本発明のフェノール樹脂は、フェノール性水酸基を有するフルオレン類およびフェノール類(非フルオレン系フェノール類)をフェノール成分とするフェノール樹脂(フルオレン骨格含有フェノール樹脂)であり、特定の分子量を有している。なお、このような本発明のフェノール樹脂は、通常、フルオレン骨格を有するフルオレン類のメチロール体とフェノール類とを、酸触媒の存在下で反応させることにより得られる樹脂(又は熱可塑性フェノール樹脂)、すなわち、ノボラック型フェノール樹脂(フルオレン骨格含有ノボラック型樹脂)であってもよい。
[フェノール成分]
(フェノール性水酸基を有するフルオレン類)
フェノール性水酸基を有するフルオレン類(単に、フルオレン類などということがある)は、フェノール性水酸基およびフルオレン骨格を有している限り、特に限定されないが、通常、下記式(1)で表される化合物であってもよい。
(式中、環Z1およびZ2は芳香族炭化水素環、R1a、R1b、R2aおよびR2bは同一又は異なって置換基を示す。k1およびk2は同一又は異なって0〜4の整数を示し、m1およびm2はそれぞれ0又は1以上の整数、n1およびn2はそれぞれ0又は1以上の整数を示す。ただし、n1+n2≧1である。)
上記式(1)において、環Z1および環Z2で表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式炭化水素環(詳細には、少なくともベンゼン環を含む縮合多環式炭化水素環)などが挙げられる。縮合多環式炭化水素環に対応する縮合多環式炭化水素としては、縮合二環式炭化水素(例えば、インデン、ナフタレンなどのC8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素)、縮合三環式炭化水素(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)などの縮合2乃至4環式炭化水素などが挙げられる。好ましい縮合多環式炭化水素としては、縮合多環式芳香族炭化水素(ナフタレン、アントラセンなど)が挙げられ、特にナフタレンが好ましい。なお、環Z1およびZ2はそれぞれ同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
好ましい環Z1およびZ2には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれ、特にナフタレン環が好ましい。
基R1aおよびR1bで表される置換基としては、特に限定されず、シアノ基、炭化水素基(例えば、アルキル基など)などであってもよく、通常、アルキル基である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。基R1aおよびR1bは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、k1(又はk2)が2以上である場合、基R1a(又はR1b)は、同一のベンゼン環において、それぞれ、異なっていてもよく、同一であってもよい。
なお、フルオレン骨格を構成するベンゼン環に対する基R1a(又はR1b)の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数k1およびk2は、0又は1、特に0である。なお、置換数k1及びk2は、異なっていてもよいが、通常、同一である。
環Z1および環Z2に置換するヒドロキシル基の置換数n1およびn2は、n1+n2≧1を充足する限り特に限定されないが、通常、n1およびn2が、それぞれ1以上、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1であってもよい。特に、環Z1および環Z2がベンゼン環である場合、n1およびn2は、それぞれ、1〜2、特に1であってもよい。なお、ヒドロキシル基の置換数n1およびn2は、それぞれの環Z1およびZ2において、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。
なお、ヒドロキシル基の置換位置は、特に限定されず、環Z1および環Z2の適当な置換位置に置換していればよい。特に、環Z1および環Z2がベンゼン環である場合、ヒドロキシル基は、ベンゼン環がフルオレンに結合した位置に対して3位(又はメタ位)又は4位(又はパラ位)、特に4位(パラ位)に少なくとも置換している場合が多い。
環Z1及び環Z2(以下、これらをまとめて環Zということがある)に置換する置換基R2aおよびR2bとしては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのC1−20アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基[例えば、フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル基(又はトリル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基など)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)、ナフチル基などのC6−10アリール基、好ましくはC6−8アリール基、特にフェニル基など]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などのC1−4アルコキシ基など);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシカルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子など);ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基;アミノ基;置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
好ましい置換基R2aおよびR2bは、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)などの炭化水素基であり、特に、C1−4アルキル基(特にメチル基)、C1−4アルコキシ基、C6−8アリール基が好ましい。m1又はm2が2以上の場合、置換基R2aおよびR2bは、同一の環(環Z1又は環Z2)において、単独で又は2種以上組み合わせて置換していてもよい。また、異なる環Z1およびZ2に置換する置換基R2aおよびR2bは互いに同一又は異なっていてもよく、通常、同一であってもよい。
置換基R2aおよびR2bの置換数m1およびm2は、それぞれ、環Z1および環Z2の種類などに応じて適宜選択でき、特に限定されず、例えば、0〜8、好ましくは0〜6(例えば、1〜5)、さらに好ましくは0〜4程度であってもよい。特に、環Z1および環Z2が、ベンゼン環である場合には、置換数m1およびm2は、ヒドロキシル基の置換数n1およびn2にもよるが、それぞれ、0〜3、好ましくは1〜2、特に1である。なお、置換数m1およびm2は、それぞれの環Z1およびZ2において、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。
なお、置換基R2aおよびR2bの置換位置は、特に限定されず、ヒドロキシル基の置換位置に応じて、適当な置換位置に置換していてもよいが、通常、ヒドロキシル基(すなわち、フェノール性水酸基、フェノール性ヒドロキシル基)に対してオルト位およびパラ位に位置する3つの炭素原子(すなわち、メチロールを置換しやすい炭素原子)のうち、少なくとも1つが無置換(すなわち、置換基が水素原子)である。
そして、特に、オルト位およびパラ位に位置する3つの炭素原子が、無置換の炭素原子とアルデヒド類(ホルムアルデヒドなど)が置換不可能な炭素原子(例えば、置換基(R2a又はR2b)などにより置換された炭素原子、フルオレンの9位と結合した炭素原子など)とで構成されているのが好ましい。代表的には、前記式(1)において、n1およびn2がそれぞれ1以上(例えば、1)であり、環Z1および環Z2のそれぞれにおいて、ヒドロキシル基に対してオルト位およびパラ位に位置する3つの炭素原子が、無置換の炭素原子とR2aおよびR2bにより置換された炭素原子とで構成されていてもよい。例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類のうち、ヒドロキシル基を4位に有する場合には、3位に置換基を有し、かつ5位が無置換であるフルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−アルキルフェニル)フルオレンなど]が好ましい。
このような構成のフルオレン類を使用すると、メチロールによる架橋を抑制しつつ縮合できるためか、高分子量のフェノール樹脂(ノボラック型フェノール樹脂)をより一層調製しやすくなるようである。
代表的なフェノール性水酸基を有するフルオレン類には、例えば、(1)9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類、(2)9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類などが含まれる。
(1)9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類
(1a)9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類には、9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレンなど]が含まれ、通常、9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類又は9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類、特に9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類を好適に使用できる。
