JP2004179474A6 - レーザー照射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板処理の効率を高めることができるレーザー結晶化法を用いた半導体製造装置の提供を課題とする。
【解決手段】半導体膜のうち、パターニング後に基板上に残される部分をマスクに従って把握する。そして、少なくともパターニングすることで得られる部分を結晶化することができるようにレーザー光の走査部分を定め、該走査部分にビームスポットがあたるようにし、半導体膜を部分的に結晶化する。ビームスポットはスリットによって出力エネルギーの低い部分が遮蔽されている。本発明では、半導体膜全体にレーザー光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分が最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体膜をレーザー光を用いて結晶化又はイオン注入後の活性化をするレーザー照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、基板上にTFTを形成する技術が大幅に進歩し、アクティブマトリクス型の半導体表示装置への応用開発が進められている。特に、多結晶半導体膜を用いたTFTは、従来の非晶質半導体膜を用いたTFTよりも電界効果移動度(モビリティともいう)が高いので、高速動作が可能である。そのため、従来基板の外に設けられた駆動回路で行っていた画素の制御を、画素と同一の基板上に形成した駆動回路で行うことが可能である。
【0003】
ところで半導体装置に用いる基板は、コストの面から単結晶シリコン基板よりも、ガラス基板が有望視されている。ガラス基板は耐熱性に劣り、熱変形しやすいため、ガラス基板上にポリシリコンTFTを形成する場合には、ガラス基板の熱変形を避けるために、半導体膜の結晶化にレーザーアニールが用いられる。
【0004】
レーザーアニールの特徴は、輻射加熱或いは伝導加熱を利用するアニール法と比較して処理時間を大幅に短縮できることや、半導体又は半導体膜を選択的、局所的に加熱して、基板に殆ど熱的損傷を与えないことなどが挙げられている。
【0005】
なお、ここでいうレーザーアニール法とは、半導体基板又は半導体膜に形成された損傷層を再結晶化する技術や、基板上に形成された半導体膜を結晶化させる技術を指している。また、半導体基板又は半導体膜の平坦化や表面改質に適用される技術も含んでいる。適用されるレーザー発振装置は、エキシマレーザーに代表される気体レーザー発振装置、YAGレーザーに代表される固体レーザー発振装置であり、レーザー光の照射によって半導体の表面層を数十ナノ〜数十マイクロ秒程度のごく短時間加熱して結晶化させるものとして知られている。
【0006】
レーザーはその発振方法により、パルス発振と連続発振の2種類に大別される。パルス発振のレーザーは出力エネルギーが比較的高いため、ビームスポットの大きさを数cm以上として量産性を上げることができる。特に、ビームスポットの形状を光学系を用いて加工し、長さ10cm以上の線状にすると、基板へのレーザー光の照射を効率的に行うことができ、量産性をさらに高めることができる。そのため、半導体膜の結晶化には、パルス発振のレーザーを用いるのが主流となりつつあった。
【0007】
ところが近年、半導体膜の結晶化においてパルス発振のレーザーよりも連続発振のレーザーを用いる方が、半導体膜内に形成される結晶の粒径が大きくなることが見出された。半導体膜内の結晶粒径が大きくなると、該半導体膜を用いて形成されるTFTの移動度が高くなる。そのため、連続発振のレーザーはにわかに脚光を浴び始めている。
【0008】
しかし、一般的に連続発振のレーザーは、パルス発振のレーザーに比べてその最大出力エネルギーが小さいため、ビームスポットのサイズが10−3mm程度と小さい。そのため、1枚の大きな基板を処理するためには、基板におけるビームの照射位置を上下左右に移動させる必要があり、基板1枚あたりの処理時間が長くなる。よって、基板処理の効率が悪く、基板の処理速度の向上が重要な課題となっている。
【0009】
なお、複数のビームスポットを重ね合わせて合成し、1つのビームスポットとして用いることで、基板処理の効率を高める技術は、従来から用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】
特許第3221724号公報(第2頁、第11図)
【0011】
【特許文献2】
特開平4−282869号公報(第2−3頁、第1(a)図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した問題に鑑み、従来に比べて基板処理の効率を高めることができ、また半導体膜の移動度を高めることができるレーザー結晶化法を用いたレーザー照射装置の提供を課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のレーザー照射装置は、レーザー光を発振する複数の第1の手段(レーザー発振装置)と、前記複数のレーザー発振装置から発振されたレーザー光を集光し、なおかつ被処理物におけるビームスポットを互いに一部重ね合わせて合成する第2の手段(光学系)と、前記合成されたビームスポットの一部を遮蔽することができるスリットと、前記スリットを介して照射された、被処理物におけるビームスポットの位置を制御する第3の手段と、前記複数の各第1の手段の発振を制御し、なおかつ前記スリットを介して照射されたビームスポットがマスクの形状のデータ(パターン情報)に従って定められた結晶化させる領域を覆うように、前記複数のレーザー発振装置と前記第3の手段を同期させる第4の手段とを有している。
【0014】
なお、パターン情報に従って定められた結晶化させる領域とは、半導体膜のうち、結晶化後にパターニングすることで得られる部分であっても良いし、もしくはTFTのチャネル形成領域となる部分であっても良い。本発明では第4の手段において結晶化させる領域を把握し、少なくとも該領域にレーザー光が走査されるように、レーザー光の走査経路を定め、該走査経路に従ってビームスポットが移動するように第3の手段を制御する。つまり本発明では、半導体膜全体にレーザー光を照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分が最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができる。
【0015】
このように、本発明では半導体膜全体にレーザー光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分が最低限結晶化できるようにレーザー光を走査するので、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができる。よって、レーザー光照射にかかる時間を短縮化することができ、なおかつ基板の処理速度を向上させることができる。
【0016】
また複数のレーザー発振装置から発振されたレーザー光を合成することで、各レーザー光のエネルギー密度の弱い部分を補い合うことができる。さらにスリットを介すことで、合成されたビームスポットのうちエネルギー密度の低い部分を遮蔽することができるので、比較的均一なエネルギー密度のレーザー光を半導体膜に照射することができ、結晶化を均一に行うことができる。またスリットを設けることで、パターン情報によって部分的にビームスポットの幅を変えることができ、TFTの活性層のレイアウトにおける制約を小さくすることができる。なおビームスポットの幅とは、走査方向と垂直な方向におけるビームスポットの長さを意味する。
【0017】
さらに本発明では、マスクのパターン情報に従ってレーザー光を照射するために、半導体膜の成膜後、レーザー光による結晶化の前に、半導体膜にレーザー光でマーカーを付ける。そして該マーカーの位置を基準として、マスクをもとにレーザー光を走査する位置を定める。
【0018】
なおレーザー光の照射は2回以上行っても良い。レーザー光を2回照射する場合、パターン情報に従って定められた結晶化させる領域にレーザー光が照射されるように、第1のレーザー光の走査経路を定め、該走査経路に従ってビームスポットが移動するように第3の手段を制御する。次に、第3の手段を制御して走査方向を変更し、パターン情報に従って定められた結晶化させる領域にレーザー光が照射されるように、第1のレーザー光の走査経路を定め、該走査経路に従ってビームスポットが移動するように第3の手段を制御する。このとき、第1のレーザー光の走査方向と、第2のレーザー光の走査方向とは、90°に近い方が望ましい。
【0019】
上記構成によって、第1のレーザー光によって得られる幾つかの結晶粒が、走査方向の異なる第2のレーザー光により1つのより大きな結晶粒となる。これは、第1のレーザー光の照射により特定の方向に成長した結晶粒を種結晶とし、第2のレーザー光によって該特定の方向とは異なる方向に結晶成長が行われるためだと考えられる。よって走査方向の異なる2回のレーザー光照射により部分的に結晶性の高い半導体膜が得られ、該半導体膜の結晶性がより高められた部分を用いてTFTの活性層を作製することで、移動度の高いTFTを得ることができる。
【0020】
また半導体膜を成膜した後、大気に曝さないように(例えば希ガス、窒素、酸素等の特定されたガス雰囲気または減圧雰囲気にする)レーザー光の照射を行い、半導体膜を結晶化させても良い。上記構成により、クリーンルーム内における分子レベルでの汚染物質、例えば空気の清浄度を高めるためのフィルター内に含まれるボロン等が、レーザー光による結晶化の際に半導体膜に混入するのを防ぐことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のレーザー照射装置の構成について図1を用いて説明する。101はレーザー発振装置である。図1では4つのレーザー発振装置を用いているが、本発明のレーザー照射装置が有するレーザー発振装置はこの数に限定されない。
【0022】
レーザーは、処理の目的によって適宜変えることが可能である。本発明では、公知のレーザーを用いることができる。レーザーは、パルス発振または連続発振の気体レーザーもしくは固体レーザーを用いることができる。気体レーザーとして、エキシマレーザー、Arレーザー、Krレーザーなどがあり、固体レーザーとして、YAGレーザー、YVOレーザー、YLFレーザー、YAlOレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライドレーザー、Ti:サファイアレーザー、Yレーザーなどが挙げられる。固体レーザーとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti、Yb又はTmがドーピングされたYAG、YVO、YLF、YAlOなどの結晶を使ったレーザーが適用される。当該レーザーの基本波はドーピングする材料によって異なり、1μm前後の基本波を有するレーザー光が得られる。基本波に対する高調波は、非線形光学素子を用いることで得ることができる。
【0023】
またさらに、固体レーザーから発せられらた赤外レーザー光を非線形光学素子でグリーンレーザー光に変換後、さらに別の非線形光学素子によって得られる紫外レーザー光を用いることもできる。
【0024】
なお、レーザー発振装置101は、チラー102を用いてその温度を一定に保つようにしても良い。チラー102は必ずしも設ける必要はないが、レーザー発振装置101の温度を一定に保つことで、出力されるレーザー光のエネルギーが温度によってばらつくのを抑えることができる。
【0025】
また104は光学系であり、レーザー発振装置101から出力された光路を変更したり、そのビームスポットの形状を加工したりして、レーザー光を集光することができる。さらに、本発明の光学系104で重要なのは、複数のレーザー発振装置101から出力されたレーザー光のビームスポットを互いに一部を重ね合わせることで、合成することができることである。
【0026】
なお、レーザー光の進行方向を極短時間で変化させるAO変調器103を、被処理物である基板106とレーザー発振装置101との間の光路に設けても良い。
【0027】
合成されたビームスポットは、スリット105を介して被処理物である基板106に照射される。スリット105は、レーザー光を遮ることが可能であり、なおかつレーザー光によって変形または損傷しないような材質で形成するのが望ましい。そして、スリット105はスリットの幅が可変であり、該スリットの幅によってビームスポットの幅を変更することができる。
【0028】
なお、スリット105を介さない場合の、レーザー発振装置101から発振されるレーザー光の基板106におけるビームスポットの形状は、レーザーの種類によって異なり、また光学系により成形することもできる。
【0029】
基板106はステージ107上に載置されている。図1では、位置制御手段108、109が、被処理物におけるビームスポットの位置を制御する手段に相当しており、ステージ107の位置が、位置制御手段108、109によって制御されている。なお、図1では位置制御手段108、109を用いて基板の位置を変えることで、ビームスポットを移動(走査)させたり、レーザー光の走査方向を変えたりすることができるが、本発明はこの構成に限定されない。光学系を用いてレーザー光の照射方向を変更するようにしても良い。この場合、位置制御手段は光学系に含まれると解釈することができる。また、基板の移動と光学系とを両方用いて行っても良い。
【0030】
図1では、位置制御手段108がX方向におけるステージ107の位置の制御を行っており、位置制御手段109はY方向におけるステージ107の位置制御を行う。
【0031】
また本発明のレーザー照射装置は、中央演算処理装置及びメモリ等の記憶手段を兼ね備えたコンピューター110とを有している。コンピューター110は、レーザー発振装置101の発振を制御し、なおかつレーザー光のビームスポットがマスクのパターン情報に従って定められる領域を覆うように、位置制御手段108、109を制御し、基板を所定の位置に定めることができる。
【0032】
さらに本発明では、コンピューター110によって、該スリット105の幅を制御し、マスクのパターン情報に従ってビームスポットの幅を変更することができる。
【0033】
さらにレーザー照射装置は、被処理物の温度を調節する手段を備えていても良い。また、レーザー光は指向性およびエネルギー密度の高い光であるため、ダンパーを設けて、反射光が不適切な箇所に照射されるのを防ぐようにしても良い。ダンパーは、反射光を吸収させる性質を有していることが望ましく、ダンパー内に冷却水を循環させておき、反射光の吸収により隔壁の温度が上昇するのを防ぐようにしても良い。また、ステージ107に基板を加熱するための手段(基板加熱手段)を設けるようにしても良い。
【0034】
なお、マーカーをレーザーで形成する場合、マーカー用のレーザー発振装置111を設けるようにしても良い。この場合、レーザー発振装置111の発振を、コンピューター110において制御するようにしても良い。さらにレーザー発振装置111を設ける場合、レーザー発振装置111から出力されたレーザー光を集光するための光学系112を設ける。
【0035】
またマーカーを用いた位置合わせのために、CCDカメラ113を1台、場合によっては数台設けるようにしても良い。
【0036】
次に、複数のビームスポットを重ね合わせることで合成される、ビームスポットの形状について説明する。
【0037】
図2(A)に、複数のレーザー発振装置からそれぞれ発振されるレーザー光の、スリットを介さない場合の被処理物におけるビームスポットの形状の一例を示す。図2(A)に示したビームスポットは楕円形状を有している。なお本発明のレーザー照射装置において、レーザー発振装置から発振されるレーザー光のビームスポットの形状は、楕円に限定されない。ビームスポットの形状はレーザーの種類によって異なり、また光学系により成形することもできる。例えば、ラムダ社製のXeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅30ns)L3308から射出されたレーザー光の形状は、10mm×30mm(共にビームプロファイルにおける半値幅)の矩形状である。また、YAGレーザーから射出されたレーザー光の形状は、ロッド形状が円筒形であれば円状となり、スラブ型であれば矩形状となる。このようなレーザー光を光学系により、さらに成形することにより、所望の大きさのレーザー光をつくることもできる。
【0038】
図2(B)に図2(A)に示したビームスポットの長軸L方向におけるレーザー光のエネルギー密度の分布を示す。ビームスポットが楕円形状であるレーザー光のエネルギー密度の分布は、楕円の中心Oに向かうほど高くなっている。αは、エネルギー密度が、所望の結晶を得るために必要とする値を超えている、長軸y方向における幅に相当する。
【0039】
次に、図2に示したビームスポットを有するレーザー光を合成したときの、ビームスポットの形状を、図3(A)に示す。なお図3(A)では4つのレーザー光のビームスポットを重ね合わせることで1つのビームスポットを形成した場合について示しているが、重ね合わせるビームスポットの数はこれに限定されない。
【0040】
図3(A)に示すように、各レーザー光のビームスポットは、各楕円の長軸が一致し、なおかつ互いにビームスポットの一部が重なることで合成され、1つのビームスポットが形成されている。なお以下、各楕円の中心Oを結ぶことで得られる直線を中心軸と呼ぶ。
【0041】
図3(B)に、図3(A)に示した合成後のビームスポットの、中心軸方向におけるレーザー光のエネルギー密度の分布を示す。合成前の各ビームスポットが重なり合っている部分において、エネルギー密度が加算される。例えば図示したように重なり合ったビームのエネルギー密度AとBを加算すると、ビームのエネルギー密度のピーク値Cとほぼ等しくなり、各楕円の中心Oの間においてエネルギー密度が平坦化される。
【0042】
なお、AとBを加算するとCと等しくなるのが理想的だが、現実的には必ずしも等しい値にはならない。AとBを加算した値とCとの値のずれは、Cの値の±10%、より望ましくは±5%以内であると良いが、許容範囲は設計者が適宜設定することが可能である。
【0043】
図3(B)からわかるように、複数のレーザー光を重ね合わせてエネルギー密度の低い部分を互いに補い合うようにすることで、複数のレーザー光を重ね合わせないで単独で用いるよりも、半導体膜の結晶性を効率良く高めることができる。例えば図2(B)の斜線で示した領域においてのみ、所望の結晶を得るために必要なエネルギー密度の値を超えており、その他の領域ではエネルギー密度が所望の値まで満たされていなかったと仮定する。この場合、各ビームスポットは、中心軸方向の幅がαで示される斜線の領域でしか、所望の結晶を得ることができない。しかし、ビームスポットを図3(B)で示したように重ね合わせることで、中心軸方向の幅がβ(β>4α)で示される領域において所望の結晶を得ることができ、より効率良く半導体膜を結晶化させることができる。
【0044】
なお、レーザー光を重ね合わせても、なお、エネルギー密度が所望の値まで達していない領域がある。本発明のレーザー照射装置では、合成されたビームスポットのエネルギー密度の低い領域を、スリット105において遮蔽し、基板106に照射されないようにする。図4を用いて、合成されたビームスポットとスリットとの位置関係について説明する。
【0045】
本発明で用いられるスリット105は、スリットの幅が可動であり、その幅はコンピューター110によって制御されている。図4(A)において、120は、図3(A)に示した合成により得られるビームスポットの形状を示しており、105はスリットを示している。図4(A)では、ビームスポット120がスリットによって遮蔽されていない様子を示している。
【0046】
図4(B)は、スリット105によって一部が遮蔽されたビームスポット127の様子を示している。そして図4(C)は、図4(B)に示したビームスポットの、中心軸L方向におけるエネルギー密度の分布を示している。図3(B)に示した場合と異なり、エネルギー密度の低い領域がスリット105によってカットされる。
【0047】
エネルギー密度の低い領域が照射された半導体膜は、結晶性が芳しくない。具体的には、エネルギー密度が満たされている領域と比べて、結晶粒が小さかったり、結晶粒の成長する方向が異なっていたりする。図5(A)に、図3(B)に示したビームスポット120の走査経路と、マスクのパターンとの位置関係を示す。図5(A)において、基板が矢印の方向に移動することでビームスポット120が走査されており、122は所望のエネルギー密度を有する領域が照射された部分、123、124はエネルギー密度が所望の値に達していない領域が照射された部分であり、122に比べて結晶粒が小さい。さらに123は基板に対して垂直方向に結晶が成長しており、124は基板と平行な面内において結晶が成長しており、123よりも124の方が結晶粒は小さくなっている。なお、エネルギー密度が低い部分における結晶性は、半導体膜の厚さ、レーザーの種類及び照射条件などによって異なっており、またエネルギー密度の低い領域が必ずしも上述した2つの領域に分類されるとは限らない。
