JP2014092562A - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents

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Shinya Nakayama
慎也 中山
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顕芳 左部
Takamasa Hase
岳誠 長谷
Tatsuya Morita
竜也 森田
Suzuka Amemori
涼香 雨森
Kosuke NAGATA
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Abstract

【課題】結晶性樹脂を結着樹脂の実質主成分として含有するトナーを使用し、加熱源として高周波誘導を利用した誘導加熱方式の定着装置を使用した場合に発生しやすい定着ローラとトナー像との分離性の悪化を解消し、トナーのオフセットをより効果的に抑制できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、を備え、該定着手段は、加熱部と加圧部とを有し、前記加熱部と前記加圧部とが圧接して形成される曲率が0.03未満のニップ部より熱および圧力を付与して前記トナー像を定着させ、前記トナーは、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含む結着樹脂を、含有することを特徴とする。
【選択図】図7

Description

本発明は、複写機、静電印刷、ファクシミリ、プリンタ、静電記録等の電子写真方式の画像形成装置および画像形成方法に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置、静電記録装置等において、電気的又は磁気的潜像は、トナーによって顕像化されている。例えば、電子写真法では、感光体上に静電荷像(潜像)を形成した後、トナーを用いて潜像を現像して、トナー画像を形成している。トナー画像は、通常、紙等の記録媒体上に転写された後、加熱等の方法で定着される。
加熱定着方式の画像形成装置においては、トナーを熱溶融させて紙等の記録媒体上に定着させる過程で多くの電力が必要となるため、省エネルギー化を図る観点から、トナーについては低温定着性が重要な特性の一つとなっている。
トナーの低温定着性を向上させるためには、トナーの大半を占める結着樹脂の熱特性を制御することが必要である。
例えば、特許文献1(特開2010−077419号公報)では、結晶性樹脂を結着樹脂の主成分とするトナーにおいて、結晶性樹脂の組成、熱特性を規定することで、低温定着性と耐熱保存性を両立可能であることが提案されている。
また、特許文献2(特開2009−014926号公報)では、結着樹脂として分子量の異なる2種の結晶性樹脂を含有するトナーを特定の定着条件で用いることで、低温定着性を向上させると共に、定着画像のひび割れを抑制可能であることが提案されている。(結着樹脂として特に結晶性ポリエステル樹脂が好ましいとの記載)
また、特許文献3(特開2010−151996号公報)では、結着樹脂として160℃における貯蔵弾性率が異なる2種の結晶性ポリエステル樹脂を含有することで、低温定着性と加圧保存性を両立可能であることが提案されている。
しかしながら、結晶性樹脂の含有量が大きくなるほど、特に結晶性樹脂を結着樹脂の主成分とする場合には、低温定着性には優れる反面、樹脂硬度が低いことに起因してトナーとしての硬度も低くなる。このため、現像器内での撹拌ストレスに対して弱く、経時でトナー及びキャリアの凝集体を生じて画像不良を生じるという問題あることを見出した。
この傾向は特に結晶性樹脂として未変性の結晶性ポリエステル樹脂を用いた場合に顕著であることも分かった。また、低温定着化の手段として結晶性樹脂の分子量制御や融点制御という手段をとった場合、耐ホットオフセット性や、耐熱保存性とトレードオフの関係になることも問題となった。
一方、画像形成装置では、電子写真記録・静電記録・磁気記録等の画像形成プロセスにより、画像転写方式もしくは直接方式により未定着トナー画像が記録材シート・印刷紙・感光紙・静電記録紙などの記録媒体上に形成される。未定着トナー画像を定着させるための定着装置としては、熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方式等の接触加熱方式の定着装置が広く採用されている。
このような定着装置の一例として、例えば特許文献4(特開2004−286922号公報)に記載のベルト方式の定着装置や、特許文献5(特許第2861280号公報)セラミックヒータを用いたサーフ定着(フィルム定着)の定着装置などが知られている。
ベルト方式の定着装置では、近年、さらなるウォームアップ時間(電源投入時など、常温状態から印刷可能な所定の温度(リロード温度)までに要する時間)や、ファーストプリント時間(印刷要求を受けた後、印刷準備を経て印字動作を行い排紙が完了するまでの時間)の短縮化が望まれている(問題点1)。また、画像形成装置の高速化に伴い、単位時間あたりの通紙枚数が増え、必要熱量が増大しているため、特に連続印刷のはじめに熱量が不足する(所謂、温度落ち込み)ことが問題となっている(問題点2)
前記問題点1を解決する方法として、セラミックヒータを用いたサーフ定着が提案されており、この方式により、ベルト方式の定着装置に比べ、低熱容量化、小型化が可能となった。しかしながら、ニップ部のみを局所加熱しているため、その他の部分では加熱されておらず、ニップの用紙などの入口においてベルトは最も冷えた状態にあり、定着不良が発生しやすくなるという問題がある。特に、高速機においては(ベルトの回転が速く、ニップ部以外でのベルトの放熱が多くなるため)、より定着不良が発生しやすくなるという問題がある(問題点3)。
以上のような問題点1〜3を解決するために、無端ベルトを用いる構成において、そのベルト全体を温めることを可能にし、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮することができ、かつ高速回転時の熱量不足を解消して、高生産の画像形成装置に搭載されても、良好な定着性を得ることができるようにした定着装置が提案されている。(特許文献6:特開2007−334205号公報)
特許文献6に記載の定着装置では、無端ベルトの内部にパイプ状の金属熱伝導体を、無端ベルトの移動をガイドすることが可能に固定し、金属熱伝導体内の熱源により金属熱伝導体を介して無端ベルトを加熱する。さらに無端ベルトを介して金属熱伝導体に接してニップ部を形成する加圧ローラを備え、該加圧ローラの回転に連れ回りするようにして無端ベルトを周方向に移動させる。この構成により、定着装置を構成する無端ベルト全体を温めることを可能にし、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮することができ、かつ高速回転時の熱量不足を解消することが可能となっている。
ところで、本発明者らがトナーの低温定着化を検討していく中で、結着樹脂として結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、結晶性樹脂の含有量が大きくなるほど、低温定着性には優れる反面、上記に示すようなニップ部の曲率が低い定着において、定着ローラとトナー像との分離性が悪化するという課題があることを見出した。また、該課題は、特に結晶性樹脂を結着樹脂の主成分とする場合、より解決が困難なものとなる。さらに、この傾向は特に結晶性樹脂として未変性の結晶性ポリエステル樹脂を用いた場合に顕著であることも分かった。
そこで本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、結晶性樹脂を結着樹脂の実質主成分として含有するトナーを使用し、加熱源として高周波誘導を利用した誘導加熱方式の定着装置を使用した場合に発生しやすい定着ローラとトナー像との分離性の悪化を解消し、トナーのオフセットをより効果的に抑制できる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を収容するトナーにより現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、前記記録媒体上に転写された前記トナー像を当該記録媒体に定着させる定着手段と、を備え、前記定着手段は、加熱部と加圧部とを有し、前記加熱部と前記加圧部とが圧接して形成される曲率が0.03未満のニップ部より熱および圧力を付与して前記トナー像を定着せしめるものであり、前記現像手段に収容されているトナーは、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含む結着樹脂を、含有することを特徴とする。
本発明によれば、定着ローラとトナー像との分離性の悪化を解消し、トナーのオフセットをより効果的に抑制できる画像形成装置を提供することができる。
本発明に用いられるトナーのX線回折測定によって得られる回折スペクトルの一例を示す図である。 本発明に用いられるトナーの結晶化度算出時のフィッティング後のグラフの一例を示す図である。 本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略説明図である。 本発明に係る画像形成装置の他の例を示す概略説明図である。 本発明に係る画像形成装置のタンデム型カラー画像形成装置を用いた一例を示す概略説明図である。 図5に示す画像形成装置における一部拡大概略説明図である。 本発明に係る画像形成装置が備える定着装置の一例を示す概略説明図である。 本発明に係る画像形成装置が備える定着装置の他の例を示す概略説明図である。
本発明に係る画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を収容するトナーにより現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、前記記録媒体上に転写された前記トナー像を当該記録媒体に定着させる定着手段と、を備え、前記定着手段は、加熱部と加圧部とを有し、前記加熱部と前記加圧部とが圧接して形成される曲率が0.03未満のニップ部より熱および圧力を付与して前記トナー像を定着せしめるものであり、前記現像手段に収容されているトナーは、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含む結着樹脂を、含有することを特徴とする。
また、本発明に係る画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーにより現像する現像工程と、該現像工程により現像されたトナー像を記録媒体上に転写する転写工程と、前記記録媒体上に転写された前記トナー像を当該記録媒体に定着させる定着工程と、を備え、前記定着工程は、前記記録媒体上に形成された未定着のトナー像に、加熱部と加圧部とが圧接して形成されるニップ部より熱および圧力を付与し、当該記録媒体にトナーを定着させ、前記ニップ部の曲率は、0.03未満であり、前記トナーは、結着樹脂を含有し、該結着樹脂は、結晶性樹脂を含有し、該結晶性樹脂は、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含むことを特徴とする。
次に、本発明に係る画像形成装置及び画像形成方法についてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
<トナー>
先ず、本発明に用いられるトナーを構成する材料について説明する。
本発明におけるトナーは、少なくとも結着樹脂を含有し、好ましくはさらに着色剤、離型剤を含有してなるトナーである。また、前記結着樹脂は結晶性樹脂を含有しており、さらに、この結晶性樹脂はウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含む。
[トナーの特性]
本発明において、低温定着性と耐熱保存性をより高いレベルで両立し、耐ホットオフセット性に優れるものとするために、トナーは下記の熱特性を備えることが好ましい。
前記トナーの示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が、50℃以上70℃以下の範囲にあり、且つ、昇温2回目の融解熱量が、30J/g以上75J/g以下であることが好ましい。
前記トナーの融解熱の最大ピーク温度は、50℃未満であると、高温環境下でトナーのブロッキングが発生しやすくなり、70℃を超えると、低温定着性が発現し難くなる。また、前記最大ピーク温度は55℃以上68℃以下がより好ましく、58℃以上65℃以下が特に好ましい。
前記トナーの融解熱量は、30J/g未満であると、トナー中における結晶構造を有する部位が少なくなり、シャープメルト性が低下し、耐熱保存性と低温定着性のバランスが得難くなる。一方、前記トナーの融解熱量は、75J/gを超えると、トナーを溶融させて定着するために必要なエネルギーが大きくなり、定着装置によっては定着性が悪化してしまうことがある。また、前記融解熱量は、45J/g以上70J/g以下がより好ましく、50J/g以上60J/g以下が特に好ましい。
トナーの融解熱の最大ピーク温度は、樹脂と同様に、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定できる。融解熱の最大ピーク温度の測定に供する試料を、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分間で昇温し、次いで降温速度10℃/分間で0℃まで冷却した後、再び昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定する。そして得られた「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、吸熱量の最大ピークに対応する温度を、昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度とした。また、この時の前記最大ピーク温度を有する吸熱ピークの吸熱量を、昇温2回目の融解熱量とする。
前記トナーの80℃における貯蔵弾性率G’(80)[Pa]は、1.0×10以上5.0×10以下であり、且つ、前記トナーの140℃における貯蔵弾性率G’(140)[Pa]は1.0×10以上5.0×10以下であることが好ましい。
前記貯蔵弾性率G’(80)[Pa]は、1.0×10Pa未満であると、定着画像の連続出力後に、定着画像同士が貼り付くブロッキング現象が発生しやすくなり、5.0×10Paを超えると、低温領域でのトナーの溶融性が低下し、定着画像の光沢が低くなる傾向にある。また、前記貯蔵弾性率G’(80)[Pa]は、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下がより好ましく、5.0×10Pa以上1.0×10Pa以下が特に好ましい。
前記貯蔵弾性率G’(140)[Pa]は、1.0×10Pa未満であると、耐ホットオフセット性が悪化する傾向があり、5.0×10Paを超えると、定着画像の光沢が低くなる傾向にある。また、前記貯蔵弾性率G’(140)[Pa]は、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下がより好ましく、5.0×10Pa以上1.0×10Pa以下が特に好ましい。
前記トナーの動的粘弾特性値(貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”)は、動的粘弾性測定装置(例えば、ARES(TAインスツルメント社製))を用いて測定できる。周波数1Hz条件下で測定される。試料を、直径8mm、厚み1mm〜2mmのペレットに成型し、直径8mmのパラレルプレートに固定した後、40℃で安定させ、周波数1Hz(6.28rad/s)、歪み量0.1%(歪み量制御モード)にて200℃まで昇温速度2.0℃/分間で昇温させて測定した。
[トナー中におけるTHF可溶分のN元素の量]
トナー中におけるTHF可溶分のN元素の量は、0.3〜2.0wt%の範囲にあることが好ましく、0.5〜1.8wt%の範囲にあることがさらに好ましく、0.7〜1.6wt%であることがより好ましい。2.0wt%を超えると、トナーの溶融状態での粘弾性が高くなりすぎることによる定着性の悪化や光沢の低下、帯電性の悪化などが発生する可能性がある。一方、0.3wt%未満であるとトナーの強靭性の低下による画像形成装置内での凝集や部材汚染、トナー溶融状態での粘弾性の低下による高温オフセットの発生の不具合が生じる可能性がある。
本発明におけるN元素の量は、vario MICRO cube(Elementar社製)を使用する。測定条件は、燃焼炉
950℃、還元炉 550℃、ヘリウム流量 200ml/min、酸素流量 25〜30ml/minの条件でCHN同時測定を行い、2回測定した値の平均値とした。なお、本測定方法でN元素の量が0.5wt%未満であった場合は、さらに微量窒素分析装置ND−100型(三菱化学株式会社製)により測定を行った。電気炉温度は(横型反応炉)熱分解部分
800℃、触媒部分 900℃、測定条件は、メインO流量 300ml/min、O流量 300ml/min、Ar流量
400ml/min、感度 Lowとし、ピリジン標準液で作成した検量線をともに定量を行った。
なお、トナー中におけるTHF可溶分は、予めトナー5gをソックスレー抽出器に入れ、これを用いて70mLのTHF(テトラヒドロフラン)で20時間抽出を行ったものからTHFを加熱減圧除去することにより得られる。
