JP5424069B2 - トナー、二成分現像剤、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

トナー、二成分現像剤、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の静電複写プロセスの画像形成に用いられるトナー、二成分現像剤、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
電子写真方式による画像形成装置を利用するプリンタやMFPは、近年環境に配慮したものが求められており、例えば、プリンタやMFPが消費する電力を抑えることでCO排出量を削減することや、原材料としてバイオマスマテリアルを活用することでカーボンニュートラルに近づけることなどが試みられている。このような背景において、電子写真用トナーとしては定着温度を下げることが望まれており、例えばトナーに用いられる結着樹脂として、定着時の加熱により瞬時に溶融するような結晶性樹脂を添加することが提案されている。またさらには、結着樹脂として結晶性樹脂を主成分として用いる方法も既に知られている。
しかしながら、今までの結晶性樹脂を主成分として用いられるトナーにおいては、帯電の環境変動が大きく、また確かに加熱により瞬時に溶融するものの、トナーの定着性としては不十分である問題があった。
特許文献1には、低温定着性及び耐ブロッキング性に優れた樹脂粒子を提供する目的で、特定の貯蔵弾性率および損失弾性率を有する結晶性微粒子について開示され、さらに用いられる結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル部と非結晶性ポリウレタン部とで構成されるブロック樹脂が使用できることが開示されている。
前記のブロック樹脂は、主鎖中にウレタン結合を有する結晶性樹脂を使用しており、結晶性ポリエステル部をウレタン結合で連結することで結晶性樹脂を高分子量体とし、その結果トナーの粘弾性プロファイルにおいて温度に対して粘弾性の低下を抑えることができるようになり定着可能温度域を広くすることを可能としている。しかしながら、結晶性樹脂を主成分として用いられるトナーにおける従来の課題である、帯電の環境変動が大きく定着性は不十分であるという問題は解消できていない。
本発明は、少なくとも結着樹脂として結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、十分な帯電量を有し、帯電の環境変動が小さく、定着性能を十分に発揮させることを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
少なくとも結着樹脂として結晶性樹脂を有するトナーにおいて、
該トナーのTHF可溶分の重量平均分子量が20,000以上であり、
メタノール濡れ性試験における50%濡れ性(W(50%))が20(vol%)以上であることを特徴とするトナー。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂として結晶性樹脂を有するトナーであり、十分な帯電量を有し、帯電の環境変動が小さく、定着性能を十分に発揮させることができる。
(a)は本発明のトナーのX線回折スペクトルであり、(b)は(a)に示すX線回折スペクトル全体のフィッティング関数を示す図である。 本発明のトナーを用いる画像形成装置における二成分現像手段の一例を示す概略図である。 本発明のトナーを用いるプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 実施例1で得たトナーの走査電子顕微鏡写真の画像を示す図である。 比較例1で得たトナーの走査電子顕微鏡写真の画像を示す図である。 比較例4で得たトナーの走査電子顕微鏡写真の画像を示す図である。 液柱共鳴液滴形成手段の構成を示す断面図である。 液柱共鳴液滴ユニットの構成を示す断面図である。 吐出口の断面図である。 液柱共鳴液滴形成手段の別構成を示す断面図である。 トナー製造装置の概略図である。
本発明の実施の形態について以下詳細に説明する。
本発明のトナーは少なくとも結着樹脂として結晶性樹脂を有するトナーにおいて、トナーのTHF可溶分の重量平均分子量が20,000以上、100,000以下であり、メタノール濡れ性試験における50%濡れ性(W(50%))が20(vol%)以上であり、前記トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/((C)+(A))が、0.15以上であることを特徴としている。
トナーが低温定着性を発現するためには、定着温度が低くても十分に溶融して低粘度化し紙などの被印刷媒体に接着しなくてはならない。その一方でトナーには耐熱保存性も必要であり、保存保証温度域の上限においてもトナーは軟化することがあってはならない。つまり、低温定着性と耐熱保存性の両立を考えた場合の理想的なトナーの熱特性は、保存保証温度域の上限までは溶融することがなく、その温度を越えると瞬時に溶融・低粘度化し紙などに接着するような特性、いわゆるシャープメルト性と呼ばれる性質である。このような特性を有するトナーを得るためにはシャープメルト性を有する樹脂を結着樹脂として用いればよい。シャープメルト性を有する樹脂としては結晶性樹脂が知られている。結晶性樹脂は、結晶状態にあるときは当然固体であるが、温度を上げていくと融解により瞬時に低粘度化するため、融解する温度(つまり融点)を好適な範囲に設定すれば理想的なトナー用の結着樹脂となりうる。
ただし、溶融した後の粘弾性が著しく低下してしまう、つまりトナーの内部凝集力が低すぎると、定着時に定着ローラや定着ベルトといった加熱部材と紙との間で溶融したトナーが分かれてしまう、いわゆるホットオフセット現象が発生し印刷画像品位を著しく損ねるため、溶融後におけるトナーの内部凝集力はある程度担保される必要がある。内部凝集力を担保する手段としては、結着樹脂の分子鎖を長く設定する方法があり、具体的にはトナーのTHF可溶分の重量平均分子量を20,000以上に設定することでホットオフセット現象を抑制することができる。
さて、結晶性樹脂の結晶構造は、低分子量化合物の単結晶と比較すると樹脂の一つ一つの分子が長く大きいため、通常は完全に秩序だった結晶状態になることはなく周期的な折りたたみ構造からなる面が幾重にも重なったラメラ層が非秩序性を持ちながら存在している。周期的な折りたたみ構造そのものは分子間力のはたらく点が多いため硬いものの非秩序な部位やその周囲の部分的な非結晶部位、あるいはラメラ相間などが外力により移動、変形しやすい。従来のトナー用樹脂として広く用いられている非結晶性樹脂のように粉砕して数μmオーダーの粒子を得ようとしても粉砕にかかる力は樹脂の変形に費やされてしまうため、結晶性樹脂が主成分であるような場合粉砕法によってトナーを製造することは非常に困難である。
従ってこのような樹脂構成のトナーは溶解懸濁法、溶融懸濁法、凝集法等により水系媒体中で造粒、製造されることになる。
本発明者らが検討を進めた結果、結晶性樹脂を結着樹脂の主成分として用いた従来公知のトナーにおいて帯電の環境変動が大きいのは、このような樹脂構成のトナーは前述のとおり水系媒体中にて製造されるものであり、トナー表面にカルボキシル基などの高極性の官能基を有する物質が存在しやすいことが原因と考えられた。
そこでトナーのメタノール濡れ性試験における50%濡れ性(W(50%))を20(vol%)以上とすることで、十分な帯電量を確保し、帯電の環境変動性を抑えられるものと考えられる。35(vol%)以上であると、更に低温定着性が優れるためより好ましい。
また、結晶性樹脂としてはウレタン結合を有する結晶性樹脂は、例えば結晶性ポリエステル構造を有するポリマーをイソシアネートなどを用いて連結・伸長することにより、高分子量体の結晶性樹脂を得ることができ、このような結晶性樹脂を結着樹脂の主成分として用いたトナーは広い定着温度幅を有するため、電子写真用トナーとして定着プロセス設計に自由度が大きいものとあるため好ましい。
さらに、水系媒体中において少なくとも結着樹脂として結晶性樹脂を主成分として有するトナーを造粒する工程、前記トナーを洗浄する工程、洗浄されたトナーを乾燥して水分を除去する工程を含む水系媒体中にて結晶性樹脂を主成分とするトナーを製造する方法において、前記の洗浄する工程においてpHをアルカリ条件下或いは酸性条件下にして加熱を行う工程が含まれることにより、十分な帯電量を確保し、帯電の環境変動性が抑えられ、定着下限温度も下げることができる。
上記の方法で得られた樹脂粒子には、樹脂粒子のほか、界面活性剤などの分散剤などの副材料が含まれているので、これらを除去すると共に樹脂粒子表面に存在する高極性の物質を取り除くために洗浄を行う。これにより、トナーのメタノール濡れ性を抑えることができる。
特に高極性の物質がイオン性のものである場合にはそのイオン解離がおきやすい条件を選択するのが良く、アニオン性界面活性剤やカルボキシル基やスルホン酸基などを有する樹脂微粒子の除去にはアルカリ環境が、リン酸カルシウムのような分散剤を有する場合は酸環境がよい。
上記の製造方法によってトナーの十分な帯電量を確保し、帯電の環境変動性が抑えられるのは、アルカリ条件下で加熱することにより、トナー表面に存在するカルボキシル基などの高極性の官能基を有する物質が水系媒体中に溶出、拡散してトナーから除去され、その結果トナー表面の疎水性が向上するためであると考えられる。また、定着下限温度が下がる理由については定かではないが、トナー表面に存在する高極性の官能基を有する物質が特に高分子量である場合などはこれが除去されることで定着阻害因子が取り除かれたためであると考えられ、それ以外にも、アルカリ条件下での加熱が結着樹脂に僅かながら加水分解を起こさせることで帯電性に悪影響を及ぼさない範囲で適度な極性を結着樹脂に付与し、定着性が向上したことなどが考えられる。
それに加え、イソシアネート基を有する結晶性樹脂プレポリマーを使用するようなトナーの製造方法においては最高定着温度も高くなり定着可能温度幅がさらに広がる。この理由としては、プレポリマーを用いる製造方法においてはプレポリマーが他のプレポリマーなどと高分子量化あるいは網目構造化する反応がアルカリ条件下での加熱で促進されるためではないかと考えられる。
なお、本発明でのアルカリ条件下或いは酸性条件下の加熱処理は、結晶性樹脂が主成分である場合の他、結晶性樹脂が主成分ではなくてもトナー粒子の表面が結晶性樹脂により覆われている場合にも有効である。ただし、低温定着性の観点からは結晶性樹脂を主成分とするほうが好ましい。一方、トナー粒子の表面が非結晶性の樹脂である場合は高極性の官能基を有する物質は除去できるものの、アルカリ加熱条件下では非結晶性樹脂が加水分解によるエステル切断も起こし樹脂特性の顕著な変化や可塑化による多孔化が生じ、例えばトナー表面積が非常に大きくなるため帯電性の環境変動幅の増大、耐熱保存性の悪化が生じるため本処理の適用は困難である。
また、例えば水系媒体中において少なくとも結着樹脂として結晶性樹脂を主成分として有するトナーを造粒する工程、前記トナーを洗浄する工程、洗浄されたトナーを乾燥して水分を除去する工程を含む水系媒体中にて結晶性樹脂を主成分とするトナーを製造する方法において、水系媒体中や結着樹脂などからカルボキシル基などの高極性の官能基を有する物質を極力排除することでも本願発明のトナーを得ることができる。水系媒体における極性物質としては界面活性剤、高極性の高分子分散剤、樹脂微粒子、増粘剤などが挙げられる。トナー収率・コスト等の観点ではアルカリ加熱処理を行なう前者の方法が好ましい。
一方、トナーを水中での造粒、製造を行わない方法、例えば少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー組成物を含むトナー組成液を、貫通孔より吐出し液滴化するトナーの製造方法によって得られたトナーにおいて、そのトナーのメタノール濡れ性試験における50%濡れ性(W(0%))を20(vol%)以上とすることでも、十分な帯電量を確保し、帯電の環境変動性を抑えられるものと考えられる。
上記の製造方法によってトナーの十分な帯電量を確保し、帯電の環境変動性が抑えられるのは、トナーを構成する各材料を水中で造粒、製造を行わないことにより、トナー中に存在するカルボキシル基などの高極性の官能基を有する物質がトナー表面に存在しにくくなり、その結果トナー表面の疎水性が向上するためであると考えられる。
トナー組成液は上記トナー成分が溶媒に溶解又は分散させた液体状態であるか、または吐出させる条件下で液体であれば溶媒を含まなくてもよく、トナー成分の一部または全てが溶融した状態で混合され液体状態を呈しているものである。
トナー材料としては、上記のトナー組成液を調整することが出来れば、従来の電子写真用トナーと全く同じ物が使用できる。これを前記のように液滴吐出手段より微小液滴とし、液滴固化捕集手段により、目的とするトナー粒子を作製することが可能である。
<結着樹脂>
結着樹脂としては、結晶性樹脂を該結着樹脂に対して50質量%以上含有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記結晶性樹脂と非結晶性樹脂を併用してもよく、実質的に結着樹脂の主成分が前記結晶性樹脂であることが好ましい。
前記結晶性樹脂の前記結着樹脂に対する含有量としては、50質量%以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性樹脂による優れた低温定着性と耐熱保存性の両立性を最大限に発現させる観点から、65質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上が特に好ましい。前記含有量が、50質量%未満の場合、結着樹脂の熱急峻性がトナーの粘弾特性上で発現できず、低温定着性と耐熱保存性の両立は難しくなる。
本発明における「結晶性」とは、高化式フローテスターにより測定される軟化温度と、示差走査熱量計(DSC)により測定される最大吸熱ピーク温度との比(軟化温度/最大吸熱ピーク温度)が0.80〜1.55である、熱により急峻に軟化する性状であり、この性状を有する樹脂を「結晶性樹脂」とする。
また、「非結晶性」とは、軟化温度と最大吸熱ピーク温度との比(軟化温度/最大吸熱ピーク温度)が1.55より大きく、熱により緩やかに軟化する性状であり、この性状を有する樹脂を「非結晶性樹脂」とする。
なお、樹脂及びトナーの軟化温度は、高化式フローテスター(例えば、CFT−500D(島津製作所製))を用いて測定できる。本発明においては、試料として1gの樹脂を昇温速度6℃/分間で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化温度とした。
樹脂及びトナーの最大吸熱ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定できる。最大吸熱ピーク温度の測定に供する試料は、前処理として、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分間の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分間の速度で降温する。ここで、一度DSCにより、昇温速度20℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される20℃〜100℃にある吸熱ピーク温度を「Ta*」とする。吸熱ピークが複数ある場合は、最も吸熱量が大きいピークの温度をTa*とする。その後、試料を(Ta*−10)℃で6時間保管した後、更に(Ta*−15)℃で6時間保管する。次いで、上記試料を、DSCにより、降温速度10℃/分間で0℃まで冷却した後、昇温速度20℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、同様のグラフを描き、吸熱量の最大ピークに対応する温度を、最大吸熱ピーク温度とした。
トナーのTHF可溶分の重量平均分子量は20,000以上であることが必要であり、20,000〜100,000が好ましく、25,000〜70,000がより好ましく、30,000〜50,000がさらに好ましい。前述のとおり重量平均分子量を20,000以上とすることでホットオフセット現象を抑制することができる。一方、100,000を越えると溶融状態における粘弾性が高すぎるため、定着時にトナーの変形がしにくくなるため紙への接着が不十分となる。
<<結晶性樹脂>>
前記結晶性樹脂としては、結晶性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、変性結晶性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂が好ましく、ウレタン骨格及びウレア骨格の少なくともいずれかを有する樹脂が好ましく、また、直鎖型ポリエステル樹脂、該直鎖型ポリエステル樹脂を含む複合樹脂がより好ましい。
ここで、ウレタン骨格及びウレア骨格の少なくともいずれかを有する樹脂としては、例えば、前記ポリウレタン樹脂、前記ポリウレア樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレア変性ポリエステル樹脂などが好適に挙げられる。