【0048】
図5(A)では、領域123、124が、活性層のパターン121と重なっており、好ましくない。よって活性層もしくはそのチャネル形成領域と、エネルギー密度の低い領域とが重ならないように考慮し、レーザー光の走査経路と、活性層のレイアウトとを定める必要があった。
【0049】
図5(B)では、基板が矢印の方向に移動することで、エネルギー密度の低い部分が遮蔽されたビームスポット127を走査した様子について示す。125がエネルギー密度が所望の値に達している領域を示しており、レーザー光の照射されている部分における結晶性は均一になっている。そして、図5(A)と異なり、エネルギー密度の低い領域123、124が存在しないもしくは図5(A)に比較してその幅が小さいので、レーザー光のエッジの部分と活性層のパターン121とを重ねないようにするのがより容易になる。よって、スリットを設けることでエネルギー密度の低い領域がカットされるので、レーザー光の走査経路及び活性層のレイアウトにおける制約を小さくすることができる。
【0050】
また、レーザー発振装置の出力を止めることなく、エネルギー密度を一定にしたままビームスポットの幅を変えることができるので、レーザー光のエッジが、活性層もしくはそのチャネル形成領域と重なるのを防ぐことができる。また不必要な部分にレーザー光を照射し、基板にダメージが与えられるのを防ぐことができる。
【0051】
なお、図4ではビームスポットの中心軸方向と走査方向とが垂直に保たれている、場合について示したが、ビームスポットの中心軸と走査方向とは必ずしも垂直になっていなくとも良い。例えば、ビームスポットの中心軸と、走査方向との間に形成される鋭角θが45°±35°となるようにし、より望ましくは45°となるようにしてもよい。ビームスポットの中心軸と、走査する方向とが垂直の場合、最も基板の処理効率が高まる。一方合成後のビームスポットの中心軸と、走査する方向とが45°±35°となるように、望ましくは45°により近い値になるように走査することで、走査する方向とビームスポットの中心軸とが垂直になるように走査した場合に比べて、活性層中に存在する結晶粒の数を意図的に増やすことができ、結晶の方位や結晶粒に起因する特性のばらつきを低減することができる。また走査する方向とビームスポットの中心軸とが垂直になるように走査した場合に比べて、基板あたりのレーザー光の照射時間を高めることができる。
【0052】
図6を用いて、ビームスポットの中心軸を走査方向に対して45°に保った場合の、スリットとビームスポットとの位置関係について説明する。130は合成後のビームスポットであり、105はスリットである。スリット105はビームスポット130と重なっていない。矢印は走査方向であり、ビームスポット130の中心軸との間の角度θが45°に保たれている。
【0053】
図6(B)はスリット105によって一部が遮蔽され、幅が狭くなったビームスポット131の様子を示している。本発明では、スリット105は、走査方向と垂直な方向におけるビームスポットの幅Qを制御し、レーザー光の照射が均一に行われるようにする。
【0054】
次に、図7(A)を用いて、アクティブマトリクス型の半導体装置を作製するために成膜された半導体膜500におけるレーザー光の走査方向について説明する。図7(A)では、破線501が画素部、破線502が信号線駆動回路、破線503が走査線駆動回路の形成される部分に相当する。
【0055】
図7(A)では、活性層となる部分に対して、1回のみレーザー光をスキャンした例について示しており、基板が白抜きの矢印の方向に移動しており、実線の矢印はレーザー光の相対的な走査方向を示している。図7(B)は、画素部が形成される部分501におけるビームスポット507の拡大図である。レーザー光が照射された領域に活性層が形成される。
【0056】
次に、図8(A)を用いて、走査方向を変えてレーザー光を2回スキャンした場合の、半導体膜300におけるレーザー光の走査方向について説明する。図8(A)では、破線301が画素部、破線302が信号線駆動回路、破線303が走査線駆動回路の形成される部分に相当する。
【0057】
図8(A)において、基板が白抜きの矢印の方向に移動しており、実線の矢印はレーザー光の相対的な走査方向を示している。図8(A)では、走査方向の異なる2つのレーザー光を半導体膜に照射しており、実線で示した矢印が1回目のレーザー光の相対的な走査方向であり、破線で示した矢印が2回目のレーザー光の相対的な走査方向を示している。そして、1回目のレーザー光と2回目のレーザー光が交差した領域に活性層が形成される。
【0058】
図8(B)に、1回目の走査におけるビームスポット307の拡大図を示す。また図8(C)に、2回目の走査におけるビームスポット307の拡大図を示す。なお、図8では1回目のレーザー光の相対的な走査方向と2回目のレーザー光の相対的な走査方向の角度がほぼ90°になっているが、角度はこれに限定されない。
【0059】
また、ビームスポットのエッジの部分が、結晶化後に半導体膜をパターニングすることで得られる島状の半導体膜に相当する部分(図7では506、図8では306)と重なることのないように、レーザー光を照射することが望ましい。
【0060】
なお、図8(A)では画素部301、信号線駆動回路302、走査線駆動回路303の全てにおいてレーザー光を2回照射しているが、本発明はこの構成に限定されない。
【0061】
そして本発明では、コンピューター110に入力されるマスクのパターン情報に従って、レーザー光を走査する部分を定める。なお、結晶化させたい部分によって、用いるマスクを選択する。例えば、活性層全体を結晶化させる場合は、半導体膜のパターンニングのマスクを用い、チャネル形成領域のみ結晶化させたい場合は、半導体膜のパターンニングのマスク及び不純物のドーピングの際に用いるマスクを用いる。
【0062】
そして、レーザー光を走査する部分は、半導体膜の、結晶化後にパターニングすることで得られる部分を覆うようにする。コンピューター110では、半導体膜のうち、少なくともパターニングすることで得られる部分を結晶化することができるように、レーザー光の走査部分を定め、該走査部分にビームスポット即ち照射位置があたるように、位置制御手段108、109を制御して、半導体膜を部分的に結晶化する。
【0063】
図9(A)に、レーザー光の照射が1回の場合の、レーザー光の走査する部分と、マスクとの関係を示す。なお図9(A)では、ビームスポットの中心軸と走査方向とがほぼ垂直になっている。図9(B)に、ビームスポットの中心軸と走査方向とが45°の場合の、レーザー光の走査する部分と、マスクとの関係を示す。510は半導体膜のうち、パターニングに得られる島状の半導体膜を示しており、これらの島状の半導体膜510を覆うように、レーザー光の走査部分が定められる。511はレーザー光の走査部分であり、島状の半導体膜510を覆っている。図9に示すように、本発明ではレーザー光を半導体膜全面に照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。
【0064】
なお、結晶化後の半導体膜をTFTの活性層として用いる場合、レーザー光の走査方向は、チャネル形成領域のキャリアが移動する方向と平行になるように定めるのが望ましい。
【0065】
図10に、レーザー光の照射が1回の場合の、TFTの活性層のレイアウトを一例として示す。図10(A)ではチャネル形成領域が1つ設けられている活性層を示しており、チャネル形成領域520を挟むようにソース領域またはドレイン領域となる不純物領域521、522が設けられている。本発明のレーザー照射装置を用いて半導体膜を結晶化させるとき、レーザー光の走査方向は矢印に示すように、チャネル形成領域のキャリアが移動する方向と平行になるようにする。524は、ビームスポットのうち、良好な結晶を得るために必要なエネルギー密度を満たしている領域を示している。活性層全体にレーザー光が照射されるようにすることで、活性層の結晶性をより高めることができる。
【0066】
また、図10(B)では、チャネル形成領域が3つ設けられている活性層を示しており、チャネル形成領域530を挟むように不純物領域533、534が設けられている。また、チャネル形成領域531を挟むように不純物領域534、535が設けられており、さらにチャネル形成領域532を挟むように不純物領域535、536が設けられている。そして、本発明のレーザー照射装置を用いて半導体膜を結晶化させるとき、レーザー光の走査方向は矢印に示すように、チャネル形成領域のキャリアが移動する方向と平行になるようにする。なお図10において、ビームスポットの走査は、基板側を移動させることで行っても良いし、光学系を用いて行うようにしても良いし、基板の移動と光学系とを両方用いて行っても良い。
【0067】
次に図11(A)に、レーザー光の照射が2回の場合の、1回目のレーザー光の走査する部分と、マスクとの関係を示す。なお図11(A)では、ビームスポットの中心軸と走査方向とがほぼ垂直になっている。310は半導体膜のうち、パターニングに得られる島状の半導体膜を示しており、これらの島状の半導体膜310を覆うように、レーザー光の走査部分が定められる。311はレーザー光の走査部分であり、島状の半導体膜310を覆っている。図11(A)に示すように、本発明では1回目のレーザー光を半導体膜全面に照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。
【0068】
次に、レーザー光の照射が2回の場合の、図11(A)に示した半導体膜に対して2回目のレーザー光を照射する場合の、レーザー光の走査する部分とマスクとの関係を図11(B)に示す。図11(B)では、2回目のレーザー光の走査方向は1回目のレーザー光の走査方向と90°異なっている。2回目のレーザー光も島状の半導体膜となる部分310を覆うように、その走査部分が定められる。そして、2回目のレーザー光の照射の際には、スリットの向きも同じに変える必要がある。313は2回目のレーザー光の走査部分であり、島状の半導体膜310を覆っている。図11(B)に示すように、図11では2回目のレーザー光を半導体膜全面に照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。
【0069】
よって、島状の半導体膜となる部分310には、走査方向の異なるレーザー光が2回照射されるので、結晶性がより高められる。また基板全面を照射するのではなく、半導体膜のマスクによって定められた部分が結晶化できるように必要最低限の部分にレーザー光が照射されるので、1枚の基板にかかる処理時間を抑えることができ、基板処理の効率を高めることができる
【0070】
なお、図11では1回目と2回目のレーザー光は、ともに半導体膜全面に照射されるのではなく、半導体膜のマスクによって定められた部分が結晶化できるように必要最低限の部分にのみ照射されている。本発明はこの構成に限定されず、1回目のレーザー光を半導体膜全面に照射し、2回目のレーザー光を部分的に照射するようにしても良い。逆に1回目のレーザー光を部分的に照射し、2回目のレーザー光を基板全体に照射するようにしてもよい。図12(A)に半導体膜全面に1回目のレーザー光を照射し、図12(B)に、図12(A)に示した半導体膜に対して2回目のレーザー光を照射した場合の様子を示す。314は1回目のレーザー光の走査部分であり、半導体膜全面を覆っている。そして315はパターニングによって得られる島状の半導体膜の形状を示しており、1回目のレーザー光の走査部分のエッジと重ならないような位置に配置されている。また316は2回目のレーザー光の走査部分を示しており、パターニングによって得られる島状の半導体膜315を覆っている。そして2回目のレーザー光は半導体膜全面に照射されてはおらず、少なくとも島状の半導体膜315にレーザー光があたるように部分的に照射されている。
【0071】
なお、結晶化後の半導体膜をTFTの活性層として用いる場合、2回のレーザー光の照射のうちのいずれか一方において、その走査方向がチャネル形成領域のキャリアが移動する方向と平行になるように定めるのが望ましい。
【0072】
図13にTFTの活性層の一例を示す。図13(A)ではチャネル形成領域が1つ設けられている活性層を示しており、チャネル形成領域320を挟むようにソース領域またはドレイン領域となる不純物領域321、322が設けられている。本発明のレーザー照射装置を用いて半導体膜を結晶化させるとき、1回目もしくは2回目のレーザー光の走査方向が矢印に示すように、チャネル形成領域のキャリアの移動する方向と平行になるようにする。なお図13において、ビームスポットの走査は、基板側を移動させることで行っても良いし、光学系を用いて行うようにしても良いし、基板の移動と光学系とを両方用いて行っても良い。
【0073】
323は、1回目のレーザー光のビームスポットのうち、エネルギー密度が、良好な結晶を得るために必要である値の範囲に入っている領域を示しており、実線で示した矢印の方向に走査する。活性層全体に、領域323のレーザー光が照射されるようにすることで、活性層の結晶性をより高めることができる。
【0074】
また326は、2回目のレーザー光のビームスポットのうち、エネルギー密度が、良好な結晶を得るために必要である値の範囲に入っている領域を示しており、破線で示した矢印の方向に走査する。図13(A)に示すとおり1回目のレーザー光と2回目のレーザー光の走査方向は異なっている。活性層全体に、領域326のレーザー光が照射されるようにすることで、活性層の結晶性をより高めることができる。
【0075】
また、図13(B)では、チャネル形成領域が3つ設けられている活性層を示しており、チャネル形成領域330を挟むように不純物領域333、334が設けられている。また、チャネル形成領域331を挟むように不純物領域334、335が設けられており、さらにチャネル形成領域332を挟むように不純物領域335、336が設けられている。そして、1回目のレーザー光は実線の矢印の方向に走査し、2回目のレーザー光は破線の方向に走査し、1回目または2回目のレーザー光の走査方向が、チャネル形成領域のキャリアが移動する方向と平行になるようにする。
【0076】
なお、1回目と2回目いずれか一方において、レーザー光の走査方向とキャリアの移動する方向とが平行になるようにすれば良いが、結晶の成長方向はエネルギー密度の高いレーザー光の走査方向により強く影響を受けるので、エネルギー密度の高いレーザー光に方向を合わせるのがより好ましい。
【0077】
また、線状または楕円形状のビームスポットの長軸方向と走査方向とが垂直ではない場合、必ずしもキャリアの移動する方向と走査方向とを一致させる必要はない。この場合、長軸方向に垂直な方向に結晶が成長すると考えられるので、該方向とキャリアの移動する方向とを一致させるのが望ましい。
【0078】
図14を用いて、レーザー光の照射が2回の場合の、アクティブマトリクス型の半導体装置を作製するために成膜された半導体膜におけるレーザー光の走査方向と、各回路における活性層のレイアウトとの関係について説明する。
【0079】
図14において、基板上に半導体膜850が成膜されている。破線853で囲まれた部分は画素部が形成される部分であり、画素部853に複数の活性層となる部分856が設けられている。破線854で囲まれた部分は信号線駆動回路が形成される部分であり、信号線駆動回路854に複数の活性層となる部分857が設けられている。破線855で囲まれた部分は走査線駆動回路が形成される部分であり、走査線駆動回路855に複数の活性層となる部分858が設けられている。
【0080】
なお、各回路が有する活性層となる部分856、857、858は、実際には数十μm単位の小さいサイズであるが、ここでは図を分かり易くするために、あえて図12では実際のサイズよりも大きく図示した。各回路が有する活性層となる部分856、857、858は、チャネル形成領域のキャリアが移動する方向が2つ(第1の方向と第2の方向)に大別されるようにレイアウトされている。
【0081】
851は1回目のレーザー光照射により結晶化される部分であり、全ての活性層となる部分856、857、858を覆っている。そして1回目のレーザー光の走査方向は、第1の方向と平行になるように走査されている。
【0082】
そして852は2回目のレーザー光により結晶化される部分である。2回目のレーザー光の走査方向は、1回目のレーザー光の走査方向とは異なっており、第2の方向と平行になっている。そして、2回目のレーザー光は、全ての活性層となる部分856、857、858を覆っているわけではなく、チャネル形成領域のキャリアが移動する方向が第2の方向と平行になっている活性層のみ覆っている。図14では、複数の活性層858のうち、チャネル形成領域のキャリアの移動する方向と2回目のレーザー光の走査方向とが平行になる活性層のみ、2回目のレーザー光が照射されている。
【0083】
なお、レーザー光の走査部分を定めるためには、半導体膜に対するマスクの位置を定めるためのマーカーを、半導体膜に形成する必要がある。図15に、アクティブマトリクス型の半導体装置を作製するために成膜された半導体膜において、マーカーを形成する位置を示す。なお、図15(A)は1つの基板から1つの半導体装置を作製する例を示しており、図15(B)は1つの基板から4つの半導体装置を作製する例を示している。
【0084】
図15(A)において540は基板上に成膜された半導体膜であり、破線541が画素部が形成される部分(以下、画素部形成部と呼ぶ)、破線542が信号線駆動回路が形成される部分(以下、信号線駆動回路形成部と呼ぶ)、破線543が走査線駆動回路が形成される部分(以下、走査線駆動回路形成部と呼ぶ)に相当する。544はマーカーが形成される部分(マーカー形成部)であり、半導体膜の4隅に位置するように設けられている。
【0085】
なお図15(A)ではマーカー形成部544を4つそれぞれ4隅に設けたが、本発明はこの構成に限定されない。半導体膜におけるレーザー光の走査部分と、半導体膜のパターニングのマスクとの位置合わせをすることができるのであれば、マーカー形成部の位置及びその数は上述した形態に限定されない。
【0086】
図15(B)において550は基板上に成膜された半導体膜であり、破線551は後の工程において基板を分断するときのスクライブラインである。図15(B)では、スクライブライン551の沿って基板を分断することで、4つの半導体装置を作製することができる。なお分断により得られる半導体装置の数はこれに限定されない。
【0087】
552はマーカー形成部であり、半導体膜の4隅に位置するように設けられている。なお図15(B)ではマーカー形成部552を4つそれぞれ4隅に設けたが、本発明はこの構成に限定されない。半導体膜におけるレーザー光の走査部分と、半導体膜のパターニングのマスクとの位置合わせをすることができるのであれば、マーカー形成部の位置及びその数は上述した形態に限定されない。
【0088】
マーカーを形成する際に用いるレーザーは、代表的にはYAGレーザー、COレーザー等が挙げられるが、無論この他のレーザーを用いて形成することは可能である。
【0089】
次に、本発明のレーザー照射装置を用いた半導体装置の生産フローについて説明する。
【0090】
図16に、レーザー光の照射が1回の場合の、生産フローをフローチャートで示す。まずCADを用いて半導体装置の設計を行う。そして、設計された半導体膜のパターニングのマスクの形状に関する情報を、レーザー照射装置が有するコンピューターに入力する。一方、非晶質半導体膜を基板上に成膜した後、非晶質半導体膜が成膜された基板をレーザー照射装置に設置する。そして、レーザーを用いて半導体膜の表面にマーカーを形成する。
【0091】
コンピューターで入力されたマスクの情報に基づき、マーカーの位置を基準にして、レーザー光の走査部分を決定する。そして形成されたマーカーを基準にして、レーザー光の走査部分にレーザー光を照射し、半導体膜を部分的に結晶化する。
【0092】
そして、レーザー光を照射した後、レーザー光照射により得られた多結晶半導体膜をパターニングしてエッチングし、島状の半導体膜を形成する。以下、島状の半導体膜からTFTを作製する工程が行われる。TFTの具体的な作製工程はTFTの形状によって異なるが、代表的にはゲート絶縁膜を成膜し、島状の半導体膜に不純物領域を形成する。そして、ゲート絶縁膜及びゲート電極を覆うように層間絶縁膜を形成し、該層間絶縁膜にコンタクトホールを形成し、不純物領域の一部を露出させる。そして該コンタクトホールを介して不純物領域に接するように層間絶縁膜上に配線を形成する。
【0093】
次に、図17に、レーザー光の照射が2回の場合の、生産フローをフローチャートで示す。まずCADを用いて半導体装置の設計を行う。そして、設計された半導体膜のパターニングのマスクの形状に関する情報を、レーザー照射装置が有するコンピューターに入力する。一方、非晶質半導体膜を基板上に成膜した後、非晶質半導体膜が成膜された基板をレーザー照射装置に設置する。そして、レーザーを用いて半導体膜の表面にマーカーを形成する。
