JP2014092605A - 電子写真用トナー、二成分現像剤、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真用トナー、二成分現像剤、及び画像形成装置 Download PDF

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竜也 森田
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雅英 山田
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聖之 関口
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啓司 真壁
Kosuke NAGATA
幸介 永田
Toyoshi Sawada
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Abstract

【課題】本発明は、結着樹脂に結晶性樹脂を使用するトナーにおいて、低帯電とトナーの耐ストレス性の不足による帯電量の経時低下を防止し、高い画質を出力できる電子写真用トナーを提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも結着樹脂と着色剤とを含む電子写真用トナーであって、前記結着樹脂として結晶性樹脂を含み、前記トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/((C)+(A))が、0.10以上であり、前記トナーの体積固有抵抗R(Ω・cm)の常用対数値LogRが9.5〜10.7であり、前記トナーの現像剤中の帯電量の絶対値が20〜50μC/gであることを特徴とする電子写真用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真用トナー、並びに該トナーを用いた二成分現像剤、及び画像形成装置に関する。
従来から、電子写真方式の画像形成装置等において、電気的又は磁気的に形成された潜像は、電子写真用トナー(以下、単に「トナー」と称することもある)によって顕像化されている。例えば、電子写真法では、感光体上に静電荷像(潜像)を形成し、次いで、該潜像をトナーにより現像して、トナー画像を形成している。トナー画像は、通常、紙等の転写材上に転写され、次いで、紙等の転写材上に定着される。トナー像を転写紙上に定着する定着工程においては、そのエネルギー効率の良さから、加熱ローラ定着方式や加熱ベルト定着方式といった熱定着方式が広く一般に用いられている。
近年では、画像形成装置の高速化、省エネルギー化に対する市場からの要求は益々大きくなり、低温定着性に優れ、高品位な画像を提供できるトナーが求められている。トナーの低温定着性を達成するためには、トナーの結着樹脂の軟化温度を低くする必要があるが、結着樹脂の軟化温度が低いと、定着時にトナー像の一部が定着部材の表面に付着し、これがコピー用紙上に転移する、いわゆるオフセット(以下、ホットオフセットとも呼ぶ)が発生しやすくなる。また、トナーの耐熱保存性が低下し、特に高温環境下においてトナー粒子同士が融着する、いわゆるブロッキングが発生する。その他に、現像器内においてもトナーが現像器内部やキャリアに融着して汚染する問題や、トナーが感光体表面にフィルミングしやすくなる問題があった。
これらの問題を解決できる技術として、トナーの結着樹脂に結晶性樹脂を用いることが知られている。即ち、結晶性樹脂は、樹脂の融点で急激に軟化することができ、融点以下における耐熱保存性を担保しながら、トナーの軟化温度を融点付近にまで下げることが可能である。したがって、低温定着性と耐熱保存性を両立することができる。
結晶性樹脂を用いたトナーとして、例えば、結晶性ポリエステルをジイソシアネートで伸長させた結晶性樹脂を結着樹脂に用いたトナーが開示されている(特許文献1及び2参照)。
また、スルホン酸基を含む不飽和結合による架橋構造を有する結晶性樹脂を用いたトナーが提案されている(特許文献3参照)。このトナーは、それまでの従来技術に較べて耐ホットオフセット性を改善することができている。また、軟化温度と融解熱ピーク温度の比率と粘弾特性を規定し、低温定着性と耐熱保存性に優れた樹脂粒子の技術が開示されている(特許文献4参照)。
さらに、結晶性樹脂のデュロメーター硬度を規定し、無機微粒子をトナー中に含有させることによって、トナーの耐ストレス性を向上させる技術が開示されている(特許文献5参照)。
また、結着樹脂に結晶性樹脂を単独で使用することで、帯電量が低下する恐れがある。例えば、特許文献6にあるように、結晶性ポリエステルと無定形ビニル重合体のブロック共重合体樹脂を使うことで、正帯電性のトナーの転写性や現像性を高めることができるが、現在一般的に使用される負帯電トナーの改善策にはならない。
これに加え、例えば特許文献7にあるように、結晶性樹脂を使用したトナーにおいて、帯電性と低温定着性を両立させることはできるが、抵抗値の低い結晶性ポリエステルを使用し、トナーの抵抗が低くなった場合の解決には至っていない。
以上のように、これまでの技術では結晶性樹脂を結着樹脂とするトナーにおいて、耐熱保存性と低温定着性を両立たうえで、さらに帯電量を低下させることなく、高画質を実現する負帯電性トナーは得られていない。
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、結着樹脂に結晶性樹脂を使用するトナーにおいて、低帯電とトナーの耐ストレス性の不足による帯電量の経時低下を防止し、高い画質を出力できる電子写真用トナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を解決すべく、鋭意検討した結果、結晶性ポリエステルをトナーに含有させ、トナーの電気抵抗値を適正な範囲とすることで、従来技術では為し得なかった帯電量の低下を防ぐばかりか、トナーの耐ストレス性の不足で発生する経時帯電量の低下を防止し、高い画質を出力できる電子写真用トナーを提供できることを見出した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
少なくとも結着樹脂と着色剤とを含む電子写真用トナーであって、
前記結着樹脂として結晶性樹脂を含み、
前記トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/((C)+(A))が、0.10以上であり、
前記トナーの体積固有抵抗R(Ω・cm)の常用対数値LogRが9.5〜10.7であり、前記トナーの現像剤中の帯電量の絶対値が20〜50μC/gである
ことを特徴とする電子写真用トナー。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、結着樹脂に結晶性樹脂を使用するトナーにおいて、結晶性樹脂の特有の課題である低帯電、トナーの耐ストレス性の不足による経時の帯電量と画質の低下を解決し、高い画質を出力できる電子写真用トナーを提供することができる。
本発明のトナーのX線回折スペクトルである。 図1に示すX線回折スペクトル全体のフィッティング関数を示す図である。 本発明のトナーを用いる画像形成装置における二成分現像手段の一例を示す概略図である。 実施例14のトナーの製造に用いた装置の概略図である。
本発明の電子写真用トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含む電子写真用トナーである。
前記結着樹脂として結晶性樹脂を含み、前記トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/((C)+(A))が、0.10以上である。
また、前記トナーの体積固有抵抗R(Ω・cm)の常用対数値LogRが9.5〜10.7であり、前記トナーの現像剤中の帯電量の絶対値が20〜50μC/gである。
具体的には、トナーの体積固有抵抗R(Ω・cm)の常用対数値LogRが9.5〜10.7であるトナーを使用することで、結晶性ポリエステルをトナーのバインダー樹脂に使用した場合においても、初期の帯電量絶対値をトナー飛散やカブリ、転写不良などの画質劣化の恐れが出ない範囲である20μC/g〜50μC/gにすることができ、さらに経時後の帯電量絶対値との差を10μC/g以下とすることができる。
(トナーの帯電量)
トナーの帯電量の絶対値は、正帯電または負帯電トナーともに、その絶対値は20μC/g〜50μC/gであり、さらに35μC/g〜45μC/gであることが好ましい。20μC/g未満では、弱帯電または逆帯電のトナーが発生し、画像形成装置内でのトナーの飛散や画像のカブリなどの不具合で画質を低下させる恐れがある。また、50μc/gを超える高い帯電量絶対値を持つトナーは、より低い帯電量絶対値を持つトナーと比較して、画像担持体への現像されるトナー量が減るため、画像濃度の低下といった画質低下の恐れがある。
また、経時後のトナー帯電量絶対値の変化量は10μc/g未満であることが好ましく、さらに5μC/g未満であることが好ましい。10μc/gよりも大きな帯電量の変化が生じた場合、画像形成装置稼動直後と経時後の画像濃度の変化が、目視においても顕著に見られるようになり、画質の低下の原因となる恐れがある。
(トナーの体積固有抵抗R(Ω・cm))
トナーの体積固有抵抗R(Ω・cm)の常用対数値LogRは、9.5〜10.7の範囲であることが必要であり、さらに10.0〜10.5の範囲であることが好ましい。9.5未満では電荷の保持能力が不足し、経時後の帯電量が低下するため、画像に不具合をきたす恐れがある。また、10.7を超える場合は、帯電量絶対値が高くなる恐れがあり、画像濃度の低下の原因になりうるため、不適切である。
(結晶性樹脂と非結晶性樹脂の含有量とトナーの帯電量、抵抗値について)
トナーの帯電量と、帯電の経時変化を好ましい範囲にするためには、結晶性樹脂と非結晶性樹脂の含有量を好ましい範囲にする必要がある。結晶性樹脂に非結晶性樹脂を添加することで、抵抗値を制御でき、具体的には結着樹脂100質量部に対し、非結晶性樹脂を10〜40部含有することが好ましい。非結晶性樹脂の含有量が10部を下回ると、抵抗値LogRが10.0を下回ることが多くなり、現像性、転写性、帯電経時変化量が大きくなるなどの帯電特性に悪い影響を及ぼし、出力画像の画質を低下させる恐れがある。また、40部を上回ると、抵抗値が次第に大きくなることで、トナーの帯電量が大きくなり、経時での帯電量の変化量より好ましい抵抗値や帯電経時変化量が安定しているトナーの帯電特性に悪い影響が出る恐れがある。
(樹脂およびトナーの抵抗値の測定法)
ガード電極を有する直径φ18mmの円筒状の電極をもつ容器に、試料となる樹脂またはトナーを3.0g計量し、荷重6000MPaを印加し加圧整形しペレットを作成した。また、当該電極を使用して交流ブリッジ型の抵抗測定装置(安藤電気製TR−10C型)を用い周波数1KHzにおける体積固有抵抗R(Ω・cm)を求め、logRを求めた。
(メタノール疎水化度)
トナーのメタノール滴下法における疎水化度は、40%以下、特に10%〜40%が好ましい。40%以下であることにより帯電量が過剰に高くなることがなく、画像濃度が低下することがない。逆に10%以上であることにより、温湿度環境の変化に対し帯電量の変化が大きくなることがなく、画像の安定性が得られる。
(メタノール疎水化度の測定)
トナーのメタノール疎水化度(降下開始点)は、粉体濡れ性試験機(WET−100P、レスカ社製)を用いて測定することができる。100mlのビーカーに純水(イオン交換水または市販の精製水)42mlとメタノール18mlを入れ、ふたをして超音波分散器を用いて均一分散させる。均一分散したメタノール水溶液中に、トナー0.5gを精秤して添加し、スターラーを250rpmさせながら撹拌し、更にメタノールを1.3ml/minで添加していく。水溶液にトナーが沈降、分散しはじめると溶液の透過度が低下するので、この時の、総メタノール/(総メタノール+水)の割合(%)を、トナー疎水化度の降下開始点とする。
トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/((C)+(A))が、0.10以上であることが、定着性と耐熱保存性の両立の観点から重要であり、0.15以上が好ましく、0.20以上が更に好ましく、0.30以上がより好ましく、0.45以上が特に好ましい。
尚、本発明におけるトナーがワックスを含有する場合、2Θ=23.5〜24°の位置にワックス固有の回折ピークが現れる事が多い。しかし、トナー全質量に対するワックス含有量が15質量%以下の場合は、ワックス固有の回折ピークの寄与がわずかであることから考慮しなくてもよい。15質量%以上の場合には、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度から、ワックスの結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を差し引いた値を上記の「結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(C)」と置き換えることとする。
前記比率(C)/((C)+(A))は、トナー中の結晶化部位の量(主にトナーの主成分たる結着樹脂中の結晶化部位の量)を示す指標である。本発明におけるX線回折測定は、2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS/Bruker社製)を用いて測定した。なお、従来公知の、結晶性樹脂やワックスを添加剤程度に含むようなトナーは、この比率がおおよそ0.15未満である。
測定に使用するキャピラリーは、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmを使用した。試料はこのキャピラリー管の上部まで詰めて測定した。また、サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回とした。
測定の詳細条件を以下に示す。
管電流 : 40mA
管電圧 : 40kV
ゴニオメーター2θ軸 : 20.0000°
ゴニオメーターΩ軸 : 0.0000°
ゴニオメーターφ軸 : 0.0000°
検出器距離 : 15cm(広角測定)
測定範囲 : 3.2≦2θ(゜)≦37.2
測定時間 : 600sec
入射光学系には、φ1mmのピンホールを持つコリメーターを用いた。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換した。得られたX線回折測定結果を基に、前記比率(C)/((C)+(A))を算出する方法を、以下に説明する。
X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を図1及び図2に示す。横軸は2θ、縦軸はX線回折強度であり、両方とも線形軸である。図1におけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が見られる。ここで、前記主要なピークは、結晶構造に由来するものであり、ハローは非晶構造に由来するものである。
この2の主要なピークとハローをガウス関数、
fp1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1)/(2cp1)} (式A(1))
fp2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2)/(2cp2)} (式A(2))
fh(2θ)=ahexp{−(2θ−bh)/(2ch)} (式A(3))
(fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)はそれぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数)
で表し、この3つの関数の和
f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ) (式A(4))
をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図2に図示する)とし、最小二乗法によるフィッティングを行った。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図1、2の例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して2つの主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致させて得られた値を設定した。フィッティングは例えばMicrosoft社製Excel2003のソルバーを利用して行うことができる。
フィッティング後の2つの主要なピーク(P1、P2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)、及びハローに相当するガウス関数fh(2θ)のそれぞれについての積分面積(SP1、Sp2、Sh)から、(Sp1+Sp2)を(C)、Shを(A)としたとき、結晶化部位の量を示す指標である比率(C)/((C)+(A))を算出することができる。
トナーが含有する結晶性樹脂は、低温定着性と耐熱保存性を達成するために、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂であることが好ましい。また、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有するものであることが好ましい。
しかし、結着樹脂としてウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナーの出力画像は搬送傷が発生しやすい。これは、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性ポリエステル樹脂が溶融された状態から融点以下に冷却された際の再結晶化速度が小さいことに起因する。再結晶化速度が小さい前記樹脂を含有するトナーを熱定着させた直後の画像は、室温付近に冷却された後も再結晶化速度が小さいために一時的に過冷却状態になる。
この過冷却状態では結晶化時と比較して弾性率が著しく低い。定着直後に接触する搬送部材から受ける機械的ストレスに対して十分な耐久性が無い。
