JP4112438B2 - 画像形成用トナー、およびそれを用いた画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ - Google Patents
画像形成用トナー、およびそれを用いた画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成用トナー、該トナーを用いる画像形成方法、該トナーを装填した画像形成装置、および該トナーを保持したプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
1.電子写真方法(画像形成方法)の状況
複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機等に応用されている電子写真方法は、少なくとも電子写真感光体に帯電、露光、現像の工程を経た後、転写媒体にトナー画像の転写し、定着し、転写媒体上に安定画像を得る方法である。ここで、転写工程を終えた電子写真感光体は表面の残トナーをクリーニングする工程を経て、一連の画像形成動作が完了し、次の繰返し使用に供される。この電子写真方法の最大の特徴は、刷版である感光体が繰返し使用できることであり、面倒な製版工程が不要なことである。
この特徴故に電子写真方法を使用した複写機は利便性の高い簡易印刷機として、広くオフィスの事務作業に受け入れられてきた。更に、近年パーソナルコンピュータの技術が進展した結果、この出力装置として小型化され低コスト化された電子写真方法を用いたレーザープリンタがオフィスに進出した。
オフィスのみならず、画像を手軽に出力したいという要求は自然であり、現在では電子写真方法を用いたレーザープリンタの高精細化、安定化、安全性の向上がこの方面の最大の開発目標になっている。
【0003】
2.トナーの状況
前記電子写真方法にて、静電潜像を可視化する為に現像剤を用いる。現像剤としては、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる一成分現像剤とトナーとキャリアからなる二成分現像剤がある。この様な現像剤に用いられる電子写真用トナーは、通常、熱可塑性樹脂を、顔料、必要に応じてワックス等の離型剤や帯電制御剤と共に溶融混練した後、微粉砕し、分級する混練粉砕法により製造されている。この様にして得られるトナーに、必要ならば、流動性やクリーニング性を改善する為に、無機又は有機の微粒子をトナー粒子表面に添加することが行わ
れる。
【0004】
近年ではカーボンブラックに変わる着色剤として、安全性が高く、熱伝導性の良い黒色金属化合物微粉末を用いる試みが提案されている。特許第2736680号公報(特許文献1)では平均粒径0.1〜0.5μmのFe2TiO5とFe2O3−FeTiO3固溶体との混合物が、特許第3101782号公報、特許第3108823号公報、特許第3174960号公報ではFeOを25〜30%含有した磁性酸化鉄が、特許第3224774号公報、特許第3261088号公報では残留磁化6emu/g以下のマグネタイトが、特開2000−319021号公報には内部にTi、表面にTiとFeからなる酸化鉄粒子が、特開2002−129063号公報では飽和磁化0.5〜10emu/g、粒径0.1〜0.4μm、Fe2TiO4で被覆されたルチル型TiO2混合相結晶が、特開2002−189313号公報では飽和磁化30emu/g以下、誘電損率50以下の金属化合物が、特開2002−196528号公報では飽和磁化40emu/g以下、含有量20重量部以下の金属化合物が考案されている。
【0005】
しかしながら、これらの黒色金属化合物をカーボンブラックと差し替えて用いるだけでは、着色剤のトナー中での分散が十分でない。そのため、着色剤凝集体が生成されてしまい、着色剤の比表面積が減少し、カーボンブラックと同等レベルの黒色度を得るために必要な、黒色金属化合物のパフォーマンスを十分に発揮させることは難しい。また、不十分な分散のために、トナーの抵抗値が低下してしまい、帯電性が悪化するという欠点もある。
【0006】
【特許文献1】
特許第2736680号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、カーボンブラックに代わる安全な着色剤を用い、カーボンブラックを使用したトナーと同等レベルの黒色度を発揮する画像形成用トナー、及び該トナーを用いる画像形成方法を提供することを目的とする。
また本発明は、上記トナーを装填した画像形成装置、及び上記トナーを保持したプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、本発明によれば上記課題は下記(1)〜(10)によって解決される。
(1)少なくとも着色剤、結着樹脂、及び離型剤を含有する画像形成用トナーにおいて、該着色剤としてpHが7〜12である黒色酸化鉄化合物を用い、少なくとも1種類の結着樹脂の酸価が20〜45mgKOH/gであることを特徴とする画像形成用トナー。
(2)前記黒色酸化鉄化合物がチタン成分をTi原子換算でFe原子に対して10〜45重量%含有することを特徴とする(1)に記載の画像形成用トナー。
(3)前記少なくとも1種の結着樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成用トナー。
(4)前記酸価が20〜45mgKOH/gである結着樹脂の水酸基価が5〜50mgKOH/gであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