【0094】
コンピューターで入力されたマスクの情報に基づき、マーカーの位置を基準にして、1回目及び2回目のレーザー光の走査部分を決定する。なお、2回目のレーザー光の走査部分は、1回目のレーザー光の走査方向と2回目のレーザー光の走査方向との間の角度によって異なる。1回目のレーザー光の走査方向と2回目のレーザー光の走査方向の角度は、予めメモリ等に記憶しておいても良いし、手動でその都度入力するようにしても良い。そして形成されたマーカーを基準にして、1回目のレーザー光の走査部分にレーザー光を照射し、半導体膜を部分的に結晶化する。
【0095】
次に、第1の手段を用いてレーザー光の走査方向を、定められた値だけ変更し、またスリットの方向も走査方向に合わせて変更し、2回目のレーザー光の照射を行う。そして半導体膜を部分的に結晶化させる。
【0096】
そして、レーザー光を照射した後、レーザー光照射により得られた多結晶半導体膜をパターニングしてエッチングし、島状の半導体膜を形成する。以下、島状の半導体膜からTFTを作製する工程が行われる。TFTの具体的な作製工程はTFTの形状によって異なるが、代表的にはゲート絶縁膜を成膜し、島状の半導体膜に不純物領域を形成する。そして、ゲート絶縁膜及びゲート電極を覆うように層間絶縁膜を形成し、該層間絶縁膜にコンタクトホールを形成し、不純物領域の一部を露出させる。そして該コンタクトホールを介して不純物領域に接するように層間絶縁膜上に配線を形成する。
【0097】
なお、比較対象のために、図18に従来の半導体装置の生産の流れをフローチャートで示す。図18に示すように、CADによる半導体装置のマスク設計が行われる。一方で、基板に非晶質半導体膜を成膜され、該非晶質半導体膜が成膜された基板をレーザー照射装置に設置する。そして、非晶質半導体膜全体にレーザー光が照射されるように走査し、非晶質半導体膜全体を結晶化させる。そして、結晶化により得られた多結晶半導体膜にマーカーを形成し、該マーカーを基準として多結晶半導体膜をパターニングして島状の半導体膜を形成する。そして該島状の半導体膜を用いてTFTを作製する。
【0098】
このように本発明では、図18に示すような従来の場合とは異なり、マーカーをレーザー光を用いて非晶質半導体膜を結晶化させる前に形成する。そして、半導体膜のパターニングのマスクの情報に従って、レーザー光を走査させる。
【0099】
上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができるので、レーザー光照射にかかる時間を短縮化することができ、なおかつ基板の処理速度を向上させることができる。
【0100】
なお、触媒を用いて半導体膜を結晶化させる工程を含んでいても良い。触媒元素を用いる場合、特開平7−130652号公報、特開平8−78329号公報で開示された技術を用いることが望ましい。
【0101】
触媒を用いて半導体膜を結晶化させる工程を含んでいる場合、非晶質半導体膜を成膜後にNiを用いて結晶化させる工程(NiSPC)を含んでいる。例えば特開平7−130652号公報に開示されている技術を用いる場合、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液を非晶質半導体膜に塗布してニッケル含有層を形成し、500℃、1時間の脱水素工程の後、500〜650℃で4〜12時間、例えば550℃、8時間の熱処理を行い結晶化する。尚、使用可能な触媒元素は、ニッケル(Ni)の以外にも、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、といった元素を用いても良い。
【0102】
そして、レーザー光照射により、NiSPCにより結晶化された半導体膜の結晶性をさらに高める。レーザー光照射により得られた多結晶半導体膜は触媒元素を含んでおり、レーザー光照射後にその触媒元素を結晶質半導体膜から除去する工程(ゲッタリング)を行う。ゲッタリングは特開平10−135468号公報または特開平10−135469号公報等に記載された技術を用いることができる。
【0103】
具体的には、レーザー照射後に得られる多結晶半導体膜の一部にリンを添加し、窒素雰囲気中で550〜800℃、5〜24時間、例えば600℃、12時間の熱処理を行う。すると多結晶半導体膜のリンが添加された領域がゲッタリングサイトとして働き、多結晶半導体膜中に存在するリンをリンが添加された領域に偏析させることができる。その後、多結晶半導体膜のリンが添加された領域をパターニングにより除去することで、触媒元素の濃度を1×1017atms/cm以下好ましくは1×1016atms/cm程度にまで低減された島状の半導体膜を得ることができる。
【0104】
このように本発明では、半導体膜全体にレーザー光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができ、基板1枚あたりにかかる処理時間を大幅に短縮することができる。
【0105】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0106】
(実施例1)
レーザー光を照射して形成される結晶質半導体膜は、複数の結晶粒が集合して形成されている。その結晶粒の位置と大きさはランダムなものであり、結晶粒の位置や大きさを指定して結晶質半導体膜を形成する事は難しい。そのため前記結晶質半導体を島状にパターニングすることで形成された活性層中には、結晶粒の界面(粒界)が存在することがある。
【0107】
結晶粒内と異なり、粒界には非晶質構造や結晶欠陥などに起因する再結合中心や捕獲中心が無数に存在している。この捕獲中心にキャリアがトラップされると、粒界のポテンシャルが上昇し、キャリアに対して障壁となるため、キャリアの電流輸送特性を低下することが知られている。よって、TFTの活性層、特にチャネル形成領域中に粒界が存在すると、TFTの移動度が著しく低下したり、また粒界において電流が流れるためにオフ電流が増加したりと、TFTの特性に重大な影響を及ぼす。また同じ特性が得られることを前提に作製された複数のTFTにおいて、活性層中の粒界の有無によって特性がばらついたりする。
【0108】
半導体膜にレーザー光を照射したときに、得られる結晶粒の位置と大きさがランダムになるのは、以下の理由による。レーザー光の照射によって完全溶融した液体半導体膜中に固相核生成が発生するまでには、ある程度の時間が掛かる。そして時間の経過と共に、完全溶融領域において無数の結晶核が発生し、該結晶核からそれぞれ結晶が成長する。この結晶核の発生する位置は無作為であるため、不均一に結晶核が分布する。そして、互いの結晶粒がぶつかり合ったところで結晶成長が終了するため、結晶粒の位置と大きさは、ランダムなものとなる。
【0109】
一方、半導体膜を完全に溶融させるのではなく、部分的に溶融させることで結晶質半導体膜を形成する方法も提案されている。この場合、レーザー光の照射によって、半導体膜が完全溶融している部分と、固相半導体領域が残存している部分とが形成され、前記固相半導体領域を結晶核として結晶成長が始まる。完全溶融領域において核生成が発生するにはある程度時間が掛かるため、完全溶融領域において核生成が発生するまでの間に、前記固相半導体領域を結晶核として前記半導体膜の膜面に対する水平方向(以下、ラテラル方向と呼ぶ)に結晶が成長する。そのため、結晶粒は膜厚の数十倍もの長さに成長する。そして、時間の経過にしたがって完全溶融領域においても結晶化が始まり、該結晶核から成長した結晶とぶつかり合うと、上述したラテラル方向の結晶成長は終了する。以下、この現象をスーパーラテラル成長と言う。
【0110】
上記スーパーラテラル成長の場合、比較的大きな結晶粒が得られ、その分粒界の数が減るが、前記スーパーラテラル成長が実現するレーザー光のエネルギー領域は非常に狭く、また、大結晶粒の得られる位置については制御が困難であった。さらに、大結晶粒以外の領域は無数の核生成が発生した微結晶領域、もしくは非晶質領域であり、結晶の大きさは不均一であった。
【0111】
そこで、半導体膜を完全溶融させるようなエネルギー領域のレーザー光を用い、なおかつラテラル方向の温度勾配を制御することが出来れば、結晶粒の成長位置および成長方向を制御することが出来るのではないかと考えられている。そしてこの方法を実現するために様々な試みがなされている。
【0112】
例えば、コロンビア大のJames S. Im氏らは、任意の場所にスーパーラテラル成長を実現させることの出来るSequential Lateral Solidification method(以下、SLS法と言う。)を示した。SLS法は、1ショット毎にスリット状のマスクをスーパーラテラル成長が行われる距離程度(約0.75μm)ずらして、結晶化を行うものである。
【0113】
本実施例では、上記SLS法を本発明に適用した例について説明する。
【0114】
まず、1回目のレーザー光を半導体膜に照射する。このとき、レーザーはパルス発振でも連続発振でもどちらでも良い。1回目のレーザー光はマスクによって定められた部分にのみ照射するようにする。この1回目のレーザー光のエネルギー密度は、半導体膜の膜厚等によっても異なるが、マスクによって定められた部分の結晶性を高めることができる程度であれば良い。
【0115】
次に、走査方向及びスリットの向きを変え、マスクによって定められた部分に2回目のレーザー光を照射する。2回目のレーザー光はパルス発振のレーザーを用い、マスクによって定められた部分において、半導体膜を全厚さにわたって局部的に溶融させることができるようなエネルギー密度で照射する。
【0116】
図19(A)に、2回目のレーザー光照射の1ショット目を照射した直後の、半導体膜の様子を模式的に示す。半導体膜802は1回目のレーザー光照射によって結晶性が高められた部分に相当する。そして2回目のレーザー光の照射により、半導体膜802のビームスポット801があたっている部分において、半導体膜が全厚さにわたって局部的に溶融する。
【0117】
このとき、半導体膜802のビームスポットのあたっている部分においては、完全に半導体が溶融しているが、ビームスポットのあたっていない部分は溶融していないか、もしくは溶融していても温度がビームスポットのあたっている部分に比べて十分に低い。そのため、ビームスポットの端の部分が種結晶となり、矢印で示したようにビームスポットの端部から中心に向かってラテラル方向に結晶が成長する。
【0118】
そして時間の経過にしたがって結晶の成長が進んでいくと、完全に溶融した部分において発生した種結晶から生成した結晶粒とぶつかり合うか、もしくは反対側から成長してきた結晶粒とぶつかり合うかして、ビームスポットの中心部分803において結晶成長が終了する。図19(B)に結晶成長が終了した時点での半導体膜の様子を模式的に示す。ビームスポットの中心部分803では、他の部分に比べて微結晶が多数存在していたり、結晶粒どうしがぶつかり合うことで半導体膜の表面が不規則になっていたりする。
【0119】
次に、2回目のレーザー光照射の2ショット目を照射する。2ショット目は1ショット目のビームスポットから少しずらして照射する。図19(C)に、2ショット目を照射した直後の、半導体膜の様子を模式的に示す。2ショット目のビームスポットは、1ショット目のビームスポットがあたっていた部分801から位置がずれているが、図19(C)では、2ショット目のビームスポットが1ショット目によって形成された中心部803を覆う程度のずれである。
【0120】
このとき、2ショット目のビームスポット804のあたっている部分においては、完全に半導体が溶融しているが、ビームスポットのあたっていない部分は溶融していないか、もしくは溶融していても温度がビームスポットのあたっている部分に比べて十分に低い。そのため、ビームスポットの端の部分が種結晶となり、矢印で示したようにビームスポットの端部から中心に向かってラテラル方向に結晶が成長する。このとき、1ショット目によって結晶化された部分801のうち、2ショット目のビームスポットがあたっていない部分が種結晶となり、1ショット目によって形成されたラテラル方向に成長した結晶が、さらに走査方向に向かって成長する。
【0121】
そして時間の経過にしたがって結晶の成長が進んでいくと、完全に溶融した部分において発生した種結晶から生成した結晶粒とぶつかり合うか、もしくは反対側から成長してきた結晶粒とぶつかり合うかして、2ショット目のビームスポットの中心部分805において結晶成長が終了する。図19(D)に結晶成長が終了した時点での半導体膜の様子を模式的に示す。ビームスポットの中心部分805では、他の部分に比べて微結晶が多数存在していたり、結晶粒どうしがぶつかり合うことで半導体膜の表面が不規則になっていたりする。
【0122】
以下、3ショット目以降も同様に、ビームスポットを走査方向に少しずつずらして照射していくことで、図19(E)に示すように走査方向と平行に結晶が成長する。
【0123】
上記構成により、結晶粒の位置及び大きさを制御しながら、部分的に結晶化を行うことができる。
【0124】
次に、SLS法を本発明に適用した図19とは異なる例について説明する。
【0125】
まず、1回目のレーザー光を半導体膜に照射する。このとき、レーザーはパルス発振でも連続発振でもどちらでも良い。1回目のレーザー光はマスクによって定められた部分にのみ照射するようにする。この1回目のレーザー光のエネルギー密度は、半導体膜の膜厚等によっても異なるが、マスクによって定められた部分の結晶性を高めることができる程度であれば良い。
【0126】
次に、走査方向を変え、マスクによって定められた部分に2回目のレーザー光を照射する。2回目のレーザー光はパルス発振のレーザーを用い、マスクによって定められた部分において、半導体膜を全厚さにわたって局部的に溶融させることができるようなエネルギー密度で照射する。
【0127】
図20(A)に、2回目のレーザー光照射の1ショット目を照射した直後の、半導体膜の様子を模式的に示す。半導体膜812は1回目のレーザー光照射によって結晶性が高められた部分に相当する。そして2回目のレーザー光の照射により、半導体膜812のビームスポット811があたっている部分において、半導体膜が全厚さにわたって局部的に溶融する。そして、ビームスポットの端の部分が種結晶となり、矢印で示したようにビームスポットの端部から中心に向かってラテラル方向に結晶が成長する。
【0128】
そして時間の経過にしたがって結晶の成長が進んでいくと、完全に溶融した部分において発生した種結晶から生成した結晶粒とぶつかり合うか、もしくは反対側から成長してきた結晶粒とぶつかり合うかして、ビームスポットの中心部分813において結晶成長が終了する。図20(B)に結晶成長が終了した時点での半導体膜の様子を模式的に示す。ビームスポットの中心部分813では、他の部分に比べて微結晶が多数存在していたり、結晶粒どうしがぶつかり合うことで半導体膜の表面が不規則になっていたりする。
【0129】
次に、2回目のレーザー光照射の2ショット目を照射する。2ショット目は1ショット目のビームスポットから少しずらして照射する。図20(C)に、2ショット目を照射した直後の、半導体膜の様子を模式的に示す。2ショット目のビームスポットは、1ショット目のビームスポットがあたっていた部分811から位置がずれているが、図20(C)では、2ショット目のビームスポットが1ショット目によって形成された中心部813を覆わず、1ショット目のビームスポットがあたっていた部分と一部重なる程度のずれである。
【0130】
そして、2ショット目のビームスポットの端の部分が種結晶となり、矢印で示したようにビームスポットの端部から中心に向かってラテラル方向に結晶が成長する。このとき、1ショット目によって結晶化された部分811のうち、2ショット目のビームスポットがあたっていない部分が種結晶となり、1ショット目によって形成されたラテラル方向に成長した結晶が、さらに走査方向に向かって成長する。
【0131】
そして時間の経過にしたがって結晶の成長が進んでいくと、完全に溶融した部分において発生した種結晶から生成した結晶粒とぶつかり合うか、もしくは反対側から成長してきた結晶粒とぶつかり合うかして、2ショット目のビームスポットの中心部分815において結晶成長が終了する。図20(D)に結晶成長が終了した時点での半導体膜の様子を模式的に示す。ビームスポットの中心部分815では、他の部分に比べて微結晶が多数存在していたり、結晶粒どうしがぶつかり合うことで半導体膜の表面が不規則になっていたりする。
【0132】
以下、3ショット目以降も同様に、ビームスポットを走査方向に少しずつずらして照射していくことで、図20(E)に示すように走査方向と平行に結晶が成長する。上記構成により、結晶粒の位置及び大きさを制御しながら、部分的に結晶化を行うことができる。
【0133】
図20に示した照射方法によって得られる結晶は、ビームスポットの中心部が残されている、該中心部においては結晶性が芳しくないので、該中心部をチャネル形成領域に含まない様に、より好ましくは活性層に含まないように、活性層がレイアウトされているのが望ましい。
【0134】
なお、図19及び図20の照射方法の両方において、結晶粒の成長方向と、チャネル形成領域のキャリアの進む方向とが平行になるように活性層がレイアウトされていると、チャネル形成領域に含まれる粒界が少なくなるので、移動度が高くなり、オフ電流も抑えることができる。また、チャネル形成領域のキャリアの進む方向と結晶粒の成長方向とが、平行にならないような角度を有するように活性層がレイアウトされていると、チャネル形成領域に含まれる粒界が多くなる。しかし複数の活性層を比較したときに、各活性層のチャネル形成領域に含まれる全粒界に対する、活性層どうしの粒界の量の差の割合が小さくなり、作製されるTFTの移動度及びオフ電流値のばらつきが小さくなる。
【0135】
なお本実施例では、2回目のレーザー光照射においてSLS法を用いているが本実施例はこの構成に限定されない。例えば1回目にSLS法を用いて結晶化させた後に、2回目のレーザー光照射にパルス発振のレーザーを用いることで、1回目のレーザー光の照射によって形成された結晶粒内の欠陥をなくし、より結晶性を高めることが可能である。そして、パルス発振のレーザーの場合、一般的に連続発振のレーザーよりもエネルギー密度が高く、ビームスポットの面積を比較的広げることができるので、基板一枚の処理時間を短くすることができ、処理効率を高めることができる。
【0136】
なお本実施例では2回レーザ光を照射する例について述べたが、レーザ光の照射は無論1回でもよい。
【0137】
なお、本実施例において、結晶核となる領域を特定するためにレーザー光のビームスポットの形状をマスクで成形するようにしても良い。またレーザーはパルス発振のエキシマレーザーやYLFレーザーを用いることができるが、レーザーの種類はこの構成に限定されない。
【0138】
(実施例2)
本実施例では、ビームスポットを重ね合わせるための光学系について説明する。
【0139】
図21に、本実施例の光学系の具体的な構成を示す。図21(A)は本発明のレーザー照射装置の光学系の側面図であり、図21(A)の矢印Bの方向から見た側面図を図21(B)に示す。なお図21(B)の矢印Aの方向から見た側面図が、図21(A)に相当する。
【0140】
図21はビームスポットを4つ合成して1つのビームスポットにする場合の光学系を示している。なお本実施例において合成するビームスポットの数はこれに限定されず、合成するビームスポットの数は2以上8以下であれば良い。
【0141】
401、402、403、404、405はシリンドリカルレンズであり、図21には示されていないが、本実施例の光学系はシリンドリカルレンズを6つ用いている。また410はスリットである。図22に図21に示した光学系の斜視図を示す。シリンドリカルレンズ403、404、405、406のそれぞれに、異なるレーザー発振装置からレーザー光が入射される。
【0142】
そしてシリンドリカルレンズ403、405によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ401に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズにおいてそのビームスポットの形状が加工された後、スリット410において再びそのビームスポットの形状が加工され、被処理物400に照射される。また、シリンドリカルレンズ404、406によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ402に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズにおいてそのビームスポットの形状が加工された後、スリット410において再びそのビームスポットの形状が加工され、被処理物400に照射される。
【0143】
被処理物400におけるレーザー光のビームスポットは互いに一部重なることで合成されて、1つのビームスポットになっている。
