JP6458515B2 - 静電像現像用トナー、現像剤、画像形成装置 - Google Patents
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Description
また、結晶性ポリエステル樹脂、離型剤及びグラフト重合体を含有するトナーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
これらの提案の技術は、結晶性ポリエステル樹脂が非晶質ポリエステル樹脂に比べて低温で急速に溶融するため低温定着化を成し得る。
さらに、難溶性の樹脂によって、顔料の表面を予め処理し、ケミカル工法におけるトナー造粒時の顔料の活性を低下させることで、顔料が表面に偏在してしまうことを防止する技術が開示されている(特許文献4)。
(1)「少なくともポリエステル樹脂、着色剤および離型剤を含む母体粒子を有するトナーであって、トナーの示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目におけるガラス転移温度(Tg1st)が20℃以上50℃以下であり、テトラヒドロフラン(THF)不溶分の示差走査熱量測定(DSC)の昇温2回目におけるガラス転移温度〔Tg2nd(THF不溶分)〕が、30℃以下であり、前記母体粒子表面からその中心部に向かって1,000nm以内の領域に存在する前記着色剤の割合が、着色剤全体の50%以下であることを特徴とするトナー。」
本発明は前記(1)記載の「トナー」に係るものであるが、この「トナー」は、以下の詳細な説明から理解されるように、つぎの(2)〜(9)に記載の態様のトナーを包含し、また、本発明は、つぎの(10)及び(11)に記載の「現像剤」及び「画像形成装置」を包含するので、これらについても併せて詳細に説明する。
(2)前記母体粒子は、さらに着色剤分散用樹脂を含み、前記着色剤分散用樹脂は、該着色剤分散用樹脂を酢酸エチルに溶解させた固形分20質量%の溶液において、60分後の光路長1cmの透過率をT(60)%、480分後の前記透過率をT(480)%とした時、T(60)%―T(480)%≧30%であり、かつ、T(480)%が50%以下であることを特徴とする前記(1)に記載のトナー。
(3)「前記T(60)%が30%以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のトナー。
(4)「前記着色剤のアミン価が2mgKOH/g以下であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のトナー。」
(5)「前記着色剤が少なくてもPigment Red 269を含んでいることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のトナー。」
(6)「前記THF不溶分の100℃における貯蔵弾性率〔G’(100)(THF不溶分)〕が、1.0×105Pa〜1.0×107Paであることを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のトナー。」
(7)「前記THF不溶分の40℃における貯蔵弾性率〔G’(40)(THF不溶分)〕と、100℃における貯蔵弾性率〔G’(100)(THF不溶分)〕との比[〔G’(40)(THF不溶分)〕/〔G’(100)(THF不溶分)〕]が、3.5×10以下である前記(1)乃至(6)のいずれかに記載のトナー。」
(8)「トナーの示差走査熱量測定(DSC)の昇温2回目におけるガラス転移温度(Tg2nd)が0℃以上30℃以下であることを特徴とする前記(1)乃至(7)のいずれかに記載のトナー。」
(9)「前記THF不溶分の100℃における貯蔵弾性率〔G’(100)(THF不溶分)〕が、5.0×105Pa〜5.0×106Paである前記(1)乃至(8)のいずれかに記載のトナー。」
(10)「前記ポリエステル樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂、架橋構造を有する非晶質ポリエステル樹脂Aおよび該非晶質ポリエステル樹脂Aより高いTgを有する非晶質ポリエステル樹脂Bを含有することを特徴とする前記(1)乃至(9)のいずれかに記載のトナー。」
(11)「前記(1)乃至(10)のいずれかに記載のトナーと、キャリアとを含有することを特徴とする現像剤。」
(12)「静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段とを有し、前記トナーが、前記(1)乃至(11)のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。」
THF不溶分は、THF(テトラヒドロフラン)に不溶な非晶性ポリエステル樹脂(好ましくは非晶質ポリエステル樹脂A)であり、一定のゴム弾性を有する。THF不溶分の示差走査熱量測定(DSC)の昇温2回目におけるガラス転移温度〔Tg2nd(THF不溶分)〕が、30℃以下である。また、〔G’(100)(THF不溶分)〕が1.0×107Pa以下であることにより、本発明のトナーは低温迅速定着を達成することができる。また、G’が1.0×105Pa以上であるものは、常温での耐熱保存性(耐凝集性)をも比較的簡単確実に満足することができる。
また、結着樹脂として前記ゴム弾性を有するTHFに不溶な非晶性ポリエステル樹脂と、相溶性の高い樹脂(例えば典型的には後述する結晶性ポリエステル樹脂C)を併用して用いることで、THFに不溶な非晶性ポリエステル樹脂自体は常温域から定着温度領域において非常に高弾性率であるにも関わらず、トナーとしては常温から耐熱保存温度の領域では高弾性率を保ちながら、定着温度領域では低弾性化することが判った。
テトラヒドロフラン(THF)40部(本明細書では別段の断りないときは「部」は「質量部」を表す。)に対してトナー1部を添加し6時間還流した後に、遠心分離機により不溶成分を沈降させて、不溶成分と上澄み液とを分離する。
前記不溶成分を40℃、20時間乾燥させて、THF不溶分を得る。
<<〔Tg1st(トナー)〕>>
前記トナーは、示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目におけるガラス転移温度〔Tg1st(トナー)〕が、20℃以上50℃以下であり、35℃以上45℃以下がより好ましい。
その結果、トナーボトル中での固化、及び現像機内でのトナーの固着が発生する。また、トナーボトル内でのトナー詰りによる補給不良、及び現像機内でのトナー固着による画像異常が発生しやすくなる。
前記〔Tg1st(トナー)〕が、20℃未満であると、耐熱保存性の低下、現像機内でのブロッキング、及び感光体へのフィルミングが発生し、50℃を超えると、トナーの低温定着性が低下する。
前記トナーは、示差走査熱量測定(DSC)の昇温2回目におけるガラス転移温度〔Tg2nd(トナー)〕としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃以上30℃以下であることが好ましく、15℃以上30℃以下であることがより好ましい。
<<〔G’(100)(THF不溶分)〕、及び比[〔G’(40)(THF不溶分)〕/〔G’(100)(THF不溶分)〕]>>
前記のように、本発明のトナーのTHF不溶分の100℃における貯蔵弾性率〔G’(100)(THF不溶分)〕は、1.0×105Pa〜1.0×107Paであり、5.0×105Pa〜5.0×106Paが好ましい。100℃に加熱されたときゴム弾性が40℃のときのそれに比し、急速に減少するものであるので、低温迅速定着性と耐熱保存性(耐凝集性)を、より高いレベルで両立することができる。
各種条件における貯蔵弾性率(G’)は、例えば、動的粘弾性測定装置(ARES、TAインスツルメント社製)を用いて測定できる。測定の際の周波数は、1Hzである。
具体的には、測定試料を、直径8mm、厚み1mm〜2mmのペレットに成型し、直径8mmのパラレルプレートに固定した後、40℃で安定させ、周波数1Hz(6.28rad/s)、歪み量0.1%(歪み量制御モード)にて200℃まで昇温速度2.0℃/分間で昇温させて、貯蔵弾性率を測定する。
