JP2005043425A - 画像形成装置 - Google Patents

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Tomohiro Matsuuchi
内 智 宏 松
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Toshiba TEC Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

【課題】湿度や紙の厚さが変化しても紙カールが発生しない画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙が収納される用紙収納体の内部の湿度を検出する湿度センサと、ヒートローラと、プレスローラと、を有し、前記ヒートローラが前記プレスローラの上側に配置され、トナー像が形成された前記用紙を前記ヒートローラと前記プレスローラとの間の第1のニップ部に第1の速度で通過させて定着動作を行う定着器と、前記定着器の下流側に横向きに設けられ、一対のローラを有し、前記定着器から搬送される前記用紙を第2のニップ部に挟んで第2の速度で通過させて排紙し、前記湿度センサでの検出湿度に応じて、前記用紙が上向きに湾曲するように前記第2の速度を前記第1の速度よりも遅くする排紙部と、を備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機等の画像形成装置では、トナーが転写された紙を加熱・加圧して、トナーをこの紙上に定着させるプロセスが必要である。この定着プロセスは、定着器においてヒートローラとプレスローラとの間に紙を通過させてトナーを紙に加熱定着するのが一般的である。そして、この定着プロセス後、排紙部において排紙ローラとピンチローラとの間に紙を通過さて、紙を装置外に排紙するのが一般的である。
【0003】
上記の定着プロセスでは、紙がヒートローラに巻きつきながら搬送され、紙がヒートローラの円周面に巻きつくようにカールしてしまい、排紙された紙に紙カールが生じてしまうという問題があった。この紙カールを無くす方法としては、定着器と排紙部との間の搬送ガイド部材のガイド面を、定着器で発生するカールの湾曲方向と逆方向の湾曲面に形成し、カール除去を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−281827号公報([0031]〜[0033])
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の方法は、湿度の変化や紙の厚さを考慮しておらず、紙カールを十分に減らすことができなかった。すなわち、紙のカールの起こりやすさは、湿度によって異なってくる。例えば、湿度が高いと、カールは起やすくなる。また、カールの起こりやすさは、紙の厚さによっても異なってくる。例えば、厚紙では、カールは起きやすくなる。このため、従来の方法では、カールが起こりやすい環境になると、カール除去が不十分となり、ヒートローラの円周に沿って湾曲するような紙カールが発生してしまった。逆に、カールが起こりにくい環境では、カール除去が強すぎて、ヒートローラの円周と逆側に湾曲するような紙カールが発生してしまう場合があった。このように、従来の画像形成装置には、湿度や紙の厚さの変化により紙カールが発生してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づくもので、その目的は、湿度や紙の厚さが変化しても紙カールが発生しない画像形成装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の実施の形態の画像形成装置は、用紙が収納される用紙収納体の内部の湿度を検出する湿度センサと、ヒートローラと、プレスローラと、を有し、前記ヒートローラが前記プレスローラの上側に配置され、トナー像が形成された前記用紙を前記ヒートローラと前記プレスローラとの間の第1のニップ部に第1の速度で通過させて定着動作を行う定着器と、前記定着器の下流側に横向きに設けられ、一対のローラを有し、前記定着器から搬送される前記用紙を第2のニップ部に挟んで第2の速度で通過させて排紙し、前記湿度センサでの検出湿度に応じて、前記用紙が上向きに湾曲するように前記第2の速度を前記第1の速度よりも遅くする排紙部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の実施の形態の画像形成装置は、それぞれに異なる厚さの用紙が収納される複数の用紙収納体と、ヒートローラと、プレスローラと、を有し、前記ヒートローラが前記プレスローラの上側に配置され、