JP6413247B2 - トナー、及び該トナーを用いた現像剤 - Google Patents

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本発明は、トナー、該トナーを用いた現像剤に関する。
従来から、電子写真方式の画像形成装置などにおいて、電気的又は磁気的に形成された潜像は、電子写真用トナー(以下、単に「トナー」と称することもある)によって顕像化されている。
例えば、電子写真法では、感光体上に静電荷像(潜像)を形成し、次いで、該潜像をトナーにより現像して、トナー画像を形成している。トナー画像は、通常、紙などの転写材上に転写され、次いで、紙などの転写材上に定着される。そして、トナー像を転写紙上に定着する定着工程においては、そのエネルギー効率の良さから、加熱ローラ定着方式や加熱ベルト定着方式といった熱定着方式が広く一般に用いられている。
近年では、画像形成装置の高速化、省エネルギー化に対する市場からの要求は益々大きくなり、低温定着性に優れ、高品位な画像を提供できるトナーが求められている。
トナーの低温定着性を達成するためには、トナーの結着樹脂の軟化温度を低くする方法がある。しかし、前記結着樹脂の軟化温度が低いと、定着時にトナー像の一部が定着部材の表面に付着し、これがコピー用紙上に転移する、いわゆるオフセット(以下、ホットオフセットとも呼ぶ)が発生しやすくなる。また、トナーの耐熱保存性が低下し、特に高温環境下においてトナー粒子同士が融着する、いわゆるブロッキングが発生する。
その他、現像器内においてもトナーが現像器内部やキャリアに融着して汚染する問題やトナーが感光体表面にフィルミングしやすくなる問題がある。
これらの問題を解決するために、結晶性樹脂と非晶性樹脂を併用したトナーが従来から数多く提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。これらは、従来の非晶性樹脂のみからなるトナーに較べて、低温定着性と耐熱保存性の両立性を向上させたものである。
しかし、結晶性樹脂の添加量が多くなると画像の耐擦性が悪化するという問題がある。すなわち、熱定着時に定着媒体上でトナーが溶融すると、結晶性樹脂と非晶性樹脂とが相分離し、溶融状態で軟質の結晶性樹脂が画像表面に浮き出て、トナー中の結晶性樹脂が再び結晶化するまでに時間を要するため、トナー画像表面が軟らかい状態で排紙工程に送られる。
このため、排紙工程における排紙ローラ、搬送部材などとの接触、及び摺擦によって、画像表面に傷跡が生じたり、光沢度の変化が発生する問題がある。
また、分子量の異なる結晶性樹脂をブレンドし、定着後の結晶成長速度を向上させることでトナー強度を改善する技術が提案されている(例えば特許文献3)。
しかし、定着工程後から排紙工程における排紙ローラを通過するまでの時間は一般的に数秒から数十秒であり、画像の耐擦性を解決できるものではなく、また、結晶性樹脂の添加量も制限されるため、耐擦性と低温定着性とを十分に満足させる技術ではない。
また、結晶性を有するセグメントと、非晶性を有するセグメントとを化学的に結合させた樹脂を使用したトナーが数多く提案されている。
例えば、結晶性ポリエステルと、ポリウレタンとを結合させた樹脂を結着樹脂に用いたトナーが提案されている(例えば、特許文献4及び5参照)。また、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルとを結合させた樹脂を結着樹脂に用いたトナーが提案されている(例えば、特許文献6、7参照)。
これらの提案の技術は、非晶性を有するセグメント中に結晶性を有するセグメントを微分散でき、さらにトナー粒子表面や画像表面に結晶性を有するセグメントが露出することが抑制されるため、結晶性を有するセグメントの量を比較的多くすることができる。
しかしながら、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルとを結合させた樹脂は、結晶性セグメントの量を調整しても、定着後に結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルとが相分離せず、結晶性セグメントと非晶性セグメントとが相溶して結晶化度が低下し、低温定着性の改善と画像耐擦性向上のトレードオフの関係は解消されないため、さらなる低温定着性の要求に応えられるものではなかった。
また、定着後に結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルとを相分離させるために、結晶性樹脂と結晶性セグメントと非晶性セグメントとを化学的に結合させた樹脂とを併用しても、前記結晶性樹脂が適切に用いられない場合には、単純に結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用した場合と同様、定着前での相分離の度合いが大きく、電子写真の作像工程内の定着部位外で熱が加えられる場合には、キャリア汚染やフィルミングの発生による、帯電特性の悪化が発生し、好適な画像濃度が得られない。
しかるに、定着前の結晶性樹脂由来のドメイン径が、好適となるよう制御する手段の開発が望まれるところである。
したがって、本発明は、高いレベルで低温定着性と耐熱保存性とを両立でき、さらに優れた耐擦性を有するトナーであり、良好な帯電特性、画像濃度が得られるトナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、結晶性セグメントと非晶性セグメントとを化学的に結合させ、ブロック共重合樹脂とし、さらに結晶性樹脂を添加して結晶化度を向上させ、所望のスピン−スピン緩和時間を満たすことで、低温定着性だけでなく、結晶性セグメントの分子運動が拘束され、耐熱保存性を向上すると共に、結晶性セグメントの結晶化度が高くなって耐擦性も向上でき、その結果良好な帯電特性および画像濃度が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
上記課題は、本発明の、下記(1)〜(11)によって解決される。
(1)少なくとも結着樹脂を含有するトナーであって、前記結着樹脂は、非晶性ポリエステル部位(A)と結晶性ポリエステル部位(C)とを有するブロック共重合樹脂と、結晶性樹脂とを含有するものであり、前記トナーのパルスNMRにより測定される130℃から70℃まで降温したときの70℃におけるスピン−スピン緩和時間(t’70)が、0.3ms以上2.0ms以下であることを特徴とするトナー。
(2)トナーの疎水化度が40%以上80%以下であることを特徴とする前記(1)項に記載のトナー。
(3)前記トナーは、40℃の酢酸エチルに溶解しない不溶分を乾燥させた乾固物を示差走査熱量(DSC)測定したとき、2回目の昇温時における融解熱のピーク温度が60℃以上100℃以下に存在するものであることを特徴とする前記(1)項または(2)項に記載のトナー。
(4)前記ブロック共重合樹脂は、非晶性ポリエステル部位(A)と前記結晶性ポリエステル部位(C)との質量比((A)/(C))が、90/10〜60/40であることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載のトナー。
(5)前記ブロック共重合樹脂に対して、結晶性ポリエステル樹脂を5質量%以上30質量%以下含有することを特徴とする前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載のトナー。
(6)前記ブロック共重合樹脂が、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有するものであることを特徴とする前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載のトナー。
(7)前記結着樹脂は、タッピングモードAFMによって観察される位相像を、位相差の最大値と最小値との中間値で二値化処理して得られる、位相差の大きい部位からなる第一の位相差像が、位相差の小さい部位からなる第二の位相差像中に分散され、かつ前記第一の位相差像の分散径が100nm以下である前記(1)項乃至(6)項のいずれかに記載のトナー。
(8)前記トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、
前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をI(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をI(A)としたとき、比率I(C)/(I(C)+I(A))が、0.10以上0.30以下であることを特徴とする前記(1)項乃至(7)項のいずれかに記載のトナー。
(9)I(C)/(I(C)+I(A))が、0.15以上であることを特徴とする前記(8)項に記載のトナー。
(10)前記(1)項乃至(9)項のいずれかに記載のトナーを含有することを特徴とする現像剤。
(11)静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記現像剤が、前記(10)項に記載の現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、低温定着性だけでなく、優れた耐熱保存性、耐擦性、帯電特性、画像濃度を有するトナーを提供することができる。
X線回折測定によって得られる回折スペクトルの一例である。 X線回折測定によって得られる回折スペクトルの一例である。 ブロック共重合樹脂のAFM位相像の一例である。 位相差の最大値と位相差の最小値との中間値で二値化処理した二値化像の一例である。 平均径の算出から除外する微小径画像の例である。 画像形成装置の一例を示す概略図である。 画像形成装置の他の一例を示す概略図である。 画像形成装置の他の一例を示す概略図である。 画像形成手段の一例を示す概略図である。
本発明のトナーについて詳細に説明する。
結晶性セグメントを有する樹脂の塑性変形し易い性質は、結晶性セグメントにおける高分子鎖の折りたたみ構造に起因すると考えられる。前記結晶性セグメントは、そのすべてが結晶性を示すわけではなく、分子鎖が折りたたまれて配列した結晶部位と、分子鎖の折り返し部位や前記結晶部位間に存在する分子鎖からなる非結晶部位から構成される。
例えば、結晶化度の高い直鎖状ポリエチレン単結晶であっても、約3%の非結晶部位を有する。
そして、分子運動性の高い結晶性セグメントの非結晶部位が、結晶性セグメントの塑性変形に大きく寄与していると考えられ、如何に非結晶部位の分子運動性を拘束できるかが結晶性セグメントを有する樹脂を利用する上で重要となる。
本発明においては、トナー粒子内部で非晶性セグメントを海とし、結晶性セグメントを島とする微細化した海島構造のミクロ相分離構造を形成させ、結晶性セグメントの分子運動性を非晶性セグメントで拘束させたブロック共重合樹脂を用いることが好ましい。これにより、結晶性セグメントの融点以下では、結晶性セグメントの非結晶部位の分子運動性が拘束され優れた機械的耐久性を有する。一方、定着温度領域では結晶性セグメントが融解し、トナー粒子全体が速やかに弾性緩和して変形する。そして、画像定着後、排紙時には非晶性セグメントが結晶性セグメントの過度な分子運動を即時に抑制する。
さらに、微細な海島構造により結晶性セグメントの画像表面への過度な露出が防止され、速やかな画像の硬度回復が可能になる。
さらに、トナーの溶融特性を満足させるためには結晶性セグメント及び非晶性セグメントがポリエステルであることが望ましい。
しかしながら、結晶性セグメントと非晶性セグメントとがポリエステルであると、組成が近づいてしまい結晶性セグメントと非晶性セグメントの相溶性が上がるため、結晶性セグメントと非晶性セグメントとが混合された領域が広がり、結晶化度が低下してしまう。
本発明では、前記ブロック共重合樹脂に、該ブロック共重合樹脂の結晶性セグメントと組成の近い結晶性樹脂を添加することで、一度溶融させ固化した後の、結晶性セグメントの結晶化度が大きく向上し、低温定着性と耐熱保存性を両立でき、さらに耐擦過性を向上させることができる。
この現象の詳細に関しては明らかにされていないが、結晶性樹脂がない場合は溶融により、組成が近い結晶性セグメントと非晶性セグメントとがほぼ均一に混合し、固化してもその状態が維持される。これに対し、結晶性樹脂がある場合は溶融状態では結晶性セグメントと結晶性樹脂が相溶した状態になるが、固化する際にはブロック共重合樹脂の非晶性セグメントが結晶性樹脂から排斥され、結晶性セグメントが結晶性樹脂に引き寄せられて分離するため、結晶性セグメントと非晶性セグメントとが混合しにくく、結晶化度が向上するものと考えられる。
また、結晶性を有するセグメントと非晶性を有するセグメントを同一の分子鎖に含有させることで、低温では結晶性を有するセグメントが大きく粘度低下するため低温定着性を発現し、高温では非晶性を有するセグメントが絡み合いの粘弾性挙動によりホットオフセットの抑制を発現し、相反する二つの特性を同時に満足させることができる。
しかし、高温高湿条件下での保存性・流動性が低下することがある。
ポリエステルは、弱い親水性のエステル結合部位や、末端に親水性のOH基やCOOH基を持ち、ポリエステル全体としては前記親水性部位が多く存在する。特に結晶性ポリエステルの場合、使用されるモノマーの多くは脂肪族の短鎖骨格のため、樹脂の重量あたりの親水性部位数が他の樹脂に比べても多く、吸湿しやすい性質を持つ。
したがって、結晶性樹脂を含有するものは、「高温高湿条件下」において、従来の電子写真トナー用樹脂を用いたものに比べて顕著な不具合が発生しやすい。
例えば、高温高湿条件下において凝集しやすいことにより、保存性・流動性が悪化し、凝集することで攪拌不良による帯電量低下やそれに起因する画像濃度不足など、システム上の不具合も発生することがあり、このような不具合の発生は電子写真プロセスにとって致命的である。
高温高湿条件下での前記不具合の発生を防止するため、無機微粒子の表面を疎水化処理した外添剤をトナーに使用することで耐湿度性能を向上させることが行われる。
しかし、結晶性を有するセグメントと非晶性を有するセグメントをブロック共重合化させた樹脂と結晶性樹脂とを含有する場合には、メインレジンが親水性である性質に由来して高温高湿条件下で不具合が生じることがあるため、疎水性無機微粒子をトナー粒子表面に外添させるという一つの手段のみにより耐湿性を担保させるには、トナー粒子表面全体を疎水性無機微粒子で覆う必要があり、紙への定着性が大きく損なわれる。これは、結晶性を有するセグメントをメインレジンに導入する目的である良好な低温定着性と相反するものである。
本発明のような、結晶性を有するセグメントと非晶性を有するセグメントをブロック共重合化させた樹脂と、結晶性樹脂とを含む結着樹脂を使用したトナーの場合には、疎水化された無機微粒子を使用しても結着樹脂が表面に露出している部分による吸湿を抑制する必要がある。
したがって、主成分となる結着樹脂自体の吸湿性を抑えることが必要であり、結着樹脂中の低分子量成分の除去など、結着樹脂の親水性を低下させた上で、結着樹脂の性質として不可避的に存在する吸湿性の影響を疎水化無機微粒子や有機微粒子で被覆することで補い、トナー全体の疎水化度を調節することが必要である。
結晶性を有するセグメントと非晶性を有するセグメントをブロック共重合化させた樹脂と、結晶性樹脂とを含む結着樹脂を使用したトナーの場合に、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び、高温高湿条件下での保存性・流動性を同時に満足させるには、トナー全体の疎水化度が40%以上80%以下であることが好ましい。
本発明のトナーを構成する材料について説明する。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
<結着樹脂>
前記結着樹脂は、非晶性ポリエステル部位(A)と結晶性ポリエステル部位(C)とを有するブロック共重合樹脂、及び結晶性樹脂を含有する。
(ブロック共重合樹脂)
前記ブロック共重合樹脂(以下、単に共重合樹脂ということがある)としては、結晶性樹脂に由来する構造単位と、非晶性樹脂に由来する構造単位とを有する共重合樹脂である。前記共重合樹脂を用いることで、ミクロ相分離構造に代表される特有の高次構造を形成できる。
前記共重合樹脂とは、異種高分子鎖を共有結合で結合させたものである。一般に、異種高分子鎖は、お互いに非相溶である系が多く、水と油のように、そのままでは混ざり合うことはない。
異種高分子材料の単純混合系では、高分子鎖は独立に動けるので、同種の高分子鎖同士が集まって、例えば2相にマクロ相分離するが、共重合樹脂の場合、異なる構造の高分子鎖同士が連結されているため、同種の高分子鎖同士が集まって相分離することができない。しかし、共重合樹脂においては異種高分子鎖同士が連結しているとはいえ、同種の高分子鎖同士で凝集し、異種高分子鎖同士が可能な限り離れようとしても、それぞれの高分子鎖構造単位程度の大きさで、例えばA構造単位が多い部分と、B構造単位が多い部分というように分かれることしかできない。
このため、成分Aと成分Bの相混合度(相溶性)、組成、及び長さ(分子量及び分布)、さらに両者の配合比率などを変えると、相分離する形(構造)が変化し、例えば、A.K.Khandpur, S.Forster, and F.S.Bates, Macromolecules, 28 (1995) 8796−8806.などで例示されている様に、Sphere構造、Cylinder構造、Gyroid構造、Lamellar構造などの周期的秩序メソ構造を制御しうる。
本発明の共重合樹脂は、結晶性成分と非晶性成分とからなる。前記共重合樹脂をミクロ相分離構造の状態から結晶化させた場合に、前記周期的秩序メソ構造を制御することで、溶融体のミクロ相分離構造をテンプレートとすることにより、結晶相を数十nm〜数百nmスケールで規則的配置を図ることができる。
そのため、これら高次構造を活用し、定着等の流動性が必要な場面では結晶部の固−液相転移現象に基づく十分な流動、及び変形性を持たせ、他方、保存や定着後の機内搬送工程など、流動、及び変形性が不要な場面では結晶部を構造内に封じ込めることで運動性を拘束できる。
前記共重合樹脂の分子構造、結晶性、ミクロ相分離構造などの高次構造については、従来公知の手法により容易に解析できる。
具体的には、高分解能NMR測定(1H、13C等)、示差走査熱量計(DSC)測定、広角X線回折測定、(熱分解)GC/MS測定、LC/MS測定、赤外線吸収(IR)スペクトル測定、原子間力顕微鏡観察、TEM観察などにより確認することができる。
例えば、トナー中に非晶性ポリエステル部位(A)と結晶性ポリエステル部位(C)とを有するブロック共重合樹脂が含まれているか否かは、下記のようにして判断することができる。
まず、トナーを酢酸エチル、THFなどの溶媒を用いて溶解する(ソックスレー抽出でも可)。ついで、冷却機能付き高速遠心分離装置を用いて、例えば20℃、10,000rpm×10min.の遠心操作に供し、可溶分と不溶分に分離する。
可溶分については、再沈殿を複数回行って精製を行う。この処理により、高度に架橋された樹脂成分、顔料、ワックスなどを分離することができる。
ついで、得られた樹脂成分に対してGPC測定を行い、分子量及び分布、クロマトグラムを獲得する。このとき、得られたクロマトグラムが多峰性の場合は、フラクションコレクターなどを活用して分画/分取を行い、得られた各フラクションについて上記同様に製膜する。この操作によって、各種樹脂成分を分離精製し、夫々を各種分析操作に供する。
得られた精製膜については、まず、DSC測定を行ってTg、融点、結晶化挙動などを把握する。冷却降温時に結晶化ピークが観られた場合、その温度域で24h以上アニーリングして結晶成分を成長させる。結晶化は観られないが、融解ピークが観られた場合、融点−10℃程度の温度でアニーリングを行う。これにより、各種転移点及び結晶性骨格の存在を把握することができる。
次に、SPM(AFM)観察、場合によってはTEM観察も併用して相分離構造の有無を確認し、所謂ミクロ相分離構造が確認できた場合には、共重合体、あるいは高い分子内/間相互作用を有する系であるということになる。
