JP2014235400A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐熱保存性に優れると共に、排紙手段に因る跡を抑制することができる画像形成装置の提供。
【解決手段】静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、排紙手段とを有し、トナーが結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有し、前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有し、結晶性樹脂がウレタン結合及びウレア結合のいずれかを有する結晶性樹脂であって、トナーのX線回折法で得られる回折スペクトルが、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をCとし、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAとすると、比C/(C+A)が0.15以上であり、トナーの70℃および160℃における貯蔵弾性率が特定の範囲内であり、定着手段における記録媒体の通過速度をS1とし、排紙手段における記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たす画像形成装置である。
【選択図】図1
【解決手段】静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、排紙手段とを有し、トナーが結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有し、前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有し、結晶性樹脂がウレタン結合及びウレア結合のいずれかを有する結晶性樹脂であって、トナーのX線回折法で得られる回折スペクトルが、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をCとし、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAとすると、比C/(C+A)が0.15以上であり、トナーの70℃および160℃における貯蔵弾性率が特定の範囲内であり、定着手段における記録媒体の通過速度をS1とし、排紙手段における記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たす画像形成装置である。
【選択図】図1
Description
本発明は、複写機、静電印刷、ファクシミリ、プリンタ、静電記録等の電子写真方式の画像形成に用いられる画像形成装置及び画像形成方法に関する。
従来より、電子写真方式の画像形成装置、静電記録装置等において、電気的又は磁気的潜像は、トナーによって顕像化されている。例えば、電子写真法では、感光体上に静電荷像(潜像)を形成した後、トナーを用いて前記潜像を現像して、トナー画像を形成している。前記トナー画像は、通常、紙等の記録媒体上に転写された後、加熱等の方法で定着される。前記加熱定着方式の画像形成装置においては、トナーを熱溶融させて紙等の記録媒体上に定着させる過程で多くの電力が必要となるため、省エネルギー化を図る観点から、トナーについては低温定着性が重要な特性の一つとなっている。
トナーの低温定着性を向上させるためには、例えば、トナーに用いられる結着樹脂として定着時の加熱により瞬時に溶融するような結晶性樹脂を添加することが試みられている。また、更なる低温定着性の向上を狙うため、結晶性樹脂を結着樹脂の主成分として使用したトナーも提案されている。
しかし、前記結晶性樹脂を主成分として使用したトナーは、定着時に溶融し、再結晶する温度が低いため、定着直後の弾性が低く、定着後の排紙ローラ(搬送ローラ)等の排紙手段との接触によって表面が塑性変形し、排紙手段に因る跡が生じてしまうという問題がある。
しかし、前記結晶性樹脂を主成分として使用したトナーは、定着時に溶融し、再結晶する温度が低いため、定着直後の弾性が低く、定着後の排紙ローラ(搬送ローラ)等の排紙手段との接触によって表面が塑性変形し、排紙手段に因る跡が生じてしまうという問題がある。
例えば、特許文献1では、トナー像が定着手段によって定着された記録媒体が、充分に冷却される前に記録媒体が搬送ローラと接触すると、接触した部分が早く冷却されるため、ワックスが結晶化し高光沢となって光沢差が生じて跡となる。この対策として定着直後に排紙手段の温度を記録媒体の温度に近づけることで光沢差を解消している。しかし、実際に、この現象で生じる光沢差は数%程度で視覚的に殆ど認知できない上に、トナーの変形による跡には対応できないという課題がある。
また、搬送ローラとして中空の弾性体を用いることにより、画像面へのニップ圧を下げ、それによって跡の発生を防止することが提案されている(特許文献2参照)。しかし、低温定着トナーでは、結晶性樹脂を主成分とする結着樹脂を用いているため、比較的圧力による変形には強い一方、搬送ローラによる褶擦力には弱くなり、この提案のようにニップ圧を下げるだけでは排紙手段に因る跡の発生を抑えることは困難である。
また、定着直後の排紙ローラ通過前後の画像温度の差を20℃未満にすること、つまり排紙ローラを加熱することによって、排紙ローラを通過する画像部分と通過しない部分との冷却状態の温度差を小さくして跡の発生を抑えることが提案されている(特許文献3参照)。しかし、この提案も前記特許文献1と同様に光沢差による跡であり、トナー変形による跡には対応できないという課題がある。
また、定着直後に冷却手段を設け、それによりトナー画像に空気を吹き付け、排紙ローラに送り込まれる前に、冷却硬化させることで排紙ローラに因る跡の発生を抑えることが提案されている(特許文献4参照)。しかし、この提案のように画像形成装置内に新たに冷却手段を設けると、低コスト化及び小型化が難しくなり、省エネルギーにも反する点で問題がある。
したがって、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐熱保存性に優れると共に、排紙手段に因る跡の発生を抑制することができる画像形成装置の提供が望まれている。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐熱保存性に優れると共に、排紙手段に因る跡の発生を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、
前記転写像が定着された記録媒体を外部に排出させる排紙手段と、を有してなり、
前記トナーが、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有し、
前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有し、前記結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂であって、前記トナーのX線回折法で得られる回折スペクトルが、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をCとし、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAとすると、比C/(C+A)が0.15以上であり、
前記トナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)が5.0×104Pa≦G’(70)≦1.0×106Paであり、かつ前記トナーの160℃における貯蔵弾性率G’(160)が1.0×103Pa≦G’(160)≦1.0×104Paであり、
前記定着手段における前記記録媒体の通過速度をS1とし、前記排紙手段における前記記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たす。
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、
前記転写像が定着された記録媒体を外部に排出させる排紙手段と、を有してなり、
前記トナーが、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有し、
前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有し、前記結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂であって、前記トナーのX線回折法で得られる回折スペクトルが、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をCとし、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAとすると、比C/(C+A)が0.15以上であり、
前記トナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)が5.0×104Pa≦G’(70)≦1.0×106Paであり、かつ前記トナーの160℃における貯蔵弾性率G’(160)が1.0×103Pa≦G’(160)≦1.0×104Paであり、
前記定着手段における前記記録媒体の通過速度をS1とし、前記排紙手段における前記記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たす。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐熱保存性に優れると共に、排紙手段に因る跡の発生を抑制することができる画像形成装置を提供する。
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、排紙手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
なお、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段をまとめて作像手段と称することもある。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程と、排紙工程とを少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、クリーニング工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
なお、静電潜像形成工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、及び除電工程をまとめて作像工程と称することもある。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、排紙手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
なお、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段をまとめて作像手段と称することもある。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程と、排紙工程とを少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、クリーニング工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
なお、静電潜像形成工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、及び除電工程をまとめて作像工程と称することもある。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記排紙工程は前記排紙手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
本発明者らがトナーの低温定着化を検討していく中で、結着樹脂として結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、結晶性樹脂の含有量が大きくなるほど、特に結晶性樹脂を結着樹脂の主成分とする場合には、低温定着性には優れる反面、樹脂硬度が低くなることからトナーの硬度も低下し、更にトナーが記録媒体に転写され、定着手段によって記録媒体上に加熱加圧定着された画像も硬度が低くなる。そのため、記録媒体上の定着画像が定着直後の排紙手段によって褶擦されることにより、画像上にその跡が生じてしまうという課題があることを知見した。
前記知見に基づき本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂をトナーの結着樹脂として使用し、前記定着手段における前記記録媒体の通過速度をS1とし、前記排紙手段における前記記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たし、好ましくは、定着手段における記録媒体の通過速度をS1とし、排紙手段における記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、2%≦〔(S1−S2)/S1〕×100≦5%、を満たすことにより、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐熱保存性に優れると共に、排紙手段に因る跡の発生を抑制できることを知見した。
前記知見に基づき本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂をトナーの結着樹脂として使用し、前記定着手段における前記記録媒体の通過速度をS1とし、前記排紙手段における前記記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たし、好ましくは、定着手段における記録媒体の通過速度をS1とし、排紙手段における記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、2%≦〔(S1−S2)/S1〕×100≦5%、を満たすことにより、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐熱保存性に優れると共に、排紙手段に因る跡の発生を抑制できることを知見した。
<静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(以下、「電子写真感光体」、「感光体」と称することがある。)としては、その材質、形状、構造、大きさ等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点から、アモルファスシリコンが好ましい。
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(以下、「電子写真感光体」、「感光体」と称することがある。)としては、その材質、形状、構造、大きさ等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点から、アモルファスシリコンが好ましい。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記帯電器としては、静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
また、前記帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記帯電器としては、静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
また、前記帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、等の各種露光器が挙げられる。なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する工程であり、前記現像手段により行うことができる。前記現像手段としては、例えば、前記トナーを用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナーを収容し、前記静電潜像に該トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適であり、トナー入り容器を備えた現像器等がより好ましい。
前記現像工程は、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する工程であり、前記現像手段により行うことができる。前記現像手段としては、例えば、前記トナーを用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナーを収容し、前記静電潜像に該トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適であり、トナー入り容器を備えた現像器等がより好ましい。
前記現像器は、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有するもの等が好適に挙げられる。前記現像器内では、例えば、前記トナーとキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。前記マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、前記マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって前記静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて前記静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。前記現像器に収容させるトナーは、前記トナーである。
<<トナー>>
前記トナーは、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記トナーは、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<<<結着樹脂>>>
前記結着樹脂は、結晶性樹脂を少なくとも含有し、更に必要に応じて、非結晶性樹脂などのその他の成分を含有する。
前記結着樹脂は、結晶性樹脂を少なくとも含有し、更に必要に応じて、非結晶性樹脂などのその他の成分を含有する。
−結晶性樹脂−
前記結晶性樹脂は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂を少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記結晶性樹脂は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂を少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
−−ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂−−
前記ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかと、結晶性ポリエステルユニットとを有する結晶性樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかと、結晶性ポリエステルユニットとを有する結晶性樹脂が好ましい。
前記ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかと、結晶性ポリエステルユニットとを有する結晶性樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかと、結晶性ポリエステルユニットとを有する結晶性樹脂が好ましい。
本発明における結晶性樹脂とは、結晶構造を持った部位を有する樹脂のことであり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有する。前記結晶性樹脂は、例えば、高化式フローテスターにより測定される軟化温度と、示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が0.8〜1.6であり、熱により急峻に軟化する性状を示す。
また、本発明における非結晶性樹脂は、結晶構造を有さない樹脂のことであり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有さない。前記非結晶性樹脂は、例えば、軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が1.6より大きく、熱により緩やかに軟化する性状を示す。
また、本発明における非結晶性樹脂は、結晶構造を有さない樹脂のことであり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有さない。前記非結晶性樹脂は、例えば、軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が1.6より大きく、熱により緩やかに軟化する性状を示す。
樹脂の軟化温度は、高化式フローテスター(例えば、CFT−500D(株式会社島津製作所製))を用いて測定できる。試料として1gの樹脂を昇温速度3℃/分間で加熱しながら、プランジャーにより2.94MPaの荷重を与え、直径0.5mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化温度とする。
樹脂の融解熱の最大ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)(例えば、示差走査熱量計Q2000、TAインスツルメント社製)を用いて測定することができる。前記融解熱の最大ピーク温度の測定に供する試料は、前処理として、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分間の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分間の速度で降温する。ここで、一度DSCにより、昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される20℃〜100℃にある吸熱ピーク温度を「Ta*」とする。吸熱ピークが複数ある場合は、最も吸熱量が大きいピークの温度をTa*とする。その後、試料を(Ta*−10)℃で6時間保管した後、更に(Ta*−15)℃で6時間保管する。次いで、上記試料を、DSCにより、降温速度10℃/分間で0℃まで冷却した後、昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、同様のグラフを描き、吸熱量の最大ピークに対応する温度を、融解熱の最大ピーク温度とする。
前記結晶性樹脂の融解熱の最大ピーク温度は、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から、50℃〜70℃が好ましく、55℃〜68℃がより好ましく、60℃〜65℃が特に好ましい。前記最大ピーク温度が、50℃未満であると、低温定着性はよくなるが耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、逆に耐熱保存性はよくなるが低温定着性が悪化することがある。
前記結晶性樹脂の前記結着樹脂に対する含有量としては、前記結晶性樹脂による優れた低温定着性と耐熱保存性との両立性を最大限に発現させる観点から、50質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、95質量%以上が特に好ましい。前記含有量が、50質量%未満であると、結着樹脂の熱急峻性がトナーの粘弾特性上で発現できず、低温定着性と耐熱保存性との両立が困難である。
前記トナーのX線回折法によって得られる回折スペクトルにおいて、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をCとし、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAとすると、比C/(C+A)は、0.15以上であり、低温定着性と耐熱保存性との両立の観点から、0.20以上が好ましく、0.30以上がより好ましく、0.45以上が特に好ましい。前記比C/(C+A)が、0.15未満であると、トナー中における結晶構造を有する部位が少ないため、シャープメルト性が低下し、耐熱保存性と低温定着性のバランスが得難くなり、トナー凝集がおこり異常画像が発生することがある。
前記比C/(C+A)は、結着樹脂中の結晶化部位の量を示す指標であり、X線回折法によって得られる回折スペクトルにおける、結晶構造に由来する主回折ピークとハローとの面積比である。
前記比C/(C+A)は、結着樹脂中の結晶化部位の量を示す指標であり、X線回折法によって得られる回折スペクトルにおける、結晶構造に由来する主回折ピークとハローとの面積比である。
前記X線回折法による回折スペクトルは、2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS/Bruker社製)を用いて測定することができる。測定に使用するキャピラリーは、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmを使用する。試料はこのキャピラリー管の上部まで詰めて測定する。また、サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回である。測定の詳細条件を以下に示す。
・管電流:40mA
・管電圧:40kV
・ゴニオメーター2θ軸:20.0000°
・ゴニオメーターΩ軸:0.0000°
・ゴニオメーターφ軸:0.0000°
・検出器距離:15cm(広角測定)
・測定範囲:3.2≦2θ(゜)≦37.2
・測定時間:600sec
入射光学系には、直径1mmのピンホールを持つコリメーターを用いる。得られた2次元データを、付属のソフトで(x軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換する。
・管電流:40mA
・管電圧:40kV
・ゴニオメーター2θ軸:20.0000°
・ゴニオメーターΩ軸:0.0000°
・ゴニオメーターφ軸:0.0000°
・検出器距離:15cm(広角測定)
・測定範囲:3.2≦2θ(゜)≦37.2
・測定時間:600sec
入射光学系には、直径1mmのピンホールを持つコリメーターを用いる。得られた2次元データを、付属のソフトで(x軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換する。
得られたX線回折測定結果を基に、前記比C/(C+A)を算出する方法を、以下に説明する。X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を図4及び図5に示す。横軸は2θ、縦軸はX線回折強度であり、両方とも線形軸である。図4におけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が見られる。ここで、前記主要なピークは、結晶構造に由来するものであり、ハローは非晶構造に由来するものである。この2の主要なピークとハローをガウス関数、
fp1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1)2/(2cp1 2)}・・・(式A(1))
fp2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2)2/(2cp2 2)}・・・(式A(2))
fh(2θ)=ahexp{−(2θ−bh)2/(2ch 2)}・・・(式A(3))
(fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)はそれぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数)で表し、この3つの関数の和
f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ)・・・(式A(4))
をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図5に図示する)とし、最小二乗法によるフィッティングを行った。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図4及び図5の例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して2つの主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致させて得られた値を設定した。フィッティングは、例えば、Excel2003(Microsoft社製)のソルバーを利用して行うことができる。
フィッティング後の2つの主要なピーク(P1、P2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)、及びハローに相当するガウス関数fh(2θ)のそれぞれについての積分面積(SP1、Sp2、Sh)から、(Sp1+Sp2)を(C)、(Sh)を(A)としたとき、結晶化部位の量を示す指標である比〔C/(C+A)〕を算出することができる。
fp1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1)2/(2cp1 2)}・・・(式A(1))
fp2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2)2/(2cp2 2)}・・・(式A(2))
fh(2θ)=ahexp{−(2θ−bh)2/(2ch 2)}・・・(式A(3))
(fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)はそれぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数)で表し、この3つの関数の和
f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ)・・・(式A(4))
をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図5に図示する)とし、最小二乗法によるフィッティングを行った。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図4及び図5の例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して2つの主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致させて得られた値を設定した。フィッティングは、例えば、Excel2003(Microsoft社製)のソルバーを利用して行うことができる。
フィッティング後の2つの主要なピーク(P1、P2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)、及びハローに相当するガウス関数fh(2θ)のそれぞれについての積分面積(SP1、Sp2、Sh)から、(Sp1+Sp2)を(C)、(Sh)を(A)としたとき、結晶化部位の量を示す指標である比〔C/(C+A)〕を算出することができる。
前記結晶性樹脂の重量平均分子量Mwとしては、低温定着性の観点から、2,000〜100,000が好ましく、5,000〜60,000がより好ましく、8,000〜30,000が特に好ましい。前記重量平均分子量が、2,000未満であると、耐ホットオフセット性が悪化する傾向があり、100,000を超えると、低温定着性が悪化する傾向がある。
前記結晶性樹脂の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、GPC−8220GPC、東ソー株式会社製)を用いて測定することができる。カラムとしては、TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー株式会社製)を使用した。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬工業株式会社製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いた。前記THF試料溶液を測定装置に100μL注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35mL/分間で測定した。試料の分子量測定にあたっては、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。
前記標準ポリスチレン試料としては、例えば、昭和電工株式会社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
前記結晶性樹脂の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、GPC−8220GPC、東ソー株式会社製)を用いて測定することができる。カラムとしては、TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー株式会社製)を使用した。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬工業株式会社製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いた。前記THF試料溶液を測定装置に100μL注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35mL/分間で測定した。試料の分子量測定にあたっては、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。
