JP2014092608A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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涼香 雨森
Shinya Nakayama
慎也 中山
Tatsuya Morita
竜也 森田
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顕芳 左部
Takamasa Hase
岳誠 長谷
輪太郎 ▲高▼橋
Rintaro Takahashi
Kosuke NAGATA
幸介 永田
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Abstract

【課題】 本発明者らがトナーの低温定着化を検討していく中で、結着樹脂として結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、低温定着性には優れる反面、ニップ部の面圧が低い定着において光沢ムラが発生するという課題があることを見出した。
【解決手段】 本発明の画像形成装置は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂を用いる。これにより、ニップ部の面圧が3.0kgf/cm以下の場合であっても光沢ムラの発生が抑制されるという効果を奏する。
【選択図】図4

Description

本発明は、記録媒体上のトナー像を加熱および加圧して、トナー像を記録媒体に定着させることにより画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
従来、トナーを用いて画像を形成する装置として、プリンター等の電子写真方式の画像形成装置が用いられている。この画像形成装置は、感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像し、得られたトナー像を用紙に転写し、加熱溶融させて定着させることにより画像を形成する。
トナー像を定着させるための定着装置としては、例えば、ベルト方式の定着装置が知られている(特許文献1参照)。ベルト方式の定着装置は、電源投入時の常温状態から印刷可能な温度に達するまでに長い時間を要する場合がある。また、画像形成装置の高速化に伴い、単位時間あたりの通紙枚数が増え、必要な熱量が増大するため、連続印刷時にトナーを加熱するための熱量が不足する場合がある。
また、セラミックヒータを用いたサーフ定着方式が提案されている(特許文献2参照)。この方式では、ベルト方式の定着装置に比べ、低熱容量化されるが、ニップ部を局所加熱するため、ニップ部以外の用紙導入部においてベルトが十分に加熱されず、定着不良が発生しやすくなる場合がある。特に、高生産の画像形成装置に搭載された場合には、ベルトの回転が速く、ニップ部以外でのベルトの放熱が多くなるため、より定着不良が発生しやすくなる場合がある。
さらに、無端ベルトを用いて定着する方式が提案されている(特許文献3参照)。この方式によると、ベルト全体を温めることが可能であるので、電源投入時の常温状態から印刷可能な温度に達するまでの時間を短縮することができる。また、高速回転時の熱量不足が解消されるので、高生産の画像形成装置に搭載されても、良好な定着性を得ることができる。なお、無端ベルトを用い定着する定着方式では、他の定着方式と比較して低い圧力でトナーを定着させる。
一方、画像形成装置における定着処理では、トナーを加熱溶融させるために多くの電力が必要となるため、省エネルギー化を図る観点から、低温定着性のトナーが用いられている。このような低温定着性のトナーとしては、結晶性ポリエステル樹脂のような結晶性樹脂を結着樹脂として含有するものが知られている(特許文献4乃至6参照)。
本発明者らがトナーの低温定着化を検討していく中で、結着樹脂として結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、低温定着性には優れる反面、ニップ部の面圧が低い定着において光沢ムラが発生するという課題があることを見出した。
請求項1に係る発明は、記録媒体上のトナー像を加熱および加圧して、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段を備えた画像形成装置であって、前記定着手段は、定着部材と、該定着部材に対向してニップを形成する加圧部材と、を備え、前記ニップの面圧が3.0kgf/cm以下であり、前記トナー像を形成するトナーは、結着樹脂として結晶性樹脂を含有し、前記結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂であること、を特徴とする画像形成装置である。
本発明の画像形成装置は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂を用いる。これにより、ニップ部の面圧が3.0kgf/cm以下の場合であっても光沢ムラの発生が抑制されるという効果を奏する。
X線回折によって得られる回折スペクトルの一例を示す図である。 X線回折によって得られる回折スペクトルの一例を示す図である。 ポリウレアのカルボニル炭素付近の13C−NMRスペクトルの一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置を示す説明図である。 遮光部材の一例を示す説明図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態のトナーは、結着樹脂として結晶性樹脂を含有する。また、結晶性樹脂は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する。なお、本実施形態のトナーは、着色剤、離型剤などの任意の成分を含有しても良い。
<<結着樹脂>>>
まずは、本実施形態のトナーの結着樹脂について説明する。本実施形態において、結着樹脂は、結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを含有しても良いが、結着樹脂の主成分は、結晶性樹脂であることが好ましい。本実施形態において、結晶性樹脂とは、結晶構造を持った部位を有する樹脂を意味する。結晶性樹脂の結着樹脂に対する含有量は、結晶性樹脂による優れた低温定着性と耐熱保存性の両立性を最大限に発現させる観点から、好ましくは50質量%以上であって、より好ましくは60質量%以上であって、より好ましくは65質量%以上であって、より好ましくは75質量%以上であって、更に好ましくは80質量%以上であって、特に好ましくは95質量%以上である。含有量が、50質量%未満の場合、結着樹脂の熱急峻性がトナーの粘弾特性上で発現できず、低温定着性と耐熱保存性の両立できない場合がある。
樹脂に、結晶構造を持った部位を設ける方法としては、特に限定されないが、主鎖に結晶性を有するポリマーユニットを導入する方法が挙げられる。結晶性を有するポリマーユニットのうち、結晶性ポリエステルユニット、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸等の長鎖アルキルエステルユニットは、トナー用の結着樹脂として好適な融点を有する点で好ましい。特に、結晶性ポリエステルユニットは、トナーとして好適な融点設計を行いやすく、紙への結着性に優れることから、結晶性樹脂の主成分とすることが好ましい。具体的には、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂は、結着樹脂全体の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは75質量%、更に好ましくは90質量%以上である。また、結晶性ポリエステルユニットは、末端アルコールのものを簡便に作製することができ、ウレタン結合およびウレア結合の少なくとも一方を有する樹脂へ展開しやすい点で好適である。
<結晶性ポリエステルユニット>
結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂としては、結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂(単に、結晶性ポリエステル樹脂ともいう)、結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)が挙げられる。結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂は、結晶構造をとる部分は多いものの、外力により容易に変形しやすいことがある。その理由としては、結晶性ポリエステルのすべての部分を結晶化させることは困難であり、結晶化していない部分(非結晶部位)の分子鎖の自由度が高いために容易に変形しやすい、あるいは結晶構造をとっている部分に関しても、通常その高次構造は分子鎖が折りたたまれながら面を形成したものが重なる、いわゆるラメラ構造となるが、そのラメラ層間には大きな結合力が働かないため容易にラメラ層がずれやすい、などの原因が考えられる。トナー用の結着樹脂としては、外力により容易に変形してしまうと、画像形成装置内での変形凝集、部材への付着あるいは固着、最終的に出力される画像が容易に傷がつく、などの問題が発生する可能性があるため、外力に対してある程度変形に耐えうるもの、強靭性を有するものでなければならない。
樹脂の強靭性付与の観点からは、凝集エネルギーの大きいウレタン結合部位、ウレア結合部位、フェニレン部位を有するような結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)が好ましい。この中でも特に、ウレタン結合部位やウレア結合部位は、分子鎖中に存在することにより、非結晶部位やラメラ層間に大きな分子間力による擬似架橋点を形成させることができると考えられる上、紙への定着後においても紙に対して濡れやすく定着強度を高めることができるため好ましい。
結晶性ポリエステルユニットとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。
−ポリオール−
上記のポリオールとしては、例えば、ジオール、3乃至8価あるいはそれ以上のポリオール等が挙げられる。ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数4乃至36のアルキレンエーテルグリコール;炭素数4乃至36の脂環式ジオール;脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する);ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオールなどが挙げられる。これらの中でも鎖炭素数が2乃至36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の直鎖型脂肪族ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量は、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましい。含有量が80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性とが両立し、樹脂硬度が向上する傾向にある点で好ましい。
鎖炭素数が2乃至36の分岐型脂肪族ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
炭素数4乃至36のアルキレンエーテルグリコールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
炭素数4乃至36の脂環式ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
脂環式ジオールのAOとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、BOと略記する)等の付加物(付加モル数1乃至30)などが挙げられる。
ビスフェノール類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2乃至30)などが挙げられる。ポリラクトンジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−ε−カプロラクトンジオールなどが挙げられる。
カルボキシル基を有するジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の炭素数6乃至24のジアルキロールアルカン酸などが挙げられる。
スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール、[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1乃至6)及びそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1乃至6);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
これらのジオールの中和塩基としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数3乃至30の3級アミン(トリエチルアミン等)、アルカリ金属(ナトリウム塩等)などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数2乃至12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用が好ましい。
また、必要に応じて用いられる3乃至8価あるいはそれ以上のポリオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン等)、糖類及びその誘導体(例えば、ショ糖、メチルグルコシド等)等の多価脂肪族アルコール;トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2乃至30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2乃至30);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーとの共重合物等のアクリルポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
−ポリカルボン酸−
上記のポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3乃至6価あるいはそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等の炭素数4乃至36のアルカンジカルボン酸;ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸等の炭素数4乃至36のアルケンジカルボン酸;ダイマー酸(2量化リノール酸)等の炭素数6乃至40の脂環式ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数8乃至36の芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
また、必要により用いられる3乃至6価あるいはそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9乃至20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
なお、ジカルボン酸又は3乃至6価あるいはそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1乃至4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
上記のジカルボン酸の中でも、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の脂肪族ジカルボン酸を単独で用いることが好ましいが、脂肪族ジカルボン酸と共にテレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸あるいはその低級アルキルエステル類を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下が好ましい。
−ラクトン開環重合物−
上記のラクトン開環重合物としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数3乃至12のモノラクトン類(環中のエステル基数1個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、炭素数3乃至12のモノラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物などが挙げられる。
炭素数3乃至12のモノラクトンとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性の観点からε−カプロラクトンが好ましい。また、ラクトン開環重合物としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、ダイセル社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等の高結晶性ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
−ポリヒドロキシカルボン酸−
ポリヒドロキシカルボン酸の調製方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体等)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間又は3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4乃至12の環状エステル(環中のエステル基数2乃至3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法などが挙げられる。これらの中でも、分子量の調整の観点から開環重合する方法が好ましい。上記の環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
<結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂>
本実施形態において、結晶性樹脂は、上記の結晶性ポリエステルユニットを連結させたものであることが好ましい。結晶性ポリエステルユニットを連結させる方法としては、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有する結晶性ポリエステルユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法などが挙げられる。この方法を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。
ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートが挙げられる。ジイソシアネートとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類などが挙げられる。
芳香族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−あるいは1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−あるいは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−あるいは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(例えば5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
脂環式ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、ジイソシアネートの変性物としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等の変性MDI、イソシアネート含有プレポリマー等のウレタン変性TDI、などのジイソシアネートの変性物;これらジイソシアネートの変性物の2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDIとの併用)などが挙げられる。
これらの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6乃至20好ましくは6乃至15の芳香族ジイソシアネート、2乃至18好ましくは4乃至12の脂肪族ジイソシアネート、4乃至15の脂環式ジイソシアネート、8乃至15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)、これらの2種以上の混合物などが好ましい。特に、TDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIは好ましい。また、必要により、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
<結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂>