再結晶化速度を小さくする主要因である物理的架橋点や分子構造の不均一性を調整すべくウレタン結合及び/又はウレア結合の量を減じる方法では、弾性率低下に伴い画像の強度が低下するため逆に搬送傷が悪化する傾向にある上、耐ホットオフセット性も悪化する。同様に、分子量を調整する方法においても、搬送傷の発生を抑制できず、画像の再結晶化速度と弾性率という二律背反的な両特性を同時に改良することはできない。
上述のようにウレタン結合及びウレア結合を有する結晶性ポリエステル樹脂単独での搬送傷抑制は困難である。そこで、筆者らは鋭意検討の結果、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性ポリエステル樹脂と未変性の結晶性ポリエステルを複合させることで、弾性率を維持しつつ再結晶化速度を向上させることが可能であることを見出した。
すなわち、画像が溶融状態から融点を超えて冷却された後、物理架橋点がないため分子鎖が動きやすく、かつより分子鎖の対象性が高い未変性の結晶性ポリエステルが即座に結晶化し、結晶核を形成することで画像全体の結晶化を促す効果があり、結晶化速度を著しく向上させることができる。
前記未変性の結晶性ポリエステル樹脂による結晶化速度向上効果により、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有す結晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂として用いた場合であっても、搬送部材に当接する前に画像の弾性率、強度を大きく向上させることができるため、搬送傷の発生を抑制することができる。しかも、このときウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性ポリエステル樹脂の存在により耐ホットオフセット性は維持されたままであり、かつ、未変性の結晶性ポリエステル樹脂は低温定着性に有利に働く効果も与える。
結着樹脂として少なくともウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性ポリエステル樹脂と、未変性の結晶性ポリエステル樹脂とを含有させることで、低温定着と耐熱保存性を高いレベルで両立しつつ、かつ、搬送傷の発生及び出力画像の強度不足を解消することができる。これは、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、出力画像の強度を向上させうる凝集エネルギーの高いウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性ポリエステルと未変性の結晶性ポリエステル樹脂を併用することにより、熱定着後の画像の再結晶化速度が向上し、搬送傷の原因となる搬送部材に画像が到達する前に出力画像の硬度を向上させることができるためである。
未変性の結晶性ポリエステル樹脂とウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性ポリエステル樹脂は、画像中において両者が均一に混合された状態であることが好ましく、したがって、トナー内部において、両者が均一に混合又は一様に分布した状態であることが好ましい。トナー内部における均一混合性、分散性の観点より、未変性の結晶性ポリエステル樹脂と、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性ポリエステル樹脂の結晶性ポリエステル部は、類似の骨格を有すことが好ましい。
<発熱ピーク温度、融点、発熱量の測定方法>
本発明におけるトナー、及び各材料の発熱ピーク温度、融点は例えば、DSCシステム(示差走査熱量計)(「DSC−60」、島津製作所社製)を用いて測定することができる。
具体的には、対象試料の発熱ピーク温度、融点は下記手順により測定できる。
得られるDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラム『吸熱ピーク温度』を用いて、二回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温二回目における発熱ピーク(融点、Ta)を求めることができる。また同じく『吸熱ピーク温度』を用いて、降温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の発熱ピーク温度(Tc)を求めることができる。同様に、発熱量についても解析プログラムを使用してピーク面積の大きさから求めることができる。
測定条件
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50ml/min)
温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:−20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
<分子量の測定>
本発明において、樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、GPC−8220GPC(東ソー社製))を用いて測定できる。カラムとしては、TSKgel SuperHZM―H 15cm 3連(東ソー社製)を使用した。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いた。前記THF試料溶液を測定装置に100μl注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35ml/分間で測定した。試料の分子量測定にあたっては、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。前記標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
なお、結着樹脂の重量平均分子量の範囲は20,000以上70,000以下であることが好ましく、より好ましくは、30,000以上60,000以下、特に好ましくは35,000以上50,000以下である。重量平均分子量が70,000を超えるような場合、結着樹脂全体が高分子量すぎるため定着性が悪化し、光沢が低すぎたり、定着後の画像が外的ストレスで容易に欠落するため好ましくない。また、20,000未満の場合にはいくら高分子量成分が多く存在していたとしてもトナー溶融時の内部凝集力が低くなりすぎ、ホットオフセットや定着部材への紙の巻きつきを引き起こすため好ましくない。
上記のような分子量分布を有するような結着樹脂を有するトナーを得る方法としては、分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する、重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する方法がある。
分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する場合、少なくとも相対的に高分子量の樹脂と低分子量の樹脂の2種類を使用する。高分子量の樹脂としては、あらかじめ分子量の大きな樹脂を使用してもよいし、末端にイソシアネート基を有する変性樹脂をトナーの製造過程で伸長させて高分子量体を形成させても良い。後者のほうが、高分子量体をトナー中に均一に存在させることができ、結着樹脂を有機溶媒中に溶解させる工程があるような製造方法においてははじめから高分子量である樹脂よりも溶解させることが容易であるため好ましい。
高分子量の樹脂(イソシアネート基を有する変性樹脂も含む)と低分子量の樹脂の2種類で結着樹脂が構成される場合の比率としては、高分子量の樹脂/低分子量の樹脂の比が5/95〜60/40、好ましくは8/92〜50/50、より好ましくは12/88〜35/65、さらに好ましくは15/85〜25/75である。5/95よりも高分子量体が少ない場合、あるいは60/40よりも高分子量体が多い場合には、上記の分子量分布を有する結着樹脂を有するトナーを得るのが困難となる。
重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する場合、このような樹脂を得る方法としては、例えば、縮重合や重付加、付加縮合のような重合形態であれば、2官能のモノマーのほかに官能基数の異なるモノマーを少量添加することにより分子量分布を広げることができる。官能基数の異なるモノマーとしては、3官能以上のモノマー、単官能のモノマーがあるが、3官能以上のモノマーを使用すると分岐構造が生成するため、結晶性を有する樹脂を使用する場合には結晶構造を形成しにくくなる場合がある。単官能のモノマーを使用すれば、単官能のモノマーにより重合反応が停止することで2種類以上の樹脂を用いる場合における低分子量の樹脂を精製させつつ、一部は重合反応が進行し高分子量成分となる。
本発明における結晶性樹脂とは、結晶構造を持った部位を有する樹脂のことであり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有する。前記結晶性樹脂の性状は、高化式フローテスターにより測定される軟化温度と、示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が0.8〜1.6である、熱により急峻に軟化する性状を示す。
また、本発明における非結晶性樹脂は、結晶構造を有さない樹脂のことであり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有さない。前記非結晶性樹脂の性状は、軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が1.6より大きく、熱により緩やかに軟化する性状を示す。
樹脂の軟化温度は、高化式フローテスター(例えば、CFT−500D(島津製作所製))を用いて測定できる。試料として1gの樹脂を昇温速度3℃/分間で加熱しながら、プランジャーにより2.94MPaの荷重を与え、直径0.5mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化温度とした。
<結着樹脂>
前記結着樹脂は、結晶性樹脂を該結着樹脂に対して50質量%以上含有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記結晶性樹脂と非結晶性樹脂を併用してもよく、実質的に結着樹脂の主成分が前記結晶性樹脂であることが好ましい。
前記結晶性樹脂の前記結着樹脂に対する含有量としては、50質量%以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性樹脂による優れた低温定着性と耐熱保存性の両立性を最大限に発現させる観点から、65質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上が特に好ましい。前記含有量が、50質量%未満の場合、結着樹脂の熱急峻性がトナーの粘弾特性上で発現できず、低温定着性と耐熱保存性の両立は難しい。
<結晶性樹脂>
前記結晶性樹脂としては、結晶性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、変性結晶性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂が好ましく、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する樹脂が好ましく、また、直鎖型ポリエステル樹脂、該直鎖型ポリエステル樹脂を含む複合樹脂がより好ましい。
(結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂)
結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂としては、結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂(単に、結晶性ポリエステル樹脂ともいう)、結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)が挙げられる。結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂は結晶構造をとる部分は多いものの、外力により容易に変形しやすいことがある。その理由としては、結晶性ポリエステルのすべての部分を結晶化させることは困難であり、結晶化していない部分(非結晶部位)の分子鎖の自由度が高いために容易に変形しやすい、あるいは結晶構造をとっている部分に関しても、通常その高次構造は分子鎖が折りたたまれながら面を形成したものが重なる、いわゆるラメラ構造となるが、そのラメラ層間には大きな結合力が働かないため容易にラメラ層がずれやすい、などの原因が考えられる。トナー用の結着樹脂としては、外力により容易に変形してしまうと、画像形成装置内での変形凝集、部材への付着あるいは固着、最終的に出力される画像が容易に傷がつく、などの問題が発生する可能性があるため、結着樹脂としても外力に対してある程度変形に耐えうるもの、強靭性を有するものでなければならない。
樹脂の強靭性付与の観点からは、凝集エネルギーの大きいウレタン結合部位、ウレア結合部位、フェニレン部位を有するような結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)が好ましい。この中でも特に、ウレタン結合部位やウレア結合部位は、分子鎖中に存在することにより、非結晶部位やラメラ層間に大きな分子間力による擬似架橋点を形成させることができると考えられる上、紙への定着後においても紙に対して濡れやすく定着強度を高めることができるため好ましい。
(ウレタン結合及び/又はウレア結合を有する樹脂)
ここで、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する樹脂としては、例えば、前記ポリウレタン樹脂、前記ポリウレア樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレア変性ポリエステル樹脂などが好適に挙げられる。
前記ウレタン変性ポリエステル樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、ポリオールとを反応させてなる樹脂である。また、前記ウレア変性ポリエステル樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、アミン類とを反応させてなる樹脂である。
結晶性樹脂として二種類以上を併用して用いることも出来,例えば第1の結晶性樹脂と,該第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂を併用することにより、トナー全体として分子量分布を広げることができ、低分子量の樹脂による紙への含浸性と高分子量の樹脂によるホットオフセットの抑止の両立が可能となる点で好ましい。第2の結晶性樹脂としては、前記の変性結晶性樹脂を用い、トナーの製造過程で伸長乃至架橋反応させることで得ても良い。
なお、ブロック共重合樹脂に使用する結晶性樹脂は、必ずしも結着樹脂と同種である必要はないが、溶融混練法で顔料と混合する場合は、溶融温度や粘度が非結晶性樹脂と近しい第1の結晶性樹脂を使用することが好ましい。重量平均分子量Mwの大きな第2の結晶性樹脂を使用して顔料の表面処理を行うと、非結晶性樹脂との溶融温度と粘度の違いから、結晶性樹脂と比結晶性樹脂と顔料が十分に混合しない。そればかりか、混練時に十分なせん断力をかけることができず、着色剤中で顔料粒子同士が凝集状態になる。その結果、トナー内部で顔料が凝集または偏在することとなり、画像の色再現範囲悪化や定着性への悪影響を及ぼす原因となる。
前記結晶性樹脂の融解熱の最大ピーク温度としては、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から、45℃〜70℃が好ましく、53℃〜65℃がより好ましく、58℃〜62℃が特に好ましい。前記最大ピーク温度が、45℃より低い場合は、低温定着性は良くなるが耐熱保存性が悪化し、70℃より高い場合は逆に耐熱保存性は良くなるが低温定着性が悪化する。
<ポリエステル樹脂>
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステル樹脂、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステル樹脂が、結晶性発現の観点から好ましい。
−ポリオール−
前記ポリオールとしては、例えば、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオールなどが挙げられる。
前記ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数4〜36の炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール;炭素数4〜36の脂環式ジオール;前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する);ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオールなどが挙げられる。これらの中でも、鎖炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量としては、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましい。前記含有量が80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性の両立性が良く、樹脂硬度が向上する傾向にある点で好ましい。
前記直鎖型脂肪族ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
鎖炭素数が2〜36の前記分岐型脂肪族ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
