JP5664615B2 - トナー、現像剤、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
そこで、結晶性樹脂を結着樹脂の主成分とするトナーにおいて、結晶性樹脂の組成、熱特性を特定の範囲にすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、結着樹脂として分子量の異なる2種の結晶性樹脂(特に結晶性ポリエステル樹脂が好ましい)を含有するトナーを特定の定着条件で用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、結着樹脂として160℃における貯蔵弾性率が異なる2種の結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナーが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
本発明のトナーは、結着樹脂を含有するトナーであって、
前記結着樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂を含有し、
前記トナーのX線回折測定によって得られる回折スペクトルにおいて、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(C)と、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(A)との合計に対する前記Cの比率〔C/(A+C)〕が、0.15以上であり、
前記トナーの示差走査熱量測定における0℃〜150℃の範囲の昇温2回目の最大吸熱ピーク温度(T1)と、降温1回目の最大発熱ピーク温度(T2)とが、下記式(1)及び式(2)を満たすことを特徴とする。
T1−T2≦30℃ 式(1)
T2≧30℃ 式(2)
本発明のトナーは、結着樹脂を少なくとも含有し、好ましくは造核剤を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記結着樹脂は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂を含有する。
前記トナーのX線回折測定によって得られる回折スペクトルにおいて、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(C)と、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(A)との合計に対する前記Cの比率〔C/(A+C)〕は、0.15以上である。
前記比率〔C/(A+C)〕は、結着樹脂中の結晶化部位の量を示す指標である。
前記トナーの示差走査熱量測定における0℃〜150℃の範囲の昇温2回目の最大吸熱ピーク温度(T1)と、降温1回目の最大発熱ピーク温度(T2)とは、下記式(1)及び式(2)を満たす。
T1−T2≦30℃ 式(1)
T2≧30℃ 式(2)
前記結着樹脂は、結晶性樹脂を少なくとも含有し、更に必要に応じて、非結晶性樹脂などのその他の成分を含有する。
前記結晶性樹脂は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂を少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
また、本発明における非結晶性樹脂は、結晶構造を有さない樹脂のことであり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有さない。前記非結晶性樹脂は、例えば、軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が1.6より大きく、熱により緩やかに軟化する性状を示す。
前記ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかと、結晶性ポリエステルユニットとを有する結晶性樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかと、結晶性ポリエステルユニットとを有する結晶性樹脂が好ましい。
また、前記プレポリマー法においては、ポリウレタンユニットとポリウレアユニットとが混在したポリウレタンウレアユニットをプレポリマーとして用いてもよい。
前記結晶性ポリエステルユニットとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。
前記ポリオールとしては、例えば、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオールなどが挙げられる。
前記スルファミン酸ジオールとしては、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物などが挙げられる。
前記炭素数3〜36の3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリンなどが挙げられる。
これらの中でも、3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
前記アルカンジカルボン酸としては、例えば、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸などが挙げられる。
前記アルケニルコハク酸としては、例えば、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などが挙げられる。
前記アルケンジカルボン酸としては、例えば、炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸などが挙げられる。
前記脂環式ジカルボン酸としては、例えば、炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸としては、例えば、ダイマー酸(2量化リノール酸)などが挙げられる。
前記ラクトン開環重合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、前記炭素数3〜12のモノラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物などが挙げられる。
前記ポリヒドロキシカルボン酸の調製方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(L体、D体、メソ体等)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間又は3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法などが挙げられるが、分子量の調整の観点から前記開環重合する方法が好ましい。
前記環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
前記ポリウレタンユニットとしては、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットなどが挙げられる。これらの中でも、前記ジオールと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットが好ましい。
前記ポリオールとしては、前記ポリエステルユニットにおいて挙げた前記ポリオールと同様のものが挙げられる。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートなどが挙げられる。
前記粗製MDIとしては、例えば、粗製ジアミノフェニルメタンのホスゲン化物、ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)などが挙げられる。前記粗製ジアミノフェニルメタンとしては、ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物、ジアミノジフェニルメタンと少量(例えば、5質量%〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物などが挙げられる。
前記ポリウレアユニットとしては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレアユニットなどが挙げられる。
前記ポリアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミンなどが挙げられる。これらの中でも炭素数2〜18の脂肪族ジアミン、炭素数6〜20の芳香族ジアミンが好ましい。また、必要により、3価以上のアミンを使用してもよい。
前記炭素数2〜6のアルキレンジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
前記炭素数1〜4のアルキル又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体としては、例えば、ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなどが挙げられる。
前記脂環又は複素環含有脂肪族ジアミンとしては、例えば、炭素数4〜15の脂環式ジアミン、炭素数4〜15の複素環式ジアミンなどが挙げられる。前記炭素数4〜15の脂環式ジアミンとしては、例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)などが挙げられる。前記炭素数4〜15の複素環式ジアミンとしては、例えば、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
前記炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミンとしては、例えば、キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなどが挙げられる。
