JP2021095368A - ジチオエステル化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】水素引き抜き能が高いアラルキルオキシラジカルを生成できるジチオエステル化合物の提供。【解決手段】式(1)で表されることを特徴とするジチオエステル化合物。[式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。R3は、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基を表す。]【選択図】なし

Description

本発明は、新規のジチオエステル化合物に関する。
ジチオエステル化合物の中には可逆的付加−開裂型連鎖移動剤(RAFT(Reversible Addition Fragmentation chain Transfer)剤)として、ラジカル制御重合を行うために利用される化合物がある。このようなRAFT剤は、置換基に有機基Rと有機基Zを有するチオカルボニルチオ基(S=C−S)を有する化合物であり、Z−C(=S)−S−Rの構造を有している。Rは開裂して、ラジカル(R・)を生成するものであり、このラジカルはモノマーと反応し、重合を再開始する能力を有する。Zは、中間ラジカルの安定性に影響するものであり、RAFT剤中のチオカルボニル基(C=S)のフリーラジカル付加に対する反応性を制御する。
一般的なRAFT剤は、溶液中での重合を前提とした構造をしている。また、RAFT剤を利用したラジカル制御重合(RAFT重合)は制御重合という目的の観点から、RAFT剤から発生するラジカルが、副反応を起こさずにモノマーへ付加反応を起こす必要がある。ここで、アゾ型のラジカル開始剤から発生するラジカルは、比較的副反応が少ないとされている。そのため、RAFT剤は、アゾ型のラジカル開始剤から発生するラジカルと同様の構造を有するラジカルが発生するように分子設計されている。
また、ジチオエステル化合物の合成方法については、種々の方法が提案されており、例えば、非特許文献1には、ジチオエステルカリウム塩と塩化アルキルとを反応させてRAFT剤を得る方法が記載されている。非特許文献2には、スズ錯体を合成した後にN−ブロモスクシイミドを反応させてブロモ化し、最後にアルコールを反応させてジチオエステル過酸化物を合成する方法が記載されている。非特許文献3には、超原子価ヨウ素試薬を使用したアシルスルフェン酸エステルの合成方法が記載されている。
Polymer Chemistry,(英国),2016年,第7巻,p.481〜492 Tetrahedron Letters,(英国),1986年,第27巻,第38号,p.4595〜4598 Synthesis,(米国),2016年,第48巻,p.4459〜4464
一般的なRAFT剤は、比較的副反応が少ないラジカルを発生するように分子設計されている。しかし、このような副反応が少ないラジカルは、水素引き抜き能が低い。そのため、例えば、架橋構造を有するポリマー材料を合成する際の添加物として利用する場合、架橋構造の形成効率を低下させる要因となると考えられる。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、水素引き抜き能が高いアラルキルオキシラジカルを生成できるジチオエステル化合物を提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明のジチオエステル化合物は、式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 2021095368
[式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
3は、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基を表す。
Zは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アロイルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ジアルキルホスホネート基、ジアリールホスホネート基、ジアルキルホスフィネート基、ジアリールホスフィネート基、もしくは、これらの有機基の一部の水素原子が置換された有機基、または、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
本発明のジチオエステル化合物は、水素引き抜き能が高いアラルキルオキシラジカル(R123CO・)を生成することができる。そのため、本発明のジチオエステル化合物は、架橋構造を有するポリマー材料を合成する際の添加物(RAFT剤)として好適に使用できる。
本発明によれば、水素引き抜き能が高いアラルキルオキシラジカルを生成できるジチオエステル化合物が得られる。
ジチオエステル化合物No.1の1H−NMRスペクトルである。 ジチオエステル化合物No.1の1H−NMRスペクトルである。 ジチオエステル化合物No.1のMSスペクトルである。 ジチオエステル化合物No.2の1H−NMRスペクトルである。
[ジチオエステル化合物]
本発明のジチオエステル化合物は、式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 2021095368
[式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
3は、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基を表す。
Zは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アロイルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ジアルキルホスホネート基、ジアリールホスホネート基、ジアルキルホスフィネート基、ジアリールホスフィネート基、もしくは、これらの有機基の一部の水素原子が置換された有機基、または、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
前記R1およびR2で表される炭素数1以上のアルキル基としては、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基が挙げられる。前記アルキル基の炭素数は15以下が好ましく、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。前記直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。前記分岐鎖状アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル等が挙げられる。前記環状アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
前記R1およびR2で表される炭素数2以上のアルケニル基には、直鎖状アルケニル基、分岐鎖状アルケニル基、環状アルケニル基が含まれる。前記アルケニル基の炭素数は15以下が好ましく、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。前記アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられる。
