JP4270550B2 - トナー用結着樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナー用結着樹脂の製造方法に関する。
近年、小型化、高速化、省エネ化等の観点から、低軟化点の樹脂がトナー用の結着樹脂として使用されつつある。そこで、樹脂の低分子量化、モノマー組成の選択等の手段に加えて可塑剤を結着樹脂やトナーに配合する方法が知られている(特許文献1〜4参照)。これらの方法において、可塑剤を配合する樹脂の多くはビニル系樹脂であり、また配合時期は、樹脂の重合前やトナーの製造過程における溶融混練時である。
特開2000−137346号公報(請求項1) 特開平8−106174号公報(請求項1) 特開平6−258861号公報(請求項1) 特開平5−134460号公報(請求項1)
しかしながら、低温定着性に優れた樹脂であるポリエステル系樹脂では、前記方法によって定着性はある程度改善されるものの、長期使用時には帯電ブレード等の機器部品にトナー融着が起こりやすくなるため、さらなる定着性と耐久性の両立が望まれている。
本発明の目的は、定着性と耐久性のいずれにも優れたトナー用結着樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明は、ポリエステル系樹脂及び可塑剤を含有してなるトナー用結着樹脂の製造方法であって、ポリエステル系樹脂と可塑剤とを130〜210℃で混合する工程を有するトナー用結着樹脂の製造方法に関する。
本発明により、定着性及び耐久性に優れたトナー用結着樹脂を製造することができる。
本発明は、ポリエステル系樹脂及び可塑剤を含有したトナー用結着樹脂を製造するにあたり、ポリエステル系樹脂と可塑剤の混合を特定の温度、かつ時間で行う点に大きな特徴を有する。
本発明者らは、特に、低温定着性に優れるものの、ビニル系樹脂に比較して低分子量で、かつ主鎖にエステル結合を有するため主鎖切断を生じやすいポリエステル系樹脂への可塑剤の配合を検討した。しかし、可塑剤を重合初期に添加するとエステル交換等で樹脂自体が低分子量体を含有しやすくなり、トナー製造過程における溶融混練時に樹脂と可塑剤を混練するとガラス転移点の低下には有効であるものの、軟化点の低下はわずかであった。そこで、トナー融着が樹脂中の低分子量成分に起因するものであり、特に低軟化点樹脂を用いて低温定着を改善する際に顕著になることから、低軟化点樹脂中の低分子量成分を減少させる方法を検討した。そして、低分子量成分が比較的少ない樹脂に可塑剤を添加して、低分子量成分の量を維持したまま樹脂を低軟化点化させる方法に着目し、特定の温度、時間の条件下で、ポリエステル系樹脂と可塑剤とを混合することにより、可塑剤がポリエステル系樹脂に適度に分散して、軟化点が低く、かつ低分子量成分の含有量も少ない結着樹脂が得られることを見出した。
本発明におけるポリエステル系樹脂には、ポリエステル及びその変性樹脂が含まれる。ポリエステルとその変性樹脂は、いずれか一方であっても、両者が併用されていてもよいが、ポリエステルが、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%、さらに好ましくは100重量%含有されているのが望ましい。
ポリエステルの原料モノマーとしては、2価以上のアルコールからなる多価アルコール成分と、2価以上のカルボン酸化合物からなる多価カルボン酸成分が用いられる。
2価のアルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン等の、式(I):
Figure 0004270550
(式中、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyは正の数を示し、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5.0である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物;エチレングリコール、1,2 −プロピレングリコール、1,4 −ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えばソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
アルコール成分には、帯電保持力の観点から、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が、好ましくは50モル%以上、より好ましくは80〜100モル%、さらに好ましくは100モル%含有されているのが望ましい。
また、2価のカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。これらの中では、帯電保持力の観点から、芳香族ジカルボン酸化合物が好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、2価のカルボン酸成分中、50〜100モル%が好ましく、80〜100モル%がより好ましく、100モル%が特に好ましい。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