(5)前記黒色酸化鉄化合物の平均1次粒子径が0.05〜2.0μmであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
(6)前記トナーの飽和磁価σsが0.5〜30emu/gであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
(7)前記トナーの重量平均粒径が3〜10μmであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
(8)少なくとも着色剤、結着樹脂、及び離型剤を含有する画像形成用トナーを用いて転写媒体上にトナー画像を形成する画像形成方法において、該トナーとして(1)〜(7)のいずれかに記載の画像形成用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
(9)少なくとも感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段を具備する画像形成装置において、画像形成用トナーとして(1)〜(7)のいずれかに記載の画像形成用トナーを装填したことを特徴とする画像形成装置。
(10)感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも現像手段を含む手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、該現像手段は画像形成用トナーを保持し、該トナーが(1)〜(7)のいずれかに記載の画像形成用トナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を更に詳細に説明する。
本発明者らは、本発明の課題を解決するために鋭意検討し、カーボンブラックに代わる安全な着色剤としてpHが7〜12の黒色酸化鉄化合物を用い、酸価が20〜45mgKOH/g以上の結着樹脂を用いることで、黒色金属化合物をトナー中に十分に分散することが可能であることを見出した。着色剤である黒色金属化合物の分散を良くすることで、着色剤凝集に起因する着色剤の比表面積の減少で黒色度が低下することを防ぐことができ、着色剤としてのパフォーマンスを十分に発揮させることが可能となり、結果として黒色度を向上させることができ、また、黒色金属化合物の凝集体を減少させることでトナーの抵抗値の低下を防ぎ、帯電性の悪化を防ぐことができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明のトナーは、少なくとも1種類の結着樹脂の酸価が8mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上であることが、黒色酸化鉄化合物着色剤の分散と、紙/樹脂間の親和性の両立という観点から好ましい。一方、耐ホットオフセット性を向上させるには、酸価は45mgKOH/g以下であることが重要である。
さらに、結着樹脂の水酸基価についていうならば、低温定着性を達成し、なおかつ良好な帯電特性を達成させるためにも、水酸基価は0〜50mgKOH/gが好ましく、より好ましくは5〜50mgKOH/gである。
尚、酸価、水酸基価の測定は、JIS K−0070の測定法に沿って行った。
【0011】
樹脂成分としてはポリエステル樹脂を含有することが好ましい。ポリエステル樹脂は一般的に他の樹脂に比べ、耐熱保存性を維持したまま低温定着が可能であるため、トナーとしての使用に適した結着樹脂である。
【0012】
本発明で用いられるポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合によって得られる。使用されるアルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1,4−ビス(ヒドロキシメタ)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。また、カルボン酸成分としては、例えばマレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。ポリエステル樹脂のTgは58〜75℃が好ましい。
ポリエステル樹脂の使用量は、結着樹脂100重量部の内の30重量部以上が好ましい。30重量部未満の場合、耐熱保存性と低温定着性の両立が難しくなる。
【0013】
本発明のトナーの結着樹脂にはポリエステル樹脂以外の他の樹脂も使用可能である。本発明に用いられる他の樹脂としては、従来公知の樹脂が使用される。例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、石油樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂などが挙げられる。
また、これら樹脂の製造方法も特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合いずれも使用できる。
【0014】
本発明のトナーは、着色剤である黒色酸化鉄化合物のpHを7〜12とすることで、結着樹脂の酸価との組み合わせにより特に良好な分散性を示す。
pHが7未満、もしくは12より大きいと、着色剤の分散が悪くなり、結着樹脂中に着色剤の凝集体が目立つようになる。結着樹脂中における着色剤の凝集体の発生は、最終的に得られるトナーの抵抗率を低減させ、トナーの帯電性を悪化させることから好ましくない。また、着色剤が凝集することにより、トナーの着色に有効な着色剤表面積が小さくなり、該トナーにて作像した画像の黒色度を低減させてしまうことから好ましくない。