前記ウレタン変性ポリエステル樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、ポリオールとを反応させてなる樹脂である。また、前記ウレア変性ポリエステル樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、アミン類とを反応させてなる樹脂である。
前記結晶性樹脂の最大吸熱ピーク温度としては、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から、45℃〜70℃が好ましく、53℃〜65℃がより好ましく、58℃〜62℃が特に好ましい。前記最大吸熱ピーク温度が、45℃より低い場合は、低温定着性は良くなるが耐熱保存性が悪化し、70℃より高い場合は逆に耐熱保存性は良くなるが低温定着性が悪化する。
前記結晶性樹脂の軟化温度と最大吸熱ピーク温度との比(軟化温度/最大吸熱ピーク温度)は、0.80〜1.55であるが、0.85〜1.25が好ましく、0.90〜1.20がより好ましく、0.90〜1.19が特に好ましい。前記比が小さい程、樹脂が急峻に軟化する性状を持ち、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から優れている。
前記樹脂及びトナーの動的粘弾特性値(貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”)は、動的粘弾性測定装置(例えば、ARES(TAインスツルメント社製))を用いて測定できる。周波数1Hz条件下で測定される。試料を、直径8mm、厚み1mm〜2mmのペレットに成型し、直径8mmのパラレルプレートに固定した後、40℃で安定させ、周波数1Hz(6.28rad/s)、歪み量0.1%(歪み量制御モード)にて200℃まで昇温速度2.0℃/分間で昇温させて測定した。
前記結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、定着性の観点から、2,000〜100,000が好ましく、5,000〜60,000がより好ましく、8,000〜30,000が特に好ましい。前記重量平均分子量が、2,000より小さい場合は耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、100,000より大きい場合は低温定着性が悪化する傾向にある。
本発明において、樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、GPC−8220GPC(東ソー社製))を用いて測定できる。カラムとしては、TSKgel SuperHZM―H 15cm 3連(東ソー社製)を使用した。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いた。前記THF試料溶液を測定装置に100μl注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35ml/分間で測定した。試料の分子量測定にあたっては、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。前記標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
<<<ポリエステル樹脂>>>
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステル樹脂、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステル樹脂が、結晶性発現の観点から好ましい。
本発明における「結晶性ポリエステル樹脂」は、ウレタン伸長物や、ブロックとしてポリエステルブロックを有する樹脂も含む。
また、ブロックの場合、樹脂全体として示差走査熱量計(DSC)での吸熱量が25mJ/mg以上であるものである。25mJ/mg未満である場合、本発明の効果を十分に発現できないため、このような樹脂は本発明で言うところの「結晶性ポリエステル樹脂」には含まれない。
−ポリオール−
前記ポリオールとしては、例えば、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオールなどが挙げられる。
前記ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数4〜36の炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール;炭素数4〜36の脂環式ジオール;前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する);ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオールなどが挙げられる。これらの中でも、鎖炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量としては、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましい。前記含有量が80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性の両立性が良く、樹脂硬度が向上する傾向にある点で好ましい。
前記直鎖型脂肪族ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
鎖炭素数が2〜36の前記分岐型脂肪族ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
前記炭素数4〜36の脂環式ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンオキサイド(以下EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下BOと略記する)等の付加物(付加モル数1〜30)などが挙げられる。
前記ビスフェノール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
前記ポリラクトンジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリε−カプロラクトンジオールなどが挙げられる。
前記カルボキシル基を有するジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の炭素数6〜24のジアルキロールアルカン酸などが挙げられる。
前記スルホン酸基又は前記スルファミン酸基を有するジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)及びそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1〜6);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
これらの中和塩基を有するジオールの中和塩基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミン等)、アルカリ金属(ナトリウム塩等)などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用が好ましい。
また、必要により用いられる前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン等)、糖類及びその誘導体(例えば、ショ糖、メチルグルコシド等)等の炭素数3〜36の3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール;トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーとの共重合物等のアクリルポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
−ポリカルボン酸−
前記ポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等の炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸;ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸等の炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸;ダイマー酸(2量化リノール酸)等の炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
また、必要により用いられる前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
なお、前記ジカルボン酸又は前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
前記ジカルボン酸の中でも、前記脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)を単独で用いることが特に好ましいが、前記脂肪族ジカルボン酸と共に前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等;これら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル類等)を共重合したものも同様に好ましい。前記芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下が好ましい。
−ラクトン開環重合物−
前記ラクトン開環重合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、前記炭素数3〜12のモノラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物などが挙げられる。
前記炭素数3〜12のモノラクトンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性の観点からε−カプロラクトンが好ましい。
また、前記ラクトン開環重合物としては、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、ダイセル株式会社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等の高結晶性ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
−ポリヒドロキシカルボン酸−
前記ポリヒドロキシカルボン酸の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体等)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間若しくは3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法などが挙げられるが、分子量の調整の観点から前記開環重合する方法が好ましい。
前記環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド、及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
<<<ポリウレタン樹脂>>>
前記ポリウレタン樹脂としては、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、前記ジオールと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレタン樹脂が好ましい。
前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、前記ポリエステル樹脂において挙げた前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールと同様のものが挙げられる。
−ポリイソシアネート−
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートなどが挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜20の芳香族ジイソシアネート、2〜18の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネート、8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)、これらの2種以上の混合物などが挙げられる。また、必要により、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
前記芳香族ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂肪族ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、前記ジイソシアネートの変性物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等の変性MDI、イソシアネート含有プレポリマー等のウレタン変性TDIなどのジイソシアネートの変性物;これらジイソシアネートの変性物の2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDIとの併用)などが挙げられる。
これらのジイソシアネートの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜15の芳香族ジイソシアネート、4〜12の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネートが好ましく、TDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIが特に好ましい。
<<<ポリウレア樹脂>>>
前記ポリウレア樹脂としては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレア樹脂等が挙げられる。これらの中でも、前記ジアミンと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレア樹脂が好ましい。
前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートとしては、前記ポリウレタン樹脂において挙げた前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
−ポリアミン−
前記ポリアミンとしては、例えば、ジアミン、3価以上のポリアミンなどが挙げられる。
前記ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類、炭素数6〜20の芳香族ジアミン類が好ましい。また、必要により、前記3価以上のアミン類を使用してもよい。
前記炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の炭素数4〜18のポリアルキレンジアミン;ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の前記アルキレンジアミン若しくは前記ポリアルキレンジアミンの炭素数1〜4のアルキル又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体;1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等の炭素数4〜15の脂環式ジアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の炭素数4〜15の複素環式ジアミン;キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等の炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類などが挙げられる。
前記炭素数6〜20の芳香族ジアミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4’−及び4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン等の非置換芳香族ジアミン;2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン;前記非置換芳香族ジアミン乃至前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミンの異性体の種々の割合の混合物;メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等の核置換電子吸引基(Cl、Br、I、F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン;4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等の二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔前記非置換芳香族ジアミン、前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物、前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部又は全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕などが挙げられる。
前記ジアミンとして、これらの他、ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)前記ポリアミン(前記アルキレンジアミン、前記ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等のポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等のポリエーテルポリアミンなどが挙げられる。
<<<ポリアミド樹脂>>>
前記ポリアミド樹脂としては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸等のポリカルボン酸とから合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ジアミンとジカルボン酸とから合成されるポリアミド樹脂が好ましい。
前記ジアミン及び前記3価以上のポリアミンとしては、前記ポリウレア樹脂において挙げた前記ジアミン及び前記3価以上のポリアミンと同様のものが挙げられる。
前記ジカルボン及び前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、前記ポリエステル樹脂において挙げた前記ジカルボン及び前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸と同様のものが挙げられる。
<<<ポリエーテル樹脂>>>
前記ポリエーテル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性ポリオキシアルキレンポリオールなどが挙げられる。
前記結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜従来より公知の方法を選択することができ、例えば、キラル体のAOを、通常AOの重合で使用される触媒で開環重合させる方法(例えば、Journal of the American Chemical Society、1956年、第78巻、第18号、p.4787−4792に記載)や、安価なラセミ体のAOを立体的に嵩高い特殊な化学構造の錯体を触媒として用いて、開環重合させる方法などが挙げられる。 また、特殊な錯体を用いる方法としては、ランタノイド錯体と有機アルミニウムを接触させた化合物を触媒として用いる方法(例えば、特開平11−12353号公報に記載)やバイメタルμ−オキソアルコキサイドとヒドロキシル化合物をあらかじめ反応させる方法(例えば、特表2001−521957号公報に記載)などが知られている。
また、非常にアイソタクティシティの高い結晶性ポリオキシアルキレンポリオールを得る方法として、サレン錯体を触媒として用いる方法(例えば、Journal of the American Chemical Society、2005年、第127巻、第33号、p.11566−11567に記載)が知られている。例えば、キラル体のAOを用い、その開環重合時に、開始剤として、グリコール又は水を用いると、末端にヒドロキシル基を有するアイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールが得られる。前記アイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールは、その末端を例えば、カルボキシル基になるように変性したものであってもよい。なお、前記アイソタクティシティが50%以上であると、通常、結晶性となる。前記グリコールとしては、前記ジオールなどが挙げられ、カルボキシ変性するのに用いるカルボン酸としては、前記ジカルボン酸などが挙げられる。
前記結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造に用いるAOとしては、炭素数3〜9のものが挙げられ、例えば、PO、1−クロロオキセタン、2−クロロオキセタン、1,2−ジクロロオキセタン、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、1,2−BO、メチルグリシジルエーテル、1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ペンチレンオキサイド、3−メチル−1,2−ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、1,2−へキシレンオキサイド、3−メチル−1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ヘキシレンオキサイド、4−メチル−2,3−ペンチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、1,2−へプチレンオキサイド、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらのAOの中でも、PO、1,2−BO、スチレンオキサイド及びシクロへキセンオキサイドが好ましく、PO、1,2−BO、シクロへキセンオキサイドがより好ましい。また、これらのAOは、1種単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
また、前記結晶性ポリオキシアルキレンポリオールのアイソタクティシティは、得られる結晶性ポリエーテル樹脂の高シャープメルト性と耐ブロッキング性の観点から、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましく、95%以上が最も好ましい。
前記アイソタクティシティは、Macromolecules、vol.35、No.6、2389−2392頁(2002年)に記載の方法で算出することができ、以下のようにして求めることができる。
測定試料約30mgを直径5mmの13C−NMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶剤を加えて溶解させ、分析用試料とする。ここで、重水素化溶剤としては、特に制限はなく、試料を溶解させることのできる溶剤を適宜選択することができ、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。13C−NMRの3種類のメチン基由来の信号は、それぞれシンジオタクチック値(S)75.1ppm付近とヘテロタクチック値(H)75.3ppm付近とアイソタクチック値(I)75.5ppm付近に観測される。
アイソタクティシティは、次の計算式(1)により算出する。
アイソタクティシティ(%)=[I/(I+S+H)]×100 計算式(1)
ただし、前記計算式(1)中、Iはアイソタクチック信号の積分値、Sはシンジオタクチック信号の積分値、Hはヘテロタクチック信号の積分値である。
<<<ビニル樹脂>>>
前記ビニル樹脂としては、結晶性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性を有するビニルモノマーと、必要により結晶性を有しないビニルモノマーとを構成単位として有するものが好ましい。
前記結晶性を有するビニルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が12〜50の直鎖アルキル(メタ)アクリレート(炭素数12〜50の直鎖アルキル基が結晶性基である)などが好適に挙げられる。
前記結晶性を有しないビニルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分子量が1,000以下のビニルモノマーが好ましく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリルモノマー、カルボキシル基含有ビニルモノマー、他のビニルエステルモノマー、脂肪族炭化水素系ビニルモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルスチレンなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜11のアルキル(メタ)アクリレート及びアルキル基の炭素数が12〜18の分岐アルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜11のヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜11のアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等の炭素数3〜15のモノカルボン酸;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の炭素数4〜15のジカルボン酸;マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル等の前記ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜18)エステル等のジカルボン酸モノエステルなどが挙げられる。
前記他のビニルエステルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソプロペニルアセテート等の炭素数4〜15の脂肪族ビニルエステル;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の炭素数8〜50の不飽和カルボン酸多価(2価〜3価又はそれ以上)アルコールエステル;メチル−4−ビニルベンゾエート等の炭素数9〜15の芳香族ビニルエステルなどが挙げられる。
前記脂肪族炭化水素系ビニルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、オクテン等の炭素数2〜10のオレフィン;ブタジエン、イソプレン、1,6−ヘキサジエン等の炭素数4〜10のジエンなどが挙げられる。
<<<変性結晶性樹脂(結着樹脂前駆体)>>>
前記変性結晶性樹脂としては、活性水素基と反応可能な官能基を有する結晶性樹脂であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基と反応可能な官能基を有する結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリエーテル樹脂、結晶性ビニル樹脂などが挙げられる。前記変性結晶性樹脂は、トナーの製造過程において、活性水素基を有する樹脂や、活性水素基を有する架橋剤や伸長剤等の活性水素基を有する化合物と反応させることで、樹脂を高分子量化させ、結着樹脂を形成することができる。したがって、これらの変性結晶性樹脂は、トナーの製造において、結着樹脂前駆体として使用することができる。
なお、前記結着樹脂前駆体とは、上述の結着樹脂を構成するモノマーやオリゴマー、及び前記活性水素基と反応可能な官能基を有する変性された樹脂、オリゴマー類を含む伸長又は架橋反応が可能な化合物を指し、これらの条件を満たしていれば、これらは結晶性樹脂であっても非結晶性樹脂であってもよい。これらの中でも、前記結着樹脂前駆体としては、少なくとも末端にイソシアネート基を有する前記変性結晶性樹脂であることが好ましく、水系媒体中に分散乃至乳化してトナー粒子を造粒する際に、活性水素基との反応によって、伸長乃至架橋反応して結着樹脂を形成することが好ましい。
このような前記結着樹脂前駆体から形成される結着樹脂としては、前記活性水素基と反応可能な官能基を有する変性された樹脂と、前記活性水素基を有する化合物とを伸長乃至架橋反応してなる結晶性樹脂が好ましく、これらの中でも、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、前記ポリオールとを伸長乃至架橋反応してなるウレタン変性ポリエステル樹脂;末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、アミン類とを伸長乃至架橋反応してなるウレア変性ポリエステル樹脂などが好ましい。
前記活性水素基と反応可能な官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基などの官能基が挙げられる。これらの中でも、反応性や安定性の観点から、イソシアネート基などが好ましい。
前記活性水素基を有する化合物としては、前記活性水素基を有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基と反応可能な官能基がイソシアネート基である場合には、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などを前記活性水素基として有する化合物が挙げられる。これらの中でも、反応速度の観点から、アミノ基を有する化合物(即ち、アミン類)が特に好ましい。
前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。また、これらのアミン類のアミノ基をケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)でブロックした、ケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物などが挙げられる。
アミン類の比率は、アミン類中のアミノ基[NHx]の数がイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂中のイソシアネート基[NCO]の数の4倍以下、好ましくは2倍以下、より好ましくは1.5倍以下、さらに好ましくは1.2倍以下である。4倍を超えると、過剰のアミノ基がイソシアネートをブロックしてしまい変性樹脂の伸長反応が起きない。
前記結晶性樹脂は、結晶性部と非結晶性部をもつブロック樹脂であってもよく、前記結晶性部としては、前記結晶性樹脂を用いることができる。前記非結晶性部の形成に用いられる樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂(ポリスチレン、スチレンアクリル系ポリマー等)、エポキシ樹脂などが挙げられる。
ただし、前記結晶性部としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂であることが好ましいので、相溶性の観点から、前記非結晶性部の形成に用いられる樹脂もポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、及びそれらの複合樹脂であることが好ましく、ポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂がより好ましい。これらの非結晶性部の組成としては、非結晶性樹脂となるものであれば、特に制限はなく、目的に応じていかなる組合せでも適宜選択することができ、使用するモノマーとしては、前記ポリオール、前記ポリカルボン酸、前記ポリイソシアネート、前記ポリアミン、前記AOなどが挙げられる。ブロックポリマーとしては、ポリエステルとポリウレタンとのブロックポリマーが好ましく、ポリエステルとポリウレタンのブロックポリマーにおいては、トナーとして好ましい熱特性、具体的には比較的低い温度で定着が可能でありかつ保存安定性に優れるような熱特性に設計を行いやすいという観点で、ポリエステル部分に結晶性を有するほうが好ましい。
結晶性樹脂として2種類以上を併用して用いることもでき、例えば第1の結晶性樹脂と、該第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂を併用することにより、トナー全体として分子量分布を広げることができ、低分子量の樹脂による紙への含浸性と高分子量の樹脂によるホットオフセットの抑止の両立が可能となる点で好ましい。第2の結晶性樹脂としては、末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂を用い、トナーの製造過程で伸長乃至架橋反応させることで得ても良い。
また、前記第1の結晶性樹脂がウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂であり、前記第2の結晶性樹脂が前記第1の結晶性樹脂をさらに伸長させてなるものであっても良い。
前記第1の結晶性樹脂と前記第2の結晶性樹脂との含有比率は、第1の結晶性樹脂:第2の結晶性樹脂=95:5〜70:30の範囲であることが好ましい。この範囲よりも第1の結晶性樹脂の比率が多い場合には、トナーの耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、この範囲よりも第2の結晶性樹脂の比率が多い場合には、トナーの低温定着性が悪化する傾向にあるため、好ましくない。
<<非結晶性樹脂>>