トナー像が形成された前記用紙を前記ヒートローラと前記プレスローラとの間の第1のニップ部に第1の速度で通過させて定着動作を行う定着器と、前記定着器の下流側に横向きに設けられ、一対のローラを有し、前記定着器から搬送される前記用紙を第2のニップ部に挟んで第2の速度で通過させて排紙し、前記用紙の前記厚さに応じて、前記用紙が上向きに湾曲するように前記第2の速度を前記第1の速度よりも遅くする排紙部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の実施の形態の画像形成装置は、用紙が収納される用紙収納体の内部の湿度を検出する湿度センサと、ヒートローラと、プレスローラと、を有し、前記ヒートローラが前記プレスローラの上側に配置され、トナー像が形成された前記用紙を前記ヒートローラと前記プレスローラとの間の第1のニップ部に第1の速度で通過させて定着動作を行う定着器と、前記定着器の下流側に横向きに設けられ、一対のローラを有し、前記定着器から搬送される前記用紙を第2のニップ部に挟んで第2の速度で通過させて排紙し、前記湿度センサでの検出湿度と前記用紙の厚さとに応じて、前記用紙が上向きに湾曲するように前記第2の速度を前記第1の速度よりも遅くする排紙部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照にしつつ、本発明の実施の形態の画像形成装置について説明する。本実施形態の画像形成装置の特徴の1つは、例えば図1に示すように、湿度センサ191、192、193を給紙カセット(給紙空間)101、102、103内に設け、この湿度センサ191、192、193により検出した湿度に応じて排紙部150の紙搬送速度V2を定着器140の紙搬送速度V1よりも遅くした点である。これにより、定着器140で紙のカールが発生しても、定着器140と排紙部150との間でこの紙のカールを除去し、紙カールを防止することができる。また、紙の厚さに応じて排紙部150の紙搬送速度V2とを変化させることで、紙カールを効果的に防止できる。以下では、3つの実施の形態について説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置は、コピー機である。このコピー機は、一般的なコピー機と同様に、給紙カセット(用紙収納体)101、102、103と、搬送路110と、転写部120と、転写ベルト130と、定着器140と、排紙部150と、排紙口155と、原稿ガラス160と、スキャナ170と、露光装置180と、を備える。コピー機の使用時には、第1の給紙カセット101、第2の給紙カセット102、第3の給紙カセット103内に、それぞれ、所定の紙S1、S2、S3(図示しない)がセットされる。例えば、第1の給紙カセット101の紙S1に画像を形成する場合、搬送路110が、この紙S1を転写部120に搬送する。転写部120は、現像器121と、現像ローラ122と、感光体123と、転写チャージャ124と、を有しており、紙S1にトナー像を転写する。転写ベルト130は、このトナー像が転写された紙S1を定着器140に搬送する。定着器140は、ヒートローラ141と、プレスローラ142と、を備えており、トナーが転写された紙S1を加熱・加圧して、トナーをこの紙S1上に定着させる。排紙部150は、排紙ローラ151とピンチローラ152と、を備えており、トナーが定着された紙S1を、排紙口155に排紙する。
【0012】
本実施形態の特徴の1つは、上記の給紙カセット101、102、103内に、湿度センサ191、192、193を設けた点である。この湿度センサのうち、第1の湿度センサ191は、第1の給紙カセット101内の湿度を測定する。この第1の給紙カセット101内は、気密性が高い状態である。しかも、第1の給紙カセット101内において、第1の湿度センサ191と紙S1との距離は約10cm以下になる。このため、第1の湿度センサ191が測定する湿度は、紙S1自体の湿度とほぼ等しくなる。つまり、第1の湿度センサ191の測定する湿度は、紙S1自体の湿度とほぼ等しいとみなすことができる。同様に、第2の湿度センサ192で第2のカセット102内の紙S2自体の湿度とほぼ等しい湿度を、第3の湿度センサ193で第3のカセット103内の紙S3自体の湿度とほぼ等しい湿度を、測定することができる。
【0013】