前記標準ポリスチレン試料としては、例えば、昭和電工株式会社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
−−結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂−−
前記結晶性樹脂としては、トナーとして好適な融点設計を行いやすく、紙への結着性に優れることから、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂を含有することが好ましい。
前記結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂の含有量は、結着樹脂全体の50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、75質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。これは、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂が多いほどトナーの低温定着性に優れるためである。
前記結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂としては、結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂(単に、結晶性ポリエステル樹脂ともいう)、結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)、などが挙げられる。
前記結晶性樹脂としては、トナーとして好適な融点設計を行いやすく、紙への結着性に優れることから、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂を含有することが好ましい。
前記結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂の含有量は、結着樹脂全体の50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、75質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。これは、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂が多いほどトナーの低温定着性に優れるためである。
前記結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂としては、結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂(単に、結晶性ポリエステル樹脂ともいう)、結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)、などが挙げられる。
前記結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂は結晶構造をとる部分は多いものの、外力により容易に変形しやすいことがある。その理由としては、結晶性ポリエステルのすべての部分を結晶化させることは困難であり、結晶化していない部分(非結晶部位)の分子鎖の自由度が高いために容易に変形しやすい、あるいは結晶構造をとっている部分に関しても、通常その高次構造は分子鎖が折りたたまれながら面を形成したものが重なる、いわゆるラメラ構造となるが、そのラメラ層間には大きな結合力が働かないため容易にラメラ層がずれやすい、などの原因が考えられる。
トナー用の結着樹脂としては、外力により容易に変形してしまうと、画像形成装置内での変形凝集、部材への付着あるいは固着、最終的に出力される画像が容易に傷付く、などの問題が発生する可能性があるため、結着樹脂としても外力に対してある程度変形に耐えうるもの、強靭性を有するものでなければならない。樹脂の強靭性付与の観点からは、凝集エネルギーの大きいウレタン結合部位、ウレア結合部位、フェニレン部位を有するような結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)が好ましい。これらの中でも、ウレタン結合部位やウレア結合部位は、分子鎖中に存在することにより、非結晶部位やラメラ層間に大きな分子間力による擬似架橋点を形成させることができると考えられる上、紙への定着後においても紙に対して濡れやすく定着強度を高めることができる点から好ましい。
トナー用の結着樹脂としては、外力により容易に変形してしまうと、画像形成装置内での変形凝集、部材への付着あるいは固着、最終的に出力される画像が容易に傷付く、などの問題が発生する可能性があるため、結着樹脂としても外力に対してある程度変形に耐えうるもの、強靭性を有するものでなければならない。樹脂の強靭性付与の観点からは、凝集エネルギーの大きいウレタン結合部位、ウレア結合部位、フェニレン部位を有するような結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)が好ましい。これらの中でも、ウレタン結合部位やウレア結合部位は、分子鎖中に存在することにより、非結晶部位やラメラ層間に大きな分子間力による擬似架橋点を形成させることができると考えられる上、紙への定着後においても紙に対して濡れやすく定着強度を高めることができる点から好ましい。
−−−結晶性ポリエステルユニット−−−
前記結晶性ポリエステルユニットとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸、などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。
前記結晶性ポリエステルユニットとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸、などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。
前記ポリオールとしては、例えば、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール、などが挙げられる。
前記ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数4〜36の炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール;炭素数4〜36の脂環式ジオール;前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する);ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオール、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、鎖炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。
前記ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数4〜36の炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール;炭素数4〜36の脂環式ジオール;前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する);ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオール、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、鎖炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。
前記直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましい。前記含有量が、80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性の両立性がよく、樹脂硬度が向上する傾向にある点で好ましい。
前記直鎖型脂肪族ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられる。これらの中でも、入手容易性の点から、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
前記直鎖型脂肪族ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられる。これらの中でも、入手容易性の点から、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
前記鎖炭素数が2〜36の前記分岐型脂肪族ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、などが挙げられる。
前記炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、などが挙げられる。
前記炭素数4〜36の脂環式ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、などが挙げられる。
前記炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、などが挙げられる。
前記炭素数4〜36の脂環式ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、などが挙げられる。
前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、BOと略記する)等の付加物(付加モル数1〜30)、などが挙げられる。
前記ビスフェノール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)、などが挙げられる。
前記ポリラクトンジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−ε−カプローラクトンジオール、などが挙げられる。
前記カルボキシル基を有するジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の炭素数6〜24のジアルキロールアルカン酸、などが挙げられる。
前記スルホン酸基又は前記スルファミン酸基を有するジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール、[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)及びそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1〜6);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート、などが挙げられる。
前記ビスフェノール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)、などが挙げられる。
前記ポリラクトンジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−ε−カプローラクトンジオール、などが挙げられる。
前記カルボキシル基を有するジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の炭素数6〜24のジアルキロールアルカン酸、などが挙げられる。
前記スルホン酸基又は前記スルファミン酸基を有するジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール、[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)及びそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1〜6);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート、などが挙げられる。
これらの中和塩基を有するジオールの中和塩基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミン等)、アルカリ金属(ナトリウム塩等)、などが挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用が好ましい。
また、必要に応じて用いられる前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン等)、糖類及びその誘導体(例えば、ショ糖、メチルグルコシド等)等の炭素数3〜36の3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール;トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーとの共重合物等のアクリルポリオール、などが挙げられる。これらの中でも、3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸、などが好適に挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸、などが好適に挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等の炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸;ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸;ダイマー酸(2量化リノール酸)等の炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸、などが好適に挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸、などが好適に挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸、などが好適に挙げられる。
また、必要により用いられる前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸、などが挙げられる。
なお、前記ジカルボン酸又は前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
前記ジカルボン酸の中でも、前記脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)を単独で用いることが特に好ましいが、前記脂肪族ジカルボン酸と共に前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等;これら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル類等)を共重合したものも同様に好ましい。前記芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下が好ましい。
なお、前記ジカルボン酸又は前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
前記ジカルボン酸の中でも、前記脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)を単独で用いることが特に好ましいが、前記脂肪族ジカルボン酸と共に前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等;これら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル類等)を共重合したものも同様に好ましい。前記芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下が好ましい。
前記ラクトン開環重合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチローラクトン、δ−バレローラクトン、ε−カプローラクトン等の炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、前記炭素数3〜12のモノラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物、などが挙げられる。
前記炭素数3〜12のモノラクトンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性の観点から、ε−カプローラクトンが好ましい。
また、前記ラクトン開環重合物としては、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、ダイセル株式会社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等の高結晶性ポリカプローラクトン、などが挙げられる。
前記炭素数3〜12のモノラクトンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性の観点から、ε−カプローラクトンが好ましい。
また、前記ラクトン開環重合物としては、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、ダイセル株式会社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等の高結晶性ポリカプローラクトン、などが挙げられる。
前記ポリヒドロキシカルボン酸の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体等)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間又は3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法、などが挙げられる。これらの中でも、分子量の調整の観点から、前記開環重合する方法が好ましい。
前記環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
前記環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
−−結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂−−
前記結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法としては、予め末端にヒドロキシル基等の活性水素を有する結晶性ポリエステルユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法などが挙げられる。この手段を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。
前記結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法としては、予め末端にヒドロキシル基等の活性水素を有する結晶性ポリエステルユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法などが挙げられる。この手段を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート、などが挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類、などが挙げられる。これらの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜20の芳香族ジイソシアネート、2〜18の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネート、8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)、これらの2種以上の混合物などが好ましい。また、必要により、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
前記ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類、などが挙げられる。これらの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜20の芳香族ジイソシアネート、2〜18の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネート、8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)、これらの2種以上の混合物などが好ましい。また、必要により、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
前記芳香族ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(例えば、5質量%〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、などが挙げられる。
前記脂肪族ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、などが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び2,6−ノルボルナンジイソシアネート、などが挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、などが挙げられる。
前記ジイソシアネートの変性物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物、などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等の変性MDI、イソシアネート含有プレポリマー等のウレタン変性TDIなどのジイソシアネートの変性物;これらジイソシアネートの変性物の2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDIとの併用)、などが挙げられる。
これらのジイソシアネートの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜15の芳香族ジイソシアネート、4〜12の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネートが好ましく、TDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIが特に好ましい。
これらのジイソシアネートの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜15の芳香族ジイソシアネート、4〜12の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネートが好ましく、TDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIが特に好ましい。
−−結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂−−
前記結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂を得る方法としては、予め結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを別々に作製し、それらを結合させる方法、予め結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットのいずれかを作製し、次いで作製したユニットの存在下で、もう一方のポリマーを重合することによって結合させる方法、あるいは結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを同じ反応場で同時あるいは逐次重合させることにより得る方法があるが、設計意図通りに反応を制御させやすいという点で、一つ目又は二つ目の方法が好ましい。
前記結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂を得る方法としては、予め結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを別々に作製し、それらを結合させる方法、予め結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットのいずれかを作製し、次いで作製したユニットの存在下で、もう一方のポリマーを重合することによって結合させる方法、あるいは結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを同じ反応場で同時あるいは逐次重合させることにより得る方法があるが、設計意図通りに反応を制御させやすいという点で、一つ目又は二つ目の方法が好ましい。
前記一つ目の方法としては、前記結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法と同様、予め末端にヒドロキシル基等の活性水素を有するユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法などが挙げられる。ポリイソシアネートについても前述のものが使用できる他、一方のユニットの末端にイソシアネート基を導入し、他方のユニットの活性水素と反応させる方法でも得ることができる。この手段を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。
前記二つ目の方法としては、結晶性ポリエステルユニットを先に作製する場合、次に作製するポリマーユニットが非結晶性ポリエステルユニット、ポリウレタンユニット、ポリウレアユニット等であれば、結晶性ポリエステルユニットの末端のヒドロキシル基あるいはカルボキシル基と、他のポリマーユニットを得るためのモノマーを反応させることにより、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂を得ることができる。
−−−非結晶性ポリエステルユニット−−−
前記非結晶性ポリエステルユニットとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニットが挙げられる。前記ポリオール及び前記ポリカルボン酸については前述の結晶性ポリエステルユニットで例示したものが使用できるが、結晶性を持たないように設計するためには、ポリマー骨格に屈曲点や分岐点を多く持たせるようにすればよく、屈曲点を持たせるには、例えば、ポリオールとして、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)などのビスフェノール及びその誘導体、ポリカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸を使用すればよい。また、分岐点の導入には3価以上のポリオールやポリカルボン酸を使用すればよい。
前記非結晶性ポリエステルユニットとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニットが挙げられる。前記ポリオール及び前記ポリカルボン酸については前述の結晶性ポリエステルユニットで例示したものが使用できるが、結晶性を持たないように設計するためには、ポリマー骨格に屈曲点や分岐点を多く持たせるようにすればよく、屈曲点を持たせるには、例えば、ポリオールとして、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)などのビスフェノール及びその誘導体、ポリカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸を使用すればよい。また、分岐点の導入には3価以上のポリオールやポリカルボン酸を使用すればよい。
−−−ポリウレタンユニット−−−
前記ポリウレタンユニットとしては、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニット、などが挙げられる。これらの中でも、前記ジオールと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットが好ましい。
前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、前記ポリエステル樹脂において挙げた前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールと同様のものが挙げられる。
前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートとしては、前述のジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
前記ポリウレタンユニットとしては、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニット、などが挙げられる。これらの中でも、前記ジオールと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットが好ましい。
前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、前記ポリエステル樹脂において挙げた前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールと同様のものが挙げられる。
前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートとしては、前述のジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
−−−ポリウレアユニット−−−
前記ポリウレアユニットとしては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレアユニット、などが挙げられる。
前記ポリウレアユニットとしては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレアユニット、などが挙げられる。
前記ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類、炭素数6〜20の芳香族ジアミン類が好ましい。また、必要に応じて、前記3価以上のアミン類を使用してもよい。
前記炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の炭素数4〜18のポリアルキレンジアミン;ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の前記アルキレンジアミン又は前記ポリアルキレンジアミンの炭素数1〜4のアルキル又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体;1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等の炭素数4〜15の脂環式ジアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の炭素数4〜15の複素環式ジアミン;キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等の炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類、などが挙げられる。
前記炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の炭素数4〜18のポリアルキレンジアミン;ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の前記アルキレンジアミン又は前記ポリアルキレンジアミンの炭素数1〜4のアルキル又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体;1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等の炭素数4〜15の脂環式ジアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の炭素数4〜15の複素環式ジアミン;キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等の炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類、などが挙げられる。
前記炭素数6〜20の芳香族ジアミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4’−及び4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン等の非置換芳香族ジアミン;2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン;前記非置換芳香族ジアミン乃至前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミンの異性体の種々の割合の混合物;メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等の核置換電子吸引基(Cl、Br、I、F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン;4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等の二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔前記非置換芳香族ジアミン、前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物、前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部又は全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕、などが挙げられる。
