JP2014178473A - 静電荷像現像用トナー、現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置 Download PDF

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【課題】低温定着性と耐ホットオフセット性を兼ね備えた静電荷像現像用トナーの提供。
【解決手段】少なくとも結着樹脂と着色剤を含有するコア粒子の表面にシェルを有する静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が結晶性樹脂を必須成分として含有し、前記シェルを形成する樹脂のガラス転移温度が前記結着樹脂の融点よりも高く、かつトナーを150℃に加熱した際に発生するガスの中に、シロキサン結合を有する揮発成分が1〜100ppm含まれることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、該トナーを用いた現像装置、該現像装置を用いたプロセスカートリッジ、該プロセスカートリッジを用いた画像形成装置に関する。
近年、画像形成装置の高速化、省エネルギー化に対する市場からの要求は益々大きくなり、低温定着性に優れ、高品位な画像を提供できる静電荷像現像用トナー(以下、トナーということもある)が求められている。トナーの低温定着性を達成するためにはトナーの結着樹脂の軟化温度を低くする必要があるが、結着樹脂の軟化温度が低いと定着時にトナー像の一部が定着部材の表面に付着し、これがコピー用紙上に転移する、いわゆるオフセットが発生しやすくなる。この問題を解決できる技術として、トナーの結着樹脂に結晶性樹脂を用いることが知られている。即ち、結晶性樹脂は樹脂の融点で急激に軟化するので、融点以下における耐熱保存性を担保しながらトナーの軟化温度を融点付近にまで下げることが可能である。したがって、低温定着性と耐熱保存性を両立させることができる。
しかし、今までの結晶性樹脂を用いたトナーでは、その急激な軟化により高温定着時に低粘度成分の定着部材への付着が起こりやすくなり、ホットオフセット(高温オフセット)が発生しやすくなるため、定着可能温度幅が狭くなってしまうという問題があった。
特許文献1には、低温定着性と耐ホットオフセット性を目的としたシェル技術が開示されており、特許文献2には、ホットオフセット温度の上昇を目的として無機微粒子を添加する技術が開示されている。しかし、いずれの技術も、結晶性樹脂を用いた場合に十分なホットオフセット温度が確保できない。
また、本出願人の先願に係る特願2011−245712の技術は、コアシェル構造の構成は同じであるが、外添設計が異なる。
本発明は、低温定着性と耐ホットオフセット性を兼ね備えた静電荷像現像用トナーの提供を目的とする。
上記課題は、次の1)の発明によって解決される。
1) 少なくとも結着樹脂と着色剤を含有するコア粒子の表面にシェルを有する静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が結晶性樹脂を必須成分として含有し、前記シェルを形成する樹脂のガラス転移温度が前記結着樹脂の融点よりも高く、かつトナーを150℃に加熱した際に発生するガスの中に、シロキサン結合を有する揮発成分が1〜100ppm含まれることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
本発明によれば、低温定着性と耐ホットオフセット性を兼ね備えた静電荷像現像用トナーを提供できる。
本発明のトナーの形状を示す模式図。 突起部によるトナーの被覆率の算出方法の説明図。 プロセスカートリッジを備えた画像形成装置の一例を示す概略図。 本発明の画像形成装置の一例を示す概略図。 感光体を配設する作像形成部の構成を示す概略図。 図5における現像装置の構成を示す概略図。 プロセスカートリッジの一例を示す概略図。
以下、上記本発明1)について詳しく説明するが、本発明の実施の形態には、次の2)〜12)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
2) 前記シロキサン結合を有する揮発成分の量が5〜30ppmであることを特徴とする1)に記載の静電荷像現像用トナー。
3) 前記トナーの示差走査熱量計(DSC)による測定において、昇温1回目の融解熱量が最大となるピークの融解熱量が、20J/g以上であることを特徴とする1)又は2)に記載の静電荷像現像用トナー。
4) 前記シェルが樹脂微粒子からなる複数の突起部であることを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
5) 前記結晶性樹脂として、ウレタン及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含むことを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
6) 前記結晶性樹脂として、融点(Tm1)が下記式を満たす結晶性樹脂を含有することを特徴とする1)〜5)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
50℃≦Tm1≦70℃
7) 前記シェルを形成する樹脂がビニル系樹脂であり、そのガラス転移温度(Tg)が下記式を満たすことを特徴とする1)〜6)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
60℃≦Tg≦90℃
8) 前記ビニル系樹脂がスチレンを70質量%以上含むモノマー混合物を重合させて得られる樹脂であることを特徴とする7)に記載の静電荷像現像用トナー。
9) 前記突起部における長辺の長さの平均が、0.15〜0.5μmであることを特徴とする4)〜8)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
10) 1)〜9)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いた現像装置。
11) 10)に記載の現像装置を用いたプロセスカートリッジ。
12) 11)に記載のプロセスカートリッジを用いた画像形成装置。
トナーの結着樹脂として結晶性樹脂を使用すると、低温定着性は良くなるが、シャープメルトであるため直ぐに低粘度化し、その低粘度成分が定着ローラに付着してホットオフセットが発生する。これに対し、本発明のトナーでは、コアである結晶性樹脂の表面に、シェルを形成する非結晶性樹脂を付着させた構造とし、かつシロキサン結合を有する揮発成分を含有させることにより、ホットオフセットを改善した。
具体的には、シェルを形成する非結晶性樹脂は、高温定着時に緩やかに軟化するため、定着画像の表面に偏在しやすく、結晶性由来の低粘度成分の定着部材への付着、つまりホットオフセットを抑制する。更に、トナーに含有させたシロキサン結合を有する揮発成分が高温定着時に揮発し、これが定着画像の表面を覆うため、ホットオフセットを抑制する。シェルが無い状態では、結晶性樹脂の急激な軟化により、シロキサン結合を有する揮発成分は揮発する前に定着画像内に内包されるため効果を発揮しない。また逆に、シロキサン結合を有する揮発成分が無い状態では、定着画像の定着部材への付着抑制効果が小さく、十分にホットオフセットを抑制できない。
要するに、結晶性樹脂を結着樹脂とするトナーにおいて問題となるホットオフセットを、シェルを形成する非結晶性樹脂とシロキサン結合を有する揮発成分を併用することにより解決したのが本発明である。
前記シロキサン結合を有する揮発成分としては、シロキサン結合を有し、10〜30℃で揮発する成分であれば特に限定されないが、環状シロキサンが好ましい。より好ましいのは環状ジメチル型の3〜20量体の低分子環状シロキサンであり、特に好ましいのは、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(3量体)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(4量体)、デカメチルシクロペンタシロキサン(5量体)である。
<結晶性樹脂>
本発明のトナーは、低温定着性を向上させるため、結着樹脂に必須成分として結晶性樹脂を含有させる。ここでいう結晶性樹脂とは、例えばDSC測定において融点で吸熱量が極大値を示す樹脂を指す。これに対し、後述する非結晶性樹脂はガラス転移に基づく緩やかなカーブが観測される樹脂を指す。
結晶性樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレア変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂等が挙げられる。中でも、樹脂としての結晶性を保持しつつ高い硬度を示す点で、ウレタン変性ポリエステル樹脂やウレア変性ポリエステル樹脂が好ましい。
結晶性ポリエステルはポリオールとポリカルボン酸の重縮合物として得られる。
ポリオールとしては脂肪族ジオールが好ましく、具体的には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等が挙げられる。その中でもエチレングリコール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
ポリカルボン酸としてはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸や、アジピン酸、1,10−ドデカン二酸などの炭素数2〜12の脂肪族カルボン酸が好ましいが、結晶化度を高くするためには脂肪族カルボン酸がより好ましい。
ポリウレア樹脂としては、ジアミン成分とジイソシアネート成分とから合成されるポリウレア樹脂等が挙げられるが、必要に応じて3価以上のアミン成分やイソシアネート成分を用いても良い。
前記アミン成分としては、脂肪族アミン類、芳香族アミン類が挙げられ、中でも炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類、炭素数6〜20の芳香族ジアミン類が好ましい。
前記炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類としては、炭素数2〜6のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど);炭素数4〜18のポリアルキレンジアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど〕;これらの炭素数1〜4のアルキル又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体(ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど);脂環又は複素環含有脂肪族ジアミン{炭素数4〜15の脂環式ジアミン〔1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4′−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など〕、炭素数4〜15の複素環式ジアミン〔ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕};炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)、等が挙げられる。
前記炭素数6〜20の芳香族ジアミン類としては、非置換芳香族ジアミン〔1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4′−及び4,4′−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリアミン、ナフチレンジアミンなど〕;炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン〔2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、4,4′−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3′−メチル−2′,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−2,2′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトライソプロピル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホンなど〕、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物;核置換電子吸引基(Cl、Br、I、Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチル−5,5′−ジブロモジフェニルメタン、3,3′−ジクロロベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4′−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなど〕;二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔前記非置換芳香族ジアミン、前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物、前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部又は全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕〔4,4′−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど〕が挙げられる。
3価以上のアミン類としては、ポリアミドポリアミン〔ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミンなど〕、ポリエーテルポリアミン〔ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など〕等が挙げられる。
結晶性樹脂としては、融点(Tm1)が50〜70℃、好ましくは55〜65℃の範囲にある結晶性樹脂を含有することが好ましい。融点が50℃以上であれば、真夏などの高温環境下に置かれたときにトナーが変形したり、トナー粒子同士がくっついてしまい本来の粒子としての振る舞いができなくなるということはない。また70℃以下であれば定着性が良好となる。
また、質量平均分子量が10000〜40000の結晶性樹脂を含有することが好ましい。質量平均分子量が10000以上の結晶性樹脂を含有すると耐熱保存性が良好となり、40000以下の結晶性樹脂を含有すると低温定着性が良好となる。
トナー全体に対する結晶性樹脂の割合は、トナーの良好な低温定着性と耐熱保存性を両立させる観点から50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上である。
本発明のトナーは、結晶性樹脂として、第1の結晶性樹脂と、該第1の結晶性樹脂よりも質量平均分子量(Mw)が大きい第2の結晶性樹脂を含んでもよい。第2の結晶性樹脂を加えることにより、第1の結晶性樹脂で低温定着を達成しつつ、第2の結晶性樹脂により更にホットオフセットを防ぐことが出来る。
また、前記第1の結晶性樹脂が結晶性ポリエステルである場合、前記第2の結晶性樹脂は特に限定は無いが、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂が好ましい。このような結晶性樹脂としては、末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂を伸長させて得られるものが好ましい。
更に、前記第1の結晶性樹脂が主鎖にウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂であっても良い。
前記第1の結晶性樹脂の質量平均分子量(Mw)は、低温定着性と耐熱保存性の両立性の観点から10,000〜40,000が好ましく、15,000〜35,000がより好ましく、20,000〜30,000が特に好ましい。10,000より小さい場合はトナーの耐熱保存性が悪化する傾向にあり、40,000より大きい場合はトナーの低温定着性が悪化する傾向にあるため、好ましくない。
