JP5153086B2 - レーザ照射装置 - Google Patents

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本発明は、半導体材料などに対して行われるようなアニールを、均一にかつ効率よく行うためのレーザ照射装置(レーザと、このレーザから出力されるレーザ光を被照射体まで導くための光学系を含む装置)およびレーザ照射方法に関するものである。また、このレーザ処理装置およびレーザ処理方法を用いて処理を行う工程を含んで作製された半導体装置とその作製方法に関する。
近年、基板上に薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)を製造する技術が大幅に進歩し、アクティブマトリクス型表示装置への応用開発が進められている。特に、多結晶半導体膜を用いたTFTは、従来の非結晶半導体膜を用いたTFTよりも電解効果移動度(モビリティともいう)が高いため、高速動作が可能である。そのため、従来では基板の外に設けられていた駆動回路で行っていた画素の制御を、画素と同一の基板上に形成した駆動回路で行うことが用いられている。
ところで、半導体装置に用いる基板はコストの面から、石英基板や単結晶半導体基板よりもガラス基板が有望視されている。しかしながら、ガラス基板は耐熱性に劣り、熱変形しやすい。そのため、ガラス基板上に多結晶半導体膜を用いたTFTを形成するために半導体膜を結晶化する際には、ガラス基板の熱変形を避けるためにレーザアニールがしばしば用いられる。
レーザアニールの特徴は、輻射加熱あるいは伝導加熱を利用するアニール法と比較して、処理時間を大幅に短縮することができることや、半導体基板または基板上の半導体膜を選択的、局所的に加熱して、基板にほとんど熱的損傷を与えないことなどが挙げられる。なお、ここでいうレーザアニール法とは、半導体基板又は半導体膜に形成された損傷層やアモルファス層を再結晶化する技術や、基板上に形成された非単結晶半導体膜を結晶化させる技術を指している。また、それは半導体基板又は半導体膜の平坦化や表面改質に適用される技術も含んでいる。
レーザアニールに用いられるレーザ発振器は、その発振方法によってパルス発振と連続発振の2種類に大別される。近年では、半導体膜の結晶化において、エキシマレーザのようなパルス発振のレーザ発振器よりも、ArレーザやYVOレーザのような連続発振のレーザ発振器を用いる方が、半導体膜内に形成される結晶の粒径が大きくなることが見出されている。半導体膜内の結晶粒径が大きくなると、この半導体膜を用いて形成されるTFTチャネル領域に入る粒界の数が減る。従って、移動度が高くなり、より高性能なデバイスの開発に利用することができる。そのため、連続発振のレーザ発振器は脚光を浴びている。
通常、半導体膜のレーザアニールに用いられるレーザビームのスポットの形状は線状であり、半導体膜上に線状に整形されたレーザビームのスポットを走査させ、レーザアニールが行われる。レーザビームのスポットを線形に整形することで、一度にレーザアニールできる面積を大きくすることができる。なお、本明細書では、照射面における形状が線状、矩形状であるレーザビームをそれぞれ線状ビーム、矩形状ビームと呼ぶ。なお、ここでいう「線状」は、厳密な意味で「線」を意味しているのではなく、アスペクト比が大きい矩形(例えば、アスペクト比が10以上(好ましくは100〜10000))を意味する。なお、線状とするのは被照射体に対して十分なアニールを行うための強度を確保するためであり、矩形状や面状であっても被照射体に対して十分なアニールを行える程度であればよい。将来的には面状ビームを用いてレーザアニールを行う可能性もある。
一方、半導体装置に通常用いられる厚さ数十〜数百nmの珪素膜をYAGレーザやYVOレーザで結晶化させる場合、基本波よりも波長が短い第二高調波を用いる。これは、基本波よりも第二高調波の方が半導体膜に対するレーザ光の吸収係数が大きいため、半導体膜の結晶化を効率良く行うことができるからである。なお、本工程に基本波を用いることはほとんど無い。
この工程の一例を挙げると、10W、532nmの第2高調波にしたCW(連続発振)レーザビームを長軸方向300μm、短軸方向10μm程度の線状に整形し、この線状ビームの短軸方向にビームスポットを走査させてレーザアニールをさせることにより結晶化を行う。一度の走査で得られる大粒径結晶の領域の幅は200μm程度となる(以下、大粒径結晶が見られる領域を大粒径領域と呼ぶ)。このため、基板全面をレーザアニールにより結晶化するためには、ビームスポットの一度の走査によって得られた大粒径結晶領域の幅ずつ、レーザビームを走査する位置を、ビームスポットの長軸方向にずらしてレーザアニールを行うことが必要となる。
