JP2014048576A - 静電荷現像用トナーおよび画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも結着樹脂として結晶性樹脂を含むトナーであって、前記結晶性樹脂としてウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含有し、前記トナーのTHF可溶分のCHN分析を行ったときの、前記ウレタン結合及び/又はウレア結合に由来するN元素の量が1.0wt%以上であることを特徴とするトナー。
【選択図】図2
Description
上記定着工程において、熱と圧力が不足することで記録媒体とトナーとの定着強度が弱くなり、摺りや折り曲げ等の機械的ストレスで画像の剥がれが生じる。そのため、トナー未定着画像に熱と圧力とを付与する加熱加圧部材の温度を高温にすることで、より多量の熱量を付与して定着せしめることが容易になる。
しかし、上記方法で熱と圧力とを過剰に付与すると、トナーと加熱加圧部材とが溶融状態で接するため、粘弾性の低下したトナーが加熱加圧部材表面に転移し、次の記録媒体上に再転移されるといったオフセット現象が生じてしまう。
そこで、従来は加熱加圧部材表面にオイル塗布をすることでトナーと加熱加圧部材との付着力を低減し、離型性を向上させることでオフセットを抑止する方法が用いられてきた。
ところが、装置の小型化への要望の高まりや、非画像部へのオイル付着の防止及び部材の削減によるコストダウンの目的から、オイル塗布を行わずにトナー中に離型剤を付加して離型性を担保させてなるオイルレス定着方式が広く採用されている。
トナー担持体として、ウレタンゴム等の半導電性弾性材料を少なくとも表面に有する弾性現像ローラが用いられる。また、トナー規制部材としては、金属や弾性ゴム製のブレードが用いられるが、一成分現像方式においては、現像装置内での(トナー−現像装置部材間の)ストレス増加に伴う、トナー固着現象の発生という新たな問題が生じてきた。
この固着現象は、結晶性樹脂を主成分として用いられるトナーにおいては、シャープメルト性を有するがゆえに、より発生しやすいということが問題である。
しかし、特許文献4開示の前記トナーは結着樹脂中の結晶性樹脂の含有量が非結晶性樹脂の含有量の0.02倍以上0.20倍以下であることから低温定着性が不十分であるという問題は解消できていない等々、結晶性ポリエステル及び非結晶性ポリエステル樹脂には、それぞれ固有の限られた性質があるところ、これら限られた形質材料の組合せを用いただけのトナーは、低温定着性及び保存性等の諸特性を未だ改善すべき余地が多分にある。
特許文献6の特開2010−88353号公報には、結晶性ポリエステルユニットを用いたトナーの場合でも、低温から高温にいたる広い定着温度領域を満たし、画像の光沢が高く、光沢度の高い温度領域の幅が広いトナーを得ることを目的として、結晶性部位及びウレタン結合を有する結着樹脂用成分として、結晶構造をとりうる部位を50〜90質量%含有しジイソシアネート濃度が0.40〜1.20m mol/gの樹脂成分を含有し、ジイソシアネート濃度がより高い酢酸エチル不溶分を3.0〜30.0質量部含有する樹脂を用い、トナーの示差走査熱量計(DSC)による測定で1回目昇温時の最大吸熱ピークのピーク温度が50〜80℃であるトナーが開示されているが、しかしこのトナーにおいては、画像の光沢性保持のため、トナー結着樹全体におけるジイソシアネート含有量を低く抑えており、一定モル数以上のウレタン結合部位含有に因るトナーの使用時の粘弾性、例えば、機械的ストレスに対する耐摩耗性、耐固着性等の改善を意図したものではない。
(1)「少なくとも結着樹脂として結晶性樹脂を含むトナーであって、前記結晶性樹脂としてウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含有し、前記トナーのTHF可溶分のCHN分析を行ったときの、前記ウレタン結合及び/又はウレア結合に由来するN元素の量が1.0wt%以上であることを特徴とするトナー。」
(2)「前記トナーのX線回析装置によって得られる回析スペクトルにおいて結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)としたときの比率(C)/((C)+(A))が0.15以上であることを特徴とする前記(1)項に記載のトナー。」
(3)「前記トナーのTHF可溶分のCHN分析を行ったときの、前記ウレタン結合及び/又はウレア結合に由来するN元素の量が1.5wt%以上であることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載のトナー。」
(4)「前記トナーのTHF可溶分の分子量が100,000以上の割合が7%以上であり、かつ重量平均分子量が30,000以上70,000以下であることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載のトナー。」
(5)「前記トナーの示差走査熱量計(DSC)における昇温1回目の最大吸熱ピーク温度T1と、降温時の最大発熱ピーク温度T2が以下の関係式(1)の条件を満たすことを特徴とする前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載のトナー;
T1−T2≦30℃ かつT2≧30℃ ・・・関係式(1)
(但し、昇温1回目の0℃から100℃までの昇温速度を10℃/minとし、100℃から0℃までの降温速度を10℃/minとする。)」
(6)「前記トナーの示差走査熱量計(DSC)における吸熱量をΔH(T)(J/g)、前記トナーのTHF/酢酸エチルの混合溶媒(重量比で50/50)に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)における吸熱量をΔH(H)(J/g)としたとき、ΔH(H)/ΔH(T)が0.20〜1.25であることを特徴とする前記(1)項乃至(5)
のいずれかに記載のトナー。」
(7)「前記トナーの示差走査熱量計(DSC)による昇温1回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh(1st)[℃]と、昇温2回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh(2nd)[℃]の比Tsh(2nd)/Tsh(1st)の値が0.90以上1.10以下であることを特徴とする前記(1)項乃至(6)項のいずれかに記載のトナー。
(8)「前記トナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)(Pa)が5.0×104<G’(70)<5.0×105であり、且つ、前記トナーの160℃における貯蔵弾性率G’(160)(Pa)が1.0×103<G’(160)<1.0×104であることを特徴とする前記(1)項乃至(7)項のいずれかに記載のトナー。」
(9)「前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする前記(1)項乃至(8)項のいずれかに記載のトナー。」
(10)「前記結晶性樹脂として、第1の結晶性樹脂と、該第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂と、を含むことを特徴とする前記(1)項乃至(9)項のいずれかに記載のトナー。」
(11)「前記第2の結晶性樹脂が末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂を伸長させてなるものである前記(10)項に記載のトナー。」
(12)「前記第1の結晶性樹脂がウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂であり、前記第2の結晶性樹脂が前記第1の結晶性樹脂をさらに伸長させてなるものである前記(10)項または(11)項に記載のトナー。」
(13)「前記結晶性樹脂が、ポリエステルとポリウレタンとのブロックポリマーであることを特徴とする前記(1)項乃至(12)のいずれかに記載のトナー。」
(14)「前記(1)項乃至(13)項のいずれかに記載のトナーとキャリアとを含む現像剤。」
(15)「静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着部材により定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置において、該現像手段が、トナー担持体と、前記担持体表面に供給されるトナーの層厚を規制するトナー規制部材を有する画像形成装置であり、前記トナーが、前記(1)項乃至(13)項のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。」
さらに本発明は、以下の(16)項〜(21)項に記載されるような「トナー」、「画像形成装置」、「プロセスカートリッジ」及び「画像形成方法」を包含する。
(16)「前記トナーのX線回折測定による結晶化度の値が10%以上であることを特徴とする前記(1)項乃至(13)項のいずれかに記載のトナー。」
(17)「前記トナーが、水系媒体中において前記結着樹脂を含むトナー材料液を粒子化することによって得られたものであることを特徴とする前記(1)項乃至(13)項のいずれか又は前記(16)項に記載のトナー。」
(18)「前記結着樹脂中の前記結晶性樹脂の含有量が50重量%以上であることを特徴とする前記(1)項乃至(13)項のいずれか又は前記(16)項若しくは(17)項に記載のトナー。」
(19)「静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記トナーが、前記(1)項乃至(13)項のいずれか又は前記(16)項乃至(18)項のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。」
(20)「静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着部材により定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法において、前記トナーが、前記(1)項乃至(13)項のいずれか又は前記(16)項乃至(18)項のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法。」
(21)「静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着部材により定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法において、該現像手段が、トナー担持体と、前記担持体表面に供給されるトナーの層厚を規制するトナー規制部材を有する画像形成方法であり、前記トナーが、前記(1)項乃至(13)項のいずれか又は前記(16)項乃至(18)項のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法。」
上記のように、本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂としてウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、前記トナーのX線回析装置によって得られる回析スペクトルにおいて、結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)としたときの比率(C)/((C)+(A))が0.15以上であり、前記トナーのTHF可溶分のCHN分析を行ったときの、前記ウレタン結合及び/又はウレア結合に由来するN元素の量が1.0wt%以上であることを特徴としている。
つまり、低温定着性と耐熱保存性の両立を考えた場合の理想的なトナーの熱特性は、保存保証温度域の上限までは溶融することがなく、その温度を越えると瞬時に溶融・低粘度化し紙などに接着するような特性、いわゆるシャープメルト性と呼ばれる性質である。このような特性を有するトナーを得るためにはシャープメルト性を有する樹脂を結着樹脂として用いればよい。シャープメルト性を有する樹脂としては結晶性樹脂が知られている。
結晶性樹脂は、結晶状態にあるときは当然固体であるが、温度を上げていくと融解により瞬時に低粘度化するため、融解する温度(つまり融点)を好適な範囲に設定すれば理想的なトナー用の結着樹脂となりうる。
前記比率(C)/((C)+(A))は、トナー中の結晶化部位の量、すなわち主にトナーの主成分たる結着樹脂中の結晶化部位の量を示す指標であり、この値を0.15以上とすることで十分なシャープメルト性を有することが可能となる。
