JP6241027B2 - 画像形成装置、及び、プロセスカートリッジ - Google Patents

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本発明は、結着樹脂として結晶性樹脂を含有するトナー、このトナーを含有する現像剤、このトナーを用いて画像を形成する画像形成装置、及び、この画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジに関する。
従来、トナーを用いて画像を形成する装置として、プリンター等の電子写真方式の画像形成装置が用いられている。この画像形成装置は、感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像し、得られたトナー像を用紙に転写し、加熱溶融させて定着させることにより画像を形成する。この定着処理では、トナーを加熱溶融させるために多くの電力が必要となるため、省エネルギー化を図る観点から、低温定着性のトナーが用いられている。
低温定着性のトナーとしては、結晶性ポリエステル樹脂のような結晶性樹脂を結着樹脂として含有するものが知られている。このようなトナーは、結晶性樹脂の含有量を増やすほど、低温での定着性が改良されるだけでなく、架橋樹脂を含む表面層を有する感光体と組み合わせて画像形成を行った場合には、通常の非結晶性樹脂を用いたトナーに比べ転写効率が高くなり、高品質の画像が得られることが知られている(特許文献1参照)。
ところで、画像形成装置において、転写後の感光体の表面に残存するトナーをクリーニングする方法として、クリーニングブレードを使用する方式が知られている。この方式ではゴムのクリーニングブレードを感光体に食い込ませるように変形させることにより、感光体に残存するトナーを掻きとってクリーニングを行う。
しかしながら、結着樹脂として結晶性樹脂を用いたトナーは、クリーニング部材によって力が加えられると、結晶層がずれて変形や欠けが発生して小径化しやすい。一方、クリーニング部材には、感光体に対してトナーによって力が加えられるので、小径化したトナーがクリーニング部材と感光体との間をすり抜けてクリーニング不良を発生させるという課題が生じる。
請求項1に係る発明は、トナーを用いて静電潜像を現像する画像形成装置であって、表面層にポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂を含有する感光体を備え、前記感光体は、前記表面層のマルテンス硬さが190N/mm 以上であり、前記トナーは、結着樹脂として結晶性樹脂を含有し、前記結晶性樹脂は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂を含み、固め見掛け密度が0.75g/cm以下であることを特徴とする。
本発明のトナーは、結着樹脂としてウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂を含有するため、その結合力によりトナーの変形や欠けが発生しにくくなる。さらに、固め見掛け密度が所定値を超えないようにすることで、トナーからブレードに加えられる力を低減できる。これにより、クリーニング処理において、クリーニング不良の発生を抑制することができるという効果を奏する。
X線回折によって得られる回折スペクトルの一例を示す図である。 X線回折によって得られる回折スペクトルの一例を示す図である。 ポリウレアのカルボニル炭素付近の13C−NMRスペクトルの一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。 トナーカートリッジ、サブホッパ、及び、現像装置を示す模式図である。 現像装置を示す横断面図である。 作像部を示す縦断面図である。 感光体ドラムの表層部を示す断面図である。 感光体ドラムおよびクリーニングブレードを示す模式図である。 治具定着装置を示す模式図である。 クリーニング性評価用チャートを示す模式図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態のトナーは、結着樹脂として結晶性樹脂を含有するトナーであって、結晶性樹脂は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂を含み、固め見掛け密度が0.75g/cm以下である。
<<結着樹脂>>>
まずは、本実施形態のトナーの結着樹脂について説明する。本実施形態において、結着樹脂は、結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを含有しても良いが、結着樹脂の主成分は、結晶性樹脂であることが好ましい。本実施形態において、結晶性樹脂とは、結晶構造を持った部位を有する樹脂を意味する。樹脂に、結晶構造を持った部位を設ける方法としては、特に限定されないが、主鎖に結晶性を有するポリマーユニットを導入する方法が挙げられる。結晶性を有するポリマーユニットのうち、結晶性ポリエステルユニット、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸等の長鎖アルキルエステルユニットは、トナー用の結着樹脂として好適な融点を有する点で好ましい。特に、結晶性ポリエステルユニットは、末端アルコールのものを簡便に作製することができ、ウレタン結合およびウレア結合の少なくとも一方を有する樹脂へ展開しやすい点で好適である。
<結晶性ポリエステルユニット>
結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂としては、結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂(単に、結晶性ポリエステル樹脂ともいう)、結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)が挙げられる。結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂は、結晶構造をとる部分は多いものの、外力により容易に変形しやすいことがある。その理由としては、結晶性ポリエステルのすべての部分を結晶化させることは困難であり、結晶化していない部分(非結晶部位)の分子鎖の自由度が高いために容易に変形しやすい、あるいは結晶構造をとっている部分に関しても、通常その高次構造は分子鎖が折りたたまれながら面を形成したものが重なる、いわゆるラメラ構造となるが、そのラメラ層間には大きな結合力が働かないため容易にラメラ層がずれやすい、などの原因が考えられる。トナー用の結着樹脂としては、外力により容易に変形してしまうと、画像形成装置内での変形凝集、部材への付着あるいは固着、最終的に出力される画像が容易に傷がつく、などの問題が発生する可能性があるため、外力に対してある程度変形に耐えうるもの、強靭性を有するものでなければならない。
樹脂の強靭性付与の観点からは、凝集エネルギーの大きいウレタン結合部位、ウレア結合部位、フェニレン部位を有するような結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)が好ましい。この中でも特に、ウレタン結合部位やウレア結合部位は、分子鎖中に存在することにより、非結晶部位やラメラ層間に大きな分子間力による擬似架橋点を形成させることができると考えられる上、紙への定着後においても紙に対して濡れやすく定着強度を高めることができるため好ましい。
結晶性ポリエステルユニットとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。
−ポリオール−
上記のポリオールとしては、例えば、ジオール、3乃至8価あるいはそれ以上のポリオール等が挙げられる。ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数4乃至36のアルキレンエーテルグリコール;炭素数4乃至36の脂環式ジオール;脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する);ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオールなどが挙げられる。これらの中でも鎖炭素数が2乃至36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の直鎖型脂肪族ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量は、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましい。含有量が80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性とが両立し、樹脂硬度が向上する傾向にある点で好ましい。
鎖炭素数が2乃至36の分岐型脂肪族ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
炭素数4乃至36のアルキレンエーテルグリコールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
炭素数4乃至36の脂環式ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
脂環式ジオールのAOとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、BOと略記する)等の付加物(付加モル数1乃至30)などが挙げられる。
ビスフェノール類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2乃至30)などが挙げられる。ポリラクトンジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−ε−カプロラクトンジオールなどが挙げられる。
カルボキシル基を有するジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の炭素数6乃至24のジアルキロールアルカン酸などが挙げられる。
スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール、[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1乃至6)及びそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1乃至6);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
これらのジオールの中和塩基としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数3乃至30の3級アミン(トリエチルアミン等)、アルカリ金属(ナトリウム塩等)などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数2乃至12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用が好ましい。
また、必要に応じて用いられる3乃至8価あるいはそれ以上のポリオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン等)、糖類及びその誘導体(例えば、ショ糖、メチルグルコシド等)等の多価脂肪族アルコール;トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2乃至30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2乃至30);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーとの共重合物等のアクリルポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
−ポリカルボン酸−
上記のポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3乃至6価あるいはそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等の炭素数4乃至36のアルカンジカルボン酸;ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸等の炭素数4乃至36のアルケンジカルボン酸;ダイマー酸(2量化リノール酸)等の炭素数6乃至40の脂環式ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数8乃至36の芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
また、必要により用いられる3乃至6価あるいはそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9乃至20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
なお、ジカルボン酸又は3乃至6価あるいはそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1乃至4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
上記のジカルボン酸の中でも、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の脂肪族ジカルボン酸を単独で用いることが好ましいが、脂肪族ジカルボン酸と共にテレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸あるいはその低級アルキルエステル類を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下が好ましい。
−ラクトン開環重合物−
上記のラクトン開環重合物としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数3乃至12のモノラクトン類(環中のエステル基数1個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、炭素数3乃至12のモノラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物などが挙げられる。
炭素数3乃至12のモノラクトンとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性の観点からε−カプロラクトンが好ましい。また、ラクトン開環重合物としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、ダイセル社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等の高結晶性ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
−ポリヒドロキシカルボン酸−
ポリヒドロキシカルボン酸の調製方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体等)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間又は3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4乃至12の環状エステル(環中のエステル基数2乃至3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法などが挙げられる。これらの中でも、分子量の調整の観点から開環重合する方法が好ましい。上記の環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
<結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂>
本実施形態において、結晶性樹脂は、上記の結晶性ポリエステルユニットを連結させたものであることが好ましい。結晶性ポリエステルユニットを連結させる方法としては、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有する結晶性ポリエステルユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法などが挙げられる。この方法を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。
ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートが挙げられる。ジイソシアネートとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類などが挙げられる。
芳香族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−あるいは1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−あるいは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−あるいは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(例えば5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
脂環式ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、ジイソシアネートの変性物としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等の変性MDI、イソシアネート含有プレポリマー等のウレタン変性TDI、などのジイソシアネートの変性物;これらジイソシアネートの変性物の2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDIとの併用)などが挙げられる。
これらの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6乃至20好ましくは6乃至15の芳香族ジイソシアネート、2乃至18好ましくは4乃至12の脂肪族ジイソシアネート、4乃至15の脂環式ジイソシアネート、8乃至15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)、これらの2種以上の混合物などが好ましい。特に、TDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIは好ましい。また、必要により、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
<結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂>
また、本実施形態において、結晶性樹脂は、上記の結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーとを結合させたものであることが好ましい。他のポリマーを構成するポリマーユニットとしては、非結晶性ポリエステルユニット、ポリウレタンユニット、ポリウレアユニット、ビニル系ポリマーユニットが挙げられる。結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーとを結合させる方法としては、あらかじめ結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを別々に作製し、それらを結合させる方法、あらかじめ結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットのいずれかを作製し、次いで作製したユニットの存在下で、もう一方のポリマーを重合することによって結合させる方法、あるいは結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを同じ反応場で同時あるいは逐次重合させることにより得る方法があるが、設計意図通りに反応を制御させやすいという点で、一つ目あるいは二つ目の方法が好ましい。
一つ目の方法としては、上記の結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法と同様、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有するユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法が挙げられる。また、一方のユニットの末端にイソシアネート基を導入し、他方のユニットの活性水素と反応させる方法を用いることもできる。この方法を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。なお、ポリイソシアネートとしては、前述のものを使用することができる。
二つ目の方法としては、結晶性ポリエステルユニットを先に作成する場合、その末端のヒドロキシル基あるいはカルボキシル基と、他のポリマーユニットを構成するモノマーとを反応させる。これにより、結晶性ポリエステルユニットと、非結晶性ポリエステルユニット、ポリウレタンユニット、ポリウレアユニット等の他のポリマーとを結合させた樹脂が得られる。
−非結晶性ポリエステルユニット−
上記の非結晶性ポリエステルユニットとしては、例えばポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニットが挙げられる。ポリオール及びポリカルボン酸については上記の結晶性ポリエステルユニットで例示したものが使用できるが、結晶性を持たないように設計するためには、ポリマー骨格に屈曲点や分岐点を多く持たせるようにすればよい。屈曲点を持たせるには、例えば、ポリオールとして、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2乃至30)などのビスフェノール及びその誘導体、ポリカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸を使用すればよい。また分岐点の導入には3価以上のポリオールやポリカルボン酸を使用すればよい。
−ポリウレタンユニット−
結晶性ポリエステルユニットに結合させるユニットとしてポリウレタンユニットを選択した場合には、結晶性ポリエステルユニットとポリウレタンユニットとを有する共重合体が得られる。上記のポリウレタンユニットとしては、ジオール、3乃至8価あるいはそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートと、から合成されるポリウレタンユニットが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットが好ましい。