本出願人は、照射面またはその近傍において線状にしたレーザ光を半導体膜に照射する内容の発明を行い、既に出願している。
特開2003−257885号公報
ここで、図25にビームスポット2500と、ビームスポット2500を照射したときの半導体膜における照射跡2501と、ビームスポット2500のa−a’に沿った断面における強度分布2502を示す。
一般に、TEM00(シングル横モード)の連続発振のレーザ発振器から射出されたレーザビームの断面は図25の2502で示すガウス分布型の強度分布を有しており、均一な分布を有しているのではない。
例えば、ビームスポット2500の中央付近の部分2500aは、少なくとも1つの結晶粒(以下、大粒径の結晶粒と呼ぶ)に1つのTFTができる程度の大粒径の結晶粒を得ることができるしきい値(y)より大きい強度とする。このとき、ビームスポット端部付近の部分2500bは、結晶性領域が形成されるしきい値(x)よりは強度が大きく、しきい値(y)よりは強度が小さいとする。このようなビームスポット2500を半導体膜に照射すると、照射跡2501では、ビームスポット端部が照射された領域2501bには部分的に溶融しきれない領域が残る。そのため領域2501bには、ビームの中心部が照射された領域2501aに形成されるような大粒径の結晶粒ではなく、粒径の比較的小さい結晶粒(以下、微結晶と呼ぶ)のみが形成されることになる。
このようにして微結晶が形成された領域、すなわちビームスポット端部付近の領域2501bに半導体素子を形成しても高い特性が期待できない。また、これを避けるためには、大粒径の結晶粒が形成された部分、すなわちビームスポット中央付近の領域2501aに半導体素子を形成することになるので、レイアウト上の制約を受けることは明らかである。従って、レーザビームが照射された領域全体において、微結晶が形成される領域の割合を減らすことが求められる。
これを回避するために、レーザビームの強度分布をガウス型の形状ではなく、トップフラット型にする方法がある。トップフラット型にすることによって、レーザビームの強度分布の端部を急峻なものにし、レーザアニール後にできる結晶性不良領域を減少させることができる。
また、レーザ光は、レーザ共振器の構成に特徴があるために優れた指向性を有し、可干渉性を有する。ところが、干渉性が良いことは必ずしも利点とは限らない。図26に示すように、レーザ発振器2601から射出したレーザビームは、回折光学素子2602によって強度分布を均一化された後、スリット2603に到達する。レーザビームはスリット2603を通過する際に回折を起こした後に照射面2604に到達する。照射面2604では回折光が干渉することによって、2605に示すような強度分布を持つ回折縞を生じる。このような強度分布をもつ状態で半導体膜にレーザ照射処理を行うと、半導体膜全面を均一にアニールすることは難しい。
本発明は、上記の問題点を解決するために、以下の構成を有する。なお、ここでいうレーザアニール法とは、半導体基板または半導体膜にイオン注入などにより形成された損傷領域やアモルファス領域を結晶化させる技術や、基板上に形成された単結晶ではない半導体膜(非単結晶半導体膜と呼ぶ)にレーザ照射を行って半導体膜を結晶化させる技術、非単結晶半導体膜にニッケルなどの結晶化を促進する触媒元素を導入した後にレーザ照射を行うことによって、結晶化をさせる技術などを指している。
また、半導体基板または半導体膜の平坦化や表面改質に適用される技術も含んでいる。ここでいう半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、液晶表示装置や発光装置などの電気光学装置、さらにはこれらの電気光学装置を部品として含む電子装置も含まれるものとする。
本発明で開示する発明の1つは、レーザ発振器と、このレーザ発振器から射出されたレーザビームの強度分布を均一化するビームホモジナイザと、レーザ発振器から射出されたレーザビームの両端部分を遮断するためのスリットと、スリットの像を照射面に投影するための投影レンズと、スリットの像を集光するための集光レンズと、レーザビームに対して照射面を相対的に移動させる手段を有する。
本発明において、位相共役鏡を作用させてレーザビームの位相を揃え、レーザビームの強度分布を均一化するビームホモジナイザに通すこともできる。
本発明において、ビームホモジナイザは回折光学素子であることを特徴とする。
