次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
上記延展性が小さいトナーとは、23℃における1粒子の記録媒体上への投影面積S(23)に対する120℃における1粒子の記録媒体上への投影面積S(120)の比が1.60以下であるトナーを意味する。このとき、S(120)/S(23)が1.60を超えると、定着幅が小さくなる。
なお、S(120)/S(23)は、以下のようにして測定することができる。まず、キャリアとトナーを混合した現像剤をメッシュ上に乗せた後、エアーで記録媒体上に吹き付け、記録媒体上でトナーが1粒子毎にばらけるように付着させる。次に、記録媒体のトナーが付着した箇所を10mm四方に切り出し、加熱プレート上に乗せる。さらに、加熱プレートを10℃/minで昇温させ、光学顕微鏡で観察しながら、静止画を撮影する。次に、撮影された静止画から、画像解析ソフトを用いて、トナーの1粒子の記録媒体上への投影面積を求め、S(120)/S(23)を算出する。ここで、トナーの1粒子の記録媒体上への投影面積は、トナー50粒子の平均値として求めることができる。
図1、画像形成装置の一例を示す。
画像形成装置1は、プリンターであるが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ、複合機等のトナーを用いて画像を形成することが可能であれば、特に限定されない。
画像形成装置1は、給紙部210と、搬送部220と、作像部230と、転写部240と、定着器250を備えている。
給紙部210は、給紙される用紙Pが積載された給紙カセット211と、給紙カセット211に積載された用紙Pを一枚ずつ給紙する給紙ローラ212を備えている。
搬送部220は、給紙ローラ212により給紙された用紙Pを転写部240の方向へ搬送するローラ221と、ローラ221により搬送された用紙Pの先端部を挟み込んで待機し、用紙を所定のタイミングで転写部240に送り出す一対のタイミングローラ222と、カラートナー像が定着した用紙Pを排紙トレイ224に排紙する排紙ローラ223を備えている。
作像部230は、所定の間隔をおいて、図中、左方から右方に向かって順に、イエロートナーを有した現像剤を用いて画像を形成する画像形成ユニットYと、シアントナーを有した現像剤を用いる画像形成ユニットCと、マゼンタトナーを有した現像剤を用いる画像形成ユニットMと、ブラックトナーを有した現像剤を用いる画像形成ユニットKと、露光器233を備えている。
なお、画像形成ユニット(Y,C,M,K)のうち、任意の画像形成ユニットを示す場合には、画像形成ユニットという。
また、現像剤は、トナーとキャリアを有する。
4つの画像形成ユニット(Y,C,M,K)は、それぞれに用いられる現像剤が異なるのみで、機械的な構成は実質的に同一である。
画像形成ユニット(Y,C,M,K)は、図中、時計回りに回転可能に設けられており、静電潜像及びトナー像が形成される感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)と、感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面を一様に帯電させる帯電器(232Y,232C,232M,232K)と、露光器233により感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面に形成された静電潜像を各色のトナーを用いてトナー像に現像する現像器(180Y,180C,180M,180K)と、感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面に残ったトナーを除去する各清掃器(236Y,236C,236M,236K)を備えている。
また、画像形成ユニット(Y,C,M,K)は、各色のトナーを収容するトナーカートリッジ(234Y,234C,234M,234K)と、トナーカートリッジ(234Y,234C,234M,234K)から供給されたトナーを補給するためのサブホッパ(160Y,160C,160M,160K)を備えている。
トナーカートリッジ234に収容されたトナーは、吸引ポンプ(不図示)により排出され、供給管(不図示)を経由してサブホッパ160に供給される。サブホッパ160は、トナーカートリッジ234から供給されたトナーを搬送して、現像装置180に補給する。現像装置180は、サブホッパ160により補給されたトナーを用いて、感光体ドラム231上に形成された静電潜像を現像する。
なお、感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)のうち、任意の感光体ドラムを示す場合には、感光体ドラム231という。
また、帯電器(232Y,232C,232M,232K)のうち、任意の帯電器を示す場合には帯電器232という。
さらに、トナーカートリッジ(234Y,234C,234M,234K)のうち、任意のトナーカートリッジを示す場合にはトナーカートリッジ234という。
また、サブホッパ(160Y,160C,160M,160K)のうち、任意のサブホッパを示す場合にはサブホッパ160という。
さらに、現像装置(180Y,180C,180M,180K)のうち、任意の現像装置を示す場合には現像装置180という。
また、清掃器(236Y,236C,236M,236K)のうち、任意の清掃器を示す場合には清掃器236という。
感光体ドラム231としては、特に限定されないが、アモルファスシリコン感光体ドラム、セレン感光体ドラム等の無機感光体ドラム、ポリシラン感光体ドラム、フタロポリメチン感光体ドラム等の有機感光体ドラム等が挙げられる。中でも、長寿命の点で、アモルファスシリコン感光体ドラムが好ましい。
帯電器232としては、特に限定されないが、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器等が挙げられる。
帯電器232は、感光体ドラム231に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することにより、感光体ドラム231の表面を帯電することが好ましい。
また、帯電器232は、ギャップテープを介して感光体ドラム231に非接触に近接配置された帯電ローラであり、直流電圧及び交流電圧を帯電ローラに重畳印加することにより、感光体ドラム231の表面を帯電させることが好ましい。
露光器233は、画像情報に基づいて光源233aから発せられたレーザ光Lを、モータにより回転駆動されるポリゴンミラー233b(233bY,233bC,233bM,233bK)により反射させて感光体ドラム231に照射する。
露光器233としては、帯電器232により帯電した感光体ドラム231の表面に、形成すべき像様に露光することが可能であれば、特に限定されないが、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光器が挙げられる。
なお、感光体ドラム231の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
現像器180としては、現像剤を用いて現像することが可能であれば、特に限定されないが、現像剤を収容し、静電潜像に現像剤を接触又は非接触的に付与する現像器が好ましく、現像剤入り容器を備えた現像器がさらに好ましい。
現像器180は、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよい。
清掃器236としては、感光体ドラム231の表面に残留したトナーを除去することが可能であれば、特に限定されないが、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等の清掃部材を備えた清掃器が好ましい。
清掃器236によりトナーが除去された感光体ドラム231は、除電されて、残存電位が除去されることにより、感光体ドラム231上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
転写部240は、駆動ローラ241及び従動ローラ242と、駆動ローラ241の駆動に伴い、図中、反時計回りに回転することが可能な中間転写ベルト243と、中間転写ベルト243を挟んで、感光体ドラム231に対向して設けられた一次転写ローラ(244Y,244C,244M,244K)と、トナー像の用紙への転写位置において中間転写ベルト243を挟んで対向して設けられた二次対向ローラ245及び二次転写ローラ246を備えている。
なお、一次転写ローラ(244Y,244C,244M,244K)のうち、任意の一次転写ローラを示す場合には、一次転写ローラ244という。
一次転写ローラ244には、トナーの極性とは逆極性の一次転写バイアスが印加される。一方、中間転写ベルト243は、一次転写ローラ244及び感光体ドラム231の間に挟まれて一次転写ニップが形成される。これにより、感光体ドラム231の表面に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト243上に転写(一次転写)される。この場合、中間転写ベルト243が、図中、矢印方向に回転することにより、感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)上に形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト243上に順次転写されてカラートナー像が形成される。
転写部240の二次転写ローラ246には、二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写ニップで、二次転写ローラ246及び二次対向ローラ245の間に挟まれた用紙Pに、中間転写ベルト243上に形成されたカラートナー像が転写(二次転写)され
る。
定着器250は、ヒータが内部に設けられており、用紙Pを加熱する定着ベルト251を、定着ベルト251に対して、回転可能に加圧することによりニップを形成する加圧ローラ252を備えている。これにより、用紙P上のカラートナー像に熱と圧力が印加されて、カラートナー像が定着する。カラートナー像が定着した用紙Pは、排紙ローラ223により排紙トレイ224に排紙され、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図2及び図3を用いて、作像部230の構成をさらに詳しく説明する。
現像器180は、第1収容部181に設けられた第1搬送スクリュー182と、濃度検知センサ187、第2収容部183に設けられた第2搬送スクリュー184と、現像ローラ185と、ドクターブレード186を備えている。第1収容部181及び第2収容部183は、予めキャリアを収容している。
第1収容部181には、サブホッパ160と接続した補給口B1が形成されている。なお、濃度検知センサ187による検知結果に基づいて、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように、サブホッパ160によるトナーの補給が制御されている。
第1収容部181に補給されたトナーは、第1搬送スクリュー182及び第2搬送スクリュー184により、キャリアと混合・攪拌されながら、第1収容部181及び第2収容部183を、図中、矢印方向に循環する。このとき、循環するトナーは、摩擦帯電によりキャリアに吸着する。
現像ローラ185は、マグネットローラ(不図示)を内包し、マグネットローラの発する磁力により、第2収容部183内を搬送されるトナーは、キャリアと共に、現像ローラ185に吸着する。現像ローラ185に吸着した現像剤は、現像ローラ185の回転に伴って搬送され、ドクターブレード186により厚さが規制される。厚さが規制された現像剤は、感光体ドラム231に対向する位置に搬送され、感光体ドラム231上に形成された静電潜像にトナーが吸着する。これにより、感光体ドラム231上にトナー像が形成される。現像ローラ185上のトナーを消費した現像剤は、現像ローラ185の回転に伴い、第2収容部183に戻される。さらに、トナーを消費した現像剤は、第2搬送スクリュー184により第2収容部183内を搬送され、連通孔B3を経由して第1収容部181内に戻される。
次に、図4を用いて、定着器250の構成をさらに詳しく説明する。
定着器250は、可撓性を有する無端状の定着ベルト251と、加圧ローラ252の他に、支持部材24と、ハロゲンヒータ25と、サーモパイル40を備えている。ここで、定着ベルト251は、図中、矢印方向(反時計方向)に回転する。
定着ベルト251は、基材21上に、弾性層22及び離型層23が順次積層されている(図5参照)。
定着ベルト251の全体の厚さは、通常、1mm以下である。
基材21の厚さは、通常、20〜50μmである。
基材21を構成する材料としては、特に限定されないが、ニッケル、ステンレス鋼等の金属材料、ポリイミド等の樹脂材料が挙げられる。中でも、低温定着性に優れることから、ニッケル又はポリイミドが好ましい。
弾性層22の厚さは、100μm以上であることが好ましい。弾性層22の厚さが100μm未満であると、トナー像の表面の微小な凹凸に追従することができず、低温定着性が低下することがある。なお、弾性層22の厚さは、通常、300μm以下である。
弾性層22を構成する材料としては、特に限定されないが、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料が挙げられる。
離型層23の厚さは、10μm以下であることが好ましい。離型層23の厚さが10μmを超えると、トナー像の表面の微小な凹凸に追従することができず、低温定着性が低下することがある。なお、離型層23の厚さは、通常、30μm以上である。
離型層23を構成する材料としては、特に限定されないが、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルスルフィド)等が挙げられる。
定着ベルト251の23℃におけるマルテンス硬度は、1.0N/mm2以下であり、0.5N/mm2以下であることが好ましい。定着ベルト251の23℃におけるマルテンス硬度が1.0N/mm2を超えると、トナー像の表面の微小な凹凸に追従することができず、低温定着性が低下する。なお、定着ベルト251の23℃におけるマルテンス硬度は、通常、2.0N/mm2以上である。
なお、定着ベルト251のマルテンス硬度は、以下のようにして測定することができる。まず、定着ベルト251を10mm四方の大きさにカットした後、硬度測定装置Fisherscope H−100(フィッシャーインストルメンツ社製)のステージ上に、離型層23を上にして置き、23℃で測定する。圧子としては、マイクロビッカース圧子を用い、最大押し込み深さを20μmとして、定着ベルト251に対して、負荷除荷繰り返し試験を行う。
定着ベルト251の外径は、通常、20〜40mmである。
定着ベルト251の内部(内周面側)には、ハロゲンヒータ25、支持部材24が設けられている。また、定着ベルト251は、支持部材24により支持された接触部材26及び摺動部材27により加圧されて、加圧ローラ252との間にニップを形成する。これにより、ニップにおいて、接触部材26及び摺動部材27が大きく変形する不具合を抑止している。
このとき、ニップの面圧は、1.5kgf/cm2以下であり、1.3kgf/cm2以下であることが好ましい。ニップの面圧が1.5kgf/cm2を超えると、耐ホットオフセット性が低下しやすくなる。また、耐久性を維持するために、支持部材24や加圧ローラ252の芯金31を厚くする必要があり、定着器250の熱容量が増加し、省エネルギー性が低下する。なお、ニップの面圧は、通常、0.5kgf/cm2以上である。
支持部材24は、幅方向の長さが接触部材26及び摺動部材27と同等になるように形成されていて、幅方向の両端部が定着器250の側板(不図示)に固定されている。
支持部材24を構成する材料としては、特に限定されないが、ステンレス鋼、鉄等の機械的強度が高い金属材料が挙げられる。
加圧ローラ252による加圧方向に沿って横長の断面を有するように支持部材24を形成することが好ましい。これにより、断面係数が大きくなって支持部材24の機械的強度を高めることができる。
支持部材24のハロゲンヒータ25に対向する面の一部又は全部に、鏡面処理が施された反射板28が設けられている。これにより、ハロゲンヒータ25から支持部材24に向かう熱が定着ベルト251の加熱に用いられることになるため、定着ベルト251の加熱効率を向上させることができる。
ハロゲンヒータ25は、両端部が定着器250の側板(不図示)に固定されている。そして、画像形成装置1の電源部により出力制御されたハロゲンヒータ25の輻射熱により、定着ベルト251が加熱される。さらに、定着ベルト251の表面から用紙P上のカラートナー像Tに熱が印加される。なお、ハロゲンヒータ25の出力は、定着ベルト251の表面に対向するサーモパイル40による定着ベルト251の表面温度の検知結果に基づいて制御される。また、ハロゲンヒータ25の出力制御により、定着ベルト251の表面温度を所望の温度に設定することができる。
このように、定着器250は、定着ベルト251の一部のみが局所的に加熱されることなく、定着ベルト251が周方向に亘ってほぼ全体的に加熱されるため、定着器250を高速化した場合であっても定着ベルト251が充分に加熱されて定着不良の発生を抑止することができる。すなわち、比較的簡易な構成で効率よく定着ベルト251を加熱できるために、ウォームアップ時間やファーストプリント時間が短縮化されると共に、定着器250を小型化することができる。
加圧ローラ252の外径は、通常、20〜40mmである。
加圧ローラ252は、芯金31上に、弾性層32が形成されている。
芯金31を構成する材料としては、特に限定されないが、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属材料が挙げられる。
弾性層32を構成する材料としては、特に限定されないが、発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料が挙げられる。
なお、弾性層32上に、離型層を形成してもよい。
離型層を構成する材料としては、特に限定されないが、PFA、PTFE等が挙げられる。
加圧ローラ252には、駆動機構(不図示)の駆動ギア(不図示)に噛合するギア(不図示)が設置されていて、図中、矢印方向(時計方向)に回転駆動される。また、加圧ローラ252は、軸方向の両端部が定着器250の側板(不図示)に、軸受を介して、回転自在に支持されている。
なお、加圧ローラ252の内部に、ハロゲンヒータ等の熱源を設けることもできる。
弾性層32が発泡性シリコーンゴム等のスポンジ状の材料を含む場合には、ニップに作用する圧力を減少させることができる。このため、接触部材26及び摺動部材27に発生する撓みを軽減することができる。さらに、加圧ローラ252の断熱性が高められて、定着ベルト251の熱が加圧ローラ252の側に移動しにくくなるために、定着ベルト251の加熱効率が向上する。
なお、定着ベルト251の外径は、加圧ローラ252の外径と同等であるが、加圧ローラ252の外径よりも小さくてもよい。この場合、ニップにおける定着ベルト251の曲率が加圧ローラ252の曲率よりも小さくなるために、ニップから送出される用紙Pが定着ベルト251から分離されやすくなる。
以下、定着器250の動作について説明する。
画像形成装置1の電源スイッチが投入されると、ハロゲンヒータ25に電力が供給されると共に、加圧ローラ252の、図中、矢印方向の回転駆動が開始される。このとき、加圧ローラ252との摩擦力により、定着ベルト251も、図中、矢印方向に従動(回転)する。その後、給紙部210から用紙Pが給送されて、2次転写ローラ89の位置で、用紙P上にカラートナー像が転写される。カラートナー像Tが転写された用紙Pは、入口ガイド板45に案内されながら、Y方向に搬送されて、定着ベルト251及び加圧ローラ252の間のニップに送入される。ハロゲンヒータ25により加熱された定着ベルト251による加熱と、支持部材24により支持された接触部材26及び摺動部材27と加圧ローラ252の間の圧力により、用紙Pの表面にカラートナー像Tが定着される。その後、ニップから送出された用紙Pは、分離板46及び出口ガイド板47に案内されながら、Y方向に搬送される。
図6に、定着器250の変形例を示す。なお、図6において、図4と同一の構成については、同一の符号を付して、説明を省略する。
定着器250Aは、可撓性を有する無端状の定着ベルト251と、加圧ローラ252の他に、定着ローラ253と、加熱ローラ254と、ハロゲンヒータ25を備えている。
定着ベルト251は、定着ローラ253及び加熱ローラ254により支持されている。
定着ローラ253は、芯金41上に、弾性層42が形成されている。
芯金41を構成する材料としては、特に限定されないが、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属材料が挙げられる。
弾性層42を構成する材料としては、特に限定されないが、発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料が挙げられる。
加熱ローラ254の内部(内周面側)には、ハロゲンヒータ25が設けられている。
図7に、定着器250の変形例を示す。なお、図7において、図4及び図6と同一の構成については、同一の符号を付して、説明を省略する。
定着器250Bは、可撓性を有する定着スリーブ255と、加圧ローラ252の他に、定着ローラ253と、IHコイル29を備えている。
定着スリーブ255は、定着ローラ253上に形成されており、基材51上に、発熱層52、弾性層53及び離型層54が順次積層されている(図8参照)。
定着スリーブ255の全体の厚さは、通常、1mm以下である。
基材51の厚さは、通常、20〜50μmである。
基材51を構成する材料としては、特に限定されないが、ニッケル、ステンレス鋼等の金属材料、ポリイミド等の樹脂材料が挙げられる。中でも、トナー像の表面の微小な凹凸に追従することができ、低温定着性に優れることから、ニッケル又はポリイミドが好ましい。
発熱層52の厚さは、通常、10〜20μmである。
発熱層52を構成する材料としては、誘導加熱することが可能であれば、特に限定されないが、銅等が挙げられる。
弾性層53の厚さは、100μm以上であることが好ましい。弾性層53の厚さが100μm未満であると、低温定着性が低下することがある。なお、弾性層53の厚さは、通常、300μm以下である。
弾性層53を構成する材料としては、特に限定されないが、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料が挙げられる。
離型層54の厚さは、10μm以下であることが好ましい。離型層54の厚さが10μmを超えると、低温定着性が低下することがある。
離型層54を構成する材料としては、特に限定されないが、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等が挙げられる。
定着スリーブ255の23℃におけるマルテンス硬度は、1.0N/mm2以下であり、0.5N/mm2以下であることが好ましい。定着スリーブ255の23℃におけるマルテンス硬度が1.0N/mm2を超えると、トナー像の表面の微小な凹凸に追従することができず、低温定着性が低下する。
なお、定着スリーブ255のマルテンス硬度は、定着ローラ253から定着スリーブ255を剥離した後、定着ベルト251と同様にして、測定することができる。
定着スリーブ255の外径は、通常、20〜40mmである。
定着スリーブ255の外部(外周面側)には、IHコイル29が設けられている。
図9に、定着器250の変形例を示す。なお、図9において、図4と同一の構成については、同一の符号を付して、説明を省略する。
定着器250Cは、定着ローラ256と、加圧ローラ252の他に、ハロゲンヒータ25を備えている。
定着ローラ256は、芯金61上に、弾性層62及び離型層63が順次積層されている(図10参照)。
定着ローラ256の全体の厚さは、通常、10mm以下である。
芯金61の厚さは、通常、5mm以下である。
芯金61を構成する材料としては、特に限定されないが、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属材料が挙げられる。