前記第2の結晶性樹脂の質量平均分子量(Mw)は、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から、40,000〜300,000が好ましく、50,000〜150,000が特に好ましい。40,000より小さい場合はトナーの耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、300,000より大きい場合は特に低温での定着時にトナーが充分に溶融せず、画像の剥がれが生じ易くなるため、トナーの低温定着性が悪化する傾向にあり好ましくない。
前記第1の結晶性樹脂と第2の結晶性樹脂のMwの差は、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましい。5,000より小さい場合は、トナーの定着幅が狭くなる傾向にあるため、好ましくない。
前記第1の結晶性樹脂(A)と第2の結晶性樹脂(B)の含有比率は、(A):(B)=95:5〜70:30の範囲が好ましい。この範囲よりも(A)の比率が多い場合は、トナーの耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、この範囲よりも(B)の比率が多い場合は、トナーの低温定着性が悪化する傾向にあるため、好ましくない。
<変性結晶性樹脂>
本発明で使用する結着樹脂には、粘弾性調整のため、ウレタン及び/又はウレア基を有する変性結晶性樹脂を含有させても良い。該変性結晶性樹脂は、直接結着樹脂に混合しても良いが、製造性の観点から、末端にイソシアネート基を有する比較的低分子量の変性結晶性樹脂(以下プレポリマーと表記することがある)と、これと反応するアミン類を結着樹脂に混合し、造粒中/又は造粒後に鎖伸長及び/又は架橋反応させて該変性結晶性樹脂とする方が好ましい。こうすることにより、粘弾性調整のための比較的高分子量の変性結晶性樹脂を含有させることが容易となる。
(プレポリマー)
前記イソシアネート基を有するプレポリマーとしては、前記ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルを更にポリイソシアネート(3)と反応させたものなどが挙げられる。前記活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
(イソシアネート基と水酸基の比)
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]で、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、更に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。該当量比が5を超えると低温定着性が悪化する。また1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)成分の含有量は、通常0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは2〜20質量%である。0.5質量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。また、40質量%を超えると低温定着性が悪化する。
(プレポリマー中のイソシアネート基の数)
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりのイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、更に好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、鎖伸長及び/又は架橋後の変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
(鎖伸長及び/又は架橋剤)
本発明において、鎖伸長及び/又は架橋剤として、アミン類を用いることができる。
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
ジアミン(B1)としては、次のものが挙げられる。
芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4′ジアミノジフェニルメタン、テトラフルオロ−p−キシリレンジアミン、テトラフルオロ−p−フェニレンジアミンなど);
脂環式ジアミン(4,4′−ジアミノ−3,3′ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);
及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカフルオロヘキシレンジアミン、テトラコサフルオロドデシレンジアミンなど)。
3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
(停止剤)
更に、必要により鎖伸長及び/又は架橋反応は停止剤を用いて反応終了後の変性ポリエステルの分子量を調整することができる。停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
(アミノ基とイソシアネート基の比率)
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]で、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、更に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。該当量比の範囲を外れると、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
<非結晶性樹脂>
結着樹脂には結晶性樹脂以外の樹脂を含有させてもよい。該樹脂は特に限定されないが、定着性、帯電性などの点でポリエステル骨格を有する非結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。このような樹脂としては、非結晶性ポリエステル樹脂や、非結晶性ポリエステルと他の骨格を有する樹脂とのブロックポリマーがあるが、非結晶性ポリエステル樹脂を用いた方が得られる着色樹脂粒子の均一性が高く好ましい。
非結晶性ポリエステル樹脂の分子構造は非晶性の構造を有するものであればよく、特に制約されない。該非結晶性ポリエステル樹脂としては、トナー用結着樹脂として一般的に使用されている各種の構造の非晶性ポリエステルが使用可能である。このような非結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸から合成される。
多価アルコールや多価カルボン酸は、上述の結晶性ポリエステル樹脂に使われるものが使用可能であり、これ以外にもビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である、ビスフェノールAエチレンオキサイド、ビスフェノールAプロピオンオキサイド、イソフタル酸、テレフタル酸及びそれらの誘導体などが挙げられる。
(シェル用樹脂)
本発明においてコア表面に形成させるシェル用の樹脂としては、コアに含まれる結着樹脂の融点より高いガラス転移点を有する樹脂であれば特に限定されないが、ビニル系樹脂が好適に用いられ、主としてビニル重合性官能基を有する芳香族化合物をモノマーとして含むモノマー混合物を重合させることによって得られる。また当該シェルはビニル系樹脂からなる樹脂微粒子がコア表面に埋設された複数の突起部であることが好ましい。
モノマー混合物中におけるビニル重合性官能基を有する芳香族化合物の含有量は70〜100質量%、好ましくは90〜100質量%、より好ましくは95〜100質量%である。前記含有量が70質量%未満では、得られたトナーの帯電性が乏しくなる。
前記ビニル重合性官能基を有する芳香族化合物における重合可能な官能基としては、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
具体的なモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、4−カルボキシスチレン又はその金属塩、4−スチレンスルホン酸又はその金属塩、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、アリルベンゼン、フェノキシアルキレングリコールアクリレート、フェノキシアルキレングリコールメタクリレート、フェノキシポリアルキレングリコールアクリレート、フェノキシポリアルキレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
中でも、入手が容易で反応性に優れ帯電性の高いスチレンを主に用いるのが好ましい。
また、本発明に用いられるビニル系樹脂には、ビニル重合性官能基と酸基とを有する化合物(以下「酸モノマー」ともいう)をモノマー混合物のうち0〜7質量%含んでいても良い。酸モノマーの含有量は好ましくは0〜4質量%であり、より好ましくは酸モノマーを使用しないのが良い。酸モノマーが7質量%を超えると、得られるビニル系樹脂微粒子はそれ自身の分散安定性が高いため、油滴が水相中に分散された分散液中に添加しても、常温では付着しにくいか、付着しても脱離しやすい状態にあり、溶媒除去、洗浄、乾燥、外添処理を行う過程で容易に剥がれてしまう。更に、酸モノマーの使用量を4質量%以下にすることにより、トナーが使用される環境による帯電性の変化を少なくできる。
ビニル重合性官能基と酸基とを有する化合物における酸基としては、カルボキシル酸、スルホニル酸、ホスフォニル酸などが挙げられる。
ビニル重合性官能基と酸基を有する化合物としては、例えばカルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩((メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸、フマル酸モノアルキル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、桂皮酸等)、スルホン酸基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル及びこれらの塩、リン酸基含有ビニル系モノマー及びその塩などがある。これらの中では、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸、フマル酸モノアルキルが好ましい。
ビニル重合性官能基を有する芳香族化合物以外のビニルモノマーとしては特に限定は無いが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン類;塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル;エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソブチレン等のアルケン類;ハロゲン化アルケン類;アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、モノエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、グリシジルメタクリレート等の多官能モノマー;などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、反応性や入手のしやすさから、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ジビニルベンゼン、メタクリル酸メチル、ブチルアクリレート等が好ましい。
一方、着色粒子との相溶性を制御のため、フェノキシアルキレングリコールアクリレート、フェノキシアルキレングリコールメタクリレート、フェノキシポリアルキレングリコールアクリレート、フェノキシポリアルキレングリコールメタクリレート等のエチレンオキサイド(EO)鎖を有するモノマーの使用量は、モノマー全体の10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下が良い。10質量%を超えるとトナー表面の極性基の増加により帯電の環境安定性が著しく低下するため好ましくない。また、着色粒子との相溶性が高くなりすぎて突起部の埋没率が低下しやすいため好ましくない。
また着色粒子との相溶性を制御のため、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸などのエステル結合を有するモノマーを同時に用いてもよい。その際の使用量は、モノマー全体の10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下が良い。10質量%を超えると、トナー表面の極性基の増加により帯電の環境安定性が著しく低下するため好ましくない。また、着色粒子との相溶性が高くなりすぎて突起部の埋没率が低下しやすいため好ましくない。
ビニル系樹脂微粒子分散液は、コア粒子分散液に投入する前に、適宜濃度調整のために希釈あるいは濃縮しても良い。ビニル系樹脂微粒子分散液の濃度は、5〜30質量%が好ましく、8〜20質量%がより好ましい。5質量%未満では、分散液の投入に伴う有機溶媒濃度の変化が大きく、樹脂微粒子の付着が不十分になるため好ましくない。また30質量%を超えると、樹脂微粒子がコア粒子分散液中に偏在しやすくなり、その結果、樹脂微粒子の付着が不均一になるため避けた方が良い。
また、油相液滴を製造する場合の界面活性剤の使用割合は、水相全体に対して7質量%以下、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5質量%以下がよい。界面活性剤の使用割合が水相全体に対して7質量%を超えると、突起部の長辺長さの均一性が著しく低下するため好ましくない。
コア粒子の樹脂と樹脂微粒子との相溶性が高い場合には、所望のトナー表面状態を得られなくなる場合があるため、使用するモノマー混合物及びコア粒子の樹脂の極性や構造等を相溶性が低い方向へ制御するとよい。また樹脂微粒子が使用する有機溶媒に必要以上に溶解しないようにする。微粒子形状を保てなくなるほど溶解するような場合には、結果として所望のトナー表面状態を得られなくなることがある。
ビニル系樹脂微粒子を得る方法は特に限定されないが、以下の(a)〜(f)が挙げられる。
(a)モノマー混合物を懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法又は分散重合法等の重合反応により反応させ、ビニル系樹脂微粒子の分散液を製造する。
(b)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂微粒子を製造する。
(c)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を製造する。
(d)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に溶剤を添加するか、又はあらかじめ溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂微粒子を製造する。
(e)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱又は減圧等によって溶剤を除去する。
(f)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する。
この中で、製造が容易であり、樹脂微粒子を分散液として得られるため次工程への適用をスムーズに行うことができる(a)の方法が好ましい。
(a)の方法において、重合反応を行う際には、水系媒体中に分散安定剤を添加するかもしくは重合反応を行うモノマー中に、重合してできた樹脂微粒子の分散安定性を付与できるようなモノマー(いわゆる反応性乳化剤)を添加するか、又はこれらの2つの手段を併用し、できあがったビニル系樹脂微粒子に分散安定性を付与するのがよい。分散安定剤や反応性乳化剤を使用しないと、粒子の分散状態を維持できずビニル系樹脂を微粒子として得ることができなかったり、得られた樹脂微粒子の分散安定性が低くて保存安定性に乏しく保管中に凝集してしまったり、あるいは後述する樹脂微粒子付着工程での粒子の分散安定性が低下しコア粒子同士が凝集・合一しやすくなったりして、最終的に得られるトナーの粒径や形状・表面などの均一性が悪くなるため、好ましくない。
分散安定剤としては界面活性剤、無機分散剤などが挙げられる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。