前記非置換芳香族ジアミンとしては、例えば、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2,4’−ジフェニルメタンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミンなどが挙げられる。
前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミンとしては、例えば、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホンなどが挙げられる。
前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの核置換電子吸引基としては、例えば、ハロゲン、アルコキシ基、ニトロ基などが挙げられる。前記ハロゲンとしては、例えば、Cl、Br、I、Fなどが挙げられる。前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシなどが挙げられる。前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンとしては、例えば、メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなどが挙げられる。
前記二級アミノ基を有する芳香族ジアミンとしては、例えば、前記非置換芳香族ジアミン、前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物、前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部又は全部がメチル、エチル等の低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったものなどが挙げられる。
前記ポリアミドポリアミンとしては、例えば、ジカルボン酸と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミンとの縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミンなどが挙げられる。前記ジカルボン酸としては、例えば、ダイマー酸などが挙げられる。前記ポリアミンとしては、例えば、アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミンなどが挙げられる。
前記ポリエーテルポリアミンとしては、例えば、ポリエーテルポリオールのシアノエチル化物の水素化物などが挙げられる。前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
前記第2の結晶性樹脂の重量平均分子量としては、低温定着性と耐ホットオフセット性との両立の点から、40,000〜300,000が好ましく、50,000〜150,000がより好ましい。前記重量平均分子量が、40,000未満であると、トナーの耐ホットオフセット性が低下することがあり、300,000を超えると、特に低温での定着時にトナーが充分に溶融せず、画像の剥がれが生じ易くなり、トナーの低温定着性が低下することがある。
前記第1の結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw1)と前記第2の結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw2)との差(Mw2−Mw1)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましい。前記差が、5,000未満であると、トナーの定着幅が狭くなることがある。
前記モノオールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ドコサノール、エイコサノール、フェノール、フェノールの置換体、1−ナフトール、2−ナフトール、ベンジルアルコール、ベンジルアルコールの置換体、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、アダマンタノール、コレステロール、コレステロールの置換体などが挙げられる。
前記モノカルボン酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、2−エチルヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、トリアコンタン酸、安息香酸、安息香酸の置換体、ベンジル酸、ベンジル酸の置換体などが挙げられる。
前記モノアミンとしては、例えば、アルキルアミン、芳香族アミン、アミノ酸などが挙げられる。前記アルキルアミンとしては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミンなどが挙げられる。前記芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジンなどが挙げられる。前記アミノ酸としては、例えば、グリシン、α−アラニン、β−アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなどが挙げられる。
前記非結晶性樹脂としては、非結晶性であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体;スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリチメルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、活性水素基と反応可能な官能基を有するように変性されたこれらの樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記造核剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記造核剤は、前記結晶性樹脂の再結晶化を促進するために用いられる。前記造核剤は、前記結晶性樹脂及び前記トナーの発熱ピーク温度を上昇させる効果をもつ。なお、「発熱ピーク温度」とは、示差走査熱量測定(DSC)における発熱ピーク温度を意味し、以下においても特に断りがない限り同様とする。
前記無機結晶核剤としては、例えば、シリカ、タルク、カオリン、アルミナ、ミョウバン、酸化チタンなどが挙げられる。
前記有機結晶核剤としては、例えば、ジベンジリデンソルビトール、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール等の低級アルキルジベンジリデンソルビトール、アルミニウムベンゾエート化合物、リン酸エステル金属塩化合物、モンタン酸ナトリウム等の直鎖脂肪酸金属塩、ロジン酸部分金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸エステルなどが挙げられる。
前記リン酸エステル金属塩化合物としては、例えば、下記構造式(1)で表される化合物などが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、離型剤、帯電制御剤、外添剤などが挙げられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料などが挙げられる。これらの中でも、イエロー顔料、マゼンタ顔料、及びシアン顔料のいずれかを含有することが好ましい。
前記黒色顔料は、例えば、ブラックトナーに用いられる。前記黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト、ニグロシン染料、鉄黒などが挙げられる。
前記イエロー顔料は、例えば、イエロートナーに用いられる。前記イエロー顔料としては、例えば、シイ・アイ・ピグメントイエロー(C.I.Pigment Yellow)74、93、97、109、128、151、154、155、166、168、180、185、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエローなどが挙げられる。
前記マゼンタ顔料は、例えば、マゼンタトナーに用いられる。前記マゼンタ顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、シイ・アイ・ピグメントレッド(C.I.Pigment Red)48:2、57:1、58:2、5、31、146、147、150、176、184、269等のモノアゾ顔料などが挙げられる。また、前記モノアゾ顔料に前記キナクリドン系顔料を併用してもよい。
前記シアン顔料は、例えば、シアントナーに用いられる。前記シアン顔料としては、例えば、Cu−フタロシアニン顔料、Zn−フタロシアニン顔料、Al−フタロシアニン顔料などが挙げられる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。
前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。
前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。
前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。
前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。
これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。具体的には、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記外添剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、脂肪酸金属塩、金属酸化物、疎水化処理された酸化チタン、フルオロポリマーなどが挙げられる。
前記脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化アンチモンなどが挙げられる。