前記R1およびR2で表される炭素数2以上のアルキニル基には、直鎖状アルキニル基、分岐鎖状アルキニル基、環状アルキニル基が含まれる。前記アルキニル基の炭素数は15以下が好ましく、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。前記アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等が挙げられる。
前記R1およびR2で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記R1〜R3で表される置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基は、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記アリール基の炭素数は14以下が好ましく、10以下がより好ましい。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。なお、アリール基は、水素原子がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
前記R1〜R3で表される置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基の炭素数は、15以下が好ましく、11以下がより好ましい。アラルキル基は、アルキル基の水素原子の少なくとも1つがアリール基で置換されたものである。前記アラルキル基に含まれるアリール基は、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記アラルキル基に含まれるアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、α−クミル基、1−フェニルエチル基等が挙げられる。なお、アラルキル基は、アラルキル基に含まれるアリール基の水素原子がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
前記式(1)において、R1およびR2は、炭素数1以上のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、3−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基が好ましい。
前記式(1)において、R3は、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基であることが好ましく、より好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基である。
前記式(1)において、R3は、式(2)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2021095368
[式(2)中、R21〜R25は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
前記式(2)中のR21〜R25で表される炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基としては、前記式(1)中のR1〜R3として例示したものが挙げられる。前記式(2)において、R21〜R25は、炭素数1以上のアルキル基または水素原子が好ましく、より好ましくは水素原子である。
前記Zで表される有機基としては、下記のものが挙げられる。
前記アルキル基には、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基が含まれる。前記アルキル基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
前記アルケニル基には、直鎖状アルケニル基、分岐鎖状アルケニル基、環状アルケニル基が含まれる。前記アルケニル基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられる。
前記アルキニル基には、直鎖状アルキニル基、分岐鎖状アルキニル基、環状アルキニル基が含まれる。前記アルキニル基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等が挙げられる。
前記アリール基は、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記アリール基の炭素数は20以下が好ましい。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記アラルキル基に含まれるアリール基は、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記アラルキル基の炭素数は20以下が好ましい。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、α−クミル基、1−フェニルエチル基等が挙げられる。
前記ヘテロシクリル基は、ヘテロ環化合物のいずれかの還員原子から1個の水素原子を除去した基である。前記ヘテロ環化合物は、環員原子として炭素原子と炭素原子以外の原子を有する環式化合物であり、4員環〜7員環が好ましい。前記ヘテロ環化合物を構成する炭素原子以外の原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される少なくとも1種が好ましい。前記ヘテロシクリル基としては、ピロリジル基、ピペリジル基、ピロリル基、ピリジル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、フリル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロチオピラニル基、チエニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリジニル基、オキサゾリル基、チアゾリジニル基、チアゾリル基、ピペラジル基、モルホリル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基等が挙げられる。
前記アルコキシ基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
前記アリールオキシ基の炭素数は20以下が好ましい。前記アリールオキシ基としては、フェノキシ基等が挙げられる。
前記アラルキルオキシ基の炭素数は20以下が好ましい。前記アラルキルオキシ基としては、α−クミルオキシ基等が挙げられる。
前記ヘテロシクリルオキシ基としては、ピロリルオキシ基、ピリジルオキシ基、ピリミジニルオキシ基等が挙げられる。
前記アルカノイル基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルカノイル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
