JP2012219090A - イソシアヌレート化合物 - Google Patents

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Shozo Miura
昌三 三浦
Takuma Takeda
琢磨 武田
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Abstract

【課題】光硬化性樹脂の原料としての用途が期待される、新規なイソシアヌレート化合物の提供。
【解決手段】下記式で示されるイソシアヌレート化合物。
Figure 2012219090

(式中、Rがアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す場合には、RおよびRは同一にメチル基またはフェニル基を表し、RおよびRが同一にアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す場合には、Rはメチル基またはフェニル基を表す。)該化合物は、例えば、前駆体となるイソシアヌレートのナトリウム塩等の金属塩とハロゲン化(メタ)アクリロイルとを、適量の溶媒中で反応させることにより合成することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なイソシアヌレート化合物に関するものである。
本発明に類似する物質として、例えば特許文献1には、化1の化学式(2)で示されるイソシアヌレート化合物が開示されている。
化学式(2):
Figure 2012219090
(但し、式中、3個のRは、そのうち少なくとも1個がアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基であり、残りのRがある場合は、他のエチレン性不飽和結合を有する基である。)
特開平4−93325号公報(第2頁)
本発明は、光硬化性樹脂の原料としての用途が期待される、新規なイソシアヌレート化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、化2の化学式(1)で示されるイソシアヌレート化合物を合成し得ることを認め、本発明を完成するに至ったものである。
化学式(1):
Figure 2012219090
(但し、式中、Rがアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す場合には、RおよびRは同一にメチル基またはフェニル基を表し、RおよびRが同一にアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す場合には、Rはメチル基またはフェニル基を表す。)
光硬化性樹脂の原料としての用途が期待されるが、エポキシ化合物(樹脂)やシリコン化合物(樹脂)との併用や改質により、更に耐湿性、接着性、電気的特性、機械的特性等の特性を高めた光硬化性樹脂とすることが見込まれる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、前記の化学式(1)で示されるアクリロイル基またはメタクリロイル基を1つまたは2つ有するイソシアヌレート化合物であり、個々の物質の名称は、
1−アクリロイル−3,5−ジメチルイソシアヌレート、
1−アクリロイル−3,5−ジフェニルイソシアヌレート、
1−メタクリロイル−3,5−ジメチルイソシアヌレート、
1−メタクリロイル−3,5−ジフェニルイソシアヌレート、
1,3−ジアクリロイル−5−メチルイソシアヌレート、
1,3−ジアクリロイル−5−フェニルイソシアヌレート、
1,3−ジメタクリロイル−5−メチルイソシアヌレートおよび
1,3−ジメタクリロイル−5−フェニルイソシアヌレートである。
本発明のイソシアヌレート化合物は、例えば、前駆体となるイソシアヌレートのナトリウム塩等の金属塩と、ハロゲン化アクリロイル又はハロゲン化メタクリロイルとを、適量の溶媒中で反応(脱塩反応)させることにより合成することができる。
本発明のアクリロイル基を有するイソシアヌレート化合物およびメタクリロイル基を有するイソシアヌレート化合物(以下、2つのイソシアヌレート化合物をまとめて、(メタ)アクリロイルイソシアヌレート化合物と云うが、イソシアヌレート化合物以外の物質名の表記においても、(メタ)アクリロイルを同様な意味合いで用いる)の合成においては、生成した(メタ)アクリロイルイソシアヌレート化合物を含有する反応液に、水あるいは炭酸水素ナトリウム等のアルカリ水溶液を添加することにより、未反応のハロゲン化(メタ)アクリロイルや、イソシアヌレートの金属塩を失活させ、続いて、抽出分離した有機層から有機溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、目的物である(メタ)アクリロイルイソシアヌレート化合物を得ることができる。
