JP4494317B2 - トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法 - Google Patents

トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に好適に用いられるトナー及びその製造方法、並びに、該トナーを用いた現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
従来より、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などには、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等のトナーバインダーと、着色剤等とを溶融混練し、粉砕した乾式トナーが用いられている。
しかし、近年、更なる高品位、高画質、低温定着性などが強く求められており、従来の粉砕トナーでは、これらの要求に対応できなくなってきている。すなわち、粉砕分級トナーでは、トナーの微細化や粉砕の歩留まり等に限界があり、小粒径かつ粒度分布がシャープで、高画質化が可能なトナーを効率的に製造することができないという問題があった。
そこで、近年では、CPトナー(CHEMICAL PREPARED TONER)の開発が盛んに行われている。該CPトナーとしては、例えば、ビニル系モノマー等を使用して懸濁重合法、乳化重合凝集法、シード重合法、分散重合法等により製造した重合法トナーや、ポリエステルプレポリマー等を使用し、伸長反応により製造した伸長法トナー(特許文献1参照)などが提案されており、これらの中でも、低温定着性向上の実現に有利なポリエステル樹脂を使用する点で、伸長法トナーが特に優れている。
しかし、前記伸長法トナーは、その製造工程において、ポリエステルプレポリマー、離型剤、着色剤等のトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させてなる油相を、界面活性剤とともに樹脂微粒子を使用して水中に分散させているため、形成されるトナー粒子の表面には前記樹脂微粒子が存在し、更にはトナー粒子や樹脂微粒子に界面活性剤、イオン性不純物などが付着する。このように、トナー粒子等の表面に不純物が付着すると、トナーの帯電性能が低下し、耐環境性に大きな悪影響を及ぼすという問題がある。このため、前記帯電性能の低下等を抑制するために、前記トナー粒子を洗浄し、前記付着物を除去することが必要不可欠となる。
前記トナー粒子の洗浄方法としては、例えば、乳化凝集トナーを、アルカリ水溶液、酸水溶液、水、をそれぞれこの順で用いて洗浄する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、この洗浄方法を前記伸長法トナーに使用しても、単にイオン性不純物や界面活性剤の除去を行うだけでは、十分な帯電性能を確保することができないという問題がある。
したがって、帯電性能に優れ、環境安定性が良好であり、低温定着性に優れ、高画質が得られるトナー及びその製造方法、並びに、該トナーを用いた関連技術は、未だ提供されていないのが現状である。
特開2002−296839号公報 特開2001−175028号公報
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、帯電性能に優れ、環境安定性が良好であり、低温定着性に優れ、高画質が得られるトナー及びその効率的な製造方法、並びに、該トナーを用い、高画質化が可能な、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、ポリエステル樹脂を含有してなるトナーのアルカリ洗浄した後のトナーから抽出される全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)を200ppm/g以下となるようにすることにより、帯電性能に優れ、環境安定性が良好であり、低温定着性に優れ、高画質化の実現が可能なトナーが得られることを知見した。
また、前記アルカリ洗浄時に、pH、温度、時間等の条件を制御することにより、帯電性能が特に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ポリエステル樹脂を含有してなり、アルカリ洗浄した後のトナーから抽出される全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)が200ppm/g以下であることを特徴とするトナーである。
<2> 水系媒体中で、活性水素基含有化合物、及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を反応させて接着性基材を少なくとも含む粒子を生成させて得られる前記<1>に記載のトナーである。
<3> 結晶性ポリエステル樹脂を含む前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> 樹脂微粒子を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> 樹脂微粒子が、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種である前記<4>に記載のトナーである。
<6> ポリエステル樹脂の酸価が、5〜50mgKOH/gである前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーである。
<7> アルカリ洗浄後の洗浄液のpHが6.0〜11.0である前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーである。
<8> アルカリ洗浄後、固液分離し、水洗浄した後の洗浄液の伝導度が0.5〜60μS/cmである前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーである。
<9> ポリエステル樹脂における末端カルボキシル基の水素原子がNa原子で置換された前記<1>から<8>のいずれかに記載のトナーである。
<10> 結晶性ポリエステル樹脂のDSC吸熱ピーク温度が、50〜150℃である前記<3>から<9>のいずれかに記載のトナーである。
<11> 結晶性ポリエステル樹脂のオルトジクロロベンゼン可溶分のGPCによる分子量分布が、重量平均分子量(Mw)で1,000〜30,000であり、数平均分子量(Mn)で500〜6,000であり、かつ(Mw/Mn)で2〜8である前記<3>から<10>のいずれかに記載のトナーである。
<12> 結晶性ポリエステル樹脂が、下記一般式(1)で表される前記<3>から<11>のいずれかに記載のトナーである。
Figure 0004494317
前記一般式(1)中、n及びmは、繰返単位数を表し、Lは1〜3の整数を表し、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子又は炭化水素基を表す。
<13> 結晶性ポリエステル樹脂が、その赤外吸収スペクトルにおいて965±10cm−1及び990±10cm−1の少なくともいずれかにオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有する前記<3>から<12>のいずれかに記載のトナーである。
<14> 結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数2〜6のジオール化合物及びフマル酸化合物をモノマーユニットとして有する前記<3>から<13>のいずれかに記載のトナーである。
<15> 炭素数2〜6のジオール化合物が、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びこれらの誘導体から選択される前記<14>に記載のトナーである。
<16> 樹脂微粒子の少なくとも1種のガラス転移温度が20〜100℃である前記<4>から<15>のいずれかに記載のトナーである。
<17> 樹脂微粒子の重量平均分子量(Mw)が、8,000〜200,000である前記<4>から<16>のいずれかに記載のトナーである。
<18> 樹脂微粒子の体積平均粒径が、20〜200nmである前記<4>から<17>のいずれかに記載のトナーである。
<19> 樹脂微粒子のトナーに対する残存量が、熱分解クロマトグラフによる測定値で、0.5〜5.0質量%である前記<4>から<18>のいずれかに記載のトナーである。
<20> ポリエステル樹脂を含有するトナーを造粒するトナー造粒工程と、
造粒したトナーを、該トナーから抽出される全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)が200ppm/g以下となるまで、少なくともアルカリ洗浄するトナー洗浄工程と、を含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
<21> アルカリ洗浄後の洗浄液のpHが6.0〜11.0である前記<20>に記載のトナーの製造方法である。
<22> アルカリ洗浄後、固液分離し、水洗浄した後の洗浄液の伝導度が0.5〜60μS/cmである前記<20>から<21>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<23> アルカリ洗浄の洗浄液が水酸化ナトリウム水溶液である前記<20>から<22>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<24> 造粒したトナーを、アルカリ洗浄後に、水洗浄し、酸洗浄し、水洗浄する前記<20>から<23>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<25> 造粒したトナーを、アルカリ洗浄後に、水洗浄し、酸洗浄し、水洗浄し、アルカリ洗浄し、水洗浄する前記<20>から<23>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<26> ポリエステル樹脂における末端カルボキシル基の水素原子がNa原子で置換された前記<25>に記載のトナーの製造方法である。
<27> アルカリ洗浄時の温度が10〜70℃である前記<20>から<26>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<28> アルカリ洗浄時の温度T(℃)が、トナーのガラス転移温度をTg(℃)とすると、(Tg−10)≦T≦(Tg+10)である前記<20>から<27>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<29> アルカリ洗浄の時間が1〜72時間である前記<20>から<28>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<30> 酸洗浄の洗浄液が、塩酸水溶液及び硝酸水溶液の少なくともいずれかである前記<24>から<29>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<31> トナー造粒工程が、水系媒体中で、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを乳化乃至分散させ、かつ反応させて接着性基材を生成しつつ該接着性基材を少なくとも含む粒子を得る工程である前記<20>から<30>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<32> 前記<1>から<19>のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤である。
<33> 前記<1>から<19>のいずれかに記載のトナーが充填されてなることを特徴とするトナー入り容器である。
<34> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像を前記<1>から<19>のいずれかに記載のトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有することを特徴とするプロセスカートリッジである。
<35> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像を前記<1>から<19>のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置である。
<36> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を前記<1>から<19>のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法である。
本発明のトナーは、ポリエステル樹脂を含有してなり、アルカリ洗浄した後のトナーから抽出される全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)が200ppm/g以下である。該トナーにおいては、前記アルカリ洗浄により、トナー粒子の表面に存在する乳化剤、分散剤、イオン性不純物等が除去される。前記最後のアルカリ洗浄後のトナーから抽出される全有機体炭素溶出量が一定量以下に制御される。特に、顔料分散性、定着性、帯電性等の向上を図るため、酸価の高い前記ポリエステル樹脂を使用すると、残存酸モノマーが比較的多く残るが、該残存酸モノマーも除去することができる。このため、該トナーは、帯電性能に優れ、環境安定性が良好であり、低温定着性に優れ、高画質が得られる。
また、前記トナーが樹脂微粒子を含むと、該樹脂微粒子は酸性基を多量に含み、前記トナーの表面に存在して、高湿下での帯電阻害や定着阻害の原因となるが、前記アルカリ洗浄により帯電性能を確保しつつ適度に前記樹脂微粒子を除去することができる。更に、前記トナーが、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを反応させて得られる接着性基材を少なくとも含む粒子を含むと、耐凝集性、帯電性、流動性、転写性、定着性等の諸特性に優れる。該トナーを用いて画像形成を行うと、低温定着条件下で高画質が得られる。
なお、本発明のトナーにおいては、前記樹脂微粒子が、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種である態様、前記ポリエステル樹脂の酸価が5〜50mgKOH/gである態様、アルカリ洗浄後の洗浄液のpHが6.0〜11.0である態様、アルカリ洗浄後、固液分離し、水洗浄した後の洗浄液の伝導度が0.5〜60μS/cmである態様、などが好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、ポリエステル樹脂を含有するトナーを造粒するトナー造粒工程と、
造粒したトナーを、該トナーから抽出される全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)が200ppm/g以下となるまで、少なくともアルカリ洗浄するトナー洗浄工程と、を含む。本発明のトナーの製造方法においては、前記トナー造粒工程において、前記ポリエステル樹脂を含有するトナーが造粒される。前記トナー洗浄工程において、前記トナー造粒工程により造粒されたトナーが、該トナーから抽出される全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)が200ppm/g以下となるまで、少なくともアルカリ洗浄される。該アルカリ洗浄により、トナー粒子の表面に存在する乳化剤、分散剤、イオン性不純物等が除去される。また、顔料分散性、定着性、帯電性等の向上を図ることを目的として、前記トナー造粒工程において、特に酸価の高い前記ポリエステル樹脂を使用すると、残存酸モノマーが比較的多く残るが、該残存酸モノマーも除去することができる。このため、該トナーは、帯電性能に優れ、環境安定性が良好であり、低温定着性に優れ、高画質が得られる。
また、前記トナーが樹脂微粒子を含むと、該樹脂微粒子は酸性基を多量に含み、前記トナーの表面に存在して、高湿下での帯電阻害や定着阻害の原因となるが、前記アルカリ洗浄により帯電性能を確保しつつ適度に前記樹脂微粒子を除去することができる。その結果、帯電性能に優れ、環境安定性が良好であり、低温定着性に優れ、高画質が得られる本発明の前記トナーが効率的に製造される。更に、前記トナー造粒工程が、水系媒体中で、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを乳化乃至分散させ、かつ反応させて接着性基材を生成しつつ該接着性基材を少なくとも含む粒子を得る工程であると、耐凝集性、帯電性、流動性、転写性、定着性等の諸特性に優れるトナーを効率的に製造することができる。
なお、本発明のトナーの製造方法においては、アルカリ洗浄後の洗浄液において、pHが6.0〜11.0である態様、アルカリ洗浄後、固液分離し、水洗浄した後の洗浄液の伝導度が0.5〜60μS/cmである態様、アルカリ洗浄時の温度が10〜70℃である態様、アルカリ洗浄時の温度T(℃)が、トナーのガラス転移温度をTg(℃)とすると、(Tg−10)≦T≦(Tg+10)である態様、アルカリ洗浄の時間が1〜72時間である態様、などが好ましい。
本発明の現像剤は、前記本発明のトナーを含む。このため、該現像剤を用いて電子写真法により画像形成を行うと、低温定着条件下でも高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が形成される。
