JP2018041026A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
Description
一方、最近では電子写真システムが産業印刷向けにも用いられているが、特にパッケージ印刷やラベル印刷のような場合ではメディアが従来の紙ではなくプラスチックフィルムとなっており、これらに対する定着性も同時に満たすことが求められている。
特許文献2では、少なくとも結着樹脂及び離型剤を含有し、結着樹脂の主成分が結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂であるトナーにおいて、離型剤中の炭素数48以上の直鎖状モノエステルの含有量が40質量%以上であることを特徴とするトナーが、定着後の排紙部材への離型剤の付着による汚染を抑制でき、特に薄紙に対する定着離型性に優れたトナーであることが記載されている。
本発明の課題は、紙への定着性も良好でトナーとしての基本性能を有しながら、プラスチックフィルム、特にナイロンフィルムへの定着性に優れる静電荷像現像用トナーを得ることにある。
〔1〕ポリエステルセグメントとポリウレタンセグメントとを有する複合樹脂を含有し、
前記複合樹脂中のポリエステルセグメント/ポリウレタンセグメントの質量比率が、20/80以上80/20以下であり、
前記ポリウレタンセグメントが、ポリエーテルポリオールを含むポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応物であるポリウレタンである、静電荷像現像用トナー。
〔2〕工程1:アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させてポリエステルを得る工程、
工程2:ポリエーテルポリオールを含むポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を反応させてポリウレタンを得る工程、
工程3:工程1で得られたポリエステルと、工程2で得られたポリウレタンとから、複合樹脂を得る工程、
工程4:工程3で得られた複合樹脂を水系媒体へ分散し、樹脂粒子の水性分散液を得る工程、及び
工程5:工程4で得られた水性分散液中の樹脂粒子を凝集・融着させてトナー粒子を得る工程を有し、
工程3のポリエステル/ポリウレタンの質量比率が20/80以上80/20以下である、静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明によれば、上記効果に加えて、紙への定着性も良好である静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することができる。
本発明の静電荷像現像用トナー(本明細書中、単に「トナー」ともいう。)は、ポリエステルセグメントとポリウレタンセグメントとを有する複合樹脂を含有し、前記複合樹脂中のポリエステルセグメント/ポリウレタンセグメントの質量比率が、20/80以上80/20以下であり、前記ポリウレタンセグメントが、ポリエーテルポリオールを含むポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応物であるポリウレタンである、静電荷像現像用トナーである。本発明のトナーが、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好となる理由は定かではないが、次のように考えられる。
本発明のトナーは、ポリエステルセグメントとポリウレタンセグメントとを有する複合樹脂を含有する。
複合樹脂中のポリエステルセグメント/ポリウレタンセグメントの質量比率は、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、20/80以上80/20以下であり、好ましくは40/60以上、より好ましくは45/55以上、更に好ましくは47/53であり、そして、好ましくは70/30以下、より好ましくは65/35以下、更に好ましくは60/40以下である。
ポリエステルセグメントは、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる、すなわちアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステルである。
アルコール成分としては、ジオール、3価以上の多価アルコール等が挙げられ、好ましくはジオールである。
ジオールとしては、主鎖炭素数2以上12以下の脂肪族ジオール、芳香族ジオール、及び脂環式ジオールが挙げられる。
脂肪族ジオールは、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくは、第二級炭素原子に結合したヒドロキシ基を有する炭素数3以上6以下の脂肪族ジオールである。
第二級炭素原子に結合したヒドロキシ基を有する炭素数3以上6以下の脂肪族ジオールとしては、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール等が挙げられ、好ましくは、1,2−プロパンジオール及び2,3−ブタンジオールから選ばれる少なくとも1種、より好ましくは1,2−プロパンジオールである。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくは下記一般式(I)で表される化合物である。
x及びyは、アルキレンオキシドの付加モル数に相当する。更に、カルボン酸成分との反応性の観点から、xとyの和の平均値は、好ましくは2以上であり、そして、好ましくは7以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。
また、x個のOR1とy個のR2Oは、各々同一であっても異なっていてもよいが、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、同一であることが好ましい。ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。このビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物及びビスフェノールAのエチレンオキシド付加物が好ましく、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物がより好ましい。
前記アルコール成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボン酸成分としては、ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの酸無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられ、中でも、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくはジカルボン酸を含む。
なお、カルボン酸成分には、カルボン酸のみならず、それらの無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等も含まれる。すなわち、本明細書中では、単にカルボン酸の名称のみを記載している場合、そのカルボン酸の無水物及び炭素数1以上3以下のアルキルエステルも含めて記載されているものとする。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられ、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくは、テレフタル酸である。
脂肪族ジカルボン酸としては、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、アゼライン酸、コハク酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。これらの中でも、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルムに対するトナーの定着性を良好とする観点から、好ましくは、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、及びドデセニルコハク酸から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはフマル酸である。