3価以上の単量体の含有量、即ち3価以上の多価アルコール及び3価以上の多価カルボン酸化合物の総含有量は、全原料モノマー中、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましく、0モル%がさらに好ましい。
さらに、分子量調整等の観点から、1価のアルコールや1価のカルボン酸化合物が、アルコール成分及び/又はカルボン酸成分に、本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを、不活性ガス雰囲気中、要すればエステル化触媒の存在下で、150〜280℃、好ましくは200〜250℃で縮重合させることにより得られる。
ポリエステルの変性樹脂としては、例えば、ポリエステルがウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル、ポリエステルがエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステルや、ポリエステル成分を含む2種以上の樹脂成分を有するハイブリッド樹脂が挙げられる。ハイブリッド樹脂としては、ポリエステルとビニル重合系樹脂等の付加重合系樹脂とが部分的に化学結合した樹脂が好ましく、2種以上の樹脂を原料として得られたものであっても、1種の樹脂と他種の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものであってもよいが、効率よくハイブリッド樹脂を得るためには、2種以上の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものが好ましい。ハイブリッド樹脂としては、例えば、特開平7−98517号公報に記載の樹脂が挙げられる。
可塑剤と混合する前のポリエステル系樹脂の軟化点は、90〜140℃が好ましく、105〜130℃がより好ましい。本発明において、製造過程におけるポリエステル系樹脂の軟化点は、環球法により、JIS K2531に従って測定されるものである。
本発明において、可塑剤とは、ポリエステル系樹脂の軟化点(環球法)を好ましくは5〜50℃、好ましくは5〜20℃低下させ、主にトナーの低温定着性を改善する作用を有する化合物であり、多価カルボン酸ポリアルキルエステル、脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸アミド、パラフィン、リン酸エステル等の低分子量可塑剤;テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等の高分子量可塑剤等が挙げられ、これらの中では、低分子量可塑剤が好ましく、多価カルボン酸ポリアルキルエステル、脂肪酸エステル等のカルボン酸アルキルエステル系可塑剤がより好ましく、多価カルボン酸ポリアルキルエステルがさらに好ましい。また、これらは単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。
低分子量可塑剤の分子量は、1000以下が好ましく、100〜1000がより好ましく、200〜700がさらに好ましい。多価カルボン酸ポリアルキルエステルとしては、トリメリット酸トリアルキルエステル、フタル酸ジアルキルエステル等の芳香族多価(好ましくは2価又は3価)カルボン酸ポリアルキルエステル、クエン酸トリアルキルエステル、アジピン酸ジアルキルエステル等の脂肪族多価(好ましくは2価又は3価)カルボン酸エステル等が挙げられ、これらの中では、芳香族多価カルボン酸ポリアルキルエステルが好ましく、トリメリット酸トリアルキルエステルがより好ましい。また、脂肪酸エステルとしては、炭素数12〜20の脂肪酸のアルキルエステル等が挙げられる。なお、アルキルエステルのアルキル基の炭素数は1〜18が好ましく、4〜18がより好ましい。
高分子量可塑剤の数平均分子量は、1000以上が好ましく、100〜10000がより好ましく、1000〜5000がさらに好ましい。高分子量可塑剤としては、ポリエステル系樹脂及びエポキシ系樹脂が好ましい。
可塑剤の配合量は、ポリエステル系樹脂の原料モノマーとして用いられた2価のアルコール100モルに対して、1〜20モルが好ましく、2〜10モルがより好ましい。重量基準では、ポリエステル系樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましく、2〜5重量部がさらに好ましい。
ポリエステル系樹脂と可塑剤とを混合する温度は、ポリエステル系樹脂のエステル交換の防止及び粘度調整の観点から、130〜210℃であり、好ましくは150〜200℃、より好ましくは170〜190℃である。
混合時間は、ポリエステル系樹脂のエステル交換の防止及び粘度調整の観点から、0.5〜20時間が好ましく、1〜10時間がより好ましく、1〜5時間が特に好ましい。
ポリエステル系樹脂と可塑剤との混合は、上記温度条件下で行う方法であれば特に限定されず、ニーダーや押出機等の混合機を用いて行ってもよいが、本発明では、大量の溶融低粘度樹脂液を安定に混合する観点から、ポリエステル系樹脂の調製後、反応器、即ち縮重合を行った脱水管、攪拌機等を有する容器中の樹脂の温度を調整し、可塑剤を添加してポリエステル系樹脂と混合する方法が好ましい。