弾性層62の厚さは、100μm以上であることが好ましい。弾性層62の厚さが100μm未満であると、トナー像の表面の微小な凹凸に追従することができず、低温定着性が低下することがある。なお、弾性層62の厚さは、通常、300μm以下である。
弾性層62を構成する材料としては、特に限定されないが、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料が挙げられる。
離型層63の厚さは、10μm以下であることが好ましい。離型層63の厚さが10μmを超えると、トナー像の表面の微小な凹凸に追従することができず、低温定着性が低下することがある。なお、離型層63の厚さは、通常、30μm以上である。
離型層63を構成する材料としては、特に限定されないが、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等が挙げられる。
定着ローラ256の23℃におけるマルテンス硬度は、1.0N/mm2以下であり、0.5N/mm2以下であることが好ましい。定着ローラ256の23℃におけるマルテンス硬度が1.0N/mm2を超えると、トナー像の表面の微小な凹凸に追従することができず、低温定着性が低下する。
定着ローラ256のマルテンス硬度は、以下のようにして測定することができる。まず、硬度測定装置Fisherscope H−100(フィッシャーインストルメンツ社製)のステージ上に、定着ローラ256を固定治具で固定して置き、23℃で測定する。圧子としては、マイクロビッカース圧子を用い、最大押し込み深さを20μmとして、定着ローラ256に対して、負荷除荷繰り返し試験を行う。
定着ローラ256の外径は、通常、20〜40mmである。
定着ローラ256の内部(内周面側)には、ハロゲンヒータ25が設けられている。
(トナー)
トナーは、結着樹脂を含む。結着樹脂は、結晶性樹脂を含むことが好ましく、非結晶性樹脂をさらに含んでいてもよい。
なお、結晶性樹脂とは、結晶性ポリマーセグメントを有し、融点を有する樹脂を意味し、非結晶性樹脂とは、結晶性ポリマーセグメントを有さない樹脂を意味する。
トナーは、延展性が小さく、S(120)/S(23)が1.60以下である。結晶性樹脂を主成分とするトナーは、S(120)/S(23)が1.50以下であることが好ましく、1.20以下であることがさらに好ましい。一方、結晶性樹脂を主成分としないトナーは、S(120)/S(23)が1.20以上であることが好ましい。
以下、トナーの第一の実施形態として、結晶性樹脂を主成分とするトナーを説明し、トナーの第二の実施形態として、結晶性樹脂を主成分としないトナーを説明する。
(トナーの第一の実施形態)
トナーは、結晶性樹脂を主成分とする。
結晶性樹脂に含まれる結晶性ポリマーユニットとしては、結着樹脂として好適な融点を有する点で、結晶性ポリエステルセグメント、結晶性ポリ(メタ)アクリル酸長鎖アルキルエステルセグメントが好ましく、トナーとして好適な融点を有する樹脂を設計しやすく、紙への結着性に優れることから、結晶性ポリエステルセグメントが特に好ましい。
結着樹脂中の結晶性ポリエステルセグメントを有する結晶性樹脂の含有量は、通常、50質量%以上であり、60質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。これにより、トナーの低温定着性が一層向上する。
結晶性ポリエステルセグメントを有する結晶性樹脂としては、特に限定されないが、結晶性ポリエステルセグメントのみからなる結晶性樹脂(結晶性ポリエステル)、結晶性ポリエステルセグメントを連結させた結晶性樹脂、結晶性ポリエステルセグメントと他のポリマーセグメントを結合させた結晶性樹脂(ブロックポリマー、グラフトポリマー)等が挙げられる。
結晶性樹脂の合成方法としては、特に限定されないが、主鎖に結晶性ポリマーセグメントを導入する方法等が挙げられる。
結晶性ポリエステルは、結晶構造が多いものの、外力により容易に変形しやすいことがある。その理由としては、結晶性ポリエステルの全てを結晶構造にすることは困難であり、非結晶構造の分子鎖の自由度が高いために容易に変形しやすいことが考えられる。あるいは、結晶性ポリエステルの高次構造は、通常、分子鎖が折り畳まれながら面を形成したものが重なるラメラ構造となるが、ラメラ層間には大きな結合力が働かないため、容易にラメラ層がずれやすいことが考えられる。結着樹脂は、外力により容易に変形してしまうと、画像形成装置1内での変形凝集、部材への付着あるいは固着、最終的に出力される画像に対する傷等の問題が発生する可能性があるため、外力に対して、ある程度変形に耐えうるもの、強靭性を有するものであることが好ましい。
結晶性樹脂に強靭性を付与する観点から、凝集エネルギーの大きいウレタン結合、ウレア結合又はフェニレン基を有し、結晶性ポリエステルセグメントを連結させた結晶性樹脂、結晶性ポリエステルセグメントと他のポリマーセグメントを結合させた結晶性樹脂(ブロックポリマー、グラフトポリマー)が好ましい。中でも、ウレタン結合やウレア結合は、分子鎖中に存在することにより、非結晶構造やラメラ層間に大きな分子間力による擬似架橋点を形成させることができると考えられる上、紙への定着後においても、紙に対して濡れやすく、定着強度を高めることができるため、特に好ましい。
結晶性ポリエステルセグメントとしては、特に限定されないが、ポリオールとポリカルボン酸の重縮合物、ラクトンの開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合物が、結晶性発現の観点から好ましい。
ポリオールとしては、特に限定されないが、ジオール、3価以上のポリオールが挙げられ、二種以上併用してもよい。
ジオールとしては、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数が4〜36のアルキレンエーテルグリコール;炭素数が4〜36の脂環式ジオール;脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(AO)付加物;ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオール等が挙げられる。中でも、炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがさらに好ましい。
直鎖型脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。中でも、入手が容易である点を考慮すると、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
ジオール中の直鎖型脂肪族ジオールの含有量は、通常、80mol%以上であり、90mol%以上であることが好ましい。ジオール中の直鎖型脂肪族ジオールの含有量が80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、トナーの低温定着性と耐熱保存性が両立し、硬度が高くなる傾向にある。
炭素数が2〜36の分岐型脂肪族ジオールとしては、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
炭素数が4〜36のアルキレンエーテルグリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
炭素数が4〜36の脂環式ジオールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
脂環式ジオールのAO付加物としては、特に限定されないが、脂環式ジオールのエチレンオキサイド(EO)付加物、プロピレンオキサイド(PO)付加物、ブチレンオキサイド(BO)付加物等が挙げられる。
脂環式ジオールのAO付加物の付加モル数は、通常、1〜30molである。
ビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30mol)等が挙げられる。
ポリラクトンジオールとしては、ポリ(ε−カプロラクトンジオール)等が挙げられる。
カルボキシル基を有するジオールとしては、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の炭素数が6〜24のジアルキロールアルカン酸等が挙げられる。
スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオールとしては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸のPO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール、[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)及びそのAO(EO、PO等)付加物(付加モル数1〜6mol);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート等が挙げられる。
ジオールの中和塩基としては、特に限定されないが、炭素数が3〜30の3級アミン(例えば、トリエチルアミン)、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)等が挙げられる。
中でも、炭素数が2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物及びこれらの併用が好ましい。
3価以上のポリオールとしては、アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン)、糖類及びその誘導体(例えば、ショ糖、メチルグルコシド)等の炭素数が3〜36の多価脂肪族アルコール;トリスフェノール類(例えば、トリスフェノールPA)のAO付加物(付加モル数2〜30mol);ノボラック樹脂(例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック)のAO付加物(付加モル数2〜30mol);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等のアクリルポリオール等が挙げられる。中でも、多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がさらに好ましい。
ポリカルボン酸としては、特に限定されないが、ジカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸が挙げられる。
ジカルボン酸としては、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数が4〜36のアルカンジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸);炭素数が4〜36のアルケンジカルボン酸(例えば、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸);ダイマー酸(例えば、2量化リノール酸)等の炭素数が6〜40の脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数が8〜36の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
3価以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数が9〜20の芳香族ポリカルボン酸等が挙げられる。
中でも、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の脂肪族ジカルボン酸を単独で用いることが好ましいが、脂肪族ジカルボン酸と共にテレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸を併用することも好ましい。
脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸の総量に対する芳香族ジカルボン酸のモル比は、通常、0.2以下である。
なお、ポリカルボン酸の代わりに、ポリカルボン酸の酸無水物又は炭素数が1〜4の低級アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル)を用いてもよい。
ラクトン開環重合物としては、特に限定されないが、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数が3〜12のモノラクトンを、金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;重合開始剤として、グリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール)を用いて、炭素数が3〜12のモノラクトンを開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物等が挙げられる。
炭素数が3〜12のモノラクトンとしては、特に限定されないが、結晶性の観点から、ε−カプロラクトンが好ましい。
ラクトン開環重合物の市販品としては、PLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7(ダイセル社製)等の高結晶性ポリカプロラクトンが挙げられる。
ポリヒドロキシカルボン酸の合成方法としては、特に限定されないが、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(例えば、L体、D体、ラセミ体)等のヒドロキシカルボン酸の2分子間又は3分子間脱水縮合物に相当する炭素数が4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を、金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法等が挙げられる。中でも、分子量の調整の観点から、開環重合する方法が好ましい。
環状エステルは、結晶性の観点から、L−ラクチド又はD−ラクチドであることが好ましい。
なお、ポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基、カルボキシル基等になるように変性したものであってもよい。
結晶性ポリエステルセグメントを連結させた結晶性樹脂の合成方法としては、特に限定されないが、末端にヒドロキシル基等の活性水素基を有する結晶性ポリエステルをポリイソシアネートで連結する方法等が挙げられる。これにより、樹脂骨格中にウレタン結合を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。
ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、ジイソシアネート、ジイソシアネートの変性物、3価以上のポリイソシアネート等が挙げられる。
ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネート類としては、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDIポリアリルポリイソシアネート(PAPI)(粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(例えば、5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4',4"−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネート類としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
脂環式ジイソシアネート類としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネート類としては、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)、p−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
ジイソシアネートの変性物における変性基としては、特に限定されないが、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基等が挙げられる。
ジイソシアネートの変性物としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等の変性MDI、イソシアネート基を有する結晶性プレポリマー等のウレタン変性TDI等のジイソシアネートの変性物;ジイソシアネートの変性物の2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDIとの併用)等が挙げられる。
中でも、イソシアネート基中の炭素を除く炭素数が6〜20、好ましくは6〜15の芳香族ジイソシアネート、イソシアネート基中の炭素を除く炭素数が2〜18、好ましくは4〜12の脂肪族ジイソシアネート、イソシアネート基中の炭素を除く炭素数が4〜15の脂環式ジイソシアネート、イソシアネート基中の炭素を除く炭素数が8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基を有する変性物等)、これらの二種以上の混合物が好ましく、TDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIが特に好ましい。
なお、必要に応じて、3価以上のポリイソシアネートを用いてもよい。
他のポリマーセグメントとしては、特に限定されないが、非結晶性ポリエステルセグメント、ポリウレタンセグメント、ポリウレアセグメント、ビニル系ポリマーセグメント等が挙げられる。
結晶性ポリエステルセグメントと他のポリマーセグメントを結合させる方法としては、特に限定されないが、結晶性ポリエステルと他のポリマーを結合させる方法、結晶性ポリエステル(又は他のポリマー)の存在下で、モノマーを重合して他のポリマーセグメント(又は結晶性ポリエステルセグメント)を結合させる方法、同じ反応場でモノマーを同時又は逐次重合する方法等が挙げられる。中でも、反応を制御しやすい点で、一つ目又は二つ目の方法が好ましい。
一つ目の方法としては、末端にヒドロキシル基等の活性水素基を有する結晶性ポリエステルと、末端にヒドロキシル基等の活性水素基を有するポリマーを、ポリイソシアネートで連結する方法、末端にヒドロキシル基等の活性水素基(又はイソシアネート基)を有する結晶性ポリエステルと、末端にイソシアネート基(又はヒドロキシル基等の活性水素基)を有するポリマーを連結する方法等が挙げられる。これにより、樹脂骨格中にウレタン結合を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。なお、ポリイソシアネートとしては、前述のポリイソシアネートを用いることができる。
二つ目の方法としては、結晶性ポリエステルの末端のヒドロキシル基又はカルボキシル基と、モノマーを反応させて、他のポリマーセグメントを結合させる方法等が挙げられる。これにより、結晶性ポリエステルセグメントと、非結晶性ポリエステルセグメント、ポリウレタンセグメント、ポリウレアセグメント等の他のポリマーセグメントを結合させた結晶性樹脂が得られる。
非結晶性ポリエステルセグメントとしては、特に限定されないが、ポリオールとポリカルボン酸の重縮合物等が挙げられる。
ポリオール及びポリカルボン酸としては、前述の結晶性ポリエステルセグメントを合成する際に用いられるポリオール及びポリカルボン酸を用いることができるが、ポリエステルセグメントが結晶性を持たないように設計するためには、ポリマー骨格に屈曲点や分岐点を導入すればよい。
ポリマー骨格に屈曲点を導入するためは、例えば、ポリオールとして、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30mol)等のビスフェノール及びその誘導体、ポリカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸を用いればよい。
ポリマー骨格に分岐点を導入するためには、3価以上のポリオールやポリカルボン酸を用いればよい。
ポリウレタンセグメントとしては、特に限定されないが、ジオール、3価以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートから合成されるポリウレタンセグメント等が挙げられる。中でも、ジオールとジイソシアネートから合成されるポリウレタンセグメントが好ましい。
ポリオールとしては、前述のポリオールを用いることができる。
ポリイソシアネートとしては、前述のポリイソシアネートを用いることができる。
ポリウレアセグメントとしては、特に限定されないが、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートから合成されるポリウレアセグメント等が挙げられる。中でも、ジアミンとジイソシアネートから合成されるポリウレアセグメントが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、前述のポリイソシアネートを用いることができる。
ジアミンとしては、特に限定されないが、脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類等が挙げられる。中でも、炭素数が2〜18の脂肪族ジアミン類、炭素数が6〜20の芳香族ジアミン類が好ましい。
なお、必要に応じて、3価以上のポリアミンを用いてもよい。
炭素数が2〜18の脂肪族ジアミン類としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数が2〜6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の炭素数が4〜18のポリアルキレンジアミン;ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等のアルキレンジアミン又はポリアルキレンジアミンの炭素数が1〜4のアルキル置換体又は炭素数が2〜4のヒドロキシアルキル置換体;1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4'−メチレンジシクロヘキサン
ジアミン(水添メチレンジアニリン)等の炭素数が4〜15の脂環式ジアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の炭素数が4〜15の複素環式ジアミン;キシリレンジアミン、テトラクロロ−p−キシリレンジアミン等の炭素数が8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類等が挙げられる。
炭素数が6〜20の芳香族ジアミン類としては、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2,4'−ジフェニルメタンジアミン、4,4'−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4',4"−トリアミン、ナフチレンジアミン等の非置換芳香族ジアミン;2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジフェニルメタン、4,4'−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3'−メチル−2',4−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジエチル−2,2'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラエチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3',5,5'−テトラエチル−4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトライソプロピル−4,4'−ジアミノジフェニルスルホン等の炭素数が1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン;非置換芳香族ジアミンと炭素数が1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミンの異性体の種々の割合の混合物;メチレンビス(o−クロロアニリン)、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−5,5'−ジブロモジフェニルメタン、3,3'−ジクロロベンジジン、3,3'−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフィド、4,4'−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4'−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4'−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等の核置換電子吸引基(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ニトロ基)を有する芳香族ジアミン;4,4'−ビス(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等の二級アミノ基を有する芳香族ジアミン等が挙げられる。