前記シリカの市販品としては、例えば、R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも、日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。
前記酸化チタンの市販品としては、例えば、P−25(日本アエロジル株式会社製)、STT−30、STT−65C−S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF−140(富士チタン工業株式会社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。
前記疎水化処理された酸化チタンの市販品としては、例えば、T−805(日本アエロジル株式会社製)、STT−30A、STT−65S−S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF−500T、TAF−1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製)、MT−100S、MT−100T(いずれも、テイカ株式会社製)、IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20,000〜80,000が好ましく、25,000〜75,000がより好ましく、30,000〜70,000が特に好ましい。前記重量平均分子量が、20,000未満であると、いくら高分子量成分が多く存在していたとしてもトナー溶融時の内部凝集力が低くなりすぎ、ホットオフセットや定着部材への紙の巻きつきを引き起こすことがあり、80,000を超えると、結着樹脂全体が高分子量すぎるため定着性が悪化し、光沢が低くなること、及び定着後の画像が外的ストレスで容易に欠落することがある。
前記トナーのTHF可溶分は、ゲル浸透クロマトグラフィー測定の分子量分布における分子量100,000以上の成分を、ピーク面積で5.0%以上含むことが好ましく、7.0%以上含むことがより好ましく、10.0%以上含むことが特に好ましい。上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25.0%以下が好ましい。
前記トナーのTHF可溶分は、ゲル浸透クロマトグラフィー測定の分子量分布における分子量250,000以上の成分を、ピーク面積で1.0%以上含むことが、トナーの耐久性の点から好ましい。
分子量100,000以上の成分の割合は、積分分子量分布曲線において、分子量100,000と曲線の交点から調べることができる。
分子量250,000以上の成分の割合は、積分分子量分布曲線において、分子量250,000と曲線の交点から調べることができる。
前記トナーのTHF可溶分のCHN分析を行った際のN元素量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3質量%〜2.0質量%が好ましく、0.9質量%〜2.0質量%がより好ましい。前記N元素量が、0.3質量%未満であると、トナーの強靭性の低下による画像形成装置内での凝集や部材汚染、トナー溶融状態での粘弾性の低下による高温オフセットの発生の不具合が生じる可能性があり、2.0質量%を超えると、トナーの溶融状態での粘弾性が高くなりすぎることによる定着性の悪化や光沢の低下、帯電性の悪化などが発生する可能性がある。
前記N元素量は、樹脂中のウレタン結合、ウレア結合に由来するN元素の量である。
前記トナーのX線回折測定によって得られる回折スペクトルにおいて、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(C)と、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(A)との合計に対する前記Cの比率〔C/(A+C)〕は、0.15以上であり、0.20以上が好ましい。上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.50以下が好ましく、0.30以下がより好ましい。前記比率〔C/(A+C)〕が、0.15未満であると、結晶性樹脂の結晶化が不十分であり、トナーの耐熱保存性、定着後のトナー画像の耐ブロッキング性が悪化する。前記比率〔C/(A+C)〕が、前記より好ましい範囲内であると、低温定着性と耐熱保存性との両立の点で有利である。
測定に使用するキャピラリーは、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmを使用する。試料は、このキャピラリー管の上部まで詰めて測定する。また、サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回とする。測定の詳細条件を以下に示す。
管電流:40mA
管電圧:40kV
ゴニオメーター2θ軸:20.0000°
ゴニオメーターΩ軸:0.0000°
ゴニオメーターφ軸:0.0000°
検出器距離:15cm(広角測定)
測定範囲:3.2≦2θ(゜)≦37.2
測定時間:600sec
入射光学系には、直径1mmのピンホールを持つコリメーターを用いる。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換する。
得られたX線回折測定結果を基に、前記比率〔C/(A+C)〕を算出する方法を、以下に説明する。X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を図1A及び図1Bに示す。横軸は2θ、縦軸はX線回折強度であり、両方とも線形軸である。図1AにおけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が見られる。ここで、前記主要なピークは、結着樹脂の結晶構造に由来するものであり、ハローは非晶構造に由来するものである。
この2の主要なピークとハローをガウス関数、
fp1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1)2/(2cp1 2)}(式A(1))
fp2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2)2/(2cp2 2)}(式A(2))
fh(2θ)=ahexp{−(2θ−bh)2/(2ch 2)} (式A(3))
(fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)はそれぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数を表す。)で表し、この3つの関数の和
f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ) (式A(4))
をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図1Bに図示する)とし、最小二乗法によるフィッティングを行う。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図1Aの例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して2つの主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致させて得られた値を設定する。フィッティングは、例えば、Microsoft社製Excel2003のソルバーを利用して行うことができる。
フィッティング後の2つの主要なピーク(P1、P2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)、及びハローに相当するガウス関数fh(2θ)のそれぞれについての積分面積(SP1、Sp2、Sh)から、(Sp1+Sp2)を(C)、(Sh)を(A)としたとき、結晶化部位の量を示す指標である比率〔C/(A+C)〕を算出することができる。
前記トナーの示差走査熱量測定における吸熱量〔ΔH(T)、(J/g)〕と、前記トナーのテトラヒドロフランと酢酸エチルとの混合溶液〔テトラヒドロフラン/酢酸エチル=50/50(質量比)〕に対する不溶分の示差走査熱量測定における吸熱量〔ΔH(H)、(J/g)〕との比〔ΔH(H)/ΔH(T)〕としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.15以上が好ましく、0.20〜1.25がより好ましい。
高分子量の成分としては、結着樹脂全体と樹脂構造が近いことが好ましく、結着樹脂が結晶性を有するのであれば、高分子量の成分も同様に結晶性を有することが好ましい。一方、高分子量の成分が他の樹脂成分と構造が大きく異なる場合、高分子の成分は容易に層分離し海島状態となるためトナー全体への粘弾性や凝集力の向上への寄与が期待できないことがある。
前記比〔ΔH(H)/ΔH(T)〕が、前記より好ましい範囲内であると、トナーの耐熱保存性の点で有利である。
前記トナーの示差走査熱量測定における前記トナーの昇温2回目の最大吸熱ピーク温度(T1)及び融解熱量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、低温定着性と耐熱保存性とをより高いレベルで両立し、耐ホットオフセット性も優れる点で、昇温2回目の最大吸熱ピーク温度(T1)が、50℃〜70℃であり、かつ、昇温2回目の融解熱量が、30J/g〜75J/gであることが好ましい。
前記最大吸熱ピーク温度(T1)が、50℃未満であると、高温環境下でトナーのブロッキングが発生しやすくなることがあり、70℃を超えると、低温定着性が発現し難くなることがある。
前記最大吸熱ピーク温度(T1)は、55℃〜68℃がより好ましく、58℃〜65℃が特に好ましい。
前記融解熱量が、30J/g未満であると、トナー中における結晶構造を有する部位が少なくなり、シャープメルト性が低下し、低温定着性と耐熱保存性とのバランスが得難くなることがあり、75J/gを超えると、トナーを溶融させて定着するために必要なエネルギーが大きくなり、定着装置によっては定着性が悪化してしまうことがある。