前記ジアミンとして、これらの他、ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)前記ポリアミン(前記アルキレンジアミン、前記ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等のポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等のポリエーテルポリアミンなどが挙げられる。また、アミン化合物のアミノ基をケトン化合物などによりキャッピングしたものを用いてもよい。これらの中でも、前記ジアミンと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレアユニットが好ましい。
前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートとしては、前記前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートとしては、前記前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
−−−ビニル系ポリマーユニット−−−
前記ビニル系ポリマーユニットは、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーユニットである。
前記ビニル系モノマーとしては、下記(1)〜(10)が挙げられる。
(1)ビニル系炭化水素としては、例えば、脂肪族ビニル系炭化水素、脂環式ビニル系炭化水素、芳香族ビニル系炭化水素、などが挙げられる。
前記脂肪族ビニル系炭化水素としては、例えば、アルケン類(例えば、エチレン、プロピレンレン、ブテン、イソブチレン、ぺンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン)、前記以外のα−オレフィン;アルカジエン類(例えば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン)、などが挙げられる。
前記脂環式ビニル系炭化水素としては、例えば、モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類(例えば、シクロヘキセン)、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類(例えば、ピネン、リモネン、インデン等)、などが挙げられる。
前記芳香族ビニル系炭化水素としては、例えば、スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;ビニルナフタレン、など挙げられる。
前記ビニル系ポリマーユニットは、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーユニットである。
前記ビニル系モノマーとしては、下記(1)〜(10)が挙げられる。
(1)ビニル系炭化水素としては、例えば、脂肪族ビニル系炭化水素、脂環式ビニル系炭化水素、芳香族ビニル系炭化水素、などが挙げられる。
前記脂肪族ビニル系炭化水素としては、例えば、アルケン類(例えば、エチレン、プロピレンレン、ブテン、イソブチレン、ぺンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン)、前記以外のα−オレフィン;アルカジエン類(例えば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン)、などが挙げられる。
前記脂環式ビニル系炭化水素としては、例えば、モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類(例えば、シクロヘキセン)、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類(例えば、ピネン、リモネン、インデン等)、などが挙げられる。
前記芳香族ビニル系炭化水素としては、例えば、スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;ビニルナフタレン、など挙げられる。
(2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩としては、炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステル、などが挙げられる。
前記炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー、などが挙げられる。
前記炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー、などが挙げられる。
(3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸としては、例えは、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;及びその炭素数2〜24のアルキル誘導体、例えば、α−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル、などが挙げられる。
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸としては、例えは、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;及びその炭素数2〜24のアルキル誘導体、例えば、α−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル、などが挙げられる。
(4)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキル燐酸モノエステル、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類、などが挙げられる。
前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル燐酸モノエステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、などが挙げられる。
前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸;又はそれらの塩、などが挙げられる。
前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル燐酸モノエステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、などが挙げられる。
前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸;又はそれらの塩、などが挙げられる。
なお、前記(2)〜(4)の塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩又は4級アンモニウム塩が挙げられる。
(5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー
前記ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル、などが挙げられる。
前記ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル、などが挙げられる。
(6)含窒素ビニル系モノマー(例えば、アミノ基含有ビニル系モノマー、アミド基含有ビニル系モノマー、ニトリル基含有ビニル系モノマー、4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー、ニトロ基含有ビニル系モノマー等)
前記アミノ基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロ一ル、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、又はこれらの塩、などが挙げられる。
前記アミノ基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロ一ル、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、又はこれらの塩、などが挙げられる。
前記アミド基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、などが挙げられる。
前記ニトリル基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレ一ト、などが挙げられる。
前記4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクローライド、ジメチル硫酸、ベンジルクローライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)、などが挙げられる。
前記ニトロ基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、ニトロスチレン、などが挙げられる。
前記ニトリル基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレ一ト、などが挙げられる。
前記4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクローライド、ジメチル硫酸、ベンジルクローライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)、などが挙げられる。
前記ニトロ基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、ニトロスチレン、などが挙げられる。
(7)エポキシ基含有ビニル系モノマー
前記エポキシ基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド、などが挙げられる。
前記エポキシ基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド、などが挙げられる。
(8)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類
前記ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]、などが挙げられる。
前記ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]、などが挙げられる。
前記ビニル(チオ)エーテルとしては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ヒニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒトロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン、などが挙げられる。
前記ビニルケトンとしては、例えは、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン、などが挙げられる。
前記ビニルスルホン類としては、例えば、ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド、などが挙げられる。
前記ビニルスルホン類としては、例えば、ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド、などが挙げられる。
(9)その他のビニル系モノマー
前記その他のビニル系モノマーとしては、例えば、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、などが挙げられる。
前記その他のビニル系モノマーとしては、例えば、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、などが挙げられる。
(10)フッ素原子元素含有ビニル系モノマー
前記フッ素原子元素含有ビニル系モノマーとしては、例えば、4−フルオロスチレン、2,3,5,6−テトラフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロベンジル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,4H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリヒドロペルフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロノルボニルメチル(メタ)アクリレート、1H−ペルフルオロイソボルニル(メタ)アクリレート2−(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、並びにα−フルオロアクリル酸から誘導された対応する化合物、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルイタコネート、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルマレエート、ビス−ペルフルオロオクチルイタコネート、ビス−ペルフルオロオクチルマレエート、ビス−トリフルオロエチルイタコネート及びビス−トリフルオロエチルマレエート、ビニルヘプタフルオロブチレート、ビニルペルフルオロヘプタノエート、ビニルペルフルオロノナノエート、ビニルペルフルオロオクタノエート、などが挙げられる。
前記フッ素原子元素含有ビニル系モノマーとしては、例えば、4−フルオロスチレン、2,3,5,6−テトラフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロベンジル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,4H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリヒドロペルフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロノルボニルメチル(メタ)アクリレート、1H−ペルフルオロイソボルニル(メタ)アクリレート2−(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、並びにα−フルオロアクリル酸から誘導された対応する化合物、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルイタコネート、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルマレエート、ビス−ペルフルオロオクチルイタコネート、ビス−ペルフルオロオクチルマレエート、ビス−トリフルオロエチルイタコネート及びビス−トリフルオロエチルマレエート、ビニルヘプタフルオロブチレート、ビニルペルフルオロヘプタノエート、ビニルペルフルオロノナノエート、ビニルペルフルオロオクタノエート、などが挙げられる。
−−主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂−−
前記結着樹脂としては、主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂を含むことが好ましい。
Solubility Parameter Values(Polymerhandbook 4th Ed)によれば、ウレア結合の凝集エネルギーは50,230[J/mol]であり、ウレタン結合の凝集エネルギー(26,370[J/mol])の2倍程度あるため、少量であってもトナーの強靭性や定着時のオフセット耐性向上効果が期待できる。
前記結着樹脂としては、主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂を含むことが好ましい。
Solubility Parameter Values(Polymerhandbook 4th Ed)によれば、ウレア結合の凝集エネルギーは50,230[J/mol]であり、ウレタン結合の凝集エネルギー(26,370[J/mol])の2倍程度あるため、少量であってもトナーの強靭性や定着時のオフセット耐性向上効果が期待できる。
前記主鎖にウレア結合を有する樹脂を得るには、ポリイソシアネート化合物と、ポリアミン化合物を反応させる、あるいはポリイソシアネート化合物と水を反応させ、イソシアネートの加水分解によって発生したアミノ基と残りのイソシアネート基を反応させる方法がある。また、主鎖にウレア結合を有する樹脂を得るのにあたり、前述の化合物のほかに、ポリオール化合物も同時に反応させることで樹脂設計の自由度を広げることができる。
前記ポリイソシアネートとしては、前述のようなジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート(以下、低分子量ポリイソシアネートとも記載する)のほか、イソシアネート基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、プレポリマーとも記載する)を使用してもよい。プレポリマーの作製方法としては、低分子量ポリイソシアネートと後述のポリアミン化合物を、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するポリウレアプレポリマーを得る方法、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とを、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得る方法が挙げられる。これらの方法で得られるプレポリマーは単独で使用してもよいし、同じ方法で得られる2種類以上のプレポリマー、あるいは前記2とおりの方法で得られる2種類以上のプレポリマーを併用しても構わないし、更にはプレポリマーと低分子量ポリイソシアネートを1種類あるいは複数種併用しても構わない。
前記ポリイソシアネートの使用比率は、イソシアネート基[NCO]と、ポリアミンのアミノ基[NH2]の等量比[NCO]/[NH2]、あるいはポリオールの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1.01/1、好ましくは4/1〜1.2/1、更に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。前記[NCO]のモル比が5を超えると、ウレタン結合やウレア結合が多くなりすぎ、最終的に得られる樹脂をトナー用の結着樹脂として使用すると溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が悪化する可能性があり、前記[NCO]のモル比が1.01未満であると、重合度が高くなり生成するプレポリマーの分子量が大きくなるため、トナーを製造するのにあたり他の材料との混合が困難になる、もしくは溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が悪化する可能性があるため好ましくない。
前記ポリアミンとしては、前述のようなジアミン、3価以上のポリアミンなどが挙げられる。
前記ポリオールとしては、前述のようなジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール(以下、低分子量ポリオールとも記載する)のほか、水酸基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、高分子量ポリオールとの記載する)を使用してもよい。
前記高分子量ポリオールの作製方法としては、低分子量ポリイソシアネートと低分子量ポリオールを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリウレタンを得る方法、ポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリエステルを得る方法、などが挙げられる。
前記高分子量ポリオールの作製方法としては、低分子量ポリイソシアネートと低分子量ポリオールを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリウレタンを得る方法、ポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリエステルを得る方法、などが挙げられる。
前記水酸基を末端に有するポリウレタンあるいはポリエステルを調整するためには、低分子量ポリオールと低分子量ポリイソシアネートの比率[OH]/[NCO]、あるいは低分子量ポリオールとポリカルボン酸の比率[OH]/[COOH]は、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、更に好ましくは1.3/1〜1.02/1である。前記水酸基のモル比が2を超えると、重合反応が進まないため所望の高分子量ポリオールが得られず、1.02を下回ると、重合度が高くなり得られる高分子量ポリオールの分子量が大きくなりすぎるためトナーを製造するのにあたり他の材料との混合が困難になる、もしくは溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が悪化する可能性があるため好ましくない。
前記ポリカルボン酸としては前述のジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
得られた樹脂が結晶性を有するためには、主鎖に結晶性を有するポリマーユニットを導入すればよい。トナー用の結着樹脂として好適な融点を有するような結晶性ポリマーユニットとしては、結晶性ポリエステルユニット、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸の長鎖アルキルエステルユニット等が挙げられるが、結晶性ポリエステルユニットは末端アルコールのものを簡便に作製することができ、前記のポリオール化合物としてウレア結合を有する樹脂への導入が行いやすいため好ましい。
前記結晶性ポリエステルユニットとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸、などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。ジオールとしては、前述のポリオールの中であげられたジオールを使用することができる。これらの中でも、鎖炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち、入手容易性を考慮すると、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましい。前記含有量が、80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性の両立性がよく、樹脂硬度が向上する傾向にある点で好ましい。ジカルボン酸としては、前述のポリカルボン酸の中で挙げられたジカルボン酸を使用することができ、これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
前記ジカルボン酸の中でも、前記脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)を単独で用いることが特に好ましいが、前記脂肪族ジカルボン酸と共に前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等;これら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル類等)を共重合したものも同様に好ましい。前記芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下が好ましい。
前記ジカルボン酸の中でも、前記脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)を単独で用いることが特に好ましいが、前記脂肪族ジカルボン酸と共に前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等;これら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル類等)を共重合したものも同様に好ましい。前記芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下が好ましい。
前記結着樹脂として予めウレア結合を形成させた樹脂を使用し、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の結着樹脂以外のトナー構成材料と混合し、粒子化することでトナーを得ることができるが、ポリイソシアネート化合物と、ポリアミン化合物及び/又は水とを、必要に応じて着色剤、離型剤、帯電制御剤など結着樹脂以外のトナー構成材料と混合することで、ウレア結合を形成させてもよい。
特に、ポリイソシアネート化合物としてプレポリマーを使用することで、トナー中に均一に高分子量のウレア結合を有する結晶性樹脂をトナー中に導入できるため、トナーの熱特性や帯電性が均一であり定着性とトナーの対ストレス性の両立をしやすいため好ましい。更に、プレポリマーとしては、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とをイソシアネート過剰量で反応させて得られるプレポリマーの方が粘弾性が抑えられるため好ましく、ポリオール化合物としてはポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリエステルがトナーに適した熱特性を得やすいため好ましく、更にはポリエステルが結晶性ポリエステルユニットからなる場合、トナー中の高分子量成分がシャープメルトとなり低温定着性に優れたトナーが得られるため好ましい。
特に、ポリイソシアネート化合物としてプレポリマーを使用することで、トナー中に均一に高分子量のウレア結合を有する結晶性樹脂をトナー中に導入できるため、トナーの熱特性や帯電性が均一であり定着性とトナーの対ストレス性の両立をしやすいため好ましい。更に、プレポリマーとしては、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とをイソシアネート過剰量で反応させて得られるプレポリマーの方が粘弾性が抑えられるため好ましく、ポリオール化合物としてはポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリエステルがトナーに適した熱特性を得やすいため好ましく、更にはポリエステルが結晶性ポリエステルユニットからなる場合、トナー中の高分子量成分がシャープメルトとなり低温定着性に優れたトナーが得られるため好ましい。
また、前記トナーが水系媒体中で造粒することにより得られるものである場合、分散媒の水がポリイソシアネート化合物と反応することで温和な条件でウレア結合を形成させることができる。前記結着樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、異なる重量平均分子量の結着樹脂を併用してもよく、少なくとも第1の結晶性樹脂と、前記第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂を含むことが、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性を両立することができる点で好ましい。また、前記第2の結晶性樹脂は、イソシアネート基を有する変性結晶性樹脂である前記結着樹脂前駆体を使用し、活性水素基を有する化合物と反応させることで、樹脂を伸長させてなるものであることが好ましい。この場合、前記結着樹脂前駆体と活性水素基を有する化合物の反応は、トナー製造過程で行われることがより好ましく、重量平均分子量が大きい結晶性樹脂をトナー中に均一に分散することができ、トナー粒子間の特性のバラツキを抑えることができる。更に、前記第1の結晶性樹脂は、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア基結合を有する結晶性樹脂であり、かつ、前記第2の結晶性樹脂は、前記第1の結晶性樹脂を変性した前記結着樹脂前駆体を、活性水素基を有する化合物と反応させ、伸長させてなるものであることが好ましい。前記第1の結晶性樹脂と前記第2の結晶性樹脂の組成構造を近づけることによって、2種の結着樹脂がトナー中でより均一に分散しやすくなり、トナー粒子間の特性のバラツキを更に抑えることができる。前記結晶性樹脂は、前記結晶性樹脂と非結晶性樹脂を併用してもよく、結着樹脂の主成分が前記結晶性樹脂であることが好ましい。
画像搬送傷の発生を抑制するためには、以下条件において、2回目の昇温時におけるDSC曲線において、トナーの最大吸熱ピーク温度をT1とし、同様にして降温時におけるトナーの最大発熱ピーク温度をT2とすると、下記条件(1)を満たすことが好ましい。
T1−T2≦30℃かつT2≧30℃・・・(1)
T1−T2≦30℃かつT2≧30℃・・・(1)
前記トナーの最大吸熱ピークは、DSCシステムQ−200(TAインスツルメント社製)を用いて測定することができる。具体的には、まず、樹脂約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットした。次に、窒素雰囲気下、0℃から10℃/minで100℃まで昇温させた後、100℃から10℃/minで0℃まで降温させた。更に0℃から10℃/minで100℃まで昇温させた。DSCシステムQ−200(TAインスツルメント社製)中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、トナーの最大吸熱ピーク温度T1を測定する。また、同様にして降温時におけるトナーの最大発熱ピーク温度T2を測定する。
前記トナーの最大吸熱ピーク温度T1としては、50℃〜70℃が好ましく、53℃〜65℃がより好ましく、58℃〜62℃が特に好ましい。前記T1が、50℃〜70℃であると、トナーに要求される最低限の耐熱保存性を確保することができ、かつ、従来にはない優れた低温定着性を持つトナーが得られる。前記T1が、50℃より低い場合は、低温定着性はよくなるが耐熱保存性が悪化し、70℃より高い場合は逆に耐熱保存性はよくなるが低温定着性が悪化する。
前記トナーのT2としては、30℃〜55℃が好ましく、35℃〜55℃がより好ましく、40℃〜55℃が特に好ましい。前記T2が、30℃未満であると、定着画像が冷却〜固化される速度が遅く、トナー画像(印刷物)のブロッキングや搬送傷が生じることがある。また、前記T2は可能な限り高い温度であることが好ましいが、T2は結晶化温度であることから、融点であるT1より高い温度を取り得ることは不可能である。即ち、優れた耐熱保存性、低温定着性を維持しつつ、トナー画像のブロッキングや搬送傷を抑制するためにはT1とT2の差(T1−T2)がある程度狭い範囲であることが好ましい。前記差(T1−T2)は、30℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましく、20℃以下が特に好ましい。前記差(T1−T2)が40℃より大きい場合には、定着温度とトナー画像の固化される温度の差が大きくトナー画像のブロッキングや搬送傷を抑制する効果が得られない。
前記トナーのT2としては、30℃〜55℃が好ましく、35℃〜55℃がより好ましく、40℃〜55℃が特に好ましい。前記T2が、30℃未満であると、定着画像が冷却〜固化される速度が遅く、トナー画像(印刷物)のブロッキングや搬送傷が生じることがある。また、前記T2は可能な限り高い温度であることが好ましいが、T2は結晶化温度であることから、融点であるT1より高い温度を取り得ることは不可能である。即ち、優れた耐熱保存性、低温定着性を維持しつつ、トナー画像のブロッキングや搬送傷を抑制するためにはT1とT2の差(T1−T2)がある程度狭い範囲であることが好ましい。前記差(T1−T2)は、30℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましく、20℃以下が特に好ましい。前記差(T1−T2)が40℃より大きい場合には、定着温度とトナー画像の固化される温度の差が大きくトナー画像のブロッキングや搬送傷を抑制する効果が得られない。
前記トナーの昇温2回目の融解熱量は、30J/g〜75J/gが好ましい。前記融解熱量が、30J/g未満であると、トナー中における結晶構造を有する部位が少なくなり、シャープメルト性が低下し、耐熱保存性と低温定着性のバランスが得難くなり、トナー凝集がおこり異常画像が発生することがあり、75J/gを超えると、トナーを溶融させて定着するために必要なエネルギーが大きくなり、定着装置によっては定着性が悪化してしまうことがある。
前記トナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)は、5.0×104Pa≦G’(70)≦1.0×106Paであり、かつ、前記トナーの160℃における貯蔵弾性率G’(160)は、1.0×103Pa≦G’(160)≦1.0×104Paである。
