JP6341349B1 - フェノール性水酸基含有樹脂及びレジスト材料 - Google Patents

フェノール性水酸基含有樹脂及びレジスト材料 Download PDF

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Abstract

流動性に優れ、硬化物における耐熱性及びドライエッチング耐性が高いフェノール性水酸基含有樹脂、これを含有する硬化性組成物、及びレジスト材料を提供することを目的とし、下記構造式(1)(式中Xは炭素原子数1〜14の炭化水素基を表す。R1はそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかである。mは0、1又は2、nは0又は1〜4の整数である。)で表されるビスナフトール化合物(a1)とハロゲン化シアヌル(a2)との反応生成物であって、多分散度(Mw/Mn)が1.01〜1.30の範囲であるフェノール性水酸基含有樹脂を提供する。

Description

本発明は、流動性に優れ、硬化物における耐熱性及びドライエッチング耐性が高いフェノール性水酸基含有樹脂、これを含有する硬化性組成物、及びレジスト材料に関する。
フォトレジストの分野では、用途や機能に応じて細分化された多種多様なレジストパターン形成方法が次々に開発されており、それに伴い、レジスト用樹脂材料に対する要求性能も高度化かつ多様化している。例えば、パターン形成用の樹脂材料には、高集積化された半導体に微細なパターンを正確かつ高い生産効率で形成するための高い現像性が要求さる。下層膜、反射防止膜、BARC膜、ハードマスク等と呼ばれる用途では、ドライエッチング耐性や低反射性、凹凸のある基材表面にも対応し得る高い流動性等が求められる。また、レジスト永久膜等と呼ばれる用途では、高耐熱性に加え基材追従性等の靱性が要求される。更に、品質信頼性の観点から、世界各国の様々な環境下での長期保存安定性も重要な性能の一つである。
フォトレジスト用に適した樹脂材料の一つとして、ナフトールノボラック型樹脂が知られている(下記特許文献1参照)。ナフトールノボラック型樹脂は剛直なナフタレン骨格に由来してドライエッチング耐性に優れる特徴を有するものの、流動性が低いことから凹凸のある基材表面に対する塗工性が低く、得られる膜の表面平滑性も十分ではなかった。
特開2010−248435号公報
したがって、本発明が解決しようとする課題は、流動性に優れ、硬化物における耐熱性及びドライエッチング耐性が高いフェノール性水酸基含有樹脂、これを含有する硬化性組成物、及びレジスト材料を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、ビスナフトール化合物とハロゲン化シアヌルとの反応生成物であって、多分散度(Mw/Mn)が1.01〜1.30の範囲であるフェノール性水酸基含有樹脂は、流動性が高いことから凹凸を有する基材面への塗工性に優れ、硬化物における耐熱性やドライエッチング耐性にも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記構造式(1)
Figure 0006341349
(式中Xは炭素原子数1〜14の炭化水素基を表す。Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかである。mは0、1又は2、nは0又は1〜4の整数である。)
で表されるビスナフトール化合物(a1)とハロゲン化シアヌル(a2)との反応生成物であって、多分散度(Mw/Mn)が1.01〜1.30の範囲であるフェノール性水酸基含有樹脂に関する。
本発明は更に、前記フェノール性水酸基含有樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物の硬化物に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物を用いたレジスト材料に関する。
本発明によれば、流動性に優れ、硬化物における耐熱性及びドライエッチング耐性が高いフェノール性水酸基含有樹脂、これを含有する硬化性組成物、及びレジスト材料を提供することができる。
図1は、実施例1で得られたフェノール性水酸基含有樹脂(1)のGPCチャート図である。
本発明のフェノール性水酸基含有樹脂は、下記構造式(1)
Figure 0006341349
(式中Xは炭素原子数1〜14の炭化水素基を表す。Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかである。mは0、1又は2、nは0又は1〜4の整数である。)
で表されるビスナフトール化合物(a1)とハロゲン化シアヌル(a2)との反応生成物であって、多分散度(Mw/Mn)が1.01〜1.30の範囲であることを特徴とする。
前記ビスナフトール化合物(a1)は、例えば、2−ナフトール化合物とアルデヒド化合物とを反応させる方法等により得ることができる。前記2−ナフトール化合物は、2−ナフトール或いは2−ナフトールの芳香核上に前記構造式(1)中のRで表される置換基を一つ乃至複数有する化合物を指し、1種類を単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記構造式(1)中のRはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかである。前記脂肪族炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等が挙げられる。前記アルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記ハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。前記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した構造部位が挙げられる。前記アラルキル基の具体例としては、例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した構造部位等が挙げられる。中でも、硬化物における耐熱性がより一層高くなることから、前記構造式(1)中のn及びmが共に0であることが好ましい。即ち、前記ビスナフトール化合物(a1)の反応原料として2−ナフトールを用いることが好ましい。
