JP2006259042A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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聡彦 馬場
Shigeo Kurotaka
重夫 黒高
Takashi Fujita
貴史 藤田
Hiroyuki Kunii
博之 国井
Atsushi Nakato
淳 中藤
Koji Kami
浩二 上
Katsuhiro Echigo
勝博 越後
Yukimichi Someya
幸通 染矢
Hisashi Kikuchi
尚志 菊地
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Abstract

【課題】 装置の立ち上がり時間が短縮化されるとともに、出力画像上における光沢ムラの発生が抑止される定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 磁束発生手段41から発生される磁束によって直接的又は/及び間接的に加熱される定着ベルト45は、その熱容量が0.010〜0.087〔J/(K・cm2)〕の範囲内になるように形成される。また、トナーTは、その流出開始温度をT1〔℃〕として、その1/2流出温度をT2〔℃〕としたときに、
80≦T1≦110
2≧T1+35
なる関係が成立するように形成される。
【選択図】 図2

Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置とそこに設置される定着装置とに関し、特に、電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、装置の立ち上がり時間を低減して省エネルギー化することを目的とした、電磁誘導加熱方式の定着装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1等において、電磁誘導加熱方式の定着装置は、主として、加熱部材(発熱ローラ)と定着補助部材(定着ローラ)とによって張架された定着ベルトや、加熱部材に定着ベルトを介して対向する磁束発生手段(励磁手段)や、定着補助部材に定着ベルトを介して対向する加圧部材(加圧ローラ)等で構成される。磁束発生手段は、幅方向(記録媒体の搬送方向に直交する方向である。)に延設されたコイル部(励磁コイル)や、コイル部に対向するコア(芯材)等で構成される。
そして、定着ベルトは、磁束発生手段との対向位置で加熱される。加熱された定着ベルトは、加圧部材との間で形成されるニップに搬送される記録媒体上のトナーを加熱して定着する。詳しくは、コイル部に高周波の交番電流を流すことで、コイル部の周囲に磁界が形成されて、加熱部材表面に渦電流が生じる。加熱部材に渦電流が生じると、加熱部材自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、加熱部材に巻装された定着ベルトが加熱される。
このような電磁誘導加熱方式を用いた定着装置は、少ないエネルギー消費と短い立ち上げ時間とで、定着ベルトの表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温できる装置として知られている。
一方、特許文献1等には、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置において、熱容量が小さく導電性を有する定着ベルトを電磁誘導によって直接的に加熱する技術が開示されている。
また、特許文献2等には、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置において、ガラス転移点が45〜65℃であって軟化点が80〜140℃である樹脂と、強磁性体物質と、を含有するトナーを用いる技術が開示されている。
また、特許文献3等には、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置において、ガラス転移点とMI値とが最適化されたスチレンアクリル樹脂と、一定のポリオレフィンワックスと、を含有するトナーを用いる技術が開示されている。
また、特許文献4等には、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置において、ワックスの吸熱ピークが最適化されるとともに、動的粘弾性が最適化されたポリエステル樹脂を含有するトナーを用いる技術が開示されている。
また、特許文献5等には、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置において、分子量分布と吸熱ピーク温度とが最適化された樹脂が含有されるトナーを用いる技術が開示されている。
また、特許文献6等には、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置において、酸とアルコールとの組成がそれぞれ最適化されたポリエステル樹脂を含有するトナーを用いる技術が開示されている。
また、特許文献7等には、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置において、THF不溶分含有量と酸価とが最適化されたポリエステル樹脂が含有されて、溶融粘度が最適化されたトナーを用いる技術が開示されている。
一方、特許文献8等には、トナー中の結着樹脂に、高化式フローテスタによる1/2流出温度が80〜150℃であって流出開始温度が80〜120℃である多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合によって得られるプリエステル樹脂を含有させる技術が開示されている。
また、特許文献9等には、トナーの180℃での貯蔵弾性率(G´)を5.0×102〜1.0×104Paとする技術が開示されている。
また、特許文献10等には、トナーに、カルナウバワックス、ライスワックス、エステルワックス、のうち少なくとも1つのワックスを含有させる技術が開示されている。
特許第3530180号明細書 特開平11−344830号公報 特開2001−235893号公報 特開2001−272812号公報 特開2001−272818号公報 特開2002−91075号公報 特開2002−91076号公報 特開2003−43743号公報 特開2002−351143号公報 特開2004−102261号公報
上述した従来の電磁誘導加熱方式を用いた定着装置は、定着ベルト上の温度変動や温度ムラが大きくて、定着工程後の出力画像上に光沢ムラが生じてしまうという問題があった。
ここで、「光沢ムラ」とは、転写紙等の記録媒体に定着されたトナー(画像)の光沢度が不均一になる現象であって、カラー画像を形成する場合には画像品質上特に無視できない現象である。
出力画像上の光沢ムラを抑止するには、第1に、定着装置によってトナーを充分に溶融させる必要がある。第2に、定着装置におけるニップ(加圧部材と定着部材との当接によって形成され、記録媒体が通過する領域である。)の表面の圧力が適正である必要がある。第3に、定着装置のニップを通過する記録媒体を、ニップからスムーズに分離させる必要がある。
これに対して、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置では、装置の立ち上げ時間を短縮化するために、低熱容量の定着ベルトが用いられることが多くて、定着ベルト上の温度変動や温度ムラが大きくなっていた。そのため、定着ベルトから熱を受けて溶融されるトナーの溶融状態が不均一になって、出力画像上に光沢ムラが生じていた。
特に、小サイズの記録媒体を通紙した後は定着ベルトの中央部(通紙領域である。)と両端部(非通紙領域である。)との温度差が大きくなるために、その後に大サイズの記録媒体を通紙したときに中央部と両端部とに大きな光沢ムラが生じていた。
一方、上述した特許文献2〜特許文献7の技術は、電磁誘導加熱方式の定着装置で用いるトナーの条件を定めるものであるが、いずれも、上述した光沢ムラの発生を抑止する効果は期待できない。
また、上述した特許文献8〜特許文献10の技術は、画像形成装置に用いられるトナーの条件を定めるものであるが、電磁誘導加熱方式の定着装置における定着ベルト上の温度変動、温度ムラによる光沢ムラの発生を抑止するものではない。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、装置の立ち上がり時間が短縮化されるとともに、出力画像上における光沢ムラの発生が抑止される定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