ポリオールとしては、ポリエステルの構成成分として前述のジオール及び3乃至8価あるいはそれ以上のポリオールと同様のものが挙げられる。ジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートとしては、前述のジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
−ポリウレアユニット−
上記のポリウレアユニットとしては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレアユニット等が挙げられる。これらの中でも、ジアミンとジイソシアネートとから合成されるポリウレアユニットが好ましい。ジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートとしては、前述のジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
ジアミンとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類が挙げられる。これらの中でも、炭素数2乃至18の脂肪族ジアミン類、炭素数6乃至20の芳香族ジアミン類が好ましい。また、必要により、前記3価以上のアミン類を使用してもよい。
炭素数2乃至18の脂肪族ジアミン類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2乃至6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の炭素数4乃至18のポリアルキレンジアミン;ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の前記アルキレンジアミン又は前記ポリアルキレンジアミンの炭素数1〜4のアルキル又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体;1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等の炭素数4乃至15の脂環式ジアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の炭素数4乃至15の複素環式ジアミン;キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等の炭素数8乃至15の芳香環含有脂肪族アミン類などが挙げられる。
炭素数6乃至20の芳香族ジアミン類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4’−及び4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン等の非置換芳香族ジアミン;2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の炭素数1乃至4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン;非置換芳香族ジアミン乃至前記炭素数1乃至4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミンの異性体の種々の割合の混合物;メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等の核置換電子吸引基(Cl、Br、I、F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン;4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等の二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔非置換芳香族ジアミン、炭素数1乃至4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物、核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部又は全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕などが挙げられる。
上記のジアミンとして、これらの他、ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン(アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等のポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等のポリエーテルポリアミンなどが挙げられる。また、アミン化合物のアミノ基をケトン化合物などによりキャッピングしたものを用いてもよい。
−ビニル系ポリマーユニット−
上記のビニル系ポリマーユニットは、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーユニットである。ビニル系モノマーとしては、下記(1)乃至(10)が挙げられる。
(1)ビニル系炭化水素:
脂肪族ビニル系炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレンレン、ブテン、イソブチレン、ぺンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン。
脂環式ビニル系炭化水素:モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン等。
芳香族ビニル系炭化水素:スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;及びビニルナフタレン。
(2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩:
炭素数3乃至30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1乃至24)エステル、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー。
(3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩:
炭素数2乃至14のアルケンスルホン酸、例えはビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;及びその炭素数2乃至24のアルキル誘導体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3乃至18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2乃至30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5乃至15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル等。
(4)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキル燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1乃至24)ホスホン酸類、例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸;及びそれらの塩等。
なお、上記(2)乃至(4)の塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩又は4級アンモニウム塩が挙げられる。
(5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル等。
(6)含窒素ビニル系モノマー:
アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロ一ル、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、及びこれらの塩等。
アミド基含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等。
ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレ一ト等。
4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)。
ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等。
(7)エポキシ基含有ビニル系モノマー:
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
(8)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類:
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1乃至50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2乃至8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2乃至8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等。
ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ヒニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒトロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン等。
ビニルケトン、例えはビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン等。
ビニルスルホン類、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等。
(9)その他のビニル系モノマー:
イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等。
(10)フッ素原子元素含有ビニル系モノマー:
4−フルオロスチレン、2,3,5,6−テトラフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロベンジル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,4H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリヒドロペルフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロノルボニルメチル(メタ)アクリレート、1H−ペルフルオロイソボルニル(メタ)アクリレート2−(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、並びにα−フルオロアクリル酸から誘導された対応する化合物、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルイタコネート、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルマレエート、ビス−ペルフルオロオクチルイタコネート、ビス−ペルフルオロオクチルマレエート、ビス−トリフルオロエチルイタコネート及びビス−トリフルオロエチルマレエート、ビニルヘプタフルオロブチレート、ビニルペルフルオロヘプタノエート、ビニルペルフルオロノナノエート及びビニルペルフルオロオクタノエート等。
<主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂>
また、本実施形態において、結着樹脂としては主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂を含むことが好ましい。Solubility Parameter Values(Polymer handbook 4th Ed)によれば、ウレア結合の凝集エネルギーは50,230(J/mol)であり、ウレタン結合の凝集エネルギー26,370(J/mol)の二倍程度あるため、少量であってもトナーの強靭性や定着時のオフセット耐性向上効果が期待できる。
主鎖にウレア結合を有する樹脂を得るには、ポリイソシアネート化合物と、ポリアミン化合物を反応させる、あるいはポリイソシアネート化合物と水を反応させ、イソシアネートの加水分解によって発生したアミノ基と残りのイソシアネート基とを反応させる方法がある。また、主鎖にウレア結合を有する樹脂を得るにあたり、上記の化合物のほかに、ポリオール化合物も同時に反応させることで樹脂設計の自由度を広げることができる。
−ポリイソシアネート−
ポリイソシアネートとしては、前述のようなジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート(以下、低分子量ポリイソシアネートとも記載する)のほか、イソシアネート基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、プレポリマーとも記載する)を使用してもよい。
プレポリマーの作成方法としては、低分子量ポリイソシアネートとポリアミン化合物を、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するポリウレアプレポリマーを得る方法、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とを、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得る方法が挙げられる。これらの方法で得られるプレポリマーは単独で使用してもよいし、同じ方法で得られる2種類以上のプレポリマー、あるいは二通りの方法で得られる2種類以上のプレポリマーを併用しても構わないし、さらにはプレポリマーと低分子量ポリイソシアネートを1種類あるいは複数種併用しても構わない。
ポリイソシアネートの使用比率は、イソシアネート基[NCO]と、ポリアミンのアミノ基[NH]の当量比[NCO]/[NH]、あるいはポリオールの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1.01/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]のモル比が5を超えるとウレタン結合やウレア結合が多くなりすぎ、最終的に得られる樹脂をトナー用の結着樹脂として使用すると溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が低下する可能性がある。一方、[NCO]のモル比が1.01未満では、重合度が高くなり生成するプレポリマーの分子量が大きくなるため、トナーを製造するときに他の材料との混合が困難になる、もしくは溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が低下する可能性があるため好ましくない。
−ポリアミン−
ポリアミンとしては、前述のようなジアミン、3価以上のポリアミンなどが挙げられる。
−ポリオール−
ポリオールとしては、前述のようなジオール、3乃至8価あるいはそれ以上のポリオール(以下、低分子量ポリオールとも記載する)のほか、水酸基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、高分子量ポリオールとも記載する)を使用してもよい。高分子量ポリオールの作成方法としては、低分子量ポリイソシアネートと低分子量ポリオールを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリウレタンを得る方法、ポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリエステルを得る方法が挙げられる。
水酸基を末端に有するポリウレタンあるいはポリエステルを調整するために、低分子量ポリオールと低分子量ポリイソシアネートの比率[OH]/[NCO]、あるいは低分子量ポリオールとポリカルボン酸の比率[OH]/[COOH]は、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。水酸基のモル比が2を超えると重合反応が進まないため所望の高分子量ポリオールが得られず、1.02を下回ると重合度が高くなり得られる高分子量ポリオールの分子量が大きくなりすぎるためトナーを製造するときに他の材料との混合が困難になる、もしくは溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が低下する可能性があるため好ましくない。
−ポリカルボン酸−
ポリカルボン酸としては前述のジカルボン酸、3乃至6価あるいはそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
<結晶性樹脂の組み合わせ>
本実施形態における結着樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、第1の結晶性樹脂と、第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量(Mw)が大きい第2の結晶性樹脂を含むことで、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性を両立することができる。
また、第2の結晶性樹脂は、末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂(結着樹脂前駆体)を、活性水素基を有する化合物と反応させることで、伸長させてなるものであることが好ましい。この場合、結着樹脂前駆体と活性水素基を有する化合物の反応は、トナー製造過程で行われることがより好ましい。これにより、重量平均分子量が大きい結晶性樹脂をトナー中に均一に分散することができ、トナー粒子間の特性のバラツキを抑えることができる。
更に、第1の結晶性樹脂は、主鎖にウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂であり、且つ、第2の結晶性樹脂は、第1の結晶性樹脂を変性した結着樹脂前駆体を、活性水素基を有する化合物と反応させ、伸長させてなるものであることが好ましい。第1の結晶性樹脂と第2の結晶性樹脂の組成構造を近づけることによって、2種の結着樹脂がトナー中でより均一に分散しやすくなり、トナー粒子間の特性のバラツキを更に抑えることができる。なお、この場合、第1の結晶性樹脂と第2の結晶性樹脂が共にウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有することとなる。
従来、トナーの結着樹脂として、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂を用いた場合、形成される画像の搬送傷が発生しやすかった。これは、この樹脂が溶融した状態から融点以下に冷却された際に、再結晶化速度が小さいことに起因する。この場合、トナーを熱定着させた直後の画像は、室温付近に冷却された後も再結晶化速度が小さいために一時的に過冷却状態になる。この過冷却状態では結晶化時と比較して弾性率が著しく低いので、定着直後に接触する搬送部材から受ける機械的ストレスに対して十分な耐久性が無い。
再結晶化速度を小さくするために、物理的架橋点や分子構造の不均一性を調整すべくウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方の量を減じた場合には、弾性率が低下して画像の強度が低下するため、搬送傷が発生しやすくなり、耐ホットオフセット性も低下する。同様に、分子量を調整した場合にも、搬送傷の発生を抑制できず、画像の再結晶化速度と弾性率という二律背反的な両特性を同時に改良することはできなかった。
そこで、発明者らは鋭意検討の結果、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂と未変性の結晶性ポリエステルを複合させることで、弾性率を維持しつつ再結晶化速度を向上させることが可能であることを見出した。すなわち、画像が溶融状態から融点を超えて冷却された場合に、分子鎖が動きやすく対象性の高い未変性の結晶性ポリエステルが即座に結晶化し、結晶核を形成することで画像全体の結晶化を促す。これにより、結晶化速度を著しく向上させることができる。
この未変性の結晶性ポリエステル樹脂による結晶化速度向上効果により、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂として用いた場合であっても、搬送部材に接触する前に画像の弾性率、強度を大きく向上させることができるため、搬送傷の発生を抑制することができる。しかも、このときウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂の存在により耐ホットオフセット性は維持されたままであり、かつ、未変性の結晶性ポリエステル樹脂は低温定着性に有利に働く効果も与える。
このように、結着樹脂として少なくともウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂と、未変性の結晶性ポリエステル樹脂とを含有させることで、低温定着と耐熱保存性を高いレベルで両立しつつ、かつ、搬送傷の発生及び出力画像の強度不足を解消することができる。
上記の効果を得るために、未変性の結晶性ポリエステル樹脂とウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂は、画像中において両者が均一に混合された状態であることが好ましい。したがって、トナー内部において、両者が均一に混合又は一様に分布した状態であることが好ましい。トナー内部における均一混合性、分散性の観点より、未変性の結晶性ポリエステル樹脂と、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂の結晶性ポリエステル部は、類似の骨格を有することが好ましい。
<<外添剤>>
本実施形態のトナーは外添剤を含有し、外添剤による表面総被覆率が55%以上であることが好ましい。これにより、トナーと感光体ドラムとの付着力を抑制されて、転写性が向上する。表面総被覆率が55%より少ない場合には、感光体ドラムに転写残トナーが付着しやすくなるので、感光体ドラムの清掃器へのトナーの入力量が増えて、クリーニング不良が発生しやすくなる場合がある。外添剤としては、特に限定はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。外添剤の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。
