
上記の技術では、正帯電性トナー用の正帯電性の強い
樹脂微粒子を埋設被覆しているために、上記の静電オフ
セットがさらに増加し、その結果、転写紙が熱ローラに
巻付く現象が発生し、また、定着器の分離爪の跡が定着
トナー像に顕著に現れ、さらには熱ローラの表面がトナ
ーにより汚染されて画像不良が発生する問題がある。
さらに、上記の技術では、2成分現像剤として使用
する場合は、キャリアと樹脂微粒子の摩擦帯電性が大き
く異なるために、母体粒子の表面に埋設された樹脂微粒
子がキャリアへ移行しやすく、その結果、キャリア表面
に樹脂微粒子が静電的に付着し、キャリアの帯電能力を
大きく低下させ、耐久性を損なうという問題がある。
一方、上記の技術では、母体粒子に、負帯電性の樹
脂微粒子を機械的衝撃力により固着し埋設しているが、
負帯電性の樹脂微粒子が、ポリフッ化ビニル(PVF)、
ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)等の含フッ素ビニル系樹脂からなるため、樹脂
微粒子の軟化点が高くなりすぎ、十分な低温定着性が発
揮されない問題がある。
また、負帯電性の樹脂微粒子の軟化点が高いために、
当該樹脂微粒子を母体粒子の表面に機械的衝撃力により
固着し埋設することが困難であり、そのため母体粒子か
ら遊離した状態の樹脂微粒子が多く存在し、トナーの摩
擦帯電性、耐久性を悪化させる問題がある。
本発明は以上の事情に基づいてなされたものであっ
て、その目的は、フッ素樹脂による被覆層を有する熱ロ
ーラによって定着される正帯電性トナーであって、低温
定着性、耐ブロッキング性、耐オフセット性、クリーニ
ング性のみならず、耐静電オフセット性および耐久性の
優れた正帯電性トナーを提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
以上の目的を達成するために、本発明者らが鋭意研究
を重ねた結果、結晶性ポリエステルと無定形ビニル重合
体とからなる樹脂をバインダーとして含有してなる母体
粒子の表面に機械的衝撃力により固着する樹脂微粒子と
して、その軟化点が母体粒子中に含有されているバイン
ダー樹脂の軟化点よりも高くかつ160℃以下であり、鉄
粉に対する負の摩擦帯電量の絶対値が100μC/g以上であ
るビニル系樹脂微粒子を用いることにより、母体粒子の
有する優れた特性、すなわち、低温定着性、耐オフセッ
ト性、耐ブロッキング性を阻害することなく、クリーニ
ング性を高め、しかも、耐静電オフセット性、耐久性を
格段に向上させることができることを見出して、本発明
を完成するに至ったものである。
そこで、本発明の正帯電性トナーにおいては、フッ素
樹脂による被覆層を有する熱ローラ(以下「フッ素樹脂
被覆熱ローラ」ということもある。)によって定着され
る正帯電性トナーであって、結晶性ポリエステルと無定
形ビニル重合体とが化学的に結合されてなる樹脂をバイ
ンダーとして含有してなる母体粒子に、その軟化点が前
記母体粒子中に含有されているバインダー樹脂の軟化点
よりも高くかつ160℃以下であり、鉄粉に対する負の摩
擦帯電量の絶対値が100μC/g以上であるビニル系樹脂微
粒子を、機械的衝撃力により固着してなることを特徴と
する。
すなわち、本発明では、熱ローラ定着方式において好
ましく用いられるフッ素樹脂被覆熱ローラにより定着さ
れる正帯電性トナーにおいて、母体粒子に機械的衝撃力
により固着する樹脂微粒子の軟化点と摩擦帯電量を規定
することにより、トナーの低温定着性を図りながら、ト
ナーのフッ素樹脂被覆熱ローラの表面への静電的な付着
を防止できるようにしたものである。
詳しく説明すると、樹脂微粒子の軟化点の上限を160
℃に規定しているため、母体粒子と樹脂微粒子とを混合
してこれらに機械的衝撃力を付与するときに、樹脂微粒
子の表面が熱的に軟化して母体粒子の表面に融合しやす
くなり、樹脂微粒子の母体粒子の表面への固着性が格段
に向上し、樹脂微粒子が母体粒子の表面に強固に固着し
た正帯電性トナーが得られ、しかも低温定着性や低温で
の離型性を損なうことがない。
また、かりに樹脂微粒子が母体粒子から遊離してキャ
リアや現像剤担持体の表面に付着したとしても、上記の
ように樹脂微粒子の負の摩擦帯電量の絶対値の下限を規
定しているために、正帯電性トナーの摩擦帯電性には実
質上影響を与えることがなく、この点からも正帯電性ト
ナーの摩擦帯電性および耐久性が向上する。
また、負帯電性の強い樹脂微粒子が母体粒子に強固に
固着されるので、フッ素樹脂被覆熱ローラにより定着さ
れるときにも静電的な付着力によって樹脂微粒子と共に
母体粒子がフッ素樹脂被覆熱ローラに転移することがな