[ウレア結合について]
トナー中におけるTHF可溶分にウレア結合が存在することは、ウレア結合は少量であってもトナーの強靭性や定着時のオフセット耐性向上効果が期待できることから重要である。
トナー中におけるTHF可溶分のウレア結合の存在は、13C−NMRによって行うことができる。具体的には以下のようにして分析を行った。
分析するサンプル2gを、濃度が0.1mol/Lである水酸化カリウムのメタノール溶液200mlに浸し50℃で24hrおいた後、溶液を除去し、残渣物をさらにイオン交換水でpHが中性になるまで洗浄し、残った固体を乾燥した。乾燥後のサンプルを、ジメチルアセトアミド(DMAc)と重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)の混合溶媒(体積比9:1)に、100mg/0.5mlの濃度で加え、70℃で12〜24時間溶解させた後50℃にし、13C−NMR測定を行った。
なお、今回の測定周波数は125.77MHz、1H_60°パルスは5.5μs、基準物質はテトラメチルシラン(TMS)を0.0ppmとした。
サンプルにおけるウレア結合の存在は、標品となるポリウレアのウレア結合部位のカルボニル炭素に由来するシグナルの化学シフトにシグナルが見られるかどうかで確認を行う。カルボニル炭素の化学シフトは一般に150〜160ppmに見られる。ポリウレアの一例として、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と水との反応物であるポリウレアのカルボニル炭素付近の13C−NMRスペクトルにおいては、153.27ppmにカルボニル炭素に由来するシグナルが見られる。
<結着樹脂>
本発明における結着樹脂は、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含む樹脂である。
本発明における結晶性樹脂とは、結晶構造を持った部位を有する樹脂のことであり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有する。前記結晶性樹脂の性状は、高架式フローテスターにより測定される軟化温度と、示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が0.8〜1.6である、熱により急峻に軟化する性状を示す。
また、本発明における非結晶性樹脂は、結晶構造を有しない樹脂のことであり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有しない。前記非結晶性樹脂の性状は、軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が1.6より大きく、熱により緩やかに軟化する性状を示す。
樹脂の軟化温度は、高架式フローテスター(例えば、CFT−500D(島津製作所製))を用いて測定できる。試料として1gの樹脂を昇温速度3℃/分間で加熱しながら、プランジャーにより2.94MPaの荷重を与え、直径0.5mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化温度とした。
樹脂の融解熱の最大ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定できる。融解熱の最大ピーク温度の測定に供する試料は、前処理として、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分間の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分間の速度で降温する。ここで、一度DSCにより、昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される20℃〜100℃にある吸熱ピーク温度を「Ta*」とする。吸熱ピークが複数ある場合は、最も吸熱量が大きいピークの温度をTa*とする。その後、試料を(Ta*−10)℃で6時間保管した後、更に(Ta*−15)℃で6時間保管する。次いで、上記試料を、DSCにより、降温速度10℃/分間で0℃まで冷却した後、昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、同様のグラフを描き、吸熱量の最大ピークに対応する温度を、融解熱の最大ピーク温度とした。
前記結晶性樹脂の前記結着樹脂に対する含有量としては、結晶性樹脂による優れた低温定着性と耐熱保存性の両立性を最大限に発現させる観点から50質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、95質量%以上が特に好ましい。前記含有量が、50質量%未満の場合、結着樹脂の熱急峻性がトナーの粘弾特性上で発現できず、低温定着性と耐熱保存性の両立は難しい。
また、前記結着樹脂のX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/(A)が、0.15以上であることが好ましい。0.15以上であることで定着性と耐熱保存性の両立が達成でき、0.20以上がより好ましく、0.30以上が更に好ましく、0.45以上が特に好ましい。
前記比率(C)/(A)は、結着樹脂中の結晶化部位の量を示す指標であり、X線回折測定によって得られる回折スペクトルにおける、結晶構造に由来する主回折ピークとハローの面積比である。本発明におけるX線回折測定は、2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS/Bruker社製)を用いて測定した。
測定に使用するキャピラリーは、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmを使用した。試料はこのキャピラリー管の上部まで詰めて測定した。また、サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回とした。測定の詳細条件を以下に示す。
管電流:40mA
管電圧:40kV
ゴニオメーター2θ軸:20.0000°
ゴニオメーターΩ軸:0.0000°
ゴニオメーターφ軸:0.0000°
検出器距離:15cm(広角測定)
測定範囲:3.2≦2θ(゜)≦37.2
測定時間:600sec
入射光学系には、φ1mmのピンホールを持つコリメーターを用いた。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換した。
得られたX線回折測定結果を基に、前記比率(C)/(A)を算出する方法を、以下に説明する。X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を図1及び図2に示す。横軸は2θ、縦軸はX線回折強度であり、両方とも線形軸である。図1におけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が見られる。ここで、前記主要なピークは、結晶構造に由来するものであり、ハローは非晶構造に由来するものである。
この2の主要なピークとハローを下記式A(1)〜(3)で示されるガウス関数で表す。
p1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1/2(cp1} (式A(1))
p2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2/2(cp2} (式A(2))
(2θ)=aexp{−(2θ−b/2(c} (式A(3))
ただし、(fp1(2θ)、fp2(2θ)、f(2θ)はそれぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数)
この3つの関数の和は下記式A(4)で表される。
f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+f(2θ) (式A(4))
上式A(4)をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図2に図示する)とし、最小二乗法によるフィッティングを行った。フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、a、b、cの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bにはX線回折のピーク位置(図示の例では、bp1=21.3、bp2=24.2、b=22.5)を、他の変数には適宜入力して2つの主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致させて得られた値を設定した。フィッティングは例えばMicrosoft社製Excel2003のソルバーを利用して行うことができる。
フィッティング後の2つの主要なピーク(P1、P2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)、及びハローに相当するガウス関数f(2θ)のそれぞれについての積分面積(Sp1、Sp2、S)から、(Sp1+Sp2)を(C)、(Sp1+Sp2+S)を(A)としたとき、結晶化部位の量(結晶化度)を示す指標である比率(C)/(A)を算出することができる。
前記結晶性樹脂の融解熱の最大ピーク温度としては、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から、50℃〜70℃が好ましく、55℃〜68℃がより好ましく、60℃〜65℃が特に好ましい。前記最大ピーク温度が、50℃より低い場合は、低温定着性は良くなるが耐熱保存性が悪化し、70℃より高い場合は逆に耐熱保存性は良くなるが低温定着性が悪化する。
前記結晶性樹脂の軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)は、0.8〜1.6であるが、0.8〜1.5が好ましく、0.8〜1.4がより好ましく、0.8〜1.3が特に好ましい。前記比が小さい程、樹脂が急峻に軟化する性状を持ち、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から優れている。
前記結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、定着性の観点から、2,000〜100,000が好ましく、5,000〜60,000がより好ましく、8,000〜30,000が特に好ましい。前記重量平均分子量が、2,000より小さい場合は耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、100,000より大きい場合は低温定着性が悪化する傾向にある。
本発明において、樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、GPC−8220GPC(東ソー社製))を用いて測定できる。カラムとしては、TSKgel SuperHZM―H 15cm 3連(東ソー社製)を使用した。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いた。前記THF試料溶液を測定装置に100μl注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35ml/分間で測定した。
試料の分子量測定にあたっては、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。前記標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
本発明に用いられる結晶性樹脂は、トナーとして好適な融点設計を行いやすく、紙への結着性に優れることから、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂を主成分とすることが好ましい。具体的には、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂は結着樹脂全体の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは75質量%、更に好ましくは90質量%以上である。結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂が多いほどトナーの低温定着性に優れるためである。
結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂としては、結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂(単に、結晶性ポリエステル樹脂ともいう)、結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)が挙げられる。結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂は結晶構造をとる部分は多いものの、外力により容易に変形しやすいことがある。その理由としては、結晶性ポリエステルのすべての部分を結晶化させることは困難であり、結晶化していない部分(非結晶部位)の分子鎖の自由度が高いために容易に変形しやすい。あるいは、結晶構造をとっている部分に関しても、通常その高次構造は分子鎖が折りたたまれながら面を形成したものが重なる、いわゆるラメラ構造となるが、そのラメラ層間には大きな結合力が働かないため容易にラメラ層がずれやすい、などの原因が考えられる。トナー用の結着樹脂としては、外力により容易に変形してしまうと、画像形成装置内での変形凝集、部材への付着あるいは固着、最終的に出力される画像に容易に傷がつく、などの問題が発生する可能性がある。このため、結着樹脂としては外力に対してある程度変形に耐えうるもの、強靭性を有するものでなければならない。
樹脂の強靭性付与の観点からは、凝集エネルギーの大きいウレタン結合部位、ウレア結合部位、フェニレン部位を有するような結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)が好ましい。
この中でも特に、ウレタン結合部位やウレア結合部位は、分子鎖中に存在することが好ましく、さらに主鎖に存在することが好ましい。こうすることで、非結晶部位やラメラ層間に大きな分子間力による擬似架橋点を形成させることができると考えられる上、紙への定着後においても紙に対して濡れやすく定着強度を高めることができるため好ましい。
<結晶性ポリエステルユニット>
結晶性ポリエステルユニットとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。
−ポリオール−
ポリオールとしては、例えば、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオールなどが挙げられる。
前記ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数4〜36の炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール;炭素数4〜36の脂環式ジオール;前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する);ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオールなどが挙げられる。これらの中でも鎖炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量は、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましい。含有量が80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性の両立性が良く、樹脂硬度が向上する傾向にある点で好ましい。
前記直鎖型脂肪族ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
鎖炭素数が2〜36の前記分岐型脂肪族ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
前記炭素数4〜36の脂環式ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、BOと略記する)等の付加物(付加モル数1〜30)などが挙げられる。
前記ビスフェノール類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
前記ポリラクトンジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−ε−カプロラクトンジオールなどが挙げられる。
前記カルボキシル基を有するジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の炭素数6〜24のジアルキロールアルカン酸などが挙げられる。
前記スルホン酸基又は前記スルファミン酸基を有するジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール、[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)及びそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1〜6);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