図1のコピー機の動作の概略は、次のとおりである。まず、例えば、第1の給紙カセット101に標準的な厚さの60〜80g紙(60〜80g/m)のA4サイズ(297mm×210mm)の紙S1をセットし、第2の給紙カセット102に標準的な厚さのA3サイズ(420mm×297mm)の紙S2をセットし、第3の給紙カセット103に標準的な厚さのB5サイズ(257mm×182mm)の紙S3をセットする。そして、原稿ガラス160上に、コピー用の原稿T(図示しない)をセットする。使用者がコピーキーを押すと、スキャナ170がこのコピー用の原稿Tを光学系で読み取る。このスキャナ170の読み取り情報を基に、露光装置180が、感光体123に潜像を形成する。この感光体123には、現像装置121の現像ローラ122からのトナーが付着されて、可視像が形成される。この可視像は、例えば第1の給紙カセット101から搬送路110を経て給紙された紙S1に転写される。この紙S1は、転写ベルト130によって、定着器140に搬送される。この定着器140で定着プロセスが行われた後、紙S1は、排紙部150を経て排紙口153から排紙される。
【0014】
上記の定着プロセスおよび排紙のプロセスを図2を用いてやや詳しく説明すると、以下のとおりである。
【0015】
図2は、定着器140および排紙部150の拡大図である。この定着器140は、ヒートローラ141と、プレスローラ142と、を有する。ヒートローラ141は、プレスローラ142の上側に配置される。定着器140は、トナー像が形成された紙S1をこのヒートローラ141とプレスローラ142との間の第1のニップ部143に第1の速度で通過させて、定着動作を行う。この第1ニップ143を通過された紙S1は、排紙部150に搬送される。排紙部150は、排紙ローラ151と、ピンチローラ152と、を有する。この排紙部150は、定着器140の下流側に横向きに設けられ、定着器140から搬送される紙S1を第2のニップ部153に挟んで第2の速度で通過させて排紙する。
【0016】
この図2において、定着器140の紙搬送速度(第1の速度)V1は、湿度にかかわらず一定になるようにしている。これに対し、排紙部150の紙搬送速度(第2の速度)V2は、湿度に応じて、定着器140の紙搬送速度V1よりも遅くなるようにされる。具体的には、後述のように、湿度が50%以下の場合は排紙部150の紙搬送速度V2が定着器140の紙搬送速度V1と等しくなり、湿度が50%より高い場合は排紙部150の紙搬送速度V2が定着器140の紙搬送速度V1よりも遅くなる。このうち、排紙部150の紙搬送速度V2が定着器140の紙搬送速度V1と等しい場合は、紙S1が第1のニップ部143から第2のニップ部153までほぼ最短距離で搬送され、両ニップ143、153間でほぼ直線状に張る。このほぼ直線状の状態は、図2中にS1Aとして示されている。これに対し、排紙部150の紙搬送速度V2が定着器140の紙搬送速度V1よりも遅い場合は、紙S1が両ニップ143、153間で上向き凸状に湾曲する。この湾曲した状態は。図2中にS1Bとして示されている。
【0017】
上記の図1、図2の装置では、紙S1、S2、S3の湿度が高い場合、定着器140で、紙S1、S2、S3がヒートローラ141の円周面に沿うようにカールするという問題がある。そこで、図1の装置では、湿度センサ191、192、193により紙S1、S2、S3の湿度を測定し、その湿度に応じて排紙部150の紙搬送速度V2を変化させて、カール除去を行っている。これにより、紙カールを防止している。
【0018】
すなわち、例えば紙S1の湿度が50%以下の場合は、定着器140での紙S1のカールはほとんど起こらない。このため、湿度が50%以下の場合は、排紙部150の紙搬送速度V2を定着器140の紙搬送速度V1と等しくしている。この場合、紙S1は、両ニップ間でほぼ直線状に張り(図2のS1A)、カール除去は行われない。これに対し、紙S1の湿度が50%(第1の値)より高い場合、紙S1は、定着器140でヒートローラ141の円周面に沿うようにカールする。つまり、紙S1が、下向き凸状に湾曲する。そこで、本実施形態では、湿度が50%より高い場合は、排紙部150の紙搬送速度V2を定着器140の紙搬送速度V1に比べて遅くしている。この場合、紙S1は、定着器140と排紙部150との間で、ヒートローラ141の円周面に沿った方向と逆側の方向(上向き)に湾曲される。つまり、紙S1は、両ニップ間で、上記のカールを除去する方向に力を受ける。この結果、紙S1の紙カールが除去される。
【0019】
次に、上記の紙の湿度と、排紙部150の紙搬送速度V2と、の具体的な関係を、図3を用いて説明する。図3は、普通紙(60〜80g紙)を用いた場合の、紙の湿度R[%]と、定着器140の紙搬送速度V1に対する排紙部150の紙搬送速度V2の減少比率D=(V1−V2)/V1と、の関係を示す図である。減少比率Dが0になっているのは、排紙部150の紙搬送速度V2が、定着器140の紙搬送速度V1と等しいことを意味する(図2のS1A)。また、減少比率D>0となっているのは、排紙部150の紙搬送速度V2が、定着器140の紙搬送速度V1よりも遅いことを意味する(図2のS1B)。