また、本実施形態において、結晶性樹脂は、上記の結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーとを結合させたものであっても良い。他のポリマーを構成するポリマーユニットとしては、非結晶性ポリエステルユニット、ポリウレタンユニット、ポリウレアユニット、ビニル系ポリマーユニットが挙げられる。結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーとを結合させる方法としては、あらかじめ結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを別々に作製し、それらを結合させる方法、あらかじめ結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットのいずれかを作製し、次いで作製したユニットの存在下で、もう一方のポリマーを重合することによって結合させる方法、あるいは結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを同じ反応場で同時あるいは逐次重合させることにより得る方法があるが、設計意図通りに反応を制御させやすいという点で、一つ目あるいは二つ目の方法が好ましい。
一つ目の方法としては、上記の結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法と同様、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有するユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法が挙げられる。また、一方のユニットの末端にイソシアネート基を導入し、他方のユニットの活性水素と反応させる方法を用いることもできる。この方法を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。なお、ポリイソシアネートとしては、前述のものを使用することができる。
二つ目の方法としては、結晶性ポリエステルユニットを先に作成する場合、その末端のヒドロキシル基あるいはカルボキシル基と、他のポリマーユニットを構成するモノマーとを反応させる。これにより、結晶性ポリエステルユニットと、非結晶性ポリエステルユニット、ポリウレタンユニット、ポリウレアユニット等の他のポリマーとを結合させた樹脂が得られる。
−非結晶性ポリエステルユニット−
上記の非結晶性ポリエステルユニットとしては、例えばポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニットが挙げられる。ポリオール及びポリカルボン酸については上記の結晶性ポリエステルユニットで例示したものが使用できるが、結晶性を持たないように設計するためには、ポリマー骨格に屈曲点や分岐点を多く持たせるようにすればよい。屈曲点を持たせるには、例えば、ポリオールとして、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2乃至30)などのビスフェノール及びその誘導体、ポリカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸を使用すればよい。また分岐点の導入には3価以上のポリオールやポリカルボン酸を使用すればよい。
−ポリウレタンユニット−
結晶性ポリエステルユニットに結合させるユニットとしてポリウレタンユニットを選択した場合には、結晶性ポリエステルユニットとポリウレタンユニットとを有する共重合体が得られる。上記のポリウレタンユニットとしては、ジオール、3乃至8価あるいはそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートと、から合成されるポリウレタンユニットが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットが好ましい。
ポリオールとしては、ポリエステルの構成成分として前述のジオール及び3乃至8価あるいはそれ以上のポリオールと同様のものが挙げられる。ジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートとしては、前述のジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
−ポリウレアユニット−
上記のポリウレアユニットとしては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレアユニット等が挙げられる。これらの中でも、ジアミンとジイソシアネートとから合成されるポリウレアユニットが好ましい。ジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートとしては、前述のジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
ジアミンとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類が挙げられる。これらの中でも、炭素数2乃至18の脂肪族ジアミン類、炭素数6乃至20の芳香族ジアミン類が好ましい。また、必要により、前記3価以上のアミン類を使用してもよい。
炭素数2乃至18の脂肪族ジアミン類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2乃至6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の炭素数4乃至18のポリアルキレンジアミン;ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の前記アルキレンジアミン又は前記ポリアルキレンジアミンの炭素数1〜4のアルキル又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体;1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等の炭素数4乃至15の脂環式ジアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の炭素数4乃至15の複素環式ジアミン;キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等の炭素数8乃至15の芳香環含有脂肪族アミン類などが挙げられる。
炭素数6乃至20の芳香族ジアミン類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4’−及び4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン等の非置換芳香族ジアミン;2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の炭素数1乃至4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン;非置換芳香族ジアミン乃至前記炭素数1乃至4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミンの異性体の種々の割合の混合物;メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等の核置換電子吸引基(Cl、Br、I、F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン;4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等の二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔非置換芳香族ジアミン、炭素数1乃至4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物、核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部又は全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕などが挙げられる。
上記のジアミンとして、これらの他、ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン(アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等のポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等のポリエーテルポリアミンなどが挙げられる。また、アミン化合物のアミノ基をケトン化合物などによりキャッピングしたものを用いてもよい。
−ビニル系ポリマーユニット−
上記のビニル系ポリマーユニットは、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーユニットである。ビニル系モノマーとしては、下記(1)乃至(10)が挙げられる。
(1)ビニル系炭化水素:
脂肪族ビニル系炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレンレン、ブテン、イソブチレン、ぺンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン。
脂環式ビニル系炭化水素:モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン等。
芳香族ビニル系炭化水素:スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;及びビニルナフタレン。
(2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩:
炭素数3乃至30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1乃至24)エステル、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー。
(3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩:
炭素数2乃至14のアルケンスルホン酸、例えはビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;及びその炭素数2乃至24のアルキル誘導体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3乃至18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2乃至30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5乃至15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル等。
(4)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキル燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1乃至24)ホスホン酸類、例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸;及びそれらの塩等。
なお、上記(2)乃至(4)の塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩又は4級アンモニウム塩が挙げられる。
(5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル等。
(6)含窒素ビニル系モノマー:
アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロ一ル、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、及びこれらの塩等。
アミド基含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等。
ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレ一ト等。
4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)。
ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等。
(7)エポキシ基含有ビニル系モノマー:
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
(8)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類:
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1乃至50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2乃至8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2乃至8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等。
ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ヒニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒトロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン等。
ビニルケトン、例えはビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン等。
ビニルスルホン類、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等。
(9)その他のビニル系モノマー:
イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等。
(10)フッ素原子元素含有ビニル系モノマー:
4−フルオロスチレン、2,3,5,6−テトラフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロベンジル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,4H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリヒドロペルフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロノルボニルメチル(メタ)アクリレート、1H−ペルフルオロイソボルニル(メタ)アクリレート2−(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、並びにα−フルオロアクリル酸から誘導された対応する化合物、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルイタコネート、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルマレエート、ビス−ペルフルオロオクチルイタコネート、ビス−ペルフルオロオクチルマレエート、ビス−トリフルオロエチルイタコネート及びビス−トリフルオロエチルマレエート、ビニルヘプタフルオロブチレート、ビニルペルフルオロヘプタノエート、ビニルペルフルオロノナノエート及びビニルペルフルオロオクタノエート等。
<主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂>
また、本実施形態において、結着樹脂としては主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂を含むことが好ましい。Solubility Parameter Values(Polymer handbook 4th Ed)によれば、ウレア結合の凝集エネルギーは50,230(J/mol)であり、ウレタン結合の凝集エネルギー26,370(J/mol)の二倍程度あるため、少量であってもトナーの強靭性や定着時のオフセット耐性向上効果が期待できる。
主鎖にウレア結合を有する樹脂を得るには、ポリイソシアネート化合物と、ポリアミン化合物を反応させる、あるいはポリイソシアネート化合物と水を反応させ、イソシアネートの加水分解によって発生したアミノ基と残りのイソシアネート基とを反応させる方法がある。また、主鎖にウレア結合を有する樹脂を得るにあたり、上記の化合物のほかに、ポリオール化合物も同時に反応させることで樹脂設計の自由度を広げることができる。
−ポリイソシアネート−
ポリイソシアネートとしては、前述のようなジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート(以下、低分子量ポリイソシアネートとも記載する)のほか、イソシアネート基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、プレポリマーとも記載する)を使用してもよい。
プレポリマーの作成方法としては、低分子量ポリイソシアネートとポリアミン化合物を、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するポリウレアプレポリマーを得る方法、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とを、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得る方法が挙げられる。これらの方法で得られるプレポリマーは単独で使用してもよいし、同じ方法で得られる2種類以上のプレポリマー、あるいは二通りの方法で得られる2種類以上のプレポリマーを併用しても構わないし、さらにはプレポリマーと低分子量ポリイソシアネートを1種類あるいは複数種併用しても構わない。
ポリイソシアネートの使用比率は、イソシアネート基[NCO]と、ポリアミンのアミノ基[NH]の当量比[NCO]/[NH]、あるいはポリオールの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1.01/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]のモル比が5を超えるとウレタン結合やウレア結合が多くなりすぎ、最終的に得られる樹脂をトナー用の結着樹脂として使用すると溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が低下する可能性がある。一方、[NCO]のモル比が1.01未満では、重合度が高くなり生成するプレポリマーの分子量が大きくなるため、トナーを製造するときに他の材料との混合が困難になる、もしくは溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が低下する可能性があるため好ましくない。
−ポリアミン−
ポリアミンとしては、前述のようなジアミン、3価以上のポリアミンなどが挙げられる。
−ポリオール−
ポリオールとしては、前述のようなジオール、3乃至8価あるいはそれ以上のポリオール(以下、低分子量ポリオールとも記載する)のほか、水酸基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、高分子量ポリオールとも記載する)を使用してもよい。高分子量ポリオールの作成方法としては、低分子量ポリイソシアネートと低分子量ポリオールを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリウレタンを得る方法、ポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリエステルを得る方法が挙げられる。
水酸基を末端に有するポリウレタンあるいはポリエステルを調整するために、低分子量ポリオールと低分子量ポリイソシアネートの比率[OH]/[NCO]、あるいは低分子量ポリオールとポリカルボン酸の比率[OH]/[COOH]は、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。水酸基のモル比が2を超えると重合反応が進まないため所望の高分子量ポリオールが得られず、1.02を下回ると重合度が高くなり得られる高分子量ポリオールの分子量が大きくなりすぎるためトナーを製造するときに他の材料との混合が困難になる、もしくは溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が低下する可能性があるため好ましくない。
−ポリカルボン酸−
ポリカルボン酸としては前述のジカルボン酸、3乃至6価あるいはそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
<結晶性樹脂の組み合わせ>
本実施形態における結着樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、結晶性樹脂(A)と、結晶性樹脂(A)よりも重量平均分子量(Mw)が大きい結晶性樹脂(B)を含むことで、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性を両立することができる。
結晶性樹脂(B)は、末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂(結着樹脂前駆体)を、活性水素基を有する化合物と反応させることで、伸長させてなるものであることが好ましい。この場合、結着樹脂前駆体と活性水素基を有する化合物の反応は、トナー製造過程で行われることがより好ましい。これにより、重量平均分子量が大きい結晶性樹脂をトナー中に均一に分散することができ、トナー粒子間の特性のバラツキを抑えることができる。
更に、結晶性樹脂(A)は、主鎖にウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂であり、且つ、第2の結晶性樹脂は、結晶性樹脂(A)を変性した結着樹脂前駆体を、活性水素基を有する化合物と反応させ、伸長させてなるものであることが好ましい。結晶性樹脂(A)と結晶性樹脂(B)の組成構造を近づけることによって、2種の結着樹脂がトナー中でより均一に分散しやすくなり、トナー粒子間の特性のバラツキを更に抑えることができる。なお、この場合、結晶性樹脂(A)と結晶性樹脂(B)が共にウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有することとなる。