これらの中和塩基を有するジオールの中和塩基としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミン等)、アルカリ金属(ナトリウム塩等)などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用が好ましい。
また、必要に応じて用いられる前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン等)、糖類及びその誘導体(例えば、ショ糖、メチルグルコシド等)等の炭素数3〜36の3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール;トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーとの共重合物等のアクリルポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
−ポリカルボン酸−
前記ポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等の炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸;ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸等の炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸;ダイマー酸(2量化リノール酸)等の炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
また、必要により用いられる前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
なお、前記ジカルボン酸又は前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
前記ジカルボン酸の中でも、前記脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)を単独で用いることが特に好ましいが、前記脂肪族ジカルボン酸と共に前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等;これら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル類等)を共重合したものも同様に好ましい。前記芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下が好ましい。
−ラクトン開環重合物−
前記ラクトン開環重合物としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、前記炭素数3〜12のモノラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物などが挙げられる。
前記炭素数3〜12のモノラクトンとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性の観点からε−カプロラクトンが好ましい。
また、前記ラクトン開環重合物としては、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、ダイセル社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等の高結晶性ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
−ポリヒドロキシカルボン酸−
前記ポリヒドロキシカルボン酸の調製方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体等)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間又は3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法などが挙げられるが、分子量の調整の観点から前記開環重合する方法が好ましい。
前記環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
<結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂>
結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法としては、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有する結晶性ポリエステルユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法などが挙げられる。この手段を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートなどが挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜20の芳香族ジイソシアネート、2〜18の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネート、8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)、これらの2種以上の混合物などが好ましい。また、必要により、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
前記芳香族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4′−及び/又は4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(例えば5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′,4"−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂肪族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、前記ジイソシアネートの変性物としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等の変性MDI、イソシアネート含有プレポリマー等のウレタン変性TDIなどのジイソシアネートの変性物;これらジイソシアネートの変性物の2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDIとの併用)などが挙げられる。
これらのジイソシアネートの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜15の芳香族ジイソシアネート、4〜12の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネートが好ましく、TDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIが特に好ましい。
<結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂>
結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂を得る方法としては、あらかじめ結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを別々に作製し、それらを結合させる方法、あらかじめ結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットのいずれかを作製し、次いで作製したユニットの存在下で、もう一方のポリマーを重合することによって結合させる方法、あるいは結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを同じ反応場で同時あるいは逐次重合させることにより得る方法があるが、設計意図通りに反応を制御させやすいという点で、一つ目あるいは二つ目の方法が好ましい。
一つ目の方法としては、前述の結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法と同様、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有するユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法などが挙げられる。ポリイソシアネートについても前述のものが使用できる他、一方のユニットの末端にイソシアネート基を導入し、他方のユニットの活性水素と反応させる方法でも得ることができる。この手段を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。
二つ目の方法としては、結晶性ポリエステルユニットを先に作成する場合、次に作成するポリマーユニットが非結晶性ポリエステルユニット、ポリウレタンユニット、ポリウレアユニット等であれば、結晶性ポリエステルユニットの末端のヒドロキシル基あるいはカルボキシル基と、他のポリマーユニットを得るためのモノマーを反応させることにより、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂を得ることができる。
<非結晶性ポリエステルユニット>
非結晶性ポリエステルユニットとしては、例えばポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニットが挙げられる。ポリオール及びポリカルボン酸については前述の結晶性ポリエステルユニットで例示したものが使用できるが、結晶性を持たないように設計するためには、ポリマー骨格に屈曲点や分岐点を多く持たせるようにすればよく、屈曲点を持たせるには、例えば、ポリオールとして、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)などのビスフェノール及びその誘導体、ポリカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸を使用すればよい。また分岐点の導入には3価以上のポリオールやポリカルボン酸を使用すればよい。
<ポリウレタンユニット>
前記ポリウレタンユニットとしては、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットなどが挙げられる。これらの中でも、前記ジオールと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットが好ましい。
前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、前記ポリエステル樹脂において挙げた前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールと同様のものが挙げられる。
前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートとしては、前述のジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
<ポリウレアユニット>
前記ポリウレアユニットとしては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレアユニット等が挙げられる。
前記ジアミンとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類、炭素数6〜20の芳香族ジアミン類が好ましい。また、必要により、前記3価以上のアミン類を使用してもよい。
前記炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の炭素数4〜18のポリアルキレンジアミン;ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の前記アルキレンジアミン又は前記ポリアルキレンジアミンの炭素数1〜4のアルキル又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体;1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4′−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等の炭素数4〜15の脂環式ジアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の炭素数4〜15の複素環式ジアミン;キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等の炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類などが挙げられる。
前記炭素数6〜20の芳香族ジアミン類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4′−及び4,4′−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4′,4"−トリアミン、ナフチレンジアミン等の非置換芳香族ジアミン;2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、4,4′−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3′−メチル−2′,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−2,2′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトライソプロピル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン等の炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン;前記非置換芳香族ジアミン乃至前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミンの異性体の種々の割合の混合物;メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチル−5,5′−ジブロモジフェニルメタン、3,3′−ジクロロベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4′−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等の核置換電子吸引基(Cl、Br、I、F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン;4,4′−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等の二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔前記非置換芳香族ジアミン、前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物、前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部又は全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕などが挙げられる。
前記ジアミンとして、これらの他、ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)前記ポリアミン(前記アルキレンジアミン、前記ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等のポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等のポリエーテルポリアミンなどが挙げられる。
また、アミン化合物のアミノ基をケトン化合物などによりキャッピングしたものを用いてもよい。
これらの中でも、前記ジアミンと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレアユニットが好ましい。
前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートとしては、前記前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
<ビニル系ポリマーユニット>
ビニル系ポリマーユニットは、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーユニットである。ビニル系モノマーとしては、下記(1)〜(10)が挙げられる。
(1)ビニル系炭化水素:
脂肪族ビニル系炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレンレン、ブテン、イソブチレン、ぺンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン。
脂環式ビニル系炭化水素:モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン等。