前記G’(70)が、5.0×104Pa未満であると、定着直後の画像強度が低下しすぎ、排紙ローラによる褶擦がなくともなんらかの部材の接触のみで画像表面に傷が付くことがあり、G’(70)が1.0×106Paを超えると、低温での定着時にトナーの溶融が不十分となり、低温定着性が悪化することがある。一方、前記G’(160)の値が1.0×103Pa未満であると、トナーの耐ホットオフセット性が悪化することがあり、1.0×104Paを超えると、画像光沢が低下することがある。
前記トナーの貯蔵弾性率G’は、動的粘弾性測定装置(例えば、ARES(TAインスツルメント社製))を用いて測定できる。即ち、試料は、直径8mm、厚み1mm〜2mmのペレットに成型し、直径8mmのパラレルプレートに固定した後、40℃で安定させ、周波数1Hz(6.28rad/s)、歪み量0.1%(歪み量制御モード)にて200℃まで昇温速度2.0℃/minで昇温させて測定することができる。
前記G’(70)が、5.0×104Pa未満であると、定着直後の画像強度が低下しすぎ、排紙ローラによる褶擦がなくともなんらかの部材の接触のみで画像表面に傷が付くことがあり、G’(70)が1.0×106Paを超えると、低温での定着時にトナーの溶融が不十分となり、低温定着性が悪化することがある。一方、前記G’(160)の値が1.0×103Pa未満であると、トナーの耐ホットオフセット性が悪化することがあり、1.0×104Paを超えると、画像光沢が低下することがある。
前記トナーの貯蔵弾性率G’は、動的粘弾性測定装置(例えば、ARES(TAインスツルメント社製))を用いて測定できる。即ち、試料は、直径8mm、厚み1mm〜2mmのペレットに成型し、直径8mmのパラレルプレートに固定した後、40℃で安定させ、周波数1Hz(6.28rad/s)、歪み量0.1%(歪み量制御モード)にて200℃まで昇温速度2.0℃/minで昇温させて測定することができる。
前記結着樹脂としてウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナーの出力画像は搬送傷が発生しやすい。これは、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性ポリエステル樹脂が溶融された状態から融点以下に冷却された際の再結晶化速度が小さいことに起因する。再結晶化速度が小さい前記樹脂を含有するトナーを熱定着させた直後の画像は、室温(25℃)付近に冷却された後も再結晶化速度が小さいために一時的に過冷却状態になる。この過冷却状態では結晶化時と比較して弾性率が著しく低い。定着直後に接触する搬送部材から受ける機械的ストレスに対して十分な耐久性がない。
再結晶化速度を小さくする主要因である物理的架橋点や分子構造の不均一性を調整すべくウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかの量を減じる方法では、弾性率低下に伴い画像の強度が低下するため逆に搬送傷が悪化する傾向にある上、耐ホットオフセット性も悪化する。同様に、分子量を調整する方法においても、搬送傷の発生を抑制できず、画像の再結晶化速度と弾性率という二律背反的な両特性を同時に改良することはできない。
上述のようにウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性ポリエステル樹脂単独での搬送傷抑制は困難である。そこで、本発明者らは鋭意検討の結果、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性ポリエステル樹脂と未変性の結晶性ポリエステルを複合させることで、弾性率を維持しつつ再結晶化速度を向上させることが可能であることを見出した。即ち、画像が溶融状態から融点を超えて冷却された後、物理架橋点がないため分子鎖が動きやすく、かつより分子鎖の対象性が高い未変性の結晶性ポリエステルが即座に結晶化し、結晶核を形成することで画像全体の結晶化を促す効果があり、結晶化速度を著しく向上させることができる。
前記未変性の結晶性ポリエステル樹脂による結晶化速度向上効果により、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有す結晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂として用いた場合であっても、搬送部材に当接する前に画像の弾性率、強度を大きく向上させることができるため、搬送傷の発生を抑制することができる。しかも、このときウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性ポリエステル樹脂の存在により耐ホットオフセット性は維持されたままであり、かつ、未変性の結晶性ポリエステル樹脂は低温定着性に有利に働く効果も与える。
前記結着樹脂として、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性ポリエステル樹脂と、未変性の結晶性ポリエステル樹脂とを含有させることで、低温定着と耐熱保存性を高いレベルで両立しつつ、かつ、搬送傷の発生及び出力画像の強度不足を解消することができる。これは、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、出力画像の強度を向上させうる凝集エネルギーの高いウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性ポリエステルと未変性の結晶性ポリエステル樹脂を併用することにより、熱定着後の画像の再結晶化速度が向上し、搬送傷の原因となる搬送部材に画像が到達する前に出力画像の硬度を向上させることができるためである。
前記未変性の結晶性ポリエステル樹脂とウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性ポリエステル樹脂は、画像中において両者が均一に混合された状態であることが好ましく、したがって、トナー内部において、両者が均一に混合又は一様に分布した状態であることが好ましい。トナー内部における均一混合性、分散性の観点より、未変性の結晶性ポリエステル樹脂と、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性ポリエステル樹脂の結晶性ポリエステル部は、類似の骨格を有すことが好ましい。
<<<造核剤>>>
前記結晶性樹脂の再結晶化を促進するために、造核剤を用いることができる。
前記造核剤は、本発明に用いられる結晶性樹脂及びトナーの発熱ピーク温度を上昇させる効果を有する。
前記「発熱ピーク温度」とは、示差走査熱量測定(DSC)における発熱ピーク温度を意味し、以下においても特に断りがない限り同様とする。前記造核剤は、前記結晶性樹脂より高い融点を持ち、かつ前記結晶性樹脂と非相溶であるために、トナー中において結晶性樹脂より高い温度で結晶化するため、前記結晶性樹脂の結晶化を促進させる。そのため、造核剤を用いることでトナーの製造工程中で結晶性樹脂の結晶化度を向上させる効果があり、トナーの耐熱保存性を向上させることが可能となる。また、定着後の画像の結晶化促進にも効果がありトナー画像(印刷物)の耐ブロッキング性の向上も見込めるだけでなく、前記造核剤の効果により結晶核のサイズが均一に小さくできることから、トナー画像表面が平滑となり光沢性を向上させることができる。前記造核剤の融点が結晶性樹脂よりも低い場合には、前記造核剤による結晶性樹脂の結晶化促進効果が不十分であり、トナーの耐熱保存性、定着後のトナー画像の耐ブロッキング性が悪化する。
前記結晶性樹脂の再結晶化を促進するために、造核剤を用いることができる。
前記造核剤は、本発明に用いられる結晶性樹脂及びトナーの発熱ピーク温度を上昇させる効果を有する。
前記「発熱ピーク温度」とは、示差走査熱量測定(DSC)における発熱ピーク温度を意味し、以下においても特に断りがない限り同様とする。前記造核剤は、前記結晶性樹脂より高い融点を持ち、かつ前記結晶性樹脂と非相溶であるために、トナー中において結晶性樹脂より高い温度で結晶化するため、前記結晶性樹脂の結晶化を促進させる。そのため、造核剤を用いることでトナーの製造工程中で結晶性樹脂の結晶化度を向上させる効果があり、トナーの耐熱保存性を向上させることが可能となる。また、定着後の画像の結晶化促進にも効果がありトナー画像(印刷物)の耐ブロッキング性の向上も見込めるだけでなく、前記造核剤の効果により結晶核のサイズが均一に小さくできることから、トナー画像表面が平滑となり光沢性を向上させることができる。前記造核剤の融点が結晶性樹脂よりも低い場合には、前記造核剤による結晶性樹脂の結晶化促進効果が不十分であり、トナーの耐熱保存性、定着後のトナー画像の耐ブロッキング性が悪化する。
前記造核剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、無機結晶核剤及び有機結晶核剤のいずれも使用することができる。
前記無機結晶核剤としては、例えば、シリカ、タルク、カオリン、アルミナ、ミョウバン、酸化チタン、などが挙げられる。
前記有機結晶核剤としては、例えば、ジベンジリデンソルビトール、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール等の低級アルキルジベンジリデンソルビトール;アルミニウムベンゾエート化合物、リン酸エステル金属塩化合物、モンタン酸ナトリウム等の直鎖脂肪酸金属塩、ロジン酸部分金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、などが挙げられる。
これらの中でも、リン酸エステル金属塩化合物及びその複合体や含窒素化合物を造核剤として用いることが好ましい。これらの有機化合物は、結晶性ポリエステルの結晶化速度を速め、機械的強度を大幅に向上させる効果がある。また、ソルビトール系結晶核剤のように、高温での分解し易さや、分解による臭気及び性能の低下に注意を要する必要がないので好ましい。
前記無機結晶核剤としては、例えば、シリカ、タルク、カオリン、アルミナ、ミョウバン、酸化チタン、などが挙げられる。
前記有機結晶核剤としては、例えば、ジベンジリデンソルビトール、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール等の低級アルキルジベンジリデンソルビトール;アルミニウムベンゾエート化合物、リン酸エステル金属塩化合物、モンタン酸ナトリウム等の直鎖脂肪酸金属塩、ロジン酸部分金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、などが挙げられる。
これらの中でも、リン酸エステル金属塩化合物及びその複合体や含窒素化合物を造核剤として用いることが好ましい。これらの有機化合物は、結晶性ポリエステルの結晶化速度を速め、機械的強度を大幅に向上させる効果がある。また、ソルビトール系結晶核剤のように、高温での分解し易さや、分解による臭気及び性能の低下に注意を要する必要がないので好ましい。
前記造核剤の前記トナー中の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜5.0質量%が好ましく、0.3質量%〜2.0質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、十分な結晶化促進効果が得られずトナー画像の耐ブロッキング性を向上する効果発現しないことがあり、5.0質量%を超えると、造核剤は結晶性樹脂及びトナーよりも高い融点を有することからトナーの粘弾性を上昇させ、十分な低温定着性が得られないことがある。
本発明におけるトナー、及び各材料の発熱ピーク温度、融点は、例えば、DSCシステム(示差走査熱量計)(「DSC−60」、株式会社島津製作所製)を用いて測定することができる。
具体的には、対象試料の発熱ピーク温度、融点は下記手順により測定できる。
得られるDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラム『吸熱ピーク温度』を用いて、二回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温二回目における融点(Tm)を求めることができる。また同じく前記『吸熱ピーク温度』を用いて、降温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の発熱ピーク温度(Tc)を求めることができる。
〔測定条件〕
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50mL/min)
〔温度条件〕
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:−20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
具体的には、対象試料の発熱ピーク温度、融点は下記手順により測定できる。
得られるDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラム『吸熱ピーク温度』を用いて、二回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温二回目における融点(Tm)を求めることができる。また同じく前記『吸熱ピーク温度』を用いて、降温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の発熱ピーク温度(Tc)を求めることができる。
〔測定条件〕
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50mL/min)
〔温度条件〕
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:−20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
本発明者らが鋭意検討を行ったところ、結着樹脂として結晶性樹脂を主成分とするトナーにおいては、従来より、低温定着性に有効と考えられていた融点以上で急激に粘弾性が低下する性質(シャープメルト性)が、紙種によって定着可能温度領域が大きく異なる原因となると考えられることを知見した。そこで、従来の低温定着性に優れるトナーに使用される結着樹脂の分子量としては高めの成分、具体的には、前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による分子量が、ポリスチレン換算で、100,000以上の成分を一定量以上含有し、更に重量平均分子量が一定の範囲内にあることによって、紙種によらず一定温度かつ一定速度で定着を可能にすることができることを知見した。
前記分子量100,000以上の成分としては、7%以上有することが好ましく、9%以上有することが更に好ましい。前記分子量100,000以上の成分を7%以上有することで、トナーの溶融後の流動性や粘弾性の温度依存性が小さくなるため、定着時において熱が伝わりやすい薄紙であっても熱がトナーに伝わりにくい厚紙であってもトナーの流動性や弾性率に大きく違いが生じにくく、定着手段としては一定温度かつ一定速度で定着することが可能となる。前記分子量100,000以上の成分が5%未満であると、トナー溶融後の流動性や粘弾性が温度によって大きく変わるため、例えば、薄紙における定着ではトナーの変形性が大きくなりすぎてしまい定着手段への接着面積が増大し、その結果定着手段からの離型がうまくできずに紙の巻き付きが発生することがある。
前記分子量100,000以上の成分としては、7%以上有することが好ましく、9%以上有することが更に好ましい。前記分子量100,000以上の成分を7%以上有することで、トナーの溶融後の流動性や粘弾性の温度依存性が小さくなるため、定着時において熱が伝わりやすい薄紙であっても熱がトナーに伝わりにくい厚紙であってもトナーの流動性や弾性率に大きく違いが生じにくく、定着手段としては一定温度かつ一定速度で定着することが可能となる。前記分子量100,000以上の成分が5%未満であると、トナー溶融後の流動性や粘弾性が温度によって大きく変わるため、例えば、薄紙における定着ではトナーの変形性が大きくなりすぎてしまい定着手段への接着面積が増大し、その結果定着手段からの離型がうまくできずに紙の巻き付きが発生することがある。
本発明の効果が得られる理由としては、以下のように考えられる。つまり、結晶性樹脂は前述のとおりシャープメルト性を有しているわけであるが、溶融状態におけるトナーの内部凝集力や粘弾性は樹脂の分子量や構造によって大きく異なる。例えば、凝集エネルギーの大きな連結基であるウレタン結合やウレア結合を有する場合、溶融時においても比較的低温であればゴムのような弾性体に近い挙動を示す一方、高温になるのに従い高分子鎖の熱運動エネルギーが増大していくため、徐々に結合間の凝集が解れて粘性体に近づいていく。
このような樹脂をトナー用結着樹脂として用いると、定着温度が低いときには問題なく定着ができたとしても、定着温度が高温であるときにはトナー溶融時の内部凝集力が小さいために定着時にトナー画像の上側が定着手段に付着してしまう、いわゆるホットオフセット現象が発生することがあり、画像品位が著しく損なわれる。ホットオフセットを回避するためにウレタン結合やウレア結合部位を多くすると、高温での定着においては問題なく行うことができる反面、低温で定着を行う場合には画像光沢が低く、紙への溶融含浸が不十分となり画像が紙から離脱しやすい状態となり、特に厚みがあり表面の凹凸が多い紙への定着を行う場合には、定着時のトナーへの熱の伝達効率が低いために定着状態が更に悪化したり、凹部においては定着手段でトナーに圧力が十分にかからないため特に弾性的な状態にあるトナーの定着状態は著しく悪くなる。
溶融後の粘弾性を制御する手段として分子量を考えた場合、当然ながら分子量が大きいほど分子鎖の移動に障害が多くなるため粘弾性が大きくなる。更に、分子量が大きい場合には絡まりが発生するために弾性的な挙動を示すようになる。紙への定着性に着目して考えると、分子量が小さいほうが溶融時の粘度が低いため好ましい反面、ある程度の弾性がなければホットオフセットが発生してしまう。しかし、分子量を全体的に上げてしまうと、定着性が損なわれ、特に厚紙においては定着時のトナーへの熱の伝達効率が低いために定着状態が更に悪化する。そこで、結着樹脂の分子量全体としてはあまり大きくしすぎないようにしつつ、高分子量の結晶性成分を含むようにすることにより、溶融後の粘弾性を好適に制御でき、薄紙や厚紙といった紙種によらず一定温度かつ一定速度で定着可能なトナーを得ることができる。
前記トナーの重量平均分子量Mwは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20,000〜70,000が好ましく、30,000〜60,000がより好ましく、35,000〜50,000が更に好ましい。前記重量平均分子量が、70,000を超えると、結着樹脂全体が高分子量すぎるため定着性が悪化し、光沢が低すぎたり、定着後の画像が外的ストレスで容易に欠落するため好ましくない。一方、前記重量平均分子量が、20,000未満であると、いくら高分子量成分が多く存在していたとしてもトナー溶融時の内部凝集力が低くなりすぎ、ホットオフセットや定着手段への紙の巻き付きを引き起こすため好ましくない。
前記のような分子量分布を有するような結着樹脂を有するトナーを得る方法としては、分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する、重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する方法がある。分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する場合、少なくとも相対的に高分子量の樹脂と低分子量の樹脂の2種類を使用する。高分子量の樹脂としては、予め分子量の大きな樹脂を使用してもよいし、末端にイソシアネート基を有する変性樹脂をトナーの製造過程で伸長させて高分子量体を形成させてもよい。後者のほうが、高分子量体をトナー中に均一に存在させることができ、結着樹脂を有機溶媒中に溶解させる工程があるような製造方法においては、はじめから高分子量である樹脂よりも溶解させることが容易であるため好ましい。
高分子量の樹脂(イソシアネート基を有する変性樹脂も含む)と低分子量の樹脂の2種類で結着樹脂が構成される場合の質量比率としては、前記高分子量の樹脂/前記低分子量の樹脂の比が5/95〜60/40、好ましくは8/92〜50/50、より好ましくは12/88〜35/65、更に好ましくは15/85〜25/75である。5/95よりも高分子量体が少ない場合、あるいは60/40よりも高分子量体が多い場合には、前記の分子量分布を有する結着樹脂を有するトナーを得るのが困難となる。
重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する場合、このような樹脂を得る方法としては、例えば、縮重合や重付加、付加縮合のような重合形態であれば、2官能のモノマーのほかに官能基数の異なるモノマーを少量添加することにより分子量分布を広げることができる。官能基数の異なるモノマーとしては、3官能以上のモノマー、単官能のモノマーがあるが、3官能以上のモノマーを使用すると分岐構造が生成するため、結晶性を有する樹脂を使用する場合には結晶構造を形成しにくくなる場合がある。単官能のモノマーを使用すれば、単官能のモノマーにより重合反応が停止することで2種類以上の樹脂を用いる場合における低分子量の樹脂を精製させつつ、一部は重合反応が進行し高分子量成分となる。
前記トナーのテトラヒドロフラン可溶分及び樹脂の分子量分布や重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)を用いて測定できる。
カラムとしては、TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー株式会社製)を使用した。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬工業株式会社製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いた。前記THF試料溶液を測定装置に100μL注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35mL/分間で測定した。
分子量は単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線を用いて計算を行った。前記標準ポリスチレン試料としては、昭和電工株式会社製ShowdexSTANDARDシリーズ及びトルエンを用いた。
以下の3種類の単分散ポリスチレン標準試料のTHF溶液を作成し前記の条件で測定を行い、ピークトップの保持時間を単分散ポリスチレン標準試料の光散乱分子量として検量線を作成した。
・溶液A:S−7450 2.5mg,S−678 2.5mg, S−46.5 2.5mg,S−2.90 2.5mg, THF 50mL
・溶液B:S−3730 2.5mg,S−257 2.5mg,S−19.8 2.5mg,S−0.580 2.5mg,THF 50mL
・溶液C:S−1470 2.5mg,S−112 2.5mg,S−6.93 2.5mg,トルエン2.5mg,THF 50mL
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。分子量100,000以上の成分の割合、及び分子量250,000以上の成分の割合は、積分分子量分布曲線において、分子量100,000、及び分子量250,000と曲線の交点から調べることができる。
カラムとしては、TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー株式会社製)を使用した。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬工業株式会社製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いた。前記THF試料溶液を測定装置に100μL注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35mL/分間で測定した。
分子量は単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線を用いて計算を行った。前記標準ポリスチレン試料としては、昭和電工株式会社製ShowdexSTANDARDシリーズ及びトルエンを用いた。
以下の3種類の単分散ポリスチレン標準試料のTHF溶液を作成し前記の条件で測定を行い、ピークトップの保持時間を単分散ポリスチレン標準試料の光散乱分子量として検量線を作成した。
・溶液A:S−7450 2.5mg,S−678 2.5mg, S−46.5 2.5mg,S−2.90 2.5mg, THF 50mL
・溶液B:S−3730 2.5mg,S−257 2.5mg,S−19.8 2.5mg,S−0.580 2.5mg,THF 50mL
・溶液C:S−1470 2.5mg,S−112 2.5mg,S−6.93 2.5mg,トルエン2.5mg,THF 50mL
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。分子量100,000以上の成分の割合、及び分子量250,000以上の成分の割合は、積分分子量分布曲線において、分子量100,000、及び分子量250,000と曲線の交点から調べることができる。
高分子量の成分は、結着樹脂全体と樹脂構造が近いことが必要であり、結着樹脂として結晶性を有するのであれば、高分子量の成分も同様に結晶性を有する必要がある。
前記高分子量成分が他の樹脂成分と構造が大きく異なる場合、高分子体は容易に相分離し海島状態となるためトナー全体への粘弾性や凝集力の向上への寄与が期待できない。高分子量の成分と結着樹脂全体との結晶性構造の含有程度の比較としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は質量比で50:50)に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)における吸熱量(ΔH(H))と、トナーのDSCにおける吸熱量(ΔH(T))の比率(ΔH(H)/ΔH(T))が、0.2〜1.25の範囲にあることが好ましく、0.3〜1.0の範囲にあることがより好ましく、0.4〜0.8の範囲にあることが特に好ましい。テトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は質量比で50:50)に対する不溶分を得る具体的な試験方法としては、常温(20℃)の前記混合溶媒40gに対してトナー0.4gを添加し20分間振とう混合をした後、遠心分離機により不溶成分を沈降させて上澄み液を除去したものを真空乾燥させることにより得ることができる。
前記高分子量成分が他の樹脂成分と構造が大きく異なる場合、高分子体は容易に相分離し海島状態となるためトナー全体への粘弾性や凝集力の向上への寄与が期待できない。高分子量の成分と結着樹脂全体との結晶性構造の含有程度の比較としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は質量比で50:50)に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)における吸熱量(ΔH(H))と、トナーのDSCにおける吸熱量(ΔH(T))の比率(ΔH(H)/ΔH(T))が、0.2〜1.25の範囲にあることが好ましく、0.3〜1.0の範囲にあることがより好ましく、0.4〜0.8の範囲にあることが特に好ましい。テトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は質量比で50:50)に対する不溶分を得る具体的な試験方法としては、常温(20℃)の前記混合溶媒40gに対してトナー0.4gを添加し20分間振とう混合をした後、遠心分離機により不溶成分を沈降させて上澄み液を除去したものを真空乾燥させることにより得ることができる。
前記トナー中におけるTHF可溶分のウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかに由来するN元素の量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3質量%〜2.0質量%が好ましく、0.5質量%〜1.8質量%がより好ましく、0.7質量%〜1.6質量%が更に好ましい。前記N元素の量が、2.0質量%を超えると、トナーの溶融状態での粘弾性が高くなりすぎることによる定着性の悪化や光沢の低下、帯電性の悪化などが発生することがあり、0.3質量%未満であると、トナーの強靭性の低下による画像形成装置内での凝集や部材汚染、トナー溶融状態での粘弾性の低下による高温オフセットの発生の不具合が生じることがある。
前記N元素の量は、varioMICROcube(Elementar社製)を使用し、燃焼炉950℃、還元炉550℃、ヘリウム流量200mL/min、酸素流量25mL/min〜30mL/minの条件でCHN同時測定を行い、2回測定した値の平均値とした。なお、前記測定方法でN元素の量が0.5質量%未満であった場合は、更に微量窒素分析装置ND−100型(三菱化学株式会社製)により測定を行った。電気炉温度は(横型反応炉)熱分解部分800℃、触媒部分900℃、測定条件は、メインO2流量300mL/min、O2流量300mL/min、Ar流量400mL/min、感度Lowとし、ピリジン標準液で作成した検量線をともに定量を行った。なお、トナー中におけるTHF可溶分は、予めトナー5gをソックスレー抽出器に入れ、これを用いて70mLのTHF(テトラヒドロフラン)で20時間抽出を行ったものからTHFを加熱減圧除去することにより得られる。
前記トナー中におけるTHF可溶分にウレア結合が存在することは、ウレア結合は少量であってもトナーの強靭性や定着時のオフセット耐性向上効果が期待できることから重要である。トナー中におけるTHF可溶分のウレア結合の存在は、13C−NMRによって行うことができる。具体的には以下のようにして分析を行った。分析するサンプル2gを、濃度が0.1mol/Lである水酸化カリウムのメタノール溶液200mLに浸し50℃で24hrおいた後、溶液を除去し、残渣物を更にイオン交換水でpHが中性になるまで洗浄し、残った固体を乾燥した。乾燥後のサンプルを、ジメチルアセトアミド(DMAc)と重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)の混合溶媒(体積比9:1)に、100mg/0.5mLの濃度で加え、70℃で12時間〜24時間溶解させた後50℃にし、13C−NMR測定を行った。なお、今回の測定周波数は125.77MHz、1H_60°パルスは5.5μs、基準物質はテトラメチルシラン(TMS)を0.0ppmとした。
サンプルにおけるウレア結合の存在は、標品となるポリウレアのウレア結合部位のカルボニル炭素に由来するシグナルの化学シフトにシグナルが見られるかどうかで確認を行う。カルボニル炭素の化学シフトは一般に150ppm〜160ppmに見られる。ポリウレアの一例として、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と水との反応物であるポリウレアのカルボニル炭素付近の13C−NMRスペクトルを図6に示す。153.27ppmにカルボニル炭素に由来するシグナルが見られる。
<<<離型剤>>>
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、などが挙げられる。
前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、などが挙げられる。
前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート、などが挙げられる。
前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド、などが挙げられる。
前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド、などが挙げられる。
前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン、などが挙げられる。
これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、などが挙げられる。
前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート、などが挙げられる。
前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド、などが挙げられる。
前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド、などが挙げられる。
前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン、などが挙げられる。
これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、などが挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックス、などが挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックス、などが挙げられる。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜100℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましい。前記融点が、50℃未満であると、耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、100℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(TA−60WS及びDSC−60、株式会社島津製作所製)を用いて測定することができる。即ち、まず、離型剤5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度10℃/minで0℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時における融解熱の最大ピーク温度を融点として求めることができる。