本願発明者は、上述した課題を解決するために研究を重ねた結果、次の事項を知るに至った。
すなわち、電磁誘導加熱方式の定着装置に用いられるトナーの流出開始温度と1/2流出温度とを最適化することで、低熱容量の定着ベルトを用いた場合であっても、オフセット等の副作用がなく、定着ベルト上に生じる温度変動や温度ムラに対する依存性を低下させることができる。
この発明は以上述べた事項に基づくものであり、すなわち、この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、磁束を発生させる磁束発生手段と、前記磁束によって直接的又は/及び間接的に加熱されるとともに、トナーを記録媒体に定着する定着ベルトと、を備え、前記定着ベルトは、その熱容量が0.010〜0.087〔J/(K・cm2)〕の範囲内になるように形成され、前記トナーは、その流出開始温度をT1〔℃〕として、その1/2流出温度をT2〔℃〕としたときに、
80≦T1≦110
2≧T1+35
なる関係が成立するように形成されたものである。
また、請求項2記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記トナーは、160〔℃〕での貯蔵弾性率をG1〔Pa〕として、180℃での貯蔵弾性率をG2〔Pa〕としたときに、
5×103≦G1≦5×104
1/10≦G2≦G1
なる関係が成立するように形成されたものである。
また、請求項3記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記トナーは、カルナウバワックス、モンタンワックス、酸化ライスワックス、エステルワックス、のうちいずれかを離型剤として含有するように形成されたものである。
また、請求項4記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記定着ベルトに当接して前記記録媒体が通過するニップを形成する加圧部材を備え、前記定着ベルトは、前記トナーに接する表層側における押込み深さ10μmでのユニバーサル硬さをHu〔N/mm2〕として、前記記録媒体が通過する前記ニップの出口側の面圧をP〔kg/cm2〕としたときに、
Hu≦2.2
P≧0.64・Hu
なる関係が成立するように形成されたものである。
また、請求項5記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記定着ベルトは、層厚が300μm以下となりJISA硬度が30Hs以下となるように形成された弾性層と、層厚が30μm以下となるように形成された離型層と、を備えたものである。
また、請求項6記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記定着ベルトは、層厚が5〜40μmの範囲内となるように形成された発熱層と、層厚が10〜100μmの範囲内となるように形成された離型層と、を備えたものである。
また、請求項7記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記定着ベルトに当接して前記記録媒体が通過するニップを形成する加圧部材と、前記加圧部材に対して前記定着ベルトを介して当接する定着補助部材と、を備えたものである。
また、請求項8記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項7に記載の発明において、前記磁束発生手段は、前記定着ベルトの外周面に対向するコイル部を備え、前記定着補助部材とともに前記定着ベルトを張架するとともに、前記コイル部に対して前記定着ベルトを介して対向する支持部材を備えたものである。
また、請求項9記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項8に記載の発明において、前記支持部材を、前記磁束によって直接的に加熱される加熱部材としたものである。
また、請求項10記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記記録媒体上に担持された前記トナーを当該記録媒体に定着するものである。
また、請求項11記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記定着ベルト上に前記トナーを担持した後に当該トナーを前記記録媒体に定着するものである。
また、請求項12記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項11のいずれかに記載の発明において、前記トナーを、複数色のトナーとしたものである。
また、この発明の請求項13記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項12のいずれかに記載の定着装置を備えたものである。
本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置に設置される低熱容量の定着ベルトにおける熱容量の範囲を定めて、その定着装置に用いられるトナーの流出開始温度と1/2流出温度とを最適化している。これによって、装置の立ち上がり時間が短縮化されるとともに、出力画像上における光沢ムラの発生が抑止される定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1〜図5にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、21Y、21M、21C、21BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される感光体ドラム、22は各感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK上を帯電する帯電部、23は各感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK上に形成される静電潜像を現像する現像部、24は各感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ、25は各感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部を示す。
また、27は複数色のトナー像が記録媒体P上に重ねて担持されるように記録媒体Pを搬送する転写ベルト、29は転写ベルト27を清掃する転写ベルトクリーニング部、30は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、35は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、40は記録媒体P上のトナー(未定着画像)を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置を示す。
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応する感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK上に向けて発せられる。
一方、4つの感光体ドラム21Y、21M、21C、21BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム21Y、21M、21C、21BKの表面は、帯電部22との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム21Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム21Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部22にて帯電された後の感光体ドラム21Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム21M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム21C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム21BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK表面は、それぞれ、現像部23との対向位置に達する。そして、各現像部23から感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK表面は、それぞれ、転写ベルト27との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、転写ベルト27の内周面に当接するように転写バイアスローラ24が設置されている。そして、転写バイアスローラ24の位置で、転写ベルト27上の記録媒体Pに、感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(転写工程である。)。