芳香族ビニル系炭化水素:スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;及びビニルナフタレン。
(2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩:
炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステル、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー。
(3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸、例えはビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;及びその炭素数2〜24のアルキル誘導体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル等。
(4)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキル燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類、例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸;及びそれらの塩等。
なお、上記(2)〜(4)の塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩又は4級アンモニウム塩が挙げられる。
(5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル等。
(6)含窒素ビニル系モノマー:
アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロ一ル、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、及びこれらの塩等。
アミド基含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等。
ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレ一ト等。
4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)。
ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等。
(7)エポキシ基含有ビニル系モノマー:
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
(8)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類:
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等。
ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ヒニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒトロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2′−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン等。
ビニルケトン、例えはビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン等。
ビニルスルホン類、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等。
(9)その他のビニル系モノマー:
イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等。
(10)フッ素原子元素含有ビニル系モノマー:
4−フルオロスチレン、2,3,5,6−テトラフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロベンジル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,4H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリヒドロペルフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロノルボニルメチル(メタ)アクリレート、1H−ペルフルオロイソボルニル(メタ)アクリレート2−(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、並びにα−フルオロアクリル酸から誘導された対応する化合物、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルイタコネート、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルマレエート、ビス−ペルフルオロオクチルイタコネート、ビス−ペルフルオロオクチルマレエート、ビス−トリフルオロエチルイタコネート及びビス−トリフルオロエチルマレエート、ビニルヘプタフルオロブチレート、ビニルペルフルオロヘプタノエート、ビニルペルフルオロノナノエート及びビニルペルフルオロオクタノエート等。
<主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂>
また、結着樹脂としては主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂を含むことが好ましい。Solubility
Parameter Values(Polymer handbook 4th Ed)によれば、ウレア結合の凝集エネルギーは50,230[J/mol]であり、ウレタン結合の凝集エネルギー(26,370[J/mol]))の2倍程度あるため、少量であってもトナーの強靭性や定着時のオフセット耐性向上効果が期待できる。
主鎖にウレア結合を有する樹脂を得るには、ポリイソシアネート化合物とポリアミン化合物を反応させる、あるいはポリイソシアネート化合物と水を反応させ、イソシアネートの加水分解によって発生したアミノ基と残りのイソシアネート基を反応させる方法がある。また、主鎖にウレア結合を有する樹脂を得るのにあたり、前述の化合物のほかに、ポリオール化合物も同時に反応させることで樹脂設計の自由度を広げることができる。
<<<ポリイソシアネート>>>
ポリイソシアネートとしては、前述のようなジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート(以下、低分子量ポリイソシアネートとも記載する)のほか、イソシアネート基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、プレポリマーとも記載する)を使用してもよい。
プレポリマーの作成方法としては、低分子量ポリイソシアネートと後述のポリアミン化合物を、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するポリウレアプレポリマーを得る方法、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とを、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得る方法が挙げられる。これらの方法で得られるプレポリマーは単独で使用してもよいし、同じ方法で得られる2種類以上のプレポリマー、あるいは前記2通りの方法で得られる2種類以上のプレポリマーを併用しても構わないし、さらにはプレポリマーと低分子量ポリイソシアネートを1種類あるいは複数種併用しても構わない。
ポリイソシアネートの使用比率は、イソシアネート基[NCO]と、ポリアミンのアミノ基[NH]の等量比[NCO]/[NH]、あるいはポリオールの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1.01/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。
[NCO]のモル比が5を超えるとウレタン結合やウレア結合が多くなりすぎ、最終的に得られる樹脂をトナー用の結着樹脂として使用すると溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が悪化する可能性がある。一方、[NCO]のモル比が1.01未満では、重合度が高くなり生成するプレポリマーの分子量が大きくなるため、トナーを製造するのにあたり他の材料との混合が困難になる、もしくは溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が悪化する可能性があるため好ましくない。
<<<ポリアミン>>>
ポリアミンとしては、前述のようなジアミン、3価以上のポリアミンなどが挙げられる。
<<<ポリオール>>>
ポリオールとしては、前述のようなジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール(以下、低分子量ポリオールとも記載する)のほか、水酸基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、高分子量ポリオールとの記載する)を使用してもよい。
高分子量ポリオールの作成方法としては、低分子量ポリイソシアネートと低分子量ポリオールを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリウレタンを得る方法、ポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリエステルを得る方法が挙げられる。
水酸基を末端に有するポリウレタンあるいはポリエステルを調整するためには、低分子量ポリオールと低分子量ポリイソシアネートの比率[OH]/[NCO]、あるいは低分子量ポリオールとポリカルボン酸の比率[OH]/[COOH]は、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
水酸基のモル比が2を超えると重合反応が進まないため所望の高分子量ポリオールが得られない。水酸基のモル比が1.02を下回ると重合度が高くなり得られる高分子量ポリオールの分子量が大きくなりすぎるためトナーを製造するのにあたり他の材料との混合が困難になる、もしくは溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が悪化する可能性があるため好ましくない。
<<<ポリカルボン酸>>>
前記ポリカルボン酸としては前述のジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
<<<主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂>>>
得られた樹脂が結晶性を有するためには、主鎖に結晶性を有するポリマーユニットを導入すればよい。トナー用の結着樹脂として好適な融点を有するような結晶性ポリマーユニットとしては、結晶性ポリエステルユニット、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸の長鎖アルキルエステルユニット等が挙げられる。結晶性ポリエステルユニットは末端アルコールのものを簡便に作製することができ、上記のポリオール化合物としてウレア結合を有する樹脂への導入が行いやすいため好ましい。
結晶性ポリエステルユニットとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。
ジオールとしては、前述のポリオールの中であげられたジオールを使用することができる。その中でも鎖炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量は、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましい。含有量が80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性の両立性が良く、樹脂硬度が向上する傾向にある点で好ましい。
ジカルボン酸としては、前述のポリカルボン酸の中で挙げられたジカルボン酸を使用することができ、これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
前記ジカルボン酸の中でも、前記脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)を単独で用いることが特に好ましいが、前記脂肪族ジカルボン酸と共に前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等;これら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル類等)を共重合したものも同様に好ましい。前記芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下が好ましい。
<<<主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂のトナーへの導入について>>>
結着樹脂としてあらかじめウレア結合を形成させた樹脂を使用し、着色剤、離型剤、帯電制御剤など結着樹脂以外のトナー構成材料と混合し、粒子化することでトナーを得ることができる。またこの他、ポリイソシアネート化合物と、ポリアミン化合物および/または水とを、必要に応じて着色剤、離型剤、帯電制御剤など結着樹脂以外のトナー構成材料と混合することで、ウレア結合を形成させてもよい。特に、ポリイソシアネート化合物としてプレポリマーを使用することで、トナー中に均一に高分子量のウレア結合を有する結晶性樹脂をトナー中に導入できるため、トナーの熱特性や帯電性が均一であり定着性とトナーの対ストレス性の両立をしやすいため好ましい。
さらに、プレポリマーとしては、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とをイソシアネート過剰量で反応させて得られるプレポリマーのほうが、粘弾性が抑えられるため好ましい。ポリオール化合物としてはポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリエステルがトナーに適した熱特性を得やすいため好ましい。さらにはポリエステルが結晶性ポリエステルユニットからなる場合、トナー中の高分子量成分がシャープメルトとなり低温定着性に優れたトナーが得られるため好ましい。
また、本発明においてはトナーを水系媒体中で造粒することにより得られるものである場合、分散媒の水がポリイソシアネート化合物と反応することで温和な条件でウレア結合を形成させることができる。
本発明における前記結着樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、異なる重量平均分子量の結着樹脂を併用しても良く、少なくとも第1の結晶性樹脂と、前記第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂を含むことが、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性を両立することが出来る点で好ましい。
また、前記第2の結晶性樹脂は、イソシアネート基を有する変性結晶性樹脂である結着樹脂前駆体を使用し、活性水素基を有する化合物と反応させることで、樹脂を伸長させてなるものであることが好ましい。この場合、前記結着樹脂前駆体と活性水素基を有する化合物の反応は、トナー製造過程で行われることがより好ましく、重量平均分子量が大きい結晶性樹脂をトナー中に均一に分散することができ、トナー粒子間の特性のバラツキを抑えることができる。
更に、前記第1の結晶性樹脂は、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア基結合を有する結晶性樹脂であり、且つ、前記第2の結晶性樹脂は、前記第1の結晶性樹脂を変性した前記結着樹脂前駆体を、活性水素基を有する化合物と反応させ、伸長させてなるものであることが好ましい。前記第1の結晶性樹脂と前記第2の結晶性樹脂の組成構造を近づけることによって、2種の結着樹脂がトナー中でより均一に分散しやすくなり、トナー粒子間の特性のバラツキを更に抑えることができる。
前記結着樹脂は、前記結晶性樹脂と非結晶性樹脂を併用してもよく、結着樹脂の主成分が前記結晶性樹脂であること、即ち50質量%以上であることが好ましい。
<二成分現像剤>
上述したトナーは、本発明においてはキャリアと共に二成分現像剤として用いられる。
キャリアについては周知慣用のものを用いることができる。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
―静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段―
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(「電子写真感光体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。その形状としてはドラム状が好適に挙げられる。