本明細書では、40℃の貯蔵弾性率をG’(40℃)、100℃の貯蔵弾性率をG’(100℃)と表すことがある。
<融点>
前記トナーの融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上80℃以下が好ましい。
前記トナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm以上7μm以下であることが好ましい。また、個数平均粒径に対する体積平均粒径の比は1.2以下であることが好ましい。また、体積平均粒径が2μm以下である成分を1個数%以上10個数%以下含有することが好ましい。
前記ポリエステル樹脂、及び離型剤のTg、酸価、水酸基価、分子量、及び融点は、それぞれ、それ自体について測定してもよいが、実際のトナーからゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等により分離を行い、その分離した各成分について後述の分析手法を採ることで、SP値、Tg、分子量、融点、構成成分の質量比を算出してもよい。
THF(テトラヒドロフラン)を移動相としたGPC測定において、溶出液についてフラクションコレクターなどにより分取を行い、溶出曲線の全面積分のうちの所望の分子量部分に相当するフラクションをまとめる。
前記トナーを分析する際の各成分の分離手段の一例を詳細に示す。
まず、トナー1gを100mLのTHF中に投入し、25℃の条件下、30分間攪拌しながら可溶分が溶解した溶解液を得る。
これを目開き0.2μmのメンブランフィルターにてろ過し、トナー中のTHF可溶分を得る。
次いで、これをTHFに溶解してGPC測定用の試料とし、前述の各樹脂の分子量測定に用いるGPCに注入する。
一方、GPCの溶出液排出口にフラクションコレクターを配置して、所定のカウントごとに溶出液を分取しておき、溶出曲線の溶出開始(曲線の立ち上がり)から面積率で5%毎に溶出液を得る。
次いで、各溶出分について、1mLの重クロロホルムに30mgのサンプルを溶解させ、基準物質として0.05体積%のテトラメチルシラン(TMS)を添加する。
溶液を5mm径のNMR測定用ガラス管に充填し、核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製JNM−AL400)を用い、23℃〜25℃の温度下、128回の積算を行い、スペクトルを得る。
トナーに含まれる前記非晶質ポリエステル樹脂及び前記結晶性ポリエステル樹脂などのモノマー組成、及び構成比率は得られたスペクトルのピーク積分比率から求めることができる。
ピークの帰属は、例えば、
8.25ppm付近:トリメリット酸のベンゼン環由来(水素1個分)
8.07ppm〜8.10ppm付近:テレフタル酸のベンゼン環由来(水素4個分)
7.1ppm〜7.25ppm付近:ビスフェノールAのベンゼン環由来(水素4個分)
6.8ppm付近:ビスフェノールAのベンゼン環由来(水素4個分)及びフマル酸の二重結合由来(水素2個分)
5.2ppm〜5.4ppm付近:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のメチン由来(水素1個分)
3.7ppm〜4.7ppm付近:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のメチレン由来(水素2個分)及びビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のメチレン由来(水素4個分)
1.6ppm付近:ビスフェノールAのメチル基由来(水素6個分)とすることができる。
これらの結果から、例えば、前記非晶質ポリエステル樹脂が90質量%以上を占めるフラクションに回収された抽出物を前記非晶質ポリエステル樹脂として扱うことができる。
同様に前記結晶性ポリエステル樹脂が90質量%以上を占めるフラクションに回収された抽出物を前記結晶性ポリエステル樹脂として扱うことができる。
本発明における融点、ガラス転移温度(Tg)は、例えば、DSCシステム(示差走査熱量計)(「Q−200」、TAインスツルメント社製)を用いて測定することができる。
具体的には、対象試料の融点、ガラス転移温度は、下記手順により測定できる。
まず、対象試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、−80℃から昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱する(昇温1回目)。その後、150℃から降温速度10℃/minにて−80℃まで冷却させ、更に昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱(昇温2回目)する。この昇温1回目、及び昇温2回目のそれぞれにおいて、示差走査熱量計(「Q−200」、TAインスツルメント社製)を用いてDSC曲線を計測する。
前記ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非晶質ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂Cとを含有することが好ましい。
該非晶質ポリエステル樹脂Aを用いる場合、これと、その余の非晶性ポリエステル樹脂(典型的には、後ほど説明する非晶質ポリエステル樹脂B)との組合せを、非晶質ポリエステル樹脂同士の組合せとして好ましく用いることができる。非晶質ポリエステル樹脂Bは、THFに可溶なものであることが好ましい。
非晶質ポリエステル樹脂Aを用いる場合、これと、その余の非晶性ポリエステル樹脂(典型的には、後ほど説明する非晶質ポリエステル樹脂B)との組合せを、非晶質ポリエステル樹脂として好ましく用いることができる。
前記非晶質ポリエステル樹脂A、Bの組合せを用いることにより、該非晶質ポリエステル樹脂Aは、非晶質ポリエステル樹脂Bと結晶性樹脂Cの両者に親和性を有し、両者の相溶性を促進する役割を担うものと思われる。しかし非晶性ポリエステル樹脂は、無論、この非晶質ポリエステル樹脂A及びBのみに限るべき技術的理由はない。
このように、前記ポリエステル樹脂は、非晶質ポリエステル樹脂Aと、非晶質ポリエステル樹脂Bと、結晶性ポリエステル樹脂Cとを含有することが好ましい。
前記〔G’(100)(THF不溶分)〕、及び前記〔G’(40)(THF不溶分)〕は、例えば、樹脂組成(2官能以上のポリオール、2官能以上の酸成分)によりその数値を調整できる。
具体的には、例えば、以下のようにすることで調整できる。
G’を上げるのであれば、樹脂におけるエステル結合の距離を短くする。芳香環を持つ樹脂組成にする。また分枝構造やスター形構造等の嵩高い(溶融時の流動性が抑制された)セグメントコンホメーション、コンフギュレーションを導入した樹脂を使用することができる。
G’を下げるのであれば、線状のポリエステル樹脂を使用する。樹脂の構成成分として、側鎖にアルキル基を持つポリオール又はポリカルボン酸を使用する。
結合又はウレア結合を有する場合には、紙などの記録媒体への接着性がより優れる。また、ウレタン結合又はウレア結合は、擬似架橋点のような挙動を示すことから、ゴム的性質はより強くなり、結果、トナーの耐熱保存性、耐高温オフセット性がより優れる。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、前記炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられる。
前記非線状の反応性前駆体としては、前記硬化剤と反応可能な基を有するポリエステル樹脂(以下、「プレポリマー」と称することがある。)であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。 前記プレポリマーにおける前記硬化剤と反応可能な基としては、例えば、活性水素基と反応可能な基などが挙げられる。前記活性水素基と反応可能な基としては、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基などが挙げられる。これらの中でも、前記非晶質ポリエステル樹脂にウレタン結合又はウレア結合を導入可能な点で、イソシアネート基が好ましい。