外添剤の表面被覆率は下式で求めることができる。
外添剤の表面被覆率=(外添剤量〔質量%〕/100)×外添剤投影面積〔cm/g〕/((1−外添剤量〔質量%〕/100)×トナー母体表面積〔cm/g〕)×100
トナー母体表面積=6/(トナー平均粒径×トナー比重)
外添剤投影面積=3/(2×外添剤平均粒径×外添剤比重)
トナーが複数の外添剤を含有する場合、表面総被覆率は、それぞれの外添剤被覆率を計算し、その総和から求めることができる。例えば、外添剤種類がA,B,Cの3種類である場合、外添剤による表面総被覆率は、それぞれの外添剤による表面被覆率を計算した後、以下の式により求めることができる。
外添剤表面総被覆率=外添剤Aの表面被覆率+外添剤Bの表面被覆率+外添剤Cの表面被覆率
また、本実施形態のトナーは、平均粒径の異なる少なくとも二種のシリカを外添剤として含有することが好ましい。この場合、平均粒径の大きいシリカの表面被覆率が好ましくは10%以上であり、平均粒径の小さいシリカの表面被覆率が、好ましくは45%以下である。平均粒径の小さいシリカの被覆率が45%を超えると、遊離した小粒径のシリカが感光体ドラムの表面に固着してクリーニング不良を発生させやすくなる場合がある。平均粒径の大きいシリカについてはトナーの凝集を防ぐ目的で添加されるので、ある程度の間隔でトナー表層にないと十分な凝集防止の効果を発揮できない。そのため、平均粒径の小さいシリカの被覆率を45%以下とし、平均粒径の大きいシリカと例えば酸化チタンにより総被覆率を55%以上とすることで、トナー間の凝集を防ぎ、固め見掛け密度の低下を防止しつつ、クリーニング不良を抑制する。
<<造核剤>>
また、結晶性樹脂の再結晶化を促進するために、本実施形態のトナーは造核剤を含んでもよい。造核剤は、結晶性樹脂あるいはトナーの発熱ピーク温度を上昇させる効果をもつ。なお、「発熱ピーク温度」とは、示差走査熱量測定(DSC)における発熱ピーク温度を意味し、以下においても特に断りがない限り同様とする。造核剤は結晶性樹脂より高い融点を持ち、かつ結晶性樹脂と非相溶であるために、トナー中において結晶性樹脂より高い温度で結晶化するため、結晶性樹脂の結晶化を促進させる。そのため、造核剤を用いることでトナーの製造工程中で結晶性樹脂の結晶化度を向上させる効果があり、トナーの耐熱保存性を向上させることが可能となる。また、造核剤は、定着後の画像の結晶化促進にも効果があり画像(印刷物)の耐ブロッキング性の向上も見込めるだけでなく、結晶核のサイズが均一に小さく出来ることから、画像表面が平滑となり光沢性を向上させることが出来る。
本実施形態においては造核剤としては、公知のものが利用でき、無機結晶核剤および有機結晶核剤のいずれも使用することができる。具体的には、無機結晶核剤としては、シリカ、タルク、カオリン、アルミナ、ミョウバン、酸化チタンなどが挙げられる。有機結晶核剤としては、ジベンジリデンソルビトール、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトールなどの低級アルキルジベンジリデンソルビトール、アルミニウムベンゾエート化合物、リン酸エステル金属塩化合物、モンタン酸ナトリウム等の直鎖脂肪酸金属塩、ロジン酸部分金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル等が挙げられる。本実施形態においては上記の中でも特にリン酸エステル金属塩化合物及びその複合体や含窒素化合物を造核剤として用いることが好ましい。これらの有機化合物は、結晶性ポリエステルの結晶化速度を速め、機械的強度を大幅に向上させる効果がある。また、ソルビトール系結晶核剤のように、高温での分解し易さや、分解による臭気および性能の低下に注意を要する必要がないので好ましい。造核剤のトナー中の含有量は0.1質量%以上5.0質量%以下であり、0.3質量%以上2.0質量%が好ましい。含有量が0.1質量%より小さい場合には十分な結晶化促進効果が得られずトナー画像の耐ブロッキング性を向上する効果が発現しない場合がある。含有量が5.0質量%よりも多い場合には、造核剤は結晶性樹脂及びトナーよりも高い融点を有することから、トナーの粘弾性を上昇させ十分な低温定着性が得られない場合がある。
<<結着樹脂のトナーへの導入>>
結着樹脂をトナーへ導入する場合、上記の結着樹脂を、外添剤、造核剤、着色剤、離型剤、および帯電制御剤などの結着樹脂以外のトナー構成材料と混合し、公知の方法により粒子化する。結着樹脂がウレア結合を有する樹脂である場合には、ポリイソシアネート化合物と、ポリアミン化合物および水の少なくとも一方とを、トナー構成材料と混合することで、ウレア結合を形成させてもよい。特に、ポリイソシアネート化合物としてプレポリマーを使用した場合には、ウレア結合を有する高分子量の結晶性樹脂を均一にトナー中に導入できる。これにより、トナーの熱特性や帯電性が均一になり、定着性とトナーの耐ストレス性とを両立しやすくなるため好ましい。さらに、プレポリマーとして、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とをイソシアネート過剰量で反応させて得られるものを使用した場合には、粘弾性を抑えられる点で好ましい。トナーに適した熱特性を得るために、ポリオール化合物としては、ポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて得られる末端に水酸基を有するポリエステルが好ましい。さらには、ポリエステルが結晶性ポリエステルユニットからなる場合、トナー中の高分子量成分がシャープメルトとなり低温定着性に優れたトナーが得られるため好ましい。また、本実施形態のトナーが水系媒体中で造粒することにより得られるものである場合、分散媒の水がポリイソシアネート化合物と反応することで温和な条件でウレア結合を形成させることができる。
本実施形態のトナーは、登録第4531076号に示されるような粒子製造方法、すなわち、トナーを構成する材料を液状または超臨界状態の二酸化炭素に溶解させた後に、この液状又は超臨界状態の二酸化炭素を除去することによりトナー粒子を得る粒子製造方法、によっても製造することができる。
<<トナー物性>>
本実施形態のトナーは結晶性樹脂を含むため、X線回折装置によって得られるトナーの回折スペクトルは、結晶構造に由来する回折ピークを有する。また、本実施形態における非結晶性樹脂は、結晶構造を有さない樹脂のことであり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有さない。
(X線回折スペクトル強度比)
X線回折装置によって得られる本実施形態のトナーの回折スペクトルにおいて、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした場合に、比率(C)/((C)+(A))は、定着性と耐熱保存性の両立の観点から、0.15以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、0.30以上であることが更に好ましく、0.45以上であることが特に好ましい。なお、従来公知の、結晶性樹脂やワックスを添加剤程度に含むようなトナーは、この比率がおおよそ0.15未満である。
本実施形態のトナーがワックスを含有する場合、回折スペクトルにおける2θ=23.5〜24°の位置にワックス固有の回折ピークが現れる事が多い。しかし、トナー全質量に対するワックス含有量が15質量%以下の場合は、ワックス固有の回折ピークの寄与がわずかであることから考慮しなくてもよい。ワックス含有量が15質量%以上の場合には、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度から、ワックスの結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を差し引いた値を上記の「結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(C)」と置き換えることとする。
比率(C)/((C)+(A))は、トナー中の結晶化部位の量(主にトナーの主成分たる結着樹脂中の結晶化部位の量)を示す指標である。本実施形態において、X線回折測定は、2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS/Bruker社製)を用いて測定することができる。測定に使用するキャピラリーは、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmを使用する。試料はこのキャピラリー管の上部まで詰めて測定する。また、サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回とする。測定の詳細条件を以下に示す。
管電流 : 40mA
管電圧 : 40kV
ゴニオメーター2θ軸 : 20.0000°
ゴニオメーターΩ軸 : 0.0000°
ゴニオメーターφ軸 : 0.0000°
検出器距離 : 15cm(広角測定)
測定範囲 : 3.2≦2θ(゜)≦37.2
測定時間 : 600sec
入射光学系には、φ1mmのピンホールを持つコリメーターを用いる。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換する。得られたX線回折測定結果を基に、前記比率(C)/((C)+(A))を算出する方法を、以下に説明する。
X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を図1及び図2に示す。図1及び図2は、X線回折によって得られる回折スペクトルの一例を示す図である。図1及び図2に示された横軸は2θ、縦軸はX線回折強度であり、両方とも線形軸である。図1におけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が見られる。ここで、主要なピーク(P1、P2)は、結晶構造に由来するものであり、ハロー(h)は非晶構造に由来するものである。
この2の主要なピーク(P1、P2)とハロー(h)をガウス関数、
fp1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1)/(2cp1)}
fp2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2)/(2cp2)}
fh(2θ)=ahexp{−(2θ−bh)/(2ch)}
(fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)はそれぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数)
で表し、この3つの関数の和
f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ)
をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図2に図示する)とし、最小二乗法によるフィッティングを行う。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図1の例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して2つの主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致させて得られた値を設定した。フィッティングは例えばMicrosoft社製Excel2003のソルバーを利用して行うことができる。
フィッティング後の2つの主要なピーク(P1、P2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)、及びハローに相当するガウス関数fh(2θ)のそれぞれについての積分面積(SP1、Sp2、Sh)から、(Sp1+Sp2)を(C)、Shを(A)としたとき、結晶化部位の量を示す指標である比率(C)/((C)+(A))を算出することができる。
(軟化温度及び融解熱)
本実施形態において、結晶性樹脂は、高化式フローテスターにより測定される軟化温度と、示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が0.8〜1.6であって、熱により急峻に軟化する。非結晶性樹脂は、軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が、例えば、1.6より大きく、熱により緩やかに軟化する。
樹脂の軟化温度は、高化式フローテスター(例えば、CFT−500D(島津製作所製))を用いて測定できる。試料として1gの樹脂を昇温速度3℃/分間で加熱しながら、プランジャーにより2.94MPaの荷重を与え、直径0.5mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化温度とする。
(融解熱ピーク温度)
本実施形態のトナーは、低温定着性と耐熱保存性とを両立し、耐ホットオフセット性に優れるものとするために、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が、50℃以上70℃以下の範囲にあり、且つ、昇温2回目の融解熱量が、30J/g以上75J/g以下であることが好ましい。なお、最大ピーク温度は55℃以上68℃以下がより好ましく、58℃以上65℃以下が特に好ましい。また、融解熱量は、45J/g以上70J/g以下がより好ましく、50J/g以上60J/g以下が特に好ましい。
トナーの融解熱の最大ピーク温度が50℃未満であると、高温環境下でトナーのブロッキングが発生しやすくなり、70℃を超えると、低温定着性が発現し難くなる。トナーの融解熱量は、30J/g未満であると、トナー中における結晶構造を有する部位が少なくなり、シャープメルト性が低下し、耐熱保存性と低温定着性のバランスが得難くなり、75J/gを超えると、トナーを溶融させて定着するために必要なエネルギーが大きくなり、装置によっては定着性が悪化してしまうことがある。
トナーの融解熱の最大ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定できる。この場合、測定用の試料を、20℃から150℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、次いで降温速度10℃/minで0℃まで冷却した後、再び昇温速度10℃/minで昇温して吸発熱変化を測定する。そして、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、昇温2回目の吸熱量の最大ピークに対応する温度と吸熱量を求める。
(融解熱ピークのショルダー温度)
本実施形態のトナーの融解熱ピークのショルダー温度(Tsh1st、Tsh2nd)も、上記示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定できる。即ち、まず、トナー5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度10℃/minで0℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線において、1回目の昇温時における吸熱ピーク温度をTm1st、2回目の昇温時における吸熱ピーク温度をTm2ndとする。このとき、吸熱ピークが複数ある場合は吸熱量が最大のものを選択する。それぞれの吸熱ピークについて、該吸熱ピークよりも低温側のベースラインと、吸熱ピークをなす低温側の傾斜の接線との交点を、それぞれTsh1st、Tsh2ndとする。昇温1回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh1stと、昇温2回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh2ndの比Tsh2nd/Tsh1stが1に近いほど、一度熱をかけて融かしてから冷却して固めても最初と同じ、もしくは、それに近い結晶構造が保たれている割合が高いことを意味している。これはトナー中の結晶性樹脂と非結晶樹脂が融かした状態でも相溶しないことを現しており、これが1に近いほど、結晶性の変化が少なく、トナーの経時変化が少ないことを意味しており、この値が1に近い、望ましくは0.9以上1.1以下であるほうが低温定着性と保存性の両立が保たれやすい。
(見掛け密度)
本実施形態のトナーは、固め見掛け密度が0.75g/cm以下である。本実施形態において、トナーの固め見掛け密度については特開2000‐352840に記載の公知の方法で測定することができる。すなわち、パウダーテスター(ホソカワミロン社製、PT−N型)を用い、振動台に246μmの篩をセットし、その中に試料を250cc入れ、30秒振動させたのち、50回タッピングを行い、付属のブレートにてカップ上の余分なトナーをすりきった後、質量を測定する。この作業を5回繰り返し、平均値を測定値とする。PT−N型では、自動で測定値が表示される。
(分子量)
本発明者らが鋭意検討を行ったところ、結着樹脂として結晶性樹脂を主成分とするトナーは、融点以上で急激に粘弾性が低下する性質(シャープメルト性)を有し、この性質が紙種によって定着可能温度領域が大きく異ならせる原因となり得ることを見出した。さらに、発明者らは、ゲル拡散クロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算の分子量が100,000以上の成分を一定量以上含有し、さらに重量平均分子量が一定の範囲内にあることによって、紙種によらず一定温度かつ一定速度で定着を可能にすることができることを見出した。なお、この成分の分子量は、従来の低温定着性に優れるトナーに使用される結着樹脂の分子量としては高めである。
本実施形態のトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量100,000以上の成分としては5%以上有することが好ましく、7%以上有することがさらに好ましく、9%以上有することがより好ましい。分子量100,000以上の成分が5%以上有することで、トナーの溶融後の流動性や粘弾性の温度依存性が小さくなるため、定着時において熱が伝わりやすい薄紙であっても熱がトナーに伝わりにくい厚紙であってもトナーの流動性や弾性率に大きく違いが生じにくく、定着装置において一定温度かつ一定速度で定着することが可能となる。分子量100,000以上の成分が5%未満であると、トナー溶融後の流動性や粘弾性が温度によって大きく変わるため、例えば薄紙における定着ではトナーの変形性が大きくなりすぎてしまい定着部材への接着面積が増大し、その結果定着部材からの離型がうまくできずに紙の巻きつきが発生することがある。さらに、本実施形態のトナーは、分子量250,000以上の成分を0.5%以上有することにより、低温定着性と耐熱保存性の両立が可能であり、しかも薄紙と厚紙での光沢度の差を縮めることができるため好ましい。
高分子量の成分を所定量含有させたときの作用について説明する。結晶性樹脂は前述のとおりシャープメルト性を有しているが、溶融状態におけるトナーの内部凝集力や粘弾性は、樹脂の分子量や構造によって大きく異なる。例えば、凝集エネルギーの大きな連結基であるウレタン結合やウレア結合を有する場合、溶融時においても比較的低温であればゴムのような弾性体に近い挙動を示す一方、高温になるのに従い高分子鎖の熱運動エネルギーが増大していくため、徐々に結合間の凝集が解れて粘性体に近づいていく。
このような樹脂をトナー用結着樹脂として用いると、定着温度が低いときには問題なく定着ができたとしても、定着温度が高温であるときにはトナー溶融時の内部凝集力が小さいために定着時にトナー画像の上側が定着部材に付着してしまう、いわゆるホットオフセット現象が発生することがあり、画像品位が損なわれる。ホットオフセットを回避するためにウレタン結合やウレア結合部位を多くすると、高温での定着においては問題なく行うことができる反面、低温で定着を行う場合には画像光沢が低く、紙への溶融含浸が不十分となり画像が紙から離脱しやすい状態となる。特に厚みがあり表面の凹凸が多い紙への定着を行う場合には、定着時のトナーへの熱の伝達効率が低いためにトナーが定着しにくくなり、凹部においては定着部材でトナーに圧力が十分にかからないため特に弾性的な状態にあるトナーは定着しにくくなる。
溶融後の粘弾性を制御する手段として分子量を考えた場合、当然ながら分子量が大きいほど分子鎖の移動に障害が多くなるため粘弾性が大きくなる。さらに、分子量が大きい場合には絡まりが発生するために弾性的な挙動を示すようになる。紙への定着性に着目して考えると、分子量が小さいほうが溶融時の粘度が低いため好ましい反面、ある程度の弾性がなければホットオフセットが発生してしまう。しかしながら、分子量を全体的に上げてしまうと、特に厚紙においては定着時のトナーへの熱の伝達効率が低いためにトナーが定着しにくくなる。そこで、結着樹脂の分子量全体としてはあまり大きくせず、高分子量の結晶性成分を含むようにすることにより、溶融後の粘弾性を好適に制御でき、薄紙や厚紙といった紙種によらず一定温度かつ一定速度で定着可能なトナーを得ることができる。
なお、重量平均分子量の範囲は20,000以上70,000以下であることが好ましく、より好ましくは、30,000以上60,000以下、特に好ましくは35,000以上50,000以下である。重量平均分子量が70,000を超えるような場合、結着樹脂全体の分子量が高くなるのでトナーが定着しにくくなり、光沢が低したり、定着後の画像が外的ストレスで欠落しやすくなったりするため好ましくない。また、20,000未満の場合にはいくら高分子量成分が多く存在していたとしてもトナー溶融時の内部凝集力が低くなりすぎ、ホットオフセットや定着部材への紙の巻きつきを引き起こすため好ましくない。
上記のような分子量分布を有するような結着樹脂を有するトナーを得る方法としては、分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する方法や、重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する方法がある。分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する場合、少なくとも相対的に高分子量の樹脂と低分子量の樹脂の2種類を使用する。高分子量の樹脂としては、あらかじめ分子量の大きな樹脂を使用してもよいし、末端にイソシアネート基を有する変性樹脂をトナーの製造過程で伸長させて高分子量体を形成させても良い。後者のほうが、高分子量体をトナー中に均一に存在させることができ、結着樹脂を有機溶媒中に溶解させる工程があるような製造方法においては、はじめから高分子量である樹脂よりも溶解させることが容易であるため好ましい。