前記炭素数4〜36の脂環式ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンオキサイド(以下EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下BOと略記する)等の付加物(付加モル数1〜30)などが挙げられる。
前記ビスフェノール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
前記ポリラクトンジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリε−カプロラクトンジオールなどが挙げられる。
前記カルボキシル基を有するジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の炭素数6〜24のジアルキロールアルカン酸などが挙げられる。
前記スルホン酸基又は前記スルファミン酸基を有するジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)及びそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1〜6);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
これらの中和塩基を有するジオールの中和塩基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミン等)、アルカリ金属(ナトリウム塩等)などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用が好ましい。
また、必要により用いられる前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン等)、糖類及びその誘導体(例えば、ショ糖、メチルグルコシド等)等の炭素数3〜36の3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール;トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーとの共重合物等のアクリルポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
−ポリカルボン酸−
前記ポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等の炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸;ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸等の炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸;ダイマー酸(2量化リノール酸)等の炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
また、必要により用いられる前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
なお、前記ジカルボン酸又は前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
前記ジカルボン酸の中でも、前記脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)を単独で用いることが特に好ましいが、前記脂肪族ジカルボン酸と共に前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等;これら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル類等)を共重合したものも同様に好ましい。前記芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下が好ましい。
−ラクトン開環重合物−
前記ラクトン開環重合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、前記炭素数3〜12のモノラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物などが挙げられる。
前記炭素数3〜12のモノラクトンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性の観点からε−カプロラクトンが好ましい。
また、前記ラクトン開環重合物としては、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、ダイセル株式会社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等の高結晶性ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
−ポリヒドロキシカルボン酸−
前記ポリヒドロキシカルボン酸の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体等)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間若しくは3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法などが挙げられるが、分子量の調整の観点から前記開環重合する方法が好ましい。
前記環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド、及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
<<<ポリウレタン樹脂>>>
前記ポリウレタン樹脂としては、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、前記ジオールと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレタン樹脂が好ましい。
前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、前記ポリエステル樹脂において挙げた前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールと同様のものが挙げられる。
−ポリイソシアネート−
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートなどが挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜20の芳香族ジイソシアネート、2〜18の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネート、8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)、これらの2種以上の混合物などが挙げられる。また、必要により、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
前記芳香族ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂肪族ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、前記ジイソシアネートの変性物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等の変性MDI、イソシアネート含有プレポリマー等のウレタン変性TDIなどのジイソシアネートの変性物;これらジイソシアネートの変性物の2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDIとの併用)などが挙げられる。
これらのジイソシアネートの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜15の芳香族ジイソシアネート、4〜12の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネートが好ましく、TDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIが特に好ましい。
<<<ポリウレア樹脂>>>
前記ポリウレア樹脂としては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレア樹脂等が挙げられる。これらの中でも、前記ジアミンと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレア樹脂が好ましい。
前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートとしては、前記ポリウレタン樹脂において挙げた前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
−ポリアミン−
前記ポリアミンとしては、例えば、ジアミン、3価以上のポリアミンなどが挙げられる。
前記ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類、炭素数6〜20の芳香族ジアミン類が好ましい。また、必要により、前記3価以上のアミン類を使用してもよい。
前記炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の炭素数4〜18のポリアルキレンジアミン;ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の前記アルキレンジアミン若しくは前記ポリアルキレンジアミンの炭素数1〜4のアルキル又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体;1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等の炭素数4〜15の脂環式ジアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の炭素数4〜15の複素環式ジアミン;キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等の炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類などが挙げられる。
前記炭素数6〜20の芳香族ジアミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4’−及び4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン等の非置換芳香族ジアミン;2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン;前記非置換芳香族ジアミン乃至前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミンの異性体の種々の割合の混合物;メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等の核置換電子吸引基(Cl、Br、I、F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン;4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等の二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔前記非置換芳香族ジアミン、前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物、前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部又は全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕などが挙げられる。
前記ジアミンとして、これらの他、ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)前記ポリアミン(前記アルキレンジアミン、前記ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等のポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等のポリエーテルポリアミンなどが挙げられる。
<ポリアミド樹脂>
前記ポリアミド樹脂としては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸等のポリカルボン酸とから合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ジアミンとジカルボン酸とから合成されるポリアミド樹脂が好ましい。
前記ジアミン及び前記3価以上のポリアミンとしては、前記ポリウレア樹脂において挙げた前記ジアミン及び前記3価以上のポリアミンと同様のものが挙げられる。
前記ジカルボン及び前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、前記ポリエステル樹脂において挙げた前記ジカルボン及び前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸と同様のものが挙げられる。
<ポリエーテル樹脂>
前記ポリエーテル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性ポリオキシアルキレンポリオールなどが挙げられる。
前記結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜従来より公知の方法を選択することができ、例えば、キラル体のAOを、通常AOの重合で使用される触媒で開環重合させる方法(例えば、Journal of the American Chemical Society、1956年、第78巻、第18号、p.4787−4792に記載)や、安価なラセミ体のAOを立体的に嵩高い特殊な化学構造の錯体を触媒として用いて、開環重合させる方法などが挙げられる。
また、特殊な錯体を用いる方法としては、ランタノイド錯体と有機アルミニウムを接触させた化合物を触媒として用いる方法(例えば、特開平11−12353号公報に記載)やバイメタルμ−オキソアルコキサイドとヒドロキシル化合物をあらかじめ反応させる方法(例えば、特表2001−521957号公報に記載)などが知られている。
また、非常にアイソタクティシティの高い結晶性ポリオキシアルキレンポリオールを得る方法として、サレン錯体を触媒として用いる方法(例えば、Journal of the American Chemical Society、2005年、第127巻、第33号、p.11566−11567に記載)が知られている。例えば、キラル体のAOを用い、その開環重合時に、開始剤として、グリコール又は水を用いると、末端にヒドロキシル基を有するアイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールが得られる。前記アイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールは、その末端を例えば、カルボキシル基になるように変性したものであってもよい。なお、前記アイソタクティシティが50%以上であると、通常、結晶性となる。前記グリコールとしては、前記ジオールなどが挙げられ、カルボキシ変性するのに用いるカルボン酸としては、前記ジカルボン酸などが挙げられる。
前記結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造に用いるAOとしては、炭素数3〜9のものが挙げられ、例えば、PO、1−クロロオキセタン、2−クロロオキセタン、1,2−ジクロロオキセタン、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、1,2−BO、メチルグリシジルエーテル、1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ペンチレンオキサイド、3−メチル−1,2−ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、1,2−へキシレンオキサイド、3−メチル−1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ヘキシレンオキサイド、4−メチル−2,3−ペンチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、1,2−へプチレンオキサイド、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらのAOの中でも、PO、1,2−BO、スチレンオキサイド及びシクロへキセンオキサイドが好ましく、PO、1,2−BO、シクロへキセンオキサイドがより好ましい。また、これらのAOは、1種単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
また、前記結晶性ポリオキシアルキレンポリオールのアイソタクティシティは、得られる結晶性ポリエーテル樹脂の高シャープメルト性と耐ブロッキング性の観点から、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましく、95%以上が最も好ましい。
前記アイソタクティシティは、Macromolecules、vol.35、No.6、2389−2392頁(2002年)に記載の方法で算出することができ、以下のようにして求めることができる。
測定試料約30mgを直径5mmの13C−NMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶剤を加えて溶解させ、分析用試料とする。ここで、重水素化溶剤としては、特に制限はなく、試料を溶解させることのできる溶剤を適宜選択することができ、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。13C−NMRの3種類のメチン基由来の信号は、それぞれシンジオタクチック値(S)75.1ppm付近とヘテロタクチック値(H)75.3ppm付近とアイソタクチック値(I)75.5ppm付近に観測される。