前記比率(C)/((C)+(A))は、X線回折測定によって得られる回折スペクトルにおける、結晶構造に由来する主回折ピークとハローの面積比である。本発明におけるX線回折測定は、2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS/Bruker社製)を用いて測定した。
測定に使用するキャピラリーは、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmを使用した。試料はこのキャピラリー管の上部まで詰めて測定した。また、サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回とした。
測定の詳細条件を以下に示す。
管電流 : 40mA
管電圧 : 40kV
ゴニオメーター2θ軸 : 20.0000°
ゴニオメーターΩ軸 : 0.0000°
ゴニオメーターφ軸 : 0.0000°
検出器距離 : 15cm(広角測定)
測定範囲 : 3.2≦2θ(゜)≦37.2
測定時間 : 600sec
入射光学系には、φ1mmのピンホールを持つコリメーターを用いた。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換した。得られたX線回折測定結果を基に、前記比率(C)/((C)+(A))を算出する方法を、以下に説明する。
X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を図1及び図2に示す。横軸は2θ、縦軸はX線回折強度であり、両方とも線形軸である。図1におけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(fh)が見られる。ここで、前記主要なピークは、結晶構造に由来するものであり、ハローは非晶構造に由来するものである。
fp1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1)2/(2cp12)} (式A(1))
fp2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2)2/(2cp22)} (式A(2))
fh(2θ)=ahexp{−(2θ−bh)2/(2ch2)} (式A(3))
(fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)はそれぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数)で表し、この3つの関数の和
f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ) (式A(4))
をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図A(2)に図示する)とし、最小二乗法によるフィッティングを行った。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図1の例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して2つの主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致させて得られた値を設定した。フィッティングは例えばMicrosoft社製Excel2003のソルバーを利用して行うことができる。
なお、従来公知の、結晶性樹脂やワックスを添加剤程度に含むようなトナーは、この比率がおおよそ0.15未満である。
本発明のトナーにおいて、ウレタン結合、ウレア結合は弾性に優れ、耐摩耗性を付与することが可能であり、前記トナーのTHF可溶分のCHN分析を行ったときの、前記ウレタン結合及び/又はウレア結合に由来するN元素の量が1.0wt%以上とすれば、現像装置内で、帯電付与部材との接触、攪拌、摺擦等によるトナー粒子の破壊、溶融、付着の発生、及び、これらに起因する帯電付与部材、攪拌部材などの現像装置内の部材への融着汚染、固着発生を抑制することができることが知得されるに至った。
また、3.0wt%を超えると、トナーの溶融状態での粘弾性が高くなりすぎることによる定着性の悪化や光沢の低下、帯電性の悪化などが発生することがあるので、3.0wt%以下であることが好ましい。
一成分現像方式では、現像剤担持体として、ウレタンゴム等の半導電性弾性材料を少なくとも表面に有する弾性現像ローラが用いられ、この現像ローラ上に形成される非磁性一成分現像剤の厚さを規制しながら、非磁性一成分現像剤を帯電させる部材として、ブレードが用いられる。弾性現像ローラにブレードを押圧することで形成される現像剤層厚規制部を現像剤が通過する際に、現像剤は非常に大きなせん断力を受けるため、ブレードに現像剤(トナー)が固着しやすいという問題がある。その解決のためには、トナー粒子を熱的に安定な状態となる構成にすることが考えられるが、定着工程では加圧、加熱によりトナー像を被転写材に固定化するため、結着樹脂を熱的に安定な状態にした場合、低温定着時の被転写材との定着強度が弱くなってしまう。したがって、このようなトナーを一成分現像方式の現像装置で用いる場合、本発明においては、上記のように、X線回析装置によって得られる回析スペクトルにおいて、結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)としたときの比率(C)/((C)+(A))が0.15以上であり、かつ、前記トナーのTHF可溶分のCHN分析を行ったときの、前記ウレタン結合及び/又はウレア結合に由来するN元素の量が1.0wt%以上とすることにより、トナーの機械的強度を確保し固着の発生を抑制することが可能となることが見い出された。前記トナーのTHF可溶分のCHN分析を行ったときの、前記ウレタン結合及び/又はウレア結合に由来するN元素の量は1.5wt%以上とすることがより望ましい。
したがって、このような樹脂構成のトナーは溶解懸濁法、溶融懸濁法、凝集法等により水系媒体中で造粒、製造されるのが有利である。
結着樹脂としては、結晶性樹脂が該結着樹脂に対して50質量%以上含有されるものである。該結晶性樹脂はウレタン結合及び/又はウレア結合を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記結晶性樹脂と非結晶性樹脂を併用してもよく、実質的に結着樹脂の主成分が前記結晶性樹脂であることが好ましい。
本発明における「結晶性」とは、高架式フローテスターにより測定される軟化温度と、示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が0.80〜1.55である、熱により急峻に軟化する性状であり、この性状を有する樹脂を「結晶性樹脂」と称する。
また、「非結晶性」とは、軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が1.55より大きく、熱により緩やかに軟化する性状であり、この性状を有する樹脂を「非結晶性樹脂」と称する。
なお、樹脂及びトナーの軟化温度は、高架式フローテスター(例えば、CFT−500D(島津製作所製))を用いて測定できる。本発明においては、試料として1gの樹脂を昇温速度6℃/分間で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化温度とした。
トナーのTHF(テトラヒドロフラン)可溶分の重量平均分子量は30,000〜100,000が好ましく、35,000〜70,000はより好ましく、40,000〜60,000がさらに好ましい。前述のとおり重量平均分子量を30,000以上とすることでホットオフセット現象を抑制することができ、耐固着性に対しても有利となる。一方、100,000を越えると溶融状態における粘弾性が高すぎるため、定着時にトナーの変形がしにくくなるため紙への接着が不十分となる。
前記結晶性樹脂としては、結晶性を有し、ウレタン結合及び/又はウレア結合するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、変性結晶性樹脂などが挙げられ、ウレタン骨格及びウレア骨格を有しないものは変性させることで用いることが可能である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ウレタン骨格及びウレア骨格を有するポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂が好ましく、また、直鎖型ポリエステル樹脂、該直鎖型ポリエステル樹脂を含む複合樹脂がより好ましい。
ここで、ウレタン骨格及びウレア骨格の少なくともいずれかを有する樹脂としては、例えば、前記ポリウレタン樹脂、前記ポリウレア樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレア変性ポリエステル樹脂などが好適に挙げられる。
前記ウレタン変性ポリエステル樹脂は、例えば、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、ポリオールとを反応させてなる樹脂である。また、前記ウレア変性ポリエステル樹脂は、例えば、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、アミン類とを反応させてなる樹脂である。
前記結晶性樹脂の軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)は、0.80〜1.55であるが、0.85〜1.25が好ましく、0.90〜1.20がより好ましく、0.90〜1.19が特に好ましい。前記比が小さい程、樹脂が急峻に軟化する性状を持ち、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から優れている。
すなわち、本発明におけるトナーは、結晶性樹脂を少なくとも50重量%以上含有する結果、常温での保存性を満足しかつ比較的低温でシャープメルトすることが可能であるが、さらに加えて、シャープメルトした後、前述のような粘弾性特性により、耐ホットオフセット性という性質が呈されるものと思われる。
前記樹脂及びトナーの動的粘弾特性値(貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”)は、動的粘弾性測定装置(例えば、ARES(TAインスツルメント社製))を用いて測定できる。周波数1Hz条件下で測定される。試料を、直径8mm、厚み1mm〜2mmのペレットに成型し、直径8mmのパラレルプレートに固定した後、40℃で安定させ、周波数1Hz(6.28rad/s)、歪み量0.1%(歪み量制御モード)にて200℃まで昇温速度2.0℃/分間で昇温させて測定した。
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
低分子量体と高分子量体の重量平均分子量(Mw)の差は5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましい。5,000より小さい場合は定着幅(定着下限温度とホットオフセット発生温度の差)が狭くなる傾向にある。
低分子量体と高分子量体との含有比率は、95:5〜70:30の範囲であることが好ましい。低分子量体の比率が95を超える、高分子量体の比率が5未満になると、耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、低分子量体の比率が70未満、高分子量体の比率が30を超えると、低温定着性が悪化する傾向にある。
高分子量の成分は、結着樹脂全体と樹脂構造が近いことが必要であり、結着樹脂として結晶性を有するのであれば、高分子量の成分も同様に結晶性を有する必要がある。高分子量成分が他の樹脂成分と構造が大きく異なる場合、高分子体は容易に相分離し海島状態となるためトナー全体への粘弾性や凝集力の向上への寄与が期待できない。高分子量の成分と結着樹脂全体との結晶性構造の含有程度の比較としては、例えばテトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は重量比で50:50)に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)における吸熱量(ΔH(H))と、トナーのDSCにおける吸熱量(ΔH(T))の比率(ΔH(H)/ΔH(T))が、0.20〜1.25の範囲にあることが好ましく、0.25〜1.20がより好ましく、0.30〜1.15が特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステル樹脂、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステル樹脂が、結晶性発現の観点から好ましい。本発明における「結晶性ポリエステル樹脂」は、ウレタン伸長物や、ブロックとしてポリエステルブロックを有する樹脂も含む。また、ブロックの場合、樹脂全体として示差走査熱量計(DSC)での吸熱量が25mJ/mg以上であるものである。25mJ/mg未満である場合、本発明の効果を十分に発現できないため、このような樹脂は本発明で言うところの「結晶性ポリエステル樹脂」には含まれない。