く、従って熱ローラのトナー汚れが発生せず、また定着
ローラに転写紙が巻付く現象が発生せず、さらには定着
トナー像に定着器の分離爪の跡がつくおそれもない。
以下、本発明の構成を具体的に説明する。
本発明の正帯電性トナーを構成する樹脂微粒子は、ビ
ニル系樹脂からなる樹脂微粒子であって、その軟化点T2
が母体粒子中に含有されているバインダー樹脂の軟化点
T1よりも高く、かつ160℃以下であり、さらに、鉄粉に
対する負の摩擦帯電量の絶対値が100μC/g以上のもので
ある。
本発明において、母体粒子中に含有されているバイン
ダー樹脂の軟化点T1および樹脂微粒子の軟化点T2は、高
化式フローテスター(島津製作所製)を用いて測定され
たものであり、1cm3の試料を昇温速度6℃/分で加熱
しながらプランジャーにより20kg/cm2の荷重を与え、直
径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにして、これに
より当該フローテスターのプランジャー降下量−温度曲
線(軟化流動曲線)を描き、そのS字曲線の高さをhと
するときh/2に対応する温度を軟化点とした。
本発明において、樹脂微粒子の軟化点T2が、 T1<T2≦160℃ の条件を満足することにより、樹脂微粒子を機械的衝撃
力により母体粒子の表面に十分に固着させることがで
き、しかもフッ素樹脂被覆熱ローラの設定温度をより低
くした状態においてトナーを十分に定着することができ
る。
しかし、樹脂微粒子の軟化点T2が母体粒子中に含有さ
れているバインダー樹脂の軟化点T1以下の場合は、樹脂
微粒子が変形しすぎて十分な耐フィルミング性、耐ブロ
ッキング性が得られない。
一方、樹脂微粒子の軟化点T2が160℃を超える場合
は、トナーの低温定着性や低温での離型性も悪化する。
本発明において、樹脂微粒子の鉄粉に対する摩擦帯電
量は、鉄粉「TEFV200/300」(パウダーテック社製)19.
92gと、樹脂微粒子0.08gとを、20ccのガラス製サンプル
管に入れて、温度20±2℃、相対湿度60±5%の環境下
に2時間以上放置した後、振とう機「ミニベーパー」
(東京理化器社製)により20分間振とうし、ブローオフ
法(圧力0.5kg/cm2,時間30sec,メッシュ#400)により
測定して得られたものである。
樹脂微粒子の鉄粉に対する負の摩擦帯電量の絶対値が
100μC/g以上であれば、静電オフセットの発生が十分に
防止される。
しかし、樹脂微粒子の負の摩擦帯電量の絶対値が100
μC/g未満の場合は、静電オフセットにより画像汚れが
発生する。
また、樹脂微粒子の摩擦帯電性が正の場合は、静電オ
フセットが顕著となり、画像汚れが著しく発生する。
本発明に用いる樹脂微粒子は、ビニル系樹脂からな
り、具体的には、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ス
チレン−アクリル系共重合体樹脂等からなる。本発明に
おいては、特に、スチレン/メチルメタクリレート/n−
ブチルアクリレート共重合体樹脂、スチレン/メチルメ
タクリレート/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸共
重合体樹脂等を好ましく用いることができる。
本発明に用いる樹脂微粒子は、既述のように、軟化点
T2が、T1<T2≦160℃の条件を満足し、かつ、鉄粉に対
する負の摩擦帯電量の絶対値が100μC/g以上であること
が必要であるが、このようなビニル系樹脂を得るために
は、次のような製造方法を適用することができる。
(a)乳化重合法や乳化剤を含まないソープフリー乳化
重合法等を採用してビニル系樹脂を合成するに際して、
過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムのような過硫酸塩
系触媒、またはアゾビスシアノバレリアン酸のようなア
ゾ系触媒を使用し、触媒切片のアニオン種を利用する方
法。
(b)乳化重合法や乳化剤を含まないソープフリー乳化
重合法等を採用してビニル系樹脂を合成するに際して、
アニオン性基であるカルボキシル基やスルホン酸基等を
有する官能性モノマーを共重合してアニオン種を導入す
る方法。
(c)上記(a)および(b)の方法を併用する方法。
この方法は、上記(a)または(b)のいずれか一方の
みでは十分な負の摩擦帯電量が得られない場合に有効な
方法である。
本発明に用いる樹脂微粒子のガラス転移点Tgは、トナ
ーの耐ブロッキング性を高める観点から、55℃以上であ
ることが好ましい。
また、樹脂微粒子の一次粒子の平均径は、樹脂微粒子
の母体粒子に対する固着性をさらに高める観点から、0.