前記イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性水素基を有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートとの反応生成物などが挙げられる。前記活性水素基を有するポリエステル樹脂は、例えば、ジオールと、ジカルボン酸と、3価以上のアルコール及び3価以上のカルボン酸の少なくともいずれかを重縮合することにより得られる。前記3価以上のアルコール及び前記3価以上のカルボン酸は、前記イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂に分岐構造を付与する。
前記ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の脂肪族ジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。これらの中でも、炭素数4以上12以下の脂肪族ジオールが好ましい。
これらのジオールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、これらの無水物を用いてもよいし、低級(炭素数1〜3)アルキルエステル化物を用いてもよいし、ハロゲン化物を用いてもよい。
これらの中でも、炭素数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
これらのジカルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3価以上のアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3価以上の脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。
前記3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられる。
前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物としては、例えば、3価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したものなどが挙げられる。
前記非晶質ポリエステル樹脂Aが構成成分として3価以上の脂肪族アルコールを含むことにより、分子骨格中に分岐構造を有し、分子鎖が三次元的な網目構造となるため、低温で変形するが、流動しないというゴム的な性質を有する。そのため、トナーの耐熱保存性、耐高温オフセット性の保持が可能となる。
前記非晶質ポリエステル樹脂Aは、3価以上のカルボン酸やエポキシ等を架橋成分として使用することも可能だが、カルボン酸の場合には芳香族化合物であることが多いことや架橋部分のエステル結合密度が高くなることにより、トナーを加熱定着させて作成した定着画像の光沢が十分に発現できないことがある。エポキシ等の架橋剤を使用する場合にはポリエステルの重合後に架橋反応を実施しなければならず、架橋点間距離の制御が困難であり、狙い通りの粘弾性を得ることができないことや、ポリエステル生成時のオリゴマーと反応して架橋密度の高い部分ができやすいことから定着画像にムラが生じ光沢や画像濃
度が劣ることがある。
前記3価以上のカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3価以上の芳香族カルボン酸などが挙げられる。また、これらの無水物を用いてもよいし、低級(炭素数1〜3)アルキルエステル化物を用いてもよいし、ハロゲン化物を用いてもよい。
前記ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジイソシアネート、3価以上のイソシアネートなどが挙げられる。
前記硬化剤としては、前記非線状の反応性前駆体と反応し、前記非晶質ポリエステル樹脂Aを生成できる硬化剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性水素基含有化合物などが挙げられる。
前記活性水素基含有化合物における活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミノアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
前記アミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
前記アミノ基をブロックしたものとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類でブロックすることにより得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
前記非晶質ポリエステル樹脂Bは、前記非晶質ポリエステル樹脂Aよりもガラス転移温度が高いことが望ましく、40℃以上80℃以下であることが好ましい。
前記非晶質ポリエステル樹脂Bとしては、ウレタン結合及びウレア結合を有しないことが好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸;ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸などが挙げられる。 これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重量平均分子量(Mw)は、4,000〜7,000がより好ましい。前記数平均分子量(Mn)は、1,500〜3,000がより好ましい。前記Mw/Mnは、1.0〜3.5がより好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂Cは、高い結晶性をもち、融解エンタルピーが比較的小さいために、定着開始温度付近において急激な粘度低下を示す熱溶融特性を示す。このような特性を有する前記結晶性ポリエステル樹脂Cを前記非晶質ポリエステル樹脂Bと共に用いることで、溶融開始温度直前までは結晶性による耐熱保存性がよく、溶融開始温度では結晶性ポリエステル樹脂Cの融解による急激な粘度低下(シャープメルト性)を起こし、それに伴い非晶質ポリエステル樹脂Bと相溶し、共に急激に粘度低下することで定着することから、良好な耐熱保存性と低温定着性とを兼ね備えたトナーが得られる。また、離型幅(定着下限温度と耐高温オフセット発生温度との差)についても、良好な結果を示す。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のアルコールが挙げられる。
前記ジオールとしては、例えば、飽和脂肪族ジオールなどが挙げられる。前記飽和脂肪族ジオールとしては、直鎖飽和脂肪族ジオール、分岐飽和脂肪族ジオールが挙げられるが、これらの中でも、直鎖飽和脂肪族ジオールが好ましく、炭素数が2以上12以下の直鎖飽和脂肪族ジオールがより好ましい。前記飽和脂肪族ジオールが分岐型であると、結晶性ポリエステル樹脂Cの結晶性が低下し、融点が低下してしまうことがある。また、前記飽和脂肪族ジオールの炭素数が12を超えると、実用上の材料の入手が困難となる。炭素数としては12以下であることがより好ましい。
前記多価カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2価のカルボン酸、3価以上のカルボン酸が挙げられる。
さらには、重量平均分子量(Mw)5,000〜15,000、数平均分子量(Mn)2,000〜10,000、Mw/Mn1.0〜5.0であることが好ましい。
母体粒子中には、着色剤分散用樹脂が含まれることが好ましい。この着色剤分散用樹脂は、着色剤をトナーの結着樹脂中に分散するために用いられる。
THF不溶分である非晶質ポリエステル樹脂Aや結晶性樹脂を含むトナーを水系媒体中で製造する場合には着色剤である顔料が表面偏在し易い傾向があるが、以下に示すような特定の条件を満たす分散樹脂を用いた場合にはトナー中で分散樹脂が顔料を包囲するため、顔料がトナー表面によらず、表面偏在が改善し、かつそれにより顔料の定着への熱伝導を阻害する性質をも抑制しうることを見出した。