本発明のトナー入り容器は、本発明の前記トナーが充填されてなる。このため、該トナー入り容器に充填された本発明の前記トナーを用いて電子写真法により画像形成を行うと、低温定着条件下でも高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が形成される。
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像を前記本発明のトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有する。該プロセスカートリッジは、画像形成装置に着脱可能であり、利便性に優れ、また、前記本発明のトナーを用いるので、低温定着条件下でも高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が形成される。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像を前記本発明のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する。該画像形成装置においては、前記静電潜像形成手段が、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する。前記現像手段が、該静電潜像を前記本発明のトナーを用いて現像して可視像を形成する。前記転写手段が、前記可視像を記録媒体に転写する。前記定着手段が、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる。その結果、低温定着条件下でも高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が形成される。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を前記本発明のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む。該画像形成装置においては、前記静電潜像形成工程において、静電潜像担持体上に静電潜像が形成される。前記現像工程において、前記静電潜像が前記本発明のトナーを用いて現像され、可視像が形成される。前記転写工程において、前記可視像が記録媒体に転写される。前記定着工程において、前記記録媒体に転写された転写像が定着される。その結果、低温定着条件下でも高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が形成される。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、帯電性能に優れ、環境安定性が良好であり、低温定着性に優れ、高画質が得られるトナー及びその効率的な製造方法、並びに、該トナーを用い、高画質化が可能な、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
(トナー)
本発明のトナーは、ポリエステル樹脂を含有してなり、アルカリ洗浄した後のトナーから抽出される全有機体炭素溶出量(TOC量)が200ppm/g以下であり、好ましくは樹脂微粒子、結晶性ポリエステル樹脂を含み、更に必要に応じて、着色剤、離型剤、帯電制御剤などのその他の成分を含んでなる。
なお、ppm/gは、乾燥トナー1gから抽出される有機物成分中のカーボン量を意味する。
本発明の前記トナーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結着樹脂を少なくとも含んでなり、公知の懸濁重合法、乳化重合法、溶解懸濁法等により製造されるケミカルトナーなどが挙げられるが、水系媒体中で、活性水素基含有化合物、及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を反応させて接着性基材を少なくとも含む粒子を生成させて得られるトナーが好適に挙げられる。
本発明の前記トナーにおいては、アルカリ洗浄した後のトナーから抽出される全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)が少ないほど好ましく、例えば、200ppm/g以下であることが必要であり、150ppm/g以下が好ましく、100ppm/g以下がより好ましい。該TOC量が200ppm/gを超えると、帯電性能に劣ることがあり、立ち上がりの帯電速度及び高温高湿下における帯電性能が低下することがある。
前記全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)の分析方法としては、例えば、全有機系炭素計(「TOC−5000A」;島津製作所製)を用い、アルカリ洗浄後のトナーから抽出されるカーボン量を求めることにより測定することができ、具体的には以下の方法により測定することができる。即ち、
まず、(1)測定するサンプルが、ウエットケーキや分散液である場合、該サンプルの固形分(質量%)を測定する。なお、該サンプルが固体トナーである場合には、固形分は100質量%であるとする。(2)前記サンプル(ウエットケーキ、分散液、トナーなど)7.5gを140mlビンに精秤し(これをS1とする)、(3)前記(2)に、pH9のKOHaq(水溶液)を47.5g添加し(これをS2とする)、(4)30℃以下にて超音波を30分間かけ、(5)マイクロチューブで約1.5ml遠心分離し、(6)前記(5)で得られた分離物における上澄みを、0.2μミクロフィルターを用いて濾過し、極微粒子を除去して、マイクロチューブに戻し、(7)濾過器を水道水、純水で洗浄後、前記(5)で得られた分離物における沈殿物を、1μmのフィルターにより濾過し、(8)該(7)で得られたろ液にHCl(35質量%)aqを2滴添加し、pHが3以下になることを確認し、(9)前記(8)で得られた溶液を精秤し(これをT1とする)、(10)更に前記(8)で得られた溶液に純水を添加し、6.0mgになるように希釈し、精秤した(これをT2とする)、(10)得られた処理液を高温で燃焼させ、該処理液中に含まれる有機物質中の炭素を炭酸ガスとして発生させ、該炭酸ガスを赤外線で分析することにより、前記TOC量を測定し(これをTOC測定値とする)、(11)下記数式に基づいて、前記TOC量を算出することができる。
<数式>
TOC(ppm/g)=TOC測定値×(S1+S2)/{S1×(固形分(質量%)/100)}×T2/T1
アルカリ洗浄後の洗浄液のpHとしては、例えば、6.0〜11.0であるのが好ましく、8.0〜10.0がより好ましい。該pHが6.0未満であると、アルカリ洗浄による帯電性能の向上や環境安定性の確保が図れないことがあり、11.0を超えると、前記ポリエステル樹脂の加水分解反応が生ずることがあるため好ましくない。
アルカリ洗浄後、固液分離し、水洗浄した後の洗浄液の伝導度としては、例えば、0.5〜60μS/cmが好ましく5.0〜20μS/cmがより好ましい。該伝導度が0.5μS/cm未満、あるいは、60μS/cmを超えると、帯電性能を向上させることができないことがある。
前記洗浄液の伝導度を前記数値範囲内に設定するためには、前記トナー及び前記樹脂微粒子の表面に存在するアニオン性不純物を除去することが重要であり、例えば、前記アニオン性不純物の再付着を防止するため、前記アルカリ洗浄後には水洗浄を行うのが好ましい。
前記本発明のトナーは、前記ポリエステル樹脂における末端カルボキシル基の水素原子がNa原子で置換されているのが好ましい。前記アルカリ洗浄が行われると、前記ポリエステル樹脂における末端カルボキシル基の水素原子がNa原子に置換され、(−COONa)となり、帯電性能に優れ、帯電立ち上がりが良好なトナーが得られる。
前記アルカリ洗浄の方法としては、前記トナーや前記樹脂微粒子の表面に存在する乳化剤、分散剤、イオン性不純物等を除去することができるものであれば特に制限はなく、公知の洗浄方法の中から、適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属塩類などの水溶液により洗浄する方法が挙げられる。アルカリ洗浄時の温度、時間などの諸条件については、後述する本発明のトナーの製造方法において説明する。
−ポリエステル樹脂−
前記ポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜50mgKOH/gが好ましく、20〜30mgKOH/gがより好ましい。前記酸価が比較的に高いポリエステル樹脂を用いると、顔料分散性、定着性、帯電性等の向上の点で好ましい。なお、前記酸価が高いポリエステル樹脂は、トナー粒子表面に多量の残存酸モノマーを生じるが、前記アルカリ洗浄により除去することが可能である。
−樹脂微粒子−
前記樹脂微粒子は、前記トナーの形状(円形度、粒度分布など)を制御することを目的として用いる。
前記樹脂微粒子は、酸性基を多量に含むため、トナー粒子表面に存在すると、高湿下での帯電阻害や定着阻害の原因となるが、前記アルカリ洗浄により、帯電性を確保しつつ、適度に除去することができる。
前記樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記樹脂微粒子の少なくとも1種のガラス転移温度(Tg)が、例えば、20〜100℃であるのが好ましい。該ガラス転移温度(Tg)が20℃未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、100℃を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ガラス転移温度(Tg)は、例えば、TG−DSCシステムTAS−100(理学電機社製)を用いて、以下の方法により測定することができる。まず、トナー約10mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットにのせ、電気炉中にセットする。室温から昇温速度10℃/minで120℃まで加熱した後、120℃で10min間放置し、室温まで試料を冷却して10min放置する。その後、窒素雰囲気下120℃まで昇温速度10℃/minで加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、TG−DSCシステムTAS−100システム中の解析システムを用いて、ガラス転移温度(TG)近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点からガラス転移温度(Tg)を算出することができる。
前記樹脂微粒子の重量平均分子量(Mw)としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、8,000〜200,000が好ましく、10,000〜100,000がより好ましい。該重量平均分子量(Mw)が、8,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、200,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
すなわち、まず、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させる。この温度でカラム溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度を0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のテトラヒドロフラン試料溶液を50〜200μl注入して測定する。前記試料における分子量の測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。前記検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.又は東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、及び4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが好ましい。なお、前記検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いることができる。
前記樹脂微粒子の前記トナーにおける含有量(残存量)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜5.0質量%が好ましく、1.0〜3.0質量%がより好ましい。該含有量が0.5質量%未満であると、前記トナーの保存性が悪化してしまい、保管時乃至使用時にブロッキングの発生が見られることがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂微粒子がワックスの染み出しを阻害し、十分な離型性が得られず、オフセットが発生することがある。
前記樹脂微粒子の前記トナーにおける含有量(残存量)は、各種方法により測定することができ、前記樹脂微粒子にのみ起因する物質乃至官能基等を、例えば、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計などを用いて分析することにより、そのピーク面積から算出することができる。前記検出器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、質量分析計が好適である。
前記樹脂微粒子としては、水系媒体中で水性分散液を形成しうる樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂でもよく、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細な球状の樹脂粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成されているのが好ましく、カルボキシル基、スルホン酸基などの酸性基が含まれるものが特に好ましい。
なお、前記ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合したポリマーであり、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、などが挙げられる。
また、前記樹脂微粒子としては、少なくとも2つの不飽和基を有する単量体を含んでなる共重合体を用いることもできる。
前記少なくとも2つの不飽和基を持つ単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」;三洋化成工業製)、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールアクリレートなどが挙げられる。
前記樹脂微粒子は、目的に応じて適宜選択した公知の方法に従って重合させることにより得ることができるが、該樹脂微粒子の水性分散液として得るのが好ましい。該樹脂微粒子の水性分散液の調製方法としては、例えば、(1)前記ビニル樹脂の場合、ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法から選択されるいずれかの重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を製造する方法、(2)前記ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶媒溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂微粒子の水性分散体を製造する方法、(3)前記ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶媒溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、(4)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(5)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶媒に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を得た後、該樹脂微粒子を適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(6)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶媒に溶解した樹脂溶液に貧溶媒を添加するか、又は予め溶媒に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次に溶媒を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(7)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶媒に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱又は減圧等によって溶媒を除去する方法、(8)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶媒に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、などが好適に挙げられる。
−結晶性ポリエステル樹脂−