アイソタクティシティは、次の計算式(1)により算出する。
アイソタクティシティ(%)=[I/(I+S+H)]×100 計算式(1)
ただし、前記計算式(1)中、Iはアイソタクチック信号の積分値、Sはシンジオタクチック信号の積分値、Hはヘテロタクチック信号の積分値である。
<ビニル樹脂>
前記ビニル樹脂としては、結晶性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性を有するビニルモノマーと、必要により結晶性を有しないビニルモノマーとを構成単位として有するものが好ましい。
前記結晶性を有するビニルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が12〜50の直鎖アルキル(メタ)アクリレート(炭素数12〜50の直鎖アルキル基が結晶性基である)などが好適に挙げられる。
前記結晶性を有しないビニルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分子量が1,000以下のビニルモノマーが好ましく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリルモノマー、カルボキシル基含有ビニルモノマー、他のビニルエステルモノマー、脂肪族炭化水素系ビニルモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルスチレンなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜11のアルキル(メタ)アクリレート及びアルキル基の炭素数が12〜18の分岐アルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜11のヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜11のアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等の炭素数3〜15のモノカルボン酸;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の炭素数4〜15のジカルボン酸;マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル等の前記ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜18)エステル等のジカルボン酸モノエステルなどが挙げられる。
前記他のビニルエステルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソプロペニルアセテート等の炭素数4〜15の脂肪族ビニルエステル;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の炭素数8〜50の不飽和カルボン酸多価(2価〜3価又はそれ以上)アルコールエステル;メチル−4−ビニルベンゾエート等の炭素数9〜15の芳香族ビニルエステルなどが挙げられる。
前記脂肪族炭化水素系ビニルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、オクテン等の炭素数2〜10のオレフィン;ブタジエン、イソプレン、1,6−ヘキサジエン等の炭素数4〜10のジエンなどが挙げられる。
<変性結晶性樹脂(結着樹脂前駆体)>
前記変性結晶性樹脂としては、活性水素基と反応可能な官能基を有する結晶性樹脂であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基と反応可能な官能基を有する結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリエーテル樹脂、結晶性ビニル樹脂などが挙げられる。前記変性結晶性樹脂は、トナーの製造過程において、活性水素基を有する樹脂や、活性水素基を有する架橋剤や伸長剤等の活性水素基を有する化合物と反応させることで、樹脂を高分子量化させ、結着樹脂を形成することができる。したがって、これらの変性結晶性樹脂は、トナーの製造において、結着樹脂前駆体として使用することができる。
なお、前記結着樹脂前駆体とは、上述の結着樹脂を構成するモノマーやオリゴマー、及び前記活性水素基と反応可能な官能基を有する変性された樹脂、オリゴマー類を含む伸長又は架橋反応が可能な化合物を指し、これらの条件を満たしていれば、これらは結晶性樹脂であっても非結晶性樹脂であってもよい。これらの中でも、前記結着樹脂前駆体としては、少なくとも末端にイソシアネート基を有する前記変性結晶性樹脂であることが好ましく、水系媒体中に分散乃至乳化してトナー粒子を造粒する際に、活性水素基との反応によって、伸長乃至架橋反応して結着樹脂を形成することが好ましい。
このような前記結着樹脂前駆体から形成される結着樹脂としては、前記活性水素基と反応可能な官能基を有する変性された樹脂と、前記活性水素基を有する化合物とを伸長乃至架橋反応してなる結晶性樹脂が好ましく、これらの中でも、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、前記ポリオールとを伸長乃至架橋反応してなるウレタン変性ポリエステル樹脂;末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、アミン類とを伸長乃至架橋反応してなるウレア変性ポリエステル樹脂などが好ましい。
前記活性水素基と反応可能な官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基などの官能基が挙げられる。これらの中でも、反応性や安定性の観点から、イソシアネート基などが好ましい。
前記活性水素基を有する化合物としては、前記活性水素基を有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基と反応可能な官能基がイソシアネート基である場合には、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などを前記活性水素基として有する化合物が挙げられる。これらの中でも、反応速度の観点から、アミノ基を有する化合物(即ち、アミン類)が特に好ましい。
前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。また、これらのアミン類のアミノ基をケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)でブロックした、ケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物などが挙げられる。
前記結晶性樹脂は、結晶性部と非結晶性部をもつブロック樹脂であってもよく、前記結晶性部としては、前記結晶性樹脂を用いることができる。前記非結晶性部の形成に用いられる樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂(ポリスチレン、スチレンアクリル系ポリマー等)、エポキシ樹脂などが挙げられる。
ただし、前記結晶性部としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂であることが好ましいので、相溶性の観点から、前記非結晶性部の形成に用いられる樹脂もポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、及びそれらの複合樹脂であることが好ましく、ポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂がより好ましい。これらの非結晶性部の組成としては、非結晶性樹脂となるものであれば、特に制限はなく、目的に応じていかなる組合せでも適宜選択することができ、使用するモノマーとしては、前記ポリオール、前記ポリカルボン酸、前記ポリイソシアネート、前記ポリアミン、前記AOなどが挙げられる。
<非結晶性樹脂>
前記ブロック共重合体に使用される非結晶性樹脂及びトナーの結着樹脂として含有される非結晶性樹脂としては、非結晶性であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合隊、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂など、及び活性水素基と反応可能な官能基を有するように変性されたこれらの樹脂類が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
特に、結晶性樹脂との親和性を高める為には、非結晶性樹脂として非結晶ポリエステル樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂の中でも、ジオール成分に直鎖型または分岐型脂肪族ジオールを使用したものが望ましく、さらにはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが好ましい。また、ジカルボン酸成分には、前記のポリエステル樹脂用の材料全てを用いることができるが、特にイソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸のほか、フマル酸、コハク酸などのジカルボン酸を使用することが好ましい。
<着色材のプレ分散の方法>
トナーに使用される着色剤のプレ分散工程は、溶融混練法またはいわゆるマスターバッチの製造法に倣って溶融混練によって行うことができる。処理方法は溶融混練によって樹脂と顔料を混合できる既知の方法全てを用いることができるが、例えば、連続式の2軸押出し機(例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機)や、連続式の1軸混練機(例えば、ブッス社製コ・ニーダ、KCK社混練機)、直接オープンロール型連続混練機ニーデックス(オープンロール連続混練造粒機、三井鉱山社製)等の熱混練機を使用することができる。
例えば、溶融混連に1軸混練機のブッス社製コ・ニーダを使用する場合、投入口の温度を50℃〜120℃、排出口の温度を40℃〜70℃、スクリュー温度を30℃〜40℃に制御し、スクリュー回転数を80rpm、フィード速度を5kg/hとすることが望ましい。
なお、直接オープンロール型連続混練機ニーデックス、三井鉱山社製を使用する場合、投入口の温度を50℃〜100℃、排出口の温度を40℃〜70℃とすることが望ましい。
また、顔料のプレ分散工程は、前記有機溶媒とともに湿式の分散機を用いても行うことができる。例えばビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)、ペイントシェイカー(浅田鉄工社製)、ナノマイザー(NM2-L200AR-D、吉田機械興業社製)なども使用することができる。
<顔料または染料>
前記着色剤に使用する顔料または染料としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記顔料または染料の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用の顔料または染料、マゼンダ、シアン、イエロー等のカラー用の顔料または染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用の顔料または染料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。
マゼンタ用顔料または染料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、48:2、48:3、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、184、202、206、207、209、211、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
シアン用の顔料または染料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36などが挙げられる。
イエロー用顔料または染料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、155、174、180、185;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36などが挙げられる。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
<その他の成分>
本発明のトナーは、本発明の効果を損なわない範囲で、結着樹脂、着色剤の他に、有機変性層状無機鉱物、離型剤、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などのその他の成分を必要に応じて含有していてもよい。
<<離型剤>>
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトンなどが挙げられる。
前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜160℃が好ましく、50℃〜120℃がより好ましく、60℃〜90℃が特に好ましい。前記融点が40℃未満であると、耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分間で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分間で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点として求めることができる。
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5cps〜1,000cpsが好ましく、10cps〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量%〜40質量%が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
<<帯電制御剤>>
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、そのような帯電制御剤としては、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれもオリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれもヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット株式会社製);キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
(フッ素化処理)
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
(内添無機フィラー)
本発明では、結晶性ポリエステル樹脂が低抵抗であり電荷保持部位が少ないことに由来して、困難であるトナーの帯電量を容易に調整するために、トナーに無機微粒子を内添してもよい。
本発明に用いられる内添用の無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、けい砂、モンモリロナイト、もしくはその有機変性物(クレイトンAPAなど、)、クレー、雲母、けい灰石、珪藻土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、窒化珪素、などをあげることができる。特に好ましくは、モンモリロナイト、有機変性物クレイトンAPAが好ましい。
<<外添剤>>
前記外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等);金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等)、疎水化された金属酸化物微粒子、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子が好適に挙げられる。
前記シリカ微粒子としては、例えば、HDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H1303(いずれもヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。また、前記酸化チタン微粒子としては、例えば、P−25(日本アエロジル株式会社製)、STT−30、STT−65C−S(いずれもチタン工業株式会社製)、TAF−140(富士チタン工業株式会社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれもテイカ株式会社製)などが挙げられる。前記疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、例えば、T−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれもチタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも富士チタン工業株式会社製);MT−100S、MT−100T(いずれもテイカ株式会社製)、IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
前記疎水化されたシリカ微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子を得るためには、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子等の親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。
また、前記外添剤として、シリコーンオイルで、必要ならば熱を加えて無機微粒子を処理したシリコーンオイル処理無機微粒子も好適である。