1)着色剤分散用樹脂濃度20質量%の上記溶液の60分後の光路長1cmの透過率がT(60)%、480分後の前記透過率をT(480)%とした時、T(60)%―T(480)%≧30%であり、T(480)%が50%以下となること。
2)T(60)%が30%以上であること。
前記着色剤分散用樹脂は結着樹脂、着色剤と着色剤分散用樹脂および離型剤を前記有機溶媒に溶解乃至分散させたトナー組成液を、水系媒体中で乳化または分散させる工程に於いて溶液中で溶解した後に分子の会合による物理ゲルを生じることが好ましい。
着色剤分散樹脂が溶液中で物理ゲルを形成することにより、機械的に分散させた着色剤が物理ゲル内部で補足されることでトナー組成液での着色剤の再凝集や、トナー粒子内での結着樹脂からのブリードアウトを抑制することが可能となる。前記着色分散用樹脂が溶液中で物理ゲルを形成できることを確認する方法として、本明細書では前記着色分散用樹脂を酢酸エチルに溶解させた固形分20質量%溶液の光路長1cmの透過率T(60)%―T(480)%≧30%となること、T(480)%が50%以下となること、T(60)%が30%以上であることにより確認している。この際にT(60)%―T(480)%が30%より低い場合、あるいはT(480)%が50%より高い場合、着色剤分散樹脂の溶解性が高く、物理ゲルの形成が不十分となりトナー組成液作成時に機械的に分散させた顔料一時粒子を再凝集させずに保持する効果が得られない。T(60)%が30%より低い場合、着色剤分散樹脂の溶解性が低く、極端に物理ゲルが形成することにより顔料が凝集し、着色度が低下する。
前記着色剤分散用樹脂はマスターバッチ中の比率が50〜95質量%、かつトナー中での比率が6〜60質量%であることが望ましい。マスターバッチ中の比率が50質量%、かつトナー中の比率が6質量%より少ない場合は着色剤分散用樹脂と混ざっていない顔料が出てきてしまうため、顔料分散性への効果が得られず、マスターバッチ中の比率が95質量%、かつトナー中の比率が60質量%より多い場合はトナー全体での含有量が増えてしまうため、トナーの熱物性に影響を与え、定着時の不具合につながる恐れがある。
40℃に予め調整した酢酸エチル80gに対し、着色剤分散用樹脂20gを加えて振とう機において溶解させ、目視で樹脂の粒がなくなったのを確認した後に40℃の恒温槽に入れて所定に静置する。静置後の着色剤分散用樹脂溶液サンプルを光路長1cmのガラスセルに投入し、直ちに分光光度計(日本分光社製V−660)にセットし、500nmの光の透過率を測定する。
トナーの超薄切片を作成し、10万倍の倍率でTEM(透過型電子顕微鏡)によって観察された画像を画像処理によって2値化し、最表面から1,000nm以内の領域で着色剤部分の占める面積をS1とし、最表面から1,000nmを超えるトナー内部領域で着色剤部分の占める面積をS2とし、該S1とS2を求める。これにより、着色剤の偏在状態を調べることができる。
S1/(S1+S2)が0.5以下であることが条件となる。
これには任意に選ばれた体積平均径±10%の最大径を有す10個のトナー母体粒子画像を調査して平均化すればよい。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポンなどが挙げられるが、好ましくナフトールレッドである。
小林敏勝、筒井晃一、池田承治:色材,61,692(1988)の測定法に基づいて測定した。
すなわち、顔料2g、及び酸として0.01M過塩素酸(PCA)・MIBK溶液30mlを三角フラスコに取り、密栓した後、水槽温度を20℃に制御した超音波洗浄器(BRONSON社製 BRONSONIC321)中で1時間超音波分散を行った。
得られた分散液から、遠心分離により顔料を除去し、得られた上澄み液10mlをMIBKとメタノールの4:1混合液で希釈し、0.01Mカリウムメトキシド溶液で滴定した。顔料表面の塩基によって消費された過塩素酸の量から、顔料単位重量あたりのアミン量を求め、アミン価(mgKOH/mg)とした。なお、滴定には自動電位差滴定装置AT−500N(京都電子工業社製)を用い、電極としては、#100−C172(京都電子工業社製)を用いた。0.01Mカリウムメトキシド溶液は非水滴定用0.1Mカリウムメトキシドのベンゼンメタノール溶液(キシダ化学製)をMIBKとメタノールの4:1混合液で10倍に希釈して作成した。その他の薬品は全て試薬特級を用いた。
前記その他の成分としては、例えば、離型剤、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などが挙げられる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。
ロウ類及びワックス類の離型剤としては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;などの天然ワックスが挙げられる。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。
系の化合物が挙げられる。
前記外添剤としては酸化物微粒子の他に、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の平均粒径は1nm〜100nmが好ましく、5nm〜70nmの無機微粒子がより好ましい。
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。前記シリカ、前記酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが特に好ましい。
前記クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好適である。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
前記トナーの体積平均粒径(D4)と個数平均粒径(Dn)、その比(D4/Dn)は、例えば、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)等を用いて測定することができる。本発明ではコールターマルチサイザーIIを使用した。以下に測定方法について述べる。
トナーの各構成成分の分子量は、例えば、以下の方法で測定することができる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定装置:GPC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel SuperHZM―H 15cm 3連(東ソー社製)
温度:40℃
溶媒:THF
流速:0.35mL/min
試料:0.15質量%の試料を100μL注入
試料の前処理:トナーをテトラヒドロフランTHF(安定剤含有 和光純薬製)に0.15質量%で溶解後0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。
前記THF試料溶液を100μL注入して測定する。
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580を用いる。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナーは、ポリエステル樹脂と着色剤を含み、更に必要に応じて、前記離型剤などを含む油相を水系媒体中で分散させることにより造粒されることが好ましい。
また、前記トナーは、前記非晶質ポリエステル樹脂として、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有するポリエステル樹脂と、ウレタン結合及びウレア結合を有しないポリエステル樹脂とを含み、好ましくは前記結晶性ポリエステル樹脂を含み、更に必要に応じて、前記離型剤、前記着色剤などを含む油相を水系媒体中で分散させることにより造粒されることがさらに好ましい。