脂環式ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
前記カルボン酸成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリエステルセグメントの軟化点は、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上であり、そして、好ましくは165℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
ポリエステルセグメントの酸価は、複合樹脂の分散安定性を向上させる観点、並びにナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは25mgKOH/g以下である。
上記ポリエステルセグメントのガラス転移温度、軟化点、水酸基価、酸価及び数平均分子量は、いずれも、ポリエステルの製造に用いるモノマーの種類、配合比率、重縮合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
ポリエステルセグメントは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリウレタンセグメントは、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルムに対する定着性が良好なトナーを得る観点から、ポリエーテルポリオールを含有するポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる、すなわちポリエーテルポリオールを含有するポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応物であるポリウレタンである。
ポリオール化合物には、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルムに対する定着性が良好なトナーを得る観点から、ポリエーテルポリオールが含まれる。
ポリエーテルポリオールは、アルキレンオキシ基を繰り返し単位として有する。
ポリエーテルポリオールのアルキレンオキシ基の炭素数は、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルムに対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上であり、そして、好ましくは8以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは6以下である。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。これらの中でも、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルムに対する定着性が良好なトナーを得る観点から、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。
ポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール以外に、前述のポリエステルセグメントを構成するアルコール成分として例示したジオール等を用いることもできるが、ポリウレタン及び複合樹脂の乳化性の観点からポリマーにカルボキシ基を導入するため、カルボキシ基を有するジオールを併用することが好ましい。
カルボキシ基を有するジオール成分としては、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、酒石酸が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、並びに、これらジイソシアネートのプレポリマー型、イソシアヌレート型、ウレア型、カルボジイミド型変性体が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、脂環式ジイソシアネート、鎖状脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」ともいう)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下「DCI」ともいう)、4−メチル−1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、直鎖状脂肪族ジイソシアネート、分岐鎖状脂肪族ジイソシアネートが挙げられ、より具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下「HMDI」ともいう)等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートが挙げられる。
以上のポリイソシアネート化合物の中でも、ナイロンへの定着性を向上させる観点から、脂肪族ジイソシアネートが好ましく、脂環式ジイソシアネートがより好ましく、イソホロンジイソシアネートが更に好ましい。
ポリウレタンセグメントの原料モノマー中の、ポリオール化合物のヒドロキシ基と、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基のモル比率(OH/NCO)は、ポリウレタンセグメントの分子量を高める観点、及び、イソシアネート基をポリウレタン中に残す観点から、好ましくは1.0以下、より好ましくは1.0未満であり、そして、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上である。
ポリウレタンセグメントは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明に用いる複合樹脂は、後述の本発明のトナーの製造方法における、工程1から工程3により、製造することができる。
複合樹脂のガラス転移温度は、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくは25℃以上、より好ましくは28℃以上、更に好ましくは30℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下である。
複合樹脂の数平均分子量は、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは1,500以上、更に好ましくは2,000以上であり、そして、好ましくは10,000以下、より好ましくは9,000以下、更に好ましくは8,000以下である。
複合樹脂中のポリウレタンセグメントの含有量は、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルムに対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下、更に好ましくは53質量%以下である。
複合樹脂中のポリイソシアネート化合物由来の構成単位の含有量は、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルムに対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは13質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
[PES]>[PEP]>[PIS]