尚、pHの測定はJIS Z−8802の測定法に沿って行った。
【0015】
着色剤として用いる黒色酸化鉄化合物は、チタン成分をTi原子換算でFe原子に対して10〜45重量%含有すること、また構造としては、Fe2O3−FeTiO3固溶体を含有する多結晶粒子粉末であることが、黒色でありかつ磁性が弱いという点から好ましい。
【0016】
本発明に係る黒色酸化鉄化合物は、例えば、粒子表面をチタン化合物で被覆したマグネタイト粒子粉末、マグネタイト粒子粉末とチタン化合物との混合粉末又は粒子表面をチタン化合物で被覆したヘマタイト粒子粉末を還元して得られた還元粉末のそれぞれを非酸化性雰囲気下700℃以上の温度で加熱焼成した後粉砕する方法によって得られる。粒子表面をチタン化合物で被覆したマグネタイト粒子粉末を原料として用いる場合には、磁化値が小さい粒子が得られやすく非磁性という点から好ましい方法である。
【0017】
マグネタイト粒子粉末、ヘマタイト粒子粉末としては、粒状、球状、針状等いかなる形態の粒子でもよく、また、大きさは0.03〜1.5μm程度の粒子を使用することができる。
原料粒子のサイズと生成物粒子のサイズは、相関であり、小さいサイズの原料粒子を用いると小さいサイズの生成物粒子が、大きいサイズの原料粒子を用いると大きいサイズの生成物粒子が得られる傾向にある。
【0018】
チタン化合物としては、チタンの含水酸化物、水酸化物、酸化物のいずれをも使用することができる。マグネタイト粒子粉末と混合する場合には水溶性のチタン化合物を用いるのが好ましい。チタン化合物の量は、チタン成分をTi原子換算でFe原子に対して10〜45重量の範囲が好ましい。10重量%未満の場合には、得られる黒色顔料粒子粉末の磁化値が大きくなりトナーの現像能力が低下し、画像濃度が低くなる。一方、45重量%を超える場合には非磁性の黒色顔料粒子粉末が得られるが、TiO2の生成量が多くなるためL値(明度)が高くなりトナー着色力が低下する。
Ti原子換算でFe原子に対する比率は蛍光X線分析装置を使用し、得られたメインピークの比率により求めることができる。
【0019】
黒色酸化鉄化合物の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常5〜45重量部、好ましくは10〜30重量部である。
5重量部未満の場合、トナーの着色力が不十分となり、トナーが赤味を帯びた色になる。また、定着温度が充分に低下しない。45重量部より多い場合は、トナーの比重が大きくなりすぎて、現像能力が低下する。
【0020】
本発明では、トナーの飽和磁化σsは0.5〜30emu/gであることが好ましい。
トナーの飽和磁化が30emu/gを超える場合、磁気スリーブ、磁気ブラシなどの磁石を内蔵したトナー担持体との保持力が強くなり、感光体への現像性が悪化する。0.5emu/g未満の場合は、トナー担持体との保持力が弱くなり、トナー飛散、地汚れが悪化する。
トナーの飽和磁化の測定は、理研電子(株)製の磁化測定装置BHU−60を用い、内径7mmφ、高さ10mmのセルに充填したトナーに、磁界を10kOeまで掃引した際の履歴曲線から求めることができる。
【0021】
本発明では、トナー中に含有する黒色酸化鉄化合物の平均1次粒径は、着色剤として有効な比表面積を得るため2.0μm以下が好ましく、トナー中での分散性の観点から0.05μm以上が好ましい。さらに好ましくは0.1〜0.5μm範囲にあることが特に好ましい。
黒色酸化鉄化合物の平均1次粒子径は、日立透過型電子顕微鏡H−9000による電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示したものである。
【0022】
本発明では、トナーの黒色度を示す指標として、CIE1976(L*、a*、b*)均等知覚色空間の明度L*値が9〜20、a*およびb*がいずれも−2.0〜3.0の範囲内にあることが好ましい。L*値が20を超える場合は、明度が高くなり、黒色度が低下してしまう。a*値、b*値がについては、いずれかが−2.0〜3.0の範囲から外れてしまうと、色空間で黒色より遠ざかる方向になり、黒色度が低下してしまう。
【0023】
本発明では、トナーの重量平均粒径(Dw)は3〜10μmであることが好ましい。
この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。
重量平均粒径(Dw)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。
一方、重量平均粒径(Dw)が10μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。
【0024】
トナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(Dw)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。
【0025】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0026】
本発明では、ワックス成分としてカルナウバワックス及びまたはライスワックス及びまたはエステルワックスを含有することが好ましい。
カルナウバワックスはカルナウバヤシの葉から得られる天然のワックスであるが、特に遊離脂肪酸脱離した低酸価タイプのものが結着樹脂中に均一分散が可能であるので好ましい。