そして、転写工程後の感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK表面は、それぞれ、クリーニング部25との対向位置に達する。そして、クリーニング部25で、感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム21Y、21M、21C、21BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
他方、感光体ドラム21Y、21M、21C、21BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された記録媒体Pは、図中の矢印方向に走行して、分離チャージャ38との対向位置に達する。そして、分離チャージャ38との対向位置で、記録媒体Pに蓄積された電荷が中和されて、トナーのちり等を生じさせることなく記録媒体Pが転写ベルト27から分離される。
その後、転写ベルト27表面は、転写ベルトクリーニング部29の位置に達する。そして、転写ベルト27上に付着した付着物が転写ベルトクリーニング部29に回収される。
ここで、転写ベルト27上に搬送される記録媒体Pは、給紙部30からレジストローラ35等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部30から、給紙ローラ31により給送された記録媒体Pが、不図示の搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ35に導かれる。レジストローラ35に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、転写ベルト27の位置に向けて搬送される。
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、転写ベルト27から分離された後に定着装置40に導かれる。定着装置40では、定着ベルト45と加圧ローラ48とのニップにて、カラー画像(トナー)が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、不図示の排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図2にて、画像形成装置本体1に設置される定着装置40の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、定着装置40は、主として、磁束発生手段としての誘導加熱部41、定着ベルト45、定着補助部材としての定着補助ローラ47、支持部材としての加熱ローラ46(加熱部材)、加圧部材としての加圧ローラ48、温度センサ50、等で構成される。
ここで、定着補助ローラ47は、ステンレス、鉄等からなる芯金の表面に、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等からなる弾性層がソリッド状又は発泡状に形成された耐熱構造体である。定着補助ローラ47は、外径が15〜30mmとなり、弾性層の層厚が4〜6mmとなり、アスカーC硬度が10〜50度となるように形成されている。定着補助ローラ47は、不図示の駆動部によって図2の時計方向に回転駆動される。
加熱ローラ46は、主として、鉄、磁性体ステンレス、コバルト、ニッケル、又は、これらの合金等からなる円筒部で構成される。加熱ローラ46は、外径が20〜40mmとなり、円筒部の肉厚が0.3〜1.0mmとなるように形成されていて、低熱容量で昇温が速い支持部材である。加熱ローラ46は、図2の時計方向に回転する。
なお、加熱ローラ46の円筒部内に強磁性体からなる内部コアを設置する構成にすることもできる。
定着ベルト45は、加熱ローラ46と定着補助ローラ47とに張架・支持されている。定着ベルト45は、内周側から発熱層、弾性層、離型層が順次形成された多層構造のエンドレスベルトである。
定着ベルト45は、発熱層の層厚が5〜40μmの範囲内となるように形成され、弾性層の層厚が300μm以下となるように形成され、弾性層のJISA硬度が30Hs以下となるように形成され、離型層の層厚が10〜30μmの範囲内となるように形成されている。
本実施の形態1では、発熱層として層厚が40μmのニッケルが用いられ、発熱層上に形成される弾性層として層厚が150μmのシリコーンゴムが用いられ、弾性層上に形成される離型層として層厚が30μmのフッ素樹脂が用いられている。
また、定着ベルト45は、その熱容量が0.010〜0.087〔J/(K・cm2)〕(好ましくは、0.019〜0.077〔J/(K・cm2)〕である。)の範囲内になるように形成されている。
さらに、定着ベルト45は、トナーTに接する表層側における押込み深さ10μmでのユニバーサル硬さをHu〔N/mm2〕として、記録媒体Pが通過するニップ(定着ベルト45と加圧ローラ48との当接部である。)の出口側の面圧をP〔kg/cm2〕としたときに、
Hu≦2.2
P≧0.64・Hu
なる関係が成立するように形成されている。
これらの定着ベルト45の特性については、後で詳しく説明する。
誘導加熱部41は、コイル部42(励磁コイル)、コア43、等で構成される。
ここで、コイル部42は、加熱ローラ46に巻装された定着ベルト45の外周面に対向するように、細線を束ねたリッツ線を巻回して幅方向(図2の紙面垂直方向である。)に延設したものである。コア43は、フェライト等の強磁性体からなり、幅方向に延設されたコイル部42に対向するように設置されている。
また、加圧ローラ48は、鉄、アルミニウム等の芯金上にフッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等の耐熱性弾性層が形成され、さらにその上にフッ素系樹脂からなる表面離型層が形成されたものである。加圧ローラ48は、定着ベルト45を介して定着補助ローラ47に圧接している。そして、定着ベルト45と加圧ローラ48との当接部(ニップである。)に、記録媒体Pが搬送される。なお、誘導加熱部41による定着ベルト45の加熱を補助するために、ハロゲンヒータ、セラミックヒータ等の補助加熱体を加圧ローラ48内に設置したり、加熱ローラ48をシリコーンゴム発泡体等からなる断熱構造体としたりすることもできる。また、立ち上げ時間を短縮するために、加圧ローラ48の芯金の肉厚を1mm以下にして低熱容量化することもできる。
さらに、定着ベルト45の外周面の一部に対向する位置には、温度センサ50が設置されている。この温度センサ50によって、定着ベルト45上の表面温度(定着温度)が検知されて、誘導加熱部41による加熱量が調整される。
このように構成された定着装置20は、次のように動作する。
定着補助ローラ47の回転駆動によって、定着ベルト45は図2中の矢印方向に周回するとともに、加熱ローラ46も時計方向に回転して、加圧ローラ48も矢印方向に回転する。定着ベルト45は、誘導加熱部41との対向位置で加熱される。詳しくは、コイル部42に高周波の交番電流を流すことで、定着ベルト45及び加熱ローラ46の近傍に磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。
そして、加熱ローラ46表面と定着ベルト45の発熱層とに渦電流が生じて、電気抵抗によってジュール熱が発生して、加熱ローラ46及び定着ベルト45が加熱される。
なお、本実施の形態1では、加熱ローラ46及び定着ベルト45がそれぞれ磁束によって直接的に加熱される構成とした。これに対して、加熱ローラ46及び定着ベルト45のいずれか一方のみが磁束によって加熱される構成とすることもできる。いずれにしても、定着ベルト45は、誘導加熱部41による磁束によって直接的又は/及び間接的に加熱されることになる。