トナーには、本発明の効果を損なわない範囲で、複合樹脂以外の樹脂で、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、エポキシ、ポリカーボネート、ポリウレタン等を含有していてもよい。トナーにおける全樹脂成分中の複合樹脂の含有量は、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルムに対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、更に好ましくは100質量%である。
また、トナーには、本発明の効果を損なわない範囲で、着色剤、離型剤等を含有させてもよい。更に必要に応じて、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤等を含有させてもよい。
着色剤及び離型剤であるワックスの種類等については、後述するトナーの製造方法において記載する。
本発明のトナーの製造方法としては、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、
工程1:アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させてポリエステルを得る工程、
工程2:ポリエーテルポリオールを含むポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を反応させてポリウレタンを得る工程、
工程3:工程1で得られたポリエステルと、工程2で得られたポリウレタンとから、複合樹脂を得る工程、
工程4:工程3で得られた複合樹脂を水系媒体へ分散し、樹脂粒子の水性分散液を得る工程、及び
工程5:工程4で得られた水性分散液中の樹脂粒子を凝集・融着させてトナー粒子を得る工程、
を有する静電荷像現像用トナーの製造方法が好ましい。なお、工程3のポリエステル/ポリウレタンの質量比率は、好ましくは20/80以上80/20以下である。
工程1で得られるポリエステルは、複合樹脂のポリエステルセグメントの原料となる。
工程1では、例えば、前記アルコール成分と前記カルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒及び重合禁止剤を用いて、120℃以上250℃以下の温度で重縮合することにより製造することができる。
エステル化触媒の使用量は、特に制限はないが、カルボン酸成分とアルコール成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下である。
工程2で得られるポリウレタンは、複合樹脂のウレタンセグメントの原料となる。
工程2において、ポリウレタンは、後のポリエステルとの反応を行う観点から、イソシアネート基含有ポリウレタンとすることが好ましい。
工程2では、例えば、前記ポリエーテルポリオールを含有するポリオール化合物と前記ポリイソシアネート化合物を不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じてウレタン化触媒を用いて反応させることにより製造することができる。
ウレタン化触媒の使用量に制限はないが、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下である。
工程2の原料モノマー中の、ヒドロキシ基とイソシアネート基のモル比率(OH/NCO)は、ポリエステルとの結合のための、イソシアネート基をポリウレタン中に残す観点から、好ましくは1.0以下、より好ましくは1.0未満であり、そして、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上である。
反応温度は、好ましくは20℃以上100℃以下で溶媒の沸点以下である。
反応時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上、更に好ましくは3時間以上であり、そして、好ましくは24時間以下、より好ましくは12時間以下、更に好ましくは6時間以下である。
工程3において、ポリエステルとポリウレタンとを結合させることで複合樹脂を製造することができる。
イソシアネート基を有するポリウレタンと水酸基を有するポリエステルを加熱混合すること、水酸基を有するポリウレタンと水酸基を有するポリエステルにジイソシアネート化合物を添加して加熱混合すること、水酸基を有するポリウレタンとあらかじめイソシアネート化合物とポリエステルを加熱混合して得られるイソシアネート基を含有するポリエステルを加熱混合すること、などの方法で得ることができる。
工程3においても、必要に応じてウレタン化触媒を用いて反応させることにより製造することができる。ウレタン化触媒としては、工程2と同様のものを使用することができる。
工程3の反応温度は、好ましくは20℃以上100℃以下で溶媒の沸点以下である。
工程3の反応時間は、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上であり、そして、好ましくは6時間以下、より好ましくは5時間以下、更に好ましくは4時間以下である。
なお、固形分は樹脂、必要に応じて添加されうる界面活性剤、着色剤等の前記の任意成分等の不揮発性成分の総量である。
工程4は、工程3で得られた複合樹脂を水系媒体へ分散し、樹脂粒子の水性分散液を得る工程である。
工程4においては、複合樹脂を有機溶媒に溶解させた複合樹脂溶液に対して、水系媒体を徐々に添加して、転相し、乳化する工程(転相乳化法)が好ましい。工程3で複合樹脂を有機溶媒溶液として得なかった場合には、転相乳化を行う前に、複合樹脂を有機溶媒に溶解させて、複合樹脂溶液を得てもよい。
なお、転相乳化法においては、複合樹脂を有機溶媒に溶解させた溶液に対して塩基性化合物を加えて中和することが好ましい。
樹脂の酸基に対する前記塩基性化合物の使用当量(モル%)は、樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは10モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、そして、好ましくは150モル%以下、より好ましくは120モル%以下、更に好ましくは100モル%以下である。
なお、中和剤の使用当量(モル%)は、下記式によって求めることができる。中和剤の使用当量は、100モル%以下の場合、中和度と同義であり、下記式で中和剤の使用当量が100モル%を超える場合には、中和剤が樹脂の酸基に対して過剰であることを意味し、この時の樹脂の中和度は100モル%とみなす。
中和剤の使用当量(モル%)=〔{中和剤の添加質量(g)/中和剤の当量}/[{樹脂の酸価(mgKOH/g)×樹脂の質量(g)}/(56×1000)]〕×100
水以外の成分としては、炭素数1以上5以下のアルキルアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数3以上5以下のジアルキルケトン;テトラヒドロフラン等の環状エーテル等の水に溶解する有機溶媒が用いられる。
全量添加後の、有機溶媒に対する水系媒体の質量比(水系媒体/有機溶媒)は、好ましくは40/60以上、より好ましくは50/50以上、更に好ましくは60/40以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは85/15以下、更に好ましくは80/20以下である。
水系媒体の添加速度は、樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点から、転相が終了するまでは、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部/分以上、より好ましくは1質量部/分以上、更に好ましくは3質量部/分以上であり、そして、好ましくは50質量部/分以下、より好ましくは30質量部/分以下、更に好ましくは20質量部/分以下である。転相後の水系媒体の添加速度には制限はない。
有機溶媒の除去方法は、特に限定されず、任意の方法を用いることができるが、水と溶解しているため蒸留するのが好ましい。また、有機溶媒は、完全に除去されず水性分散液中に残留していてもよい。この場合、有機溶媒の残存量は、水性分散液中、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは実質的に0%である。