本発明において、投影レンズは、凸型シリンドリカルレンズ、または凸型球面レンズであることを特徴とする。なお、スリットの開口部の幅をa、照射面でレーザビームの長軸の長さをb、投影レンズの焦点距離をf、スリットの射出側の面(以下、「背面」という)から投影レンズの第1主点までの距離をd、投影レンズの第2主点から照射面までの距離をdとすると、a、b、f、d、dには以下の数式(1)、(2)の関係を有することが好ましい。
1/f=1/d+1/d ・・・(1)
:d=a:b ・・・(2)
つまり、投影レンズは、スリットの背面と照射面が共役の関係になる位置に配置されている。このようにすることで、スリットの像を照射面にて再び1つに結像するように集光することができる。
本発明において、集光レンズは、凸型シリンドリカルレンズまたは凸型球面レンズであることを特徴とする。
本発明において、レーザ発振器は、連続発振レーザー(以下、「CWレーザ」と表記する。)、または発振周波数が10MHz以上のパルスレーザを用いることができる。レーザの種類は、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト、YAlO、GdVO、多結晶のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVO内に、または光ファイバ内に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されている結晶を媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザなどを用いることができる。これらは、連続発振で発振することが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期を行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振させることも可能である。
半導体膜のアニール処理にCWレーザだけではなく、発振周波数が高いパルスレーザを用いることができる。発振周波数が高いパルスレーザを用いると次のような利点がある。レーザビームを半導体膜に照射してから半導体膜が完全に固化するまでの時間は、数十nsec〜数百nsecといわれている。従って、発振周波数が低いパルスレーザでは、半導体膜がレーザによって溶融して固化した後に次のパルスが照射されることになる。したがって、それぞれのパルスが照射された後、再結晶時に結晶粒は中心対称的に放射状に成長する。そして、隣り合う結晶粒の境界に粒界が形成されるため、半導体膜の表面には凹凸が生じる。
発振周波数が高いパルスレーザを用いると、半導体膜がレーザによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができる。従って、レーザの走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を有する半導体膜を形成することができる。
また、パルス発振のレーザの特徴の1つとして、発振周波数を高くすることにより、一つのパルスあたりのピーク出力を大きくすることができることが挙げられる。そのため、平均出力が比較的低いものでも、レーザビームの第2高調波への変換効率を大幅に上げることができる。これにより、容易に大出力の高調波を得ることが可能となるため、生産性を大きく向上させることができる。
単結晶を媒体としたレーザ発振器を用いた場合では、レーザビームは照射面において長軸方向の長さが0.5〜1mm、短軸方向の長さが20μm以下、好ましくは10μm以下になるように整形する。また、ビームの短軸方向に走査する。このようにすることによって、1つの結晶粒の走査方向における幅が10〜30μm、走査方向に対して垂直な方向における幅が1〜5μm程度の結晶粒の集合を、レーザ照射領域の全面に形成することができる。このようにして、連続発振レーザと同程度の結晶粒を得ることができる。そして、ビームの走査方向に沿って長く伸びた単結晶の結晶粒を形成することで、少なくともTFTのキャリアの移動方向には結晶粒界がほとんど存在しない半導体膜の形成が可能になる。
また、多結晶を媒体としたレーザ発振器を用いた場合では、非常に出力が高いレーザを射出することが可能である。このような場合には、ビームの大きさを大きくすることが可能である。ビームの短軸の長さは1mm以下にし、ビームの長軸の幅は、半導体膜を良好にアニールできる程度に調節すればよい。