前記トナーの製造方法の一例として、前記プレポリマーと前記硬化剤との伸長反応及び/又は架橋反応により非晶質ポリエステル樹脂を伸張しながら、トナー母体粒子を形成する方法を以下に示す。このような方法においては、水系媒体の調製、トナー材料を含有する油相の調製、トナー材料の乳化乃至分散、有機溶媒の除去を行う。
前記水系媒体の調製は、例えば、樹脂粒子を水系媒体に分散させることにより行うことができる。前記樹脂粒子の水系媒体中の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記水系媒体100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部が好ましい。
前記トナー材料を含有する油相の調製は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくともいずれかを有するプレポリマーであるポリエステル樹脂と、ウレタン結合及びウレア結合を有しないポリエステル樹脂と、前記結晶性ポリエステル樹脂と着色剤と着色剤分散用樹脂を少なくとも含み、更に必要に応じて前記硬化剤、前記離型剤などを含むトナー材料を、有機溶媒中に溶解乃至分散させることにより行うことができる。
前記トナー材料の乳化乃至分散は、前記トナー材料を含有する油相を、前記水系媒体中に分散させることにより行うことができる。そして、前記トナー材料を乳化乃至分散させる際に、前記硬化剤と前記プレポリマーとを伸長反応及び/又は架橋反応させることができる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記乳化スラリー等の分散液から有機溶媒を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶媒を蒸発させる方法、分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の有機溶媒を除去する方法などが挙げられる。
本発明の現像剤は、少なくとも前記トナーを含み、必要に応じてキャリア等の適宜選択されるその他の成分を含む。
このため、転写性、帯電性等に優れ、高画質な画像を安定に形成することができる。なお、現像剤は、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命が向上することから、二成分現像剤が好ましい。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50emu/g〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム系材料、50emu/g〜90emu/gのマンガン−マグネシウム系材料などが挙げられる。また、画像濃度を確保するためには、100emu/g以上の鉄粉、75emu/g〜120emu/gのマグネタイト等の高磁化材料を用いることが好ましい。また、穂立ち状態となっている現像剤の感光体に対する衝撃を緩和でき、高画質化に有利であることから、30emu/g〜80emu/gの銅−亜鉛系等の低磁化材料を用いることが好ましい。
本発明のトナーを用いた画像形成装置は、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段とを有し、前記トナーが、前記(1)乃至(6)のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする。
前記現像手段は、本発明のトナーを用いて静電潜像を現像して可視像を形成する手段である。
図1は、本発明のトナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いた二成分現像装置の一例を示す概略図である。この画像形成装置においては、まず、静電潜像担持体(20)が所定の周速度で回転駆動され、帯電装置(32)により、静電潜像担持体(20)の周面が正又は負の所定電位に均一に帯電される。次に、露光装置(33)により静電潜像担持体(20)の周面が露光され、静電潜像が順次形成される。したがって、この画像形成装置における静電潜像形成手段は、帯電装置(32)と露光装置(33)を含む。更に、静電潜像担持体(20)の周面に形成された静電潜像は、現像装置(40)により、本発明のトナー及びキャリアを含む現像剤を用いて現像され、トナー像が形成される。次に、静電潜像担持体(20)の周面に形成されたトナー像は、静電潜像担持体(20)の回転と同期され、給紙部から静電潜像担持体(20)と転写装置(50)との間に給紙された転写紙に、順次転写される。更に、トナー像が転写された転写紙は、静電潜像担持体(20)の周面から分離されて定着装置に導入されて定着された後、複写物(コピー)として、画像形成装置の外部へプリントアウトされる。一方、トナー像が転写された後の静電潜像担持体(20)の表面は、クリーニング装置(60)により、残留したトナーが除去されて清浄化された後、除電装置(70)により除電され、繰り返し画像形成に使用される。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
<ケチミンの合成>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部、及びメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
−プレポリマーA−1の合成−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、イソフタル酸、及びアジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.1であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がイソフタル酸45mol%及びアジピン酸55mol%であり、全モノマー中におけるトリメチロールプロパンの量が1.5mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後更に10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA−1を得た。
得られたプレポリマーA−1を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−1中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質ポリエステル樹脂A−1を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は164,000、Tgは−40℃であった。
−プレポリマーA−2の合成−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、及びアジピン酸を、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.1であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がアジピン酸100mol%であり、全モノマー中におけるトリメチロールプロパンの量が1.5mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA−2を得た。
得られたプレポリマーA−2を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−2中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質ポリエステル樹脂A−2を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は175,000、Tgは−55℃であった。
−プレポリマーA−3の合成−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸、及び無水トリメリット酸を水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.3であり、ジオール成分の構成がビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物質90mol%及びビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物10mol%であり、カルボン酸成分の構成がテレフタル酸90mol%及び無水トリメリット酸10mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000pp