なお、固形分は樹脂、必要に応じて添加されうる界面活性剤、着色剤等の前記の任意成分等の不揮発性成分の総量である。
樹脂粒子には、複合樹脂以外に、トナーに用いられる樹脂、例えば、複合樹脂以外のポリエステル、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ、ポリカーボネート、ポリウレタン等を含有させてもよい。
また、樹脂粒子には、必要に応じて、着色剤、帯電制御剤を含有させてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤等を含有させてもよい。
工程5は、工程4で得られた水性分散液中の樹脂粒子を凝集・融着させてトナー粒子を得る工程である。以下、樹脂粒子を凝集させる工程(工程5(1))と融着させる工程(工程5(2))とを順に説明する。
工程5(1)は、工程4で得られた樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させて、凝集粒子を得る工程であって、好ましくは工程4で得られた樹脂粒子を、水系媒体中で、ワックス(の存在下で凝集させて、凝集粒子を得る工程である。
凝集粒子は、工程4で得られた樹脂粒子の分散液に、必要に応じてワックスを含有するワックス粒子分散液、凝集剤、界面活性剤、着色剤等の任意成分を混合し、凝集させて得られる。ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、ワックスを含有するワックス粒子分散液を用いることが好ましい。
具体的には、まず、樹脂粒子の分散液、ワックス粒子分散液、及び必要に応じて、凝集剤、界面活性剤、着色剤等の任意成分を水系媒体中で混合して、混合分散液を得ることが好ましい。そして、該混合分散液中の成分を凝集させて、凝集粒子の分散液を得る際、凝集を効率的に行う観点から、凝集剤を添加することが好ましい。
なお、樹脂粒子に着色剤を混合しない場合には、該混合分散液中に着色剤を混合することが好ましい。
各成分の混合順序は、特に制限はなく、各成分をどのような順で添加してもよく、各成分を全て同時に添加してもよい。
ワックス粒子分散液は、ワックスと水系媒体とを、界面活性剤等の存在下、ワックスの融点以上の温度で、分散機を用いて分散することによって得ることが好ましい。なお、ワックスを、樹脂粒子の分散液と混合・分散させ、ワックス粒子分散液を得てもよい。
ワックスとしては、鉱物又は石油系ワックス;合成ワックス;低分子量ポリオレフィン;シリコーンワックス;脂肪酸アミド;植物系ワックス;動物系ワックス等が挙げられる。
鉱物又は石油系ワックスとしては、モンタンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等が挙げられ、トナーの離型性及びナイロンフィルム等のプラスチックフィルムに対する定着性が良好なトナーを得る観点から、パラフィンワックスが好ましい。
合成ワックスとしては、エステルワックスが好ましい。
低分子量ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が好ましい。
脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等が好ましい。
植物系ワックスとしては、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等が好ましい。
動物系ワックスとしては、ミツロウ等が好ましい。
この中でも、カルナウバワックス及びパラフィンワックスが好ましい。
ポリカルボン酸塩の例としては、トナー作製時の離型剤粒子の凝集性を向上させ遊離を防止する観点から、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリマレイン酸塩等が好ましく、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩がより好ましい。塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
ポリカルボン酸塩の重量平均分子量は、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは3,000以上、より好ましくは10,000以上であり、そして、好ましくは90,000以下、より好ましくは50,000以下である。
ポリカルボン酸塩の市販品としては、花王株式会社製の「ポイズ530」(ポリアクリル酸ナトリウム水溶液、重量平均分子量38,000、有効濃度40質量%)、「ポイズ521」(アクリル酸ナトリウム−マレイン酸ナトリウム共重合体水溶液、重量平均分子量20,000、有効濃度40質量%)等が挙げられる。
用いる分散機としては、ホモジナイザー、超音波分散機、高圧分散機等が好ましい。超音波分散機としては、例えば超音波ホモジナイザーが挙げられる。その市販品としては、「US−150T」、「US−300T」、「US−600T」(株式会社日本精機製作所製)、「SONIFIER(登録商標)4020−400」、「SONIFIER(登録商標)4020−800」(ブランソン社製)等が挙げられる。
高圧分散機として市販される装置としては、高圧湿式微粒化装置「ナノマイザー(登録商標)NM2−L200−D08」(吉田機械興業株式会社製)が挙げられる。
ワックス粒子の水系媒体への分散は、ワックス粒子の分散安定性を向上させる観点、及び後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、界面活性剤の存在下で行うことが好ましい。
ワックスの融点は、実施例に記載の方法によって求められる。2種以上のワックスを併用する場合、融点は、得られるトナーに含有されるワックス中、最も質量比の大きいワックスの融点を、本発明におけるワックスの融点とする。なお、全てが同一の比率の場合は、最も低い融点を本発明におけるワックスの融点とする。
ワックスの使用量は、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、トナー中の樹脂の総量100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
ここで、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径であり、後述の実施例に記載の方法で求められる。
樹脂粒子を含む前記混合分散液中に着色剤を混合する場合、着色剤を水系媒体に分散した着色剤粒子の分散液を用いることが好ましい。
着色剤としては、顔料及び染料が用いられ、トナーの画像濃度を向上させる観点から、顔料が好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、無機系複合酸化物、ベンジジンイエロー、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、銅フタロシアニン、フタロシアニングリーン等が挙げられ、これらの中でも銅フタロシアニンが好ましい。
着色剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の使用量は、印刷物の画像濃度を向上させる観点、及び高画質の画像を得る観点から、トナー中の樹脂の総量100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
水系媒体としては、前述の樹脂粒子分散液の製造で挙げたものが好ましい。
着色剤の水系媒体への分散は、着色剤の分散安定性を向上させる観点から、界面活性剤の存在下で行うことが好ましい。
着色剤分散液の製造に用いる界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられ、着色剤粒子の分散安定性を向上させる観点、凝集性を向上させる観点から、好ましくはアニオン性界面活性剤である。アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム等が挙げられ、好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