結晶性樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、低温定着性と耐熱保存性の両立性の観点から10,000〜40,000が好ましく、15,000〜35,000がより好ましく、20,000〜30,000が特に好ましい。重量平均分子量が10,000より小さい場合はトナーの耐熱保存性が低下する傾向にあり、40,000より大きい場合はトナーの低温定着性が低下する傾向にあるため、好ましくない。
結晶性樹脂(B)の重量平均分子量は、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から、40,000〜300,000が好ましく、50,000〜150,000が特に好ましい。重量平均分子量が40,000より小さい場合はトナーの耐ホットオフセット性が低下する傾向にあり、300,000より大きい場合は特に低温での定着時にトナーが充分に溶融せず、画像の剥がれが生じ易くなるため、トナーの低温定着性が低下する傾向にあるため、好ましくない。
結晶性樹脂(A)と結晶性樹脂(B)の重量平均分子量の差は、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましい。この差が5,000より小さい場合は、トナーの定着幅が狭くなる傾向にあるため、好ましくない。
結晶性樹脂(A)と結晶性樹脂(B)との含有比率は、(A):(B)=95:5〜70:30の範囲であることが好ましい。この範囲よりも(A)の比率が多い場合には、トナーの耐ホットオフセット性が低下する傾向にあり、この範囲よりも(B)の比率が多い場合には、トナーの低温定着性が低下する傾向にあるため、好ましくない。
本実施形態における結晶性樹脂(B)は、活性水素基と反応可能な官能基を末端に有する結晶性樹脂前駆体(B’)を、活性水素基を有する樹脂や架橋剤あるいは伸長剤等と反応させることで、高分子量化することによっても得られる。結晶性樹脂前駆体(B’)は、上記の結晶性ポリエステル樹脂、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂、ウレア変性結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂等を、活性水素基と反応可能な官能基を有する化合物と反応させることで得られる。
活性水素基と反応可能な官能基としては特に制限はないが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基などの官能基が挙げられ、これらの中でも、反応性や安定性の観点からイソシアネート基が好ましい。イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、ジイソシアネート成分等が挙げられる。
結晶性樹脂前駆体(B’)を得るために、例えば、結晶性ポリエステル樹脂と、ジイソシアネート成分とを反応させる場合、結晶性ポリエステル樹脂としては、末端に水酸基を含有する水酸基含有結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。水酸基含有結晶性ポリエステル樹脂は、ジオール成分とジカルボン酸成分の比率が、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/1、より好ましくは1.5/1〜1/1、特に好ましくは1.3/1〜1.02/1で反応させることにより得られる。
例えば、水酸基含有結晶性ポリエステル樹脂にジイソシアネート成分を反応させて結晶性樹脂前駆体(B’)を得る場合、活性水素基と反応可能な官能基を有する化合物の使用量は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基含有結晶性ポリエステル樹脂の水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]として、好ましくは5/1〜1/1、さらに好ましくは4/1〜1.2/1、とくに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。他の骨格、末端基を有する結晶性樹脂前駆体(B’)の場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
活性水素基を有する樹脂、架橋剤、あるいは伸長剤などの化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、活性水素基と反応可能な官能基がイソシアネート基ある場合には、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等を有する樹脂や、架橋剤、伸長剤などの化合物が挙げられ、反応速度の観点から、水、及びアミン類が特に好適である。
上記のアミン類としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。また、これらのアミノ基をケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)でブロックした、ケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物、等が挙げられる。
本実施形態における結着樹脂としては、本実施形態の条件を満たしていれば、結晶性樹脂と共に非結晶性樹脂を併用してもよい。非結晶性樹脂としては、非結晶性であれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合隊、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂等、及び活性水素基と反応可能な官能基を有するように変性されたこれらの樹脂類が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態における結晶性樹脂は、結晶性部と非結晶性部をもつブロック樹脂であってもよく、結晶性部には、上記の結晶性樹脂を用いることができる。非結晶性部の形成に用いられる樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂等が挙げられるが、その限りではない。これらの非結晶性部の組成は、結晶性部と同様のものが挙げられ、使用するモノマーも、上記のジオール成分、ジカルボン酸成分、ジイソシアネート成分、およびジアミン成分が具体例として挙げられ、非結晶性樹脂となるものであれば、いかなる組合せでも構わない。
<<帯電制御剤>>
また、トナーに適切な帯電能を付与するために、必要に応じて公知の帯電制御剤をトナーに含有させることもできる。この場合、帯電制御剤として、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
帯電制御剤の含有量は、結着樹脂の種類、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるものであり、一義的に限定されるものではないが、結着樹脂に対し0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.02質量%〜2質量%がより好ましい。添加量が、5質量%を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがあり、0.01質量%未満であると、帯電立ち上り性や帯電量が十分でなく、トナー画像に影響を及ぼしやすいことがある。
<<外添剤>>
本実施形態のトナーは流動性改質や帯電量調整、電気特性の調整などの目的として各種の外添剤を添加することが出来る。外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど);金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)又はこれらの疎水化物、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、チタニア粒子、疎水化されたチタニア微粒子、が好適に挙げられる。
疎水化されたシリカ微粒子としては、例えばHDK H2000、HDK H2000/4、HDK H2050EP、HVK21、HDK H1303(いずれも、ヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。チタニア微粒子としては、例えばP−25(日本アエロジル株式会社製);STT−30、STT−65C−S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF−140(富士チタン工業株式会社製);MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。疎水化された酸化チタン微粒子としては、例えばT−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製);MT−100S、MT−100T(いずれも、テイカ株式会社製);IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
疎水化されたシリカ微粒子、疎水化されたチタニア微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子は、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。疎水化処理剤としては、例えばジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、1〜100nmが好ましく、3〜70nmがより好ましい。平均粒径が1nm未満であると、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくいことがあり、100nmを超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけてしまうことがある。外添剤としては、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。外添剤の添加量は、トナーに対し0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましい。
外添剤として樹脂微粒子も添加することができる。例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系;熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。このような樹脂微粒子を併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。樹脂微粒子の添加量は、トナーに対し0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
<<離型剤>>
本実施形態のトナーに用いられる離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
上記のカルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトンなどが挙げられる。
上記のポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
上記のポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。上記の長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
上記の離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜100℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましい。前記融点が50℃未満であると、耐熱保存性に影響を与えることがあり、100℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定することができる。この場合、離型剤5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度10℃/minで0℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時における融解熱の最大ピーク温度を融点として求めることができる。
離型剤の溶融粘度としては、100℃における測定値として、5mPa・sec〜100mPa・secが好ましく、5mPa・sec〜50mPa・secがより好ましく、5mPa・sec〜20mPa・secが特に好ましい。溶融粘度が、5mPa・sec未満の場合、離型性が低下することがあり、100mPa・secより大きい場合、耐ホットオフセット性、及び低温での離型性が低下することがある。
離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上10質量%以下がより好ましい。含有量が、1質量%未満の場合、耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、20質量%を超えると耐熱保存性、帯電性、転写性、耐ストレス性が低下することがある。
<<着色剤>>
本実施形態のトナーに用いられる着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤から目的に応じて適宜選択することができる。
着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーから選択される少なくとも1種とすることができ、各色のトナーは着色剤の種類を適宜選択することにより得ることができるが、カラートナーであるのが好ましい。
ブラック用着色顔料としては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料等が挙げられる。
マゼンタ用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、150、163、177、179、184、202、206、207、209、211、269;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35等が挙げられる。
シアン用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36等が挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、139、151、154、155、180、185;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36等が挙げられる。
トナー中における着色剤の含有量は、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力が低下することがあり、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。このような樹脂としては、特に制限はないが、本実施形態における結着樹脂との相溶性の点から、本実施形態の結着樹脂等を用いることが好ましい。
マスターバッチは、高せん断力をかけて、樹脂と着色剤を混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒と共に混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水及び有機溶媒を除去する方法である。混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置を用いることができる。
<<結着樹脂のトナーへの導入>>
結着樹脂をトナーへ導入する場合、上記の結着樹脂を、外添剤、造核剤、着色剤、離型剤、および帯電制御剤などの結着樹脂以外のトナー構成材料と混合し、公知の方法により粒子化する。結着樹脂がウレア結合を有する樹脂である場合には、ポリイソシアネート化合物と、ポリアミン化合物および水の少なくとも一方とを、トナー構成材料と混合することで、ウレア結合を形成させてもよい。特に、ポリイソシアネート化合物としてプレポリマーを使用した場合には、ウレア結合を有する高分子量の結晶性樹脂を均一にトナー中に導入できる。これにより、トナーの熱特性や帯電性が均一になり、定着性とトナーの耐ストレス性とを両立しやすくなるため好ましい。さらに、プレポリマーとして、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とをイソシアネート過剰量で反応させて得られるものを使用した場合には、粘弾性を抑えられる点で好ましい。トナーに適した熱特性を得るために、ポリオール化合物としては、ポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて得られる末端に水酸基を有するポリエステルが好ましい。さらには、ポリエステルが結晶性ポリエステルユニットからなる場合、トナー中の高分子量成分がシャープメルトとなり低温定着性に優れたトナーが得られるため好ましい。また、本実施形態のトナーが水系媒体中で造粒することにより得られるものである場合、分散媒の水がポリイソシアネート化合物と反応することで温和な条件でウレア結合を形成させることができる。
<<トナーの製造方法>>
本実施形態におけるトナーの製造方法としては、公知の任意の方法が用いられ、特に限定されるものではないが、例えば、混練粉砕法や、水系媒体中にてトナー粒子を造粒する、いわゆるケミカル工法がある。また、本実施形態のトナーは、登録第4531076号に示されるような粒子製造方法、すなわち、トナーを構成する材料を液状または超臨界状態の二酸化炭素に溶解させた後に、この液状又は超臨界状態の二酸化炭素を除去することによりトナー粒子を得る粒子製造方法、によっても製造することができる。
ケミカル工法としては、例えば、モノマーを出発原料として製造する懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法等;樹脂や樹脂前駆体を有機溶剤などに溶解して水系媒体中にて分散乃至乳化させる溶解懸濁法;溶解懸濁法において、活性水素基と反応可能な官能基を有する樹脂前駆体(反応性基含有プレポリマー)を含む油相組成物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中に乳化乃至分散させ、この水系媒体中で、活性水素基含有化合物と、反応性基含有プレポリマーとを反応させる方法(製造方法(I));樹脂や樹脂前駆体と適当な乳化剤からなる溶液に水を加えて転相させる転相乳化法;これらの工法によって得られた樹脂粒子を水系媒体中に分散させた状態で凝集させて加熱溶融等により所望サイズの粒子に造粒する凝集法などが挙げられる。これらの中でも、溶解懸濁法、製造方法(I)、凝集法で得られるトナーが、結晶性樹脂による造粒性(粒度分布制御や、粒子形状制御等)の観点から好ましく、製造方法(I)で得られるトナーがより好ましい。以下に、これらの製法についての詳細な説明をする。
混練粉砕法は、例えば、少なくとも着色剤、結着樹脂、離型剤を有するトナー材料を溶融混練したものを、粉砕し、分級することにより、前記トナーの母体粒子を製造する方法である。
溶融混練では、トナー材料を混合し、混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
粉砕では、混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離器等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナー母体粒子を製造することができる。
溶解懸濁法は、例えば、少なくとも結着樹脂乃至樹脂前駆体、着色剤、及び離型剤を含有してなるトナー組成物を有機溶媒中に溶解乃至分散させた油相組成物を、水系媒体中で分散乃至乳化させることにより、トナーの母体粒子を製造する方法である。
トナー組成物を溶解乃至分散させる場合に用いる有機溶媒としては、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。この有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエステル系又はエステルエーテル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤、これらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
溶解懸濁法では、油相組成物を水系媒体中で分散乃至乳化させる際に、必要に応じて、乳化剤や分散剤を用いても良い。乳化剤又は分散剤としては、公知の界面活性剤、水溶性ポリマー等を用いることができる。界面活性剤としては、特に制限はなく、アニオン界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸、リン酸エステル等)、カチオン界面活性剤(四級アンモニウム塩型、アミン塩型等)、両性界面活性剤(カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型等)、非イオン界面活性剤(AO付加型、多価アルコール型等)等が挙げられる。界面活性剤は、1種単独又は2種以上の界面活性剤を併用してもよい。
水溶性ポリマーとしては、セルロース系化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びそれらのケン化物など)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)含有ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物、水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)などが挙げられる。また、乳化又は分散の助剤として、上記の有機溶剤及び可塑剤等を併用することもできる。