さらに、精製膜について、FT−IR測定、NMR測定(1H, 13C)、GC/MS測定、場合によっては、分子構造をより詳細に分析できるNMR測定(2D)を行うことで、その組成、構造および各種特性を把握でき、例えば、ポリエステル骨格やウレタン結合の存在、それらの組成、組成比を確認することができる。
以上の測定、分析結果を総合的に判断することにより、トナー中に本発明における第一の樹脂(共重合体)が含まれているか否かを判断することができる。

以下では、上記で紹介した各種測定法の手順や条件の一例を示す(SPM(AFM)観察のみ後述)。
<GPC測定の一例>
ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、HLC−8220GPC(東ソー社製))を用いて測定することができ、フラクションコレクター付きのものが好ましい。
カラムとしては、TSKgel SuperHZM―H 15cm 3連(東ソー社製)などを好適に使用できる。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いた。前記THF試料溶液を測定装置に100μl注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35ml/分間で測定した。
分子量は単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線を用いて計算を行った。
前記標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDシリーズおよびトルエンを用いた。以下の3種類の単分散ポリスチレン標準試料のTHF溶液を作成し上記の条件で測定を行い、ピークトップの保持時間を単分散ポリスチレン標準試料の光散乱分子量として検量線を作成した。
溶液A:S−7450 2.5mg, S−678 2.5mg, S−46.5 2.5mg, S−2.90 2.5mg, THF 50ml
溶液B:S−3730 2.5mg, S−257 2.5mg, S−19.8 2.5mg, S−0.580 2.5mg, THF 50ml
溶液C:S−1470 2.5mg, S−112 2.5mg, S−6.93 2.5mg, トルエン2.5mg, THF 50ml
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いることが出来るが、フラクション分画などを行う際にはより感度の高いUV検出器を使用することができる。
<DSC測定の一例>
サンプル5mgをTAインスツルメンツ社製T−Zero簡易密閉パンに封入し、示差走査熱量計(DSC)(TAインスツルメンツ社製Q2000)を用いて測定した。測定は、窒素気流下、1st.ヒーティングとして、40℃から150℃まで5℃/分で昇温し、5分間保持した後、−70℃まで5℃/min.で冷却し、5分間保持した。
次いで2nd.ヒーティングとして、昇温速度5℃/分で昇温して熱変化を測定し、「吸発熱量」と「温度」のグラフを描き、定法に従ってTg、冷結晶化、融点、結晶化温度などを求めた。なお、Tgは1st.ヒーティングのDSC曲線からミッドポイント法によって得た値を使用した。
なお、昇温時に±0.3℃のモジュレーションを掛けることでエンタルピー緩和成分を分離することも可能である。
<TEM観察の一例>
−手順−
(I)試料をRuO水溶液の雰囲気に曝して、2時間染色を施した。
(II)試料をガラスナイフでトリミング後、ウルトラミクロトームを使用して下記条件で切片を作製した。

―切削条件―
切削厚み:75nm
切削速度:0.05〜0.2 mm/sec
ダイヤモンドナイフ(Ultra Sonic35°)使用
(III)メッシュ上に切片を固定し、RuO水溶液の雰囲気に曝して5分間切片染色を施した。
−観察条件−
使用装置:日本電子製 透過型電子顕微鏡 JEM−2100F
加速電圧:200kV
形態観察:明視野法
設定条件:spot size : 3, CLAP : 1, OLAP : 3, Alpha : 3
<FT−IR測定の一例>
FT−IRスペクトル測定は、FT−IRスペクトロメータ(パーキンエルマー社製、商品名「Spectrum One」)を用いて(16スキャン、分解能:2cm−1)、中赤外領域(400−4000cm−1)で行った。
<NMR測定の一例>
サンプルを重クロロホルム中に可能な限り高濃度で溶解させた後、5mmφのNMRサンプルチューブに入れ、各種NMR測定に供した。測定装置はJEOL Resonance社製のJNM−ECX−300を使用した。
測定温度は何れも30℃とし、1H−NMR測定は、積算回数256回、繰り返し時間5.0sで行った。13C測定は、積算回数10,000回、繰り返し時間1.5sとした。得られるケミカルシフトから成分を帰属し、該当するピークの積分値をプロトン乃至カーボン数で除した数値から配合比を算出することが可能である。
更に詳細な構造解析を行う場合は、二量子フィルター1H−1Hシフト相関二次元NMR測定(DQF−COSY)測定などを行うことも可能であり、この場合は、積算回数1,000回、繰り返し時間2.45sまたは2.80sで行い、得られたスペクトルからそのカップリング状態、即ち反応サイトを特定することも出来るが、通常の1Hおよび13C測定で十分に判別可能である。
<GC/MS測定の一例>
本分析は反応試薬を用いた反応熱分解ガスクロマトグラフー質量分析(GC/MS)法を実施した。なお、反応熱分解GC/MS法で使用する反応試薬は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の10%メタノール溶液(東京化成工業)を用いた。GC−MS装置は島津製作所製QP2010、データ解析ソフトは島津製作所製GCMSsolution、加熱装置はフロンティア・ラボ製Py2020Dを使用した。
分析条件

反応熱分解温度: 300℃
カラム: Ultra ALLOY−5 L=30m ID=0.25mm Film=0.25μm
カラム昇温: 50℃(保持1分)〜10℃/min〜330℃(保持11分)
キャリアガス圧力: 53.6 kPa一定
カラム流量: 1.0ml/min
イオン化法: EI法 (70eV)
質量範囲: m/z 29〜700
注入モード: Split (1:100)
<パルスNMRにより求められる特性について>
本発明のブロック共重合樹脂は、結晶性セグメントと非晶性セグメントを化学的に結合させ、各セグメントの構造を制御することで結晶性セグメントの分子運動を拘束したものである。
分子運動性の尺度化には、パルスNMR(以下、「パルス法NMR」と称することがある。)が有効である。
前記パルス法NMRは、高分解能NMRとは異なり化学シフト情報(局所化学構造など)を与えない。その代わりに、前記パルス法NMRは、分子運動性と密接な関係のある1H核の緩和時間(スピン−格子緩和時間(T1)、及びスピン−スピン緩和時間(T2))を迅速に測定できる手法であり、近年その使用が急速に広がっている。
前記パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法、ソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)、90゜パルス法などが挙げられ、何れも好適に用いることができる。
一般的に、ソリッドエコー法及び90゜パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
本発明におけるトナー及びトナー用樹脂は、中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法での測定が最も適している。
本発明においては、50℃におけるスピン−スピン緩和時間(t50)が保存安定性に関する分子運動性の尺度を表し、130℃におけるスピン−スピン緩和時間(t130)が定着時に関する分子運動性の尺度を表す。
また、130℃から70℃まで降温したときの70℃におけるスピン−スピン緩和時間(t’70)が画像搬送時の耐擦性に関する分子運動性の尺度を表す。
これらの規定において、特定の範囲を満たすことは、定着等の流動性が必要な際には十分な運動性を有し、保存や機内搬送など、流動性が不要な際には十分に運動性が拘束されていることを示している。
前記トナーの前記t50、前記t130、及び前記t’70について説明する。
保存安定性に関する分子運動性の尺度である前記t50は、2.0ms以下であることが好ましい。前記t50が、2.0msを超えると、50℃におけるトナーの運動性が高くなり、外力による変形や凝集が発生し易くなり、夏場や船便での海外輸送及び保管に難を生じることがある。
前記t50としては、1.0ms以下がより好ましい。
定着特性に関する分子運動性の尺度である前記t130は、15ms以上17ms以下であることが好ましい。前記t130が、15ms未満であると、加熱時における分子運動性が不十分になり、トナーの流動、及び変形性が低下する。これにより、画像延展性の低下、及び印字対象物との接合低下などが起こり、結果、光沢低下や画像剥離などの画質低下につながることがある。
さらに、画像搬送時の耐擦性に関する分子運動性の尺度である前記t’70は、0.3ms以上2.0ms以下である。前記t’70が、0.3ms未満では耐熱保存性が低下することがあり、2.0msを超えると、分子運動性が十分に拘束される前に、定着後の排紙工程におけるローラや搬送部材等との接触、摺擦が起こり、画像表面に傷跡や光沢度の変化などが発生することがある。
<パルス法NMRを用いた測定方法>
スピン−スピン緩和時間の測定は、例えば、ブルカー・オプティクス社製「Minispec−MQ20」を用いて行うことができる。本発明の実施形態である後述する実施例では、前記装置を用いて以下の方法により測定した。
具体的には、観測核が1H、共鳴周波数が19.65MHz、測定間隔5sの条件で行い、ハーンエコー法のパルスシーケンス(90゜x−Pi−180゜x)にて減衰曲線を測定する。
なお、Piは0.01ms〜100ms、データポイント数は100点、積算回数は32回として測定温度を50℃→130℃→70℃の順に温度変えて行う。
サンプルは、トナー粉体0.2g、又はトナー用樹脂粉0.2gを専用のサンプル管中に入れ、磁場の適正範囲までサンプル管に挿入して測定する。この測定によって、各サンプルについて、50℃におけるスピン−スピン緩和時間(t50)、130℃におけるスピン−スピン緩和時間(t130)、及び130℃から70℃まで降温したときの70℃におけるスピン−スピン緩和時間(t’70)を、それぞれ求める。
また、本発明のトナーは、X線回折装置によって得られる25℃での回折スペクトルにおいて、結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をI(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をI(A)とするとき、比率I(C)/(I(C)+I(A))が、0.10以上0.25以下であることが、定着性と耐熱保存性の両立の観点から好ましく、0.15以上0.2以下がより好ましい。
なお、本発明においてトナーがワックスを含有する場合、2θ=23.5〜24°の位置にワックス固有の回折ピークが現れることが多い。しかし、トナー全重量に対するワックス含有量が15重量%以下の場合は、ワックス固有の回折ピークの寄与がわずかであることから考慮しなくてもよい。
15重量%を超える場合には、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度から、ワックスの結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を差し引いた値を上記の「結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度I(C)」と置き換えることとする。
前記比率I(C)/(I(C)+I(A))は、本発明においてはX線回折測定によって求めることができ、具体的には2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS/Bruker社製)を用いて測定した。
なお、従来公知の、結晶性樹脂やワックスを添加剤程度に含むようなトナーは、この比率がおおよそ0.15未満である。
測定に使用するキャピラリーは、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmを使用した。試料はこのキャピラリー管の上部まで詰めて測定した。
また、サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回とした。
入射光学系には、φ1mmのピンホールを持つコリメーターを用いた。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換した。
測定の詳細条件を以下に示す。

管電流:40mA
管電圧:40kV
ゴニオメーター2θ軸:20.0000°
ゴニオメーターΩ軸:0.0000°
ゴニオメーターφ軸:0.0000°
検出器距離:15cm(広角測定)
測定範囲:3.2≦2θ(゜)≦37.2
測定時間:600sec
得られたX線回折測定結果を基に、前記比率I(C)/(I(C)+I(A))を算出する方法を、以下に説明する。
X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を図1及び図2に示す。横軸は2θ、縦軸はX線回折強度であり、両方とも線形軸である。図1におけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が見られる。
ここで、前記主要なピークは、結晶構造に由来するものであり、ハローは非晶構造に由来するものである。
この2の主要なピークとハローを下記式A(1)〜(3)で示されるガウス関数で表す。
fp1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1)2/(2cp12)}(式A(1))
fp2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2)2/(2cp22)}(式A(2)

fh(2θ)=ahexp{−(2θ−bh)2/(2ch2)} (式A(3))
ただし、(fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)は、それぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数)
この3つの関数の和は下記式A(4)で表される。

f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ) (式A(4))
上式A(4)をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図2に図示する)とし、最小二乗法によるフィッティングを行った。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図1の例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して2つの主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致させて得られた値を設定した。
フィッティングは例えばMicrosoft社製Excel2003のソルバーを利用して行うことができる。
フィッティング後の2つの主要なピーク(P1、P2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)、及びハローに相当するガウス関数fh(2θ)のそれぞれについての積分面積(SP1、Sp2、Sh)から、(Sp1+Sp2)をI(C)、(Sh)をI(A)としたとき、結晶化部位の量を示す指標である比率I(C)/(I(C)+I(A))を算出することができる。
<AFMにより求められる特性について>
本発明のトナーの構造は、原子間力顕微鏡(AFM)によるタッピングモードによる位相像によって確認される。
本発明における共重合体は軟質、すなわち位相差が大きい像として観察される部位と、硬質であり位相差が小さい像として観察される部位とを有することが特徴である。
このとき、硬質である低位相差の部位からなる第二の位相差像が外相であり、軟質な高位相差の部位からなる第一の位相差像が内相で、微分散された構造であることが本発明においては重要である。
前記トナーは、タッピングモードAFMによって観察される位相像を、位相差の最大値と最小値の中間値で二値化処理し、位相差の大きい部位からなる第一の位相差像と、位相差の小さい部位からなる第二の位相差像とに分けた二値化像が、前記第二の位相差像中に前記第一の位相差像が分散された構造をとる。
また、前記位相差の大きい部位からなる前記第一の位相差像の、分散相における最大フェレ径の平均(分散径)は、100nm以下が好ましく、10nm〜100nmがより好ましく、さらに60nm〜100nmが好ましい。
なお、本発明において、前記第一の位相差像が前記第二の位相差像中に分散された構造をとるとは、前記二値化像において、ドメイン間の境界が規定でき、前記第一の位相差像の分散相におけるフェレ径が規定できることをいう。
前記二値化像における前記第一の位相差像が、画像ノイズか位相差像かの判別が難しい微小粒径となる場合や、明確なフェレ径を規定できない場合は「分散された構造ではない」と判断する。前記第一の位相差像は画像ノイズに埋もれて、ドメイン間の境界が規定できない場合、フェレ径が規定できなくなる。
なお、ドメイン形状が縞状であり、最大フェレ径が300nm以上の場合にのみ、最大フェレ径でなく、最小フェレ径をドメイン径とする。
結着樹脂の強靭性を向上させるには、樹脂の内部に外部からの変形や圧力を緩和させる構造を導入させる必要がある。このための手段として、より柔らかい構造を導入することが挙げられる。
しかし、この場合には、保管中にトナー粒子が融着するブロッキング、又はその柔らかさに由来する画像の損傷及び付着が起こりやすい。強靭性と緩和性とを両立させるためには、この双方のトレードオフの関係を解決する必要がある。
本発明者らは、結着樹脂について、応力緩和に有効に作用し強靭性を向上しうる位相差の大きい部位からなる前記第一の位相差像を、位相差の小さい部位からなる前記第二の位相差像の相中に微細な構造を持って分散させる構成とすることで、樹脂の靭性向上と緩和性とのトレードオフの関係を解消できることを知見した。
(AFMの測定方法)
原子間力顕微鏡におけるタッピングモードとは、Surface Science Letter,290,668(1993)に記載されている方法である。この方法では、例えば、Polymer,35,5778(1994)、Macromolecules,28,6773(1995)等に説明が記載されているように、カンチレバーを振動させながら、試料表面の形状を測定する。このとき、試料表面の粘弾性的性質により、カンチレバーの振動元であるドライブと、実際の振動との間に位相差が生じる。この位相差をマッピングしたものが位相像である。軟質な部位は位相の遅れが大きく、硬質部分は位相の遅れが小さく観察される。
前記位相像を得るためのサンプルとしては、例えばライカ製ウルトラミクロトームULTRACUT UCTを用いて以下の条件でトナー粒子を切断して切片を出したものを用いることで観察できる。
・切削厚み:60nm
・切削速度:0.4mm/sec
・ダイヤモンドナイフ(Ultra Sonic 35°)使用
前記AFM位相像を得るための代表的な装置としては、例えばアサイラムテクノロジー社製のMFP−3Dにて、カンチレバーとしてOMCL−AC240TS−C3を用いて以下の測定条件にて観察することができる。
・ target amplitude:0.5V
・ target percent:−5%
・ amplitude setpoint:315mV
・ scan rate:1Hz
・ scan points:256×256
・ scan angle:0°