本発明により得られた結着樹脂の軟化点は、定着性及び耐久性の観点から、フローテスター法で、好ましくは80〜130℃であり、より好ましくは90〜115℃である。また、結着樹脂の軟化点は、可塑剤と混合する前のポリエステル系樹脂の軟化点より、環球法で、好ましくは5〜50℃、より好ましくは10〜30℃低いことが好ましい。結着樹脂のガラス転移点は、40〜70℃が好ましい。
さらに、本発明により得られた結着樹脂は、低軟化点のわりには低分子量成分の含有量が少ないという特徴を有する。分子量が500以下の低分子量成分の含有量は、好ましくは6重量%以下、より好ましくは1〜5重量%である。
また、本発明により得られた結着樹脂の数平均分子量は、好ましくは1000〜10000、より好ましくは2000〜5000、さらに好ましくは2000〜3500であり、重量平均分子量は好ましくは500〜50000、より好ましくは10000〜30000、さらに好ましくは10000〜20000である。
本発明により得られた結着樹脂は、低分子量成分が少なく、かつ低軟化点であるため、かかる結着樹脂を含有したトナーは、定着性に優れ、かつ耐久性にも優れたものである。
本発明により得られた結着樹脂は、ポリエステル等のポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の結着樹脂と併用されていてもよいが、これらの中では、本発明の結着樹脂との相溶性の観点から、ポリエステル系樹脂が好ましい。本発明により得られた結着樹脂の含有量は、結着樹脂総量中、他のポリエステル系樹脂と合わせて50〜100重量%が好ましく、80〜100重量%がより好ましく、100重量%が特に好ましい。
併用する樹脂は高軟化点樹脂であることが好ましく、その軟化点は、より広い定着域を得る観点から、好ましくは130℃より高く170℃以下、より好ましくは140〜155℃が好ましい。本発明により得られた結着樹脂/高軟化点樹脂(重量比)は、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは30/70〜70/30である。
トナーには、結着樹脂以外に、着色剤、荷電制御剤、離型剤、磁性粉、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146 、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナー、フルカラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等の正帯電性荷電制御剤及び含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸のホウ素錯体等の負帯電性荷電制御剤が挙げられる。
離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらのなかでは、離型性及び安定性の観点から、脂肪族炭化水素系ワックスが好ましい。
ワックスの融点は、耐オフセット性及び耐久性の観点から、60〜120℃が好ましく、100〜120℃がより好ましい。
ワックスの含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。
磁性粉としては、コバルト、鉄、ニッケル等の強磁性体、コバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、鉛、マグネシウム、亜鉛、マンガン等の金属の合金、Fe3 4 、γ−Fe3 4 、コバルト添加酸化鉄等の金属酸化物、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト等の各種フェライト、マグネタイト、ヘマタイト等が挙げられる。さらに、それらの表面がシランカップリング剤、チタネートシランカップリング剤等の表面処理剤で処理されたもの、又はポリマーコーティングされたものであってもよい。
磁性粉の一次平均粒子径は、分散性の観点から、0.05〜0.5μmが好ましく、0.1〜0.3μmがより好ましい。
磁性トナーの場合、磁性粉の含有量は、結着樹脂/磁性粉(重量比)で、80/20〜30/70が好ましく、70/30〜50/50がより好ましい。なお、磁性粉を黒色着色剤として用いてもよい。
トナーの製造方法は、混練粉砕法、転相乳化法、乳化分散法、懸濁重合法等の従来より公知のいずれの方法であってもよいが、製造が容易なことから、混練粉砕法が好ましい。例えば、混練粉砕法による粉砕トナーの場合、結着樹脂、着色剤等をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。トナーの重量平均粒径(D4 )は3〜15μmが好ましい。
本発明により得られた結着樹脂を含有したトナーは、一成分現像用トナー及び二成分現像用トナーのいずれにも用いることができるが、トナーにかかるブレード圧が高く、低分子量成分によるブレード等へのトナーフィルミングが生じやすい一成分現像用トナーとして用いる際に、本発明の効果がより顕著に発揮される。なかでも、磁性粉による樹脂の歪みが生じやすく、樹脂全体が十分に可塑化していないと、界面破壊等によりトナーの不均一化が促進されるため、本発明のトナーは、磁性一成分現像用トナーとして用いられることが特に好ましい。