前記アルデヒド化合物は、例えば、ホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、テトラオキシメチレン、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、反応性に優れることからホルムアルデヒドを用いることが好ましい。即ち、前記構造式(1)中のXはメチレン基であることが好ましい。ホルムアルデヒドは水溶液の状態であるホルマリンとして用いても、固形の状態であるパラホルムアルデヒドとして用いても、どちらでも良い。
2−ナフトール化合物とアルデヒド化合物との反応は、目的の前記ビスナフトール化合物(a1)を高収率で得られることから、アルカリ触媒の存在下、室温から徐々に温度を上げて、80〜120℃程度の温度で行うことが好ましい。反応は必要に応じて有機溶媒中で行っても良い。
2−ナフトール化合物とアルデヒド化合物との反応割合は、2−ナフトール化合物1モルに対し、アルデヒド化合物が0.45〜0.55モルとなる範囲であることが好ましい。
前記アルカリ触媒は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。アルカリ触媒の添加量は、反応原料の総質量に対し0.05〜3質量%の範囲であることが好ましい。
前記有機溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、乳酸エチル、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、2−エトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いても良いし、2種類以上の混合溶媒として用いても良い。中でも、前記ビスナフトール化合物(a1)を高収率で得られることから、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒が好ましい。有機溶剤は、反応原料の総質量に対し0.5〜5倍量の範囲で用いることが好ましい。
反応終了後は、水洗や再沈殿等により反応生成物を精製することにより、より高純度のビスナフトール化合物(a1)を得ることができる。ビスナフトール化合物(a1)の純度は、硬化物における耐熱性及びドライエッチング耐性と、流動性とのバランスに優れるフェノール性水酸基含有樹脂となることから、GPCチャート図の面積比から算出される値で90%以上であることが好ましく、99%以上であることがより好ましい。
尚、本発明において、前記ビスナフトール化合物(a1)の純度や、フェノール性水酸基含有樹脂中の各成分の含有量は、下記条件のGPC測定にて得られるチャート図の面積比から算出した値である。また、水酸基含有フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)や、数平均分子量(Mn)、多分散度(Mw/Mn)は、下記条件のGPCにて測定した値である。
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)+昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)+昭和電工株式会社製「Shodex KF803」(8.0mmФ×300mm)+昭和電工株式会社製「Shodex KF804」(8.0mmФ×300mm)
カラム温度:40℃
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.30」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
標準試料:下記単分散ポリスチレン
(標準試料:単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
前記ビスナフトール化合物(a1)とハロゲン化シアヌル(a2)との反応方法は特に限定されないが、例えば、ハロゲン化水素捕捉剤の存在下、50〜100℃程度の温度条件下で反応させる方法が挙げられる。反応は必要に応じて有機溶媒中で行っても良い。
前記ビスナフトール化合物(a1)とハロゲン化シアヌル(a2)との反応割合は、得られるフェノール性水酸基含有樹脂の多分散度(Mw/Mn)を1.0〜1.5の範囲に調整しやすいことから、両者のモル比[(a1)/(a2)]が1.5〜5の範囲であることが好ましく、2.0〜3.5の範囲であることがより好ましい。
前記ハロゲン化水素捕捉剤としては、例えば、トリメチルアミンやトリエチルアミン等の3級アミン化合物、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのアルカリ金属炭酸塩等、塩基性化合物を用いることができる。これらの添加量は、前記ハロゲン化シアヌル(a2)1モルに対し、1〜2モルの範囲で用いることが好ましい。