本発明における樹脂微粒子を製造する場合に、分子量調整を目的として、公知の一般的な連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に制限されないが、炭素数3以上の炭化水素基を有するアルキルメルカプタン系の連鎖移動剤を使用することが好ましい。その具体例としては、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、2−メルカプトプロピオン酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸−2−エチルヘキシルエステル、オクタン酸−2−メルカプトエチルエステル、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、デカントリチオール、ドデシルメルカプタン等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種以上の混合物の形態で使用してもよい。
連鎖移動剤の添加量は、得られる共重合体が所望の分子量になるように調節すればよいが、好ましくは、単量体成分の合計100質量部に対して、0.01〜30質量部、より好ましくは0.1〜25質量部である。添加量が0.01質量部未満では、得られる共重合体の分子量が大きくなりすぎるため、定着性が低下したり、重合反応中にゲル化したりしてしまう可能性がある。逆に、添加量が30質量部を超えると、未反応の状態で連鎖移動剤が残存し、また得られる共重合体の分子量が小さく、部材汚染を引き起こす。
ビニル系樹脂の質量平均分子量は3,000〜50万、好ましくは5,000〜50万、より好ましくは6,000〜45万の範囲が良い。質量平均分子量が3,000未満では、ビニル系樹脂の力学的強度が弱く脆弱であるため、最終的に得られるトナーのアプリケーションによっては、使用状況によってトナー表面が容易に変化してしまい、例えば帯電性の著しい変化や周辺部剤への付着などの汚染、それに伴う品質問題の発生を引き起こすため好ましくない。また、50万を超えると、分子末端が少なくなるためコア粒子との分子鎖の絡み合いが少なくなり、コア粒子への付着性が低下するため好ましくない。
また、ビニル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、45℃〜100℃、好ましくは60℃〜90℃、より好ましくは70℃〜90℃が良い。45℃未満では最終的に得られたトナーを高温で保管したときにブロッキングしてしまうなど保存安定性の悪化が生じるため好ましくない。
また、ビニル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は結着樹脂の融点よりも高くする。これは、高温高湿環境下で保管したとき、大気中の水分により突起部を形成する樹脂が可塑化され、ガラス転移温度(Tg)の低下を引き起こし兼ねないことや、1成分現像に用いる場合、突起部の摩擦に対する耐久性が低下するためである。
さらに、突起部を形成する樹脂としてビニル系樹脂以外の樹脂を用いる場合も含めて、低温定着性向上のため、突起部を形成する樹脂のガラス転移温度(T)gは、結着樹脂の融点よりも高くする必要がある。
本発明のようなコアシェル形状のトナーを得るには、コア粒子を溶解懸濁法で作製し、有機溶媒存在下で、後述する突起部を形成する樹脂微粒子分散液を投入することが非常に効果的であり、突起部を構成する樹脂は比較的スチレンを多く含有し、コア樹脂との相溶性が低いものが好適である。また突起部を比較的硬度の高いビニル系高分子によって作製すれば、規制ブレードへのトナーの付着や、現像スリーブ上にトナー成分が融着することを防ぐことが出来る。
突起部における長辺の長さの平均は0.15〜0.5μmの範囲が好ましい。0.15μm未満では、突起部の表面を保護する機能が弱まり、耐固着性が悪化することがある。また、0.5μmを超えると、トナーの比表面積が低下して帯電性が悪化したり、トナーのコア部に熱が伝わりにくくなって低温定着性が悪化したりすることがある。
トナーの示差走査熱量計(DSC)による昇温1回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh1stと、昇温2回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh2ndの比:Tsh2nd/Tsh1stの値が、0.90〜1.10であることが好ましい。
前記Tsh1st、Tsh2ndは、示差走査熱量計(DSC)〔例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製)〕を用いて測定できる。
即ち、まず、トナー5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/分で150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度10℃/分で0℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/分で150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線において、1回目の昇温時における吸熱ピーク温度をTm1st、2回目の昇温時における吸熱ピーク温度をTm2ndとする。このとき、吸熱ピークが複数ある場合は吸熱量が最大のものを選択する。それぞれの吸熱ピークについて、該吸熱ピークよりも低温側のベースラインと、吸熱ピークをなす低温側の傾斜の接線との交点を、それぞれTsh1st、Tsh2ndとする。
低温定着性と耐熱保存性をより高いレベルで両立させ、耐ホットオフセット性に優れたトナーとするためには、トナーのDSCによる測定において、昇温1回目の融解熱量が最大となるピークの融解熱量が20J/g以上であることが好ましい。より好ましくは30〜85J/g、更に好ましくは45〜80J/g、特に好ましくは50〜65J/gである。20J/g未満ではトナー中の結晶構造を有する部位が少なくなり、シャープメルト性が低下し、耐熱保存性と低温定着性のバランスが得難くなる。また、85J/gを超えると、トナーを溶融させて定着するために必要なエネルギーが大きくなり、定着装置によっては定着性が悪化してしまうことがある。
トナーの融解熱の最大ピーク温度は、例えば、DSC6220ASD−2(日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定できる。
即ち、トナーを20℃から150℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、吸熱量が最大となるピークに対応する温度を、昇温1回目の融解熱量が最大となるピーク温度とし、この時の吸熱ピークの吸熱量を、昇温1回目における融解熱量が最大となるピークの融解熱量とする。
前記トナーの融解熱量が最大となるピーク温度は、50℃〜70℃が好ましく、55℃〜68℃がより好ましく、58℃〜65℃が特に好ましい。50℃未満では、高温環境下でトナーのブロッキングが発生しやすくなり、70℃を超えると、低温定着性が発現し難くなる。
トナーの粘弾特性において、70℃における貯蔵弾性率G′(70)(Pa)は、1.0×10以上が好ましく、より好ましくは5.0×10<G′(70)(Pa)<5.0×10であり、更に好ましくは5.0×10<G′(70)(Pa)<5.0×10である。また、160℃における貯蔵弾性率G′(160)(Pa)は、5.0×10以下が好ましく、より好ましくは1.0×10<G′(160)(Pa)<5.0×10であり、更に好ましくは1.0×10<G′(160)(Pa)<1.0×10である。これは、本発明のトナーの粘弾特性において、G′及びG″の値が、1.0×10〜5.0×10となることが定着強度や耐ホットオフセット性の観点から好ましく、結着樹脂中に着色剤や層状無機鉱物を分散させるとG′及びG″が上昇することを考慮すれば、結晶性樹脂の粘弾特性としては前記の範囲であることが好ましい。
結晶性樹脂の粘弾特性は、樹脂を構成する結晶性モノマーと非結晶性モノマーの比率や、樹脂の分子量を調整すること等により変えることができる。例えば、結晶性モノマーの比率を増加させると、G′(160)の値は小さくなる。
樹脂及びトナーの動的粘弾特性値(貯蔵弾性率G′、損失弾性率G″)は、動的粘弾性測定装置(例えばARES:TAインスツルメント社製)を用いて測定できる。試料は、直径8mm、厚さ1〜2mmのペレットに成型し、直径8mmのパラレルプレートに固定した後、40℃で安定させ、周波数1Hz(6.28rad/s)、歪み量0.1%(歪み量制御モード)の条件において、昇温速度2.0℃/分で200℃まで昇温させて測定する。
<着色剤>
着色剤としては公知の染料及び顔料を適宜使用できる。その例としては、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が挙げられる。
着色剤の含有量は、通常、トナー全体の1〜15質量%、好ましくは3〜10質量%である。
<離型剤>
本発明のトナーには公知の離型剤を含有させてもよい。その例としては、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);及びジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。中でも、極性が小さく溶融粘度が低い点で、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素が好ましく、特にパラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスが好ましい。
<離型剤分散剤>
本発明のトナーには、離型剤の分散を助ける離型剤分散剤を含有させても良い。離型剤分散剤としては特に限定はなく、公知のものを使用することができる。その例としては、離型剤との相溶性の高いユニットと樹脂との相溶性の高いユニットがブロック体として存在するポリマーやオリゴマー、離型剤との相溶性の高いユニットと、樹脂との相溶性の高いユニットの一方のユニットに他方のユニットがグラフトしているポリマーもしくはオリゴマー、エチレン・プロピレン・ブテン・スチレン・α−スチレンなどの不飽和炭化水素と、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸やそのエステル又はその無水物との共重合体、ビニル系樹脂とポリエステルとのブロック又はグラフト共重合体などが挙げられる。
<外添剤>
(無機微粒子)
本発明では着色粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として無機微粒子を好ましく用いることができる。無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmが好ましく、特に5〜500nmが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gが好ましい。無機微粒子の使用割合は、トナー全体の0.01〜5質量%が好ましく、特に0.01〜2.0質量%が好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。
(高分子系微粒子)
この他に、高分子系微粒子、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子を用いることもできる。
(無機微粒子の疎水化処理)
前記無機微粒子の疎水化方法としては、無機微粒子と反応するか又は物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に処理する方法が用いられる。好ましい方法は、金属ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された無機微粒子を有機ケイ素化合物で処理する方法である。
前記有機ケイ素化合物の例としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メトルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を有するジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
未処理の無機微粒子の疎水化には含窒素シランカップリング剤を用いることができる。その例としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジンアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルピペリジン、トリメトキシシリル−γ−プロピルモルホリン、トリメトキシシリル−γ−プロピルイミダゾール等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
外添剤としては、上記含窒素シランカップリングの中でもアミノ基含有シランカップリング剤を用いて表面処理された無機微粒子が好ましい。
含窒素シランカップリング剤により無機微粒子は強い正帯電性を示す。含窒素シランカップリング剤により疎水化処理された無機微粒子がトナーから現像剤担持体に移行することにより、現像剤担持体は該無機微粒子で覆われることになる。これらとトナーが摩擦帯電する際、トナーを強く負帯電させることができ、かつ該無機微粒子がトナーから少量ずつ常に供給されることにより、トナーの帯電性を長期にわたり安定させることができる。ただし、長期間、広範囲に渡ってこの効果を得るため外添剤量を多くすると、外添剤が遊離しやすくなり、初期的、局所的には効果が得られるものの、長期的、広範囲の効果は得難い。遊離しにくくするためには、外添剤がトナー粒子と接触していることが好ましく、一定量の外添剤を付着させるためにはトナー粒子の表面積が大きい方が好ましい。そこで本発明のようにトナー表面に突起部を設ければ、トナーの表面積が増大し、より多くの外添剤を担持することができる。また、トナーと部材との接触面が小さくなるので外添剤の遊離を抑制できる。このように、トナー表面に突起部を持つトナー粒子と、含窒素シランカップリング剤で処理された外添剤との組み合わせは卓越した効果を奏する。
含窒素シランカップリング剤で処理された無機微粒子を外添剤として用いる場合、その外添剤全体に占める割合は、5〜30質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。5質量%未満では十分な効果が得られず、30質量%を超えると外添剤の正帯電性が強くなるため、求められるトナーとして正常に機能しない。また同様の理由から、含窒素シランカップリング剤で処理された無機微粒子の割合は、トナー全体の0.1〜2.0質量%が好ましく、0.2〜1.5質量%がより好ましい。
(クリーニング助剤)
感光体や一次転写媒体に残存する転写後のトナーを除去するためのクリーニング性向上剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
〔トナーの製造方法〕
本発明のトナーの製造方法を以下に例示するが、これに制限されるものではない。
本発明のトナーは、コア粒子を形成する結着樹脂、着色剤及び離型剤等を有機溶媒に溶解又は分散させる工程、該溶解物又は分散物を水系媒体中に分散させコア粒子を造粒する工程、該コア粒子の分散液に、少なくとも突起部を形成する樹脂微粒子が分散された樹脂微粒子分散液を加えて、コア粒子表面に樹脂微粒子から成る突起部を形成する工程、突起部を形成したコア粒子の分散液から有機溶媒を除去する工程を経て得ることができる。
また、突起部形成の際に有機溶媒存在下で樹脂微粒子を膨潤又は溶解させつつ突起部を形成させることにより、特定の突起部を持つトナー表面層が効率的に得られ、帯電均一性に優れると共に、耐熱性を保持しつつも定着性への悪影響を極力抑えたトナーを得ることができる。
<コア粒子造粒工程>
(有機溶媒)
造粒に用いる有機溶媒としては、後の溶剤除去が容易になることから、沸点が100℃未満の揮発性のものが好ましい。その例としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上組合せて用いることができるが、特に、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、及び塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