02〜0.6μmの範囲が好ましい。
ここで、樹脂微粒子の一次粒子の平均径は、走査型電
子顕微鏡(SEM)で数万倍の倍率で観察して測定された
ものである。
また、樹脂微粒子による母体粒子の被覆率は、樹脂微
粒子による効果を十分に発揮させる観点から、10〜90%
の範囲が好ましい。
ここで、被覆率は、次式で示されるものである。
ρt:母体粒子の比重 ρp:樹脂微粒子の比重 Dt:母体粒子の粒径 Dp:樹脂微粒子の粒径 C :樹脂微粒子の濃度(%) 本発明に用いる母体粒子は、結晶性ポリエステルと無
定形ビニル重合体とが化学的に結合されてなる樹脂をバ
インダーとして含有してなるものである。
無定形ビニル重合体は、併用する結晶性ポリエステル
と結合を形成する官能基を有し、かつ、重量平均分子量
Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnの値が3.5以上であること
が好ましく、特に7〜30の範囲にあることが好ましい。
当該官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミ
ノ基、エポキシ基等が好ましい。
無定形ビニル重合体は、以上のような官能基を有する
単量体を含む重合用組成物から合成されるが、当該無定
形ビニル重合体の主体部分を構成するビニル重合体とし
ては特に制限されるものではない。斯かる主体部分とし
てのビニル重合体としては、ポリスチレン、ポリメタク
リル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、その他を
挙げることができる。これらのうち、スチレン系重合
体、アクリル系重合体、スチレン・アクリル系重合体が
特に好ましい。
無定形ビニル重合体においては、低温定着性および耐
オフセット性を高める観点から、その分子量分布におい
て少なくとも2つ以上の極大値を有することが好まし
い。具体的には、無定形ビニル重合体は、少なくとも低
分子量成分と高分子量成分の2群に分けられる分子量分
布を有し、かつゲル・パーミュエーション・クロマトグ
ラフィ(GPC)により測定された分子量分布曲線におい
て、少なくとも1つの極大値が2×103〜2×104の範囲
にあり、少なくとも1つの極大値が1×105〜1×106
範囲にあるような、少なくとも2つの極大値を有するこ
とが好ましい。
無定形ビニル重合体のガラス転移点Tgは、耐ブロッキ
ング性および低温定着性を高める観点から、50〜100℃
の範囲が好ましく、特に50〜85℃の範囲が好ましい。な
お、無定形ビニル重合体のTgは、結晶性ポリエステルと
結合されていない状態における無定形ビニル重合体のガ
ラス転移点を意味する。
結晶性ポリエステルとしては、特に限定されるもので
はないが、低温定着性および流動性を高める観点から、
特にポリアルキレンポリエステルが好ましい。
斯かるポリアルキレンポリエステルの具体例として
は、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンアジペー
ト、ポリエチレンスベレート、ポリエチレンサクシネー
ト、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカ
エート、ポリヘキサメチレンオクザレート、ポリヘキサ
メチレンセバケート、ポリヘキサメチレンデカンジオエ
ート、ポリオクタメチレンドデカンジオエート、ポリノ
ナメチレンアゼレート、ポリデカメチレンアジペート、
ポリデカメチレンアゼレート、ポリデカメチレンオクザ
レート、ポリデカメチレンセバケート、ポリデカメチレ
ンサクシネート、ポリデカメチレンオクタデカンジオエ
ート、ポリテトラメチレンセバケート、ポリトリメチレ
ンドデカンジオエート、ポリトリメチレンオクタデカン
ジオエート、ポリトリメチレンオクザレート、ポリヘキ
サメチレン−デカメチレン−セバケート、ポリオキシデ
カメチレン−2−メチル−1,3−プロパン−ドデカンジ
オエート、その他を挙げることができる。
結晶性ポリエステルの融点Tmは、耐ブロッキング性お
よび低温定着性を高める観点から、50〜120℃の範囲が
好ましく、特に50〜100℃の範囲が好ましい。なお、結
晶性ポリエステルのTmは、無定形ビニル重合体と結合さ
れていない状態における結晶性ポリエステルの融点を意
味する。
結晶性ポリエステルにおいて、耐オフセット性を高め
る観点から、そのMwは5,000〜50,000の範囲が好まし
く、Mnは2,000〜20,000の範囲が好ましい。
本発明においては、以上の結晶性ポリエステルと無定
形ビニル重合体とが化学的に結合されてなる樹脂を母体
粒子のバインダーとして用いるが、当該樹脂における結
晶性ポリエステル成分の割合は、低温定着性および耐オ
フセット性を高める観点から、3〜50重量%の範囲が好
ましく、特に5〜40重量%の範囲が好ましい。
結晶性ポリエステルと無定形ビニル重合体とが化学的
に結合されてなる樹脂を得るためには、例えば各重合体
に存在する末端官能基間のカップリング反応により頭−
尾様式で互いに直接に結合させることができる。あるい
は、各重合体の末端官能基と二官能性カップリング剤に
よって結合することができ、例えば末端基がヒドロキシ
ルである重合体とジイソシアネートとの反応により形成
されるウレタン結合、末端基がヒドロキシルである重合
体とジカルボン酸との反応、末端基がカルボキシである
重合体とグリコールとの反応により形成されるエステル
結合、末端基がヒドロキシである重合体とホスゲン、ジ