混合温度は、凝集を制御して目的の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは20℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である。
該界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系及びせっけん系(例えばアルキルエーテルカルボン酸塩等)等のアニオン性界面活性剤;アミン塩型及び第4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンオレイルエーテル及びポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアルケニルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート及びポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの中では、非イオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアルケニルエーテル類が好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテルが更に好ましい。
界面活性剤を使用する場合、その使用量は、樹脂粒子100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
次に、混合分散液中の粒子を凝集させて、凝集粒子の分散液を好適に得ることができる。凝集を効率的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。
凝集剤は、過剰な凝集を防ぎつつ目的の粒径のトナーを得る観点から、電解質を用いることが好ましく、塩を用いることがより好ましい。凝集剤の具体例としては、第四級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤;無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が挙げられる。凝集性を向上させ均一な凝集粒子を得る観点から、無機系凝集剤が好ましく、無機金属塩、無機アンモニウム塩がより好ましく、無機アンモニウム塩が更に好ましい。
無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられる。
凝集剤としては、硫酸アンモニウムがより好ましい。
凝集剤の使用量は、樹脂粒子の凝集を制御して目的の粒径を得る観点から、凝集粒子を構成する樹脂の総量100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上であり、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。
凝集剤は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、水溶液として滴下することが好ましく、凝集剤の水溶液の濃度は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
また、凝集を制御して所望の粒径及び粒径分布の凝集粒子を得る観点から、凝集剤の水溶液は、pHを7.0以上9.0以下に調整して使用することが好ましい。
凝集剤の滴下時間は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上であり、そして、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは120分以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは20分以下である。
また、凝集剤を滴下する温度は、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは20℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下、更に好ましくは30℃以下である。
得られる凝集粒子の体積中位粒径(D50)は、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム及び紙に対する定着性が良好なトナーを得る観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である。凝集粒子の体積中位粒径は、後述の実施例に記載の方法で求められる。
工程5(2)は、工程5(1)で得られた凝集粒子を融着させる工程である。本工程では、凝集粒子中の、主として物理的にお互いに付着している状態であった各粒子が融着されて一体となり、トナー粒子(融着粒子)が形成される。
工程5の後に後処理工程を行ってもよく、工程5で得られる分散液中からトナー粒子を単離することが好ましい。
工程5で得られた分散液中のトナー粒子は、水系媒体中に存在するため、まず、固液分離を行うことが好ましい。固液分離には、吸引濾過法等が好ましく用いられる。
固液分離後に洗浄を行うことが好ましい。このとき、添加した界面活性剤も除去することが好ましいため、界面活性剤の曇点以下で水系媒体により洗浄することが好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
<トナー粒子>
前述の方法によって得られたトナー粒子は、静電荷像現像用トナーとしてそのまま用いることもできるが、後述のようにトナー粒子の表面を処理したものを静電荷像現像用トナーとして用いることが好ましい。
トナー粒子のCV値は、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは12%以上、より好ましくは14%以上、更に好ましくは16%以上であり、そして、高画質の画像を得る観点から、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下である。
外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子、及びポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いる場合、外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4.5質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である。
前述のトナーを用いて、電子写真法によりプラスチックフィルムへ印刷する。
印刷機としては、公知の電子写真法による印刷機が用いられる。
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。これらの中でも、これまでの技術では十分に定着できなかったナイロンフィルムに対して非常に有効である。
なお上記プラスチックフィルムは、コロナ処理されたフィルムを用いてもよい。
プラスチックフィルムの市販品としては、例えば、ルミラーT60(東レ株式会社製、ポリエチレンテレフタレート)、PVC80BP(リンテック株式会社製、塩化ビニル)、DGS-210WH(ローランドディージー株式会社製、塩化ビニル)、透明塩ビRE-137(株式会社ミマキエンジニアリング製、塩化ビニル)、カイナスKEE70CA(リンテック株式会社製、ポリエチレン)、ユポSG90PAT1(リンテック株式会社製、ポリプロピレン)、FOR, FOA(いずれもフタムラ化学株式会社製、ポリプロピレン)、ボニールRX(興人フィルム&ケミカルズ株式会社製、ナイロン)、エンブレムONBC(ユニチカ株式会社製、ナイロン)等が挙げられる。
電子写真法における、定着時の温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは150℃以下である。