前記アロイル基の炭素数は20以下が好ましい。前記アロイル基としては、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
前記ヘテロシクリルカルボニル基としては、ピロリルカルボニル基、ピリジルカルボニル基、ピリミジルカルボニル基等が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基の炭素数は、19以下が好ましい。前記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等が挙げられる。
前記アリールオキシカルボニル基の炭素数は、21以下が好ましい。前記アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。
前記ヘテロシクリルオキシカルボニル基としては、ピロリルオキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、ピリミジニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
前記アルカノイルオキシ基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルカノイルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ等が挙げられる。
前記アロイルオキシ基の炭素数は20以下が好ましい。前記アロイルオキシ基としては、ベンゾイルオキシ基、1−ナフトイルオキシ基等が挙げられる。
前記ヘテロシクリルカルボニルオキシ基としては、ピロリルカルボニルオキシ基、ピリジルカルボニルオキシ基、ピリミジニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
前記アルキルチオ基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ドデシルチオ基等が挙げられる。
前記アリールチオ基の炭素数は20以下が好ましい。前記アリールチオ基としては、フェニルチオ基等が挙げられる。
前記有機基の一部の水素原子が置換された有機基の置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アロイルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、オキソ基、ハロゲン原子が挙げられる。
前記有機基の一部の水素原子が置換された有機基としては、シアノアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルアミノ基等が挙げられ、具体的には、オキソピロリジン−1−イル基、メチルフェニルアミノ基、メチルピリジルアミノ基、3,5−ジメチルピラゾリル基、4−クロロ−3,5−ジメチルピラゾリル基、シアノメチル基、2−シアノブタン−2−イル基、1−シアノエタン−1−イル基、2−シアノプロパン−2−イル基、2−フェニルプロパン−2−イル基、1−シアノ−1−フェニルエタン−1−イル基、2−(エトキシカルボニル)プロパン−2−イル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記式(1)において、Zは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、または、式(11)〜(16)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2021095368
[式(11)〜(16)において、R11〜R16は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
前記(1)で表される化合物は、式(3)で表される化合物が特に好ましい。式(1)におけるZの部分にピラゾール環を有することで、中間ラジカルが共鳴効果または誘起効果により安定化される。
Figure 2021095368
[式(3)中、R31〜R37は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
1〜X3は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
前記式(3)中のR31またはR32で表される炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基としては、前記式(1)中のR1またはR2として例示したものが挙げられる。前記式(3)において、R31およびR32は、炭素数1以上のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、3−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基が好ましい。
前記式(3)中のR33〜R37で表される炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基は、前記式(2)のR21〜R25として例示したものが挙げられる。前記式(3)において、R33〜R37は、炭素数1以上のアルキル基または水素原子が好ましく、より好ましくは水素原子である。
前記式(3)中のX1〜X3で表される炭素数1以上のアルキル基としては、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基が含まれる。前記炭素数1以上のアルキル基の炭素数は18以下が好ましく、12以下がより好ましい。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
前記式(3)中のX1〜X3で表される炭素数6以上のアリール基としては、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記炭素数6以上のアリール基の炭素数は20以下が好ましく、14以下がより好ましい。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記式(3)中のX1〜X3で表される炭素数6以上のアラルキル基に含まれるアリール基は、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記炭素数6以上のアラルキル基の炭素数は20以下が好ましく、15以下がより好ましい。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、α−クミル基、1−フェニルエチル基等が挙げられる。
前記式(3)中のX1〜X3は、炭素数1以上のアルキル基、または、水素原子が好ましい。
[他の態様]
本発明のジチオエステル化合物と同様に、式(21)または式(22)で表されるジチオエステル化合物は、水素引き抜き能が高いラジカルを生成できると考えられる。
Figure 2021095368