本実施形態のトナーは、溶解懸濁法において、少なくとも結着樹脂、活性水素基と反応可能な官能基を有する結着樹脂前駆体(反応性基含有プレポリマー)、着色剤、及び離型剤を含む油相組成物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中に分散乃至乳化させ、油相組成物中及び水系媒体中の少なくとも一方に含まれる活性水素基含有化合物と、前記反応性基含有プレポリマーとを反応させる方法(製造方法(I))によりトナーの母体粒子を造粒して得ることが好ましい。
樹脂微粒子は、公知の重合方法を用いて形成することができるが、樹脂微粒子の水性分散液として得ることが好ましい。樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法としては、例えば、以下の(a)〜(h)に示す方法が挙げられる。
(a)ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法のいずれかの重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(b)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(c)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましく、加熱により液状化してもよい。)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(d)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(e)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を形成した後、樹脂微粒子を適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(f)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液に貧溶剤を添加する、又は予め溶剤に加熱溶解させた樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、溶剤を除去して樹脂微粒子を形成した後、樹脂微粒子を適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(g)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液を、適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、減圧等によって溶剤を除去して、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(h)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
樹脂微粒子の体積平均粒径は10nm以上300nm以下が好ましく、30nm以上120nm以下がより好ましい。樹脂微粒子の体積平均粒径が10nm未満である場合、及び300nmを超える場合、トナーの粒度分布が悪化することがあるため好ましくない。
油相の固形分濃度は、40〜80%程度であることが好ましい。濃度が高すぎると、溶解乃至分散が困難になり、また粘度が高くなって扱いづらく、濃度が低すぎると、トナーの製造性が低下する。
着色剤や離型剤等の結着樹脂以外のトナー組成物、及びそれらのマスターバッチ等は、それぞれ個別に有機溶剤に溶解乃至分散させた後、結着樹脂溶解液又は分散液に混合しても良い。
水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)等が挙げられる。
水系媒体中への分散乃至乳化の方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。中でも、粒子の小粒径化の観点からは、高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは20〜80℃である。
有機溶媒を、得られた乳化分散体から除去するためには、特に制限はなく、公知の方法を使用することができ、例えば、常圧または減圧下で系全体を撹拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
水系媒体に分散されたトナーの母体粒子を洗浄、乾燥する方法としては、公知の技術が用いられる。即ち、遠心分離機、フィルタープレスなどで固液分離した後、得られたトナーケーキを常温〜約40℃程度のイオン交換水に再分散させ、必要に応じて酸やアルカリでpH調整した後、再度固液分離するという工程を数回繰り返すことにより不純物や界面活性剤などを除去した後、気流乾燥機や循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機などにより乾燥することによってトナー粉末を得る。この際、遠心分離などでトナーの微粒子成分を取り除いても良いし、また、乾燥後に必要に応じて公知の分級機を用いて所望の粒径分布にすることができる。
凝集法では、例えば、少なくとも結着樹脂からなる樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液、必要に応じて離型剤粒子分散液を混合し、凝集させることによりトナー母体粒子を製造する方法である。樹脂微粒子分散液は、公知の方法、例えば乳化重合や、シード重合、転相乳化法等により得られ、着色剤粒子分散液や、離型剤粒子分散液は、公知の湿式分散法等により着色剤や、離型剤を水系媒体に分散させることで得られる。
凝集状態の制御には、熱を加える、金属塩を添加する、pHを調整するなどの方法が好ましく用いられる。金属塩としては特に制限はなく、ナトリウム、カリウム等の塩を構成する一価の金属;カルシウム、マグネシウム等の塩を構成する二価の金属;アルミニウム等の塩を構成する三価の金属などが挙げられる。塩を構成する陰イオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンが挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウムや塩化アルミニウム及びその複合体や多量体が好ましい。
また、凝集の途中や凝集完了後に加熱することで樹脂微粒子同士の融着を促進することができ、トナーの均一性の観点から好ましい。さらに、加熱によりトナーの形状を制御することができ、通常、より加熱すればトナーは球状に近くなっていく。
水系媒体に分散されたトナーの母体粒子を洗浄、乾燥する方法は、前述の方法等を用いることができる。
また、トナーの流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナー母体粒子に更に疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。
添加剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。なお、添加剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中又は漸次添加剤を加えていけばよい。この場合、混合機の回転数、転動速度、時間、温度等を変化させてもよい。又はじめに強い負荷を、次に、比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。使用できる混合設備としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。次いで、250メッシュ以上の篩を通過させて、粗大粒子、凝集粒子を除去し、トナーが得られる。
<<トナー物性>>
本実施形態のトナーは結晶性樹脂を含むため、X線回折装置によって得られるトナーの回折スペクトルは、結晶構造に由来する回折ピークを有する。また、本実施形態における非結晶性樹脂は、結晶構造を有さない樹脂のことであり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有さない。
(X線回折スペクトル強度比)
X線回折装置によって得られる本実施形態のトナーの回折スペクトルにおいて、結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした場合に、比率(C)/((C)+(A))は、定着性と耐熱保存性の両立の観点から、0.15以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、0.30以上であることが更に好ましく、0.45以上であることが特に好ましい。
比率(C)/((C)+(A))は、トナー中の結晶化部位の量(主にトナーの主成分たる結着樹脂中の結晶化部位の量)を示す指標である。本実施形態において、X線回折測定は、2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS/Bruker社製)を用いて測定することができる。測定に使用するキャピラリーは、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmを使用する。試料はこのキャピラリー管の上部まで詰めて測定する。また、サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回とする。測定の詳細条件を以下に示す。
管電流 : 40mA
管電圧 : 40kV
ゴニオメーター2θ軸 : 20.0000°
ゴニオメーターΩ軸 : 0.0000°
ゴニオメーターφ軸 : 0.0000°
検出器距離 : 15cm(広角測定)
測定範囲 : 3.2≦2θ(゜)≦37.2
測定時間 : 600sec
入射光学系には、φ1mmのピンホールを持つコリメーターを用いる。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換する。得られたX線回折測定結果を基に、前記比率(C)/((C)+(A))を算出する方法を、以下に説明する。
X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を図1及び図2に示す。図1及び図2は、X線回折によって得られる回折スペクトルの一例を示す図である。図1及び図2に示された横軸は2θ、縦軸はX線回折強度であり、両方とも線形軸である。図1におけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が見られる。ここで、主要なピーク(P1、P2)は、結晶構造に由来するものであり、ハロー(h)は非晶構造に由来するものである。
この2の主要なピーク(P1、P2)とハロー(h)をガウス関数、
p1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1/(2cp1 )}
p2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2/(2cp2 )}
(2θ)=aexp{−(2θ−b/(2c )}
(fp1(2θ)、fp2(2θ)、f(2θ)はそれぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数)
で表し、この3つの関数の和
f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+f(2θ)
をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図2に図示する)とし、最小二乗法によるフィッティングを行う。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、a、b、cの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図1の例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して2つの主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致させて得られた値を設定した。フィッティングは例えばMicrosoft社製Excel2003のソルバーを利用して行うことができる。
フィッティング後の2つの主要なピーク(P1、P2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)、及びハローに相当するガウス関数f(2θ)のそれぞれについての積分面積(SP1、Sp2、S)から、(Sp1+Sp2)を(C)、Shを(A)としたとき、結晶化部位の量を示す指標である比率(C)/((C)+(A))を算出することができる。
(軟化温度及び融解熱の最大ピーク温度の比)
本実施形態において、結晶性樹脂は、高化式フローテスターにより測定される軟化温度と、示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が0.8〜1.6、好ましくは0.80〜1.55、より好ましくは0.8〜1.5、より好ましくは0.8〜1.4、より好ましくは0.85〜1.25、更に好ましくは0.90〜1.20、特に好ましくは0.90〜1.19である。なお、この値が1.00に近い程、樹脂が急峻に軟化する性状を持ち、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から優れている。非結晶性樹脂は、軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が、例えば、1.6より大きく、熱により緩やかに軟化する。
樹脂の軟化温度は、高化式フローテスター(例えば、CFT−500D(島津製作所製))を用いて測定できる。試料として1gの樹脂を昇温速度3℃/分間で加熱しながら、プランジャーにより2.94MPaの荷重を与え、直径0.5mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化温度とする。
上記の融解熱の最大ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定できる。融解熱の最大ピーク温度の測定に供する試料は、前処理として、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分間の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分間の速度で降温する。ここで、一度DSCにより、昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される20℃〜100℃にある吸熱ピーク温度を「Ta*」とする。吸熱ピークが複数ある場合は、最も吸熱量が大きいピークの温度をTa*とする。その後、試料を(Ta*−10)℃で6時間保管した後、更に(Ta*−15)℃で6時間保管する。次いで、上記試料を、DSCにより、降温速度10℃/分間で0℃まで冷却した後、昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、同様のグラフを描き、吸熱量の最大ピークに対応する温度を、融解熱の最大ピーク温度とした。
(融解熱ピーク温度)
本実施形態のトナーは、低温定着性と耐熱保存性とを両立し、耐ホットオフセット性に優れるものとするために、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が、45℃以上70℃以下が好ましく、50℃以上70℃以下がより好ましく、53℃以上68℃以下がより好ましく、55℃以上65℃以下がより好ましく、58℃以上65℃以下が更に好ましく、60℃以上62℃以下が特に好ましい。トナーの融解熱の最大ピーク温度が50℃未満であると、高温環境下でトナーのブロッキングが発生しやすくなり、70℃を超えると、低温定着性が発現し難くなる。
本実施形態のトナーは、低温定着性と耐熱保存性とを両立し、耐ホットオフセット性に優れるものとするために、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温2回目の融解熱量が、30J/g以上75J/g以下であることが好ましい。また、融解熱量は、45J/g以上70J/g以下がより好ましく、50J/g以上60J/g以下が特に好ましい。トナーの融解熱量は、30J/g未満であると、トナー中における結晶構造を有する部位が少なくなり、シャープメルト性が低下し、耐熱保存性と低温定着性のバランスが得難くなり、75J/gを超えると、トナーを溶融させて定着するために必要なエネルギーが大きくなり、装置によっては定着性が悪化してしまうことがある。
トナーの融解熱の最大ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定できる。この場合、測定用の試料を、20℃から150℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、次いで降温速度10℃/minで0℃まで冷却した後、再び昇温速度10℃/minで昇温して吸発熱変化を測定する。そして、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、昇温2回目の吸熱量の最大ピークに対応する温度と吸熱量を求める。
(融解熱ピークのショルダー温度)
本実施形態において、トナーの示差走査熱量計(DSC)による昇温1回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh1stと、昇温2回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh2ndの比Tsh2nd/Tsh1stの値が、0.90以上1.10以下であることが好ましい。
トナーの融解熱ピークのショルダー温度(Tsh1st、Tsh2nd)は、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定できる。この場合、まず、トナー5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度10℃/minで0℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線において、1回目の昇温時における吸熱ピーク温度をTm1st、2回目の昇温時における吸熱ピーク温度をTm2ndとする。このとき、吸熱ピークが複数ある場合は吸熱量が最大のものを選択する。それぞれの吸熱ピークについて、吸熱ピークよりも低温側のベースラインと、吸熱ピークをなす低温側の傾斜の接線との交点を、それぞれTsh1st、Tsh2ndとする。
(最大吸熱・発熱ピーク温度の差)
また、本実施形態のトナーは、画像搬送傷の発生を抑制するために、以下条件で測定される最大吸熱・発熱ピーク温度を(T1,T2)(℃)とした時、下記条件(1)を満たすことが好ましい。
T1−T2≦30℃ かつT2≧30℃ (1)
トナーの最大吸熱ピークは、DSCシステムQ−200(TAインスツルメント社製)を用いて測定される。具体的には、まず、測定用の試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次に、窒素雰囲気下、0℃から10℃/minで100℃まで昇温させた後、100℃から10℃/minで0℃まで降温させる。更に0℃から10℃/minで100℃まで昇温させる。DSCシステムQ−200(TAインスツルメント社製)中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、トナーの最大吸熱ピーク温度T1を測定する。また、同様にして降温時におけるトナーの最大発熱ピーク温度T2を測定する。
本実施形態のトナーの最大吸熱ピーク温度T1としては、50℃以上70℃以下が好ましく、53℃以上65℃以下がより好ましく、58℃以上62℃以下が特に好ましい。最大吸熱ピーク温度T1が、50℃以上70℃以下であると、トナーに要求される耐熱保存性を確保することができ、且つ、従来にはない優れた低温定着性が得られる。最大吸熱ピーク温度T1が、50℃より低い場合は、低温定着性は良くなるが耐熱保存性が悪化し、70℃より高い場合は逆に耐熱保存性は良くなるが低温定着性が悪化する。
最大発熱ピーク温度T2としては30℃以上55℃以下が好ましく、35℃以上55℃以下がより好ましく、40以上55℃以下が特に好ましい。最大発熱ピーク温度T2が30℃未満であると定着画像が冷却されて、固化する速度が遅く、トナー画像(印刷物)のブロッキングや搬送傷が生じることがある。また、最大発熱ピーク温度T2は可能な限り高い温度であることが望ましいが、T2は結晶化温度であることから、融点であるT1より高い温度を取り得ることは不可能である。即ち優れた耐熱保存性、低温定着性を維持しつつ、トナー画像のブロッキングや搬送傷を抑制する為にはT1とT2の差(T1−T2)がある程度狭い範囲であることが望ましい。T1−T2は30℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましく、20℃以下が特に好ましい。T1−T2が30℃より大きい場合には、定着温度とトナー画像の固化される温度の差が大きくトナー画像のブロッキングや搬送傷を抑制する効果が得られない場合がある。
(分子量)
本実施形態のトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量100,000以上の成分としては5%以上有することが好ましく、7%以上有することがさらに好ましく、9%以上有することがより好ましい。分子量100,000以上の成分が5%以上有することで、トナーの溶融後の流動性や粘弾性の温度依存性が小さくなるため、定着時において熱が伝わりやすい薄紙であっても、熱がトナーに伝わりにくい厚紙であってもトナーの流動性や弾性率に大きく違いが生じにくく、定着装置において一定温度かつ一定速度で定着することが可能となる。分子量100,000以上の成分が5%未満であると、トナー溶融後の流動性や粘弾性が温度によって大きく変わるため、例えば薄紙における定着ではトナーの変形性が大きくなりすぎてしまい定着部材への接着面積が増大し、その結果定着部材からの離型がうまくできずに紙の巻きつきが発生することがある。さらに、本実施形態のトナーは、分子量250,000以上の成分を0.5%以上有することにより、低温定着性と耐熱保存性の両立が可能であり、しかも薄紙と厚紙での光沢度の差を縮めることができるため好ましい。