【0020】
図3から分かるように、紙の湿度Rが50%以下の範囲の場合、排紙部150の紙搬送速度V2を定着器140の紙搬送速度V1と同じにし、減少比率Dを0としている。この範囲では、定着器140での紙のカールはほとんど起こらないため、このように減少比率Dを0としても、排紙口155での紙カールはほとんど発生しない。
【0021】
一方、湿度Mが60%の場合は、定着器140で、下向き凸状に紙のカールが起こる。このため、排紙部150の紙搬送速度V2を定着器140の紙搬送速度V1に比べて1%遅くし、減少比率Dを0.01として、定着器140と排紙部150との間で、紙を上向き凸状に湾曲させる(図2のS1B)。これにより、カール除去を行い、紙カールを防止する。
【0022】
また、湿度Rが80%の場合は、定着器140で、下向き凸状にさらに大きなカールが起こる。このため、排紙部150の紙搬送速度V2を定着器140の紙搬送速度V1に比べて3%遅くし、減少比率Rを0.03として、定着器140と排紙部150との間で、紙を上向き凸状にさらに大きく湾曲させる。これにより、カール除去を行い、紙カールを防止する。
【0023】
また、湿度Rが80%を超えると、トナーの正常な付着が困難になる。このため、図1の装置は、図3から分かるように、湿度Rが80%を超えると、コピー動作を停止し、警告ランプが表示されるようになっている。
【0024】
また、本発明者の実験では、湿度Rが50%(第1の値)よりも高く80%(第2の値)以下の範囲では、湿度Rが大きくなるのに比例して、紙のカールが大きくなることが分かっている。このため、この範囲では、図3に示すように、減少比率Dが湿度Rの一次関数になるようにしている。具体的には、紙の湿度R[%]と、減少比率Dと、の関係を式で表せば、
D=(V1−V2)/V1
D=0 (0≦R≦50)
D=(R−50)/1000 (50≦R≦80)
である。
【0025】
また、排紙部150の紙搬送速度V2を、定着器140の紙搬送速度V1を用いて表せば、
V2=A(R)*V1
A(R)=1 (0≦R≦50)
A(R)=(1050−R)/1000 (50≦R≦80)
である。
【0026】
この図3に示すように,湿度Rに応じて排紙部150の紙搬送速度V2を変化させることで、適度のカール除去が行なわれる。
【0027】
次に、上記の湿度センサ191、192,193の湿度測定動作、および、排紙部150の紙搬送速度V2の決定動作、を図4のフローチャートを参照にして説明する。なお、以下では、第1の給紙カセット101内の紙S1にコピーを行う場合について説明する。
【0028】
まず、図4に示すようにコピーボタンを押す。
【0029】
次に、コピーボタンが押されると、第1の湿度センサ(図1)191が、第1の給紙カセット101内の湿度Rの湿度検知を行う。
【0030】
次に、測定された湿度R[%]を基に、排紙部150の紙搬送速度V2(排紙ローラ151の回転速度)を、図3に関して説明したV2=A(R)*V1により決める。
【0031】
次に、排紙ローラ151がスタートし、給紙カセット101からの紙S1が排紙ローラ151まで搬送される。湿度Rが50%以下の場合は、定着器140と排紙部150との間で、紙S1のカール除去は行われない。湿度Rが50%より高い場合は、定着器140と排紙部150との間で、紙S1のカール除去が行われる。
【0032】
次に、排紙部150を経由した紙S1が排紙口153から排紙され、コピーが終了する。
【0033】
この図4のフローチャートおよび図3から分かるように、図1、図2の装置では、湿度センサ191、192、193が測定した湿度Rに応じて排紙部150の紙搬送速度V2を決定することで、定着器140で発生した紙のカールを除去している。
【0034】
以上説明した図1の画像形成装置では、湿度に応じて排紙部150の紙搬送速度V2を適切に変化させている。これにより、湿度が高くなっても、定着器140で発生するヒートローラ141の円周面に沿った紙のカールを、定着器140と排紙部150との間で除去し、紙カールを防ぐことができる。
【0035】
また、湿度が低くなれば、それに応じてカール除去作用が弱くなる。このため、カール除去が強くなりすぎてヒートローラ141の円周面と逆側へ紙カールが発生することも、防ぐこともできる。
【0036】
また、図1の画像形成装置では、湿度計191、192、193の設置位置を、給紙カセット102、102、103内としたので、紙カールを極めて効果的に防止できる。
【0037】