ポリエステル系樹脂及び着色剤は同時に溶解又は分散させても良いが、通常はそれぞれ単独で溶解又は分散させる。その際に使用する有機溶媒は異なっていても同じでも良いが、後の溶媒処理を考慮すると同じ方が好ましい。また、ポリエステル系樹脂を好適に溶解させる溶媒(単独又は混合)を選択すると、本発明で好ましく用いられる離型剤はその溶解度の違いからほとんど溶解しない。
(結着樹脂の溶解又は分散)
結着樹脂の溶解又は分散液は、樹脂濃度が40%〜80%程度であることが好ましい。濃度が高すぎると溶解又は分散が困難になり、また粘度が高くなって扱いづらい。また、濃度が低すぎると微粒子の製造量が少なくなり、除去すべき溶媒量が多くなる。結着樹脂として、前記結晶性ポリエステルと前記末端にイソシアネート基を有する変性ポリエステル樹脂を混合する場合は、同じ溶解又は分散液に混合しても良いし、別々に溶解又は分散液を作製しても良いが、それぞれの溶解度と粘度を考慮すると、別々の溶解又は分散液を作製する方が好ましい。
(水系媒体)
用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。樹脂微粒子100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000質量部、好ましくは100〜1000質量部である。
(無機分散剤及び有機樹脂微粒子)
上記水系媒体中に、前記の結着樹脂、着色剤及び離型剤等の溶解物又は分散物を分散させる際、無機分散剤又は有機樹脂微粒子をあらかじめ水系媒体中に分散させておくことにより、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。
有機樹脂微粒子を形成する樹脂としては、水性分散体を形成しうる樹脂であれば特に限定されず、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でも良い。その例としては、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、2種以上を併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体を得やすいことからビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用である。
(界面活性剤)
また、上記樹脂微粒子を製造する際に、必要に応じて界面活性剤等を用いることもできる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を上げることができる。好ましいフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸、及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級又は2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
(保護コロイド)
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエ一テル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、又はビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、又はその複素環を有するものなどのホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他に酵素による分解などの操作によっても除去できる。分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、洗浄除去する方がトナーの帯電面から好ましい。
(分散の方法)
分散の方法は特に限定されないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。高速せん断式分散機を使用した場合の回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時の温度は、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは20〜80℃である。
(油相作製工程)
有機溶媒中に結着樹脂、着色剤、離型剤などを溶解又は分散させた油相を作製する方法としては、有機溶媒中に攪拌しながら結着樹脂、着色剤などを徐々に添加していけばよい。ただし、着色剤として顔料を用いる場合や、離型剤や帯電制御剤などの中で有機溶媒に溶解しにくいようなものを添加する場合には、有機溶媒への添加に先立って粒子を小さくしておくことが好ましい。前述のように着色剤のマスターバッチ化も手段の一つであり、同様の方法を離型剤や帯電制御剤に応用することもできる。
また別の手段として、有機溶媒中で、必要に応じて分散助剤を添加し、着色剤、離型剤、帯電制御剤を湿式で分散を行い、ウエットマスターを得ることも可能である。
更に別の手段として、有機溶媒の沸点未満で溶融するようなものを分散するのであれば、有機溶媒中で、必要に応じて分散助剤を添加し、分散質とともに攪拌しながら加熱を行い、一旦溶解させた後、攪拌又はせん断しながら冷却することによって晶析を行い、分散質の微結晶を生成させる方法を採用しても良い。
以上の手段を用いて分散された着色剤、離型剤、帯電制御剤は、有機溶媒中に結着樹脂とともに溶解又は分散させた後、更に分散を行っても良い。分散に際しては公知のビーズミルやディスクミルなどの分散機を用いることができる。
(コア粒子作製工程)
前述の工程で得られた油相を水系媒体中に分散させ、油相からなるコア粒子が分散した分散液を作製する方法は特に限定されないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするためには高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定されないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間も特に限定されないが、バッチ方式の場合は、通常、0.1〜5分である。5分を超えると、望ましくない小径の粒子が残存したり、過分散状態になって系が不安定になり凝集体や粗大粒子が発生したりすることがあるので好ましくない。分散時の温度は、通常、0〜150℃、好ましくは20〜80℃である。150℃を超えると、分子運動が活発になって分散安定性が低下し、凝集体や粗大粒子が発生しやすくなるため好ましくない。また、0℃未満では分散体の粘度が高くなり、分散に必要なせん断エネルギーが増大するため製造効率が低下する。
界面活性剤は、前述の樹脂微粒子の製造法に関する説明で示したものと同じものを使用できるが、溶媒を含む油滴を効率よく分散させるには、HLBが高めのジスルホン酸塩が好ましい。界面活性剤は、水系媒体中での濃度が1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%、より好ましくは3〜7質量%の範囲にあるのが良い。10質量%を超えると、油滴が小さくなりすぎたり、逆ミセル構造を形成し逆に分散安定性が低下して油滴の粗大化が発生したりするため好ましくない。また1質量%未満では油滴の分散を安定に行うことができず油滴が粗大化してしまうため好ましくない。
(樹脂微粒子付着工程)
得られたコア粒子分散液は、攪拌している間は安定にコア粒子の液滴を存在させておくことができる。その状態において、前述のビニル系樹脂微粒子分散液を投入してコア粒子上に付着させる。
本発明における特定の突起部の形状は、以下に示すように、ビニル系樹脂微粒子分散液の投入時間、ビニル系樹脂微粒子分散液の濃度、添加量、突起部作製工程の温度・ビニル系樹脂微粒子のDv/Dn等により制御することができる。
ビニル系樹脂微粒子分散液の投入は30秒以上かけて行うのが良い。30秒未満で投入すると、分散系の急激な変化により凝集粒子が発生したり、ビニル系樹脂微粒子の付着が不均一になったりするため好ましくない。一方、闇雲に長い時間、例えば60分以上かけて投入するのは生産効率の面から好ましくない。
樹脂微粒子分散液は、コア粒子分散液に投入する前に、適宜濃度調整のために希釈又は濃縮しても良い。ビニル系樹脂微粒子分散液の濃度は、5〜30質量%が好ましく、8〜26質量%がより好ましい。5質量%未満では、分散液の投入に伴う有機溶媒濃度の変化が大きく、樹脂微粒子の付着が不十分になり、被覆率が下がるため好ましくない。また、30質量%を超えると、樹脂微粒子がコア粒子分散液中に偏在しやすくなり、その結果、樹脂微粒子の付着が不均一になったり、突起部の長辺長さの標準偏差が悪化したりする可能性もあるため避けた方が良い。
また、突起部作製工程において、スラリーにビニル系樹脂微粒子分散液を投入する部数によっても被覆率を制御することが出来る。
上記方法によりコア粒子に対して樹脂微粒子が十分な強度で付着するのは、樹脂微粒子がコア粒子の液滴に付着したとき、コア粒子が自由に変形できるので樹脂微粒子界面との接触面を十分に形成できること、及び、有機溶媒によって樹脂微粒子が膨潤又は溶解し、樹脂微粒子とコア粒子内の樹脂とが接着し易い状況になることによると思われる。したがって、この状態において有機溶媒は系内に十分に存在する必要がある。具体的には、コア粒子分散液の状態において、固形分(樹脂、着色剤及び必要に応じて離型剤、帯電制御剤など)に対して10〜70質量%、好ましくは30〜60質量%、更に好ましくは40〜55質量%の範囲にあるのがよい。70質量%を超えると、一度の製造工程で得られる着色樹脂粒子が少なくなり生産効率が低くなること、有機溶媒が多いと分散安定性が低下して再凝集が発生することなど、安定した製造が難しくなるため好ましくない。また、10質量%未満では、前述のようにコア粒子に対して樹脂微粒子が十分な強度で付着できなくなるため好ましくない。しかしながら、コア粒子を製造する時の好ましい有機溶媒濃度よりも樹脂粒子を付着させる時の好ましい有機溶媒濃度の方が低い場合は、コア粒子を製造した後に有機溶媒を一部除去することにより有機溶媒濃度を調整して樹脂粒子を付着させ、その後、有機溶媒を完全に除去しても良い。ここで、有機溶媒を完全に除去するとは、後述の脱溶工程で通常使用される公知の方法において除去できる範囲のレベルである。
コア粒子にビニル系樹脂微粒子を付着させるときの温度は、10〜45℃、好ましくは20〜30℃である。45℃を超えると、製造に必要なエネルギーが増大するため製造環境負荷が大きくなる上に、低酸価のビニル系樹脂微粒子が液滴表面に存在するため分散が不安定になって粗大粒子が発生し、突起部の長辺の長さの平均が0.5μmを超えたり、突起部の長辺長さの標準偏差が悪化する可能性もあるため好ましくない。一方、10℃未満では分散体の粘度が高くなり、樹脂微粒子の付着が不十分になり、被覆率が下がるため好ましくない。
また、突起部をコア粒子に付着させる手法については、コア粒子作製前に直接水相に樹脂微粒子を添加して突起部作製工程を省く手法が考えられるが、その場合は樹脂微粒子の付着が不均一になるなど、突起部の大きさの制御が困難になる可能性がある。
突起部をコア粒子に付着させる方法としては、このほかにトナー粒子母体と樹脂微粒子を混合攪拌し、機械的に付着、被覆させる方法がある。
樹脂微粒子を構成する樹脂の割合はトナー全体の1〜20質量%、好ましくは3〜15質量%、より好ましくは5〜10質量%である。1質量%未満では効果が不十分であり、20質量%を超えると、過剰となった樹脂微粒子がトナー芯粒子に弱く付着してフィルミング等の原因となる。上記樹脂微粒子を構成する樹脂の割合は原料の仕込み比から求めることができる。
樹脂微粒子の体積平均粒径は、50〜200nm、好ましくは60〜150nm、より好ましくは70〜140nmである。50nm未満又は200nmを超えると樹脂微粒子をコア粒子へ均一に被覆することが困難になる可能性がある。
また、樹脂微粒子の体積平均粒径と個数平均粒径の比(Dv/Dn)が大きくなると突起部の長辺の長さの平均の標準偏差が悪化する可能性があるため、Dv/Dnは1.25未満、好ましくは1.12未満とする。
(脱溶)
得られた着色樹脂分散体から有機溶剤を除去するには公知の方法を使用することができる。例えば、常圧又は減圧下で系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法が挙げられる。
(伸長及び/又は架橋反応)
ウレタン及び/又はウレア基を有する変性されたポリエステル樹脂を導入する目的で、末端にイソシアネート基を有する変性ポリエステル樹脂及びこれと反応可能なアミン類を添加する場合は、水系媒体中にトナー組成物を分散する前に油相中でアミン類を混合しても良いし、水系媒体中にアミン類を加えても良い。上記反応に要する時間は、ポリエステルプレポリマーの有するイソシアネート基構造と、加えたアミン類との反応性により選択されるが、通常1分〜40時間、好ましくは1〜24時間である。反応温度は、通常0℃〜150℃、好ましくは20℃〜98℃である。
<洗浄、乾燥工程>
水系媒体に分散されたトナー粒子を洗浄、乾燥する工程は、公知の技術が用いられる。即ち、遠心分離機、フィルタープレスなどで固液分離した後、得られたトナーケーキを常温〜約40℃程度のイオン交換水に再分散させ、必要に応じて酸やアルカリでpH調整して再度固液分離するという工程を数回繰り返して不純物や界面活性剤などを除去する。次いで、気流乾燥機や循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機などにより乾燥してトナー粉末を得る。この際、遠心分離などでトナーの微粒子成分を取り除いても良いし、また、乾燥後に必要に応じて公知の分級機を用いて所望の粒径分布にすることもできる。
<外添処理>
得られた乾燥後のトナー粉体を前記帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入して加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
<トナーの特性>
(粒径について)
本発明のトナーを均一かつ十分に帯電させるには、トナーの体積平均粒径が3〜9μm、好ましくは4〜8μm、より好ましくは4〜7μmの範囲にあることが好ましい。3μm未満ではトナー付着力が相対的に増大し、電界によるトナー操作性が落ちるため好ましくない。また、9μmを超えると、細線の再現性など画像品位が低下する。
また、トナーの体積平均粒径と個数平均粒径の比(Dv/Dn)は、1.25以下が好ましく、1.20以下がより好ましく、1.17以下が更に好ましい。1.25を超えると、トナーの粒径の均一性が低いため突起部の大きさにバラつきが生じやすい。また、繰り返すうちに粒径の大きなトナー、又は場合によっては粒径の小さなトナーが消費され、現像装置内に残存するトナーの平均粒径が変化するため、残存したトナーを現像するための最適な現像条件がずれてしまい、その結果、帯電不良、搬送量の極端な増加又は減少、トナー詰まり、トナーこぼれなどの諸問題が発生しやすくなる。
(平均粒径について)
トナー粒子の粒度分布の測定装置としては、例えばコールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(何れもコールター社製)が挙げられる。
これらを用いた測定方法は以下の通りである。
まず、電解水溶液100〜150mL中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5mL加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を固形分にして2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定し、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上ないし40.30μm未満の粒子を対象とする。
(平均円形度について)
トナーの平均円形度は、0.930以上、好ましくは0.950以上、更に好ましくは0.970以上とするのがよい。平均円形度が0.930未満では、トナーの流動性が低いため現像における不具合を起こしやすく、また転写効率も低下する。
平均円形度の計測方法としては、粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値が平均円形度である。具体的には、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(ホソカワミクロン社製)を使用し、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150mL中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5mL加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、分散液濃度を3000〜1万個/μLとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定する。