前記ポリオールとしては、例えば、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオールなどが挙げられる。前記ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数4〜36の炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール;炭素数4〜36の脂環式ジオール;前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する);ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオールなどが挙げられる。これらの中でも、鎖炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記直鎖型脂肪族ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
鎖炭素数が2〜36の前記分岐型脂肪族ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記炭素数4〜36の脂環式ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンオキサイド(以下EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下BOと略記する)等の付加物(付加モル数1〜30)などが挙げられる。
前記ビスフェノール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
前記ポリラクトンジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリε−カプロラクトンジオールなどが挙げられる。
前記カルボキシル基を有するジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の炭素数6〜24のジアルキロールアルカン酸などが挙げられる。
前記スルホン酸基又は前記スルファミン酸基を有するジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)及びそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1〜6);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
また、必要により用いられる前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン等)、糖類及びその誘導体(例えば、ショ糖、メチルグルコシド等)等の炭素数3〜36の3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール;トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーとの共重合物等のアクリルポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等の炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸;ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸等の炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸;ダイマー酸(2量化リノール酸)等の炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
また、必要により用いられる前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
なお、前記ジカルボン酸又は前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
前記ラクトン開環重合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、前記炭素数3〜12のモノラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物などが挙げられる。
前記炭素数3〜12のモノラクトンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性の観点からε−カプロラクトンが好ましい。
また、前記ラクトン開環重合物としては、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、ダイセル株式会社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等の高結晶性ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
前記ポリヒドロキシカルボン酸の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体等)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間若しくは3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法などが挙げられるが、分子量の調整の観点から前記開環重合する方法が好ましい。
前記環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド、及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
前記ポリウレタン樹脂としては、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、前記ジオールと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレタン樹脂が好ましい。
前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、前記ポリエステル樹脂において挙げた前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールと同様のものが挙げられる。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートなどが挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜20の芳香族ジイソシアネート、2〜18の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネート、8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)、これらの2種以上の混合物などが挙げられる。また、必要により、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
前記芳香族ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂肪族ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、前記ジイソシアネートの変性物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等の変性MDI、イソシアネート含有プレポリマー等のウレタン変性TDIなどのジイソシアネートの変性物;これらジイソシアネートの変性物の2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDIとの併用)などが挙げられる。
前記ポリウレア樹脂としては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレア樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、前記ジアミンと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレア樹脂が好ましい。
前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートとしては、前記ポリウレタン樹脂において挙げた前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
前記ポリアミンとしては、例えば、ジアミン、3価以上のポリアミンなどが挙げられる。
前記ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類、炭素数6〜20の芳香族ジアミン類が好ましい。また、必要により、前記3価以上のアミン類を使用してもよい。
前記炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の炭素数4〜18のポリアルキレンジアミン;ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の前記アルキレンジアミン若しくは前記ポリアルキレンジアミンの炭素数1〜4のアルキル又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体;1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等の炭素数4〜15の脂環式ジアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の炭素数4〜15の複素環式ジアミン;キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等の炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類などが挙げられる。
前記炭素数6〜20の芳香族ジアミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4’−及び4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン等の非置換芳香族ジアミン;2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン;前記非置換芳香族ジアミン乃至前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミンの異性体の種々の割合の混合物;メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等の核置換電子吸引基(Cl、Br、I、F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン;4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等の二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔前記非置換芳香族ジアミン、前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物、前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部又は全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕などが挙げられる。
前記ジアミンとして、これらの他、ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)前記ポリアミン(前記アルキレンジアミン、前記ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等のポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等のポリエーテルポリアミンなどが挙げられる。
前記ポリアミド樹脂としては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸等のポリカルボン酸とから合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ジアミンとジカルボン酸とから合成されるポリアミド樹脂が好ましい。