その後、誘導加熱部41によって加熱された定着ベルト45表面は、加圧ローラ48との当接部に達する。そして、ニップに向けて搬送される記録媒体P上のトナーTを加熱して溶融する。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナーTを担持した記録媒体Pが、定着ベルト45と加圧ローラ48との間に送入される(矢印方向の移動である。)。そして、定着ベルト45から受ける熱と加圧ローラ48から受ける圧力とによってトナーTが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ベルト45と加圧ローラ48との間から送出される。
ここで、本実施の形態1において特徴的な、トナーTの特性について詳しく説明する。
本実施の形態1で用いられるトナーTは、その流出開始温度をT1〔℃〕として、その1/2流出温度をT2〔℃〕としたときに、
80≦T1≦110
2≧T1+35
なる関係が成立するように形成されている。これにより、光沢変動の少ない出力画像が得られることになる。
トナーTの流出開始温度T1が80℃よりも低い場合には、定着工程時にオフセットが発生しやすくなってしまう。これに対して、トナーTの流出開始温度T1が110℃よりも高い場合には、充分な定着性が得られずに、トナーが記録媒体Pから剥がれやすくなってしまう。
また、1/2流出温度T2が流出開始温度T1に比べて35℃以上高くない場合には、小サイズの記録媒体P(例えば、A5サイズの用紙である。)を通紙させた後に大サイズの記録媒体P(例えば、A4サイズの用紙である。)を通紙した場合に、出力画像の中央部と両端部とで光沢ムラが生じやすくなってしまう。
ここで、トナーの流出開始温度T1と1/2流出温度T2とは、高架式フローテスター「CFT500D型」(島津製作所社製)を用いて測定することができる。図3及び図4は、上述のフローテスターを用いて測定されるデータ(フローカーブ)を示すグラフである。そして、図3中の温度T1が流出開始温度とされ、図4中の温度T2が1/2流出温度(流出終了点Smaxと最低値Sminとから等距離Xにある点の温度である。)とされる。なお、上述の測定は、荷重を5kg/cm2として、昇温速度を3.0℃/分として、ダイ口径を1.0mmとして、ダイ長さを10.0mmとしておこなったものである。
また、本実施の形態1で用いられるトナーTは、160〔℃〕での貯蔵弾性率(G´)をG1〔Pa〕として、180℃での貯蔵弾性率(G´)をG2〔Pa〕としたときに、
5×103≦G1≦5×104
1/10≦G2≦G1
なる関係が成立するように形成されている。これにより、光沢変動がさらに少ない出力画像が得られることになる。すなわち、160℃及び180℃における貯蔵弾性率G1、G2が、上式の関係を満足しない場合には、小サイズ紙通紙後の大サイズ紙通紙時に光沢ムラが発生しやすくなる。
ここで、上述の貯蔵弾性率(G´)は、パラレルプレートにサンプル2gを固定して、「RheoStress RS50」(HA A KE社製)を用いて周波数1Hz、温度80〜210℃、歪み0.1、昇温速度3.0℃/分の条件で測定して、160℃及び180℃における貯蔵弾性率G1、G2を読み取ったものである。
以上のようなトナーTの特性を得るためには、使用する結着樹脂の組成(モノマー種)、組成比、樹脂形成時の反応条件、トナーの混練時の条件(温度、時間、混練シェア等である。)、離型剤や着色剤等の条件を最適化する必要がある。
トナーTにおける結着樹脂としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体を用いることができる。
結着樹脂として、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等を、混合したものを用いることもできる。
上述した結着樹脂の材料の中で、特に、ポリエステル樹脂は、充分な定着性が確保される材料として好適である。ポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との縮重合によって得られる。そのアルコールとしては、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等のジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリエキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノル類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単体、その他の2価のアルコール単体を用いることができる。
また、ポリエステル樹脂を得るために使用されるカルボン酸としては、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和又は不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸の2量体、その他の2価の有機酸単量体を用いることができる。
また、バインダー樹脂として用いるポリエステル樹脂を得るためには、上述の2官能性単量体のみによる重合体のみでなく、3官能以上の多官能性単量体による成分を含有する重合体を用いることもできる。多官能性単量体である3価以上の多価アルコール単量体としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−サルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1.3.5−トリヒドロキシメチルベンゼン、等を用いることができる。
3価以上の多価カルボン酸単量体としては、1,2,4−ペンゼントリカルボン酸、1,2,5−ペンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンボール3量体酸、これらの酸無水物等を用いることができる。
他方、本実施の形態1において、トナーTに含有させる離型剤として、脱遊離脂肪酸型のカルナウバワックス、モンタンワックス、酸化ライスワックス、エステルワックス、のうちいずれかのワックスを用いている。これによって、定着工程時のオフセットを確実に防止することができる。これらのワックスは、上述した電磁誘導加熱方式による定着装置40に用いるトナーの離型剤として種々の好適な特性を有する。
カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であって、トナーバインダー中に分散したときの粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。
モンタンワックスは、一般に鉱物より精製されるモンタン系ワックスであって、カルナウバワックスと同様に、微結晶であって、酸価が5〜14であることが好ましい。酸価が上述の範囲を下回る場合には、低温定着温度が上昇して低温での定着化が不充分になってしまう。これに対して、酸価が上述の範囲を上回る場合には、コールドオフセット温度が上昇して低温での定着化が不充分になってしまう。
酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであって、その酸価は10〜30が好ましい。酸価の効果は上述のものと同様である。
エステルワックスは、合成によって得られたものであって、各種のものが使用できる。
以上述べた離型剤としてのワックスは、トナー中の樹脂100重量部に対して、2〜20重量部、好ましくは3〜15重量部(さらに、好ましくは4〜12重量部である。)添加させることで、定着工程時のオフセットの発生が抑止される。
離型剤の添加量が上述の範囲よりも少ない場合には、充分な定着離型性が得られずに、オフセットが発生しやすくなる。これに対して、離型剤の添加量が上述の範囲よりも多い場合には、トナーの表面から離型剤が脱離して、離脱した離型剤がキャリア、現像部23の構成部材、感光体ドラム21等に付着してそれらを劣化させてしまう。
また、トナーTには、帯電性を付与するために帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤には、正帯電制御剤として、ニグロシン、塩基性染料、塩基性染料のレーキ顔料、四級アンモニウム塩化合物等を用いることができる。また、負帯電制御剤としては、モノアゾ染料の金属塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属錯体等を用いることができる。帯電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるものである。本実施の形態1においては、バインダー樹脂100重量部に対して0.01〜8重量部(好ましくは、0.1〜2重量部)の範囲で帯電制御剤を使用する。0.01重量部未満では、環境変動時における帯電量(Q/M)の変動に対してその効果が小さくなり、7重量部を超えると低温定着性が低下してしまう。