(突起部の長辺の長さ、突起部によるトナーの被覆率について)
突起部の長辺の長さ、突起部の面積の計測は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して得られたトナーのSEM像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報を画像解析式粒度分布測定ソフトウェア“Mac−View”(マウンテック社製)に導入して解析することにより行う。解析結果に基づいて突起部の長辺の長さと突起部によるトナーの被覆率を求める方法について、図1、図2を参照しつつ説明する。
図1は本発明のトナー粒子の形状を示す模式図であり、コア粒子の表面にシェルを形成する樹脂の突起部が存在する状態を示している。また図2は被覆率の算出方法を説明するための図である。
<長辺の長さ>
突起部の重心O′を通る直線の、突起部の外周との交点をa、bとしたとき、ab間の長さが最大になる場合を突起部の長辺とする。そして100個のトナー粒子についてそれぞれ突起部の長辺の長さを計測し、その平均値を算出する。
<被覆率>
・トナーに接する平行な2本の線の最短距離を求め、それぞれの接点をA、Bとする。
・線分ABの中点Oを中心とし、線分AOの長さを直径とする円の面積と、その円内に含まれる突起部の面積から、突起部によるトナーの被覆率を算出する。
・100個のトナー粒子についてそれぞれ上記方法で被覆率を計算し平均値を求める。
(トナーの揮発成分について)
揮発成分は従来公知の方法で測定できるが、好ましくは加熱脱着システム(TDS/CIS)を備えたGC/MSを用いて測定する。測定条件は以下のとおりである。
[測定条件]
・加熱脱着システム:TDS3/CIS4(Gerstel社製)
・TDS加熱温度:150〜200℃
・TDS昇温速度:1℃/s
・TDS加熱時間:10分
・CIS冷却温度:−50℃
・GC:7890A(Agilent Techology社製)
・MS:5975C(Agilent Techology社製)
・GCカラム:HP−5m(Agilent Techology社製)
・GCカラム温度:280℃
・キャリアガス:He
試料のトナー10mgをTDS用サンプル管内に入れて昇温し、発生した気体をCISへ圧入・冷却し、濃縮する。その濃縮物を再び加熱し、気体をGCに圧入して、測定を開始した。検出された気体成分はMSで同定し、測定結果から、発生した全揮発成分の総ピーク面積とシロキサン結合を有する揮発成分のピーク面積を得る。
シロキサン結合を有する揮発成分量を表す指標として、発生した全揮発成分のピーク面積に対するシロキサン結合を有する揮発成分のピーク面積の値を定義する。その値はppmで表記する。
シロキサン結合を有する揮発成分は、150℃に加熱した際に発生する全揮発成分量に対して、1〜100ppmとする。好ましくは1〜50ppm、より好ましくは5〜30ppmである。1ppm未満では、揮発成分の定着画像への被覆が不十分となる。また、100ppmを超えると、被覆が過剰になり、定着画像の冷却を妨げることによりホットオフセットが発生しやすくなる。
(樹脂微粒子の体積平均粒径)
樹脂微粒子の体積平均粒径は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装社製、動的光散乱法/レーザードップラー法)で測定できる。
具体的には、樹脂微粒子が分散された分散液を測定濃度範囲に調整して測定する。その際、あらかじめ分散液の分散溶媒のみでバッククラウンド測定をしておく。この測定法により、本発明で用いられる樹脂微粒子の体積平均粒径範囲である、数十nm〜数μmまでを測定することが可能である。
(分子量)
ポリエステル樹脂やビニル系樹脂などの分子量は、通常のGPC(gel permeation chromatography)によって以下の条件で測定できる。
・装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
・カラム:TSKgel SuperHZM−M x 3
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:0.35mL/分
・試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.01mL注入

上記の条件で測定したトナー樹脂の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作製した分子量校正曲線を使用して質量平均分子量Mwを算出する。
単分散ポリスチレン標準試料としては、例えば5.8×100、1.085×10000、5.95×10000、3.2×100000、2.56×1000000、2.93×1000、2.85×10000、1.48×100000、8.417×100000、7.5×1000000の10点を使用する。
(ガラス転移点及び吸熱量)
ポリエステル樹脂やビニル系樹脂などのガラス転移点は、示差走査熱量計(例えばDSC−6220R:セイコーインスツル社製)を用いて、まず、室温から昇温速度10℃/分で150℃まで加熱した後、150℃で10分間放置し、室温まで試料を冷却して10分間放置し、再度150℃まで昇温速度10℃/分で加熱して、ガラス転移点以下のベースラインと、ガラス転移点以上のベースラインの高さが1/2に相当する曲線部分から求めることができる。
また、離型剤や結晶性樹脂、トナーなどの吸熱量や融点の測定も同様に行える。吸熱量は測定された吸熱ピークのピーク面積を計算することにより求められる。一般的に、トナー内部に用いる離型剤はトナーの定着温度より低い温度で融解し、その際の融解熱が吸熱ピークとなって現われる。また、離型剤によっては融解熱の他に固相での相転移による転移熱を伴うものがあるが、本発明ではその合計を融解熱の吸熱量とする。また、吸熱ピークの極小値での温度を融点とする。
また、トナー中に含まれる結晶性樹脂成分は、示差走査熱量計(Q200型温度変調DSC:TA Instruments社製)を使用し、約5mgのトナーを平均昇温速度1℃/分、温度振幅0.5℃/60秒で−20℃から150℃まで加熱し、融解熱量を測定する。検量線の作成、又は結晶性樹脂単体の融解熱量を100%として、Total Heat Flowの結晶性樹脂の融解熱量からトナー中の結晶性樹脂の量を換算することが出来る。
<プロセスカートリッジ>
本発明のトナーは、プロセスカートリッジに好適に用いることができる。このプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有する。
図3にプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の一例の概略図を示す。ここで用いられているプロセスカートリッジは、静電潜像担持体(3K)、静電潜像担持体帯電手段(7K)、静電潜像担持体から次工程へ転写後に、静電潜像担持体面上に残存するトナーを再度帯電させるための帯電付与部材(10K)、現像手段(40K)、を備えている。
なお、後述する図4に示す画像形成装置と連携するプロセスカートリッジの例については図7に示す。
動作を説明すると、静電潜像担持体(3K)が所定の周速度で回転駆動される。静電潜像担持体(3K)は回転過程において、帯電手段(7K)によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段からの画像露光光(L)を受け、静電潜像担持体(3K)表面に静電潜像が順次形成される。形成された静電潜像は、現像手段(40K)によりトナー現像され、現像されたトナー像は、転写手段(66K)により、給紙部から静電潜像担持体(3K)と転写手段(66K)との間に静電潜像担持体(3K)の回転と同期されて給送された転写材(61)に、順次転写されていく。像転写を受けた転写材(61)は静電潜像担持体面から分離されて像定着手段へ導入されて像定着され、複写物(コピ−)又は印刷物(プリント)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の静電潜像担持体(3K)の表面は、静電潜像担持体から次工程へ転写後に、静電潜像保持体面上に残存するトナーを再度帯電させるための弾性部(8K)及び導電性材料からなる導電性シート(9K)で構成された帯電付与部材(10K)によって転写残りトナーが再帯電され、静電潜像担持体帯電部を通過し、現像工程で回収され、繰り返し画像形成に使用される。
現像手段(40K)は、ケーシング(41K)に設けられた開口から周面の一部を露出させる現像ローラ(42K)を有している。現像剤担持体である現像ローラ(42K)は、その長手方向の両端からそれぞれ突出している軸が、軸受けによってそれぞれ回転自在に支持されている。ケーシング(41K)には、Kトナーが内包されており、回転駆動されるアジテータ(43K)によって図中右側から左側へと搬送される。アジテータ(43K)の図中左側方には、駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されるトナー供給ローラ(44K)が配設されている。このトナー供給ローラ(44K)のローラ部はスポンジ等の弾性発泡体からなり、アジテータ(43K)から送られてくるKトナーを良好に捕捉する。このようにして捕捉されたKトナーは、トナー供給ローラ(44K)と現像ローラ(42K)との当接部で現像ローラ(42K)に供給される。そして、現像剤担持体である現像ローラ(42K)内の表面に担持されたKトナーは、現像ローラ(42K)の図中反時計回り方向の回転駆動に伴って規制ブレード(45K)との接触位置を通過する際にその層厚が規制されたり、摩擦帯電が促されたりした後、静電潜像担持体(感光体)(3K)と対向する現像領域に搬送される。
<帯電付与部材>
静電潜像担持体から、次工程へ転写後に静電潜像保持体面上に残存するトナーを再度帯電させるための帯電付与部材は、トナー付着性を考慮した場合、絶縁性のものであるとチャージアップによる付着が生じるため、導電性のものであることが好ましい。
帯電付与部材はナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ウレタンから選ばれたシートであることが望ましく、トナー帯電性の観点から、PTFE、PVDFであることがより好ましい。
帯電付与部材の表面抵抗は10〜108Ω/sq、体積抵抗は10〜10Ω/sqであることが好ましい。また、形状はローラ、ブラシ、シート等が挙げられ、付着したトナーのリセット性を考慮するとシート構成が好ましい。帯電付与部材に印加される電圧は、トナーの帯電付与の観点から−1.4kv〜0kVであることが好ましい。
帯電付与部材が導電シートの場合、静電潜像担持体との接触圧力の観点からは、厚みが0.05〜0.5mmであることが好ましい。
また、トナーの帯電付与する際の接触時間の観点から潜像担持体と接触しているニップ幅が1〜10mmであることが好ましい。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、潜像を担持する潜像担持体と、潜像担持体表面に均一に帯電を施す帯電手段と、帯電した潜像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光手段と、潜像担持体表面に形成された静電潜像にトナーを供給し可視像化する現像手段と、潜像担持体表面の可視像を被転写体に転写する転写手段と、被転写体上の可視像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有する。
前記静電潜像の形成は、例えば前記潜像担持体の表面を帯電手段により一様に帯電させた後、露光手段により像様に露光することにより行なうことができる。
前記現像による可視像の形成は、現像剤担持体としての現像ローラ上にトナー層を形成し、該トナー層を潜像担持体である感光体ドラムと接触させるように搬送して、感光体ドラム上の静電潜像を現像することにより行われる。即ち、潜像担持体上に形成された静電潜像は、現像領域において、前記現像手段により帯電したトナーを付着させることにより現像され、トナー像となる。
トナーは、撹拌手段により攪拌され機械的に現像剤供給部材へ供給される。現像剤供給部材から供給され、現像剤担持体に堆積したトナーは、現像剤担持体の表面に当接するよう設けられた現像剤層規制部材を通過することにより均一な薄層に形成されるとともに、更に帯電される。
前記可視像の転写は、例えば、転写帯電器を用いて前記潜像担持体(感光体)を帯電することにより行なうことができ、前記転写手段により行なうことができる。
被転写体に転写された可視像の定着は定着装置を用いてなされ、各色のトナーに対し、前記被転写体に転写する毎に行なってもよいし、各色のトナーを積層した状態で一度に同時に行なってもよい。
前記定着装置としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。該加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
次に本発明の画像形成装置(プリンタ)の基本的な構成について図面を参照しつつ説明する。
図4は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図であり、電子写真方式の画像形成装置の例である。この画像形成装置は、イエロー(以下、「Y」と記す。)、シアン(以下、「C」と記す。)、マゼンタ(以下、「M」と記す。)、ブラック(以下、「K」と記す。)の4色のトナーから、カラー画像を形成するものである。
まず、複数の潜像担持体を備え、該複数の潜像担持体を表面移動部材の移動方向に並列させる画像形成装置(タンデム型画像形成装置)の基本的な構成について説明する。
この画像形成装置は、潜像担持体として4つの潜像担持体(以下感光体とも称す)(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)を備えている。なお、ここではドラム状の感光体を例に挙げているが、ベルト状の感光体を採用することもできる。
各感光体(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)は、それぞれ表面移動部材である中間転写ベルト(10)に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。
各感光体(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)は、比較的薄い円筒状の導電性基体上に感光層を形成し、更にその感光層の上に保護層を形成したものであり、また、感光層と保護層との間に中間層を設けてもよい。
図5は、感光体を配設する作像形成部(2)の構成を示す概略図である。なお、各作像形成部(2Y)、(2C)、(2M)、(2K)における各感光体(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)周りの構成は全て同じであるため、1つの作像形成部(2)についてのみ図示し、色分け用の符号(Y)、(C)、(M)、(K)については省略してある。
感光体(1)の周りには、その表面移動方向に沿って、帯電手段としての帯電装置(3)、現像手段としての現像装置(5)、感光体(1)上のトナー像を記録媒体又は中間転写ベルト(10)に転写する転写手段としての転写装置(6)、感光体(1)上の未転写トナーを除去するクリーニング装置(7)の順に配置されている。
帯電装置(3)と現像装置(5)との間には、帯電した感光体(1)の表面の画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光手段としての露光装置(4)から発せられる光が感光体(1)まで通過できるようにスペースが確保されている。
帯電装置(3)は、感光体(1)の表面を負極性に帯電させる。
この帯電装置(3)は、いわゆる接触・近接帯電方式で帯電処理を行なう帯電部材としての帯電ローラを備えている。即ち、この帯電装置(3)は、帯電ローラを感光体(1)の表面に接触又は近接させ、その帯電ローラに負極性バイアスを印加することで、感光体(1)の表面を帯電させる。感光体(1)の表面電位が−500Vとなるような直流の帯電バイアスを帯電ローラに印加している。なお、帯電バイアスとして、直流バイアスに交流バイアスを重畳させたものを利用することもできる。また、帯電装置(3)には、帯電ローラの表面をクリーニングするクリーニングブラシを設けてもよい。
