JP2011164601A - トナーバインダーおよびトナー組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とが重縮合されてなり、互いに非相溶であるピークトップ分子量が2500以上の線形ポリエステル樹脂(A)および非線形ポリエステル樹脂(B)、並びに、少なくとも2種の非相溶ポリエステル樹脂が反応もしくは結合されてなる重合体である相溶化剤(C1)および/またはピークトップ分子量が2500未満の線形ポリエステル樹脂である相溶化剤(C2)とを含有する電子写真用トナーバインダー。
【選択図】 なし
Description
近年、複写機・プリンターのカラー化・高速・高信頼性・コンパクト・低コスト・省エネがますます求められている。特に、環境負荷低減(省エネ)の要求から、トナーのさらなる低温定着性と耐ブロッキング性の両立に対する対応が急務である。
これらトナーの定着性能を向上させる目的で、低温度域、高温度域それぞれに特化した非相溶樹脂をマトリックス相とドメイン相として用いることが従来より知られている。また、その非相溶樹脂を相溶化させる相溶化剤を含有させる方法がスチレン系重合体のようなビニル系樹脂において提案されている(特許文献1等)。
本発明の目的は、定着温度幅が大きく、耐ブロッキング性に優れたトナーバインダーおよびトナー組成物を提供することにある。
すなわち本発明は、カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とが重縮合されてなり、互いに非相溶であるピークトップ分子量が2500以上の線形ポリエステル樹脂(A)および非線形ポリエステル樹脂(B)、並びに、少なくとも2種の非相溶ポリエステル樹脂が反応もしくは結合されてなる重合体である相溶化剤(C1)および/またはピークトップ分子量が2500未満の線形ポリエステル樹脂である相溶化剤(C2)とを含有する電子写真用トナーバインダー;並びにこのトナーバインダー、着色剤、並びに、必要により離型剤、荷電制御剤、磁性粉、および流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤を含有するトナー組成物;である。
本発明に用いる線形ポリエステル樹脂(A)は、カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とが重縮合されて得られる。カルボン酸成分(x)は、ポリカルボン酸(x2)および必要により芳香族モノカルボン酸(x1)から構成されるのが好ましい。
これらのうち好ましいものは、トリメリット酸およびピロメリット酸、並びにこれらのエステル形成性誘導体である。
また、(x211)中のテレフタル酸および/またはその低級アルキルエステルと、イソフタル酸および/またはその低級アルキルエステルのモル比は、樹脂の機械的強度の観点から、好ましくは20:80〜100:0、さらに好ましくは25:75〜80:20である。
ジオール(y1)としては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、および1,6−ヘキサンジオール等);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜4、以下のポリオキシアルキレン基も同じ)エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加させて得られる。以下同様。〕;および2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
また、(A)の製造に用いる全てのポリオール成分(y)と全てのカルボン酸成分(x)の比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
チタン含有触媒としては、チタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)等が挙げられる。
アンチモン含有触媒としては、三酸化アンチモン等が挙げられる。
ジルコニウム含有触媒としては、酢酸ジルコニル等が挙げられる。
ニッケル含有触媒としては、ニッケルアセチルアセトナート等が挙げられる。
アルミニウム含有触媒としては、水酸化アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド等が挙げられる。
上記および以下において、%は、特に断りの無い場合は重量%を意味する。
本発明における酸価および水酸基価は、JIS K0070に規定の方法で測定される。
装置(一例) :東ソー製 HLC−8120
カラム(一例):TSKgelGMHXL(2本)
TSKgelMultiporeHXL−M(1本)
測定温度 :40℃
測定溶液 :0.25%のテトラヒドロフラン(THF)溶液
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :TSK標準ポリスチレン(東ソー製)
分子量=4480000、2890000、1090000、355
000、190000、96400、37900、1810
0、9100、2800、1050、500の計12点
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。また、ポリエステル樹脂の分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHF溶媒に溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
なお、Tmは、次のように測定される値である。
降下式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔Tm〕とする。
なお、上記および以下において、Tgはセイコー電子工業(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
(B)は、通常、前記のジカルボン酸(x21)および必要により芳香族モノカルボン酸(x1)、並びに前記のジオール(y1)と共に、前記の3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸(x22)および/または3価〜8価またはそれ以上のポリオール(y2)を反応させて得られる。