本発明において、レーザビームに、非線形素子により高調波に変換されたビームを用いることができる。非線形素子としては、はBBO(β−BaB、ホウ酸バリウム)、LBO(Li、ホウ酸リチウム)、KTP(KTiOPO、チタニルリン酸カリウム)、LiNbO(ニオブ酸リチウム)、KDP(KHPO、リン酸二水素カリウム)、LiIO(リチウムアイオデート)、ADP(NHPO、リン酸二水素アンモニウム)、BIBO(BiB、ビスマストリボレート)、CLBO(CsLiB10、セシウムリチウムボーレート)、KB5(KB・4HO、ポタジムペンタボレート)などがある。
上記発明の構成において、レーザ発振器から射出されたレーザビームの照射面に対する入射角は適宜に設定することができる。
また、本発明を用いて形成した結晶性半導体膜より薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、このTFTを用いて作製した半導体装置として、代表的にはCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)、メモリ、IC、RFID素子、画素、ドライバ回路などを挙げることができる。さらに、これらの半導体装置を組み込んで、テレビ、コンピュータ、携帯型の情報処理端末などのさまざまな電子機器を形成することが可能である。
照射面上にレーザの干渉縞を生じさせることがなく、強度分布が均一なレーザビームを照射することができる。よって、半導体膜に対して均一にレーザ処理を行うことができる。
以下に本発明の実施の様態を、図面を用いて説明する但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
図1〜図4を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1にレーザ照射装置の一例を示す。レーザ照射装置は、レーザ発振器101、回折光学素子102(ディフラクティブオプティクスエレメント、ディフラクティブオプティクスとも呼ばれる)、スリット103、投影レンズ104、集光レンズ105から構成される。本実施の形態では、投影レンズ104は凸型シリンドリカルレンズを用いているが、凸型球面レンズを用いることもできる。また、集光レンズ105として凸型シリンドリカルレンズを用いているが、凸型球面レンズを用いることもできる。なお、ミラー106は、レーザ照射装置の光学系の設置状況に応じて設ければよい。
レーザ発振器101は、CWレーザ、または発振周波数が10MHz以上のパルスレーザを用いることができる。レーザの種類は、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト、YAlO、GdVO、多結晶のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVO、または光ファイバ内に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザなどを用いることができる。これらは、連続発振でレーザ発振することが可能である。また、Qスイッチ動作やモード同期を行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振させることも可能である。
レーザ発振器101より射出したレーザビームは、図2(a)の形状の強度分布を有する。このレーザビームを回折光学素子102に通すことにより、レーザビームの断面の形状を線状、四角形状、または楕円形状に整形させるとともに、レーザビームの強度分布を均一にする。回折光学素子102を通過したレーザービームの強度分布を図2(b)に示す。回折光学素子102は、光の回折を利用してスペクトルを得る素子で、その表面に多数の溝を形成することにより、集光レンズ機能を持つものが用いられる。
次いで、このビームをスリット103に通す。回折光学素子102によって、断面が線状、四角形状、または楕円形状に成形されたビームの長軸方向に作用するように、スリット103を設置する。スリット103はビームの両端における強度の弱い領域を遮断することができ、同時にビームの長軸方向の長さを調整することができるような構造あるいは形状であれば、スリットの材質やスリットの調節方法などには特に制限はない。例えば、図3に示すように、スリット103の中央部に開口部301を設け、この開口部301の長手方向の両端部を、遮蔽板302の開閉によって調節することができる。その開閉の仕方は、モータ駆動方式でも、ねじを回すことによって調節する方式であってもよい。このようなスリット103をレーザービームが通過すると、ビームの長軸方向の端部が遮断され、図2(c)の点線の強度分布だったレーザビームが、図2(c)の実線の強度分布を持つレーザビームになる。