帯電装置(3)は、帯電ローラの周面上の軸方向両端部分に薄いフィルムを巻き付け、これを感光体(1)の表面に当接するように設置してもよい。この構成では、帯電ローラの表面と感光体(1)の表面との間は、フィルムの厚さ分だけ離間した極めて近接した状態となる。したがって、帯電ローラに印加される帯電バイアスにより、帯電ローラの表面と感光体(1)の表面との間に放電が発生し、その放電によって感光体(1)の表面が帯電する。
このようにして帯電した感光体(1)の表面には、露光装置(4)によって露光されて各色に対応した静電潜像が形成される。この露光装置(4)は、各色に対応した画像情報に基づき、感光体(1)に対して各色に対応した静電潜像を書き込む。
なお、この露光装置(4)はレーザ方式であるが、LEDアレイと結像手段とからなる他の方式を採用することもできる。
トナーボトル(31Y)、(31C)、(31M)、(31K)から現像装置(5)内に補給されたトナーは、現像剤供給ローラ(5b)によって搬送され、現像ローラ(5a)上に担持されることになる。この現像ローラ(5a)は、感光体(1)と対向する領域(以下、「現像領域」と記す。)に搬送される。現像ローラ(5a)は、現像領域において感光体(1)の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、現像ローラ(5a)上のトナーが、感光体(1)の表面を摺擦しながら、トナーを感光体(1)の表面に供給する。このとき、現像ローラ(5a)には、電源から−300Vの現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体(1)上の静電潜像と現像ローラ(5a)との間では、現像ローラ(5a)上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、現像ローラ(5a)上のトナーは、感光体(1)上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体(1)上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像に現像される。
転写装置(6)における中間転写ベルト(10)は、3つの支持ローラ(11)、(12)、(13)に張架されており、図中矢印の方向に無端移動する構成となっている。
この中間転写ベルト(10)上には、各感光体(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)上のトナー像が、静電転写方式により互いに重なり合うように転写される。
静電転写方式には転写チャージャを用いた構成もあるが、ここでは転写チリの発生が少ない一次転写ローラ(14)を用いた構成を採用している。具体的には、各感光体(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)と接触する中間転写ベルト(10)の部分の裏面に、それぞれ転写装置(6)としての一次転写ローラ(14Y)、(14C)、(14M)、(14K)を配置している。ここでは、各一次転写ローラ(14Y)、(14C)、(14M)、(14K)により押圧された中間転写ベルト(10)の部分と各感光体(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)とによって、一次転写ニップ部が形成される。そして、各感光体(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)上のトナー像を中間転写ベルト(10)上に転写する際には、各一次転写ローラ(14)に正極性のバイアスが印加される。
これにより、各一次転写ニップ部には転写電界が形成され、各感光体(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)上のトナー像は、中間転写ベルト(10)上に静電的に付着し、転写される。
中間転写ベルト(10)の周りには、その表面に残留したトナーを除去するためのベルトクリーニング装置(15)が設けられている。このベルトクリーニング装置(15)は、中間転写ベルト(10)の表面に付着した不要なトナーをファーブラシ及びクリーニングブレードで回収する構成となっている。なお、回収した不要トナーは、ベルトクリーニング装置(15)内から搬送手段により廃トナータンクまで搬送される。
また、支持ローラ(13)に張架された中間転写ベルト(10)の部分には、二次転写ローラ(16)が接触して配置されている。この中間転写ベルト(10)と二次転写ローラ(16)との間には二次転写ニップ部が形成され、この部分に、所定のタイミングで記録部材としての転写紙が送り込まれるようになっている。この転写紙は、露光装置(4)の図中下側にある給紙カセット(20)内に収容されており、給紙ローラ(21)、レジストローラ対(22)等によって、二次転写ニップ部まで搬送される。
中間転写ベルト(10)上に重ね合わされたトナー像は、二次転写ニップ部において、転写紙上に一括して転写される。この二次転写時には、二次転写ローラ(16)に正極性のバイアスが印加され、これにより形成される転写電界によって中間転写ベルト(10)上のトナー像が転写紙上に転写される。
二次転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には定着手段としての加熱定着装置(23)が配置されている。この加熱定着装置(23)はヒータを内蔵した加熱ローラ(23a)と、圧力を加えるための加圧ローラ(23b)とを備えている。
二次転写ニップ部を通過した転写紙は、これらのローラ間に挟み込まれ、熱と圧力を受けることになる。これにより、転写紙上に載っていたトナーが溶融し、トナー像が転写紙に定着される。そして、定着後の転写紙は、排紙ローラ(24)によって、装置上面の排紙トレイ上に排出される。
現像装置(5)は、そのケーシングの開口から現像剤担持体としての現像ローラ(5a)が部分的に露出している。また、ここでは、キャリアを含まない一成分現像剤を使用している。現像装置(5)は、図4に示したトナーボトル(31Y)、(31C)、(31M)、(31K)から、対応する色のトナーの補給を受けてこれを内部に収容している。このトナーボトル(31Y)、(31C)、(31M)、(31K)は、それぞれが単体で交換できるように、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されている。このような構成とすることにより、トナーエンド時にはトナーボトル(31Y)、(31C)、(31M)、(31K)だけを交換すればよい。したがって、トナーエンド時にまだ寿命になっていない他の構成部材はそのまま利用でき、ユーザーの出費を抑えることができる。
図6は、図5における現像装置(5)の構成を示す概略図である。
現像剤収納器中の現像剤(トナー)は、現像剤供給部材としての現像剤供給ローラ(5b)で攪拌されながら、感光体(1)に供給する現像剤を表面に担持する現像剤担持体としての現像ローラ(5a)のニップ部分に運ばれる。このとき現像剤供給ローラ(5b)と現像ローラ(5a)は、ニップ部で逆方向(カウンタ回転)に回転している。更に現像ローラ(5a)に当接するように設けられた現像剤層規制部材としての規制ブレード(5c)で現像ローラ(5a)上のトナー量が規制され、現像ローラ(5a)上にトナー薄層が形成される。また、トナーは、現像剤供給ローラ(5b)と現像ローラ(5a)のニップ部と規制ブレード(5c)と現像ローラ(5a)の間で摺擦され、適正な帯電量に制御される。
図7はプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
本発明のトナーは、例えば図7に示すようなプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において使用することができる。このプロセスカ−トリッジは、静電潜像担持体、静電潜像帯電手段、現像手段、電潜像担持体等の構成要素のうち、複数のものを一体に結合して構成し、複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成する。
図7に示したプロセスカートリッジは、静電潜像担持体、静電潜像帯電手段、図6で説明した現像手段を備えている。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、特に断わらない限り「質量部」及び「質量%」を示す。
<トナー原料の調製>
(結晶性ポリエステル樹脂1)
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、1,10−デカンジオール353部、アジピン酸289部、及びジブチルスズオキシド0.8部を仕込み、常圧下、180℃で6時間反応させた。次いで、10〜15mmHgの減圧下で4時間反応させて[結晶性ポリエステル樹脂1]を得た。この[結晶性ポリエステル樹脂1]は、数平均分子量が14000、質量平均分子量が33000、融点が50℃で、融点で吸熱量が極大値を示した。
(結晶性ポリエステル樹脂2)
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、1,9−ノナンジオール160部、1,10−ドデカン二酸208部、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム5.92部、5−t−ブチルイソフタル酸16.7部、及びジブチルスズオキシド0.4部を仕込み、常圧下、180℃で6.5時間反応させた。次いで、温度を220℃とし、10〜15mmHgの減圧下で4時間反応させて[結晶性ポリエステル樹脂2]を得た。この[結晶性ポリエステル樹脂2]は、数平均分子量が42000、重量平均分子量が150000、融点が65℃で、融点で吸熱量が極大値を示した。
(結晶性ポリエステル樹脂3)
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、1,10−デカンジオール353部、アジピン酸289部、及びジブチルスズオキシド0.8部を仕込み、常圧下、180℃で8時間反応させた。次いで、10〜15mmHgの減圧下で6時間反応させて[結晶性ポリエステル樹脂3]を得た。この[結晶性ポリエステル樹脂3]は、数平均分子量が56000、質量平均分子量が180000、融点が70℃で、融点で吸熱量が極大値を示した。
(結晶性ポリエステル樹脂4)
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、エチレングリコール124部、アジピン酸139部、及びイソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム2.96部、5−t−ブチルイソフタル酸7.78部及びジブチルスズオキシド0.4部を仕込み、常圧下、180℃で5時間反応させた。次いで、減圧蒸留により過剰なエチレングリコールを除去し、温度を220℃として、10〜15mmHgの減圧下で、2.5時間反応させて[結晶性ポリエステル樹脂4]を得た。この[結晶性ポリエステル樹脂4]は、数平均分子量が3400、質量平均分子量が10000、融点が44℃で、融点で吸熱量が極大値を示した。
<非結晶性ポリエステル樹脂1>
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、230℃で8時間反応させた。次いで、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた後、反応槽中に無水トリメリット酸44部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させて[非結晶性ポリエステル樹脂1]を得た。この[非結晶性ポリエステル樹脂1]は、数平均分子量が2,500、質量平均分子量が6,700、ガラス転移温度が60℃、酸価が25mgKOH/gであった。
〔ポリウレタンプレポリマー1〕
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物235部、プロピレングリコール10部、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート254部、酢酸エチル600部、を仕込み、常圧下、80℃で3時間反応させて[ポリウレタンプレポリマー1]を得た。
〔結晶性樹脂1〕
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[結晶性ポリエステル樹脂1]430部、[ポリウレタンプレポリマー1]176部、酢酸エチル400部を仕込み、常圧下、80℃で5時間反応させた後、溶媒を除去し、結晶性ポリエステルユニットとポリウレタンプレポリマーユニットからなる[結晶性樹脂1]を得た。この[結晶性樹脂1]は、数平均分子量が15100、質量平均分子量が37000、窒素原子濃度が1.7質量%、融点が52℃であった。
〔結晶性樹脂2〕
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[結晶性ポリエステル樹脂2]430部、[ポリウレタンプレポリマー1]176部、酢酸エチル400部を仕込み、常圧下、80℃で5時間反応させた後、溶媒を除去して、結晶性ポリエステルユニットとポリウレタンプレポリマーユニットからなる[結晶性樹脂2]を得た。この[結晶性樹脂2]は、数平均分子量が45000、質量平均分子量が160000、窒素原子濃度が1.7質量%、融点が68℃であった。
〔結晶性樹脂3〕
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[結晶性ポリエステル樹脂3]430部、[ポリウレタンプレポリマー1]176部、酢酸エチル400部を仕込み、常圧下、80℃で5時間反応させた後、溶媒を除去して、結晶性ポリエステルユニットとポリウレタンプレポリマーユニットからなる[結晶性樹脂3]を得た。この[結晶性樹脂3]は、数平均分子量が60000、質量平均分子量が200000、窒素原子濃度が1.7質量%、融点が72℃であった。
〔結晶性樹脂4〕
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[結晶性ポリエステル樹脂4]430部、[ポリウレタンプレポリマー1]176部、酢酸エチル400部を仕込み、常圧下、80℃で5時間反応させた後、溶媒を除去して、結晶性ポリエステルユニットとポリウレタンプレポリマーユニットからなる[結晶性樹脂4]を得た。この[結晶性樹脂4]は、数平均分子量が5000、質量平均分子量が11000、窒素原子濃度が1.7質量%、融点が46℃であった。
〔非結晶性樹脂1〕
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[非結晶性ポリエステル樹脂1]430部、[ポリウレタンプレポリマー1]176部、酢酸エチル400部を仕込み、常圧下、80℃で5時間反応させた後、溶媒を除去して、結晶性ポリエステルユニットとポリウレタンプレポリマーユニットからなる[非結晶性樹脂1]を得た。この[非結晶性樹脂1]は、数平均分子量が14000、質量平均分子量が50000、ガラス転移温度が61℃であった。
(着色剤分散液1)
ビーカー内に銅フタロシアニン20部と着色剤分散剤(ソルスパーズ28000;アビシア社製)4部、及び酢酸エチル76部を入れ、攪拌して均一分散させた後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散して[着色剤分散液1]を得た。堀場製作所製粒子径測定装置LA−920で測定した[着色剤分散液1]の体積平均粒径は0.3μmであった。
(離型剤分散剤1)
温度計及び撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン454部、低分子量ポリエチレン(三洋化成工業社製サンワックスLEL−400:軟化点128℃)150部を投入し、窒素置換後、170℃に昇温して十分溶解し、スチレン595部、メタクリル酸メチル255部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34部及びキシレン119部の混合溶液を170℃で3時間かけて滴下して重合させ、更にこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い[離型剤分散剤1]を得た。[離型剤分散剤1]のMnは1872、Mwは5194、Tgは56.9℃であった。
(ワックス分散液1)