上記以外の二級アミノ基を有する芳香族ジアミンとしては、非置換芳香族ジアミン、炭素数が1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、これらの異性体の種々の割合の混合物、核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部又は全部がメチル基、エチル基等の低級アルキル基で置換されて二級アミノ基に変換されたものが挙げられる。
上記以外のジアミンとしては、ジカルボン酸(例えば、ダイマー酸)と、過剰(ジカルボン酸1molに対して、2mol以上の)ポリアミン(例えば、アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン)の縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等のポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリオール(例えば、ポリアルキレングリコール)のシアノエチル化物の水素化物等のポリエーテルポリアミン等が挙げられる。
なお、ポリアミンの代わりに、ポリアミンのアミノ基をケトン等によりキャッピングしたものを用いてもよい。
ビニル系ポリマーセグメントとしては、特に限定されないが、ビニル系モノマーの単独重合体又は共重合体等が挙げられる。
ビニル系モノマーとしては、特に限定されないが、以下の(1)〜(10)の化合物等が挙げられる。
(1)ビニル系炭化水素
脂肪族ビニル系炭化水素としては、アルケン類(例えばエチレン、プロピレンレン、ブテン、イソブチレン、ぺンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、上記以外のα−オレフィン);アルカジエン類(例えば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン)等が挙げられる。
脂環式ビニル系炭化水素としては、モノシクロアルケン又はジシクロアルケン及びアルカジエン類(例えば、シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等);テルペン類(例えば、ピネン、リモネン、インデン)等が挙げられる。
芳香族ビニル系炭化水素としては、スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン);ビニルナフタレン等が挙げられる。
(2)カルボキシル基を有するビニル系モノマー及びその塩
カルボキシル基を有するビニル系モノマーとしては、炭素数が3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステル(例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸)等が挙げられる。
(3)スルホン酸基を有するビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩
スルホン酸基を有するビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物としては、炭素数が2〜14のアルケンスルホン酸(例えは、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸);その炭素数が2〜24のアルキル誘導体(例えば、α−メチルスチレンスルホン酸等);スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミド(例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリオキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレート(n=2〜30)の硫酸エステル(例えば、ポリオキシプロピレンモノメタクリレート(n=5〜15)の硫酸エステル等)、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル等が挙げられる。
(4)リン酸基を有するビニル系モノマー及びその塩
リン酸基を有するビニル系モノマーとしては、(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート);(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類(例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸)等が挙げられる。
なお、上記(2)〜(4)の化合物の塩としては、特に限定されないが、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩)、アンモニウム塩、アミン塩、4級アンモニウム塩が挙げられる。
(5)ヒドロキシル基を有するビニル系モノマー
ヒドロキシル基を有するビニル系モノマーとしては、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、ショ糖アリルエーテル等が挙げられる。
(6)含窒素ビニル系モノマー及びこれらの塩
アミノ基を有するビニル系モノマーとしては、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロ一ル、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、等が挙げられる。
アミド基を有するビニル系モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
ニトリル基を有するビニル系モノマーとしては、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレ一ト等が挙げられる。
4級アンモニウム塩基を有するビニル系モノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基を有するビニル系モノマーを、メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの等が挙げられる。
ニトロ基を有するビニル系モノマーとしては、ニトロスチレン等が挙げられる。
(7)エポキシ基を有するビニル系モノマー
エポキシ基を有するビニル系モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等が挙げられる。
(8)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類 ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数が1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート)、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、それぞれ独立に、炭素数が2〜8の直鎖、分枝鎖のアルキル基又はシクロアルキル基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、それぞれ独立に、炭素数が2〜8の直鎖、分枝鎖のアルキル基又はシクロアルキル基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(例えば、ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン)、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー(例えば、ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールのエチレンオキサイド10モル付加物の(メタ)アクリル酸エステル、ラウリルアルコールのエチレンオキサイド30モル付加物の(メタ)アクリル酸エステル)、多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート)等が挙げられる。
ビニル(チオ)エーテルとしては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ヒニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒトロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2'−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン等が挙げられる。
ビニルケトンとしては、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン等が挙げられる。
ビニルスルホン類としては、ジビニルスルフィド、p−ビニルジフェニルスルフィド、ビニルエチルスルフィド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン、ジビニルスルホキシド等が挙げられる。
(9)その他のビニル系モノマー
その他のビニル系モノマーとしては、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
(10)フルオロ基を有するビニル系モノマー
フルオロ基を有するビニル系モノマーとしては、4−フルオロスチレン、2,3,5,6−テトラフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロベンジル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,4H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリヒドロペルフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロノルボニルメチル(メタ)アクリレート、1H−ペルフルオロイソボルニル(メタ)アクリレート、2−(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、α−フルオロアクリル酸から誘導された対応する化合物、ビス(ヘキサフルオロイソプロピル)イタコネート、ビス(ヘキサフルオロイソプロピル)マレエート、ビス(ペルフルオロオクチル)イタコネート、ビス(ペルフルオロオクチル)マレエート、ビス(トリフルオロエチル)イタコネート、ビス(トリフルオロエチル)マレエート、ビニルヘプタフルオロブチレート、ビニルペルフルオロヘプタノエート、ビニルペルフルオロノナノエート、ビニルペルフルオロオクタノエート等が挙げられる。
結着樹脂は、主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂を含むことが好ましい。
Solubility Parameter Values(Polymer handbook 4th Ed)によれば、ウレア結合の凝集エネルギーは、50230J/molであり、ウレタン結合の凝集エネルギーは、26370J/molの二倍程度あるため、少量であってもトナーの強靭性や定着時のオフセット耐性を向上させることができる。
主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂の合成方法としては、ポリイソシアネート及び/又はイソシアネート基を末端や側鎖に有する結晶性プレポリマーと、ポリアミンを反応させる方法、ポリイソシアネート及び/又はイソシアネート基を末端や側鎖に有する結晶性プレポリマーを加水分解することにより生成したアミノ基と残りのイソシアネート基を反応させる方法等が挙げられる。
ポリイソシアネート及び/又はイソシアネート基を末端や側鎖に有する結晶性プレポリマーのイソシアネート基と、ポリアミンのアミノ基のモル比([NCO]/[NH2])は、通常、1.01〜5であり、1.2〜4であることが好ましく、1.5〜2.5であることがさらに好ましい。モル比([NCO]/[NH2])が1.01未満であると、主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂の分子量が大きくなりすぎることがあり、5を超えると、主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂のウレア結合の含有量が多くなりすぎることがある。
主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂を合成する際に、ポリオール及び/又は水酸基を末端や側鎖に有する結晶性樹脂も同時に反応させることにより、結晶性樹脂の設計の自由度を広げることができる。
イソシアネート基を末端や側鎖に有する結晶性プレポリマーの合成方法としては、特に限定されないが、ポリアミンを過剰量のポリイソシアネートと反応させて、末端にイソシアネート基を有する結晶性ポリウレアプレポリマーを合成する方法、ポリオール及び/又は水酸基を末端や側鎖に有する結晶性樹脂を過剰量のポリイソシアネートと反応させて、末端にイソシアネート基を有する結晶性ポリウレタンプレポリマーを合成する方法等が挙げられる。
イソシアネート基を末端や側鎖に有する結晶性プレポリマーは、二種以上併用してもよい。
ポリアミンとしては、前述のポリアミンを用いることができる。
ポリオールとしては、前述のポリオールを用いることができる。
水酸基を末端や側鎖に有する結晶性樹脂の合成方法としては、特に限定されないが、ポリイソシアネートを過剰量のポリオールと反応させて、末端に水酸基を有する結晶性ポリウレタンを合成する方法、ポリカルボン酸を過剰量のポリオールと反応させて、末端に水酸基を有する結晶性ポリエステルを合成する方法等が挙げられる。
ポリカルボン酸としては、前述のポリカルボン酸を用いることができる。
末端に水酸基を有する結晶性ポリウレタンを合成する際の、ポリオールの水酸基とポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比([OH]/[NCO])は、通常、1〜2であり、1〜1.5であることが好ましく、1.02〜1.3であることがさらに好ましい。モル比([OH]/[NCO])が1未満であると、末端に水酸基を有する結晶性ポリウレタンの分子量が大きくなりすぎることがあり、2を超えると、末端に水酸基を有する結晶性ポリウレタンの分子量が小さくなりすぎることがある。
同様に、末端に水酸基を有する結晶性ポリエステルを合成する際の、ポリオールの水酸基とポリカルボン酸のカルボキシル基のモル比([OH]/[COOH])は、通常、1〜2であり、1〜1.5であることが好ましく、1.02〜1.3であることがさらに好ましい。
結晶性樹脂は、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア結合を有することが好ましい。これにより、結晶性樹脂の硬度を向上させることができる一方、トナーの熱溶融時の延展性が低くなる。
結晶性樹脂は、第1の結晶性樹脂と、第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量が大きい第2の結晶性樹脂を含むことが好ましい。これにより、トナーの低温定着性と耐ホットオフセット性を両立することができる。また、トナーの結晶化度を調整することができる。
第2の結晶性樹脂は、末端にイソシアネート基を有する結晶性プレポリマーと、ポリアミンを反応させることにより合成されていることが好ましい。この場合、末端にイソシアネート基を有する結晶性プレポリマーと、ポリアミンを、トナーの製造過程で反応させることが好ましい。これにより、重量平均分子量が大きい結晶性樹脂をトナー中に均一に分散させることができ、トナー粒子間の特性のバラツキを抑えることができる。
第1の結晶性樹脂は、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア結合を有し、第2の結晶性樹脂は、第1の結晶性樹脂由来の構成単位を有すると共に、末端にイソシアネート基を有する結晶性プレポリマーと、ポリアミンを反応させることにより合成されていることが好ましい。このとき、第1の結晶性樹脂と第2の結晶性樹脂の構造を近いため、第1の結晶性樹脂と第2の結晶性樹脂がトナー中でより均一に分散しやすくなり、トナー粒子間の特性のバラツキをさらに抑えることができる。
結晶性樹脂の軟化温度に対する2回目の昇温時の最大吸熱ピーク温度の比は、通常、0.8〜1.6であり、0.8〜1.5であることが好ましく、0.8〜1.4であることがさらに好ましく、0.8〜1.3であることが特に好ましい。これにより、結晶性樹脂が急峻に軟化するため、低温定着性と耐熱保存性を両立させることができる。
なお、2回目の昇温時の最大吸熱ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。また、軟化温度は、高化式フローテスターを用いて測定することができる。
結晶性樹脂の重量平均分子量は、通常、2000〜100000であり、5000〜60000が好ましく、8000〜30000がさらに好ましい。結晶性樹脂の重量平均分子量が2000未満であると、トナーの耐ホットオフセット性が低下することがあり、100000を超えると、トナーの低温定着性が低下することがある。
なお、重量平均分子量は、GPCを用いて測定されるポリスチレン換算の分子量である。
トナーは、結着樹脂を含み、外添剤、造核剤、着色剤、離型剤、帯電制御剤等をさらに含む組成物を、公知の方法を用いて、粒子化することにより製造することができる。
結着樹脂がウレア結合を有する結晶性樹脂を含む場合は、ポリイソシアネート及び/又はイソシアネート基を末端や側鎖に有する結晶性プレポリマーと、ポリアミン又は水を含む組成物を用いて、トナーを製造してもよい。特に、イソシアネート基を末端や側鎖に有する結晶性プレポリマーを用いる場合は、ウレア結合を有する高分子量の結晶性樹脂を均一にトナー中に導入することができる。これにより、トナーの熱特性や帯電性が均一になり、定着性とトナーの耐ストレス性とを両立しやすくなる。さらに、イソシアネート基を末端や側鎖に有する結晶性プレポリマーとして、ポリオール及び/又は水酸基を末端や側鎖に有する結晶性樹脂を過剰量のポリイソシアネートと反応させて合成される、末端にイソシアネート基を有する結晶性ポリウレタンプレポリマーを用いる場合は、粘弾性を抑えられる。このとき、トナーに適した熱特性を得るために、水酸基を末端や側鎖に有する結晶性樹脂として、ポリカルボン酸を過剰量のポリオールと反応させて、末端に水酸基を有する結晶性ポリエステルを用いることが好ましい。さらに、結晶性ポリエステルが結晶性ポリエステルセグメントからなる場合、トナー中の高分子量成分がシャープメルトとなり、低温定着性に優れたトナーが得られる。
水系媒体中で造粒することによりトナーを製造する場合、ポリイソシアネートが加水分解することにより、温和な条件でウレア結合を形成することができる。
トナーは、特許第4531076号公報に開示されている方法、すなわち、トナーを構成する材料を液状又は超臨界状態の二酸化炭素に溶解させた後に、液状又は超臨界状態の二酸化炭素を除去することによりトナーを製造する方法により製造することもできる。
結着樹脂が結晶性樹脂を含む場合、トナーのX線回折スペクトルは、結晶構造に由来する回折ピークを有する。また、結着樹脂が結晶性樹脂を含まない場合、トナーのX線回折スペクトルは、結晶構造に由来する回折ピークを有さない。
トナーの結晶化度は、通常、15%以上であり、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがさらに好ましく、45%以上であることが特に好ましい。これにより、トナーの低温定着性及び耐熱保存性を両立することができる。
なお、トナーの結晶化度は、X線回折装置を用いて、結着樹脂の結晶構造に由来するピークの面積及び非結晶構造に由来するハローの面積から算出することができる。
図11を用いて、トナーの結晶化度の算出方法を説明する。
図11(a)におけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(p1、p2)が存在し、2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が存在する。ここで、主要なピークは、結着樹脂の結晶構造に由来し、ハローは、結着樹脂の非結晶構造に由来する。
主要なピーク(p1、p2)とハロー(h)をガウス関数
fP1(2θ)=ap1exp(−(2θ−bp1)2/(2cp1 2))
fP2(2θ)=ap2exp(−(2θ−bp2)2/(2cp2 2))
fh(2θ)=ahexp(−(2θ−bh)2/(2ch 2))
で表し、この3つの関数の和
f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ)
をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図11(b)参照)とし、最小二乗法によるフィッティングを行う。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhには、X線回折スペクトルのピークの位置(図11(a)では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して、主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致させて得られた値を設定する。フィッティングは、例えば、Excel2003(Microsoft社製)のソルバーを利用して行うことができる。
結晶化度[%]は、フィッティング後の2つの主要なピーク(p1、p2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)及びハローに相当するガウス関数fh(2θ)のそれぞれについての面積(Sp1、Sp2、Sh)から、式
(Sp1+Sp2)/(Sp1+Sp2+Sh)×100
を用いて、算出することができる。
トナーの2回目の昇温時の最大吸熱ピーク温度は、通常、50〜70℃であり、55〜68℃であることがより好ましく、60〜65℃であることがさらに好ましい。トナーの2回目の昇温時の最大吸熱ピーク温度が50℃未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、70℃を超えると、トナーの低温定着性が低下することがある。
トナーの2回目の昇温時の融解熱量は、通常、30〜75J/gであり、45〜70J/gであることが好ましく、50〜60J/gであることがさらに好ましい。トナーの2回目の昇温時の融解熱量が30J/g未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、75J/gを超えると、トナーの低温定着性が低下することがある。