高分子量の樹脂(イソシアネート基を有する変性樹脂も含む)と低分子量の樹脂の2種類で結着樹脂が構成される場合の比率としては、高分子量の樹脂/低分子量の樹脂の比が5/95〜60/40、好ましくは8/92〜50/50、より好ましくは12/88〜35/65、さらに好ましくは15/85〜25/75である。5/95よりも高分子量体が少ない場合、あるいは60/40よりも高分子量体が多い場合には、上記の分子量分布を有する結着樹脂を有するトナーを得るのが困難となる。
重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する場合、このような樹脂を得る方法としては、例えば、縮重合や重付加、付加縮合のような重合形態であれば、2官能のモノマーのほかに官能基数の異なるモノマーを少量添加することにより分子量分布を広げることができる。官能基数の異なるモノマーとしては、3官能以上のモノマー、単官能のモノマーがあるが、3官能以上のモノマーを使用すると分岐構造が生成するため、結晶性を有する樹脂を使用する場合には結晶構造を形成しにくくなる場合がある。単官能のモノマーを使用すれば、単官能のモノマーにより重合反応が停止することで2種類以上の樹脂を用いる場合における低分子量の樹脂を精製させつつ、一部は重合反応が進行し高分子量成分となる。
本実施形態においては、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量は、ゲル拡散クロマトグラフィー(GPC)測定装置(例えば、HLC−8220GPC(東ソー社製))を用いて測定できる。カラムとしては、TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー社製)を使用する。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いる。THF試料溶液を測定装置に100μl注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35ml/分間で測定する。
分子量は単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線を用いて算出する。標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDシリーズおよびトルエンを用いる。以下の3種類の単分散ポリスチレン標準試料のTHF溶液を作成し上記の条件で測定を行い、ピークトップの保持時間を単分散ポリスチレン標準試料の光散乱分子量として検量線を作成する。
溶液A:S-7450 2.5mg, S-678 2.5mg, S-46.5 2.5mg, S-2.90 2.5mg, THF 50ml
溶液B:S-3730 2.5mg, S-257 2.5mg, S-19.8 2.5mg, S-0.580 2.5mg, THF 50ml
溶液C:S-1470 2.5mg, S-112 2.5mg, S-6.93 2.5mg, トルエン2.5mg, THF 50ml
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
分子量100,000以上の成分の割合、および分子量250,000以上の成分の割合は、積分分子量分布曲線において、分子量100,000、および分子量250,000と曲線の交点から調べることができる。
(不溶分の吸熱量)
本実施形態において、結着樹脂の高分子量の成分は、結着樹脂の他の成分と樹脂構造が近いことが好ましく、結晶性を有することが好ましい。高分子量成分が他の成分と構造が大きく異なる場合、高分子体は容易に相分離し海島状態となるためトナー全体への粘弾性や凝集力の向上への寄与が期待できなくなる。高分子量の成分と他の成分との結晶性構造の含有量の比率は、トナーのテトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は重量比で50:50)に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)測定における吸熱量(ΔH(H))と、トナーのDSC測定における吸熱量(ΔH(T))との比率(ΔH(H)/ΔH(T))により求められる。本実施形態では、比率(ΔH(H)/ΔH(T))が、0.2以上1.25以下の範囲にあることが好ましく、0.3以上1.0以下の範囲にあることがより好ましく、0.4以上0.8以下の範囲にあることが特に好ましい。テトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は重量比で50:50)に対する不溶分を得る具体的な試験方法としては、常温(20℃)の上記混合溶媒40gに対してトナー0.4gを添加し20分振とう混合をした後、遠心分離機により不溶成分を沈降させて上澄み液を除去したものを真空乾燥させることにより得ることができる。
なお、本実施形態において、トナーのTHF/酢酸エチルの混合溶媒(重量比で50/50)に対する不溶分が10%以上であることが低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から好ましい。
(残渣物の量)
本実施形態のトナーは、結着樹脂であるポリマーの主鎖に凝集エネルギーの大きいウレタン結合部位やウレア結合部位を導入することにより、主鎖中に物理架橋しうる部分が生成し、樹脂の力学的強度を向上させることでトナーの凝集体発生を抑制することができる。ところが、基本的に結晶性を有していた樹脂中に結晶構造形成単位とは異なる構造を導入した場合には、樹脂全体の結晶構造が不均一になり、本来有していた融点よりも低い温度で樹脂が軟化することになり、耐熱保存性の悪化を招くことがある。本来の融点よりも低い温度での樹脂の軟化を防ぐには、ポリマーの分子構造の秩序性を高めることで達成することができる。つまり、ウレタン結合部位やウレア結合部位を分子中に点在させるのではなく、ポリウレタンおよびポリウレアユニットの少なくとも一方としてある程度の大きさのブロックで樹脂中に導入することにより、結晶性樹脂の結晶構造をとりうる部分が秩序だって結晶構造を形成することができる。これにより、本来有していた融点を維持しつつ、機械強度の大きいトナーを得ることができる。トナー中の結着樹脂中の、ある程度の大きさのブロックで樹脂中に導入されたポリウレタンまたはポリウレアユニットの存在は、トナーのTHF可溶分を0.1N KOH/MeOHで分解したときの残渣物の量から知ることができる。アルカリ環境下において、ポリエステルユニットはエステル結合が切断しモノマー単位まで分解されるが、ポリウレタンおよびポリウレアユニットの分解は進行しないか極めて遅い。ユニットがある程度大きいものであれば溶媒には溶解せず分解残渣として残る。分解残渣の割合は、分解に供した元のサンプル量で分解残渣を割った数値として定義できる。なお、分解残渣の成分は赤外吸収スペクトル(IR)のパターンや熱分解ガスクロマトグラム質量分析計(py−GCMS)等の方法により確認することができる。本実施形態において、トナーのTHF可溶分の0.1N KOH/MeOH分解残渣が5質量%以上、好ましくは10質量%以上であることが好ましい。
−KOH/MeOH分解残渣物の定量方法−
予めトナー2gをソックスレー抽出器に入れ、これを用いて100mLのTHF(テトラヒドロフラン)溶剤で20時間抽出を行い、抽出液から溶媒を減圧乾燥除去することによりTHF可溶分を得る。得られたTHF可溶分のうち1gを秤量し、0.1規定の水酸化カリウムメタノール溶液100mlを添加し、緩やかに攪拌しながら50℃で24時間分解反応を行う。その後室温まで冷却し、分解残渣物を室温のメタノール20mlで洗浄後、イオン交換水20mlで3回洗浄し、50℃で12時間真空乾燥することにより分解残渣物を得る。得られた分解残渣物を秤量し、分解反応前の試料量で割ることにより、分解残渣率(質量%)を算出する。
(THF可溶分のN元素の量)
本実施形態のトナーのTHF可溶分の元素(CHN)分析を行った場合に、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方に由来するN元素の量は、0.3質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上1.8質量%以下であることがより好ましく、0.7質量%以上1.6質量%以下であることが更に好ましい。N元素の量が2.0質量%を超えると、トナーの溶融状態での粘弾性が高くなりすぎて、定着性、光沢、あるいは、帯電性が低下する可能性がある。N元素の量が0.3質量%未満であるとトナーの強靭性の低下するため、画像形成装置内でトナーが凝集して部材を汚染させたり、溶融状態の粘弾性の低下により高温オフセットを生じさせたりする可能性がある。
このN元素の量は、vario MICRO cube(Elementar社製)を使用し、燃焼炉950℃、還元炉550℃、ヘリウム流量200ml/min、酸素流量25〜30ml/minの条件でCHN同時測定を行い、2回測定した値の平均値として求めることができる。なお、本測定方法でN元素の量が0.5質量%未満であった場合は、さらに微量窒素分析装置ND−100型(三菱化学株式会社製)により測定を行う。この場合、電気炉温度は(横型反応炉)熱分解部分800℃、触媒部分900℃であり、測定条件は、メインO流量300ml/min、O流量300ml/min、Ar流量400ml/min、感度Lowとし、ピリジン標準液で作成した検量線をともに定量を行う。なお、トナー中におけるTHF可溶分は、予めトナー5gをソックスレー抽出器に入れ、これを用いて70mLのTHF(テトラヒドロフラン)で20時間抽出を行ったものからTHFを加熱減圧除去することにより得られる。
(トナー中のウレア結合)
本実施形態において、トナー中のウレア結合の存在は、トナーのTHF可溶分の13C−NMRによって行うことができる。具体的には以下のようにして分析を行う。分析するサンプル2gを、濃度が0.1mol/Lである水酸化カリウムのメタノール溶液200mlに浸し50℃で24hrおいた後、溶液を除去し、残渣物をさらにイオン交換水でpHが中性になるまで洗浄し、残った固体を乾燥する。乾燥後のサンプルを、ジメチルアセトアミド(DMAc)と重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)の混合溶媒(体積比9:1)に、100mg/0.5mlの濃度で加え、70℃で12〜24時間溶解させた後50℃にし、13C−NMR測定を行う。なお、測定周波数は、例えば、125.77MHz、1H_60°パルスは5.5μs、基準物質はテトラメチルシラン(TMS)を0.0ppmとすることができる。
トナー中のウレア結合の存在は、標品となるポリウレアのウレア結合部位のカルボニル炭素に由来するシグナルの化学シフトにシグナルが見られるかどうかで確認を行う。カルボニル炭素の化学シフトは、図3に示したように、一般に150〜160ppmに見られる。なお、図3は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と水との反応物であるポリウレアの、カルボニル炭素付近の13C−NMRスペクトルの一例を示す図である。この例では、153.27ppmにカルボニル炭素に由来するシグナルが見られる。
(動的粘弾性)
本実施形態のトナーは、耐熱保存性を確保するために、室温から高温環境にかけての粘弾性が適切に制御されていることが好ましい。この場合、50℃における貯蔵弾性率(Pa)の対数logG’(50)は、好ましくは6.5以上8.0以下、より好ましくは6.5以上7.5以下、さらに好ましくは6.8以上7.4以下である。logG’(50)が6.5未満の場合、貯蔵弾性率が低すぎて耐熱保存性や高温高湿環境下でのトナーの現像部材への固着抑制が困難となることがある。一方、logG’(50)が8.0を超える場合、貯蔵弾性率は十分高くてトナーの硬度は向上するが、変形による外添剤のトナー表面への固定化が十分でなくなり、外添剤のトナー表面からの遊離が発生して、外添剤本来の流動性、スペーサ効果が十分発揮できず、その結果現像安定性が低下することがある。
また、定着時の溶融粘弾性を確保し、低温定着性を達成するために、トナーの65℃における貯蔵弾性率(Pa)の対数logG’(65)は、好ましくは4.5以上6.0以下、より好ましくは、4.9以上5.9以下である。ここで、logG’(65)が4.5未満の場合、貯蔵弾性率が低すぎてホットオフセット発生温度が低下することがある。ホットオフセット発生温度が下がり、コールドオフセット発生温度に近くなると、トナーを使用するときに定着装置の温度変動を非常に狭い範囲で制御しないといけなくなり、使いにくくなる。定着装置は紙が通ると熱を奪われるため、ある程度の温度変動は必ず発生するため(温度変動の大きさは機械の構成と紙の熱容量によって異なる)、ホットオフセット発生温度が低下するのは望ましくない。一方、logG’(65)が6.0を超える場合、定着時のトナーの変形が十分でなくなり、画像均一性、画像の付着強度が十分でなくなることがある。
また、本実施形態のトナーの50℃におけるtanδ(50)は、0.1以上0.4以下であり、かつ、65℃におけるtanδ(65)は、0.4以上2.0以下であることが好ましい。なお、tanδとは、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)の比G’’/G’で定義される損失正接(損失係数)である。tanδ(50)が0.1未満の場合、粘性特性が低すぎて外添剤のトナー表面への固着が十分でなくなり好ましくない。一方、tanδ(50)が0.4を超える場合は、粘性が高すぎて高温高湿環境下でのトナーの現像部材への固着抑制が困難となり好ましくない。さらに、tanδ(65)が0.4未満の場合、粘性が低すぎて定着時熱量に対する変形が十分でなくなり、画像均一性、画像の付着強度が十分でなく好ましくない。一方、tanδ(65)が2.0を超える場合、粘性が高すぎてホットオフセット発生温度が低下して好ましくない。なお、本実施形態において、上記の貯蔵弾性率および損失正接は、温度掃引を40℃から掃引として、周波数1Hz、ひずみ制御0.1より自動可変、昇温速度2℃/分の条件で測定される。以下、本実施形態のトナーの各動的粘弾性特性のより具体的な測定条件を示す。
1)サンプル
トナーを直径10mm、厚さ1mmの錠剤状に加圧成型して用いる。
2)評価装置
TA Instruments社製 動的粘弾性測定装置ARESを用いて、パラレルプレートに上記サンプルを固定して評価する。
3)評価条件
・温度掃引(40℃から掃引)
・周波数1Hz
・ひずみ量制御0.1%
・昇温速度2℃/分
<<画像形成装置の構成>>
以下、図面を用いて、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について説明する。まず、図4を用いて、画像形成装置の全体構成を説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。画像形成装置1は、記録媒体の一例としての用紙に本実施形態のトナーを定着させることにより画像を形成する。なお、本実施形態では、画像形成装置1がプリンターである例を示すが、複写機、ファクシミリ、複合機等、トナーを使って画像を形成するものであれば、特に限定されない。
図4に示されているように、画像形成装置1は、給紙部210と、搬送部220と、作像部230と、転写部240と、定着部250とを備えている。
給紙部210は、図4に示されるように、給紙される用紙が積載された給紙カセット211と、給紙カセット211に積載された用紙を一枚ずつ給紙する給紙ローラ212とを備えている。
搬送部220は、給紙ローラ212によって給紙された用紙を転写部240の方向へ搬送するローラ221と、ローラ221によって搬送された用紙の先端部を挟み込んで待機し、用紙を所定のタイミングで転写部240に送り出す一対のタイミングローラ222と、定着部250でトナーを定着させた用紙を排紙トレイ224に排紙する排紙ローラ223とを備えている。
作像部230は、所定の間隔をおいて、図4の左方から右方に向かって順に、イエローのトナー(トナーY)を有した現像剤を用いて画像を形成する画像形成ユニットYと、シアンのトナー(トナーC)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットCと、マゼンタのトナー(トナーM)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットMと、ブラックのトナー(トナーK)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットKと、露光器233とを備えている。なお、本実施形態では、画像形成ユニット(Y,C,M,K)のうち任意の画像形成ユニットを示す場合には「画像形成ユニット」を用いる。また、現像剤は、本実施形態のトナーとキャリアとを有する。
図4において4つの画像形成ユニットは、それぞれに用いられる現像剤が異なるのみで、機械的な構成は実質的に同様である。それぞれの画像形成ユニットは、図4において時計回りに回転可能に設けられ、静電潜像及びトナー像を担持する感光体の一例としての感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)と、感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面を一様に帯電させる各帯電器(232Y,232C,232M,232K)と、各色のトナー(Y,C,M,K)を供給する各トナーカートリッジ(234Y,234C,234M,234K)と、露光器233で感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面に形成された静電潜像をトナーカートリッジ(234Y,234C,234M,234K)から供給されたトナーを補給するためのサブホッパ(160Y,160C,160M,160K)と、サブホッパ(160Y,160C,160M,160K)によって補給された本実施形態のトナーを用いてトナー像に現像する現像ユニットの一例としての各現像装置(180Y,180C,180M,180K)と、各感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面に残った転写残トナーを除去する各清掃器(236Y,236C,236M,236K)とを備えている。
なお、本実施形態では、感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)のうち任意の感光体ドラムを示す場合には「感光体ドラム231」を用いる。帯電器(232Y,232C,232M,232K)のうち任意の帯電器を示す場合には「帯電器232」を用いる。トナーカートリッジ(234Y,234C,234M,234K)のうち任意のトナーカートリッジを示す場合には「トナーカートリッジ234」を用いる。また、サブホッパ(160Y,160C,160M,160K)のうち任意のサブホッパを示す場合には「サブホッパ160」を用いる。また、現像装置(180Y,180C,180M,180K)のうち任意の現像装置を示す場合には「現像装置180」を用いる。また、清掃器(236Y,236C,236M,236K)のうち任意の清掃器を示す場合には「清掃器236」を用いる。
帯電器232は、それぞれ図4中の時計回りに回転する感光体ドラム231の表面を一様に帯電する(帯電工程)。露光器233は、画像情報に基づいて光源233aから発せられたレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー233によって反射させて感光体ドラム231に照射する装置である。これにより感光体ドラム231には、画像情報に基づいた静電潜像が形成される(露光工程)。現像装置180は、現像装置と感光体間に発生する電界により、トナーを感光体ドラム231表面の静電潜像に吸着させてトナー像を現像する(現像工程)。
清掃器236は、感光体ドラム231に残存した未転写トナーを機械的に掻き取って回収する(クリーニング工程)。その後、感光体ドラム231の表面は、除電されて、残存電位が除去されることにより、感光体ドラム231上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
転写部240は、駆動ローラ241及び従動ローラ242と、駆動ローラ241の駆動に伴い図4において反時計回りに回転可能な転写媒体としての中間転写ベルト243と、中間転写ベルト243を挟んで、感光体ドラム231に対向して設けられた一次転写ローラ(244Y,244C,244M,244K)と、トナー像の用紙への転写位置において中間転写ベルト243を挟んで対向して設けられた二次対向ローラ245および二次転写ローラ246とを備えている。なお、一次転写ローラ(244Y,244C,244M,244K)のうち任意の一次転写ローラを示す場合には「一次転写ローラ244」を用いる。
一次転写ローラ244には、トナーの極性とは逆極性の一次転写バイアスがかけられる。一方、中間転写ベルト243には、一次転写ローラ244および感光体ドラム231に挟み込まれて一次転写ニップが形成される。これにより、感光体ドラム231の表面に形成された各トナー像が中間転写ベルト243上に転写(一次転写)される(一次転写工程)。この場合、中間転写ベルト243が図4中の矢印方向に回転することにより、感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト243上に順次重ねて1次転写されてカラー画像が形成されることになる。
転写部240の二次転写ローラ246には、二次転写バイアスがかけられる。これにより、二次転写ニップ位置で、二次転写ローラ246と二次対向ローラ245とに挟み込まれた搬送中の用紙に、中間転写ベルト243上のトナー像が転写(二次転写)される(二次転写工程)。
定着部250は、ヒータが内部に設けられ、用紙をトナーの定着下限温度よりも高い温度に加熱する加熱ローラ251と、加熱ローラ251に回転可能に押し当てて加圧することにより接触面(ニップ部)を形成する加圧ローラ252とを備えている。なお、本実施形態において、定着下限温度とは、トナーが定着する下限の温度を意味する。これにより、用紙上のトナー像に熱と圧力が加えられて、トナー像が定着する(定着工程)。トナー像が定着した用紙は、排紙ローラ223によって排紙トレイ224に排紙され、一連の画像形成プロセスが完了する。
<<作像部の構成>>
続いて、図5乃至図8を用いて画像形成装置1における作像部230の構成について更に詳しく説明する。図5は、トナーカートリッジ、サブホッパ、及び、現像装置を示す模式図である。図6は、現像装置を示す横断面図である。図7は、作像部を示す縦断面図である。図8は、感光体ドラムの表層部を示す断面図である。
トナーカートリッジ234は、本実施形態のトナーを収容する。トナーカートリッジ234に収容されたトナーは、吸引ポンプ234cによって排出され、供給管234dによってサブホッパ160に供給される。サブホッパ160は、トナーカートリッジ234から排出されたトナーを搬送して、現像装置180に補給する。現像装置180は、サブホッパ160によって補給されたトナーを用いて感光体ドラム231上に形成された静電潜像を現像する。