温度計及び撹拌機の付いた反応容器中に、パラフィンワックス(融点73℃)10部、[離型剤分散剤1]1部、酢酸エチル33部を投入し、78℃に加熱して充分溶解させ、1時間で30℃まで冷却を行ってワックスを微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミル(アイメックス製)で湿式粉砕して、[ワックス分散液1]を得た。
<ビニル系樹脂微粒子分散液1>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.7部、イオン交換水498部を入れ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム2.6部をイオン交換水104部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー200部、n−オクタンチオール4.2部の単量体混合液を90分かけて滴下し、次いで、更に60分間80℃に保ち重合させた。
その後、冷却して体積平均粒子径130nmの白色のビニル系樹脂微粒子を含有する[ビニル系樹脂微粒子分散液1](固形分約25%)を得た。この[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を2mLシャーレに取り、分散媒を蒸発させて得られた乾固物を測定したところ、数平均分子量が9500、質量平均分子量が18000、Tgが63℃であった。
<ビニル系樹脂微粒子分散液2>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.7部、イオン交換水498部を入れ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム2.6部をイオン交換水104部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー200部、n−オクタンチオール4.2部の単量体混合液を90分かけて滴下し、次いで、更に60分間95℃に保ち重合させた。
その後、冷却して、体積平均粒子径170nmの白色のビニル系樹脂微粒子を含有する[ビニル系樹脂微粒子分散液2](固形分約25%)を得た。この[ビニル系樹脂微粒子分散液2]を2mLシャーレに取り、分散媒を蒸発させて得られた乾固物を測定したところ、数平均分子量が9500、質量平均分子量が18000、Tgが63℃であった。
<ビニル系樹脂微粒子分散液3>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.7部、イオン交換水498部を入れ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム2.6部をイオン交換水104部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー200部、n−オクタンチオール4.2部の単量体混合液を90分かけて滴下し、次いで、更に60分間70℃に保ち重合させた。
その後、冷却して体積平均粒子径80nmの白色のビニル系樹脂微粒子を含有する[ビニル系樹脂微粒子分散液3](固形分約25%)を得た。この[ビニル系樹脂微粒子分散液3]を2mLシャーレに取り、分散媒を蒸発させて得られた乾固物を測定したところ、数平均分子量が9500、質量平均分子量が18000、Tgが63℃であった。
<ビニル系樹脂微粒子分散液4>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.7部、イオン交換水498部を入れ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム2.6部をイオン交換水104部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー200部、n−オクタンチオール4.2部の単量体混合液を90分かけて滴下し、次いで、更に60分間100℃に保ち重合させた。
その後、冷却して体積平均粒子径190nmの白色のビニル系樹脂微粒子を含有する[ビニル系樹脂微粒子分散液4](固形分約25%)を得た。この[ビニル系樹脂微粒子分散液4]を2mLシャーレに取り、分散媒を蒸発させて得られた乾固物を測定したところ、数平均分子量が9500、質量平均分子量が18000、Tgが63℃であった。
<ビニル系樹脂微粒子分散液5>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.7部、イオン交換水498部を入れ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム2.6部をイオン交換水102部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー184.6部、ブチルアクリレート15部、ジビニルベンゼン0.5部の単量体混合液を90分かけて滴下し、次いで、更に60分間80℃に保ち重合させた。
その後、冷却して体積平均粒子径130nmの白色のビニル系樹脂微粒子を含有する[ビニル系樹脂微粒子分散液5](固形分約25%)を得た。この[ビニル系樹脂微粒子分散液5]を2mLシャーレに取り、分散媒を蒸発させて得られた乾固物を測定したところ、数平均分子量が34000、質量平均分子量が160000、Tgが88℃であった。
<ビニル系樹脂微粒子分散液6>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.7部、イオン交換水498部を入れ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム2.5部をイオン交換水98部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー160部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(EO=2mol)(新中村化学社製M−20G)40部の単量体混合液を90分かけて滴下し、次いで、更に60分間80℃に保ち重合させた。
その後、冷却して体積平均粒子径130nmの白色のビニル系樹脂微粒子を含有する[ビニル系樹脂微粒子分散液6](固形分約25%)を得た。この[ビニル系樹脂微粒子分散液6]を2mLシャーレに取り、分散媒を蒸発させて得られた乾固物を測定したところ、数平均分子量が98000、質量平均分子量が420000、Tgが56℃であった。
<ビニル系樹脂微粒子分散液7>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.7部、イオン交換水498部を入れ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム2.7部をイオン交換水108部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー160部、メタクリル酸メチル40部の単量体混合液を90分かけて滴下し、次いで、更に60分間80℃に保ち重合させた。
その後、冷却して体積平均粒子径130nmの白色のビニル系樹脂微粒子を含有する[ビニル系樹脂微粒子分散液7](固形分約25%)を得た。この[ビニル系樹脂微粒子分散液7]を2mLシャーレに取り、分散媒を蒸発させて得られた乾固物を測定したところ、数平均分子量が60000、質量平均分子量が216000、Tgが94℃であった。
<ビニル系樹脂微粒子分散液8>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.7部、イオン交換水498部を入れ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム2.7部をイオン交換水108部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー120部、メタクリル酸メチル80部の単量体混合液を90分かけて滴下し、次いで、更に60分間80℃に保ち重合させた。
その後、冷却して体積平均粒子径130nmの白色のビニル系樹脂微粒子を含有する[ビニル系樹脂微粒子分散液8](固形分約25%)を得た。この[ビニル系樹脂微粒子分散液8]を2mLシャーレに取り、分散媒を蒸発させて得られた乾固物を測定したところ、数平均分子量が53000、質量平均分子量が132000、Tgが72℃であった。
上記のようにして調製したトナー原料を用い、以下のようにして、実施例及び比較例のトナーを製造した。
[実施例1]
<樹脂溶液の製造>
温度計及び撹拌機の付いた反応容器中に、[結晶性樹脂1]100部、酢酸エチル100部を入れ、50℃まで加温し攪拌して均一相の[樹脂溶液1]を得た。
次いで、ビーカー内に[樹脂溶液1]60部、[ワックス分散液1]27部、及び[着色剤分散液1]10部を入れ、50℃で、TK式ホモミキサーを用いて8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[トナー材料液1]を得た。
一方、ビーカー内にイオン交換水97部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%水性分散液6部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製:エレミノールMON−7)10部を入れて均一に溶解した。
次いで、50℃で、TK式ホモミキサーを用いて10,000rpmで撹拌しながら、[トナー材料液1]75部を投入して2分間撹拌し、[スラリー1]を得た。
<突起部作製工程(結着樹脂粒子への樹脂微粒子付着工程)>
25℃で[スラリー1]を、スリーワンモーターを用いて200rpmで攪拌しながら、前記[ビニル系樹脂微粒子分散液1]21.4部を5分間かけて滴下し、そのまま30分攪拌し続けて[突起部作製後スラリー1]を得た。このスラリー1からサンプルを少量採取して10倍の水で希釈し、遠心分離装置を用いて遠心分離したところ、試験管の底にトナー母体粒子が沈降し、上澄み液はほぼ透明であった。
<脱溶剤>
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[突起部作製後スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤を行い、[分散スラリー1]を得た。
<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>
エタノール(関東化学社製:特級)999gに、オクタメチルシクロテトラシロキサン1g(和光純薬工業社製)を加え、オクタメチルシクロテトラシロキサンの0.1%エタノール溶解液を作製した。
次いで、[分散スラリー1]に、上記0.1%溶解液を0.3g加え、スリーワンモーターを用い回転数130〜350rpmの間に調整して30分攪拌し、[オクタメチルシクロテトラシロキサン添加後分散スラリー1]を得た。
<洗浄→乾燥>
[オクタメチルシクロテトラシロキサン添加後分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、下記(1)〜(4)の操作により洗浄・乾燥して、実施例の[トナー1]を得た。この[トナー1]を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、得られたSEM画像から突起部の長辺の長さを測定したところ、平均が0.18μmであった。また、この[トナー1]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、50J/gであった。

(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μS/cm以下となるように、この操作を繰り返した。
(3):(2)のリスラリー液のpHが4となるように10%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターで攪拌し30分後に濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μS/cm以下となるように、この操作を繰り返し[濾過ケーキ1]を得た。残りの[分散スラリー1]も同様に洗浄し、[濾過ケーキ1]として追加混合した。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機により45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体1]を得た。この[トナー母体1]50部に、[無機微粒子1]1部と、[無機微粒子2]3部を加えてヘンシェルミキサーで混合した。
[実施例2]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液2]に変えた点以外は[実施例1]と同様にして[トナー2]を得た。この[トナー2]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.48μmであった。またこの[トナー2]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、50J/gであった。
[実施例3]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液3]に変えた点以外は[実施例1]と同様にして[トナー3]を得た。この[トナー3]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。またこの[トナー3]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、50J/gであった。
[実施例4]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液4]に変えた点以外は[実施例1]と同様にして[トナー4]を得た。この[トナー4]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.53μmであった。またこの[トナー4]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、50J/gであった。
[実施例5]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液5]に変えた点以外は[実施例1]と同様にして[トナー5]を得た。この[トナー5]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。またこの[トナー5]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、50J/gであった。
[実施例6]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液6]に変えた点以外は[実施例1]と同様にして[トナー6]を得た。この[トナー6]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。またこの[トナー6]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、50J/gであった。
[実施例7]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液7]に変えた点以外は[実施例1]と同様にして[トナー7]を得た。この[トナー7]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。またこの[トナー7]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、50J/gであった。
[実施例8]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液7]に、[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂2]に変えた点以外は、[実施例1]と同様にして[トナー8]を得た。この[トナー8]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。また、この[トナー8]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、56J/gであった。