また、トナーTに含有される含金属モノアゾ染料としては、含クロムモノアゾ染料、含コバルトモノアゾ染料、含鉄モノアゾ染料、又は、それらを組み合わせたものを用いることができる。これらを添加することによって、現像剤中における帯電量(Q/M)の立ち上がり(飽和までの時間)が向上する。含金属モノアゾ染料の使用量は、上述の帯電制御剤と同様にバインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるものである。本実施の形態1においては、バインダー樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部(好ましくは、1〜7重量部)の範囲で用いる。0.1重量部未満ではその効果が少なく、10重量部を超えると帯電量の飽和レベルが低下する等の欠点が生じてしまう。
また、カラーのトナーTには、サリチル酸誘導体の金属塩を含有させることが好ましい。さらに、必要に応じてカラートナーの色調を損なうことのない透明又は白色の物質を添加して、トナーの帯電性を安定化することができる。具体的には、有機ホウ素塩類、含フッ素四級アンモニウム塩類、カリックスアレン系化合物等を用いることができる。
さらに、本実施の形態1のトナーTは、磁性材料を含有させた磁性トナーとすることもできる。磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケル、又は、これら金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等との合金、又はそれらの混合物等を用いることができる。これらの強磁性体は、平均粒径が0.1〜2μm程度のものが望ましく、トナー中に含有させる量としては樹脂成分100重量部に対して20〜200重量部(好ましくは、40〜150重量部)である。
また、トナーTに含有させる着色剤としては、黒色着色剤として、カーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等を用いることができる。シアン着色剤としては、フタロシアニンブルー、メチレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等を用いることができる。マゼンタ着色剤としては、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等を用いることができる。イエロー着色剤としては、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等を用いることができる。
本実施の形態1のトナーTに用いられる着色剤は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のトナーを得ることが可能な染料及び顔料が使用される。例えば、カーボンブラック、ランプブラック、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローグミン6G、レーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料等の染顔料や、それらを混合したものを用いることができる。
また、外添加剤として、トナーの流動性を向上させるために、疎水性シリカ、酸化チタン、アルミナ等や、さらに必要に応じて脂肪酸金属塩類やポリフッ化ビニリデン等を添加することもできる。
一方、本実施の形態1のトナーTをキャリアとともに2成分現像剤として用いる場合には、キャリアとして、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のような磁性を有する粉体、ガラスビーズ、これらの表面を樹脂等で処理したもの、等を用いることができる。
キャリアにコーティングする樹脂粉末としては、スチレン−アクリル共重合体、シリコーン樹脂、マレイン酸樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂エポキシ樹脂等を用いることができる。スチレン−アクリル共重合体の場合は、30〜90重量%のスチレン分を有するものが好ましい。この場合、スチレン分が30重量%未満だと現像特性が低下してしまい、90重量%を超えるとコーティング膜が硬くなって剥離しやすくなりキャリアの寿命が短くなってしまう。
キャリアの樹脂コーティングは、上述の樹脂の他に、接着付与剤、硬化剤、潤滑剤、導電材、荷電制御剤等を含有してもよい。シリコーン樹脂で被覆するキャリア核体粒子としては、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の合金や化合物;ガラスビーズ等を用いることができる。これら核体粒子の平均粒径は、10〜1000μm(好ましくは、30〜500μm)の範囲内になっている。なお、シリコーン樹脂の使用量としては、キャリア核体粒子に対して1〜10重量%となっている。
上述のシリコーン樹脂としては、信越シリコーン社製のKR261、KR271、KR271、KR272、KR275、KR280、KR282、KR285、KR251、KR155、KR220、KR201、KR204、KR205、KR206、SA−4、ES1001、ES1001N、ES1002T、KR3093や、東レシリコーン社製のSR2100、SR2101、SR2107、SR2110、SR2108、SR2109、SR2115、SR2400、SR2410、SR2411、SH805、SH806A、SH840等を用いることができる。シリコーン樹脂層は、キャリア核体粒子の表面に噴霧法、浸漬法等によってシリコーン樹脂を塗布することで形成される。
上述のように構成されたトナーTを用いることで、出力画像における光沢ムラの発生が抑止される。
以下、光沢ムラの発生メカニズムについて説明する。
光沢ムラは、柚肌が原因となるものである。トナーの粒径が数μmであるのに対して、一般的な用紙(記録媒体)の表面には繊維の露出によって10〜20μm程度の凹凸が形成されている。また、用紙の上に積層されるトナー画像の厚みは、カラー画像の場合に10〜20μm程度になってしまう。したがって、光沢ムラを発生させないためには、トナーが用紙の凹凸に沿って均一に定着される必要がある。そのため、定着ベルトの表層(トナーに接する側である。)が微小領域で充分な柔らかさを有していて、用紙の凹凸に追従する必要がある。
その一方で、定着ベルトの表層をいくら柔らかくしても、ニップ内の圧力が低すぎる場合には、用紙の凹凸に追従させることができない。そのため、定着ベルトの表層を柔らかくするとともに、ニップに所定値以上の面圧をかける必要がある。
なお、定着ベルトの表層が弾性層を有さずに硬すぎる場合、いくらニップにて所定値以上の面圧をかけたとしても、微小な用紙の凹凸には追従できずに光沢ムラが生じてしまう。
ここで、本実施の形態1では、定着ベルト表層の「微小な領域での硬さ」を定量化するために、マクロ的な硬さの特性値であるゴム硬度を用いずに、ユニバーサル硬さHuを用いている。
ユニバーサル硬さHuは、DIN50359、ISO14577に準拠する規格であって、次式で求められる。
Hu〔N/mm2〕=(荷重)/(測定端子が刺さった部分の断面積)
なお、測定端子としては、ビッカース圧子が用いられる。微小領域において押込み負荷を与えたときの荷重及び変位を連続的に記録することによって、表面皮膜物性をより詳細にあらわすことができる。
本願発明者は、研究を重ねた結果、定着ベルトのニップの出口側の面圧Pと、定着ベルト表層のユニバーサル硬さHuと、が柚肌の発生に影響を及ぼす因子であることを知るに至った。図5は、ユニバーサル硬さHuと、ニップ出口側の面圧Pと、の関係を示すグラフ(近似直線Y=0.64X)である。図5において、斜線部は柚肌が発生しない領域である。すなわち、柚肌の未発生領域は、
P≧0.64・Hu
となる。また、
Hu≦2.2
なる関係が成立するとき、ニップ出口部の面圧が1.4kg/cm2以下になって、比較的低い面圧で柚肌の発生を抑止することができる。なお、図5に示すユニバーサル硬さは、押し込み深さ10μmでのものである。また、ユニバーサル硬さは材料によって大きな温度依存性を有することになるので、図5の測定は実際の定着温度でのものとした。
定着ベルトが、上述したユニバーサル硬さを満足するためには、層厚が30μm以下のPFA(フッ素樹脂)からなる離型層と、層厚が300μm以下でJISA硬度が30Hs以下のシリコーンゴムからなる弾性層と、が必要になる。