前記ジアミン及び前記3価以上のポリアミンとしては、前記ポリウレア樹脂において挙げた前記ジアミン及び前記3価以上のポリアミンと同様のものが挙げられる。
前記ポリエーテル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性ポリオキシアルキレンポリオールなどが挙げられる。
前記結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜従来より公知の方法を選択することができ、例えば、キラル体のAOを、通常AOの重合で使用される触媒で開環重合させる方法(例えば、Journal of the American Chemical Society、1956年、第78巻、第18号、p.4787−4792に記載)や、安価なラセミ体のAOを立体的に嵩高い特殊な化学構造の錯体を触媒として用いて、開環重合させる方法などが挙げられる。
また、特殊な錯体を用いる方法としては、ランタノイド錯体と有機アルミニウムを接触させた化合物を触媒として用いる方法(例えば、特開平11−12353号公報に記載)やバイメタルμ−オキソアルコキサイドとヒドロキシル化合物をあらかじめ反応させる方法(例えば、特表2001−521957号公報に記載)などが知られている。
また、非常にアイソタクティシティの高い結晶性ポリオキシアルキレンポリオールを得る方法として、サレン錯体を触媒として用いる方法(例えば、Journal of the American Chemical Society、2005年、第127巻、第33号、p.11566−11567に記載)が知られている。例えば、キラル体のAOを用い、その開環重合時に、開始剤として、グリコール又は水を用いると、末端にヒドロキシル基を有するアイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールが得られる。前記アイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールは、その末端を例えば、カルボキシル基になるように変性したものであってもよい。なお、前記アイソタクティシティが50%以上であると、通常、結晶性となる。
前記結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造に用いるAOとしては、炭素数3〜9のものが挙げられ、例えば、PO、1−クロロオキセタン、2−クロロオキセタン、1,2−ジクロロオキセタン、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、1,2−BO、メチルグリシジルエーテル、1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ペンチレンオキサイド、3−メチル−1,2−ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、1,2−へキシレンオキサイド、3−メチル−1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ヘキシレンオキサイド、4−メチル−2,3−ペンチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、1,2−へプチレンオキサイド、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらのAOの中でも、PO、1,2−BO、スチレンオキサイド及びシクロへキセンオキサイドが好ましく、PO、1,2−BO、シクロへキセンオキサイドがより好ましい。また、これらのAOは、1種単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記アイソタクティシティは、Macromolecules、vol.35、No.6、2389−2392頁(2002年)に記載の方法で算出することができ、以下のようにして求めることができる。
測定試料約30mgを直径5mmの13C−NMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶剤を加えて溶解させ、分析用試料とする。ここで、重水素化溶剤としては、特に制限はなく、試料を溶解させることのできる溶剤を適宜選択することができ、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。13C−NMRの3種類のメチン基由来の信号は、それぞれシンジオタクチック値(S)75.1ppm付近とヘテロタクチック値(H)75.3ppm付近とアイソタクチック値(I)75.5ppm付近に観測される。アイソタクティシティは、次の計算式(2)により算出する。
アイソタクティシティ(%)=[I/(I+S+H)]×100 ・・・計算式(2)
ただし、前記計算式(2)中、Iはアイソタクチック信号の積分値、Sはシンジオタクチック信号の積分値、Hはヘテロタクチック信号の積分値である。
前記ビニル樹脂としては、結晶性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性を有するビニルモノマーと、必要により結晶性を有しないビニルモノマーとを構成単位として有するものが好ましい。
前記結晶性を有するビニルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が12〜50の直鎖アルキル(メタ)アクリレート(炭素数12〜50の直鎖アルキル基が結晶性基である)などが好適に挙げられる。
前記結晶性を有しないビニルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分子量が1,000以下のビニルモノマーが好ましく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリルモノマー、カルボキシル基含有ビニルモノマー、他のビニルエステルモノマー、脂肪族炭化水素系ビニルモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルスチレンなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜11のアルキル(メタ)アクリレート及びアルキル基の炭素数が12〜18の分岐アルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜11のヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜11のアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等の炭素数3〜15のモノカルボン酸;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の炭素数4〜15のジカルボン酸;マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル等の前記ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜18)エステル等のジカルボン酸モノエステルなどが挙げられる。
前記他のビニルエステルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソプロペニルアセテート等の炭素数4〜15の脂肪族ビニルエステル;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の炭素数8〜50の不飽和カルボン酸多価(2価〜3価又はそれ以上)アルコールエステル;メチル−4−ビニルベンゾエート等の炭素数9〜15の芳香族ビニルエステルなどが挙げられる。
前記脂肪族炭化水素系ビニルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、オクテン等の炭素数2〜10のオレフィン;ブタジエン、イソプレン、1,6−ヘキサジエン等の炭素数4〜10のジエンなどが挙げられる。
前記変性結晶性樹脂としては、活性水素基と反応可能な官能基を有する結晶性樹脂であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基と反応可能な官能基を有する結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリエーテル樹脂、結晶性ビニル樹脂などが挙げられる。前記変性結晶性樹脂は、トナーの製造過程において、活性水素基を有する樹脂や、活性水素基を有する架橋剤や伸長剤等の活性水素基を有する化合物と反応させることで、樹脂を高分子量化させ、結着樹脂を形成することができる。したがって、これらの変性結晶性樹脂は、トナーの製造において、結着樹脂前駆体として使用することができる。
このような前記結着樹脂前駆体から形成される結着樹脂としては、前記活性水素基と反応可能な官能基を有する変性された樹脂と、前記活性水素基を有する化合物とを伸長乃至架橋反応してなる結晶性樹脂が好ましく、これらの中でも、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、前記ポリオールとを伸長乃至架橋反応してなるウレタン変性ポリエステル樹脂;末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、アミン類とを伸長乃至架橋反応してなるウレア変性ポリエステル樹脂などが好ましい。
前記活性水素基を有する化合物としては、前記活性水素基を有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基と反応可能な官能基がイソシアネート基である場合には、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などを前記活性水素基として有する化合物が挙げられる。これらの中でも、反応速度の観点から、アミノ基を有する化合物(即ち、アミン類)が特に好ましい。
前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。また、これらのアミン類のアミノ基をケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)でブロックした、ケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物などが挙げられる。
アミン類の比率は、アミン類中のアミノ基[NHx]の数がイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂中のイソシアネート基[NCO]の数の4倍以下、好ましくは2倍以下、より好ましくは1.5倍以下、さらに好ましくは1.2倍以下である。4倍を超えると、過剰のアミノ基がイソシアネートをブロックしてしまい変性樹脂の伸長反応が起きない。
前記非結晶性部の形成に用いられる樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂(ポリスチレン、スチレンアクリル系ポリマー等)、エポキシ樹脂などが挙げられる。
ただし、前記結晶性部としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂であることが好ましいので、相溶性の観点から、前記非結晶性部の形成に用いられる樹脂もポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、及びそれらの複合樹脂であることが好ましく、ポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂がより好ましい。これらの非結晶性部の組成としては、非結晶性樹脂となるものであれば、特に制限はなく、目的に応じていかなる組合せでも適宜選択することができ、使用するモノマーとしては、前記ポリオール、前記ポリカルボン酸、前記ポリイソシアネート、前記ポリアミン、前記AOなどが挙げられる。
第2の結晶性樹脂としては、前記の変性結晶性樹脂を用い、トナーの製造過程で伸長乃至架橋反応させることで得ても良い。
前記非結晶性樹脂としては、非結晶性であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合隊、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂など、及び活性水素基と反応可能な官能基を有するように変性されたこれらの樹脂類が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。