高分子量の成分を所定量含有させたときの作用について説明する。結晶性樹脂は前述のとおりシャープメルト性を有しているが、溶融状態におけるトナーの内部凝集力や粘弾性は、樹脂の分子量や構造によって大きく異なる。例えば、凝集エネルギーの大きな連結基であるウレタン結合やウレア結合を有する場合、溶融時においても比較的低温であればゴムのような弾性体に近い挙動を示す一方、高温になるのに従い高分子鎖の熱運動エネルギーが増大していくため、徐々に結合間の凝集が解れて粘性体に近づいていく。
このような樹脂をトナー用結着樹脂として用いると、定着温度が低いときには問題なく定着ができたとしても、定着温度が高温であるときにはトナー溶融時の内部凝集力が小さいために定着時にトナー画像の上側が定着部材に付着してしまう、いわゆるホットオフセット現象が発生することがあり、画像品位が損なわれる。ホットオフセットを回避するためにウレタン結合やウレア結合部位を多くすると、高温での定着においては問題なく行うことができる反面、低温で定着を行う場合には画像光沢が低く、紙への溶融含浸が不十分となり画像が紙から離脱しやすい状態となる。特に厚みがあり表面の凹凸が多い紙への定着を行う場合には、定着時のトナーへの熱の伝達効率が低いためにトナーが定着しにくくなり、凹部においては定着部材でトナーに圧力が十分にかからないため特に弾性的な状態にあるトナーは定着しにくくなる。
溶融後の粘弾性を制御する手段として分子量を考えた場合、当然ながら分子量が大きいほど分子鎖の移動に障害が多くなるため粘弾性が大きくなる。さらに、分子量が大きい場合には絡まりが発生するために弾性的な挙動を示すようになる。紙への定着性に着目して考えると、分子量が小さいほうが溶融時の粘度が低いため好ましい反面、ある程度の弾性がなければホットオフセットが発生してしまう。しかしながら、分子量を全体的に上げてしまうと、特に厚紙においては定着時のトナーへの熱の伝達効率が低いためにトナーが定着しにくくなる。そこで、結着樹脂の分子量全体としてはあまり大きくせず、高分子量の結晶性成分を含むようにすることにより、溶融後の粘弾性を好適に制御でき、薄紙や厚紙といった紙種によらず一定温度かつ一定速度で定着可能なトナーを得ることができる。
本実施形態のトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の重量平均分子量は20,000以上70,000以下であることが好ましく、より好ましくは、30,000以上60,000以下、特に好ましくは35,000以上50,000以下である。重量平均分子量が70,000を超えるような場合、結着樹脂全体の分子量が高くなるのでトナーが定着しにくくなり、光沢が低したり、定着後の画像が外的ストレスで欠落しやすくなったりするため好ましくない。また、20,000未満の場合にはいくら高分子量成分が多く存在していたとしてもトナー溶融時の内部凝集力が低くなりすぎ、ホットオフセットや定着部材への紙の巻きつきを引き起こすため好ましくない。
所定の分子量分布を有するような結着樹脂を有するトナーを得る方法としては、分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する方法や、重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する方法がある。分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する場合、少なくとも相対的に高分子量の樹脂と低分子量の樹脂の2種類を使用する。高分子量の樹脂としては、あらかじめ分子量の大きな樹脂を使用してもよいし、末端にイソシアネート基を有する変性樹脂をトナーの製造過程で伸長させて高分子量体を形成させても良い。後者のほうが、高分子量体をトナー中に均一に存在させることができ、結着樹脂を有機溶媒中に溶解させる工程があるような製造方法においては、はじめから高分子量である樹脂よりも溶解させることが容易であるため好ましい。
高分子量の樹脂(イソシアネート基を有する変性樹脂も含む)と低分子量の樹脂の2種類で結着樹脂が構成される場合の比率としては、高分子量の樹脂/低分子量の樹脂の比が5/95〜60/40、好ましくは8/92〜50/50、より好ましくは12/88〜35/65、さらに好ましくは15/85〜25/75である。5/95よりも高分子量体が少ない場合、あるいは60/40よりも高分子量体が多い場合には、上記の分子量分布を有する結着樹脂を有するトナーを得るのが困難となる。
重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する場合、このような樹脂を得る方法としては、例えば、縮重合や重付加、付加縮合のような重合形態であれば、2官能のモノマーのほかに官能基数の異なるモノマーを少量添加することにより分子量分布を広げることができる。官能基数の異なるモノマーとしては、3官能以上のモノマー、単官能のモノマーがあるが、3官能以上のモノマーを使用すると分岐構造が生成するため、結晶性を有する樹脂を使用する場合には結晶構造を形成しにくくなる場合がある。単官能のモノマーを使用すれば、単官能のモノマーにより重合反応が停止することで2種類以上の樹脂を用いる場合における低分子量の樹脂を精製させつつ、一部は重合反応が進行し高分子量成分となる。
本実施形態において、結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、定着性の観点から、2,000〜100,000が好ましく、5,000〜60,000がより好ましく、8,000〜30,000が特に好ましい。重量平均分子量が、2,000より小さい場合は耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、100,000より大きい場合は低温定着性が悪化する傾向にある。
本実施形態においては、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量分布や重量平均分子量は、ゲル拡散クロマトグラフィー(GPC)測定装置(例えば、HLC−8220GPC(東ソー社製))を用いて測定できる。カラムとしては、TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー社製)を使用する。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いる。THF試料溶液を測定装置に100μl注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35ml/分間で測定する。
分子量は単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線を用いて算出する。標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDシリーズおよびトルエンを用いる。以下の3種類の単分散ポリスチレン標準試料のTHF溶液を作成し上記の条件で測定を行い、ピークトップの保持時間を単分散ポリスチレン標準試料の光散乱分子量として検量線を作成する。ポリスチレン標準試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いることができる。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いることができる。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
分子量100,000以上の成分の割合、および分子量250,000以上の成分の割合は、積分分子量分布曲線において、分子量100,000、および分子量250,000と曲線の交点から調べることができる。
(不溶分の吸熱量)
本実施形態において、結着樹脂の高分子量の成分は、結着樹脂の他の成分と樹脂構造が近いことが好ましく、結晶性を有することが好ましい。高分子量成分が他の成分と構造が大きく異なる場合、高分子体は容易に相分離し海島状態となるためトナー全体への粘弾性や凝集力の向上への寄与が期待できなくなる。高分子量の成分と他の成分との結晶性構造の含有量の比率は、トナーのテトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は重量比で50:50)に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)測定における吸熱量(ΔH(H))と、トナーのDSC測定における吸熱量(ΔH(T))との比率(ΔH(H)/ΔH(T))により求められる。本実施形態では、比率(ΔH(H)/ΔH(T))が、0.2以上1.25以下の範囲にあることが好ましく、0.3以上1.0以下の範囲にあることがより好ましく、0.4以上0.8以下の範囲にあることが特に好ましい。テトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は重量比で50:50)に対する不溶分を得る具体的な試験方法としては、常温(20℃)の上記混合溶媒40gに対してトナー0.4gを添加し20分振とう混合をした後、遠心分離機により不溶成分を沈降させて上澄み液を除去したものを真空乾燥させることにより得ることができる。
なお、本実施形態において、トナーのTHF/酢酸エチルの混合溶媒(重量比で50/50)に対する不溶分が10%以上であることが低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から好ましい。
(THF可溶分のN元素の量)
本実施形態のトナーのTHF可溶分の元素(CHN)分析を行った場合に、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方に由来するN元素の量は、0.3質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上1.8質量%以下であることがより好ましく、0.7質量%以上1.6質量%以下であることが更に好ましい。N元素の量が2.0質量%を超えると、トナーの溶融状態での粘弾性が高くなりすぎて、定着性、光沢、あるいは、帯電性が低下する可能性がある。N元素の量が0.3質量%未満であるとトナーの強靭性の低下するため、画像形成装置内でトナーが凝集して部材を汚染させたり、溶融状態の粘弾性の低下により高温オフセットを生じさせたりする可能性がある。
このN元素の量は、vario MICRO cube(Elementar社製)を使用し、燃焼炉950℃、還元炉550℃、ヘリウム流量200ml/min、酸素流量25〜30ml/minの条件でCHN同時測定を行い、2回測定した値の平均値として求めることができる。なお、本測定方法でN元素の量が0.5質量%未満であった場合は、さらに微量窒素分析装置ND−100型(三菱化学株式会社製)により測定を行う。この場合、電気炉温度は(横型反応炉)熱分解部分800℃、触媒部分900℃であり、測定条件は、メインO流量300ml/min、O流量300ml/min、Ar流量400ml/min、感度Lowとし、ピリジン標準液で作成した検量線をともに定量を行う。なお、トナー中におけるTHF可溶分は、予めトナー5gをソックスレー抽出器に入れ、これを用いて70mLのTHF(テトラヒドロフラン)で20時間抽出を行ったものからTHFを加熱減圧除去することにより得られる。
(トナー中のウレア結合)
本実施形態において、トナー中のウレア結合の存在は、トナーのTHF可溶分の13C−NMRによって行うことができる。具体的には以下のようにして分析を行う。分析するサンプル2gを、濃度が0.1mol/Lである水酸化カリウムのメタノール溶液200mlに浸し50℃で24hrおいた後、溶液を除去し、残渣物をさらにイオン交換水でpHが中性になるまで洗浄し、残った固体を乾燥する。乾燥後のサンプルを、ジメチルアセトアミド(DMAc)と重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)の混合溶媒(体積比9:1)に、100mg/0.5mlの濃度で加え、70℃で12〜24時間溶解させた後50℃にし、13C−NMR測定を行う。なお、測定周波数は、例えば、125.77MHz、1H_60°パルスは5.5μs、基準物質はテトラメチルシラン(TMS)を0.0ppmとすることができる。
トナー中のウレア結合の存在は、標品となるポリウレアのウレア結合部位のカルボニル炭素に由来するシグナルの化学シフトにシグナルが見られるかどうかで確認を行う。カルボニル炭素の化学シフトは、図3に示したように、一般に150〜160ppmに見られる。なお、図3は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と水との反応物であるポリウレアの、カルボニル炭素付近の13C−NMRスペクトルの一例を示す図である。この例では、153.27ppmにカルボニル炭素に由来するシグナルが見られる。
(動的粘弾性)
本実施形態のトナーの70℃における貯蔵弾性率G’(70)は、5.0×10Paより大きく、5.0×10Paより小さいことが好ましい。また、160℃における貯蔵弾性率G’(160)は、1.0×10Paより大きく、1.0×10Paより小さいことが好ましい。G’(70)の値が5.0×10Pa以下である場合、定着直後の画像強度が低下し、画像表面に傷が付くことがある。G’(70)の値が5.0×10Pa以上である場合、低温での定着時にトナーの溶融が不十分となり、低温定着性が低下することがある。一方、G’(160)の値が1.0×10Pa以下である場合、トナーの耐ホットオフセット性が低下することがある。G’(160)の値が1.0×10Pa以上である場合、画像光沢が低下することがある。
本実施形態のトナーの80℃における貯蔵弾性率G’(80)(Pa)は、1.0×10以上5.0×10以下であることが好ましく、且つ、140℃における貯蔵弾性率G’(140)(Pa)は1.0×10以上5.0×10以下であることが好ましい。また、貯蔵弾性率G’(80)は、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下がより好ましく、5.0×10Pa以上1.0×10Pa以下が特に好ましい。また、貯蔵弾性率G’(140)は、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下がより好ましく、5.0×10Pa以上1.0×10Pa以下が特に好ましい。
貯蔵弾性率G’(80)(Pa)が1.0×10Pa未満であると、定着画像の連続出力後に、定着画像同士が貼り付くブロッキング現象が発生しやすくなり、5.0×10Paを超えると、低温領域でのトナーの溶融性が低下し、定着画像の光沢が低くなる傾向にある。貯蔵弾性率G’(140)(Pa)が1.0×10Pa未満であると、耐ホットオフセット性が悪化する傾向があり、5.0×10Paを超えると、定着画像の光沢が低くなる傾向にある。
トナーの動的粘弾特性値(貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”)は、動的粘弾性測定装置(例えば、ARES(TAインスツルメント社製))を用いて、周波数1Hz条件下で測定される。この場合、試料を、直径8mm、厚み1mm〜2mmのペレットに成型し、直径8mmのパラレルプレートに固定した後、40℃で安定させ、周波数1Hz(6.28rad/s)、歪み量0.1%(歪み量制御モード)にて200℃まで昇温速度2.0℃/分間で昇温させて測定する。
(円形度)
本実施形態において、トナーの平均円形度とは、トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である。本実施形態において、トナーの平均円形度は、特に限定されないが、例えば、0.950以上0.980以下が好ましく、0.960以上0.975以下がより好ましい。なお、平均円形度が0.95未満の粒子が15%以下であるものが好ましい。
平均円形度が、0.950未満であると、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがあり、0.980を超えると、ブレードクリーニング等を採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルト等のクリーニング不良が発生し、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがあり、あるいは、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。
平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−2100」、シスメックス社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA−2100Data Processing Program for FPIAversion00−10)を用いて解析を行う。具体的には、ガラス製100mlビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩、ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.1〜0.5ml添加し、各トナー0.1〜0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mLを添加する。得られた分散液を超音波分散器(本多電子株式会社製)で3分間分散処理する。この分散液を、FPIA−2100を用いて、濃度を5,000〜15,000個/μLが得られるまでトナーの形状及び分布を測定する。本測定法では、平均円形度の測定再現性の点から分散液濃度が5,000〜15,000個/μLにすることが好ましい。分散液濃度を得るために、分散液の条件、即ち、添加する界面活性剤量、トナー量を変更する必要がある。界面活性剤量は前述したトナー粒径の測定と同様にトナーの疎水性により必要量が異なり、多く添加すると泡によるノイズが発生し、少ないとトナーを十分に濡らすことができないため、分散が不十分となる。またトナー添加量は粒径により異なり、小粒径の場合は少なく、また大粒径の場合は多くする必要があり、トナー粒径が3μm〜10μmの場合、トナー量を0.1g〜0.5g添加することにより分散液濃度を5,000個/μl〜15,000個/μlに合わせることが可能となる。
(体積平均粒径)
本実施形態のトナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、3μm〜10μmが好ましく、4μm〜7μmがより好ましい。体積平均粒径が、3μm未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、10μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなることがある。本実施形態のトナーにおける体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)としては、1.00〜1.25が好ましく、1.00〜1.15がより好ましい。
本実施形態において、体積平均粒径、及び体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。この場合、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(BeckmanCoulterMutlisizer 3 Version3.51)にて解析する。具体的には、ガラス製100mlビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩、ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II、本多電子株式会社製)で10分間分散処理する。この分散液をマルチサイザーIIIを用い、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター社製)を用いて測定する。この場合、粒径の測定再現性の点から、装置が示す濃度が8±2%になるようにトナーサンプル分散液を滴下して測定する。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
<<画像形成装置の構成>>
以下、図面を用いて、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について説明する。まず、図4を用いて、画像形成装置の全体構成を説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。画像形成装置1は、記録媒体上のトナー像を加熱および加圧して、このトナー像を記録媒体に定着させる定着手段を備えた画像形成装置であって、定着手段は、定着部材と、この定着部材に対向してニップを形成する加圧部材と、を備え、ニップの面圧が3.0kgf/cm以下である。トナー像を形成するトナーは、本実施形態のトナーであって、結着樹脂として結晶性樹脂を含有し、この結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する。なお、本実施形態では、記録媒体が用紙である例を用いて説明するが、これに限定されない。また、本実施形態では、画像形成装置1がプリンターである例を示すが、複写機、ファクシミリ、複合機等、トナーを使って画像を形成するものであれば、特に限定されない。
図4に示されているように、画像形成装置1は、給紙部210と、搬送部220と、作像部230と、転写部240と、定着装置250とを備えている。