すなわち、本発明者は、定着器140における紙のカールの起こりやすさと、湿度と、の関係について検討した。この検討において、まず、装置外部の湿度と、カールの起こりやすさと、の関係を調べた。しかしながら、この両者には、密接な関連性は見られなかった。次に、本発明者は、転写部120付近に湿度計をセットし、転写部120付近の湿度と、カールの起こりやすさと、の関係を調べた。しかし、この両者にも、密接な関連性が見られなかった。そこで、本発明者は、さらに、給紙カセット101内に湿度計をセットし、給紙カセット101内の湿度と、紙カールの起こりやすさと、の関係を調べた。その結果、両者に密接な関連性があることを独自に知得した。そして、これにより、図1の装置を発明するに至った。
【0038】
このように給紙カセット101内の湿度と、紙カールの起こりやすさと、に密接な関連性がある理由について、本発明者は、次のように考えている。すなわち、紙カールの起こりやすさは、紙自体の湿度と密接に関連している。そして、給紙カセット101内の気密性が高いので、給紙カセット101内の湿度は、紙自体の湿度とほぼ一致する。また、給紙カセット101内と転写部120付近との湿度が異なる場合でも、定着器140に到達する時の紙の湿度は、転写部120付近の湿度にはほとんど影響されず、給紙カセット101内の湿度とほぼ等しくなる。これらのため、給紙カセット101内の湿度と、紙カールの起こりやすさと、に密接な関連性がある。これに対し、転写部120付近と給紙カセット101内とでは温度がかなり違う。このように温度が違うと、湿度も違ってくる。このため、転写部120付近の湿度を測定しても、紙自体の湿度は測定できない。また、装置内の水分や熱源の影響により、給紙カセット101内の湿度と、装置外部の湿度と、も一致しない。このため、装置外部の湿度を測定しても、紙自体の湿度は測定できない。これらにより、転写部120付近や装置外部の湿度と、紙カールの起こりやすさと、の関連性は希薄になる。
【0039】
このように、図1の装置では、湿度センサ191、192、193により給紙カセット101、102、103内の湿度を測定し、この湿度に応じて排紙部150の紙搬送速度V2と定着器140の紙搬送速度V1とを変化させたので、紙カールを効果的に防止することができる。
【0040】
以上説明した図1の装置では、定着器140の紙搬送速度V1に対する排紙部150の紙搬送速度V2の減少比率Dを0〜3%としている。しかし、この減少比率Dは、ヒートローラ141の直径等に応じて、変化させることができる。ただし、この減少比率Dが5%を超えると、定着器140排紙部150との間の紙の湾曲が大きくなりすぎて、湾曲形状の制御が困難になる。このため、この減少比率Dは、0%以上5%以内とすることが好ましい。
【0041】
また、図1の装置では、湿度が50%(第1の値)よりも高く80%(第2の値)以下の範囲で、排紙部150の紙搬送速度V2を定着器140の紙搬送速度V1よりも遅くしている。しかし、上記の範囲は、紙の厚さ、ヒートローラ141の直径、ヒートローラ141の材質、ヒートローラ141の温度等により変化させることもできる。つまり、上記の第1の値および第2の値を必要に応じて変化させることもできる。ただし、湿度が90%を超える状態でトナー像を形成することは困難なので、第2の値は90%以下が好ましい。また、本実施形態の効果を有効に得るためには、第1の値は30%以上60%以下が好ましい。
【0042】
また、図1の装置では、定着器140の紙搬送速度V1を一定にし、排紙部150の紙搬送速度V2を湿度に応じて変化させている。しかし、定着器140の紙搬送速度V1を湿度に応じて変化させ、排紙部150の紙搬送速度V2を一定にすることもできる。また、定着器140と排紙部150との両方の紙搬送速度V1、V2を湿度に応じて変化させることもできる。これらの場合、減少比率D=(V1−V2)/V1は、本実施形態と同様の値にすることができる。
【0043】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の画像形成装置は、紙の厚さに応じて排紙部150の紙搬送速度V2を変化させる装置である。装置の基本的な構造は第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態と異なる点は、第1の給紙カセット101に厚紙をセットし、第2の給紙カセット102に普通紙をセットし、紙の厚さを選択できるようにしている点である。以下では、詳細な説明は省略し、図1と同じ符号を用いて簡単に説明する。
【0044】
第2の実施の形態の画像形成装置は、図1において、第1の給紙カセット101に厚紙S1である200g紙をセットし、第2の給紙カセット102に標準的な厚さの紙S1である60〜80g紙(普通紙)をセットする。そして、必要に応じて、厚紙S1と、普通紙S2と、を使い分ける。