前記有機溶媒は、疎水性溶媒が好ましく、例えば、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトン等のケトン溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。有機溶剤は、反応原料の総質量に対し0.5〜5倍量の範囲で用いることが好ましい。
反応終了後は、反応生成物を水洗して生成した塩を除去する。本発明のフェノール性水酸基含有樹脂は、硬化物における耐熱性及びドライエッチング耐性と、流動性とのバランスに一層優れるものとなることから、数平均分子量(Mn)が500以下である成分の含有量が、GPCチャート図の面積比から算出される値で0.1〜3.0%の範囲であることが好ましく、0.1〜2.8%の範囲であることがより好ましく、0.3〜2.0%の範囲であることが特に好ましい。数平均分子量(Mn)が500以下である成分の含有量は、水洗の回数を増やす、或いは再沈殿を行う等により調製することができる。
本発明のフェノール性水酸基含有樹脂は、下記構造式(2)
Figure 0006341349
(式中Xは炭素原子数1〜14の炭化水素基を表す。Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかである。mは0、1又は2、nは0又は1〜4の整数である。)
で表される多核体化合物(A)を必須の成分として含有することが好ましい。前記多核体化合物(A)の含有量は、硬化物における耐熱性及びドライエッチング耐性と、流動性とのバランスに一層優れるフェノール性水酸基含有樹脂となることから、GPCチャート図の面積比から算出される値で35%以上であることが好ましく、35〜90%の範囲であることがより好ましく、55〜80%の範囲であることが特に好ましい。
本発明のフェノール性水酸基含有樹脂は、前記構造式(1)で表される多核体化合物(A)の他、例えば、前記構造式(1)中のフェノール性水酸基の一部乃至全部が下記構造式(3)
Figure 0006341349
(式中Xは炭素原子数1〜14の炭化水素基を表す。Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかである。mは0、1又は2、nは0又は1〜4の整数である。)
で表される構造部位で置換された成分等を含有しても良い。特に、硬化物における耐熱性及びドライエッチング耐性に一層優れることから、前記多核体化合物(A)と併せて、前記構造式(1)中のフェノール性水酸基の一つが前記構造式(3)で置換された化合物(B)を含有することが好ましい。このとき、フェノール性水酸基含有樹脂中の前記多核体化合物(A)と化合物(B)との合計の含有量は、GPCチャート図の面積比から算出される値で50〜99%の範囲であることが好ましく、60〜99%の範囲であることがより好ましく、80〜99%の範囲であることが特に好ましい。
本発明のフェノール性水酸基含有樹脂は、前記条件のGPCにて測定される重量平均分子量(Mw)が980〜1,200の範囲であることが好ましい。また、本発明のフェノール性水酸基含有樹脂は多分散度(Mw/Mn)が1.01〜1.30の範囲であることを特徴とするが、硬化物における耐熱性及びドライエッチング耐性と、流動性とのバランスに一層優れるフェノール性水酸基含有樹脂となることから、多分散度(Mw/Mn)が1.01〜1.25の範囲であることがより好ましく、1.01〜1.20の範囲であることが特に好ましい。
以上詳述した本発明のフェノール性水酸基含有樹脂は、一般的なフェノール樹脂同様、塗料や接着剤、電気・電子部材、フォトレジスト、液晶配向膜等様々な用途に用いることができる。
本発明の硬化性組成物は、前記本発明のフェノール性水酸基含有樹脂と、硬化剤とを必須の成分として含有する。本発明の硬化性組成物は、前記本発明のフェノール性水酸基含有樹脂以外に、その他の樹脂(C)を含有しても良い。ここで用いるその他の樹脂(C)は、例えば、各種のノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン等の脂環式ジエン化合物とフェノール化合物との付加重合樹脂、フェノール性水酸基含有化合物とアルコキシ基含有芳香族化合物との変性ノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、及び各種のビニル重合体等が挙げられる。
前記各種のノボラック樹脂は、より具体的には、フェノール、クレゾールやキシレノール等のアルキルフェノール、フェニルフェノール、レゾルシノール、ビフェニル、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール性水酸基含有化合物と、アルデヒド化合物とを酸触媒条件下で反応させて得られる重合体が挙げられる。
前記各種のビニル重合体は、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルカルバゾール、ポリインデン、ポリアセナフチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロデセン、ポリテトラシクロドデセン、ポリノルトリシクレン、ポリ(メタ)アクリレート等のビニル化合物の単独重合体或いはこれらの共重合体が挙げられる。
これらその他の樹脂を用いる場合、本発明のフェノール性水酸基含有樹脂とその他の樹脂(C)との配合割合は、用途に応じて任意に設定することが出来るが、本発明が奏する耐熱性に優れる効果がより顕著に発現することから、本発明のフェノール性水酸基含有樹脂100質量部に対し、その他の樹脂(C)が0.5〜100質量部となる割合であることが好ましい。