特に、(y)中のエチレングリコールの含有量は、機械的強度の観点から、好ましくは90〜100モル%、さらに好ましくは95〜100モル%、とくに好ましくは100モル%である。
前記第一段階の、ポリカルボン酸(x2)の少なくとも一部とポリオール成分(y)とを重縮合させる際の、(y)と(x2)の少なくとも一部との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/1、さらに好ましくは1.5/1〜1.01/1、とくに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
また、(B)の製造に用いる全てのポリオール成分(y)と全てのカルボン酸成分(x)の比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
また、非線形ポリエステル樹脂(B)の酸価と水酸基価の和は、好ましくは3〜40、さらに好ましくは10〜40、とくに好ましくは20〜39である。酸価と水酸基価の和が3以上では保存安定性が良好で、40以下であると帯電安定性が向上する。
これらの中で好ましくは、(A)と(B)以外のポリエステル樹脂である。他の樹脂のMpは、300〜10万が好ましい。
相溶化剤(C1)は、少なくとも2種の非相溶ポリエステル樹脂が反応もしくは結合されてなる重合体であって、ランダム共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体等のいずれであってもよい。
(C1)としては、海島構造を形成している線形ポリエステル樹脂(A)および非線形ポリエステル樹脂(B)と少なくとも一部が同じ構成単位を含有するランダム共重合体か、あるいは海島構造を構成している全ての相または何れかの相に相溶する構成単位を持つブロック共重合体またはグラフト共重合体が好ましい。
本発明における溶解性パラメーターの値(SP値[(cal/cm3)1/2])は、Fedorsらによって報告された計算式[PolymerEngineering and Science,Vol.14,No.2,147〜154頁(Feb.1974)]で求めた値である。
具体的には、例えば、海島構造を形成する(A)と(B)とを、または(A)を構成する組成を含む線形ポリエステル樹脂と(B)を構成する組成を含む線形ポリエステル樹脂を、ロールミル、ニーダーまたは押出機、ラボプラストミル等で溶融混練することや、重合槽またはガラスチューブオーブンで、公知のエステル化またはエステル交換反応を利用して製造することができる。
一般的な方法として、例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、前記重合触媒の存在下、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは180〜270℃、とくに好ましくは200〜260℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに2〜40時間である。反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
このときの反応条件として、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは40〜120℃、さらに好ましくは60〜115℃、とくに好ましくは80〜110℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに2〜40時間である。
上記芳香族ジイソシアネートの具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環式ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)などが挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
これらのうちで好ましいものは、TDI、MDI、HDI、水添MDI、およびIPDIである。
上記ポリオール成分(y)としては、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアセチル化物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのアセチル化物、ビスフェノールSのポリオキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン単位の数2〜4)、および水素化ビスフェノールAからなる群から選ばれる1種類以上(y*)、(y*)以外の前記ジオール(y1)、および3〜8価またはそれ以上のポリオール(y2)が挙げられる。
(C2)の水酸基価は、好ましくは0〜130、さらに好ましくは0〜110、とくに好ましくは、0〜50である。水酸基価が130以下であると耐ホットオフセット性がより良好となる。
線形ポリエステル樹脂(A)と非線形ポリエステル樹脂(B)の混ざり性の評価は、トナーバインダー中の(A)が海相、(B)が島相である海島構造の島相の径を、位相差顕微鏡および/またはデジタルマイクロスコープ(高解像度光学顕微鏡)の100倍以上(好ましくは100〜5000倍)の倍率において観察することで評価できる。トナー粒径は通常約5〜10μmであるため、5μm以下であると混ざり性が良好と判断される。島相の径は、さらに好ましくは4μm以下、とくに好ましくは0.1〜3μmである。分散粒径が5μm以下であると、低温定着性と耐ホットオフセット性が良好となる。
なお、上記および以下において、混ざり性の評価は、OLYMPUS製IX71位相差顕微鏡(倒立型リサーチ顕微鏡)および/またはキーエンス製デジタルマイクロスコープ(高解像度ズームレンズ VH−Z500R/Z500W)を用いて測定される。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