ライスワックスは米糠から抽出される米糠油を精製する際に、脱ろうまたはウィンタリング工程で製出される粗ろうを精製して得られる天然ワックスである。
エステルワックスは単官能直鎖脂肪酸と単官能直鎖アルコールからエステル反応で合成される。
また、本発明では、カルナウバワックス、ライスワックス、合成エステルワックスの他のワックス成分も使用可能である。例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等のようなポリオレフィンワックスなどである。
これらのワックス成分は単独または併用して使用される。ワックス成分の添加量は、結着樹脂100重量部に対して、通常0.5〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。
【0027】
本発明のトナーにおいては、極性を制御するために、荷電制御剤を配合することが可能である。この場合の荷電制御剤としては、例えばニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、アミノ基含有のポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸の錯化合物、フェノール化合物などが挙げられる。
【0028】
本発明のトナーの製造方法は、粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等の従来公知の方法が適用できる。例えば、粉砕法によって製造するのであれば、樹脂成分、着色剤、ワックス成分、その他場合によっては荷電制御剤等をミキサー等を用いて混合し、熱ロール、エクストルーダー等の混練機を用い混練した後、冷却固化し、これをジェットミル等の粉砕で粉砕し、その後分級して得ることができる。
【0029】
上記トナーには必要に応じてその他、添加剤を添加する事も可能である。添加剤としては、シリカ、酸化アルミニウム類、酸化チタン類を例示することができる。高流動性を付与する事を主目的する場合には、例えば疎水化処理シリカあるいはルチル型微粒子酸化チタンとして平均一次粒径が0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.1μmの範囲ものから適宜選択でき、特に有機シラン表面処理シリカあるいはチタニアが好ましく、トナーに対して通常0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜2重量%の割合で使用される。
【0030】
また、例えば本発明のトナーを二成分系乾式トナーとして使用する場合に混合して使用するキャリアとしては、ガラス、鉄、フェライト、ニッケル、ジルコン、シリカ等を主成分とする、粒径30〜1000μm程度の粉末、または、該粉末を芯材としてスチレン−アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂等をコーティングしたものから適宜選択して使用可能である。
【0031】
本発明のトナー装填した画像形成装置について説明する。感光体が所定の周速度で回転駆動される。感光体は回転過程において、帯電手段によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段からの画像露光光を受け、こうして感光体の周面に静電潜像が順次形成され、形成された静電潜像は、次いで現像手段によりトナー現像され、現像されたトナー像は、給紙部から感光体と転写手段との間に感光体の回転と同期されて給送された転写材に、転写手段により順次転写されていく。像転写を受けた転写材は感光体面から分離されて像定着手段へ導入されて像定着され、複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体の表面は、クリーニング手段によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更除電された後、繰り返し画像形成に使用される。
【0032】
本発明は、前記トナーを保持したプロセスカートリッジとすることもできる。該プロセスカートリッジは、画像形成装置に装着可能に構成されている。
図1に本発明の、前記トナーを保持するプロセスカートリッジを有する画像形成装置の概略構成を示す。
図1において、1はプロセスカートリッジ全体を示し、2は感光体、3は帯電手段、4は現像手段、5はクリーニング手段を示す。
本発明においては、感光体2、帯電手段3、現像手段4及びクリーニング手段5等の構成要素のうち、現像手段4を含む複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンター等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成する。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、部数はすべて重量部である。
【0034】
表1に実施例及び比較例で用いる着色剤の物性を示す。
【表1】
【0035】
表2に実施例及び比較例で用いる結着樹脂の物性を示す。
【表2】
【0036】
<実施例1>
結着樹脂1 70重量部
着色剤1 20重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 2重量部
低分子ポリプロピレン 3重量部