前記非結晶性樹脂としては、非結晶性であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合隊、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂など、及び活性水素基と反応可能な官能基を有するように変性されたこれらの樹脂類が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のトナーの結着樹脂以外の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば着色剤、離型剤、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、などが挙げられる。
<着色剤>
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用の着色剤、マゼンダ、シアン、イエロー等のカラー用の着色剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。
マゼンタ用着色剤としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、202、206、207、209、211;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
シアン用の着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36などが挙げられる。
イエロー用着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36などが挙げられる。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリp−クロロスチレン樹脂、ポリビニルトルエン樹脂などが挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。
また、これらのマスターバッチ用樹脂は、本発明における結晶性樹脂であっても何ら問題ない。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合乃至混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。前記フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合乃至混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合乃至混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
<<離型剤>>
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトンなどが挙げられる。
前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜160℃が好ましく、50℃〜120℃がより好ましく、60℃〜90℃が特に好ましい。前記融点が40℃未満であると、耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分間で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分間で昇温し、最大吸熱ピーク温度を融点として求めることができる。
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5cps〜1,000cpsが好ましく、10cps〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量%〜40質量%が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
<<帯電制御剤>>
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、そのような帯電制御剤としては、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれもオリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれもヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット株式会社製);キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
<<外添剤>>
前記外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等);金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等)、疎水化された金属酸化物微粒子、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子が好適に挙げられる。
前記シリカ微粒子としては、例えば、HDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H1303(いずれもヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。また、前記酸化チタン微粒子としては、例えば、P−25(日本アエロジル株式会社製)、STT−30、STT−65C−S(いずれもチタン工業株式会社製)、TAF−140(富士チタン工業株式会社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれもテイカ株式会社製)などが挙げられる。前記疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、例えば、T−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれもチタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも富士チタン工業株式会社製);MT−100S、MT−100T(いずれもテイカ株式会社製)、IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
前記疎水化されたシリカ微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子を得るためには、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子等の親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。
また、前記外添剤として、シリコーンオイルで、必要ならば熱を加えて無機微粒子を処理したシリコーンオイル処理無機微粒子も好適である。
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが使用できる。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。これらの中でも、シリカ、二酸化チタンが特に好ましい。
前記外添剤の添加量としては、前記トナーに対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.3質量%〜3質量%がより好ましい。
前記無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、100nm以下が好ましく、3nm〜70nmがより好ましい。前記重量平均粒径が3nm未満であると、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくい。前記重量平均粒径が70nmを超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけ好ましくない。
前記外添剤としては、前記無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の個数平均粒径は、1nm〜100nmが好ましく、中でも、5nm〜70nmの無機微粒子を少なくとも2種含むことがより好ましい。更に、疎水化処理された一次粒子の個数平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、BET法による比表面積は、20m/g〜500m/gであることが好ましい。
前記酸化物微粒子を含む外添剤の表面処理剤としては、例えば、ジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
前記外添剤として樹脂微粒子も添加することができる。該樹脂微粒子としては、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系重合体粒子;熱硬化性樹脂による重合体粒子などが挙げられる。このような樹脂微粒子を併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。前記樹脂微粒子の添加量は、前記トナーに対し0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましい。
<<流動性向上剤>>
前記流動性向上剤は、前記トナーの表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても前記トナーの流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
<<クリーニング性向上剤>>
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、重量平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好適である。
<<磁性材料>>
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
[トナーの製造例]
本発明のトナーの製造方法としては、水系媒体中においてトナー材料液を粒子化することによって得る方法(溶解懸濁法)、水系媒体中において少なくとも結晶性樹脂からなるトナー材料を分散させたものを凝集・融着させることで得る方法(凝集法)が挙げられる。前者の方法が樹脂均一性の観点から好ましい。
<トナー材料液の製造工程>
上記の着色剤、樹脂、離型剤等のトナー材料を有機溶媒中に分散あるいは溶解させトナー材料液を作る。着色剤、樹脂、離型剤等は、予め有機溶媒に分散あるいは溶解させておいたものを混合しても良い。
(有機溶媒)
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、酢酸エチルが好ましい。有機溶媒の使用量は、前記トナー材料100質量部に対し、通常0〜300質量部、好ましくは0〜100質量部、さらに好ましくは25〜70質量部である。
<水系媒体中へのトナー材料液の分散工程>
次にトナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
(水系媒体)
水系媒体は、水単独でもよいし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000質量部、好ましくは100〜1000質量部である。50質量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000質量部を超えると経済的でない。
(界面活性剤、樹脂微粒子)
また、水系媒体中に界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加えるのは、着色剤、樹脂、離型剤等の分散を良好にするためである。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
(樹脂微粒子)
樹脂微粒子は、水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。
このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。例えばビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂が挙げられる。樹脂微粒子の平均粒径は5〜200nm、好ましくは20〜300nmである。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
(分散剤)
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
(分散の方法)
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
<脱溶工程>
得られたトナー材料液の水系分散液(樹脂分散体)から有機溶媒を除去するためには、系全体を攪拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
あるいはまた、得られた樹脂分散体を攪拌しながら乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の有機溶媒を完全に除去することも可能である。もしくは、樹脂分散体を攪拌しながら減圧し、有機溶媒を蒸発除去しても良い。後の2つの手段は、最初の手段と併用することも可能である。
樹脂分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
<熟成工程>
末端にイソシアネート基を有する変性樹脂を添加している場合は、イソシアネートの伸長・架橋反応を進めるために熟成工程を行っても良い。熟成時間は通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜40℃、好ましくは15〜30℃である。
<洗浄工程>
上記の方法で得られた樹脂粒子には、樹脂粒子のほか、界面活性剤などの分散剤などの副材料が含まれているので、これらを除去すると共に樹脂粒子表面に存在する高極性の物質を取り除くために洗浄を行う。これにより、トナーのメタノール濡れ性を抑えることができる。
高極性の物質としては、界面活性剤、樹脂微粒子、分散剤などがあり、一部は樹脂粒子の表面に付着あるいは吸着している、あるいは一部が樹脂粒子の内部に侵入しているものと考えられる。これらの除去には酸あるいはアルカリ環境下で加熱を行うことが効果的である。特に高極性の物質がイオン性のものである場合にはそのイオン解離がおきやすい条件を選択するのが良く、アニオン性界面活性剤やカルボキシル基やスルホン酸基などを有する樹脂微粒子の除去にはアルカリ環境が、リン酸カルシウムのような分散剤を有する場合は酸環境がよい。アルカリ環境としては、pHが9〜13、好ましくは9.5〜12、さらに好ましくは10〜11である。9未満では洗浄効果が小さく、13を超えるとアルカリによる悪影響である加水分解などの懸念が出てくる。
また、加熱温度の上限としては結晶性樹脂の融点未満に設定する。融点を超えると樹脂分子が自由な熱運動をするためアルカリの攻撃を受けやすくなり、分子量の低下やそれに伴う耐熱保存性の悪化が発生しやすくなる。加熱温度の下限としては30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上である。30℃未満では洗浄の効果が小さい。
またこの処理にかける時間は最低30分以上、好ましくは2時間以上、より好ましくは5時間以上、さらに好ましくは10時間以上である。30分未満では洗浄の効果が小さい。これはおそらく特に高分子量の高極性の物質の除去にきいているものと思われる。
洗浄工程における上記処理は、あらかじめイオン交換水などである程度洗浄を進めたもので行っても良い。また、熟成工程前に行う方法をとってもよい。この場合もあらかじめイオン交換水などである程度洗浄を進めてから行っても良い。
上記の処理を行った後はイオン交換水などで洗浄を行い、さらに酸性環境下にすることが好ましい。これにより微量であれ残存している酸性官能基をプロトンで閉じることができるものと考えられる。
また、フッ素化合物を分散させた水系溶媒に溶解あるいは分散させたものを洗浄工程で添加してトナー表面にフッ素系化合物を付着あるいはイオン結合させてもよい。この処理は洗浄工程のどの部分で行ってもよいが、酸性環境下にした後に行ったほうが付着あるいはイオン結合を効率よく行えるため好ましい。
フッ素化合物で処理することによりトナーの帯電能力を高くすることができ、数万枚画像を出力してもキャリア等へのトナースペントが少なく、高い帯電性、流動性を維持できる。
前記フッ素化合物を以下に例示する。
(フッ素系化合物)
本発明トナーに用いるフッ素系化合物としては、フッ素原子を含む化合物であれば、有機、無機化合物いずれも使用可能で、フッ素原子を含むこと以外は特に限定されない。その中でも下記一般式(I)の化合物がより好ましい。
(式中、Xは−SO−または−CO−、R、R、R、Rは、H、炭素数1〜10のアルキル基およびアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、mとnは正数である。Yは、I、Br、Cl等のハロゲン原子)
また、前記荷電制御剤としては前記一般式(I)で示される含フッ素4級アンモニウム塩に含金属アゾ染料を併用することも好ましい。