前記結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性を有し、定着開始温度付近において急激な粘度低下を生ずる熱溶融特性を示す。すなわち、溶融開始温度直前までは結晶性により耐熱保存性が良好で、溶融開始温度では急激な粘度低下(シャープメルト性)を生じて定着することから、優れた耐熱保存性と低温定着性とを両立するトナーを作製することができる。また、離型幅(低温定着下限温度とホットオフセット発生温度との差)にも優れる。
前記結晶性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコール成分としての炭素数2〜6のジオール化合物、特に1,4-ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及びこれらの誘導体を80モル%以上、好ましくは85〜100モル%含有したものと、少なくとも酸性分としてのマレイン酸、フマル酸、コハク酸、及びこれらの誘導体と、を用いて合成される下記一般式(1)で表される結晶性ポリエステル樹脂が好適に挙げられる。
Figure 0004494317
前記一般式(1)中、n及びmは、繰返単位数を表し、Lは1〜3の整数を表し、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子又は炭化水素基を表す。
前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶性及び軟化点を制御するため、前記結晶性ポリエステルの合成を行う際に、アルコール成分にグリセリン等の3価以上の多価アルコールや、酸成分に無水トリメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸を追加して縮重合を行った非線状ポリエステルなどを使用してもよい。なお、前記結晶性ポリエステルの分子構造は、固体NMRなどにより確認することができる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、オルトジクロロベンゼン可溶分のGPCによる分子量分布で、1,000〜30,000が好ましく、1,000〜6,500がより好ましい。該重量平均分子量(Mw)が、1,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、30,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)としては、オルトジクロロベンゼン可溶分のGPCによる分子量分布で、500〜6,000が好ましく、500〜2,000がより好ましい。また、(Mw/Mn)としては、2〜8が好ましく、2〜5がより好ましい。
なお、前記GPCによる分子量分布において、横軸をlog(M)、縦軸を質量%で表した分子量分布図のピーク位置が3.5〜4.0の範囲にあり、ピークの半値幅が1.5以下であるのが好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度及びF1/2温度としては、耐熱保存性が悪化しない範囲で低いことが好ましく、例えば、DSC吸熱ピーク温度が50〜150℃であるのが好ましい。該融解温度及び該F1/2温度が50℃未満であると、耐熱保存性が悪化し、現像装置内部の温度でブロッキングが発生しやすくなり、150℃を超えると、定着下限温度が高くなるため低温定着性が悪化することがある。
前記結晶性ポリエステル樹脂の分子構造は、例えば、溶液や固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができるが、これらの中でも、測定の容易性の点で、IR測定が好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂は、赤外吸収スペクトルにおいて965±10cm−1及び990±10cm−1の少なくともいずれかにオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するのが好ましい。該オレフィンのδCHに基づく吸収が前記位置に存在すると、低温定着性が向上する。
前記結晶性ポリエステルの酸価としては、紙と樹脂との親和性の観点から、低温定着性を実現するためには、8mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。一方、ホットオフセット性を向上させるためには、45mgKOH/g以下が好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、低温定着性、帯電特性の向上の点で、0〜50mgKOH/gが好ましく、5〜50mgKOH/gがより好ましい。
−接着性基材−
前記接着性基材は、紙等の記録媒体に対し接着性を示し、前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を前記水系媒体中で反応させてなる接着性ポリマーを少なくとも含み、更に公知の結着樹脂から適宜選択した結着樹脂を含んでいてもよい。
前記接着性基材の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1,000以上が好ましく、2,000〜10,000,000がより好ましく、3,000〜1,000,000が特に好ましい。
前記重量平均分子量が、1,000未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記接着性基材のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、30〜70℃が好ましく、40〜65℃がより好ましい。本発明のトナーでは、架橋反応、伸長反応したポリエステル樹脂が共存していることにより、従来のポリエステル系トナーと比較してガラス転移温度が低くても良好な保存性を示すものである。
前記ガラス転移温度(Tg)が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が十分でないことがある。
前記接着性基材の貯蔵弾性率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、測定周波数20Hzにおいて10,000dyne/cmとなる温度(TG’)が、通常100℃以上であり、110〜200℃が好ましい。該(TG’)が100℃未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記接着性基材の粘性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、測定周波数20Hzにおいて1,000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180℃以下であり、90〜160℃が好ましい。該(Tη)が180℃を超えると、低温定着性が悪化することがある。
したがって、耐ホットオフセット性と低温定着性との両立を図る観点から、前記(TG’)は前記(Tη)よりも高いことが好ましい。すなわち、(TG’)と(Tη)との差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましい。該差は大きければ大きいほどよい。
また、低温定着性と耐熱保存性との両立を図る観点からは、前記(TG’−Tη)は0〜100℃が好ましく、10〜90℃がより好ましく、20〜80℃が更に好ましい。
前記接着性基材の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリエステル系樹脂、などが特に好適に挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ウレア変性ポリエステル系樹脂、などが特に好適に挙げられる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂は、前記活性水素基含有化合物としてのアミン類(B)と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体としてのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)とを前記水系媒体中で反応させて得られる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂は、ウレア結合のほかに、ウレタン結合を含んでいてもよく、この場合、該ウレア結合と該ウレタン結合との含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が特に好ましい。
前記ウレア結合が10未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の好ましい具体例としては、以下(1)から(10)、即ち、(1)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、(2)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(3)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(4)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(5)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(6)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(7)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(8)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、(9)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(10)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、等が好適に挙げられる。
−−活性水素基含有化合物−−
前記活性水素基含有化合物は、前記水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。
前記活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)である場合には、該イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)と伸長反応、架橋反応等の反応により高分子量化可能な点で、前記アミン類(B)が好適である。
前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルコール性水酸基、が特に好ましい。
前記アミン類(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)等、が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン(B1)、ジアミン(B1)と少量の3価以上のポリアミン(B2)との混合物、が特に好ましい。
前記ジアミン(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン、等が挙げられる。該芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。該脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。該脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、等が挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、等が挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、等が挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、等が挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、前記(B1)から(B5)のいずれかのアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物、等が挙げられる。
なお、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体との伸長反応、架橋反応等を停止させるには、反応停止剤を用いることができる。該反応停止剤を用いると、前記接着性基材の分子量等を所望の範囲に制御することができる点で好ましい。該反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、又はこれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)、などが挙げられる。
前記アミン類(B)と、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)との混合比率としては、前記イソシアネート基含有プレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、前記アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3〜3/1であるのが好ましく、1/2〜2/1であるのがより好ましく、1/1.5〜1.5/1であるのが特に好ましい。
前記混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3/1を超えると、前記ウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
−−活性水素基含有化合物と反応可能な重合体−−
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(以下「プレポリマー」と称することがある)としては、前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
前記プレポリマーにおける前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、特に制限はなく、公知の置換基等の中から適宜選択することができるが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基、等が挙げられる。
これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、イソシアネート基が特に好ましい。
前記プレポリマーの中でも、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない場合でも良好な離型性及び定着性を確保できる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)であるのが特に好ましい。
前記ウレア結合生成基としては、例えば、イソシアネート基、等が挙げられる。前記ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)における該ウレア結合生成基が該イソシアネート基である場合、該ポリエステル樹脂(RMPE)としては、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)等が特に好適に挙げられる。
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物であり、かつ前記活性水素基含有ポリエステル樹脂をポリイソシアネート(PIC)と反応させてなるもの、等が挙げられる。
前記ポリオール(PO)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール(DIO)、3価以上のポリオール(TO)、ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ジオール(DIO)単独、又は前記ジオール(DIO)と少量の前記3価以上のポリオール(TO)との混合物、等が好ましい。
前記ジオール(DIO)としては、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
前記アルキレングリコールとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。前記アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。前記脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記脂環式ジオールに対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。前記ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記ビスフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