なお、2回目の昇温時の最大吸熱ピーク温度及び2回目の昇温時の融解熱量は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。
トナーのTHFに可溶な成分の窒素元素の含有量は、通常、0.3〜2.0質量%であり、0.5〜1.8質量%であることが好ましく、0.7〜1.6質量%であることがさらに好ましい。トナーのTHFに可溶な成分の窒素元素の含有量が0.3質量%未満であると、トナーの耐ホットオフセット性が低下することがあり、2.0質量%を超えると、トナーの低温定着性が低下することがある。
なお、トナーのTHFに可溶な成分の窒素元素の含有量は、元素分析することにより測定することができる。
トナーは、ウレア結合が存在することが好ましい。
なお、トナー中のウレア結合の存在は、トナーのテトラヒドロフランに可溶な成分の13CNMRにより確認することができる。具体的には、ウレア結合のカルボニル炭素に由来する化学シフトにより確認することができる。ウレア結合のカルボニル炭素に由来する化学シフトは、一般に150〜160ppmに見られる。
トナーの80℃における貯蔵弾性率G'(80)は、通常、1.0×104〜5.0×105Paであり、1.0×104Pa〜1.0×105Paであることが好ましく、5.0×104〜1.0×105Paであることがさらに好ましい。G'(80)が1.0×104Pa未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、5.0×105Paを超えると、トナーの低温定着性が低下することがある。
トナーの140℃における貯蔵弾性率G'(140)は、通常、1.0×103〜5.0×104Paであり、1.0×103〜1.0×104Paであることが好ましく、5.0×103〜1.0×104Paであることがさらに好ましい。G'(140)が1.0×103Pa未満であると、トナーの耐ホットオフセット性が低下することがあり、5.0×104Paを超えると、トナーの低温定着性が低下することがある。
なお、貯蔵弾性率G'は、動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
(トナーの第二の実施形態)
トナーは、結晶性樹脂を主成分とせず、非線状の非結晶性ポリエステルと、線状の非結晶性ポリエステルを含む。このとき、非線状の非結晶性ポリエステルは、通常、THFに不溶であり、線状の非結晶性ポリエステルは、通常、THFに可溶である。
また、トナーは、結晶性ポリエステルをさらに含んでいてもよい。
低温定着性をより向上させるためには、非結晶性ポリエステルが結晶性ポリエステルと共融するように、ガラス転移点を低くする方法又は分子量を小さくする方法が考えられる。しかし、単純に非結晶性ポリエステルのガラス転移点を低くしたり、分子量を小さくして溶融粘性を低下させると、トナーの耐熱保存性及び耐ホットオフセット性が低下する。
これに対し、非線状の非結晶性ポリエステルは、ガラス転移点が非常に低いため、低温で変形する性質を有し、定着時の加熱及び加圧に対して変形し、より低温で紙等の記録材に接着しやすくなる性質を有する。また、非線状の非結晶性ポリエステルは、後述するように、反応性前駆体が非線状であることから、分子骨格中に分岐構造を有し、分子鎖が三次元的な網目構造となるため、低温で変形するが、流動しないというゴム的な性質を有する。そのため、トナーの耐熱保存性、耐ホットオフセット性の保持が可能となる。なお、非線状の非結晶性ポリエステルが凝集エネルギーの高いウレタン結合又はウレア結合を有する場合には、擬似架橋点のような挙動を示すことから、ゴム的性質がさらに強くなり、その結果、トナーの耐熱保存性、耐ホットオフセット性がさらに向上する。
このようなトナーは、超低温域にガラス転移点を有するが、溶融粘性が高く、流動しにくい非線状の非結晶性ポリエステルを、線状の非結晶性ポリエステルと、場合によっては、さらに結晶性ポリエステルと併用することにより、従来よりもトナーのガラス転移点を低く設定しても、耐熱保存性、耐ホットオフセット性を保持することが可能となる。また、トナーのガラス転移点を低くしたことにより、低温定着性に優れる。
非線状の非結晶性ポリエステルは、非線状の反応性前駆体と硬化剤を反応させることにより得られる。
非線状の反応性前駆体としては、硬化剤と反応することが可能な基を有するポリエステルプレポリマーであれば、特に限定されない。
硬化剤と反応することが可能な基としては、特に限定されないが、活性水素基と反応することが可能な基(例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸基、酸クロリド基)等が挙げられる。中でも、非線状の非結晶性ポリエステルにウレタン結合及び/又はウレア結合を導入することが可能であることから、イソシアネート基が好ましい。
なお、非線状とは、3価以上のアルコール及び/又は3価以上のカルボン酸により付与される分岐構造を有することを意味する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーは、活性水素基を有するポリエステルとポリイソシアネートの反応させることにより得られる。
活性水素基を有するポリエステルは、ジオールと、ジカルボン酸と、3価以上のアルコール及び/又は3価以上のカルボン酸を重縮合することにより得られる。
3価以上のアルコール及び3価以上のカルボン酸は、イソシアネート基を有するポリエステルに分岐構造を付与する。
ジオールとしては、特に限定されないが、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の脂肪族ジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、炭素数が4〜12の脂肪族ジオールが好ましい。
ジカルボン酸としては、特に限定されないが、炭素数が4〜20の脂肪族ジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸)、炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸)等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、炭素数が4〜12の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
なお、ジカルボン酸の代わりに、ジカルボン酸の無水物、炭素数が1〜3の低級アルキルエステル、ハロゲン化物等を用いてもよい。
3価以上のアルコールとしては、特に限定されないが、3価以上の脂肪族アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール)、3価以上のポリフェノール類(例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック)、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド)付加物等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸としては、特に限定されないが、炭素数が9〜20の3価以上の芳香族カルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸)等が挙げられる。
なお、3価以上のカルボン酸の代わりに、3価以上のカルボン酸の無水物、炭素数が1〜3の低級アルキルエステル、ハロゲン化物等を用いてもよい。
ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、ジイソシアネート(例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類)、3価以上のイソシアネート等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
脂肪族ジイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトカプロン酸メチル、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4'−ジイソシアナトジフェニル、4,4'−ジイソシアナト−3,3'−ジメチルジフェニル、4,4'−ジイソシアナト−3−メチルジフェニルメタン、4,4'−ジイソシアナトジフェニルエーテル等が挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
イソシアヌレート類としては、トリス(イソシアナトアルキル)イソシアヌレート、トリス(イソシアナトシクロアルキル)イソシアヌレート等が挙げられる。
なお、ポリイソシアネートの代わりに、ポリイソシアネートのイソシアネート基がフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等によりブロックされている化合物を用いてもよい。
硬化剤としては、非線状の反応性前駆体と反応し、非線状の非結晶性ポリエステルを生成することが可能であれば、特に限定されないが、活性水素基を有する化合物等が挙げられる。
活性水素基としては、特に限定されないが、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、ウレア結合を形成することが可能である点で、アミノ基が好ましい。
アミノ基を有する化合物としては、特に限定されないが、ジアミン(例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン)、3価以上のアミン(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン)、アミノアルコール(例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン)、アミノメルカプタン(例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン)、アミノ酸(例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸)等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、ジアミン、ジアミンと少量の3価以上のアミンの併用が好ましい。
芳香族ジアミンとしては、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
脂環式ジアミンとしては、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
なお、アミノ基を有する化合物の代わりに、ブロックされているアミノ基を有する化合物を用いてもよい。
ブロックされているアミノ基を有する化合物としては、特に限定されないが、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)によりブロックされているアミノ基を有するケチミン、オキサゾリン等が挙げられる。
非線状の非結晶性ポリエステルは、ガラス転移点を低くし、低温で変形する性質を付与しやすくするために、次の(a)〜(c)のいずれかを満たすことが好ましい。
(a)ジオール中の炭素数が4〜12の脂肪族ジオールの含有量が50質量%以上である。
(b)ジオール及び3価以上のアルコール中の炭素数が4〜12の脂肪族ジオールの含有量が50質量%以上である。
(c)ジカルボン酸中の炭素数が4〜12の脂肪族ジカルボン酸の含有量が50質量%以上である。
非線状の非結晶性ポリエステルのガラス転移点は、−60〜0℃であり、−40〜−20℃であることが好ましい。非線状の非結晶性ポリエステルのガラス転移点が−60℃未満であると、低温でのトナーの流動が抑制できず、耐熱保存性が低下することがあり、また、耐フィルミング性が低下することがある。一方、非線状の非結晶性ポリエステルのガラス転移点が0℃を超えると、定着時の加熱及び加圧によるトナーの変形が十分でなく、低温定着性が低下することがある。
非線状の非結晶性ポリエステルの重量平均分子量は、通常、20000〜100000である。非線状の非結晶性ポリエステルの重量平均分子量が20000未満であると、トナーが低温で流動しやすくなり、耐熱保存性が低下したり、溶融時の粘性が低くなり、耐ホットオフセット性が低下したりすることがある。一方、非線状の非結晶性ポリエステルのが100000を超えると、低温定着性が低下することがある。
なお、非線状の非結晶性ポリエステルの重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて測定することにより得られるポリスチレン換算の分子量である。
非線状の非結晶性ポリエステルの分子構造は、溶液又は固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定等により確認することができる。簡便には、赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm−1と990±10cm−1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有さないものを非結晶性ポリエステルとして検出することができる。
トナー中の非線状の非結晶性ポリエステルの含有量は、通常、5〜25質量%であり、10〜20質量%であることが好ましい。トナー中の非線状の非結晶性ポリエステルの含有量が5質量%未満であると、低温定着性及び耐ホットオフセット性が低下することがあり、25質量%を超えると、耐熱保存性が低下したり、画像の光沢度が低下したりすることがある。
線状の非結晶性ポリエステルは、線状の未変性ポリエステルであることが好ましい。
なお、未変性ポリエステルとは、ポリイソシアネート等により変性されていないポリエステルを意味する。
線状の未変性ポリエステルは、ジオールと、ジカルボン酸を重縮合することにより得られる。
ジオールとしては、特に限定されないが、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAの炭素数が2〜3のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAの炭素数が2〜3のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
ジカルボン酸としては、特に限定されないが、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数が1〜20のアルキル基又は炭素数が2〜20のアルケニル基により置換されているコハク酸等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
線状の非結晶性ポリエステルは、酸価及び/又は水酸基価を調整するため、末端に3価以上のカルボン酸由来の構成単位及び/又は3価以上のアルコール由来の構成単位を有していてもよい。
3価以上のカルボン酸としては、特に限定されないが、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
3価以上のアルコールとしては、特に限定されないが、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
線状の非結晶性ポリエステルの重量平均分子量は、通常、3000〜10000であり、4000〜7000であることが好ましい。また、線状の非結晶性ポリエステルの数平均分子量は、通常、1000〜4000であり、1500〜3000であることが好ましい。さらに、線状の非結晶性ポリエステルの数平均分子量に対する重量平均分子量の比は、通常、1.0〜4.0であり、1.0〜3.5であることが好ましい。線状の非結晶性ポリエステルの重量平均分子量の分子量が低すぎると、トナーの耐熱保存性が低下したり、現像機内での攪拌等のストレスに対する耐久性が低下したりすることがあり、分子量が高すぎると、トナーの溶融時の粘弾性が高くなり、低温定着性に低下することがある。
線状の非結晶性ポリエステルの重量平均分子量、数平均分子量は、GPCを用いて測定することにより得られるポリスチレン換算の分子量である。
線状の非結晶性ポリエステルの酸価は、通常、1〜50mgKOH/gであり、5〜30mgKOH/gであることが好ましい。線状の非結晶性ポリエステルの酸価が1mgKOH/g以上であると、トナーが負帯電性となりやすく、紙への定着時に紙とトナーの親和性が良くなり、低温定着性を向上させることができる。一方、線状の非結晶性ポリエステルの酸価が50mgKOH/gを超えると、帯電安定性、特に、環境変動に対する帯電安定性が低下することがある。
線状の非結晶性ポリエステルの水酸基価は、通常、5mgKOH/g以上である。
線状の非結晶性ポリエステルのガラス転移点は、通常、40〜80℃であり、50〜70℃であることが好ましい。線状の非結晶性ポリエステルのガラス転移点が40℃未満であると、トナーの耐熱保存性が低下したり、現像機内での攪拌等のストレスに対する耐久性が低下したり、耐フィルミング性が低下したりする。一方、線状の非結晶性ポリエステルのガラス転移点が80℃を超えると、トナーの定着時における加熱及び加圧による変形が十分ではなく、低温定着性が低下することがある。
線状の非結晶性ポリエステルの分子構造は、溶液又は固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定等により確認することができる。簡便には、赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm−1と990±10cm−1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有さないものを非結晶性ポリエステルとして検出することができる。
トナー中の線状の非結晶性ポリエステルの含有量は、通常、50〜90質量%であり、60〜80質量%であることが好ましい。トナー中の線状の非結晶性ポリエステルの含有量が50質量%未満であると、トナー中の顔料や離型剤の分散性が低下し、画像のかぶり、乱れを生じやすくなることがある。一方、トナー中の線状の非結晶性ポリエステルの含有量が90質量%を超えると、結晶性ポリエステル樹脂及び非線状の非結晶性ポリエステルの含有量が少なくなるため、低温定着性が低下することがある。
結晶性ポリエステルは、高い結晶性をもつために、定着開始温度付近において急激な粘度低下を示す熱溶融特性を示す。結晶性ポリエステルと線状の非結晶性ポリエステルを併用することにより、溶融開始温度直前までは、耐熱保存性がよく、溶融開始温度では、結晶性ポリエステルの融解により、急激に粘度が低下し、それに伴い、線状の非結晶性ポリエステルと相溶し、定着する。その結果、良好な耐熱保存性と低温定着性とを兼ね備えたトナーが得られる。また、定着幅(定着下限温度と定着上限温度との差)についても、良好な結果を示す。
結晶性ポリエステルは、多価アルコールと、多価カルボン酸を重縮合することにより得られる。したがって、結晶性ポリエステルは、例えば、イソシアネート基を有する結晶性ポリエステルプレポリマー、イソシアネート基を有する結晶性ポリエステルプレポリマーを架橋及び/又は伸長させて得られる結晶性変性ポリエステルを含まない。
多価アルコールとしては、特に限定されないが、ジオール、3価以上のアルコールが挙げられる。
ジオールとしては、飽和脂肪族ジオール(例えば、直鎖飽和脂肪族ジオール、分岐飽和脂肪族ジオール)等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、直鎖飽和脂肪族ジオールが好ましく、炭素数が2〜12の直鎖飽和脂肪族ジオールがさらに好ましい。飽和脂肪族ジオールが分岐していると、結晶性ポリエステルの結晶性が低下し、融点が低下することがある。また、飽和脂肪族ジオールの炭素数が12を超えると、材料の入手が困難となる。
飽和脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオール等が挙げられる。中でも、結晶性ポリエステルの結晶性が高く、シャープメルト性に優れる点で、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価カルボン酸としては、特に限定されないが、ジカルボン酸、3価以上のカルボン酸が挙げられ、二種以上併用してもよい。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等等が挙げられる。
なお、多価カルボン酸の代わりに、多価カルボン酸の無水物、炭素数が1〜3の低級アルキルエステル等を用いてもよい。
また、上記の飽和脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸と共に、スルホン酸基を有するジカルボン酸を併用してもよい。
さらに、上記の飽和脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸と共に、二重結合を有するジカルボン酸を併用してもよい。
結晶性ポリエステルは、炭素数が4〜12の飽和脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位と、炭素数が2〜12の飽和脂肪族ジオール由来の構成単位を有することが好ましい。これにより、結晶性が高くなり、シャープメルト性に優れるため、低温定着性を向上させることができる。
結晶性ポリエステルの融点は、通常、60〜80℃である。結晶性ポリエステルの融点が60℃未満であると、結晶性ポリエステルが低温で溶融しやすく、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、80℃を超えると、定着時の加熱による結晶性ポリエステルの溶融が不十分で、低温定着性が低下することがある。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量は、通常、3000〜30000であり、5000〜15000であることが好ましい。また、結晶性ポリエステルの数平均分子量は、通常、1000〜10000であり、2000〜10000であることが好ましい。さらに、結晶性ポリエステルの数平均分子量に対する重量平均分子量の比は、通常、1.0〜10であり、1.0〜5.0であることが好ましい。結晶性ポリエステルの分子量分布がシャープで、低分子量であると、低温定着性に優れる。一方、結晶性ポリエステルの分子量が低い成分の含有量が多いと、耐熱保存性が低下することがある。
なお、結晶性ポリエステルの重量平均分子量、数平均分子量は、GPCを用いて、o−ジクロロベンゼンに可溶な成分を測定することにより得られるポリスチレン換算の分子量である。
結晶性ポリエステルの酸価は、紙との親和性の観点から、低温定着性を達成するために、通常、5mgKOH/g以上であり、10mgKOH/g以上であることが好ましい。一方、結晶性ポリエステルの酸価は、耐ホットオフセット性を向上させるために、通常、45mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステルの水酸基価は、低温定着性を達成し、良好な帯電特性を達成するために、通常、0〜50mgKOH/gであり、5〜50mgKOH/gであることが好ましい。
結晶性ポリエステルの分子構造は、溶液又は固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定等により確認することができる。簡便には、赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm−1と990±10cm−1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するものを結晶性ポリエステルとして検出することができる。
トナー中の結晶性ポリエステルの含有量は、通常、3〜20質量%であり、5〜15質量%であることが好ましい。トナー中の結晶性ポリエステルの含有量が3質量%未満であると、結晶性ポリエステルによるシャープメルト化が不十分なため、低温定着性が低下することがあり、20質量%を超えると、耐熱保存性が低下したり、画像のかぶりが生じやすくなることがある。