前記一般式の化合物の代表的な具体例としては、以下のようなフッ素系化合物(1)〜(27)が挙げられ、すべて白色または淡黄色を示している。またYはヨウ素がより好ましい。
上記の中でも特に、N,N,N−トリメチル−[3−(4−ペルフルオロノネニルオキシベンズアミド)プロピル]アンモニウム・ヨージドが、帯電付与能力の点でより好ましい。また前記化合物及び、他のフッ素系化合物との混合物もより好ましい。又本発明の効果は該フッ素系化合物の純度、PH、熱分解温度等該微粉末の特性に限定されるものではない。
フッ素化合物は、トナーに対し0.01〜5質量%の範囲で好ましくは0.01〜3質量%の範囲でトナーに表面処理を施すことができる。該フッ素系化合物による表面処理量が0.01質量%より小さい場合には、効果が十分に得られない。表面処理量が5質量%を越える場合には、現像剤の定着不良等を生じ好ましくない。
なお、トナー粒子表面におけるフッ素原子と炭素原子の原子数比(F/C)は0.010未満であることが好ましく、0.005未満であればより好ましい。本発明におけるトナーのメタノール濡れ性はトナーの表面状態の設計が寄与し、濡れ性を下げるためにはトナー表面にフッ素系の界面活性剤を吸着させる方法や結着樹脂骨格中にフルオロアルキル基を導入し乾式の加熱処理などによって導入したフルオロアルキル基をトナー表面に多く配向させる方法もある程度効果が見られる。しかし、フッ素によるトナー表面の疎水化は定着性、特に低温定着性への弊害が大きいため、その使用量は出来るだけ少ない方がよく、特にトナー粒子表面におけるフッ素原子と炭素原子の原子数比(F/C)が0.05を超えるとトナーの定着性が著しく損なわれるため好ましくはない。
樹脂粒子の洗浄方法としては、遠心分離法、減圧濾過法、フィルタープレス法などの方法があるが、本発明においては特に限定されるものではない。いずれの方法によっても樹脂粒子のケーキ体が得られるが、一度の操作で十分に洗浄できない場合は、得られたケーキを再度水系溶媒に分散させてスラリーにして上記のいずれかの方法で樹脂粒子を取り出す工程を繰り返しても良いし、減圧濾過法やフィルタープレス法によって洗浄を行うのであれば、水系溶媒をケーキに貫通させて樹脂粒子が抱き込んだ副材料を洗い流す方法を採っても良い。この洗浄に用いる水系溶媒は水あるいは水にメタノール、エタノールなどのアルコールを混合した混合溶媒を用いるが、コストや排水処理などによる環境負荷を考えると、水を用いるのが好ましい。
<乾燥工程>
洗浄された着色樹脂粒子は水系媒体を多く抱き込んでいるため、乾燥を行い水系媒体を除去することで着色樹脂粒子のみを得ることができる。乾燥方法としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動槽乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などの乾燥機を使用することができる。乾燥された着色樹脂粒子は最終的に水分が1%未満になるまで乾燥を行うのが好ましい。また、乾燥後の着色樹脂粒子は軟凝集をしており使用に際して不都合が生じる場合には、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、コーヒーミル、オースターブレンダー、フードプロセッサーなどの装置を利用して解砕を行い、軟凝集をほぐしても良い。
本発明のトナーは、水中での造粒、製造を行わない方法、例えば少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー組成物を含むトナー組成液を、貫通孔より吐出し液滴化する製造方法によっても製造することができる。前記トナーの製造方法の一例を以下、図7〜図11を用いて説明する。前記のトナー製造手段は液滴吐出手段、液滴固化捕集手段に分けられる。それぞれ下記で解説する。
<液滴吐出手段>
前記液滴吐出手段は吐出する液滴の粒径分布が狭ければ、特に制限は無く、公知のものを用いることができる。液滴吐出手段としては1流体ノズル、2流体ノズル、膜振動タイプ吐出手段、レイリー分裂タイプ吐出手段、液振動タイプ吐出手段、液柱共鳴タイプ吐出手段等が挙げられ、膜振動タイプとしては例えば、特開2008−292976号公報、レイリー分裂タイプとしては特許第4647506号公報に記載されている。また、液共鳴液室内の液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、該定在波の腹となる領域に形成された吐出口から液体を吐出する液滴化液柱共鳴があり、これら振動タイプとしては特開2010−102195号公報に記載されている。
液滴の粒径分布が狭く、トナーの生産性を確保するためには、複数の吐出口が形成された液柱のいずれかを用いるが好ましい。
<液滴固化>
先に説明した液滴吐出手段から気体中に吐出させたトナー成分液の液滴を固化させた後に、捕集することで本発明のトナーを得ることが出来る。
<液滴固化手段>
固化させるには、トナー成分液の性状しだいで、考え方は異なるが、基本的にトナー成分液を固体状態にできれば手段を問わない。
例えばトナー成分液が固体原材料を揮発可能な溶媒に溶解または分散させたものであれば、液滴噴射後、搬送気流中液滴を乾燥させる、すなわち溶媒を揮発させることで達成することができる。溶媒の乾燥にあたっては、噴射する気体の温度や蒸気圧、気体種類等を適宜選定して乾燥状態を調整することが出来る。また、完全に乾燥していなくとも、捕集された粒子が固体状態を維持していれば、回収後に別工程で追加乾燥させても構わない。前記例に従わなくとも、温度変化や化学的反応等の適用で達成しても良い。
<固化粒子捕集手段>
固化した粒子は公知の粉体捕集手段、例えばサイクロン捕集、バックフィルター等によって気中から回収することが出来る。
図10は、本発明のトナーの製造方法を実施する装置一例の断面図である。トナー製造装置1は、主に、液滴吐出手段2及び乾燥捕集ユニット60を含んで構成されている。
液滴吐出手段2には、トナー成分液14を収容する原料収容器13と、原料収容器13に収容されているトナー成分液14を液供給管16を通して液滴吐出手段2に供給し、更に液戻り管22を通って原料収容器13に戻すために液供給管16内のトナー成分液14を圧送する液循環ポンプ15とが連結されており、トナー成分液14を随時液滴吐出手段2に供給できる。液供給管16にはP1、乾燥捕集ユニットにはP2の圧力測定器が設けられており、液滴吐出手段2への送液圧力および、乾燥捕集ユニット内の圧力は圧力計P1、P2によって管理される。このときに、P1>P2の関係であると、トナー成分液1が孔から染み出す恐れがあり、P1<P2の場合には吐出手段に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1≒P2があることが望ましい。
チャンバ61内では、搬送気流導入口64から作られる下降気流101が形成されている。液滴吐出手段2から吐出された液滴21は、重力よってのみではなく、搬送気流101によっても下方に向けて搬送され、固化粒子捕集手段62によって捕集される。
<搬送気流>
噴射された液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合体し一つの粒子になってしまう(以下この現象を合着と呼ぶ)。均一な粒径分布の固化粒子を得るためには、噴射された液滴どうしの距離を保つ必要がある。しかしながら、噴射された液滴は一定の初速度を持っているが空気抵抗により、やがて失速する。失速した粒子には後から噴射された液滴が追いついてしまい、結果として合着する。この現象は定常的に発生するため、この粒子を捕集すると粒径分布はひどく悪化することとなる。合着を防ぐためには液滴の速度低下を無くし、液滴同士を接触させないように搬送気流101によって合着を防ぎながら、液滴を固化させつつ搬送する必要があり、最終的には固化粒子捕集手段まで固化粒子を運ぶ。
例えば搬送気流101は図7に示されるように、その一部を第一の気流として液滴吐出手段近傍に液滴吐出方向と同一方向に配置することで、液滴吐出直後の液滴速度低下を防ぎ、合着を防止することが出来る。あるいは、図11に示すように吐出方向に対して横方向であってもよい。あるいは図示していないが角度を持っていても良く、液滴吐出手段より液滴が離れるような角度を持っていることが望ましい。図11のように液滴吐出に対して横方向から合着防止気流を与える場合は吐出口から合着防止気流によって液滴が搬送された際に軌跡が重ならないような方向であることが望ましい。
上記のように第一の気流によって合着を防いだ後に、第二の気流によって固化粒子捕集手段まで固化粒子を運んでもよい。
第一の気流の速度は液滴噴射速度と同じかそれ以上であることが望ましい。液滴噴射速度より合着防止気流の速度が遅いと、合着防止気流本来の目的である液滴粒子を接触させないという機能を発揮させることが難しい。
第一の気流の性状は、液滴同士が合着しないような条件を追加することが出来、第二の気流と必ずしも同じでなくとも良い。また、合着防止気流に粒子表面の固化を促進させるような化学物質を混入したり、物理的作用期待して付与しても良い。
搬送気流101は特に気流の状態として限定されることは無く層流や旋回流や乱流であっても構わない。搬送気流101を構成する気体の種類は特に限定は無く、空気であっても窒素等の不燃性気体を用いても良い。また、搬送気流101の温度は適宜調整可能であり、生産時において変動の無いことが望ましい。またチャンバー61内に搬送気流101の気流状態を変えるような手段をとっても構わない。搬送気流101は液滴21同士の合着を防止すだけでなく、チャンバ61に付着することを防止することに用いても良い。
<二次乾燥>
図10で示された乾燥捕集手段によって得られたトナー粒子に含まれる残留溶剤量が多い場合はこれを低減するために必要に応じて、二次乾燥が行われる。二次乾燥としては流動床乾燥や真空乾燥のような一般的な公知の乾燥手段を用いることが出来る。有機溶剤がトナー中に残留すると耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく。加熱による定着時において有機溶剤が揮発するため、使用者および周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥を実施する。
<最大吸熱ピークのショルダー温度>
前記トナーの示差走査熱量計(DSC)による昇温1回目の最大吸熱ピークのショルダー温度Tsh1stと、昇温2回目の最大吸熱ピークのショルダー温度Tsh2ndの比Tsh2nd/Tsh1stの値が、0.90以上1.10以下であることが、トナーのシャープメルト性が維持され、低温定着性と保存安定性の両立が可能となるため好ましい。
前記トナーの最大吸熱ピークのショルダー温度(Tsh1st、Tsh2nd)は、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定できる。即ち、まず、トナー5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度10℃/minで0℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線において、1回目の昇温時における吸熱ピーク温度をTm1st、2回目の昇温時における吸熱ピーク温度をTm2ndとする。このとき、吸熱ピークが複数ある場合は吸熱量が最大のものを選択する。それぞれの吸熱ピークについて、該吸熱ピークよりも低温側のベースラインと、吸熱ピークをなす低温側の傾斜の接線との交点を、それぞれTsh1st、Tsh2ndとする。
本発明のトナーは、トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/((C)+(A))が、0.15以上であることが好ましい。
前記比率(C)/((C)+(A))は、トナー中の結晶化部位の量(主にトナーの主成分たる結着樹脂中の結晶化部位の量)を示す指標である。(C)/((C)+(A))が0.15未満である場合、トナー中に含まれる非晶性部分の影響が大きくなり、結晶性樹脂特有の熱に対する急峻な粘弾性の応答が損なわれ、低温定着性の悪化や、耐熱保存性の悪化が生じることがあり、好ましくない。
(C)/((C)+(A))の制御は、例えば、結晶性樹脂と非結晶性樹脂の混合比率を変えることや、結晶性樹脂の結晶化度を変える(モノマー組成を変更したり、結晶性部と非晶性部を持つブロック樹脂の結晶性部と非晶性部の比率を変更したりする等)ことで可能である。
トナーのX線回折測定に使用するキャピラリーは、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmを使用した。試料はこのキャピラリー管の上部まで詰めて測定した。また、サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回とした。
測定の詳細条件を以下に示す。
管電流 : 40mA
管電圧 : 40kV
ゴニオメーター2θ軸 : 20.0000°
ゴニオメーターΩ軸 : 0.0000°
ゴニオメーターφ軸 : 0.0000°
検出器距離 : 15cm(広角測定)
測定範囲 : 3.2≦2θ(゜)≦37.2
測定時間 : 600sec
入射光学系には、φ1mmのピンホールを持つコリメーターを用いた。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換した。得られたX線回折測定結果を基に、前記比率(C)/((C)+(A))を算出する方法を、以下に説明する。
X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を図1(a)及び(b)に示す。横軸は2θ、縦軸はX線回折強度であり、両方とも線形軸である。図1(a)におけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が見られる。ここで、前記主要なピークは、結晶構造に由来するものであり、ハローは非晶構造に由来するものである。
この2の主要なピークとハローをガウス関数、
fp1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1)/(2cp1)} (式A(1))
fp2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2)/(2cp2)} (式A(2))
fh(2θ)=ahexp{−(2θ−bh)/(2ch)} (式A(3))
(fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)はそれぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数)
で表し、この3つの関数の和
f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ) (式A(4))
をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図1(b)に図示する)とし、最小二乗法によるフィッティングを行った。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図1(a)の例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して2つの主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致させて得られた値を設定した。フィッティングは例えばMicrosoft社製Excel2003のソルバーを利用して行うことができる。
フィッティング後の2つの主要なピーク(P1、P2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)、及びハローに相当するガウス関数fh(2θ)のそれぞれについての積分面積(SP1、Sp2、Sh)から、(Sp1+Sp2)を(C)、Shを(A)としたとき、結晶化部位の量を示す指標である比率(C)/((C)+(A))を算出することができる。
トナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)(Pa)が5.0×10<G’(70)<5.0×10、好ましくは1.0×10<G’(70)<3.0×10が良く、前記トナーの160℃における貯蔵弾性率G’(160)(Pa)が1.0×10<G’(160)<1.0×10、好ましくは2.0×10<G’(160)<7.0×10であることが良い。
これは、本発明のトナーの粘弾特性において、上記範囲となることが定着強度や耐ホットオフセット性の観点から好ましいからである。
(現像剤)
本発明の現像剤は、前記トナーを含んでなり、更に必要に応じて適宜選択した、キャリアなどのその他の成分を含む。