マゼンタ用着色剤としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、202、206、207、209、211;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
シアン用の着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36などが挙げられる。
イエロー用着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36などが挙げられる。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリp−クロロスチレン樹脂、ポリビニルトルエン樹脂などが挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。
また、これらのマスターバッチ用樹脂は、本発明における結晶性樹脂であっても何ら問題ない。前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合乃至混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。前記フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合乃至混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合乃至混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトンなどが挙げられる。
前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。
前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜160℃が好ましく、50℃〜120℃がより好ましく、60℃〜90℃が特に好ましい。前記融点が40℃未満であると、耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分間で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分間で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点として求めることができる。
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5cps〜1,000cpsが好ましく、10cps〜100cpsがより好ましい。
前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量%〜40質量%が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、そのような帯電制御剤としては、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれもオリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれもヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット株式会社製);キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
前記外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等);金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等)、疎水化された金属酸化物微粒子、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子が好適に挙げられる。
前記シリカ微粒子としては、例えば、HDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H1303(いずれもヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。また、前記酸化チタン微粒子としては、例えば、P−25(日本アエロジル株式会社製)、STT−30、STT−65C−S(いずれもチタン工業株式会社製)、TAF−140(富士チタン工業株式会社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれもテイカ株式会社製)などが挙げられる。前記疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、例えば、T−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれもチタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも富士チタン工業株式会社製);MT−100S、MT−100T(いずれもテイカ株式会社製)、IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
また、前記外添剤として、シリコーンオイルで、必要ならば熱を加えて無機微粒子を処理したシリコーンオイル処理無機微粒子も好適である。前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが使用できる。
前記外添剤の添加量としては、前記トナーに対し0.1質量%〜7質量%が好ましく、0.3質量%〜5質量%がより好ましい。
前記無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、100nm以下が好ましく、3nm〜70nmがより好ましい。前記重量平均粒径が3nm未満であると、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくい。前記重量平均粒径が70nmを超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけ好ましくない。
前記外添剤としては、前記無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の個数平均粒径は、1nm〜100nmが好ましく、中でも、5nm〜70nmの無機微粒子を少なくとも2種含むことがより好ましい。更に、疎水化処理された一次粒子の個数平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、BET法による比表面積は、20m2/g〜500m2/gであることが好ましい。
前記外添剤として樹脂微粒子も添加することができる。該樹脂微粒子としては、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系重合体粒子;熱硬化性樹脂による重合体粒子などが挙げられる。このような樹脂微粒子を併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。前記樹脂微粒子の添加量は、前記トナーに対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましい。
前記流動性向上剤は、前記トナーの表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても前記トナーの流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。
該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、重量平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好適である。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
本発明のトナーの製造方法としては、水系媒体中においてトナー材料液を粒子化することによって得る方法(溶解懸濁法)、水系媒体中において少なくとも結晶性樹脂からなるトナー材料を分散させたものを凝集・融着させることで得る方法(凝集法)が挙げられる。
前者の方法が樹脂均一性の観点から好ましい。
上記の着色剤、樹脂、離型剤等のトナー材料を有機溶媒中に分散あるいは溶解させトナー材料液を作る。着色剤、樹脂、離型剤等は、予め有機溶媒に分散あるいは溶解させておいたものを混合しても良い。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、酢酸エチルが好ましい。有機溶媒の使用量は、前記トナー材料100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
次にトナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でもよいし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ(登録商標)など)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中に界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加えるのは、着色剤、ハイブリッド樹脂、離型剤等の分散を良好にするためである。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
樹脂微粒子は、水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。
このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。例えばビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂が挙げられる。樹脂微粒子の平均粒径は5〜200nm、好ましくは20〜300nmである。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
得られたトナー材料液の水系分散液(樹脂分散体)から有機溶媒を除去するためには、系全体を攪拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
あるいはまた、得られた樹脂分散体を攪拌しながら乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の有機溶媒を完全に除去することも可能である。もしくは、樹脂分散体を攪拌しながら減圧し、有機溶媒を蒸発除去しても良い。後の2つの手段は、最初の手段と併用することも可能である。
樹脂分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
末端にイソシアネート基を有する変性樹脂を添加している場合は、イソシアネートの伸長・架橋反応を進めるために熟成工程を行っても良い。熟成時間は通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜40℃、好ましくは15〜30℃である。
上記の方法で得られた樹脂粒子には、樹脂粒子のほか、界面活性剤などの分散剤などの副材料が含まれているので、これらを除去すると共に樹脂粒子表面に存在する高極性の物質を取り除くために洗浄を行う。これにより、トナーのメタノール濡れ性を抑えることができる。
高極性の物質としては、界面活性剤、樹脂微粒子、分散剤などがあり、一部は樹脂粒子の表面に付着あるいは吸着している、あるいは一部が樹脂粒子の内部に侵入しているものと考えられる。これらの除去には酸あるいはアルカリ環境下で加熱を行うことが効果的である。特に高極性の物質がイオン性のものである場合にはそのイオン解離がおきやすい条件を選択するのが良く、アニオン性界面活性剤やカルボキシル基やスルホン酸基などを有する樹脂微粒子の除去にはアルカリ環境が、リン酸カルシウムのような分散剤を有する場合は酸環境がよい。アルカリ環境としては、pHが9〜13、好ましくは9.5〜12、さらに好ましくは10〜11である。9未満では洗浄効果が小さく、13を超えるとアルカリによる悪影響である加水分解などの懸念が出てくる。
またこの処理にかける時間は最低30分以上、好ましくは2時間以上、より好ましくは5時間以上、さらに好ましくは10時間以上である。30分未満では洗浄の効果が小さい。
これはおそらく特に高分子量の高極性の物質の除去にきいているものと思われる。
洗浄工程における上記処理は、あらかじめイオン交換水などである程度洗浄を進めたもので行っても良い。また、熟成工程前に行う方法をとってもよい。この場合もあらかじめイオン交換水などである程度洗浄を進めてから行っても良い。