<現像装置>
現像装置180は、図6および図7に示すように第1収容部181に設けられた第1搬送スクリュー182と、濃度検知センサ187、第2収容部183に設けられた第2搬送スクリュー184と、現像ローラ185と、ドクターブレード186とを有する。第1収容部181および第2収容部183は予め磁性キャリアを収容している。
図6の符号B1で示す位置の上方にはサブホッパ160と接続した補給口B1が形成されている。なお、サブホッパ160によるトナーの補給は、濃度検知センサ187による検知結果に基づいて、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように制御されている。
補給されたトナーは、第1搬送スクリュー182および第2搬送スクリュー184によって、キャリアとともに混合・攪拌されながら、第1収容部181および第2収容部183を、図6中の矢印方向に循環する。搬送されるトナーは、摩擦帯電によりキャリアに吸着する。
現像ローラ185は、マグネットローラを内包する。このマグネットローラの発する磁力によって、第2収容部183内を搬送されるトナーは、キャリアとともに現像ローラ185に吸着する。現像ローラ185に吸着したトナーは、現像ローラ185の回転に伴い搬送され、ドクターブレード186によってその層厚が規制される。層厚が規制されたトナーは、感光体ドラム231に対向する位置に搬送され、感光体ドラム231の担持する静電潜像に吸着する。この吸着により感光体ドラム231上にトナー像が形成される。現像ローラ185上のトナーを消費した現像剤は、現像ローラ185の回転に伴って第2収容部183に戻される。さらに、トナーを消費した現像剤は第2搬送スクリュー184によって第2収容部183内を搬送され、連通孔B3を経て第1収容部181内に戻される。
<感光体>
続いて、感光体ドラム231について説明する。本実施形態で使用される感光体ドラム231は、導電性支持体231a上に少なくとも感光層231bを有し、樹脂中に微粒子が分散された表面を有するものである。
まず、感光体ドラム231における層構造について説明する。図8(a)は、導電性支持体231a上に、無機微粒子を含有した感光層231bを設けた一例である。図8(b)は、導電性支持体231a上に、感光層231bと、無機微粒子を含有した表面層231cとを設けた一例である。また、図8(c)は、導電性支持体231a上に電荷発生層231b1、電荷輸送層231b2を積層した感光層231bと、無機微粒子を含有した表面層231cとを設けた一例である。また、図8(d)は、導電性支持体231a上に下引き層231dを設け、電荷発生層231b1、電荷輸送層231b2を積層した感光層231bと、無機微粒子を含有した表面層231cとを設けた一例である。感光体ドラム231は、導電性支持体231a上に少なくとも感光層231bと、樹脂中に微粒子が分散された表面を有すればよく、その他の層等が任意に組み合わされていても構わない。
導電性支持体231aとしては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、導電性支持体231aとして用いることができる。導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。
このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本実施形態の導電性支持体231aとして好適に用いることができる。
次に、感光層231bについて説明する。感光層231bは単層でも積層でもよい。まず、図8(c)に示す、感光層231bが電荷発生層231b1と電荷輸送層231b2とからなる積層構成の場合について説明する。
電荷発生層231b1は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層231b1には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合してもかまわない。
特に、アゾ顔料およびフタロシアニン顔料の少なくとも一方が有効に用いられる。特に、アゾ顔料、およびチタニルフタロシアニン(特にCuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン)が有効に使用できる。
電荷発生層231b1は、任意の結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体231a上に塗布し、乾燥することにより形成される。
電荷発生層231b1に用いられる任意の結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層231b1の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送層231b2は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層231b1上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は、結着樹脂100質量部に対し、20〜300質量部、好ましくは40〜150質量部が適当である。また、電荷輸送層231b2の膜厚は解像度・応答性の点から、25μm以下とすることが好ましい。
上記の溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
本実施形態の感光体ドラム231は、その電荷輸送層231b2中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30質量%程度が適当である。
レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1質量%が適当である。
次に、図8(b)に示す、感光層231bが単層構成の場合について説明する。電荷発生物質、電荷輸送物質としては前述したものが使用できる。単層の感光層231bは、電荷発生物質、電荷輸送物質、および、結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。
また、必要により、感光層231bに、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。結着樹脂としては、先に電荷輸送層231b2で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発生層231b1で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。結着樹脂100質量部に対する電荷発生物質の量は5〜40質量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150質量部である。
単層の感光層231bは、電荷発生物質、結着樹脂、電荷輸送物質をテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層の感光層231bの膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
また、本実施形態の感光体ドラム231においては、導電性支持体231aと感光層231bとの間に下引き層231dを設けることができる。図8(d)は、図8(c)の導電性支持体231aと電荷発生層231b1との間に下引き層を設けた構成である。一般的に、下引き層231dは樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層231bを溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
また、下引き層231dにはモアレ防止、残留電位の低減等のために、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
下引き層231dは前述の感光層231bの如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本実施形態では、下引き層231dとして、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、下引き層231dには、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層231dの膜厚は0〜5μmが適当である。
本実施形態の感光体ドラム231においては、上記単層または積層の感光層231bの上に微粒子を含有させた表面層231cを設ける。表面層231cは、少なくとも微粒子とバインダー樹脂で構成される。バインダー樹脂は、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂などの架橋樹脂が用いられる。微粒子としては、有機系微粒子または無機微粒子が用いられる。有機系微粒子としては、フッ素含有樹脂微粒子、ダイヤモンド微粒子などが挙げられる。無機微粒子としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の酸化物、チタン酸カリウムなどが挙げられる。この中でも、特に酸化物微粒子が良好であり、さらには、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等が有効に使用できる。
表面層231cの厚みは、1〜8.0μmであることが好ましい。長期的に繰り返し使用される感光体ドラム231は、機械的に耐久性が高く、摩耗しにくいものが好ましい。しかしながら、画像形成装置1における、帯電部材などから、オゾン及びNOxガスなどが発生し、感光体ドラム231の表面に付着し、このような付着物が存在すると、画像流れが発生する。画像流れを防止するためには、感光体ドラム231をある一定速度以上に摩耗する必要がある。このようなことから、長期的な繰り返し使用による摩耗の余裕度を考慮した場合、表面層231cは少なくとも1.0μm以上の膜厚であることが好ましい。また、表面層231cの膜厚が8.0μmよりも大きい場合は、残留電位上昇や微細ドット再現性の低下が考えられる。
表面層231c中の微粒子の濃度は、高いほど耐摩耗性が高いので良好であるが、高すぎる場合には残留電位が上昇し、表面層231cの書き込み光透過率が低下する場合がある。このため、概ね全固形分に対して、50質量%以下、好ましくは30質量%以下である。その下限値は、通常5質量%である。
また、これらの無機微粒子は少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、無機微粒子の分散性の面から好ましい。無機微粒子の分散性の低下は残留電位上昇のような静電特性への悪影響を引き起こすだけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤を使用することができるが、無機微粒子の絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al2O、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理が無機微粒子の分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いる無機微粒子の平均一次粒径によって異なるが、3〜30質量%が適しており、5〜20質量%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないと無機微粒子の分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これら無機微粒子材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。
これら無機微粒子は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、分散液中での無機微粒子の平均粒径は、1μm以下、好ましくは0.5μm以下にあること表面層231cの透過率の点から好ましい。
感光層231b上に表面層231cを設ける方法としては、浸漬塗工方法、リングコート法、スプレー塗工方法など用いられる。このうち一般的な表面層231cの製膜方法としては、微小開口部を有するノズルより塗料を吐出し、霧化することにより生成した微小液滴を感光層231b上に付着させて塗膜を形成するスプレー塗工方法が用いられる。ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
表面層231cは、残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有しても良い。電荷輸送物質は、電荷輸送層の説明のところに記載した材料を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、表面層231c中における濃度傾斜を有しても構わない。また、表面層231cには電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される表面層231cは耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルの中から選ばれる少なくとも一つの重合体であることが好ましい。特に、トリアリールアミン構造を主鎖および側鎖の少なくとも一方に含むポリカーボネートが好ましい。
また、本実施形態の感光体ドラム231においては、積層の感光層231bの電荷輸送層231b2を最表層とし、表面層として電荷輸送層231b2に微粒子が含有されているものとしてもよい。微粒子としては、有機系微粒子及び無機微粒子が用いられる。有機系微粒子としては、フッ素含有樹脂微粒子、ダイヤモンド微粒子などが挙げられる。無機系微粒子として用いられる材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に酸化物が良好であり、さらには、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等が有効に使用できる。
無機微粒子の添加量は、高いほど耐摩耗性が高いので良好であるが、高すぎる場合には残留電位の上昇、保護層の書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合がある。従って、概ね全固形分に対して、30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。その下限値は、通常、3質量%である。また、これらの無機微粒子は少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることが無機微粒子の分散性の面から好ましい。
無機微粒子の分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
また、本実施形態の感光体においては、図8(a)に示すように、単層の感光層231bを最表層とし、表面層として感光層231bに微粒子が含有されているものとしてもよい。
耐磨耗性を向上させ、クリーニングブレード236aの感光体ドラム231表面への追随性をより長期にわたって維持するために、各感光体ドラム231の表面層231cは、架橋樹脂を有し、そのマルテンス硬さが190N/mm以上であり、且つ、弾性仕事率(We/Wt値)が37.0%以上であることが好ましい。ここで記述しているマルテンス硬さ、弾性仕事率は以下の条件で測定される。
評価装置 : Fisherscope H−100
試験方法 : 負荷除荷繰り返し(1回)試験
圧子 : マイクロビッカース圧子
最大荷重 : 9.8mN
負荷(除荷)時間 : 30秒
保持時間 : 5sec
マルテンス硬さが190N/mm未満の場合は、トナーが感光体表面に固着する不具合が生じる。また弾性仕事率(We/Wt値)が37.0%未満の場合は、感光体軸方向で、画像面積率が変化した場合など、感光体摩耗スピードが変化し、摩耗ムラが発生しやすくなる。このため、無機微粒子の添加量や樹脂種により、硬度及び弾性仕事率を制御する。ポリカーボネート、ポリアリレートなどの樹脂は、樹脂骨格中に剛直な構造を取り込むことにより、硬度及び弾性仕事率が向上する。また高分子電荷輸送物質を採用することにより、硬度及び弾性仕事率が向上する。
また、本実施形態のような耐磨耗性の高い感光体の場合、窒素酸化物(いわゆるNOx)による感光体表面の劣化が発生する場合がある。そのため表面を常にリフレッシュするためにクリーニング後帯電前の感光体表面に対して金属石鹸を塗布してもよい。金属石鹸を塗布すると、帯電装置の放電により感光体上に窒素酸化物が付着しても、金属石鹸ごとクリーニングのときに感光体表面から削り取ることが出来る。この場合、感光体は耐摩耗性が高いため削られない。また、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルチミン酸亜鉛のような金属石鹸以外に窒化ホウ素のような層状構造を持ったすべり性のある材料でも効果が得られる。こういった材料は通常バー形状に加工され、そのバーをブラシ状の部品でこすって、そのブラシのよって感光体表面に供給されることが多い。ただし、金属石鹸や窒化ホウ素のような材料が感光体表面に均一に層状に塗布されるような構成であれば、ブラシに限る必要は無い。
<<プロセスカートリッジ>>
なお、本実施形態において、感光体ドラム231及びクリーニングブレード236aは、プロセスカートリッジPCの一部として、画像形成装置1本体に着脱可能に構成されていても良い。例えば、クリーニング不良が発生した部位でトナーがすり抜けた場合には、感光体ドラム231にトナーが固着して、クリーニングブレード236aおよび感光体ドラム231が共にダメージを受けることがある。この場合でも、これらを一体的に構成にすることで、感光体ドラム231及びクリーニングブレード236aを同時に交換できるため、交換作業が容易であり、ユーザーでも簡単にメンテナンスを行うことが出来るなどの効果を奏する。
<<<実施形態の作用・効果>>>
本実施形態のトナーは結晶性樹脂を、好ましくは高い比率で有することで低温定着性に優れている。また、結晶性樹脂の主鎖等にウレタン結合およびウレア結合の少なくとも一方を含有させることで、その結合力により、結晶性樹脂に起因するトナーの欠けや変形を生じにくくすることができる。また、本実施形態のトナーは、固め見掛け密度を0.75g/cm以下とすることにより、クリーニングブレード236aにかかる力を抑えることができる。さらに、トナーの円形度、外添剤量、粒子中に含まれる微粉量を、好ましくは所定の範囲に規定することでクリーニング性を確保することができる。
本実施形態の作用および効果について、図9を用いてさらに詳しく説明する。図9は感光体ドラム231およびクリーニングブレード236aを示す模式図である。画像形成装置1の現像プロセスにおいて、中間転写ベルト243に転写されずに清掃器236まで到達するトナーは静電的、または非静電的に感光体ドラム231への付着力が高い。このトナーがクリーニングブレード236aの位置に到達すると、そのエッジにトナーが溜まり、この溜まったトナーからクリーニングブレード236aに対して力が加えられる。このときにトナーは感光体ドラム231の回転に伴い、クリーニングブレード236aと感光体ドラム231で仕切られた狭い空間で圧をかけられた状態となる(図9(a)参照)。
このときに狭い空間に押し込まれたトナーの密度が高いほどクリーニングブレード236aにかかる圧力は大きくなり、密度が小さいほどクリーニングブレード236aにかかる圧力は小さくなる。また、トナー自体が圧により変形して、クリーニングブレード236aと感光体との間の狭い空間で密度が高くなるほど、クリーニングブレード236aの先端部分に加えられる圧力は大きくなる。クリーニングブレード236aに大きな圧力が加えられると、クリーニングブレード236aを感光体ドラム231に対して持ち上げるような力が働くため、トナーがすり抜けやすくなる。つまり狭い空間にトナーを圧力で押し込んだときのトナーの密度が高いほどクリーニング不良が発生しやすいといえる(図9(b)(c)参照)。そのため、本実施形態ではトナーをタッピングにより密に充填したときの密度、すなわち固め見掛け密度を0.75g/cm以下に規定することでクリーニング性を確保できることを見出した。この場合、トナーの体積平均粒径を、好ましくは4μm以上とすることで、クリーニングブレード236aにかかる力を更に抑制することができる。
また、クリーニングブレード236aを何らかの粒子がすり抜けた場合には、クリーニングブレード236aのエッジを傷つけてクリーニング不良が発生しやすくなることがある。本実施形態では、好ましくは、トナーの円形度を0.975以下として異型化することで、エッジの欠けを防止することができる。ただし、円形度が低くなりすぎると画像の荒さが目立ち、感光体への付着力、トナー間の付着力が増大し、転写性が悪化し転写残トナーが増えることでクリーニングブレード236aへのダメージが増える場合がある。そのため、本実施形態ではトナーの円形度が好ましくは0.940、特に転写中抜けを防止するためには円形度0.960以上とすることができる。
耐摩耗性を向上させるために酸化物微粒子を表面層231cに含有させたような感光体ドラム231では、その酸化物微粒子が、クリーニングブレード236aのエッジにダメージを与える場合がある。その場所に微粉やゴミや紙粉などが来ると、ブレードの先端の欠け部分に力がかかることで、その欠けがさらに助長されてクリーニング不良にいたる場合がある。特にトナーが圧縮されてブレードの先端に力をかけるような場合、清掃器236の使用に伴いクリーニングブレード236aの劣化を加速させてしまう。そのような場合には感光体ドラム231の耐久性が高くても、画像形成装置1によって形成された画像の劣化が早期に発生してしまう。本実施形態のトナーは、力がかかっても密度が高くなりにくく、クリーニングブレード236aの先端にかかる力を弱めているため、トナーによるクリーニングブレード236aのエッジ傷の助長を防止できる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
〔製造例1〕
(結晶性ポリウレタン樹脂A−1の製造)
撹拌機及び温度計をセットした反応容器に、1,4−ブタンジオール45質量部(0.50mol)、1,6−ヘキサンジオール59質量部(0.50mol)、及びメチルエチルケトン(以下、MEKと記載する。)200質量部を入れた。この溶液に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)250質量部(1.00mol)を入れ、80℃で5時間反応した後、溶媒を除去して[結晶性ポリウレタン樹脂A−1]を得た。
得られた[結晶性ポリウレタン樹脂A−1]は、重量平均分子量(Mw)20000、融点(Tm)60℃であった。