前記現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。なお、一成分現像剤の場合には、磁性金属粒子を含むトナーであっても磁性金属粒子を含まない非磁性一成分トナーであっても構わない。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支、即ち、現像剤へのトナー供給と現像によるトナー消費とが行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50emu/g〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75emu/g〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30emu/g〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径としては、平均粒径(重量平均粒径(D50))で、10μm〜200μmが好ましく、40μm〜100μmがより好ましい。前記平均粒径(重量平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー(フッ化三重(多重)共重合体)、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が特に好ましい。
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、一般的に知られているシリコーン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂;アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等で変性したシリコーン樹脂などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、ストレートシリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、信越化学工業株式会社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)などが挙げられる。
なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテートなどが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01質量%〜5.0質量%が好ましい。前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記現像剤が二成分現像剤である場合には、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90質量%〜98質量%が好ましく、93質量%〜97質量%がより好ましい。
(画像形成装置)
本発明にかかる画像形成装置は、静電潜像担持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記現像手段は、静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する手段であり、前記トナーが本発明のトナーであることを必要とする。
なお、帯電手段と、露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。また、前記現像手段は、内部に固定された磁界発生手段を有し、本発明のトナーを担持して回転可能な現像剤担持体を有している。
<静電潜像担持体>
前記静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記画像形成装置の大きさや仕様等に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン、CdS、ZnO等の無機感光体;ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)などが挙げられる。
<帯電手段>
前記帯電手段は、前記静電潜像担持体表面を帯電させる手段である。
前記帯電手段としては、前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(1)静電潜像担持体と接触して帯電させる接触方式の帯電手段と、(2)静電潜像担持体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段とに大別される。
前記(1)の接触方式の帯電手段としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、磁気ブラシ、ファーブラシ、フィルム、ゴムブレードなどが挙げられる。これらの中でも、前記帯電ローラは、コロナ放電に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、静電潜像担持体の繰り返し使用時における安定性に優れ、画質劣化防止に有効である。
前記(2)の非接触の帯電手段としては、例えば、コロナ放電を利用した非接触帯電器や針電極デバイス、固体放電素子;静電潜像担持体に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。
<露光手段>
前記露光手段は、帯電された前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する手段である。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系などの各種露光器が挙げられる。また、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記現像手段は、例えば、前記トナーを用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナーを収容し、前記静電潜像に前記トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像手段を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
<現像手段>
前記現像手段は、静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する手段であり、前記トナーが本発明のトナーであることを必要とする。
前記現像手段は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよい。また、単色用現手段であってもよいし、多色用現像手段であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に前記トナーを含む現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する現像装置等が好適に挙げられる。
前記現像手段内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
ここで、図2は、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を用いた二成分現像装置の一例を示す概略図である。この図2の二成分現像装置では、二成分現像剤がスクリュー441によって攪拌及び搬送され、現像剤担持体としての現像スリーブ442に供給される。この現像スリーブ442に供給される二成分現像剤は層厚規制部材としてのドクターブレード443によって規制され、供給される現像剤量はドクターブレード443と現像スリーブ442との間隔であるドクターギャップによって制御される。このドクターギャップが小さすぎると、現像剤量が少なすぎて画像濃度不足になり、逆にドクターギャップが大きすぎると、現像剤量が過剰に供給されて静電潜像担持体としての感光体ドラム444上にキャリア付着が発生するという問題が生じる。そこで、現像スリーブ442内部には、その周表面に現像剤を穂立ちさせるように磁界を形成する磁界発生手段としての磁石が備えられており、この磁石から発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤が現像スリーブ442上にチェーン状に穂立ちされて磁気ブラシが形成される。
現像スリーブ442と感光体ドラム444は、一定の間隙(現像ギャップ)を挟んで近接するように配置されていて、双方の対向部分に現像領域が形成されている。現像スリーブ442は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成しており、回転駆動機構(不図示)によって回転されるようになっている。磁気ブラシは、現像スリーブ442の回転によって現像領域に移送される。現像スリーブ442には現像用電源(不図示)から現像電圧が印加され、磁気ブラシ上のトナーが現像スリーブ442と感光体ドラム444間に形成された現像電界によってキャリアから分離し、感光体ドラム444上の静電潜像上に現像される。なお、現像電圧には交流を重畳させてもよい。
前記現像ギャップは、現像剤粒径の5倍〜30倍程度が好ましく、現像剤粒径が50μmであれば0.25mm〜1.5mmに設定することが好適である。これより現像ギャップ広くすると、望ましい画像濃度がでにくくなることがある。
また、前記ドクターギャップは、現像ギャップと同程度か、あるいはやや大きくすることが好ましい。感光体ドラム444のドラム径やドラム線速、現像スリーブ442のスリーブ径やスリーブ線速は、複写速度や装置の大きさ等の制約によって決まる。ドラム線速に対するスリーブ線速の比は、必要な画像濃度を得るために1.1以上にすることが好ましい。なお、現像後の位置にセンサを設置し、光学的反射率からトナー付着量を検出してプロセス条件を制御することもできる。
<転写手段>
前記転写手段は、前記可視像を記録媒体に転写する手段である。
前記転写手段としては、静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に直接転写する転写手段と、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する二次転写手段とに大別され、いずれの転写手段でも特に制限されるものではなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができる。
<定着手段>
前記定着手段は、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる手段である。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有する定着装置が好適に用いられる。前記定着部材としては、互いに当接してニップ部を形成可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せなどが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、無端状ベルトとローラとの組合せや誘導加熱などによる前記定着部材の表面からの加熱方法を用いるのが好ましい。
前記定着手段としては、(1)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する態様(内部加熱方式)と、(2)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する態様(外部加熱方式)とに大別される。なお、両者を組み合わせたものを用いることも可能である。
前記(1)の内部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材それ自体が内部に加熱手段を有するものなどが挙げられる。このような加熱手段としては、例えば、ヒーター、ハロゲンランプ等の熱源が挙げられる。
前記(2)の外部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材の少なくとも1つにおける表面の少なくとも一部が加熱手段により加熱される態様が好ましい。このような加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電磁誘導加熱手段などが挙げられる。前記電磁誘導加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁場を発生する手段と、電磁誘導により発熱する手段とを有するものなどが好ましい。前記電磁誘導加熱手段としては、例えば、前記定着部材(例えば、加熱ローラ)へ近接するように配置される誘導コイルと、この誘導コイルが設けられている遮蔽層と、この遮蔽層の誘導コイルが設けられている面の反対側に設けられている絶縁層とからなるものが好適に挙げられる。このとき、前記加熱ローラは、磁性体からなる態様、ヒートパイプである態様などが好ましい。前記誘導コイルは、前記加熱ローラの、前記加熱ローラと前記定着部材(例えば、加圧ローラ、無端状ベルト等)との接触部位の反対側において、少なくとも半円筒部分を包む状態にて配置されるのが好ましい。
(プロセスカートリッジ)
本発明にかかるプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有する。
前記現像手段は、前記静電潜像担持体上に担持された静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する手段であり、前記トナーが本発明のトナーであることを必要とする。
前記現像手段としては、前記トナーを収容するトナー収容器と、該トナー収容器内に収容されたトナーを担持しかつ搬送するトナー担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させる前記トナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。前記現像手段は、前記二成分現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容された二成分現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有することが好ましい。具体的には、上記画像形成装置で説明した現像手段のいずれかを好適に用いることができる。
また、前記帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段としては、上述した画像形成装置と同様なものを適宜選択して用いることができる。
前記プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置、ファクシミリ、プリンターに着脱可能に備えさせることができ、本発明の前記画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが特に好ましい。
ここで、前記プロセスカートリッジは、例えば、図3に示すように、静電潜像担持体101を内蔵し、帯電手段102、現像手段104、転写手段108、クリーニング手段107を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。図3中、103は露光手段による露光、105は記録媒体をそれぞれ示す。
次に、図3に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、静電潜像担持体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(不図示)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104でトナーにより現像され、現像されたトナー像は転写手段108により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の静電潜像担持体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、配合量の「部」は全て「質量部」である。
<結晶性樹脂1>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸241質量部、アジピン酸31質量部、1,4−ブタンジオール164質量部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.75質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで225℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ18,000に達するまで反応を行って、融点58℃、軟化温度と最大吸熱ピーク温度の比は1.21である[結晶性樹脂1](結晶性ポリエステル樹脂)を得た。
<結晶性樹脂2>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ17,000に達するまで反応を行って、融点63℃、軟化温度と最大吸熱ピーク温度の比は1.18である[結晶性樹脂2](結晶性ポリエステル樹脂)を得た。
<結晶性樹脂3>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ドデカン二酸322質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行った。
得られた結晶性樹脂269質量部を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル280質量部、トリレンジイソシアネート(TDI)85質量部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ18,000、融点68℃、軟化温度と最大吸熱ピーク温度の比は1.30である[結晶性樹脂3](結晶性ポリウレタン樹脂)を得た。