前記融解熱量は、45J/g〜70J/gがより好ましく、50J/g〜60J/gが特に好ましい。
前記トナーの示差走査熱量測定における0℃〜150℃の範囲の昇温2回目の最大吸熱ピーク温度(T1)と、降温1回目の最大発熱ピーク温度(T2)とは、下記式(1)及び式(2)を満たす。
T1−T2≦30℃ 式(1)
T2≧30℃ 式(2)
前記(T1−T2)が、30℃を超えると、加熱圧着定着時に画像上の結晶性樹脂が、結晶化によって固化されていない状態で画像が出力されてしまい、印刷物がスタックされた際に、画像と紙が融着して定着画像の剥離等が発生する。
前記T2が、30℃未満であると、画像が室温付近で融解した状態で存在することとなり、画像の耐ブロッキング性、及びストレス安定性が十分に得られない。
具体的には、下記手順により測定できる。
以下の測定条件で測定する。得られるDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラム『吸熱ピーク温度』を用いて、二回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温二回目における最大吸熱ピーク温度(T1)、融点、吸熱量(融解熱量)を求めることができる。また同じく『吸熱ピーク温度』を用いて、降温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の最大発熱ピーク温度(T2)を求めることができる。
〔測定条件〕
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50mL/min)
温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:−20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
ウレア結合は少量であってもトナーの強靭性や定着時のオフセット耐性向上効果が期待できることから、前記トナーのTHF可溶分が、ウレア結合を有することが好ましい。
トナーのTHF可溶分のウレア結合の存在の確認は、13C NMRによって行うことができる。具体的には以下のようにして分析を行う。分析するサンプル2gを、濃度が0.1mol/Lである水酸化カリウムのメタノール溶液200mLに浸し50℃で24hrおいた後、溶液を除去し、残渣物をさらにイオン交換水でpHが中性になるまで洗浄し、残った固体を乾燥する。乾燥後のサンプルを、ジメチルアセトアミド(DMAc)と重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)の混合溶媒(体積比9:1)に、100mg/0.5mLの濃度で加え、70℃で12時間〜24時間溶解させた後50℃にし、13C NMR測定を行う。なお、測定周波数は、例えば、125.77MHz、1H 60°パルスは5.5μs、基準物質はテトラメチルシラン(TMS)を0.0ppmとする。
サンプルにおけるウレア結合の存在は、標品となるポリウレアのウレア結合部位のカルボニル炭素に由来するシグナルの化学シフトにシグナルが見られるかどうかで確認を行う。カルボニル炭素の化学シフトは一般に150ppm〜160ppmに見られる。ポリウレアの一例として、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と水との反応物であるポリウレアのカルボニル炭素付近の13C NMRスペクトルを図2に示す。153.27ppmにカルボニル炭素に由来するシグナルが見られる。
前記トナーのTHF可溶分は、ウレタン結合を有することが好ましい。前記ウレタン結合は、13C NMRを用い、前記ウレア結合の確認方法と同様にして確認できる。
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、混練粉砕法、水系媒体中にてトナー粒子を造粒する、いわゆるケミカル工法などが挙げられる。これらの中でも、混練による分子切断が起こらない点、均一混練が困難な高分子量樹脂と低分子量樹脂との混練を回避できる点から、結着樹脂の混練を伴わない製造方法である、ケミカル工法が好ましい。
<<混練粉砕法>>
前記混練粉砕法は、例えば、少なくとも結着樹脂を含有するトナー材料を溶融混練したものを、粉砕し、分級することにより、前記トナーの母体粒子を製造する方法である。
前記溶融混練は、前記トナー材料を混合して得られた混合物を溶融混練機に仕込んで行う。前記溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機、ロールミルによるバッチ式混練機などが挙げられる。具体的には、例えば、神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダーなどが挙げられる。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
前記ケミカル工法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも前記結着樹脂を含有するトナー材料液を、水系媒体中に分散乃至乳化して前記トナーの母体粒子を造粒する方法が好ましい。
また、前記ケミカル工法としては、少なくとも前記結着樹脂及び前記結着樹脂前駆体の少なくともいずれかを含有するトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散してなる油相(トナー材料液)を、水系媒体中に分散乃至乳化して前記トナーの母体粒子を造粒する方法が好ましい。この場合、水系媒体中で、前記結着樹脂前駆体(活性水素基と反応可能な官能基を有する樹脂前駆体)と、活性水素基含有化合物とが反応する。
前記活性水素基含有化合物としては、水、ポリアミンなどが挙げられる。前記ポリアミンには、ケトンでブロックしたアミン化合物(ケチミン化合物)も含まれる。前記ポリアミンとしては、例えば、前記ポリウレアユニットの説明で例示した前述のものが挙げられる。
前記結着樹脂前駆体としては、例えば、末端にイソシアネート基を有する結晶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。
前記溶解懸濁法やエステル伸長法では、結晶性樹脂を容易に造粒することが可能である。
前記結着樹脂や前記結着樹脂前駆体を溶解乃至分散させる場合に用いる有機溶剤としては、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶媒除去が容易になる点から好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
前記水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶媒を併用することもできる。前記混和可能な溶媒としては、例えば、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)などが挙げられる。
前記有機樹脂微粒子を形成する樹脂としては、水性分散体を形成しうる樹脂であれば、いかなる樹脂であっても使用でき、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよいが、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすいという点から、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを含有する。前記現像剤は、一成分現像剤として使用してもよく、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。中でも、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材としては、磁性を有する粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケルが好ましい。また、近年著しく進む環境面への適応性を配慮した場合、前記フェライトとしては、従来の銅−亜鉛系フェライトではなく、マンガンフェライト、マンガン−マグネシウムフェライト、マンガン−ストロンチウムフェライト、マンガン−マグネシウム−ストロンチウムフェライト、リチウム系フェライトが好ましい。
前記樹脂層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ストレートシリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR206(アルキド変性シリコーン樹脂)、KR5208(アクリル変性シリコーン樹脂)、ES1001N(エポキシ変性シリコーン樹脂)、KR305(ウレタン変性シリコーン樹脂);東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2115(エポキシ変性シリコーン樹脂)、SR2110(アルキド変性シリコーン樹脂)などが挙げられる。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体(以下、「感光体」と称することがある。)と、静電潜像形成手段と、現像手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明に関する画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記画像形成方法は、前記画像形成装置により好適に行うことができ、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により好適に行うことができ、前記現像工程は、前記現像手段により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
前記静電潜像担持体の材質、構造、大きさとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコンが好ましい。
前記静電潜像形成手段としては、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光部材とを少なくとも有する手段などが挙げられる。