【0144】
なお、本実施例では、被処理物400に最も近いシリンドリカルレンズ401、402の焦点距離を20mmとし、シリンドリカルレンズ403〜406の焦点距離を150mmとする。そしてシリンドリカルレンズ401、402から被処理物400へのレーザー光の入射角θは、本実施例では25°とし、シリンドリカルレンズ403〜406からシリンドリカルレンズ401、402へのレーザー光の入射角θを10°とするように各レンズを設置する。
【0145】
なお各レンズの焦点距離及び入射角は設計者が適宜設定することが可能である。さらに、シリンドリカルレンズの数もこれに限定されず、また用いる光学系はシリンドリカルレンズに限定されない。本発明は、各レーザー発振装置から発振されるレーザー光のビームスポットを、半導体膜の結晶化に適した形状及びエネルギー密度になるように加工し、なおかつ全てのレーザー光のビームスポットを互いに重ね合わせて合成し、1つのビームスポットにすることができるような光学系であれば良い。
【0146】
なお本実施例では、4つのビームスポットを合成する例について示しており、この場合4つのレーザー発振装置にそれぞれ対応するシリンドリカルレンズを4つと、該4つのシリンドリカルレンズに対応する2つのシリンドリカルレンズとを有している。n(n=2、4、6、8)のビームスポットを合成する場合、nのレーザー発振装置にそれぞれ対応するnのシリンドリカルレンズと、該nのシリンドリカルレンズに対応するn/2のシリンドリカルレンズとを有している。n(n=3、5、7)のビームスポットを合成する場合、nのレーザー発振装置にそれぞれ対応するnのシリンドリカルレンズと、該nのシリンドリカルレンズに対応する(n+1)/2のシリンドリカルレンズとを有している。
【0147】
次に、8つのレーザー発振装置を用いた本発明のレーザー照射装置の、光学系について説明する。
【0148】
図23、図24に、本実施例のレーザー照射装置に用いられる光学系の具体的な構成を示す。図23は本発明のレーザー照射装置の光学系の側面図であり、図23の矢印Bの方向から見た側面図を図24に示す。なお図24の矢印Aの方向から見た側面図が、図23に相当する。
【0149】
本実施例ではビームスポットを8つ合成して1つのビームスポットにする場合の光学系を示している。なお本発明において合成するビームスポットの数はこれに限定されず、合成するビームスポットの数は2以上8以下であれば良い。
【0150】
441〜450はシリンドリカルレンズであり、図23、図24には示されていないが、本実施例の光学系は12のシリンドリカルレンズ441〜452を用いている。また460、461はスリットである。図25に図23、図24に示した光学系の斜視図を示す。シリンドリカルレンズ441〜444のそれぞれに、異なるレーザー発振装置からレーザー光が入射される。
【0151】
そしてシリンドリカルレンズ450、445によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ441に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズ441においてそのビームスポットの形状が加工された後、スリット460において再びそのビームスポットの形状が加工され、被処理物440に照射される。また、シリンドリカルレンズ451、446によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ442に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズ442においてそのビームスポットの形状が加工された後、スリット460において再びそのビームスポットの形状が加工され、被処理物440に照射される。また、シリンドリカルレンズ449、447によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ443に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズ443においてそのビームスポットの形状が加工された後、スリット461において再びそのビームスポットの形状が加工され、被処理物440に照射される。また、シリンドリカルレンズ452、448によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ444に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズ444においてそのビームスポットの形状が加工された後、スリット461において再びそのビームスポットの形状が加工され、被処理物440に照射される。
【0152】
被処理物440におけるレーザー光のビームスポットは互いに一部重なることで合成されて、1つのビームスポットになっている。
【0153】
なお、本実施例では、被処理物440に最も近いシリンドリカルレンズ441〜444の焦点距離を20mmとし、シリンドリカルレンズ445〜452の焦点距離を150mmとする。そしてシリンドリカルレンズ441〜444から被処理物440へのレーザー光の入射角θは、本実施例では25°とし、シリンドリカルレンズ445〜452からシリンドリカルレンズ441〜444へのレーザー光の入射角θを10°とするように各レンズを設置する。
【0154】
なお各レンズの焦点距離及び入射角は設計者が適宜設定することが可能である。さらに、シリンドリカルレンズの数もこれに限定されず、また用いる光学系はシリンドリカルレンズに限定されない。本発明は、各レーザー発振装置から発振されるレーザー光のビームスポットを、半導体膜の結晶化に適した形状及びエネルギー密度になるように加工し、なおかつ全てのレーザー光のビームスポットを互いに重ね合わせて合成し、1つのビームスポットにすることができるような光学系であれば良い。
【0155】
なお本実施例では、8つのビームスポットを合成する例について示しており、この場合8つのレーザー発振装置にそれぞれ対応するシリンドリカルレンズを8つと、該8つのシリンドリカルレンズに対応する4つのシリンドリカルレンズとを有している。
【0156】
ビームスポットを5つ以上重ね合わせるとき、光学系を配置する場所及び干渉等を考慮すると、5つ目以降のレーザー光は基板の反対側から照射するのが望ましく、この場合基板は透過性を有していることが必要である。
【0157】
なお、戻り光がもときた光路をたどって戻るのを防ぐために、基板に対する入射角は、0より大きく90°より小さくなるように保つようにするのが望ましい。
【0158】
また、均一なレーザー光の照射を実現するためには、照射面に垂直な平面であって、かつ合成前の各ビームの形状をそれぞれ長方形と見立てたときの短辺を含む面または長辺を含む面のいずれか一方を入射面と定義すると、前記レーザー光の入射角度θは、入射面に含まれる前記短辺または前記長辺の長さがW、前記照射面に設置され、かつ、前記レーザー光に対して透光性を有する基板の厚さがdであるとき、θ≧arctan(W/2d)を満たすのが望ましい。この議論は合成前の個々のレーザー光について成り立つ必要がある。なお、レーザー光の軌跡が、前記入射面上にないときは、該軌跡を該入射面に射影したものの入射角度をθとする。この入射角度θでレーザー光が入射されれば、基板の表面での反射光と、前記基板の裏面からの反射光とが干渉せず、一様なレーザー光の照射を行うことができる。以上の議論は、基板の屈折率を1として考えた。実際は、基板の屈折率が1.5前後のものが多く、この数値を考慮に入れると上記議論で算出した角度よりも大きな計算値が得られる。しかしながら、ビームスポットの長手方向の両端のエネルギーは減衰があるため、この部分での干渉の影響は少なく、上記の算出値で十分に干渉減衰の効果が得られる。
【0159】
本実施例の構成は、実施例1と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0160】
(実施例3)
本実施例では、複数のレーザー発振装置を用いた場合において、レーザー光照射の途中で、スリットの幅を変えてレーザー光のビームスポットの幅を変更する例について説明する。
【0161】
本発明のレーザー照射装置は、コンピューターにおいて、入力されたマスクの情報に基づきレーザー光の走査経路を把握する。さらに本実施例では、ビームスポットの幅をマスクの形状に合わせて変えるようにする。
【0162】
図26(A)に、レーザー光を1回照射する場合の、半導体膜のパターニングのマスクの形状と、ビームスポットの幅の関係を一例として示す。560は半導体膜のパターニングのマスクの形状を示しており、レーザー照射による結晶化の後、該マスクに従って半導体膜がパターニングされる。
【0163】
561と562は、レーザー光が照射された部分を示している。なお561と562は、4つのレーザー発振装置から出力されたレーザー光を重ね合わせて合成することで得られるビームスポットを、走査した部分である。562は561よりもビームスポットの幅が狭くなるように、スリットによって制御されている。
【0164】
図26(B)に、レーザー光を2回照射する場合の、半導体膜のパターニングのマスクの形状と、ビームスポットの幅の関係を一例として示す。360は半導体膜のパターニングのマスクの形状を示しており、2回のレーザー光照射による結晶化の後、該マスクに従って半導体膜がパターニングされる。
【0165】
363は1回目のレーザー光が照射された部分を示している。本実施例では1回目のレーザー光は半導体膜全面に照射しているが、パターニング後に活性層が得られる部分が少なくとも結晶化される様に、部分的にレーザー光を照射するようにしてもよい。また、パターニング後に活性層が得られる部分とエッジとが、重ならないようにすることが肝要である。
【0166】
361と362は、2回目のレーザー光が照射された部分を示している。なお361と362は、4つのレーザー発振装置から出力されたレーザー光を重ね合わせて合成することで得られるビームスポットを、走査した部分である。362は361よりもビームスポットの幅が狭くなるように、スリットによって制御されている。
【0167】
なお、1回目のレーザー光を部分的に照射し、2回目のレーザー光照射を全面に行うようにしてもよい。
【0168】
なお本実施例のように、スリットを用いてるので、全てのレーザー発振装置の出力を止めずにビームスポットの幅を自在に変えることができ、レーザー発振装置の出力を止めることで出力が不安定になるのを避けることができる。
【0169】
上記構成により、レーザー光の軌跡の幅を変えることができるので、レーザー光の軌跡のエッジが、パターニングによって得られる半導体と重なるのを防ぐことができる。また不必要な部分にレーザー光を照射することで基板に与えられるダメージをさらに軽減することができる。
【0170】
本実施例は、実施例1または実施例2と組み合わせて実施することが可能である。
【0171】
(実施例4)
本実施例では、レーザー光照射の途中で、AO変調器によりレーザー光の方向を変更することで、結果的にレーザ光を遮り、所定の部分にのみレーザー光を照射する例について説明する。なお本実施例ではAO変調器を用いてレーザー光を遮蔽しているが、本発明はこれに限定されず、レーザー光を遮蔽できればどのような手段を用いても良い。
【0172】
本発明のレーザー照射装置は、コンピューターにおいて、入力されたマスクの情報に基づきレーザー光を走査する部分を把握する。さらに本実施例では、走査するべき部分のみにレーザー光が照射されるようにAO変調器を用いてレーザー光を遮る。このときAO変調器は、レーザー光を遮ることが可能であり、なおかつレーザー光によって変形または損傷しないような材質で形成するのが望ましい。
【0173】
図27(A)に、半導体膜のパターニングのマスクの形状と、レーザー光が照射される部分の関係を一例として示す。570は半導体膜のパターニングのマスクの形状を示しており、レーザー光照射による結晶化の後、該マスクに従って半導体膜がパターニングされる。
【0174】
571は、レーザー光が照射された部分を示している。破線で囲まれている部分はレーザー光がAO変調器で遮られている部分を示しており、本実施例では結晶化させる必要のない部分にはレーザー光を照射しないか、照射されていてもそのエネルギー密度が低くなるようにすることができる。したがって、不必要な部分にレーザー光を照射することで基板に与えられるダメージをさらに軽減することができる。
【0175】
図27(B)に、レーザー光を2回照射する場合の、半導体膜のパターニングのマスクの形状と、レーザー光が照射される部分の関係を一例として示す。370は半導体膜のパターニングのマスクの形状を示しており、レーザー照射による結晶化の後、該マスクに従って半導体膜がパターニングされる。
【0176】
373は1回目のレーザー光が照射された部分を示している。本実施例では1回目のレーザー光は半導体膜全面に照射しているが、パターニング後に活性層が得られる部分が少なくとも結晶化される様に、部分的にレーザー光を照射するようにしてもよい。また、パターニング後に活性層が得られる部分とエッジとが、重ならないようにすることが肝要である。
【0177】
371は、2回目のレーザー光が照射された部分を示している。破線はレーザー光がAO変調器で遮られている部分を示しており、本実施例では結晶化させる必要のない部分にはレーザー光が照射しないか、照射されていてもそのエネルギー密度が低くなるようにすることができる。したがって、不必要な部分にレーザー光を照射することで基板に与えられるダメージをさらに軽減することができる。
【0178】
なお、1回目のレーザー光を部分的に照射し、2回目のレーザー光照射を全面に行うようにしてもよい。
【0179】
次に、画素部、信号線駆動回路及び走査線駆動回路が備えられた半導体表示装置の作製工程において、AO変調器を用い、画素部、信号線駆動回路及び走査線駆動回路に1回づつ選択的にレーザー光を照射する場合について説明する。
【0180】
まず図28(A)に示すように、信号線駆動回路302及び画素部301に、矢印の方向に走査してレーザー光を照射する。このとき、レーザー光は基板全面に照射するのではなく、走査線駆動回路303にレーザー光が照射されないように、AO変調器を用いてレーザー光を遮る。
【0181】
次に、図28(B)に示すように、走査線駆動回路393に、矢印の方向に走査してレーザー光を照射する。このとき、信号線駆動回路392及び画素部391にはレーザー光を照射しない。
【0182】
次に、図29を用いて、AO変調器を用い、画素部、信号線駆動回路及び走査線駆動回路に1回づつ選択的にレーザー光を照射する場合の、他の例について説明する。
【0183】
まず図29(A)に示すように、走査線駆動回路393及び画素部391に、矢印の方向に走査してレーザー光を照射する。このとき、レーザー光は基板全面に照射するのではなく、信号線駆動回路392にレーザー光が照射されないように、AO変調器を用いてレーザー光を遮る。
【0184】
次に、図29(B)に示すように、信号線駆動回路392に、矢印の方向に走査してレーザー光を照射する。このとき、走査線駆動回路393及び画素部391にはレーザー光を照射しない。
【0185】
このように、AO変調器を用いて選択的にレーザー光を照射することができるので、各回路が有する活性層のチャネル形成領域のレイアウトに合わせて、回路ごとにレーザー光の走査方向を変更することができる。そして同じ回路に2回レーザー光が照射されるのを避けることができるので、2回目のレーザー光のエッジの部分とレイアウトされた活性層とが重ならないようにするための、レーザー光の経路の設定及び活性層のレイアウトにおける制約がなくなる。
【0186】
次に、AO変調器を用い、画素部、信号線駆動回路及び走査線駆動回路に1回づつ選択的にレーザー光を照射する場合の、大型の基板から複数のパネルを作製する例について説明する。
【0187】
まず図30に示すように、各パネルの信号線駆動回路382及び画素部381に、矢印の方向に走査してレーザー光を照射する。このとき、レーザー光は基板全面に照射するのではなく、走査線駆動回路383にレーザー光が照射されないように、AO変調器を用いてレーザー光を遮る。
【0188】
次に、各パネルの走査駆動回路383に、矢印の方向に走査してレーザー光を照射する。このとき、信号線駆動回路382及び画素部381にはレーザー光を照射しない。なお385は基板386のスクライブラインである。
【0189】
本実施例は、実施例1〜実施例3と組み合わせて実施することが可能である。
【0190】
(実施例5)
本実施例では、マーカー形成部463に設けられたマーカーの一例を示す。
【0191】
図31(A)に本実施例のマーカーの上面図を示す。461、462は半導体膜に形成された基準となるマーカー(以下、基準マーカーと呼ぶ)であり、それぞれ形状が矩形である。基準マーカー461は、全てその矩形の長辺が水平方向に配置されており、各基準マーカー461は一定の間隔を保って垂直方向に配置されている。基準マーカー462は全てその矩形の長辺が垂直方向に配置されており、各基準マーカー462は一定の間隔を保って水平方向に配置されている。
【0192】
基準マーカー461はマスクの垂直方向の位置を定める基準となり、基準マーカー462はマスクの水平方向の位置を定める基準となっている。464、465は半導体膜のパターニング用マスクのマーカーであり、それぞれ形状が矩形である。マーカー464はその矩形の長辺が水平方向に配置されるように、なおかつマーカー465はその矩形の長辺が垂直方向に配置されるように、半導体パターニング用のマスクの位置を定める。そして、マーカー464が定められた2つの隣り合う基準マーカー461の丁度真中に位置するように、なおかつマーカー465が定められた2つの隣り合う基準マーカー462の丁度真中に位置するように、半導体パターニング用のマスクの位置を定める。
【0193】
図31(B)に半導体膜に形成された基準マーカーの斜視図を示す。基板471に成膜された半導体膜470の一部は、レーザーによって矩形状に削られており、該削られた部分が基準マーカー461、462として機能する。
【0194】
なお本実施例に示したマーカーはほんの一例であり、本発明のマーカーはこれに限定されない。本発明で用いるマーカーは、半導体膜をレーザー光で結晶化させる前に形成することができ、なおかつレーザー光の照射による結晶化の後にでも用いることができるものであれば良い。
【0195】
次に図32を用いて、本発明のレーザー照射装置が有する、マーカー形成用の光学系の構成について説明する。図16において、350はマーカーのパターン形成用のレチクルであり、レチクル350を通ったレーザー光は凸レンズ351において集光され、基板352上に形成された半導体膜353に照射される。そして、レーザー光の照射された部分の半導体膜が除去されて開口部354が形成される。この開口部354をマーカーとして用いることができる。
【0196】
なお、レチクルのパターンを縮小して投影するための光学系は凸レンズ351に限定されない。レチクルのパターンを縮小できる光学系であれば良い。またレチクルのパターンを、マーカーのパターンと同じオーダーのサイズで作製することができれば、レチクルのパターンを縮小して投影するための光学系を用いる必要はない。
【0197】
図32において、レンズ350が有する2つの主点のうち、レチクル350に最も近い主点Aとレチクル350との距離をL、半導体膜353に最も近い主点Bと被処理物である半導体膜353との距離をLとすると、レンズ351の焦点距離fは以下の式1で表される。なお2つの主点が一致している場合も同様に、LとLを定義することができる。
【0198】
【式1】
1/f=1/L+1/L
【0199】
そしてレチクルの拡大率Mは、以下の式2で表される。
【0200】
【式2】
M=L/L
【0201】
上記式1及び式2を用いることで、レンズ351の焦点距離fが定まれば、拡大率Mが定まる。
【0202】
本実施例は、実施例1〜4と組み合わせて実施することが可能である。
【0203】
(実施例6)
本実施例では、半導体膜を結晶化させる際に、レーザー光を2回照射する場合の、アクティブマトリクス基板の作製方法について図33〜図36を用いて説明する。本明細書ではCMOS回路、及び駆動回路と、画素TFT、保持容量とを有する画素部を同一基板上に形成された基板を、便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0204】
まず、本実施例ではバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板600を用いる。なお、基板600としては、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性が有するプラスチック基板を用いてもよい。
【0205】