前記離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(TA−60WS及びDSC−60、株式会社島津製作所製)を用いて測定することができる。即ち、まず、離型剤5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度10℃/minで0℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時における融解熱の最大ピーク温度を融点として求めることができる。
前記離型剤の溶融粘度としては、100℃における測定値として、5mPa・sec〜100mPa・secが好ましく、5mPa・sec〜50mPa・secがより好ましく、5mPa・sec〜20mPa・secが特に好ましい。前記溶融粘度が、5mPa・sec未満であると、離型性が低下することがあり、100mPa・secを超えると、耐ホットオフセット性、及び低温での離型性が悪化することがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜20質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、20質量%を超えると、耐熱保存性、帯電性、転写性、耐ストレス性が悪化する傾向がある。
<<<着色剤>>>
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤から目的に応じて適宜選択することができる。
前記トナーの着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーから選択される少なくとも1種とすることができ、各色のトナーは着色剤の種類を適宜選択することにより得ることができるが、カラートナーであるのが好ましい。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤から目的に応じて適宜選択することができる。
前記トナーの着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーから選択される少なくとも1種とすることができ、各色のトナーは着色剤の種類を適宜選択することにより得ることができるが、カラートナーであるのが好ましい。
ブラック用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
マゼンタ用着色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、150、163、177、179、184、202、206、207、209、211、269;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35、などが挙げられる。
シアン用着色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36、などが挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、139、151、154、155、180、185;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36、などが挙げられる。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力が低下することがあり、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。前記樹脂としては、特に制限はないが、前記結着樹脂との相溶性の点から、前記結着樹脂、又は前記結着樹脂と類似した構造の樹脂を用いることが好ましい。
前記マスターバッチは、高せん断力をかけて、樹脂と着色剤を混合又は混練させて製造することができる。この際、前記着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウェットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。前記フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒と共に混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水及び有機溶媒を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置を用いることができる。
<<<その他の成分>>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、帯電制御剤、フッ素化合物、外添剤、などが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、帯電制御剤、フッ素化合物、外添剤、などが挙げられる。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂に対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.02質量%〜2質量%がより好ましい。前記含有量が、5質量%を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがあり、0.01質量%未満であると、帯電立ち上り性や帯電量が十分でなく、トナー画像に影響を及ぼしやすいことがある。
−フッ素化合物−
前記フッ素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
〔一般式(1)〕
ただし、前記一般式(1)中、Xは、−SO2−及び−CO−のいずれかを表す。R5、R6、R7、及びR8は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、及びアリール基からなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。mとnは正数である。Yは、I、Br、Cl等のハロゲン原子を表し、I(ヨウ素)がより好ましい。
前記フッ素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
〔一般式(1)〕
前記一般式(1)で示される含フッ素4級アンモニウム塩に含金属アゾ染料を併用することも好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、以下の構造式(1)〜(27)で表されるフッ素化合物が挙げられ、これらは、すべて白色又は淡黄色を示している。
前記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、以下の構造式(1)〜(27)で表されるフッ素化合物が挙げられ、これらは、すべて白色又は淡黄色を示している。
これらの中でも、N,N,N−トリメチル−[3−(4−ペルフルオロノネニルオキシベンズアミド)プロピル]アンモニウム・ヨージドが、帯電付与能力の点でより好ましい。
前記フッ素化合物は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナーに対し0.01質量%〜5質量%の範囲でトナーに表面処理を施すことが好ましく、0.01質量%〜3質量%の範囲でトナーに表面処理を施すことがより好ましい。前記フッ素化合物による表面処理量が、0.01質量%未満であると、フッ素化合物の効果が十分に得られないことがあり、5質量%を超えると、トナーの定着不良が生じることがある。
前記フッ素化合物をトナーに表面処理する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機微粒子添加前の母体トナーをフッ素化合物を分散させた水系溶媒(界面活性剤を含んだ水も好ましい)に分散させ、トナー表面にフッ素化合物を付着(又はイオン結合)させた後、溶媒を除去、乾燥させてトナー母体を得ることができる。この際、アルコールを5質量%〜80質量%、より好ましくは10質量%〜50質量%になるように混合するとフッ素化合物の分散性がより向上し、トナー表面への付着状態が均一となり、トナー粒子間の帯電均一性等が向上する点から好ましい。
また同時にトナー表面にも前記フッ素化合物を付着或いは固定化する周知の方法が使用でき、例えば、機械的剪断力を利用したトナー表面への該フッ素化合物の付着、固定化、混合と加熱処理の併用によるトナー表面への該フッ素化合物の固定化、或いは混合と機械的衝撃の併用によるトナー表面への固定化、又はトナーと該微粉末間の共有結合、或いは水素結合、イオン結合等の化学結合による固定化等の化学的方法なども挙げられる。
また同時にトナー表面にも前記フッ素化合物を付着或いは固定化する周知の方法が使用でき、例えば、機械的剪断力を利用したトナー表面への該フッ素化合物の付着、固定化、混合と加熱処理の併用によるトナー表面への該フッ素化合物の固定化、或いは混合と機械的衝撃の併用によるトナー表面への固定化、又はトナーと該微粉末間の共有結合、或いは水素結合、イオン結合等の化学結合による固定化等の化学的方法なども挙げられる。
−外添剤−
前記トナーは、流動性改質や帯電量調整、電気特性の調整などの目的として各種の外添剤を添加することができる。
前記外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど);金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)又はこれらの疎水化物、フルオロポリマー、などが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、チタニア粒子、疎水化されたチタニア微粒子が好ましい。
前記トナーは、流動性改質や帯電量調整、電気特性の調整などの目的として各種の外添剤を添加することができる。
前記外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど);金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)又はこれらの疎水化物、フルオロポリマー、などが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、チタニア粒子、疎水化されたチタニア微粒子が好ましい。
前記疎水化されたシリカ微粒子としては、例えば、HDK H2000、HDK H2000/4、HDK H2050EP、HVK21、HDK H1303(いずれも、ヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも、日本アエロジル株式会社製)、などが挙げられる。前記チタニア微粒子としては、例えば、P−25(日本アエロジル株式会社製);STT−30、STT−65C−S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF−140(富士チタン工業株式会社製);MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれも、テイカ株式会社製)、などが挙げられる。前記疎水化された酸化チタン微粒子としては、例えば、T−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製);MT−100S、MT−100T(いずれも、テイカ株式会社製);IT−S(石原産業株式会社製)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記疎水化されたシリカ微粒子、疎水化されたチタニア微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子は、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。前記疎水化処理剤としては、例えば、ジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm〜100nmが好ましく、3nm〜70nmがより好ましい。前記平均粒径が、1nm未満であると、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくいことがあり、100nmを超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけてしまうことがある。
前記外添剤としては、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積は、20m2/g〜500m2/gが好ましい。前記外添剤の添加量は、前記トナーに対して、0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.3質量%〜3質量%がより好ましい。
前記外添剤としては、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積は、20m2/g〜500m2/gが好ましい。前記外添剤の添加量は、前記トナーに対して、0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.3質量%〜3質量%がより好ましい。
前記外添剤として樹脂微粒子も添加することができる。前記樹脂微粒子としては、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系;熱硬化性樹脂による重合体粒子、などが挙げられる。
このような樹脂微粒子を併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。前記樹脂微粒子の含有量は、前記トナーに対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましい。
このような樹脂微粒子を併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。前記樹脂微粒子の含有量は、前記トナーに対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましい。
<<トナーの製造方法>>
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、公知のものが全て使用可能であるが、例えば、混練粉砕法と、水系媒体中にてトナーを造粒する、いわゆるケミカル工法とがある。
前記ケミカル工法としては、例えば、モノマーを出発原料として製造する懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法等;樹脂や樹脂前駆体を有機溶剤などに溶解して水系媒体中にて分散乃至乳化させる溶解懸濁法;溶解懸濁法において、活性水素基と反応可能な官能基を有する樹脂前駆体(反応性基含有プレポリマー)を含む油相組成物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中に乳化乃至分散させ、該水系媒体中で、活性水素基含有化合物と、前記反応性基含有プレポリマーとを反応させる方法(製造方法(I));樹脂や樹脂前駆体と適当な乳化剤からなる溶液に水を加えて転相させる転相乳化法;これらの工法によって得られた樹脂粒子を水系媒体中に分散させた状態で凝集させて加熱溶融等により所望サイズの粒子に造粒する凝集法などが挙げられる。これらの中でも、溶解懸濁法、前記製造方法(I)、凝集法で得られるトナーが、結晶性樹脂による造粒性(粒度分布制御や、粒子形状制御等)の観点から好ましく、前記製造方法(I)で得られるトナーがより好ましい。
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、公知のものが全て使用可能であるが、例えば、混練粉砕法と、水系媒体中にてトナーを造粒する、いわゆるケミカル工法とがある。
前記ケミカル工法としては、例えば、モノマーを出発原料として製造する懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法等;樹脂や樹脂前駆体を有機溶剤などに溶解して水系媒体中にて分散乃至乳化させる溶解懸濁法;溶解懸濁法において、活性水素基と反応可能な官能基を有する樹脂前駆体(反応性基含有プレポリマー)を含む油相組成物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中に乳化乃至分散させ、該水系媒体中で、活性水素基含有化合物と、前記反応性基含有プレポリマーとを反応させる方法(製造方法(I));樹脂や樹脂前駆体と適当な乳化剤からなる溶液に水を加えて転相させる転相乳化法;これらの工法によって得られた樹脂粒子を水系媒体中に分散させた状態で凝集させて加熱溶融等により所望サイズの粒子に造粒する凝集法などが挙げられる。これらの中でも、溶解懸濁法、前記製造方法(I)、凝集法で得られるトナーが、結晶性樹脂による造粒性(粒度分布制御や、粒子形状制御等)の観点から好ましく、前記製造方法(I)で得られるトナーがより好ましい。
−混練粉砕法−
前記混練粉砕法は、例えば、少なくとも着色剤、結着樹脂、離型剤を有するトナー材料を溶融混練したものを、粉砕し、分級することにより、前記トナーの母体粒子を製造する方法である。
前記混練粉砕法は、例えば、少なくとも着色剤、結着樹脂、離型剤を有するトナー材料を溶融混練したものを、粉砕し、分級することにより、前記トナーの母体粒子を製造する方法である。
前記溶融混練では、前記トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械株式会社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、株式会社池貝製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。前記溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、前記溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、前記軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
前記粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。前記粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離器等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナー母体粒子を製造することができる。
前記溶解懸濁法は、例えば、少なくとも結着樹脂乃至樹脂前駆体、着色剤、及び離型剤を含有してなるトナー組成物を有機溶媒中に溶解乃至分散させた油相組成物を、水系媒体中で分散乃至乳化させることにより、トナーの母体粒子を製造する方法である。
前記トナー組成物を溶解乃至分散させる場合に用いる有機溶媒としては、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエステル系又はエステルエーテル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエステル系又はエステルエーテル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶解懸濁法では、油相組成物を水系媒体中で分散乃至乳化させる際に、必要に応じて、乳化剤や分散剤を用いてもよい。
前記乳化剤又は分散剤としては、特に制限はなく、公知の界面活性剤、水溶性ポリマー等を用いることができる。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、アニオン界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸、リン酸エステル等)、カチオン界面活性剤(四級アンモニウム塩型、アミン塩型等)、両性界面活性剤(カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型等)、非イオン界面活性剤(AO付加型、多価アルコール型等)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記乳化剤又は分散剤としては、特に制限はなく、公知の界面活性剤、水溶性ポリマー等を用いることができる。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、アニオン界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸、リン酸エステル等)、カチオン界面活性剤(四級アンモニウム塩型、アミン塩型等)、両性界面活性剤(カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型等)、非イオン界面活性剤(AO付加型、多価アルコール型等)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水溶性ポリマーとしては、例えば、セルロース系化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又はそれらのケン化物など)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)含有ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物、水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、乳化又は分散の助剤として、前記の有機溶剤及び可塑剤等を併用することもできる。
−溶解懸濁法−
前記溶解懸濁法は、少なくとも結着樹脂、活性水素基と反応可能な官能基を有する結着樹脂前駆体(反応性基含有プレポリマー)、着色剤、及び離型剤を含む油相組成物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中に分散乃至乳化させ、前記油相組成物中及び/又は水系媒体中に含まれる活性水素基含有化合物と、前記反応性基含有プレポリマーとを反応させる方法(製造方法(I))によりトナーの母体粒子を造粒して得ることが好ましい。
前記溶解懸濁法は、少なくとも結着樹脂、活性水素基と反応可能な官能基を有する結着樹脂前駆体(反応性基含有プレポリマー)、着色剤、及び離型剤を含む油相組成物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中に分散乃至乳化させ、前記油相組成物中及び/又は水系媒体中に含まれる活性水素基含有化合物と、前記反応性基含有プレポリマーとを反応させる方法(製造方法(I))によりトナーの母体粒子を造粒して得ることが好ましい。
前記樹脂微粒子は、特に制限はなく、公知の重合方法を用いて形成することができるが、樹脂微粒子の水性分散液として得ることが好ましい。前記樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法としては、例えば、以下の(a)〜(h)に示す方法が挙げられる。
(a)ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法のいずれかの重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(b)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(c)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましく、加熱により液状化してもよい。)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(d)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(e)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を形成した後、樹脂微粒子を適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(f)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液に貧溶剤を添加する、又は予め溶剤に加熱溶解させた樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、溶剤を除去して樹脂微粒子を形成した後、樹脂微粒子を適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(g)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液を、適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、減圧等によって溶剤を除去して、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(h)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(a)ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法のいずれかの重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(b)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(c)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましく、加熱により液状化してもよい。)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(d)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(e)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を形成した後、樹脂微粒子を適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(f)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液に貧溶剤を添加する、又は予め溶剤に加熱溶解させた樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、溶剤を除去して樹脂微粒子を形成した後、樹脂微粒子を適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(g)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液を、適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、減圧等によって溶剤を除去して、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(h)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
前記樹脂微粒子の体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm〜300nmが好ましく、30nm〜120nmがより好ましい。前記体積平均粒径が、10nm未満及び300nmを超えると、トナーの粒度分布が悪化することがある。
前記油相の固形分濃度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40質量%〜80質量%が好ましい。前記固形分濃度が高すぎると、溶解乃至分散が困難になり、また粘度が高くなって扱いづらく、低すぎると、トナーの製造性が低下することがある。
前記着色剤や離型剤等の結着樹脂以外のトナー組成物、及びそれらのマスターバッチ等は、それぞれ個別に有機溶剤に溶解乃至分散させた後、結着樹脂溶解液又は分散液に混合してもよい。
前記水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。前記混和可能な溶剤としては、例えば、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、などが挙げられる。
前記水系媒体中への分散乃至乳化の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波、などが挙げられる。これらの中でも、粒子の小粒径化の観点からは、高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000rpm〜30,000rpmが好ましく、5,000rpm〜20,000rpmがより好ましい。分散時の温度としては、0℃〜150℃(加圧下)が好ましく、20℃〜80℃がより好ましい。
前記有機溶媒を、得られた乳化分散体から除去するためには、特に制限はなく、公知の方法を使用することができ、例えば、常圧又は減圧下で系全体を撹拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
水系媒体に分散されたトナーの母体粒子を洗浄、乾燥する方法としては、公知の技術が用いられる。即ち、遠心分離機、フィルタープレスなどで固液分離した後、得られたトナーケーキを常温〜約40℃程度のイオン交換水に再分散させ、必要に応じて酸やアルカリでpH調整した後、再度固液分離するという工程を数回繰り返すことにより不純物や界面活性剤などを除去した後、気流乾燥機や循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機などにより乾燥することによってトナー粉末を得る。この際、遠心分離などでトナーの微粒子成分を取り除いてもよいし、また、乾燥後に必要に応じて公知の分級機を用いて所望の粒径分布にすることができる。
−凝集法−
前記凝集法では、例えば、少なくとも結着樹脂からなる樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液、必要に応じて離型剤粒子分散液を混合し、凝集させることによりトナー母体粒子を製造する方法である。前記樹脂微粒子分散液は、公知の方法、例えば、乳化重合や、シード重合、転相乳化法等により得られ、該着色剤粒子分散液や、該離型剤粒子分散液は、公知の湿式分散法等により着色剤や、離型剤を水系媒体に分散させることで得られる。
前記凝集法では、例えば、少なくとも結着樹脂からなる樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液、必要に応じて離型剤粒子分散液を混合し、凝集させることによりトナー母体粒子を製造する方法である。前記樹脂微粒子分散液は、公知の方法、例えば、乳化重合や、シード重合、転相乳化法等により得られ、該着色剤粒子分散液や、該離型剤粒子分散液は、公知の湿式分散法等により着色剤や、離型剤を水系媒体に分散させることで得られる。
凝集状態の制御には、熱を加える、金属塩を添加する、pHを調整するなどの方法が好ましく用いられる。前記金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム、カリウム等の塩を構成する一価の金属;カルシウム、マグネシウム等の塩を構成する二価の金属;アルミニウム等の塩を構成する三価の金属などが挙げられる。前記塩を構成する陰イオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンが挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウムや塩化アルミニウム及びその複合体や多量体が好ましい。また、凝集の途中や凝集完了後に加熱することで樹脂微粒子同士の融着を促進することができ、トナーの均一性の観点から好ましい。更に、加熱によりトナーの形状を制御することができ、通常、より加熱すればトナーは球状に近くなっていく。
水系媒体に分散されたトナーの母体粒子を洗浄、乾燥する方法は、前述の方法等を用いることができる。
また、トナーの流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナー母体粒子に更に疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。
添加剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。なお、添加剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中又は漸次添加剤を加えていけばよい。この場合、混合機の回転数、転動速度、時間、温度等を変化させてもよい。又はじめに強い負荷を、次に、比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。使用できる混合設備としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。次いで、250メッシュ以上の篩を通過させて、粗大粒子、凝集粒子を除去し、トナーが得られる。