クロルジメチルシランとの反応により形成される他の結
合、等によって結合することができる。
母体粒子中には、バインダー樹脂のほかに、必要に応
じて、着色剤、荷電制御剤、ワックス、磁性体等のその
他のトナー成分が含有される。
着色剤としては、例えばカーボンブラック、クロムイ
エロー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、フ
タロシアニンブルー、マラカイトグリーンオクサレート
等を用いることができる。
荷電制御剤としては、トナーを正帯電性にする観点か
ら、例えばニグロシン系染料を好ましく用いることがで
きる。
ワックスとしては、低分子量のポリエチレンやポリプ
ロピレン等のポリオレフィンワックス、パラフィンワッ
クス、エステル系ワックス、アミド系ワックス等を用い
ることができる。
磁性体としては、フェライト、マグネタイトを始めと
する鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属もし
くは合金またはこれらの元素を含む化合物等を用いるこ
とができる。この磁性体は磁性トナーを得る場合に用い
られる。
本発明においては、上記の母体粒子に、上記の樹脂微
粒子を機械的衝撃力により固着して、正帯電性トナーを
構成するが、母体粒子の表面に樹脂微粒子が固着された
状態とは、母体粒子の表面から突出している樹脂微粒子
部分の高さが当該樹脂微粒子の直径の15〜95%である状
態をいう。なお、このような状態は、透過型電子顕微鏡
または通常の電子顕微鏡によりトナー粒子の表面を観察
することにより容易に確認することができる。
このような状態を得るためには、母体粒子と樹脂微粒
子とが共に存在する系において、母体粒子が粉砕されな
い大きさの衝撃力、例えば粉砕時に通常必要とされる力
の1/5〜1/10の大きさの機械的衝撃力を作用させればよ
い。具体的には、母体粒子にバインダーとして含有され
る樹脂の特性によっても異なるが、母体粒子1個当り、
1.59×10-3〜9.56×10-5erg、好ましくは1.20×10-3
1.60×10-4ergの機械的衝撃力を作用させればよい。
このような機械的衝撃力を付与するための装置として
は、スーパーミル、ボールミル、ハイブリダイザー等を
用いることができる。
第1図はハイブリダイザーの一例を示し、1は粉体投
入弁、2は粉体投入シュート、3は循環回路、4はケー
シング、5は回転盤、6はブレード、7はステーター、
8は冷却または加熱用のジャケット、9は粉体排出シュ
ート、10は粉体排出弁である。なお、矢印は粉体の軌跡
を表す。
ブレード6を有する回転盤5を高速回転させると、こ
のブレード6により内部空気に遠心力が作用して回転盤
5の外側が加圧状態となり、回転盤5の中心部が負圧状
態となる。
しかして、循環回路3によって、回転盤5の外側と中
心部とが連結されているので、回転盤5の外側の加圧空
気が循環回路3を介して回転盤5の中心部へと移り、空
気の循環流が形成される。
このような空気の循環流が形成された状態において、
循環回路3の途中に設けられた粉体投入シュート2よ
り、母体粒子と樹脂微粒子の混合物を投入すると、当該
混合物はこの循環流と共に循環回路3を介して循環する
ようになり、この循環過程において、混合物はブレード
6と衝突して機械的衝撃力を受け、これにより樹脂微粒
子が母体粒子の表面に固着される。斯かる循環過程を一
定時間行った後、粉体排出弁10を開いて遠心力により処
理物を排出すると、樹脂微粒子が母体粒子の表面に強固
に固着された処理粒子が得られる。
斯かる循環過程において、装置内部の温度を制御する
ために、ステーター7側に設けられたジャケット8によ
り循環回路3および粉体排出シュート9を冷却または加
熱してもよい。
このハイブリダイザーにおいて、回転盤5の周速は50
〜80m/secの範囲が好ましく、品温は20〜60℃の範囲が
好ましく、処理時間は3〜10分の範囲が好ましい。
本発明においては、以上のようにして得られた処理粒
子により正帯電性トナーを構成してもよいし、以上の処
理粒子に、無機微粒子、滑剤等の外部添加剤をさらに添
加混合して正帯電性トナーを構成してもよい。
無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、チタ
ニア、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタ
ン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、
酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、
炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。これ
らのうち特にシリカ微粒子が好ましい。
また、トナーを正帯電性にする観点から、例えばアミ
ノ変性シランカップリング剤、アミノ変性シリコーンオ
イル、ポリシロキサンアンモニウム塩等のアミン変性シ
リコン化合物により表面処理されたシリカ微粒子を好ま
しく用いることができる。
無機微粒子の使用量は、トナー全体の0.01〜5重量%
の範囲が好ましく、特に0.05〜2重量%の範囲が好まし
い。
滑剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン
酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン
酸、硬化ヒマシ油等を用いることができる。滑剤の使用
量は、トナー全体の0.01〜2重量%の範囲が好ましい。
これらの外部添加剤は、樹脂微粒子と共に添加混合し
てもよいし、樹脂微粒子を固着させた後に添加混合して
もよい。
本発明の正帯電性トナーは、キャリアと混合して2成
分現像剤として使用してもよいし、キャリアと混合せず
に1成分現像剤として使用してもよい。
2成分現像剤を構成するキャリアとしては、従来公知
のキャリアを使用することができるが、本発明のトナー
は正帯電性であるので、鉄、ニッケル、コバルト等の強
磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグ
ネタイト等の強磁性金属の化合物の粒子に、フッ化ビニ
リデン−四フッ化エチレン共重合体、テトラフルオロエ
チレン、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、
ペンタフルオロ−n−プロピルメタクリレート等のフッ
素樹脂、シリコーン樹脂等を被覆してなるキャリアを好
ましく用いることができる。斯かるキャリアの平均粒径
は20〜200μmの範囲が好ましく、特に30〜150μmの範
囲が好ましい。
本発明の正帯電性トナーは、フッ素樹脂被覆熱ローラ
を用いて熱ローラ定着方式に使用されるものである。
熱ローラの被覆層を構成するフッ素樹脂としては、ポ
リテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオ
ロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重
合体(PFA)等を好ましく用いることができる。
本発明において、ガラス転移点Tgは、示差走査熱量測
定法(DSC)に従って、例えば「DSC−20」(セイコー電
子工業社製)によって測定されたものでであり、具体的
には、試料10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱
し、ベースラインと吸熱ピークの傾線との交点よりガラ
ス転移点Tgを定めた。
また、重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnは、ゲル・
パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によっ
て、温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を
毎分1.2mlの流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロ
フラン試料溶液を試料重量として3mg注入して測定され
たものである。なお、試料の分子量測定にあたっては、
試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試
料により作製された検量線の分子量の対数とカウント数
が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択した。
測定結果の信頼性は、上述の測定条件で測定したNBS7
06ポリスチレン標準試料(Mw=28.8×104,Mn=13.7×10
4,Mw/Mn=2.11)の比Mw/Mnの値が2.11±0.10となること
により確認する。
なお、用いるGPCのカラムとしては、上記条件を満足
するものであれば特に限定されないが、例えばTSK−GE
L、GMH(東洋曹達社製)等を用いることができる。ま
た、溶媒および測定温度は、上記条件に限定されるもの
ではなく、適宜他の条件に変更してもよい。
また、融点Tmは、示差走査熱量測定法(DSC)に従っ
て、例えば「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)
によって測定されたものであり、具体的には、試料10mg
を一定の昇温速度(10℃/min)で加熱したときの融解ピ
ーク値を融点Tmと定めた。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を比較例と共に説明するが、本
発明はこれらの実施の態様に限定されるものではない。
なお、以下において「部」は「重量部」を表す。
〈結晶性ポリエステル1〉 セバシン酸1500gと、ヘキサメチレングリコール964g
とを、温度計、ステンレススチール製撹拌器、ガラス製
窒素ガス導入管および流下式コンデンサーを備えた容量
5lの丸底フラスコに入れ、このフラスコをマントルヒー
ターにセットし、ガラス製窒素導入管より窒素ガスを導
入して反応器内を不活性雰囲気に保った状態で昇温させ
た。
次いで、p−トルエンスルホン酸13.2gを加えて温度1
50℃で反応させた。エステル化反応によって流出した水
の量が250mlに達した時に反応を停止させ、反応系を室
温に冷却して、分子末端に水酸基を有するポリヘキサメ
チレンセバケートよりなる結晶性ポリエステル1を得
た。
この結晶性ポリエステル1のTmは64℃、Mwは14,000で
あった。
〈結晶性ポリエステル2〉 結晶性ポリエステル1と同様の製造方法により、Tm=
77℃、Mw=8,370のポリデカメチレンアジペートよりな
る結晶性ポリエステル2を得た。
〈無定形ビニル重合体1〉 容量1のセパラブルフラスコにトルエン100部を入
れ、その中に、高分子量成分用単量体として、スチレン
75部と、n−ブチルアクリレート25部と、過酸化ベンゾ