上記の処理を行った後はイオン交換水などで洗浄を行い、さらに酸性環境下にすることが好ましい。これにより微量であれ残存している酸性官能基をプロトンで閉じることができるものと考えられる。
また、フッ素化合物を分散させた水系溶媒に溶解あるいは分散させたものを洗浄工程で添加してトナー表面にフッ素系化合物を付着あるいはイオン結合させてもよい。この処理は洗浄工程のどの部分で行ってもよいが、酸性環境下にした後に行ったほうが付着あるいはイオン結合を効率よく行えるため好ましい。フッ素化合物で処理することによりトナーの帯電能力を高くすることができ、数万枚画像を出力してもキャリア等へのトナースペントが少なく、高い帯電性、流動性を維持できる。
前記フッ素化合物を以下に例示する。
本発明トナーに用いるフッ素系化合物としては、フッ素原子を含む化合物であれば、有機、無機化合物いずれも使用可能で、フッ素原子を含むこと以外は特に限定されない。その中でも下記一般式(I)の化合物がより好ましい。
前記一般式の化合物の代表的な具体例としては、以下のようなフッ素系化合物(1)〜(27)が挙げられ、すべて白色または淡黄色を示している。またYはヨウ素がより好ましい。
フッ素化合物は、トナーに対し0.01〜5重量%の範囲で好ましくは0.01〜3重量%の範囲でトナーに表面処理を施すことができる。該フッ素系化合物による表面処理量が0.01重量%より小さい場合には、本発明の効果が十分に得られない。表面処理量が5重量%を越える場合には、現像剤の定着不良等を生じ好ましくない。
洗浄された着色樹脂粒子は水系媒体を多く抱き込んでいるため、乾燥を行い水系媒体を除去することで着色樹脂粒子のみを得ることができる。乾燥方法としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動槽乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などの乾燥機を使用することができる。乾燥された着色樹脂粒子は最終的に水分が1%未満になるまで乾燥を行うのが好ましい。また、乾燥後の着色樹脂粒子は軟凝集をしており使用に際して不都合が生じる場合には、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、コーヒーミル、オースターブレンダー、フードプロセッサーなどの装置を利用して解砕を行い、軟凝集をほぐしても良い。
前記トナーの示差走査熱量計(DSC)による昇温1回目の融解熱ピークのショルダー温度T sh(1st)と、昇温2回目の融解熱ピークのショルダー温度T sh(2nd)の比T sh(2nd)/T sh(1st)の値が、0.90以上1.10以下であることが好ましい。
本発明における結晶性樹脂は、例えば、温和な加温条件下でアニーリングすると結晶化しうる部位の結晶化が進行し、融点を超える温度に加熱された後には、結晶化した部位の結晶化度の低下のような加熱経歴を残す傾向があるが、本発明の場合、加熱による結晶性樹脂の形質変化は、トナーの合着回避、ワックスのトナー粒子表面への滲み出し防止等の各種観点からも、少ない方が好ましい。
このとき、吸熱ピークが複数ある場合は吸熱量が最大のものを選択する。それぞれの吸熱ピークについて、該吸熱ピークよりも低温側のベースラインと、吸熱ピークをなす低温側の傾斜の接線との交点を、それぞれT sh(1st)、T sh(2nd)とする。
T1−T2<30℃ かつT2≧35℃ ・・・関係式(1)
<トナーの最大吸熱・発熱ピークの測定方法、条件>
トナーの最大吸熱ピークは、融解熱ピークのショルダー温度と同様の方法にて行うことができる。すなわち、1回目の昇温時におけるDSC曲線においてトナーの最大吸熱ピーク温度T1を測定した。また、同様にして降温時におけるトナーの最大発熱ピーク温度T2を測定した。
また、T2としては35℃以上が好ましく、より好ましくは38℃以上、特に好ましい範囲は40℃である。T2が35℃未満の場合、定着後の画像表面と搬送部材等と接触部において画像表面のトナー成分が搬送部材に移行し、画像上にスジ上のムラが発生したり、搬送部材を汚染することがある。T1−T2のより好ましい範囲は25℃以下、特に好ましい範囲は20℃以下である。T1−T2が30℃を超えると、低温定着性が悪化する。
本発明におけるトナーおよび樹脂の結晶化度は、X線回折測定によって得られた回折プロファイルにおける主回折ピークとハローの面積比である。以下、X線回折測定方法と結晶化度の算出方法について説明する。
先に説明したように、トナーおよび樹脂のX線回折測定Bruker社製の2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS)を用いて測定される。詳細条件は以下のとおりである。
管電流:40mA
管電圧:40kV
ゴニオメーター2θ軸:20.0000゜
ゴニオメーターΩ軸:0.0000゜
ゴニオメーターφ軸:0.0000゜
検出器距離:15cm(広角測定)
測定範囲:3.2≦2θ(゜)≦37.2
測定時間:600sec
入射光学系には、φ1mmのピンホールを持つコリメーターを用いた。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換した。
なお、測定に使用するキャピラリーは、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmを使用した。サンプルはこのキャピラリー管の上部まで詰めて測定した。サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回とした。
X線回折測定から得られたチャートを基に結晶化度を算出する方法を以下、説明する。
X線回折測定によって得られる回折プロファイルの例を、先に説明した図1に示す。横軸は2θ、縦軸はX線回折強度であり、両方とも線形軸である。この例の結晶性樹脂のX線回折パターンは2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1,P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(fh)が見られる。主要ピークは結晶性部分に由来し、ハローは非晶性部分に由来するものと考えられる。
この2つの主要なピークとハローをガウス関数
fp1(2θ)=ap1exp(−(2θ−bp1)2/(2cp12))・・・計算式(3)
fp2(2θ)=ap2exp(−(2θ−bp2)2/(2cp22))・・・計算式(4)
fh(2θ)=ahexp(−(2θ−bh)2/(2ch2))・・・計算式(5)
(式中、fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)はそれぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに相当する関数)として、この3つの関数の和
f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ)・・・計算式(6)
に対して、得られたX線回折プロファイルとのフィッティングを最小二乗法によって行う。
最小二乗法によるフィッティングは、ap1,bp1,cp1,ap2,bp2,cp2,ah,bh,chの9つを対象として行い、初期値として、b p1=21.3,b p1=24.2,b p1=22.5とし、他の変数は適宜入力して2つの主要ピークとハローがX線回折プロファイルとある程度一致させてから行う。先にも説明したとおりである。フィッティングは例えばMicrosoft社製Excel2003のソルバーを利用して行うことができる。
各実施例及び比較例のトナーについての計算結果((C)/(C+A)の値)を表5に示す。
これは、本発明のトナーの粘弾特性において、上記範囲となることが定着強度や耐ホットオフセット性、耐攪拌ストレス性等を含む前述の諸観点から好ましいからである。
前記トナーの粘弾特性は、結着樹脂を構成する結晶性モノマーと非結晶性モノマーの比率や、樹脂の分子量、ウレタン化/ウレア化度や、ブロック重合化の際の設計コンホメーション、設計コンフィグュレーション等を調整すること等により得ることができる。例えば、結晶性モノマーの比率を増加させると、G’(Ta+20)の値は小さくなる。
以下に本発明の画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジについて説明する。本発明の画像形成方法は、現像工程において、本発明の現像剤を用いる方法であって、潜像担持体表面に均一に帯電を施す帯電工程と、帯電した潜像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光工程と、現像剤担持体上に現像剤層規制部材により所定層厚の現像剤層を形成し、現像剤層を介して該潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像し、可視像化する現像工程と、該潜像担持体表面の可視像を被転写体に転写する転写工程と、被転写体上の可視像を定着させる定着工程と、を有し、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
前記静電潜像の形成は、例えば前記潜像担持体の表面を帯電手段により一様に帯電させた後、露光手段により像様に露光することにより行うことができる。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置(プリンタ)の基本的な構成について図面を参照して説明する。図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。ここでは、電子写真方式の画像形成装置に適用した一実施形態について説明する。
画像形成装置は、イエロー(以下、「Y」と記す。)、シアン(以下、「C」と記す。)、マゼンタ(以下、「M」と記す。)、ブラック(以下、「K」と記す。)の4色のトナーから、カラー画像を形成するものである。
この画像形成装置は、潜像担持体として4つの感光体(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)を備えている。なお、ここではドラム状の感光体を例に挙げているが、ベルト状の感光体を採用することもできる。
各感光体(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)は、それぞれ表面移動部材である中間転写ベルト(10)に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。各感光体(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)は、比較的薄い円筒状の導電性基体上に感光層を形成し、更にその感光層の上に保護層を形成したものであり、また、感光層と保護層との間に中間層を設けてもよい。
なお、帯電バイアスとして、直流バイアスに交流バイアスを重畳させたものを利用することもできる。また、帯電装置(3)には、帯電ローラの表面をクリーニングするクリーニングブラシが設けられていてもよい。なお、帯電装置(3)として、帯電ローラの周面上の軸方向両端部分に薄いフィルムを巻き付け、これを感光体(1)の表面に当接するように設置してもよい。この構成においては、帯電ローラの表面と感光体(1)の表面との間は、フィルムの厚さ分だけ離間した極めて近接した状態となる。したがって、帯電ローラに印加される帯電バイアスによって、帯電ローラの表面と感光体(1)の表面との間に放電が発生し、その放電によって感光体(1)の表面が帯電される。
そして、感光体(1)上の静電潜像と現像ローラ(5a)との間では、現像ローラ(5a)上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、現像ローラ(5a)上のトナーは、感光体(1)上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体(1)上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像に現像される。
また、支持ローラ(13)に張架された中間転写ベルト(10)の部分には、二次転写ローラ(16)が接触して配置されている。この中間転写ベルト(10)と二次転写ローラ(16)との間には二次転写ニップ部が形成され、この部分に、所定のタイミングで記録部材としての転写紙が送り込まれるようになっている。この転写紙は、露光装置(4)の図中下側にある給紙カセット(20)内に収容されており、給紙ローラ(21)、レジストローラ対(22)等によって、二次転写ニップ部まで搬送される。そして、中間転写ベルト(10)上に重ね合わされたトナー像は、二次転写ニップ部において、転写紙上に一括して転写される。この二次転写時には、二次転写ローラ(16)に正極性のバイアスが印加され、これにより形成される転写電界によって中間転写ベルト(10)上のトナー像が転写紙上に転写される。