9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスフェノールフルオレン)など]、置換基を有する9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(ビスクレゾールフルオレン)、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジC1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(シクロアルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C5−8シクロアルキル−モノヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−8アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アラルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ベンジルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−8アリールC1−2アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど]など}などが挙げられる。
9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、上記9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類に対応するフルオレン類、例えば、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスカテコールフルオレン)など]、置換基を有する9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジC1−4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−8アリール−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]など}などが例示できる。
なお、ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類は、種々の合成方法、例えば、(a)塩化水素ガス及びメルカプトカルボン酸の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法(文献[J. Appl. Polym. Sci., 27(9), 3289, 1982]、特開平6−145087号公報、特開平8−217713号公報)、(b)酸触媒(及びアルキルメルカプタン)の存在下、9−フルオレノンとアルキルフェノール類とを反応させる方法(特開2000−26349号公報)、(c)塩酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法(特開2002−47227号公報)、(d)硫酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させ、炭化水素類と極性溶媒とで構成された晶析溶媒で晶析させてビスフェノールフルオレンを製造する方法(特開2003−221352号公報)などを利用して製造できる。
また、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン類は、上記9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法において、フェノール類の代わりに、対応する多価アルコール類(ジヒドロキシフェノール類、トリヒドロキシフェノール類)を使用することにより製造できる。これらの方法のうち、特に、塩酸を使用する方法(c)、又は特定の晶析溶媒を使用する方法(d)を応用すると、より高収率でかつ高純度で生成物が得られる場合が多い。
(2)9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類
9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は6,6−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール))、9,9−ビス[1−(6−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は5,5−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール))、9,9−ビス[1−(5−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は5,5−(9-フルオレニリデン)−ジ(1−ナフトール))など]などの置換基を有していてもよい9,9−ビス(モノヒドロキシナフチル)フルオレン}、これらの9,9−ビス(モノヒドロキシナフチル)フルオレン類に対応する9,9−ビス(ポリヒドロキシナフチル)フルオレン類(例えば、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシナフチル)フルオレン類)などが挙げられる。
なお、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類は、前記9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法において、フェノール類の代わりに、ヒドロキシナフタレン類(例えば、ナフトール(1−ナフトール、2−ナフトール)などのナフトール類、ジヒドロキシナフタレンなどのポリヒドロキシナフタレン類)を使用することにより製造できる。
これらのフェノール性水酸基を有するフルオレン類は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
好ましいフェノール性水酸基を有するフルオレン類には、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−置換フェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−アルキルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロアルキルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−アリールフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンなどが含まれ、特に、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−アルキルフェニル)フルオレン[特に、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(ビスクレゾールフルオレン)などの9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−C1−4アルキルフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンが好ましい。
特に、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの環Z1および環Z2に炭化水素基を有するフルオレンは、環Z1および環Z2に無置換のフルオレン骨格を有するフルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン]を使用する場合に比べて、耐熱性を向上する点で有利である。また、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンなどの環Z1および環Z2がナフタレン環などの縮合芳香族炭化水素環であるフルオレン類は、耐熱性の向上や屈折率の向上に加えて、さらに熱膨張性の低減を実現でき、寸法精度の向上に有利である。
(フェノール類)
フェノール類としては、前記フェノール性水酸基を有するフルオレン以外のフェノール類(又はフルオレン骨格を有しないフェノール類)が挙げられる。フェノール類は、置換基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基など)を有していてもよい。なお、フェノール類は、同一又は異なる置換基を有していてもよい。フェノール類において置換基の数は、例えば、0〜6(例えば、0〜4)、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2程度であってもよい。なお、フェノール類は、市販品を用いてもよく、当該分野で知られている公知の方法により調製することもできる。
代表的なフェノール類には、例えば、モノフェノール類{例えば、フェノール、アルキルフェノール[クレゾール(o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール)、エチルフェノール(2−エチルフェノールなど)、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのモノC1−20アルキルフェノール(例えば、モノC1−10アルキルフェノールなど);キシレノール(2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノールなど)などのジC1−10アルキルフェノールなど]、シクロアルキルフェノール(2−シクロヘキシルフェノールなど)、アリールフェノール(o−フェニルフェノールなど)、アルコキシフェノール(o−メトキシフェノールなどのアニソール類など)、アミノフェノールなどの置換基を有するフェノール;ナフトール類[例えば、ナフトール(α−ナフトール、β−ナフトールなど)、アルキルナフトール(メチルナフトール、エチルナフトール、ジメチルナフトール、プロピルナフトールなどのC1−4アルキルナフトールなど)など]など}、複数のフェノール性水酸基を有するフェノール類[例えば、ジヒドロキシベンゼン(カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン)、アルキル−ジヒドロキシベンゼン(ジヒドロキシトルエン、ジヒドロキシキシレンなどのモノ又はジC1−6アルキル−ジヒドロキシベンゼンなど)、アリール−ジヒドロキシベンゼン(2,3−ジヒドロキシビフェニル、3,4−ジヒドロキシビフェニルなどのC6−8アリール−ジヒドロキシベンゼンなど)、アルコキシ−ジヒドロキシベンゼン(3−メトキシカテコールなどのモノ又はジC1−6アルコキシ−ジヒドロキシベンゼンなど)、トリヒドロキシベンゼン類(ピロガロール、ヒドロキシヒドロキノン、フロログルシノールなど)などの多価フェノール類;ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)など]などが挙げられる。