【0045】
本実施形態の装置では、厚紙S1を用いると、普通紙S2を用いる場合よりも、定着器140で紙S1がヒートローラ141の円周面に沿うようにカールしやすいという問題がある。そこで、本実施形態では、厚紙S1を用いる場合に、普通紙S2を用いる場合よりも排紙ローラ151の紙搬送速度V2を遅くして、紙カールを防止している。以下、図5のフローチャートを参照にして説明する。
【0046】
まず、使用する紙の種類を設定する。つまり、使用する紙が、厚紙S1なのか、普通紙S2なのか、を設定する。
【0047】
次に、設定された紙の種類を基に、排紙部150の紙搬送速度V2を決める。具体的には、例えば、設定された紙が普通紙S2の場合は、V2をV1と比べて1%遅くする。また、設定された紙が厚紙S1の場合は、V2をV1に比べて1.2%遅くする。なお、本実施形態では、定着器140の紙搬送速度V1は、紙の厚さにかかわらず一定としている。
【0048】
次に、コピーボタンを押す。
【0049】
次に、排紙ローラ151がスタートし、給紙カセット101、102からの紙が排紙ローラ151まで搬送される。ここで、紙が厚紙S1の場合、紙が普通紙S1の場合よりも、定着器140で生じるヒートローラ141の円周面に沿うような紙のカールが大きくなる。つまり、紙の下向き凸状の湾曲が大きくなる。そこで、本実施形態では、厚紙S1を用いる場合、普通紙S2を用いる場合よりも、排紙部150の紙搬送速度V2が遅くなるようにしている。このため、厚紙S1を用いた場合は、普通紙S2を用いた場合よりも、定着器140と排紙部150との間での上向き凸状の湾曲が大きくなる。これにより、厚紙S1は、定着器140と排紙部150との間で上記のカールを十分に除去される。この結果、厚紙S1を用いた場合でも、カールは除去される。
【0050】
次に、排紙部150を経由した紙が排紙口153から排紙され、コピーが終了する。
【0051】
以上説明した第2の実施の形態の画像形成装置では、厚紙S1を用いた場合、普通紙S2を用いた場合よりも廃止ローラ151の速度が遅くなるようにしたので、紙カールを防止することができる。
【0052】
以上説明した第2の実施の形態の画像形成装置では、普通紙S2としての60〜80g紙と、厚紙S1としての200g紙と、を用いる場合について説明している。しかし、他の厚さの紙を用いることもできる。厚さが異なる複数種類の紙を用いる場合、本発明者の実験では、紙の厚さが厚くなるほど廃止ローラ151の速度が遅くなるようにすると、紙カールを有効に防止できる。つまり、紙の厚さが厚くなるほど定着器140の紙搬送速度V1に対する排紙部150の紙搬送速度V2の減少比率Dを大きくすると、紙カールを有効に防止できる。
【0053】
また、本実施形態の装置でも、必要に応じて、定着器140の紙搬送速度V1に対する排紙部150の紙搬送速度V2の減少比率Dを0%以上5%以内とすることができる。
【0054】
また、本実施形態の装置では、定着器140の紙搬送速度V1を一定にし、排紙部150の紙搬送速度V2を紙の厚さに応じて変化させている。しかし、定着器140の紙搬送速度V1を紙の厚さに応じて変化させ、排紙部150の紙搬送速度V2を一定にすることもできる。また、定着器140と排紙部150との両方の紙搬送速度V1、V2を紙の厚さに応じて変化させることもできる。これらの場合、減少比率M=(V1−V2)/V1は、本実施形態と同様の値にすることができる。
【0055】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態の画像形成装置は、紙の湿度と、紙の厚さと、の両方の値に応じて排紙部150の紙搬送速度V2を変化させる装置である。装置の基本的な構造は、第1の実施の形態(図1)と同じである。本実施形態では、第1の給紙カセット101には、厚紙S1がセットされ、第2の給紙カセット102には普通紙S2がセットされ、第3の給紙カセット103には薄紙S3がセットされる。紙のサイズはすべてA4(297mm×210mm)としている。
【0056】
図6に、本実施形態の装置における、紙の湿度R[%]と、紙の種類S1、S2、S3と、定着器140の紙搬送速度V1に対する排紙部150の紙搬送速度V2の減少比率D=(V1−V2)/V1と、の関係を示す。
【0057】
図6に示すように、普通紙S2における湿度Rと減少比率Dとの関係は、第1の実施の形態(図3)と同じである。また、図6に示すように、湿度Rが50%(第1の値)よりも高く80%(第2の値)以下の範囲では、紙の厚さが厚いほど、減少比率Dが高い。つまり、紙の厚さが厚いほど、排紙部150の紙搬送速度V2が遅い。この排紙部150の紙搬送速度V2は、具体的には、図7から分かるように、