前記3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
前記3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記3価以上のポリフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合物における、前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合質量比(DIO:TO)としては、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジカルボン酸(DIC)単独、又はDICと少量の3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物が好ましい。
前記ジカルボン酸としては、例えば、アルキレンジカルボン酸、アルケニレンジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、等が挙げられる。
前記アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。前記アルケニレンジカルボン酸としては、炭素数4〜20のものが好ましく、例えば、マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記3価以上のポリカルボン酸(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、芳香族ポリカルボン酸、等が挙げられる。
前記芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20のものが好ましく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、前記ジカルボン酸(DIC)、前記3価以上のポリカルボン酸(TC)、及び、前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸との混合物、から選択されるいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステル物を用いることもできる。前記低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物における前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
前記ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)とを重縮合反応させる際の混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ポリオール(PO)における水酸基[OH]と、前記ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、通常、2/1〜1/1であるのが好ましく、1.5/1〜1/1であるのがより好ましく、1.3/1〜1.02/1であるのが特に好ましい。
前記ポリオール(PO)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらのフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの、などが挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。前記イソシアヌレート類としては、例えば、トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等が挙げられる。
これらは、1種単独でも使用することができ、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート(PIC)と、前記活性水素基含有ポリエステル樹脂(例えば水酸基含有ポリエステル樹脂)とを反応させる際の混合比率としては、該ポリイソシアネート(PIC)におけるイソシアネート基[NCO]と、該水酸基含有ポリエステル樹脂における水酸基[OH]との混合当量比([NCO]/[OH])が、通常、5/1〜1/1であるのが好ましく、4/1〜1.2/1でるのがより好ましく、3/1〜1.5/1であるのが特に好ましい。
前記イソシアネート基[NCO]が、5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、1未満であると、耐オフセット性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネート(PIC)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が更に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がより好ましい。
前記イソシアネート基の平均数が、1未満であると、前記ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体の重量平均分子量(Mw)としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜15,000がより好ましい。該重量平均分子量(Mw)が、1,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、30,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
−−結着樹脂−−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂等が挙げられるが、特に、未変性ポリエステル樹脂(変性されていないポリエステル樹脂)が好ましい。
前記未変性ポリエステル樹脂を前記トナー中に含有させると、低温定着性及び光沢性を向上させることができる。
前記未変性ポリエステル樹脂としては、前記ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂と同様のもの、即ちポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物、等が挙げられる。該未変性ポリエステル樹脂は、その一部が前記ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂(RMPE)と相溶していること、すなわち、互いに相溶可能な類似の構造であるのが、低温定着性、耐ホットオフセット性の点で好ましい。
前記未変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜15,000がより好ましく、1,500〜10,000が更に好ましく、2,000〜8,000が特に好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が、1,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあるので、上述したように前記重量平均分子量(Mw)が1,000未満である成分の含有量は、8〜28質量%であることが必要である。一方、前記重量平均分子量(Mw)が30,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記未変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度としては、通常30〜70℃であり、35〜70℃がより好ましく、35〜50℃が更に好ましく、35〜45℃が特に好ましい。前記ガラス転移温度が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が不十分となることがある。
前記未変性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、5mgKOH/gが以上が好ましく、10〜120mgKOH/gがより好ましく、20〜80mgKOH/gが更に好ましい。前記水酸基価が、5未満であると、耐熱保存性と低温定着性とが両立し難くなることがある。
前記未変性ポリエステル樹脂の酸価としては、通常1.0〜50.0mgKOH/gであり、3.0〜25.0が好ましい。一般に前記トナーに酸価をもたせることによって負帯電性となり易くなる。
前記水酸基価及び前記酸価が、それぞれ前記数値範囲から外れると、高温高湿度及び低温低湿度の環境下において、環境の影響を受けやすく、画像の劣化を招きやすい。
前記未変性ポリエステル樹脂を前記トナーに含有させる場合、前記ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂(RMPE)と該未変性ポリエステル樹脂(PE)との混合質量比(RMPE/PE)としては、5/95〜25/75が好ましく、10/90〜25/75がより好ましい。
前記未変性ポリエステル樹脂(PE)の混合質量比が、95を超えると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とが両立し難くなることがあり、25未満であると、光沢性が悪化することがある。
前記結着樹脂における前記未変性ポリエステル樹脂の含有量としては、例えば、50〜100質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜90質量%が更に好ましい。該含有量が50質量%未満であると、変成ポリエステル樹脂が過多となり、低温定着性に劣り、帯電性にも影響を与えることがある。
前記未変性ポリエステル樹脂(b)及び前記結晶性ポリエステル樹脂(c)を前記トナーに含有させる場合、前記ウレア結合性生成基含有ポリエステル樹脂(a)と前記未変性ポリエステル樹脂(b)と前記結晶性ポリエステル樹脂(c)との混合質量比としては、通常(a)/(b)+(c)が5/95〜25/75であり、10/90〜25/75が好ましく、12/88〜25/75がより好ましく、12/88〜22/78が更に好ましく、かつ、(b)と(c)との質量比が、99/1〜50/50であり、95/5〜60/40が好ましく、90/10〜65/35がより好ましい。前記質量比が前記数値範囲を外れると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とが両立し難くなることがある。
−−水系媒体−−
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、該水と混和可能な溶剤、これらの混合物、などが挙げられる。
前記水と混和可能な溶剤としては、前記水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、などが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。前記セルソルブ類としては、例えば、メチルセルソルブ等が挙げられる。前記低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、メタノールが好ましい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、離型剤、帯電制御剤、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
前記含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィン、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、等が挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、等が挙げられる。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶媒成分を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、等が好適に挙げられる。
前記ワックス類としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、等が挙げられる。前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート等が挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド等が挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックス等が挙げられる。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜90℃が特に好ましい。
前記融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。
前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。
前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、等が挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に前記有機溶媒に直接、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後であって、後述するアルカリ洗浄後にトナー表面に固定させてもよい。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。該含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
前記無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機微粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積としては、20〜500m/gが好ましい。
前記無機微粒子の前記トナーにおける含有量としては、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.01〜2.0質量%がより好ましい。
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、等が挙げられる。
前記クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、等が挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
本発明のトナーは、以下のような、体積平均粒径(Dv)、体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)、平均円形度、針入度、低温定着性、オフセット発生温度、熱特性、画像濃度、BET比表面積などを有していることが好ましい。
前記トナーの体積平均粒径(Dv)としては、3〜8μmが好ましい。
前記体積平均粒径が、3μm未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、8μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記トナーにおける体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)としては、例えば、1.00〜1.25が好ましく、1.10〜1.25がより好ましい。
前記体積平均粒径と個数平均粒径との比(Dv/Dn)が、1.00未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させたり、クリーニング性を悪化させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、1.25を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記体積平均粒径、及び、前記体積平均粒径と個数平均粒子径との比(Dv/Dn)は、例えば、ベックマン・コールター社製の粒度測定器「マルチサイザーII」を用いて測定することができる。
前記平均円形度は、前記トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値であり、例えば、0.900〜0.980が好ましく、0.950〜0.975がより好ましい。なお、前記平均円形度が0.940未満の粒子が15%以下であることが好ましい。
前記平均円形度が、0.900未満であると、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがあり、0.980を超えると、ブレードクリーニングなどを採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがあり、あるいは、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。
前記平均円形度は、例えば、トナーを含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法などにより計測することができ、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス社製)等を用いて計測することができる。