次いで、基板600上に酸化珪素膜、窒化珪素膜または酸化窒化珪素膜などの絶縁膜から成る下地膜601を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により形成する。本実施例では下地膜601として下地膜601a、601bの2層の下地膜を用いるが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いても良い(図33(A))。
【0206】
次いで、下地膜601上に、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで非晶質半導体膜692を形成する(図33(B))。なお、本実施例では非晶質半導体膜を成膜しているが、微結晶半導体膜、結晶性半導体膜であっても良い。また、非晶質珪素ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を用いても良い。
【0207】
次に、非晶質半導体膜692をレーザー結晶化法により結晶化させる。レーザー結晶化法は、本発明のレーザー照射方法を用いて行なう。具体的には、レーザー照射装置のコンピューターに入力されたマスクの情報に従って、非晶質半導体膜に走査方向の異なるレーザー光を2回照射する。そしてレーザー光が2回照射された部分を活性層として用いる。もちろん、レーザー結晶化法だけでなく、他の公知の結晶化法(RTAやファーネスアニール炉を用いた熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いた熱結晶化法等)と組み合わせて行ってもよい。
【0208】
非晶質半導体膜の結晶化に際し、連続発振が可能な固体レーザーを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を用いることで、大粒径の結晶を得ることができる。代表的には、Nd:YVOレーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いるのが望ましい。具体的には、連続発振のYVOレーザーから射出されたレーザー光を非線形光学素子により高調波に変換し、出力10Wのレーザー光を得る。また、共振器の中にYVO結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザー光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm程度(好ましくは0.1〜10MW/cm)が必要である。そして、10〜2000cm/s程度の速度でレーザー光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射する。
【0209】
なお2回のレーザー照射は、パルス発振または連続発振の気体レーザーもしくは固体レーザーを用いることができる。気体レーザーとして、エキシマレーザー、Arレーザー、Krレーザーなどがあり、固体レーザーとして、YAGレーザー、YVOレーザー、YLFレーザー、YAlOレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライドレーザー、Ti:サファイアレーザー、Yレーザーなどが挙げられる。固体レーザーとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti、Yb又はTmがドーピングされたYAG、YVO、YLF、YAlOなどの結晶を使ったレーザー等も使用可能である。当該レーザーの基本波はドーピングする材料によって異なり、1μm前後の基本波を有するレーザー光が得られる。基本波に対する高調波は、非線形光学素子を用いることで得ることができる。
【0210】
上述したレーザー結晶化によって、非晶質半導体膜に2回レーザー光が照射されて結晶性が高められた領域693、694、695が形成される(図33(B))。
【0211】
次に、部分的に結晶性が高められた結晶性半導体膜を所望の形状にパターニングして、結晶化された領域693、694、695から島状の半導体膜602〜606を形成する(図33(C))。
【0212】
また、島状の半導体膜602〜606を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。
【0213】
次いで、島状の半導体膜602〜606を覆うゲート絶縁膜607を形成する。ゲート絶縁膜607はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により110nmの厚さで酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成した。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0214】
また、酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とOとを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cmで放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化珪素膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
【0215】
次いで、ゲート絶縁膜607上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜608と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜609とを積層形成する。本実施例では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜608と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜609を積層形成した。TaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用い、窒素を含む雰囲気内でスパッタする。また、W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成した。その他に6フッ化タングステン(WF)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W膜中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。従って、本実施例では、高純度のW(純度99.9999%)のターゲットを用いたスパッタ法で、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができる。
【0216】
なお、本実施例では、第1の導電膜608をTaN、第2の導電膜609をWとしたが、特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。また、第1の導電膜をタンタル(Ta)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化チタン(TiN)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をWとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をAl膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をCu膜とする組み合わせとしてもよい。
【0217】
また、2層構造に限定されず、例えば、タングステン膜、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、タングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
【0218】
なお、導電膜の材料によって、適宜最適なエッチングの方法や、エッチャントの種類を選択することが重要である。
【0219】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク610〜615を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う。(図34(B))本実施例では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCFとClとOとを用い、それぞれのガス流量比を25:25:10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。
【0220】
この後、レジストからなるマスク610〜615を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCFとClとを用い、それぞれのガス流量比を30:30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CFとClを混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0221】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層617〜622(第1の導電層617a〜622aと第2の導電層617b〜622b)を形成する。616はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層617〜622で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
【0222】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。(図34(C))ここでは、エッチングガスにCFとClとOとを用い、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層628b〜633bを形成する。一方、第1の導電層617a〜622aは、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層628〜633を形成する。
【0223】
そして、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行い、島状の半導体膜にn型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。ドーピング処理はイオンドープ法、若しくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1014 atoms/cmとし、加速電圧を40〜80kVとして行う。本実施例ではドーズ量を1.5×1013atoms/cmとし、加速電圧を60kVとして行う。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いる。この場合、導電層628〜633がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に不純物領域623〜627が形成される。不純物領域623〜627には1×1018〜1×1020/cmの濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。
【0224】
レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク634a〜634cを形成して第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で第2のドーピング処理を行う。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜1×1015 atoms/cmとし、加速電圧を60〜120kVとして行う。ドーピング処理は第2の導電層628b〜632bを不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層のテーパー部の下方の島状の半導体膜に不純物元素が添加されるようにドーピングする。続いて、第2のドーピング処理より加速電圧を下げて第3のドーピング処理を行って図35(A)の状態を得る。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1015〜1×1017 atoms/cmとし、加速電圧を50〜100kVとして行う。第2のドーピング処理および第3のドーピング処理により、第1の導電層と重なる低濃度不純物領域636、642、648には1×1018〜5×1019/cmの濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加され、高濃度不純物領域635、641、644、647には1×1019〜5×1021/cmの濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加される。
【0225】
もちろん、適当な加速電圧にすることで、第2のドーピング処理および第3のドーピング処理は1回のドーピング処理で、低濃度不純物領域および高濃度不純物領域を形成することも可能である。
【0226】
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク650a〜650cを形成して第4のドーピング処理を行う。この第4のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる島状の半導体膜に前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域653、654、659、660を形成する。第2の導電層628a〜632aを不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域を形成する。本実施例では、不純物領域653、654、659、660はジボラン(B)を用いたイオンドープ法で形成する。(図35(B))この第4のドーピング処理の際には、nチャネル型TFTを形成する島状の半導体膜はレジストからなるマスク650a〜650cで覆われている。第1乃至3のドーピング処理によって、不純物領域653と654、659と660にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、そのいずれの領域においてもp型を付与する不純物元素の濃度を1×1019〜5×1021atoms/cmとなるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。
【0227】
以上までの工程で、それぞれの島状の半導体膜に不純物領域が形成される。
【0228】
次いで、レジストからなるマスク650a〜650cを除去して第1の層間絶縁膜661を形成する。この第1の層間絶縁膜661としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚150nmの酸化窒化珪素膜を形成した。勿論、第1の層間絶縁膜661は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0229】
次いで、図35(C)に示すように、活性化処理としてレーザー照射方法を用いる。レーザーアニール法を用いる場合、結晶化の際に用いたレーザーを使用することが可能である。活性化の場合は、移動速度は結晶化と同じにし、0.01〜100MW/cm程度(好ましくは0.01〜10MW/cm)のエネルギー密度が必要となる。また結晶化の際には連続発振のレーザーを用い、活性化の際にはパルス発振のレーザーを用いるようにしても良い。
【0230】
また、第1の層間絶縁膜を形成する前に活性化処理を行っても良い。
【0231】
そして、加熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行うと水素化を行うことができる。この工程は第1の層間絶縁膜661に含まれる水素により島状の半導体膜のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)や、3〜100%の水素を含む雰囲気中で300〜650℃で1〜12時間の加熱処理を行っても良い。この場合は、第1の層間絶縁膜の存在に関係なく半導体層を水素化することができる。
【0232】
次いで、第1の層間絶縁膜661上に無機絶縁膜材料または有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜662を形成する。本実施例では、膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成した。次に、第2の層間絶縁膜662を形成した後、第2の層間絶縁膜662に接するように、第3の層間絶縁膜672を形成する。
【0233】
そして、駆動回路686において、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線664〜668を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でもよいし、三層以上の積層構造にしてもよい。また、配線の材料としては、AlとTiに限らない。例えば、TaN膜上にAlやCuを形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成してもよい。(図36)
【0234】
また、画素部687においては、画素電極670、ゲート配線669、接続電極668を形成する。この接続電極668によりソース配線(643aと643bの積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線669は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。また、画素電極670は、画素TFTのドレイン領域690と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する島状の半導体膜685と電気的な接続が形成される。また本願では画素電極と接続電極とを同じ材料で形成しているが、画素電極670としてAlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いても良い。
【0235】
以上の様にして、nチャネル型TFT681とpチャネル型TFT682からなるCMOS回路、及びnチャネル型TFT683を有する駆動回路686と、画素TFT684、保持容量685とを有する画素部687を同一基板上に形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。
【0236】
駆動回路686のnチャネル型TFT681はチャネル形成領域637、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層628aと重なる低濃度不純物領域636(GOLD(Gate Overlapped LDD)領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域652を有している。このnチャネル型TFT681と電極666で接続してCMOS回路を形成するpチャネル型TFT682にはチャネル形成領域640、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域653、p型を付与する不純物元素が導入された不純物領域654を有している。また、nチャネル型TFT683にはチャネル形成領域643、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層630aと重なる低濃度不純物領域642(GOLD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域656を有している。
【0237】
画素部の画素TFT684にはチャネル形成領域646、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域645(LDD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域658を有している。また、保持容量685の一方の電極として機能する島状の半導体膜には、n型を付与する不純物元素およびp型を付与する不純物元素が添加されている。保持容量685は、絶縁膜616を誘電体として、電極(632aと632bの積層)と、島状の半導体膜とで形成している。
【0238】
本実施例の画素構造は、ブラックマトリクスを用いることなく、画素電極間の隙間が遮光されるように、画素電極の端部をソース配線と重なるように配置形成する。
【0239】
本実施例は、実施例1〜実施例5と組み合わせて実施することが可能である。
【0240】
(実施例7)