前記静電潜像形成工程としては、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段を用いて行うことができる。
前記帯電部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器などが挙げられる。
前記帯電は、例えば、前記帯電部材を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電部材として前記磁気ブラシを用いる場合、該磁気ブラシとしては、例えば、Zn−Cuフェライト等の各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。
前記帯電部材として前記ファーブラシを用いる場合、該ファーブラシの材質としては、例えば、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電部材とすることができる。
前記帯電部材としては、前記接触式の帯電部材に限定されるものではないが、帯電部材から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触式の帯電部材を用いることが好ましい。
前記露光部材としては、前記帯電部材により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光部材などが挙げられる。
前記露光部材に用いられる光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般などが挙げられる。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
前記露光は、例えば、前記露光部材を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記現像手段としては、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記現像工程としては、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段としては、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に前記トナーを含む現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する現像装置が好ましい。
前記現像手段内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記その他の手段としては、例えば、転写手段、定着手段、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段などが挙げられる。
前記その他の工程としては、例えば、転写工程、定着工程、クリーニング工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程などが挙げられる。
前記転写手段としては、可視像を記録媒体に転写する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
前記転写工程としては、可視像を記録媒体に転写する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。
前記転写工程は、例えば、前記可視像を、転写帯電器を用いて前記感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。
ここで、前記記録媒体上に二次転写される画像が複数色のトナーからなるカラー画像である場合に、前記転写手段により、前記中間転写体上に各色のトナーを順次重ね合わせて当該中間転写体上に画像を形成し、前記中間転写手段により、当該中間転写体上の画像を前記記録媒体上に一括で二次転写する構成とすることができる。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルトなどが好適に挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
前記定着手段としては、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧部材が好ましい。前記加熱加圧部材としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せなどが挙げられる。
前記定着工程としては、前記記録媒体に転写された可視像を定着させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着工程は、前記定着手段により行うことができる。
前記加熱加圧部材における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記クリーニング手段としては、前記感光体上に残留する前記トナーを除去できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナなどが挙げられる。
前記クリーニング工程としては、前記感光体上に残留する前記トナーを除去できる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記クリーニング手段により行うことができる。
前記除電手段としては、前記感光体に対し除電バイアスを印加して除電する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電ランプなどが挙げられる。
前記除電工程としては、前記感光体に対し除電バイアスを印加して除電する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記除電手段により行うことができる。
前記リサイクル手段としては、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像装置にリサイクルさせる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の搬送手段などが挙げられる。
前記リサイクル工程としては、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像装置にリサイクルさせる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記リサイクル手段により行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器などが挙げられる。
前記制御工程としては、前記各工程の動きを制御できる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記制御手段により行うことができる。
図3に示す画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図3中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、前記露光部材である露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には前記定着手段である定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、タンデム画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
実施例における各種測定方法を以下に示す。結果は表2−1、及び表2−2に示す。
トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分は、トナー30mgをテトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬株式会社製)20mLに投入し1時間攪拌後、0.2μmフィルターで濾過して得た。
測定装置HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムはTSKgel SuperHZM−Hを3本連結して使用した。測定は以下の方法で行った。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分0.35mLの流速で流し、試料濃度として0.05質量%〜0.6質量%に調製したトナー及び樹脂のテトラヒドロフラン(THF)試料溶液を10μL注入して測定した。重量平均分子量Mw、及び分子量分布の測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては昭和電工社製ShowdexSTANDARDシリーズのMpが6540000、3570000、651000、251000、110000、45000、19300、6700、2800、580のもの及びトルエンを使用し、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
分子量100,000以上の成分の割合は、積分分子量分布曲線において、分子量100,000と曲線の交点から調べた。
分子量250,000以上の成分の割合は、積分分子量分布曲線において、分子量250,000と曲線の交点から調べた。
参考までに、トナーの積分分子量分布曲線の一例を図5に示す。
前記N元素量は、以下の方法により求めた。
測定試料には、前述の調製方法により得られたトナーのTHF可溶分を用いた。
vario MICRO cube(Elementar社製)を使用し、燃焼炉950℃、還元炉550℃、ヘリウム流量200mL/min、酸素流量25mL/min〜30mL/minの条件でCHN同時測定を行い、2回測定した値の平均値からN元素量を求めた。なお、本測定方法でN元素量が0.5質量%未満であった場合は、さらに微量窒素分析装置ND−100型(三菱化学株式会社製)により測定を行った。電気炉温度は(横型反応炉)熱分解部分800℃、触媒部分900℃、測定条件は、メインO2流量300mL/min、O2流量300mL/min、Ar流量400mL/min、感度Lowとし、ピリジン標準液で作成した検量線をともに定量を行った。