本発明で用いる前記硬化剤は、前記本発明のフェノール性水酸基含有樹脂と硬化反応を生じ得る化合物であれば特に限定なく、様々な化合物を用いることができる。また、本発明の硬化性組成物の硬化方法は特に限定されず、硬化剤の種類や、後述する硬化促進剤の種類等に応じて熱硬化や光硬化など、適当な方法で硬化させることができる。熱硬化における加熱温度や時間、光硬化における光線の種類や露光時間等の硬化条件は、硬化剤の種類や、後述する硬化促進剤の種類等に応じて適宜調節される。
前記硬化剤の具体例としては、例えば、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、レゾール樹脂、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基等の2重結合を含む化合物、酸無水物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。
前記メラミン化合物は、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1〜6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜6個がアシロキシメチル化した化合物等が挙げられる。
前記グアナミン化合物は、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物等が挙げられる。
前記グリコールウリル化合物は、例えば、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル等が挙げられる。
前記ウレア化合物は、例えば、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(ブトキシメチル)尿素及び1,1,3,3−テトラキス(メトキシメチル)尿素等が挙げられる。
前記レゾール樹脂は、例えば、フェノール、クレゾールやキシレノール等のアルキルフェノール、フェニルフェノール、レゾルシノール、ビフェニル、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール性水酸基含有化合物と、アルデヒド化合物とをアルカリ性触媒条件下で反応させて得られる重合体が挙げられる。
前記エポキシ化合物は、例えば、ジグリシジルオキシナフタレン、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、リン原子含有エポキシ樹脂、フェノール性水酸基含有化合物とアルコキシ基含有芳香族化合物との共縮合物のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
前記イソシアネート化合物は、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
前記アジド化合物は、例えば、1,1’−ビフェニル−4,4’−ビスアジド、4,4’−メチリデンビスアジド、4,4’−オキシビスアジド等が挙げられる。
前記アルケニルエーテル基等の2重結合を含む化合物は、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
前記酸無水物は例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(イソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物等の芳香族酸無水物;無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水ドデセニルコハク酸、無水トリアルキルテトラヒドロフタル酸等の脂環式カルボン酸無水物等が挙げられる。
これらの中でも、硬化性や硬化物における耐熱性に優れる硬化性組成物となることから、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、レゾール樹脂が好ましく、グリコールウリル化合物が特に好ましい。
本発明の硬化性組成物における前記硬化剤の配合量は、硬化性に優れる組成物となることから、本発明のフェノール性水酸基含有樹脂とその他の樹脂(C)との合計100質量部に対し、0.5〜50質量部となる割合であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記硬化剤と合わせて硬化促進剤を含有しても良い。本発明の硬化性組成物を熱硬化させる場合には、硬化促進剤として、酢酸、シュウ酸、硫酸、塩酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸亜鉛、酢酸マンガン等の酸化合物を用いることが好ましい。他方、本発明の硬化性組成物を光硬化させる場合には、硬化促進剤として光酸発生剤を用いることが好ましい。