イル0.2部とを加えて、フラスコ内の気相を窒素ガスに
よって置換した後、温度80℃に昇温して当該温度に15時
間保って第1段重合を行った。なお、上記高分子量成分
用単量体の単独重合体におけるMwは461,000、Tgは61℃
である。
次いで、フラスコ内を温度40℃に冷却して、その中
に、低分子量成分用単量体として、スチレン85部と、n
−ブチルメタクリレート10部と、アクリル酸5部と、過
酸化ベンゾイル4部とを加えて、温度40℃において2時
間撹拌を続けた後、温度を80℃に再昇温してその温度に
8時間保って第2段重合を行った。なお、上記低分子量
成分用単量体の単独重合体におけるMwは8,200、Tgは64
℃である。
次に、フラスコ内に、多価金属化合物である酸化亜鉛
0.5gを添加し、還流温度に保持して撹拌しながら2時間
にわたり反応を行った。
さらに、トルエンをアスピレーターおよび真空ポンプ
により留去して、ビニル重合体のカルボキシル基に酸化
亜鉛が反応してイオン架橋結合が形成されてなる無定形
ビニル重合体1を得た。
この無定形ビニル重合体1は、GPCによる分子量分布
においてピークが2つ存在し、高分子量側のピーク分子
量は363,000、低分子量側のピーク分子量は7,590であ
る。また、Mwは165,000、比Mw/Mnの値は25.9、Tgは62
℃、軟化点Tspは130℃である。
〈バインダー樹脂1〉 結晶性ポリエステル1 …20部 無定形ビニル重合体1 …80部 p−トルエンスルホン酸 …0.05部 キシレン …100部 以上の材料を、容量3lのセパラブルフラスコ内に入
れ、温度150℃で1時間にわたり還流させ、次いでキシ
レンをアスピレータおよび真空ポンプにより留去して、
結晶性ポリエステルと無定形ビニル重合体とが化学的に
結合されたバインダー樹脂1を得た。このバインダー樹
脂1のTgは60℃、軟化点T1は110℃である。
〈バインダー樹脂2〉 結晶性ポリエステル1 …15部 無定形ビニル重合体1 …85部 p−トルエンスルホン酸 …0.05部 キシレン …100部 以上の材料を用いて、バインダー樹脂1と同様にし
て、Tgが61℃、軟化点T1は115℃のバインダー樹脂2を
得た。
〈バインダー樹脂3〉 結晶性ポリエステル2 …15部 無定形ビニル重合体1 …85部 p−トルエンスルホン酸 …0.05部 キシレン …100部 以上の材料を用いて、バインダー樹脂1と同様にし
て、Tgが62℃、軟化点T1は118℃のバインダー樹脂3を
得た。
〈バインダー樹脂4〉 無定形ビニル重合体1をバインダー樹脂4とする。こ
のバインダー樹脂4の軟化点T1は130℃である。
〈母体粒子1〉 バインダー樹脂1 …100部 カーボンブラック …10部 (モーガルL,キャボット社製) パラフィンワックス …3部 (サゾールワックスH1,サゾールマーケッティング社
製) アルキレンビス脂肪酸アミド …3部 (ヘキストワックスC,ヘキスト社製) 以上の材料を混合し、加熱ロールにより溶融混練し、
冷却した後、粗粉砕し、風力分級機により分級して、平
均粒径11μmの母体粒子1を得た。
〈母体粒子2〉 母体粒子1の製造において、バインダー樹脂1をバイ
ンダー樹脂2に変更したほかは同様にして母体粒子2を
得た。
〈母体粒子3〉 バインダー樹脂3 …60部 マグネタイト …36部 (BL−100,チタン工業社製) 低分子量ポリプロピレン …3部 (ビスコール660P,三洋化成工業社製) 荷電制御剤 …1部 (オイルブラックSO,オリエント化学工業社製) 以上の材料を混合し、加熱ロールにより溶融混練し、
冷却した後、粗粉砕し、風力分級機により分級して、平
均粒径11μmの母体粒子3を得た。
〈母体粒子4〉 母体粒子1の製造において、バインダー樹脂1をバイ
ンダー樹脂4に変更したほかは同様にして母体粒子4を
得た。
〈樹脂微粒子1〉 メチルメタクリレート …37部 n−ブチルアクリレート …20部 スチレン …40部 スチレンスルホン酸ナトリウム …3部 以上の組成物を、開始剤として過硫酸カリウムを用
い、分散安定剤としてポリビニルアルコールを用いて重
合させて、平均粒径0.4μmの樹脂微粒子1を得た。
この樹脂微粒子1の鉄粉に対する摩擦帯電量は−120
μC/g、Tgは60℃、軟化点T2は140℃である。
〈樹脂微粒子2〉 メチルメタクリレート …25部 n−ブチルアクリレート …20部 スチレン …50部 メタクリル酸 …5部 以上の組成物を、開始剤として過硫酸カリウムを用
い、分散安定剤としてポリビニルアルコールを用いて重
合させて、平均粒径0.25μmの樹脂微粒子2を得た。
この樹脂微粒子2の鉄粉に対する摩擦帯電量は−105
μC/g、Tgは62℃、T2は145℃である。
〈樹脂微粒子3〉 メチルメタクリレート …10部 n−ブチルアクリレート …20部 スチレン …65部 メタクリル酸 …5部 以上の組成物を、開始剤として過硫酸カリウムを用
い、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウムを用いて乳化重合させて、平均粒径0.08μmの樹
脂微粒子3を得た。
この樹脂微粒子3の鉄粉に対する摩擦帯電量は−105
μC/g、Tgは60℃、T2は143℃である。
〈樹脂微粒子4〉 メチルメタクリレート …60部 n−ブチルアクリレート …20部 スチレン …20部 以上の組成物を、開始剤として過硫酸カリウムを用
い、分散安定剤としてポリビニルアルコールを用いて重