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが使用できる。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。これらの中でも、シリカ、二酸化チタンが特に好ましい。
前記外添剤の添加量としては、前記トナーに対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.3質量%〜3質量%がより好ましい。
前記無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、100nm以下が好ましく、3nm〜70nmがより好ましい。前記重量平均粒径が3nm未満であると、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくい。前記重量平均粒径が70nmを超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけ好ましくない。
前記外添剤としては、前記無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の個数平均粒径は、1nm〜100nmが好ましく、中でも、5nm〜70nmの無機微粒子を少なくとも2種含むことがより好ましい。更に、疎水化処理された一次粒子の個数平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、BET法による比表面積は、20m/g〜500m/gであることが好ましい。
前記酸化物微粒子を含む外添剤の表面処理剤としては、例えば、ジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
前記外添剤として樹脂微粒子も添加することができる。該樹脂微粒子としては、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系重合体粒子;熱硬化性樹脂による重合体粒子などが挙げられる。このような樹脂微粒子を併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。前記樹脂微粒子の添加量は、前記トナーに対し0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましい。
<<流動性向上剤>>
前記流動性向上剤は、前記トナーの表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても前記トナーの流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
<<クリーニング性向上剤>>
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、重量平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好適である。
[トナーの特性]
本発明のトナーが、低温定着性と耐熱保存性をより高いレベルで両立し、耐ホットオフセット性に優れるものとするためには、前記トナーの示差走査熱量計により測定される融解熱の最大ピーク温度をTa(℃)、高化式フローテスターにより測定される軟化温度をTb(℃)とした場合、45≦Ta≦70、0.8≦Tb/Ta≦1.55を満たすことが好ましい。
前記トナーの融解熱の最大ピーク温度(Ta)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、45℃〜70℃が好ましく、53℃〜65℃がより好ましく、58℃〜62℃が特に好ましい。前記Taが、45℃〜70℃であると、トナーに要求される最低限の耐熱保存性を確保することができ、且つ、従来にはない優れた低温定着性を持つトナーが得られる。前記Taが、45℃より低い場合は、低温定着性は良くなるが耐熱保存性が悪化し、70℃より高い場合は逆に耐熱保存性は良くなるが低温定着性が悪化する。
前記トナーの軟化温度(Tb)と融解熱の最大ピーク温度(Ta)との比(Tb/Ta)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.8〜1.55が好ましく、0.85〜1.25がより好ましく、0.9〜1.2が特に好ましく、0.9〜1.19が最も好ましい。前記Tbが小さい程、樹脂が急峻に軟化する性状を持ち、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から優れている。
[トナーの製造方法]
本発明におけるトナーは、少なくとも結着樹脂と、着色剤とを含む電子写真用トナーであって、前記結着樹脂として結晶性樹脂を含み、前記トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/((C)+(A))が、0.10以上であり、前記トナーの電気抵抗値体積固有抵抗R(Ω・cm)の常用対数値LogRが9.5〜10.7であり、前記トナーの現像剤中の帯電量絶対値が20〜50μC/gである電子写真用トナーであり、その製法や材料は条件を満たしていれば公知のものが全て使用可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、混練粉砕法や水系媒体中にてトナー粒子を造粒する、いわゆるケミカル工法がある。前記ケミカル工法では、結晶性樹脂を容易に造粒することが可能であり、顔料をトナー内部に均一に分散させやすいので好ましい。
前記水系媒体中にてトナー粒子を造粒するケミカル工法としては、例えば、モノマーを出発原料として製造する懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法等;樹脂や樹脂前駆体を有機溶剤などに溶解して水系媒体中にて分散乃至乳化させる溶解懸濁法;樹脂や樹脂前駆体と適当な乳化剤からなる溶液に水を加えて転相させる転相乳化法;これらの工法によって得られた樹脂粒子を水系媒体中に分散させた状態で凝集させて加熱溶融等により所望サイズの粒子に造粒する凝集法などが挙げられる。これらの中でも、溶解懸濁法で得られるトナーであることが、結晶性樹脂による造粒性(粒度分布制御の容易さ、粒子形状の制御など)や、顔料のトナー表層近傍への配向性の観点からより好ましい。
以下に、これらの製法についての詳細な説明をする。
前記混練粉砕法は、例えば、少なくとも前記着色剤、前記結着樹脂を有するトナー材料を溶融混練したものを、粉砕し、分級することにより、前記トナーの母体粒子を製造する方法である。
前記溶融混練では、前記トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
前記粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離器等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナー母体粒子を製造することができる。
前記ケミカル工法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも前記結着樹脂と、前記着色剤とを含むトナー組成物を、水系媒体中に分散乃至乳化して前記トナーの母体粒子を造粒する方法が好ましく、本発明のトナーとしては、少なくとも前記結着樹脂と、前記着色剤とを含む微粒子を、水系媒体中に分散乃至乳化してトナー粒子を造粒することにより得られるトナーが好ましい。
また、前記ケミカル工法としては、少なくとも前記結着樹脂及び前記結着樹脂前駆体の少なくともいずれかと、前記着色剤とを含むトナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散してなる油相を、水系媒体中に分散乃至乳化して前記トナーの母体粒子を造粒する方法が好ましく、本発明のトナーとしては、少なくとも前記結着樹脂及び前記結着樹脂前駆体の少なくともいずれかと、前記着色剤とを含むトナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散してなる油相を、水系媒体中に分散乃至乳化してトナー粒子を造粒することにより得られるトナーが好ましい。
前記結晶性樹脂は、耐衝撃性に優れるため、粉砕工法ではエネルギー効率面で不向きである。一方、本発明のような溶解懸濁法やエステル伸長法では、結晶性樹脂を容易に造粒することが可能であり、水系媒体中での分散乃至乳化時に着色剤がトナー内部に均一に配列するので好ましい。
少なくとも前記結着樹脂を含む樹脂微粒子を製造する方法としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の(a)〜(h)などが挙げられる。
(a)ビニル系樹脂の場合において、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法等の重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を製造する方法。
(b)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして硬化させて樹脂微粒子の水性分散体を製造する方法。
(c)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましく、加熱により液状化させたものでもよい。)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
(d)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい。)により作製した樹脂を機械回転式、ジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
(e)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
(f)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に溶剤を添加するか、又はあらかじめ溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
(g)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱、減圧等によって溶剤を除去する方法。
(h)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
また、水系媒体中への乳化乃至分散に際し、必要に応じて、界面活性剤や、高分子系保護コロイド等を用いることもできる。
−界面活性剤−
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等の陰イオン界面活性剤;アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤;脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤;アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等の両性界面活性剤などが挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。前記フルオロアルキル基を有する界面活性剤としては、例えば、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤、フルオロアルキル基を有するカチオン性界面活性剤などが挙げられる。
前記フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
前記フルオロアルキル基を有するカチオン性界面活性剤としては、例えば、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級又は2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
−高分子系保護コロイド−
前記高分子系保護コロイドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の酸類;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体;ビニルアルコール;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等のビニルアルコールとのエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、及びこれらのメチロール化合物;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類;ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子乃至その複素環を有するもの等のホモポリマー乃至共重合体;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類などが挙げられる。
−有機溶媒−
前記結着樹脂や前記結着樹脂前駆体、前記着色剤及び前記有機変性層状無機鉱物を含むトナー組成物を溶解乃至分散させる場合に用いる有機溶媒としては、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
前記結着樹脂や前記結着樹脂前駆体、前記着色剤及び前記有機変性層状無機鉱物を含むトナー組成物を溶解乃至分散させて得られる油相の固形分濃度としては、40質量%〜80質量%が好ましい。濃度が高すぎると、溶解又は分散が困難になり、また粘度が高くなって扱いづらく、濃度が低すぎると、トナーの製造量が少なくなる。
前記着色剤、前記有機変性層状無機鉱物などの樹脂以外のトナー組成物、及びそれらのマスターバッチなどは、それぞれ個別に有機溶剤に溶解乃至分散させ、前記樹脂溶解液乃至分散液に混合してもよい。
−水系媒体−
前記水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。前記混和可能な溶剤としては、例えば、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)などが挙げられる。
前記水系媒体の前記トナー組成物100質量部に対する使用量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常50〜2,000質量部であり、100〜1,000質量部が好ましい。前記使用量が50質量部未満では、トナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。また、前記使用量が2,000質量部を超えると経済的でない。
前記水系媒体中には、無機分散剤乃至有機樹脂微粒子をあらかじめ水系媒体中に分散させていてもよく、粒度分布がシャープになるとともに分散安定性の観点で好ましい。
前記無機分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。
前記有機樹脂微粒子を形成する樹脂としては、水性分散体を形成しうる樹脂であれば、いかなる樹脂であっても使用でき、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよいが、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすいという観点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
水系媒体中への乳化乃至分散の方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。これらの中でも、粒子の小粒径化の観点からは、高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1,000rpm〜30,000rpmであり、5,000rpm〜20,000rpmが好ましい。分散時の温度としては、通常、0℃〜150℃(加圧下)であり、20℃〜80℃が好ましい。
前記トナー組成物に前記結着樹脂前駆体を有する場合、前記結着樹脂前駆体が伸長乃至架橋反応するのに必要な前記活性水素基を有する化合物などを、水系媒体中で前記トナー組成物を分散する前に油相中にあらかじめ混合しておいてもよいし、水系媒体中で混合してもよい。
前記有機溶剤を得られた乳化分散体から除去するためには、公知の方法を使用することができ、例えば、常圧又は減圧下で系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
前記水系媒体中で凝集法を用いる場合は、上記の方法で得られた樹脂微粒子分散液、着色剤分散液、有機変性層状無機鉱物分散液、及び必要ならば離型剤などの分散液を混合し、一緒に凝集させることにより造粒される。樹脂微粒子分散液の種類は、単独でもよいし、二種類以上の樹脂微粒子分散液を加えてもよく、一度に加えてもよいし、何度かに分けて加えてもよい。その他の分散液に関しても同様である。
凝集状態の制御には、熱を加える、金属塩を添加する、pHを調整するなどの方法が好ましく用いられる。
前記金属塩としては特に制限はなく、ナトリウム、カリウム等の塩を構成する一価の金属;カルシウム、マグネシウム等の塩を構成する二価の金属;アルミニウム等の塩を構成する三価の金属などが挙げられる。
前記塩を構成する陰イオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンが挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウムや塩化アルミニウム及びその複合体や多量体が好ましい。
また、凝集の途中や凝集完了後に加熱することで樹脂微粒子同士の融着を促進することができ、トナーの均一性の観点から好ましい。さらに、加熱によりトナーの形状を制御することができ、通常、より加熱すればトナーは球状に近くなっていく。
水系媒体に分散されたトナーの母体粒子を洗浄、乾燥する工程は、公知の技術が用いられる。