前記の反応においては、通常の手段により加熱・攪拌すればよく、また、反応温度は、使用する原料や目的に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは0〜50℃である。この反応温度が0℃未満の場合は反応が遅くなり、一方、反応温度が50℃を超える場合は、反応系が不安定になって、不純物が生成したり、ゲル化する場合がある。
当該反応において原料となるイソシアヌレートの金属塩を調製する際は、水素化リチウムや水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属類や水素化マグネシウムや水素化カルシウム等の水素化アルカリ土類金属類を使用することが好ましい。
当該反応に際しては、非プロトン性極性溶媒を使用することが好ましい。好ましい有機溶媒としては、例えばトルエン、ベンゼンおよびキシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサンおよびヘプタン等の脂肪族炭化水素、ジグライム、テトラヒドロフランおよびジオキサン等のエーテル類や、ジメチルホルムアミドが挙げられる。
本発明のイソシアヌレート化合物は、プリント配線板や電子部品用の塗料、接着剤、レジストインク等の他、木工用塗料、光ファイバーやプラスチック、缶の表面を保護するためのコーティング剤用の樹脂の原料としての利用が期待される。
以下、本発明を実施例に示した合成試験によって具体的に説明する。
〔実施例1〕
<1−アクリロイル−3,5−ジメチルイソシアヌレートの合成>
100mLフラスコに1,3−ジメチルイソシアヌレート3.1g、ジメチルホルムアミド20.0g、水素化ナトリウム1.6gを加え水素の発生が治まった後10℃に冷却し、内温を15℃以下に保ちながら塩化アクリロイル2.2gを滴下した。滴下終了後バス温25℃で4時間攪拌した。
反応終了後、少量の水を加え10分間攪拌した後10%炭酸水素ナトリウム水溶液40gを加え、このものを酢酸エチル60gを加えて抽出した。この抽出液を水20gで1回洗浄し、有機層を減圧下に乾固した。乾固物3.7gをシリカゲル40gとクロロホルムでクロマトグラフィ−に付し、目的物成分を含むフラクションから溶媒を留去して、無色透明の液状物0.3g(収率7.1%)を得た。
得られた液状物のマススペクトルデータおよびH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
・MS:212(M+)
1H-NMR (CDCl3) δ:6.20(m,2H), 6.09(m,1H), 3.27(s,6H).
これらのスペクトルデータより、得られた生成物は、化3の化学式(3)で示される1−アクリロイル−3,5−ジメチルイソシアヌレートであるものと同定した。
化学式(3):
Figure 2012219090
〔実施例2〕
<1−アクリロイル−3,5−ジフェニルイソシアヌレートの合成>
100mLフラスコに1,3−ジフェニルイソシアヌレート2.8g、ジメチルホルムアミド15.0g、水素化ナトリウム0.5gを加え水素の発生が治まった後10℃に冷却し、内温を15℃以下に保ちながら塩化アクリロイル1.5gを滴下した。滴下終了後バス温25℃で4時間攪拌した。
反応終了後、少量の水を加え10分間攪拌した後10%炭酸水素ナトリウム水溶液20gを加え、このものを酢酸エチル50gを加えて抽出した。この抽出液を水20gで1回洗浄し、有機層を減圧下に乾固した。乾固物3.2gをシリカゲル40gとクロロホルムでクロマトグラフィ−に付し、目的物成分を含むフラクションから溶媒を留去して、白色結晶状の固形物1.2g(収率35.7%)を得た。
得られた固形物のマススペクトルデータおよびH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
・MS:336(M+)
1H-NMR (CDCl3) δ:7.5-7.3(m,10H), 6.20(m,2H), 6.09(m,1H).
これらのスペクトルデータより、得られた生成物は、化4の化学式(4)で示される1−アクリロイル−3,5−ジフェニルイソシアヌレートであるものと同定した。
化学式(4):
Figure 2012219090
〔実施例3〕
<1−メタクリロイル−3,5−ジメチルイソシアヌレートの合成>
100mLフラスコに1,3−ジメチルイソシアヌレート3.1g、ジメチルホルムアミド20.0g、水素化ナトリウム1.6gを加え水素の発生が治まった後10℃に冷却し、内温を15℃以下に保ちながら塩化メタクリロイル2.5gを滴下した。滴下終了後バス温25℃で4時間攪拌した。
反応終了後、少量の水を加え10分間攪拌した後10%炭酸水素ナトリウム水溶液40gを加え、このものを酢酸エチル60gを加えて抽出した。この抽出液を水20gで1回洗浄し、有機層を減圧下に乾固した。乾固物4.1gをシリカゲル60gとクロロホルムでクロマトグラフィ−に付し、目的物成分を含むフラクションから溶媒を留去して、白色結晶状の固形物0.5g(収率11.1%)を得た。
得られた固形物のマススペクトルデータおよびH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
・MS:226(M+)