前記ブロック共重合樹脂のAFM位相像としては、例えば図3のような画像が得られる。前記AFMによる位相像の位相差の大きい部位からなる前記第一の位相差像(即ち軟質ユニット)の最大フェレ径の平均の具体的な測定方法としては、タッピングモードAFMにより得られた位相像における位相差の最大値と位相差の最小値との中間値で二値化処理した二値化像を作成して行う(図4参照)。前記二値化像は、上述したように、位相差の小さい部位を濃色、位相差の大きい部位を淡色のコントラストとなるよう位相像を撮影し、その後、位相像中の位相差の最大値と位相差の最小値の中間値を境界とした二値化処理を行うことで得られる。前記二値化像中、300nm四方の範囲における画像10点のうち前記第一の位相差像の最大フェレ径の大きいものから順に30点選び、その平均を最大フェレ径の平均とする。
ただし、明らかに画像ノイズとして判断される、乃至画像ノイズか位相差像かの判別が難しい微小径画像(図5参照)については、平均径の算出からは除外する。
具体的には、観測された位相像中、最大の最大フェレ径をもつ前記第一の位相差像に対し、同一画像上に存在する面積比100分の1以下の前記第一の位相差像は平均径の計算には使用しないものとする。前記最大フェレ径とは、位相差像を2本の平行線で挟んだ際に、最大となる平行線間距離のことである。
前記トナー用樹脂の前記最大フェレ径の平均値(分散径)は、100nm以下が好ましく、10nm〜100nmがより好ましい。前記最大フェレ径の平均値(分散径)が、100nmを超えると、ストレスによって付着性の強いユニットが露出しやすくなり、トナーフィルミング性が低下することがある。前記最大フェレ径の平均値(分散径)が、10nm未満であると、応力緩和の程度が著しく弱まり、靭性に対する改善効果が不十分なことがある。前記最大フェレ径の平均値は、10nm〜45nmが特に好ましい。
前記トナーの前記最大フェレ径の平均値(分散径)は、100nm以下が好ましく、10nm〜100nmがより好ましい。前記最大フェレ径の平均値(分散径)が、100nmを超えると、ストレスによって付着性の強いユニットが露出しやすくなり、トナーフィルミング性が低下することがある。前記最大フェレ径の平均値(分散径)が、10nm未満であると、応力緩和の程度が著しく弱まり、靭性に対する改善効果が不十分なことがある。前記最大フェレ径の平均値は、10nm〜45nmが特に好ましい。
(結晶性成分)
前記ブロック共重合樹脂の結晶性成分を構成する結晶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
−結晶性ポリエステル樹脂−
前記ブロック共重合樹脂の結晶性成分を構成する結晶性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステル樹脂、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられ、2価の脂肪族アルコール成分と2価の脂肪族カルボン酸成分とを構成成分に有する結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
前記ブロック共重合樹脂の結晶性成分を構成するポリオールとしては、例えば、2価のジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオールなどが挙げられる。
前記2価のジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族アルコール、分岐型脂肪族アルコール等の脂肪族アルコール(2価の脂肪族アルコール)、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール、炭素数4〜36の脂環式ジオール、前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」を「AO」と略記することがある)、ビスフェノール類のAO付加物、ポリラクトンジオール、ポリブタジエンジオール、カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、これらの塩等のその他の官能基を有するジオールなどが挙げられる。
これらの中でも、鎖炭素数が2〜36の脂肪族アルコールが好ましく、鎖炭素数が2〜36の直鎖型脂肪族アルコールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記直鎖型脂肪族アルコールのジオール全体に対する含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましい。
前記含有量が、80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性との両立性が良く、樹脂硬度が向上する傾向にある点で有利である。
前記直鎖型脂肪族アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。
これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。これらの中でも、鎖炭素数が2〜36の直鎖型脂肪族アルコールが好ましい。
前記分岐型脂肪族アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、鎖炭素数が2〜36の分岐型脂肪族アルコールが好ましい。前記分岐型脂肪族アルコールとしては、例えば、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
前記炭素数4〜36の脂環式ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数3〜36の3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール;トリスフェノール類のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂のAO付加物(付加モル数2〜30);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーとの共重合物等のアクリルポリオールなどが挙げられる。
前記炭素数3〜36の3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリンなどが挙げられる。
これらの中でも、3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
前記ブロック共重合樹脂の結晶性成分を構成するポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジカルボン酸(2価の脂肪族カルボン酸)、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカンジカルボン酸、アルケニルコハク酸、アルケンジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。
前記アルカンジカルボン酸としては、例えば、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸などが挙げられる。該炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸などが挙げられる。
前記アルケニルコハク酸としては、例えば、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などが挙げられる。
前記アルケンジカルボン酸としては、例えば、炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸などが挙げられる。
前記脂環式ジカルボン酸としては、例えば、炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。また、炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸としては、例えば、ダイマー酸(2量化リノール酸)などが挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。
前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
なお、前記ジカルボン酸又は前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4のアルキルエステルを用いてもよい。前記炭素数1〜4のアルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなどが挙げられる。
前記ジカルボン酸の中でも、前記脂肪族ジカルボン酸を単独で用いることが好ましく、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、又はイソフタル酸を単独で用いることがより好ましい。
また、前記脂肪族ジカルボン酸と共に前記芳香族ジカルボン酸を共重合したものも同様に好ましい。共重合する前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、これら芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルが好ましい。
前記アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなどが挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下が好ましい。
前記ブロック共重合樹脂の結晶性成分を構成する結晶性樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜80℃が好ましい。前記融点が、50℃未満であると、前記結晶性樹脂が低温で溶融しやすく、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、80℃を超えると、定着時の加熱による前記結晶性樹脂の溶融が不十分で、トナーの低温定着性が低下することがある。
前記結晶性樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mgKOH/g〜40mgKOH/gが好ましい。
前記結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、海島構造のミクロ相分離のドメイン径の観点から、3,000〜100,000が好ましく、6,000〜80,000がより好ましい。
前記重量平均分子量が、3,000より小さい場合はドメイン径が小さくなり海島構造による応力緩和が弱まり靭性に対する改善効果が不十分となることがあり、100,000より大きい場合はドメイン径が大きくなりストレスによって付着性の強いユニットが露出しやすくなりトナーフィルミングが悪化する傾向にある。
前記結晶性樹脂の結晶性、分子構造等については、例えば、NMR測定、示差走査熱量計(DSC)測定、X線回折測定、GC/MS測定、LC/MS測定、赤外線吸収(IR)スペクトル測定などにより確認することができる。
(非結晶性成分)
前記ブロック共重合樹脂の非結晶性成分を構成する非結晶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
前記非晶性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステル樹脂などが挙げられる。
前記非晶性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2価の脂肪族アルコール成分と多価の芳香族カルボン酸成分とを構成成分に有する非晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
前記非晶性ポリエステル樹脂を構成するポリオールとしては、例えば、2価のジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオールなどが挙げられる。
前記2価のジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族アルコール、分岐型脂肪族アルコール等の脂肪族アルコール(2価の脂肪族アルコール)などが挙げられる。これらの中でも、鎖炭素数が2〜36の脂肪族アルコールが好ましく、鎖炭素数が2〜36の分岐型脂肪族アルコールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記直鎖型脂肪族アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。これらの中でも、鎖炭素数が2〜36の直鎖型脂肪族アルコールが好ましい。
前記非晶性ポリエステル樹脂を構成するポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。これらの中でも多価の芳香族カルボン酸が好ましい。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、分岐型脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカンジカルボン酸、アルケニルコハク酸、アルケンジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。
前記アルカンジカルボン酸としては、例えば、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸などが挙げられる。
前記アルケニルコハク酸としては、例えば、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などが挙げられる。
前記アルケンジカルボン酸としては、例えば、炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸などが挙げられる。
前記脂環式ジカルボン酸としては、例えば、炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸としては、例えば、ダイマー酸(2量化リノール酸)などが挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。
前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
なお、前記ジカルボン酸又は前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4のアルキルエステルを用いてもよい。前記炭素数1〜4のアルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなどが挙げられる。
前記非晶性樹脂のガラス転移温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜75℃が好ましい。前記ガラス転移温度が、40℃未満であると、耐熱保存性の低下、現像器内での攪拌等のストレスに対する耐久性の低下などにつながることがある。前記ガラス転移温度が、75℃を超えると、低温定着性が悪化することがある。なお、前記非晶性樹脂のガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量分析法(DSC法)により測定することができる。
前記非晶性樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mgKOH/g〜40mgKOH/gが好ましい。
前記非結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、4,000〜80,000が好ましく、6,000〜60,000がより好ましい。前記重量平均分子量が、4,000より小さい場合は耐ホットオフセット性が悪化することがあり、80,000より大きい場合は低温定着性が悪化する傾向にある。
前記非晶性樹脂の分子構造は、溶液や固体によるNMR測定の他、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができる。
本発明のブロック共重合樹脂は、非晶性ポリエステル部位(A)と結晶性ポリエステル部位(C)との質量比(A/C)が90/10〜60/40であることが好ましい。
また、結着樹脂中のブロック共重合樹脂の含有量は、65質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
(ブロック共重合樹脂の製造)
前記ブロック共重合樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の(1)〜(3)のいずれかの方法などが挙げられるが、分子設計の自由度の観点から(1)及び(3)が好ましく、(1)がより好ましい。
(1)予め重合反応により調製した非晶性樹脂と、予め重合反応により調製した結晶性樹脂とを適当な溶媒に溶解乃至分散させ、イソシアネート基、エポキシ基、カルボジイミド基等のポリマー鎖末端の水酸基、又はカルボン酸と反応する官能基を2つ以上有する伸長剤とを反応させることにより共重合する方法。
(2)予め重合反応により調製した非晶性樹脂と、予め重合反応により調製した結晶性樹脂とを溶融混練し、減圧下でエステル交換反応により調製する方法。
(3)予め重合反応により調製した結晶性樹脂の水酸基を重合開始成分として使用し、前記結晶性樹脂のポリマー鎖末端から非晶性樹脂を開環重合し共重合する方法。
前記伸長剤としては、ポリイソシアネートが好ましく、該ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネートなどが挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)、p−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
前記共重合樹脂を製造する際の前記ポリイソシアネートの使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結晶性樹脂及び前記非晶性樹脂の水酸基の総モル数/ポリイソシアネートのイソシアネート基の総モル数(OH/NCO)として、0.35〜0.7の範囲が好ましい。
前記OH/NCOが、0.35未満であると、前記非晶性樹脂及び前記結晶性樹脂の接合が不十分で、独立に存在する成分が多くなり、品質の安定性を担保することができなくなることがある。前記OH/NCOが、0.7を超えると、共重合樹脂の分子量、及びウレタン基間の相互作用の影響が強くなりすぎてしまい、流動性が必要な場面で十分な流動、変形性を担保できなくなることがある。
前記共重合樹脂における前記結晶性樹脂と前記非晶性樹脂とのモル比(結晶性樹脂/非晶性樹脂)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10/90〜40/60が好ましい。
前記結晶性樹脂のモル数、及び前記非晶性樹脂のモル数は、以下の式により求めることができる。
モル数=(樹脂の重量(g)×OHV/56.11)/1,000
ここで、OHVは、水酸基価であり、その単位は、mgKOH/gである。
前記共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、上記諸特性を成立させ、かつ低温定着性と耐熱保存性との両立性の観点から20,000〜150,000であることが好ましい。 前記Mwが、20,000未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、更に、耐ホットオフセット性が低下することがある。また、前記Mwが、150,000を超えると、特に低温での定着時にトナーが充分に溶融せず、画像の剥がれが生じ易くなるため、トナーの低温定着性が低下することがある。
前記Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、HLC−8220GPC(東ソー株式会社製))を用いて測定できる。本発明の実施形態である後述する実施例では、前記Mwを、前記装置を用い以下の方法により測定した。