これらのフェノール類は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのフェノール類の中でも、フェノール、アルキルフェノールなどのモノフェノール類が好ましく、特にクレゾールなどの置換フェノール類が好ましい。
フェノール成分において、フェノール類の割合は、フェノール性水酸基を有するフルオレン類1重量部に対して、0.01〜100重量部(例えば、0.05〜50重量部)の範囲から選択でき、例えば、0.05〜15重量部(例えば、0.1〜10重量部)、好ましくは0.15〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部(例えば、0.25〜2重量部)程度であり、通常0.1〜1.5重量部(例えば、0.2〜1重量部)程度であってもよい。本発明では、上記のような割合でフェノール性水酸基を有するフルオレン類を使用しても、高分子量(例えば、重量平均分子量2000以上)のフェノール樹脂を得ることができる。
本発明のフェノール樹脂(通常、ノボラック型フェノール樹脂)の重量平均分子量は、通常2000以上(例えば、2200〜50000程度)の範囲から選択でき、例えば、2500以上(例えば、2700〜40000程度)、好ましくは3000以上(例えば、3200〜30000程度)、さらに好ましくは3300〜25000(例えば、3500〜20000程度)であり、通常3000〜15000(例えば、3500〜12000)程度であってもよい。
また、本発明のフェノール樹脂の多くは、比較的高分子量の樹脂で構成されており、例えば、前記フェノール樹脂において、重量平均分子量1000以下の成分(フェノール樹脂)の割合は、前記フェノール樹脂全体に対して、20重量%以下(例えば、0.1〜17重量%程度)、好ましくは15重量%以下(例えば、0.5〜12重量%程度)、さらに好ましくは10重量%以下(例えば、1〜8重量%程度)、特に7重量%以下(例えば、1.5〜5重量%程度)であってもよく、通常2〜15重量%(例えば、3〜10重量%)程度であってもよい。
なお、重量平均分子量は、通常、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定でき、所定の条件(例えば、ポリスチレン換算など)で測定可能である。
なお、本発明のフェノール樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、1〜7(例えば、1.1〜6)、好ましくは1.2〜6.5(例えば、1.5〜6)、さらに好ましくは1.5〜5.5(例えば、1.7〜5)程度であってもよく、2.5以下(例えば、1.2〜2.2、好ましくは1.5〜2程度)とすることもできる。
また、本発明のフェノール樹脂は、フルオレン骨格を有しているとともに高分子量であるため、通常、耐熱性が高い。例えば、本発明のフェノール樹脂のガラス転移温度は、例えば、90℃以上(例えば、95〜250℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば、105〜230℃程度)、さらに好ましくは110℃以上(例えば、115〜220℃程度)、特に120℃以上(例えば、125〜200℃程度)であってもよく、通常110〜210℃(例えば、120〜190℃)程度であってもよい。
このような本発明のフェノール樹脂は、前記フェノール成分を縮合成分とするフェノール樹脂(通常、ノボラック型フェノール樹脂)であり、前記フェノール成分とアルデヒド類との反応物である。そして、このような本発明のフェノール樹脂は、通常、フェノール性水酸基を有するフルオレン類のメチロール体とフェノール類とが縮合[通常、酸触媒の存在下(又は酸性条件下)で縮合]した縮合物であり、後述するように、フェノール成分とアルデヒド類とを段階的に(二段階で)反応させる特定の方法により効率よく得ることができる。なお、前記メチロール体は、メチロール基を有している限り、少なくとも一部において、フェノール性水酸基を有するフルオレン類のメチロール体が互いに縮合した縮合物(又は予備縮合物又は縮合ユニット、例えば、重量平均重合度2〜5、好ましくは2〜3程度の縮合物)を形成していてもよい。通常、前記メチロール体は、単量体である場合が多い。
[製造方法]
本発明には、フェノール性水酸基を有するフルオレン類(前記例示のフルオレン類など)およびフェノール類(前記例示のフェノール類など)をフェノール成分とするフェノール樹脂(ノボラック型フェノール樹脂)の製造方法も含まれる。
前記製造方法では、フェノール性水酸基を有するフルオレン類のメチロール体(単にメチロール体ということがある)と、フェノール類とを反応(通常、酸触媒の存在下で反応)させることによりフェノール樹脂を製造する。このような方法により、フェノール性水酸基を有するフルオレン類をフェノール成分としても、比較的高い分子量のフェノール樹脂を効率よく得ることができる。前記フェノール樹脂は、通常、このような方法により調製できる。
フェノール性水酸基を有するフルオレン類のメチロール体は、フェノール性水酸基を有するフルオレン類とアルデヒド類とを反応(メチロール化反応)させて得ることができる。このようなメチロール化反応は、通常、塩基触媒の存在下(アルカリ条件下)で行うことができる。なお、「メチロール体」とは、メチロール基(又はヒドロキシメチル基)の置換体を意味し、メチロール基は、アルキル基などで置換された置換メチロール基(例えば、1−ヒドロキシエチル基などのアルキル置換メチロール基など)であってもよい。
アルデヒド類としては、特に制限されず、アルカナール(例えば、アセトアルデヒドなど)などを使用してもよいが、通常、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド源を好適に使用できる。アルデヒド類は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、アルデヒド類は、溶液(例えば、ホルムアルデヒド水溶液(ホルマリンなど))として使用してもよい。また、アルデヒド類は、当該分野で知られている公知の方法により調製することもできる。なお、メチロール化反応に使用するフルオレン類の純度は、特に限定されないが、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上であってもよい。
メチロール体の調製において用いるアルデヒド類の割合は、フェノール性水酸基を有するフルオレン類1モルに対して、ホルミル基(HCO−)又はメチロール基換算で、例えば、0.1〜100モル、好ましくは0.5〜50モル、さらに好ましくは1〜30モル、特に1.5〜20モル程度であってもよい。特に、アルデヒド類の割合は、前記フルオレン類のフェノール性水酸基1モルに対して、ホルミル基(HCO−)又はメチロール基換算で、例えば、0.3〜30モル(例えば、0.5〜20モル)、好ましくは0.7〜15モル(例えば、0.8〜10モル)、さらに好ましくは1モル以上(例えば、1.1〜8モル程度)であってもよく、通常1〜7モル(例えば、1.1〜5モル)程度であってもよい。
なお、好ましいメチロール体は、前記フルオレン類のポリメチロール体(すなわち、フルオレン類1モルあたり平均2以上のメチロール基が置換した化合物)で構成されている。このようなポリメチロール体は、フルオレン類の種類に応じて上記アルデヒド類の割合を調整する(例えば、フルオレン類のフェノール性水酸基1モルに対してアルデヒド類を1モル以上用いる)ことにより調製することができる。このようなポリメチロール体のなかでも、特に、フェノール類との反応により高分子量のフェノール樹脂を得るという観点からは、ジメチロール体で少なくとも構成されているのが好ましい。例えば、前記9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−置換フェニル)フルオレン類は、2つのフェノール性水酸基に対するオルト位が置換された化合物であるため、アルデヒド類を過剰に用いて反応させると、ポリメチロール化(テトラメチロール化など)させることなく、効率よくジメチロール体として生成物が得られる。メチロール体(モノメチロール体とポリメチロール体の総量)において、ポリメチロール体(例えば、ジメチロール体)の割合は、例えば、50モル%以上(例えば、55〜100モル%程度)、好ましくは60モル%以上(例えば、65〜99モル%程度)、さらに好ましくは70モル%以上(例えば、75〜98モル%程度)、特に80モル%以上(例えば、85〜95モル%程度)であってもよい。
また、前記のようにメチロール体は、少なくとも一部において互いに縮合した縮合物(オリゴマー)であってもよい。
メチロール化反応において、塩基性触媒(塩基触媒)としては、特に限定されず、金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物など)、金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸(水素)塩など)、アンモニアなどの無機塩基;アミン類[例えば、第1〜3級アミン類(メチルアミン、トリエチルアミンなどのモノ乃至トリアルキルアミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリンなどの芳香族第1〜3級アミン)などのモノアミン類、ヘキサメチレンテトラミンなどのポリアミン類など]、カルボン酸金属塩(酢酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの酢酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩など)などの有機塩基などが例示できる。塩基触媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
塩基触媒の使用割合は、例えば、前記フルオレン類100重量部に対して、0.1〜50重量部(例えば、0.3〜20重量部)、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部程度であってもよい。