[式(21)、(22)中、R21およびR22は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。Y21およびY22は、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、−R23−C(=O)−R24−、単結合を表す。R23およびR24は、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基を表す。前記アリール基が有していてもよい置換基は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜13のアルケニル基、炭素数2〜13のアルキニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子である。
Zは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アロイルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ジアルキルホスホネート基、ジアリールホスホネート基、ジアルキルホスフィネート基、ジアリールホスフィネート基、もしくは、これらの有機基の一部の水素原子が置換された有機基、または、水素原子、ハロゲン原子を表す。
なお、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アルケニレン基は、直鎖状、分岐状を含む。]
前記式(21)または式(22)で表されるジチオエステル化合物は、式(23)または式(24)で表されるものがより好ましい。
Figure 2021095368
[式(23)、(24)中、R21およびR22は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。Y21およびY22は、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、−R23−C(=O)−R24−、単結合を表す。R23およびR24は、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基を表す。前記アリール基が有していてもよい置換基は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜13のアルケニル基、炭素数2〜13のアルキニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子である。
1〜X3は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
なお、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アルケニレン基は、直鎖状、分岐状、環状を含む。]
前記式(23)で表されるジチオエステル化合物としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 2021095368
[ジチオエステル化合物の製造方法]
本発明のジチオエステル化合物の製造方法は、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼンの存在下で、式(4)で表されるジチオカルボン酸金属塩(以下、単に「ジチオカルボン酸金属塩」と称する場合がある。)と、式(5)で表されるアルコール(以下、単に「アルコール」と称する場合がある。)とを反応させることを特徴とする。
Figure 2021095368
[式(4)中、Zは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アロイルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ジアルキルホスホネート基、ジアリールホスホネート基、ジアルキルホスフィネート基、ジアリールホスフィネート基、もしくは、これらの有機基の一部の水素原子が置換された有機基、または、水素原子、ハロゲン原子を表す。
Mは、カリウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム、ベリリウム、亜鉛、銅、鉄、マグネシウム、アルミニウム、コバルト、ニッケル、アンモニウム、第1級アンモニウムカチオン、第2級アンモニウムカチオン、第3級アンモニウムカチオン、第4級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ホスファゼンカチオンを表す。
nは、1〜3の整数を表す。]
Figure 2021095368
[式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
3は、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基を表す。]
前記式(4)中のZで表される有機基としては、前記式(1)中のZで表される有機基として例示したものが挙げられる。また、前記式(4)において、Zは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、または、式(11)〜(16)で表される構造であることが好ましく、より好ましくは式(12)で表される構造であり、特に3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル基が好ましい。
前記式(4)中のMとしては、カリウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム、ベリリウム、亜鉛、銅、鉄、マグネシウム、アルミニウム、コバルト、ニッケル、アンモニウム、第1級アンモニウムカチオン、第2級アンモニウムカチオン、第3級アンモニウムカチオン、第4級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ホスファゼンカチオン等が挙げられる。
前記式(4)で表されるジチオカルボン酸金属塩は、式(6)で表されるジチオカルボン酸金属塩が好ましい。
Figure 2021095368
[式(6)中、X1〜X3は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
Mは、カリウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム、ベリリウム、亜鉛、銅、鉄、マグネシウム、アルミニウム、コバルト、ニッケル、アンモニウム、第1級アンモニウムカチオン、第2級アンモニウムカチオン、第3級アンモニウムカチオン、第4級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ホスファゼンカチオンを表す。
mは、1〜3の整数を表す。]
前記式(6)中のX1〜X3で表される炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基としては、前記式(3)中のX1〜X3として例示したものが挙げられる。前記式(6)中のX1〜X3は、炭素数1以上のアルキル基、または、水素原子が好ましい。
前記式(5)中のR1およびR2で表される炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基としては、前記式(1)中のR1、R2として例示したものが挙げられる。前記式(5)において、R1およびR2は、炭素数1以上のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、3−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基が好ましい。