カラムとしては、TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー株式会社製)を使用する。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬工業株式会社製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いる。前記THF試料溶液を測定装置に100μL注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35mL/分間で測定する。
単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線を用いて分子量の計算を行う。前記単分散ポリスチレン標準試料としては、昭和電工株式会社製のShowdexSTANDARDシリーズ及びトルエンを用いる。以下の3種類の単分散ポリスチレン標準試料のTHF溶液を作製し上記の条件で測定を行い、ピークトップの保持時間を単分散ポリスチレン標準試料の光散乱分子量として検量線を作成する。
溶液A:S−7450 2.5mg, S−678 2.5mg, S−46.5 2.5mg, S−2.90 2.5mg, THF 50mL
溶液B:S−3730 2.5mg, S−257 2.5mg, S−19.8 2.5mg, S−0.580 2.5mg, THF 50mL
溶液C:S−1470 2.5mg, S−112 2.5mg, S−6.93 2.5mg, トルエン2.5mg, THF 50mL
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
(結晶性樹脂)
本発明の結着樹脂は、前記ブロック共重合樹脂と共に、結晶性樹脂を含有する。本発明における結晶性樹脂は、前記ブロック共重合樹脂の、結晶性セグメントと非晶性セグメントとの相溶性が高く結晶化度が低下し易い場合においても、相溶性を防止し、結着樹脂の結晶性を十分に維持させるものである。
前記結晶性樹脂を含むことで、ブロック共重合樹脂の非晶性セグメントが結晶性樹脂から排斥され、結晶性セグメントが結晶性樹脂に引き寄せられるため結晶性セグメントと非晶性セグメントとが混合しにくく、結晶化度が向上すると考えられる。
前記結晶性樹脂のブロック共重合樹脂に対する含有量は、5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。5質量%未満であると結着樹脂の結晶性を十分向上できないことがあり、30質量%を超えるとフリーの結晶成分が多く耐熱保存性、排紙耐擦性が低下することがある。
前記結晶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ブロック共重合樹脂の結晶性セグメントの組成と近いことが好ましい。
結晶性樹脂の構造としては、例えば、前記共重合樹脂の構成単位で説明した前記結晶性樹脂などが挙げられる。
前記結晶性樹脂の融解温度Tmは、60℃以上100℃以下が好ましく、70℃以上100℃以下がさらに好ましい。前記結着樹脂の融解温度が60℃以上と高い場合には、トナー製造工程で溶融しにくく固形分または高粘度成分として存在するため、主成分となる結晶性セグメントと非晶性セグメントをブロック化させた樹脂と相分離しにくく、トナー中に好適に微小なドメイン径として存在させることができる。
60℃未満の場合にはトナー中での結晶性樹脂のドメイン径が粗大になる場合があるため、キャリア汚染による帯電特性悪化やその結果としての画像濃度悪化が発生しやすく、また100℃を越える場合には十分な低温定着性が得られない場合がある。
前記結晶性樹脂の融解温度Tmは、例えば、示差走査熱量計(TA−60WS及びDSC−60、株式会社島津製作所製)を用いて測定することができる。
具体的には、結晶性樹脂5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度10℃/minで0℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。
得られたDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時における融解熱の最大ピーク温度を融点として求めることができる。
また、本発明のトナーに含まれる結晶性セグメントと非晶性セグメントをブロック化させた樹脂は非晶部が多いため、40℃に加熱した酢酸エチルにトナーを溶解させた場合には前記ブロック樹脂は溶解するが、主に前記結晶性樹脂および離型剤は溶解せずに溶解残渣となる。この溶解残渣を回収し乾固させることで、トナー中の結晶性樹脂および離型剤の融解温度を測定することが可能である。
前記溶解残渣を乾固させた乾固物の融解温度Tmは、示差走査熱量計(TA−60WS及びDSC−60、株式会社島津製作所製)を用いて測定することができる。
具体的には、乾固物5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度10℃/minで0℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。
得られたDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時における融解熱のピーク温度を融点として求めることができる。
離型剤と結晶性樹脂のピークの区別がつく場合はそれぞれのピークの最大ピーク温度を結晶性樹脂と離型剤のTmとし、両者が重なりピークが一つとなるときは、加算された一つのピークの最大ピーク温度を両者のTmとする。
<その他の成分>
前記結着樹脂と共に用いることができるその他の成分としては、例えば、着色剤、離型剤、帯電制御剤、外添剤などが挙げられる。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料などが挙げられる。これらの中でも、イエロー顔料、マゼンタ顔料、及びシアン顔料のいずれかを含有することが好ましい。
前記黒色顔料は、例えば、ブラックトナーに用いられる。前記黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト、ニグロシン染料、鉄黒などが挙げられる。
前記イエロー顔料は、例えば、イエロートナーに用いられる。前記イエロー顔料としては、例えば、シイ・アイ・ピグメントイエロー(C.I.Pigment Yellow)74、93、97、109、128、151、154、155、166、168、180、185、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエローなどが挙げられる。
前記マゼンタ顔料は、例えば、マゼンタトナーに用いられる。前記マゼンタ顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、シイ・アイ・ピグメントレッド(C.I.Pigment Red)48:2、57:1、58:2、5、31、146、147、150、176、184、269等のモノアゾ顔料などが挙げられる。また、前記モノアゾ顔料に前記キナクリドン系顔料を併用してもよい。
前記シアン顔料は、例えば、シアントナーに用いられる。前記シアン顔料としては、例えば、Cu−フタロシアニン顔料、Zn−フタロシアニン顔料、Al−フタロシアニン顔料などが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、1質量部〜15質量部が好ましく、3質量部〜10質量部がより好ましい。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
マスターバッチの製造又はマスターバッチとともに混練される樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、前記ブロック共重合樹脂を用いることが好ましい。
前記マスターバッチは、例えば、マスターバッチ用の樹脂と前記着色剤とを高せん断力をかけて混合し、混練して得ることができる。この際、前記着色剤と前記樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。
また、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練を行い、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する、いわゆるフラッシング法と呼ばれる方法は、着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
−離型剤−
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトンなどが挙げられる。
前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。
前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。
前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。 前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。
前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。
これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜100℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましい。前記融点が50℃未満であると、耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、100℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(TA−60WS及びDSC−60、株式会社島津製作所製)を用いて測定することができる。
具体的には、離型剤5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度10℃/minで0℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時における融解熱の最大ピーク温度を融点として求めることができる。
前記離型剤の溶融粘度としては、100℃における測定値として、5mPa・sec〜100mPa・secが好ましく、5mPa・sec〜50mPa・secがより好ましく、5mPa・sec〜20mPa・secが特に好ましい。前記溶融粘度が、5mPa・sec未満であると、離型性が低下することがあり、100mPa・secを超えると、耐ホットオフセット性、及び低温での離型性が低下することがある。
前記離型剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、1質量部〜20質量部が好ましく、3質量部〜10質量部がより好ましい。前記含有量が、1質量部未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがあり、20質量部を超えると、耐熱保存性、帯電性、転写性、耐ストレス性が低下することがある。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。
具体的には、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)などが挙げられる。
前記帯電制御剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、0.01質量部〜5質量部が好ましく、0.02質量部〜2質量部がより好ましい。
前記含有量が、0.01質量%未満であると、帯電立ち上り性や帯電量が十分でなく、トナー画像に影響を及ぼしやすいことがある。前記含有量が、5質量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがある。
−外添剤−
前記外添剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、脂肪酸金属塩、金属酸化物、疎水化処理された酸化チタン、フルオロポリマーなどが挙げられる。
前記脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化アンチモンなどが挙げられる。
前記シリカの市販品としては、例えば、R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも、日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。
前記酸化チタンの市販品としては、例えば、P−25(日本アエロジル株式会社製)、STT−30、STT−65C−S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF−140(富士チタン工業株式会社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。
前記疎水化処理された酸化チタンの市販品としては、例えば、T−805(日本アエロジル株式会社製)、STT−30A、STT−65S−S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF−500T、TAF−1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製)、MT−100S、MT−100T(いずれも、テイカ株式会社製)、IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
疎水化処理の方法としては、例えば、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理する方法などが挙げられる。
前記外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部が好ましく、0.3質量部〜3質量部がより好ましい。
前記外添剤の一次粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以下が好ましく、3nm〜70nmがより好ましい。
前記平均粒径が、3nm未満であると、外添剤がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくいことがあり、100nmを超えると、感光体表面を不均一に傷つけることがある。
前記トナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜16μmが好ましい。上限は、11μmがより好ましく、9μmが特に好ましくい。下限は、0.5μmがより好ましく、1μmが特に好ましい。
前記トナーの体積平均粒径と個数平均粒径との比[体積平均粒径/個数平均粒径]としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒径均一性の観点から、1.0〜1.4が好ましく、1.0〜1.3がより好ましい。
前記体積平均粒径(Dv)及び前記個数平均粒径(Dn)は、コールターカウンター法により測定される。測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII、コールターマルチサイザーIII(いずれもコールター社製)が挙げられる。以下に測定方法について述べる。
具体的には、電解水溶液100mL〜150mL中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1mL〜5mL加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1質量%NaCl水溶液を調製したもので、例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。
ここで、更に測定試料を2mg〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1分間〜3分間分散処理を行ない、上記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径、及び個数平均粒径を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上40.30μm未満の粒子を対象とする。
<メタノール濡れ性で示される疎水化度>
本発明のトナーは、疎水化度が40%以上80%以下であることが好ましい。40%未満の場合には高温高湿条件下での保存性が充分に得られず、80%を越えるとトナーの紙への定着を阻害することがある。
本発明のトナーの疎水化度は、メタノールに対する濡れ性で測定される疎水化度で示される。メタノールに対する濡れ性で示される疎水化度は、粉体濡れ性試験機WET−100P(レスカ社製)を用いて、算出することができる。
具体的には、300mlビーカーにイオン交換水60mlを入れ、これにトナー0.025gを加えて、スターラ攪拌回転数を200rpmとした条件下で攪拌しながらメタノールを1.6ml/分で滴下し、透過度が50%になった時点でのメタノールの濃度を疎水化度として算出する。測定の液温は20℃とする。
トナーが沈降し、液の透過率が50%となった時点で、初期イオン交換水量と滴下メタノール量から計算されるメタノール濃度を、疎水化度として算出する。
トナーの疎水化度を制御する方法は電子写真プロセス上の不具合を生じさせないものであればいかなる方法を用いてもよいが、高温高湿条件下での保存性の課題が樹脂自体の性質によるものである場合には疎水性無機微粒子の外添のみによる疎水化度制御ではなく、過剰な外添剤使用を防ぐため、複数の手段を併用することが必要になる。
例えば、樹脂自体の洗浄による低分子量成分除去や、母体粒子表面に樹脂被覆処理を行う方法を併用することができる。
低分子量成分除去は、結着樹脂の主成分であるブロック共重合樹脂について行えばたりるが、所望の疎水化度に調整するため結着樹脂全体に行ってもよい。
また、本発明のトナーにおけるブロック共重合樹脂は、非晶性セグメントを海とし、結晶性セグメントを島とするミクロ相分離構造を形成するだけでなく、非晶性セグメントと結晶性セグメントとが連結するため、分子鎖末端の親水性部位の減少にも寄与するものである。
なお、低分子量成分除去は、樹脂が溶解した状態で行う必要があり、トナー母体粒子造粒後の洗浄によっては低分子量成分を除去することができない。
<トナーの製造方法>
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式造粒法、粉砕法などが挙げられる。
前記湿式造粒法としては、例えば、溶解懸濁法、乳化凝集法などが挙げられる。混練による分子切断、及び高分子量樹脂と低分子量樹脂との均一混練の難しさから、結着樹脂の混練を伴わない製造方法である、溶解懸濁法、乳化凝集法が好ましく、トナー粒子中の樹脂均一性の観点から溶解懸濁法がより好ましい。
また、前記トナーは、特許第4531076号公報に示されるような粒子製造方法、すなわち、トナーを構成する材料を液状又は超臨界状態の二酸化炭素に溶解させた後に、この液状又は超臨界状態の二酸化炭素を除去することによりトナー粒子を得る粒子製造方法によっても製造することができる。
(溶解懸濁法)
前記溶解懸濁法としては、例えば、トナー材料相調製工程と、水系媒体相調製工程と、乳化乃至分散液調製工程と、有機溶剤除去工程とを含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む方法などが挙げられる。
−トナー材料相(油相)調製工程−
前記トナー材料相調製工程は、少なくとも前記結着樹脂を含有し、更に必要に応じて、前記着色剤、前記離型剤などを含有するトナー材料を有機溶剤中に溶解又は分散させてトナー材料の溶解乃至分散液(トナー材料相又は油相と呼ぶこともある。)を調製する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、除去の容易性の点で沸点が150℃未満の揮発性のものが好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素が好ましく、酢酸エチルがより好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー材料100質量部に対して0質量部〜300質量部が好ましく、0質量部〜100質量部がより好ましく、25質量部〜70質量部が特に好ましい。