即ち、遠心分離機、フィルタープレスなどで固液分離した後、得られたトナーケーキを常温〜約40℃程度のイオン交換水に再分散させ、必要に応じて酸やアルカリでpH調整した後、再度固液分離するという工程を数回繰り返すことにより不純物や界面活性剤などを除去した後、気流乾燥機や循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機などにより乾燥することによってトナー粉末を得る。この際、遠心分離などでトナーの微粒子成分を取り除いてもよいし、また、乾燥後に必要に応じて公知の分級機を用いて所望の粒径分布にしてもよい。
得られた乾燥後のトナー粉体と前記帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などが挙げられる。
装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
(現像剤)
本発明の現像剤は、前記トナーを含んでなり、更に必要に応じて適宜選択した、キャリアなどのその他の成分を含む。
前記現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、前記トナーとキャリアとからなる二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支、即ち、現像剤へのトナー供給と現像によるトナー消費とが行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50emu/g〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75emu/g〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30emu/g〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径としては、平均粒径(重量平均粒径(D50))で、10μm〜200μmが好ましく、40μm〜100μmがより好ましい。前記平均粒径(重量平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー(フッ化三重(多重)共重合体)、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が特に好ましい。
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、一般的に知られているシリコーン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂;アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等で変性したシリコーン樹脂などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、ストレートシリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、信越化学工業株式会社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)などが挙げられる。
なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテートなどが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01質量%〜5.0質量%が好ましい。前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記現像剤が二成分現像剤である場合には、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90質量%〜98質量%が好ましく、93質量%〜97質量%がより好ましい。
前記二成分系現像剤のトナーとキャリアの混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1質量部〜10.0質量部が好ましい。
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、本発明の電子写真用トナーを備える。好ましくは静電潜像担持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記現像手段は、静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する手段であり、前記トナーが本発明のトナーであることを必要とする。
なお、帯電手段と、露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。また、前記現像手段は、内部に固定された磁界発生手段を有し、本発明のトナーを担持して回転可能な現像剤担持体を有している。
<静電潜像担持体>
前記静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記画像形成装置の大きさや仕様等に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン、CdS、ZnO等の無機感光体;ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)などが挙げられる。
<帯電手段>
前記帯電手段は、前記静電潜像担持体表面を帯電させる手段である。
前記帯電手段としては、前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(1)静電潜像担持体と接触して帯電させる接触方式の帯電手段と、(2)静電潜像担持体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段とに大別される。
前記(1)の接触方式の帯電手段としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、磁気ブラシ、ファーブラシ、フィルム、ゴムブレードなどが挙げられる。これらの中でも、前記帯電ローラは、コロナ放電に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、静電潜像担持体の繰り返し使用時における安定性に優れ、画質劣化防止に有効である。
前記(2)の非接触の帯電手段としては、例えば、コロナ放電を利用した非接触帯電器や針電極デバイス、固体放電素子;静電潜像担持体に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。
<露光手段>
前記露光手段は、帯電された前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する手段である。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系などの各種露光器が挙げられる。また、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記現像手段は、例えば、前記トナーを用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナーを収容し、前記静電潜像に前記トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像手段を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
<現像手段>
前記現像手段は、静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する手段であり、前記トナーが本発明のトナーであることを必要とする。
前記現像手段は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよい。また、単色用現手段であってもよいし、多色用現像手段であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に前記トナーを含む現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する現像装置等が好適に挙げられる。
前記現像手段内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
ここで、図3は、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を用いた二成分現像装置の一例を示す概略図である。この図1の二成分現像装置では、二成分現像剤がスクリュー441によって攪拌及び搬送され、現像剤担持体としての現像スリーブ442に供給される。この現像スリーブ442に供給される二成分現像剤は層厚規制部材としてのドクターブレード443によって規制され、供給される現像剤量はドクターブレード443と現像スリーブ442との間隔であるドクターギャップによって制御される。このドクターギャップが小さすぎると、現像剤量が少なすぎて画像濃度不足になり、逆にドクターギャップが大きすぎると、現像剤量が過剰に供給されて静電潜像担持体としての感光体ドラム1上にキャリア付着が発生するという問題が生じる。そこで、現像スリーブ442内部には、その周表面に現像剤を穂立ちさせるように磁界を形成する磁界発生手段としての磁石が備えられており、この磁石から発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤が現像スリーブ442上にチェーン状に穂立ちされて磁気ブラシが形成される。
現像スリーブ442と感光体ドラム1は、一定の間隙(現像ギャップ)を挟んで近接するように配置されていて、双方の対向部分に現像領域が形成されている。現像スリーブ442は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成しており、回転駆動機構(不図示)によって回転されるようになっている。磁気ブラシは、現像スリーブ442の回転によって現像領域に移送される。現像スリーブ442には現像用電源(不図示)から現像電圧が印加され、磁気ブラシ上のトナーが現像スリーブ442と感光体ドラム1間に形成された現像電界によってキャリアから分離し、感光体ドラム1上の静電潜像上に現像される。なお、現像電圧には交流を重畳させてもよい。
前記現像ギャップは、現像剤粒径の5倍〜30倍程度が好ましく、現像剤粒径が50μmであれば0.25mm〜1.5mmに設定することが好適である。これより現像ギャップ広くすると、望ましい画像濃度がでにくくなることがある。
また、前記ドクターギャップは、現像ギャップと同程度か、あるいはやや大きくすることが好ましい。感光体ドラム1のドラム径やドラム線速、現像スリーブ442のスリーブ径やスリーブ線速は、複写速度や装置の大きさ等の制約によって決まる。ドラム線速に対するスリーブ線速の比は、必要な画像濃度を得るために1.1以上にすることが好ましい。なお、現像後の位置にセンサを設置し、光学的反射率からトナー付着量を検出してプロセス条件を制御することもできる。
<転写手段>
前記転写手段は、前記可視像を記録媒体に転写する手段である。
前記転写手段としては、静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に直接転写する転写手段と、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する二次転写手段とに大別され、いずれの転写手段でも特に制限されるものではなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができる。
<定着手段>
前記定着手段は、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる手段である。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有する定着装置が好適に用いられる。前記定着部材としては、互いに当接してニップ部を形成可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せなどが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、無端状ベルトとローラとの組合せや誘導加熱などによる前記定着部材の表面からの加熱方法を用いるのが好ましい。
前記定着手段としては、(1)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する態様(内部加熱方式)と、(2)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する態様(外部加熱方式)とに大別される。なお、両者を組み合わせたものを用いることも可能である。
前記(1)の内部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材それ自体が内部に加熱手段を有するものなどが挙げられる。このような加熱手段としては、例えば、ヒーター、ハロゲンランプ等の熱源が挙げられる。
前記(2)の外部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材の少なくとも1つにおける表面の少なくとも一部が加熱手段により加熱される態様が好ましい。このような加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電磁誘導加熱手段などが挙げられる。前記電磁誘導加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁場を発生する手段と、電磁誘導により発熱する手段とを有するものなどが好ましい。前記電磁誘導加熱手段としては、例えば、前記定着部材(例えば、加熱ローラ)へ近接するように配置される誘導コイルと、この誘導コイルが設けられている遮蔽層と、この遮蔽層の誘導コイルが設けられている面の反対側に設けられている絶縁層とからなるものが好適に挙げられる。このとき、前記加熱ローラは、磁性体からなる態様、ヒートパイプである態様などが好ましい。前記誘導コイルは、前記加熱ローラの、前記加熱ローラと前記定着部材(例えば、加圧ローラ、無端状ベルト等)との接触部位の反対側において、少なくとも半円筒部分を包む状態にて配置されるのが好ましい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
また、以下の記載における部は質量部を意味する。
<製造例1>[結晶性ポリエステルユニット(c−1)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、セバシン酸763.1部、1,4−ブタンジオール509.3部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミテート)1部を投入し、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら窒素気流下で生成する水と1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水と1,4−ブタンジオールを留去しながら反応させ、Mwが10,000になった時点で取り出し、結晶性ポリエステルユニット(c−1)を得た。
<製造例2>[結晶性ポリエステルユニット(c−2)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、セバシン酸685.5部、1,6−ヘキサンジオール434.6部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミテート)1部を投入し、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水を留去しながら反応させ、酸価が2以下になった時点で取り出し、結晶性ポリエステルユニット(c−2)を得た。
<製造例3>[結晶性ポリエステルユニット(c−3)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、セバシン酸685.5部、1,6−ヘキサンジオール434.6部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミテート)1部を投入し、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水を留去しながら反応させ、酸価が2以下になった時点で取り出し、結晶性ポリエステルユニット(c−3)を得た。
<製造例4>[結晶性ポリエステルユニット(c−4)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、セバシン酸641.6部、1,6−ヘキサンジオール327.9部、1,4−ブタンジオール142.8部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミテート)1部を投入し、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら窒素気流下で生成する水と1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水と1,4−ブタンジオールを留去しながら反応させ、Mwが14,200になった時点で取り出し、結晶性ポリエステルユニット(c−4)を得た。
<製造例5>[結晶性ポリエステルユニット(c−5)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、ドデカン二酸881.0部、エチレングリコール474.8部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミテート)1部を投入し、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら窒素気流下で生成する水とエチレングリコールを留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水とエチレングリコールを留去しながら反応させ、Mwが12,000になった時点で取り出し、結晶性ポリエステルユニット(c−5)を得た。