光酸発生剤は、例えば、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のスルホニウム塩化合物;ビス[4−n−アルキルフェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−n−アルキルフェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミド、ビス[4−n−アルキルフェニル]ヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート等のヨードニウム塩化合物(各化合物中のn−アルキル基は炭素数10〜13のものが好ましい);2−[2−(フラン−2−イル)エチニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(メチルフラン−2−イル)エチニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−メトキシフェニル)エチニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のクロロメチルトリアジン化合物等が挙げられる。硬化促進剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。硬化促進剤の添加量は、硬化性組成物中の樹脂成分及び硬化剤成分との合計に対し、0.1〜10質量%となる範囲であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、有機溶剤で希釈されていても良い。用いる有機溶剤は特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジアルキレングリコールジアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン化合物;ジオキサン等の環式エーテル;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル化合物が挙げられる、これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前述の通り、本発明のフェノール性水酸基含有樹脂は、塗料や接着剤、電気・電子部材、フォトレジスト、液晶配向膜等様々な用途に用いることができるが、中でも、流動性に優れる特徴や、硬化物における耐熱性、ドライエッチング耐性が高い特性を生かした用途として、特にレジスト用材料に適しており、一般的な層間絶縁膜の他、レジスト下層膜、レジスト永久膜等の様々なレジスト部材に用いることができる。
本発明のフェノール性水酸基含有樹脂をレジスト材料に用いる場合、その利用方法は多種多様であり、例えば、感光剤と組み合わせる等してポジ型のフォトレジスト材料として用いる方法や、硬化剤と組み合わせて熱硬化性の樹脂材料として用いる方法、硬化剤及び感光性硬化促進剤と組み合わせてネガ型のフォトレジスト材料として用いる方法等が挙げられる。中でも、流動性に優れ、硬化物における耐熱性及びドライエッチング耐性が高い特性を生かし、硬化剤と組み合わせて熱硬化性の樹脂材料として用いる方法や、硬化剤及び感光性硬化促進剤と組み合わせてネガ型のフォトレジスト材料として用いる方法が好ましい。
前記感光剤は、例えば、芳香族(ポリ)ヒドロキシ化合物と、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸等のキノンジアジド基を有するスルホン酸とのエステル化合物又はアミド化物等のキノンジアジド基を有する化合物等が挙げられる。
本発明のフェノール性水酸基含有樹脂をポジ型フォトレジスト用途に用いる場合には、本発明のフェノール性水酸基含有樹脂や、その他の樹脂(C)、感光剤、その他の添加剤を配合し、有機溶剤に溶解させ、攪拌機等を用いて混合することによりポジ型フォトレジスト用組成物を製造することができる。充填材や顔料を含有する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散或いは混合することが好ましい。
前記ポジ型フォトレジスト用組成物用いたフォトリソグラフィーの一例としては、例えば、前記ポジ型フォトレジスト用組成物をシリコン基板、炭化シリコン基板、窒化ガリウム基盤等フォトリソグラフィーを行う対象物上に塗布し、60〜150℃の温度条件でプリベークする。次いで、レジストパターンを通して露光させた後、露光部をアルカリ現像液にて溶解することにより、レジストパターンを作製する。
本発明の硬化性組成物をレジスト下層膜用途に用いる場合には、本発明のフェノール性水酸基含有樹脂や、その他の樹脂(C)、硬化剤、硬化促進剤、その他の添加剤を配合し、有機溶剤に溶解させ、攪拌機等を用いて混合することによりレジスト下層膜用組成物を製造することができる。充填材や顔料を含有する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散或いは混合することが好ましい。
前記レジスト下層膜用組成物からレジスト下層膜を作成する方法の一例としては、例えば、前記レジスト下層膜用組成物をシリコン基板、炭化シリコン基板、窒化ガリウム基盤等フォトリソグラフィーを行う対象物上に塗布し、100〜200℃の温度条件下で乾燥させた後、更に250〜400℃の温度条件下で加熱硬化させるなどの方法によりレジスト下層膜を形成する。次いで、この下層膜上で通常のフォトリソグラフィー操作を行ってレジストパターンを形成し、ハロゲン系プラズマガス等でドライエッチング処理することにより、多層レジスト法によるレジストパターンを形成することが出来る。
本発明の硬化性組成物をレジスト永久膜用途に用いる場合には、本発明のフェノール性水酸基含有樹脂や、その他の樹脂(C)、硬化剤、硬化促進剤、その他の添加剤を配合し、有機溶剤に溶解させ、攪拌機等を用いて混合することによりレジスト下層膜用組成物を製造することができる。充填材や顔料を含有する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散或いは混合することが好ましい。