−水系媒体相(水相)調製工程−
前記水系媒体相調製工程としては、水系媒体相を調製する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。この工程においては、水系媒体中に樹脂微粒子を含む水系媒体相を調製することが好ましい。
前記水系媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶剤、これらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、水が特に好ましい。
前記水と混和可能な溶剤としては、水と混和可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類などが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
前記低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水系媒体相の調製は、例えば、界面活性剤の存在下で前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させることにより行う。前記水系媒体中に前記界面活性剤、後述する樹脂微粒子などを適宜加えるのは、前記トナー材料の分散を良好にするためである。
前記アニオン性界面活性剤と樹脂微粒子の前記水系媒体中への添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、それぞれ、前記水系媒体に対して0.5質量%〜10質量%が好ましい。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセリールボレイト脂肪酸エステルなどが挙げられる。
前記樹脂微粒子は、水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。前記樹脂微粒子の材質としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
前記ビニル系樹脂としては、例えば、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などが挙げられる。
前記樹脂微粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm〜200nmが好ましく、20nm〜300nmがより好ましい。
前記水系媒体相の調製においては、分散剤としてセルロースを用いてもよい。前記セルロースとしては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが挙げられる。
−乳化乃至分散液調製工程−
前記乳化乃至分散液調製工程としては、前記トナー材料の溶解乃至分散液(トナー材料相)と前記水系媒体相とを混合して乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を調製する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
乳化乃至分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の分散機などを用いて行うことができる。前記分散機としては、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機などが挙げられる。
前記トナー材料相100質量部に対する前記水系媒体相の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50質量部〜2,000質量部が好ましく、100質量部〜1,000質量部がより好ましい。前記使用量が、50質量部未満であると、トナー材料相の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがある。前記使用量が、2,000質量部を超えると、経済的でない。
(樹脂微粒子付着工程)
本発明のトナーにおいて、乳化後のトナー母体粒子表面に、乳化後の別工程として別途樹脂微粒子を付着させる工程を含めてもよい。
乳化工程により得られたトナー母体粒子となる乳化粒子の分散液は、攪拌を行っている間は安定に乳化粒子の液滴を存在させておくことができる。その状態で前述のビニル系樹脂微粒子等の樹脂微粒子分散液を投入して乳化粒子上に付着させる。
ビニル系樹脂微粒子分散液の投入は、30秒以上かけて行うのがよい。30秒未満で投入を行うと、分散系が急激に変化するために凝集粒子が発生したり、ビニル系樹脂微粒子の付着が不均一になったりするため好ましくない。一方、闇雲に長い時間、例えば60分を超えて添加するのは生産効率の面から好ましくはない。
ビニル系樹脂微粒子分散液は、乳化粒子分散液に投入する前に、適宜濃度調整のために希釈あるいは濃縮してもよい。ビニル系樹脂微粒子分散液の濃度は、5〜30重量%が好ましく、8〜20重量%がより好ましい。
5%未満では、分散液の投入に伴う有機溶媒濃度の変化が大きく、樹脂微粒子の付着が不十分になるため好ましくない。また30重量%を超えるような場合、樹脂微粒子が乳化粒子分散液中に偏在しやすくなり、その結果樹脂微粒子の付着が不均一になるため避けたほうがよい。
本発明の方法によって、トナー母体粒子となる乳化粒子に対してビニル系樹脂微粒子が十分な強度で付着するのは、ビニル系樹脂微粒子が乳化粒子の液滴に付着したときに、乳化粒子が自由に変形できるためにビニル系樹脂微粒子界面と接触面を十分に形成すること、および、有機溶媒によってビニル系樹脂微粒子が膨潤もしくは溶解し、ビニル系樹脂微粒子と乳化粒子内の樹脂とが接着しやすい状況になることによると思われる。
したがって、この状態において有機溶媒は系内に十分に存在することが必要である。具体的には、乳化粒子分散液の状態において、固形分(樹脂、着色剤、および必要に応じて離型剤、帯電制御剤など)に対して50重量%〜150重量%、好ましくは70重量%〜125重量%の範囲にあるのがよい。
150重量%を超えると、一度の製造工程で得られる着色樹脂粒子が少なくなり生産効率が低いこと、また有機溶媒が多いと分散安定性が低下して安定した製造が難しくなることなどから好ましくない。
乳化粒子にビニル系樹脂微粒子を付着するときの温度としては、10〜60℃、好ましくは20〜45℃である。60℃を超えると、製造に必要なエネルギーが増大するために製造環境負荷が大きくなることに加え、低酸価のビニル系樹脂微粒子が液滴表面に存在することもあり分散が不安定になり粗大粒子が発生する可能性もあるため好ましくない。
一方、10℃未満では分散体の粘度が高くなり、樹脂微粒子の付着が不十分になるため好ましくない。
−有機溶剤除去工程−
前記有機溶剤除去工程としては、前記乳化乃至分散液から前記有機溶剤を除去し脱溶剤スラリーを得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記有機溶剤の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、前記乳化乃至分散液の油滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法、(2)前記乳化乃至分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、前記乳化乃至分散液の油滴中の有機溶剤を完全に除去する方法などが挙げられる。有機溶剤の除去が行われるとトナー粒子が形成される。
−アニーリング工程−
有機溶剤除去工程の後に、アニーリング工程を実施することが、トナーの結晶化度を向上させる点で好ましい。
アニーリング工程としては、トナーの結着樹脂中に含まれる結晶性樹脂の融点より低い温度環境下で脱溶剤スラリーを放置することが必要であり、融点より5℃低い温度と融点の間の温度に脱溶剤スラリーを放置することが好ましい。
(その他の工程)
前記その他の工程としては、例えば、洗浄工程、乾燥工程などが挙げられる。
−洗浄工程−
前記洗浄工程としては、前記有機溶剤除去工程の後に、前記脱溶剤スラリーを水で洗浄する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記水としては、例えば、イオン交換水などが挙げられる。
−乾燥工程−
前記乾燥工程としては、前記洗浄工程で得られたトナー粒子を乾燥する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(粉砕法)
前記粉砕法粉砕法は、例えば、少なくとも結着樹脂を含有するトナー材料を溶融混練したものを、粉砕し、分級することにより、前記トナーの母体粒子を製造する方法である。 前記溶融混練は、前記トナー材料を混合して得られた混合物を溶融混練機に仕込んで行う。前記溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機、ロールミルによるバッチ式混練機などが挙げられる。具体的には、例えば、神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダーなどが挙げられる。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
前記粉砕は、前記溶融混練で得られた混練物を粉砕する工程である。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を所定粒径の粒子に調整する工程である。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離器などにより、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
<現像剤>
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを含有する。前記現像剤は、一成分現像剤として使用してもよく、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。中でも、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
(芯材)
前記芯材としては、磁性を有する粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケルが好ましい。また、近年著しく進む環境面への適応性を配慮した場合、前記フェライトとしては、従来の銅−亜鉛系フェライトではなく、マンガンフェライト、マンガン−マグネシウムフェライト、マンガン−ストロンチウムフェライト、マンガン−マグネシウム−ストロンチウムフェライト、リチウム系フェライトが好ましい。
−樹脂層−
前記樹脂層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂;アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等で変性した変性シリコーン樹脂などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができる。
前記ストレートシリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR206(アルキド変性シリコーン樹脂)、KR5208(アクリル変性シリコーン樹脂)、ES1001N(エポキシ変性シリコーン樹脂)、KR305(ウレタン変性シリコーン樹脂);東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2115(エポキシ変性シリコーン樹脂)、SR2110(アルキド変性シリコーン樹脂)などが挙げられる。
なお、前記シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
前記樹脂層を形成する成分の前記キャリアにおける含有量としては、0.01質量%〜5.0質量%が好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記現像剤が二成分現像剤である場合の前記トナーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記キャリア100質量部に対して、2.0質量部〜12.0質量部が好ましく、2.5質量部〜10.0質量部がより好ましい。
<画像形成装置、及び画像形成方法>
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体(以下、「感光体」と称することがある。)と、静電潜像形成手段と、現像手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明に関する画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。 前記画像形成方法は、前記画像形成装置により好適に行うことができ、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により好適に行うことができ、前記現像工程は、前記現像手段により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
<静電潜像担持体>
前記静電潜像担持体の材質、構造、大きさとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコンが好ましい。
前記アモルファスシリコン感光体としては、例えば、支持体を50℃〜400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD(化学気相成長、Chemical Vapor Deposition)法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を有する感光体を用いることができる。これらの中でも、プラズマCVD法、即ち、原料ガスを直流又は高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適である。
前記静電潜像担持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、円筒状が好ましい。前記円筒状の前記静電潜像担持体の外径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3mm〜100mmが好ましく5mm〜50mmがより好ましく、10mm〜30mmが特に好ましい。
<静電潜像形成手段、及び静電潜像形成工程>
前記静電潜像形成手段としては、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光部材とを少なくとも有する手段などが挙げられる。
前記静電潜像形成工程としては、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段を用いて行うことができる。
<帯電部材、及び帯電>
前記帯電部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器などが挙げられる。
前記帯電は、例えば、前記帯電部材を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電部材の形状としては、ローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等どのような形態をとってもよく、前記画像形成装置の仕様や形態にあわせて選択することができる。
前記帯電部材として前記磁気ブラシを用いる場合、該磁気ブラシとしては、例えば、Zn−Cuフェライト等の各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。
前記帯電部材として前記ファーブラシを用いる場合、該ファーブラシの材質としては、例えば、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電部材とすることができる。
前記帯電部材としては、前記接触式の帯電部材に限定されるものではないが、帯電部材から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触式の帯電部材を用いることが好ましい。
<露光部材、及び露光>
前記露光部材としては、前記帯電部材により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光部材などが挙げられる。
前記露光部材に用いられる光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般などが挙げられる。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
前記露光は、例えば、前記露光部材を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<現像手段、及び現像工程>
前記現像手段としては、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記現像工程としては、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよい。また、単色用現像手段であってもよいし、多色用現像手段であってもよい。
前記現像手段としては、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に前記トナーを含む現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する現像装置が好ましい。
前記現像手段内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
<その他の手段、及びその他の工程>
前記その他の手段としては、例えば、転写手段、定着手段、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段などが挙げられる。
前記その他の工程としては、例えば、転写工程、定着工程、クリーニング工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程などが挙げられる。
<転写手段、及び転写工程>
前記転写手段としては、可視像を記録媒体に転写する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
前記転写工程としては、可視像を記録媒体に転写する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。
前記転写工程は、例えば、前記可視像を、転写帯電器を用いて前記感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。
ここで、前記記録媒体上に二次転写される画像が複数色のトナーからなるカラー画像である場合に、前記転写手段により、前記中間転写体上に各色のトナーを順次重ね合わせて当該中間転写体上に画像を形成し、前記中間転写手段により、当該中間転写体上の画像を前記記録媒体上に一括で二次転写する構成とすることができる。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルトなどが好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記感光体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
<定着手段、及び定着工程>