V2=A(R)*P*V1
A(R)=1 (0≦R≦50)
A(R)=(1050−R)/1000 (50≦R≦80)
P=1.2 (厚紙)
P=1 (普通紙)
P=0.8 (薄紙)
である。
【0058】
次に、本実施形態の装置の動作を、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0059】
まず、紙を設定する。紙を設定すると、紙の種類による補正係数Pが決まる。本実施形態では、厚紙S1の補正係数a=1.2、普通紙(標準紙)S2の補正係数b=1、薄紙S3の補正係数c=0.8である。
【0060】
次に、コピーボタンを押す。
【0061】
次に、湿度センサ191、192、193が湿度Rを測定する。
【0062】
次に、速度コントローラが、図6に関して説明したV2=A(R)*P*V1によって、排紙部150の紙搬送速度V2を決定する。
【0063】
次に、排紙ローラ151がスタートし、給紙カセット101からの紙S1が排紙ローラ151まで搬送される。湿度Rが50%以下の場合は、定着器140と排紙部150との間で、紙のカール除去は行われない(図2のS1A参照)。湿度Rが50%より高い場合は、定着器140と排紙部150との間で、紙のカール除去が行われる(図2のS2の1B参照)。
【0064】
次に、排紙部150を経由した紙S1が排紙口153から排紙され、コピーが終了する。
【0065】
この図7のフローチャートおよび図6から分かるように、本実施形態の装置では、湿度センサ191、192、193が測定した湿度Rと、紙の種類と、に応じて排紙部150の紙搬送速度V2を決定したので、定着器140で発生した紙のカールを除去することができる。
【0066】
以上説明した本実施形態の装置では、定着器140の紙搬送速度V1を一定にし、排紙部150の紙搬送速度V2を紙の厚さに応じて変化させた。しかし、定着器140の紙搬送速度V1を紙の厚さに応じて変化させ、排紙部150の紙搬送速度V2を一定にすることもできる。また、定着器140と排紙部150との両方の紙搬送速度V1、V2を紙の厚さに応じて変化させることもできる。これらの場合、減少比率D=(V1−V2)/V1は、本実施形態と同様の値にすることができる。
【0067】
また、本実施形態の装置では、定着器140の紙搬送速度V1に対する排紙部150の紙搬送速度V2の減少比率Dを0〜3.6%としている(図6)。しかし、この減少比率Dは、ヒートローラ241の直径等に応じて、変化させることができる。ただし、この減少比率Dが5%を超えると、定着器140と排紙部150との間の紙の湾曲が大きくなりすぎて、湾曲形状の制御が困難になる。このため、この減少比率Dは、0%以上5%以内とすることが好ましい。
【0068】
また、本実施形態の装置では、湿度が50%(第1の値)よりも高く80%(第2の値)以下の範囲で、排紙部150の紙搬送速度V2を定着器140の紙搬送速度V1よりも遅くしている。しかし、上記の範囲は、ヒートローラ141の直径、ヒートローラ141の材質、ヒートローラ141の温度等により変化させることもできる。ただし、湿度が90%を超えるとトナー像の形成が困難になるので、第2の値は90%以下が好ましい。また、本実施形態の効果を有効に得るためには、第1の値は30%以上60%以下が好ましい。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、湿度センサを給紙カセット内に設け、この湿度センサにより測定した湿度や紙の厚さに応じて排紙部の紙搬送速度を定着器の紙搬送速度よりも遅くしたので、定着器で紙のカールが発生しても定着器と排紙部との間でこの紙のカールを除去し、紙カールを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の画像形成装置の断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の画像形成装置の定着器および排紙部の拡大図。
【図3】本発明の第1の実施の形態の画像形成装置における、紙の湿度R[%]と、定着器の紙搬送速度V1に対する排紙部の紙搬送速度V2の減少比率D=(V1−V2)/V1と、の関係を示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態の画像形成装置の動作を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施の形態の画像形成装置の動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の第3の実施の形態の画像形成装置における、紙の湿度R[%]と、紙の種類と、定着器の紙搬送速度V1に対する排紙部の紙搬送速度V2の減少比率D=(V1−V2)/V1と、の関係を示す図。