〔製造例2〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、アジピン酸15質量部(0.10mol)、1,6−ヘキサンジオール177質量部(1.50mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。
次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ12,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]は、Mw12,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル350質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)30質量部(0.12mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]は、Mw22,000、融点62℃であった。
〔製造例3〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール189質量部(1.60mol)、及び縮合触媒としてジブチル錫オキサイド0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]は、Mw6,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)38質量部(0.15mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]は、Mw10,000、融点64℃であった。
〔製造例4〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185質量部(0.91mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール106質量部(1.18mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ14,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]は、Mw14,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)12質量部(0.07mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4]は、Mw39,000、融点63℃であった。
〔製造例5〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸166質量部(0.82mol)、アジピン酸26質量部(0.18mol)、1,4−ブタンジオール131質量部(1.45mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ8,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]は、Mw8,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)33質量部(0.13mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5]は、Mw17,000、融点54℃であった。
〔製造例6〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、アジピン酸18質量部(0.12mol)、1,6−ヘキサンジオール139質量部(1.18mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ18,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−6]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−6]は、Mw18,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−6]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)15質量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6]は、Mw42,000、融点62℃であった。
〔製造例7〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール149質量部(1.26mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ9,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−7]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−7]は、Mw9,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−7]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)28質量部(0.11mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7]は、Mw30,000、融点67℃であった。
〔製造例8〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−8の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール191質量部(1.62mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ4,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−8]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−8]は、Mw4,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−8]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)35質量部(0.14mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−8]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−8]は、Mw8,500、融点64℃であった。
〔製造例9〕
(結晶性ポリウレア樹脂A−9の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,4−ブタンジアミン123質量部(1.40mol)、1,6−ヘキサンジアミン212質量部(1.82mol)、メチルエチルケトン(MEK)100質量部を入れて攪拌した後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)336質量部(2.00mol)を加え、窒素気流下にて60℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[結晶性ポリウレア樹脂A−9]を得た。得られた[結晶性ポリウレア樹脂A−9]は、Mwが23,000、融点64℃であった。
〔製造例10〕
(結晶性ポリエステル樹脂A−10の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185質量部(0.91mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール125質量部(1.39mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ10,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A−10]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A−10]は、Mw9,500、融点57℃であった。
〔製造例11〕
(結晶性ポリエステル樹脂A−11の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール130質量部(1.10mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ30,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A−11]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A
−11]は、Mw27,000、融点62℃であった。
〔製造例12〕
(結晶性部と非晶性部からなるブロック樹脂A−12の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール25質量部(0.33mol)、メチルエチルケトン(MEK)170質量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)147質量部(0.59mol)を加え、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する[非晶性部c−1]のMEK溶液を得た。
別途、冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール160質量部(1.35mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ9,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]は、Mw8,500、融点63℃であった。
次いで、[非晶性部c−1]のMEK溶液340質量部に、結晶性部として、[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]320質量部をMEK320質量部に溶解させた溶液を加えて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[ブロック樹脂A−12]を得た。得られた[ブロック樹脂A−12]は、Mw26,000、融点62℃であった。
〔製造例13〕
(結晶性部と非晶性部からなるブロック樹脂A−13の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール39質量部(0.51mol)、メチルエチルケトン(MEK)270質量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)228質量部(0.91mol)を加え、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する[非晶性部c−2]のMEK溶液を得た。
別途、冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール160質量部(1.35mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ8,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−13]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−13]は、Mw7,500、融点62℃であった。
次いで、[非晶性部c−2]のMEK溶液540質量部に、結晶性部として、[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]320質量部をMEK320質量部に溶解させた溶液を加えて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[ブロック樹脂A−13]を得た。得られた[ブロック樹脂A−13]は、Mw23,00
0、融点61℃であった。
〔製造例14〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸113質量部(0.56mol)、テレフタル酸ジメチル109質量部(0.56mol)、1,6−ヘキサンジオール132質量部(1.12mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水、メタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ35,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B’−1]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−1]は、Mw34,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−1]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル200質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)10質量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]は、Mw63,000、融点65℃であった。
〔製造例15〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸204質量部(1.01mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,6−ヘキサンジオール136質量部(1.15mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ20,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]は、Mw20,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル200質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)15質量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]は、Mw39,000、融点63℃であった。
〔製造例16〕
(結晶性ポリウレア樹脂B−3の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,4−ブタンジアミン79質量部(0.90mol)、1,6−ヘキサンジアミン116質量部(1.00mol)、メチルエチルケトン(MEK)600質量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)475質量部(1.90mol)を加え、窒素気流下にて60℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[結晶性ポリウレア樹脂B−3]を得た。得られた[結晶性ポリウレア樹脂B−3]は、Mwが57,000、融点66℃であった。
〔製造例17〕
(結晶性ポリエステル樹脂B−4の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、ドデカン二酸230質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール118質量部(1.00mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ50,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B−4]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂B−4]は、Mw52,000、融点66℃であった。
〔製造例18〕
(結晶性樹脂前駆体B’−5の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール122質量部(1.03mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ25,000に達するまで反応を行った。
得られた[結晶性樹脂]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)27質量部(0.16mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[結晶性樹脂前駆体B’−5]の50質量%酢酸エチル溶液を得た。得られた[結晶性樹脂前駆体B’−5]の酢酸エチル溶液10質量部をテトラヒドロフラン(THF)10質量部と混合し、これにジブチルアミン1質量部を添加して、2時間撹拌させた。得られた溶液を試料としてGPC測定を行った結果、[結晶性樹脂前駆体B’−5]のMwは54,000であった。また、この溶液から溶媒を除去して得られた試料について
DSC測定を行った結果、[結晶性樹脂前駆体B’−5]の融点は57℃であった。
以上、結晶性樹脂の製造に使用した原材料、及び結晶性樹脂の物性について、表1乃至表4にまとめて示した。
Figure 0006241027
Figure 0006241027
Figure 0006241027
Figure 0006241027
〔製造例19〕
(非結晶性樹脂C−1の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物222質量部、ビスフェノールA PO2mol付加物129質量部、イソフタル酸166質量部、及びテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、5〜20mmHgの減圧下にて反応させ、酸価が2になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸35質量部を加え、常圧で3時間反応させ、[非結晶性樹脂C−1]を得た。得られた[非結晶性樹脂C−1]は、Mw8,000、ガラス転移温度(Tg)62℃であった。
〔製造例20〕
(非結晶性樹脂前駆体C’−2の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物720質量部、ビスフェノールA PO2mol付加物90質量部、テレフタル酸290質量部、及びテトラブトキシチタネート1質量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、10〜15mmHgの減圧下にて7時間反応させ、[非結晶性樹脂]を得た。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、得られた[非結晶性樹脂]400質量部、イソホロンジイソシアネート95質量部、酢酸エチル500質量部を入れ、窒素気流下にて80℃で8時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[非結晶性樹脂前駆体C’−2]の50質量%酢酸エチル溶液を得た。
〔実施例1〜17、比較例1〜4〕
(トナーの製造)
−グラフト重合体の製造−
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、キシレン480質量部、低分子量ポリエチレン(三洋化成工業社製サンワックスLEL−400:軟化点128℃)100質量部を入れて充分溶解し、窒素置換した後、スチレン740質量部、アクリロニトリル100質量部、アクリル酸ブチル60質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36質量部、及びキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで、脱溶剤を行い、[グラフト重合体]を合成した。得られた[グラフト重合体]はMw24,000、Tg67℃であった。
−離型剤分散液(1)の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした容器にパラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、炭化水素系ワックス、融点75℃、SP値8.8)50質量部、グラフト重合体30質量部、及び酢酸エチル420質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、分散を行い[離型剤分散液(1)]を得た。
−マスターバッチ(1)〜(14)の作製−
・結晶性ポリウレタン樹脂A−1(結着樹脂) 100質量部
・カーボンブラック(Printex35、デグサ社製) 100質量部
(DBP吸油量:42mL/100g、pH:9.5)
・イオン交換水 50質量部
上記の原材料を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二本ロールを用いて混練した。混練温度は90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却していった。得られた混練物をパルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して[マスターバッチ(1)]を作製した。
結着樹脂を表5に示したとおり変更した以外は、[マスターバッチ(1)]と同様にして[マスターバッチ(2)]〜[マスターバッチ(14)]を作製した。
Figure 0006241027
−油相(1)〜(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)の作製−
温度計および撹拌機を備えた容器に、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]31.5質量部を入れ、固形分濃度が50質量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、[非結晶性樹脂C−1]の50質量%酢酸エチル溶液100質量部、[離型剤分散液(1)]60質量部、[マスターバッチ(2)]12質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相(1’)]を得た。なお、[油相(1’)]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作成から5時間以内に使用した。