前記針入度としては、例えば、針入度試験(JIS K2235−1991)で測定した針入度が、15mm以上であることが必要であり、20〜30mmがより好ましい。
前記針入度が、15mm未満であると、耐熱保存性が悪化することがある。
前記針入度は、JIS K2235−1991に従って測定することができ、具体的には、50mlのガラス容器にトナーを充填し、50℃の恒温槽に20時間放置する。このトナーを室温まで冷却し、針入度試験を行うことにより針入度を測定することができる。なお、前記針入度の値が大きい程、前記耐熱保存性が優れることを示している。
前記低温定着性としては、定着温度低下とオフセット未発生とを両立させる観点からは、定着下限温度が低くなるほど好ましく、また、オフセット発生温度が高くなるほど好ましく、定着温度低下とオフセット未発生とを両立させ得る温度領域としては、前記定着下限温度が150℃未満であり、前記オフセット発生温度が200℃以上である。
なお、前記定着下限温度は、例えば、画像形成装置を用い、転写紙をセットし、複写テストを行い、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度を定着下限温度としたものである。
前記オフセット発生温度は、例えば、画像形成装置を用いて、転写紙をセットし、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各単色、及び中間色としてレッド、ブルー、及びグリーンのベタ画像を各単色で現像されるように調整し、定着ベルトの温度が可変となるように調整して、オフセットの発生しない温度を測定することによって求めることができる。
前記熱特性は、フローテスター特性とも言われ、例えば、軟化温度(Ts)、流出開始温度(Tfb)、1/2法軟化点(T1/2)などとして評価される。
これらの熱特性は、適宜選択した方法により測定することができ、例えば、高架式フローテスターCFT500型(島津製作所製)を用いて測定したフローカーブから求めることができる。
前記軟化温度(Ts)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30℃以上が好ましく、50〜120℃がより好ましい。前記軟化温度(Ts)が、30℃未満であると、耐熱保存性及び低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
前記流出開始温度(Tfb)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃以上が好ましく、60〜150℃がより好ましい。前記流出開始温度(Tfb)が、50℃未満であると、耐熱保存性及び低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
前記1/2法軟化点(T1/2)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、60℃以上が好ましく、80〜170℃がより好ましい。前記1/2法軟化点(T1/2)が、60℃未満であると、耐熱保存性及び低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
前記画像濃度は、分光計(X−ライト社製、938 スペクトロデンシトメータ)を用いて測定した濃度値が、例えば、1.40以上が好ましく、1.45以上がより好ましく、1.50以上が特に好ましい。
前記画像濃度が、1.40未満であると、画像濃度が低く、高画質が得られないことがある。
前記画像濃度は、例えば、imagio Neo 450(株式会社リコー製)を用いて、複写紙(TYPE 6000<70W>;株式会社リコー製)に現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cmのベタ画像を定着ローラの表面温度が160±2℃で形成し、得られたベタ画像における任意の6箇所の画像濃度を、分光計(X−ライト社製、938 スペクトロデンシトメータ)を用いて測定しその平均値を算出することにより、測定することができる。
前記トナーにおけるBET比表面積としては、例えば、0.5〜8.0m/gが好ましく、0.5〜7.5m/gがより好ましい。
前記BET比表面積が、0.5m/g未満であると、トナー表面上に残存する有機微粒子が皮膜化又はトナー表面全体を密に覆う状態となり、樹脂微粒子がトナー内部のバインダー樹脂成分と定着紙との接着性を阻害し、定着下限温度の上昇が見られることがある一方、8.0m/gを超えると、樹脂微粒子がワックスのしみ出しを阻害し、ワックスの離型性効果が得られず、オフセットの発生が見られることがある。
前記トナーの比表面積は、BET法に従って測定することができ、例えば、比表面積測定装置トライスター3000(島津製作所製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することができる。
本発明のトナーの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーから選択される少なくとも1種とすることができ、各色のトナーは前記着色剤の種類を適宜選択することにより得ることができる。
本発明のトナーは、表面に存在する乳化剤、分散剤、イオン性不純物等の量が少ないので、帯電性能に優れ、環境安定性が良好であり、低温定着性に優れ、高品質な画像を形成することができる。また、本発明のトナーが、前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を水系媒体中で反応させて粒子状に生成させて得られる前記接着性基材を含むと、耐凝集性、帯電性、流動性、転写性、定着性等の諸特性に優れる。このため、本発明のトナーは、各種分野において好適に使用することができ、電子写真法による画像形成に、より好適に使用することができ、以下の本発明のトナー入り容器、現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に特に好適に使用することができる。
(トナーの製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、トナー造粒工程と、トナー洗浄工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
<トナー造粒工程>
前記トナー造粒工程は、前記ポリエステル樹脂を含有するトナーを造粒する工程である。なお、前記トナー造粒工程で得られ、乾燥する前のトナーを、以下「ウエットケーキ」又は「濾過ケーキ」と称することがある。
前記トナー造粒工程としては、トナーを造粒する工程であれば特に制限はなく、公知の懸濁重合法、乳化重合法、溶解懸濁法等によりトナーを造粒する工程などの中から適宜選択することができるが、水系媒体中で、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを乳化乃至分散させ、かつ反応させて接着性基材を生成しつつ該接着性基材を少なくとも含む粒子を得る工程が好ましい。
前記トナー造粒工程においては、例えば、水系媒体相の調製、有機溶媒相の調製、乳化乃至分散液の調製、その他(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)の合成、前記活性水素基含有化合物の合成等)を行う。
前記水系媒体相の調製は、例えば、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させることにより行うことができる。該樹脂微粒子の該水系媒体中の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5〜10質量%が好ましい。
前記有機溶媒相の調製は、前記有機溶媒中に、前記活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、前記結晶性ポリエステル樹脂、前記着色剤、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記未変性ポリエステル樹脂等のトナー材料を、溶解乃至分散させることにより行うことができる。
なお、前記トナー材料の中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)以外の成分は、前記水系媒体相調製において、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させる際に該水系媒体中に添加混合してもよいし、あるいは、前記トナー溶液を前記水系媒体相に添加する際に、該トナー溶液と共に前記水系媒体相に添加してもよい。
前記有機溶媒としては、前記トナー原料を溶解乃至分散可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、除去の容易性の点で沸点が150℃未満の揮発性のものが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、などが挙げられる。これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、などが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記トナー原料100質量部に対し、40〜300質量部が好ましく、60〜140質量部がより好ましく、80〜120質量部が更に好ましい。
前記乳化乃至分散液の調製は、先に調製した前記有機溶媒相を、先に調製した前記水系媒体相中に乳化乃至分散させることにより行うことができる。そして、該乳化乃至分散の際、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを伸長反応乃至架橋反応させると、前記接着性基材が生成する。
前記接着性基材(例えば、前記ウレア変性ポリエステル樹脂)は、例えば、(1)前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記有機溶媒相を、前記活性水素基含有化合物(例えば、前記アミン類(B))と共に、前記水系媒体相中に乳化乃至分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、(2)前記有機溶媒相を、予め前記活性水素基含有化合物を添加した前記水系媒体中に乳化乃至分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、あるいは(3)前記有機溶媒相を、前記水系媒体中に添加混合させた後で、前記活性水素基含有化合物を添加し、分散体を形成し、該水系媒体相中で粒子界面から両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよい。なお、前記(3)の場合、生成するトナー表面に優先的に変性ポリエステル樹脂が生成され、該トナー粒子において濃度勾配を設けることもできる。
前記乳化乃至分散により、前記接着性基材を生成させるための反応条件としては、特に制限はなく、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と前記活性水素基含有化合物との組合せに応じて適宜選択することができ、反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましく、反応温度としては、0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。
前記水系媒体相中において、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記分散体を安定に形成する方法としては、例えば、前記水系媒体相中に、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))、前記着色剤、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記未変性ポリエステル樹脂等の前記トナー材料を加えて、剪断力により分散させる方法、などが挙げられる。
前記分散は、その方法としては特に制限はなく、公知の分散機等を用いて適宜選択することができ、該分散機としては、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、などが挙げられる。これらの中でも、前記分散体の粒径を2〜20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。
前記高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度などの条件については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記回転数としては、1,000〜30,000rpmが好ましく、5,000〜20,000rpmがより好ましく、前記分散時間としては、バッチ方式の場合は、0.1〜5分が好ましく、前記分散温度としては、加圧下において0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。なお、前記分散温度は高温である方が一般に分散が容易である。
前記乳化乃至分散において、前記水系媒体の使用量としては、前記トナー原料100質量部に対し、50〜2,000質量部が好ましく、100〜1,000質量部がより好ましい。
前記使用量が、50質量部未満であると、前記トナーの分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、生産コストが高くなることがある。
前記乳化乃至分散においては、必要に応じて、粒度分布をシャープにし、安定に分散を行う観点から、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、などが挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。該フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等が挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。該陽イオン界面活性剤の中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。該カチオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子社製);フロラードFC−135(住友3M社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、などが挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物、クロライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、などが挙げられる。
前記酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。前記ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。前記クロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等が挙げられる。前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマー又は共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
前記乳化乃至分散液の調製においては、必要に応じて分散安定剤を用いることができる。
該分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能なもの等が挙げられる。
該分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法等によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することができる。
前記乳化乃至分散液の調製においては、前記伸長反応乃至前記架橋反応の触媒を用いることができる。該触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、等が挙げられる。
得られた分散液(乳化スラリー)から、有機溶媒を除去する。該有機溶媒の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、液滴中の前記有機溶媒を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法、等が挙げられる。
前記乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に、使用される溶媒のうち、最高沸点を有する溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流を使用することができる。また、スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルン等を用いて短時間の処理により乾燥雰囲気を形成してもよい。
そして、前記有機溶媒の除去が行われると、トナー粒子が形成される。