前記レジスト永久膜用組成物を用いたフォトリソグラフィーの一例としては、例えば、レジスト永久膜用組成物をシリコン基板、炭化シリコン基板、窒化ガリウム基盤等フォトリソグラフィーを行う対象物上に塗布し、60〜150℃の温度条件でプリベークする。次いで、レジストパターンを通して光で酸を発生させた後、110〜210℃の温度条件で熱硬化させ、未露光部をアルカリ現像液にて溶解することにより、レジストパターンを形成する。前記レジスト永久膜用組成物からなる永久膜は、例えば、半導体デバイス関係ではソルダーレジスト、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や集積回路素子と回路基板の接着層、LCD、OELDに代表される薄型ディスプレイ関係では薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルター保護膜、ブラックマトリックス、スペーサーなどに好適に用いることができる。
以下に具体的な例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
本実施例において、化合物の純度や、樹脂中の各成分の含有量は、下記条件のGPC測定にて得たチャート図の面積比から算出した値である。また、樹脂の重量平均分子量(Mw)や、数平均分子量(Mn)、多分散度(Mw/Mn)は、下記条件のGPCにて測定した値である。
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)+昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF803」(8.0mmФ×300mm)+昭和電工株式会社製「Shodex KF804」(8.0mmФ×300mm)
カラム温度:40℃
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.30」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの
注入量:0.1mL
標準試料:下記単分散ポリスチレン
(標準試料:単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
製造例1 ビスナフトール化合物(a1)の製造
冷却管を設置した2000mlの4口フラスコに、イソプロピルアルコール600質量部、2−ナフトール576質量部、41.5%ホルマリン144質量部、48%水酸化ナトリウム水溶液10質量部を仕込んだ。撹拌しながら室温(約25℃)から100℃まで2時間かけて昇温した後、還流しながら3時間撹拌を継続した。室温まで冷却した後、析出した反応生成物をヌッチェで減圧濾別し、ケーキ状の残渣をイオン交換水500質量部で5回洗浄した。得られたケーキを80℃で72時間真空乾燥し、白色のビスナフトール化合物(a1)550質量部を得た。得られたビスナフトール化合物(a1)の数平均分子量(Mn)は351、重量平均分子量(Mw)は352、多分散度(Mw/Mn)は1.00であった。
実施例1 フェノール性水酸基含有樹脂(1)の製造
冷却管を設置した取り付けた1000mlの4口フラスコに、先で得たビスナフトール化合物(a1)152質量部、塩化シアヌル31質量部、メチルエチルケトン500質量部を仕込み、撹拌して溶解した。50℃〜70℃程度に加熱しながら、60分間かけてトリエチルアミン52質量部を滴下した。滴下終了後、70℃で5時間撹拌を続けた。次いで水200質量部を添加してトリエチルアミン塩酸塩を溶解させ、分液して水層を棄却した。さらに同量の水で2回水洗した後、メチルエチルケトンを蒸留で回収し、メタノール/水=10/1(質量比)の混合溶剤で再沈殿操作を2回行い、沈殿物を回収して減圧乾燥し、フェノール性水酸基含有樹脂(1)113質量部を得た。得られたフェノール性水酸基含有樹脂(1)の数平均分子量(Mn)は963、重量平均分子量(Mw)は1,050、多分散度(Mw/Mn)は1.09、数平均分子量(Mn)が500以下である成分の含有量は0.8%であった。また、フェノール性水酸基含有樹脂(1)中の多核体化合物(A)の含有量は59.2%、多核体化合物(A)と化合物(B)との合計の含有量は85.5%であった。フェノール性水酸基含有樹脂(1)のGPCチャート図を図1に示す。
実施例2 フェノール性水酸基含有樹脂(2)の製造
実施例1においてビスナフトール化合物(a1)の添加量を152質量部から114質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてフェノール性水酸基含有樹脂(2)92質量部を得た。得られたフェノール性水酸基含有樹脂(2)の数平均分子量(Mn)は1,013、重量平均分子量(Mw)は1,252、多分散度(Mw/Mn)は1.24、数平均分子量(Mn)が500以下である成分の含有量は2.8%であった。また、フェノール性水酸基含有樹脂(2))中の多核体化合物(A)の含有量は37.9%、多核体化合物(A)と化合物(B)との合計の含有量は61.5%であった。
比較製造例1 フェノール性水酸基含有樹脂(1’)の製造
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けた1Lの4つ口フラスコに、2−ナフトール144質量部、n−ブタノール400質量部、水96質量部及び92%パラホルムアルデヒド27.7質量部を仕込んだ。続いて攪拌しながらパラトルエンスルホン酸一水和物2.4質量部を添加した。その後、攪拌しながら100℃に昇温し、2時間反応させた。反応終了後、n−ブタノール200質量部を加え、系内の溶液を洗浄水が中性を示すまで水洗後、有機層から溶媒を加熱減圧下に除去し、フェノール性水酸基含有樹脂(‘1)153g得た。フェノール性水酸基含有樹脂(1’)のGPCは数平均分子量(Mn)=955、重量平均分子量(Mw)=1,427、多分散度(Mw/Mn)=1.49、Mnが500以下の成分含有率は5.2質量%であった。