スリット103を通過した後、レーザビームは投影レンズ104を通過する。スリット103の像が投影レンズ104を通過した後に、照射面である半導体膜107に結像されるように、投影レンズ104を配置する。図4を用いて、本実施形態の光学系の配置の詳細を説明する。図4(a)は本実施の形態で用いた光学系を示す図である。これを上面から見た図が図4(b)、側面から見た図が図4(c)である。
図4(b)に示すように、スリット103の開口部の幅をa、半導体膜107におけるレーザビームの長軸の長さをb、投影レンズ104の焦点距離をf、スリット103の背面(ビームが射出する側の面)から投影レンズ104の第1主点Hまでの距離をd、投影レンズ104の第2主点Hから半導体膜107までの距離をdとすると、a、b、f、d、dは、下記に記した数式(1)、(2)の関係を満たすようにする。このように光学系を配置することによって、スリット103の開口部における長さaの像は、投影レンズ104によって半導体膜107に長軸方向の長さがbの像として投影される。
1/f=1/d+1/d ・・・(1)
:d=a:b ・・・(2)
また、図4(b)及び図4(c)に示すように、レーザビームの短軸方向にはレーザビームを集光させることが好ましい。そのために、本実施の形態では、集光レンズ105として凸型シリンドリカルレンズを用いている。凸型シリンドリカルレンズは1方向のみに曲率が設けられているため、曲率の方向にのみビームを伸縮することができる。また、凸型シリンドリカルレンズは、入射側、射出側のいずれか一方に凸面が形成されているものでも、両側に凸面が形成されているものでもよいが、低収差、精度の面を考慮すると、入射側に凸面が形成されているものを用いることが好ましい。なお、凸型シリンドリカルレンズの材質に制限はない。なお、集光レンズ105の位置であるが、スリット103よりも背後であればよく、投影レンズ104の前方に配置することもできる。
本実施の形態では、ミラー106でレーザビームの方向を変え、レーザビームの光路が半導体膜107に向かうようにした後に、集光レンズ105にレーザビームを通している。出力が20Wのレーザの場合では、ビームの断面の長軸が0.5〜1mm、短軸が20μm以下(好ましくは10μm以下)の、線状、四角形状または楕円状のビームスポットが半導体膜107に形成されるようにする。なお、多結晶のY、YAG、YVO、YAlO、またはGdVOを媒質としたレーザを用いた場合では、単結晶を媒質とした場合より強度が非常に強いレーザを射出することが可能である。そのため、半導体膜107に照射されるレーザビームの断面の長軸方向の長さは上記の長さに限定されない。また、ミラー106によって方向を変えた後のレーザビームの方向は、半導体膜107への入射方向が垂直方向でも斜め方向でも構わない。
従来ではスリットを通過することによって発生する回折光が、半導体膜に到達して干渉縞を形成していたが、本実施形態のように光学系を配置することで、干渉縞を形成することなく、強度分布が均一なレーザビームを半導体膜107に照射することができる。
半導体膜107が成膜された基板は絶縁物質を材料としており、レーザ照射の際に落ちないように吸着ステージ108に固定されている。吸着ステージ108は、Xステージ109、Yステージ110を用いて半導体膜107の表面に平行な面上をX軸、Y軸方向に走査を行い、半導体膜107の全面を結晶化させる。
本実施の形態ではXステージ109、Yステージ110を用いて半導体膜107が成膜された基板を動かす構成となっているが、レーザビームの走査は、被処理物である基板を固定してレーザビームの照射位置を移動させる照射系移動型、レーザビームの照射位置を固定して基板を移動させる被処理物移動型、または上記2つの方法を組み合わせた方法を用いることができる。
これらの光学系を用いることにより、照射面に照射されるレーザビームの強度分布は均一であり、ビーム端部の強度が不足している部分は除去することができる。さらには、スリット103を通過することによって発生する回折光が半導体膜107に到達して干渉縞を形成することはない。このような構成を持つことによって、半導体膜107全面に対して良好にレーザ照射処理を行うことができる。