以上の工程により、前記ポリエステル樹脂を含有するトナーが造粒される。
<トナー洗浄工程>
前記トナー洗浄工程は、前記トナー造粒工程において造粒したトナーを、該トナーから抽出される全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)が200ppm/g以下となるまで、少なくともアルカリ洗浄する工程である。このトナー洗浄工程により、前記トナー、あるいは、前記樹脂微粒子の表面に存在する前記乳化剤、分散剤、イオン性不純物等を除去することができ、帯電性能の向上を図ることができる。
前記トナー洗浄工程により得られ、外添剤処理前のトナーを、以下「トナー母体粒子」と称することがある。
なお、ppm/gは、乾燥トナー1gから抽出される有機物成分中のカーボン量を意味する。また、アルカリ洗浄を複数回行う場合には、少なくとも最後のアルカリ洗浄後のトナーから抽出される全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)が200ppm/g以下であることが必要である。
前記トナー洗浄工程においては、アルカリ洗浄した後のトナーから抽出される全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)が少ないほど好ましく、例えば、200ppm/g以下となるまで、少なくとも前記アルカリ洗浄することが必要であり、150ppm/g以下が好ましく、100ppm/g以下がより好ましい。該TOC量が200ppm/gを超えると、帯電性能に劣ることがあり、特に、立ち上がりの帯電速度及び高温高湿下における帯電性能が低下することがある。
前記全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)の分析方法としては、例えば、全有機系炭素計(「TOC−5000A」;島津製作所製)を用い、アルカリ洗浄後のトナーから抽出されるカーボン量を求めることにより測定することができ、具体的には以下の方法により測定することができる。即ち、
まず、(1)測定するサンプルが、ウエットケーキや分散液である場合、該サンプルの固形分(質量%)を測定する。なお、該サンプルが固体トナーである場合には、固形分は100質量%であるとする。(2)前記サンプル(ウエットケーキ、分散液、トナーなど)7.5gを140mlビンに精秤し(これをS1とする)、(3)前記(2)に、pH9のKOHaq(水溶液)を47.5g添加し(これをS2とする)、(4)30℃以下にて超音波を30分間かけ、(5)マイクロチューブで約1.5ml遠心分離し、(6)前記(5)で得られた分離物における上澄みを、0.2μミクロフィルターを用いて濾過し、極微粒子を除去して、マイクロチューブに戻し、(7)濾過器を水道水、純水で洗浄後、前記(5)で得られた分離物における沈殿物を、1μmのフィルターにより濾過し、(8)該(7)で得られたろ液にHCl(35質量%)aqを2滴添加し、pHが3以下になることを確認し、(9)前記(8)で得られた溶液を精秤し(これをT1とする)、(10)更に前記(8)で得られた溶液に純水を添加し、6.0mgになるように希釈し、精秤した(これをT2とする)、(10)得られた処理液を高温で燃焼させ、該処理液中に含まれる有機物質中の炭素を炭酸ガスとして発生させ、該炭酸ガスを赤外線で分析することにより、前記TOC量を測定し(これをTOC測定値とする)、(11)下記数式に基づいて、前記TOC量を算出することができる。
<数式>
TOC(ppm/g)=TOC測定値×(S1+S2)/{S1×(固形分(質量%)/100)}×T2/T1
前記トナーの洗浄方法としては、少なくともアルカリ洗浄を行う限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルカリ洗浄後に、水洗浄し、酸洗浄し、水洗浄する方法や、アルカリ洗浄後に、水洗浄し、酸洗浄し、水洗浄し、アルカリ洗浄する方法が好適に挙げられる。
前記アルカリ洗浄を行うと、トナー粒子表面に存在する乳化剤、分散剤、イオン性不純物等を除去することができる。
特に、前記接着性基材を少なくとも含む粒子をトナーにおいては、粒度分布をシャープにするため、前記樹脂微粒子を分散(乳化)安定剤として使用するが、該樹脂微粒子がトナー表面に過剰に存在すると、定着性を阻害するほか、帯電性に悪影響を及ぼすことがあるため、除去することが好ましい。この点、前記樹脂微粒子は、酸性成分を含んでいるため、アルカリ洗浄により膨潤させたり溶解させることにより容易に除去することができる。また、前記接着性基材の生成には、前記アミン類が用いられるが、未反応のアミン類は、前記ポリエステル樹脂における酸性基(カルボキシル基)と会合体を形成し、乳化後の伸長反応が円滑に進まないことがあるほか、前記ポリエステル樹脂の酸性度が低くなり、帯電性が損なわれたり、紙との接着性が低下したりすることがある。この点、前記アルカリ洗浄を行うと、前記ポリエステル樹脂における末端カルボキシル基の水素原子がNa原子に置換され、その後、前記酸洗浄を行うと、前記ポリエステル樹脂における末端カルボキシル基が復活し、前記伸長反応を再び進行させることができる。
−アルカリ洗浄−
前記アルカリ洗浄においては、アルカリ洗浄後の洗浄液のpHが、例えば、6.0〜11.0であるのが好ましく、8.0〜10.0がより好ましい。該pHが6.0未満であると、アルカリ洗浄による帯電性能の向上や環境安定性の確保が図れないことがあり、11.0を超えると、前記ポリエステル樹脂の加水分解反応が生ずることがあるため好ましくない。
前記アルカリ洗浄時の温度T(℃)としては、トナーが溶融乃至合着しない温度であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般には10〜70℃程度であり、例えば、15〜60℃が好ましく、トナーのガラス転移温度をTg(℃)とすると、(Tg−10)≦T≦(Tg+10)がより好ましい。前記洗浄時の温度がガラス転移温度Tg付近であると、トナーの帯電性能が更に向上する。この理由として、ガラス転移温度Tg付近の温度では、高分子鎖が運動しているため、マトリックス中やトナー表面近傍に取り込まれた不純物が洗浄されやすくなり、また、帯電に寄与するカルボン酸基などの極性基が表面に出やすくなっていることが考えられる。
前記アルカリ洗浄の時間としては、前記ポリエステル樹脂の加水分解反応が生じない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記アルカリ洗浄時のpHや温度によって異なり、生産性や作業効率の向上の点で、例えば、1〜72時間が好ましく、1〜30時間がより好ましい。
前記アルカリ洗浄の回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、帯電性及び定着性に優れたトナーが得られる点で、複数回おこなうのが好ましい。
前記アルカリ洗浄においては、アルカリ洗浄後のトナー中のポリエステル樹脂における末端カルボキシル基の水素原子がNa原子で置換されているのが好ましい。前記アルカリ洗浄が行われると、前記ポリエステル樹脂における末端カルボキシル基の水素原子がNa原子に置換され、(−COONa)となり、帯電性能に優れ、耐電立ち上がりが良好なトナーが得られる。
前記アルカリ洗浄の洗浄液としては、アルカリ性の水溶液であれば特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択することができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩類、アンモニアなどの水溶液が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
前記アルカリ洗浄した後の洗浄液については、固液分離を行うのが好ましい。前記アルカリ洗浄を行うと、トナー表面から不純物(後述する樹脂微粒子等)が固体粒子として外れる。このとき、該不純物を含んだままの状態で洗浄液を濾過すると、該不純物もトナーと共に回収し、トナー中に共存させてしまうこととなるためである。
前記固液分離の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、デカンター(沈降分離装置)を好適に使用することができる。
−水洗浄−
前記水洗浄は、前記アルカリ洗浄や前記酸洗浄を行った後に、続けて行うのが好ましい。前記アルカリ洗浄後に、前記水洗浄を行わずに前記酸洗浄を行うと、アニオン性不純物が完全に洗浄される前に再付着し、洗浄が不十分となり、帯電性能の向上や環境安定性の確保を図ることができない。
前記水洗浄の洗浄液としては、例えば、イオン交換水が好ましい。
前記アルカリ洗浄後、固液分離し、水洗浄した後の洗浄液の伝導度としては、例えば、0.5〜60μS/cmが好ましく、2〜20μS/cmがより好ましい。該伝導度が0.5μS/cm未満、あるいは、60μS/cmを超えると、帯電性能を向上させることができないことがある。
前記洗浄液の伝導度を前記数値範囲内に設定するためには、前記トナー及び前記樹脂微粒子の表面に存在するアニオン性不純物を除去することが重要であり、例えば、前記アニオン性不純物の再付着を防止するため、前記アルカリ洗浄後に水洗浄を行うのが好ましい。
−酸洗浄−
前記酸洗浄においては、酸洗浄時の洗浄液(酸洗浄中のスラリー)のpHが、例えば、1〜5であるのが好ましく、1〜4がより好ましい。
帯電性能の向上及び環境安定性の確保の点で、前記アルカリ洗浄同様、前記酸洗浄した後の洗浄液の伝導度が重要となる。すなわち、前記酸洗浄をした後の洗浄液の伝導度としては、例えば、60μS/cm以下が好ましい。該伝導度が60μS/cmを超えると、帯電性能を向上させることができないことがある。
前記洗浄液の伝導度を前記数値範囲内に設定するためには、カチオン性不純物を除去することが重要であり、例えば、前記トナー及び前記樹脂微粒子の表面に付着乃至結合するカチオン性不純物の再付着を防止するため、前記酸洗浄の後に水洗浄を行うのが好ましい。
なお、酸洗浄時の温度及び時間は、前記アルカリ洗浄と同様である。
前記酸洗浄においては、酸洗浄をした後のトナー中のポリエステル樹脂における末端カルボキシル基が置換されていない(−COOHである)のが好ましい。該末端カルボキシル基が置換されていない、すなわち、(−COOH)であると、前記ポリエステル樹脂の極性が高くなるため、紙との親和性が高まり、定着下限温度を下げることができる。また同時にトナーの帯電極性を負帯電に高めることができる。
前記酸洗浄の洗浄液としては、酸性の水溶液であれば特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択することができ、例えば、塩酸、酢酸、リン酸、硝酸などの水溶液が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩酸、硝酸が好ましい。
以上の工程により、前記トナー造粒工程において造粒されたトナーが、該トナーから抽出される全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)が200ppm/g以下となるまで、少なくともアルカリ洗浄される。
<その他の工程>
前記洗浄されたトナー粒子に対し、乾燥等を行うことができ、更にその後、所望により分級等を行うことができる。該分級は、例えば、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができ、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよいが、生産効率の点で、液中で行うのが好ましい。その際、得られた不要の微粒子や粗粒子は、再び混練工程に戻して粒子の形成に使用することができる。なお、該微粒子又は該粗粒子は、ウェットの状態でもよい。
こうして、得られたトナー粒子を、前記着色剤、離型剤、前記帯電制御剤等の粒子と共に混合したり(外添剤処理)、更に機械的衝撃力を印加することにより、該トナー粒子の表面から該離型剤等の粒子が脱離するのを防止することができる。
なお、前記外添剤処理後のトナーを、以下、単に「トナー」と称することがある。
前記機械的衝撃力を印加する方法としては、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し加速させて粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法、等が挙げられる。この方法に用いる装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢、等が挙げられる。
以上の工程により、前記トナー洗浄工程において洗浄されたトナーが乾燥され、分級されてトナーが製造される。
本発明のトナーの製造方法によれば、前記トナー造粒工程において造粒されたトナーが、前記トナー洗浄工程において、該トナーから抽出される全有機体炭素溶出量(TOC量)が200ppm/g以下となるまでアルカリ洗浄されるので、トナー、あるいは、樹脂微粒子の表面に存在する乳化剤、分散剤、イオン性不純物等が除去され、帯電性能に優れ、環境安定性が良好であり、低温定着性に優れ、高画質が得られるトナーを効率的に製造することができる。
(現像剤)
本発明の現像剤は、本発明のトナーを少なくとも含有してなり、前記キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
本発明の前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、本発明の前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料等が好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径としては、体積平均粒径で、10〜150μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。
前記平均粒径(体積平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミノ系樹脂としては、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる前記ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。前記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂等が挙げられる。前記ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、等が挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、等が挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート、等が挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。
前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記現像剤が前記二成分現像剤である場合、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90〜98質量%が好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
本発明の現像剤は、前記トナーを含有しているので、帯電性能、低温定着性等に優れ、高画質な画像を安定に形成することができる。
本発明の現像剤は、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができ、以下の本発明のトナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に特に好適に用いることができる。
(トナー入り容器)
本発明のトナー入り容器は、本発明のトナー乃至前記現像剤を容器中に充填してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー入り容器本体とキャップとを有してなるもの、等が好適に挙げられる。
前記トナー入り容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、円筒状等が好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有しているもの、等が特に好ましい。
前記トナー入り容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、等が好適に挙げられる。
本発明のトナー入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述する本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けてトナーの補給に好適に使用することができる。