トナーの示差走査熱量測定の1回目の昇温におけるガラス転移点(Tg1st)は、30〜50℃である。Tg1stが30℃未満であると、耐熱保存性が低下し、現像機内でのブロッキング及び感光体へのフィルミングが発生することがあり、50℃を超えると、トナーの低温定着性が低下することがある。
従来のトナーは、ガラス転移点が50℃以下程度になると、夏場や熱帯地方を想定したトナーの輸送時及び保管環境での温度変化によりトナーが凝集しやすくなる。その結果、トナーボトル中での固化及び現像機内でのトナーの固着が発生する。また、トナーボトル内でのトナー詰まりによる補給不良及び現像機内でのトナー固着による画像異常が発生しやすくなる。これに対し、本実施形態のトナーは、従来のトナーよりガラス転移点が低いが、ガラス転移点が低い非線状の非結晶性ポリエステルを含むため、耐熱保存性を保持することができる。
トナーの、Tg1stと、示差走査熱量測定の2回目の昇温におけるガラス転移点(Tg2nd)の差(Tg1st−Tg2nd)は、10℃以上であることが好ましい。これにより、低温定着性を向上させることができる。Tg1st−Tg2ndが10℃以上であると、1回目の昇温の前に、非相溶状態で存在していた結晶性ポリエステルと、非線状の非結晶性ポリエステル及び線状の非結晶性ポリエステルが、1回目の昇温の後に、相溶状態になることを意味する。なお、相溶状態は、完全な相溶状態である必要はない。Tg1st−Tg2ndは、通常、50℃以下である。
トナーの融点は、通常、60℃〜80℃である。
トナーは、貯蔵弾性率が3.0×104Paとなる温度をT1[℃]、貯蔵弾性率が1.0×104Paとなる温度をT2[℃]とすると、式
T2−T1≧20
を満たすことが好ましい。T2−T1が大きい程、貯蔵弾性率の温度依存性が低く、T2−T1が小さい程、貯蔵弾性率の温度依存性が高い。そして、T2−T1が大きければ、定着下限温度における光沢度と、定着下限温度+20℃における光沢度との差、つまり光沢度変動が小さく、T2−T1が小さければ、光沢度変動が大きい。定着装置の使用温度幅は、通常、20℃以下であるから、ページ内画像光沢変動を小さく抑えるためには、T2−T1が20℃以上とすればよいことになる。
トナーは、T2−T1が30℃以上であることが好ましい。この場合、定着装置の温度制御がオーバーシュートしても、温度制御範囲が30℃以内であれば、ページ内の光沢度変動が問題の無い範囲内である。
また、T2−T1の上限は、通常、40℃程度である。T2−T1が40℃を超えるためには、分子量分布をブロードにしたり、架橋密度を高くしたりする必要があり、この場合、画像の光沢変動は低く抑えられるが、低温定着性が著しく低下する。なお、通常使用において、定着装置のオーバーシュートを40℃以下に抑えるように温度制御することは難しくはない。
さらに、T2−T1が大きければ、耐ホットオフセット性に優れる。一方、T2−T1が小さければ、耐ホットオフセット性が低下する。
トナーは、THFに不溶な成分のTg2ndが−40〜30℃であることが好ましい。トナーのTHFに不溶な成分のTg2ndが−40℃未満であると、耐熱保存性が低下することがあり、30℃を超えると、低温定着性が低下することがある。
トナーのTHFに不溶な成分のTg2ndは、非線状の非結晶性ポリエステルのTg2ndに相当し、線状の非結晶性ポリエステルのTg2ndよりも低くすることにより、低温定着性に有利に働く。さらに、非線状の非結晶性ポリエステルが凝集力の高いウレタン結合又はウレア結合を有する場合には、耐熱保存性を保持する効果がより顕著になる。
トナーのTHFに不溶な成分の40℃及び100℃における貯蔵弾性率を、それぞれG'(40)[Pa]及びG'(100)[Pa]とすると、式
1×105≦G'(100)≦1×107
G'(40)/G'(100)≦35
を満たすことが好ましい。これにより、線状の非結晶性ポリエステルや、必要に応じて、含まれる結晶性ポリエステルの相溶化を促進させ、低温定着性が向上する。
さらに、G'(100)が5×105〜5×106Paであることがさらに好ましい。これにより、低温定着性、耐熱保存性、耐ホットオフセット性を維持することができる。
トナーが結晶性ポリエステルを含む場合、トナーのTHFに可溶な成分のTg2ndが20〜35℃であることが好ましい。この場合、トナーのTHFに可溶な成分は、線状の非結晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルで構成されており、結晶性ポリエステルは、結晶性を有するため、定着開始温度付近において、急激に粘度が低下する。このような特性を有する結晶性ポリエステルを線状の非結晶性ポリエステルと共に用いることにより、溶融開始温度直前までは、結晶性ポリエステルにより、耐熱保存性がよい。また、溶融開始温度では、結晶性ポリエステルの融解により急激に粘度が低下し、それに伴い、線状の非結晶性ポリエステルと相溶し、共に急激に粘度が低下して定着するため、耐熱保存性と低温定着性を兼ね備えたトナーが得られる。トナーのTHFに可溶な成分のTg2ndが20℃未満であると、定着画像(印刷物)の耐ブロッキング性が低下することがあり、35℃を超えると、十分な低温定着性や光沢度が得られないことがある。
トナー中のTHFに不溶な成分の含有量は、通常、20〜35質量%である。トナー中のTHFに不溶な成分の含有量が20質量%未満であると、トナーのガラス転移点が下がらないため、低温定着性が低下することがあり、35質量%を超えると、トナーのガラス転移点が下がり過ぎ、耐熱保存性が低下することがある。
トナーは、結着樹脂以外に、必要に応じて、離型剤、着色剤、帯電制御剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料等をさらに含んでいてもよい。
離型剤としては、特に限定されないが、ロウ類及びワックス類等が挙げられる。
ロウ類及びワックス類としては、植物系ワックス(例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス)、動物系ワックス(例えば、ミツロウ、ラノリン)、鉱物系ワックス(例えば、オゾケライト、セルシン)、石油ワックス(例えば、パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム)等の天然ワックス;合成炭化水素ワックス(例えば、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン)、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス;12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド系化合物等が挙げられる。中でも、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の炭化水素系ワックスが好ましい。
離型剤の融点は、通常、60〜80℃である。離型剤の融点が60℃未満であると、低温で離型剤が溶融しやすくなり、耐熱保存性が低下することがある。一方、離型剤の融点が80℃を超えると、結着樹脂が溶融して定着温度領域にある場合でも、離型剤が充分溶融せずに定着オフセットを生じ、画像の欠損を生じることがある。
トナー中の離型剤の含有量は、通常、2〜10質量%であり、3〜8質量%であることが好ましい。トナー中の離型剤の含有量が2質量%未満であると、耐ホットオフセット性及び低温定着性が低下することがあり、10質量%を超えると、耐熱保存性が低下したり、画像のかぶりが発生したりすることがある。
着色剤としては、顔料又は染料であれば、特に限定されないが、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン等が挙げられる。
トナー中の着色剤の含有量は、通常、1〜15質量%であり、3〜10質量%であることが好ましい。
顔料は、結着樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
マスターバッチは、結着樹脂と顔料にせん断力を印加して混合混練することにより得られる。この際、顔料と結着樹脂の相互作用を高めるため、有機溶媒を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる顔料の水性ペーストを、結着樹脂及び有機溶媒と共に混合混練し、顔料を結着樹脂に移行させ、水と有機溶媒を除去する方法も、顔料のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥させる必要がないため、好ましい。
せん断力を印加して混合混練する装置としては、特に限定されないが、3本ロールミル等が挙げられる。
帯電制御剤としては、特に限定されないが、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料等が挙げられる。
帯電制御剤の市販品としては、ニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(以上、日本カーリット社製)等が挙げられる。
トナー中の帯電制御剤の含有量は、通常、0.1〜10質量%であり、0.2〜5質量%であることが好ましい。トナー中の帯電制御剤の含有量が10質量%を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的引力が増大し、現像剤の流動性が低下したり、画像濃度が低下したりすることがある。
帯電制御剤は、結着樹脂と共に溶融混練して、マスターバッチとした後、有機溶媒中に分散させてもよいし、有機溶媒中に直接分散させてもよいし、母体粒子の表面に固定してもよい。
流動性向上剤としては、特に限定されないが、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子等の無機粒子が挙げられる。
流動性向上剤は、表面処理剤により疎水化処理されていることが好ましい。
表面処理剤としては、特に限定されないが、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。
トナー中の流動性向上剤の含有量は、通常、0.1〜5質量%であり、0.3〜3質量%であることが好ましい。
流動性向上剤の平均一次粒径は、通常、100nm以下であり、3〜70nmであることが好ましい。流動性向上剤の平均一次粒径が3nm未満であると、流動性向上剤が母体粒子中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくくなることがあり、70nmを超えると、感光体の表面を不均一に傷付けることがある。
クリーニング性向上剤としては、特に限定されないが、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート粒子、ポリスチレン粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー粒子等が挙げられる。
ポリマー粒子の体積平均粒径は、通常、0.01〜1μmである。
磁性材料としては、特に限定されないが、鉄粉、マグネタイト、フェライト等が挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
トナーの体積平均粒径は、通常、3〜7μmである。また、トナーの個数平均粒径に対する体積平均粒径の比は、通常、1.2以下である。さらに、トナー中の粒径が2μm以下の粒子の含有量は、通常、1〜10個数%である。
なお、トナーの体積平均粒径及び個数平均粒径は、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定することができる。
トナーの製造方法としては、特に限定されないが、溶解懸濁法等が挙げられる。具体的には、トナーの製造方法は、結着樹脂及び/又は結着樹脂の前駆体を含む組成物を有機溶媒中に溶解又は分散させて油相を調製する工程と、油相を水相中に分散させる工程と、有機溶媒を除去して母体粒子を形成する工程を有する。
水相は、樹脂粒子を水系媒体中に分散させることにより調製することができる。
水相中の樹脂粒子の含有量は、通常、0.5〜10質量%である。
水系媒体としては、特に限定されないが、水、水と混和することが可能な溶媒等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、水が好ましい。
水と混和することが可能な溶媒としては、特に限定されないが、アルコール(例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セロソルブ、低級ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)等が挙げられる。
有機溶媒の沸点は、通常、150℃未満である。これにより、容易に除去することができる
有機溶媒としては、特に限定されないが、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。
油相が結着樹脂の前駆体を含む場合、油相を水相中に分散させる際に、結着樹脂の前駆体を反応させることにより、結着樹脂が生成する。
結着樹脂の前駆体が前述の非線状の反応性前駆体と硬化剤である場合、非線状の非結晶性ポリエステルは、例えば、以下の(1)〜(3)の方法により生成させることができる。
(1)非線状の反応性前駆体と硬化剤を含む油相を、水相中で分散させ、水相中で硬化剤と非線状の反応性前駆体を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより、非線状の非結晶性ポリエステルを生成させる方法。
(2)非線状の反応性前駆体を含む油相を、予め硬化剤を添加した水相中で分散させ、水相中で硬化剤と非線状の反応性前駆体を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより、非線状の非結晶性ポリエステルを生成させる方法。
(3)非線状の反応性前駆体を含む油相を水相中で分散させた後で、水相中に硬化剤を添加し、水相中で粒子界面から硬化剤と非線状の反応性前駆体を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより、非線状の非結晶性ポリエステルを生成させる方法。
なお、粒子界面から硬化剤と非線状の反応性前駆体を伸長反応及び/又は架橋反応させる場合には、生成する母体粒子の表面に優先的に非線状の非結晶性ポリエステルが形成されるので、母体粒子中に非線状の非結晶性ポリエステルの濃度勾配を形成することもできる。
非線状の非結晶性ポリエステルを生成させる際の反応時間は、通常、10分間〜40時間であり、2〜24時間であることが好ましい。
非線状の非結晶性ポリエステルを生成させる際の反応温度は、通常、0〜150℃であり、40〜98℃であることが好ましい。
硬化剤と非線状の反応性前駆体を伸長反応及び/又は架橋反応させる際には、触媒を用いることができる。
触媒としては、特に限定されないが、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート等が挙げられる。
油相を水相中に分散液させる方法としては、特に限定されないが、水相中に油相を添加し、せん断力により分散させる方法等が挙げられる。
油相を水相中に分散液させる際に用いる分散機としては、特に限定されないが、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機等が挙げられる。中でも、分散体の粒径を2〜20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。
高速せん断式分散機を用いる場合の回転数は、通常、1000〜30000rpmであり、5000〜20000rpmであることが好ましい。
高速せん断式分散機を用いる場合の分散時間は、バッチ方式の場合、通常、0.1〜5分間である。
高速せん断式分散機を用いる場合の分散温度は、通常、加圧下において、0〜150℃であり、40〜98℃であることが好ましい。
組成物に対する水相の質量比は、通常、0.5〜20であり、1〜10であることが好ましい。組成物に対する水相の質量比が0.5未満であると、組成物の分散状態が悪くなって、所定の粒径の母体粒子が得られないことがあり、20を超えると、生産コストが高くなることがある。
水相は、分散体を安定化させ、所望の形状にすると共に、粒度分布を狭くする観点から、分散剤を含むことが好ましい。
分散剤としては、特に限定されないが、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、界面活性剤が好ましい。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。
アニオン成界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられる。中でも、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤が好ましい。
有機溶媒を除去する方法としては、特に限定されないが、徐々に昇温させて有機溶媒を蒸発させる方法、乾燥雰囲気中に噴霧して有機溶媒を除去する方法等が挙げられる。
母体粒子に対しては、必要に応じて、洗浄、乾燥等を実施することができ、分級等をさらに実施することができる。
母体粒子を分級する際には、母体粒子を乾燥させる前に、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子を除去してもよいし、母体粒子を乾燥させた後に、分級してもよい。
母体粒子は、流動性向上剤、帯電制御剤等の粒子と混合してもよい。このとき、機械的衝撃力を印加することにより、母体粒子の表面から粒子が脱離するのを抑制することができる。
機械的衝撃力を印加する方法としては、特に限定されないが、高速で回転する羽根を用いて混合物に衝撃力を印加する方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させて粒子同士又は粒子を衝突板に衝突させる方法等が挙げられる。
機械的衝撃力を印加する装置としては、特に限定されないが、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢等が挙げられる。
トナーは、一成分現像剤として用いてもよいし、キャリアと混合して、二成分現像剤として用いてもよい。
キャリアは、通常、芯材の表面に保護層が形成されている。
芯材を構成する材料としては、特に限定されないが、質量磁化が50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム系材料、質量磁化が50〜90emu/gのマンガン−マグネシウム系材料等が挙げられ、二種以上併用してもよい。画像濃度を確保することが可能な芯材を構成する材料としては、質量磁化が100emu/g以上の鉄、質量磁化が75〜120emu/gのマグネタイト等の高磁化材料が挙げられる。また、穂立ち状態となっている現像剤の感光体に対する衝撃を緩和でき、高画質化に有利である芯材を構成する材料としては、質量磁化が30〜80emu/gの銅−亜鉛系材料等の低磁化材料が挙げられる。
芯材の体積平均粒径は、通常、10〜150μmであり、40〜100μmであることが好ましい。芯材の体積平均粒径が10μm未満であると、キャリア中に微粉が多くなり、一粒子当たりの磁化が低下して、キャリアの飛散が発生することがある。一方、芯材の体積平均粒径が150μmを超えると、芯材の比表面積が低下して、トナーの飛散が発生することがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特に、ベタ部分の再現性が低下することがある。
保護層は、樹脂を含む。
樹脂としては、特に限定されないが、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリハロゲン化オレフィン、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとアクリルモノマーの共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとフルオロ基を有さないモノマーの共重合体等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
アミノ系樹脂としては、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
ポリビニル系樹脂としては、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体等が挙げられる。
ポリハロゲン化オレフィンとしては、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
保護層は、必要に応じて、導電粉等をさらに含んでいてもよい。
導電粉としては、特に限定されないが、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン粉、酸化スズ粉、酸化亜鉛粉等が挙げられる。
導電粉の平均粒径は、通常、1μm以下である。導電粉の平均粒径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
保護層は、樹脂を含む組成物が溶媒中に溶解又は分散している塗布液を芯材の表面に塗布し、乾燥させた後、焼き付けることにより形成することができる。
塗布液の塗布方法としては、特に限定されないが、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ハケ塗り法等が挙げられる。
溶媒としては、特に限定されないが、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチルセロソルブ等が挙げられる。
焼き付ける方法としては、外部加熱方式及び内部加熱方式のいずれであってもよいが、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マ
イクロ波を用いる方法等が挙げられる。
二成分現像剤中のキャリアの含有量は、通常、90〜98質量%であり、93〜97質量%であることが好ましい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、実施例に限定されない。なお、部は、質量部を意味する。
[トナー(1)〜(9)の作製]
(結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−1)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に、セバシン酸202部、アジピン酸15部、1,6−ヘキサンジオール177部及び縮合触媒テトラブトキシチタネート0.5部を入れた後、窒素気流下、生成する水を留去しながら、180℃で8時間反応させた。次に、220℃まで徐々に昇温し、窒素気流下、生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら、4時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下、重量平均分子量がおよそ12000に達するまで反応させ、結晶性ポリエステルを得た。得られた結晶性ポリエステルは、重量平均分子量が12000であった。
得られた結晶性ポリエステルを、冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に移した後、酢酸エチル350部及び4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)30部を加え、窒素気流下、80℃で5時間反応させた。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−1)を得た。結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−1)は、重量平均分子量が22000、融点が62℃であった。