このような半導体膜を用いて半導体装置を作製することによって、半導体装置の性能を大幅に向上させることが可能になる。例えば、TFTを例に挙げると、チャネル形成領域に含まれる結晶粒界の数を少なくすることができるため、単結晶半導体を用いたTFTと同等またはそれ以上の電界効果移動度(モビリティ)を得ることが可能であり、オン電流値(TFTがオンの状態にあるときに流れるドレイン電流の値)、オフ電流値(TFTがオフの状態にあるときに流れるドレイン電流の値)、しきい値電圧、S値および電界効果移動度のばらつきを低減させることが可能になる。このような効果があるため、TFTの電気的特性は向上し、TFTを用いた半導体装置の動作特性および信頼性が向上する。特に、レーザの移動方向には粒界がほとんどないため、この方向に沿ってTFTのチャネル形成領域を形成すると、TFT特性の向上につながるため、好ましい。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明のレーザ照射装置で使うことができる他の光学系について説明する。
図5(a)は、本実施の形態で用いた光学系を示す図である。これを上面から見た図が図5(b)、側面から見た図が図5(c)である。
実施の形態1では、図5(a)に示すように、投影レンズ104に凸型シリンドリカルレンズ、集光レンズ105に凸型シリンドリカルレンズを用いている。本実施の形態では、投影レンズに凸型球面レンズ、集光レンズに凸型シリンドリカルレンズ、補正用レンズに凹型シリンドリカルレンズを用いている。投影レンズ、集光レンズ、補正用レンズ以外の部分は、実施の形態1で用いたものをそのまま用いることが可能である。
図5(a)に示すように、レーザ発振器501より射出したレーザビームは、回折光学素子502を通ることによって、ビームの整形と強度を均一にする。さらにスリット503によってビームの長軸方向の端部を遮断した後に、補正用レンズ507と投影レンズ504を通る。そして、スリット503の像が半導体膜506に結像されるように、投影レンズ504を配置する。
図5(b)において、スリット503の開口部の幅をa、半導体膜506におけるレーザビームの長軸の長さをb、投影レンズ504の焦点距離をf、スリット503の第二面から投影レンズ504の第1主点Hまでの距離をd、投影レンズ504の第2主点Hから半導体膜506までの距離をdとすると、a、b、f、d、dは、上に記した数式(1)、(2)の関係を満たす。このように光学系を配置することにより、スリット503の開口部における長さaの像は、投影レンズ504によって半導体膜506に投影される。
また、実施の形態1で述べたように、レーザビームの短軸方向にはレーザビームを集光させることが好ましい。本実施形態では、投影レンズ504が凸型球面レンズのため、投影レンズ504によって長軸方向及び短軸方向にレーザビームが集光される。ここで、投影レンズ504として凸型球面レンズを用いることにより、球面収差を小さく抑えることができる。また、投影レンズ504によるレーザビームの短軸方向の影響を無くすため、投影レンズ504の直前に、補正用レンズ507として凹型シリンドリカルレンズをレーザビームの短軸方向に作用するように配置する。
本実施の形態ではミラーは図示していないが、実施の形態1と同様に、投影レンズ504と集光レンズ505との間に配置すればよい。その際、ミラーによって方向を変えた後のレーザビームの方向は、半導体膜506に対して垂直方向でも斜め方向でも構わない。なお、集光レンズ505の位置であるが、スリット503よりも背後であればよく、補正用レンズ507及び投影レンズ504の前方に配置することもできる。
このように光学系を配置することによって、照射するレーザビームの強度分布は均一であり、ビーム端部の強度が不足している部分は除去することができる。さらに、スリット503を通過することによって発生する回折光が半導体膜506に到達して干渉縞を形成することはない。このような構成を持つことによって、強度分布が均一なビームを半導体膜506全面に照射することができる。
本実施例では、レーザ照射装置の例を説明する。レーザの媒質として多結晶集合体からなる結晶を用いた例を説明する。
図6にレーザ照射装置の例を示す。レーザ照射装置は、レーザ発振器601、回折光学素子602、スリット603、投影レンズ604、集光レンズ605から構成される。本実施例で用いるレーザ発振器601は、レーザ結晶に多結晶集合体のセラミック構造のYAG結晶(以下、セラミックYAGとする)を用いており、発振周波数が10MHz以上のパルスレーザビームを射出する。また、本実施例ではミラー606を用いているが、レーザ照射装置の光学系の設置状況に応じて設ければよい。