なお、メチロール化反応は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、特に限定されず、水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルキルアルコール、シクロヘキサノールなど)、ケトン類(アセトン、ジイソプロピルケトンなどのアルキルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテル、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテルなど)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類(メチルセロソルブアセテートなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、ニトリル類、セロソルブ類、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類、炭化水素類[脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、脂環族炭化水素(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)など]などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
溶媒の使用量は、特に限定されず、前記フルオレン類1重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、さらに好ましくは1〜10重量部程度であってもよい。
メチロール化反応において、反応温度は、例えば、0〜250℃、好ましくは20〜150℃、さらに好ましくは30〜100℃(例えば、40〜80℃)程度であってもよい。また、メチロール化反応時間は、例えば、30分〜48時間、好ましくは1〜24時間、さらに好ましくは1〜10時間程度であってもよい。また、メチロール化反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下でおこなってもよい。
上記のようにしてフルオレン類のメチロール体を調製することができる。
また、前記メチロール体とフェノール類との反応(縮合反応)において、フェノール類の割合は、前記と同様の範囲から選択できる。なお、縮合反応において使用するフェノール類の純度は特に制限されないが、通常、95重量%以上であり、例えば、97重量%以上、好ましくは99重量%以上であってもよい。なお、縮合反応は、前記メチロール化反応により生成したメチロール体を用いて行うことができればよく、前記メチロール化反応終了後の反応物(例えば、溶媒を含む液状反応物など)をそのまま縮合反応に使用してもよく、反応終了後の反応物から分離(分離精製)したメチロール体を縮合反応に供してもよい。工程を簡略化するためには、メチロール化反応後の反応物をそのまま縮合反応に供する場合が多い。
なお、縮合反応は、通常、酸触媒の存在下(又は酸性条件下)で行うことができる。酸触媒としては、特に限定されず、無機酸[例えば、プロトン酸(硫酸、塩化水素(又は塩酸)、リン酸など)、ルイス酸(三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化亜鉛など)など]、有機酸{例えば、スルホン酸(メタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのアレーンスルホン酸など)、脂肪族カルボン酸[例えば、アルカン酸(例えば、酢酸、シュウ酸などのアルカンモノ又はジカルボン酸)など]などのカルボン酸}などが挙げられる。これらの酸触媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
酸触媒の使用量は、酸触媒の種類やメチロール化反応に使用した塩基性触媒の使用量に応じて選択でき、例えば、前記フルオレン類1重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜8重量部、さらに好ましくは0.3〜7重量部程度であってもよく、通常0.1〜9重量部程度であってもよい。なお、縮合反応において、反応系に存在する酸触媒の割合(塩基性触媒の中和に使用された酸触媒を除く酸触媒の割合)は、前記フルオレン類1重量部に対して、例えば、0.001〜2重量部、好ましくは0.005〜1重量部、さらに好ましくは0.01〜0.1程度であってもよい。
縮合反応は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、前記例示の溶媒と同様の溶媒などが挙げられ、溶媒の使用量なども前記と同様の範囲から選択できる。なお、前記メチロール化反応終了後の反応物を縮合反応に用いる場合、メチロール化反応の溶媒をそのまま溶媒として用いてもよく、新たに溶媒を添加してもよい。
縮合反応において、反応温度は、例えば、0〜250℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは30〜150℃(例えば、50〜100℃)程度であってもよい。また、縮合反応時間は、例えば、30分〜48時間、好ましくは1〜24時間、さらに好ましくは1〜10時間程度であってもよい。また、縮合反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下でおこなってもよい。
上記のような縮合反応によりフェノール樹脂が得られる。
なお、縮合反応終了後の反応混合物には、フェノール樹脂以外に、溶媒、触媒(塩基触媒、酸触媒など)、未反応成分(例えば、フェノール類など)などが含まれている。そのため、前記フェノール樹脂は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶などの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により縮合反応後の反応物から分離精製してもよい。
[フェノール樹脂の用途]
本発明のフェノール樹脂は、種々の用途に使用でき、熱可塑性樹脂としても、熱硬化性樹脂として利用することもできる。すなわち、本発明のフェノール樹脂は、自己架橋性を有しており、単独で硬化可能である。そして、このようなフェノール樹脂の硬化物は、耐熱性やプラズマ耐性(又は耐エッチング性)に優れている。そのため、本発明には、前記フェノール樹脂の硬化物(前記フェノール樹脂が硬化した硬化物)も含まれる。
(フェノール樹脂の硬化物)
前記フェノール樹脂の硬化物は、樹脂成分として、前記フェノール樹脂が単独で硬化(又は架橋)した硬化物(架橋物、自己架橋物)であればよい。このような硬化物は、例えば、前記フェノール樹脂を加熱することにより得ることができる。このような硬化物は、慣用の成形方法(圧縮成形法、トランスファー成形法など)を利用して成形でき、例えば、前記フェノール樹脂を含む塗膜を加熱することにより得られる硬化膜(硬化塗膜)の形態であってもよい。前記塗膜は、例えば、前記フェノール樹脂および溶媒を含むコーティング液(塗布液)を基板に塗布することにより形成してもよい。
溶媒としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノールなど)、エーテル類(テトラヒドロフランなど)、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなど)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類(メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチル−1−アセテートなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなど)、エステル類(2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
前記コーティング液において、溶媒の割合は、例えば、前記フェノール樹脂1重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.3〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部程度であってもよい。
なお、前記コーティング液(又は硬化物)は、樹脂成分として前記フェノール樹脂のみを含んでいればよく、添加剤などを含んでいてもよい。添加剤としては、用途に応じて、例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、充填剤(又は補強剤)、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤、滑剤などが挙げられる。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
前記基板としては、特に限定されず、金属、セラミック、ガラス、プラスチックなどで形成された基板であってもよく、半導体基板(シリコンウェハーなど)であってもよい。
なお、塗布後の塗膜には、必要に応じて乾燥処理を施してもよい。乾燥は、自然乾燥であってもよく、塗膜の加熱(例えば、加熱温度40〜120℃、好ましくは60〜110℃程度)などにより行うことができる。
前記フェノール樹脂(又は塗膜)の加熱において、加熱温度(又はポストベーク温度)としては、例えば、120〜300℃、好ましくは140〜250℃、さらに好ましくは160〜220℃程度であってもよい。また、加熱時間は、硬化物の形態又は形状によるが、例えば、30秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間、さらに好ましくは2分〜3時間程度であってもよい。
このような硬化物(又は硬化塗膜)は、耐熱性や耐エッチング性において優れている。なお、硬化膜の平均厚みは、用途に応じて適宜選択でき、例えば、0.01〜1000μm、好ましくは0.05〜500μm、さらに好ましくは0.1〜100μm程度であってもよい。
(フェノール樹脂を含む樹脂組成物)
本発明のフェノール樹脂は、樹脂組成物を構成することもできる。このような樹脂組成物は、前記フェノール樹脂を少なくとも含んでいればよく、熱可塑性樹脂組成物(例えば、前記例示の添加剤、前記フェノール樹脂以外の樹脂{例えば、フルオレン骨格を有しないフェノール樹脂、前記分子量の範囲にない[例えば、重量平均分子量2000未満(例えば、1500以下)の]フルオレン骨格含有フェノール樹脂など}などを含む樹脂組成物)であってもよく、熱硬化性樹脂組成物であってもよい。また、後述するように、感光性樹脂組成物であってもよい。特に、本発明のフェノール樹脂を熱硬化性樹脂又は硬化剤とする熱硬化性樹脂組成物は、耐熱性や耐エッチング性に優れた硬化物(特に硬化膜)を得るのに有用である。
(熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物)
熱硬化性樹脂組成物は、前記フェノール樹脂を熱硬化性樹脂成分とする場合、硬化剤成分とする場合などに応じて適宜選択でき、例えば、(i)前記フェノール樹脂と硬化剤とで構成された熱硬化性樹脂組成物、(ii)前記フェノール樹脂と硬化性樹脂(又は硬化性化合物)とで構成された熱硬化性樹脂組成物などが含まれる。なお、前記フェノール樹脂は、前記のように、単独でも(硬化剤の非存在下)でも硬化可能である。
熱硬化性樹脂組成物(i)において、硬化剤(硬化促進剤又は硬化助剤を含む)としては、例えば、アミン類{例えば、鎖状脂肪族アミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの鎖状脂肪族ポリアミン)、環状脂肪族アミン[メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロへキシル)メタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンなどの単環式脂肪族ポリアミン、ノルボルナンジアミン、ヘキサメチレンテトラミンなどの縮合環式又は架橋環式ポリアミンなど]、芳香族又は芳香脂肪族アミン(キシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなど)など}、ホスフィン類[例えば、エチルホスフィン、プロピレンホスフィン、フェニルホスフィン、トリフェニルホスフイン、トリアルキルホスフィンなどの有機ホスフィン類(第1、第2、および第3ホスフィン類)など]、アミド化合物(ダイマー酸ポリアミドなど)、エポキシ化合物[例えば、エピクロロヒドリン、ジグリシジルエーテル、ポリオールポリグリシジルエーテル(ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなど)、ジグリシジルアニリン、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルなどのポリグリシジルエーテル類、エポキシ樹脂(エピ・ビス型エポキシ樹脂、フェノール型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、グリコール型エポキシ樹脂など)など]、プロトン酸(例えば、硫酸、リン酸などの無機酸、酢酸などの有機酸など)、酸無水物(無水フタル酸、テトラヒドロメチル無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水メチルナジック酸など)などが挙げられる。これらの硬化剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
熱硬化性樹脂組成物(i)において、硬化剤(又は架橋剤)の割合は、前記フェノール樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.3〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部程度であってもよい。
また、熱硬化性樹脂組成物(ii)において、硬化性樹脂(詳細には、前記フェノール樹脂以外の硬化性樹脂)としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂(ノボラックフェノール樹脂など)、フラン樹脂、尿素樹脂[又は尿素樹脂の前駆体、例えば、モノ又はジメチロール尿素又はその縮合物(部分縮合物)など]、メチロール基含有化合物{例えば、メラミン樹脂[又はメラミン樹脂の前駆体(メラミンのホルムアルデヒド付加物又は縮合物)、例えば、メチロールメラミン(モノ乃至トリメチロールメラミン)又はその縮合物(部分縮合物)など]など}、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂(エピ・ビス型エポキシ樹脂、フェノール型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、グリコール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂など)、ウレタン系樹脂(ポリイソシアネートの多量体など)、シリコーン樹脂、ポリイミド、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂(又は光硬化性樹脂)が挙げられる。
これらの硬化性樹脂(又は硬化性樹脂)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、熱硬化性樹脂組成物(ii)において、前記フェノール樹脂は、前記硬化性樹脂に対して非反応性であってもよく、反応性であってもよい。例えば、前記フェノール樹脂および硬化性樹脂のうち、一方の成分が他方の成分の硬化剤として作用してもよく(又は一方の成分と他方の成分とが反応により結合可能であってもよく)、一方の成分と他方の成分とは互いに非反応性であってもよい。
熱硬化性樹脂組成物(ii)において、硬化性樹脂の割合は、用途などにもよるが、前記フェノール樹脂100重量部に対して、例えば、1〜1000重量部、好ましくは2〜500重量部、さらに好ましくは5〜300重量部(例えば、10〜200重量部)程度であってもよい。
なお、熱硬化性樹脂組成物(ii)は、さらに、硬化剤(又は硬化促進剤)を含んでいてもよい。このような硬化剤は、前記フェノール樹脂又は前記熱硬化性樹脂に対する硬化剤であってもよく、前記フェノール樹脂および前記熱硬化性樹脂双方に対する硬化剤であってもよい。硬化剤としては、前記熱硬化性樹脂組成物(i)の項で例示の硬化剤(又は硬化促進剤又は硬化助剤、例えば、ホスフィン類など)などが挙げられる。硬化剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
代表的な硬化剤(又は硬化促進剤)には、アミン類、ホスフィン類などが挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物(ii)において、硬化剤の割合は、前記フェノール樹脂および前記熱硬化性樹脂の総量100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.3〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部程度であってもよく、通常0.1〜10重量部程度であってもよい。
好ましい熱硬化性樹脂組成物(ii)には、前記フェノール樹脂と、熱硬化性樹脂[特に、エポキシ樹脂などの前記フェノール樹脂に対する硬化剤又は架橋剤として作用しうる熱硬化性樹脂]と、必要に応じてさらに硬化剤又は硬化促進剤(ホスフィン類など)とで構成された熱硬化性樹脂組成物などが含まれる。
なお、熱硬化性樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物(i)および熱硬化性樹脂組成物(ii))は、後述するように、溶媒を含む組成物(コーティング組成物)であってもよい。
また、熱硬化性樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物(i)および熱硬化性樹脂組成物(ii))は、添加剤などを含んでいてもよい。添加剤としては、前記例示の添加剤が挙げられる。添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
前記熱硬化性樹脂組成物は、前記のように、耐熱性や耐エッチング性に優れた硬化物を得るのに有用である。このような硬化物は、前記熱硬化性樹脂組成物を加熱することにより得ることができる。このような硬化物は、例えば、前記熱硬化性樹脂組成物を含む塗膜を加熱することにより得られる硬化膜(硬化塗膜)の形態であってもよい。前記塗膜は、例えば、前記熱硬化性樹脂組成物および溶媒を含むコーティング液(塗布液)を基板に塗布することにより形成してもよい。溶媒や基板は、前記と同様のものが使用できる。
前記コーティング液(又はコーティング組成物)において、溶媒の割合は、例えば、前記フェノール樹脂および熱硬化性樹脂の総量1重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.3〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部程度であってもよい。なお、塗布後の塗膜には、必要に応じて乾燥処理を施してもよい。乾燥は、自然乾燥であってもよく、塗膜の加熱(例えば、加熱温度40〜120℃、好ましくは60〜110℃程度)などにより行ってもよい。
前記熱硬化性樹脂組成物(又は塗膜)の加熱において、加熱温度(又はポストベーク温度)としては、例えば、120〜300℃、好ましくは140〜250℃、さらに好ましくは160〜220℃程度であってもよい。また、加熱時間は、硬化物の形態又は形状によるが、例えば、30秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間、さらに好ましくは2分〜3時間程度であってもよい。
このような硬化物(又は硬化塗膜)は、耐熱性や耐エッチング性において優れている。なお、硬化膜の平均厚みは、用途に応じて適宜選択でき、例えば、0.01〜1000μm、好ましくは0.05〜500μm、さらに好ましくは0.1〜100μm程度であってもよい。
(感光性樹脂組成物およびパターン)
前記樹脂組成物は、感光性樹脂組成物であってもよい。すなわち、本発明のフェノール樹脂は、好適に感光性樹脂組成物を構成する樹脂(特に、ベース樹脂)として用いることもできる。前記フェノール樹脂で構成された感光性樹脂組成物は、耐エッチング性の高いパターンを形成するのに極めて有用である。なお、感光性樹脂組成物は、組み合わせる感光剤や後述の他の樹脂を適宜選択することにより、ネガ型又はポジ型感光性樹脂組成物とすることができる。
前記感光性樹脂組成物の樹脂成分は、少なくとも前記フェノール樹脂で構成すればよく、前記フェノール樹脂単独で構成されていてもよく、前記フルオレン骨格を有するフェノール樹脂とそれ以外の樹脂(以下、「他の樹脂」などと称する場合がある。)とで構成されていてもよい。