合させて、平均粒径0.25μmの樹脂微粒子4を得た。
この樹脂微粒子4の鉄粉に対する摩擦帯電量は−90μ
C/g、Tgは63℃、T2は155℃である。
〈樹脂微粒子5〉 メチルメタクリレート …40部 n−ブチルアクリレート …20部 スチレン …40部 以上の組成物を、重合開始剤として2,2′−アゾビス
(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を用い、分散安定剤
としてポリビニルアルコールを用いて重合させて、平均
粒径0.4μmの樹脂微粒子5を得た。
この樹脂微粒子5の鉄粉に対する摩擦帯電量は+130
μC/g、Tgは62℃、T2は152℃である。
〈実施例1〉 母体粒子1 …95部 樹脂微粒子1 …5部 以上の材料をV型混合機により十分に撹拌混合して、
樹脂微粒子を母体粒子に静電的に付着させた。
次いで、これらを「奈良ハイブリダイゼーションシス
テムNHS−1」(奈良機械製作所製)に移し、衝撃羽根
の回転数を6,000rpm、周速を75m/secとして5分間にわ
たり機械的衝撃力を加えて、母体粒子の表面に樹脂微粒
子を固着させてなる処理粒子を得た。なお、この時の品
温は40℃であった。
上記処理粒子の100部に対して、表面をポリシロキサ
ンアンモニウム塩により処理したシリカ微粒子(以下
「表面処理シリカ微粒子」という。)を0.8部、ステア
リン酸亜鉛を0.1部添加し、V型混合機により混合して
本発明のトナーAを得た。
このトナーAは、電子顕微鏡による表面観察および透
過型電子顕微鏡による観察により、母体粒子の表面に静
電的に付着していた樹脂微粒子が、母体粒子の表面に強
固に固着された状態となっていることが認められた。
〈実施例2〉 母体粒子2 …97部 樹脂微粒子1 …3部 以上の材料を用いて実施例1と同様にして処理粒子を
得た。
この処理粒子に実施例1と同様にして表面処理シリカ
微粒子およびステアリン酸亜鉛を添加混合して本発明の
トナーBを得た。
〈実施例3〉 母体粒子2 …97部 樹脂微粒子2 …3部 以上の材料を用いて実施例1と同様にして処理粒子を
得た。
この処理粒子に実施例1と同様にして表面処理シリカ
微粒子およびステアリン酸亜鉛を添加混合して本発明の
トナーCを得た。
〈実施例4〉 母体粒子2 …97部 樹脂微粒子3 …3部 以上の材料を用いて実施例1と同様にして処理粒子を
得た。
この処理粒子に実施例1と同様にして表面処理シリカ
微粒子およびステアリン酸亜鉛を添加混合して本発明の
トナーDを得た。
〈実施例5〉 母体粒子3 …95部 樹脂微粒子1 …5部 以上の材料を用いて実施例1と同様にして処理粒子を
得た。
この処理粒子に100部に対して実施例1の表面処理シ
リカ微粒子を0.5部添加し、V型混合機により混合して
本発明のトナーEを得た。
〈比較例1〉 母体粒子2 …97部 樹脂微粒子4 …3部 以上の材料を用いて実施例1と同様にして処理粒子を
得た。
この処理粒子に実施例1と同様にして表面処理シリカ
微粒子およびステアリン酸亜鉛を添加混合して比較用の
トナーaを得た。
〈比較例2〉 母体粒子3 …95部 樹脂微粒子4 …5部 以上の材料を用いて実施例1と同様にして処理粒子を
得た。
この処理粒子に100部に対して実施例1の表面処理シ
リカ微粒子を0.5部添加し、V型混合機により混合して
比較用のトナーbを得た。
〈比較例3〉 母体粒子4 …95部 樹脂微粒子1 …5部 以上の材料を用いて実施例1と同様にして処理粒子を
得た。
この処理粒子に実施例1と同様にして表面処理シリカ
微粒子およびステアリン酸亜鉛を添加混合して比較用の
トナーcを得た。
〈比較例4〉 母体粒子1 …95部 樹脂微粒子5 …5部 以上の材料を用いて実施例1と同様にして処理粒子を
得た。
この処理粒子に実施例1と同様にして表面処理シリカ
微粒子およびステアリン酸亜鉛を添加混合して比較用の
トナーdを得た。
以上の実施例および比較例で得られたトナーの構成上
の特徴を後記第1表に示す。
〈テスト1〉 本発明のトナーA〜Dおよび比較用のトナーa,c,dに
ついては、各トナーと、銅−亜鉛系フェライト芯材(パ
ウダーテック社製)の表面に2,2,2−トリフルオロエチ
ルメタクリレートを被覆してなる平均粒径80μmのキャ
リアとを混合して、トナー濃度が6重量%の2成分現像
剤を調製した。
これらの2成分現像剤を用いて、有機光導電性感光
体、2成分現像剤用の現像器、熱ローラ定着器を備え、
熱ローラの設定温度を可変調整できるように改造した電
子写真複写機「U−Bix 1550MR」(コニカ(株)製」改
造機により、熱ローラの線速度を139mm/秒に設定し、バ
ックアップローラの温度を熱ローラの設定温度よりも低
く保った状態で、熱ローラの設定温度を100〜240℃の範
囲内で段階的に変化させながら、定着トナー像を形成す
るテストを行った。
得られた定着トナー像の画像進行方向に対する手前側
端部を、こすり試験機により一定の荷重をかけてこすっ
た後、マイクロデンシトメータで当該端部の定着トナー
像の残存率を測定し、この残存率が80%以上であるとき
の熱ローラの設定温度の最低値(定着最低設定温度)を
求めて低温定着性を評価した。
このテストで使用した熱ローラ定着器は、表層がPFA
(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニ
ルエーテル共重合体)よりなる直径30mmφの熱ローラ
と、表層がPFAにより被覆されたシリコーンゴム「KE−1