[線形ポリエステル樹脂(A−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸235部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物:ニューポールBP−2P(三洋化成工業製:プロピレンオキサイド2モル付加物)715部、安息香酸140部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸35部を加え、常圧下で1時間反応させた後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(A−1)とする。
(A−1)のMpは5000、Tgは62℃、Tmは95℃、酸価は25、水酸基価は1であった。
[線形ポリエステル樹脂(A−2)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸260部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物:ニューポールBP−2P・795部、安息香酸30部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(A−2)とする。
(A−2)のMpは2600、Tgは50℃、Tmは87℃、酸価は2、水酸基価は40であった。
[非線形ポリエステル樹脂(B−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸388部、イソフタル酸388部、アジピン酸21部、エチレングリコール600部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、安息香酸17部を加え、常圧下で3時間反応させた〔線形ポリエステル樹脂(B−1a)〕。さらに、無水トリメリット酸57部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは280部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−1)とする。
(B−1)のMpは8000、Tgは60℃、Tmは145℃、酸価は26、水酸基価は1であった。なお、(B−1a)のMpは4500、酸価は1、水酸基価は50であった。
[非線形ポリエステル樹脂(B−2)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸530部、イソフタル酸130部、アジピン酸5部、エチレングリコール650部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、安息香酸55部を加え、常圧下で3時間反応させた〔線形ポリエステル樹脂(B−2a)〕。さらに、無水トリメリット酸85部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは280部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−2)とする。
(B−2)のMpは4500、Tgは58℃、Tmは143℃、酸価は25、水酸基価は10であった。なお、(B−2a)のMpは2200、酸価は1、水酸基価は85であった。
[相溶化剤(C1−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、線形ポリエステル樹脂(A−1)250部と前記の線形ポリエステル樹脂(B−1a)250部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。これを相溶化剤(C1−1)とする。
(C1−1)のMpは7000、Tgは60℃、Tmは90℃、酸価は20、水酸基価は40であった。
[相溶化剤(C1−2)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、線形ポリエステル樹脂(A−2)250部と前記の線形ポリエステル樹脂(B−2a)500部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。これを相溶化剤(C1−2)とする。
(C1−2)のMpは3500、Tgは55℃、Tmは85℃、酸価は20、水酸基価は40であった。
[相溶化剤(C1−3)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、線形ポリエステル樹脂(A−2)200部を入れ、100℃で溶解し、次いでイソフォロンジイソシアネート20部を入れ4時間反応させた。次いで、前記の線形ポリエステル樹脂(B−1a)200部を加えて4時間反応させた。これを相溶化剤(C1−3)とする。
(C1−3)のMpは6000、Tgは60℃、Tmは90℃、酸価は1、水酸基価は20であった。
[相溶化剤(C2−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、コハク酸110部、水素化ビスフェノールA430部、安息香酸100部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら3時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。さらに、無水トリメリット酸15部を加え、常圧下で1時間反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを相溶化剤かつ定着助剤(C2−1)とする。
(C2−1)のTgは59℃、Tmは90℃(Tm−Tg:31℃)、Mpは1800、酸価は14、水酸基価は18であった。
[相溶化剤(C2−2)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、無水フタル酸110部、ビスフェノールS・エチレンオキサイド2モル付加物400部、安息香酸85部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら3時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを相溶化剤(C2−2)とする。