1H-NMR (CDCl3) δ:6.01(d,2H), 3.27(s,6H), 2.01(s,3H).
これらのスペクトルデータより、得られた生成物は、化5の化学式(5)で示される1−メタクリロイル−3,5−ジメチルイソシアヌレートであるものと同定した。
化学式(5):
Figure 2012219090
〔実施例4〕
<1−メタクリロイル−3,5−ジフェニルイソシアヌレートの合成>
100mLフラスコに1,3−ジフェニルイソシアヌレート2.8g、ジメチルホルムアミド15.0g、水素化ナトリウム0.5gを加え水素の発生が治まった後10℃に冷却し、内温を15℃以下に保ちながら塩素化メタクリル5.0gを滴下した。滴下終了後バス温25℃で4時間攪拌した。
反応終了後、少量の水を加え10分間攪拌した後10%炭酸水素ナトリウム水溶液20gを加え、このものを酢酸エチル50gを加えて抽出した。この抽出液を水20gで1回洗浄し、有機層を減圧下に乾固した。乾固物3.6gをシリカゲル40gとクロロホルムでクロマトグラフィーに付し、目的物成分を含むフラクションから溶媒を留去して、白色結晶状の固形物1.5g(収率42.9%)を得た。
得られた固形物のマススペクトルデータおよびH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
・MS:350(M+)
1H-NMR (CDCl3) δ:7.5-7.3(m,10H), 6.20(s,1H), 6.09(q,1H),
2.08(s,3H).
これらのスペクトルデータより、得られた生成物は、化6の化学式(6)で示される1−メタクリロイル−3,5−ジフェニルイソシアヌレートであるものと同定した。
化学式(6):
Figure 2012219090
〔実施例5〕
<1,3−ジアクリロイル−5−メチルイソシアヌレート>
100mLフラスコに1−メチルイソシアヌレート2.8g、ジメチルホルムアミド20.0g、水素化ナトリウム1.6gを加え水素の発生が治まった後10℃に冷却し、内温を15℃以下に保ちながら塩化アクリロイル4.5gを滴下した。滴下終了後バス温25℃で4時間攪拌した。
反応終了後、少量の水を加え10分間攪拌した後10%炭酸水素ナトリウム水溶液40gを加え、このものから酢酸エチル60gを加えて抽出した。この抽出液を水20gで1回洗浄し、有機層を減圧下に乾固した。乾固物3.8gをシリカゲル50gとクロロホルムでクロマトグラフィ−に付し、目的物成分を含むフラクションから溶媒を留去して、無色透明の液状物0.1g(収率2%)を得た。
・MS:252(M+)
1H-NMR (CDCl3) δ:6.20(m,4H), 6.09(m,2H), 2.08(s,3H).
これらのスペクトルデータより、得られた生成物は、化7の化学式(7)で示される1,3−ジアクリロイル−5−メチルイソシアヌレートであるものと同定した。
化学式(7):
Figure 2012219090
〔実施例6〕
<1,3−ジメタクリロイル−5−メチルイソシアヌレートの合成>
100mLフラスコに1−メチルイソシアヌレート2.8g、ジメチルホルムアミド20.0g、水素化ナトリウム1.6gを加え水素の発生が治まった後10℃に冷却し、内温を15℃以下に保ちながら塩素化メタクリロイル5.0gを滴下した。滴下終了後バス温25℃で4時間攪拌した。
反応終了後、少量の水を加え10分間攪拌した後10%炭酸水素ナトリウム水溶液40gを加え、このものを酢酸エチル60gを加えて抽出した。この抽出液を水20gで1回洗浄し、有機層を減圧下に乾固した。乾固物4.0gをシリカゲル60gとクロロホルムでクロマトグラフィーに付し、目的物成分を含むフラクションから溶媒を留去して、白色結晶状の固形物0.3g(収率5.3%)を得た。
得られた液状物のマススペクトルデータおよびH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
・MS:280(M+)
1H-NMR (CDCl3) δ:6.01(d, 4H), 3.27(s,3H), 2.01(s, 6H).
これらのスペクトルデータより、得られた生成物は、化8の化学式(8)で示される1,3−ジメタクリロイル−5−メチルイソシアヌレートであるものと同定した。
化学式(8):
Figure 2012219090
本発明によれば、光硬化性樹脂の原料としての用途が期待されるイソシアヌレート化合物を提供することができる。

Claims (1)

  1. 化1の化学式(1)で示されるイソシアヌレート化合物。
    化学式(1):
    Figure 2012219090
    (但し、式中、Rがアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す場合には、RおよびRは同一にメチル基またはフェニル基を表し、RおよびRが同一にアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す場合には、Rはメチル基またはフェニル基を表す。)
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