前記結晶構造量〔C/(A+C)〕は、X線回折測定により測定した。その方法を以下に示す。
測定試料には、トナーを用いた。
X線回折測定は、2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS/Bruker社製)を用いて測定した。
測定に使用するキャピラリーは、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmを使用した。試料は、このキャピラリー管の上部まで詰めて測定した。また、サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回とした。測定の詳細条件を以下に示す。
管電流:40mA
管電圧:40kV
ゴニオメーター2θ軸:20.0000°
ゴニオメーターΩ軸:0.0000°
ゴニオメーターφ軸:0.0000°
検出器距離:15cm(広角測定)
測定範囲:3.2≦2θ(゜)≦37.2
測定時間:600sec
入射光学系には、直径1mmのピンホールを持つコリメーターを用いた。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換した。
得られたX線回折測定結果を基に、前記比率〔C/(A+C)〕を算出する方法を、以下に説明する。X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を図1A及び図1Bに示す。横軸は2θ、縦軸はX線回折強度であり、両方とも線形軸である。図1AにおけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が見られる。ここで、前記主要なピークは、結着樹脂の結晶構造に由来するものであり、ハローは非晶構造に由来するものである。
この2の主要なピークとハローをガウス関数、
fp1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1)2/(2cp1 2)}(式A(1))
fp2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2)2/(2cp2 2)}(式A(2))
fh(2θ)=ahexp{−(2θ−bh)2/(2ch 2)} (式A(3))
(fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)はそれぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数を表す。)で表し、この3つの関数の和
f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ) (式A(4))
をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図1Bに図示する)とし、最小二乗法によるフィッティングを行う。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図1Aの例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して2つの主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致させて得られた値を設定した。フィッティングは、Microsoft社製Excel2003のソルバーを利用した。
フィッティング後の2つの主要なピーク(P1、P2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)、及びハローに相当するガウス関数fh(2θ)のそれぞれについての積分面積(SP1、Sp2、Sh)から、(Sp1+Sp2)を(C)、(Sh)を(A)としたとき、結晶化部位の量を示す指標である比率〔C/(A+C)〕を算出することができる。
トナーのTHF可溶分のウレア結合の存在の確認は、13C NMRによって行った。具体的には以下のようにして分析を行う。
分析するサンプル(トナーのTHF可溶分)2gを、濃度が0.1mol/Lである水酸化カリウムのメタノール溶液200mLに浸し50℃で24時間置いた後、溶液を除去し、残渣物をさらにイオン交換水でpHが中性になるまで洗浄し、残った固体を乾燥した。乾燥後のサンプルを、ジメチルアセトアミド(DMAc)と重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)の混合溶媒(体積比9:1)に、100mg/0.5mLの濃度で加え、70℃で12時間〜24時間溶解させた後50℃にし、13C NMR測定を行った。なお、測定周波数は、125.77MHz、1H 60°パルスは5.5μs、基準物質はテトラメチルシラン(TMS)を0.0ppmとした。
サンプルにおけるウレア結合の存在は、標品となるポリウレアのウレア結合部位のカルボニル炭素に由来するシグナルの化学シフトにシグナルが見られるかどうかで確認を行った。カルボニル炭素の化学シフトは一般に150ppm〜160ppmに見られる。ポリウレアの一例として、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と水との反応物であるポリウレアのカルボニル炭素付近の13C NMRスペクトルを図2に示す。153.27ppmにカルボニル炭素に由来するシグナルが見られる。
トナーのTHF可溶分のウレタン結合の存在の確認についても、同様にして行った。
融解熱の最大ピーク温度及び前記融解熱量は、以下の方法により測定した。
示差走査熱量測定における0℃〜150℃の範囲の昇温2回目の最大吸熱ピーク温度(T1)と、降温1回目の最大発熱ピーク温度(T2)とは、以下の方法により測定した。
具体的には、下記手順により測定した。
以下の測定条件で測定した。得られるDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラム『吸熱ピーク温度』を用いて、二回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温二回目における最大吸熱ピーク温度(T1)、吸熱量(融解熱量)を求めた。また同じく『吸熱ピーク温度』を用いて、降温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の最大発熱ピーク温度(T2)を求めた。
〔測定条件〕
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50mL/min)
温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:−20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
<結晶性樹脂A1の合成>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸241部、アジピン酸31部、1,4−ブタンジオール164部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.75部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで225℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量(Mw)がおよそ6,000に達するまで反応を行い、結晶性樹脂A’1を得た。
得られた結晶性樹脂A’1 218部を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、そこへ、酢酸エチル250部、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)8.6部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ22,000、融点が62℃の[結晶性樹脂A1]を得た。
<結晶性樹脂A2の合成>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸212部、1,3−プロパンジオール88部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.75部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで225℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ8,000に達するまで反応を行い、結晶性樹脂A’2を得た。
得られた結晶性樹脂A’2 218部を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、そこへ、酢酸エチル250部、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)8.6部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ24,000、融点が56℃の[結晶性樹脂A2]を得た。
<結晶性樹脂A3の合成>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸241部、1,4−ブタンジオール160部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.75部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで225℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ14,000、融点が68℃の[結晶性樹脂A3]を得た。
<結晶性樹脂A4の合成>