<結晶性樹脂4>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行った。
得られた結晶性樹脂249質量部を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)82質量部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ20,000、融点65℃、軟化温度と最大吸熱ピーク温度の比は1.28である[結晶性樹脂4](結晶性ポリウレタン樹脂)を得た。
<結晶性樹脂5>
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、1,6−ヘキサンジオール249部、セバシン酸394部、及びジブチルスズオキシド0.8部を仕込み、常圧下、180℃で6時間反応させた。
次に、10〜15mmHgの減圧下で、4時間反応させて、[結晶性ポリエステルユニット1]を合成した。
得られた[結晶性ポリエステルユニット1]は、数平均分子量が4000、重量平均分子量が9100、融点が66℃であった。
次いで、冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物235部、プロピレングリコール10部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート254部、酢酸エチル600部、を仕込み、常圧下、80℃で3時間反応させ、[ポリウレタンプレポリマー1]を合成した。
得られた[ポリウレタンプレポリマー1]は、数平均分子量が2600であった。最後に、冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[結晶性ポリエステルユニット1]430部、[ポリウレタンプレポリマー1]176部、酢酸エチル400部を仕込み、常圧下、80℃で5時間反応させた後溶媒を除去して、結晶性ポリエステルユニットとポリウレタンプレポリマーユニットからなる[結晶性樹脂5]を得た。
得られた[結晶性樹脂5]は、数平均分子量が10100、重量平均分子量が31000、窒素原子濃度が1.7重量%、融点は65℃、軟化温度と最大吸熱ピーク温度の比は1.35であった。
<非結晶性樹脂1>
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部、及びジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下で、5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸44部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させて、[非結晶性樹脂1]を合成した。得られた[非結晶性樹脂1]は、数平均分子量が2500、重量平均分子量が6700、ガラス転移温度が43℃、酸価が25mgKOH/gであった。
<結晶性樹脂のプレポリマー>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)247質量部、及び酢酸エチル247質量部を入れ、更に[結晶性樹脂4]249質量部を酢酸エチル249質量部に溶解させた樹脂溶液を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する結晶性樹脂前駆体[結晶性プレポリマー1](変性ポリエステル樹脂)の50質量%酢酸エチル溶液を得た。
<非結晶性樹脂のプレポリマー>
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応し[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価49であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]411部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[非結晶性プレポリマー1]を得た。[非結晶性プレポリマー1]の遊離イソシアネート質量%は、1.53%であった。
<着色剤分散液>
ビーカー内に銅フタロシアニン20部と着色剤分散剤(ソルスパーズ28000;アビシア株式会社製)4部、および酢酸エチル76部を入れ、攪拌して均一分散させた後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散して、[着色剤分散液1]を得た。[着色剤分散液1]を堀場製作所製粒子径測定装置LA−920で測定した体積平均粒径は0.3μmであった。
<ワックス分散液>
冷却管、温度計及び撹拌機を装備した反応容器に、パラフィンワックス(HNP−9(融点75℃)、日本精蝋社製)15質量部、及び酢酸エチル85質量部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った後、さらにウルトラビスコミル(アイメックス製)にて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒間、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕した。最後に固形分濃度が15%になるように酢酸エチルを追加して調整し、[ワックス分散液1]を得た。
[実施例1]
温度計および撹拌機の付いた反応容器中に、[結晶性樹脂1]100部、酢酸エチル100部を入れ、50℃まで加温し攪拌して均一相を作製して[樹脂溶液1]を得た。
ビーカー内に[樹脂溶液1]45部、[結晶性プレポリマー1]15部、[ワックス分散液1]14部、および[着色剤分散液1]10部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[トナー材料液1]を得た。
ビーカー内にイオン交換水99部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25wt%水性分散液6部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、およびドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業製、「エレミノールMON−7」)10部を入れ均一に溶解した。
ついで50℃で、TK式ホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、[トナー材料液1]75部を投入し2分間撹拌した。
ついでこの混合液を撹拌棒および温度計付のコルベンに移し、55℃で濃度が0.5%以下となるまで酢酸エチルを留去し、[樹脂粒子の水性樹脂分散体1]を得た。
次いで前洗浄工程として、[樹脂粒子の水性樹脂分散体1]を室温まで冷ました後、濾別し、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。
次に、アルカリ処理として、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで30分間混合した後、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11.0に調整し、45℃に加温しながら10時間攪拌した後、室温まで冷まして減圧濾過した。
さらに、後洗浄工程として、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を3回行い、得られた濾過ケーキに1質量%塩酸300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。最後に得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
得られたケーキを解砕した後40℃にて22時間乾燥を行い、体積平均粒径が5.6μmの[樹脂粒子1]を得た。
得られた[樹脂粒子1]を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、[トナー1]を作製した。
[実施例2]
アルカリ処理工程のpHを11.0から12.0に変更したこと以外は実施例1と同様にして[樹脂粒子2]及び[トナー2]を得た。
[実施例3]
アルカリ処理工程のpHを11.0から10.0に変更したこと以外は実施例1と同様にして[樹脂粒子3]及び[トナー3]を得た。
[実施例4]
アルカリ処理工程の温度を45℃から55℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして[樹脂粒子4]及び[トナー4]を得た。
[実施例5]
[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂2]に変更したこと以外は実施例1と同様にして[樹脂粒子5]及び[トナー5]を得た。
[実施例6]
(結晶性樹脂ラテックス1の作製)
[結晶性樹脂3]40gをイオン交換水360gに加え、90℃に加熱後、4%の水酸化ナトリウム水溶液でpH=7.5に調整し、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.8gを加えながら、IKA製ウルトラタラックスT50を用いて、8000rpmで攪拌し、中心径320nmの[結晶性樹脂ラテックス1]を作製した。このラテックスの固形分濃度は11%であった。
(結晶性樹脂ラテックス2の作製)
イオン交換水360gに10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を1.1g添加し、さらに4%の水酸化ナトリウム水溶液でpH=9.0に調整して水相を作成、これを55℃に加熱した。ついで、[結晶性プレポリマー1]80gを55℃に加熱して流動する状態にしたものを水相に投入し、IKA製ウルトラタラックスT50を用いて、8000rpmで10分間攪拌した後、酢酸エチル濃度が0.5%になるまで除去し、中心径350nmの[結晶性樹脂ラテックス2]を作製した。
このラテックスの固形分濃度は10%であった。
(シアン顔料分散液B−1の調製)
下記組成を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)と超音波照射により分散し、中心粒径150nmの[シアン顔料分散液B−1]を得た。
・シアン顔料 C.I.Pigment Blue 15:3 50g
(銅フタロシアニン 大日本インキ製)
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC 5g
・イオン交換水 200g
(離型剤分散液C−1の調製)
下記組成を混合し、97℃に加熱した後、IKA製ウルトラタラックスT50にて分散した。その後、ゴーリンホモジナイザー(盟和商事製)で分散処理し、105℃、550kg/cmの条件で20回処理することで、中心径190nmの[離型剤分散液C−1]を得た。
・パラフィンワックス(日本油脂社製 HNP−9) 100g
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC 5g
・イオン交換水 300g
結晶性樹脂ラテックス1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 260質量部
結晶性樹脂ラテックス2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 120質量部
シアン顔料分散液B−1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10質量部
離型剤分散液C−1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8質量部
ポリ塩化アルミニウム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.15質量部
イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 400質量部
前記成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱し、粒子の凝集を行った。粒径が5.7μmになったことを確認したところで、0.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整し、攪拌を継続しながら70℃まで加熱した。70℃までの昇温の間、系内のpHは、5.6程度まで低下したがそのまま保持した。円形度が0.972になったところで、冷却した。
次いで前洗浄工程として、濾別し、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。
次に、アルカリ処理として、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで30分間混合した後、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11.0に調整し、45℃に加温しながら10時間攪拌した後、室温まで冷まして減圧濾過した。
さらに、後洗浄工程として、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を3回行い、得られた濾過ケーキに1質量%塩酸300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。最後に得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
得られたケーキを解砕した後40℃にて22時間乾燥を行い、体積平均粒径が5.6μmの[樹脂粒子6]を得た。
得られた[樹脂粒子6]を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、[トナー6]を作製した。
[実施例7]
アルカリ処理工程のpHを11.0から12.0、処理時間を10時間から2時間に変更したこと以外は実施例1と同様にして[樹脂粒子7]及び[トナー7]を得た。
[実施例8]
アルカリ処理工程のpHを11.0から12.0、温度を45℃から40℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして[樹脂粒子8]及び[トナー8]を得た。
[実施例9]
実施例1と同様にしてアルカリ処理工程まで行ったものに対して、後洗浄工程として、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を3回行い、得られた濾過ケーキに1質量%塩酸300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。最後に得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、一般式(I)の化合物であるN,N,N,−トリメチル−[3−(4−ペルフルオロノネニルオキシベンズアミド)プロピル]アンモニウム・ヨージド(製品名フタージェント310(ネオス社製))の1質量%水溶液を樹脂粒子質量(樹脂粒子に最終的に含有される質量)に対し0.05質量%となるように攪拌下徐々に添加し、30分攪拌を継続したものを濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後濾過する操作を1回行った。
得られたケーキを解砕した後40℃にて22時間乾燥を行い、体積平均粒径が5.6μmの[樹脂粒子9]を得た。
得られた[樹脂粒子9]を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、[トナー9]を作製した。
[実施例10]
実施例1の操作に従って[樹脂粒子の水性樹脂分散体1]を得た後、アルカリ処理として、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで30分間混合した後、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11.0に調整し、45℃に加温しながら10時間攪拌した後、室温まで冷まして減圧濾過した。
さらに、後洗浄工程として、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を3回行い、得られた濾過ケーキに1質量%塩酸300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。最後に得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
得られたケーキを解砕した後40℃にて22時間乾燥を行い、体積平均粒径が5.6μmの[樹脂粒子10]を得た。
得られた[樹脂粒子10]を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、[トナー10]を作製した。
[比較例1]
アルカリ処理工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして[樹脂粒子101]及び[トナー101]を得た。