他の樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂{例えば、ヒドロキシル基含有ポリマー[ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ヒドロキシル基含有セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロースなど)、ポリビニルフェノール系樹脂、ノボラック樹脂(ノボラック型フェノール樹脂)など]、カルボキシル基含有ポリマー[重合性不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸など)の単独又は共重合体、カルボキシル基含有セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース又はその塩など)など]、エステル基含有ポリマー[カルボン酸ビニルエステル(酢酸ビニルなど)、(メタ)アクリル酸エステル(メタクリル酸メチルなど)などの単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂など)、ポリエステルなど]、エーテル基を有するポリマー(ポリビニルエーテル系樹脂など)、アミド基又は置換アミド基を有するポリマー(ポリビニルピロリドン、ポリウレタン系重合体、ポリ尿素、ポリアミド系重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド系重合体、ポリアミノ酸、タンパク質など)、ニトリル基を有するポリマー(アクリロニトリル系重合体など)、グリシジル基を有するポリマー(グリシジル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体など)、非芳香族性環基を有するポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどのC5−8シクロアルキル基を有するモノマーのポリマー;(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチルなどの架橋環式C7−20脂肪族炭化水素環基を有するモノマーのポリマーなど)など}、硬化性樹脂(熱又は光硬化性樹脂)[前記例示の硬化性樹脂(メラミン樹脂など)、光重合性オリゴマー又はポリマー((メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、シンナモイル基などの重合性基を有するオリゴマーなど)など]などが例示できる。
また、他の樹脂には、これらの樹脂(ヒドロキシル基含有ポリマー、カルボキシル基含有ポリマーなど)の親水性基(ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基など)が脱離可能な保護基(特に、酸の作用により脱離可能な保護基)で保護された樹脂なども含まれる。脱離可能な保護基[例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの置換基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基)など)など]で保護された親水性基を有する樹脂において、対応する親水性基を有する樹脂としては、例えば、ポリビニルフェノール系樹脂[ビニルフェノール系単量体(ビニルフェノールなど)の単独又は共重合体(例えば、ポリビニルフェノールなど)、ビニルフェノール系単量体と共重合性単量体との共重合体など]、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂[例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体、又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合性単量体との共重合体など]などが挙げられる。
これらの他の樹脂は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、他の樹脂が熱可塑性樹脂である場合、他の樹脂の重量平均分子量は、例えば、800〜30000、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは1500〜7000程度であってもよい。また、他の樹脂が硬化性樹脂である場合、他の樹脂の重量平均分子量は、例えば、120〜3000、好ましくは130〜2000、さらに好ましくは150〜1000程度であってもよい。
他の樹脂を使用する場合、他の樹脂の割合は、例えば、前記フェノール樹脂100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは5〜100重量部、さらに好ましくは10〜50重量部程度であってもよい。
感光性樹脂組成物は、前記フェノール樹脂(および必要に応じて他の樹脂)で構成でき、通常、前記フェノール樹脂(および必要に応じて他の樹脂)と感光剤とで構成されている。
感光剤としては、ポジ型、ネガ型の種類などに応じて、慣用の感光剤又は光増感剤、例えば、ジアゾニウム塩類(ジアゾニウム塩、テトラゾニウム塩、ポリアゾニウム塩など)、キノンジアジド類(ジアゾベンゾキノン誘導体、ジアゾナフトキノン誘導体など)、光酸発生剤、溶解抑制剤などが選択できる。
光酸発生剤としては、スルホニウム塩誘導体[スルホン酸エステル(1,2,3−トリ(メチルスルホニルオキシ)ベンゼンなどのアリールアルカンスルホネート(特にC6−10アリール−C1−2アルカンスルホネート);2,6−ジニトロベンジルトルエンスルホネート、ベンゾイントシレートなどのアリールベンゼンスルホネート(特にベンゾイル基を有していてもよいC6−10アリールトルエンスルホネート);2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルトルエンスルホネートなどのアラルキルベンゼンスルホネート類(特にベンゾイル基を有していてもよいC6−10アリール−C1−4アルキルトルエンスルホネート);ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類;ルイス酸塩(トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム メタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム ノナフルオロブタンスルホネートなどのトリアリールスルホニウム塩(特にトリフェニルスルホニウム塩)など)など]、ホスホニウム塩誘導体、ジアリールハロニウム塩誘導体[ジアリールヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム カンファスルホネート、ジフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシフェニル フェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネートなど)などのルイス酸塩など]、ジアゾニウム塩誘導体(p−ニトロフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのルイス酸塩など)、ジアゾメタン誘導体、トリアジン誘導体[1−メトキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ベンゼン、1,2−メチレンジオキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ナフタレンなどのハロアルキルトリアジニルアレーン、1−メトキシ−4−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼン、1,2−ジメトキシ−4−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼン、1−メトキシ−2−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼンなどのハロアルキルトリアジニルアルケニルアレーンなど]、イミジルスルホネ−ト誘導体[スクシンイミジル カンファスルホネート、スクシンイミジル フェニルスルホネート、スクシンイミジル トルイルスルホネート、スクシンイミジル トリフルオロメチルスルホネート、フタルイミジル トリフルオロスルホネート、ナフタルイミジル カンファスルホネート、ナフタルイミジル メタンスルホネート、ナフタルイミジル トリフルオロメタンスルホネート、ナフタルイミジル トルイルスルホネート、ノルボルネンイミジル トリフルオロメタンスルホネートなど]などが例示できる。
これらの感光剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
感光剤の割合は、感光性樹脂組成物の樹脂成分(前記フェノール樹脂、又は前記フェノール樹脂及び他の樹脂の総量)100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜8重量部(例えば、1〜5重量部)程度であってもよい。
前記感光性樹脂組成物は、組み合わせる他の樹脂や感光剤の種類などに応じて、ポジ型感光性樹脂組成物であってもよく、ネガ型感光性樹脂組成物であってもよい。例えば、他の樹脂として、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂(例えば、酸の作用により脱離可能な保護基で保護された親水性基を有する樹脂)を使用することにより、前記フェノール樹脂と、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂と、光酸発生剤とでポジ型感光性樹脂組成物を構成することができる。また、感光剤として光酸発生剤を使用する(さらには、必要に応じて、他の樹脂として、酸により硬化可能な熱硬化性樹脂又は前記フェノール樹脂の硬化剤として作用する熱硬化性樹脂を使用する)ことにより、ネガ型感光性樹脂組成物を構成することができる。
具体的な感光性樹脂組成物には、例えば、(1)前記フェノール樹脂と、酸の作用により架橋又は硬化可能な樹脂(メラミン樹脂など)と、光酸発生剤とで構成された感光性樹脂組成物(ポジ型又はネガ型感光性樹脂組成物、特にネガ型感光性樹脂組成物)、(2)前記フェノール樹脂と、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂(例えば、ヒドロキシル基が酸の作用により脱離可能な保護基(例えば、アルキル基など)により保護されたポリビニルフェノール系樹脂など)と、光酸発生剤とで構成された感光性樹脂組成物(ポジ型感光性樹脂組成物)、(3)前記フェノール樹脂[および必要に応じて他の樹脂(例えば、フェノール樹脂など)]と、キノンジアジド類とで構成された感光性樹脂組成物(ポジ型感光性樹脂組成物)などが含まれる。