また、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、等が挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、等が挙げられる。
前記帯電器としては、静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
また、前記帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、等の各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
―現像工程及び現像手段―
前記現像工程は、前記静電潜像を、現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、現像剤を収容し、前記静電潜像に該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適であり、前記現像剤入り容器を備えた現像器等がより好ましい。
前記現像器は、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有するもの等が好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、前述のトナーを含む。
―転写工程及び転写手段―
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。また、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は1つであってもよいし、2以上であってもよい。 前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、等が挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
―定着工程及び定着手段―
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像(未定着トナー像)を、定着装置を用いて定着させる工程であり、各色の現像剤に対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色の現像剤に対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
本発明における定着工程は、加熱部と加圧部とが圧接して形成されるニップ部より熱および圧力を付与し、記録媒体にトナーを定着させるものである。このとき、前記加圧部は、加圧回転体であり、前記加熱部は、定着ベルトと、該定着ベルトの内摺面に近接乃至一部が接して配置された被加熱体と、熱源と、を具備し、前記熱源により前記被加熱体が加熱されることが好ましい。また、前記被加熱体はパイプ状金属体であることが特に好ましい。ここで、本発明におけるニップ部の曲率は0.3未満である。
より具体的な定着装置としては、熱源と、被加熱体としてのパイプ状金属体と、加圧ローラと、無端の定着ベルトとの組み合せが挙げられる。即ち、熱源により加熱される被加熱体としてのパイプ状金属体と、該パイプ状金属体に近接乃至一部が接して配置された定着ベルトと、該定着ベルトを介して前記被加熱体と圧接する加圧ローラとを有する。
そして、前記定着ベルトと前記加圧ローラとで形成されるニップ部に未定着トナー画像を形成させた記録媒体を通過させて加熱定着する。このときの加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
前記被加熱体は、前記定着ベルトの内摺面に近接乃至一部が接して配置されているが、この近接乃至一部が接してとは、(i)近接配置され定着ベルトに全く接しない構成、(ii)一部のみが接触し、他は近接配置されて接しない構成を意味する。ここで、前記(i)の構成は、非動作時において被加熱体は定着ベルトに全く接しないが、動作時(定着時)においては被加熱体の少なくとも一部が定着ベルトに接する構成をも包含する。
なお、さらに詳細な定着装置の構成については後述する。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、各工程は制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
図3に、本発明で用いられる画像形成装置の第一例を示す。画像形成装置100Aは、感光体ドラム10と、帯電ローラ20と、露光装置(不図示)と、現像装置40と、中間転写ベルト50と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置60と、除電ランプ70とを備える。
中間転写ベルト50は、内側に配置されている3個のローラ51で張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。3個のローラ51の一部は、中間転写ベルト50に転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することが可能な転写バイアスローラとしても機能する。また、中間転写ベルト50の近傍に、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。さらに、転写紙95にトナー像を転写するための転写バイアス(二次転写バイアス)を印加することが可能な転写ローラ80が中間転写ベルト50と対向して配置されている。また、中間転写ベルト50の周囲には、中間転写ベルト50に転写されたトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電装置58が、中間転写ベルト50の回転方向に対して、感光体ドラム10と中間転写ベルト50の接触部と、中間転写ベルト50と転写紙95の接触部との間に配置されている。
現像装置40は、現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cから構成されている。なお、各色の現像ユニット45は、現像剤収容部42、現像剤供給ローラ43及び現像ローラ44を備える。また、現像ベルト41は、複数のベルトローラで張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。さらに、現像ベルト41の一部が感光体ドラム10と接触している。
次に、画像形成装置100Aを用いて画像を形成する方法について説明する。まず、帯電ローラ20を用いて、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させた後、露光装置(不図示)を用いて、感光ドラム10に露光光Lを露光し、静電潜像を形成する。次に、感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40から供給されたトナーで現像してトナー像を形成する。さらに、感光体ドラム10上に形成されたトナー像が、ローラ51から印加された転写バイアスにより、中間転写ベルト50上に転写(一次転写)された後、転写ローラ80から印加された転写バイアスにより、転写紙95上に転写(二次転写)される。一方、トナー像が中間転写ベルト50に転写された感光体ドラム10は、表面に残留したトナーがクリーニング装置60により除去された後、除電ランプ70により除電される。
図4に、本発明で用いられる画像形成装置の第二例を示す。画像形成装置100Bは、現像ベルト41を設けずに、感光体ドラム10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されている以外は、画像形成装置100Aと同様の構成を有する。
図5に、本発明で用いられる画像形成装置の第三例を示す。画像形成装置100Cは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備える。
複写装置本体150の中央部に設けられている中間転写ベルト50は、3個のローラ14、15及び16に張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。ローラ15の近傍には、トナー像が記録紙に転写された中間転写ベルト50上に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有するクリーニング装置17が配置されている。ローラ14及び15により張架された中間転写ベルト50に対向すると共に、搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの画像形成ユニット120Y、120C、120M及び120Kが並置されている。
また、画像形成ユニット120の近傍には、露光装置21が配置されている。さらに、中間転写ベルト50の画像形成ユニット120が配置されている側とは反対側には、二次転写ベルト24が配置されている。なお、二次転写ベルト24は、一対のローラ23に張架されている無端ベルトであり、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写ベルト50は、ローラ16と23の間で接触することができる。
また、二次転写ベルト24の近傍には、無端ベルトである定着ベルトと、定着ベルトに押圧されて配置された加圧ローラとを備える定着装置25が配置されている。なお、二次転写ベルト24及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成する場合に、記録紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
本発明が実施される定着装置のさらに詳細な具体例を挙げ、図面を用いて説明する。
定着装置内に加圧回転体(図7の場合は加圧ローラ)3rと定着ベルト3jとベルト3jの内摺面に近接させたパイプ状金属体3kとを有し、熱源(図の例ではハロゲンヒータ3f)により該パイプ状金属体3kが加熱される定着装置がある。このとき、図7の定着ベルト3j内には、パイプ状金属体3kおよび断熱材3iに保持されたニップ形成部材3mがあり、ベルト3j内面と直接(もしくは、摺動シート3eを介して間接的に)摺動するようになっている。このとき、定着ベルト3jの表面はこれに接して設けられたサーミスタ3hにより温度測定される。なお、パイプ状金属体3kは支持体3gに支持されてなる。
図7ではニップ部の形状が凹形状であるが、平坦形状やその他の形状であってもよい。(ニップの形状が凹形状の方が、用紙先端の排出方向が加圧ローラよりになり、分離性が向上するのでジャム(紙詰まり)の発生が抑制される。)
加圧ローラは中空の金属ローラにシリコーンゴム層があり、離型性を得るために表面に離型層(PFAまたはPTFE層)が設けてある。
加圧ローラは画像形成装置に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。また、加圧ローラはスプリングなどにより定着ベルト側に押し付けられており、ゴム層が押しつぶされて変形することにより、所定のニップ幅を有している。加圧ローラは中実のローラであっても良いが、中空のほうが熱容量は少なくて良い。また、加圧ローラにハロゲンヒータなどの加熱源を有していても良い。
シリコーンゴム層はソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ内部にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルトの熱が奪われにくくなるので、より望ましい。
ベルトはニッケルやSUSなどの金属ベルトやポリイミドなどの樹脂材料を用いた無端ベルト(もしくはフィルム)とする。ベルトの表層はPFAまたはPTFE層などの離型層を有し、トナーが付着しないように離型性をもたせている。
ベルトの基材とPFAまたはPTFE層の間にはシリコーンゴムの層などで形成する弾性層があってもよい。シリコーンゴム層がない場合は熱容量が小さくなり、定着性が向上するが、未定着画像を押しつぶして定着するときにベルト表面の微妙な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部にユズ肌状の跡が残るという不具合が生じる。これを改善するにはシリコーンゴム層を100μm以上設ける必要がある。シリコーンゴム層の変形によりにより、微妙な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
中空のパイプ状金属体はアルミ、又は鉄、ステンレスなどの金属を用いる。図示した金属体は凹部を有する円形であるが、角型であっても、その他の断面形状であってもよい。
パイプ状金属体の内部にはニップ部を支持するための支持体を設けてもよい。このとき、ハロゲンヒータなどの輻射熱などにより支持体が加熱されてしまう場合は、支持体表面に断熱もしくは鏡面処理を行い、加熱されることを防止することで、無駄なエネルギー消費を抑制することが出来る。
金属中空熱伝導体を昇温させる熱源は、図示したハロゲンヒータでもよいが、IHであってもよいし、また、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であってもよい。
ベルトは外部のローラにより連れ回り回転する。図7の場合は加圧ローラが図示しない駆動源により回転し、ニップ部でベルトに駆動力が伝達されることによりベルトが回転する。ベルトはニップ部で挟み込まれて回転するが、ニップ部以外では金属体にガイドされており、一定の距離以上にベルトの位置が熱伝導体から離れてしまわないよう案内されている。
ベルトとパイプ状金属体の界面はシリコーンオイルやフッ素グリス等の潤滑剤を有する。
上記のような構成により安価で、ウォームアップが早く、(パイプ状の金属部材が熱を拡散し、ベルト全体に均質な熱を与えるので)ベルト全体の温度が安定する定着装置を実現することができる。
図8は本発明に用いられる定着装置を示す構成図である。
定着装置内に加圧回転体(図8の場合は加圧ローラ3r)と定着ベルト3jを有し、熱源(図8の例ではハロゲンヒータ)3fにより定着ベルト3jが内周側から輻射熱で直接加熱される。即ち、図8に示す例では、定着ベルト3jが、図7に示す被加熱体としてのパイプ状金属体の機能及び定着ベルトの機能を併せ持ったものであり、定着ベルトに伝熱する作用を有する非加熱体は存在しない。
このとき、図8の定着ベルト3j内には、定着ベルト3jを介して対向する加圧ローラ3rとニップを形成するニップ形成部材3mがあり、定着ベルト3j内面と直接(もしくは、図示しない摺動シートを介して間接的に)摺動するようになっている。
図8ではニップ部Nの形状が平坦状であるが、凹形状やその他の形状であっても良い。(ニップの形状は凹形状の方が、記録紙先端の排出方向が加圧ローラ寄りになり、分離性が向上するのでジャムの発生が抑制される。)
定着ベルト3jはニッケルやSUSなどの金属ベルトやポリイミドなどの樹脂材料を用いた無端ベルト(もしくはフィルム)とする。ベルトの表層はPFAまたはPTFE層などの離型層を有し、トナーが付着しないように離型性を持たせている。ベルトの基材とPFAまたはPTFE層の間にはシリコーンゴムの層などで形成する弾性層があっても良い。
シリコーンゴム層がない場合は熱容量が小さくなり、定着性が向上するが、未定着画像を押し潰して定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部にユズ肌状の光沢ムラ(ユズ肌画像)が残るという不具合が生じる。これを改善するにはシリコーンゴム層を100[μm]以上設ける必要がある。シリコーンゴム層の変形により、微小な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
定着ベルト3jの内部にはニップ部を支持するための支持部材3g(ステー)を設け、加圧ローラ3rにより圧力を受けるニップ形成部材3mの撓みを防止し、軸方向で均一なニップ幅を得られるようにしている。この支持部材3gは両端部で保持部材(フランジ;図8は中心部の断面図であるため図示を省略してある)に保持固定され位置決めされている。また、熱源3fと支持部材3gの間に反射部材3sを備え、熱源3fからの輻射熱などにより支持部材3gが加熱されてしまうことによる無駄なエネルギー消費を抑制している。ここで反射部材3sを備える代わりに支持部材3g表面に断熱もしくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることか可能となる。
熱源3fは、図示したハロゲンヒータでも良いが、IHであっても良いし、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であっても良い。
加圧ローラ3rは芯金3pに弾性ゴム層3qがあり、離型性を得るために表面に離型層(PFAまたはPTFE層)が設けてある。加圧ローラ3rは画像形成装置に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。また、加圧ローラ3rはスプリングなどにより定着ベルト3j側に押し付けられており、弾性ゴム層3qが押し潰されて変形することにより、所定のニップ幅を有している。加圧ローラ3rは中空のローラであっても良く、加圧ローラ3rにハロゲンヒータなどの加熱源を有していても良い。弾性ゴム層3qはソリッドゴムでも良いが、加圧ローラ3r内部にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いても良い。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルトの熱が奪われにくくなるので、より望ましい。