次いで、後述するトナー母体の作製直前に、前記50℃に保たれた[油相(1’)]235質量部に[結晶性樹脂前駆体B’−5]の酢酸エチル溶液25質量部を添加し、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)にて回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散して[油相(1)]を調製した。
油相(2)、(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)及び(21)についても、結晶性樹脂Aの種類・添加量、結晶性樹脂Bの種類・添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、及びマスターバッチの種類を、表6に従って変更した以外は、油相(1)と同様に作製した。なお、表6中の[結晶性樹脂B’−5]、及び[非結晶性樹脂前駆体C−2]については、[油相(1)]の調整における[結晶性樹脂前駆体B’−5]と同様に、トナー母体の作製直前に添加し、各油相を調整した。
−樹脂微粒子の水分散液の製造−
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水600質量部、スチレン120質量部、メタクリル酸100質量部、アクリル酸ブチル45質量部、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業製)10質量部、過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分で20分攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温し、6時間反応させた。更に1%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を加え、75℃で6時間熟成して[樹脂微粒子の水分散液]を得た。この[樹脂微粒子の水分散液]中に含まれる粒子の体積平均粒径は80nmであり、樹脂分の重量平均分子量は160,000、Tgは74℃であった。
−水相(1)の調製−
水990質量部、[樹脂微粒子の水分散液]83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、[水相(1)]を得た。
−トナー母体(1)〜(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)の作製−
撹拌機および温度計をセットした別の容器内に、[水相(1)]520重量部を入れて40℃まで加熱した。40〜50℃に保持したままの前記[水相(1)]をTK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、[油相(1)]を添加し、1分間乳化して[乳化スラリー1]を得た。
次いで、撹拌機および温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー1]を投入し、60℃で6時間脱溶剤して、[スラリー1]を得た。得られた[スラリー1]を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ(1)を得た。
得られた濾過ケーキ(1)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(1)を作製した。同様に、油相(2)、(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)をそれぞれ用いて、トナー母体(2)、(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)を作製した。
Figure 0006241027
−油相(4)、(13)、(18)〜(20)の作製−
温度計および撹拌機を備えた容器に、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]62質量部、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]12質量部を入れ、固形分濃度が50質量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、[非結晶性樹脂C−1]の50質量%酢酸エチル溶液40質量部、[離
型剤分散液]60質量部、[マスターバッチ(2)]12質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相(4)]を得た。なお、[油相(4)]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作成から5時間以内に使用した。
[油相(13)、(18)〜(20)]についても、結晶性樹脂Aの種類・添加量、結晶性樹脂Bの種類・添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、及びマスターバッチの種類を、表7に従って変更した以外は[油相(4)]と同様に作製した。
−水相(2)の調製−
水990質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、[水相(2)]を得た。
−トナー母体(4)、(13)、(18)〜(20)の作製−
撹拌機および温度計をセットした別の容器内に、[水相(2)]520質量部を入れて40℃まで加熱し、40〜50℃に保持したまま、TK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、[油相(4)]を添加し、1分間乳化して[乳化スラリー4]を得た。
次いで、撹拌機および温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー4]を投入し、60℃で6時間脱溶剤して、[スラリー4]を得た。得られた[スラリー4]を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ(4)を得た。
得られた濾過ケーキ(4)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(4)を作製した。同様に、油相(13)、(18)〜(20)をそれぞれ用いて、トナー母体(13)、(18)〜(20)を作製した。
Figure 0006241027
−結晶性樹脂粒子分散液(A−3)の作製−
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]60質量部に、酢酸エチル60質量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6質量部、及び2質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4質量部を混合した[水相]に、上記の樹脂溶液120質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーA−3]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーA−3]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(A−3)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(A−3)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.15μmであった。
−結晶性樹脂粒子分散液(A−6)の作製−
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6]60質量部に、酢酸エチル60質量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6質量部、及び2質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4質量部を混合した[水相]に、上記の樹脂溶液120質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーA−6]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーA−6]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(A−6)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(A−6)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.18μmであった。
−結晶性樹脂粒子分散液(B−1)の作製−
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]60質量部に、酢酸エチル60質量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6質量部、及び2質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4質量部を混合した[水相]に、上記の樹脂溶液120質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーB−1]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーB−1]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.16μmであった。
−非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)の作製−
[非結晶性樹脂C−1]60質量部に、酢酸エチル60質量部を加えて混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6質量部、及び2質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4質量部を混合した[水相]に、上記の樹脂溶液120質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーC−1]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーC−1]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.15μmであった。
−離型剤分散液(2)の調製−
パラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、融点75℃)25質量部、アニオン界面活性剤(三洋化成工業製:エレミノールMON−7)5質量部、水200質量部を混合し、95℃で溶融させた。次いで、この溶融液をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[離型剤分散液(2)]を得た。
−着色剤分散液の調製−
カーボンブラック(Printex35、デグサ社製)20質量部、アニオン界面活性剤(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)2質量部、及び水80質量部を混合し、TK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で分散し、[着色剤分散液]を得た。
−トナー母体(6)の作製−
[結晶性樹脂粒子分散液(A−3)]190質量部、[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]63質量部、[非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]63質量部、[離型剤分散液(2)]46質量部、[着色剤分散液]17質量部、水600質量部を混合し、2質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調節した。次いで、撹拌下、この溶液に10質量%の塩化マグネシウム水溶液50質量部を徐々に滴下しながら60℃まで加熱した。凝集粒子の体積平均粒径が5.3μmに成長するまで60℃に維持し、[スラリー6]を得た。
得られた[スラリー6]を減圧濾過した後、上記の洗浄処理(1)〜(4)を行い、濾過ケーキ(6)を得た。得られた濾過ケーキ(6)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(6)を作製した。
−トナー母体(11)の作製−
[結晶性樹脂粒子分散液(A−6)]190質量部、[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]63質量部、[非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]63質量部、[離型剤分散液(2)]46質量部、[着色剤分散液]17質量部、水600質量部を混合し、2質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調節した。次いで、撹拌下、この溶液に10質量%の塩化マグネシウム水溶液50質量部を徐々に滴下しながら60℃まで加熱した。凝集粒子の体積平均粒径が5.9μmに成長するまで60℃に維持し、[スラリー11]を得た。得られた[スラリー11]を減圧濾過した後、上記の洗浄処理(1)〜(4)を行い、濾過ケーキ(11)を得た。得られた濾過ケーキ(11)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(11)を作製した。
−トナー母体(12)の作製−
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]60質量部、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]20質量部、[非結晶性樹脂C−1]20質量部、パラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、融点75℃)5質量部、及び[マスターバッチ(2)]12質量部を、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で80℃〜120℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物を室温まで冷却後、ハンマーミルにて200μm〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、重量平均粒径が6.2±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で、重量平均粒径が7.0±0.2μm、4μm以下の微粉量が10個数%以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、[トナー母体(12)]を得た。
−トナー(1)〜(21)の作製−
得られたトナー母体(1)〜トナー母体(21)を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)1.0質量部、を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(1)〜トナー(21)を作製した。
得られたトナー(1)〜(21)について、体積平均粒径(Dv)、N元素量(テトラヒドロフラン可溶分の、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方に由来する窒素元素の量 質量%)、ウレア結合検出、DSC融解熱ピーク温度、Tsh2nd/Tsh1st、80℃における貯蔵弾性率G’(80)、140℃における貯蔵弾性率G’(140)、結着樹脂の結晶構造に由来する回折スペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来する回折スペクトルの積分強度を(A)とした場合の比率(C)/((C)+(A))、THF可溶分のGPS測定の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、ピークトップ分子量Mpt、分子量10万以上、25万以上の割合(%)、トナーのTHF/酢酸エチル(AcOEt)の混合溶媒(重量比で50/50)に対する不溶分の割合(wt%)、DSC測定におけるトナーの吸熱量ΔH(T)(J/g)、テトラヒドロフランおよび酢酸エチルの混合溶媒(質量比で50:50)に対する不溶分の吸熱量ΔH(H)(J/g)の各種測定を行った。なお、これらの測定については、前述の実施形態に記載の測定方法に従って測定を行った。その結果を表8及び表9に示す。
Figure 0006241027
Figure 0006241027
(キャリアの作製)
・シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン) 100質量部
・γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 5質量部
・カーボンブラック 10質量部
・トルエン 100質量部
上記の原材料を、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。その後、流動床型コーティング装置を用いて、体積平均粒径が35μmの球状フェライト1,000質量部の表面に樹脂層塗布液を塗布して、キャリアを作製した。
<現像剤の作製>
トナー(1)〜トナー(21)のそれぞれを5質量部と、上記のキャリア95質量部とを混合して、実施例1〜17及び比較例1〜4の各現像剤を作製した。得られた各現像剤を用いて、以下のようにして定着性(定着下限温度、定着幅)及び耐熱保存性(針入度)を評価した。結果を表10に示す。
−定着性(耐ホットオフセット性・定着幅)−
カスケード現像機を使ってトナー像を現像し、転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)上に、転写後のトナー付着量が0.85±0.03mg/cm2の紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)をバイアス転写作像し、図10にあるような治具定着装置を使用して、定着ローラの温度を変化させて定着を行い、定着下限温度(℃)を判断した。なお、図10は、治具定着装置を示す模式図である。また、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度(℃)と、定着下限温度(℃)との差を定着幅とした。なお、治具定着装置のニップ部を通過する速度は、280mmm/sec、ローラの当接圧は2.0kgf/cm、ニップ幅は11.2mmである。定着幅は、広い程耐ホットオフセット性に優れ、約50℃が従来のフルカラートナーの平均的な温度幅である。
−耐熱保存性(針入度)−
50mLのガラス容器に各トナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した。このトナーを24℃に冷却し、針入度試験(JISK2235−1991)により針入度(mm)を測定し、下記基準に基づいて評価した。なお、針入度の値が大きいほど耐熱保存性が優れていることを示し、5mm未満の場合には、使用上問題が発生する可能性が高い。なお、本実施例においては針入度を貫入深さ(mm)で表す。
〔評価基準〕
◎:針入度25mm以上
○:針入度15mm以上25mm未満
△:針入度5mm以上15mm未満
×:針入度5mm未満
Figure 0006241027
<画像形成装置評価用トナーの作成>
表9に示されているように、外添剤として疎水性シリカ(HDK−2000)を1質量部入れた各トナーの評価の結果、トナー(20)は定着幅が20℃と非常に小さく、装置に入れた場合に、定着の制御が難しくなる。このトナーは表7に示されているように単一の結晶性成分を多く使用した結果、貯蔵弾性率G’が非常に小さくなった結果、融けたときに弾性がなくなりすぎてホットオフセットしやすくなると考えられる。また、トナー21は結晶性樹脂よりも非晶質の樹脂成分が多すぎて十分な低温定着性を発揮できていない。そのため、以降は、トナー母体1〜19を使用してトナーを作成し評価を行うこととする。
(画像形成装置評価用トナー(101)〜(119)の作成)
それぞれのトナー母体100質量部に対して外添剤としての粒径の大きいシリカ(デンカ社製UFP−35、平均粒径78nm)を1部、酸化チタン(デンカ社製JMT−150IB)を0.6部、粒径の小さいシリカ(HDK−2000H平均粒径22nm)を0.7部、それぞれ順に投入した。ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、最初にUFP−35を投入して周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する。次にJMT−150IBを投入して同じく30秒混合し、1分休止した。最後にHDK−2000を投入して60秒混合した後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(101)〜トナー(119)を作製した。
(画像形成装置評価用トナー(121)〜(139)の作成)
それぞれのトナー母体100質量部に対して外添剤としての粒径の大きいシリカ(デンカ社製UFP−35、平均粒径78nm)を1部、酸化チタン(デンカ社製JMT−150IB)を0.7部、粒径の小さいシリカ(HDK−2000H平均粒径22nm)を1.0部、それぞれ順に投入した。ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、最初にUFP−35を投入して周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する。次にJMT−150IBを投入して同じく30秒混合し、1分休止する。最後にHDK−2000を投入して60秒混合した後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(121)〜トナー(139)を作製した。
(画像形成装置評価用トナー(141)〜(159)の作成)
それぞれのトナー母体100質量部に対して外添剤としての粒径の大きいシリカ(デンカ社製UFP−35、平均粒径78nm)を2部、酸化チタン(デンカ社製JMT−150IB)を0.6部、粒径の小さいシリカ(HDK−2000H平均粒径22nm)を1.2部、それぞれ順に投入した。ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、最初にUFP−35を投入して周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する。次にJMT−150IBを投入して同じく30秒混合し、1分休止する。最後にHDK−2000を投入して60秒混合した後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(141)〜トナー(159)を作製した。なお、粒径の大きいトナー(152)については、小粒径シリカの量を1.0部に減らして、添加剤被覆率が100%を超えないようにした。