一般的に、離型層に用いる材料は弾性層に用いる材料よりも剛性が高いので、離型層は耐久性を損なわない程度にできるだけ薄くすることが求められる。これに対して、シリコーンゴムは厚いほど弾性が上がるが、熱容量や画像表面への熱応答性を考慮すると300μmを上限とするのが適当である。また、弾性層を300μm以下にするには、シリコーンゴムの場合で硬さをJISA硬度が30Hs以下とすればよい。
また、定着ベルト表層の経時における耐磨耗性を確保するためには、離型層の厚さを10〜100μm(好ましくは、10〜50μmであり、さらに上述したユニバーサル硬さをも満足するためには10〜30μmである。)の範囲内に設定する必要がある。定着ベルト表面はトナーを担持した記録媒体に対して加圧接触するために、離型性に加えて耐熱性、耐久性が要求される。これらの条件を満足する耐熱離型層として、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP)等が用いられる。なお、離型層の厚さが100μmを超える場合には、定着ベルトの可撓性が損なわれ、ベルトのニップ形成性が悪くなって定着性が低下してしまう。
また、定着ベルトの発熱層としては、Ni、SUS等が用いられる。発熱層の層厚が5μm未満であるとシワや亀裂が発生しやすくなる。これに対して発熱層の層厚が40μmを超えると、定着ベルトの剛性の増大にともない可撓性が損なわれるために、ベルトのニップ形成性が悪くなって定着性が低下する。このような理由から、本実施の形態1では、定着ベルトの発熱層の層厚が5〜40μmの範囲内になるように設定して、良好なニップを形成して、定着性の低下を防止している。
以上説明したように、本実施の形態1では、電磁誘導加熱方式の定着装置40に設置される低熱容量の定着ベルト45における熱容量の範囲を定めて、その定着装置40に用いられるトナーTの流出開始温度と1/2流出温度とを最適化している。これによって、定着装置の立ち上がり時間が短縮化されるとともに、出力画像上における光沢ムラの発生が抑止される。
以下、図6及び図7にて、上述した本実施の形態1の効果を確認するためにおこなった実験について説明する。
図6は、異なる種類のトナーを用いて小サイズ通紙後に大サイズの記録媒体を通紙したときの、定着下限温度、オフセット温度、光沢ムラ(画像中央部と画像端部との光沢度の差)、をそれぞれ評価したものである。
実施例1で用いたトナー(A1)は、次のように製造したものである。
ポリエステル樹脂:100重量部
銅フタロシアニンブルー顔料(リオロールブルーKL):4重量部
カルナウバワックス:5重量部
サリチル酸金属塩化合物:3重量部
上記組成の混合物をヘンシェルミキサー中で充分に撹搬混合した後に、ロールミルで130〜140℃の温度で約30分間加熱溶融して、室温まで冷却した後に得られた混練物をジェットミルで粉砕分級して、重量平均粒径が6.8μmのトナー(A1)を形成する。なお、ポリエステル樹脂は、ポリエチレングリコール、ビスフェノールAのPO付加物、テレフタル酸、トリメリット酸を縮合して得られたポリエステルである。
このようにして製造されたトナー(A1)は、流出開始温度T1が90.2℃であり、1/2流出温度T2が127.3℃であり、160℃での貯蔵弾性率G1が2×104Paであり、180℃での貯蔵弾性率G2が3×103Paであった。
このトナー3重量部に対して、シリコーン樹脂溶液「KR251」(信越シリコーン社製)100部、トルエン100部をホモミキサーで分散して被覆層形成液を調製した。そして、この被覆層形成液と、平均粒径50μmの球状フェライト1000重量部の表面に流動床型塗布装置を用いて被覆層を形成したキャリア97重量部と、をボールミルで混合して現像剤を形成した。
実施例2で用いたトナー(A2)は、次のように製造したものである。
ポリエステル樹脂:100重量部
銅フタロシアニンブルー顔料(リオロールブルーKL):4重量部
エステル系ワックス:5重量部
サリチル酸金属塩化合物:3重量部
上記組成の混合物をヘンシェルミキサー中で充分に撹搬混合した後に、ロールミルで110〜120℃の温度で約50分間加熱溶融して、室温まで冷却した後に得られた混練物をジェットミルで粉砕分級して、重量平均粒径が6.2μmのトナー(A2)を形成する。なお、ポリエステル樹脂は、ポリエチレングリコール、ビスフェノールAのEO付加物、テレフタル酸、フマル酸、トリメリット酸を縮合して得られたポリエステルである。
このようにして製造されたトナー(A2)は、流出開始温度T1が84.2℃であり、1/2流出温度T2が122.3℃であり、160℃での貯蔵弾性率G1が9×104Paであり、180℃での貯蔵弾性率G2が1×103Paであった。
さらに、実施例1のトナー(A1)と同様に、上述のトナー(A2)とキャリアとからなる現像剤を形成した。
実施例3で用いたトナー(A3)は、次のように製造したものである。
ポリエステル樹脂:100重量部
銅フタロシアニンブルー顔料(リオロールブルーKL):4重量部
カルナウバワックス:5重量部
サリチル酸金属塩化合物:3重量部
上記組成の混合物をヘンシェルミキサー中で充分に撹搬混合した後、ロールミルで140〜150℃の温度で約20分間加熱溶融して、室温まで冷却した後に得られた混練物をジェットミルで粉砕分級して、重量平均粒径が6.4μmのトナーを形成した。なお、ポリエステル樹脂は、ビスフェノールAのEO付加物、フマル酸、トリメリット酸を縮合して得られたポリエステルである。
このようにして製造されたトナー(A3)は、流出開始温度T1が105.8℃であり、1/2流出温度T2が142.1℃であり、160℃での貯蔵弾性率G1が4×104Paであり、180℃での貯蔵弾性率G2が6×103Paであった。
さらに、上述の各実施例と同様に、トナー(A3)とキャリアとからなる現像剤を形成した。
これに対して、比較例1で用いたトナー(B1)は、次のように製造したものである。
ポリエステル樹脂:100重量部
銅フタロシアニンブルー顔料(リオロールブルーKL):4重量部
カルナウバワックス:5重量部
サリチル酸金属塩化合物:3重量部
上記組成の混合物をヘンシェルミキサー中で充分に撹搬混合した後、ロールミルで100〜110℃の温度で約90分間加熱溶融して、室温まで冷却した後に得られた混練物をジェットミルで粉砕分級して、重量平均粒径が4.9μmのトナー(B1)を形成した。なお、ポリエステル樹脂は、ポリエチレングリコール、ビスフェノールAのEO付加物、テレフタル酸、フマル酸を縮合して得られたポリエステルである。
このようにして製造されたトナー(B1)は、流出開始温度T1が76.8℃であり、1/2流出温度T2が113.5℃であり、160℃での貯蔵弾性率G1が4×103Paであり、180℃での貯蔵弾性率G2が4×102Paであった。このように、比較例1では、流出開始温度T1が80℃よりも低くなっている。
さらに、上述の各実施例と同様に、トナー(B1)とキャリアとからなる現像剤を形成した。
比較例2で用いたトナー(B2)は、次のように製造したものである。
ポリエステル樹脂:100重量部
銅フタロシアニンブルー顔料(リオロールブルーKL):4重量部
カルナウバワックス:5重量部
サリチル酸金属塩化合物:3重量部
上記組成の混合物をヘンシェルミキサー中で充分に撹搬混合した後、ロールミルで150〜160℃の温度で約20分間加熱溶融して、室温まで冷却した後に得られた混練物をジェットミルで粉砕分級して、重量平均粒径が5.8μmのトナー(B2)を形成した。なお、ポリエステル樹脂は、ポリエチレングリコール、ビスフェノールAのEO付加物、テレフタル酸、トリメリット酸を縮合して得られたポリエステルである。
このようにして製造されたトナー(B2)は、流出開始温度T1が112.6℃であり、1/2流出温度T2が149.8℃であり、160℃での貯蔵弾性率G1が6×104Paであり、180℃での貯蔵弾性率G2が6×103Paであった。このように、比較例2では、流出開始温度T1が110℃よりも高くなっている。
さらに、上述の各実施例及び比較例1と同様に、トナー(B2)とキャリアとからなる現像剤を形成した。
比較例3で用いたトナー(B3)は、次のように製造したものである。
ポリエステル樹脂:100重量部
カーボンブラック「#44」(三菱カーボン社製):8重量部
銅フタロシアニンブルー顔料(リオロールブルーKL):4重量部
サリチル酸金属塩化合物:3重量部
上記組成の混合物をヘンシェルミキサー中で充分に撹搬混合した後、ロールミルで140〜150℃の温度で約30分間加熱溶融して、室温まで冷却した後に得られた混練物をジェットミルで粉砕分級して、重量平均粒径が6.3μmのトナー(B3)を形成した。なお、ポリエステル樹脂は、ポリエチレングリコール、ビスフェノールAのEO付加物、フマル酸を縮合して得られたポリエステルである。