前記式(5)において、R3で表される置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基としては、前記式(1)中のR3として例示したものが挙げられる。前記式(5)において、R3は、式(2)で表される構造であることが好ましく、より好ましくはフェニル基である。
前記式(5)で表されるアルコールとしては、α−クミルアルコール、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、α−ジエチルベンジルアルコール、α−エチルベンジルアルコール、α−メチルエチルベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、3−メチルベンジルアルコール、2−メチルベンジルアルコール、4−t−ブチルベンジルアルコール、1−ナフタレンメタノール、2−ナフタレンメタノールが好ましい。
前記ジチオカルボン酸金属塩と、前記アルコールとを反応させる方法は特に限定されないが、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼンの存在下で、ジチオカルボン酸金属塩と、アルコールとを混合する方法が挙げられる。
前記[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼンの使用量は、前記ジチオカルボン酸金属塩1molに対して0.01mol以上が好ましく、より好ましくは0.05mol以上、さらに好ましくは0.1mol以上であり、20mol以下が好ましく、より好ましくは10mol以下、さらに好ましくは5mol以下である。
前記アルコールの使用量は、前記ジチオカルボン酸金属塩1molに対して1mol以上が好ましく、より好ましくは5mol以上、さらに好ましくは10mol以上であり、500mol以下が好ましく、より好ましくは200mol以下、さらに好ましくは100mol以下である。
前記ジチオカルボン酸金属塩と前記アルコールとを混合する際は、溶媒を添加してもよい。前記溶媒としては、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族系溶媒;ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ピリジン等が挙げられる。溶媒の添加量は、反応液の粘度に応じて適宜調整すればよい。
前記ジチオカルボン酸金属塩と前記アルコールとを混合する際の反応液の温度は、−78℃以上が好ましく、より好ましくは−50℃以上、さらに好ましくは−30℃以上であり、150℃以下が好ましく、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。
前記ジチオカルボン酸金属塩と前記アルコールとを混合する時間(反応時間)は、1時間以上が好ましく、より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは5時間以上であり、120時間以下が好ましく、より好ましくは96時間以下、さらに好ましくは72時間以下である。
前記ジチオカルボン酸金属塩と前記アルコールとを反応させた後は、未反応のアルコールおよび添加した場合には溶媒を除去し、反応生成物を得る。前記未反応のアルコールや溶媒を除去する方法としては、減圧し留去する方法が挙げられる。
前記反応生成物は、目的とするジチオエステル化合物の他に副生成物を含有するため、精製することが好ましい。前記精製方法としては、特に限定されないが、シリカゲルカラムクロマトグラフィーが挙げられる。
前記ジチオエステル化合物の製造方法において、式(5)で表されるアルコールを、下記式(25)または式(26)で表される化合物に変更することで、前記式式(21)または式(22)で表されるジチオエステル化合物を製造できると考えられる。
Figure 2021095368
[式(25)、(26)中、R21およびR22は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。Y21およびY22は、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、−R23−C(=O)−R24−、単結合を表す。R23およびR24は、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基を表す。前記アリール基が有していてもよい置換基は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜13のアルケニル基、炭素数2〜13のアルキニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子である。
なお、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アルケニレン基は、直鎖状、分岐状、環状を含む。]
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)1H NMR
核磁気共鳴(NMR)測定装置(ブルカー社製、型式:AVANCE 500(周波数500MHz))を用いて、1H−NMRを測定行った。溶媒にはCDCl3を用いた。
(2)電子イオン化質量分析法(EI−MS)
質量分析計(JEOL社製、型式:JMS−700AM)を用いて、質量分析を行った。
[3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−ジチオカルボン酸カリウムの合成]
撹拌子を備えた100mL一口フラスコに、3,5−ジメチルピラゾール 1.86g(20.0mmol)を量り取り、テトラヒドロフラン 30.0mLを加え、さらに粉末状水酸化カリウム 1.16g(20.6mmol)を加え、撹拌し、淡黄色溶液を得た。
次いで、この溶液を撹拌しながら、二硫化炭素 1.98g(26.0mmol)を滴下した。滴下終了から1時間経過後に、析出した沈殿を桐山ロートを用いてろ取した。ろ過物をジエチルエーテルで洗浄した後、50℃で減圧乾燥し式(7)で表される3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−ジチオカルボン酸カリウムを得た。
Figure 2021095368
[ジチオエステル化合物No.1の合成]
撹拌子を備えた一口フラスコ(100mL)に、窒素雰囲気下で、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼンを860mg(2.00mmol)量り取った。続いて、このフラスコに、α−クミルアルコールを4.0mLを加え、撹拌して淡黄色溶液を得た。次に、この淡黄色溶液に、3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−ジチオカルボン酸カリウムを438mg(2.00mmol)加え、室温にて、16.5時間撹拌を行った。所定時間経過後、減圧して反応液を濃縮した。得られた濃縮液を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジチオエステル化合物No.1を24.5mg得た。