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、各種電子写真装置に着脱自在に備えさせることができ、後述する本発明の電子写真装置に着脱自在に備えさせるのが好ましい。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(「光導電性絶縁体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、等が挙げられる。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、等の各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、本発明の前記トナー入り容器を備えた現像器等がより好ましい。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、等が好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、本発明の前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。該現像剤に含まれるトナーは、本発明の前記トナーである。
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、等が挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
−定着工程及び定着手段−
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着手段を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、等が挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図1を参照しながら説明する。図1に示す画像形成装置100は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10(以下「感光体10」という)と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されており、また、最終転写材としての転写紙95に現像像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
現像装置40は、前記現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体10と接触している。
図1に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。該可視像(トナー像)が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図2を参照しながら説明する。図2に示す画像形成装置100は、図1に示す画像形成装置100において、現像ベルト41を備えてなく、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図1に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図2においては、図1におけるものと同じものは同符号で示した。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図3を参照しながら説明する。図3に示す画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置である。タンデム画像形成装置100は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図3中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、タンデム画像形成装置100においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図4に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、該感光体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図4中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー像を形成する現像器61と、該トナー像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
本発明の画像形成装置及び画像形成方法では、帯電性能に優れ、環境安定性が良好であり、低温定着性等に優れる本発明の前記トナーを用いるので、高画質が効率よく得られる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(合成例1)
−結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成−
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対の付いた5リットルの四つ口フラスコに、1,4−ブタンジオール2,070g、フマル酸2,535g、無水トリメリット酸291g、及びハイドロキノン4.9gを入れ、160℃にて5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、更に8.3kPaにて1時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂(1)を合成した。
得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)は、融解温度(Tm)が128℃、DSC吸熱ピーク温度が130℃、オルトジクロロベンゼン可溶分のGPCによる分子量分布は、数平均分子量(Mn)で900、重量平均分子量(Mw)で3,500、Mw/Mnで3.89であった。また、赤外吸収スペクトルにおいて、オレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を測定したところ、970cm−1であった。結晶性ポリエステル樹脂(1)の特性を表1に示す。
(合成例2〜6)
−結晶性ポリエステル樹脂(2)〜(6)の合成−
合成例1において、酸成分の使用量を、表1に示すように変えた以外は、合成例1と同様にして、合成例2〜6の結晶性ポリエステル樹脂(2)〜(6)を合成した。得られた結晶性ポリエステル樹脂の特性を表1に示す。
Figure 0004494317
(調製例1)
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製−
金属製2L容器に、合成例4で合成した前記結晶性ポリエステル樹脂(4)を100g、及び酢酸エチル400gを採り、79℃で加熱溶解させた後、氷水浴中で冷却した。これに、ガラスビーズ(3mmφ)500mlを加え、バッチ式サンドミル装置(カンペハピオ社製)で10時間粉砕を行った後、酢酸エチルを一部留去し、体積平均粒径が0.4μm、固形分濃度50質量%の結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
(調製例2〜6)
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)〜(6)の調製−
調製例1において、分散条件を表2に示すように変えた以外は、調製例1と同様にして、調製例2〜6の結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)〜(6)を調製した。
Figure 0004494317
(実施例1)
<トナー造粒工程>
以下のようにして接着性基材を生成しつつトナーを製造した。
−有機溶媒相の調製−
−−未変性ポリエステル(低分子ポリエステル)の合成−−
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物220質量部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を投入し、常圧下、230℃にて8時間反応させた。次いで、該反応液を10〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸44質量部を添加し、常圧下、180℃にて2時間反応させて、未変性ポリエステルを合成した。
得られた未変性ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,500、重量平均分子量(Mw)が6,700、ガラス転移温度(Tg)が43℃、酸価が25であった。
−−マスターバッチ(MB)の調製−−
着色剤としてのカーボンブラック(「Printex35」;デクサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540質量部、ポリエステル樹脂(「RS801」;三洋化成工業製、酸価=10、重量平均分子量(Mw)=20,000、ガラス転移温度(Tg)=64℃)1200質量部、及び水1200質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合した。該混合物を二本ロールで150℃にて30分混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で直径1mmの大きさに粉砕して、マスターバッチを調製した。
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、前記未変性ポリエステル378質量部、カルナバワックス92質量部、CCA(「サリチル酸金属錯体E−84」;オリエント化学工業製)22質量部、及び酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下、80℃まで昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間かけて30℃まで冷却した。次いで、反応容器中に、前記マスターバッチ500質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、1時間混合して原料溶解液を得た。
得られた原料溶解液1324質量部を反応容器に移し、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスして、前記カーボンブラック、及びカルナバワックスの分散を行った。次いで、該ワックス分散液に前記未変性ポリエステルの65質量%酢酸エチル溶液1042.3質量部を添加した。上記同様の条件のビーズミルで1パスし、分散させ、有機溶媒相(1)を調製した。
得られた有機溶媒相の固形分濃度(130℃、30分)は、50質量%であった。
−油相混合液の調製−
−−プレポリマーの合成−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10〜15mHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。
得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,500、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5、水酸基価が51であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記中間体ポリエステル410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、プレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成した。
得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.53質量%であった。
−−ケチミン(前記活性水素基含有化合物)の合成−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170質量部及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(前記活性水素基含有化合物)を合成した。
得られたケチミン化合物(前記活性水素機含有化合物)のアミン価は418であった。
反応容器中に、前記有機溶媒相664質量部、前記プレポリマー109.4質量部、及び前記ケチミン化合物4.6質量部を仕込み、TK式ホモミキサー(特殊機化製)を用いて、5,000rpmにて1分間混合して、油相混合液を得た。
−水系媒体相の調製−
−−微粒子分散液の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」;三洋化成工業製)11質量部、スチレン83質量部、メタクリル酸83質量部、アクリル酸ブチル110質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分で15分間攪拌し、白色の乳濁液を得た。該乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温して5時間反応させた。次いで、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を添加し、75℃にて5時間熟成してビニル樹脂粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(微粒子分散液)を調製した。
得られた微粒子分散液に含まれる微粒子の体積平均粒径を、レーザー光散乱法を用いた粒径分布測定装置(「LA−920」;堀場製作所社製)を用いて測定したところ、105nmであった。また、該微粒子分散液(1)の一部を乾燥して樹脂分を単離し、該樹脂分のガラス転移温度(Tg)を測定したところ、59℃であり、重量平均分子量(Mw)を測定したところ150,000であった。
水990質量部、前記微粒子分散液83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を、混合撹拌し、乳白色の液体(水系媒体相)を得た。
−乳化・分散−
反応容器中に、前記油相混合液809質量部、及び前記水系媒体1200質量部を加え、前記TK式ホモミキサーで、回転数13,000rpmにて20分間混合して、乳化スラリーを調製した。
次に、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に、前記乳化スラリーを仕込み、30℃にて8時間脱溶媒した後、40℃にて4時間熟成を行い、分散スラリー(1)を得た。
得られた分散スラリー(1)は、マルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)で測定した体積平均粒径が5.00μm、個数平均粒径が4.50μmであった。
<トナー洗浄工程>
前記分散スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)してスラリーを調製した。ここで、トナーのガラス転移温度(Tg)は43℃であった。
−アルカリ洗浄(1)−
得られたスラリーを攪拌しながら、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を、pHが10.5になるように加え、液温25℃にて2時間アルカリ洗浄を行った後、得られた洗浄液を、デカンター(沈降分離装置)を用いて固液分離し、更に減圧濾過を行い濾過ケーキを得た。
ここで、アルカリ洗浄した後の濾過ケーキから抽出される全有機体炭素溶出量(前記TOC量)を、全有機系炭素計(「TOC−5000A」;島津製作所製)を用い、下記方法に基づいて測定した。
得られた濾過ケーキを乾燥させ、固形分量を測定した。次いで、前記濾過ケーキ7.5gを140mlビンに精秤し(S1)、pH9のKOHaq(水溶液)を47.5g添加し(S2)、30℃以下にて超音波を30分間かけ、マイクロチューブで約1.5ml遠心分離した。得られた分離物における上澄みを、0.2μミクロフィルターを用いて濾過し、極微粒子を除去してからマイクロチューブに戻し、濾過器を水道水、純水で洗浄後、前記分離物における沈殿物を、1μmのフィルターにより濾過し、得られた濾液にHCl(35質量%)aqを2滴添加し、pHが3以下になることを確認した。得られた溶液を精秤し(T1)、更に純水を添加し、6.0mgになるように希釈し、精秤した(T2)。得られた処理液を680℃にて燃焼させ、該処理液中に含まれる有機物質中の炭素を炭酸ガスとして発生させ、該炭酸ガスを赤外線で分析し、前記アルカリ洗浄した後の濾過ケーキから抽出される全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)を測定し(TOC測定値)、下記数式に基づいて、トナー1g(乾燥品)あたりの前記TOC量を算出した。
<数式>
TOC(ppm/g)=TOC測定値×(S1+S2)/{S1×(固形分(質量%)/100)}×T2/T1
その結果、TOC量は180ppm/gであった。結果を表6に示す。
−水洗浄(1)−
前記アルカリ洗浄で得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を、水洗浄後の濾液の伝導度が20μS/cmになるまで繰り返し行い、濾過ケーキを得た。
−酸洗浄−
前記水洗浄(1)で得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)してスラリーを調製した。該スラリーに10質量%塩酸水溶液を、pHが3.0になるように加え、液温25℃にて30分間酸洗浄を行った後、濾過し、濾過ケーキを得た。