これらの感光性樹脂組成物のうち、特に、前記フェノール樹脂と、酸の作用により架橋又は硬化可能な樹脂(例えば、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂)と、光酸発生剤とで構成された感光性樹脂組成物が好ましい。
なお、感光性樹脂組成物は、硬化剤又は硬化促進剤(例えば、前記例示の硬化剤など)を含んでいてもよい。また、感光性樹脂組成物は、前記例示の添加剤を含んでいてもよい。
さらに、感光性樹脂組成物は、塗布性などの作業性を改善するため、溶媒を含む組成物(コーティング組成物)であってもよい。溶媒としては、前記例示の溶媒を使用できる。溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。溶媒の使用量は、特に制限されず、例えば、感光性樹脂組成物の固形分1重量部に対して、例えば、0.1〜30重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部程度であってもよい。
前記感光性樹脂組成物は、高感度、高解像度であり、また、前記のように、耐熱性や耐エッチング性に優れたパターンを得るのに有用である。そのため、本発明には、前記感光性樹脂組成物で形成されたパターンも含まれる。このような前記感光性樹脂組成物で形成されたパターンは、前記感光性樹脂組成物で形成された感光層に、慣用のリソグラフィー技術を適用して形成できる。
感光層は、前記感光性樹脂組成物を基板(又は基体)に適用(塗布又は被覆)することにより形成できる。基板としては、パターンの特性や用途に応じて、金属(アルミニウムなど)、ガラス、セラミックス(アルミナ、銅ドープアルミナ、タングステンシリケートなど)、プラスチックなどで形成された基板、シリコンウェハーなどの半導体基板などが挙げられる。
基体(基板)は、用途に応じて、感光層との密着性を向上させるため、予め、表面処理してもよい。表面処理には、例えば、シランカップリング剤(重合性基を有する加水分解重合性シランカップリング剤など)などによる表面処理、アンカーコート剤又は下地剤(ポリビニルアセタール、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂など)、又はこれらの下地剤と無機微粒子との混合物によるコーティング処理などが含まれる。
感光層は、レジスト層の少なくとも表面に形成してもよい。感光層の構造は、パターン形成プロセスや回路構造などに応じて選択でき、単層構造や多層構造(又は積層、複合構造)であってもよい。
感光層の厚みは、特に制限されず、例えば、0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.08〜2μm程度の範囲から選択でき、通常、0.09〜1μm(例えば、0.1〜0.7μm)程度であってもよい。
前記感光層は、慣用のコーティング方法、例えば、スピンコーティング法、ディッピング法、キャスト法などにより行うことができる。なお、感光性樹脂組成物を基板に塗布した後、乾燥により溶媒を蒸発させてもよい。溶媒の除去は、例えば、ホットプレートなどの加熱手段を利用して、ソフトベーク(プリベーク)などにより行ってもよい。
前記パターン(特に微細なパターン)は、露光,現像やエッチングなどを組み合わせた慣用のリソグラフィー技術を利用して行うことができる。例えば、前記感光性樹脂組成物を基板に塗布して感光層を形成し、この感光層を露光し、必要に応じて加熱処理し、さらに現像することによりパターンを形成できる。特に、光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物では、露光により発生した酸を効率よく拡散させるため、露光後、加熱処理(露光後ベーク(ポストベーク又はポストエクスポージャーベーク,PEB)など)するのが好ましい。また、現像によりパターンニングした後、プラズマ処理(酸素プラズマなど)によりエッチング処理をしてもよい。
感光層に対する露光は、慣用の方法、例えば、所定のマスクを介して光線をパターン照射又は露光することにより行うことができる。光線としては、感光性樹脂組成物の感光特性、パターンの微細度、アルカリ可溶性樹脂の種類などに応じて種々の光線(活性光線)、例えば、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、UVランプなどの光線;g線(436nm)、i線(365nm)、エキシマーレーザー(例えば、XeCl(308nm)、KrF(248nm)、KrCl(222nm)、ArF(193nm)、ArCl(172nm)、F2(157nm)など),電子線(EB)、EUV(13nm)、X線などの放射線などが利用でき、単一波長であっても、複合波長であってもよい。特に、KrF(248nm)、ArF(193nm)、F2(157nm)などのエキシマーレーザーが有利に利用できる。
なお、露光エネルギーは感光性樹脂組成物の感光特性(溶解性など)などに応じて選択でき、露光時間は、通常、0.005秒〜10分、好ましくは0.01秒〜5分、さらに好ましくは0.1秒〜3分程度の範囲から選択できる。
加熱(プリベーク及びPEB)の温度は、50〜150℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜130℃程度であってもよく、加熱時間は、30秒〜5分、好ましくは1〜2分程度である。
パターン露光の後、慣用の方法で現像することにより解像度の高いパターンを形成できる。現像には、感光性樹脂組成物の種類に応じて種々の現像液(水、アルカリ水溶液など)が使用できる。好ましい現像液は水又はアルカリ現像液であり、必要であれば、少量の有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、セロソルブ類、セロソルブアセテート類などの親水性又は水溶性溶媒)や界面活性剤などを含んでいてもよい。現像法も特に制限されず、例えば、パドル(メニスカス)法、ディップ法、スプレー法などが採用できる。
なお、前記プリベーク及びPEBのみに限らず、感光性樹脂組成物の塗布から現像に至る工程のうち適当な工程で、塗膜(感光層)を適当な温度で加熱又は硬化処理してもよい。例えば、現像後などにおいて、必要により加熱処理してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例において、分子量およびガラス転移温度は以下のようにして測定した。
(分子量の測定)
試料(フェノール樹脂)を含むテトラヒドロフラン溶液(約5重量%溶液)を作成し、ゲル透過型クロマトグラフ(TOSOH製、「HLC−8020」)により、40℃の測定条件下、ポリスチレン換算で、重量平均分子量(Mw)を測定した。
(ガラス転移温度の測定)
示差走査熱量計(DSC、SII製、「DSC6220」)により、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
(耐ドライエッチング性の評価方法)
リアクティブイオンエッチング装置(サムコ(株)製、ロードロック式RIE装置)を用いて、以下の条件でエッチングを行った。
装置:SAMCO ロードロック式RIE装置
Model RIE 200−L
気体:O2:SF6=5:30(sccm)
圧力:6Pa
出力:150W/24cmφ
時間:3min
そして、エッチングにより消失した膜の厚み(nm)をエッチング時間(分)で除した値を、耐ドライエッチング性[又はエッチング速度(nm/分)]として表示した。この値が小さいほど耐ドライエッチング性が高いことを示す。
(実施例1)
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製)454重量部と、p−ホルムアルデヒド86重量部と、溶媒としての水840重量部およびメタノール120重量部と、アルカリとしての水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)104重量部とを混合し、50℃にて攪拌しながら6時間反応させた。
得られた反応物の1H−NMRにより分析したところ、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチロール−5−メチルフェニル)フルオレンであることを確認した。
以下に、得られた反応物の1H−NMRスペクトルデータを示す。
1H−NMR(CDCl3,d): 2.0ppm[6H(CH3)]、4.55ppm[4H(メチロール基のメチレン基の水素)]、4.95ppm[2H(メチロール基のヒドロキシル基の水素)]、6.6〜6.7ppm[2H(フルオレンの9位に置換したベンゼン環の2位の水素)]、6.8〜6.9ppm[2H(フルオレンの9位に置換したベンゼン環の6位の水素)]、7.1〜7.4ppm[6H(フルオレンの2〜4位および5〜7位の水素)]、7.7ppm[2H(フルオレンの1位および8位の水素)]、8.2ppm[2H(フェノール性ヒドロキシル基の水素)]。
得られた反応物に、メチルイソブチルケトン840重量部および35%塩酸100重量部を添加した後、さらに、オルトクレゾール130重量部とシュウ酸2重量部とを加え、90℃にて攪拌しながら6時間反応させた。引き続き、中和および抽出により不純物を除去し、ろ過して得られた反応物を乾燥することで、目的とするフェノール樹脂(ノボラック型フェノール樹脂)400重量部を得た。得られたフェノール樹脂の重量平均分子量Mwを測定したところ、4,328であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。また、GPCチャートから算出された重量平均分子量1000以下の成分の割合は、10重量%以下であった。さらに、得られたフェノール樹脂のガラス転移温度(Tg)を測定した結果、126℃であり、耐熱性に優れた樹脂であることがわかった。
(実施例2)
実施例1において、オルトクレゾール130重量部に代えて、メタクレゾール130重量部を使用した以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂を得た。得られたフェノール樹脂の重量平均分子量Mwを測定したところ、7,533であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.8であった。また、GPCチャートから算出された重量平均分子量1000以下の成分の割合は、10重量%以下であった。さらに、得られたフェノール樹脂のガラス転移温度(Tg)を測定した結果、166℃であり、耐熱性に優れた樹脂であることがわかった。