定着ベルト3jは加圧ローラ3rにより連れ回り回転する。図8の場合は加圧ローラ3rが図示しない駆動源により回転し、ニップ部Nでベルトに駆動力が伝達されることにより定着ベルト3jが回転する。定着ベルト3jはニップ部Nで挟み込まれて回転し、ニップ部N以外では両端部で保持部材(フランジ;図8は中心部の断面図であるため図示を省略してある)にガイドされ、走行する。
上記のような構成により安価で、ウォームアップが速い定着装置を実現することが可能となる。
各色の画像情報は、各色の画像形成ユニット120に伝達され、各色のトナー像が形成される。各色の画像形成ユニット120は、図5に示すように、それぞれ、感光体ドラム10と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電ローラ160と、各色の画像情報に基づいて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、各色の静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像を各色の現像剤で現像して各色のトナー像を形成する現像装置61と、トナー像を中間転写ベルト50上に転写させるための転写ローラ62と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置63と、除電ランプ64とを備える。
各色の画像形成ユニット120で形成された各色のトナー像は、ローラ14、15及び16に張架されて移動する中間転写体50上に順次転写(一次転写)され、重ね合わされて複合トナー像が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の一つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の一つから記録紙を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送する。そして、複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
あるいは、給紙ローラを回転して手差しトレイ54上の記録紙を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録紙の紙粉を除去するためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
次に、中間転写ベルト50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させることにより、中間転写ベルト50と二次転写ベルト24との間に記録紙を送出させ、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。なお、複合トナー像を転写した中間転写ベルト50上に残留したトナーは、クリーニング装置17により除去される。
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写ベルト24により搬送された後、定着装置25により複合トナー像が定着される。次に、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。あるいは、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、シート反転装置28により反転され、裏面にも同様にして画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
<結晶性ポリウレタン樹脂A−1の製造>
撹拌機及び温度計をセットした反応容器に、1,4−ブタンジオール45重量部(0.50mol)、1,6−ヘキサンジオール59重量部(0.50mol)、及びメチルエチルケトン(以下、MEKと記載する。)200重量部を入れた。この溶液に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)250重量部(1.00mol)を入れ、80℃で5時間反応した後、溶媒を除去して[結晶性ポリウレタン樹脂A−1]を得た。得られた[結晶性ポリウレタン樹脂A−1]は、Mw20000、融点60℃であった。
(製造例2)
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、アジピン酸15重量部(0.10mol)、1,6−ヘキサンジオール177重量部(1.50mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ12,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]は、Mw12,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル350重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)30重量部(0.12mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]は、Mw22,000、融点62℃であった。
(製造例3)
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール189重量部(1.60mol)、及び縮合触媒としてジブチル錫オキサイド0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]は、Mw6,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)38重量部(0.15mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]は、Mw10,000、融点64℃であった。
(製造例4)
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185重量部(0.91mol)、アジピン酸13重量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール106重量部(1.18mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ14,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]は、Mw14,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)12重量部(0.07mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4]は、Mw39,000、融点63℃であった。
(製造例5)
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸166重量部(0.82mol)、アジピン酸26重量部(0.18mol)、1,4−ブタンジオール131重量部(1.45mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ8,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]は、Mw8,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)33重量部(0.13mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5]は、Mw17,000、融点54℃であった。
(製造例6)
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、アジピン酸18重量部(0.12mol)、1,6−ヘキサンジオール139重量部(1.18mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ18,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−6]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−6]は、Mw18,000であった。
続いて、得られた結晶性ポリエステル樹脂A’−6を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)15重量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6]は、Mw42,000、融点62℃であった。
(製造例7)
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール149重量部(1.26mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ9,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−7]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−7]は、Mw9,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−7]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)28重量部(0.11mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7]は、Mw30,000、融点67℃であった。
(製造例8)
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−8の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール191重量部(1.62mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ4,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−8]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−8]は、Mw4,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−8]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)35重量部(0.14mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−8]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−8]は、Mw8,500、融点64℃であった。
(製造例9)
<結晶性ポリウレア樹脂A−9の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,4−ブタンジアミン123重量部(1.40mol)、1,6−ヘキサンジアミン212重量部(1.82mol)、メチルエチルケトン(MEK)100重量部を入れて攪拌した後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)336重量部(2.00mol)を加え、窒素気流下にて60℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[結晶性ポリウレア樹脂A−9]を得た。得られた[結晶性ポリウレア樹脂A−9]は、Mwが23,000、融点64℃であった。
(製造例10)
<結晶性ポリエステル樹脂A−10の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185重量部(0.91mol)、アジピン酸13重量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール125重量部(1.39mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ10,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A−10]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A−10]は、Mw9,500、融点57℃であった。
(製造例11)
<結晶性ポリエステル樹脂A−11の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール130重量部(1.10mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ30,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A−11]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A−11]は、Mw27,000、融点62℃であった。
(製造例12)
<結晶性部と非晶性部からなるブロック樹脂A−12の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール25重量部(0.33mol)、メチルエチルケトン(MEK)170重量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)147重量部(0.59mol)を加え、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する[非晶性部c−1]のMEK溶液を得た。
別途、冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール160重量部(1.35mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ9,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]は、Mw8,500、融点63℃であった。
次いで、[非晶性部c−1]のMEK溶液340重量部に、結晶性部として、[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]320重量部をMEK320重量部に溶解させた溶液を加えて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[ブロック樹脂A−12]を得た。得られた[ブロック樹脂A−12]は、Mw26,000、融点62℃であった。
(製造例13)
<結晶性部と非晶性部からなるブロック樹脂A−13の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール39重量部(0.51mol)、メチルエチルケトン(MEK)270重量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)228重量部(0.91mol)を加え、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する[非晶性部c−2]のMEK溶液を得た。
別途、冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール160重量部(1.35mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ8,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−13]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−13]は、Mw7,500、融点62℃であった。
次いで、[非晶性部c−2]のMEK溶液540重量部に、結晶性部として、[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]320重量部をMEK320重量部に溶解させた溶液を加えて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[ブロック樹脂A−13]を得た。得られた[ブロック樹脂A−13]は、Mw23,000、融点61℃であった。
(製造例14)
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸113重量部(0.56mol)、テレフタル酸ジメチル109重量部(0.56mol)、1,6−ヘキサンジオール132重量部(1.12mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水、メタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ35,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B’−1]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−1]は、Mw34,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−1]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル200重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)10重量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]は、Mw63,000、融点65℃であった。