<製造例6>[結晶性ポリエステルユニット(c−6)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、セバシン酸656.2部、1,6−ヘキサンジオール335.4部、1,3−プロパンジオール123.3部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミテート)1部を投入し、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら窒素気流下で生成する水と1,3−プロパンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水と1,3−プロパンジオールを留去しながら反応させ、Mwが12,700になった時点で取り出し、結晶性ポリエステルユニット(c−6)を得た。
<製造例7>[結晶性樹脂(C−1)の製造]
撹拌装置、温度計、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、窒素を導入しながら結晶性ポリエステルユニット(c−1)325.9部、ビスフェノールA・PO2モル付加物93.9部、酢酸エチル498.6部を投入して70℃まで昇温し、同温度で2時間撹拌して溶解させた後、この溶液中の水分量が0.09質量%になるように水を加えた。この溶液に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート178.7部を投入し、80℃で5時間反応させた後、酢酸エチルを除去して結晶性樹脂(C−1)を得た。抵抗値はLogR=10.2であった。また、この樹脂の軟化温度Tbと融解熱のピーク温度Taを測定したところ、Tb/Taは0.8〜1.55の範囲となった。
<製造例8>[結晶性樹脂(C−2)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、ビスフェノールA・PO2モル付加物146.5部、酢酸エチル247.9部を投入し、この溶液中の水分量が0.09質量%になるように水を加えた。この溶液にイソホロンジイソシアネート105.5部を投入し、90℃で15時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する非結晶性ユニット(c’−1)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた別の反応容器に、結晶性ポリエステルユニット(c−2)250.0部、酢酸エチル250.0部を投入して70℃に昇温し、同温度で2時間撹拌して溶解させた後、この溶液中の水分量が0.10質量%になるように水を加えた。次いで70℃で(c’−1)200部を投入し、90℃に昇温して15時間反応させた後、酢酸エチルを除去して結晶性樹脂(C−2)を得た。抵抗値はLogR=9.7であった。また、この樹脂の軟化温度Tbと融解熱のピーク温度Taを測定したところ、Tb/Taは0.8〜1.55の範囲となった。
<製造例9>[結晶性樹脂(C−3)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、1,2−プロピレングリコール22.2部、酢酸エチル99.5部を投入し、この溶液中の水分量が0.07質量%になるように水を加えた。この溶液にイソホロンジイソシアネート78.4部を投入し、90℃で15時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する非結晶性ユニット(c’−2)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた別の反応容器に、結晶性ポリエステルユニット(c−3)325.9部、酢酸エチル399.9部を投入して70℃に昇温し、同温度で2時間撹拌して溶解させた後、この溶液中の水分量が0.10質量%になるように水を加えた。次いで70℃で(c’−2)200部を投入し、90℃に昇温して15時間反応させた後、酢酸エチルを除去して結晶性樹脂(C−3)を得た。抵抗値はLogR=10.7であった。また、この樹脂の軟化温度Tbと融解熱のピーク温度Taを測定したところ、Tb/Taは0.8〜1.55の範囲となった。
<製造例10>[結晶性樹脂(C−4)の製造]
撹拌装置、温度計、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、窒素を導入しながら結晶性ポリエステルユニット(c−4)471.5部、テトラヒドロフラン500.0部を投入し、70℃に昇温後、同温度で2時間撹拌して溶解させた後、この溶液中の水分量が0.23質量%になるように水を加えた。次いで70℃でこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート26.3部を投入し、80℃に昇温して5時間反応させた後、テトラヒドロフランを除去して結晶性樹脂(C−4)を得た。抵抗値はLogR=11.2であった。また、この樹脂の軟化温度Tbと融解熱のピーク温度Taを測定したところ、Tb/Taは0.8〜1.55の範囲となった。
<製造例11>[結晶性樹脂(C−5)の製造]
撹拌装置、温度計、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、窒素を導入しながら結晶性ポリエステルユニット(c−5)374.9部、2,2−ジメチロールプロピオン酸44.1部、メチルエチルケトン499.4部を投入し、70℃に昇温後、同温度で2時間撹拌して溶解させた後、この溶液中の水分量が0.09質量%になるように水を加えた。次いで70℃でこの溶液にイソホロンジイソシアネート81.4部を投入し、90℃に昇温して20時間反応させた後、メチルエチルケトンを除去して結晶性樹脂(C−5)を得た。抵抗値はLogR=10.4であった。また、この樹脂の軟化温度Tbと融解熱のピーク温度Taを測定したところ、Tb/Taは0.8〜1.55の範囲となった。
<製造例12>[結晶性樹脂(C−6)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、1,4−シクロヘキサンジメタノール38.7部、テトラヒドロフラン99.5部を投入し、この溶液中の水分量が0.07質量%になるように水を加えた。この溶液にキシリレンジイソシアネート62.1部を投入し、80℃に昇温後同温度で5時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する非結晶性ユニット(c’−3)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた別の反応容器に、結晶性ポリエステルユニット(c−6)399.9部、テトラヒドロフラン399.9部を投入し、70℃に昇温し、同温度で2時間撹拌して溶解させた後、この溶液中の水分量が0.11質量%になるように水を加えた。次いで70℃で(c’−3)347.9部を投入し、80℃に昇温して3時間反応させた後、テトラヒドロフランを除去して結晶性樹脂(C−6)を得た。抵抗値はLogR=10.5であった。また、この樹脂の軟化温度Tbと融解熱のピーク温度Taを測定したところ、Tb/Taは0.8〜1.55の範囲となった。
<製造例13>[結晶性樹脂(C−7)の製造]
撹拌装置、温度計、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、窒素を導入しながら結晶性ポリエステルユニット(c−1)477.1質量部、酢酸エチル500.0質量部を投入し、70℃に昇温し、同温度で2時間撹拌して溶解させた後、この溶液中の水分量が0.02質量%になるように水を加えた。次いで70℃でこの溶液に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート22.9部を投入し、80℃に昇温して5時間反応させた後、酢酸エチルを除去して結晶性樹脂(C−7)を得た。抵抗値はLogR=10.9であった。また、この樹脂の軟化温度Tbと融解熱のピーク温度Taを測定したところ、Tb/Taは0.8〜1.55の範囲となった。
<製造例14>[非結晶性樹脂(A−1)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、ビスフェノールA・PO2モル付加物115.3部、ビスフェノールA・EO2モル付加物614.0部、イソフタル酸188.2部、アジピン酸119.9部及び縮合触媒としてジブチルチンオキサイド1部を投入し、常圧で230℃に昇温し、同温度で5時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で2時間反応させた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸32.3部を加え、常圧密閉下で2時間反応後室温まで冷却し非結晶性樹脂(A−1)を得た。(A−1)のTgは50℃、Mwは12,000、水酸基価は20、抵抗値はLogR=11.7であった。また、融解熱のピークTaは現れなかった。
製造例1〜6で得られた結晶性ポリエステルユニット(c−1)〜(c−6)、製造例14で得られた非結晶性樹脂(A−1)の組成、物性値を表1に示す。
Figure 2014092605
製造例7〜14で得られた結晶性樹脂(C−1)〜(C−7)、非結晶性樹脂(A−1)の組成と物性値を表2に示す。
Figure 2014092605
<製造例15>[前駆体(B−0)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、(c−2)452部、酢酸エチル500部を投入し、60℃に昇温し、同温度で2時間撹拌して溶解させた後、この溶液中の水分量が0.06質量%になるように水を加えた。次いで60℃でトリレンジイソシアネート48部を投入して80℃に昇温し、同温度で1時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する前駆体(B−0)の酢酸エチル溶液を得た。(B−0)のMwは14,000、融解熱の最大ピーク温度は60℃、イソシアネート含有率は1.0質量%であった。
<製造例16>[微粒子分散液1の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、水690.0部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩「エレミノールRS−30」[三洋化成工業(株)製]9.0部、スチレン90.0部、メタクリル酸90.0部、アクリル酸ブチル110.0部及び過硫酸アンモニウム1.0部を投入し、350回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。次いで75℃に昇温し、同温度で5時間反応させた。更に、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の[微粒子分散液1]を得た。微粒子分散液1中に分散されている粒子の体積平均粒径を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA−920」[(株)堀場製作所製]を用いて測定したところ、0.1μmであった。[微粒子分散液1]の一部を取り出し、Tg及びMwを測定したところ、Tgは65℃、Mwは150,000であった。
<製造例17>[微粒子分散液2の製造]
撹拌機及び温度計を備えた反応装置に、エチレングリコールとセバシン酸からなるポリエステルジオール(水酸基価44)379.7部、2,2−ジメチロールプロピオン酸26.9部、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸2.4部、イソホロンジイソシアネート76部及びアセトン500部を、窒素を導入しながら投入した。その後90℃に加熱し、40時間かけてウレタン化反応を行い、ヒドロキシル基を末端に有する結晶性ウレタン樹脂(C−8)のアセトン溶液を製造した。(C−8)のNCO含有率は0質量%であった。
撹拌機、温度計、脱溶剤装置を備えた反応装置に、デカン1,800部を投入し、40℃に昇温した。次いで撹拌下、40℃にした製造例17で得られた(C−8)のアセトン溶液836部を投入し、(C−8)を乳化させ、アセトンを留去し、(C−8)からなる微粒子分散液2を得た。微粒子分散液2の体積平均粒径を「ELS−800」で測定したところ、0.20μmであった。
<製造例18>[着色剤分散液の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、プロピレングリコール557部(17.5モル部)、テレフタル酸ジメチルエステル569部(7.0モル部)、アジピン酸184部(3.0モル部)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を投入し、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール及び水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下に1時間反応させた。回収されたプロピレングリコールは175部(5.5モル部)であった。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸121部(1.5モル部)を加え、常圧密閉下で2時間反応後、220℃、常圧で軟化点が180℃になるまで反応させ、ポリエステル樹脂(Mn=8,500)を得た。
ビーカーに、銅フタロシアニン20部と着色剤分散剤「ソルスパーズ28000」[アビシア(株)製]4部、得られたポリエステル樹脂20部及び酢酸エチル56部を投入し、撹拌して均一分散させた後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散して、着色剤分散液を得た。着色剤分散液の「LA−920」で測定した体積平均粒径は0.2μmであった。
<製造例19>[変性ワックスの製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、キシレン454部、低分子量ポリエチレン 「サンワックス LEL−400」[軟化点:128℃、三洋化成工業(株)製]150部を投入し、窒素置換後撹拌下170℃に昇温し、同温度でスチレン595部、メタクリル酸メチル255部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34部及びキシレン119部の混合溶液を3時間かけて滴下し、更に同温度で30分間保持した。次いで0.039MPaの減圧下でキシレンを留去し、変性ワックスを得た。変性ワックスのグラフト鎖のSP値は10.35(cal/cm1/2、Mnは1,900、Mwは5,200、Tgは56.9℃であった。
<製造例20>[離型剤分散液の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、パラフィンワックス「HNP−9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精鑞(株)製]10部、製造例19で得られた変性ワックス1部及び酢酸エチル33部を投入し、撹拌下78℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、1時間かけて30℃まで冷却してパラフィンワックスを微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミル(アイメックス製)で湿式粉砕し、離型剤分散液を得た。体積平均粒径は0.25μmであった。
<製造例21>[樹脂溶液(D−1)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−1)100部及び酢酸エチル153部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−1)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−1)を得た。
<製造例22>[樹脂溶液(D−2)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−1)85部、非結晶性樹脂(A−1)15部及び酢酸エチル153部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−1)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−2)を得た。
<製造例23>[樹脂溶液(D−3)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−1)70部、非結晶性樹脂(A−1)30部及び酢酸エチル153部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−1)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−3)を得た。
<製造例24>[樹脂溶液(D−4)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−2)70部、非結晶性樹脂(A−1)30部及び酢酸エチル153部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−2)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−4)を得た。
<製造例25>[樹脂溶液(D−5)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−1)100部及び酢酸エチル153部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−1)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−5)を得た。