このようにして製造されたトナー(B3)は、流出開始温度T1が95.8℃であり、1/2流出温度T2が124.5℃であり、160℃での貯蔵弾性率G1が1×104Paであり、180℃での貯蔵弾性率G2が7×102Paであった。このように、比較例3では、1/2流出温度T2が流出開始温度T2よりも35℃以上高くなっていない。
さらに、上述の各実施例及び各比較例と同様に、トナー(B3)とキャリアとからなる現像剤を形成した。
また、実施例1〜3、比較例1〜3において、測定される定着下限温度は次のようなものである。
本実施の形態1の定着装置40を用いて、トナーTの付着量が1.00±0.05mg/cm2の未定着画像が担持された記録媒体P(リコー社製「タイプ6200」)を通紙する。そして、定着工程後の出力画像をパットで擦って、その画像濃度の残存率が70%以上となる定着ベルトの温度を定着下限温度とする。
また、実施例1〜3、比較例1〜3において、評価されるオフセットは次のようなものである。
定着ベルト45上の定着温度を上昇させた場合に、トナーが溶融しすぎることによって、すべてのトナーが記録媒体に定着されずに定着ベルト上に残留してしまう。その残留トナーが記録媒体上の非画像領域に付着してしまう現象がオフセットである。
なお、定着ベルト上の定着温度幅は、定着下限温度から、オフセットが発生しない上限の温度までの、温度幅となる。
実施例1〜3、比較例1〜3において、実使用上のことを考慮して、定着下限温度が140℃以下であることと、定着温度幅(オフセット発生温度と定着下限温度との差)が60℃以上であることと、を好適条件とした。
また、実施例1〜3、比較例1〜3において、測定される光沢ムラは次のようなものである。
本実施の形態1の定着装置40を用いて、A4サイズの記録媒体P(リコー社製「タイプ6200」)を縦方向に連続的に1000枚通紙する。その後、A4サイズの記録媒体P(リコー社製「タイプ6200」)を横方向に1枚通紙する。そのとき、記録媒体P上には、トナー付着量が1.00±0.05mg/cm2の横帯画像を形成する。そして、出力した画像サンプルの中央部及び端部のそれぞれ5点の光沢度の平均値を算出する。
光沢度の測定は、上述の画像サンプルに対して、「グロスメーター」(日本電色工業社製)の入射角を60度としておこなう。光沢度は、その値が高くなる程、高い光沢感がでることになる。フルカラーの画像を形成する場合には、光沢度10〜30%程度の適度な光沢が好まれる。また、この範囲の光沢が形成される画像において、同一の出力画像上において部分的に光沢度の差が5%以上あるときには人間の目でその差が認識され、その差が10%以上あるときには光沢ムラとして認識されてしまう。
したがって、実施例1〜3、比較例1〜3において、画像中央部の光沢度と画像端部の光沢度との差(光沢ムラ)が5%以下であることを好適条件とした。
図6において、網掛け領域は上述の好適条件を満足しないものである。すなわち、比較例1では定着温度幅(オフセット発生温度と定着下限温度との差)と光沢ムラとが好適条件を満足しておらず、比較例2では定着下限温度が好適条件を満足しておらず、比較例3では光沢ムラが好適条件を満足していない。これに対して、実施例1〜3では、定着下限温度、定着温度幅、光沢ムラのすべてが好適条件を満足している。
これらのことから、流出開始温度をT1〔℃〕として、その1/2流出温度をT2〔℃〕としたときに、
80≦T1≦110
2≧T1+35
なる関係が成立するように、トナーTを形成することで、光沢ムラの発生が抑止されることがわかる。
さらに、160〔℃〕での貯蔵弾性率をG1〔Pa〕として、180℃での貯蔵弾性率をG2〔Pa〕としたときに、
5×103≦G1≦5×104
1/10≦G2≦G1
なる関係が成立するように、トナーTを形成することで、光沢ムラの発生が抑止されることがわかる。
一方、図7は、9種類の定着ベルトを用いて、定着装置の立ち上がり時間、光沢ムラ、をそれぞれ評価したものである。
定着ベルト45は、図7に示す9種類(実施例4〜12)のものを用意した。実施例4〜12の定着ベルトは、発熱層の構成(PI、Niの有無)とその層厚、弾性層(シリコーンゴム)の有無とその層厚、離型層(フッ素樹脂)の有無とその層厚、とがそれぞれ異なり、それにともない熱容量も異なっている。
また、実施例4〜12において、加圧ローラ48として、外径が40mmで、芯金が肉厚1mmの鉄からなり、弾性層が層厚0.5mmのシリコーンゴムからなり、表面層が層厚30μmのPFAからなるものを用いた。また、記録媒体Pがニップを通過する時間(ニップ時間)は100msとした。また、定着工程に用いるトナーTは、上述した実施例1〜3で用いたものとした。
また、光沢ムラの評価方法は、上述した実施例1〜3、比較例1〜3と同様の手順でおこなった。
図7に示す結果から、熱容量が0.010〜0.087〔J/(K・cm2)〕の範囲内になるように、定着ベルト45を形成することで、光沢ムラの発生が抑止されることがわかる。すなわち、上述したトナーの条件(流出開始温度、1/2流出温度)が満足されても、定着ベルトの熱容量が0.010〔J/(K・cm2)〕よりも小さい場合には、定着ベルトの表面温度が大きくなって光沢ムラが生じやすくなってしまう。これに対して、定着ベルトの熱容量が0.087〔J/(K・cm2)〕よりも大きい場合には、定着ベルトが定着温度に達するまでの加熱時間が長くなって、立ち上がり時間の短縮(好ましくは、10秒以下である。)が難しくなってしまう。なお、定着ベルト45の熱容量を0.019〜0.077〔J/(K・cm2)〕の範囲内に設定したときには、光沢ムラを抑止する効果と立ち上がり時間の短縮化とが特に大きくなる。
実施の形態2.
図8にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図8は、実施の形態2における定着装置40を示す断面図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。本実施の形態2の定着装置40は、定着補助部材47A、47Bの構成が、前記実施の形態1のものとは相違する。
図8に示すように、本実施の形態2の定着装置40は、2つの定着補助部材47A、47Bを用いて、加圧ローラ48と定着ベルト45とのニップを形成するダブルニップ式の電磁誘導加熱方式定着装置である。
定着ベルト45は、加熱ローラ46と第1の定着補助部材47Aと第2の定着補助部材47Bとによって張架・支持されている。
第1の定着補助部材47Aは、回転しない固定部材であって、定着ベルト45の内周面に摺接する。第1の定着補助部材47Aの表層には、定着ベルト45の摺動抵抗を低減するために、低摩擦係数の摺動部材47A1が設けられている。第1の定着補助部材47Aには、支持部材47A2に支持されたスポンジ等の断熱性弾性体47A3が内設されている。このような構成によって、ニップ入口側に第1の定着補助部材47Aによる第1ニップ領域が形成される。
第2の定着補助部材47Bは、回転部材であって、定着ベルト45の走行にともない図の時計方向に回転する。このような構成によって、ニップ中央に第2ニップ領域が形成され、ニップ出口側に第2の定着補助部材47Bによる第3ニップ領域が形成される。
本実施の形態2では、3つのニップ領域が形成されるために、前記実施の形態1で説明したニップ出口側の面圧Pについて、
P≧0.64・Hu
なる関係を成立させやすくなる。具体的には、第2の定着補助部材47Bによって形成される第3ニップ領域の面圧Pが上記条件を満足するように設定される。
本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、定着ベルト45及びトナーTの特性値を最適化している。これにより、光沢ムラの発生が低減されることになる。
また、本実施の形態2では、加圧ローラ48の硬度が、第2の定着補助部材47Bの硬度よりも大きくなるように設定されている。これによって、ニップ出口が下向きとなって、ニップ出口での記録媒体Pの定着ベルト45からの分離性が向上されて、光沢ムラの発生がさらに低減される。
以上説明したように、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、電磁誘導加熱方式の定着装置40に設置される低熱容量の定着ベルト45における熱容量の範囲を定めて、その定着装置40に用いられるトナーTの流出開始温度と1/2流出温度とを最適化している。これによって、定着装置の立ち上がり時間が短縮化されるとともに、出力画像上における光沢ムラの発生が抑止される。
実施の形態3.