製造例2と同様にして得られた結晶性樹脂A’2 218部を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、そこへ、酢酸エチル250部、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)12.6部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ74,000、融点が57℃の[結晶性樹脂A4]を得た。
<非晶性樹脂の合成>
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物75.7部、ジブチルスズオキシド0.2部、アジピン酸3.8部、及びイソフタル酸21.0部を投入し常圧下、230℃で4時間反応させた後に10mmHg〜15mmHgの減圧下、5時間反応させ、[非晶性ポリエステル樹脂1]を得た。
<樹脂微粒子の合成>
撹拌棒、及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業株式会社製)16部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分間で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。続いて、加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[樹脂微粒子分散液]を得た。[樹脂微粒子分散液]の体積平均粒径(株式会社堀場製作所製のLA−920で測定)は、38nm、重量平均分子量は420,000、Tgは63℃であった。
<マスターバッチの調製>
水30部、及びカーボンブラック(「Printex35」;デグサ社製、DBP吸油量=42mL/100g、pH=9.5)100部、[非晶性ポリエステル樹脂1]100部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて混合した。該混合物を二本ロールで150℃にて30分混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、[マスターバッチ]を調製した。
冷却管、温度計、及び撹拌機を装備した反応容器に、パラフィンワックス(日本精蝋株式会社製、HNP−9、融点75℃)20部、及び酢酸エチル80部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った後、更にウルトラビスコミル(アイメックス社製)にて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕し、[ワックス分散液]を得た。
温度計、及び攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A1]100部、及び酢酸エチル100部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、更に[ワックス分散液]20部、[マスターバッチ]14部、及び[造核剤](ADEKA社製、アデカスタブNA−11、融点400℃、リン酸エステル金属塩化合物)1.1部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相]を得た。
水660部、[樹脂微粒子分散液]25部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%の水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業株式会社製)25部、及び酢酸エチル60部を混合撹拌し、乳白色の[水系媒体]を得た。
[水系媒体]150部を容器に入れ、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用い、回転数12,000rpmで攪拌し、これに[油相]100質量部を添加し、10分間混合して乳化乃至分散液を調製した。これを[乳化スラリー]とする。
脱気用配管、攪拌機、及び温度計をセットしたフラスコに、[乳化スラリー]100部を仕込み、攪拌周速20m/分間で攪拌しながら30℃にて12時間、減圧下で脱溶剤し[脱溶剤スラリー]を得た。
[脱溶剤スラリー]全量を、減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーで混合、再分散(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を3回行い、再分散したスラリーの伝導度が0.1μS/cm以上且つ10μS/cm以下になったところで[洗浄スラリー]を得た。
得られた濾過ケーキを順風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmのメッシュで篩い、[トナー母体粒子a]を得た。
[トナー母体粒子a]100部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体0.8部とをヘンシェルミキサーにて混合し、[トナーa]を得た。
トルエン100部に、シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン)100部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5部、及びカーボンブラック10部を添加し、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。流動床型コーティング装置を用いて、平均粒径50μmの球状マグネタイト1,000部の表面に樹脂層塗布液を塗布して、[キャリア]を作製した。
ボールミルを用いて[トナーa]5部と[キャリア]95部とを混合し、現像剤を作製した。
<低温定着性、及び耐高温オフセット性>
定着ローラとして、テフロン(登録商標)ローラを使用した複写機MF2200(株式会社リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、タイプ6200紙(株式会社リコー社製)に複写テストを行った。具体的には、定着温度を変化させてコールドオフセット温度(低温定着性、定着下限温度)及び高温オフセット温度(ホットオフセット温度、定着上限温度)を求めた。
定着下限温度の評価条件は、紙送りの線速度を120mm/秒間〜150mm/秒間、面圧を1.2kgf/cm2、ニップ幅を3mmとした。
また、定着上限温度の評価条件は、紙送りの線速度を50mm/秒間、面圧を2.0kgf/cm2、ニップ幅を4.5mmとした。
定着下限温度及び定着上限温度について、以下の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
〔定着上限温度の評価基準〕
○:定着上限温度が180℃以上
△:定着上限温度が170℃以上180℃未満
×:定着上限温度が170℃未満
〔定着下限温度の評価基準〕
○:定着下限温度が110℃未満
△:定着下限温度が110℃以上130℃未満
×:定着下限温度が130℃以上
50mLのガラス容器にトナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した後、24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)により、針入度を測定し、下記基準により耐熱保存性を評価した。
なお、針入度が大きい程、耐熱保存性が優れていることを意味し、針入度が5mm未満であるもの(×)は、使用上、問題が発生する可能性が高い。
〔評価基準〕
○:針入度10mm以上
△:針入度5mm以上10mm未満
×:針入度5mm未満
定着ローラとして、テフロン(登録商標)ローラを使用した複写機MF2200(株式会社リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、タイプ6200紙(株式会社リコー社製)に複写テストを行った。具体的には、低温定着性の評価の際に求めた定着下限温度+20℃に定着温度を設定し、紙送りの線速度を120mm/秒間〜150mm/秒間、面圧を1.2kgf/cm2、ニップ幅を3mmとした。得られた定着画像と白紙を重ね合わせ、金属板で挟み込み、10kPaの圧力がかかるよう荷重を加えて、50℃24時間保管した後、画像と白紙を引きはがしブロッキング性の判定を行った。
なお、画像ブロッキング性の評価基準は以下の通りとした。尚、×は実用上問題が生じる。
〔評価基準〕
○:画像の剥離が全く見られず、引きはがし時に音が発生しない
△:画像の剥離は見られないが、引きはがし時に音が発生する
×:画像と白紙が接着しており、引きはがす際に画像が大きく欠損する
定着ローラとして、テフロン(登録商標)ローラを使用した複写機MF2200(株式会社リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、タイプ6200紙(株式会社リコー社製)に複写テストを行った。具体的には、低温定着性の評価の際に求めた定着下限温度+20℃に定着温度を設定し、紙送りの線速度を120mm/秒間〜150mm/秒間、面圧を1.2kgf/cm2、ニップ幅を3mmとした。複写テスト後の画像を光沢度計VG−7000(日本電色株式会社製)で60度光沢を計測した。
〔評価基準〕
○:30%以上
△:20%以上30%未満
×:20%未満
実施例1の油相の調製において、[造核剤]をADEKA社製 アデカスタブNA−27(融点230℃、リン酸エステル系化合物と有機化合物との複合体)に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーbを作製した。得られたトナーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例1の油相の調製において、[造核剤]をADEKA社製 アデカスタブNA−5(融点350℃、含窒素化合物)に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーcを作製した。
得られたトナーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例1の油相の調製において、[造核剤]の添加量を0.05部に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーdを作製した。
得られたトナーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例1の油相の調製において、[造核剤]の添加量を6.42部に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーeを作製した。
得られたトナーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例1の油相の調製において、[造核剤]をラウリン酸ベヘニル(融点52℃)に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーfを作製した。
得られたトナーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例1の油相の調製において、[結晶性樹脂A1]の添加量を85質量部に変更し、新たに[結晶性樹脂A4]を15質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、トナーgを作製した。
得られたトナーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例1の油相の調製において、[結晶性樹脂A1]を[結晶性樹脂A3]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーhを作製した。
得られたトナーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例1の油相の調製において、[結晶性樹脂A1]の添加量を50部に変更し、新たに[非晶性ポリエステル樹脂1]を50部添加した以外は、実施例1と同様にして、トナーiを作製した。
得られたトナーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例1の油相の調製において、[結晶性樹脂A1]を[結晶性樹脂A2]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーjを作製した。
得られたトナーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
比較例3の油相の調製において、[造核剤]を添加しなかった以外は、比較例3と同様にして、トナーkを作製した。
得られたトナーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
<1> 結着樹脂を含有するトナーであって、
前記結着樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂を含有し、
前記トナーのX線回折測定によって得られる回折スペクトルにおいて、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(C)と、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(A)との合計に対する前記Cの比率〔C/(A+C)〕が、0.15以上であり、
前記トナーの示差走査熱量測定における0℃〜150℃の範囲の昇温2回目の最大吸熱ピーク温度(T1)と、降温1回目の最大発熱ピーク温度(T2)とが、下記式(1)及び式(2)を満たすことを特徴とするトナーである。
T1−T2≦30℃ 式(1)
T2≧30℃ 式(2)
<2> 造核剤を含有する前記<1>に記載のトナーである。
<3> 造核剤の含有量が、結着樹脂100質量部に対して0.10質量部〜5.0質量部である前記<2>に記載のトナーである。
<4> 造核剤が、リン酸エステル金属塩化合物、リン酸エステル系化合物と有機化合物との複合体、及び含窒素化合物の少なくともいずれかである前記<2>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかと、結晶性ポリエステルユニットとを有する樹脂を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーである。
<6> トナーのテトラヒドロフラン可溶分が、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定される分子量分布において、分子量100,000以上の成分を、ピーク面積で5.0%以上含む前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーである。
<7> トナーのテトラヒドロフラン可溶分が、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定される分子量分布において、分子量250,000以上の成分を、ピーク面積で1.0%以上含む前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーである。
<8> トナーのテトラヒドロフラン可溶分のCHN分析を行った際のN元素量が、0.9質量%〜2.0質量%である前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーである。
<9> トナーの示差走査熱量測定における昇温2回目の最大吸熱ピーク温度(T1)が、50℃〜70℃であり、かつ昇温2回目の融解熱量が、30J/g〜75J/gである前記<1>から<8>のいずれかに記載のトナーである。
<10> ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかと、結晶性ポリエステルユニットとを有する結晶性樹脂が、第1の結晶性樹脂と、該第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量が大きい第2の結晶性樹脂を含有する前記<1>から<9>のいずれかに記載のトナーである。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載のトナーを含有することを特徴とする現像剤である。
<12> 静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段とを有し、
前記トナーが、前記<1>から<10>のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置である。
61 現像装置
Claims (12)
- 結着樹脂を含有するトナーであって、
前記結着樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂を含有し、
前記トナーのX線回折測定によって得られる回折スペクトルにおいて、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(C)と、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(A)との合計に対する前記Cの比率〔C/(A+C)〕が、0.15以上であり、
前記トナーの示差走査熱量測定における0℃〜150℃の範囲の昇温2回目の最大吸熱ピーク温度(T1)と、降温1回目の最大発熱ピーク温度(T2)とが、下記式(1)及び式(2)を満たすことを特徴とするトナー。
T1−T2≦30℃ 式(1)
T2≧30℃ 式(2) - 造核剤を含有する請求項1に記載のトナー。
- 造核剤の含有量が、結着樹脂100質量部に対して0.10質量部〜5.0質量部である請求項2に記載のトナー。
- 造核剤が、リン酸エステル金属塩化合物、リン酸エステル系化合物と有機化合物との複合体、及び含窒素化合物の少なくともいずれかである請求項2から3のいずれかに記載のトナー。
- ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかと、結晶性ポリエステルユニットとを有する樹脂を含有する請求項1から4のいずれかに記載のトナー。
- トナーのテトラヒドロフラン可溶分が、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定される分子量分布において、分子量100,000以上の成分を、ピーク面積で5.0%以上含む請求項1から5のいずれかに記載のトナー。
- トナーのテトラヒドロフラン可溶分が、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定される分子量分布において、分子量250,000以上の成分を、ピーク面積で1.0%以上含む請求項1から6のいずれかに記載のトナー。
- トナーのテトラヒドロフラン可溶分のCHN分析を行った際のN元素量が、0.9質量%〜2.0質量%である請求項1から7のいずれかに記載のトナー。
- トナーの示差走査熱量測定における昇温2回目の最大吸熱ピーク温度(T1)が、50℃〜70℃であり、かつ昇温2回目の融解熱量が、30J/g〜75J/gである請求項1から8のいずれかに記載のトナー。
- ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかと、結晶性ポリエステルユニットとを有する結晶性樹脂が、第1の結晶性樹脂と、該第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量が大きい第2の結晶性樹脂を含有する請求項1から9のいずれかに記載のトナー。
- 請求項1から10のいずれかに記載のトナーを含有することを特徴とする現像剤。
- 静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段とを有し、
前記トナーが、請求項1から10のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
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