図6に示すように、レーザ発振器601から射出されたレーザビームは、回折光学素子602に入射する。回折光学素子602によって、レーザビームの断面が線状、四角形状、または楕円形状に整形させるとともに、レーザビームの強度分布を均一にする。回折光学素子602は、光の回折を利用してスペクトルを得る素子で、その表面に多数の溝を形成することにより、集光レンズ機能を持つものが用いられる。回折光学素子602を通過した光は、スリット603にてその像を結像する。
スリット603は、レーザビームの両端における強度が弱い領域を遮断することができ、同時にレーザビームの長軸方向の長さを調節することができる構造あるいは形状であれば、スリットの材質や調節方法などには特に制限はない。このようなスリット603を用いてレーザビームの端部を遮断すると、より強度が均一化されたレーザビームになる。
スリット603を通過した後に、投影レンズ604にビームを通す。ここで、スリット603の像が投影レンズ604を通過した後に半導体膜607に結像されるように、投影レンズ604が配置されている。つまり、投影レンズ604は、スリット603の像と半導体膜607が共役の関係になるように配置されている。このとき、スリット603の開口部の幅をa、半導体膜607におけるレーザビームの長軸の長さをb、投影レンズ604の焦点距離をf、スリット603の背面から投影レンズの第1主点までの距離をd、投影レンズの第2主点から照射面までの距離をdとすると、a、b、f、d、dは、上に示した数式(1)、(2)の関係を満たしている。
このように配置することによって、スリット603を通過することによって発生する回折光が半導体膜607に達して干渉縞を形成することを防ぐことができ、強度分布が均一なレーザビームを半導体膜607に照射することができる。
さらに、ミラー606でレーザビームの方向を変え、レーザビームの光路が半導体膜607に向かうようにする。また、ミラー606によって方向を変えた後のレーザビームの入射方向は、半導体膜607に対して垂直方向でも斜め方向でも構わない。
その後、集光レンズ605として、凸型球面レンズと、凹型シリンドリカルレンズによって、レーザビームの集光を行う。凸型球面レンズを用いることにより、球面収差を小さく抑えることができるため、レーザビームをより小さく集光することができる。また、凹型シリンドリカルレンズは、凸型球面レンズによるレーザビームの長軸方向への影響を小さくするために用いており、凸型球面レンズの直前に、レーザビームの長軸方向に作用するように配置する。なお、凸型球面レンズについて、構造や材質に制限はない。例えば、入射側、射出側のいずれか一方に凸面が形成されているものでも、両側に凸面が形成されているものでもよいが、低収差、精度の面を考慮すると、入射側に凸面が形成されているものを用いることが好ましい。また、必要に応じて、レーザビームの長軸方向および短軸方向にそれぞれ独立して作用するように凸型シリンドリカルレンズを2枚以上用いてもよい。
半導体膜607を成膜した基板は、絶縁物質を材料としている。具体的には、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、セラミックス基板、ステンレス基板、PET(Polyethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタラート)、PES(Polyethersulphone Resin:ポリエーテルサルホン樹脂)、PEN(Polyethylene Naphthalate:ポリエチレンナフタレート)に代表されるプラスチックや、アクリルなどに代表される合成樹脂を原料とする基板などを用いることができる。基板は吸着ステージ608に固定され、レーザ照射処理の際に落ちないようになっている。吸着ステージ608はXステージ609、Yステージ610を用いて半導体膜607の表面に平行な面上をX軸、Y軸方向に10mm/sec.程度以上の速度で移動が可能であり、適切な速度にて走査させることにより、半導体膜607全面を結晶化することができる。
本実施例では、レーザ結晶にセラミックYAGを使っている。セラミックYAGは、単結晶とほぼ同じ光学特性(熱伝導率、破壊強度、吸収断面積)を持つ。また、セラミックであるため、短時間かつ低コストで自由な形状に形成することが可能であり、結晶を非常に大きくすることができる。さらには、Nd、Ybなどのドーパントの濃度を単結晶よりも高濃度に添加することが可能である。このようなレーザ結晶を媒体として用いることによって、非常に出力が高いレーザを射出することが可能である。したがって、光学系を用いてこのビームを整形することによって、ビームの短軸の長さは1mm以下で、長軸の長さが数100mm〜数mの線状ビームを得ることが可能となる。一般的に、線状ビームを使ったプロセスを用いて作製されるディスプレイのパネルサイズは、線状ビームの長さによって制限を受ける。このため、本発明を用いてより長い線状ビームを得ることで、より大型のディスプレイを作製することが可能となる。