[比較例2]
アルカリ処理工程の温度を45℃から20℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして[樹脂粒子102]及び[トナー102]を得た。
[比較例3]
アルカリ処理工程において、水酸化ナトリウム水溶液を添加せずpHの調整を行わなかったこと、及び洗浄時の温度を50℃とした以外は実施例1と同様にして[樹脂粒子103]及び[トナー103]を得た。
[比較例4]
[結晶性樹脂1]を[非結晶性樹脂1]に、[結晶性プレポリマー1]を[非結晶性プレポリマー1]に変更したこと及びアルカリ処理工程において洗浄時の温度を50℃とした以外は実施例1と同様にして[樹脂粒子104]及び[トナー104]を得た。
[比較例5]
(非結晶性樹脂ラテックス1の作製)
非結晶性ポリエステル樹脂(1)40gをイオン交換水360gに加え、90℃に加熱後、4%の水酸化ナトリウム水溶液でpH=7.5に調整し、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.8gを加えながら、IKA製ウルトラタラックスT50を用いて、8000rpmで攪拌し、中心径290nmの[非結晶性樹脂ラテックス1]作製した。このラテックスの固形分濃度は11%であった。
(非結晶性樹脂ラテックス2の作製)
イオン交換水360gに10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を1.1g添加し、さらに4%の水酸化ナトリウム水溶液でpH=9.0に調整して水相を作成した。ついで、[非結晶性プレポリマー1]80gを水相に投入し、IKA製ウルトラタラックスT50を用いて、8000rpmで10分間攪拌した後、40℃に加温して酢酸エチル濃度が0.5%になるまで除去し、中心径310nmの[非結晶性樹脂ラテックス2]を作製した。
このラテックスの固形分濃度は10%であった。
非結晶性樹脂ラテックス1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 260質量部
非結晶性樹脂ラテックス2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 120質量部
シアン顔料分散液B−1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10質量部
離型剤分散液C−1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8質量部
ポリ塩化アルミニウム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.15質量部
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 400質量部
前記成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱し、粒子の凝集を行った。粒径が5.8umになったことを確認したところで、0.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整し、攪拌を継続しながら80℃まで加熱した。
80℃までの昇温の間、系内のpHは、5.0程度まで低下したがそのまま保持した。円形度が0.970になったところで、冷却した。
次いで前洗浄工程として、濾別し、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。
次に、アルカリ処理として、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで30分間混合した後、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11.0に調整し、50℃に加温しながら10時間攪拌した後、室温まで冷まして減圧濾過した。
さらに、後洗浄工程として、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を3回行い、得られた濾過ケーキに1質量%塩酸300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。最後に得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
得られたケーキを解砕した後40℃にて22時間乾燥を行い、体積平均粒径が5.7μmの[樹脂粒子105]を得た。
得られた[樹脂粒子105]を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、[トナー105]を作製した。
[比較例6]
[樹脂溶液1]の投入量を45部から60部に変更し、結晶性プレポリマー1を使用しないこと以外は実施例1と同様にして[樹脂粒子106]及び[トナー106]を得た。
[比較例7]
[樹脂溶液1]の投入量を45部から55部に、[結晶性プレポリマー1]の投入量を15部から5部に変更したこと以外は実施例1と同様にして[樹脂粒子106]及び[トナー107]を得た。
[実施例11]
<トナー組成液の調製>
温度計および撹拌機の付いた反応容器中に、[樹脂溶液1]45部、[結晶性プレポリマー1]15部、[ワックス分散液1]14部、および[着色剤分散液1]10部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させた。最後に固形分濃度が10%になるように酢酸エチルを追加して調整し、[トナー組成液1]を得た。
<樹脂粒子の作製>
[トナー組成液1]を、図7〜9に示すトナー製造装置を用い、図8に示す液柱共鳴原理を用いた液滴吐出ヘッドにより以下に示す条件で液滴を吐出させた。その後、該液滴を乾燥固化し、サイクロン捕集した後、更に35℃にて48時間2次乾燥させることにより、[樹脂粒子11]を作製した。
[液柱共鳴条件]
共鳴モード :N=2
液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さ :L=1.8mm
液柱共鳴液室の液共通供給路側のフレームの端部の高さ :h1=80μm
液柱共鳴液室の連通口の高さ :h2=40μm
[トナー母体粒子作製条件]
分散液比重 :ρ=1.1g/cm
吐出口の形状 :真円
吐出口直径 :7.5μm
吐出口の開口数 :液柱共鳴液室1つ当たり4個
隣接する吐出口の中心部間の最短間隔 :130μm(全て等間隔)
乾燥エアー温度 :40℃
印加電圧 :10.0V
駆動周波数 :395kHz
<トナーの作製>
得られた[樹脂粒子11]を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、[トナー11]を作製した。
[実施例12]
トナー組成液の調製において、[結晶性樹脂1]を、[結晶性樹脂2]に変更したこと以外は実施例11と同様にして[樹脂粒子12]及び[トナー12]を得た。
[実施例13]
[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂5]に変更したこと以外は実施例1と同様にして、[樹脂粒子13]および[トナー13]を得た。
<評価・測定方法>
[トナーのTHF可溶分の重量平均分子量]
樹脂及びトナーの分子量測定は、GPC(gel permeation chro
matography)によって、以下の条件で測定した。
・装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
・カラム:KF801〜807(ショウデックス社製)、温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
・試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.1mL注入した。
以上の条件で測定した樹脂の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量を算出した。検量線作製用の標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製のShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
[メタノール濡れ性]
トナーサンプルはあらかじめ23±2℃、50±5%の環境にて24時間以上調湿した。
実験室環境下、100mlトールビーカーに長さ20mmのスターラーチップとイオン交換水60mlを入れ、超音波を5分間照射して脱気をし、粉体濡れ性試験機WET−100P(株式会社レスカ社製)にセットした。上記イオン交換水の上にトナーサンプル25mgを浮かべ、ついですぐに蓋とメタノール供給ノズルをセットし、スターラー攪拌開始と同時に測定を開始した。メタノールの供給速度は1.6ml/min、測定時間は30minとした。スターラーの攪拌速度は350〜450rpmになるように調整した。トナーは最初はイオン交換水界面に浮いているが、メタノール濃度が上昇するにつれ徐々にイオン交換水とメタノールの混合液に濡れて液体中に分散し、液体の光透過率が低下する。この低下の様子から濡れ性を評価する。具体的には、得られたデータから、横軸にFlow(ml)から計算されるメタノール濃度(vol%)、縦軸に光透過率(電圧比(%))をプロットし、光透過率が最大値と最小値の中間となるときのメタノール濃度を「メタノール濡れ性試験における50%濡れ性(W(50%))」とした。なお、測定終了までで電圧比が70%を下回らない場合は、50%濡れ性(W50%))は「測定限界以上」とした。
当然ながらこの場合はトナーのメタノール濡れ性は非常に低い、つまりトナー表面の疎水性は非常に高いものでありトナーの帯電の環境変動性が十分に抑えられるため、本発明においては、50%濡れ性が20(vol%)以上と同義であり、好ましい。
[定着性]
定着ローラとして、テフロン(登録商標)ローラを使用した電子写真方式の複写機(MF−200、株式会社リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、定着ベルトの温度を外部制御により90℃より5℃刻みで上げていき、普通紙及び厚紙の転写紙タイプ6200(株式会社リコー製)及び複写印刷用紙<135>(NBSリコー社製)に、トナーの付着量が0.85±0.1mg/cmのベタ画像を形成した。
定着画像について、上島製作所製描画試験器AD−401を使用し、定着画像の着色部分にサファイヤ針(半径125μm)、針回転直径8mm、荷重1gの条件で当接した状態で走行させ、サファイヤ針尖端部の走行面を目視により観察し、引っかき傷がまったく見られない最低温度を最低定着温度(下限)とした。また、画像の光沢を測定していくと定着温度の上昇に伴い光沢度は増加するが、ある温度を境に光沢度が低下する。これはホットオフセット気味になり画像表面が荒れているためである。光沢度の低下が見られない最高温度を最高定着温度(上限)とした。
[帯電性]
得られたトナーと、リコー社製複合機imagio MP C4500に使用されているキャリアをHH環境(28℃/90%)、もしくはLL環境(10℃/15%)にて24時間以上調湿した。調湿後、トナー0.7g、キャリア10gをPP容器に入れ、1分間混合したものの帯電量(−μC/g)を、ブローオフ法で測定した。
[トナー表面性]
得られた樹脂粒子の表面を走査電子顕微鏡(SEM)にて倍率20,000倍にて観察した。図4に実施例1で得られたトナーの走査電子顕微鏡写真の画像を、図5及び図6に比較例1及び4で得られたトナーの走査電子顕微鏡写真の画像を示す。
[トナー表面のフッ素原子と炭素原子の原子数比(F/C)]
本発明におけるトナー粒子表面におけるフッ素原子と炭素原子の原子数比(F/C)は、XPS(X線光電子分光)装置による求めることができる。
本発明では以下の装置、条件により求めた。
(1)前処理トナーをアルミ皿に詰め込み、上から軽く押さえ測定した。
(2)装置 PHI社製1600S型 X線光電子分光装置
(3)測定条件 X線源 MgKα(100W)分析領域 0.8×2.0mm
実施例1〜9、比較例6,7のトナーに関しては走査電子顕微鏡観察からトナーの表面は平滑であり、高極性の官能基を有する樹脂などの物質が除去されたものと思われる。一方、比較例1〜3のトナーはトナー表面に凹凸が見られ、高極性の官能基を有する樹脂などの物質が残存しており定着阻害や高温高湿下での帯電量の低さの原因となっていると考えられる。また比較例4,5のトナーの表面には微小な穴が見られ、トナー製造過程でトナーが可塑化し樹脂の加水分解が一部発生したことが想定される。その結果、トナーの表面積が大きくなり低温低湿環境下での帯電量は大きくなったものの、高温高湿下では水分の影響を大きく受け帯電量が低くなり帯電量の環境変動が大きくなったと考えられる。
また、実施例11、12のトナーに関しては走査電子顕微鏡観察からトナーの表面は平滑であり、高極性の官能基を有する樹脂などの物質が存在しないものと思われる。
101 静電潜像担持体
102 帯電手段
103 露光手段による露光
104 現像手段
105 記録媒体
107 クリーニング手段
108 転写手段
424 二成分現像器ケーシング
441 スクリュー
442 現像スリーブ
443 ドクターブレード
444 感光体ドラム
1:トナー製造装置
2:液滴吐出手段
6:トナー成分液供給口
7:トナー成分液流路
8:トナー成分液排出口
9:弾性板
10:液柱共鳴液滴吐出ユニット
11:液柱共鳴液滴吐出手段
12:気流通路
13:原料収容器
14:トナー成分液
15:液循環ポンプ
16:液供給管
17:液共通供給路
18:液柱共鳴流路
19:吐出口
20:振動発生手段
21:液滴
22:液戻り管
23:合着液滴
24:ノズル角度
60:乾燥捕集手段
61:チャンバ
62:固化粒子捕集手段
63:トナー貯留部
64:搬送気流導入口
65:搬送気流排出口
101:下降気流
P1:液圧力計
P2:チャンバ内圧力計
特開2010−077419号公報 特許第3820973号公報 特許第4494317号公報

Claims (12)

  1. 少なくとも結着樹脂として結晶性樹脂を有するトナーにおいて、
    該トナーのTHF可溶分の重量平均分子量が20,000以上、100,000以下であり、
    メタノール濡れ性試験における50%濡れ性(W(50%))が20(vol%)以上であり、前記トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/((C)+(A))が、0.15以上であることを特徴とするトナー。
  2. 前記トナーの示差走査熱量計(DSC)による昇温1回目の最大吸熱ピークのショルダー温度Tsh(1st)[℃]と、昇温2回目の最大吸熱ピークのショルダー温度Tsh(2nd)[℃]の比Tsh(2nd)/Tsh(1st)の値が0.90以上1.10以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)(Pa)が5.0×10<G’(70)<5.0×10であり、且つ、前記トナーの160℃における貯蔵弾性率G’(160)(Pa)が1.0×10<G’(160)<1.0×10であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記結晶性樹脂がウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のトナー。
  6. 前記結晶性樹脂が、ポリエステルとポリウレタンとのブロックポリマーであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のトナー。
  7. 前記結晶性樹脂として、第1の結晶性樹脂と、該第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂と、を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のトナー。
  8. 前記第2の結晶性樹脂が末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂を伸長させてなるものであることを特徴とする請求項に記載のトナー。
  9. 少なくとも結着樹脂として結晶性樹脂を含有するトナー組成液を貫通孔より吐出し液滴化した後、固化して得られることを特徴とする請求項1〜のいずれに記載のトナー。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載のトナーとキャリアとを含有することを特徴とする二成分現像剤。
  11. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記トナーが、請求項1〜のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  12. 静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを備えた画像形成装置であって、前記現像手段に請求項1〜のいずれかに記載のトナーを充填したことを特徴とする画像形成装置。
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