給紙部210は、図4に示されるように、給紙される用紙が積載された給紙カセット211と、給紙カセット211に積載された用紙を一枚ずつ給紙する給紙ローラ212とを備えている。
搬送部220は、給紙ローラ212によって給紙された用紙を転写部240の方向へ搬送するローラ221と、ローラ221によって搬送された用紙の先端部を挟み込んで待機し、用紙を所定のタイミングで転写部240に送り出す一対のタイミングローラ222と、定着装置250でトナーを定着させた用紙を排紙トレイ224に排紙する排紙ローラ223とを備えている。
作像部230は、所定の間隔をおいて、図4の左方から右方に向かって順に、イエローのトナー(トナーY)を有した現像剤を用いて画像を形成する画像形成ユニットYと、シアンのトナー(トナーC)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットCと、マゼンタのトナー(トナーM)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットMと、ブラックのトナー(トナーK)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットKと、露光器233とを備えている。なお、本実施形態では、画像形成ユニット(Y,C,M,K)のうち任意の画像形成ユニットを示す場合には「画像形成ユニット」を用いる。また、現像剤は、本実施形態のトナーとキャリアとを有する。
図4において4つの画像形成ユニットは、それぞれに用いられる現像剤が異なるのみで、機械的な構成は実質的に同様である。それぞれの画像形成ユニットは、図4において時計回りに回転可能に設けられ、静電潜像及びトナー像を担持する感光体の一例としての感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)と、感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面を一様に帯電させる各帯電器(232Y,232C,232M,232K)と、各色のトナー(Y,C,M,K)を供給する各トナーカートリッジ(234Y,234C,234M,234K)と、露光器233で感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面に形成された静電潜像をトナーカートリッジ(234Y,234C,234M,234K)から供給されたトナーを補給するためのサブホッパ(160Y,160C,160M,160K)と、サブホッパ(160Y,160C,160M,160K)によって補給された本実施形態のトナーを用いてトナー像に現像する現像ユニットの一例としての各現像装置(180Y,180C,180M,180K)と、各感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面に残った転写残トナーを除去する各清掃器(236Y,236C,236M,236K)とを備えている。
なお、本実施形態では、感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)のうち任意の感光体ドラムを示す場合には「感光体ドラム231」を用いる。帯電器(232Y,232C,232M,232K)のうち任意の帯電器を示す場合には「帯電器232」を用いる。トナーカートリッジ(234Y,234C,234M,234K)のうち任意のトナーカートリッジを示す場合には「トナーカートリッジ234」を用いる。また、サブホッパ(160Y,160C,160M,160K)のうち任意のサブホッパを示す場合には「サブホッパ160」を用いる。また、現像装置(180Y,180C,180M,180K)のうち任意の現像装置を示す場合には「現像装置180」を用いる。また、清掃器(236Y,236C,236M,236K)のうち任意の清掃器を示す場合には「清掃器236」を用いる。
帯電器232は、それぞれ図4中の時計回りに回転する感光体ドラム231の表面を一様に帯電する(帯電工程)。露光器233は、画像情報に基づいて光源233aから発せられたレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー233によって反射させて感光体ドラム231に照射する装置である。これにより感光体ドラム231には、画像情報に基づいた静電潜像が形成される(露光工程)。現像装置180は、現像装置と感光体間に発生する電界により、トナーを感光体ドラム231表面の静電潜像に吸着させてトナー像を現像する(現像工程)。
清掃器236は、感光体ドラム231に残存した未転写トナーを機械的に掻き取って回収する(クリーニング工程)。その後、感光体ドラム231の表面は、除電されて、残存電位が除去されることにより、感光体ドラム231上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
転写部240は、駆動ローラ241及び従動ローラ242と、駆動ローラ241の駆動に伴い図4において反時計回りに回転可能な転写媒体としての中間転写ベルト243と、中間転写ベルト243を挟んで、感光体ドラム231に対向して設けられた一次転写ローラ(244Y,244C,244M,244K)と、トナー像の用紙への転写位置において中間転写ベルト243を挟んで対向して設けられた二次対向ローラ245および二次転写ローラ246とを備えている。なお、一次転写ローラ(244Y,244C,244M,244K)のうち任意の一次転写ローラを示す場合には「一次転写ローラ244」を用いる。
一次転写ローラ244には、トナーの極性とは逆極性の一次転写バイアスがかけられる。一方、中間転写ベルト243には、一次転写ローラ244および感光体ドラム231に挟み込まれて一次転写ニップが形成される。これにより、感光体ドラム231の表面に形成された各トナー像が中間転写ベルト243上に転写(一次転写)される(一次転写工程)。この場合、中間転写ベルト243が図4中の矢印方向に回転することにより、感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト243上に順次重ねて1次転写されてカラー画像が形成されることになる。
転写部240の二次転写ローラ246には、二次転写バイアスがかけられる。これにより、二次転写ニップ位置で、二次転写ローラ246と二次対向ローラ245とに挟み込まれた搬送中の用紙に、中間転写ベルト243上のトナー像が転写(二次転写)される(像形成工程)。すなわち、像形成工程では、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂を結着樹脂として含有する本実施形態のトナーを用いて、記録媒体上にトナー像を形成する
定着装置250は、ヒータが内部に設けられ、用紙をトナーの定着下限温度よりも高い温度に加熱する定着部材の一例としての加熱ローラ251と、加熱ローラ251に回転可能に押し当てて加圧することにより接触面(ニップ部)を形成する加圧部材の一例としての加圧ローラ252とを備えている。なお、本実施形態において、定着下限温度とは、トナーが定着する下限の温度を意味する。これにより、用紙上のトナー像に熱と圧力が加えられて、トナー像が定着する(定着工程)。本実施形態において、ニップの面圧は、3.0kgf/cm以下、好ましくは2.0kgf/cm以下、より好ましくは0.6kgf/cm以上1.5kgf/cm以下である。このような定着装置250のとしては、特に限定はされないが、無端ベルトを用いて定着する定着装置が好適に用いられる。トナー像が定着した用紙は、排紙ローラ223によって排紙トレイ224に排紙され、一連の画像形成プロセスが完了する。
<定着装置>
続いて図5乃至図8を用いて定着装置の一例について説明する。図5乃至図7は、本発明の一実施形態に係る定着装置を示す説明図である。図8は、遮光部材の一例を示す説明図である。図5の定着装置250−1は、加圧回転体としての加圧ローラ250rと定着ベルト250jと定着ベルト250jの内面に近接させたパイプ状金属体250kを有している。定着装置250−1における熱源250lとしてのハロゲンヒータは、パイプ状金属体250kを加熱する。定着装置250−1は、パイプ状金属体250kに保持されたニップ形成部材250mを備え、定着ベルト250j内面と直接、もしくは、摺動シートを介して間接的に接するように構成されている。
図5ではニップ部の形状が凹形状であるが、平坦形状やその他の形状であってもよい。ただし、ニップの形状が凹形状の方が、用紙の排出方向が加圧ローラ250r側になり、分離性が向上するのでジャムの発生が抑制される。
加圧ローラ250rは、中空の金属ローラおよびシリコーンゴム層を有し、離型性を得るために表面に離型層(PFAまたはPTFE層)が設けられている。加圧ローラ加圧ローラ250rは画像形成装置1に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。また、加圧ローラ250rはスプリングなどにより定着ベルト250j側に押し付けられており、シリコーンゴム層が押しつぶされて変形することにより、ニップが形成される。加圧ローラ250rは中実のローラであっても良いが、中空のほうが熱容量は少なくて良い。また、加圧ローラ250rにハロゲンヒータなどの加熱源を有していても良い。シリコーンゴム層はソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ250r内部にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト250jの熱が奪われにくくなるので、より望ましい。
定着ベルト250jは、ニッケルやSUSなどの金属ベルトやポリイミドなどの樹脂材料を用いた無端ベルト(もしくはフィルム)とする。定着ベルト250jの表層は離型層(PFA層またはPTFE層)を有し、トナーが付着しないように離型性をもたせている。定着ベルト250jの基材と離型層の間にはシリコーンゴムの層などで形成される弾性層が設けられていてもよい。シリコーンゴム層がない場合は熱容量が小さくなり、定着性が向上するが、未定着画像を押しつぶして定着するときに定着ベルト250j表面の微妙な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部にゆず肌状の跡が残るという不具合が生じる。なお、本実施形態において、「ゆず肌」とは、トナー像に対する加圧が不十分な時にトナー像をしっかりと潰すことができずに凹凸が残ってしまい、凹凸が光沢ムラとして感じられるものを意味する。これを改善するにはシリコーンゴム層を100μm以上設ける必要がある。シリコーンゴム層の変形によりにより、微妙な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
中空のパイプ状金属体250kとしては、アルミ、又は鉄、ステンレスなどの金属が用いられる。図5のパイプ状金属体250kは円形であるが、角型であっても、その他の断面形状であってもよい。パイプ状金属体250kの内部にはニップ部を支持するための支持体250gが設けられている。ハロゲンヒータなどの輻射熱などにより支持体250gが加熱されてしまう場合は、支持体250g表面に断熱もしくは鏡面処理を行い、加熱されることを防止することで、無駄なエネルギー消費を抑制することが出来る。パイプ状金属体250kを昇温させる熱源250lは、ハロゲンヒータでもよいが、IHであってもよいし、また、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であってもよい。
定着ベルト250jは加圧ローラ250rにより連れ回り回転する。図5の場合は加圧ローラ250rが駆動源により回転し、ニップ部で定着ベルト250jに駆動力が伝達されることにより定着ベルト250jが回転する。定着ベルト250jはニップ部で挟み込まれて回転するが、ニップ部以外では、一定の距離以上に定着ベルト250jの位置がパイプ状金属体250kから離れてしまわないようガイドされている。定着ベルト250jとパイプ状金属体250kの界面はシリコーンオイルやフッ素グリス等の潤滑剤を有していても良い。これによりパイプ状金属体250kが熱を拡散し、定着ベルト250j全体に均質な熱を与えるので、安価で、ウォームアップが早く、定着ベルト250j全体の温度を安定させることができる。
図6の定着装置250−2は、加圧回転体としての加圧ローラ250−2−3と定着ベルト250−2−1を有し、熱源250−2−2としてのハロゲンヒータにより定着ベルト250−2−1を内周側から輻射熱により直接加熱する。定着ベルト250−2−1を介して加圧ローラ250−2−3と対向する部分には、ニップを形成するニップ形成部材250−2−6が設けられており、定着ベルト250−2−1内面と直接、もしくは、摺動シート等を介して間接的に、接するようになっている。図6においてニップ部の形状は、平坦状であるが、凹形状やその他の形状であっても良い。ただし、ニップの形状は凹形状の方が、用紙の排出方向が加圧ローラ250−2−3寄りになり、分離性が向上するのでジャムの発生が抑制される。
定着ベルト250−2−1としては、定着ベルト250jと同様のものが用いられる。定着ベルト250−2−1の内部にはニップ部を支持するための支持部材250−2−7(ステー)が設けられ、加圧ローラ250−2−3により圧力を受けるニップ形成部材250−2−6の撓みを防止し、軸方向で均一なニップ幅を得られるようにしている。この支持部材250−2−7は両端部で保持部材250−2−8(フランジ)に保持固定され位置決めされている。
また、熱源250−2−2と支持部材250−2−7の間に反射部材250−2−9が設けられ、熱源250−2−2からの輻射熱などにより支持部材250−2−7が加熱されてしまうことによる無駄なエネルギーの消費を抑制している。ここで反射部材250−2−9を備える代わりに支持部材250−2−7表面に断熱もしくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることか可能となる。熱源250−2−2は、ハロゲンヒータであっても良いが、IHであっても良いし、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であっても良い。加圧ローラ250−2−3としては、加圧ローラ250rと同様のものが用いられる。
図7の定着装置250−3は、パイプ状金属体250kに変えて、遮光部材250nが設けられている点を除き、図5の定着装置250−1と同様の構成を有している。なお、の定着装置250−2では熱源250−2−2としてハロゲンヒータが1本設けられているが、定着装置250−3では熱源250lとしてハロゲンヒータが3本設けられている。なお、熱源は、図示したハロゲンヒータでも良いが、IHであっても良いし、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であっても良い。図8に示したように、遮光部材250nは、各記録媒体の幅に合わせた遮光面積を有した段付き形状となっており、定着ベルト250jの内側に沿って、非接触で回動するように配置されている。これにより、各記録媒体の幅に対応した位置に回動して、加熱に不必要な領域を遮光する。その結果、幅の狭い記録媒体を連続通紙した場合に、非通紙領域が過昇温状態になることがなく、過昇温領域をキャンセルするために生産性を落とす等の制御を行う必要がない。またこれに伴い、ハロゲンヒータの本数を減らすことも可能となる。
<<プロセスカートリッジ>>
なお、本実施形態において、感光体ドラム231及びクリーニングブレード236aは、プロセスカートリッジPCの一部として、画像形成装置1本体に着脱可能に構成されていても良い。例えば、クリーニング不良が発生した部位でトナーがすり抜けた場合には、感光体ドラム231にトナーが固着して、クリーニングブレード236aおよび感光体ドラム231が共にダメージを受けることがある。この場合でも、これらを一体的に構成にすることで、感光体ドラム231及びクリーニングブレード236aを同時に交換できるため、交換作業が容易であり、ユーザーでも簡単にメンテナンスを行うことが出来るなどの効果を奏する。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
〔製造例1〕
(結晶性ポリウレタン樹脂A−1の製造)
撹拌機及び温度計をセットした反応容器に、1,4−ブタンジオール45質量部(0.50mol)、1,6−ヘキサンジオール59質量部(0.50mol)、及びメチルエチルケトン(以下、MEKと記載する。)200質量部を入れた。この溶液に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)250質量部(1.00mol)を入れ、80℃で5時間反応した後、溶媒を除去して[結晶性ポリウレタン樹脂A−1]を得た。
得られた[結晶性ポリウレタン樹脂A−1]は、重量平均分子量(Mw)20000、融点(Tm)60℃であった。
〔製造例2〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、アジピン酸15質量部(0.10mol)、1,6−ヘキサンジオール177質量部(1.50mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ12,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]は、Mw12,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル350質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)30質量部(0.12mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]は、Mw22,000、融点62℃であった。
〔製造例3〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール189質量部(1.60mol)、及び縮合触媒としてジブチル錫オキサイド0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]は、Mw6,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)38質量部(0.15mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]は、Mw10,000、融点64℃であった。
〔製造例4〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185質量部(0.91mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール106質量部(1.18mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ14,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]は、Mw14,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)12質量部(0.07mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4]は、Mw39,000、融点63℃であった。
〔製造例5〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸166質量部(0.82mol)、アジピン酸26質量部(0.18mol)、1,4−ブタンジオール131質量部(1.45mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ8,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]は、Mw8,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)33質量部(0.13mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5]は、Mw17,000、融点54℃であった。
〔製造例6〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、アジピン酸18質量部(0.12mol)、1,6−ヘキサンジオール139質量部(1.18mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ18,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−6]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−6]は、Mw18,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−6]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)15質量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6]は、Mw42,000、融点62℃であった。
〔製造例7〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール149質量部(1.26mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ9,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−7]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−7]は、Mw9,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−7]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)28質量部(0.11mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7]は、Mw30,000、融点67℃であった。