現像剤収納器中の現像剤(トナー)は、現像剤供給部材としての供給ローラ(5b)で攪拌されながら、感光体(1)に供給する前記現像剤を表面に担持する現像剤担持体としての現像ローラ(5a)のニップ部分に運ばれる。このとき供給ローラ(5b)と現像ローラ(5a)は、ニップ部で逆方向(カウンタ回転)に回転している。更に、現像ローラ(5a)に当接するように設けられた現像剤層規制部材としての規制ブレード(5c)で現像ローラ(5a)上のトナー量が規制され、現像ローラ(5a)上にトナー薄層が形成される。また、トナーは、供給ローラ(5b)と現像ローラ(5a)のニップ部と規制ブレード(5c)と現像ローラ(5a)の間で摺擦され、適正な帯電量に制御される。
本発明の現像剤は、例えば図6に示すようなプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において使用することができる。本発明においては、静電潜像担持体、静電潜像帯電手段、現像手段、クリーニング手段等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成する。
図6に示したプロセスカートリッジは、静電潜像担持体、静電潜像帯電手段、図5で説明した現像手段、それにクリーニング手段とを備えている。
以上述べた本発明の画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジは、本発明のトナーを用いることにより、使用時の規制部材へのトナー固着の発生や、高温高湿環境下でのブロッキングを生じることなく、低温定着性とオフセット開始温度を向上することができる。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸241質量部、アジピン酸31質量部、1,4−ブタンジオール164質量部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.75質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで225℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ18,000に達するまで反応を行って、融点58℃の[結晶性樹脂1](結晶性ポリエステル樹脂)を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ17,000に達するまで反応を行って、融点63℃の[結晶性樹脂2](結晶性ポリエステル樹脂)を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行った。
得られた[結晶性樹脂3−1]249質量部を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)100質量部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ25,000、融点65℃の[結晶性樹脂3−2](結晶性ポリウレタン樹脂)を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)260質量部、及び酢酸エチル247質量部を入れ、更に[結晶性樹脂3−2]249質量部を酢酸エチル249質量部に溶解させた樹脂溶液を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する結晶性樹脂前駆体[結晶性プレポリマー3](変性ポリエステル樹脂)の50質量%酢酸エチル溶液を得た。
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール39重量部(0.51mol)、メチルエチルケトン(MEK)270重量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)228重量部(0.91mol)を加え、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する[非晶性樹脂4−1]のMEK溶液を得た。
別途、冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール160重量部(1.35mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ8,000に達するまで反応を行い、[結晶性樹脂4−2]を得た。得られた[結晶性樹脂4−2]は、Mw7,500、融点62℃であった。
次いで、[非晶性樹脂4−1]のMEK溶液540重量部に、[結晶性樹脂4−2]320重量部をMEK320重量部に溶解させた溶液を加えて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[結晶性−非晶性ブロック樹脂4]を得た。得られた[結晶性−非晶性ブロック樹脂4]は、Mw23,000、融点61℃であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール122重量部(1.03mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ25,000に達するまで反応を行った。得られた結晶性樹脂を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)27重量部(0.16mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[結晶性樹脂前駆体B’−5]の50重量%酢酸エチル溶液を得た。得られた[結晶性樹脂のプレポリマー5]の酢酸エチル溶液10重量部をテトラヒドロフラン(THF)10重量部と混合し、これにジブチルアミン1重量部を添加して、2時間撹拌させた。得られた溶液を試料としてGPC測定を行った結果、[結晶性樹脂のプレポリマー5]のMwは54,000であった。また、前記溶液から溶媒を除去して得られた試料についてDSC測定を行った結果、[結晶性樹脂のプレポリマー5]の融点は57℃であった。
撹拌機及び温度計をセットした反応容器に、1,4−ブタンジオール45重量部(0.50mol)、1,6−ヘキサンジオール59重量部(0.50mol)、及びメチルエチルケトン(以下、MEKと記載する。)200重量部を入れた。この溶液に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)250重量部(1.00mol)を入れ、80℃で5時間反応した後、溶媒を除去して[結晶性ポリウレタン樹脂6]を得た。得られた[結晶性ポリウレタン樹脂6]は、Mw20,000、融点60℃であった。
前記[結晶性樹脂3−2の製造]において、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の添加量を82質量部とする以外は全く同様の方法にて、Mwがおよそ20,000、融点65℃の[結晶性樹脂7−2](結晶性ポリウレタン樹脂)を得た。
前記[結晶性樹脂のプレポリマー3の製造]において、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の添加量を247質量部とし、[結晶性樹脂3−2]を[結晶性樹脂7−2]とする以外は全く同様の方法にて、[結晶性プレポリマー7](変性ポリエステル樹脂)を得た。
これらの結果を表2に纏めて示す。表2中の結着樹脂のうち、酢酸エチル溶液、MEK溶液のものは、固形分部分のモノマー重量部数、モル比率を示す。
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物222重量部、ビスフェノールA PO2mol付加物129重量部、イソフタル酸166重量部、及びテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、5〜20mmHgの減圧下にて反応させ、酸価が2になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸35重量部を加え、常圧で3時間反応させ、[非結晶性樹脂8]を得た。得られた[非結晶性樹脂8]は、Mw8,000、Tg62℃であった。非結晶性樹脂の結果を表3に示す。
ビーカー内に銅フタロシアニン20部と着色剤分散剤(ソルスパーズ28000;アビシア株式会社製)4部、および酢酸エチル76部を入れ、攪拌して均一分散させた後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散して、[着色剤分散液1]を得た。[着色剤分散液1]を堀場製作所製粒子径測定装置LA−920で測定した体積平均粒径は0.3μmであった。
冷却管、温度計及び撹拌機を装備した反応容器に、パラフィンワックス(HNP−9(融点75℃)、日本精蝋社製)15質量部、及び酢酸エチル85質量部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った後、さらにウルトラビスコミル(アイメックス製)にて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒間、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕した。最後に固形分濃度が15%になるように酢酸エチルを追加して調整し、[ワックス分散液1]を得た。
温度計および撹拌機の付いた反応容器中に、[結晶性樹脂1]100部、酢酸エチル100部を入れ、50℃まで加温し攪拌して均一相を作製して[樹脂溶液1]を得た。
ビーカー内に[樹脂溶液1]45部、[結晶性プレポリマー3]18部、[ワックス分散液1]14部、および[着色剤分散液1]10部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[トナー材料液1]を得た。[トナー材料液1(油相1)]における結着樹脂比率(固形分の質量%)を表4に示す。
ついで50℃で、TK式ホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、[トナー材料液1]75部を投入し2分間撹拌した。
ついでこの混合液を撹拌棒および温度計付のコルベンに移し、55℃で濃度が0.5%以下となるまで酢酸エチルを留去し、[樹脂粒子の水性樹脂分散体1]を得た。
さらに、後洗浄工程として、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を3回行い、得られた濾過ケーキに1質量%塩酸300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。最後に得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
得られたケーキを解砕した後40℃にて22時間乾燥を行い、体積平均粒径が5.8μmの[着色樹脂粒子1]を得た。
実施例1において、[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂2]とし、[結晶性プレポリマー3]の添加量を16部とする以外は全く同様の方法にて、[着色樹脂粒子2]、[トナー2]を得た。実施例1の場合と同様、実施例2で用いた[トナー材料液2(油相2)]における結着樹脂比率を表4に示す。
実施例1において、[結晶性プレポリマー3]の添加量を15部とする以外は全く同様の方法にて、[着色樹脂粒子3]、[トナー3]を得た。同様に、この実施例3で用いた[トナー材料液3(油相3)]における結着樹脂比率を表4に示す。
実施例1において、[結晶性樹脂1]の添加量を37部、[結晶性プレポリマー3]の添加量を26部とする以外は全く同様の方法にて、[着色樹脂粒子4]、[トナー4]を得た。
同様に、この実施例4で用いた[トナー材料液4(油相4)]における結着樹脂比率を表4に示す。
実施例1において、[結晶性樹脂1]の添加量を25部、[結晶性プレポリマー3]の添加量を26部とし、併せて[非晶性樹脂8]を15部加える以外は全く同様の方法にて、[着色樹脂粒子5]、[トナー5]を得た。同様に、この実施例5で用いた[トナー材料液5(油相5)]における結着樹脂比率を表4に示す。
実施例1において、[結晶性樹脂1]の代わりに[結晶性部非晶性ブロック樹脂4]を35部、[結晶性プレポリマー3]の代わりに[結晶性プレポリマー5]を15部、併せて[非晶性樹脂8]を15部加える以外は全く同様の方法にて、[着色樹脂粒子6]、[トナー6]を得た。同様に、この実施例6で用いた[トナー材料液6(油相6)]における結着樹脂比率を表4に示す。