m)とともに投入した。その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA−3を得た。
得られたプレポリマーA−3を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−3中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質ポリエステル樹脂A−3を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は130,000、Tgは54℃であった。
−プレポリマーA−4の合成−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、イソフタル酸、アジピン酸、及び無水トリメリット酸を、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが1.5であり、ジオール成分の構成が3−メチル−1,5−ペンタンジオール100mol%であり、ジカルボン酸成分の構成がイソフタル酸40mol%及びアジピン酸60mol%であり、全モノマー中における無水トリメリット酸の量が1mol%となるように、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。その後、4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応し中間体ポリエステルA−4を得た。
得られたプレポリマーA−4を加熱装置、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中で撹拌し、更にプレポリマーA−4中のイソシアネート量に対して[ケチミン化合物1]のアミン量が等モルになる量の[ケチミン化合物1]を反応容器に滴下していき、45℃で10時間撹拌後にプレポリマー伸長物を取り出した。得られたプレポリマー伸長物を残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで50℃で減圧乾燥させ、非晶質ポリエステル樹脂A−4を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は150,000、Tgは−35℃であった。
窒素導入管、脱水管、撹拌機及び熱伝対を装備した四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸、及びアジピン酸を、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物とビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物とがモル比(ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物)で60/40であり、テレフタル酸とアジピン酸とがモル比(テレフタル酸/アジピン酸)で97/3であり、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが1.3となるように仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に常圧で230℃で8時間反応し、更に10mmHg〜15mmHgの減圧で4時間反応後、反応容器に無水トリメリット酸を全樹脂成分に対して1mol%になるよう入れ、180℃、常圧で3時間反応し、非晶質ポリエステル樹脂B−1を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は5,300、Tgは67℃であった。
窒素導入管、脱水管、撹拌機及び熱伝対を装備した四つ口フラスコに、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、1,3−プロピレングリコール、テレフタル酸、及びアジピン酸を、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物と1,3−プロピレングリコールとがモル比(ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/1,3−プロピレングリコール)で90/10であり、テレフタル酸とアジピン酸とがモル比(テレフタル酸/アジピン酸)で80/20であり、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが1.4となるように仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に常圧で230℃で8時間反応し、更に10mmHg〜15mmHgの減圧で4時間反応後、反応容器に無水トリメリット酸を全樹脂成分に対して1mol%になるよう入れ、180℃、常圧で3時間反応し、非晶質ポリエステル樹脂B−2を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は5,600、Tgは61℃であった。
窒素導入管、脱水管、撹拌機及び熱伝対を装備した四つ口フラスコに、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、イソフタル酸、及びアジピン酸を、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物とビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物とがモル比(ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物)で30/70であり、イソフタル酸とアジピン酸とがモル比(イソフタル酸/アジピン酸)で80/20であり、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが1.2となるように仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に常圧で230℃で8時間反応し、更に10mmHg〜15mmHgの減圧で4時間反応後、反応容器に無水トリメリット酸を全樹脂成分に対して1mol%になるよう入れ、180℃、常圧で3時間反応し、非晶質ポリエステル樹脂B−3を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は5,500、Tgは50℃であった。
窒素導入管、脱水管、撹拌機及び熱伝対を装備した四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物、イソフタル酸、及びアジピン酸を、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物とビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物とがモル比(ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物)で85/15であり、イソフタル酸とアジピン酸とがモル比(イソフタル酸/アジピン酸)で80/20であり、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが1.3となるように仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に常圧で230℃で8時間反応し、更に10mmHg〜15mmHgの減圧で4時間反応後、反応容器に無水トリメリット酸を全樹脂成分に対して1mol%になるよう入れ、180℃、常圧で3時間反応し、非晶質ポリエステル樹脂B−4を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は5,000、Tgは48℃であった。