前記定着手段としては、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧部材が好ましい。前記加熱加圧部材としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せなどが挙げられる。
前記定着工程としては、前記記録媒体に転写された可視像を定着させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着工程は、前記定着手段により行うことができる。
前記加熱加圧部材における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記定着工程における面圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10N/cm2〜80N/cmであることが好ましい。
<クリーニング手段、及びクリーニング工程>
前記クリーニング手段としては、前記感光体上に残留する前記トナーを除去できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナなどが挙げられる。
前記クリーニング工程としては、前記感光体上に残留する前記トナーを除去できる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記クリーニング手段により行うことができる。
<除電手段、及び除電工程>
前記除電手段としては、前記感光体に対し除電バイアスを印加して除電する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電ランプなどが挙げられる。
前記除電工程としては、前記感光体に対し除電バイアスを印加して除電する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記除電手段により行うことができる。
<リサイクル手段、及びリサイクル工程>
前記リサイクル手段としては、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像装置にリサイクルさせる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の搬送手段などが挙げられる。
前記リサイクル工程としては、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像装置にリサイクルさせる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記リサイクル手段により行うことができる。
<制御手段、及び制御工程>
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器などが挙げられる。
前記制御工程としては、前記各工程の動きを制御できる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記制御手段により行うことができる。
次に、本発明の画像形成装置により画像を形成する方法を実施する一の態様について、図6を参照しながら説明する。図6に示す画像形成装置100Aは、静電潜像担持体10と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段Lと、前記現像手段としての現像器40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50の近傍には、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。また、中間転写体50の近傍には、記録媒体としての転写紙95に現像像(トナー画像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が、中間転写体50に対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー画像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、静電潜像担持体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
現像器40は、前記現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えている。イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えている。マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えている。シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。
また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が静電潜像担持体10と接触している。
図6に示す画像形成装置100Aにおいて、例えば、帯電ローラ20が静電潜像担持体10を一様に帯電させる。露光装置Lが静電潜像担持体10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。静電潜像担持体10上に形成された静電潜像を、現像器40からトナーを供給して現像してトナー画像を形成する。該トナー画像が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、静電潜像担持体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、静電潜像担持体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
図7に、本発明の画像形成装置の他の一例を示す。画像形成装置100Bは、現像ベルト41を設けずに、静電潜像担持体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されている以外は、図6に示す画像形成装置100Aと同様の構成を有する。
図8に示す画像形成装置は、複写装置本体100Cと、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体100Cには、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図8中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、前記露光部材である露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には前記定着手段である定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、タンデム画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動する。そして、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段、及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達される。そして、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図9に示すように、それぞれ、静電潜像担持体10(ブラック用静電潜像担持体10K、イエロー用静電潜像担持体10Y、マゼンタ用静電潜像担持体10M、及びシアン用静電潜像担持体10C)と、該静電潜像担持体10を一様に帯電させる前記帯電部材である帯電装置160と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記静電潜像担持体を露光(図9中、L)し、該静電潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する前記現像手段である現像装置61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング装置63と、除電器64とを備えている。そして、各画像形成手段18は、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用静電潜像担持体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用静電潜像担持体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用静電潜像担持体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用静電潜像担持体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出す。シートは、分離ローラ145で1枚ずつ分離されて給紙路146に送り出され、搬送ローラ147で搬送されて複写装置本体150内の給紙路148に導かれ、レジストローラ49に突き当てて止められる。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)する。そうすることにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。あるいは、シートは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導かれ、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
[製造例1−1(非晶性セグメントA1の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてプロピレングリコールと、ジカルボン酸としてテレフタル酸ジメチル及びアジピン酸ジメチルとを、テレフタル酸ジメチルとアジピン酸ジメチルとのモル比(テレフタル酸ジメチル/アジピン酸ジメチル)が80/20であり、かつ、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.2になるように仕込み、更に、仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを仕込み、メタノールを流出させながら反応させた。最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、20mmHg〜30mmHgの減圧下にて4時間反応させ、線状の非晶性ポリエステル樹脂である[非晶性セグメントA1]を得た。
[製造例1−2(非晶性セグメントA2の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてプロピレングリコールと、ジカルボン酸としてテレフタル酸ジメチル及びフマル酸ジメチルとを、テレフタル酸ジメチルとフマル酸ジメチルとのモル比(テレフタル酸ジメチル/フマル酸ジメチル)が90/10であり、かつ、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.15になるように仕込み、更に仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを仕込み、メタノールを流出させながら反応させた。最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、20mmHg〜30mmHgの減圧下にて4時間反応させ、線状の非晶性ポリエステル樹脂である[非晶性セグメントA2]を得た。
[製造例2−1(結晶性セグメントC1(結晶性ポリエステル樹脂C1)の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとして1,4−ブタンジオールと、ジカルボン酸としてセバシン酸とを、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.1になるように仕込み、更に仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを仕込み、水を流出させながら反応させた。最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、10mmHg以下の減圧下にて5時間反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂C1]である[結晶性セグメントC1]を得た。
[製造例2−2(結晶性セグメントC2(結晶性ポリエステル樹脂C2)の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとして1,6−ヘキサンジオールと、ジカルボン酸としてセバシン酸とを、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.15になるように仕込み、更に仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを仕込み、水を流出させながら反応させた。最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、10mmHg以下の減圧下にて4時間反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂C2]である[結晶性セグメントC2]を得た。
[製造例3−1(結晶性樹脂C’1(結晶性ポリエステル樹脂C’1)の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとして1,6−ヘキサンジオールと、ジカルボン酸としてアジピン酸とを、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.1になるように仕込み、更に仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを仕込み、水を流出させながら反応させた。最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、10mmHg以下の減圧下にて6時間反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂C’1]を得た。
[製造例3−2(結晶性樹脂C’2(結晶性ポリエステル樹脂C’2)の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとして1,8−オクタンジオールと、ジカルボン酸としてアジピン酸とを、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.1になるように仕込み、更に仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを仕込み、水を流出させながら反応させた。最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、10mmHg以下の減圧下にて6時間反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂C’2]を得た。
[製造例3−3(結晶性樹脂C’3(結晶性ポリエステル樹脂C’3)の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとして1,6−ヘキサンジオールと、ジカルボン酸としてセバシン酸とを、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.1になるように仕込み、更に仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを仕込み、水を流出させながら反応させた。最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、10mmHg以下の減圧下にて6時間反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂C’3]を得た。
[製造例3−4(結晶性樹脂C‘4(結晶性ポリエステル樹脂C’4)の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてエチレングリコールと、ジカルボン酸としてセバシン酸とを、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.1になるように仕込み、更に仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを仕込み、水を流出させながら反応させた。最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、10mmHg以下の減圧下にて6時間反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂C‘4]を得た。
[製造例3−5(結晶性樹脂C‘5(結晶性ポリエステル樹脂C’5)の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとして1,10−デカンジオールと、ジカルボン酸としてドデカン二酸とを、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.1になるように仕込み、更に仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを仕込み、水を流出させながら反応させた。最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、10mmHg以下の減圧下にて6時間反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂C‘5]を得た。
[製造例3−6(結晶性樹脂C‘6(結晶性ポリエステル樹脂C’6)の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとして1,4−ブタンジオールと、ジカルボン酸としてセバシン酸とを、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.1になるように仕込み、更に仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを仕込み、水を流出させながら反応させた。最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、10mmHg以下の減圧下にて6時間反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂C‘6]を得た。
[製造例3−7(結晶性樹脂C‘7(結晶性ポリエステル樹脂C’7)の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてエチレングリコールと、ジカルボン酸としてマロン酸とを、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.1になるように仕込み、更に仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを仕込み、水を流出させながら反応させた。最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、10mmHg以下の減圧下にて6時間反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂C‘7]を得た。
上記製造例1−1〜製造例3−7で得られた樹脂のモノマー成分、TgまたはTm、を表1
に示す。
<樹脂のガラス転移点、融点、及びトナーの最大融点ピーク温度の測定>
樹脂のガラス転移点、融点、及びトナーの最大融点ピーク温度は、DSCシステム(示差走査熱量計)(「DSC−60」、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
具体的には、対象試料の吸熱ピーク温度のうち、樹脂の場合は、最大の吸熱ピーク温度を樹脂の融点とし、トナーの場合には、樹脂の融点に相当する最大吸熱ピークの温度を下記手順により求めた。
得られるDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラム『吸熱ピーク温度』を用いて、二回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温二回目における上記吸熱ピークを求めた。

〔測定条件〕
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50mL/min)
温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温速度:10℃/min
終了温度:−20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
上記製造例1−1〜製造例3−7の配合等を表1に示した。表1中、アルコール成分、及びカルボン酸成分の欄に記載の数値は、アルコール成分、及びカルボン酸成分それぞれにおけるモル比率(モル%)である。
Figure 0006413247
[製造例4−1(ブロック共重合樹脂B1の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、[非晶性セグメントA1]1600gと、[結晶性セグメントC1]400gとを仕込み、60℃で2時間、10mmHgで減圧乾燥を行った。窒素解圧後、モレキュラーシーブス4Aにて脱水処理を行った酢酸エチル2000gを投入し、窒素気流下、均一になるまで溶解させた。
次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)136gを系に投入し、目視下にて均一になるまで撹拌した。その後、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを樹脂固形分の質量に対して100ppm投入し、80℃まで昇温させ、リフラックス下で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去し、[ブロック共重合樹脂B1]を得た。
[製造例4−2(ブロック共重合樹脂B2の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、[非晶性セグメントA1]1300gと、[結晶性セグメントC1]700gとを仕込み、60℃で2時間、10mmHgで減圧乾燥を行った。窒素解圧後、モレキュラーシーブス4Aにて脱水処理を行った酢酸エチル2,000gを投入し、窒素気流下、均一になるまで溶解させた。
次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)133gを系に投入し、目視下にて均一になるまで撹拌した。その後、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを樹脂固形分の質量に対して100ppm投入し、80℃まで昇温させ、リフラックス下で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去し、[ブロック共重合樹脂B2]を得た。
[製造例4−3(ブロック共重合樹脂B3の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、[非晶性セグメントA2]1600gと、[結晶性セグメントC1]400gとを仕込み、60℃で2時間、10mmHgで減圧乾燥を行った。窒素解圧後、モレキュラーシーブス4Aにて脱水処理を行った酢酸エチル2000gを投入し、窒素気流下、均一になるまで溶解させた。
次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)145gを系に投入し、目視下にて均一になるまで撹拌した。その後、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを樹脂固形分の質量に対して100ppm投入し、80℃まで昇温させ、リフラックス下で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去し、[ブロック共重合樹脂B3]を得た。
[製造例4−4(ブロック共重合樹脂B4の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、[非晶性セグメントA1]1600gと、[結晶性セグメントC2]400gとを仕込み、60℃で2時間、10mmHgで減圧乾燥を行った。窒素解圧後、モレキュラーシーブス4Aにて脱水処理を行った酢酸エチル2000gを投入し、窒素気流下、均一になるまで溶解させた。
次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)140gを系に投入し、目視下にて均一になるまで撹拌した。その後、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを樹脂固形分の質量に対して100ppm投入し、80℃まで昇温させ、リフラックス下で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去し、[ブロック共重合樹脂B4]を得た。
[製造例4−5(ブロック共重合樹脂B5の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、[非晶性セグメントA1]1600gと、[結晶性セグメントC2]400gとを仕込み、60℃で2時間、10mmHgで減圧乾燥を行った。窒素解圧後、モレキュラーシーブス4Aにて脱水処理を行った酢酸エチル2000gを投入し、窒素気流下、均一になるまで溶解させた。
次いで、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)130gを系に投入し、目視下にて均一になるまで撹拌した。その後、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを樹脂固形分の質量に対して100ppm投入し、80℃まで昇温させ、リフラックス下で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去し、[ブロック共重合樹脂B5]を得た。
[製造例4−6(ブロック共重合樹脂B6の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、[非晶性セグメントA2]1300gと、[結晶性セグメントC1]700gとを仕込み、60℃で2時間、10mmHgで減圧乾燥を行った。窒素解圧後、モレキュラーシーブス4Aにて脱水処理を行った酢酸エチル2000gを投入し、窒素気流下、均一になるまで溶解させた。
次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)132gを系に投入し、目視下にて均一になるまで撹拌した。その後、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを樹脂固形分の質量に対して100ppm投入し、80℃まで昇温させ、リフラックス下で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去し、[ブロック共重合樹脂B6]を得た。
[製造例4−7(ブロック共重合樹脂B7の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、[非晶性セグメントA1]1100gと、[結晶性セグメントC1]900gとを仕込み、60℃で2時間、10mmHgで減圧乾燥を行った。窒素解圧後、モレキュラーシーブス4Aにて脱水処理を行った酢酸エチル2,000gを投入し、窒素気流下、均一になるまで溶解させた。
次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)142gを系に投入し、目視下にて均一になるまで撹拌した。その後、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを樹脂固形分の質量に対して100ppm投入し、80℃まで昇温させ、リフラックス下で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、[ブロック共重合樹脂B7]を得た。
[製造例4−8(ブロック共重合樹脂B8の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、[非晶性セグメントA1]1600gと、[結晶性セグメントC1]400gとを仕込み、60℃で2時間、10mmHgで減圧乾燥を行った。窒素解圧後、モレキュラーシーブス4Aにて脱水処理を行った酢酸エチル2,000gを投入し、窒素気流下、均一になるまで溶解させた。
次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)142gを系に投入し、目視下にて均一になるまで撹拌した。その後、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを樹脂固形分の質量に対して100ppm投入し、80℃まで昇温させ、リフラックス下で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去した。
得られた樹脂100gに対して400gの割合で酢酸エチルを加えて充分攪拌し樹脂溶液を得て、その後樹脂溶液を1Lのメタノール中にゆっくり滴下して再沈殿を行い、メタノール溶解成分を除去した樹脂を沈殿物として得る作業を5回繰り返して、[ブロック共重合樹脂B8]を得た。
[製造例4−9(ブロック共重合樹脂B9の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、[非晶性セグメントA1]1600gと、[結晶性セグメントC2]500gとを仕込み、60℃で2時間、10mmHgで減圧乾燥を行った。窒素解圧後、モレキュラーシーブス4Aにて脱水処理を行った酢酸エチル2,000gを投入し、窒素気流下、均一になるまで溶解させた。
次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)142gを系に投入し、目視下にて均一になるまで撹拌した。その後、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを樹脂固形分の質量に対して100ppm投入し、80℃まで昇温させ、リフラックス下で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去した。
得られた樹脂100gに対して400gの割合で酢酸エチルを加えて充分攪拌し樹脂溶液を得て、その後樹脂溶液を1Lのメタノール中にゆっくり滴下して再沈殿を行い、メタノール溶解成分を除去した樹脂を沈殿物として得る作業を5回繰り返して、[ブロック共重合樹脂B9]を得た。
[製造例4−10(ブロック共重合樹脂B10の製造)]
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、[非晶性セグメントA1]1600gと、[結晶性セグメントC2]400gとを仕込み、60℃で2時間、10mmHgで減圧乾燥を行った。窒素解圧後、モレキュラーシーブス4Aにて脱水処理を行った酢酸エチル2,000gを投入し、窒素気流下、均一になるまで溶解させた。
次いで、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)130gを系に投入し、目視下にて均一になるまで撹拌した。その後、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを樹脂固形分の質量に対して100ppm投入し、80℃まで昇温させ、リフラックス下で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去した。
得られた樹脂100gに対して400gの割合で酢酸エチルを加えて充分攪拌し樹脂溶液を得て、その後樹脂溶液を1Lのメタノール中にゆっくり滴下して再沈殿を行い、メタノール溶解成分を除去した樹脂を沈殿物として得る作業を5回繰り返して、[ブロック共重合樹脂B10]を得た。
Figure 0006413247
(MDI)4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
(HDI)1,6−ヘキサンジイソシアネート
[製造例5(着色剤マスターバッチの製造)]
[ブロック共重合樹脂B1]100部、シアン顔料(C.I.Pigment blue 15:3)100部、及びイオン交換水30部をよく混合して、オープンロール型混練機(ニーデックス、日本コークス工業株式会社製)を用いて混練を行った。混練温度は90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却し、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[着色剤マスターバッチP1]を作製した。
[ブロック共重合樹脂B1]を[ブロック共重合樹脂B2]に変更すること以外は、同様にして、[着色剤マスターバッチP2]を作製した。
[ブロック共重合樹脂B1]を[ブロック共重合樹脂B3]に変更すること以外は、同様にして、[着色剤マスターバッチP3]を作製した。
[ブロック共重合樹脂B1]を[ブロック共重合樹脂B4]に変更すること以外は、同様にして、[着色剤マスターバッチP4]を作製した。
[ブロック共重合樹脂B1]を[ブロック共重合樹脂B5]に変更すること以外は、同様にして、[着色剤マスターバッチP5]を作製した。
[ブロック共重合樹脂B1]を[ブロック共重合樹脂B6]に変更すること以外は、同様にして、[着色剤マスターバッチP6]を作製した。
[ブロック共重合樹脂B1]を[ブロック共重合樹脂B7]に変更すること以外は、同様にして、[着色剤マスターバッチP7]を作製した。
[ブロック共重合樹脂B1]を[ブロック共重合樹脂B8]に変更すること以外は、同様にして、[着色剤マスターバッチP8]を作製した。
[ブロック共重合樹脂B1]を[ブロック共重合樹脂B9]に変更すること以外は、同様にして、[着色剤マスターバッチP9]を作製した。
[ブロック共重合樹脂B1]を[ブロック共重合樹脂B10]に変更すること以外は、同様にして、[着色剤マスターバッチP10]を作製した。
[ブロック共重合樹脂B1]を[非晶性樹脂A1](製造例1−1で製造した非晶性ポリエステル樹脂)に変更すること以外は、同様にして、[着色剤マスターバッチPA1]を作製した。
[ブロック共重合樹脂B1]を[非晶性樹脂A2](製造例1−2で製造した非晶性ポリエステル樹脂)に変更すること以外は、同様にして、[着色剤マスターバッチPA2]を作製した。
[ブロック共重合樹脂B1]を[結晶性樹脂C1](製造例2−1で製造した結晶性ポリエステル樹脂)に変更すること以外は、同様にして、[着色剤マスターバッチPC1]を作製した。
[製造例6(ワックス(WAX)分散液の製造)]
冷却管、温度計及び撹拌機を装備した反応容器に、パラフィンワックス(HNP−9(融点75℃)、日本精蝋株式会社製)20部、及び酢酸エチル80部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った後、更にウルトラビスコミル(アイメックス社製)にて、送液速度1.0kg/時間、ディスク周速度:10m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕し、酢酸エチルを加えて固形分濃度を調整し、固形分濃度20%の[ワックス(WAX)分散液]を作製した。
[製造例7(ビニル系樹脂微粒子分散液1の製造)]
冷却管、撹拌機および窒素導入管のついた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.7部、イオン交換水498部をいれ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム2.6部をイオン交換水104部に溶解させたものを加え、その15分後に 、スチレンモノマー250部、n−オクタンチオール5.4部の単量体混合液を90分かけて滴下し、その後さらに60分間80℃に保ち重合反応をさせた。
その後、冷却して白色の[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を得た。得られた分散液を2mlシャーレに取り、分散媒を蒸発させて得られた乾固物を測定したところ、数平均分子量が8700、重量平均分子量が18400、Tgが85℃であった
[実施例1(トナー1の製造)]
<油相の作製>
温度計及び攪拌機を装備した容器に、[ブロック共重合樹脂B1]を油相全体の固形分の74質量%となる量と、[結晶性樹脂C’1]を油相全体の固形分の15質量%となる量を投入し、酢酸エチルを油相全体の固形分が50%となる量を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[ワックス(WAX)分散液]をワックス量が油相全体の固形分の5質量%となる量、及び[着色剤マスターバッチP1]を顔料が油相全体の固形分の6質量%となる量を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)で、回転数10000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相1]を得た。
なお、[油相1]の温度は容器内にて50℃に保つようにした。
<水相の作製>
次に、撹拌機及び温度計をセットした別の容器内に、イオン交換水75部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%分散液(三洋化成工業株式会社製)3部、カルボキシメチルセルロースナトリウム(セロゲンBS−H−3、第一工業製薬株式会社製)1部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)16部、及び酢酸エチル5部を40℃で混合撹拌させて水相溶液([水相1])を作製した。
<スラリーの作製>
その[水相1]全量へ、50℃に保った[油相1]50部を加え、45℃〜48℃にてTKホモミキサー(プライミクス株式会社製)で回転数12,000rpmで1分間混合して、[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー1]を投入し、50℃で2時間脱溶剤して、[スラリー1]を得た。
得られたトナー母体粒子の[スラリー1]100部を減圧濾過し濾過ケーキを得た。その濾過ケーキについて、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、[濾過ケーキ1]を得た。
得られた[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmのメッシュで篩い、[トナー母体粒子1]を作製した。
<外添剤の添加>
次に、得られた[トナー母体粒子1]100部に疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)1.0部、及び酸化チタン(MT−150AI、テイカ株式会社製)0.3部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合して、[トナー1]を作製した。
[実施例2(トナー2の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、実施例1と同様にして[トナー2]を作製した。
[実施例3(トナー3の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、実施例1と同様にして[トナー3]を作製した。
[実施例4(トナー4の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、実施例1と同様にして[トナー4]を作製した。
[実施例5(トナー5の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、実施例1と同様にして[トナー5]を作製した。