前述の電子写真法により得られる印刷物は、印刷画像部を形成するトナーのプラスチックフィルム(特にナイロンフィルム)への定着性に優れた効果を発揮する。
JIS K0070に従って測定した。但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒〔アセトン:トルエン=1:1(容量比)〕とした。
フローテスター「CFT?500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
示差走査熱量計「Q?100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、測定用サンプルを調製した。その後、昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピーク温度を吸熱の最大ピーク温度とし、吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温した後、200℃から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで、試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定し、吸熱の最大ピーク温度を融点とした。
(1)測定装置:ゼータ電位・粒径測定システム「ELSZ−2」(大塚電子株式会社製)
(2)測定条件:キュムラント解析法。測定する粒子の濃度が約5×10?3質量%になるように水で希釈した分散液を測定用セルに入れ、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力して測定した。
赤外線水分計「FD?230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、測定試料5gを乾燥温度100℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)の条件にて乾燥させ、溶液中の溶剤量(質量%)を測定した。固形分濃度は次の式に従って算出した。
固形分濃度(質量%)=100−溶剤量(質量%)
赤外線水分計「FD?230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、測定試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)の条件にて乾燥させ、水性分散液の水分(質量%)を測定した。固形分濃度は次の式に従って算出した。
固形分濃度(質量%)=100−水分(質量%)
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出した。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、試料をクロロホルムに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP−200」(住友電気工業株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2)分子量分布測定
溶解液としてテトラヒドロフランを1ml/分の流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行った。試料の分子量は、あらかじめ作製した検量線に基づき算出した。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製のMw 2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス株式会社製のMw 2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いた。
測定装置:CO−8010(東ソー株式会社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー株式会社製)
凝集粒子の体積中位粒径(D50)は次の通り測定した。
・測定機:「コールターマルチサイザー(登録商標)III」(ベックマンコールター株式会社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「マルチサイザー(登録商標)IIIバージョン3.51」(ベックマンコールター株式会社製)
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマンコールター株式会社製)
・測定条件:試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、改めて3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D50)を求めた。
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、次の通り測定した。
測定装置、アパチャー径、解析ソフト、電解液は、上述の凝集粒子の体積中位粒径(D50)の測定で用いたものと同様のものを用いた。
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル「エマルゲン(登録商標)109P」〔花王株式会社製、HLB(Hydrophile−LipophileBalance)=13.6〕を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLに乾燥後のトナー粒子の測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を求めた。
また、CV値(%)は次の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
上質紙「J紙A4サイズ」(富士ゼロックス株式会社製)に市販のプリンタ「Microline(登録商標)5400」(株式会社沖データ製)を用いて、トナーの紙上の付着量が0.42〜0.48mg/cm2となるベタ画像をA4紙の上端から5mmの余白部分を残し、50mmの長さで定着させずに出力した。
次に、定着器を温度可変に改造した同プリンタを用意し、定着器の温度を130℃にし、A4縦方向に1枚あたり1.5秒の速度でトナーを定着させ、印刷物を得た。
印刷物の画像上の上端の余白部分からベタ画像にかけて、メンディングテープ「Scotch(登録商標)メンディングテープ810」(住友スリーエム株式会社製、幅18mm)を長さ50mmに切ったものを軽く貼り付けた後、500gのおもりを載せ、速さ10mm/sで1往復押し当てた。その後、貼付したテープを下端側から剥離角度180°、速さ10mm/sで剥がし、テープ剥離後の印刷物を得た。テープ貼付前及び剥離後の印刷物の下に上質紙「エクセレントホワイト紙A4サイズ」(株式会社沖データ製)を30枚敷き、各印刷物のテープ貼付前及び剥離後の定着画像部分の反射画像濃度を、測色計「SpectroEye」(GretagMacbeth社製、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて測定し、各反射画像濃度から次の式に従って定着率を算出した。
定着率(%)=(テープ剥離後の反射画像濃度/テープ貼付前の反射画像濃度)×100
算出した定着率より次の5段階で評価した。定着率が高いほど、紙への定着性に優れる。
<評価基準>
定着率90%以上:5点
定着率75%以上90%未満:4点
定着率50%以上75%未満:3点
定着率25%以上50%未満:2点
定着率25%未満:1点
OHPシート「CG3500 A4サイズ」(住友スリーエム社製)上に、二軸延伸コロナ処理ナイロンフィルム「エンブレムONBC」(ユニチカ株式会社製)をコロナ処理された面が表面になるように貼付して評価用フィルムを調製した。未定着画像を出力できるように改造したプリンタ「Microline(登録商標)5400」(株式会社沖データ製)を用いて、トナーのフィルム上の付着量が0.40〜0.70mg/cm2となる2.5cm×3cmのベタ画像を定着させずに出力した。