−水洗浄(2)−
前記酸洗浄で得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を、水洗浄後の濾液の伝導度が10μS/cmになるまで繰り返し行い、濾過ケーキを得た。
−アルカリ洗浄(2)−
前記水洗浄(2)で得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)してスラリーを調製した。該スラリーに10質量%水酸化ナトリウム水溶液を、pHが7.0になるように加え、液温25℃にて2時間アルカリ洗浄を行った後、得られた洗浄液を、デカンター(沈降分離装置)を用いて固液分離し、更に減圧濾過を行い濾過ケーキを得た。
得られた濾過ケーキを乾燥させ、固形分量を測定した。次いで、前記アルカリ洗浄(1)と同様にして、トナー1g(乾燥品)あたりのTOC量を算出した。その結果、TOC量は90ppm/gであった。結果を表6に示す。
−水洗浄(3)−
前記アルカリ洗浄(2)で得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を、水洗浄後の濾液の伝導度が17μS/cmになるまで繰り返し行い、最終濾過ケーキを得た。
−乾燥−
得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機にて40℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、実施例1のトナー母体粒子を得た。
−外添剤処理−
得られた実施例1のトナー母体粒子100質量部に対し、外添剤としての疎水性シリカ0.7質量部と、疎水化酸化チタン0.3質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合処理し、実施例1のトナーを製造した。
(実施例2〜7)
実施例1において、トナーの洗浄条件を、表1に示す洗浄条件にそれぞれ変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜7のトナー母体粒子を製造した。なお、実施例3〜4及び実施例6〜7では、アルカリ洗浄後に、水洗浄し、酸洗浄し、水洗浄し、アルカリ洗浄を1回しか行わなかった。
得られた濾過ケーキを乾燥させ、固形分量を測定した。次いで、実施例1における前記アルカリ洗浄(1)と同様にして、トナー1g(乾燥品)あたりのTOC量を算出した。結果を表6に示す。
得られた実施例2〜7のトナー母体粒子につき、実施例1と同様にして、それぞれ外添剤処理を行い、実施例2〜7のトナーを製造した。
Figure 0004494317
(実施例8)
<トナー造粒工程>
実施例1における前記油相混合液の調製において、調製例1で得られた前記結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)200質量部を添加した以外は、実施例1と同様にして油相混合液を調製し、該油相混合液を用いて分散スラリー(2)を得た。
<トナー洗浄工程>
得られた分散スラリー(2)について、トナーの洗浄条件を表5に示す洗浄条件に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例8のトナー母体粒子を製造した。
なお、実施例1と同様にして、アルカリ洗浄した後のトナー1g(乾燥品)あたりの前記TOC量を測定した。結果を表6に示す。
−外添剤処理−
得られた実施例8のトナー母体粒子につき、実施例1と同様にして、外添剤を添加し、実施例8のトナーを製造した。
(実施例9〜13)
<トナー造粒工程>
実施例1における油相混合相の調製において、調製例2〜6で得られた前記結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)〜(6)をそれぞれ200質量部添加した以外は、実施例1と同様にして油相混合液を調製し、該油相混合液を用いて分散スラリー(3)〜(7)をそれぞれ得た。なお、油相混合液における結晶性ポリエステル樹脂分散液と分散スラリーとの関係を表4に示す。
Figure 0004494317
<トナー洗浄工程>
実施例1において、トナーの洗浄条件を、表5に示す洗浄条件に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例9〜13のトナー母体粒子を製造した。
なお、実施例1と同様にして、アルカリ洗浄した後のトナー1g(乾燥品)あたりの前記TOC量を測定した。結果を表6に示す。
−外添剤処理−
得られた実施例9〜13のトナー母体粒子につき、実施例1と同様にして、外添剤を添加し、実施例9〜13のトナーをそれぞれ製造した。
(実施例14)
実施例1における前記水系媒体相の調製において、前記微粒子分散液を下記方法により調製した微粒子分散液に代えた以外は、実施例1と同様にして、分散スラリーを調整し、表5に示す洗浄条件により前記トナー洗浄工程を行い、トナー母体粒子を製造し、更に外添剤処理を行い、トナーを製造した。
−微粒子分散液の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」;三洋化成工業製)11質量部、スチレン80質量部、メタクリル酸83質量部、アクリル酸ブチル110質量部、チオグリコール酸ブチル12質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分で15分間攪拌し、白色の乳濁液を得た。該乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温して5時間反応させた。次いで、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を添加し、75℃にて5時間熟成してビニル樹脂粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(微粒子分散液)を調製した。
得られた微粒子分散液に含まれる微粒子の体積平均粒径を、レーザー光散乱法を用いた粒径分布測定装置(「LA−920」;堀場製作所社製)を用いて測定したところ、120nmであった。また、該微粒子分散液(2)の一部を乾燥して樹脂分を単離し、該樹脂分のガラス転移温度(Tg)を測定したところ、42℃であり、重量平均分子量(Mw)を測定したところ30,000であった。
(実施例15)
実施例3において、前記トナー洗浄工程における洗浄条件を、表5に示すように、アルカリ洗浄条件を強化した以外は、実施例3と同様にして、トナーを製造した。なお、実施例1と同様にして、アルカリ洗浄した後のトナー1g(乾燥品)あたりの前記TOC量を測定した。結果を表6に示す。
(比較例1)
実施例3において、前記トナー洗浄工程における洗浄条件を、表5に示すように変えて、アルカリ洗浄をした後に、水洗浄を行わず、続けて酸洗浄を行った以外は、実施例3と同様にしてトナーを製造した。なお、実施例1と同様にして、アルカリ洗浄した後のトナー1g(乾燥品)あたりの前記TOC量を測定した。結果を表6に示す。
(比較例2)
実施例3において、前記トナー洗浄工程における洗浄条件を、表5に示すように、アルカリ洗浄条件を弱くした以外は、実施例3と同様にして、トナーを製造した。なお、実施例1と同様にして、アルカリ洗浄した後のトナー1g(乾燥品)あたりの前記TOC量を測定した。結果を表6に示す。
(比較例3)
実施例3において、前記トナー洗浄工程における洗浄条件を、表5に示すように変え、アルカリ洗浄を行わなかった以外は、実施例3と同様にして、トナーを製造した。なお、実施例1と同様にして、アルカリ洗浄した後のトナー1g(乾燥品)あたりの前記TOC量を測定した。結果を表6に示す。
Figure 0004494317
Figure 0004494317
次に、外添剤処理済の実施例1〜15及び比較例1〜3の各トナー5質量%と、シリコーン樹脂で被覆した平均粒径40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95質量%とから常法により実施例1〜15及び比較例1〜3の各現像剤を製造した。
得られた各トナー及び各現像剤を用いて、以下のようにして、(a)トナー粒径(b)帯電量、及び(c)定着性(オフセット発生温度及び定着下限温度)を評価した。結果を表7に示す。
(a)トナー粒径
トナー粒径は、トナーの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)を、粒度測定器(「マルチサイザーII」;ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定した。これらの結果から粒度分布(体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn))を算出した。
(b)帯電量
シリコーン樹脂で被覆した平均粒径40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア100質量部に対し実施例1〜15及び比較例1〜3で得られたトナー7質量部を計量し、高温高湿度(HH)環境(温度30℃、湿度90%)、及び中温中湿度(NN)環境(温度25℃、湿度50%)において、24時間放置し、その後、密閉可能な金属円柱に仕込み、10分間、280rpmの速度で回転、攪拌した後、ブローを行い帯電量を測定した。
(c)定着性(オフセット発生温度及び定着下限温度)
タンデム型カラー電子写真装置(imagio Neo 450、株式会社リコー製)を用いて、普通紙(TYPE6200、株式会社リコー製)及び厚紙の転写紙(複写印刷用紙<135>、NBSリコー製)を用いて、定着性(オフセット発生温度及び定着下限温度)を評価した。なお、前記タンデム型カラー電子写真装置は、A4サイズの用紙を、毎分45毎連続印刷することが可能である。
<オフセット発生温度>
画像形成は、前記タンデム型カラー電子写真装置を用いて、前記普通紙に、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各単色、及び中間色としてレッド、ブルー、及びグリーンのベタ画像を各単色で、1.0±0.1mg/cmのトナーが現像されるように調整した。得られた画像を定着ベルト(加熱ローラ)の温度を変えて定着し、オフセットの発生する定着温度(オフセット発生温度)を測定した。
<定着下限温度>
画像は、前記前記タンデム型カラー電子写真装置を用いて、前記厚紙をセットし、複写テストを行った。得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
Figure 0004494317
表7の結果より、以下のことが明らかである。即ち、実施例1〜15では、帯電性能に優れ、特に、高温高湿下にて長時間保存した場合でも、優れた帯電性能を有し、環境安定性が良好なトナーが得られた。また、該トナーは、耐ホットオフセット性及び低温定着性に優れることが判った。なお、実施例15では、アルカリ洗浄条件を強化したため、アルカリが過度となり、ポリエステル樹脂を侵食し、トナーの粒度分布が崩れることが判った。
更に、実施例1〜15及び比較例1〜3で得られた、乾燥、外添剤処理後のトナーをアルカリ洗浄した後のトナー1g(乾燥品)あたりの前記全有機体炭素溶出量と、帯電立ち上がり性との関係を、下記方法に基づいて評価した。結果を表8及び図5に示す。
<全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)>
前記TOC量は、全有機系炭素計(「TOC−5000A」;島津製作所製)を用いて測定した。まず、アルカリ洗浄後の各トナー7.5gを140mlビンに精秤し(S1)、pH9のKOHaq(水溶液)を47.5g添加し(S2)、30℃以下にて超音波を30分間かけ、マイクロチューブで約1.5ml遠心分離した。得られた分離物における上澄みを、0.2μミクロフィルターを用いて濾過し、極微粒子を除去してからマイクロチューブに戻し、濾過器を水道水、純水で洗浄後、前記分離物における沈殿物を、1μmのフィルターにより濾過し、得られた濾液にHCl(35質量%)aqを2滴添加し、pHが3以下になることを確認した。得られた溶液を精秤し(T1)、更に純水を添加し、6.0mgになるように希釈し、精秤した(T2)。得られた処理液を680℃にて燃焼させ、該処理液中に含まれる有機物質中の炭素を炭酸ガスとして発生させ、該炭酸ガスを赤外線で分析し、前記アルカリ洗浄した後のトナーから抽出される全有機体炭素溶出量(トータル・オーガニック・カーボン(TOC)量)を測定し(TOC測定値)、下記数式に基づいて、トナー1g(乾燥品)あたりの前記TOC量を算出した。なお、トナーの固形分量は100質量%である。
<数式>
TOC(ppm/g)=TOC測定値×(S1+S2)/{S1×(固形分(質量%)/100)}×T2/T1
<帯電立ち上がり性>
シリコーン樹脂で被覆した平均粒径40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア100質量部に対し実施例1〜15及び比較例1〜3で得られたトナー7質量部を計量し、密閉可能な金属円柱に仕込み、15秒間、280rpmの速度で回転、攪拌した後、ブローを行い帯電量を測定した。なお、負の帯電量が大きいものほど、帯電立ち上がり性に優れることを意味し、負の帯電量は、−20μC/gよりも大きいことが好ましい。この場合、画像形成装置で補給されたトナーが、速やかに帯電し、良好な画像を得ることができる。
Figure 0004494317
表8及び図5より、前記TOC量と帯電立ち上がり性とは、密接に関係しており、実施例1〜15では、乾燥及び外添剤処理後のトナーにおいても前記TOC量が低いため、帯電立ち上がり性に優れることが判った。一方、比較例1〜3のトナーは、前記TOC量が高く、帯電立ち上がり性に劣ることが判った。
本発明のトナーは、帯電性能に優れ、環境安定性が良好であり、低温定着性に優れる。このため、高品質な画像形成に好適に使用される。本発明のトナーを用いた本発明の現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法は、高品質な画像形成に好適に使用される。
図1は、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の例を示す概略説明図である。 図2は、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の例を示す概略説明図である。 図3は、本発明の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)により本発明の画像形成方法を実施する一例を示す概略説明図である。 図4は、図3に示す画像形成装置における一部拡大概略説明図である。 図5は、アルカリ洗浄した後のトナーから抽出されるTOC量と、該トナーの帯電量との関係の一例を示すグラフ図である。
符号の説明
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100 画像形成装置
110 ベルト式定着装置
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)

Claims (9)

  1. ポリエステル樹脂を含有するトナーを造粒するトナー造粒工程と、
    造粒したトナーを、アルカリ洗浄後に、水洗浄し、酸洗浄し、水洗浄し、該トナーから抽出される全有機体炭素溶出量(TOC量)が200ppm/g以下となるまで、少なくともアルカリ洗浄するトナー洗浄工程と、を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  2. ポリエステル樹脂を含有するトナーを造粒するトナー造粒工程と、
    造粒したトナーを、アルカリ洗浄後に、水洗浄し、酸洗浄し、水洗浄し、アルカリ洗浄し、水洗浄する該トナーから抽出される全有機体炭素溶出量(TOC量)が200ppm/g以下となるまで、少なくともアルカリ洗浄するトナー洗浄工程と、を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  3. アルカリ洗浄後の洗浄液のpHが6.0〜11.0である請求項1から2のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  4. アルカリ洗浄後、固液分離し、水洗浄した後の洗浄液の伝導度が0.5〜60μS/cmである請求項からのいずれかに記載のトナーの製造方法。
  5. アルカリ洗浄の洗浄液が水酸化ナトリウム水溶液である請求項からのいずれかに記載のトナーの製造方法。
  6. アルカリ洗浄時の温度が10〜70℃である請求項からのいずれかに記載のトナーの製造方法。
  7. アルカリ洗浄時の温度T(℃)が、トナーのガラス転移温度をTg(℃)とすると、(Tg−10)≦T≦(Tg+10)である請求項からのいずれかに記載のトナーの製造方法。
  8. アルカリ洗浄の時間が1〜72時間である請求項からのいずれかに記載のトナーの製造方法。
  9. トナー造粒工程が、水系媒体中で、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを乳化乃至分散させ、かつ反応させて接着性基材を生成しつつ該接着性基材を少なくとも含む粒子を得る工程である請求項からのいずれかに記載のトナーの製造方法。
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