[実施例9]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液5]に、[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂3]に変えた点以外は、[実施例1]と同様にして[トナー9]を得た。この[トナー9]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。また、この[トナー9]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、52J/gであった。
[実施例10]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液3]に、[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂4]に変えた点以外は、[実施例1]と同様にして[トナー10]を得た。この[トナー10]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。また、この[トナー10]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、46J/gであった。
[実施例11]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液3]に、オクタメチルシクロテトラシロキサンの0.1%溶解液の添加量を0.4gに変えた点以外は、[実施例1]と同様にして[トナー11]を得た。この[トナー11]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。また、この[トナー11]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ50J/gであった。
[実施例12]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液3]に、オクタメチルシクロテトラシロキサンの0.1%溶解液の添加量を0.6gに変えた点以外は、[実施例1]と同様にして[トナー12]を得た。この[トナー12]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。また、この[トナー12]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ50J/gであった。
[実施例13]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液3]に、オクタメチルシクロテトラシロキサンの0.1%溶解液の添加量を0.7gに変えた点以外は、[実施例1]と同様にして[トナー13]を得た。この[トナー13]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。また、この[トナー13]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ50J/gであった。
[実施例14]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液3]に、オクタメチルシクロテトラシロキサンの0.1%溶解液の添加量を1.2gに変えた点以外は、[実施例1]と同様にして[トナー14]を得た。この[トナー14]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。また、この[トナー14]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ50J/gであった。
[実施例15]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液6]に、[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂4]に、オクタメチルシクロテトラシロキサンの0.1%溶解液の添加量を1.2gに変えた点以外は[実施例1]と同様にして[トナー15]を得た。この[トナー15]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。また、この[トナー15]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、46J/gであった。
[実施例16]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液6]に、[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂4]に、オクタメチルシクロテトラシロキサンの0.1%溶解液の添加量を0.07gに変えた点以外は[実施例1]と同様にして[トナー16]を得た。この[トナー16]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ平均は0.13μmであった。また、この[トナー16]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、46J/gであった。
[実施例17]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液8]に変えた点以外は[実施例1]と同様にして[トナー17]を得た。この[トナー17]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.18μmであった。また、この[トナー17]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ50J/gであった。
[実施例18]
[結晶性樹脂1]100部を、[結晶性樹脂1]50部と[非結晶性樹脂1]50部に変えた点以外は[実施例1]と同様にして[トナー18]を得た。この[トナー18]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ平均は0.18μmであった。また、この[トナー18]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、20J/gであった。
[比較例1]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液6]に、[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂4]に、オクタメチルシクロテトラシロキサンの0.1%溶解液の添加量を0.06gに変えた点以外は[実施例1]と同様にして比較例の[トナー17]を得た。この[トナー17]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。また、この[トナー17]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、46J/gであった。
[比較例2]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液6]に、[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂4]に、オクタメチルシクロテトラシロキサンの0.1%溶解液の添加量を1.3gに変えた点以外は[実施例1]と同様にして比較例の[トナー18]を得た。この[トナー18]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。また、この[トナー18]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、46J/gであった。
[比較例3]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液6]に、[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂2]に、オクタメチルシクロテトラシロキサンの0.1%溶解液の添加量を1.2gに変えた点以外は[実施例1]と同様にして比較例の[トナー19]を得た。この[トナー19]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。また、この[トナー19]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、56J/gであった。
[比較例4]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を[ビニル系樹脂微粒子分散液6]に、[結晶性樹脂1]を[非結晶性樹脂1]に、オクタメチルシクロテトラシロキサンの0.1%溶解液の添加量を1.2gに変えた点以外は[実施例1]と同様にして比較例の[トナー20]を得た。この[トナー20]について[実施例1]と同様にして突起部の長辺の長さを測定したところ、平均は0.13μmであった。
[比較例5]
[ビニル系樹脂微粒子分散液1]の添加工程を省略し、[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂4]に、オクタメチルシクロテトラシロキサンの0.1%溶解液の添加量を1.2gに変えた点以外は、[実施例1]と同様にして比較例の[トナー21]を得た。また、この[トナー21]をDSC測定し、昇温1回目の融解熱量を測定したところ、46J/gであった。
上記実施例及び比較例で得た各トナーについて、以下のようにして特性を測定し、評価した。結果を纏めて表1に示す。
なお、オクタメチルシクロテトラシロキサン量は、外添剤添加後のサンプルについて段落〔0082〕〜〔0083〕(トナーの揮発成分について)に記載した方法で測定した値である。
また、ここではトナーを一成分トナーとして用いた場合について評価したが、本発明のトナーは、好適な外添処理とキャリアを採用して二成分トナーとして用いてもよい。
<耐ホットオフセット性>
リコー社製複写機MF2200の定着部を改造した装置を用い、これにリコー社製のタイプ6200紙をセットして複写テストを行なった。定着温度を変化させてホットオフセット温度(耐ホットオフセット温度)を求め、下記の基準で評価した。ホットオフセットの評価条件は、紙送りの線速度50mm/sec、面圧2.0Kgf/cm、ニップ幅4.5mmとした。
[評価基準]
◎:200℃以上
○:190℃以上、200℃未満
△:170℃以上、190℃未満
×:170℃未満
<低温定着性>
トナーを改造したリコー社製のプリンタIPSiO SP C220に入れ、リコー社製のタイプ6200Y目紙上に、トナー付着量が10g/mになるように設定して50mm角の未定着ベタ画像をプリントアウトしたものを19枚用意した。
次に、改造した定着ユニットを用い、システムスピードを280mm/secに設定し、用意した未定着のベタ画像を通紙して画像を定着させた。定着温度を120℃から5℃刻みで200℃まで上げて試験を行った。定着画像を内側にして紙を折り曲げ、再度広げた後、消しゴムで軽く擦り、折り目が消えなかった最低温度を定着下限温度とし、次の基準で評価した。
[評価基準]
◎:定着下限温度が100℃未満
○:定着下限温度が100℃以上、110℃未満
△:定着下限温度が110℃以上、120℃未満
×:定着下限温度が120℃以上
<帯電性(地汚れ)>
トナーをリコー社製のプリンタIPSiO SP C220のBkカートリッジに入れ、白紙に日本画像学会発行のテストチャートNo.8の5%チャートを1枚プリントアウトしたときの白紙上及び感光体上を目視で観察し、次の基準で評価した。
[評価基準]
◎:白紙上にも感光体上にもトナーの付着は見られない。
○:白紙上にはトナーの付着は見られないが、感光体を斜めにして観察すると、
うっすらとトナーの付着が見られる。
△:白紙を斜めにして観察すると、うっすらとトナーの付着が見られる。
×:白紙に明らかにトナーの付着が見られる。
<固着耐性>
上記プリントアウト画像の印字部分を観察し、白いスジの有無及び現像ローラに当接している規制ブレードへのトナー固着の様子を観察し、次の基準で評価した。
[評価基準]
◎:画像には白いスジは見られず、規制ブレードへの固着も見られない。
○:画像には白いスジは見られなかったが、規制ブレードへはわずかにトナー固着
が見られた。ただし、固着物は軽く擦ると簡単に取れる。
△:画像には僅かに白いスジが見られ、規制ブレードにもトナー固着が見られた。
固着物は軽く擦っても簡単には取れなかった。
×:画像には白いスジが見られ、規制ブレードにもトナー固着が見られた。
〔図3〕について
L 画像露光光
3K 静電潜像担持体
7K 静電潜像担持体帯電手段
8K 弾性部
9K 導電性シート
10K 帯電付与部材
40K 現像手段
41K ケーシング
42K 現像ローラ
43K アジテータ
44K トナー供給ローラ
45K 規制ブレード
61 転写材
66K 転写手段

〔図4〕〜〔図7〕について
1 感光体
1Y イエロー潜像担持体(感光体)
1C シアン潜像担持体(感光体)
1M マゼンタ潜像担持体(感光体)
1K ブラック潜像担持体(感光体)
2Y イエロー作像形成部
2C シアン作像形成部
2M マゼンタ作像形成部
2K ブラック作像形成部
3 帯電装置
4 露光装置
5 現像装置
5a 現像ローラ
5b 現像剤供給ローラ
5c 規制ブレード
6 転写装置
7 クリーニング装置
10 中間転写ベルト
11 支持ローラ
12 支持ローラ
13 支持ローラ
14 一次転写ローラ
14Y イゼロー一次転写ローラ
14C シアン一次転写ローラ
14M マゼンタ一次転写ローラ
14K ブラック一次転写ローラ
15 ベルトクリーニング装置
16 二次転写ローラ
20 給紙カセット
21 給紙ローラ
22 レジストローラ対
23 加熱定着装置
23a 加熱ローラ
23b 加圧ローラ
24 排紙ローラ
31Y イゼロートナーボトル
31C シアントナーボトル
31M マゼンタトナーボトル
31K ブラックトナーボトル
T トナー(現像剤)
特開2004−191927号公報 特開2003−107793号公報

Claims (12)

  1. 少なくとも結着樹脂と着色剤を含有するコア粒子の表面にシェルを有する静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が結晶性樹脂を必須成分として含有し、前記シェルを形成する樹脂のガラス転移温度が前記結着樹脂の融点よりも高く、かつトナーを150℃に加熱した際に発生するガスの中に、シロキサン結合を有する揮発成分が1〜100ppm含まれることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記シロキサン結合を有する揮発成分の量が5〜30ppmであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記トナーの示差走査熱量計(DSC)による測定において、昇温1回目の融解熱量が最大となるピークの融解熱量が、20J/g以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記シェルが樹脂微粒子からなる複数の突起部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記結晶性樹脂として、ウレタン及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記結晶性樹脂として、融点(Tm1)が下記式を満たす結晶性樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
    50℃≦Tm1≦70℃
  7. 前記シェルを形成する樹脂がビニル系樹脂であり、そのガラス転移温度(Tg)が下記式を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
    60℃≦Tg≦90℃
  8. 前記ビニル系樹脂がスチレンを70質量%以上含むモノマー混合物を重合させて得られる樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 前記突起部における長辺の長さの平均が、0.15〜0.5μmであることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いた現像装置。
  11. 請求項10に記載の現像装置を用いたプロセスカートリッジ。
  12. 請求項11に記載のプロセスカートリッジを用いた画像形成装置。
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