300RTV」(信越化学工業社製)よりなるバックアップロ
ーラとを有してなり、線圧0.8kg/cm、ニップ幅4.3mm
で、シリコーンオイル等の離型剤の塗布機構は備えてい
ないものである。
本発明のトナーEおよび比較用のトナーbについて
は、これらを1成分現像剤として用いて1成分現像剤用
の電子写真複写機「NP−3525」(キャノン社製)により
未定着トナー像を形成した。
この未定着トナー像を、上記の「U−Bix 1550MR」
(コニカ(株)製)改造機の熱ローラ定着器を用いて、
上記と同様にして定着トナー像を形成するテストを行
い、低温定着性を評価した。
〈テスト2〉 テスト1と同様にして、いわゆるべた黒の原稿を用い
て、熱ローラの設定温度を変化させて定着トナー像を形
成するテストを行った。
得られた定着トナー像を目視で観察して、ベタ黒部上
に定着器の分離爪の跡が残っているか否かを調べた。
〈テスト3〉 バックアップローラを熱ローラの設定温度に近い温度
に保った状態としたほかは上記テスト1と同様にして、
定着トナー像を形成し、その直後、白紙の転写紙を同様
の条件下で熱ローラ定着器に送ってこれにトナー汚れが
生ずるか否かを目視により観察する操作を、熱ローラの
各設定温度において行い、トナー汚れが生じたときの最
低の設定温度(オフセット発生温度)を求めた。
〈テスト4〉 テスト1で用いた2成分現像剤については、熱ローラ
の設定温度を140℃に設定した電子写真複写機「U−Bix
1017」(コニカ(株)製)を用いて、高温高湿環境下
(温度33℃,相対湿度80%)、低温低湿環境下(温度10
℃,相対湿度20%)において、10万回にわたる実写テス
トを行い、画像を目視で評価した。
一方、テスト1で用いた1成分現像剤については、熱
ローラの設定温度を150℃に設定した電子写真複写機「N
P−3525」(キャノン社製)を用いて、同様に、高温高
湿環境下、低温低湿環境下において10万回にわたる実写
テストを行い、画像を目視で評価した。
以上のテストの結果を後記第1表に示す。
第1表から、本発明のトナーA〜Eは、低温定着性、
耐オフセット性が良好で、十分に広い定着適正温度領域
を有するものである。さらに、高温高湿環境条下、低温
低湿環境下のいずれにおいても、10万回にわたり、クリ
ーニング不良や、画像流れや、カブリのない良好な画質
が維持された。また、現像部やクリーニング部でのトナ
ーのブロッキングもなく、さらに感光体や現像スリーブ
へのフィルミングもまったく認められず、熱ローラの汚
れも非常に軽微であった。
これに対して、比較用のトナーa,bでは、ベタ黒の通
紙時の定着器の爪跡が顕著に発生し、またオフセットも
低い温度で発生してしまい、離型性が劣る。また、10万
回にわたる実写評価では2万回以降静電オフセットによ
り熱ローラの汚れが著しく発生し、画像汚れが発生した
が、特に、低温低湿環境下の方が、顕著な画像汚れが発
生した。また高温高湿環境下では4万回以降カブリが多
くなり、画質も次第に低下した。
比較用のトナーcでは、初期画像から定着性が悪く、
容易に転写紙より定着トナーが剥離した。また、顕著な
アンダーオフセットが発生した。
比較用のトナーdでは、離型性、耐オフセット性が非
常に悪い。実写評価では、2,000回以降静電オフセット
による熱ローラの汚れがひどく、それに伴い画像不良が
発生した。さらに,5,000回以降カブリが多くなり、画質
も急速に悪くなった。
〔発明の効果〕 以上詳細に説明したように、本発明の正帯電性トナー
によれば、フッ素樹脂被覆熱ローラを用いた熱ローラ定
着方式を採用した画像形成プロセスに適用した場合に、
低温定着性、耐ブロッキング性、耐オフセット性、クリ
ーニング性のみならず、耐静電オフセット性および耐久
性が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の正帯電性トナーの製造に使用すること
ができるハイブリダイザーの一例を示す説明図である。 1……粉体投入弁、2……粉体投入シュート 3……循環回路、4……ケーシング 5……回転盤、6……ブレード 7……ステーター、8……ジャケット 9……粉体排出シュート、10……粉体排出弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長瀬 達也 東京都八王子市石川町2970番地 コニカ 株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−302267(JP,A) 特開 平2−294659(JP,A) 特開 平2−198455(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 9/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ素樹脂による被覆層を有する熱ローラ
    によって定着される正帯電性トナーであって、 結晶性ポリエステルと無定形ビニル重合体とが化学的に
    結合されてなる樹脂をバインダーとして含有してなる母
    体粒子に、 その軟化点が前記母体粒子中に含有されているバインダ
    ー樹脂の軟化点よりも高くかつ160℃以下であり、鉄粉
    に対する負の摩擦帯電量の絶対値が100μC/g以上である
    ビニル系樹脂微粒子を、 機械的衝撃力により固着してなることを特徴とする正帯
    電性トナー。
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