比較製造例2 フェノール性水酸基含有樹脂(2’)の製造
冷却管を設置した取り付けた1000mlの4口フラスコに、先で得たビスナフトール化合物(a1)152質量部、塩化シアヌル31質量部、メチルエチルケトン500質量部を仕込み、撹拌して溶解した。50℃〜70℃程度に加熱しながら、60分間かけてトリエチルアミン52質量部を滴下した。滴下終了後、70℃で5時間撹拌を続けた。次いで水200質量部を添加してトリエチルアミン塩酸塩を溶解させ、分液して水層を棄却した。さらに同量の水で2回水洗した後、メチルエチルケトンを蒸留で回収し、減圧乾燥して、フェノール性水酸基含有樹脂(2’)124質量部を得た。得られたフェノール性水酸基含有樹脂(2’)の数平均分子量(Mn)は958、重量平均分子量(Mw)は1,258、多分散度(Mw/Mn)は1.31、数平均分子量(Mn)が500以下である成分の含有量は12.3%であった。また、フェノール性水酸基含有樹脂(1)中の多核体化合物(A)の含有量は51.4%、多核体化合物(A)と化合物(B)との合計の含有量は72.0%であった。
実施例3、4及び比較例1、2
実施例1、2及び比較製造例1、2で得たフェノール性水酸基含有樹脂について、下記の要領で評価した。結果を表1に示す。
熱硬化性組成物の製造
フェノール性水酸基含有樹脂1.6質量部、硬化剤(東京化成工業株式会社製「1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル」)0.4質量部、パラトルエンスルホン酸0.1質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部に溶解させ、これを0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、熱硬化性組成物を得た。
耐昇華性の評価
先で得た熱硬化性組成物を5インチシリコンウェハ上にスピンコーターで塗布し、酸素濃度20容量%の環境下、110℃のホットプレート上で180秒乾燥させた。次いで、210℃で60秒間加熱硬化させ、膜厚0.3μmの硬化塗膜を得た。210℃での硬化過程前後でウェハの質量を測定し、硬化過程における質量減少量を算出して以下の基準で評価した。
A:210℃、60秒間の硬化過程における質量減少量が3%以下
B:210℃、60秒間の硬化過程における質量減少量が3%を超える
耐熱性の評価
先で得た熱硬化性組成物を5インチシリコンウェハ上にスピンコーターで塗布し、酸素濃度20容量%の環境下、110℃のホットプレート上で180秒乾燥させた。次いで、210℃で60秒間加熱硬化させ、膜厚0.3μmの硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜をウェハから削り取り、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)を用いて、下記条件で昇温させた時の240℃での質量減少量を測定し、下記基準で評価した。
[質量減少量測定条件]
測定機器:セイコーインスツールメント社製「TG/DTA 6200」
測定範囲:室温〜400℃
昇温速度:10℃/分
[評価基準]
A:240℃での質量減少量が5質量%以下
B:240℃での質量減少量が5質量%を超える
流動性の評価
φ110nm、深さ300nmのホールパターンが形成された直径5インチのシリコンウェハ上に、先で得た熱硬化性組成物をスピンコーターで塗布し、酸素濃度20容量%の環境下、110℃のホットプレート上で180秒乾燥させた後、210℃で60秒間加熱硬化させ、膜厚0.3μmの硬化塗膜を得た。シリコンウェハをホールパターン線上で切断し、レーザー顕微鏡(キーエンス製株式会社「VK-X200」)で断面を観察して、硬化性組成物のホールパターンへの流入が十分であったかどうかを下記条件で評価した。
A:ホール全体が硬化物で満たされている
B:ホール全体が硬化物で満たされておらず、空隙がある場合。
ドライエッチング耐性の評価
耐熱性の評価と同様にしてシリコンウェハ上に硬化塗膜を設置した。ウェハ上の硬化塗膜を、エッチング装置(神鋼精機社製の「EXAM」)を使用して、CF/Ar/O(CF:40mL/分、Ar:20mL/分、O:5mL/分 圧力:20Pa RFパワー:200W 処理時間:40秒 温度:15℃)の条件でエッチング処理した。このときのエッチング処理前後の膜厚を測定して、エッチングレートを算出し、エッチング耐性を評価した。評価基準は以下の通りである。
A:エッチングレートが150nm/分以下の場合
B:エッチングレートが150nm/分を超える場合
Figure 0006341349
実施例5、6、比較例3、4
実施例1、2及び比較製造例1、2で得たフェノール性水酸基含有樹脂について、下記の要領で評価した。結果を表2に示す。
光硬化性組成物の製造
フェノール性水酸基含有樹脂1.6質量部、硬化剤(東京化成工業株式会社製「1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル」)0.4質量部、光酸発生剤0.2質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部に溶解させ、これを0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、熱硬化性組成物を得た。