次に、定着器を温度可変に改造した「Microline(登録商標)3050」(株式会社沖データ製)を用意し、定着器の温度を130℃にし、A4縦方向に1枚あたり24秒の速度でトナーを定着させ、印刷物を得た。
印刷物の印刷面に長さ5cm、幅15mmのテープ「セロテープ(登録商標)CT15」(ニチバン株式会社製)を、1cmの余白を残し4cm貼りつけ、角度90°で10cm/sの速度でテープを剥がし、試料の塗工面の残存面積を目視により次の5段階で評価した。点数が高いほどナイロンフィルムへの定着性に優れる。
<評価基準>
残存面積95%以上:5点
残存面積75%以上95%未満:4点
残存面積50%以上75%未満:3点
残存面積25%以上50%未満:2点
残存面積25%未満:1点
製造例S1(ポリエステルPES1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン5600g、テレフタル酸1594g、トリメリット酸無水物369g、及びジ(2−エチルヘキサン酸)錫40gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃まで昇温し、230℃で6時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、−8kPa(G)にて1時間保持した。その後、210℃まで冷却し、大気圧に戻した後、フマル酸557g及び4−tert−ブチルカテコール2gを加え、210℃で5時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、−8.3kPa(G)にて所望の軟化点まで反応を行い、ポリエステルPES1を得た。ポリエステルPES1の特性を表1に示す。
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン6160g、フマル酸2125g、4−tert−ブチルカテコール4g、及びジ(2−エチルヘキサン酸)錫40gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、5時間かけて210℃まで昇温し、210℃で2時間保持した後、−8.3kPa(G)にて所望の軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルPES2を得た。ポリエステルPES2の特性を表1に示す。
製造例U1(ポリウレタンPU1の製造)
窒素導入管、還流冷却管、撹拌器「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製)及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、メチルエチルケトン150g、ポリテトラメチレングリコール「ポリテトラメチレンオキシド1,000」(和光純薬工業株式会社製、重量平均分子量1,000)100g、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸9.7g、触媒としてジ(2−エチルヘキサン酸)錫 0.5gを入れ、室温(25℃)、窒素雰囲気下で、撹拌して混合した。次に、イソホロンジイソシアネート36.7gを入れ、撹拌しながら、80℃へ昇温し、80℃を保持しながら5時間反応させて加熱を終了し、イソシアネート基を有するポリウレタンPU1を得た。室温まで冷却後、メチルエチルケトンを加え、固形分濃度を50質量%に調整し、ポリウレタンPU1の50質量%メチルエチルケトン溶液(SPU1)を得た。
窒素導入管、還流冷却管、撹拌器「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製)及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、メチルエチルケトン150g、ポリテトラメチレングリコール「ポリテトラメチレンオキシド1,000」(和光純薬工業株式会社製、重量平均分子量1,000)100g、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸9.0g、触媒としてジ(2−エチルヘキサン酸)錫 0.5gを入れ、室温(25℃)、窒素雰囲気下で、撹拌して混合した。次に、ヘキサメチレンジイソシアネート27.0gを入れ、撹拌しながら、80℃へ昇温し、80℃を保持しながら5時間反応させて加熱を終了し、イソシアネート基を有するポリウレタンPU2を得た。室温まで冷却後、メチルエチルケトンを加え、固形分濃度を50質量%に調整し、ポリウレタンPU2の50質量%メチルエチルケトン溶液(SPU2)を得た。
窒素導入管、還流冷却管、撹拌器「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製)及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、ポリエステルPES1100gとメチルエチルケトン100gを混合して作製した溶液を入れ、さらにイソシアネート基を有するポリウレタンPU1の50質量%メチルエチルケトン溶液(SPU1)200gを入れ、室温(25℃)、窒素雰囲気下で、撹拌して混合した。次に、撹拌しながら、80℃へ昇温させ、80℃を2時間保持し、ポリウレタンとポリエステルとが結合した複合樹脂(複合樹脂1)を得た。室温まで冷却後、メチルエチルケトンを加え、固形分濃度を50質量%に調整し、複合樹脂1溶液(50質量%メチルエチルケトン溶液)を得た。複合樹脂1溶液中の複合樹脂1の特性を表2に示す。なお、前記方法による複合樹脂の各特性の測定にあたっては、溶液の一部を採取し、乾燥させて複合樹脂1を回収し、測定に供した。
複合樹脂1の製造において、ポリエステルPES1に代えてポリエステルPES2を用いた以外は同様にして、複合樹脂2の溶液を得た。複合樹脂2溶液中の複合樹脂2の特性を表2に示す。
窒素導入管、還流冷却管、撹拌器「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製)及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、ポリエステルPES1140gとメチルエチルケトン140gを混合して作製した溶液を入れ、さらにイソシアネート基を有するポリウレタンPU1の50質量%メチルエチルケトン溶液(SPU1)120gを入れ、室温(25℃)、窒素雰囲気下で、撹拌して混合した。次に、撹拌しながら、80℃へ昇温させ、80℃を2時間保持し、ポリウレタンとポリエステルとが結合した複合樹脂(複合樹脂3)を得た。室温まで冷却後、メチルエチルケトンを加え、固形分濃度を50質量%に調整し、複合樹脂3溶液(50質量%メチルエチルケトン溶液)を得た。複合樹脂3溶液中の複合樹脂3の特性を表2に示す。
窒素導入管、還流冷却管、撹拌器「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製)及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、ポリエステルPES1180gとメチルエチルケトン180gを混合して作製した溶液を入れ、さらにイソシアネート基を有するポリウレタンPU1の50質量%メチルエチルケトン溶液(SPU1)40gを入れ、室温(25℃)、窒素雰囲気下で、撹拌して混合した。次に、撹拌しながら、80℃へ昇温させ、80℃を2時間保持し、ポリウレタンとポリエステルとが結合した複合樹脂(複合樹脂4)を得た。室温まで冷却後、メチルエチルケトンを加え、固形分濃度を50質量%に調整し、複合樹脂4溶液(50質量%メチルエチルケトン溶液)を得た。複合樹脂4溶液中の複合樹脂4の特性を表2に示す。