(C2−2)のTgは58℃、Tmは91℃(Tm−Tg:33℃)、Mpは2400、酸価は1、水酸基価は30であった。
[相溶化剤(C2−3)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、無水フタル酸170部、ビスフェノールS・エチレンオキサイド2モル付加物470部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら3時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを相溶化剤(C2−3)とする。
(C2−3)のTgは58℃、Tmは92℃(Tm−Tg:34℃)、Mpは2450、酸価は1、水酸基価は110であった。
[比較用相溶化剤(RC−1)]
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物:ニューポールBPE−20(三洋化成工業製、Mp=327)を比較用相溶化剤(RC−1)とした。
製造例1〜10、比較製造例1で得られた、線形ポリエステル樹脂(A)、非線形ポリエステル樹脂(B)、比較用線形ポリエステル樹脂(RA)、比較用非線形ポリエステル樹脂(RB)、相溶化剤(C1)、相溶化剤(C2)、および比較用相溶化剤(RC)を、表1の割合(部)でプラストミルに入れ、140℃で10分間撹拌して溶融混合し、本発明のトナーバインダー(TB−1)〜(TB−14)、および比較のトナーバインダー(TB’−1)〜(TB’−3)を得た。各トナーバインダー100部に対して、シアニンブルーKRO(山陽色素製)8部、カルナバワックス5部を加え。下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T1)〜(T14)、および比較のトナー組成物(T’−1)〜(T’−3)を得た。
〔1〕最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
なお、最低定着温度(MFT)とホットオフセット発生温度(HOT)に関しては、定着温度幅(HOTとMFTの差)が広いことが重要である
〔3〕保存安定性(耐ブロッキング性)
トナー組成物をそれぞれポリエチレン製の瓶に入れ、45℃の恒温水槽に8時間保持した後、42メッシュのふるいに移し、ホソカワミクロン(株)製パウダーテスターを用いて、振動強度5で10秒間振とうし、ふるいの上に残ったトナーの重量%を測定し、下記基準で判定し、保存安定性を評価した。
残存トナー重量%
◎ : 0%以上15%未満
○ : 15%以上25%未満
△ : 25%以上30%未満
× : 30%以上
〔4〕混ざり性評価
前記の方法による。
Claims (10)
- カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とが重縮合されてなり、互いに非相溶であるピークトップ分子量が2500以上の線形ポリエステル樹脂(A)および非線形ポリエステル樹脂(B)、並びに、少なくとも2種の非相溶ポリエステル樹脂が反応もしくは結合されてなる重合体である相溶化剤(C1)および/またはピークトップ分子量が2500未満の線形ポリエステル樹脂である相溶化剤(C2)とを含有する電子写真用トナーバインダー。
- 線形ポリエステル樹脂(A)および/または非線形ポリエステル樹脂(B)を構成するカルボン酸成分(x)が、ポリカルボン酸(x2)および必要により芳香族モノカルボン酸(x1)である請求項1記載のトナーバンダー。
- 線形ポリエステル樹脂(A)を構成するポリオール成分(y)が芳香族ポリオールを含有し、非線形ポリエステル樹脂(B)を構成するポリオール成分(y)の85〜100モル%が炭素数2〜12のアルキレングリコール(y11)である請求項1または2記載のトナーバンダー。
- 相溶化剤(C1)のガラス転移温度が45〜70℃、軟化点が70〜120℃である請求項1〜3のいずれか記載のトナーバンダー。
- 相溶化剤(C2)のガラス転移温度〔Tg〕が45〜80℃で、〔Tg〕と軟化点〔Tm〕との関係がTm−Tg≦35(℃)であり、かつ酸価が0〜20(mgKOH/g)以下である請求項1〜4のいずれか記載のトナーバンダー。
- 相溶化剤(C2)が、ポリカルボン酸(x2)および必要により芳香族モノカルボン酸(x1)から構成されるカルボン酸成分(x)と、ポリオール成分(y)とが重縮合されてなるポリエステル樹脂であって、ポリオール成分(y)中にビスフェノールA、ビスフェノールAのアセチル化物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのアセチル化物、ビスフェノールSのポリオキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン単位の数2〜4)、および水素化ビスフェノールAからなる群から選ばれる1種類以上(y*)を30モル%以上含有する請求項1〜5のいずれか記載のトナーバンダー。
- 非線形ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度が45℃〜80℃、軟化点が90℃〜170℃である請求項1〜6のいずれか記載のトナーバンダー。
- (A)と(B)と(C1)および/または(C2)の重量比が、(9〜79):(15〜90):(0.1〜8)である請求項1〜7のいずれか記載のトナーバンダー。
- 線形ポリエステル樹脂(A)が海相、非線形ポリエステル樹脂(B)が島相である海島構造を取り、島相の径が位相差顕微鏡および/またはデジタルマイクロスコープの倍率100倍以上の測定において5μm以下である請求項1〜8のいずれか記載のトナーバンダー。
- 請求項1〜9のいずれか記載のトナーバインダー、着色剤、並びに、必要により離型剤、荷電制御剤、磁性粉、および流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤を含有するトナー組成物。
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