(結晶性ウレタン変性ポリエステルA−2の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に、セバシン酸185部、アジピン酸13部、1,4−ブタンジオール106部及び縮合触媒チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5部を入れた後、窒素気流下、生成する水を留去しながら、180℃で8時間反応させた。次に、220℃まで徐々に昇温し、窒素気流下、生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら、4時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下、重量平均分子量がおよそ14000に達するまで反応させ、結晶性ポリエステルを得た。得られた結晶性ポリエステルは、重量平均分子量が14000であった。
得られた結晶性ポリエステルを、冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に移した後、酢酸エチル250部及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)12部を加え、窒素気流下、80℃で5時間反応させた。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、結晶性ウレタン変性ポリエステルA−2を得た。結晶性ウレタン変性ポリエステルA−4は、重量平均分子量が39000、融点が63℃であった。
(結晶性ポリウレアA−3の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に、1,4−ブタンジアミン123部、1,6−ヘキサンジアミン212部及びメチルエチルケトン(MEK)100部を入れて攪拌した後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)336部を加え、窒素気流下、60℃で5時間反応させた。次に、減圧下でMEKを留去して、結晶性ポリウレアA−3を得た。結晶性ポリウレアA−3は、重量平均分子量が23000、融点が64℃であった。
(結晶性ポリエステルA−4の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に、セバシン酸185部、アジピン酸13部、1,4−ブタンジオール125部及び縮合触媒チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5部を入れた後、窒素気流下、生成する水を留去しながら、180℃で8時間反応させた。次に、220℃まで徐々に昇温し、窒素気流下、生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下、重量平均分子量がおよそ10000に達するまで反応させ、結晶性ポリエステルA−4を得た。結晶性ポリエステルA−4は、重量平均分子量が9500、融点が57℃であった。
(結晶性ブロック共重合体A−5の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に、1,2−プロピレングリコール39部及びメチルエチルケトン(MEK)270部を入れて攪拌した後、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)228部を加え、80℃で5時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリエステルのMEK溶液を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に、セバシン酸202部、1,6−ヘキサンジオール160部及び縮合触媒テトラブトキシチタネート0.5部を入れた後、窒素気流下、生成する水を留去しながら、180℃で8時間反応させた。次に、220℃まで徐々に昇温し、窒素気流下、生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下、重量平均分子量がおよそ8000に達するまで反応させ、結晶性ポリエステルを得た。得られた結晶性ポリエステルは、重量平均分子量が7500、融点が62℃であった。
得られた末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリエステルのMEK溶液540部に、得られた結晶性ポリエステル320部をMEK320部に溶解させた溶液を加えた後、窒素気流下、80℃で5時間反応させた。次に、減圧下でMEKを留去して、結晶性ブロック共重合体A−5を得た。結晶性ブロック共重合体A−5は、重量平均分子量が23000、融点が61℃であった。
(結晶性ポリウレアB−1の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に、1,4−ブタンジアミン79部、1,6−ヘキサンジアミン116部及びメチルエチルケトン(MEK)600部を入れて攪拌した後、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)475部を加え、窒素気流下、60℃で5時間反応させた。次に、減圧下でMEKを留去して、結晶性ポリウレアB−1を得た。結晶性ポリウレアB−1は、重量平均分子量が57000、融点が66℃であった。
(結晶性ポリエステルB−2の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に、ドデカン二酸230部、1,6−ヘキサンジオール118部及び縮合触媒テトラブトキシチタネート0.5部を入れた後、窒素気流下、生成する水を留去しながら、180℃で8時間反応させた。次に、220℃まで徐々に昇温し、窒素気流下、生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下、重量平均分子量がおよそ50000に達するまで反応させ、結晶性ポリエステルB−2を得た。結晶性ポリエステルB−2は、重量平均分子量が52000、融点が66℃であった。
(結晶性ポリエステルプレポリマー(B−3)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に、セバシン酸202部、1,6−ヘキサンジオール122部及び縮合触媒チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5部を入れた後、窒素気流下、生成する水を留去しながら、180℃で8時間反応させた。次に、220℃まで徐々に昇温し、窒素気流下、生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら、4時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下、重量平均分子量がおよそ25000に達するまで反応させ、結晶性ポリエステルを得た。
得られた結晶性ポリエステルを、冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に移した後、酢酸エチル300部及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)27部を加え、窒素気流下、80℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する結晶性ポリエステルプレポリマー(B−3)の50質量%酢酸エチル溶液を得た。
結晶性ポリエステルプレポリマー(B−3)の50質量%酢酸エチル溶液10部をテトラヒドロフラン(THF)10部と混合した後、ジブチルアミン1部を加えて、2時間撹拌した。得られた試料を用いて、GPCを測定した結果、結晶性ポリエステルプレポリマー(B−2)は、重量平均分子量が54000であった。また、得られた試料から溶媒を除去した後、DSCを測定した結果、結晶性ポリエステルプレポリマー(B−3)は、融点が57℃であった。
(非結晶性ポリエステル(C−1)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管をセットした反応槽に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物222部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2mol付加物129部、イソフタル酸166部及びテトラブトキシチタネート0.5部を入れた後、窒素気流下、生成する水を留去しながら、230℃で8時間反応させた。次に、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2mgKOH/gになった時点で180℃まで冷却した。さらに、無水トリメリット酸35部を加えた後、3時間反応させ、非結晶性ポリエステル(C−1)を得た。非結晶性ポリエステル(C−1)は、重量平均分子量が8000、ガラス転移点が62℃であった。
<重量平均分子量>
高速GPC装置HLC−8220GPC(東ソー社製)を用いて重量平均分子量を測定した。カラムとしては、TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー社製)を用いた。試料は、安定剤を含むテトラヒドロフラン(和光純薬製)に溶解させて0.15質量%の溶液とした後、孔径が0.2μmのフィルターを用いて濾過して、100μL注入した。このとき、40℃の環境下、流速を0.35mL/minとして測定した。なお、試料の分子量は、標準試料として、単分散ポリスチレンShowdexSTANDARDシリーズのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580(昭和電工社製)及びトルエンを用いて作成した検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。また、検出器としては、RI(屈折率)検出器を用いた。
<融点及びガラス転移点>
示差走査熱量計Q−200(TAインスツルメント社製)を用いて、融点及びガラス転移点を測定した。具体的には、まず、試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れた後、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットした。次に、窒素雰囲気下、−80℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温した(1回目の昇温)。その後、150℃から降温速度10℃/minで−80℃まで冷却した後、昇温速度10℃/minで150℃まで昇温した(2回目の昇温)。
2回目の昇温におけるDSC曲線から、Q−200システム中の解析プログラムを用いて、ガラス転移点を求めた。また、2回目の昇温におけるDSC曲線から、Q−200システム中の解析プログラムを用いて、吸熱ピークトップ温度を融点とした。
(グラフト重合体(1)の合成)
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、キシレン480部及び軟化点が128℃の低分子量ポリエチレンのサンワックスLEL−400(三洋化成工業社製)100部を入れた後、窒素で置換した。次に、170℃に昇温した後、スチレン740部、アクリロニトリル100部、アクリル酸ブチル60部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36部及びキシレン100部の混合液を3時間で滴下した。さらに、170℃で30分間保持した後、脱溶剤し、グラフト重合体を得た。グラフト重合体は、重量平均分子量が24000、ガラス転移点が67℃であった。
(離型剤分散液(1)の調製)
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、融点が75℃のパラフィンワックスHNP−9(日本精鑞社製)50部、グラフト重合体(1)30部及び酢酸エチル420部を入れた後、80℃まで昇温した。次に、80℃で5時間保持した後、1時間で30℃まで冷却した。さらに、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度を1kg/h、ディスクの周速度を6m/sとし、粒径が0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で分散させ、離型剤分散液(1)を得た。
(マスターバッチ(1)の作製)
結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−1)100部、DBP吸油量が42mL/100g、pHが9.5のカーボンブラックPrintex35(デグサ社製)100部及びイオン交換水50部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した後、二本ロールを用いて混練した。このとき、90℃から混練を始めた後、50℃まで徐々に冷却した。得られた混練物を、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)を用いて粉砕して、マスターバッチ(1)を得た。
(マスターバッチ(2)の作製)
結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−1)の代わりに、結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−2)を用いた以外は、マスターバッチ(1)と同様にして、マスターバッチ(2)を得た。
(マスターバッチ(3)の作製)
結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−1)の代わりに、結晶性ポリウレア(A−3)を用いた以外は、マスターバッチ(1)と同様にして、マスターバッチ(3)を得た。
(マスターバッチ(4)の作製)
結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−1)の代わりに、結晶性ポリエステル(A−4)を用いた以外は、マスターバッチ(1)と同様にして、マスターバッチ(4)を得た。
(マスターバッチ(5)の作製)
結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−1)の代わりに、結晶性ブロック共重合体(A−5)を用いた以外は、マスターバッチ(1)と同様にして、マスターバッチ(5)を得た。
(油相(1)の調製)
温度計及び撹拌機をセットした容器に、結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−1)31.5部及び酢酸エチル31.5部を入れた後、樹脂の融点以上まで加熱して溶解させた。次に、非結晶性ポリエステル(C−1)の50質量%酢酸エチル溶液100部、離型剤分散液(1)60部及びマスターバッチ(1)12部を加えた後、50℃で、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで撹拌し、油相(1)を得た。なお、油相(1)は、容器内で50℃に保持し、結晶化しないように調製してから5時間以内に使用した。
(油相(2)の調製)
温度計及び撹拌機をセットした容器に、結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−1)46.5部及び酢酸エチル46.5部を入れた後、樹脂の融点以上まで加熱して溶解させた。次に、非結晶性ポリエステル(C−1)の50質量%酢酸エチル溶液60部、離型剤分散液(1)60部及びマスターバッチ(1)12質量部を加えた後、50℃で、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで撹拌し、油相(1)を得た。なお、油相(1)は、容器内で50℃に保持し、結晶化しないように調製してから5時間以内に使用した。
(油相(3)の調製)
温度計及び撹拌機をセットした容器に、結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−1)50部及び酢酸エチル50部を入れた後、樹脂の融点以上まで加熱して溶解させた。次に、非結晶性ポリエステル(C−1)の50質量%酢酸エチル溶液40部、離型剤分散液(1)60部及びマスターバッチ(1)12部を加えた後、50℃で、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで撹拌し、油相(3)を得た。なお、油相(3)は、容器内で50℃に保持し、結晶化しないように調製してから5時間以内に使用した。
(油相(4)の調製)
温度計及び撹拌機をセットした容器に、結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−2)54部及び酢酸エチル54部を入れた後、樹脂の融点以上まで加熱して溶解させた。次に、非結晶性ポリエステル(C−1)の50質量%酢酸エチル溶液40部、離型剤分散液(1)60部及びマスターバッチ(2)12部を加えた後、50℃で、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで撹拌し、油相(4)を得た。なお、油相(4)は、容器内で50℃に保持し、結晶化しないように調製してから5時間以内に使用した。
(油相(5)の調製)
温度計及び撹拌機をセットした容器に、結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−3)54部、結晶性ポリウレア(B−1)20部及び酢酸エチル74部を入れた後、樹脂の融点以上まで加熱して溶解させた。次に、非結晶性ポリエステル(C−1)の50質量%酢酸エチル溶液40部、離型剤分散液(1)60部及びマスターバッチ(3)12部を加えた後、50℃で、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで撹拌し、油相(5)を得た。なお、油相(5)は、容器内で50℃に保持し、結晶化しないように調製してから5時間以内に使用した。
(油相(6)の調製)
温度計及び撹拌機をセットした容器に、結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−5)54部及び酢酸エチル54部を入れた後、樹脂の融点以上まで加熱して溶解させた。次に、非結晶性ポリエステル(C−1)の50質量%酢酸エチル溶液40部、離型剤分散液(1)60部及びマスターバッチ(5)12部を加えた後、50℃で、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで撹拌し、油相(6)を得た。なお、油相(6)は、容器内で50℃に保持し、結晶化しないように調製してから5時間以内に使用した。
(油相(7)の調製)
温度計及び撹拌機をセットした容器に、結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−4)54部、結晶性ポリウレア(B−2)20部及び酢酸エチル74部を入れた後、樹脂の融点以上まで加熱して溶解させた。次に、非結晶性ポリエステル(C−1)の50質量%酢酸エチル溶液40部、離型剤分散液(1)60部及びマスターバッチ(4)12部を加えた後、50℃で、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで撹拌し、油相(7)を得た。なお、油相(7)は、容器内で50℃に保持し、結晶化しないように調製してから5時間以内に使用した。
(油相(8)の調製)
温度計及び撹拌機をセットした容器に、結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−1)74部及び酢酸エチル74部を入れた後、樹脂の融点以上まで加熱して溶解させた。次に、非結晶性ポリエステル(C−1)の50質量%酢酸エチル溶液40部、離型剤分散液(1)60部及びマスターバッチ(1)12部を加えた後、50℃で、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで撹拌し、油相(8)を得た。なお、油相(8)は、容器内で50℃に保持し、結晶化しないように調製してから5時間以内に使用した。
(ビニル樹脂の水分散液の調製)
攪拌棒及び温度計をセットした反応槽に、水600部、スチレン120部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル45部、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩のエレミノールJS−2(三洋化成工業社製)10部及び過硫酸アンモニウム1部を入れた後、400rpmで20分間攪拌した。次に、75℃まで昇温し、6時間反応させた。さらに、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加えた後、75℃で6時間熟成し、ビニル樹脂の水分散液を得た。ビニル樹脂は、体積平均粒径が80nm、重量平均分子量が160000、ガラス転移点が74℃であった。
(水相の調製)
水990部、ビニル樹脂の水分散液83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液エレミノールMON−7(三洋化成工業社製)37部、及び酢酸エチル90部を混合撹拌し、水相を得た。
(トナー(1)の作製)
50℃に保持した油相(1)に結晶性ポリエステルプレポリマー(B−3)の50質量%酢酸エチル溶液25部を加えた後、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで撹拌し、油相(1')を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、水相520部を入れた後、40℃まで加熱した。次に、40〜50℃に保持した水相520部を、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、13000rpmで攪拌しながら、油相(1')を添加した後、1分間乳化して乳化スラリーを得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、乳化スラリーを入れた後、60℃で6時間脱溶剤し、分散スラリーを得た。得られた分散スラリーを減圧濾過した後、以下のようにして洗浄した。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100部を加えた後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、6000rpmで5分間混合した後、濾過した。
(2)濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100部を加えた後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、6000rpmで10分間混合した後、減圧濾過した。
(3)濾過ケーキに10質量%塩酸100部を加えた後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、6000rpmで5分間混合した後、濾過した。
(4)濾過ケーキにイオン交換水300部を加えた後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、6000rpmで5分間混合した後、濾過する操作を2回繰り返した。
得られた濾過ケーキを、循風乾燥機を用いて、45℃で48時間乾燥させた後、目開きが75μmのメッシュで篩い、母体粒子を得た。
母体粒子100部及び疎水性シリカHDK−2000(ワッカー・ケミー社製)1.0部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて、周速30m/sで30秒間混合した後、1分間休止する処理を5回繰り返した後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(1)を得た。
(トナー(2)の作製)
油相(1)の代わりに、油相(2)を用い、結晶性ポリエステルプレポリマー(B−3)の50質量%酢酸エチル溶液の添加量を35部に変更した以外は、トナー(1)と同様にして、トナー(2)を得た。
(トナー(3)の作製)