光酸発生剤は株式会社三和ケミカル製「TFE−トリアジン」(2−[2−(フラン−2−イル)エチニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン)を用いた。
アルカリ現像性[ADR(nm/s)]の評価
先で得た感光性組成物を5インチシリコンウェハ上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。これをアルカリ現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)に60秒間浸漬した後、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。現像液浸漬前後の膜厚を測定し、その差分を60で除した値をアルカリ現像性[ADR(nm/s)]とした。
光感度の評価
先で得た感光性組成物を5インチシリコンウェハ上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。このウェハ上にラインアンドスペースが1:1であり、ライン幅が1〜10μmまで1μmごとに設定されたレジストパターン対応のマスクを密着させた後、ghi線ランプ(ウシオ電機株式会社製「マルチライト」)を用いてghi線を照射し、140℃、60秒間の条件で加熱処理を行った。次いで、アルカリ現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)に60秒間浸漬した後、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。
ghi線露光量を30mJ/cmから5mJ/cm毎に増加させた場合の、ライン幅3μmを忠実に再現することのできる露光量(Eop露光量)を評価した。
解像度の評価
先で得た感光性組成物を5インチシリコンウェハ上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。得られたウェハ上にフォトマスクを乗せ、ghi線200mJ/cmを照射し、210℃で180秒硬化させた後、アルカリ現像操作を行った。レーザーマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VK−X200」)を用いてパターン状態を確認し、L/S=5μmで解像できているものをA、L/S=5μmで解像できていないものをBとして評価した。
Figure 0006341349

Claims (7)

  1. 下記構造式(1)
    Figure 0006341349
    (式中Xは炭素原子数1〜14の炭化水素基を表す。Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかである。mは0、1又は2、nは0又は1〜4の整数である。)
    で表されるビスナフトール化合物(a1)とハロゲン化シアヌル(a2)との反応生成物であって、多分散度(Mw/Mn)が1.01〜1.30の範囲であるフェノール性水酸基含有樹脂。
  2. 数平均分子量(Mn)が500以下である成分の含有量が、GPCチャート図の面積比から算出される値で0.1〜3.0%の範囲である請求項1記載のフェノール性水酸基含有樹脂。
  3. 下記構造式(2)
    Figure 0006341349
    (式中Xは炭素原子数1〜14の炭化水素基を表す。Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかである。mは0、1又は2、nは0又は1〜4の整数である。)
    で表される多核体化合物(A)を必須の成分として含有し、当該多核体化合物(A)の含有量がGPCチャート図の面積比から算出される値で35%以上である請求項1記載のフェノール性水酸基含有樹脂。
  4. 下記構造式(2)
    Figure 0006341349
    (式中Xは炭素原子数1〜14の炭化水素基を表す。Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかである。mは0、1又は2、nは0又は1〜4の整数である。)
    で表される多核体化合物(A)と、前記構造式(2)中のフェノール性水酸基の一つが下記構造式(3)
    Figure 0006341349
    (式中Xは炭素原子数1〜14の炭化水素基を表す。Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかである。mは0、1又は2、nは0又は1〜4の整数である。)
    で置換された化合物(B)とを必須の成分として含有し、両者の合計の含有量がGPCチャート図の面積比から算出される値で50〜99%の範囲である請求項1記載のフェノール性水酸基含有樹脂。
  5. 請求項1〜4の何れか一つに記載のフェノール性水酸基含有樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物。
  6. 請求項5記載の硬化性組成物の硬化物。
  7. レジスト材料である請求項5記載の硬化性組成物。
JP2018506623A 2016-10-05 2017-09-21 フェノール性水酸基含有樹脂及びレジスト材料 Active JP6341349B1 (ja)

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