(実施例3)
実施例1において、オルトクレゾール130重量部に代えて、パラクレゾール130重量部を使用した以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂を得た。得られたフェノール樹脂の重量平均分子量Mwを測定したところ、6,079であり、分子量分布(Mw/Mn)は6.4であった。また、GPCチャートから算出された重量平均分子量1000以下の成分の割合は、10重量%以下であった。さらに、得られたフェノール樹脂のガラス転移温度(Tg)を測定した結果、155℃であり、耐熱性に優れた樹脂であることがわかった。
(実施例4)
実施例1において、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン454重量部を6,6’−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール)(大阪ガスケミカル株式会社製、「ビスナフトールフルオレン」)540重量部に代えた以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂を得た。得られたフェノール樹脂の重量平均分子量Mwを測定したところ、5,215であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.6であった。また、GPCチャートから算出された重量平均分子量1000以下の成分の割合は、10重量%以下であった。さらに、得られたフェノール樹脂のガラス転移温度(Tg)を測定した結果、184℃であり、耐熱性に優れた樹脂であることがわかった。
(比較例1)
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製)454重量部と、オルトクレゾール130重量部と、p−ホルムアルデヒド86重量部と、溶媒としての水840重量部およびメタノール120重量部と、シュウ酸2重量部とを加え、50℃にて攪拌しながら6時間反応させた。引き続き、中和および抽出により不純物を除去し、ろ過して得られた反応物を乾燥することで、生成物を得た。得られた生成物の重量平均分子量Mwを測定したところ、308であり、分子量分布は1.07であった。さらに、得られた生成物のガラス転移温度(Tg)を測定した結果、219℃であり、ほぼ9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンの融点であることがわかった。
(比較例2)
比較例1において、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンに代えて、ビスフェノールAを用いた以外は、比較例1と同様にしてフェノール樹脂(ノボラック型フェノール樹脂)を得た。得られたフェノール樹脂の重量平均分子量Mwを測定したところ、21,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は13.1であった。さらに、得られたフェノール樹脂のガラス転移温度(Tg)を測定した結果、93℃であり、耐熱性が低い樹脂であることがわかった。
実施例および比較例の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、フェノール性水酸基を有するフルオレン類を原料としたノボラック型フェノール樹脂を高分子量で合成するためには、2段反応を採用する必要があることがわかった。さらに、フェノール性水酸基を有するフルオレン類を原料とすることで、耐熱性に優れたノボラック型フェノール樹脂が得られることがわかった。
(比較例3)
メタクレゾール(MCR)70重量部、パラクレゾール(PCR)30重量部、p−ホルムアルデヒド77重量部、水300重量部およびメタノール60重量部と、アルカリとしての水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)51重量部とを混合し、50℃にて攪拌しながら6時間反応させ、汎用のノボラック型フェノール樹脂(Mw=4899)を調製した。そして、得られた汎用ノボラック型フェノール樹脂100重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(東京化成製)1000重量部に溶解し、コーティング組成物を得た。洗浄したシリコンウェハーをヘキサメチルジシラザンで処理した後、スピンコーターを用いて調製したコーティング組成物を乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、ホットプレートにて100℃で5分間加熱した。次いで、180℃で20分間加熱し、膜を得た。このようにして得られた膜のエッチング速度を測定した結果、36.3nm/分であった。
(実施例5)
汎用ノボラック型フェノール樹脂100重量部に代えて実施例1で得られたノボラック型フェノール樹脂100重量部を用いた以外は比較例3と同様に膜を作製し、耐エッチング性能を測定した結果、エッチング速度は30.9nm/分であった。比較例3で得られた膜のエッチング速度を100としたときのエッチング速度(以下、エッチングレートという)は、85(30.9÷36.3×100)であり、汎用ノボラック型フェノール樹脂と比較してエッチング耐性に優れることがわかった。
(実施例6)
汎用ノボラック型フェノール樹脂100重量部に代えて実施例2で得られたノボラック型フェノール樹脂100重量部に変更した以外は比較例3と同様に膜を作製し、耐エッチング性能を測定した結果、エッチング速度は27.6nm/分であった。エッチングレートは76であり、汎用ノボラック型フェノール樹脂と比較して極めてエッチング耐性に優れることがわかった。
(実施例7)
汎用ノボラック型フェノール樹脂100重量部に代えて実施例3で得られたノボラック型フェノール樹脂100重量部に変更した以外は比較例3と同様に膜を作製し、耐エッチング性能を測定した結果、エッチング速度は33.8nm/分であった。エッチングレートは93であり、汎用ノボラック型フェノール樹脂と比較してエッチング耐性に優れることがわかった。
(実施例8)
汎用ノボラック型フェノール樹脂100重量部に代えて実施例4で得られたノボラック型フェノール樹脂100重量部に変更した以外は比較例3と同様に膜を作製し、耐エッチング性能を測定した結果、エッチング速度は25.8nm/分であった。エッチングレートは71であり、汎用ノボラック型フェノール樹脂と比較してエッチング耐性に優れることがわかった。
エッチング速度およびエッチングレートの結果をまとめた表を以下の表2に示す。
(比較例4)
比較例3で得られた汎用ノボラック型フェノール樹脂100重量部、架橋剤としての下記式(A)で表される化合物(メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、アメリカン・シアナミド社製、商品名cymel303)25重量部、および光酸発生剤としての下記式(B)で表される化合物(トリアジン系光酸発生剤、みどり化学製、TAZ−107)3重量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(東京化成製)1000重量部に溶解させ、感光性樹脂組成物を得た。
洗浄したシリコンウェハーをヘキサメチルジシラザンで処理した後、スピンコーターを用いて調製した感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、ホットプレートにて100℃で1分間加熱した。次いで、248nm(KrFエキシマーレーザー)の露光波長を有する縮小投影露光機(キヤノン(株)製、FPA−3000EX5,NA=0.63)を用いて、線幅の異なるラインアンドスペースパターンを有するテストマスクを介して、露光量を段階的に変化させて露光した。このウェハーをホットプレートにて120℃で2分間加熱した後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で1分間パドル現像してネガ型パターンを得た。このようにして得られた膜のエッチング速度を測定した結果、露光部のエッチング速度は44.8nm/分であり、未露光部のエッチング速度は46.3nm/分であった。
(実施例9)
汎用ノボラック型フェノール樹脂100重量部に代えて実施例1で得られたノボラック型フェノール樹脂100重量部を使用した以外は比較例4と同様にエッチングパターンを作製し、エッチング速度を測定した結果、露光部のエッチング速度は40.0nm/分であり、未露光部のエッチング速度は40.3nm/分であった。比較例4で得られた膜のエッチング速度(露光部又は未露光部)を100としたときのエッチング速度(以下、エッチングレートという)は、露光部で89、未露光部で87であり、汎用ノボラック型フェノール樹脂と比較してエッチング耐性に優れることがわかった。
(実施例10)
汎用ノボラック型フェノール樹脂100重量部に代えて実施例2で得られたノボラック型フェノール樹脂100重量部に変更し、溶媒をシクロヘキサノンに変更した以外は比較例4と同様にエッチングパターンを作製し、エッチング速度を測定した結果、露光部のエッチング速度は39.1nm/分(エッチングレートは87)、未露光部のエッチング速度は41.0nm/分(エッチングレートは89)であり、汎用ノボラック型フェノール樹脂と比較してエッチング耐性に優れることがわかった。
(実施例11)
汎用ノボラック型フェノール樹脂100重量部に代えて実施例3で得られたノボラック型フェノール樹脂100重量部に変更した以外は比較例4と同様にエッチングパターンを作製し、エッチング速度を測定した結果、露光部のエッチング速度は40.3nm/分(エッチングレートは90)、未露光部のエッチング速度は38.0nm/分(エッチングレートは82)であり、汎用ノボラック型フェノール樹脂と比較してエッチング耐性に優れることがわかった。
(実施例12)
汎用ノボラック型フェノール樹脂100重量部に代えて実施例4で得られたノボラック型フェノール樹脂100重量部に変更した以外は比較例4と同様にエッチングパターンを作製し、エッチング速度を測定した結果、露光部のエッチング速度は36.9nm/分(エッチングレートは82)、未露光部のエッチング速度は38.2nm/分(エッチングレートは82)であり、汎用ノボラック型フェノール樹脂と比較してエッチング耐性に優れることがわかった。
エッチング速度およびエッチングレートの結果をまとめた表を以下の表3に示す。