油相(1)の代わりに、油相(3)を用い、結晶性ポリエステルプレポリマー(B−3)の50質量%酢酸エチル溶液の添加量を48部に変更した以外は、トナー(1)と同様にして、トナー(3)を得た。
(トナー(4)の作製)
油相(1)の代わりに、油相(4)を用い、結晶性ポリエステルプレポリマー(B−3)の50質量%酢酸エチル溶液の添加量を40部に変更した以外は、トナー(1)と同様にして、トナー(4)を得た。
(トナー(5)の作製)
結晶性ウレタン変性ポリエステル(A−1)60部、結晶性ウレタン変性ポリエステル(B−1)20部、非結晶性ポリエステル(C−1)20部、融点が75℃のパラフィンワックスHNP−9(日本精鑞社製)5部及びマスターバッチ(1)12部を、へンシェルミキサーFM10B(三井三池化工機社製)を用いて、予備混合した後、二軸混練機PCM−30(池貝社製)を用いて、80〜120℃で溶融混練した。得られた混練物を室温まで冷却した後、ハンマーミルを用いて、粒径が200〜300μmとなるように粗粉砕した。次に、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業社製)を用いて、重量平均粒径が6.2±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した後、気流分級機MDS−I(日本ニューマチック工業社製)を用いて、重量平均粒径が7.0±0.2μm、4μm以下の微粉量が10個数%以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、母体粒子を得た。
母体粒子100部及び疎水性シリカHDK−2000(ワッカー・ケミー社製)1.0部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて、周速30m/sで30秒間混合した後、1分間休止する処理を5回繰り返した後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(5)を得た。
(トナー(6)の作製)
油相(1)の代わりに、油相(5)を用い、結晶性ポリエステルプレポリマー(B−3)の50質量%酢酸エチル溶液を添加しなかった以外は、トナー(1)と同様にして、トナー(6)を得た。
(トナー(7)の作製)
油相(1)の代わりに、油相(6)を用い、結晶性ポリエステルプレポリマー(B−3)の50質量%酢酸エチル溶液の添加量を40部に変更した以外は、トナー(1)と同様にして、トナー(7)を得た。
(トナー(8)の作製)
油相(1)の代わりに、油相(7)を用い、結晶性ポリエステルプレポリマー(B−3)の50質量%酢酸エチル溶液を添加しなかった以外は、トナー(1)と同様にして、トナー(8)を得た。
(トナー(9)の作製)
油相(1)の代わりに、油相(8)を用い、結晶性ポリエステルプレポリマー(B−3)の50質量%酢酸エチル溶液を添加しなかった以外は、トナー(1)と同様にして、トナー(9)を得た。
表1に、トナー(1)〜(9)の特性を示す。
<S(120)/S(23)>
23℃における1粒子の記録媒体上への投影面積S(23)に対する120℃における1粒子の記録媒体上への投影面積S(120)の比を、以下のようにして測定した。まず、現像剤をメッシュ上に乗せた後、エアーでPODグロスコート128(王子製紙社製)上に吹き付け、PODグロスコート128(王子製紙社製)上でトナーが1粒子毎にばらけるように付着させる。次に、PODグロスコート128(王子製紙社製)のトナーが付着した箇所を10mm四方に切り出した後、加熱プレート上に乗せた。さらに、加熱プレートを10℃/minで昇温させ、光学顕微鏡で観察しながら、静止画を撮影した。次に、撮影された静止画から、画像解析ソフトを用いて、1粒子の記録媒体上への投影面積を測定し、S(120)/S(23)を算出した。このとき、S(120)/S(23)は、50個の測定値の平均値とした。
<N元素の量>
トナー5gをソックスレー抽出器に入れ、テトラヒドロフラン70mLで20時間抽出した後、テトラヒドロフランを加熱減圧除去し、テトラヒドロフランに可溶な成分を得た。
vario MICRO cube(Elementar社製)を用いて、燃焼炉の温度を950℃、還元炉の温度を550℃、ヘリウムの流量を200mL/min、酸素の流量を25〜30mL/minとして、テトラヒドロフランに可溶な成分のCHN同時測定を行い、2回測定した値の平均値として、N元素の量を求めた。
なお、N元素の量が0.5質量%未満であった場合は、さらに微量窒素分析装置ND−100型(三菱化学社製)を用いて、N元素の量を測定した。この場合、電気炉(横型反応炉)の熱分解部分の温度を800℃、触媒部分の温度を900℃、酸素の流量を300mL/min、アルゴンの流量を400mL/min、感度をLowとし、ピリジン標準液で作成した検量線を基に定量した。
<ウレア結合の存在>
トナー5gをソックスレー抽出器に入れ、テトラヒドロフラン70mLで20時間抽出した後、テトラヒドロフランを加熱減圧除去し、テトラヒドロフランに可溶な成分を得た。
テトラヒドロフランに可溶な成分2gを0.1mol/Lの水酸化カリウムのメタノール溶液200mL中に、50℃で24時間浸した後、残渣をイオン交換水でpHが中性になるまで洗浄し、乾燥させた。得られた乾燥物を、ジメチルアセトアミド(DMAc)と重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)の混合溶媒(体積比9:1)に、濃度が100mg/0.5mLとなるように加えた後、70℃で12〜24時間溶解させた。次に、50℃まで冷却し、13CNMRを測定した。このとき、測定周波数を125.77MHz、1H_60°パルスを5.5μsとし、基準物質として、テトラメチルシラン(TMS)を用いた。
<結晶化度>
2次元検出器搭載X線回折装置D8 DISCOVER with GADDS(Bruker社製)を用いて、トナーのX線回折スペクトルを測定した。
キャピラリー管としては、直径が0.70mmのマークチューブ(リンデンマンガラス)を用い、キャピラリー管の上部までトナーを充填して測定した。また、トナーを充填する際に、タッピングし、タッピング回数を100回とした。
測定の詳細条件を以下に示す。
管電流:40mA
管電圧:40kV
ゴニオメーター2θ軸:20.0000°
ゴニオメーターΩ軸:0.0000°
ゴニオメーターφ軸:0.0000°
検出器距離:15cm(広角測定)
測定範囲:3.2≦2θ[゜]≦37.2
測定時間:600sec
入射光学系には、直径が1mmのピンホールを有するコリメーターを用いた。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換した。
[トナー(10)〜(27)の作製]
(ケチミン(1)の合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部及びメチルエチルケトン75部を入れた後、50℃で5時間反応させ、ケチミン(1)を得た。ケチミン(1)は、アミン価が418mgKOH/gであった。
(非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、イソフタル酸、アジピン酸及びトリメチロールプロパンを、カルボキシル基に対する水酸基のモル比[OH]/[COOH]が1.1となるように入れた。このとき、ジカルボン酸は、イソフタル酸45モル%及びアジピン酸55モル%からなり、トリメチロールプロパンは、全モノマーに対して、1.5モル%となるようにし、チタンテトライソプロポキシドを全モノマーに対して、1000ppm加えた。次に、4時間程度で200℃まで昇温した後、2時間で230℃まで昇温し、流出水がなくなるまで反応させた。さらに、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させて、水酸基を有するポリエステルを得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に、得られた水酸基を有するポリエステルとイソホロンジイソシアネート(IPDI)を、水酸基に対するイソシアネート基のモル比[NCO]/[OH]が2.0になるように入れた。次に、酢酸エチルで希釈した後、100℃で5時間反応させて、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーの50質量%酢酸エチル溶液を得た。
得られたイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーの50質量%酢酸エチル溶液を、加熱装置、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽で撹拌した後、イソシアネート基に対するアミノ基のモル比[NCO]/[NH2]が1.0になるようにケチミン(1)を滴下した。次に、45℃で10時間撹拌した後、酢酸エチルの含有量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)を得た。非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)は、重量平均分子量が164000、ガラス転移点が−40℃であった。
(非線状の非結晶性ポリエステル(D−2)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管をセットした反応槽に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、アジピン酸及びトリメチロールプロパンを、カルボキシル基に対する水酸基のモル比[OH]/[COOH]が1.1となるように入れた。このとき、トリメチロールプロパンは、全モノマーに対して、1.5モル%となるようにし、チタンテトライソプロポキシドを全モノマーに対して、1000ppm加えた。次に、4時間程度で200℃まで昇温した後、2時間で230℃まで昇温し、流出水がなくなるまで反応させた。さらに、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させて、水酸基を有するポリエステルを得た。
得られた水酸基を有するポリエステルを用いた以外は、非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)と同様にして、非線状の非結晶性ポリエステル(D−2)を得た。非線状の非結晶性ポリエステル(D−2)は、重量平均分子量が175000、ガラス転移点が−55℃であった。
(非線状の非結晶性ポリエステル(D−3)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒索導入管をセットした反応槽に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸及び無水トリメリット酸を、カルボキシル基に対する水酸基のモル比[OH]/[COOH]が1.3となるように入れた。このとき、ジオールは、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物90モル%及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物10モル%からなり、ポリカルボン酸は、テレフタル酸90モル%及び無水トリメリット酸10モル%からなり、チタンテトライソプロポキシドを全モノマーに対して1000ppm加えた。次に、4時間程度で200℃まで昇温した後、2時間で230℃まで昇温し、流出水がなくなるまで反応させた。さらに、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させて、水酸基を有するポリエステルを得た。
得られた水酸基を有するポリエステルを用いた以外は、非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)と同様にして、非線状の非結晶性ポリエステル(D−3)を得た。非線状の非結晶性ポリエステル(D−3)は、重量平均分子量が130000、ガラス転移点が54℃であった。
(非線状の非結晶性ポリエステル(D−4)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒索導入管をセットした反応槽に、1,2−プロピレングリコール、テレフタル酸、アジピン酸及び無水トリメリット酸を、カルボキシル基に対する水酸基のモル比[OH]/[COOH]が1.3となるように入れた。このとき、ジカルボン酸は、テレフタル酸80モル%及びアジピン酸20モル%からなり、無水トリメリット酸は、全モノマー量に対して、2.5モル%となるようにし、チタンテトライソプロポキシドを全モノマーに対して1000ppm加えた。次に、4時間程度で200℃まで昇温した後、2時間で230℃まで昇温し、流出水がなくなるまで反応させた。さらに、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させて、水酸基を有するポリエステルを得た。
得られた水酸基を有するポリエステルを用いた以外は、非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)と同様にして、非線状の非結晶性ポリエステル(D−4)を得た。非線状の非結晶性ポリエステル(D−4)は、重量平均分子量が140000、ガラス転移点が56℃であった。
(非線状の非結晶性ポリエステル(D−5)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒索導入管をセットした反応槽に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、イソフタル酸、アジピン酸及び無水トリメリット酸を、カルボキシル基に対する水酸基のモル比[OH]/[COOH]が1.5となるように入れた。このとき、ジカルボン酸は、イソフタル酸40モル%及びアジピン酸60モル%からなり、無水トリメリット酸は、全モノマーに対して、1モル%となるようにし、チタンテトライソプロポキシドを全モノマーに対して1000ppm加えた。次に、4時間程度で200℃まで昇温した後、2時間で230℃まで昇温し、流出水がなくなるまで反応させた。さらに、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させて、水酸基を有するポリエステルを得た。
得られた水酸基を有するポリエステルを用いた以外は、非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)と同様にして、非線状の非結晶性ポリエステル(D−5)を得た。非線状の非結晶性ポリエステル(D−5)は、重量平均分子量が150000、ガラス転移点が−35℃であった。
(線状の非結晶性ポリエステル(E−1)の合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対をセットした反応槽に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸及びアジピン酸を、カルボキシル基に対する水酸基のモル比[OH]/[COOH]が1.3となるように入れた。このとき、ジオールは、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物60モル%及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物40モル%からなり、ジカルボン酸は、テレフタル酸93モル%及びアジピン酸7モル%からなり、チタンテトライソプロポキシドを全モノマーに対して500ppm加えた。次に、230℃で8時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で4時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸を全モノマーに対して1モル%になるように加えた後、180℃で3時間反応させて、線状の非結晶性ポリエステル(E−1)を得た。線状の非結晶性ポリエステル(E−1)は、重量平均分子量が5300、ガラス転移点が67℃であった。
(線状の非結晶性ポリエステル(E−2)の合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対をセットした反応槽に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物、1,3−プロピレングリコール、テレフタル酸及びアジピン酸を、カルボキシル基に対する水酸基のモル比[OH]/[COOH]が1.4となるように入れた。このとき、ジオールは、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物90モル%及び1,3−プロピレングリコール10モル%からなり、ジカルボン酸は、テレフタル酸80モル%及びアジピン酸20モル%からなり、チタンテトライソプロポキシドを全モノマーに対して500ppm加えた。次に、230℃で8時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で4時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸を全モノマーに対して1モル%になるように加えた後、180℃で3時間反応させて、線状の非結晶性ポリエステル(E−2)を得た。線状の非結晶性ポリエステル(E−2)は、重量平均分子量が5600、ガラス転移点が61℃であった。
(線状の非結晶性ポリエステル(E−3)の合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対をセットした反応槽に、ビスフェノールAのエチレンオキサイドサイド2モル付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物、イソフタル酸及びアジピン酸を、カルボキシル基に対する水酸基のモル比[OH]/[COOH]がが1.2となるように入れた。このとき、ジオールは、ビスフェノールAのエチレンオキサイドサイド2モル付加物80モル%及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物20モル%からなり、ジカルボン酸は、イソフタル酸80モル%及びアジピン酸20モル%からなり、チタンテトライソプロポキシドを全モノマーに対して500ppm加えた。次に、230℃で8時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で4時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸を全モノマーに対して1モル%になるように加えた後、180℃で3時間反応させて、線状の非結晶性ポリエステル(E−3)を得た。線状の非結晶性ポリエステル(E−3)は、重量平均分子量が5500、ガラス転移点が50℃であった。
(線状の非結晶性ポリエステル(E−4)の合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対をセットした反応槽に、ビスフェノールAのエチレンオキサイドサイド2モル付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物、イソフタル酸及びアジピン酸を、カルボキシル基に対する水酸基のモル比[OH]/[COOH]が1.3となるように入れた。このとき、ジオールは、ビスフェノールAのエチレンオキサイドサイド2モル付加物85モル%及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物15モル%からなり、ジカルボン酸は、イソフタル酸80モル%及びアジピン酸20モル%からなり、チタンテトライソプロポキシドを全モノマーに対して500ppm加えた。次に、230℃で8時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で4時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸を全モノマーに対して1モル%になるように加えた後、180℃で3時間反応させて、線状の非結晶性ポリエステル(E−4)を得た。線状の非結晶性ポリエステル(E−4)は、重量平均分子量が5000、ガラス転移点が48℃であった。
(線状の非結晶性ポリエステル(E−5)の合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対をセットした反応槽に、ビスフェノールAのエチレンオキサイドサイド2モル付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物、テレフタル酸及びアジピン酸を、カルボキシル基に対する水酸基のモル比[OH]/[COOH]が1.3となるように入れた。このとき、ジオールは、ビスフェノールAのエチレンオキサイドサイド2モル付加物85モル%及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物15モル%からなり、ジカルボン酸は、テレフタル酸80モル%及びアジピン酸20モル%からなり、チタンテトライソプロポキシドを全モノマーに対して500ppm加えた。次に、230℃で8時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で4時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸を全モノマーに対して1モル%になるように加えた後、180℃で3時間反応させて、線状の非結晶性ポリエステル(E−5)を得た。線状の非結晶性ポリエステル(E−5)は、重量平均分子量が5000、ガラス転移点が51℃であった。
(結晶性ポリエステル(F−1)の合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対をセットした反応槽に、セバシン酸及び1,6−ヘキサンジオールを、カルボキシル基に対する水酸基のモル比[OH]/[COOH]が0.9となるように入れた。このとき、チタンテトライソプロポキシドを全モノマーに対して500ppm加え、180℃で10時間反応させた。次に、200℃まで昇温して3時間反応させた後、8.3kPaの減圧下で2時間反応させて、結晶性ポリエステル(F−1)を得た。結晶性ポリエステル(F−1)は、重量平均分子量が25000、融点が67℃であった。
(トナー(10)の作製)
<マスターバッチの作製>
水1200部、DBP吸油量が42mL/100mg、pHが9.5のカーボンブラックPrintex35(デクサ社製)500部及び線状の非結晶性ポリエステル(E−1)500部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した後、2本ロールを用いて150℃で30分間混練した。次に、圧延冷却した後、パルペライザーを用いて粉砕し、マスターバッチを得た。
<離型剤分散液の調製>
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、融点が75℃のパラフィンワックスHNP−9(日本精鑞社製)50部及び酢酸エチル450部を入れた後、撹拌しながら80℃まで昇温し、5時間保持した。次に、1時問で30℃まで冷却した後、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度を1kg/h、ディスクの周速度を6m/sとし、直径が0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填して、3パスの条件で分散させ、離型剤分散液を得た。
<結晶性ポリエステル分散液の調製>
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、結晶性ポリエステル(F−1)50部及び酢酸エチル450部を入れた後、撹拌しながら80℃まで昇温し、5時間保持した。次に、1時間で30℃まで冷却した後、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度を1kg/h、ディスクの周速度を6m/sとし、直径が0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填して、3パスの条件で分散させ、結晶性ポリエステル分散液を得た。