[実施例6(トナー6の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、実施例1と同様にして[トナー6]を作製した。
[実施例7(トナー7の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、実施例1と同様にして[トナー7]を作製した。
[実施例8(トナー8の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、実施例1と同様にして[トナー8]を作製した。
[実施例9(トナー9の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、さらに脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー9]を作製した。
[比較例1(トナー10の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、[非晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、実施例1と同様にして[トナー10]を作製した。
[比較例2(トナー11の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、[非晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、実施例1と同様にして[トナー11]を作製した。
[比較例3(トナー12の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、実施例1と同様にして[トナー12]を作製した。
[比較例4(トナー13の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、実施例1と同様にして[トナー13]を作製した。
[比較例5(トナー14の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、[非晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、実施例1と同様にして[トナー14]を作製した。
[比較例6(トナー15の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、実施例1と同様にして[トナー15]を作製した。
[実施例10(トナー16の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー16]を作製した。
[実施例11(トナー17の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー17]を作製した。
[実施例12(トナー18の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー18]を作製した。
[実施例13(トナー19の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー19]を作製した。
[実施例14(トナー20の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー20]を作製した。
[実施例15(トナー21の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー21]を作製した。
[実施例16(トナー22の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー22]を作製した。
[実施例17(トナー23の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー23]を作製した。
[実施例18(トナー24の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー24]を作製した。
[実施例19(トナー25の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー25]を作製した。
[実施例20(トナー26の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー26]を作製した。
[実施例21(トナー27の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー27]を作製した。
[実施例22(トナー28の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代え、脱溶剤後の[スラリー]をトナー融点より5℃低い温度環境下で24時間以上放置することでアニーリングを行った後に、ろ過工程に移行する他は実施例1と同様にして[トナー28]を作製した。
[実施例23(トナー29の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代えたこと以外は同様にして、[トナー29]を作製した。
[実施例24(トナー30の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代えたこと以外は同様にして、[トナー30]を作製した。
[実施例25(トナー31の製造)]
実施例1の<油相の作製>において、[ブロック共重合樹脂]、[結晶性ポリエステル樹脂]、及び[着色剤マスターバッチ]を下記表3の処方に示すように、それぞれ代えたこと以外は同様にして、[トナー31]を作製した。
[実施例26(トナー32の製造)]
実施例23の<スラリーの作製>において、[乳化スラリー]を得た直後、アンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数130〜350rpmの間に調整して[乳化スラリー]を攪拌しながら、液温が22℃の状態で、[ビニル系樹脂微粒子分散液1]100部とイオン交換水75部を混合したもの(固形分濃度15%)を3分間かけて滴下し、滴下後、回転数を200〜450rpmの間に調整して30分間攪拌を続け、[複合粒子乳化スラリー]とする工程を追加したこと以外は同様にして、[トナー32]を作製した。
[実施例27(トナー33の製造)]
実施例24の<スラリーの作製>において、[乳化スラリー]を得た直後、アンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数130〜350rpmの間に調整して[乳化スラリー]を攪拌しながら、液温が22℃の状態で、[ビニル系樹脂微粒子分散液1]100部とイオン交換水75部を混合したもの(固形分濃度15%)を3分間かけて滴下し、滴下後、回転数を200〜450rpmの間に調整して30分間攪拌を続け、[複合粒子乳化スラリー]とする工程を追加したこと以外は同様にして、[トナー33]を作製した。
[実施例28(トナー34の製造)]
実施例25の<スラリーの作製>において、[乳化スラリー]を得た直後、アンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数130〜350rpmの間に調整して[乳化スラリー]を攪拌しながら、液温が22℃の状態で、[ビニル系樹脂微粒子分散液1]100部とイオン交換水75部を混合したもの(固形分濃度15%)を3分間かけて滴下し、滴下後、回転数を200〜450rpmの間に調整して30分間攪拌を続け、[複合粒子乳化スラリー]とする工程を追加したこと以外は同様にして、[トナー34]を作製した。
[実施例29(トナー35の製造)]
実施例1の<外添剤の添加>において、[トナー母体粒子1]100部に疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)2部、及び酸化チタン(MT−150AI、テイカ株式会社製)1部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合すること以外は同様にして、[トナー35]を作製した。
トナー組成を表3に示す。得られたトナーについて、粒度分布、X線回折スペクトルの積分強度、パルスNMR緩和時間、及び位相差像の分散径を測定した。評価結果を表4に示す。
Figure 0006413247
なお、ブロック共重合樹脂、非晶性ポリエステル(A)、及び結晶性ポリエステル(C)の含有量には、マスターバッチ由来の樹脂量を含む。
表3中、「結晶性セグメント」の欄の数値は、ブロック共重合樹脂中の結晶性セグメントの割合(質量%)を示す。
Figure 0006413247
<キャリア1の製造>
芯材として、Mnフェライト粒子(重量平均径:35μm)5000部を用いた。
被覆材として、トルエン300部、ブチルセロソルブ300部、アクリル樹脂溶液(組成比(モル比)メタクリル酸:メタクリル酸メチル:2−ヒドロキシエチルアクリレート=5:9:3、固形分50%トルエン溶液、Tg38℃)60部、N−テトラメトキシメチルベンゾグアナミン樹脂溶液(重合度1.5、固形分77%トルエン溶液)15部、及びアルミナ粒子(平均一次粒子径0.30μm)15部をスターラーで10分間分散して調製されたコート液を用いた。
前記芯材と、前記コート液とを、流動床内において回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、前記コート液を前記芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で220℃、2時間の条件で焼成し、[キャリア1]を得た。
<現像剤の製造>
[キャリア1]100部に対して[トナー1]7部を、容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて48rpmで5分間均一混合し、二成分現像剤である[現像剤1]を得た。
[トナー1]を[トナー2]〜[トナー28]にそれぞれ代える他は同様にして、[現像剤2]〜[現像剤28]を得た。
作製した二成分現像剤について、接触帯電方式、二成分現像方式、二次転写方式、ブレードクリーニング方式、及び外部加熱のローラ定着方式を採用した間接転写方式の図8に示すタンデム型画像形成装置画像の現像ユニットに装填して画像形成を行い、下記性能評価を行った。評価結果を表5に示す。
<定着性(定着下限温度)>
図8に示す画像形成装置を用いて、転写紙(リコービジネスエキスパート株式会社製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナーの付着量が0.85±0.10mg/cm2の紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面を描画試験器AD−401(株式会社上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260μmR〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/秒間である。定着下限温度は、低い程、低温定着性に優れる。
〔評価基準〕
◎◎:105℃以下
◎ :105℃超110℃以下
○ :110℃超115℃以下
△ :115℃超130℃以下
× :130℃超
<耐熱保存性(針入度)>
50mLのガラス容器に各トナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した。このトナーを24℃に冷却し、針入度試験(JISK2235−1991)により針入度(mm)を測定し、下記基準に基づいて評価した。なお、針入度の値が大きいほど耐熱保存性が優れていることを示し、5mm未満の場合には、使用上問題が発生する可能性が高い。 なお、本発明においては針入度を貫入深さ(mm)で表す。
〔評価基準〕
◎◎:針入度25mm以上
◎ :針入度20mm以上25mm未満
○ :針入度10mm以上20mm未満
△ :針入度5mm以上10mm未満
× :針入度5mm未満
<排紙耐擦性跡評価>
図8に示す画像形成装置を用いて得られた画像について、搬送部材との接触による定着画像上の光沢の低い箇所又は高い箇所の有無、並びに画像のキズ及びはがれの有無を、目視により観察し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎◎:定着後の部材との接触跡が観察されない。
◎ :部材接触部と周辺の非接触部との間にわずか光沢の差があり、光の当て方によっては接触跡がかろうじて目視でわかる。
○ :部材接触部と周辺の非接触部との間にわずか光沢の差があり、光の当て方によっては接触跡が目視でわかる。
△ :部材接触部と周辺の非接触部との間に明らかな光沢の差があり、接触跡が目視でわかる。又はスジ状のキズがある。
× :部材接触部と周辺の非接触部との間に明らかな光沢の差があり、接触跡が目視でわかる。又はスジ状の深いキズがあり、トナーがはがれて紙面が見える場所もある。
<画像濃度>
定着性評価に用いたタンデム型カラー画像形成装置を用いて、定着ローラの表面温度を160±2℃にして、転写紙(リコービジネスエキスパート株式会社製、複写印刷用紙<70>)に画像面積率7%の印刷を1000枚行った後、トナーの付着量が1.00±0.05mg/cm2のベタ画像を形成した。得られたベタ画像の任意の6箇所の画像濃度を、分光計(938 スペクトロデンシトメータ、X−Rite社製)を用いて測定し、画像濃度(平均値)を求め、下記基準で評価した。△以上が実用可能である。
〔評価基準〕
◎:画像濃度が2.0以上
○:画像濃度が1.8以上2.0未満
△:画像濃度が1.6以上1.8未満
×:画像濃度が1.6未満
<帯電量分布>
帯電量分布は、画像濃度評価後、現像ユニットのスリーブから回収した現像剤に対して、帯電量分布測定装置(イースパートアナライザー、ホソカワミクロン株式会社製)によりQ/d分布(fC/μm)を測定し、この測定値から半値幅を求めた。なお、イースパートアナライザー(E−SPART ANALYZER)の測定条件としては、窒素ガス流量を0.3NL/min、ガス圧0.3気圧とした。帯電量の分布を示す指標としては、最頻値(ピーク値)[q/d]、及び最頻度の2分の1の高さの位置での分布の幅(半値幅)で表し、下記基準で評価した。△以上が、実用可能である。
〔評価基準〕
◎:最頻値0.25fC/μm以上かつ半値幅0.2未満
○:最頻値0.20以上0.25fC/μm未満または半値幅0.2以上0.3未満
△:最頻値0.15以上0.20fC/μm未満または半値幅0.3以上0.4未満
×:最頻値0.15fC/μm未満又かつ半値幅0.4以上
<高温高湿環境下での流動性評価>
高温高湿環境下(35℃、70%)に設置したパウダテスター(PT−N型、ホソカワ
ミクロン社製)を用いて測定を行った。
トナー2.0gを、目開き150μm、75μm、45μmの篩(平織金網、規格JIS Z 8801−1)を通過させたときの、それぞれの篩上の残トナー量を測定し、以下に示す式を用いて算出した。
流動性(%)=〔(A+0.6×B+0.2×C)/2.0〕×100
A:目開き150μmの篩上のトナー残量(g)、B:目開き75μmの篩上のトナー
残量(g)、C:目開き45μmの篩上のトナー残量(g)
流動性の値が小さい方が良好であり、下記の基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:10以下
○:10を超え、20以下
△:20を超え、30以下
×:30を超える
Figure 0006413247
(図6、図7)
100A 画像形成装置
100B 画像形成装置
L 露光手段

10 静電潜像担持体
20 帯電ローラ
40 現像器
41 現像ベルト
42 現像剤収容部
43 現像剤供給ローラ
44 現像ローラ
45 現像ユニット
50 中間転写体
51 ローラ
60 クリーニング装置
70 除電ランプ
90 クリーニング装置
95 転写紙

(図8、図9)
100C 複写装置
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
10 静電潜像担持体
14、15、16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
21 露光装置
22 二次転写装置
24 二次転写ベルト
23 ローラ
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
49 レジストローラ
50 中間転写体
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
61 現像装置
62 転写帯電器
63 クリーニング装置
64 除電器
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
160 帯電装置
特許第3949553号公報 特許第4155108号公報 特開2010−151996号公報 特公平4−024702号公報 特公平4−024703号公報 特開昭63−027855号公報 特許第4569546号公報

Claims (9)

  1. 少なくとも結着樹脂を含有するトナーであって、
    前記結着樹脂は、非晶性ポリエステル部位(A)と結晶性ポリエステル部位(C)とを有するブロック共重合樹脂と、結晶性樹脂とを含有するものであり、
    前記トナーのパルスNMRにより測定される130℃から70℃まで降温したときの70℃におけるスピン−スピン緩和時間(t’70)が、0.3ms以上2.0ms以下であり、
    前記トナーの疎水化度が、40%以上80%以下であることを特徴とするトナー。
  2. 前記トナーは、40℃の酢酸エチルに溶解しない不溶分を乾燥させた乾固物を示差走査熱量(DSC)測定したとき、2回目の昇温時における融解熱のピーク温度が60℃以上100℃以下に存在するものである請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ブロック共重合樹脂は、非晶性ポリエステル部位(A)と前記結晶性ポリエステル部位(C)との質量比((A)/(C))が、90/10〜60/40である請求項1乃至2のいずれかに記載のトナー。
  4. 前記ブロック共重合樹脂に対して、結晶性ポリエステル樹脂を5質量%以上30質量%以下含有する請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記ブロック共重合樹脂が、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有するものである請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
  6. 前記結着樹脂は、タッピングモードAFMによって観察される位相像を、位相差の最大値と最小値との中間値で二値化処理して得られる、位相差の大きい部位からなる第一の位相差像が、位相差の小さい部位からなる第二の位相差像中に分散され、かつ前記第一の位相差像の分散径が100nm以下である請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
  7. 前記トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、
    前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をI(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をI(A)としたとき、比率I(C)/(I(C)+I(A))が、0.10以上0.25以下である請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
  8. I(C)/(I(C)+I(A))が、0.15以上0.2以下である請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
  9. 前記請求項1乃至8のいずれかに記載のトナーを含有することを特徴とする現像剤。
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