(製造例15)
<ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸204重量部(1.01mol)、アジピン酸13重量部(0.09mol)、1,6−ヘキサンジオール136重量部(1.15mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ20,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]は、Mw20,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル200重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)15重量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]は、Mw39,000、融点63℃であった。
(製造例16)
<結晶性ポリウレア樹脂B−3の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,4−ブタンジアミン79重量部(0.90mol)、1,6−ヘキサンジアミン116重量部(1.00mol)、メチルエチルケトン(MEK)600重量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)475重量部(1.90mol)を加え、窒素気流下にて60℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[結晶性ポリウレア樹脂B−3]を得た。得られた[結晶性ポリウレア樹脂B−3]は、Mwが57,000、融点66℃であった。
(製造例17)
<結晶性ポリエステル樹脂B−4の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、ドデカン二酸230重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール118重量部(1.00mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ50,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B−4]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂B−4]は、Mw52,000、融点66℃であった。
(製造例18)
<結晶性樹脂前駆体B’−5の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール122重量部(1.03mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ25,000に達するまで反応を行った。
得られた[結晶性樹脂]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)27重量部(0.16mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[結晶性樹脂前駆体B’−5]の50重量%酢酸エチル溶液を得た。得られた[結晶性樹脂前駆体B’−5]の酢酸エチル溶液10重量部をテトラヒドロフラン(THF)10重量部と混合し、これにジブチルアミン1重量部を添加して、2時間撹拌させた。得られた溶液を試料としてGPC測定を行った結果、[結晶性樹脂前駆体B’−5]のMwは54,000であった。また、前記溶液から溶媒を除去して得られた試料についてDSC測定を行った結果、[結晶性樹脂前駆体B’−5]の融点は57℃であった。
以上、結晶性樹脂の製造に使用した原材料、及び結晶性樹脂の物性について、表1〜表3にまとめて示した。
(製造例19)
<非結晶性樹脂C−1の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物222重量部、ビスフェノールA PO2mol付加物129重量部、イソフタル酸166重量部、及びテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、5~20mmHgの減圧下にて反応させ、酸価が2になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸35重量部を加え、常圧で3時間反応させ、[非結晶性樹脂C−1]を得た。得られた[非結晶性樹脂C−1]は、Mw8,000、Tg62℃であった。
(製造例20)
<非結晶性樹脂前駆体C’−2の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物720重量部、ビスフェノールA PO2mol付加物90重量部、テレフタル酸290重量部、及びテトラブトキシチタネート1重量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、10~15mmHgの減圧下にて7時間反応させ、[非結晶性樹脂]を得た。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、得られた[非結晶性樹脂]400重量部、イソホロンジイソシアネート95重量部、酢酸エチル500重量部を入れ、窒素気流下にて80℃で8時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[非結晶性樹脂前駆体C’−2]の50重量%酢酸エチル溶液を得た。
[実施例1〜17、比較例1〜4]
<トナーの製造>
―グラフト重合体の製造―
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、キシレン480質量部、低分子量ポリエチレン(三洋化成工業社製サンワックスLEL−400:軟化点128℃)100質量部を入れて充分溶解し、窒素置換した後、スチレン740質量部、アクリロニトリル100質量部、アクリル酸ブチル60質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36質量部、及びキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで、脱溶剤を行い、[グラフト重合体]を合成した。得られた[グラフト重合体]はMw24,000、Tg67℃であった。
―離型剤分散液(1)の調製―
撹拌棒及び温度計をセットした容器にパラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、炭化水素系ワックス、融点75℃、SP値8.8)50重量部、グラフト重合体30重量部、及び酢酸エチル420部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、分散を行い[離型剤分散液(1)]を得た。
―マスターバッチ(1)〜(14)の作製―
・結晶性ポリウレタン樹脂A−1 100重量部
・カーボンブラック(Printex35、デグサ社製) 100重量部
(DBP吸油量:42mL/100g、pH:9.5)
・イオン交換水 50重量部
上記の原材料を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二本ロールを用いて混練した。混練温度は90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却していった。得られた混練物をパルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して[マスターバッチ(1)]を作製した。
表4に従って、[マスターバッチ(1)]と同様にして[マスターバッチ(2)]〜[マスターバッチ(14)]を作製した。
―油相(1)〜(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)の作製―
温度計および撹拌機を備えた容器に、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]31.5重量部を入れ、固形分濃度が50重量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、[非結晶性樹脂C−1]の50重量%酢酸エチル溶液100重量部、[離型剤分散液(1)]60重量部、[マスターバッチ(2)]12重量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相(1)]を得た。なお、[油相(1)]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作成から5時間以内に使用した。
油相(2)、(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)についても、結晶性樹脂Aの種類・添加量、結晶性樹脂Bの種類・添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、及びマスターバッチの種類を、表5に従って変更しただけで、同様に作製した。なお、表5中の結晶性樹脂B、及び[非結晶性樹脂前駆体C−2]については、[B−1]、[B−2]、[B−3]、及び[B−4]のいずれかを使用する場合は、油相作製段階で他のトナー材料と共に溶解、分散させて用い、結着樹脂前駆体である[B’−5]、又は[非結晶性樹脂前駆体C−2]を使用する場合は、油相作製段階では添加せず、後述のトナー母体作製時に前記油相に添加し、溶解、分散して用いた。
―樹脂微粒子の水分散液の製造―
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水600重量部、スチレン120重量部、メタクリル酸100重量部、アクリル酸ブチル45重量部、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業製)10重量部、過硫酸アンモニウム1重量部を仕込み、400回転/分で20分攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温し、6時間反応させた。更に1%過硫酸アンモニウム水溶液30重量部を加え、75℃で6時間熟成して[樹脂微粒子の水分散液]を得た。この[樹脂微粒子の水分散液]中に含まれる粒子の体積平均粒径は80nmであり、樹脂分の重量平均分子量は160,000、Tgは74℃であった。
―水相(1)の調製―
水990重量部、[樹脂微粒子の水分散液]83重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37重量部、及び酢酸エチル90重量部を混合撹拌し、[水相(1)]を得た。
―トナー母体(1)〜(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)の作製―
撹拌機および温度計をセットした別の容器内に、[水相(1)]520重量部を入れて40℃まで加熱した。前記50℃に保たれた[油相(1)]235重量部に[結晶性樹脂前駆体B’−5]の酢酸エチル溶液25重量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)にて回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散して[油相(1’)]を調製した。40〜50℃に保持したままの前記[水相(1)]をTK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、[油相(1’)]を添加し、1分間乳化して[乳化スラリー1]を得た。
次いで、撹拌機および温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー1]を投入し、60℃で6時間脱溶剤して、[スラリー1]を得た。得られた[スラリー1]を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10重量%水酸化ナトリウム水溶液100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10重量%塩酸100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ(1)を得た。
得られた濾過ケーキ(1)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(1)を作製した。
同様に、油相(2)、(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)をそれぞれ用いて、トナー母体(2)、(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)を作製した。
―油相(4)、(13)、(18)〜(20)の作製―
温度計および撹拌機を備えた容器に、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]62重量部、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]12重量部を入れ、固形分濃度が50重量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、[非結晶性樹脂C−1]の50重量%酢酸エチル溶液40重量部、[離型剤分散液]60重量部、[マスターバッチ(2)]12重量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相(5)]を得た。なお、[油相(4)]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作成から5時間以内に使用した。
油相(13)、(18)〜(20)についても、結晶性樹脂Aの種類・添加量、結晶性樹脂Bの種類・添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、及びマスターバッチの種類を、表6に従って変更しただけで、同様に作製した。
―水相(2)の調製―
水990重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37重量部、及び酢酸エチル90重量部を混合撹拌し、[水相(2)]を得た。
―トナー母体(4)、(13)、(18)〜(20)の作製―
撹拌機および温度計をセットした別の容器内に、[水相(2)]520重量部を入れて40℃まで加熱し、40〜50℃に保持したまま、TK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、[油相(4)]を添加し、1分間乳化して[乳化スラリー4]を得た。
次いで、撹拌機および温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー4]を投入し、60℃で6時間脱溶剤して、[スラリー4]を得た。得られた[スラリー4]を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10重量%水酸化ナトリウム水溶液100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10重量%塩酸100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ(4)を得た。
得られた濾過ケーキ(4)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(4)を作製した。
同様に、油相(13)、(18)〜(20)をそれぞれ用いて、トナー母体(13)、(18)〜(20)を作製した。
―結晶性樹脂粒子分散液(A−3)の作製―
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]60重量部に、酢酸エチル60重量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させた。次いで、水120重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6重量部、及び2重量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4重量部を混合した[水相]に、前記樹脂溶液120重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーA−3]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーA−3]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(A−3)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(A−3)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.15μmであった。
―結晶性樹脂粒子分散液(A−6)の作製―