添加剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。なお、添加剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中又は漸次添加剤を加えていけばよい。この場合、混合機の回転数、転動速度、時間、温度等を変化させてもよい。又はじめに強い負荷を、次に、比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。使用できる混合設備としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。次いで、250メッシュ以上の篩を通過させて、粗大粒子、凝集粒子を除去し、トナーが得られる。
前記トナーは、その形状、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下のような、平均円形度、体積平均粒径、体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)、などを有していることが好ましい。
前記平均円形度は、前記トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値であり、例えば、0.950〜0.980が好ましく、0.960〜0.975がより好ましい。なお、前記平均円形度が0.95未満の粒子が15%以下であるものが好ましい。
前記平均円形度が、0.950未満であると、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがあり、0.980を超えると、ブレードクリーニング等を採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルト等のクリーニング不良が発生し、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがあり、あるいは、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。
前記平均円形度が、0.950未満であると、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがあり、0.980を超えると、ブレードクリーニング等を採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルト等のクリーニング不良が発生し、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがあり、あるいは、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。
前記平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−2100」、シスメックス株式会社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA−2100Data Processing Program for FPIAversion00−10)を用いて解析を行った。具体的には、ガラス製100mLビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩、ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.1mL〜0.5mL添加し、各トナー0.1g〜0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mLを添加した。得られた分散液を超音波分散器(本多電子株式会社製)で3分間分散処理した。前記分散液を前記FPIA−2100を用いて濃度を5,000個/μL〜15,000個/μLが得られるまでトナーの形状及び分布を測定した。本測定法は平均円形度の測定再現性の点から前記分散液濃度が5,000個/μL〜15,000個/μLにすることが重要である。前記分散液濃度を得るために前記分散液の条件、即ち、添加する界面活性剤量、トナー量を変更する必要がある。界面活性剤量は前述したトナー粒径の測定と同様にトナーの疎水性により必要量が異なり、多く添加すると泡によるノイズが発生し、少ないとトナーを十分に濡らすことができないため、分散が不十分となる。またトナー添加量は粒径により異なり、小粒径の場合は少なく、また大粒径の場合は多くする必要があり、トナー粒径が3μm〜10μmの場合、トナー量を0.1g〜0.5g添加することにより分散液濃度を5,000個/μL〜15,000個/μLに合わせることが可能となる。
前記トナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm〜10μmが好ましく、4μm〜7μmがより好ましい。前記体積平均粒径が、3μm未満であると、二成分現像剤では現像手段における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、10μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなることがある。
前記トナーにおける体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)としては、1.00〜1.25が好ましく、1.00〜1.15がより好ましい。前記体積平均粒径、及び前記体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(BeckmanCoulterMutlisizer 3 Version3.51)にて解析を行った。具体的には、ガラス製100mLビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩、ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.5mL添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mLを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II、本多電子株式会社製)で10分間分散処理した。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用い、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター社製)を用いて測定を行った。測定は装置が示す濃度が8%±2%になるように前記トナーサンプル分散液を滴下した。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8%±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
<定着工程及び定着手段>
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を互いに圧接した加熱部材と加圧部材との間を通過させる際に加圧及び加熱することにより定着させる工程であり、定着手段により実施される。
前記定着は、各色の現像剤に対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色の現像剤に対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、等が挙げられる。前記定着手段が、発熱体を具備する加熱体と、該加熱体と接触するフィルムと、該フィルムを介して前記加熱体と圧接する加圧部材とを有し、前記フィルムと前記加圧部材の間に未定着画像を形成させた記録媒体を通過させて加熱定着する手段であることが好ましい。前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を互いに圧接した加熱部材と加圧部材との間を通過させる際に加圧及び加熱することにより定着させる工程であり、定着手段により実施される。
前記定着は、各色の現像剤に対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色の現像剤に対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、等が挙げられる。前記定着手段が、発熱体を具備する加熱体と、該加熱体と接触するフィルムと、該フィルムを介して前記加熱体と圧接する加圧部材とを有し、前記フィルムと前記加圧部材の間に未定着画像を形成させた記録媒体を通過させて加熱定着する手段であることが好ましい。前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
<排紙工程及び排紙手段>
前記排紙工程は、前記転写像が定着された記録媒体を外部に排出させる工程であり、排紙手段により行われる。
前記排紙手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、搬送ローラ、一対の排紙ローラ、などが挙げられる。
本発明においては、前記定着手段と前記排紙手段とが個別に駆動可能であることが、前記定着手段と前記排紙手段との線速差を制御する点で好ましい。
前記排紙工程は、前記転写像が定着された記録媒体を外部に排出させる工程であり、排紙手段により行われる。
前記排紙手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、搬送ローラ、一対の排紙ローラ、などが挙げられる。
本発明においては、前記定着手段と前記排紙手段とが個別に駆動可能であることが、前記定着手段と前記排紙手段との線速差を制御する点で好ましい。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程、などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段、などが挙げられる。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程、などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段、などが挙げられる。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ、などが挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、各工程は制御手段により好適に行うことができる。前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、図1は、画像形成装置本体内に配置された作像手段2と、定着手段20とを有する画像形成装置(プリンタ100)の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の上方にある粉体供給装置としてのトナー補給手段31には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つの粉体収容部としてのトナーカートリッジ(トナー入り容器)32Y、32M、32C、32Kが着脱可能(交換可能)に設置されている。
このトナー補給手段31におけるトナーカートリッジ以外の部分は、トナーカートリッジから排出される紛状の画像形成剤(粉体)であるトナーを搬送先である後述の現像手段に搬送する粉体搬送装置としてのトナー搬送手段である。トナー補給手段31の下方には中間転写ユニット15が配設されている。中間転写ユニット15の中間転写体としての中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像手段6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
図1に示すように、画像形成装置本体100の上方にある粉体供給装置としてのトナー補給手段31には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つの粉体収容部としてのトナーカートリッジ(トナー入り容器)32Y、32M、32C、32Kが着脱可能(交換可能)に設置されている。
このトナー補給手段31におけるトナーカートリッジ以外の部分は、トナーカートリッジから排出される紛状の画像形成剤(粉体)であるトナーを搬送先である後述の現像手段に搬送する粉体搬送装置としてのトナー搬送手段である。トナー補給手段31の下方には中間転写ユニット15が配設されている。中間転写ユニット15の中間転写体としての中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像手段6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
図2は作像手段6Yの拡大図である。図2に示すように、イエローに対応した作像手段6Yは、静電潜像担持体としての感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電手段4Y、現像手段5Y(現像部)、クリーニング手段2Y、除電手段(不図示)等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像工程(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)が行われ、感光体ドラム1上にイエロー画像が形成される。
なお、他の3つの作像手段6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像手段6Yとほぼ同様な構成になっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像手段6M、6C、6Kの説明を適宜省略して、イエローに対応した作像手段6Yのみを説明を行うことにする。
なお、他の3つの作像手段6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像手段6Yとほぼ同様な構成になっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像手段6M、6C、6Kの説明を適宜省略して、イエローに対応した作像手段6Yのみを説明を行うことにする。
図2において、感光体ドラム1Yは、図示しない駆動モータによって図2中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電手段4Yによる帯電位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(「帯電工程」)。その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光手段7(図1参照)から発せられたレーザ光Lの照射位置に達し、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(「露光工程」)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング手段2Yとの対向位置に達する。この位置で感光体ドラム1Yに残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に掻き取られて回収される(「クリーニング工程」)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、図示しない除電部との対向位置に達し、この位置で感光体ドラム1上の残存電位が除去される。
以上により、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング手段2Yとの対向位置に達する。この位置で感光体ドラム1Yに残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に掻き取られて回収される(「クリーニング工程」)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、図示しない除電部との対向位置に達し、この位置で感光体ドラム1上の残存電位が除去される。
以上により、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
なお、上述の作像プロセスは、他の作像手段6M、6C、6Kでも、イエロー作像手段6Yと同様に行われる。即ち、作像手段の下方に配設された露光手段7から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像手段6M、6C、6Kの感光体ドラムに向けて照射される。詳しくは、露光手段7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動された回転多面鏡であるポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する(「1次転写工程」)。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する(「1次転写工程」)。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
ここで、図1に示すように、中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8、4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9K、2次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14、中間転写クリーニング手段10、等で構成される。中間転写ベルト8は、3つのローラ12〜14によって張架・支持されるとともに、1つのローラ12の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。そして、中間転写ベルト8は矢印方向に走行し、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置で、2次転写バックアップローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される(「2次転写工程」)。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング手段10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。こうして、中間転写ベルト8上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。そして、中間転写ベルト8は矢印方向に走行し、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置で、2次転写バックアップローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される(「2次転写工程」)。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング手段10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。こうして、中間転写ベルト8上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体100の下方に配設された給紙手段26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。詳しくは、給紙手段26には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせてレジストリローラ対28が回転駆動され、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着手段40の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ42及び加圧ローラ41による熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外へ排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、プリンタにおける一連の画像形成プロセスが完了する。
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせてレジストリローラ対28が回転駆動され、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着手段40の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ42及び加圧ローラ41による熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外へ排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、プリンタにおける一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図2を参照して、作像手段における現像手段の構成及び動作について、更に詳しく説明する。現像手段5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ61Y、現像ローラ61Yに対向するドクターブレード62Y、現像剤収容部63Y,64Y内に配設された2つの搬送部材である搬送スクリュ65Y、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ66Y、等で構成される。現像ローラ61Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部63Y,64Y内には、キャリアとトナーとを含む2成分現像剤Gが収容されている。現像剤収容部64Yは、その上方に形成された開口を介して、粉体搬送経路を形成している経路形成部材としてのトナー搬送パイプ73Yに連通している。
前記構成の現像手段5Yは次のように動作する。現像ローラ61Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ61Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転に伴い現像ローラ61Y上を移動する。
ここで、現像手段5Y内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像手段5Y内のトナー消費に応じて、トナーカートリッジ32Yに収容されているトナーが、トナー補給経路を介して現像剤収容部64Y内に補給される。
その後、現像剤収容部64Y内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ65Yによって、現像剤Gとともに混合・攪拌されながら、2つの現像剤収容部63Y,64Yを循環する(図2中の紙面に垂直な方向の移動)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ61Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ5Y上に担持される。
現像ローラ61Y上に担持された現像剤Gは、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード62Yの位置に達する。そして、現像ローラ61Y上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電解によって、感光体ドラム1上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ61Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転に伴い現像剤収容部63Yの上方に達し、この位置で現像ローラ61Yから離脱される。
前記構成の現像手段5Yは次のように動作する。現像ローラ61Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ61Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転に伴い現像ローラ61Y上を移動する。
ここで、現像手段5Y内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像手段5Y内のトナー消費に応じて、トナーカートリッジ32Yに収容されているトナーが、トナー補給経路を介して現像剤収容部64Y内に補給される。
その後、現像剤収容部64Y内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ65Yによって、現像剤Gとともに混合・攪拌されながら、2つの現像剤収容部63Y,64Yを循環する(図2中の紙面に垂直な方向の移動)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ61Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ5Y上に担持される。
現像ローラ61Y上に担持された現像剤Gは、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード62Yの位置に達する。そして、現像ローラ61Y上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電解によって、感光体ドラム1上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ61Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転に伴い現像剤収容部63Yの上方に達し、この位置で現像ローラ61Yから離脱される。
次に、定着手段40について説明する。図3に示すように定着手段40は、ベルト定着方式であり、熱源46を有する加熱ローラ43と、金属芯金49の外周に弾性層50を有する定着ローラ42と、加熱ローラ43と定着ローラ42との間に張架される無端状の定着ベルト44と、定着ベルト44の外周側に配設される加圧ローラ41と、を有し、定着ローラ42と加圧ローラ41との圧接によって形成される定着ベルト44と加圧ローラ41とのニップ部に未定着トナー像を担持した用紙を通紙して加熱定着を行うものである。
定着ベルト44は、定着ローラ42と加熱ローラ43の周囲に掛け回され、テンションローラ45で張力を与え、加熱ローラ43、定着ローラ42に密着している。このように構成した定着ベルト44に、定着ローラ42に対応する箇所に加圧ローラ41を押し当てることで、定着ニップを構成する。
また、定着ベルト44は、例えば、厚み90μmの耐熱樹脂の無端フィルムであるPIベルトで構成され、表層には、PFA(4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)などのオフセット防止剤がコーティングされている。
加熱ローラ43の中空内には、熱源46が設けられているが、定着ローラ42は、熱源を有しておらず、金属(鉄やアルミニウム)等の剛性の高い芯材(芯金49)を、シリコーンゴム等の厚い弾性層50で覆ったものである。なお、熱源46としては、ハロゲンヒーターや赤外線ヒーター、その他の熱抵抗を用いることができる。また、加圧ローラ41の内側にも、熱源が設けられることが好ましい。
定着ローラ42と加圧ローラ41とは、対向して配置されるゴムローラであり、加圧ローラ41が定着ベルト44を介して定着ローラ42の中心方向に加圧されることにより加圧ローラ41と定着ベルト44との間でニップ部が形成される。また、駆動手段は、モータと減速ギア列を備えて、定着ローラ42にギア接続され、図3に示す矢印方向に回転駆動すると、定着ローラ42が矢印方向に回転する。定着ローラ42の回転により、定着ローラ42に圧接する加圧ローラ41及び定着ベルト44が同速で矢印方向に回転する。
そして、加熱ローラ43の中空内に配設された熱源46からの熱が、加熱ローラ43を介して定着ベルト44に伝わり、定着ベルト44が加熱され、加圧ローラ41と定着ベルト44の互いの逆回転により、用紙のトナー像をニップ部で加熱溶融させながら、搬送される。
なお、テンションローラ45は、加熱ローラ43と定着ローラ42に掛けられた定着ベルト44のほぼ中間位置に設けられ、ベルトループの外側から図示しないスプリングなどの押し付け部材で加圧されている。テンションローラ45は、芯材に金属(例えば、円筒形のアルミニウム管)などの剛性の高い材料を使用し、表層を耐熱フェルトやシリコーンゴムなどのある程度の弾性を有した材料で覆っている。なお、テンションローラ45は、定着ベルト44の内側から当ててもよい。
次に、温度検知手段としてのサーミスタについて説明する。本実施形態に係る画像形成装置の定着手段40には、サーミスタが3つ備えられている。まず、サーミスタ(第1のサーミスタ、加熱ローラ温度検知部材と称することもある。)51は、定着ベルト44の外側でかつ加熱ローラ表面部分に配置され、接触している定着ベルト44の温度を検知している。第1のサーミスタ51の検知温度に基づいて、トナー像の定着に関わるニップ部の温度が制御される。
また、サーミスタ(第2のサーミスタ、定着ローラ表面温度検知部材とも呼ぶ)52は、定着ベルト44の外側でかつ定着ローラ表面部分に配置され、定着ベルト44を介した、定着ローラ温度を検知している。更に、サーミスタ(第3のサーミスタ、芯金温度検知部材とも呼ぶ)53が、定着ローラ42の芯金部分に配置され、定着ローラ42の芯金49の温度を検知している。
前記構成の定着手段40によれば、トナー像を形成された用紙は、定着ベルト44の用紙搬送方向の上流側に配された定着前ガイド(図示せず)から、図3に示す矢印方向に搬送され、用紙のトナー像がニップ部で加熱溶融されることによって、トナー像が定着される。その後、用紙は、分離板48により分離され、用紙搬送方向下流側に配された一対の排紙ローラ47により、排紙部30に排出される。
結晶性樹脂を主結着樹脂として含有したトナーにおいてトナー像を定着する場合、定着手段40の記録紙通過速度が、排紙手段にある排紙ローラの記録紙通過速度より早くすることで、低温定着性に優れたトナーの画像を排紙手段に因る跡の発生を抑制しつつ得ることができるものである。
更に、トナーの構成、及び前記定着手段における前記記録媒体の通過速度をS1とし、前記排紙手段における前記記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たすことにより、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐熱保存性に優れたトナーとなる。
更に、トナーの構成、及び前記定着手段における前記記録媒体の通過速度をS1とし、前記排紙手段における前記記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たすことにより、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐熱保存性に優れたトナーとなる。
通常、定着手段40における記録媒体の通過速度をS1とし、定着直後の排紙手段としての排紙ローラ47における記録媒体の通過速度をS2とすると、S1≦S2の関係になる。これは、ジャムの発生を抑えたり、搬送で余裕をもたせるため、しかし、この状態であると結着樹脂に結晶性樹脂を含有するトナーを使用する場合、特に結晶性樹脂を結着樹脂の主成分とする場合には、低温定着性には優れる反面、樹脂の硬度が低いことからトナーとしての硬度も低下している。そのため、記録媒体上のトナー定着画像が定着直後の排紙ローラによって褶擦されることにより、画像上にその跡が生じてしまう。しかし、次式、S1−S2>0を満たすように、S1をS2より早くすることにより排紙ローラによる褶擦が起こらず、排紙ローラの跡の発生を抑えることができる。
また、定着手段における記録媒体の通過速度をS1とし、排紙手段における記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、2%≦〔(S1−S2)/S1〕×100≦5%、を満たすことが好ましい。
前記〔(S1−S2)/S1〕×100が、2%未満であると、経時における排紙ローラの熱膨張などでS2がS1より早くなる可能性があり、その結果、排紙手段に因る跡が発生してしまう。一方、5%を超えると、記録紙が排紙ローラに入る際、たわみが大きくなりすぎ、ジャムが発生してしまうという問題がある。
前記〔(S1−S2)/S1〕×100が、2%未満であると、経時における排紙ローラの熱膨張などでS2がS1より早くなる可能性があり、その結果、排紙手段に因る跡が発生してしまう。一方、5%を超えると、記録紙が排紙ローラに入る際、たわみが大きくなりすぎ、ジャムが発生してしまうという問題がある。
本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐熱保存性に優れると共に、排紙手段に因る跡の発生を抑制することができ、高品質な画像を形成することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の製造例、実施例、及び比較例における物性値などは、前述した測定方法により測定した。
なお、以下の製造例、実施例、及び比較例における物性値などは、前述した測定方法により測定した。
(製造例1)
<結晶性ポリウレタン樹脂A−1の製造>
撹拌機、及び温度計をセットした反応容器に、1,4−ブタンジオール45質量部(0.50mol)、1,6−ヘキサンジオール59質量部(0.50mol)、及びメチルエチルケトン(MEK)200質量部を入れた。この溶液に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)250質量部(1.00mol)を入れ、80℃で5時間反応した後、溶媒を除去して[結晶性ポリウレタン樹脂A−1]を得た。
得られた[結晶性ポリウレタン樹脂A−1]は、重量平均分子量Mwが20,000、融点が60℃であった。
<結晶性ポリウレタン樹脂A−1の製造>