本実施例では、実施例6で作製したアクティブマトリクス基板から、反射型液晶表示装置を作製する工程を以下に説明する。説明には図37を用いる。
【0241】
まず、実施例6に従い、図36の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図36のアクティブマトリクス基板上、少なくとも画素電極670上に配向膜867を形成しラビング処理を行う。なお、本実施例では配向膜867を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ872を所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
【0242】
次いで、対向基板869を用意する。次いで、対向基板869上に着色層870、871、平坦化膜873を形成する。赤色の着色層870と青色の着色層871とを重ねて、遮光部を形成する。また、赤色の着色層と緑色の着色層とを一部重ねて、遮光部を形成してもよい。
【0243】
本実施例では、実施例6に示す基板を用いている。従って、少なくともゲート配線669と画素電極670の間隙と、ゲート配線669と接続電極668の間隙と、接続電極668と画素電極670の間隙を遮光する必要がある。本実施例では、それらの遮光すべき位置に着色層の積層からなる遮光部が重なるように各着色層を配置して、対向基板を貼り合わせた。
【0244】
このように、ブラックマスク等の遮光層を形成することなく、各画素間の隙間を着色層の積層からなる遮光部で遮光することによって工程数の低減を可能とした。
【0245】
次いで、平坦化膜873上に透明導電膜からなる対向電極876を少なくとも画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜874を形成し、ラビング処理を施した。
【0246】
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材868で貼り合わせる。シール材868にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料875を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料875には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図37に示す反射型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、対向基板のみに偏光板(図示しない)を貼りつけた。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつけた。
【0247】
以上のようにして作製される液晶表示装置はエネルギー分布が周期的または一様なレーザー光が照射され、大粒径の結晶粒が形成された半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、前記液晶表示装置の動作特性や信頼性を十分なものとなり得る。そして、このような液晶表示装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0248】
なお、本実施例は実施例1〜実施例6と組み合わせて実施することが可能である。
【0249】
(実施例8)
本実施例では、実施例6で示したアクティブマトリクス基板を作製するときのTFTの作製方法を用いて、発光装置を作製する例を以下に説明する。発光装置とは、基板上に形成された発光素子を該基板とカバー材の間に封入した表示用パネルおよび該表示用パネルにTFT等を実装した表示用モジュールを総称したものである。なお、発光素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Luminescence)が得られる有機化合物を含む層(発光層)と陽極層と、陰極層とを有する。また、有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)があり、これらのうちどちらか、あるいは両方の発光を含む。
【0250】
なお、本明細書中では、発光素子において陽極と陰極の間に形成された全ての層を有機発光層と定義する。有機発光層には具体的に、発光層、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等が含まれる。基本的に発光素子は、陽極層、発光層、陰極層が順に積層された構造を有しており、この構造に加えて、陽極層、正孔注入層、発光層、陰極層や、陽極層、正孔注入層、発光層、電子輸送層、陰極層等の順に積層した構造を有していることもある。
【0251】
なお本実施例で用いられる発光素子は、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層または電子輸送層等が、無機化合物単独で、または有機化合物に無機化合物が混合されている材料で形成されている形態をも取り得る。また、これらの層どうしが互いに一部混合していても良い。
【0252】
図38(A)は、第3の層間絶縁膜750まで形成した時点での、本実施例の発光装置の断面図である。図38(A)において、基板700上に設けられたスイッチングTFT733、電流制御TFT734は実施例6の作製方法を用いて形成される。本実施例ではスイッチングTFT733は、チャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造としているが、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造もしくは三つ以上形成される構造であっても良い。また、本実施例では電流制御TFT734は、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造としているが、チャネル形成領域が二つ以上形成される構造であっても良い。
【0253】
基板700上に設けられた駆動回路が有するnチャネル型TFT731、pチャネル型TFT732は実施例6の作製方法を用いて形成される。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0254】
第3の層間絶縁膜750は、発光装置の場合、第2の層間絶縁膜751に含まれる水分が有機発光層に入るのを防ぐのに効果的である。第2の層間絶縁膜751が有機樹脂材料を有している場合、有機樹脂材料は水分を多く含むため、第3の層間絶縁膜750を設けることは特に有効である。
【0255】
実施例6の第3の層間絶縁膜を作製する工程まで終了したら、本実施例では第3の層間絶縁膜750上に画素電極711を形成する。
【0256】
なお、画素電極711は、透明導電膜からなる画素電極(発光素子の陽極)である。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。画素電極711は、配線を形成する前に平坦な第3の層間絶縁膜750上に形成する。本実施例においては、樹脂からなる第2の層間絶縁膜751を用いてTFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成される発光層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、発光層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
【0257】
次に、図38(B)に示すように、第3の層間絶縁膜750を覆うように黒色染料、カーボンまたは黒色の顔料などを分散した樹脂膜を成膜し、発光素子となる部分に開口部を形成することで、遮蔽膜770を成膜する。なお樹脂として、代表的にはポリイミド、ポリアミド、アクリル、BCB(ベンゾシクロブテン)等が挙げられるが、上記材料に限定されない。また有機樹脂の他に、遮蔽膜の材料として例えば、珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素などに黒色染料、カーボンまたは黒色の顔料を混入したものを用いることも可能である。遮蔽膜770は、配線701〜707において反射した外光が、観察者の目に入るのを防ぐ効果がある。
【0258】
次に、画素電極711形成後、ゲート絶縁膜752、第1の層間絶縁膜753、第2の層間絶縁膜751、第3の層間絶縁膜750、遮蔽膜770にコンタクトホールを形成する。そして画素電極711を覆って遮蔽膜770上に導電膜を形成し、該導電膜をエッチングすることで、各TFTの不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線701〜707を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でもよいし、三層以上の積層構造にしてもよい。また、配線の材料としては、AlとTiに限らない。例えば、TaN膜上にAlやCuを形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成してもよい。(図38(A))
【0259】
また、配線707は電流制御TFTのソース配線(電流供給線に相当する)であり、706は電流制御TFTのドレイン領域と画素電極711とを電気的に接続する電極である。
【0260】
配線701〜707を形成後、樹脂材料でなるバンク712を形成する。バンク712は1〜2μm厚のアクリル膜またはポリイミド膜をパターニングして画素電極711の一部を露出させるように形成する。
【0261】
画素電極711の上には発光層713が形成される。なお、図38(B)では一画素しか図示していないが、本実施例ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けている。また、本実施例では蒸着法により低分子系有機発光材料を形成している。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq)膜を設けた積層構造としている。Alqにキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
【0262】
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施例では低分子系有機発光材料を発光層として用いる例を示したが、中分子系有機発光材料や高分子系有機発光材料を用いても良い。なお、本明細書中において、昇華性を有さず、かつ、分子数が20以下または連鎖する分子の長さが10μm以下の有機発光材料を中分子系有機発光材料とする。また、高分子系有機発光材料を用いる例として、正孔注入層として20nmのポリチオフェン(PEDOT)膜をスピン塗布法により設け、その上に発光層として100nm程度のパラフェニレンビニレン(PPV)膜を設けた積層構造としても良い。なお、PPVのπ共役系高分子を用いると、赤色から青色まで発光波長を選択できる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機発光材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
【0263】
次に、発光層713の上には導電膜からなる陰極714が設けられる。本実施例の場合、導電膜としてアルミニウムとリチウムとの合金膜を用いる。勿論、公知のMgAg膜(マグネシウムと銀との合金膜)を用いても良い。陰極材料としては、周期表の1族もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用いれば良い。
【0264】
この陰極714まで形成された時点で発光素子715が完成する。なお、ここでいう発光素子715は、画素電極(陽極)711、発光層713及び陰極714で形成されたダイオードを指す。
【0265】
発光素子715を完全に覆うようにして保護膜754を設けても良い。保護膜754としては、炭素膜、窒化珪素膜もしくは窒化酸化珪素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。
【0266】
この際、カバレッジの良い膜を保護膜754として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い発光層713の上方にも容易に成膜することができる。また、DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、発光層713の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に発光層713が酸化するといった問題を防止できる。
【0267】
本実施例では、発光層と713は全てバリア性の高い炭素膜、窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウムもしくは窒化酸化アルミニウム等の無機絶縁膜で覆われているため、水分や酸素等が発光層に入って発光層が劣化するのをより効果的に防ぐことができる。
【0268】
特に第3絶縁膜750、パッシベーション膜712、保護膜754を、シリコンをターゲットとしたスパッタリング法により作製される窒化珪素膜を用いることで、より発光層への不純物の侵入を防ぐことができる。成膜条件は適宜選択すれば良いが、特に好ましくはスパッタガスには窒素(N)又は窒素とアルゴンの混合ガスを用い、高周波電力を印加してスパッタリングを行う。基板温度は室温の状態とし、加熱手段を用いなくても良い。既に有機絶縁膜や有機化合物層を形成した後は、基板を加熱せずに成膜することが望ましい。但し、吸着又は吸蔵している水分を十分除去するために、真空中で数分〜数時間、50〜100℃程度で加熱して脱水処理することは好ましい。
【0269】
室温でシリコンをターゲットとし、13.56MHzの高周波電力を印加し、窒素ガスのみ用いたスパッタリング法で形成された窒化珪素膜は、その赤外吸収スペクトルにおいてN−H結合とSi−H結合の吸収ピークが観測されず、またSi−Oの吸収ピークも観測されていないことが特徴的であり、膜中に酸素濃度及び水素濃度は1原子%以下であることがわかっている。このことからも、より効果的に酸素や水分などの不純物の侵入を防ぐことができるのがわかる。
【0270】
さらに、発光素子715を覆って封止材717を設け、カバー材718を貼り合わせる。封止材717としては紫外線硬化樹脂を用いれば良く、内部に吸湿効果を有する物質もしくは酸化防止効果を有する物質を設けることは有効である。また、本実施例においてカバー材718はガラス基板や石英基板やプラスチック基板(プラスチックフィルムも含む)の両面に炭素膜(好ましくはダイヤモンドライクカーボン膜)を形成したものを用いる。
【0271】
こうして図38(B)に示すような構造の発光装置が完成する。なお、バンク712を形成した後、保護膜を形成するまでの工程を、大気解放せずに連続的に処理することは有効である。また、さらに発展させてカバー材718を貼り合わせる工程までを大気解放せずに連続的に処理することも可能である。
【0272】
こうして、基板700上にnチャネル型TFT731、732、スイッチングTFT(nチャネル型TFT)703および電流制御TFT(nチャネル型TFT)734が形成される。
【0273】
なお本実施例では遮蔽膜770を第3の層間絶縁膜750とバンク712の間に形成したが、本発明はこの構成に限定されない。配線701〜707において反射した外光が、観察者の目に入るのを防ぐことができる位置に設けることが肝要である。例えば、本実施例のように発光素子715から発せられる光が基板700側に向かっている場合、第1の層間絶縁膜753と第2の層間絶縁膜751の間に遮蔽膜を設けるようにしても良い。そしてこの場合においても、遮蔽膜は発光素子からの光が通過できるように開口部を有する。
【0274】
さらに、図38を用いて説明したように、ゲート電極に絶縁膜を介して重なる不純物領域を設けることによりホットキャリア効果に起因する劣化に強いnチャネル型TFTを形成することができる。そのため、信頼性の高い発光装置を実現できる。
【0275】
また、本実施例では画素部と駆動回路の構成のみ示しているが、本実施例の製造工程に従えば、その他にも信号分割回路、D/Aコンバータ、オペアンプ、γ補正回路などの論理回路を同一の絶縁体上に形成可能であり、さらにはメモリやマイクロプロセッサをも形成しうる。
【0276】
以上のようにして作製される発光装置はエネルギー分布が周期的または一様なレーザー光が照射され、大粒径の結晶粒が形成された半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、前記発光装置の動作特性や信頼性を十分なものとなり得る。そして、このような発光装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0277】
なお、本実施例では、発光素子から発せられる光がTFT側に向かっているが、発光素子がTFTとは反対側に向かっていても良い。この場合、バンクに黒色染料、カーボンまたは黒色の顔料を混入した樹脂を用いることができる。図48に、発光素子からの発光がTFTとは反対の方に向いている発光装置の断面図を示す。
【0278】
図48では、第3の層間絶縁膜950を形成した後、ゲート絶縁膜952、第1の層間絶縁膜953、第2の層間絶縁膜951、第3の層間絶縁膜950にコンタクトホールを形成する。そして第3の層間絶縁膜950上に導電膜を形成し、該導電膜をエッチングすることで、各TFTの不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線901〜907を形成する。なお、これらの配線は、300nm厚のアルミニウム合金膜(1wt%のチタンを含有したアルミニウム膜)をパターニングして形成する。もちろん、単層構造に限らず、二層以上の積層構造にしてもよい。また、配線の材料としては、AlとTiに限らない。そして、配線906の一部は画素電極を兼ねている。
【0279】
配線901〜907を形成後、樹脂材料でなるバンク912を形成する。バンク912は1〜2μm厚の黒色染料、カーボンまたは黒色の顔料を混入した樹脂をパターニングして画素電極906の一部を露出させるように形成する。なお樹脂として、代表的にはポリイミド、ポリアミド、アクリル、BCB(ベンゾシクロブテン)等が挙げられるが、上記材料に限定されない。
【0280】
画素電極906の上には発光層913が形成される。そして、発光層913を覆って透明導電膜からなる対向電極(発光素子の陽極)が形成される。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。
【0281】
画素電極906、発光層913、対向電極914とによって発光素子915が形成される。
【0282】
遮蔽膜970は、配線901〜907において反射した外光が、観察者の目に入るのを防ぐ効果がある。
【0283】
なお、本実施例は実施例1〜実施例6のいずれか一と組み合わせて実施することが可能である。
【0284】
(実施例9)
本実施例では、本発明の半導体装置の1つである発光装置の画素の構成について説明する。図39に本実施例の発光装置の画素の断面図を示す。
【0285】
図39において、911は基板、912は下地となる絶縁膜(以下、下地膜という)である。基板911としては透光性基板、代表的にはガラス基板、石英基板、ガラスセラミックス基板、又は結晶化ガラス基板を用いることができる。但し、作製プロセス中の最高処理温度に耐えるものでなくてはならない。
【0286】
8201はスイッチングTFT、8202は電流制御TFTであり、それぞれnチャネル型TFT、pチャネル型TFTで形成されている。有機発光層の発光方向が基板の下面(TFT及び有機発光層が設けられていない面)の場合、上記構成であることが好ましい。しかしスイッチングTFTと電流制御TFTは、nチャネル型TFTでもpチャネル型TFTでも、どちらでも構わない。
【0287】
スイッチングTFT8201は、ソース領域913、ドレイン領域914、LDD領域915a〜915d、分離領域916及びチャネル形成領域917a、917bを含む活性層と、ゲート絶縁膜918と、ゲート電極919a、919bと、第1層間絶縁膜920と、ソース信号線921と、ドレイン配線922とを有している。なお、ゲート絶縁膜918又は第1層間絶縁膜920は基板上の全TFTに共通であっても良いし、回路又は素子に応じて異ならせても良い。
【0288】
また、図39に示すスイッチングTFT8201はゲート電極917a、917bが電気的に接続されており、いわゆるダブルゲート構造となっている。勿論、ダブルゲート構造だけでなく、トリプルゲート構造などいわゆるマルチゲート構造(直列に接続された二つ以上のチャネル形成領域を有する活性層を含む構造)であっても良い。
【0289】