<製造例26>[樹脂溶液(D−6)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−1)85部、前駆体(B−0)溶液30部及び酢酸エチル138部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−1)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−6)を得た。
<製造例27>[樹脂溶液(D−7)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−1)35部、結晶性樹脂(C−3)50部、前駆体(B−0)溶液30部及び酢酸エチル138部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−1)、(C−3)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−7)を得た。
<製造例28>[樹脂溶液(D−8)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−4)85部、前駆体(B−0)溶液30部及び酢酸エチル138部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−4)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−8)を得た。
<製造例29>[樹脂溶液(D−9)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−5)95部、前駆体(B−0)溶液10部及び酢酸エチル148部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−5)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−9)を得た。
<製造例30>[樹脂溶液(D−10)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−5)85部、前駆体(B−0)溶液30部及び酢酸エチル138部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−5)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−10)を得た。
<製造例31>[樹脂溶液(D−11)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−6)85部、前駆体(B−0)溶液30部及び酢酸エチル138部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−6)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−11)を得た。
<製造例32>[樹脂溶液(D−12)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−6)75部、前駆体(B−0)溶液50部及び酢酸エチル128部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−6)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−12)を得た。
<製造例33>[樹脂溶液(D−13)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−7)75部、非結晶性樹脂(A−1)10部、前駆体(B−0)溶液30部及び酢酸エチル138部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−7)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−13)を得た。
<製造例34>[樹脂溶液(D−14)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−1)100部及び酢酸エチル153部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−1)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−14)を得た。
<製造例35>[樹脂溶液(D’−1)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−2)85部、非結晶性樹脂(A−1)15部及び酢酸エチル153部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−2)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D’−1)を得た。
<製造例36>[樹脂溶液(D’−2)の製造]
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、非結晶性樹脂(A−1)100部及び酢酸エチル153部を投入し、撹拌して非結晶性樹脂(A−1)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D’−2)を得た。
<製造例37>[樹脂溶液(D’−3)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−2)90部、非結晶性樹脂(A−1)10部及び酢酸エチル153部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−2)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D’−3)を得た。
<製造例38>[樹脂溶液(D’−4)の製造]
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30部、離型剤分散液140部、結晶性樹脂(C−2)100部及び酢酸エチル153部を投入し、撹拌して結晶性樹脂(C−2)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D’−4)を得た。
製造例21〜38で得られた樹脂溶液(D−1)〜(D−14)、(D’−1)〜(D’−4)の組成を表3に示す。表3において各成分の単位は質量部である。
Figure 2014092605
<実施例1>〔トナー(S−1)の製造〕
ビーカーに、イオン交換水170.2部、[微粒子分散液1]1.7部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]36部及び酢酸エチル15.3部を投入し、撹拌して均一に溶解した。次いで50℃に昇温し、同温度でTKオートホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、樹脂溶液(D−1)75部を投入し2分間撹拌した。次いでこの混合液を撹拌機及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で濃度が0.5質量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、トナー粒子の水性樹脂分散体を得た。次いで洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5質量%以下として、トナー粒子を得た。次いで、トナー粒子10部にコロイダルシリカ「アエロジルR972」[日本アエロジル(株)製]0.05部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(S−1)を得た。
<実施例2〜13、比較例1〜4>〔トナー(S−2)〜(S−13)、(S’−1)〜(S’−4)の製造〕
実施例1において、樹脂溶液(D−1)75部を、それぞれ樹脂溶液(D−2)〜(D−13)、(D’−1)〜(D’−4)75部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー(S−2)〜(S−13)、(S’−1)〜(S’−4)を得た。
また、トナー(S−5)、(S−8)については、実施例1において洗浄し濾別したトナー15部に対し水90部を加えて、これに、フッ素化処理剤(フタージェント310:ネオス社製)を0.0005部分散させることで、トナー粒子表面にフッ素化合物を付着させた後、遠心脱水装置により、濾別する操作を再び行い、ケーキ状物を得た。その後は(S−1)と同様にしてトナー(S−5)、(S−8)を得た。
<実施例14>
図4の実験装置において、まずバルブV1、V2を閉じ、ボンベB2、ポンプP4から粒子回収槽T4に二酸化炭素(純度99.99体積%)を導入し、14MPa、40℃に調整した。また溶液タンクT1に樹脂溶液(D−14)を入れ、40℃に調整し、微粒子分散液タンクT2に[微粒子分散液2]を投入し、40℃に調整した。次いでボンベB1、ポンプP3から二酸化炭素を分散槽T3に導入し、9MPa、40℃に調整し、更にタンクT2、ポンプP2から[微粒子分散液2]を導入した。次いで分散槽T3の内部を2,000rpmで撹拌しながら、タンクT1、ポンプP1から樹脂溶液(D−14)を分散槽T3内に導入した。導入後のT3内部の圧力は14MPaであった。
分散槽T3へ投入した各成分の質量比は以下の通りである。
樹脂溶液(D−14) 75部
[微粒子分散液2] 1.7部
二酸化炭素 125部
なお、導入した二酸化炭素の部は、二酸化炭素の温度(40℃)、及び圧力(15MPa)から二酸化炭素の密度を下記文献2に記載の状態式から算出し、これに分散槽T3の体積を乗じることにより算出した。
文献2:Journal of Physical and Chemical Refarence data、vol.25、P.1509〜1596
T3内の混合液を1分間撹拌し分散体を得た。次いでバルブV1を開き、P3からT4内に二酸化炭素を導入した後、分散体をT4内に導入し、この間圧力が一定に保たれるように、V2の開度を調節した。この操作を30秒間行い、V1を閉めた。この操作によりT4内に導入された樹脂溶液(D−14)から有機溶剤を除去した。有機溶剤の含有率は45質量%であった。更にT4を57℃に昇温し、同温度で10分間保持した。その後T4を40℃まで冷却した。次いで圧力ボンベB2、ポンプP4から粒子回収槽T4に二酸化炭素を導入しつつ圧力調整バルブV2の調整により圧力を14MPaに保持することにより、有機溶剤を含む二酸化炭素を溶剤トラップ槽T5に排出すると共に、トナー(S−14)をフィルターF1に捕捉した。圧力ボンベB2、ポンプP4から粒子回収槽T4に二酸化炭素を導入する操作は、上記の分散槽T3に導入した二酸化炭素質量の5倍量を粒子回収槽T4に導入した時点で二酸化炭素の導入を停止した。この停止の時点で、有機溶剤を含む二酸化炭素を、溶剤を含まない二酸化炭素で置換すると共にトナー(S−14)をフィルターF1に捕捉する操作は完了した。更に、圧力調整バルブV2を少しずつ開き、粒子回収槽T4内を大気圧まで減圧し、トナー(S−14)を得た。
得られたトナーについて、以下の評価を行った。
[1]疎水化度
(メタノール疎水化度の測定)
トナーのメタノール疎水化度(降下開始点)は、粉体濡れ性試験機(WET−100P、レスカ社製)を用いて測定することができる。100mlのビーカーに純水(イオン交換水または市販の精製水)42mlとメタノール18mlを入れ、ふたをして超音波分散器を用いて均一分散させる。均一分散したメタノール水溶液中に、トナー0.5gを精秤して添加し、スターラーを250rpmさせながら撹拌し、更にメタノールを1.3ml/minで添加していく。水溶液にトナーが沈降、分散しはじめると溶液の透過度が低下するので、この時の、総メタノール/(総メタノール+水)の割合(%)を、トナー疎水化度の降下開始点とする。トナーの疎水化度が10%〜40%であるトナーを○(合格判定)、それ以外の範囲となったものを×(不合格判定)とした。
[2]体積固有抵抗R(Ω・cm)の常用対数値LogR
(樹脂およびトナーの抵抗値の測定法)
ガード電極を有する直径φ18mmの円筒状の電極をもつ容器に、試料となる樹脂またはトナーを3.0g計量し、荷重6000MPaを印加し加圧整形しペレットを作成した。また、当該電極を使用して交流ブリッジ型の抵抗測定装置(安藤電気製TR−10C型)を用い周波数1KHzにおける体積固有抵抗R(Ω・cm)を求め、logRを求めた。
各々のトナーの抵抗値について、判定基準を以下のようにした。
○:抵抗値Rの対数値LogRが9.5以上10.7以下
×:上記LogRが9.5未満、もしくは10.7を超える
[3]初期帯電量、経時帯電量
(帯電量の検査)
各々のトナーを使用した現像剤については、ブローオフ法にて帯電量を測定した。初期帯電量は、画像形成装置に予めセットされている、未使用の現像剤を取り出して測定した。また、経時帯電量については、未使用の現像剤50gを50mLのバイアル瓶に投入してペイントシェイカー(浅田鉄工株式会社製)にセットし60分間撹拌した後の現像剤を測定した。これらの現像剤を目開き25μmのメッシュを両底面に持つ直径3cmの円筒金属容器に0.5g入れ、片方のメッシュから空気をブローし、片方のメッシュから空気を吸引し、このとき発生する電荷量が測定できるように、円筒金属容器と並列に接続した電荷量測定装置の数値から、単位質量あたりの電荷量を帯電量(μC/g)として測定した。このときの初期帯電量の絶対値が20μC/g以上50μC/g未満であれば○、50μg以上、20μC/g未満であれば×判定とした。
また、60分後の帯電量についても同様に測定し、変化量の絶対値が10μC/g未満であれば○、10μc/g以上であれば×とした。
[4]画像の検査
上記手法にて得られたトナーをimagio MP C4300(リコー社製)に使用されているキャリアとトナー濃度5質量%となるように混合し、該画像形成装置のブラックユニットに現像剤質量180gとなるように投入した。
この現像剤を用いて、A4サイズの用紙(T6000 70W T目、リコー社製)に面積率20%の単色画像をトナー量が0.40mg/cm2となるように出力し、定着画像を出力し、このとき転写ムラやカブリなどの異常画像が発生しているかどうかを目視により確認した。トナーの画質合否判定について、
○:異常画像が発生しない
×:異常画像が発生する
[5]総合判定
抵抗LogR、初期帯電量、異常画像全ての検査項目が○であったトナーを合格とし、1項目でも×であったトナーは不合格判定とした。
トナー(S−1)〜(S−14)、(S’−1)〜(S’−4)について評価結果を表4に示す。
Figure 2014092605
本検討の結果、実施例で作成したトナーは合格、比較例で作成したトナーは不合格判定になったことから、本発明のトナーの効果が明らかになった。
1 感光体ドラム
441 スクリュー
442 現像スリーブ
443 ドクターブレードB1、B2 ボンベ
F1 フィルター
P1、P2、P3、P4 ポンプ
T1 溶液タンク
T2 微粒子分散液タンク
T3 分散槽
T4 粒子回収槽
T5 溶剤トラップ槽
V1、V2 バルブ
特公平4−024702号公報 特公平4−024703号公報 特許第3910338号公報 特開2010−077419号公報 特許第3360527号公報 特許第4244641号公報 特許第4134707号公報

Claims (11)

  1. 少なくとも結着樹脂と着色剤とを含む電子写真用トナーであって、
    前記結着樹脂として結晶性樹脂を含み、
    前記トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/((C)+(A))が、0.10以上であり、
    前記トナーの体積固有抵抗R(Ω・cm)の常用対数値LogRが9.5〜10.7であり、前記トナーの現像剤中の帯電量の絶対値が20〜50μC/gである
    ことを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 前記電子写真用トナーの、現像剤中の現像剤中の初期帯電量と60分攪拌後の帯電量との差が、10μC/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
  3. 前記電子写真用トナーのメタノール滴下法における疎水化度が10%〜40%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用トナー。
  4. 前記電子写真用トナーは、無機フィラーを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  5. 前記電子写真用トナーは、表面をフッ素処理されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  6. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂であること特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  7. 前記結晶性樹脂が、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  8. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットとポリウレタンユニットを有する共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  9. 前記結晶性樹脂として、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂を、前記結着樹脂に対して50質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  10. 前記結晶性樹脂として、第1の結晶性樹脂と、該第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂と、を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真用トナーを備えることを特徴とする画像形成装置。
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