窒素導入管、脱水管、撹拌機及び熱伝対を装備した5Lの四つ口フラスコに、セバシン酸、及び1,6−ヘキサンジオールを、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが0.9となるように仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、更に8.3kPaの圧力にて2時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂C−1を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は25,000、融点は67℃であった。
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに、テレフタル酸62.5質量部、エチレングリコール14.0質量部、ネオペンチルグリオール23.5質量部、ジブチルスズオキシド0.2質量部を入れ、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、さらに8.3kPaにて2時間反応させて[着色剤分散用樹脂のB1]を得た。
窒素導入管、還流管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに着色剤分散用樹脂のB1を70質量部、結晶性ポリエステル樹脂を30質量部、トルエン100質量部を添加し60℃で均一溶解させた後に、ジブチルスズオキシド0.2質量部、ジフェニルメタンジイソシアナート5質量部を入れ、80℃で4時間反応させた。
反応物を120℃、1kPaでトルエンを留去し[着色剤分散用樹脂のB2]を得た。
着色剤分散用樹脂B1の合成において、下記表1に示すように、材料の投入量を調整した以外は、着色剤分散用樹脂B1と同様にして、着色剤分散用樹脂B3を合成した。
3−アミノ−4−メトキシベンズアニリド84部を水1500部に分散させ、氷を加えて0℃以下の温度条件に調整し、35%塩酸水溶液125部を加えて1時間攪拌し、塩酸塩化した。次いで、40%亜硝酸ナトリウム水溶液61.5部を加えて1時間攪拌した後、スルファミン酸4部を加えて過剰の亜硝酸を分解し、ジアゾニウム水溶液とした。
一方、カップリング成分として、N−(2′−メトキシ−5′−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシアミドアルカリ化合物のウエットケーキ124.5部(乾燥純分換算)を、水1000部中に加えて分散させ、顔料粒子の粒子制御剤としてドデシルスルホン酸ナトリウムを1部添加し、水を加えて20℃に調整しカップラー溶液とした。
このカップラー溶液を20℃に保ちながら、上記ジアゾニウム水溶液を徐々に滴下し、液のpHを11.5±0.5に保ってカップリング反応させ、更に1時間攪拌して反応を完結させた。
1時間経過後、高速液体クロマトグラフィーでジアゾニウムの消失を確認し、35%塩酸を適量加えてpHを7.0〜7.5に調整し、得られたスラリーを100℃で1時間攪拌して熱処理し、濾過、水洗を行い、90〜100℃で乾燥、粉砕して、顔料A1(Pigment Red 269)を得た。
顔料A1のアミン価は0.7mgKOH/mgであった。
〔マゼンタマスターバッチA〕
水100部、及び顔料A1を40質量部、および着色剤分散樹脂B1、60質量部を混合攪拌した。該混合物を二本ロールで150℃にて10分間混練した後、100℃にて20分間混練し、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、マゼンタマスターバッチAを調製した。
マゼンタマスターバッチAの調整において、下記表3に示すように、材料の投入量を調整した以外は、マゼンタマスターバッチAと同様にして、マゼンタマスターバッチBを調整した。
マゼンタマスターバッチAの調整において、上記表3に示すように、材料の投入量を調整した以外は、マゼンタマスターバッチAと同様にして、マゼンタマスターバッチCを調整した。
マゼンタマスターバッチAの調整において、上記表3に示すように、材料の投入量を調整した以外は、マゼンタマスターバッチAと同様にして、マゼンタマスターバッチDを調整した。
マゼンタマスターバッチAの調整において、上記表3に示すように、材料の投入量を調整した以外は、マゼンタマスターバッチAと同様にして、マゼンタマスターバッチEを調整した。
マゼンタマスターバッチAの調整において、上記表3に示すように、顔料A1を顔料A2(PR269(1022KB:DIC社製))に変えた以外は、マゼンタマスターバッチAと同様にして、マゼンタマスターバッチEを調整した。また、顔料A2のアミン価は4.3mgKOH/mgであった。
水1000質量部、及びカーボンブラック(「Printex35」;デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100g、pH=9.5)40質量部、および着色剤分散樹脂B1、60質量部を混合攪拌した。該混合物を二本ロールで150℃にて10分間混練した後、100℃にて20分間混練し、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、ブラックマスターバッチを調製した。
水100部、イエロー顔料(C.I.Pigment yellow 185、BASF社製)40質量部、および着色剤分散樹脂B1、60質量部を混合攪拌した。該混合物を二本ロールで150℃にて10分間混練した後、100℃にて20分間混練し、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、イエローマスターバッチを調製した。
水100部、シアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3、大日精化工業社製)40質量部、および着色剤分散樹脂B1、60質量部を混合攪拌した。該混合物を二本ロールで150℃にて10分間混練した後、100℃にて20分間混練し、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、シアンマスターバッチを調製した。
<WAX分散液の作製>
撹拌棒、及び温度計をセットした容器に離型剤1としてパラフィンワックス50部(日本精鑞株式会社製、HNP−9、炭化水素系ワックス、融点75℃、SP値8.8)、及び酢酸エチル450部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、分散を行ない[WAX分散液1]を得た。
撹拌棒、及び温度計をセットした容器に結晶性ポリエステル樹脂C−1 50部、及び酢酸エチル450部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、分散を行い[結晶性ポリエステル樹脂分散液1]を得た。
[WAX分散液1]50部、[非晶質ポリエステル樹脂A−1]150部、[結晶性ポリエステル樹脂分散液1]50部、[非晶質ポリエステル樹脂B−1]750部、[マゼンタマスターバッチA]30部、及び[ケチミン化合物1]2部を容器に入れ、TKホモミキサー(プライミクス株式会社製)で5,000rpmで60分間混合し、[油相1]を得た。
なお、上記配合量は、各原材料における固形分の配合量を示す。
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30:三洋化成工業株式会社製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部、及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分間で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。