<油相の調製>
離型剤分散液50部、非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)150部、結晶性ポリエステル分散液500部、線状の非結晶性ポリエステル(E−1)750部、マスターバッチ50部及びケチミン(1)2部を容器に入れた後、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで60分間混合し、油相を得た。
<ビニル樹脂の水分散液の調製>
撹拌棒及び温度計をセットした反応槽に、水683部、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部及び過硫酸アンモニウム1部を入れた後、400rpmで15分間撹拌した。次に、75℃まで昇温して5時間反応させた後、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、75℃で5時間熟成して、ビニル樹脂の水分散液を得た。
レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(HORIBA社製)を用いて、ビニル樹脂の水分散液の体積平均粒径を測定したところ、0.14μmであった。
<水相の調製>
水990部、ビニル樹脂の水分散液83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液エレミノールMON−7(三洋化成工業社製)37部及び酢酸エチル90部を混合撹拌し、水相を得た。
<乳化・脱溶剤>
油相1052部が入った容器に、水相1200部を加えた後、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、13000rpmで20分間混合し、乳化スラリーを得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、乳化スラリーを入れ、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成し、分散スラリーを得た。
<洗浄・乾燥>
分散スラリー100部を減圧濾過した。得られた濾過ケーキに対し、次の(1)〜(4)の操作を2回繰り返した。
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過する。
(2):(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、12000rpmで30分間混合した後、減圧濾過する。
(3):(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100部を加え、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過する。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過する。
得られた濾過ケーキを、循風乾燥機を用いて、45℃で48時間乾燥させた後、目開きが75μmメッシュで篩って、母体粒子を得た。
母体粒子100部及び疎水性シリカHDK−2000(ワッカー・ケミー社製)1.0部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて、周速30m/sで30秒間混合した後、1分間休止する処理を5回繰り返した後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(10)を得た。
(トナー(11)の作製)
<油相の調製>における非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−1)の添加量を、それぞれ120部及び780部に変更した以外は、トナー(10)と同様にして、トナー(11)を得た。
(トナー(12)の作製)
<油相の調製>における非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−1)の添加量を、それぞれ180部及び720部に変更した以外は、トナー(10)と同様にして、トナー(12)を得た。
(トナー(13)の作製)
非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−1)の代わりに、非線状の非結晶性ポリエステル(D−2)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−3)を用いた以外は、トナー(10)と同様にして、トナー(13)を得た。
(トナー(14)の作製)
<油相の調製>における非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)、線状の非結晶性ポリエステル(E−1)及び結晶性ポリエステル分散液の添加量を、それぞれ120部、820部及び100部に変更した以外は、トナー(10)と同様にして、トナー(14)を得た。
(トナー(15)の作製)
<油相の調製>における非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)、線状の非結晶性ポリエステル(E−1)及び結晶性ポリエステル分散液の添加量を、それぞれ180部、750部及び200部に変更した以外は、トナー(10)と同様にして、トナー(15)を得た。
(トナー(16)の作製)
非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−1)の代わりに、非線状の非結晶性ポリエステル(D−2)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−3)を用いた以外は、トナー(12)と同様にして、トナー(16)を得た。
(トナー(17)の作製)
線状の非結晶性ポリエステル(E−1)の代わりに、線状の非結晶性ポリエステル(E−2)を用いた以外は、トナー(11)と同様にして、トナー(17)を得た。
(トナー(18)の作製)
非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)の代わりに、非線状の非結晶性ポリエステル(D−2)を用いた以外は、トナー(10)と同様にして、トナー(18)を得た。
(トナー(19)の作製)
線状の非結晶性ポリエステル(E−1)の代わりに、線状の非結晶性ポリエステル(E−2)を用いた以外は、トナー(10)と同様にして、トナー(19)を得た。
(トナー(20)の作製)
<油相の調製>における非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)、線状の非結晶性ポリエステル(E−1)及び結晶性ポリエステル分散液の添加量を、それぞれ125部、825部及び0部に変更した以外は、トナー(10)と同様にして、トナー(20)を得た。
(トナー(21)の作製)
非線状の非結晶性ポリエステル(D−2)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−3)の添加量を、それぞれ200部及び700部に変更した以外は、トナー(16)と同様にして、トナー(21)を得た。
(トナー(22)の作製)
非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−1)の代わりに、非線状の非結晶性ポリエステル(D−4)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−3)を用いた以外は、トナー(10)と同様にして、トナー(22)を得た。
(トナー(23)の作製)
非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−1)の代わりに、非線状の非結晶性ポリエステル(D−5)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−5)を用いた以外は、トナー(12)と同様にして、トナー(23)を得た。
(トナー(24)の作製)
<油相の調製>における結晶性ポリエステル分散液の添加量を0部に変更した以外は、トナー(22)と同様にして、トナー(24)を得た。
(トナー(25)の作製)
非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−1)の代わりに、非線状の非結晶性ポリエステル(D−5)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−4)を用いた以外は、トナー(12)と同様にして、トナー(25)を得た。
(トナー(26)の作製)
非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−1)の代わりに、非線状の非結晶性ポリエステル(D−3)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−2)を用いた以外は、トナー(10)と同様にして、トナー(26)を得た。
(トナー(27)の作製)
<油相の調製>における非線状の非結晶性ポリエステル(D−1)及び線状の非結晶性ポリエステル(E−1)の添加量を、それぞれ80部及び820部に変更した以外は、トナー(10)と同様にして、トナー(27)を得た。
表2に、トナー(10)〜(27)の特性を示す。
表3に、トナー(10)〜(27)のTHFに可溶な成分及び不溶な成分の特性を示す。
<THFに可溶な成分とTHFに不溶な成分の分離>
トナー1gをTHF100mL中に入れ、25℃で30分間攪拌した後、目開きが0.2μmのメンブランフィルターでろ過し、ろ物をTHFに不溶な成分とした。一方、、ろ液を乾燥させ、THFに可溶な成分を得た。
<貯蔵弾性率G'>
動的粘弾性測定装置ARES(TAインスツルメント社製)を用いて、貯蔵弾性率G'を測定した。このとき、試料を、直径が8mm、厚さが1mmのペレットに成型し、直径が8mmのパラレルプレートに固定した後、40℃で安定させ、周波数を1Hz(6.28rad/s)、歪み量を0.1%(歪み量制御モード)として、2.0℃/minで200℃まで昇温させて、G'が3.0×104Paとなる温度T1、G'が1.0×104Paとなる温度T2、100℃における貯蔵弾性率G'(100)及び140℃における貯蔵弾性率G'(140)を測定した。
<1回目及び2回目の昇温におけるガラス転移点Tg1st及びTg2nd>
示差走査熱量計Q−200(TAインスツルメント社製)を用いて、融点及びガラス転移点を測定した。具体的には、まず、試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れた後、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットした。次に、窒素雰囲気下、−80℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温した(1回目の昇温)。その後、150℃から降温速度10℃/minで−80℃まで冷却した後、昇温速度10℃/minで150℃まで昇温した(2回目の昇温)。
1回目の昇温におけるDSC曲線から、Q−200システム中の解析プログラムを用いて、ガラス転移点Tg1stを求めた。
2回目の昇温におけるDSC曲線から、Q−200システム中の解析プログラムを用いて、ガラス転移点Tg2ndを求めた。
表4に、トナー(1)〜(27)の耐熱保存性の評価結果を示す。
<耐熱保存性>
50mLのガラス容器にトナーを充填した後、50℃の恒温槽に24時間放置した。次に、トナーを24℃まで冷却し、針入度試験(JISK2235−1991)により針入度(貫入深さ)を測定し、耐熱保存性を評価した。なお、針入度が25mm以上である場合を◎、15mm以上25mm未満である場合を○、5mm以上15mm未満である場合を△、5mm未満である場合を×として、判定した。
[キャリアの作製]
シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン)100部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5部、カーボンブラック10部及びトルエン100部を、ホモミキサーを用いて20分間分散させ、保護層用塗布液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、体積平均粒径が35μmの球状フェライト1,000部の表面に保護層塗布液を塗布して、キャリアを得た。
[現像剤の作製]
トナー5部とキャリア95部を混合し、現像剤を得た。
[定着ベルト(1)〜(5)の作製]
(定着ベルト(1)の作製)
外径が30mm、厚さが35μmのポリイミド製の基材の表面に、シリコーンプライマー樹脂DY39−051(東レダウコーニング社製)を塗布した後、乾燥させて、第1プライマー層を形成した。次に、第1プライマー層の表面に、耐熱性シリコーン樹脂DX35−2083(東レダウコーニング社製)を塗布した後、加硫して、厚さが150μmの弾性層を形成した。さらに、弾性層の表面に、PFAプライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)を塗布した後、乾燥させて、第2プライマー層を形成した。次に、第2プライマー層の表面に、PFA340−J(三井・デュポンフロロケミカル社製)を塗布した後、340℃で30分間焼成して、厚さが5μmの離型層を形成し、定着ベルト(1)を得た。定着ベルト(1)は、マルテンス硬度が0.2N/mm2であった。
(定着ベルト(2)の作製)
外径が30mm、厚さが35μmのニッケル製の基材を用い、弾性層の厚さを100μm、離型層の厚さを10μmに変更した以外は、定着ベルト(1)と同様にして、定着ベルト(2)を得た。定着ベルト(2)は、マルテンス硬度が0.4N/mm2であった。
(定着ベルト(3)の作製)
離型層の厚さを15μmに変更した以外は、定着ベルト(2)と同様にして、定着ベルト(3)を得た。定着ベルト(3)は、マルテンス硬度が0.9N/mm2であった。
(定着ベルト(4)の作製)
外径が30mm、厚さが35μmのステンレス鋼製の基材を用い、弾性層の厚さを100μm、離型層の厚さを20μmに変更した以外は、定着ベルト(1)と同様にして、定着ベルト(4)を得た。定着ベルト(4)は、マルテンス硬度が1.3N/mm2であった。
(定着ベルト(5)の作製)
弾性層の厚さを50μm、離型層の厚さを30μmに変更した以外は、定着ベルト(4)と同様にして、定着ベルト(5)を得た。定着ベルト(5)は、マルテンス硬度が2.0N/mm2であった。
表5に、定着ベルト(1)〜(5)の特性を示す。
<マルテンス硬度>
定着ベルトのマルテンス硬度を、以下のように測定した。定着ベルトを10mm四方の大きさにカットした後、硬度測定装置Fisherscope H−100(フィッシャーインストルメンツ社製)のステージ上に、離型層を上にして置き、23℃で測定した。圧子としては、マイクロビッカース圧子を用い、最大押し込み深さを20μm、保持時間を30秒間として、定着ベルトに対して、負荷除荷繰り返し試験を行った。このとき、10箇所測定した平均値を定着ベルトのマルテンス硬度とした。
(実施例1)
トナー(1)を含む現像剤を用いて、カスケード現像器により、複写印刷用紙<70>(リコービジネスエキスパート社製)上に、トナーが低付着量(0.40±0.10mg/cm2)と、高付着量(0.80±0.10mg/cm2)の3cm×8cmのベタ画像を形成した。imagio MP C5002(リコー社製)の定着器に定着ベルト(1)を装着し、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
このとき、コールドオフセットが発生しない定着ベルトの温度を定着下限温度とし、ホットオフセットが発生しない定着ベルトの温度を定着上限温度とし、トナーが高付着量の定着下限温度と定着上限温度の差を定着幅とした。
なお、定着器のニップの線速度を250mm/sとした。
また、定着ローラと加圧ローラの軸間距離を調整することにより、ニップの面圧を調整した。具体的には、面圧分布測定システムI−SCAN(ニッタ社製)を用いて測定される軸方向中央部の面圧が1.2kgf/cm2となるように調整した。
(実施例2)
トナー(1)の代わりに、トナー(2)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例3)
トナー(1)の代わりに、トナー(3)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例4)
トナー(1)の代わりに、トナー(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例5)
トナー(1)の代わりに、トナー(5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(比較例1)
トナー(1)の代わりに、トナー(4)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(比較例2)
トナー(1)の代わりに、トナー(5)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例6)
トナー(1)の代わりに、トナー(6)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例7)
トナー(1)の代わりに、トナー(7)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(比較例3)
トナー(1)の代わりに、トナー(8)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(比較例4)
トナー(1)の代わりに、トナー(9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例8)
トナー(1)の代わりに、トナー(10)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例9)
ニップの面圧を0.6kgf/cm2に変更した以外は、実施例8と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例10)
ニップの面圧を1.4kgf/cm2に変更した以外は、実施例8と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例11)
ニップの面圧を0.4kgf/cm2に変更した以外は、実施例8と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例12)
定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(2)を用いた以外は、実施例8と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例13)
定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(3)を用いた以外は、実施例8と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(比較例5)
ニップの面圧を1.6kgf/cm2に変更した以外は、実施例8と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(比較例6)
定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(4)を用いた以外は、実施例8と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(比較例7)
定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(5)を用いた以外は、実施例8と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例14)
トナー(1)の代わりに、トナー(11)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例15)
トナー(1)の代わりに、トナー(12)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例16)
トナー(1)の代わりに、トナー(13)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例17)
トナー(1)の代わりに、トナー(14)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例18)
トナー(1)の代わりに、トナー(15)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例19)
トナー(1)の代わりに、トナー(16)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例20)
トナー(1)の代わりに、トナー(17)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例21)
トナー(1)の代わりに、トナー(18)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例22)
トナー(1)の代わりに、トナー(19)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例23)
トナー(1)の代わりに、トナー(20)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例24)
トナー(1)の代わりに、トナー(21)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例25)
トナー(1)の代わりに、トナー(22)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例26)
トナー(1)の代わりに、トナー(23)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(実施例27)
トナー(1)の代わりに、トナー(24)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(比較例8)
トナー(1)の代わりに、トナー(25)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(比較例9)
トナー(1)の代わりに、トナー(26)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
(比較例10)
トナー(1)の代わりに、トナー(27)を用い、定着ベルト(1)の代わりに、定着ベルト(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した後、定着ベルトの温度を変化させて、定着させた。
表6に、実施例1〜24及び比較例1〜10におけるトナーと定着ベルトの組み合わせを示す。
表7に、実施例1〜27及び比較例1〜10の評価結果を示す。
表7から、実施例1〜27は、低温定着性及び耐ホットオフセット性に優れることがわかる。
一方、比較例1、2は、23℃におけるマルテンス硬度が1.3N/mm2、2.0N/mm2の定着ベルト(4)、(5)が用いられているため、低温定着性が低下する。
比較例3、4は、トナー(8)、(9)のS(120)/S(23)が1.75、1.72であるため、定着幅が小さくなる。
比較例5は、ニップの面圧が1.6kgf/cm2であるため、耐ホットオフセット性が低下する。
比較例6、7は、23℃におけるマルテンス硬度が1.3N/mm2、2.0N/mm2の定着ベルト(4)、(5)が用いられているため、低温定着性が低下する。
比較例8、9、10は、トナー(25)、(26)、(27)のS(120)/S(23)が1.63、1.76、1.76であるため、定着幅が小さくなる。