上記で得たジチオエステル化合物No.1について、1H NMR測定、EI−MS測定を行った。それぞれの結果を、図1〜3に示した。図1〜3に示した1H NMR測定およびEI−MS測定の結果より、得られたジチオエステル化合物No.1は、式(8)で表される化合物であることが確認された。
Figure 2021095368
[ジチオエステル化合物No.2の合成]
撹拌子を備えた一口フラスコ(100mL)に、窒素雰囲気下で、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼンを860mg(2.00mmol)量り取った。続いて、このフラスコに、α−クミルアルコールを4.0mL加え、撹拌して淡黄色溶液を得た。次に、この淡黄色溶液に、3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−ジチオカルボン酸カリウムを1.31g(6.00mmol)を加え、室温にて、21.5時間撹拌を行った。所定時間経過後、減圧して反応液を濃縮した。得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジチオエステル化合物No.2を95.3mg得た。
上記で得たジチオエステル化合物No.2について、1H NMR測定を行った。結果を図4に示した。図4に示した1H NMR測定の結果より、得られたジチオエステル化合物No.2は、式(8)で表される化合物であることが確認された。
[ジチオエステル化合物No.3の合成]
撹拌子を備えた三口フラスコ(1L)に、窒素雰囲気下で、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼンを67.30g(156.5mmol)量り取った。続いて、このフラスコに、α−クミルアルコールを313.0mL加え、撹拌して淡黄色溶液を得た。次に、この淡黄色溶液に、3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−ジチオカルボン酸カリウムを102.9g(469.5mmol)を加え、室温にて、18時間撹拌を行った。所定時間経過後、ろ過して不溶物を除去し、減圧して反応液を濃縮した。得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジチオエステル化合物No.3を2.62g得た。
上記で得たジチオエステル化合物No.3について、1H NMR測定を行った結果、より、得られたジチオエステル化合物No.3は、式(8)で表される化合物であることが確認された。
本発明のジチオエステル化合物は、アラルキルオキシラジカル(R123CO・)を生成することができる。このアラルキルオキシラジカルは、水素引き抜き能が高い。そのため、本発明のジチオエステル化合物は、架橋構造を有するポリマー材料を合成する際の添加物(RAFT剤)として好適に使用できる。

Claims (5)

  1. 式(1)で表されることを特徴とするジチオエステル化合物。
    Figure 2021095368
    [式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
    3は、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基を表す。
    Zは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アロイルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ジアルキルホスホネート基、ジアリールホスホネート基、ジアルキルホスフィネート基、ジアリールホスフィネート基、もしくは、これらの有機基の一部の水素原子が置換された有機基、または、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
  2. 前記式(1)において、R3が、式(2)で表される構造である請求項1に記載のジチオエステル化合物。
    Figure 2021095368
    [式(2)中、R21〜R25は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
  3. 前記式(1)において、Zが、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、または、式(11)〜(16)で表される構造である請求項1または2に記載のジチオエステル化合物。
    Figure 2021095368
    [式(11)〜(16)において、R11〜R16は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
  4. 前記(1)で表される化合物が、式(3)で表される化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載のジチオエステル化合物。
    Figure 2021095368
    [式(3)中、R31〜R37は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
    1〜X3は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のジチオエステルの製造方法であって、
    [ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼンの存在下で、式(4)で表されるジチオカルボン酸金属塩と、式(5)で表されるアルコールとを反応させることを特徴とするジチオエステルの製造方法。
    Figure 2021095368
    [式(4)中、Zは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アロイルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ジアルキルホスホネート基、ジアリールホスホネート基、ジアルキルホスフィネート基、ジアリールホスフィネート基、もしくは、これらの有機基の一部の水素原子が置換された有機基、または、水素原子、ハロゲン原子を表す。
    Mは、カリウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム、ベリリウム、亜鉛、銅、鉄、マグネシウム、アルミニウム、コバルト、ニッケル、アンモニウム、第1級アンモニウムカチオン、第2級アンモニウムカチオン、第3級アンモニウムカチオン、第4級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ホスファゼンカチオンを表す。
    nは、1〜3の整数を表す。]
    Figure 2021095368
    [式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
    3は、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基を表す。]
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