図9にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図9は、実施の形態3における定着装置40を示す断面図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。本実施の形態3の定着装置40は、支持部材(加熱ローラ46)が設けられていない点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
図9に示すように、本実施の形態3の定着装置40は、定着部材45内に支持ローラを設けることなく定着補助部材47のみを設置して、加圧ローラ48と定着ベルト45とのニップを形成するシングル固定部材ニップ式の電磁誘導加熱方式定着装置である。
定着補助部材47は、回転しない固定部材であって、定着ベルト45を介して加圧ローラ48に圧接する。定着補助部材47の表層には、定着ベルト45の摺動抵抗を低減するために、低摩擦係数の摺動部材47dが設けられている。定着補助部材47には、支持部材47cに並列的に支持された2つの断熱性弾性体47a、47bが内設されている。ここで、2つの断熱性弾性体47a、47bは硬度が異なり、ニップ出口側の面圧がニップ入口側の面圧よりも大きくなるように設定されている。
このような構成によって、前記実施の形態1で説明したニップ出口側の面圧Pについて、
P≧0.64・Hu
なる関係を容易に成立させることができる。
また、本実施の形態3でも、前記各実施の形態と同様に、定着ベルト45及びトナーTの特性値を最適化している。これにより、光沢ムラの発生が低減されることになる。
以上説明したように、本実施の形態3でも、前記各実施の形態と同様に、電磁誘導加熱方式の定着装置40に設置される低熱容量の定着ベルト45における熱容量の範囲を定めて、その定着装置40に用いられるトナーTの流出開始温度と1/2流出温度とを最適化している。これによって、定着装置の立ち上がり時間が短縮化されるとともに、出力画像上における光沢ムラの発生が抑止される。
実施の形態4.
図10にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図10は、実施の形態4における画像形成装置を示す断面図であって、前記実施の形態1における図1に相当する図である。本実施の形態4の定着装置40は、定着ベルト45上にトナーTを担持した後にそのトナーTを記録媒体Pに定着する点が、記録媒体P上に担持されたトナーTを記録媒体Pに定着する前記実施の形態1のものとは相違する。
図10に示すように、本実施の形態4では、転写ベルト27上に複数色のトナーが重ねて転写される。その後、転写ベルト27上のトナーは、定着装置40の定着ベルト45上に2次転写される。そして、定着ベルト45上に担持されたトナーは、ニップの位置で、給紙部30から直接的に搬送されてきた記録媒体P上に定着される。
このような定着方式を用いた場合、定着ベルト45から転写ベルト27への熱伝導はトナーを介してのものであるため、転写ベルト27の温度上昇も大きくはならずに、転写ベルト27における熱の影響はほとんど発生しない。
また、定着ベルト45上に一度トナーを担持させることで、トナーに対する加熱時間を充分に確保することができる。さらには、記録媒体Pに対する加熱工程と、トナーに対する加熱工程と、を分離できるために、設計の自由度が高まることになる。
また、本実施の形態4でも、前記各実施の形態と同様に、定着ベルト45及びトナーTの特性値を最適化している。これにより、光沢ムラの発生が低減されることになる。
以上説明したように、本実施の形態4でも、前記各実施の形態と同様に、電磁誘導加熱方式の定着装置40に設置される低熱容量の定着ベルト45における熱容量の範囲を定めて、その定着装置40に用いられるトナーTの流出開始温度と1/2流出温度とを最適化している。これによって、定着装置の立ち上がり時間が短縮化されるとともに、出力画像上における光沢ムラの発生が抑止される。
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。 図1の画像形成装置に設置される定着装置を示す断面図である。 トナーの流出開始温度を示すグラフである。 トナーの1/2流出温度を示すグラフである。 定着ベルトのユニバーサル硬度と面圧との関係を示すグラフである。 本発明の効果を確認する実施例及び比較例の結果を示す表図である。 本発明の効果を確認する別の実施例及び比較例の結果を示す表図である。 この発明の実施の形態2における定着装置を示す断面図である。 この発明の実施の形態3における定着装置を示す断面図である。 この発明の実施の形態4における画像形成装置を示す断面図である。
符号の説明
1 画像形成装置本体(装置本体)、
40 定着装置、
41 誘導加熱部(磁束発生手段)、
42 コイル部、 43 コア部、
45 定着ベルト、
46 加熱ローラ(支持部材、加熱部材)、
47、47A,47B 定着補助部材、
48 加圧ローラ(加圧部材)、
50 温度センサ、 P 記録媒体、 T トナー。

Claims (13)

  1. 磁束を発生させる磁束発生手段と、
    前記磁束によって直接的又は/及び間接的に加熱されるとともに、トナーを記録媒体に定着する定着ベルトと、を備え、
    前記定着ベルトは、その熱容量が0.010〜0.087〔J/(K・cm2)〕の範囲内になるように形成され、
    前記トナーは、その流出開始温度をT1〔℃〕として、その1/2流出温度をT2〔℃〕としたときに、
    80≦T1≦110
    2≧T1+35
    なる関係が成立するように形成されたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記トナーは、160〔℃〕での貯蔵弾性率をG1〔Pa〕として、180℃での貯蔵弾性率をG2〔Pa〕としたときに、
    5×103≦G1≦5×104
    1/10≦G2≦G1
    なる関係が成立するように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記トナーは、カルナウバワックス、モンタンワックス、酸化ライスワックス、エステルワックス、のうちいずれかを離型剤として含有するように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記定着ベルトに当接して前記記録媒体が通過するニップを形成する加圧部材を備え、
    前記定着ベルトは、前記トナーに接する表層側における押込み深さ10μmでのユニバーサル硬さをHu〔N/mm2〕として、前記記録媒体が通過する前記ニップの出口側の面圧をP〔kg/cm2〕としたときに、
    Hu≦2.2
    P≧0.64・Hu
    なる関係が成立するように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
  5. 前記定着ベルトは、層厚が300μm以下となりJISA硬度が30Hs以下となるように形成された弾性層と、層厚が30μm以下となるように形成された離型層と、を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置。
  6. 前記定着ベルトは、層厚が5〜40μmの範囲内となるように形成された発熱層と、層厚が10〜100μmの範囲内となるように形成された離型層と、を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記定着ベルトに当接して前記記録媒体が通過するニップを形成する加圧部材と、
    前記加圧部材に対して前記定着ベルトを介して当接する定着補助部材と、
    を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 前記磁束発生手段は、前記定着ベルトの外周面に対向するコイル部を備え、
    前記定着補助部材とともに前記定着ベルトを張架するとともに、前記コイル部に対して前記定着ベルトを介して対向する支持部材を備えたことを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
  9. 前記支持部材は、前記磁束によって直接的に加熱される加熱部材であることを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
  10. 前記記録媒体上に担持された前記トナーを当該記録媒体に定着することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置。
  11. 前記定着ベルト上に前記トナーを担持した後に当該トナーを前記記録媒体に定着することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置。
  12. 前記トナーは、複数色のトナーであることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の定着装置。
  13. 請求項1〜請求項12のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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