[微粒子分散液1]をLA−920(HORIBA社製)で測定した体積平均粒径は、0.14μmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業社製)37部、及び酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とした。
[油相1]が入った容器に、[水相1]1,200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する、
という前記(1)〜(4)の操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmのメッシュで篩い[トナー母体粒子1]を得た。
[トナー母体粒子1]100質量部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0質量部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体を0.8部とをヘンシェルミキサーにて混合し、実施例1のトナーを得た。
得られたトナーの構成比を表4に示した。
実施例1において、表4に示すトナー構成比に変えた以外、実施例1と同様に実施例2〜13の各トナーを得た。実施例2〜13の各トナーについて、実施例1と同様にして、特性を評価した。結果を表5、及び表6に示す。
実施例1において、表4に示すトナー構成比に変えた以外、実施例1と同様に比較例1〜45の各トナーを得た。比較例1〜4の各トナーについて、実施例1と同様にして、特性を評価した。結果を表5、及び表6に示す。
得られたトナーについて以下の方法により現像剤を作製し、以下の評価を行った。結果を表6に示した。
−キャリアの作製−
トルエン100部に、シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン)100部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5部、及びカーボンブラック10部を添加し、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。
流動床型コーティング装置を用いて、平均粒径50μmの球状マグネタイト1,000部の表面に前記樹脂層塗布液を塗布して、キャリアを作製した。
ボールミルを用いて、トナー5部と前記キャリア95部とを混合し、現像剤を作製した。
50mLのガラス容器に各トナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した。このトナーを24℃に冷却し、針入度試験(JISK2235−1991)により針入度(mm)を測定し、下記基準に基づいて評価した。なお、針入度の値が大きいほど耐熱保存性が優れていることを示し、5mm未満の場合には、使用上問題が発生する可能性が高い。
なお、本発明においては針入度を貫入深さ(mm)で表す。
〔評価基準〕
◎ :針入度20mm以上25mm未満
○ :針入度10mm以上20mm未満
△ :針入度5mm以上10mm未満
× :針入度5mm未満
上記手法にて得られた[トナー1〜]をIMAGEO MP C4300(リコー社製)に使用されているキャリアとトナー濃度5%となるように混合し、該画像形成装置のイエローユニットに現像剤重量180gとなるように投入した。
この現像剤を用いて、A4サイズの用紙(T6000 70W T目、リコー社製)に面積が2cm×15cmの長方形のベタ画像をトナー量が0.40mg/cm2となるように、定着ローラーの表面温度を120℃となるように出力し、定着画像をX−Rite938(X−Rite社製)にてイエロートナーの場合はイエローの、シアン、マゼンタ、ブラックトナーの場合はそれぞれシアン、マゼンタ、ブラックの画像濃度(ID)をステータスAモード、d50光にて測定した。
前記のIDの評価結果より、以下のようにトナーの合否判定を行った。
◎:IDが1.5以上
○:IDが1.4以上1.5未満
△:IDが1.2以上1.4未満
×:IDが1.2未満
画像担持体から紙媒体へ定着されたベタ画像の現像残画像が所望の場所以外の場所に定着された場合(コールドオフセット、およびホットオフセット)は×を、これらのオフセットが観察されない場合を○とした。○となる温度について下記基準で評価を行った。
〔評価基準〕
◎ :105℃超110℃以下
○ :110℃超115℃以下
△ :115℃超130℃以下
× :130℃超
32 帯電装置
33 露光装置
40 現像装置
50 転写装置
60 クリーニング装置
70 除電装置
Claims (11)
- 少なくともポリエステル樹脂、着色剤および離型剤を含む母体粒子を有するトナーであって、トナーの示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目におけるガラス転移温度(Tg1st)が20℃以上50℃以下であり、テトラヒドロフラン(THF)不溶分の示差走査熱量測定(DSC)の昇温2回目におけるガラス転移温度〔Tg2nd(THF不溶分)〕が、30℃以下であり、前記母体粒子表面からその中心部に向かって1,000nm以内の領域に存在する前記着色剤の割合が、着色剤全体の50%以下であり、
前記母体粒子は、さらに着色剤分散用樹脂を含み、前記着色剤分散用樹脂は、該着色剤分散用樹脂を酢酸エチルに溶解させた固形分20質量%の溶液において、60分後の光路長1cmの透過率をT(60)%、480分後の前記透過率をT(480)%とした時、T(60)%―T(480)%≧30%であり、かつ、T(480)%が50%以下であることを特徴とするトナー。 - 前記T(60)%が30%以上であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 前記着色剤のアミン価が2mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のトナー。
- 前記着色剤が少なくてもPigment Red 269を含んでいることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
- 前記THF不溶分の100℃における貯蔵弾性率〔G’(100)(THF不溶分)〕が、1.0×10 5 Pa〜1.0×10 7 Paであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
- 前記THF不溶分の40℃における貯蔵弾性率〔G’(40)(THF不溶分)〕と、100℃における貯蔵弾性率〔G’(100)(THF不溶分)〕との比[〔G’(40)(THF不溶分)〕/〔G’(100)(THF不溶分)〕]が、3.5×10以下である請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
- トナーの示差走査熱量測定(DSC)の昇温2回目におけるガラス転移温度(Tg2nd)が0℃以上30℃以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
- 前記THF不溶分の100℃における貯蔵弾性率〔G’(100)(THF不溶分)〕が、5.0×10 5 Pa〜5.0×10 6 Paである請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
- 前記ポリエステル樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂、架橋構造を有する非晶質ポリエステル樹脂Aおよび該非晶質ポリエステル樹脂Aより高いTgを有する非晶質ポリエステル樹脂Bを含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載のトナーと、キャリアとを含有することを特徴とする現像剤。
- 静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段とを有し、前記トナーが、請求項1乃至9のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
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