(画像形成装置評価用トナー(161)〜(179)の作成)
それぞれのトナー母体100質量部に対して外添剤としての粒径の大きいシリカ(デンカ社製UFP−35、平均粒径78nm)を0.3部、酸化チタン(デンカ社製JMT−150IB)を0.5部、粒径の小さいシリカ(HDK−2000H平均粒径22nm)を1.5部、それぞれ順に投入した。ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、最初にUFP−35を投入して周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する。次にJMT−150IBを投入して同じく30秒混合し、1分休止する。最後にHDK−2000を投入して60秒混合した後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(161)〜トナー(179)を作製した。なお、これらのトナーは、粒径の大きいシリカが少なくて粒径小さいシリカを多く含むため、固め見掛け密度が高くなる。
これらのトナーを先に述べたようにキャリアと混合して現像剤を作成し、それを画像形成装置の現像ユニットにセットした。
<感光体の作製>
感光体1〜6を以下のような条件で作製した。
(支持体)
アルミニウム製支持体(外径40mmΦ)素管を使用した。
(下引き層)
支持体上に乾燥後の膜厚が3.5[μm]になるように、下引き層塗工液を浸漬法
で塗工し、下引き層を形成した。
−下引き層塗工液−
・アルキッド樹脂: ベッコゾール1307−60−EL(大日本インキ化学工業)
・メラミン樹脂 : スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業)
・酸化チタン : CR−EL(石原産業)
・メチルエチルケトン
混合比(質量):アルキッド樹脂/メラミン樹脂/酸化チタン/メチルエチルケトン=3/2/20/100
(電荷発生層)
下引き層上に下記(化1)構造のビスアゾ顔料を含む電荷発生層塗工液に浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.2[μm]の電荷発生層を形成した。
−電荷発生層塗工液−
・ビスアゾ顔料 :
・ポリビニルブチラール(XYHL:UCC)
・2−ブタノンシクロヘキサノン
混合比(質量):ビスアゾ顔料/ポリビニルブチラール/テトラヒドロフラン=5/1/100/200
Figure 0006241027
(化1)
(電荷輸送層)
この電荷発生層上に下記(化2)構造式に示す電荷輸送物質を含む電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚22[μm]の電荷輸送層とした。
−電荷輸送層塗工液−
・電荷輸送層用塗工液ビスフェノールZ型ポリカーボネート
・テトラヒドロフラン
混合比(質量):ポリカーボネート/電荷輸送物質/テトラヒドロフラン=1/1/10
Figure 0006241027
〔表面層1〕
電荷輸送層に用いた電荷輸送物質を含む表面層1用塗工液を、下記条件で、電荷輸送層上にスプレー塗工し、150℃、20分、加熱乾燥させ、感光体1とした。
(表面層1用塗工液)
・上記(化2)の電荷輸送物質
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製)
・シリカ微粒子(KMPX100:信越化学製社製)
・テトラヒドロフラン
・シクロヘキサノン
混合比(質量) : 電荷輸送物質/ポリカーボネート/シリカ微粒子/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=3/4/3/170/50
〔表面層2〕
電荷輸送層に用いた電荷輸送物質を含む表面層2用塗工液を、下記条件で、電荷輸送層上にスプレー塗工し、150℃、20分、加熱乾燥させ、感光体2とした。
(表面層2用塗工液)
・上記(化2)の電荷輸送物質
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製)
・アルミナ微粒子(AA03:住友化学社製)
・テトラヒドロフラン
・シクロヘキサノン
混合比(質量) : 電荷輸送物質/ポリカーボネート/アルミナ微粒子/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=3/4/3/170/50
〔表面層3〕
電荷輸送層に用いた電荷輸送物質を含む表面層3用塗工液を、下記条件で、電荷輸送層上にスプレー塗工し、150℃、20分、加熱乾燥させ、感光体3とした。
(表面層3用塗工液)
・上記(化2)の電荷輸送物質
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製)
・アルミナ微粒子(AA03:住友化学製)
・テトラヒドロフラン
・シクロヘキサノン
混合比(質量) : 電荷輸送物質/ポリカーボネート/アルミナ微粒子/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=3/6/1/170/50
〔表面層4〕
電荷輸送層に用いた電荷輸送物質を含む表面層4用塗工液を、下記条件で、電荷輸送層上にスプレー塗工し、150℃、20分、加熱乾燥させ、感光体4とした。
(表面層4用塗工液)
・上記(化2)の電荷輸送物質
・下記(化3)構造のポリカーボネート(m=5.8、n=4.2、粘度平均分子量56000)
Figure 0006241027
・アルミナ微粒子(AA03:住友化学製)
・テトラヒドロフラン
・シクロヘキサノン
混合比(質量) : 電荷輸送物質/ポリカーボネート/アルミナ微粒子/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=3/6/1/170/50
〔表面層5〕
下記高分子電荷輸送物質を含む表面層5用塗工液を、下記条件で、電荷輸送層上にスプレー塗工し、150℃、20分、加熱乾燥させ、感光体5とした。
(表面層5用塗工液)
・下記(化4)構造の高分子電荷輸送物質(n=2.3、m=3.2、粘度平均分子量65000)
Figure 0006241027
・アルミナ微粒子(AA03:住友化学製)
・テトラヒドロフラン
・シクロヘキサノン
混合比(質量) : 高分子電荷輸送物質/アルミナ微粒子/テトラヒドロフラン/シク
ロヘキサノン=7/3/170/50
〔表面層6〕
電荷輸送層に用いた低分子電荷輸送物質を含む表面層6用塗工液を、下記条件で、電荷輸送層上にスプレー塗工し、150℃、20分、加熱乾燥させ、感光体6とした。
(表面層6塗工液)
・上記(化2)の電荷輸送物質
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート(TS2050:帝人化成)
・テトラヒドロフラン
・シクロヘキサノン
混合比(質量) : 電荷輸送物質/ポリカーボネート/テトラヒドロフラン/シクロヘ
キサノン=4/5/170/50
Fisherscope社製微少表面硬度計H−100を用いて、作製された感光体1〜6の表面のマルテンス硬さ、弾性仕事率(We/Wt値)(%)を測定した。結果を表11に示す。
Figure 0006241027
作製した画像形成装置評価用トナーと感光体とを組み合わせて、クリーニング性を評価した。クリーニング時のブレードからのトナーのすり抜けは、ブレードエッジにトナーが集中する縦帯画像を用いた場合に発生しやすくなる。そこで図11のようなチャートを使ってクリーニング性の評価を行った。図11は、クリーニング性評価用チャートを示す模式図である。図11のチャートの左右両端には、定着時のまきつき防止のため、先後端に余白をとった縦帯がある。このチャートの左右両端の縦帯の間には、左右両端の縦帯の長さを100%したときに、75%、50%、25%相当の長さの帯が作られている。このチャートを使って連続で3000枚の通紙を行い、感光体上のクリーニング状態を確認した。このチャートを連続で通紙したときに100%部分でクリーニングの問題がまったくないのが理想的ではあるが、一般的なユーザーの場合、縦帯のみを通紙することはレアケースであり、75%相当で問題が発生しなければ、実使用上はほぼ問題ない。また、画像形成装置が、用紙間の距離を制御することができる機構を持っていれば50%相当で問題が発生しなければ実使用上はほぼ問題ない。つまり、画像形成装置1による制御で用紙と用紙との間をあけることで、次にトナーが入ってくるまでの時間を稼ぎ、クリーニング性を確保することができる。ただし、用紙間を多くあけることにより生産性は下がることになる。50%相当、25%相当の縦帯でクリーニング不良などの不具合が発生する場合はトナーとしての使用が困難になる場合がある。
まずは感光体2、及び、各画像形成装置評価用トナーを用いてクリーニング性の評価を行った。クリーニングブレードとして東洋ゴム製のゴム硬度75度、反発弾性率21度、ゴム厚さ18mmのブレードを使用した(本実施例では、これを「通常ブレード」と呼ぶ)。トナーの固め見掛け密度、外添剤の被覆率、クリーニング性の評価結果を表12乃至表15にまとめた。なお、各表のクリーニング性の欄における記号は以下の意味を示す。
○ : 縦帯チャート通紙による該当箇所のクリーニング不良発生なし
× : 縦帯チャート通紙により該当箇所にてクリーニング不良発生
トナーの固め見掛け密度については特開2000‐352840に記載の公知の方法で測定を行った。すなわち、パウダーテスター(ホソカワミロン社製、PT−N型)を用い、振動台に246μmの篩をセットし、その中に試料を250cc入れ、30秒振動させたのち、50回タッピングを行い、付属のブレートにてカップ上の余分なトナーをすりきった後、質量を測定する。この作業を5回繰り返し、平均値を測定値とする。なお、PT−N型では、自動で測定値が表示される。
Figure 0006241027
Figure 0006241027
Figure 0006241027
Figure 0006241027
表12乃至表15より固め見掛け密度の高いトナーほどクリーニング性が低下するのがわかる。また、トナー161〜179の結果を他のトナーと見比べると粒径の大きいシリカが少なく、粒径の小さいシリカが多いほど固め見掛け密度が高く、クリーニング性が悪い。また、トナー101〜119の結果より外添剤の総被覆率が低いものは装置として使えないことは無いが、100%画像ではクリーニング不良が発生しており、高画像の縦帯の転写残トナーが連続してブレード部にくると不利という結果となっている。
また、トナー130を使用して、感光体を変えて同様の評価を行った。なお、トナー130を使用したのは、感光体2を用いた場合に、75%縦帯の評価は「○」であり、100%縦帯の評価は「×」であるので、感光体を変えたときの変化が比較的見やすいと考えられたためである。結果を表16にまとめる。この結果よりマルテンス硬度が高く、弾性率が高いほうが有利な結果となっている。望ましくはマルテンス硬度190以上、弾性率37以上が推奨される。
Figure 0006241027


さらに、クリーニングブレードを変更して同様の評価を行うことにより、コーティングを行ったブレードによるクリーニング不良発生のしやすさを検討した。
(弾性体ブレード)
弾性体ブレードとしては、25℃における物性が以下ようになっている5つのウレタンゴムを用意した。
ウレタンゴム1:硬度66度、反発弾性率46%(バンドー化学製)
ウレタンゴム2:硬度70度、反発弾性率50%(東洋ゴム工業製)
ウレタンゴム3:硬度72度、反発弾性率31%(東洋ゴム工業製)
ウレタンゴム4:硬度75度、反発弾性率21%(東洋ゴム工業製)
ウレタンゴム5:硬度77度、反発弾性率19%(シンジーテック製)
ウレタンゴムの硬度は、島津製作所製デュロメーターを用い、JIS K6253に準じて測定した。試料は厚さ12mm以上となるように約2mmのシートを重ね合わせたものとした。ウレタンゴムの反発弾性は、東洋精機製作所製No.221レジリエンステスタを用い、JIS K6255に準じて測定した。試料は厚さ4mm以上となるように約2mmのシートを重ね合わせたものとした。
上記ウレタンゴムを用いて厚さ1.8mmの短冊形状の弾性体ブレードを作製し、この弾性体ブレードに以下の処理を加えて、基材とアクリル及びメタクリル樹脂の少なくとも一方を有する混合層、及び、アクリル及びメタクリル樹脂の少なくとも一方を有する表面層を積層した。
(混合層材料)
以下の混合層材料中に基材となる弾性体ブレードを所定時間浸漬し、基材とアク
リル及びメタクリル樹脂の少なくとも一方を有する混合層を作製した。なお、架橋反応は、アクリル及びメタクリル樹脂の少なくとも一方を有する表面層の被膜後に、熱及び光エネルギーを加えることによりおこなった。
−混合層材料1−
モノマー : PETIA(ダイセル・サイテック社) 10部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : テトラヒドロフラン 149部
−混合層材料2−
モノマー1 : PETIA(ダイセル・サイテック社) 9部
モノマー2 : HDDA(ダイセル・サイテック社) 1部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : テトラヒドロフラン 149部
−混合層材料3−
モノマー : DPHA(ダイセル・サイテック社) 10部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : テトラヒドロフラン 149部
−混合層材料4−
モノマー : DPCA−120(日本化薬) 10部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : テトラヒドロフラン ン 149部
−混合層材料5−
モノマー1 : スミジュールHT<HDIアダクト>(住化バイエルン社製) 8部
モノマー2 : 下記(化5)式の構造のポリオール(関東化学社製) 2部
Figure 0006241027
溶媒 : テトラヒドロフラン 110部
(ブレード表面層作製材料)
以下の表面層材料液をスプレー塗工方法で、基材とアクリル及びメタクリル樹脂の少なくとも一方とを有する混合層表面上に塗工し、アクリル及びメタクリル樹脂の少なくとも一方を有する表面層を製膜した。表面層材料1〜4に関しては、紫外線照射により光架橋反応を行った。また表面層材料5に関しては、加熱により熱架橋反応を行った。表面層膜厚は、スプレー塗工条件(吐出量、塗工速度)を制御して所定膜厚の表面層とした。
−表面層材料1−
モノマー : PETIA(ダイセル・サイテック社) 10部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : 2−ブタノン 89部
−表面層材料2−
モノマー1 : PETIA(ダイセル・サイテック社) 9部
モノマー2 : HDDA(ダイセル・サイテック社) 1部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : 2−ブタノン 89部
−表面層材料3−
モノマー : DPHA(ダイセル・サイテック社) 10部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : 2−ブタノン 89部
−表面層材料4−
モノマー : DPCA−120(日本化薬) 10部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : 2−ブタノン 89部
−表面層材料5−
モノマー1 : スミジュールHT<HDIアダクト>(住化バイエルン社製) 8部
モノマー2 : 上記(化2)の構造のポリオール(関東化学社製) 2部
溶媒 : 2−ブタノン 70部
−光架橋条件−
UV照射 : メタルハライドランプ(ウシオ電機社製)
照射強度 : 500mW/cm2(365nm)
UVランプ−ブレード距離 : 100mm
照射時間 : 60秒
−熱架橋条件−
加熱温度 : 150℃
加熱時間 : 20分
表17に作製したブレード1〜9の条件を示す。
Figure 0006241027
これら9種のブレードと感光体2とを組み合わせて、トナー(130)でのクリーニング性評価を行った結果を表18に示す。
Figure 0006241027
1 画像形成装置
180 現像装置
181 第1収容部
182 第1搬送スクリュー
183 第2収容部
184 第2搬送スクリュー
185 現像ローラ
186 ドクターブレード
187 濃度検知センサ
210 給紙部
211 給紙カセット
212 給紙ローラ
220 搬送部
221 ローラ
222 タイミングローラ
223 排紙ローラ
224 排紙トレイ
230 作像部
231 感光体ドラム
232 帯電器
233 露光器
233a 光源
234 トナーカートリッジ
234c 吸引ポンプ
234d 供給管
236 清掃器
236a クリーニングブレード
240 転写部
241 駆動ローラ
242 従動ローラ
243 中間転写ベルト
244 一次転写ローラ
245 二次対向ローラ
246 二次転写ローラ
250 定着部
251 加熱ローラ
252 加圧ローラ
A1 導入口
A2,B2,B3 連通孔
A4,B1 補給口
特許第3797168号公報

Claims (15)

  1. トナーを用いて静電潜像を現像する画像形成装置であって、
    表面層にポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂を含有する感光体を備え、
    前記感光体は、前記表面層のマルテンス硬さが190N/mm 以上であり、
    前記トナーは、
    結着樹脂として結晶性樹脂を含有し、
    前記結晶性樹脂は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂を含み、
    固め見掛け密度が0.75g/cm以下
    である画像形成装置。
  2. 前記トナーは、外添剤を含有し、前記外添剤による表面総被覆率が55%以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記トナーは、前記外添剤として、平均粒子径の異なる少なくとも二種のシリカを含有し、
    前記二種のシリカのうち、前記平均粒子径の大きいシリカの表面被覆率が10%以上であり、前記平均粒子径の小さいシリカの表面被覆率が45%以下であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. X線回折装置によって得られる前記トナーの回折スペクトルにおいて、前記結着樹脂の結晶構造に由来する回折スペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来する回折スペクトルの積分強度を(A)とした場合に、比率(C)/((C)+(A))が、0.15以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記トナーのテトラヒドロフラン可溶分の分子量測定を、ゲル拡散クロマトグラフィー測定を用いて行った場合に、分子量100000以上の成分の割合が7%以上であり、かつ重量平均分子量が20000以上70000以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 示差走査熱量測定における、前記トナーの吸熱量をΔH(T)(J/g)、前記トナーのテトラヒドロフランおよび酢酸エチルの混合溶媒(質量比で50:50)に対する不溶分の吸熱量をΔH(H)(J/g)としたとき、ΔH(H)/ΔH(T)が0.2以上1.25以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記トナーのテトラヒドロフラン可溶分の、前記ウレタン結合及び前記ウレア結合の少なくとも一方に由来する窒素元素の量が、0.3質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  8. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂であること特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットと結晶性ポリエステルユニットとが前記ウレタン結合及び前記ウレア結合の少なくとも一方で結合した樹脂であること特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記トナーは、前記結晶性樹脂として、第1の結晶性樹脂と、該第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量が大きい第2の結晶性樹脂と、を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  11. 前記第2の結晶性樹脂が、末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂を伸長させてなるものであることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記第1の結晶性樹脂と前記第2の結晶性樹脂とが共にウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂であることを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成装置。
  13. 前記感光体は、酸化物微粒子を表面層に含有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  14. 前記感光体は、前記表面層の弾性仕事率が37.0%以上であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  15. トナーを用いて静電潜像を現像する画像形成装置に着脱可能に構成されるプロセスカートリッジであって、
    表面層にポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂を含有する感光体と
    クリーニングブレードとを備え、
    前記感光体は、前記表面層のマルテンス硬さが190N/mm 以上であり、
    前記トナーは、
    結着樹脂として結晶性樹脂を含有し、
    前記結晶性樹脂は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂を含み、
    固め見掛け密度が0.75g/cm以下である
    プロセスカートリッジ。
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