〔樹脂の軟化点〕
(1) 環球法
JIS K2531に従って測定する。
(2) フローテスター法
高化式フローテスター((株)島津製作所製、CFT−500)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これによりフローテスターのプランジャー降下量(流れ値)―温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするときh/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070に従って測定する。
〔結着樹脂のガラス転移点、ワックスの融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定し、融解熱の最大ピーク温度を求める。サンプルとしてワックスを使用した場合は、最大ピーク温度を融点とする。また、サンプルとして樹脂を使用した場合は、最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分から、ピークの頂点まで最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点とする。
〔結着樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量が500以下の低分子量成分の含有量(500>)〕
20ml容のサンプル管に粗粉砕した結着樹脂0.04gを計りとり、テトラヒドロフラン20mlを加え、ボールミル荷台に載せ、1時間攪拌して十分に樹脂を溶解させ、この溶液をフッ素樹脂フィルター(住友電気工業社製FP−200)を用いてろ過し、不溶解分を除去し、試料溶液とする。
溶解液としてテトラヒドロフランを1ml/分の流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は予め作成した単分散ポリスチレンを標準試料として作成した検量線に基づき、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量が500以下の低分子量成分の含有量(500>)を算出する。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
実施例1
表1に示す原料モノマー及び酸化ジブチル錫4gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃で12時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させ、環球法による軟化点が122.1℃のポリエステルを得た。
ポリエステルの温度を180℃まで下げた後、表1に示す可塑剤を添加し、常圧で1時間、8.3kPaで2時間攪拌し、環球法により軟化点を測定したところ、樹脂の軟化点は105.4℃であった。得られた樹脂を抜き出し、冷却して、樹脂A〜Eを得た。
比較例1
表2に示す原料モノマー、可塑剤及び酸化ジブチル錫4gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃で12時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させ、環球法により軟化点を測定したところ、樹脂の軟化点は103.6℃であった。得られた樹脂を抜き出し、冷却して、樹脂Fを得た。
比較例2
表2に示す原料モノマー及び酸化ジブチル錫4gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃で12時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させ、環球法により軟化点を測定したところ、樹脂の軟化点は101.3℃であった。得られた樹脂を抜き出し、冷却して、樹脂Gを得た。
比較例3
表2に示す原料モノマー及び酸化ジブチル錫4gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃で12時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させ、環球法により軟化点を測定したところ、樹脂の軟化点は120.5℃であった。得られた樹脂を抜き出し、冷却して、樹脂Hを得た。
樹脂製造例
表2に示す原料モノマー及び酸化ジブチル錫4gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、220℃で8時間かけて反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂Iを得た。
Figure 0004270550
Figure 0004270550
トナー製造例1