窒素導入管、還流冷却管、撹拌器「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製)及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、ポリエステルPES1100gとメチルエチルケトン100gを混合して作製した溶液を入れ、さらにイソシアネート基を有するポリウレタンPU2の50質量%メチルエチルケトン溶液(SPU2)200gを入れ、室温(25℃)、窒素雰囲気下で、撹拌して混合した。次に、撹拌しながら、80℃へ昇温させ、80℃を2時間保持し、ポリウレタンとポリエステルとが結合した複合樹脂(複合樹脂5)を得た。室温まで冷却後、メチルエチルケトンを加え、固形分濃度を50質量%に調整し、複合樹脂5溶液(50質量%メチルエチルケトン溶液)を得た。複合樹脂5溶液中の複合樹脂5の特性を表2に示す。
IPDI: イソホロンジイソシアネート
HMDI: ヘキサメチレンジイソシアネート
PTMG: ポリテトラメチレングリコール
窒素導入管、還流冷却管、撹拌器「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製)及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、表3に示す種類の複合樹脂溶液を入れ、次いで、表3に示す量の5質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加して30分撹拌し、有機溶媒系スラリーを得た。30℃、撹拌下、20mL/minの速度で脱イオン水を滴下した。その後、60℃に昇温した後、メチルエチルケトンを減圧下で留去し、更に一部の水を留去した。25℃まで冷却後、150メッシュの金網で濾過し、脱イオン水にて固形分濃度を30質量%に調整し、樹脂粒子の水性分散液を得た。
得られた樹脂粒子の水性分散液中の樹脂粒子の体積平均粒径(DV)を表3に示す。
製造例G1
(ワックス粒子分散液G−1の製造)
内容積1Lのビーカーに、脱イオン水200gにポリカルボン酸ナトリウム水溶液としてアクリル酸ナトリウム−マレイン酸ナトリウム共重合体水溶液「ポイズ521」(花王社製、有効濃度40質量%)3.8gを溶解させた後、これにカルナウバワックス「カルナウバワックス1号」(加藤洋行社製、融点83℃)5g及びパラフィンワックス「HNP−9」(日本精蝋社製、融点75℃)45gを添加し、90〜95℃に温度を保持して溶融させ、撹拌し、溶融混合物を得た。
得られた溶融混合物を更に90〜95℃に温度を保持しながら、超音波ホモジナイザー「US−600T」(株式会社日本精機製作所製)を用いて、30分間分散処理した後に室温(25℃)まで冷却した。脱イオン水を加え、固形分濃度を20質量%に調整し、ワックス粒子分散液G−1を得た。分散液中のワックス粒子の体積中位粒径(D50)は0.45μm、CV値は30%であった。
製造例H1
(着色剤粒子分散液H−1の製造)
内容積1Lのビーカーに、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)116.2g、アニオン性界面活性剤「ネオペレックス(登録商標)G−15」(花王株式会社製、15質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液)154.9g、及び脱イオン水340gを混合し、超音波ホモジナイザー「US−600T」(株式会社日本精機製作所製)を用いて室温下で3時間分散させた後、固形分濃度が24質量%になるように脱イオン水を加えることにより着色剤分散液H−1を得た。分散液中の着色剤粒子の体積中位粒径(D50)は0.12μmであった。
実施例1
(トナー1の製造)
脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積2リットルの4つ口フラスコに、樹脂粒子の水性分散液E1 250g、ワックス粒子分散液G−1 15.0g、着色剤粒子分散液H−1 15.6g、及び非イオン性界面活性剤「エマルゲン(登録商標)150」(花王株式会社製、ポリオキシエチレン(50mol)ラウリルエーテル)の10質量%水溶液7.5gを温度25℃で混合した。次に、該混合物を撹拌しながら、硫酸アンモニウム12.7gを脱イオン水224gに溶解した水溶液を、25℃で15分かけて滴下した後、65℃まで2時間かけて昇温し、凝集粒子の体積中位粒径(D50)が5.2μmになるまで、65℃で保持し、凝集粒子の分散液を得た。
得られた凝集粒子の分散液に、アニオン性界面活性剤「エマール(登録商標)E−27C」(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、有効濃度27質量%)11.8g、脱イオン水1170gを混合した水溶液を添加した。その後、80℃まで1時間かけて昇温し、80℃を1時間保持することにより、凝集粒子が融着したトナー粒子(融着粒子)の分散液を得た。
得られたトナー粒子の分散液を30℃に冷却し、分散液を吸引濾過して固形分を分離した後、脱イオン水で洗浄し、25℃で2時間吸引濾過した。その後、真空定温乾燥機(ADVANTEC社製 DRV622DA)を用いて、33℃で48時間真空乾燥を行って、トナー粒子を得た。
該トナー粒子100質量部、疎水性シリカ「RY50」(日本アエロジル株式会社製、個数平均粒径;0.04μm)2.5質量部、及び疎水性シリカ「キャボシル(登録商標)TS720」(キャボットジャパン株式会社製、個数平均粒径;0.012μm)1.0質量部をヘンシェルミキサーに入れて撹拌し、150メッシュの篩を通過させて、トナー1を得た。得られたトナー1の評価結果を表4に示す。
(トナー2〜6の作製)
使用する樹脂粒子の水性分散液の種類を表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られたトナーの評価結果を表4に示す。
Claims (7)
- ポリエステルセグメントとポリウレタンセグメントとを有する複合樹脂を含有し、
前記複合樹脂中のポリエステルセグメント/ポリウレタンセグメントの質量比率が、20/80以上80/20以下であり、
前記ポリウレタンセグメントが、ポリエーテルポリオールを含むポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応物であるポリウレタンである、静電荷像現像用トナー。 - 前記複合樹脂中のポリエステルセグメント/ポリウレタンセグメントの質量比率が、40/60以上60/40以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記複合樹脂のガラス転移温度が、30℃以上50℃以下である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ポリエーテルポリオールが、炭素数2以上8以下のアルキレンオキシ基を有し、重量平均分子量(Mw)が500以上5,000以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ポリウレタンセグメントの原料モノマーのポリオール化合物が、カルボキシ基を有するジオールを更に含む、請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ポリイソシアネート化合物が、脂環式ジイソシアネートである、請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 工程1:アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させてポリエステルを得る工程、
工程2:ポリエーテルポリオールを含むポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を反応させてポリウレタンを得る工程、
工程3:工程1で得られたポリエステルと、工程2で得られたポリウレタンとから、複合樹脂を得る工程、
工程4:工程3で得られた複合樹脂を水系媒体へ分散し、樹脂粒子の水性分散液を得る工程、及び
工程5:工程4で得られた水性分散液中の樹脂粒子を凝集・融着させてトナー粒子を得る工程
を有し、
工程3のポリエステル/ポリウレタンの質量比率が20/80以上80/20以下である、静電荷像現像用トナーの製造方法。
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