〔製造例8〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−8の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール191質量部(1.62mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ4,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−8]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−8]は、Mw4,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−8]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)35質量部(0.14mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−8]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−8]は、Mw8,500、融点64℃であった。
〔製造例9〕
(結晶性ポリウレア樹脂A−9の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,4−ブタンジアミン123質量部(1.40mol)、1,6−ヘキサンジアミン212質量部(1.82mol)、メチルエチルケトン(MEK)100質量部を入れて攪拌した後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)336質量部(2.00mol)を加え、窒素気流下にて60℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[結晶性ポリウレア樹脂A−9]を得た。得られた[結晶性ポリウレア樹脂A−9]は、Mwが23,000、融点64℃であった。
〔製造例10〕
(結晶性ポリエステル樹脂A−10の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185質量部(0.91mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール125質量部(1.39mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ10,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A−10]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A−10]は、Mw9,500、融点57℃であった。
〔製造例11〕
(結晶性ポリエステル樹脂A−11の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール130質量部(1.10mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ30,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A−11]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A
−11]は、Mw27,000、融点62℃であった。
〔製造例12〕
(結晶性部と非晶性部からなるブロック樹脂A−12の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール25質量部(0.33mol)、メチルエチルケトン(MEK)170質量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)147質量部(0.59mol)を加え、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する[非晶性部c−1]のMEK溶液を得た。
別途、冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール160質量部(1.35mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ9,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]は、Mw8,500、融点63℃であった。
次いで、[非晶性部c−1]のMEK溶液340質量部に、結晶性部として、[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]320質量部をMEK320質量部に溶解させた溶液を加えて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[ブロック樹脂A−12]を得た。得られた[ブロック樹脂A−12]は、Mw26,000、融点62℃であった。
〔製造例13〕
(結晶性部と非晶性部からなるブロック樹脂A−13の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール39質量部(0.51mol)、メチルエチルケトン(MEK)270質量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)228質量部(0.91mol)を加え、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する[非晶性部c−2]のMEK溶液を得た。
別途、冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール160質量部(1.35mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ8,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−13]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−13]は、Mw7,500、融点62℃であった。
次いで、[非晶性部c−2]のMEK溶液540質量部に、結晶性部として、[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]320質量部をMEK320質量部に溶解させた溶液を加えて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[ブロック樹脂A−13]を得た。得られた[ブロック樹脂A−13]は、Mw23,00
0、融点61℃であった。
〔製造例14〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸113質量部(0.56mol)、テレフタル酸ジメチル109質量部(0.56mol)、1,6−ヘキサンジオール132質量部(1.12mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水、メタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ35,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B’−1]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−1]は、Mw34,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−1]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル200質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)10質量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]は、Mw63,000、融点65℃であった。
〔製造例15〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸204質量部(1.01mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,6−ヘキサンジオール136質量部(1.15mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ20,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]は、Mw20,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル200質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)15質量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]は、Mw39,000、融点63℃であった。
〔製造例16〕
(結晶性ポリウレア樹脂B−3の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,4−ブタンジアミン79質量部(0.90mol)、1,6−ヘキサンジアミン116質量部(1.00mol)、メチルエチルケトン(MEK)600質量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)475質量部(1.90mol)を加え、窒素気流下にて60℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[結晶性ポリウレア樹脂B−3]を得た。得られた[結晶性ポリウレア樹脂B−3]は、Mwが57,000、融点66℃であった。
〔製造例17〕
(結晶性ポリエステル樹脂B−4の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、ドデカン二酸230質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール118質量部(1.00mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ50,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B−4]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂B−4]は、Mw52,000、融点66℃であった。
〔製造例18〕
(結晶性樹脂前駆体B’−5の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール122質量部(1.03mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ25,000に達するまで反応を行った。
得られた[結晶性樹脂]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)27質量部(0.16mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[結晶性樹脂前駆体B’−5]の50質量%酢酸エチル溶液を得た。得られた[結晶性樹脂前駆体B’−5]の酢酸エチル溶液10質量部をテトラヒドロフラン(THF)10質量部と混合し、これにジブチルアミン1質量部を添加して、2時間撹拌させた。得られた溶液を試料としてGPC測定を行った結果、[結晶性樹脂前駆体B’−5]のMwは54,000であった。また、この溶液から溶媒を除去して得られた試料について
DSC測定を行った結果、[結晶性樹脂前駆体B’−5]の融点は57℃であった。
以上、結晶性樹脂の製造に使用した原材料、及び結晶性樹脂の物性について、表1乃至表4にまとめて示した。
Figure 2014092608
Figure 2014092608
Figure 2014092608
Figure 2014092608
〔製造例19〕
(非結晶性樹脂C−1の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物222質量部、ビスフェノールA PO2mol付加物129質量部、イソフタル酸166質量部、及びテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、5〜20mmHgの減圧下にて反応させ、酸価が2になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸35質量部を加え、常圧で3時間反応させ、[非結晶性樹脂C−1]を得た。得られた[非結晶性樹脂C−1]は、Mw8,000、ガラス転移温度(Tg)62℃であった。
〔製造例20〕
(非結晶性樹脂前駆体C’−2の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物720質量部、ビスフェノールA PO2mol付加物90質量部、テレフタル酸290質量部、及びテトラブトキシチタネート1質量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、10〜15mmHgの減圧下にて7時間反応させ、[非結晶性樹脂]を得た。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、得られた[非結晶性樹脂]400質量部、イソホロンジイソシアネート95質量部、酢酸エチル500質量部を入れ、窒素気流下にて80℃で8時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[非結晶性樹脂前駆体C’−2]の50質量%酢酸エチル溶液を得た。
〔実施例1〜25、比較例1〜3〕
(トナーの製造)
−グラフト重合体の製造−
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、キシレン480質量部、低分子量ポリエチレン(三洋化成工業社製サンワックスLEL−400:軟化点128℃)100質量部を入れて充分溶解し、窒素置換した後、スチレン740質量部、アクリロニトリル100質量部、アクリル酸ブチル60質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36質量部、及びキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで、脱溶剤を行い、[グラフト重合体]を合成した。得られた[グラフト重合体]はMw24,000、Tg67℃であった。
−離型剤分散液(1)の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした容器にパラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、炭化水素系ワックス、融点75℃、SP値8.8)50質量部、グラフト重合体30質量部、及び酢酸エチル420質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、分散を行い[離型剤分散液(1)]を得た。
−マスターバッチ(1)〜(14)の作製−
・結晶性ポリウレタン樹脂A−1(結着樹脂) 100質量部
・カーボンブラック(Printex35、デグサ社製) 100質量部
(DBP吸油量:42mL/100g、pH:9.5)
・イオン交換水 50質量部
上記の原材料を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二本ロールを用いて混練した。混練温度は90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却していった。得られた混練物をパルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して[マスターバッチ(1)]を作製した。
結着樹脂を表5に示したとおり変更した以外は、[マスターバッチ(1)]と同様にして[マスターバッチ(2)]〜[マスターバッチ(14)]を作製した。
Figure 2014092608
−油相(1)〜(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)の作製−
温度計および撹拌機を備えた容器に、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]31.5質量部を入れ、固形分濃度が50質量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、[非結晶性樹脂C−1]の50質量%酢酸エチル溶液100質量部、[離型剤分散液(1)]60質量部、[マスターバッチ(2)]12質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相(1)]を得た。なお、[油相(1)]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作成から5時間以内に使用した。
[油相(2)、(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)]についても、結晶性樹脂Aの種類・添加量、結晶性樹脂Bの種類・添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、及びマスターバッチの種類を、表6に従って変更した以外は、[油相(1)]と同様に作製した。なお、表6中の[結晶性樹脂B’−5]、及び[非結晶性樹脂前駆体C−2]については、[油相(1)]の調整における[結晶性樹脂前駆体B’−5]と同様に、トナー母体の作製直前に添加し、各油相を調整した。
Figure 2014092608
−樹脂微粒子の水分散液の製造−
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水600質量部、スチレン120質量部、メタクリル酸100質量部、アクリル酸ブチル45質量部、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業製)10質量部、過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分で20分攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温し、6時間反応させた。更に1%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を加え、75℃で6時間熟成して[樹脂微粒子の水分散液]を得た。この[樹脂微粒子の水分散液]中に含まれる粒子の体積平均粒径は80nmであり、樹脂分の重量平均分子量は160,000、Tgは74℃であった。
−水相(1)の調製−
水990質量部、[樹脂微粒子の水分散液]83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、[水相(1)]を得た。
−トナー母体(1)〜(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)の作製−
撹拌機および温度計をセットした別の容器内に、[水相(1)]520質量部を入れて40℃まで加熱した。50℃に保たれた[油相(1)]235質量部に[結晶性樹脂前駆体B’−5]の酢酸エチル溶液25質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)にて回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散して[油相(1’)]を調製した。40〜50℃に保持したままの[水相(1)]をTK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、[油相(1’)]を添加し、1分間乳化して[乳化スラリー1]を得た。
次いで、撹拌機および温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー1]を投入し、60℃で6時間脱溶剤して、[スラリー1]を得た。得られた[スラリー1]を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ(1)を得た。
得られた濾過ケーキ(1)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(1)を作製した。同様に、油相(2)、(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)をそれぞれ用いて、トナー母体(2)、(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)を作製した。
−油相(4)、(13)、(18)〜(20)の作製−
温度計および撹拌機を備えた容器に、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]62質量部、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]12質量部を入れ、固形分濃度が50質量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、[非結晶性樹脂C−1]の50質量%酢酸エチル溶液40質量部、[離
型剤分散液]60質量部、[マスターバッチ(2)]12質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相(4)]を得た。なお、[油相(4)]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作成から5時間以内に使用した。