【図7】本発明の第3の実施の形態の画像形成装置の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
101 第1の給紙カセット
102 第2の給紙カセット
103 第3の給紙カセット
120 転写部
140 定着器
141 ヒートローラ
142 プレスローラ
143 第1のニップ部
150 排紙部
153 第2のニップ部
191 第1の湿度センサ
192 第2の湿度センサ
193 第3の湿度センサ

Claims (6)

  1. 用紙が収納される用紙収納体の内部の湿度を検出する湿度センサと、
    ヒートローラと、プレスローラと、を有し、前記ヒートローラが前記プレスローラの上側に配置され、トナー像が形成された前記用紙を前記ヒートローラと前記プレスローラとの間の第1のニップ部に第1の速度で通過させて定着動作を行う定着器と、
    前記定着器の下流側に横向きに設けられ、一対のローラを有し、前記定着器から搬送される前記用紙を第2のニップ部に挟んで第2の速度で通過させて排紙し、
    前記湿度センサでの検出湿度に応じて、前記用紙が上向きに湾曲するように前記第2の速度を前記第1の速度よりも遅くする排紙部と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記湿度が第1の値以下の範囲では、前記第2の速度と前記第1の速度が等しく、
    前記湿度が前記第1の値より大きく第2の値以下の範囲では、前記第2の速度が前記第1の速度よりも遅く、かつ、前記湿度が上昇すると前記第1の速度に対する前記第2の速度の減少比率がその減少比率以上の比率になることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. それぞれに異なる厚さの用紙が収納される複数の用紙収納体と、
    ヒートローラと、プレスローラと、を有し、前記ヒートローラが前記プレスローラの上側に配置され、トナー像が形成された前記用紙を前記ヒートローラと前記プレスローラとの間の第1のニップ部に第1の速度で通過させて定着動作を行う定着器と、
    前記定着器の下流側に横向きに設けられ、一対のローラを有し、前記定着器から搬送される前記用紙を第2のニップ部に挟んで第2の速度で通過させて排紙し、
    前記用紙の前記厚さに応じて、前記用紙が上向きに湾曲するように前記第2の速度を前記第1の速度よりも遅くする排紙部と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  4. 前記用紙の前記厚さが厚くなると前記第1の速度に対する前記第2の速度の減少比率がその減少比率以上の比率になり、
    前記用紙の前記厚さが薄くなると前記減少比率がその減少比率以下の比率になることを特徴とする画像形成装置。
  5. 用紙が収納される用紙収納体の内部の湿度を検出する湿度センサと、
    ヒートローラと、プレスローラと、を有し、前記ヒートローラが前記プレスローラの上側に配置され、トナー像が形成された前記用紙を前記ヒートローラと前記プレスローラとの間の第1のニップ部に第1の速度で通過させて定着動作を行う定着器と、
    前記定着器の下流側に横向きに設けられ、一対のローラを有し、前記定着器から搬送される前記用紙を第2のニップ部に挟んで第2の速度で通過させて排紙し、
    前記湿度センサでの検出湿度と前記用紙の厚さとに応じて、前記用紙が上向きに湾曲するように前記第2の速度を前記第1の速度よりも遅くする排紙部と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記湿度が第1の値以下の範囲では前記第2の速度と前記第1の速度が等しく、
    前記湿度が前記第1の値より大きく第2の値以下の範囲では前記第2の速度が前記第1の速度よりも遅く、
    前記湿度が前記第1の値より大きく第2の値以下の範囲では、前記用紙の前記厚さが一定の場合には、前記湿度が上昇すると前記第1の速度に対する前記第2の速度の減少比率がその減少比率以上の比率になり、前記湿度が一定の場合には、前記用紙の前記厚さが厚くなると前記減少比率がその減少比率以上の比率になることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
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