実施例1において、[結晶性樹脂1]の代わりに[結晶性ポリウレタン樹脂6]を35部、[結晶性プレポリマー3]の代わりに[結晶性プレポリマー5]を15部、併せて[非晶性樹脂8]を15部加える以外は全く同様の方法にて、[着色樹脂粒子7]、[トナー7]を得た。同様に、この実施例7で用いた[トナー材料液7(油相7)]における結着樹脂比率を表4に示す。
[非結晶性樹脂9の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物222質量部、ビスフェノールA PO2mol付加物129質量部、イソフタル酸150質量部、テレフタル酸40質量部、及びテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。
次いで、5〜20mmHgの減圧下にて反応させ、酸価が2になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸120質量部を加え、常圧で3時間反応させ、[非結晶性樹脂9]を得た。得られた[非結晶性樹脂9]は、Mw45,000、Tg57℃であった。
銅フタロシアニン50質量部及び[非結晶性樹脂8]50質量部を、ミキサーを用いて混合した後、2本ロールミルを用いて溶融混練した。得られた混練物を圧延冷却した後、パルペライザーを用いて粗粉砕し、着色剤マスターバッチ1を作製した。
[結晶性樹脂1]85質量部、[非結晶性樹脂9]10質量部、着色剤マスターバッチ10質量部(銅フタロシアニン5質量部相当)、パラフィンワックス(HNP−9(融点75℃)、日本精蝋社製)5質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて十分混合し、トナー材料混合物を得た。
得られたトナー材料混合物を、2軸押出式混練機(PCM30:池貝工業社製)を用いて、供給量8Kg/h、スクリュ回転数85rpm、制御温度は、供給部(F)を10℃、バレル部を120℃、ベント部(V)、ダイス部(D)を80℃にそれぞれ設定して溶融混練を行った。
得られた混練物を、冷却プレスローラーを用いて、厚さ2mmに圧延し、冷却ベルトで冷却した後、フェザーミルを用いて粗粉砕した。次に、機械式粉砕機KTM(川崎重工業社製)を用いて、体積平均粒径が10〜12μmとなるまで粉砕した後、ジェット粉砕機IDS(日本ニューマチック工業社製)を用いて、粗粉を分級しながら粉砕した。さらに、ロータ型分級機のティープレックス型分級機タイプ100ATP(ホソカワミクロン社製)を用いて、微粉を分級し、体積平均粒径が5.8μmの[着色樹脂粒子8]を得た。
得られた[着色樹脂粒子8]を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、[トナー8]を作製した。
実施例1において、[結晶性樹脂1]の添加量を30部とし、[結晶性プレポリマー3]の代わりに[結晶性プレポリマー8]を15部、併せて[非晶性樹脂8]を15部加える以外は全く同様の方法にて、[着色樹脂粒子8]、[トナー8]を得た。同様に、この実施例9で用いた[トナー材料液8(油相8)]における結着樹脂比率を表4に示す。
実施例1において、[結晶性プレポリマー3]の添加量を13部とする以外は全く同様の方法にて、[着色樹脂粒子9]、[トナー9]を得た。同様に、この比較例1で用いた[トナー材料液9(油相9)]における結着樹脂比率を表4に示す。
実施例1において、[結晶性樹脂1]の添加量を57部、[結晶性プレポリマー3]の添加量を6部とする以外は全く同様の方法にて、[着色樹脂粒子10]、[トナー10]を得た。
同様に、この比較例2で用いた[トナー材料液10(油相10)]における結着樹脂比率を表4に示す。
<耐ストレス性>
図6に示すタンデム型フルカラー画像形成装置を用いて、画像面積率0.5%のチャートを5万枚出力後、紙全面ベタ画像を出力した際の画像部における白点状にトナーが抜けた部分の有無について目視にて評価した。
判定基準は以下の通りである。
◎:画像部に白点状にトナーが抜けた部分がまったくなく、優良な状態
○:画像部に白点状にトナーが抜けた部分がごく僅かに見られる程度で、良好な状態
△:画像部に白点状にトナーが抜けた部分が見られるが、実使用上問題ないレベル
×:画像部に白点状にトナーが抜けた部分が多数見られ、実使用上問題となるレベル
評価結果は表5に示される。
(株)リコー製 IPSiO CX2500を使用し、印字率6%の所定のプリントパターンを、N/N環境下(23℃、45%)の2000枚連続複写後に現像器の規制ブレードへのトナー成分の固着状態を出力画像、及びトナー担持体を観察し、評価した。
判定基準は以下の通りである。
◎:良好(トナー担持体にスジまたはムラが発生していない)
○:良好(トナー担持体にスジまたはムラが3本以内発生しているが、画像上欠損が認められない)
△:実使用上問題のないレベル(画像上に幅1mm以下のスジまたはムラが3本以内発生している)
×:実使用上NG(画像上に幅1mm以下のスジまたはムラが4本以上発生している、または幅1mm以上のスジまたはムラが発生している)
評価結果は表5に示される。
リコー製IPSIO CX2500の定着器を用い、再生紙(リコー社製 再生紙 資源 タイプA、平滑度34s)およびギルバードランカスターボンド紙(コットン紙、平滑度18s)に4.0±1g/m2のトナー付着量で画像面積率が60%であるハーフトーン画像を作像し、定着ベルトの温度を変化させながら定着を行い、定着画像部を、クロックメータを用いて白綿布(JIS L0803 綿3号)で10回摺擦し、布に付着した汚れのID(以後スミアIDと呼ぶ)を測定した。スミアIDは、測色計(X−Rite939)で測定した。IDが0.35となった温度を定着下限温度とした。
判定基準は以下のとおりである。
◎:120℃未満
○:120℃以上130℃未満
△:130℃以上140℃未満
×:140℃以上
評価結果は表5に示される。
カラー電子写真装置(IPSIO SP C220)の定着ユニットを用いて、普通紙に1.0mg/cm2の黒ベタ未定着画像を形成し、定着温度を変えて定着した。ホットオフセットの発生する温度を測定し、前記定着下限温度との差を定着幅として評価した。
判定基準は以下のとおりである。
◎:50℃以上
○:40℃以上50℃未満
△:35℃以上40℃未満
×:35℃未満
評価結果は表5に示される。
50mLのガラス容器に各トナーを充填し、50℃湿度90%の恒温槽に24時間放置した。このトナーを24℃に冷却し、針入度試験(JISK2235−1991)により針入度(mm)を測定し、下記基準に基づいて評価した。なお、針入度の値が大きいほど耐熱保管性が優れていることを示し、5mm未満の場合には、使用上問題が発生する可能性が高い。なお、本発明においては針入度を貫入深さ(mm)で表す。
判定基準は以下のとおりである。
◎:針入度25mm以上
○:針入度15mm以上25mm未満
△:針入度5mm以上15mm未満
×:針入度5mm未満
評価結果は表5に示される。
2 作像形成部
3 帯電装置(帯電ローラ)
4 露光装置
5 現像装置
5a 現像ローラ
5b 現像剤供給ローラ
5c 規制ブレード
5d 除電シート
6 転写装置
7 クリーニング装置
10 中間転写ベルト
11 支持ローラ
12 支持ローラ
13 支持ローラ
14 一次転写ローラ
15 ベルトクリーニング装置
16 二次転写ローラ
20 給紙カセット
21 給紙ローラ
22 レジストローラ対
23 加熱定着装置
23a 加熱ローラ
23b 加圧ローラ
24 排紙ローラ
30 現像、転写ユニット
31 トナーボトル
T トナー(現像剤)
Claims (15)
- 少なくとも結着樹脂として結晶性樹脂を含むトナーであって、前記結晶性樹脂としてウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含有し、前記トナーのTHF可溶分のCHN分析を行ったときの、前記ウレタン結合及び/又はウレア結合に由来するN元素の量が1.0wt%以上であることを特徴とするトナー。
- 前記トナーのX線回析装置によって得られる回析スペクトルにおいて結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)としたときの比率(C)/((C)+(A))が0.15以上であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 前記トナーのTHF可溶分のCHN分析を行ったときの、前記ウレタン結合及び/又はウレア結合に由来するN元素の量が1.5wt%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記トナーのTHF可溶分の分子量が100,000以上の割合が7%以上であり、かつ重量平均分子量が30,000以上70,000以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
- 前記トナーの示差走査熱量計(DSC)における昇温1回目の最大吸熱ピーク温度T1と、降温時の最大発熱ピーク温度T2が以下の関係式(1)の条件を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
T1−T2≦30℃ かつT2≧30℃ ・・・関係式(1)
(但し、昇温1回目の0℃から100℃までの昇温速度を10℃/minとし、100℃から0℃までの降温速度を10℃/minとする。) - 前記トナーの示差走査熱量計(DSC)における吸熱量をΔH(T)(J/g)、前記トナーのTHF/酢酸エチルの混合溶媒(重量比で50/50)に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)における吸熱量をΔH(H)(J/g)としたとき、ΔH(H)/ΔH(T)が0.20〜1.25であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
- 前記トナーの示差走査熱量計(DSC)による昇温1回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh(1st)[℃]と、昇温2回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh(2nd)[℃]の比Tsh(2nd)/Tsh(1st)の値が0.90以上1.10以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
- 前記トナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)(Pa)が5.0×104<G’(70)<5.0×105であり、且つ、前記トナーの160℃における貯蔵弾性率G’(160)(Pa)が1.0×103<G’(160)<1.0×104であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
- 前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
- 前記結晶性樹脂として、第1の結晶性樹脂と、該第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂と、を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
- 前記第2の結晶性樹脂が末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂を伸長させてなるものである請求項10に記載のトナー。
- 前記第1の結晶性樹脂がウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂であり、前記第2の結晶性樹脂が前記第1の結晶性樹脂をさらに伸長させてなるものである請求項10または11に記載のトナー。
- 前記結晶性樹脂が、ポリエステルとポリウレタンとのブロックポリマーであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のトナー。
- 請求項1乃至13のいずれかに記載のトナーとキャリアとを含む現像剤
- 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着部材により定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置において、該現像手段が、トナー担持体と、前記担持体表面に供給されるトナーの層厚を規制するトナー規制部材を有する画像形成装置であり、前記トナーが、請求項1乃至13のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
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