撹拌機、及び温度計をセットした反応容器に、1,4−ブタンジオール45質量部(0.50mol)、1,6−ヘキサンジオール59質量部(0.50mol)、及びメチルエチルケトン(MEK)200質量部を入れた。この溶液に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)250質量部(1.00mol)を入れ、80℃で5時間反応した後、溶媒を除去して[結晶性ポリウレタン樹脂A−1]を得た。
得られた[結晶性ポリウレタン樹脂A−1]は、重量平均分子量Mwが20,000、融点が60℃であった。
(製造例2)
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、アジピン酸15質量部(0.10mol)、1,6−ヘキサンジオール177質量部(1.50mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。
次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ12,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]は、重量平均分子量Mw12,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル350質量部、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)30質量部(0.12mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]を得た。
得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]は、重量平均分子量Mwが22,000、融点が62℃であった。
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、アジピン酸15質量部(0.10mol)、1,6−ヘキサンジオール177質量部(1.50mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。
次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ12,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]は、重量平均分子量Mw12,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル350質量部、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)30質量部(0.12mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]を得た。
得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]は、重量平均分子量Mwが22,000、融点が62℃であった。
(製造例3)
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185質量部(0.91mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール106質量部(1.18mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ14,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]は、重量平均分子量Mw14,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)12質量部(0.07mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]を得た。
得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]は、重量平均分子量Mwが39,000、融点が63℃であった。
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185質量部(0.91mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール106質量部(1.18mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ14,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]は、重量平均分子量Mw14,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)12質量部(0.07mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]を得た。
得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]は、重量平均分子量Mwが39,000、融点が63℃であった。
(製造例4)
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール149質量部(1.28mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ9,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]は、重量平均分子量Mwが9,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)28質量部(0.11mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4]を得た。
得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4]は、重量平均分子量Mwが30,000、融点が67℃であった。
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール149質量部(1.28mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ9,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]は、重量平均分子量Mwが9,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)28質量部(0.11mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4]を得た。
得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4]は、重量平均分子量Mwが30,000、融点が67℃であった。
(製造例5)
<結晶性部と非晶性部からなるブロック樹脂A−5の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール25質量部(0.33mol)、及びメチルエチルケトン(MEK)170質量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)147質量部(0.59mol)を加え、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する[非晶性部c−1]のMEK溶液を得た。
別途、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール160質量部(1.35mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ9,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]は、重量平均分子量Mwが8,500、融点が63℃であった。
次いで、[非晶性部c−1]のメチルエチルケトン(MEK)溶液340質量部に、結晶性部として、[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]320質量部をメチルエチルケトン(MEK)320質量部に溶解させた溶液を加えて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にてメチルエチルケトン(MEK)を留去して[ブロック樹脂A−5]を得た。
得られた[ブロック樹脂A−5]は、重量平均分子量Mwが26,000、融点が62℃であった。
<結晶性部と非晶性部からなるブロック樹脂A−5の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール25質量部(0.33mol)、及びメチルエチルケトン(MEK)170質量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)147質量部(0.59mol)を加え、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する[非晶性部c−1]のMEK溶液を得た。
別途、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール160質量部(1.35mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ9,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]は、重量平均分子量Mwが8,500、融点が63℃であった。
次いで、[非晶性部c−1]のメチルエチルケトン(MEK)溶液340質量部に、結晶性部として、[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]320質量部をメチルエチルケトン(MEK)320質量部に溶解させた溶液を加えて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にてメチルエチルケトン(MEK)を留去して[ブロック樹脂A−5]を得た。
得られた[ブロック樹脂A−5]は、重量平均分子量Mwが26,000、融点が62℃であった。
(製造例6)
<結晶性ポリウレア樹脂A−6の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,4−ブタンジアミン123質量部(1.40mol)、1,6−ヘキサンジアミン212質量部(1.82mol)、及びメチルエチルケトン(MEK)100質量部を入れて攪拌した後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)336質量部(2.00mol)を加え、窒素気流下にて60℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にてメチルエチルケトン(MEK)を留去して[結晶性ポリウレア樹脂A−6]を得た。
得られた[結晶性ポリウレア樹脂A−6]は、重量平均分子量Mwが23,000、融点が64℃であった。
<結晶性ポリウレア樹脂A−6の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,4−ブタンジアミン123質量部(1.40mol)、1,6−ヘキサンジアミン212質量部(1.82mol)、及びメチルエチルケトン(MEK)100質量部を入れて攪拌した後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)336質量部(2.00mol)を加え、窒素気流下にて60℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にてメチルエチルケトン(MEK)を留去して[結晶性ポリウレア樹脂A−6]を得た。
得られた[結晶性ポリウレア樹脂A−6]は、重量平均分子量Mwが23,000、融点が64℃であった。
(製造例7)
<結晶性ポリエステル樹脂A−7の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185質量部(0.91mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール125質量部(1.39mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ10,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A−7]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂A−7]は、重量平均分子量Mwが9,500、融点が57℃であった。
<結晶性ポリエステル樹脂A−7の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185質量部(0.91mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール125質量部(1.39mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ10,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A−7]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂A−7]は、重量平均分子量Mwが9,500、融点が57℃であった。
(製造例8)
<結晶性樹脂前駆体B’−1の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール122質量部(1.03mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ25,000に達するまで反応を行った。
得られた[結晶性樹脂]を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300質量部、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)27質量部(0.16mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[結晶性樹脂前駆体B’−1]の50質量%酢酸エチル溶液を得た。得られた[結晶性樹脂前駆体B’−1]の酢酸エチル溶液10質量部をテトラヒドロフラン(THF)10質量部と混合し、これにジブチルアミン1質量部を添加して、2時間撹拌させた。
得られた溶液を試料としてGPC測定を行った結果、[結晶性樹脂前駆体B’−1]の重量平均分子量Mwは54,000であった。また、前記溶液から溶媒を除去して得られた試料についてDSC測定を行った結果、[結晶性樹脂前駆体B’−1]の融点は57℃であった。
<結晶性樹脂前駆体B’−1の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール122質量部(1.03mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ25,000に達するまで反応を行った。
得られた[結晶性樹脂]を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300質量部、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)27質量部(0.16mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[結晶性樹脂前駆体B’−1]の50質量%酢酸エチル溶液を得た。得られた[結晶性樹脂前駆体B’−1]の酢酸エチル溶液10質量部をテトラヒドロフラン(THF)10質量部と混合し、これにジブチルアミン1質量部を添加して、2時間撹拌させた。
得られた溶液を試料としてGPC測定を行った結果、[結晶性樹脂前駆体B’−1]の重量平均分子量Mwは54,000であった。また、前記溶液から溶媒を除去して得られた試料についてDSC測定を行った結果、[結晶性樹脂前駆体B’−1]の融点は57℃であった。
(製造例9)
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸204質量部(1.01mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,6−ヘキサンジオール136質量部(1.15mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ20,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]は、重量平均分子量Mwが20,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル200質量部、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)15質量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]を得た。
得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]は、重量平均分子量Mwが39,000、融点が63℃であった。
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸204質量部(1.01mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,6−ヘキサンジオール136質量部(1.15mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ20,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]は、重量平均分子量Mwが20,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル200質量部、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)15質量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]を得た。
得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]は、重量平均分子量Mwが39,000、融点が63℃であった。
(製造例10)
<結晶性ポリウレア樹脂B−3の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,4−ブタンジアミン79質量部(0.90mol)、1,6−ヘキサンジアミン116質量部(1.00mol)、及びメチルエチルケトン(MEK)600質量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)475質量部(1.90mol)を加え、窒素気流下にて60℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にてメチルエチルケトン(MEK)を留去して[結晶性ポリウレア樹脂B−3]を得た。
得られた[結晶性ポリウレア樹脂B−3]は、重量平均分子量Mwが57,000、融点が66℃であった。
<結晶性ポリウレア樹脂B−3の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,4−ブタンジアミン79質量部(0.90mol)、1,6−ヘキサンジアミン116質量部(1.00mol)、及びメチルエチルケトン(MEK)600質量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)475質量部(1.90mol)を加え、窒素気流下にて60℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にてメチルエチルケトン(MEK)を留去して[結晶性ポリウレア樹脂B−3]を得た。
得られた[結晶性ポリウレア樹脂B−3]は、重量平均分子量Mwが57,000、融点が66℃であった。
(製造例11)
<結晶性ポリエステル樹脂B−4の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、ドデカン二酸230質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール118質量部(1.00mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ50,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B−4]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂B−4]は、重量平均分子量Mwが52,000、融点が66℃であった。
<結晶性ポリエステル樹脂B−4の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、ドデカン二酸230質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール118質量部(1.00mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水、及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwがおよそ50,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B−4]を得た。
得られた[結晶性ポリエステル樹脂B−4]は、重量平均分子量Mwが52,000、融点が66℃であった。
以上、結晶性樹脂の製造に使用した原材料、及び結晶性樹脂の物性について、下記表1〜表3にまとめて示した。
(製造例12)
<非結晶性樹脂C−1の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物222質量部、ビスフェノールA PO2mol付加物129質量部、イソフタル酸166質量部、及びテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、5mmHg〜20mmHgの減圧下にて反応させ、酸価が2mgKOH/gになった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸35質量部を加え、常圧下で3時間反応させ、[非結晶性樹脂C−1]を得た。
得られた[非結晶性樹脂C−1]は、重量平均分子量Mwが8,000、ガラス転移温度Tgが62℃であった。
<非結晶性樹脂C−1の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物222質量部、ビスフェノールA PO2mol付加物129質量部、イソフタル酸166質量部、及びテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、5mmHg〜20mmHgの減圧下にて反応させ、酸価が2mgKOH/gになった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸35質量部を加え、常圧下で3時間反応させ、[非結晶性樹脂C−1]を得た。
得られた[非結晶性樹脂C−1]は、重量平均分子量Mwが8,000、ガラス転移温度Tgが62℃であった。
(製造例13)
<非結晶性樹脂前駆体C−2の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物720質量部、ビスフェノールA PO2mol付加物90質量部、テレフタル酸290質量部、及びテトラブトキシチタネート1質量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、10mmHg〜15mmHgの減圧下にて7時間反応させ、[非結晶性樹脂C−2’]を得た。
次に、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、得られた[非結晶性樹脂C−2’]400質量部、イソホロンジイソシアネート95質量部、及び酢酸エチル500質量部を入れ、窒素気流下にて80℃で8時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[非結晶性樹脂前駆体C−2]の50質量%酢酸エチル溶液を得た。
<非結晶性樹脂前駆体C−2の製造>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物720質量部、ビスフェノールA PO2mol付加物90質量部、テレフタル酸290質量部、及びテトラブトキシチタネート1質量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、10mmHg〜15mmHgの減圧下にて7時間反応させ、[非結晶性樹脂C−2’]を得た。
次に、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、得られた[非結晶性樹脂C−2’]400質量部、イソホロンジイソシアネート95質量部、及び酢酸エチル500質量部を入れ、窒素気流下にて80℃で8時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[非結晶性樹脂前駆体C−2]の50質量%酢酸エチル溶液を得た。
(製造例14)
−樹脂微粒子の水分散液の製造−
攪拌棒、及び温度計をセットした反応容器に、水600質量部、スチレン120質量部、メタクリル酸100質量部、アクリル酸ブチル45質量部、及びアルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業株式会社製)10質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分間で20分間攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温し、6時間反応させた。更に、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を加え、75℃で6時間熟成して[樹脂微粒子の水分散液]を得た。
−樹脂微粒子の水分散液の製造−
攪拌棒、及び温度計をセットした反応容器に、水600質量部、スチレン120質量部、メタクリル酸100質量部、アクリル酸ブチル45質量部、及びアルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業株式会社製)10質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分間で20分間攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温し、6時間反応させた。更に、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を加え、75℃で6時間熟成して[樹脂微粒子の水分散液]を得た。
(製造例15)
−グラフト重合体の製造−
攪拌棒、及び温度計をセットした反応容器中に、キシレン480質量部、及び低分子量ポリエチレン(三洋化成工業株式会社製、サンワックスLEL−400、軟化点128℃)100質量部を入れて充分溶解し、窒素置換した後、スチレン740質量部、アクリロニトリル100質量部、アクリル酸ブチル60質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36質量部、及びキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで、脱溶剤を行い、[グラフト重合体]を合成した。
−グラフト重合体の製造−
攪拌棒、及び温度計をセットした反応容器中に、キシレン480質量部、及び低分子量ポリエチレン(三洋化成工業株式会社製、サンワックスLEL−400、軟化点128℃)100質量部を入れて充分溶解し、窒素置換した後、スチレン740質量部、アクリロニトリル100質量部、アクリル酸ブチル60質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36質量部、及びキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで、脱溶剤を行い、[グラフト重合体]を合成した。
(製造例16)
−離型剤分散液(1)の調製−
撹拌棒、及び温度計をセットした容器に、パラフィンワックス(日本精鑞株式会社製、HNP−9、炭化水素系ワックス、融点75℃、SP値8.8)50質量部、前記グラフト重合体30質量部、及び酢酸エチル420質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒間、直径0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、分散を行い[離型剤分散液(1)]を得た。
−離型剤分散液(1)の調製−
撹拌棒、及び温度計をセットした容器に、パラフィンワックス(日本精鑞株式会社製、HNP−9、炭化水素系ワックス、融点75℃、SP値8.8)50質量部、前記グラフト重合体30質量部、及び酢酸エチル420質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒間、直径0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、分散を行い[離型剤分散液(1)]を得た。
(製造例17)
−マスターバッチ(1)〜(8)の作製−
・結晶性ポリウレタン樹脂A−1・・・100質量部
・カーボンブラック(Printex35、エボニック・デグサ・ジャパン株式会社製、DBP吸油量:42mL/100g、pH:9.5)・・・100質量部
・イオン交換水・・・50質量部
前記の原材料を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二本ロールを用いて混練した。混練温度90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却していった。得られた混練物をパルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、[マスターバッチ(1)]を作製した。
下記表4に従って、[マスターバッチ(1)]と同様にして、[マスターバッチ(2)]〜[マスターバッチ(8)]を作製した。
−マスターバッチ(1)〜(8)の作製−
・結晶性ポリウレタン樹脂A−1・・・100質量部
・カーボンブラック(Printex35、エボニック・デグサ・ジャパン株式会社製、DBP吸油量:42mL/100g、pH:9.5)・・・100質量部
・イオン交換水・・・50質量部
前記の原材料を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二本ロールを用いて混練した。混練温度90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却していった。得られた混練物をパルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、[マスターバッチ(1)]を作製した。
下記表4に従って、[マスターバッチ(1)]と同様にして、[マスターバッチ(2)]〜[マスターバッチ(8)]を作製した。
(製造例18)
−油相(1)〜(3)、(5)〜(8)、(10)、(12)、(13)の作製−
温度計、及び撹拌機を備えた容器に、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]35質量部を入れ、固形分濃度が50質量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、[非結晶性樹脂C−1]の50質量%酢酸エチル溶液90質量部、[離型剤分散液(1)]60質量部、及び[マスターバッチ(2)]12質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相(1’)]を得た。なお、[油相(1’)]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作製から5時間以内に使用した。
次いで、後述するトナー母体の作製直前に、前記50℃に保たれた[油相(1’)]235質量部に[結晶性樹脂前駆体B−1]の50質量%酢酸エチル溶液28質量部を添加し、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解し、分散して[油相(1)]を調製した。
油相(2)、(3)、(5)〜(8)、(10)、(12)、(13)についても、結晶性樹脂Aの種類・添加量、結晶性樹脂Bの種類・添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、及びマスターバッチの種類を、下記表5に従って変更した以外は、油相(1)と同様にして作製した。なお、表5中の[結晶性樹脂B−1]、及び[非結晶性樹脂前駆体C−2]については、[油相(1)]の調製における[結晶性樹脂前駆体B−1]と同様に、トナー母体の作製直前に添加し、各油相を調製した。
−油相(1)〜(3)、(5)〜(8)、(10)、(12)、(13)の作製−
温度計、及び撹拌機を備えた容器に、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]35質量部を入れ、固形分濃度が50質量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、[非結晶性樹脂C−1]の50質量%酢酸エチル溶液90質量部、[離型剤分散液(1)]60質量部、及び[マスターバッチ(2)]12質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相(1’)]を得た。なお、[油相(1’)]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作製から5時間以内に使用した。