カルナウバワックス 5重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて混練し、粉砕、分級し重量平均粒径10.5μmとした後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ微粉末(R−972:クライアントジャパン製)0.3重量部を混合し、本発明のトナーを得た。
飽和磁化σsは44emu/gであった。
本トナーと、平均粒径80μmの球形フェライト粒子にシリコーン樹脂コートしたキャリアで、トナー濃度2.5重量部の現像剤を調整する。
【0037】
<実施例2>
実施例1において、着色剤1を着色剤2に変更した以外は実施例1と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは12.1emu/gであった。
【0038】
<実施例3>
実施例2において、結着樹脂1を結着樹脂2に変更した以外は実施例2と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは12.2emu/gであった。
【0039】
<実施例4>
実施例3において、結着樹脂2を結着樹脂3に変更した以外は実施例3と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは11.9emu/gであった。
【0040】
<製造例5>
実施例4において、着色剤2を着色剤3に変更した以外は実施例4と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは0.3emu/gであった。
【0041】
<実施例6>
実施例5において、着色剤3を着色剤4に変更した以外は実施例5と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは4.2emu/gであった。
【0042】
<実施例7>
実施例6において、粉砕、分級後の重量平均粒径を6.1μmとした以外は実施例6と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは12.1emu/gであった。
【0043】
<実施例8>
実施例4において、結着樹脂3を結着樹脂6に変更した以外は実施例4と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは13.1emu/gであった。
【0044】
<実施例9>
実施例8において、結着樹脂6を結着樹脂7に変更した以外は実施例9と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは10.5emu/gであった。
【0045】
<実施例10>
実施例9において、結着樹脂7を結着樹脂8に変更した以外は実施例9と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは12.5emu/gであった。
【0046】
<実施例11>
実施例10において、70重量部処方している結着樹脂8のうち、15重量部を結着樹脂1に置き換えた以外は実施例10と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは12.7emu/gであった。
【0047】
<比較例1>
実施例7において、結着樹脂3を結着樹脂4に変更した以外は実施例7と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは4.1emu/gであった。
【0048】
<比較例2>
実施例7において、結着樹脂3を結着樹脂5に変更した以外は実施例7と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは4.2emu/gであった。
【0049】
<比較例3>
実施例7において、着色剤4を着色剤5に変更した以外は実施例7と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは5.1emu/gであった。
【0050】
<比較例4>
実施例7において、着色剤4を着色剤6に変更した以外は実施例7と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは7.3emu/gであった。
【0051】
<比較例5>
実施例7において、着色剤4を着色剤7に変更した以外は実施例7と同様にトナーを作成した。
飽和磁化σsは0.2emu/gであった。
【0052】
実施例1〜11及び比較例1〜5で得られたトナーの評価結果を表3に示す。
【表3】
【0053】
各実施例及び比較例で作成したトナーの特性評価方法について以下に説明する。
(1)着色剤の分散性
トナー粒子中の着色剤の分散は、着色剤のトナー中における凝集体の大きさを観察することによって行った。具体的には、トナーを超薄切片化し、日立製作所(株)社製透過型電子顕微鏡H−800で5000〜20000倍に拡大した写真画像を用い、分散状態を確認した。
○:凝集体が確認されない
□:直径が0.5μm未満の凝集体が確認される
×:直径が0.5μm以上の凝集体が確認される
【0054】
(2)画像の黒色度
トナーによって作像された画像の黒色度は、X−Rite社製X−Rite938にて、紙上に0.5mg/cm2の面積密度で形成したベタ画像のL*、a*、b*を測定し、L*、a*、b*のそれぞれの値を総合的に判断することで求めた。
◎:十分に黒色である
○:黒色である