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6]60重量部に、酢酸エチル60重量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させた。次いで、水120重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6重量部、及び2重量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4重量部を混合した[水相]に、前記樹脂溶液120重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーA−6]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーA−6]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(A−6)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(A−6)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.18μmであった。
―結晶性樹脂粒子分散液(B−1)の作製―
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]60重量部に、酢酸エチル60重量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させた。次いで、水120重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6重量部、及び2重量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4重量部を混合した[水相]に、前記樹脂溶液120重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーB−1]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーB−1]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.16μmであった。
―非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)の作製―
[非結晶性樹脂C−1]60重量部に、酢酸エチル60重量部を加えて混合撹拌して溶解させた。次いで、水120重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6重量部、及び2重量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4重量部を混合した[水相]に、前記樹脂溶液120重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーC−1]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーC−1]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.15μmであった。
―離型剤分散液(2)の調製―
パラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、融点75℃)25重量部、アニオン界面活性剤(三洋化成工業製:エレミノールMON−7)5重量部、水200重量部を混合し、95℃で溶融させた。次いで、この溶融液をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[離型剤分散液(2)]を得た。
―着色剤分散液の調製―
カーボンブラック(Printex35、デグサ社製)20重量部、アニオン界面活性剤(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)2重量部、及び水80重量部を混合し、TK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で分散し、[着色剤分散液]を得た。
―トナー母体(6)の作製―
[結晶性樹脂粒子分散液(A−3)]190重量部、[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]63重量部、[非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]63重量部、[離型剤分散液(2)]46重量部、[着色剤分散液]17重量部、水600重量部を混合し、2重量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調節した。次いで、撹拌下、この溶液に10重量%の塩化マグネシウム水溶液50重量部を徐々に滴下しながら60℃まで加熱した。凝集粒子の体積平均粒径が5.3μmに成長するまで60℃に維持し、[スラリー6]を得た。
得られた[スラリー6]を減圧濾過した後、前記の洗浄処理(1)〜(4)を行い、濾過ケーキ(6)を得た。得られた濾過ケーキ(6)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(6)を作製した。
―トナー母体(11)の作製―
[結晶性樹脂粒子分散液(A−6)]190重量部、[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]63重量部、[非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]63重量部、[離型剤分散液(2)]46重量部、[着色剤分散液]17重量部、水600重量部を混合し、2重量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調節した。次いで、撹拌下、この溶液に10重量%の塩化マグネシウム水溶液50重量部を徐々に滴下しながら60℃まで加熱した。凝集粒子の体積平均粒径が5.9μmに成長するまで60℃に維持し、[スラリー11]を得た。得られた[スラリー11]を減圧濾過した後、前記の洗浄処理(1)〜(4)を行い、濾過ケーキ(11)を得た。得られた濾過ケーキ(11)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(11)を作製した。
―トナー母体(12)の作製―
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]60重量部、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]20重量部、[非結晶性樹脂C−1]20重量部、パラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、融点75℃)5重量部、及び[マスターバッチ(2)]12重量部を、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で80℃〜120℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物を室温まで冷却後、ハンマーミルにて200μm〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、重量平均粒径が6.2±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で、重量平均粒径が7.0±0.2μm、4μm以下の微粉量が10個数%以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、[トナー母体(12)]を得た。
―トナー(1)〜(21)の作製―
得られたトナー母体(1)〜トナー母体(21)を100重量部と、外添剤としての疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)1.0重量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(1)〜トナー(21)を作製した。
得られたトナー(1)〜(21)について、粒度分布(Dv、Dn、Dv/Dn)、Tsh2nd/Th1st、貯蔵弾性率G’(80)、貯蔵弾性率G’(140)、結晶化度の測定を行った。これらの測定については、前述の測定方法に従って測定を行った。その結果を表7に示す。
<キャリアの作製>
・シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン) 100重量部
・γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 5重量部
・カーボンブラック 10重量部
・トルエン 100重量部
上記の原材料を、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。その後、流動床型コーティング装置を用いて、体積平均粒径が35μmの球状フェライト1,000重量部の表面に樹脂層塗布液を塗布して、キャリアを作製した。
<現像剤の作製>
トナー(1)〜トナー(21)のそれぞれを5重量部と、前記キャリア95重量部とを混合して、実施例1〜17及び比較例1〜4の各現像剤を作製した。
次に、得られた各現像剤を用いて、以下のようにして定着性(定着下限温度、定着幅)、耐熱保存性、耐ストレス性について評価を行い、総合評価を下した。その結果を表7に示す。また、加圧分離性について評価を行い、その結果を表8に示す。
<<定着性(定着下限温度)>>
図5に示すタンデム型フルカラー画像形成装置100Cを用いて、転写紙(リコービジネスエキスパート株式会社製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナーの付着量が0.85±0.10mg/cmのベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面を描画試験器AD−401(上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260μmR〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/sである。定着下限温度は、低い程、低温定着性に優れ、ここでは130℃以下を合格とした。
<<定着性(耐ホットオフセット性・定着幅)>>
図5に示すタンデム型フルカラー画像形成装置100Cを用いて、転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)上に、転写後のトナー付着量が0.85±0.10mg/cmの紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度と、定着下限温度との差を定着幅とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/sである。定着幅は、広い程、耐ホットオフセット性に優れ、約50℃が従来の画像形成方法の平均的な温度幅である。
<<耐熱保存性(針入度)>>
50mLのガラス容器に各トナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した。このトナーを24℃に冷却し、針入度試験(JISK2235−1991)により針入度(mm)を測定し、下記基準に基づいて評価した。なお、針入度の値が大きいほど耐熱保存性が優れていることを示し、5mm未満の場合には、使用上問題が発生する可能性が高い。
なお、本発明においては針入度を貫入深さ(mm)で表し、△、○、◎が合格、×が不合格である。
〔評価基準〕
◎:針入度25mm以上
○:針入度15mm以上25mm未満
△:針入度5mm以上15mm未満
×:針入度5mm未満
<<定着ローラ分離性>>
図5に示す画像形成装置100を用いて、定着ローラ温度が200℃となるよう設定し、A4白紙100枚を連続通紙後に未定着の全面ベタ画像を形成したA3紙を通紙し、定着ローラへの紙の巻きつきの有無を目視で評価した。
〔評価基準〕
○:記録媒体が定着ローラに巻き付かず、正常に排紙される。または、記録媒体が定着ローラにやや巻き付き、記録媒体先端に折れが生じるが、排紙される。
×:記録媒体が定着ローラに巻き付き、排紙されない。
<<耐ストレス性>>
図5に示す画像形成装置100を用いて、画像面積率0.5%のチャートを5万枚出力後、紙全面ベタ画像を出力した際の画像部における白点状にトナーが抜けた部分の有無について目視にて、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:画像部に白点状にトナーが抜けた部分がまったくなく、優良な状態
○:画像部に白点状にトナーが抜けた部分がごく僅かに見られる程度で、良好な状態
△:画像部に白点状にトナーが抜けた部分が見られるが、実使用上問題ないレベル
×:画像部に白点状にトナーが抜けた部分が多数見られ、実使用上問題となるレベル
以上の実施例および比較例によれば、定着ローラとトナー像との分離性の悪化を解消し、トナーのオフセットをより効果的に抑制できることができることがわかった。
3e 摺動シート
3f 熱源
3g 支持部材
3h サーミスタ
3i 断熱材
3j 定着ベルト
3k パイプ状金属体
3m ニップ形成部材
3p 芯金
3q 弾性層(弾性ゴム層)
3r 加圧ローラ
3s 反射部材
N ニップ部
特開2010−077419号公報 特開2009−014926号公報 特開2010−151996号公報 特開2004−286922号公報 特許第2861280号公報 特開2007−334205号公報

Claims (9)

  1. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を収容するトナーにより現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、前記記録媒体上に転写された前記トナー像を当該記録媒体に定着させる定着手段と、を備え、
    前記定着手段は、加熱部と加圧部とを有し、前記加熱部と前記加圧部とが圧接して形成される曲率が0.03未満のニップ部より熱および圧力を付与して前記トナー像を定着せしめるものであり、
    前記現像手段に収容されているトナーは、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含む結着樹脂を、含有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記結着樹脂は、主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記加圧部は、加圧回転体であり、
    前記加熱部は、定着ベルトと、該定着ベルトの内摺面に近接乃至一部が接して配置された被加熱体と、熱源と、を具備し、
    前記熱源により前記被加熱体が加熱されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記結晶性樹脂は、第1の結晶性樹脂と、該第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記第2の結晶性樹脂が末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂を伸長させてなるものであることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記現像手段に収容されているトナーの示差走査熱量計(DSC)による昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が50℃以上70℃以下の範囲にあり、昇温2回目の融解熱量が30J/g以上75J/g以下であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記現像手段に収容されているトナーの80℃における貯蔵弾性率G’(80)[Pa]が1.0×10以上5.0×10以下であり、且つ、前記現像手段に収容されているトナーの140℃における貯蔵弾性率G’(140)[Pa]が1.0×10以上5.0×10以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  8. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  9. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーにより現像する現像工程と、該現像工程により現像されたトナー像を記録媒体上に転写する転写工程と、前記記録媒体上に転写された前記トナー像を当該記録媒体に定着させる定着工程と、を備え、
    前記定着工程は、前記記録媒体上に形成された未定着のトナー像に、加熱部と加圧部とが圧接して形成されるニップ部より熱および圧力を付与し、当該記録媒体にトナーを定着させ、
    前記ニップ部の曲率は、0.03未満であり、
    前記トナーは、結着樹脂を含有し、
    該結着樹脂は、結晶性樹脂を含有し、
    該結晶性樹脂は、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア結合を有する結晶性樹脂を含むことを特徴とする画像形成方法。
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