次いで、後述するトナー母体の作製直前に、前記50℃に保たれた[油相(1’)]235質量部に[結晶性樹脂前駆体B−1]の50質量%酢酸エチル溶液28質量部を添加し、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解し、分散して[油相(1)]を調製した。
油相(2)、(3)、(5)〜(8)、(10)、(12)、(13)についても、結晶性樹脂Aの種類・添加量、結晶性樹脂Bの種類・添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、及びマスターバッチの種類を、下記表5に従って変更した以外は、油相(1)と同様にして作製した。なお、表5中の[結晶性樹脂B−1]、及び[非結晶性樹脂前駆体C−2]については、[油相(1)]の調製における[結晶性樹脂前駆体B−1]と同様に、トナー母体の作製直前に添加し、各油相を調製した。
(製造例19)
−油相(4)、(9)及び(11)の作製−
温度計、及び撹拌機を備えた容器に、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]60質量部、及び[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]14質量部を入れ、固形分濃度が50質量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、[非結晶性樹脂C−1]の50質量%酢酸エチル溶液40質量部、[離型剤分散液(1)]60質量部、及び[マスターバッチ(2)]12質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相(4)]を得た。なお、[油相(4)]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作製から5時間以内に使用した。
油相(9)、(11)についても、結晶性樹脂Aの種類・添加量、結晶性樹脂Bの種類・添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、及びマスターバッチの種類を、下記表5に従って変更した以外は、油相(4)と同様にして作製した。
−油相(4)、(9)及び(11)の作製−
温度計、及び撹拌機を備えた容器に、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]60質量部、及び[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]14質量部を入れ、固形分濃度が50質量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、[非結晶性樹脂C−1]の50質量%酢酸エチル溶液40質量部、[離型剤分散液(1)]60質量部、及び[マスターバッチ(2)]12質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相(4)]を得た。なお、[油相(4)]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作製から5時間以内に使用した。
油相(9)、(11)についても、結晶性樹脂Aの種類・添加量、結晶性樹脂Bの種類・添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、及びマスターバッチの種類を、下記表5に従って変更した以外は、油相(4)と同様にして作製した。
(製造例20)
−水相(1)の調製−
水990質量部、[樹脂微粒子の水分散液]83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、[水相(1)]を得た。
−水相(1)の調製−
水990質量部、[樹脂微粒子の水分散液]83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、[水相(1)]を得た。
(製造例21)
−水相(2)の調製−
水990質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、[水相(2)]を得た。
−水相(2)の調製−
水990質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、[水相(2)]を得た。
(製造例22)
−トナー母体(1)〜(3)、(5)〜(8)、(10)、(12)、(13)の作製−
撹拌機、及び温度計をセットした別の容器内に、[水相(1)]520質量部を入れて40℃まで加熱した。40℃〜50℃に保持したままの前記[水相(1)]をTK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、[油相(1)]を添加し、1分間乳化して[乳化スラリー1]を得た。
次いで、撹拌機、及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー1]を投入し、60℃で6時間脱溶剤して、[スラリー1]を得た。得られた[スラリー1]を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ(1)を得た。得られた濾過ケーキ(1)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(1)を作製した。
同様に、油相(2)、(3)、(5)〜(8)、(10)、(12)、(13)をそれぞれ用いて、トナー母体(1)〜(3)、(5)〜(8)、(10)、(12)、(13)を作製した。
−トナー母体(1)〜(3)、(5)〜(8)、(10)、(12)、(13)の作製−
撹拌機、及び温度計をセットした別の容器内に、[水相(1)]520質量部を入れて40℃まで加熱した。40℃〜50℃に保持したままの前記[水相(1)]をTK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、[油相(1)]を添加し、1分間乳化して[乳化スラリー1]を得た。
次いで、撹拌機、及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー1]を投入し、60℃で6時間脱溶剤して、[スラリー1]を得た。得られた[スラリー1]を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ(1)を得た。得られた濾過ケーキ(1)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(1)を作製した。
同様に、油相(2)、(3)、(5)〜(8)、(10)、(12)、(13)をそれぞれ用いて、トナー母体(1)〜(3)、(5)〜(8)、(10)、(12)、(13)を作製した。
(製造例23)
−トナー母体(4)、(9)、(11)の作製−
撹拌機、及び温度計をセットした別の容器内に、[水相(2)]520質量部を入れて40℃まで加熱し、40〜50℃に保持したまま、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、[油相(4)]を添加し、1分間乳化して[乳化スラリー4]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー4]を投入し、60℃で6時間脱溶剤して、[スラリー4]を得た。得られた[スラリー4]を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ(4)を得た。
得られた濾過ケーキ(4)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(4)を作製した。
同様に、油相(9)、(11)をそれぞれ用いて、トナー母体(9)、(11)を作製した。
−トナー母体(4)、(9)、(11)の作製−
撹拌機、及び温度計をセットした別の容器内に、[水相(2)]520質量部を入れて40℃まで加熱し、40〜50℃に保持したまま、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、[油相(4)]を添加し、1分間乳化して[乳化スラリー4]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー4]を投入し、60℃で6時間脱溶剤して、[スラリー4]を得た。得られた[スラリー4]を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ(4)を得た。
得られた濾過ケーキ(4)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(4)を作製した。
同様に、油相(9)、(11)をそれぞれ用いて、トナー母体(9)、(11)を作製した。
(製造例24)
−トナー(1)〜(13)の作製−
得られたトナー母体(1)〜トナー母体(13)を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、周速30m/秒間で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(1)〜トナー(13)を作製した。
−トナー(1)〜(13)の作製−
得られたトナー母体(1)〜トナー母体(13)を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、周速30m/秒間で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(1)〜トナー(13)を作製した。
得られたトナー(1)〜(13)について、粒度分布(Dv、Dn、Dv/Dn)、貯蔵弾性率G’(70)、貯蔵弾性率G’(160)、結晶化度C/(C+A)、DSCによる昇温2回目の最大ピーク温度、昇温2回目の融解熱量、比(Tsh2nd/Tsh1st)、分子量分布、及びN元素の量の測定を行った。これらの測定については、前述の測定方法に従って測定を行った。結果を表6に示す。
(製造例25)
<キャリアの作製>
・シリコーン樹脂(SR2400、東レ・ダウコーニング株式会社製)・・・100質量部
・γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン・・・5質量部
・カーボンブラック(REGAL E400R、キャボット株式会社製)・・・10質量部
・トルエン・・・100質量部
前記の原材料を、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。その後、流動床型コーティング装置を用いて、体積平均粒径が35μmの球状フェライト1,000質量部の表面に樹脂層塗布液を塗布して、キャリアを作製した。
<キャリアの作製>
・シリコーン樹脂(SR2400、東レ・ダウコーニング株式会社製)・・・100質量部
・γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン・・・5質量部
・カーボンブラック(REGAL E400R、キャボット株式会社製)・・・10質量部
・トルエン・・・100質量部
前記の原材料を、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。その後、流動床型コーティング装置を用いて、体積平均粒径が35μmの球状フェライト1,000質量部の表面に樹脂層塗布液を塗布して、キャリアを作製した。
(製造例26)
<現像剤の作製>
トナー(1)〜トナー(13)のそれぞれを5質量部と、前記キャリア95質量部とを混合して、現像剤(1)〜現像剤(13)を作製した。
<現像剤の作製>
トナー(1)〜トナー(13)のそれぞれを5質量部と、前記キャリア95質量部とを混合して、現像剤(1)〜現像剤(13)を作製した。
次に、得られた各トナー(1)〜(13)及び各現像剤(1)〜(13)を用いて、以下のようにして、定着性(定着下限温度、定着幅)、及び耐熱保存性の評価を行った。結果を表6に示す。
<定着性(定着下限温度)>
図1に示す画像形成装置100を用い、トナーボトル32Kにトナー(1)を現像部5Kに現像剤(1)をセットし、転写紙(リコービジネスエキスパート株式会社製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナーの付着量が0.85mg/cm2±0.10mg/cm2の紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面を描画試験器(AD−401、株式会社上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260μmR〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着手段のニップ部を通過する速度は、120mm/sである。定着下限温度は、低い程、低温定着性に優れる。
図1に示す画像形成装置100を用い、トナーボトル32Kにトナー(1)を現像部5Kに現像剤(1)をセットし、転写紙(リコービジネスエキスパート株式会社製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナーの付着量が0.85mg/cm2±0.10mg/cm2の紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面を描画試験器(AD−401、株式会社上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260μmR〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着手段のニップ部を通過する速度は、120mm/sである。定着下限温度は、低い程、低温定着性に優れる。
<定着性(定着幅)>
図1に示す画像形成装置100を用い、トナーボトル32Kにトナー(1)を現像部5Kに現像剤(1)をセットし、転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)上に、転写後のトナー付着量が0.85mg/cm2±0.10mg/cm2の紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度と、定着下限温度との差を定着幅とした。
また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着手段のニップ部を通過する速度は、120mm/sである。
なお、定着幅は、広い程、耐ホットオフセット性に優れ、50℃が従来のフルカラートナーの平均的な温度幅である。
図1に示す画像形成装置100を用い、トナーボトル32Kにトナー(1)を現像部5Kに現像剤(1)をセットし、転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)上に、転写後のトナー付着量が0.85mg/cm2±0.10mg/cm2の紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度と、定着下限温度との差を定着幅とした。
また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着手段のニップ部を通過する速度は、120mm/sである。
なお、定着幅は、広い程、耐ホットオフセット性に優れ、50℃が従来のフルカラートナーの平均的な温度幅である。
<耐熱保存性(針入度)>
50mLのガラス容器に各トナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した。前記トナーを24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)により針入度(mm)を測定し、下記基準に基づいて評価した。なお、針入度の値が大きいほど耐熱保存性が優れていることを示し、5mm未満の場合には、使用上問題が発生する可能性が高い。なお、本発明においては、針入度を貫入深さ(mm)で表す。
〔評価基準〕
◎:針入度が25mm以上
○:針入度が15mm以上25mm未満
△:針入度が5mm以上15mm未満
×:針入度が5mm未満
50mLのガラス容器に各トナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した。前記トナーを24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)により針入度(mm)を測定し、下記基準に基づいて評価した。なお、針入度の値が大きいほど耐熱保存性が優れていることを示し、5mm未満の場合には、使用上問題が発生する可能性が高い。なお、本発明においては、針入度を貫入深さ(mm)で表す。
〔評価基準〕
◎:針入度が25mm以上
○:針入度が15mm以上25mm未満
△:針入度が5mm以上15mm未満
×:針入度が5mm未満
(実施例1〜8及び比較例1〜13−2)
次に、表7及び表8に示すようにトナーと排紙手段を組み合わせた画像形成装置を用い、以下のようにして、「排紙手段に因る跡」を評価した。結果を表7及び表8に示す。
次に、表7及び表8に示すようにトナーと排紙手段を組み合わせた画像形成装置を用い、以下のようにして、「排紙手段に因る跡」を評価した。結果を表7及び表8に示す。
<排紙手段に因る跡の評価>
図1に示す画像形成装置100を用い、トナーボトル32Kに各トナーを、現像部5Kに各現像剤をセットし、転写紙(リコービジネスエキスパート株式会社製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナーの付着量が0.85mg/cm2±0.10mg/cm2の紙全面ベタ画像(画像サイズA4)を横通紙で出力した。
定着手段における転写紙の通過速度S1を120mm/secとし、排紙手段における転写紙の通過速度S2を126mm/sec,114mm/sec,105mm/secに調整した。出力画像における排紙手段のコロ跡の発生の有無を目視観察し、下記基準で評価した。
〔排紙手段に因る跡の評価基準〕
○:排紙手段に因る跡を認識できない
△:画像を真上から見ても排紙手段に因る跡を認識できないが、画像を斜めから見ると排紙手段に因る跡を認識できる
×:画像を真上から見て排紙手段に因る跡を認識できる
図1に示す画像形成装置100を用い、トナーボトル32Kに各トナーを、現像部5Kに各現像剤をセットし、転写紙(リコービジネスエキスパート株式会社製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナーの付着量が0.85mg/cm2±0.10mg/cm2の紙全面ベタ画像(画像サイズA4)を横通紙で出力した。
定着手段における転写紙の通過速度S1を120mm/secとし、排紙手段における転写紙の通過速度S2を126mm/sec,114mm/sec,105mm/secに調整した。出力画像における排紙手段のコロ跡の発生の有無を目視観察し、下記基準で評価した。
〔排紙手段に因る跡の評価基準〕
○:排紙手段に因る跡を認識できない
△:画像を真上から見ても排紙手段に因る跡を認識できないが、画像を斜めから見ると排紙手段に因る跡を認識できる
×:画像を真上から見て排紙手段に因る跡を認識できる
表7及び表8に示すように、実施例1〜実施例8では、低温定着性に優れ、広い定着幅を有すると共に、耐熱保存性に優れたトナーを用いることにより、排紙手段(排紙ローラ)に因る跡を抑制することができる結果が得られた。
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> 静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、
前記転写像が定着された記録媒体を外部に排出させる排紙手段と、を有してなり、
前記トナーが、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有し、
前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有し、前記結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂であって、前記トナーのX線回折法で得られる回折スペクトルが、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をCとし、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAとすると、比C/(C+A)が0.15以上であり、
前記トナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)が5.0×104Pa≦G’(70)≦1.0×106Paであり、かつ前記トナーの160℃における貯蔵弾性率G’(160)が1.0×103Pa≦G’(160)≦1.0×104Paであり、
前記定着手段における前記記録媒体の通過速度をS1とし、前記排紙手段における前記記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たすことを特徴とする画像形成装置である。
<2> トナーの示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が、50℃〜70℃であり、かつ昇温2回目の融解熱量が、30J/g〜75J/gである前記<1>に記載の画像形成装置である。
<3> トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による分子量が100,000以上の割合が7%以上であり、かつ重量平均分子量Mwが20,000〜70,000である前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<4> 結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂である前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<5> 結晶性樹脂が、ポリエステルとポリウレタンとのブロックポリマーである前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<6> 定着手段と排紙手段とが個別に駆動可能である前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<7> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、
前記転写像が定着された記録媒体を外部に排出させる排紙工程と、を含んでなり、
前記トナーが、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有し、
前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有し、前記結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂であって、前記トナーのX線回折法で得られる回折スペクトルが、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をCとし、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAとすると、比C/(C+A)が0.15以上であり、
前記トナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)が5.0×104Pa≦G’(70)≦1.0×106Paであり、かつ前記トナーの160℃における貯蔵弾性率G’(160)が1.0×103Pa≦G’(160)≦1.0×104Paであり、
前記定着工程における前記記録媒体の通過速度をS1とし、前記排紙工程における前記記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たすことを特徴とする画像形成方法である。
<1> 静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、
前記転写像が定着された記録媒体を外部に排出させる排紙手段と、を有してなり、
前記トナーが、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有し、
前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有し、前記結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂であって、前記トナーのX線回折法で得られる回折スペクトルが、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をCとし、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAとすると、比C/(C+A)が0.15以上であり、
前記トナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)が5.0×104Pa≦G’(70)≦1.0×106Paであり、かつ前記トナーの160℃における貯蔵弾性率G’(160)が1.0×103Pa≦G’(160)≦1.0×104Paであり、
前記定着手段における前記記録媒体の通過速度をS1とし、前記排紙手段における前記記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たすことを特徴とする画像形成装置である。
<2> トナーの示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が、50℃〜70℃であり、かつ昇温2回目の融解熱量が、30J/g〜75J/gである前記<1>に記載の画像形成装置である。
<3> トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による分子量が100,000以上の割合が7%以上であり、かつ重量平均分子量Mwが20,000〜70,000である前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<4> 結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂である前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<5> 結晶性樹脂が、ポリエステルとポリウレタンとのブロックポリマーである前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<6> 定着手段と排紙手段とが個別に駆動可能である前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<7> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、
前記転写像が定着された記録媒体を外部に排出させる排紙工程と、を含んでなり、
前記トナーが、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有し、
前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有し、前記結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂であって、前記トナーのX線回折法で得られる回折スペクトルが、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をCとし、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAとすると、比C/(C+A)が0.15以上であり、
前記トナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)が5.0×104Pa≦G’(70)≦1.0×106Paであり、かつ前記トナーの160℃における貯蔵弾性率G’(160)が1.0×103Pa≦G’(160)≦1.0×104Paであり、
前記定着工程における前記記録媒体の通過速度をS1とし、前記排紙工程における前記記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たすことを特徴とする画像形成方法である。
1 感光体ドラム
2 クリーニング手段
4 帯電手段
5 現像手段
6 作像手段
7 露光手段
8 中間転写ベルト
15 中間転写ユニット
19 2次転写ローラ
20 定着手段
29 排紙ローラ
30 排紙手段
40 定着手段
41 加圧ローラ
42 定着ローラ
43 加熱ローラ
44 定着ベルト
47 排紙ローラ
100 プリンタ
G 2成分現像剤
L レーザ光
P 記録媒体
2 クリーニング手段
4 帯電手段
5 現像手段
6 作像手段
7 露光手段
8 中間転写ベルト
15 中間転写ユニット
19 2次転写ローラ
20 定着手段
29 排紙ローラ
30 排紙手段
40 定着手段
41 加圧ローラ
42 定着ローラ
43 加熱ローラ
44 定着ベルト
47 排紙ローラ
100 プリンタ
G 2成分現像剤
L レーザ光
P 記録媒体
Claims (7)
- 静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、
前記転写像が定着された記録媒体を外部に排出させる排紙手段と、を有してなり、
前記トナーが、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有し、
前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有し、前記結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂であって、前記トナーのX線回折法で得られる回折スペクトルが、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をCとし、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAとすると、比C/(C+A)が0.15以上であり、
前記トナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)が5.0×104Pa≦G’(70)≦1.0×106Paであり、かつ前記トナーの160℃における貯蔵弾性率G’(160)が1.0×103Pa≦G’(160)≦1.0×104Paであり、
前記定着手段における前記記録媒体の通過速度をS1とし、前記排紙手段における前記記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たすことを特徴とする画像形成装置。 - トナーの示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が、50℃〜70℃であり、かつ昇温2回目の融解熱量が、30J/g〜75J/gである請求項1に記載の画像形成装置。
- トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による分子量が100,000以上の割合が7%以上であり、かつ重量平均分子量Mwが20,000〜70,000である請求項1から2のいずれかに記載の画像形成装置。
- 結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂である請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 結晶性樹脂が、ポリエステルとポリウレタンとのブロックポリマーである請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 定着手段と排紙手段とが個別に駆動可能である請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
- 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、
前記転写像が定着された記録媒体を外部に排出させる排紙工程と、を含んでなり、
前記トナーが、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有し、
前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有し、前記結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有する結晶性樹脂であって、前記トナーのX線回折法で得られる回折スペクトルが、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をCとし、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAとすると、比C/(C+A)が0.15以上であり、
前記トナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)が5.0×104Pa≦G’(70)≦1.0×106Paであり、かつ前記トナーの160℃における貯蔵弾性率G’(160)が1.0×103Pa≦G’(160)≦1.0×104Paであり、
前記定着工程における前記記録媒体の通過速度をS1とし、前記排紙工程における前記記録媒体の通過速度をS2とすると、次式、S1−S2>0、を満たすことを特徴とする画像形成方法。
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