□:黒色として許容である
△:やや許容から外れる
×:黒色として適さない
【0055】
(3)帯電性
トナーを用いた現像剤を内径25mm、長さ35mmの円筒形ステンレス容器に入れ、ボールミル架台上で容器を280rpmで回転させて混合し、帯電させる。一定時間攪拌した後に全量を取り出しブローオフ法により帯電量(μC/g)を求めた。
◎:−25μC/g以上に負極帯電性が大(実用に十分適している)
○:−20μC/g〜−25μC/g未満(実用に適している)
□:−15μC/g〜−20μC/g未満(許容できる)
△:−10μC/g〜−15μC/g未満(やや許容から外れる)
×:−10μC/gより負極帯電性が小(実用に適さない)
【0056】
(4)定着性評価
定着ローラーとしてテフロンローラーを使用した(株)リコー製複写機 MF2200定着部を改造した装置を用いて、これにリコー製のタイプ6200紙をセットし複写テストを行った。
定着温度を変化させてコールドオフセット温度(定着下限温度)とホットオフセット発生温度(耐ホットオフセット温度)を求めた。従来の低温定着トナーの定着下限温度は140〜150℃程度である。尚低温定着の評価条件は、紙送りの線速度を120〜150mm/sec、面圧1.2Kgf/cm2、ニップ幅3mm、高温オフセットの評価条件は紙送りの線速度を50mm/sec、面圧2.0Kgf/cm2、ニップ幅4.5mmと設定した。
各特性評価の基準は以下の通りである。
▲1▼ 耐ホットオフセット性(5段階評価)
◎:200℃以上
○:200℃未満〜190℃以上
□:190℃未満〜180℃以上
△:180℃未満〜170℃以上
×:170℃未満
▲2▼ 低温定着性(5段階評価)
◎:130℃未満
○:130℃以上〜140℃未満
□:140℃以上〜150℃未満
△:150℃以上〜160℃未満
×:160℃以上
【0057】
(5)画像評価
10万枚ランニング出力をした後の画像サンプルを見て、地カブリ、中間調画像での白スジや黒スジ、濃淡ムラ等の感光体劣化による画像欠陥の有無及び、画像濃度、細線再現性、画像の鮮やかさ等を調べ、それらを総合的に判断した。
◎:特に優れる
○:優れる
□:許容
△:やや劣る
×:劣る
【0058】
【発明の効果】
本発明により、カーボンブラックに代わる安全な着色剤を用い、カーボンブラックを使用したトナーと同等レベルの黒色度を発揮する画像形成用トナー、及び該トナーを用いる画像形成方法を提供することができる。
また、上記トナーの利点を発揮させることのできる画像形成装置、及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーを保持するプロセスカートリッジを装着した画像形成装置の概略図である。
Claims (9)
- 少なくとも着色剤、結着樹脂、及び離型剤を含有する画像形成用トナーにおいて、該着色剤としてpHが7〜12であり、かつチタン成分を T i原子換算で F e原子に対して10〜45重量%含有する黒色酸化鉄化合物を用い、少なくとも1種類の結着樹脂の酸価が20〜45mgKOH/gであり、前記トナーの飽和磁化σsが0.5〜30emu/gであることを特徴とする画像形成用トナー。
- 前記少なくとも1種類の結着樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成用トナー。
- 前記酸価が20〜45 mg KOH/gである結着樹脂の水酸基価が5〜50 mg KOH/gであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか記載の画像形成用トナー。
- 前記黒色酸化鉄化合物の平均1次粒子径が0.05〜2.0μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 前記トナーの飽和磁化σsが4.2〜30emu/gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 前記トナーの重量平均粒径が3〜10μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 少なくとも着色剤、結着樹脂、及び離型剤を含有する画像形成用トナーを用いて転写媒体上にトナー画像を形成する画像形成方法において、該トナーとして請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
- 少なくとも感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段を具備する画像形成装置において、画像形成用トナーとして請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成用トナーを装填したことを特徴とする画像形成装置。
- 感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも現像手段を含む手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、該現像手段は画像形成用トナーを保持し、該トナーが請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成用トナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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