マルチゲート構造はオフ電流を低減する上で極めて有効であり、スイッチングTFTのオフ電流を十分に低くすれば、それだけ電流制御TFT8202のゲート電極に接続された保持容量が必要とする最低限の容量を抑えることができる。即ち、保持容量の面積を小さくすることができるので、マルチゲート構造とすることは発光素子の有効発光面積を広げる上で有効である。
【0290】
さらに、スイッチングTFT8201においては、LDD領域915a〜915dは、ゲート絶縁膜918を介してゲート電極919a、919bと重ならないように設ける。このような構造はオフ電流を低減する上で非常に効果的である。また、LDD領域915a〜915dの長さ(幅)は0.5〜3.5μm、代表的には2.0〜2.5μmとすれば良い。なお、二つ以上のゲート電極を有するマルチゲート構造の場合、チャネル形成領域の間に設けられた分離領域916(ソース領域又はドレイン領域と同一の濃度で同一の不純物元素が添加された領域)がオフ電流の低減に効果的である。
【0291】
次に、電流制御TFT8202は、ソース領域926、ドレイン領域927及びチャネル形成領域965を含む活性層と、ゲート絶縁膜918と、ゲート電極930と、第1層間絶縁膜920と、ソース信号線931並びにドレイン配線932を有して形成される。本実施例において電流制御TFT8202はpチャネル型TFTである。
【0292】
また、スイッチングTFT8201のドレイン領域914は電流制御TFT8202のゲート930に接続されている。図示してはいないが、具体的には電流制御TFT8202のゲート電極930はスイッチングTFT8201のドレイン領域914とドレイン配線(接続配線とも言える)922を介して電気的に接続されている。なお、ゲート電極930はシングルゲート構造となっているが、マルチゲート構造であっても良い。また、電流制御TFT8202のソース信号線931は電源供給線(図示せず)に接続される。
【0293】
以上は画素内に設けられたTFTの構造について説明したが、このとき同時に駆動回路も形成される。図39には駆動回路を形成する基本単位となるCMOS回路が図示されている。
【0294】
図39においては極力動作速度を落とさないようにしつつホットキャリア注入を低減させる構造を有するTFTをCMOS回路のnチャネル型TFT8204として用いる。なお、ここでいう駆動回路としては、ソース信号側駆動回路、ゲート信号側駆動回路を指す。勿論、他の論理回路(レベルシフタ、A/Dコンバータ、信号分割回路等)を形成することも可能である。
【0295】
CMOS回路のnチャネル型TFT8204の活性層は、ソース領域935、ドレイン領域936、LDD領域937及びチャネル形成領域962を含み、LDD領域937はゲート絶縁膜918を介してゲート電極939と重なっている。
【0296】
ドレイン領域936側のみにLDD領域937を形成しているのは、動作速度を落とさないための配慮である。また、このnチャネル型TFT8204はオフ電流値をあまり気にする必要はなく、それよりも動作速度を重視した方が良い。従って、LDD領域937は完全にゲート電極に重ねてしまい、極力抵抗成分を少なくすることが望ましい。即ち、いわゆるオフセットはなくした方がよい。
【0297】
また、CMOS回路のpチャネル型TFT8205は、ホットキャリア注入による劣化が殆ど気にならないので、特にLDD領域を設けなくても良い。従って活性層はソース領域940、ドレイン領域941及びチャネル形成領域961を含み、その上にはゲート絶縁膜918とゲート電極943が設けられる。勿論、nチャネル型TFT8204と同様にLDD領域を設け、ホットキャリア対策を講じることも可能である。
【0298】
なお942、938、917a、917b、929はチャネル形成領域961〜965を形成するためのマスクである。
【0299】
また、nチャネル型TFT8204及びpチャネル型TFT8205はそれぞれソース領域上に第1層間絶縁膜920を間に介して、ソース信号線944、945を有している。また、ドレイン配線946によってnチャネル型TFT8204とpチャネル型TFT8205とのドレイン領域は互いに電気的に接続される。
【0300】
本発明のレーザー照射装置は、半導体膜の成膜、活性層の結晶化、活性化またはその他レーザーアニールを用いる工程において使用することができる。
【0301】
図40に、本実施例の発光装置を作製する場合の生産フローを示す。まずCADを用いて半導体装置の設計を行う。そして、設計された半導体膜のパターニングのマスクの形状に関する情報を、レーザー照射装置が有するコンピューターに入力する。
【0302】
一方、基板に形成されたマーカーに従って、ゲート電極を形成する。このときゲート電極とマーカーを同時に形成しても良い。そして、ゲート電極を覆うようにゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜に接するように非晶質半導体膜を形成する。非晶質半導体膜を基板上に成膜した後、非晶質半導体膜が成膜された基板をレーザー照射装置に設置する。
【0303】
そして、コンピューターで入力されたマスクの情報に基づき、マーカーの位置を基準にして、レーザー光の走査部分及びスリットの幅を決定する。そして形成されたマーカーを基準にして、レーザー光の走査部分にレーザー光を照射し、半導体膜を部分的に結晶化する。
【0304】
そして、レーザー光を照射した後、レーザー光照射により得られた多結晶半導体膜をパターニングしてエッチングし、島状の半導体膜を形成する。多結晶半導体膜をパターニングするタイミングは、TFTの設計に合わせて適宜変更が可能である。以下、島状の半導体膜からTFTを作製する工程が行われる。TFTの具体的な作製工程はTFTの形状によって異なるが、代表的にはゲート絶縁膜を形成した後、島状の半導体膜に不純物領域を形成する。そして、島状の半導体膜を覆うように層間絶縁膜を形成し、該層間絶縁膜にコンタクトホールを形成し、不純物領域の一部を露出させる。そして該コンタクトホールを介して不純物領域に接するように層間絶縁膜上に配線を形成する。
【0305】
なお、非晶質半導体膜の成膜とレーザー光による結晶化だけではなく、ゲート絶縁膜の形成からレーザー光による結晶化まで大気に曝さずに連続して行っても良いし、これらの他の工程を加えて連続して行っても良い。
【0306】
なお本実施例の構成は、実施例1〜8と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0307】
(実施例10)
本実施例では、本発明のレーザー照射装置を用いて作製された発光装置の画素の構成について説明する。図41に本実施例の発光装置の画素の断面図を示す。
【0308】
1751はnチャネル型TFTであり、1752はpチャネル型TFTである。nチャネル型TFT1751は、半導体膜1753と、第1の絶縁膜1770と、第1の電極1754、1755と、第2の絶縁膜1771と、第2の電極1756、1757とを有している。そして、半導体膜1752は、第1濃度の一導電型不純物領域1758と、第2濃度の一導電型不純物領域1759と、チャネル形成領域1760、1761を有している。
【0309】
第1の電極1754、1755とチャネル形成領域1760、1761とは、それぞれ第1の絶縁膜1770を間に挟んで重なっている。また、第2の電極1756、1757と、チャネル形成領域1760、1761とは、それぞれ第2の絶縁膜1771を間に挟んで重なっている。
【0310】
pチャネル型TFT1752は、半導体膜1780と、第1の絶縁膜1770と、第1の電極1782と、第2の絶縁膜1771と、第2の電極1781とを有している。そして、半導体膜1780は、第3濃度の一導電型不純物領域1783と、チャネル形成領域1784を有している。
【0311】
第1の電極1781とチャネル形成領域1784とは、それぞれ第1の絶縁膜1770を間に挟んで重なっている。第2の電極1782とチャネル形成とは、それぞれ第2の絶縁膜1771を間に挟んで重なっている。
【0312】
そして、第1の電極1781と第2の電極1782とは、配線1790を介して電気的に接続されている。
【0313】
本発明のレーザー照射装置は、半導体膜1785、1780の成膜、結晶化、活性化またはその他レーザーアニールを用いる工程において使用することができる。
【0314】
本実施例では、スイッチング素子として用いるTFT(本実施例の場合nチャネル型TFT1751)は、第1の電極に一定の電圧を印加している。第1の電極に一定の電圧を印加することで、電極が1つの場合に比べて閾値のばらつきを抑えることができ、なおかつオフ電流を抑えることができる。
【0315】
また、スイッチング素子として用いるTFTよりも大きな電流を流すTFT(本実施例の場合pチャネル型TFT1752)は、第1の電極と第2の電極とを電気的に接続している。第1の電極と第2の電極に同じ電圧を印加することで、実質的に半導体膜の膜厚を薄くしたのと同じように空乏層が早く広がるので、サブスレッショルド係数を小さくすることができ、オン電流を大きくすることができる。よって、この構造のTFTを駆動回路に使用することにより、駆動電圧を低下させることができる。また、オン電流を大きくすることができるので、TFTのサイズ(特にチャネル幅)を小さくすることができる。そのため集積密度を向上させることができる。
【0316】
図42に、本実施例の発光装置を作製する場合の生産フローを示す。まずCADを用いて半導体装置の設計を行う。そして、設計された半導体膜のパターニングのマスクの形状に関する情報を、レーザー照射装置が有するコンピューターに入力する。
【0317】
一方、基板に形成されたマーカーに従って、第1の電極を形成する。このとき第1の電極とマーカーを同時に形成しても良い。そして、第1の電極を覆うように第1の絶縁膜を形成し、第1の絶縁膜に接するように非晶質半導体膜を形成する。非晶質半導体膜を基板上に成膜した後、非晶質半導体膜が成膜された基板をレーザー照射装置に設置する。
【0318】
そして、コンピューターで入力されたマスクの情報に基づき、マーカーの位置を基準にして、レーザー光の走査部分を決定する。そして形成されたマーカーを基準にして、レーザー光の走査部分にレーザー光を照射し、半導体膜を部分的に結晶化する。
【0319】
そして、レーザー光を照射した後、第2の絶縁膜と第2の電極とを順に形成し、レーザー光照射により得られた多結晶半導体膜をパターニングしてエッチングし、島状の半導体膜を形成する。多結晶半導体膜をパターニングするタイミングは、TFTの設計に合わせて適宜変更が可能である。以下、島状の半導体膜からTFTを作製する工程が行われる。TFTの具体的な作製工程はTFTの形状によって異なるが、代表的には島状の半導体膜に不純物領域を形成する。そして、第2の絶縁膜及び第2の電極を覆うように層間絶縁膜を形成し、該層間絶縁膜にコンタクトホールを形成し、不純物領域の一部を露出させる。そして該コンタクトホールを介して不純物領域に接するように層間絶縁膜上に配線を形成する。
【0320】
なお、非晶質半導体膜の成膜とレーザー光による結晶化だけではなく、第1の絶縁膜の形成から第2の絶縁膜の形成まで大気に曝さずに連続して行っても良いし、これらの他の工程を加えて連続して行っても良い。
【0321】
なお、本実施例は実施例1〜実施例9のいずれか一と組み合わせて実施することが可能である。
【0322】
(実施例11)
本実施例では、本発明のレーザー照射装置を用いて駆動回路(信号線駆動回路または走査線駆動回路)を作製し、非晶質半導体膜で形成された画素部にTABまたはCOG等を用いて実装されている例について説明する。
【0323】
図43(A)に、駆動回路をTABに実装し、該TABを用いて画素部と、外付のコントローラ等が形成されたプリント基板とを接続している例を示す。ガラス基板5000に画素部5001が形成されており、TAB5005を介して本発明のレーザー照射装置で作製された駆動回路5002と接続されている。また駆動回路5002はTAB5005を介して、プリント基板5003と接続されている。またプリント基板5003には外部のインターフェースと接続するための端子5004が設けられている。
【0324】
図43(B)に、駆動回路と画素部をCOGで実装している例を示す。ガラス基板5100に画素部5101が形成されており、ガラス基板上に本発明のレーザー照射装置で作製された駆動回路5102が実装されている。また基板5100には外部のインターフェースと接続するための端子5104が設けられている。
【0325】
このように、本発明のレーザー照射装置で作製したTFTはチャネル形成領域の結晶性がより高められるため、高速動作が可能であり、画素部に比べて高速動作が要求される駆動回路を構成するのにより適している。また、画素部と駆動回路を別個に作製することで、歩留まりを高めることができる。
【0326】
なお、本実施例は実施例1〜実施例10のいずれか一と組み合わせて実施することが可能である。
【0327】
(実施例12)
本実施例では、ビームスポットを重ね合わせたときの、各ビームスポットの中心間の距離と、エネルギー密度との関係について説明する。なお、説明を分かり易くするため、スリットを設けない場合について説明する。
【0328】
図45に、各ビームスポットの中心軸方向におけるエネルギー密度の分布を実線で、合成されたビームスポットのエネルギー密度の分布を破線で示す。ビームスポットの中心軸方向におけるエネルギー密度の値は、一般的にガウス分布に従っている。
【0329】
合成前のビームスポットにおいて、ピーク値の1/e以上のエネルギー密度を満たしている中心軸方向の距離を1としたときの、各ピーク間の距離をXとする。また、合成されたビームスポットにおいて、合成後のピーク値と、バレー値の平均値に対するピーク値の割増分をYとする。シミュレーションで求めたXとYの関係を、図46に示す。なお図46では、Yを百分率で表した。
【0330】
図46において、エネルギー差Yは以下の式3の近似式で表される。
【0331】
【式3】
Y=60−293X+340X(Xは2つの解のうち大きい方とする)
【0332】
式3に従えば、例えばエネルギー差を5%程度にしたい場合、X≒0.584となるようにすれば良いということがわかる。Y=0となるのが理想的だが、それではビームスポットの長さが短くなるので、スループットとのバランスでXを決定すると良い。
【0333】
次に、Yの許容範囲について説明する。図47に、ビームスポットが楕円形状を有している場合の、中心軸方向におけるビーム幅に対するYVOレーザーの出力(W)の分布を示す。斜線で示す領域は、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲であり、3.5〜6Wの範囲内に合成したレーザー光の出力エネルギーが納まっていれば良いことがわかる。
【0334】
合成後のビームスポットの出力エネルギーの最大値と最小値が、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギー範囲にぎりぎりに入るとき、良好な結晶性が得られるエネルギー差Yが最大になる。よって図47の場合は、エネルギー差Yが±26.3%となり、上記範囲にエネルギー差Yが納まっていれば良好な結晶性が得られることがわかる。
【0335】
なお、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲は、どこまでを結晶性が良好だと判断するかによって変わり、また出力エネルギーの分布もビームスポットの形状によって変わってくるので、エネルギー差Yの許容範囲は必ずしも上記値に限定されない。設計者が、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲を適宜定め、用いるレーザーの出力エネルギーの分布からエネルギー差Yの許容範囲を設定する必要がある。
【0336】
本実施例は、実施例1〜11と組み合わせて実施することが可能である。
【0337】
(実施例13)
本発明のレーザー照射装置によって形成された半導体装置を用いた電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD(digital versatile disc)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それら電子機器の具体例を図44に示す。
【0338】
図44(A)は表示装置であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。本発明の半導体装置は表示部2003に用いることができる。半導体装置は自発光型であるためバックライトが必要なく、液晶ディスプレイよりも薄い表示部とすることができる。なお、表示装置は、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0339】
図44(B)はデジタルスチルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。本発明の半導体装置は表示部2102及びその他回路に用いることができる。
【0340】
図44(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明の半導体装置は表示部2203及びその他回路に用いることができる。
【0341】
図44(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明の半導体装置は表示部2302に用いることができる。
【0342】
図44(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(DVD等)読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示するが、本発明の半導体装置はこれら表示部A、B2403、2404及びその他回路に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
【0343】
図44(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体2501、表示部2502、アーム部2503を含む。本発明の半導体装置は表示部2502及びその他回路に用いることができる。
【0344】
図44(G)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を含む。本発明の半導体装置は表示部2602及びその他回路に用いることができる。
【0345】
ここで図44(H)は携帯電話であり、本体2701、筐体2702、表示部2703、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706、外部接続ポート2707、アンテナ2708等を含む。本発明の半導体装置は表示部2703及びその他回路に用いることができる。なお、表示部2703は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることができる。
【0346】
なお、上述した電子機器の他に、フロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
【0347】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜12に示したいずれの構成の半導体装置を用いても良い。
【0348】
(実施例14)
図49を用いて、本発明の発光装置の画素の構成について説明する。
【0349】
図49において、基板6000に、下地膜6001が形成されており、該下地膜6001上にトランジスタ6002が形成されている。トランジスタ6002は活性層6003と、ゲート電極6005と、活性層6003とゲート電極6005の間に挟まれたゲート絶縁膜6004と、を有している。
【0350】
活性層6003は多結晶半導体膜を用いるのが好ましく、該多結晶半導体膜は、本発明のレーザー照射装置を用いて形成することができる。
【0351】
なお、活性層は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムを用いるようにしても良い。シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。また窒化炭素が添加された珪素を用いていても良い。
【0352】
またゲート絶縁膜6004は、酸化珪素、窒化珪素または酸化窒化珪素を用いることができる。またそれらを積層した膜、例えばSiO上にSiNを積層した膜を、ゲート絶縁膜として用いても良い。またSiO2は、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とOとを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)、電力密度0.5〜0.8W/cmで放電させて、酸化シリコン膜を形成した。このようにして作製される酸化シリコン膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。また窒化アルミニウムをゲート絶縁膜として用いることができる。窒化アルミニウムは熱伝導率が比較的高く、TFTで発生した熱を効果的に拡散させることができる。またアルミニウムの含まれない酸化珪素や酸化窒化珪素等を形成した後、窒化アルミニウムを積層したものをゲート絶縁膜として用いても良い。また、SiをターゲットとしたRFスパッタ法を用いて形成されたSiOをゲート絶縁膜として用いても良い。