表3に示す結着樹脂、磁性粉「MTS106HD」(戸田工業社製)66重量部、荷電制御剤剤「T−77」(保土谷化学工業社製)0.5重量部及びポリエチレンワックス「SP−105」(サゾール社製、融点:105℃)3重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。ロール内の加熱温度は140℃、ロール回転速度は150回転/分、混合物の供給速度は20kg/時、平均滞留時間は約18秒であった。
得られた混練物を冷却ローラで圧延し、機械式粉砕し、分級して、重量平均粒径10μmの粉体を得た。
得られた粉体100重量部に、外添剤として疎水性シリカ「R−972」(日本アエロジル社製)2重量部及びチタン酸ストロンチウム「ST」(富士チタン社製)1重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合して磁性トナー(トナーA〜E、a、b、d)を得た。
トナー製造例2
さらに、トリメリット酸2−エチルヘキシル3.3重量部を結着樹脂等とともに混合した以外は、トナー製造例1と同様にして、磁性トナー(トナーc)を得た。
試験例1
磁性一成分現像装置「Laser Jet 4200」(HP社製)に磁性トナー250gを実装し、トナー付着量が0.6mg/cm2 の未定着画像(2cm×12cm)を得た。
得られた未定着画像を、複写機「AR−505」(シャープ(株)製)の定着機をオフラインによる定着可能なように改良した定着機(定着速度:200mm/sec)を用いて、100℃から240℃へと10℃づつ順次上昇させながら画像を定着させた。定着試験に用いた紙は「CopyBond SF−70NA」(シャープ(株)製、75g/m2 )である。
各温度で得られた定着画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ−1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ロールを通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD−915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥がした後/貼る前)が最初に90%を越える定着温度を最低定着温度とし、以下の評価基準により定着性を評価した。結果を表3に示す。
〔定着性〕
◎:最低定着温度が210℃未満
○:最低定着温度が210℃以上、230℃未満
×:最低定着温度が230℃以上
試験例2
磁性一成分現像装置「Laser Jet 4200」(HP社製)に磁性トナー250gを実装し、室温40℃、相対湿度90%の環境下において印字率5%の画像を500枚印刷した。500枚印刷後、黒ベタ画像を印刷し、得られた画像の状態を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、耐久性を評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
◎:均一な黒ベタ画像が得られている。
○:画像にかすれがみられたが、白スジはほとんどない。
×:画像にかすれて、白スジがあり、帯電ブレードの一部に融着がみられる。
Figure 0004270550
以上の結果から、実施例で得られた結着樹脂を用いたトナーA〜Eは、定着性及び耐久性のいずれにも優れていることが分かる。これに対し、可塑剤を樹脂の重合初期に添加し、高温下でポリエステルと長時間混合した比較例1の樹脂(樹脂F)を用いたトナーa及び可塑剤を混合せず低軟化点の樹脂を製造した比較例2の樹脂(樹脂G)を用いたトナーbは、耐久性に、実施例1において可塑剤を添加する前の樹脂にほぼ等しい比較例3の樹脂(樹脂H)と可塑剤とをトナーの製造過程において短時間で溶融混練したトナーc及び低分子量成分が少ないとはいえ、軟化点が高い樹脂(樹脂I)のみを結着樹脂として用いたトナーdは、定着性に、それぞれ欠けていることが分かる。
本発明により得られる結着樹脂は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるトナーの結着樹脂として用いられるものである。

Claims (5)

  1. ポリエステル系樹脂及び分子量100〜1000の多価カルボン酸ポリアルキルエステルからなる可塑剤を含有してなるトナー用結着樹脂の製造方法であって、ポリエステル系樹脂と可塑剤とを130〜210℃で混合する工程を有するトナー用結着樹脂の製造方法。
  2. 結着樹脂の軟化点が80〜130℃である請求項1記載の製造方法。
  3. 混合時間が、0.5〜20時間である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 可塑剤の配合量が、ポリエステル系樹脂の原料モノマーとして用いられた2価のアルコール100モルに対して、1〜20モルである請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
  5. 磁性一成分現像用トナー用結着樹脂の製造方法である、請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
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