[油相(13)、(18)〜(20)]についても、結晶性樹脂Aの種類・添加量、結晶性樹脂Bの種類・添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、及びマスターバッチの種類を、表7に従って変更した以外は[油相(4)]と同様に作製した。
Figure 2014092608
−水相(2)の調製−
水990質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、[水相(2)]を得た。
−トナー母体(4)、(13)、(18)〜(20)の作製−
撹拌機および温度計をセットした別の容器内に、[水相(2)]520質量部を入れて40℃まで加熱し、40〜50℃に保持したまま、TK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、[油相(4)]を添加し、1分間乳化して[乳化スラリー4]を得た。
次いで、撹拌機および温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー4]を投入し、60℃で6時間脱溶剤して、[スラリー4]を得た。得られた[スラリー4]を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ(4)を得た。
得られた濾過ケーキ(4)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(4)を作製した。同様に、油相(13)、(18)〜(20)をそれぞれ用いて、トナー母体(13)、(18)〜(20)を作製した。
−結晶性樹脂粒子分散液(A−3)の作製−
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]60質量部に、酢酸エチル60質量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6質量部、及び2質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4質量部を混合した[水相]に、上記の樹脂溶液120質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーA−3]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーA−3]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(A−3)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(A−3)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.15μmであった。
−結晶性樹脂粒子分散液(A−6)の作製−
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6]60質量部に、酢酸エチル60質量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6質量部、及び2質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4質量部を混合した[水相]に、上記の樹脂溶液120質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーA−6]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーA−6]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(A−6)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(A−6)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.18μmであった。
−結晶性樹脂粒子分散液(B−1)の作製−
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]60質量部に、酢酸エチル60質量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6質量部、及び2質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4質量部を混合した[水相]に、上記の樹脂溶液120質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーB−1]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーB−1]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.16μmであった。
−非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)の作製−
[非結晶性樹脂C−1]60質量部に、酢酸エチル60質量部を加えて混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6質量部、及び2質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4質量部を混合した[水相]に、上記の樹脂溶液120質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーC−1]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーC−1]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.15μmであった。
−離型剤分散液(2)の調製−
パラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、融点75℃)25質量部、アニオン界面活性剤(三洋化成工業製:エレミノールMON−7)5質量部、水200質量部を混合し、95℃で溶融させた。次いで、この溶融液をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[離型剤分散液(2)]を得た。
−着色剤分散液の調製−
カーボンブラック(Printex35、デグサ社製)20質量部、アニオン界面活性剤(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)2質量部、及び水80質量部を混合し、TK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で分散し、[着色剤分散液]を得た。
−トナー母体(6)の作製−
[結晶性樹脂粒子分散液(A−3)]190質量部、[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]63質量部、[非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]63質量部、[離型剤分散液(2)]46質量部、[着色剤分散液]17質量部、水600質量部を混合し、2質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調節した。次いで、撹拌下、この溶液に10質量%の塩化マグネシウム水溶液50質量部を徐々に滴下しながら60℃まで加熱した。凝集粒子の体積平均粒径が5.3μmに成長するまで60℃に維持し、[スラリー6]を得た。
得られた[スラリー6]を減圧濾過した後、上記の洗浄処理(1)〜(4)を行い、濾過ケーキ(6)を得た。得られた濾過ケーキ(6)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(6)を作製した。
−トナー母体(11)の作製−
[結晶性樹脂粒子分散液(A−6)]190質量部、[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]63質量部、[非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]63質量部、[離型剤分散液(2)]46質量部、[着色剤分散液]17質量部、水600質量部を混合し、2質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調節した。次いで、撹拌下、この溶液に10質量%の塩化マグネシウム水溶液50質量部を徐々に滴下しながら60℃まで加熱した。凝集粒子の体積平均粒径が5.9μmに成長するまで60℃に維持し、[スラリー11]を得た。得られた[スラリー11]を減圧濾過した後、上記の洗浄処理(1)〜(4)を行い、濾過ケーキ(11)を得た。得られた濾過ケーキ(11)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(11)を作製した。
−トナー母体(12)の作製−
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]60質量部、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]20質量部、[非結晶性樹脂C−1]20質量部、パラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、融点75℃)5質量部、及び[マスターバッチ(2)]12質量部を、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で80℃〜120℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物を室温まで冷却後、ハンマーミルにて200μm〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、重量平均粒径が6.2±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で、重量平均粒径が7.0±0.2μm、4μm以下の微粉量が10個数%以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、[トナー母体(12)]を得た。
−トナー(1)〜(21)の作製−
得られたトナー母体(1)〜トナー母体(21)を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)1.0質量部、を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(1)〜トナー(21)を作製した。
得られたトナー(1)〜(21)について、体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、N元素量、ウレア結合検出、融解熱の最大ピーク温度、昇温1回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh1stと、昇温2回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh2ndの比Tsh2nd/Tsh1st、70℃における貯蔵弾性率G’(70)、160℃における貯蔵弾性率G’(160)、結晶化度の各種測定を行った。なお、これらの測定については、実施形態に記載の測定方法に従って測定を行った。その結果を表8及び表9に示す。
Figure 2014092608
Figure 2014092608
(キャリアの作製)
・シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン) 100質量部
・γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 5質量部
・カーボンブラック 10質量部
・トルエン 100質量部
上記の原材料を、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。その後、流動床型コーティング装置を用いて、体積平均粒径が35μmの球状フェライト1,000質量部の表面に樹脂層塗布液を塗布して、キャリアを作製した。
<現像剤の作製>
トナー(1)〜トナー(21)のそれぞれを5質量部と、上記のキャリア95質量部とを混合して、実施例1〜25及び比較例1〜3の各現像剤を作製した。得られた各現像剤を用いて、表10に記載のニップの面圧(加圧ローラ252が用紙上のトナー像に加える圧力)にて、定着性(定着下限温度、定着幅)及び耐熱保存性(針入度)を評価した。結果を表10に示す。
<定着性(定着下限温度)>
無端ベルトを用いて定着する方式の画像形成装置(特開2012−208456号公報の図12に記載の画像形成装置,ただし実施例20においては特許文献3の図20に記載の画像形成装置)を用いて、転写紙(リコービジネスエキスパート株式会社製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナーの付着量が0.85±0.10mg/cmの紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面を描画試験器AD−401(上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260μmR〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/sである。定着下限温度は、低い程、低温定着性に優れる。
<<定着性(耐ホットオフセット性・定着幅)>>
無端ベルトを用いて定着する方式の画像形成装置(特開2012−208456号公報の図12に記載の画像形成装置,ただし実施例20においては特許文献3の図20に記載の画像形成装置)を用いて、転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)上に、転写後のトナー付着量が0.85±0.10mg/cmの紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度と、定着下限温度との差を定着幅とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/sである。定着幅は、広い程、耐ホットオフセット性に優れ、約50℃が従来のフルカラートナーの平均的な温度幅である。
<<耐熱保存性(針入度)>>
50mLのガラス容器に各トナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した。このトナーを24℃に冷却し、針入度試験(JISK2235−1991)により針入度(mm)を測定し、下記基準に基づいて評価した。なお、針入度の値が大きいほど耐熱保存性が優れていることを示し、5mm未満の場合には、使用上問題が発生する可能性が高い。なお、本発明においては針入度を貫入深さ(mm)で表す。
〔評価基準〕
◎:針入度25mm以上
○:針入度15mm以上25mm未満
△:針入度5mm以上15mm未満
×:針入度5mm未満
<<耐ストレス性>>
無端ベルトを用いて定着する方式の画像形成装置(特開2012−208456号公報の図12に記載の画像形成装置,ただし実施例20においては特許文献3の図20に記載の画像形成装置)を用いて、画像面積率0.5%のチャートを5万枚出力後、紙全面ベタ画像を出力した際の画像部における白点状にトナーが抜けた部分の有無について目視にて、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:画像部に白点状にトナーが抜けた部分がまったくなく、優良な状態
○:画像部に白点状にトナーが抜けた部分がごく僅かに見られる程度で、良好な状態
△:画像部に白点状にトナーが抜けた部分が見られるが、実使用上問題ないレベル
×:画像部に白点状にトナーが抜けた部分が多数見られ、実使用上問題となるレベル
<<ゆず肌>>
無端ベルトを用いて定着する方式の画像形成装置(特開2012−208456号公報の図12に記載の画像形成装置,ただし実施例20においては特許文献3の図20に記載の画像形成装置)を用いて、転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)上に、転写後のトナー付着量が0.85±0.10mg/cmの紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、紙全面ベタ画像を出力した際の画像部におけるゆず肌の有無について目視にて、下記基準で評価した。なお、「ゆず肌」とは、トナー像に対する加圧が不十分な時にトナー像をしっかりと潰すことができずに凹凸が残ってしまい、凹凸が光沢ムラとして感じられるものを意味する。
〔評価基準〕
◎:画像部にゆず肌部分がまったくなく、優良な状態
○:画像部にゆず肌部分がごく僅かに見られる程度で、良好な状態
△:画像部にゆず肌部分が見られるが、実使用上問題ないレベル
×:画像部にゆず肌部分が多数見られ、実使用上問題となるレベル
Figure 2014092608
実施例1〜25の現像剤は、比較例1〜3の現像剤と比較して、ゆず肌の発生が抑制され、低温定着性に優れ、広い定着幅を有すると共に、耐熱保存性、耐ストレス性についても良好な結果が得られた。
1 画像形成装置
180 現像装置
181 第1収容部
182 第1搬送スクリュー
183 第2収容部
184 第2搬送スクリュー
185 現像ローラ
186 ドクターブレード
187 濃度検知センサ
210 給紙部
211 給紙カセット
212 給紙ローラ
220 搬送部
221 ローラ
222 タイミングローラ
223 排紙ローラ
224 排紙トレイ
230 作像部
231 感光体ドラム
232 帯電器
233 露光器
233a 光源
234 トナーカートリッジ
234c 吸引ポンプ
234d 供給管
236 清掃器
236a クリーニングブレード
240 転写部
241 駆動ローラ
242 従動ローラ
243 中間転写ベルト
244 一次転写ローラ
245 二次対向ローラ
246 二次転写ローラ
250 定着装置(定着手段の一例)
251 加熱ローラ(定着部材の一例)
252 加圧ローラ(加圧部材の一例)
A1 導入口
A2,B2,B3 連通孔
A4,B1 補給口
特開2004−286922号公報 特許2861280号公報 特開2007−334205号公報 特開2010−077419号公報 特開2009−014926号公報 特開2010−151996号公報

Claims (9)

  1. 記録媒体上のトナー像を加熱および加圧して、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段を備えた画像形成装置であって、
    前記定着手段は、定着部材と、該定着部材に対向してニップを形成する加圧部材と、を備え、前記ニップの面圧が3.0kgf/cm以下であり、
    前記トナー像を形成するトナーは、結着樹脂として結晶性樹脂を含有し、前記結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂であること、を特徴とする画像形成装置。
  2. 前記ニップの面圧は、0.6kgf/cm以上1.5kgf/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. X線回折装置によって得られる前記トナーの回折スペクトルにおいて、結晶構造に由来する回折スペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来する回折スペクトルの積分強度を(A)とした場合に、比率(C)/((C)+(A))が、0.15以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記トナーの示差走査熱量測定における、昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が、50℃以上70℃以下の範囲にあり、昇温2回目の融解熱量が、30J/g以上75J/g以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記トナーの示差走査熱量測定における、昇温2回目の最大吸熱ピーク温度T1と、降温時の最大発熱ピーク温度T2が以下の関係式(1)を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
    T1−T2≦30℃ かつ T2≧30℃ ・・・(1)
    (但し、示差走査熱量測定における昇温速度を10℃/minとし、降温速度を10℃/minとする。)
  6. 前記トナーのテトラヒドロフラン可溶分の分子量測定を、ゲル拡散クロマトグラフィー測定を用いて行った場合に、分子量100000以上の成分の割合が7%以上であり、かつ重量平均分子量が20000以上70000以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 示差走査熱量測定における、当該トナーの吸熱量をΔH(T)(J/g)、当該トナーのテトラヒドロフランおよび酢酸エチルの混合溶媒(質量比で50:50)に対する不溶分の吸熱量をΔH(H)(J/g)としたとき、ΔH(H)/ΔH(T)が0.2以上1.25以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  8. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂であること特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂を結着樹脂として含有するトナーを用いて、記録媒体上にトナー像を形成する像形成工程と、
    前記記録媒体上のトナー像を加熱するとともに、3.0kgf/cm以下の面圧で加圧して、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着工程と、を有することを特徴とする画像形成方法。
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