【0353】
またゲート電極6005として、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また単層の導電膜ではなく、複数の層からなる導電膜を積層したものであっても良い。
【0354】
例えば、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をWとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をTiとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をAlとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をCuとする組み合わせで形成することが好ましい。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。
【0355】
また、2層構造に限定されず、例えば、タングステン膜、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、タングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
【0356】
なお、導電膜の材料によって、適宜最適なエッチングの方法や、エッチャントの種類を選択することが重要である。
【0357】
またトランジスタ6002は、第1の層間絶縁膜6006で覆われており、第1の層間絶縁膜6006上には第2の層間絶縁膜6007と、第3の層間絶縁膜6008とが積層されている。
【0358】
第1の層間絶縁膜6006は、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、酸化珪素、窒化珪素または酸化窒化珪素膜を単層でまたは積層して用いることができる。また酸素よりも窒素のモル比率が高い酸化窒化珪素膜上に、窒素よりも酸素のモル比率が高い酸化窒化珪素膜を積層した膜を第1の層間絶縁膜6006として用いても良い。
【0359】
なお、第1の層間絶縁膜6006を成膜した後、加熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行うと、第1の層間絶縁膜6006に含まれる水素により、活性層6003に含まれる半導体のダングリングボンドを終端する(水素化)ことができる。
【0360】
また第2の層間絶縁膜6007は、非感光性のアクリルを用いることができる。
【0361】
第3の層間絶縁膜6008は、水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的には、例えばDLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜等を用いるのが望ましい。
【0362】
また図49において6010は陽極、6011は電界発光層、6012は陰極であり、陽極6010と電界発光層6011と陰極6012が重なっている部分が発光素子6013に相当する。トランジスタ6002は、発光素子6013に供給する電流を制御する駆動用トランジスタであり、発光素子6013と直接、または他の回路素子を介して直列に接続されている。
【0363】
電界発光層6011は、発光層単独かもしくは発光層を含む複数の層が積層された構成を有している。
【0364】
陽極6010は第3の層間絶縁膜6008上に形成されている。また第3の層間絶縁膜6008上には隔壁として用いる有機樹脂膜6014が形成されている。有機樹脂膜6014は開口部6015を有しており、該開口部において陽極6010と電界発光層6011と陰極6012が重なり合うことで発光素子6013が形成されている。
【0365】
そして有機樹脂膜6014及び陰極6012上に、保護膜6016が成膜されている。保護膜6016は第3の層間絶縁膜6008と同様に、水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的には、例えばDLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜等を用いるのが望ましい。また上述した水分や酸素などの物質を透過させにくい膜と、該膜に比べて水分や酸素などの物質を透過させやすい膜とを積層させて、保護膜として用いることも可能である。
【0366】
また有機樹脂膜6014は、電界発光層6011が成膜される前に、吸着した水分や酸素等を除去するために真空雰囲気下で加熱しておく。具体的には、100℃〜200℃、0.5〜1時間程度、真空雰囲気下で加熱処理を行なう。望ましくは3×10−7Torr以下とし、可能であるならば3×10−8Torr以下とするのが最も望ましい。そして、有機樹脂膜に真空雰囲気下で加熱処理を施した後に電界発光層を成膜する場合、成膜直前まで真空雰囲気下に保つことで、信頼性をより高めることができる。
【0367】
また有機樹脂膜6014の開口部6015における端部は、有機樹脂膜6014上に一部重なって形成されている電界発光層6011に、該端部において穴があかないように、丸みを帯びさせることが望ましい。具体的には、開口部における有機樹脂膜の断面が描いている曲線の曲率半径が、0.2〜2μm程度であることが望ましい。
【0368】
上記構成により、後に形成される電界発光層や陰極のカバレッジを良好とすることができ、陽極6010と陰極6012が電界発光層6011に形成された穴においてショートするのを防ぐことができる。また電界発光層6011の応力を緩和させることで、発光領域が減少するシュリンクとよばれる不良を低減させることができ、信頼性を高めることができる。
【0369】
なお図49では、有機樹脂膜6014として、ポジ型の感光性のアクリル樹脂を用いた例を示している。感光性の有機樹脂には、光、電子、イオンなどのエネルギー線が露光された箇所が除去されるポジ型と、露光された箇所が残るネガ型とがある。本発明ではネガ型の有機樹脂膜を用いても良い。また感光性のポリイミドを用いて有機樹脂膜6014を形成しても良い。
【0370】
ネガ型のアクリルを用いて有機樹脂膜6014を形成した場合、開口部6015における端部が、S字状の断面形状となる。このとき開口部の上端部及び下端部における曲率半径は、0.2〜2μmとすることが望ましい。
【0371】
陽極6010は透明導電膜を用いることができる。ITOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いても良い。図49では陽極6010としITOを用いている。陽極6010は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄(ベルクリン洗浄)で研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、陽極6010の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
【0372】
また陰極6012は、仕事関数の小さい導電膜であれば公知の他の材料を用いることができる。例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。
【0373】
なお図49では、発光素子から発せられる光が基板6000側に照射される構成を示しているが、光が基板とは反対側に向かうような構造の発光素子としても良い。
【0374】
また図49ではトランジスタ6002と発光素子の陽極6010が接続されているが、本発明はこの構成に限定されず、トランジスタ6002と発光素子の陰極6001が接続されていても良い。この場合、陰極は第3の層間絶縁膜6008上に形成される。そしてTiN等を用いて形成される。
【0375】
なお、実際には図49まで完成したら、さらに外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(ラミネートフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)や透光性のカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。その際、カバー材の内部を不活性雰囲気にしたり、内部に吸湿性材料(例えば酸化バリウム)を配置したりするとOLEDの信頼性が向上する。
【0376】
なお、本発明は上述した作製方法に限定されず、公知の方法を用いて作製することが可能である。また本実施例は、実施例1〜実施例13と自由に組み合わせることが可能である。
【0377】
【発明の効果】
本発明では、半導体膜全体にレーザー光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができ、基板1枚あたりにかかる処理時間を大幅に短縮することができる。
【0378】
また、複数のレーザー光を重ね合わせてエネルギー密度の低い部分を互いに補い合うようにすることで、複数のレーザー光を重ね合わせないで単独で用いるよりも、半導体膜の結晶性を効率良く高めることができる
【0379】
なお、本発明では複数のレーザー発振装置から発振されたレーザー光を合成して用いる場合について説明したが、本発明は必ずしもこの構成に限定されない。レーザー発振装置の出力エネルギーが比較的高く、ビームスポットの面積を小さくしなくても所望の値のエネルギー密度を得ることができるのであれば、レーザー発振装置を1つだけ用いることも可能である。なおこの場合においても、スリットを用いることで、レーザー光のエネルギー密度の低い部分を遮蔽することができ、またパターン情報に従ってビームスポットの幅を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザー照射装置の構造を示す図。
【図2】レーザービームの形状及びエネルギー密度の分布を示す図。
【図3】レーザービームの形状及びエネルギー密度の分布を示す図。
【図4】ビームスポットとスリットの位置関係を示す図。
【図5】レーザー光の照射部分とマスクとの位置関係を示す図。
【図6】ビームスポットとスリットの位置関係を示す図。
【図7】被処理物においてレーザー光の移動する方向を示す図。
【図8】被処理物においてレーザー光の移動する方向を示す図。
【図9】レーザー光の照射部分とマスクとの位置関係を示す図。
【図10】TFTの活性層におけるレーザー光の移動方光を示す図。
【図11】レーザー光の照射部分とマスクとの位置関係を示す図。
【図12】レーザー光の照射部分とマスクとの位置関係を示す図。
【図13】TFTの活性層におけるレーザー光の移動方光を示す図。
【図14】レーザー光の照射部分と各回路のマスクとの位置関係を示す図。
【図15】マーカーの位置を示す図。
【図16】本発明の生産フローを示す図。
【図17】本発明の生産フローを示す図。
【図18】従来の生産フローを示す図。
【図19】SLS法を用いた結晶化のメカニズムを説明する図。
【図20】SLS法を用いた結晶化のメカニズムを説明する図。
【図21】レーザー照射装置の光学系の図。
【図22】レーザー照射装置の光学系の図。
【図23】レーザー照射装置の光学系の図。
【図24】レーザー照射装置の光学系の図。
【図25】レーザー照射装置の光学系の図。
【図26】レーザー光の照射部分とマスクとの位置関係を示す図。
【図27】レーザー光の照射部分とマスクとの位置関係を示す図。
【図28】被処理物においてレーザー光の移動する方向を示す図。
【図29】被処理物においてレーザー光の移動する方向を示す図。
【図30】被処理物においてレーザー光の移動する方向を示す図。
【図31】マーカーの構造を示す図。
【図32】マーカー用の光学系の構造を示す図。
【図33】本発明のレーザー照射装置を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図34】本発明のレーザー照射装置を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図35】本発明のレーザー照射装置を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図36】本発明のレーザー照射装置を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図37】本発明のレーザー照射装置を用いて作製された液晶表示装置の図。
【図38】本発明のレーザー照射装置を用いた発光装置の作製方法を示す図。
【図39】本発明のレーザー照射装置を用いた発光装置の断面図。
【図40】本発明の生産フローを示す図。
【図41】本発明のレーザー照射装置を用いた発光装置の作製方法を示す図。
【図42】本発明の生産フローを示す図。
【図43】駆動回路をパネルに実装している図。
【図44】本発明の半導体装置を用いた電子機器の図。
【図45】重ね合わせたビームスポットの中心軸方向におけるエネルギー密度の分布を示す図。
【図46】ビームスポットの中心間の距離とエネルギー差の関係を示す図。
【図47】ビームスポットの中心軸方向における出力エネルギーの分布を示す図。
【図48】本発明のレーザー照射装置を用いた発光装置の断面図。
【図49】本発明のレーザー装置を用いて作製された発光装置の断面図。

Claims (12)

  1. 複数の第1のレーザー発振装置と、
    前記複数の第1のレーザー発振装置から出力された複数のレーザー光を集光し、基板におけるビームスポットを互いに一部重ね合わせる第1の光学系と、
    前記重ね合わされたビームスポットの、基板における移動方向と垂直な方向における幅を制限するスリットと、
    第2のレーザー発振装置と、
    前記第2のレーザー発振装置から出力されたレーザー光を集光し、そのビームスポットの形状を加工する第2の光学系と、
    前記基板の位置を制御する位置制御手段と、
    前記第2のレーザー発振装置及び前記位置制御手段を同期させ、前記第2の光学系によってその形状が加工されたビームスポットを用いてマーカーを形成することができ、前記基板上に形成される素子群のパターン情報から、前記マーカーを基準として前記素子群の活性層となる領域を特定し、前記活性層となる領域を含むように前記半導体膜に対してレーザー光を照射する特定の領域を定め、前記スリット、前記複数の第1のレーザー発振装置及び前記位置制御手段を同期させ、前記スリットにより幅が制限されたビームスポットを前記特定の領域に重ね合わせるコンピューターと、
    を有することを特徴とするレーザー照射装置。
  2. 複数の第1のレーザー発振装置と、
    前記複数の第1のレーザー発振装置から出力された複数のレーザー光を集光し、基板におけるビームスポットを互いに一部重ね合わせる第1の光学系と、
    前記重ね合わされたビームスポットの、基板における移動方向と垂直な方向における幅を制限するスリットと、
    第2のレーザー発振装置と、
    前記第2のレーザー発振装置から出力されたレーザー光を集光し、そのビームスポットの形状を加工する第2の光学系と、
    前記基板の位置を互いに交差している第1の方向または第2の方向に移動させる位置制御手段を有し、
    前記第2のレーザー発振装置及び前記位置制御手段を同期させ、前記第2の光学系によってその形状が加工されたビームスポットを用いてマーカーを形成することができ、前記基板上に形成される素子群のパターン情報から、前記マーカーを基準として前記素子群の活性層となる領域を特定し、前記活性層となる領域を含むように前記半導体膜に対してレーザー光を照射する特定の領域を定め、前記スリット、前記複数の第1のレーザー発振装置及び前記位置制御手段を同期させ、前記スリットにより幅が制限されたビームスポットを前記特定の領域に重ね合わせるコンピューターと、
    を有することを特徴とするレーザー照射装置。
  3. 複数の第1のレーザー発振装置と、
    前記複数の第1のレーザー発振装置から出力された複数のレーザー光を集光し、基板におけるビームスポットを各中心が直線を描くように互いに一部重ね合わせる第1の光学系と、
    前記重ね合わされたビームスポットの、基板における移動方向と垂直な方向における幅を制限するスリットと、
    第2のレーザー発振装置と、
    前記第2のレーザー発振装置から出力されたレーザー光を集光し、そのビームスポットの形状を加工する第2の光学系と、
    前記基板の位置を制御する位置制御手段と、
    前記第2のレーザー発振装置及び前記位置制御手段を同期させ、前記第2の光学系によってその形状が加工されたビームスポットを用いてマーカーを形成することができ、前記基板上に形成される素子群のパターン情報から、前記マーカーを基準として前記素子群の活性層となる領域を特定し、前記活性層となる領域を含むように前記半導体膜に対してレーザー光を照射する特定の領域を定め、前記スリット、前記複数の第1のレーザー発振装置及び前記位置制御手段を同期させ、前記スリットにより幅が制限されたビームスポットを前記特定の領域に重ね合わせるコンピューターと、
    を有することを特徴とするレーザー照射装置。
  4. 複数の第1のレーザー発振装置と、
    前記複数の第1のレーザー発振装置から出力された複数のレーザー光を集光し、基板におけるビームスポットを各中心が直線を描くように互いに一部重ね合わせる第1の光学系と、
    前記重ね合わされたビームスポットの、基板における移動方向と垂直な方向における幅を制限するスリットと、
    第2のレーザー発振装置と、
    前記第2のレーザー発振装置から出力されたレーザー光を集光し、そのビームスポットの形状を加工する第2の光学系と、
    前記基板の位置を互いに交差している第1の方向または第2の方向に移動させる位置制御手段を有し、
    前記第2のレーザー発振装置及び前記位置制御手段を同期させ、前記第2の光学系によってその形状が加工されたビームスポットを用いてマーカーを形成することができ、前記基板上に形成される素子群のパターン情報から、前記マーカーを基準として前記素子群の活性層となる領域を特定し、前記活性層となる領域を含むように前記半導体膜に対してレーザー光を照射する特定の領域を定め、前記スリット、前記複数の第1のレーザー発振装置及び前記位置制御手段を同期させ、前記スリットにより幅が制限されたビームスポットを前記特定の領域に重ね合わせるコンピューターと、
    を有することを特徴とするレーザー照射装置。
  5. 請求項3または請求項4において、
    前記各中心によって描かれる直線と前記基板の移動する方向とが10°以上80°以下であることを特徴とするレーザー照射装置。
  6. 請求項3乃至請求項5のいずれか1項において、
    前記各中心によって描かれる直線と前記基板の移動する方向とがほぼ直角であることを特徴とするレーザー照射装置。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項において、
    レーザー光の照射が減圧雰囲気下または不活性ガス雰囲気下において行われることを特徴とするレーザー照射装置。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、前記レーザー発振装置は、YAGレーザー、YVOレーザー、YLFレーザー、YAlOレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライドレーザー、Ti:サファイアレーザーまたはYレーザーから選ばれた一種または複数種を用いていることを特徴とするレーザー照射装置。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項において、前記レーザー光の照射は、SLS法を用いて行われることを特徴とするレーザー照射装置。
  10. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項において、前記レーザー光は連続発振であることを特徴とするレーザー照射装置。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれか一項において、前記レーザー光は第2高調波であることを特徴とするレーザー照射装置。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれか一項において、前記レーザー発振装置は2以上8以下であることを特徴とするレーザー照射装置。
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