また、セラミックYAGに、Nd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taなどの複数種のドーパントを添加すると、多数の波長で発振をする。なお、このレーザの基本波の中心波長は1030〜1064nm、発振波長の半値全幅が30nm程度である。この基本波をレーザ発振器601内の非線形光学結晶によって、中心波長515〜532nm、発振波長の半値全幅が15nm程度の第二高調波に変換する。また、セラミックYAGだけではなく、セラミックY、若しくはセラミックYVOを媒質としたレーザを用いても同様にしてレーザ照射処理を行うことができる。
単一波長のレーザでは、レーザがスリットを通過することによって照射面に干渉縞が発生する。しかし、本実施例で示すレーザを用いる場合は、以下に示す式(3)より、それぞれの波長に対する干渉縞の間隔が異なることが分かる。式(3)において、xは干渉縞の間隔、dはスリットの幅、λは波長、Lはスリットと照射面の距離を表す。このため、発振波長域が広いレーザビームを用いると、干渉により発生する光の強弱の差を打ち消し合い、単一波長のレーザを用いた場合よりも干渉の影響を少なくすることができる。
x=λL/d ・・・(3)
本実施例では、パルス発振の周期(発振周波数)が、半導体膜607が溶融してから完全に固化するまでの時間よりも短くなるように、発振周波数の下限を定めたパルスビームを使用する。例えば、具体的な発振周波数は10MHz以上とし、通常用いられている数十Hz〜数百Hzの周波数よりも著しく高い周波数を使用する。
発振周波数が高いパルス発振レーザを用いると好ましい理由は以下の通りである。レーザビームを半導体膜に照射してから半導体膜が完全に固化するまでの時間は、数十nsec〜数百nsecといわれている。従って、発振周波数が低いパルスレーザでは、半導体膜がレーザによって溶融して固化した後に次のパルスが半導体膜に照射されることになる。したがって、それぞれのパルスによって結晶粒が形成され、隣り合う結晶粒の境界に粒界が形成されるとともに、半導体膜の表面には凹凸が生じる。
ところが、発振周波数が高いパルスレーザを用いると、半導体膜がレーザによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜に相対的にレーザを移動させながら照射することによって、次々と溶融状態である領域が連続的に形成される一方で、時間の経過によって冷却し固化する領域が存在する。半導体膜中において固液界面を連続的に移動させると、レーザの走査方向に向かって連続的に結晶が成長し、大粒径の結晶粒が形成される。また、パルス発振のレーザの特徴として、エネルギーが同じ場合では、発振周波数を高くすることにより、一つのパルスあたりのピーク出力を強くすることができる。そのため、レーザビームの第2高調波への変換効率を大幅に上げることができる。これにより、容易に大出力の高調波を得ることが可能となるため、本工程の生産性を大きく向上させることができる。
以上の方法を用いることによって、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒が形成されるだけではなく、隣接したレーザ照射領域の境界において、微結晶領域や凹凸の形成を抑制することが可能になるため、半導体膜607全体を均一にアニールすることができる。
本実施例では、半導体膜のアニールにより適したレーザビームを得るために、位相共役鏡を用いた光学系の例を説明する。
半導体膜にレーザ照射を行うときには、一般的には強度が高いレーザビームを照射する。従って、このような用途にレーザを用いる際には、ピーク出力を増大させ、高強度までレーザビームを集光する必要がある。しかしながら、高出力レーザの場合では、レーザ媒質が熱のために不均質となり、射出段階でレーザビームが歪んでしまう。そのため、高強度に集光することが難しい。また、射出段階で位相を揃えても、スリットを通過することにより回折がおき、照射面に投影する像が歪むことになる。そこで、位相共役鏡を用いることにより、高強度で位相がそろっているレーザビームを得ることができるため、光学系を用いてビームの変形やビーム強度の調整を行うことが容易になる。このように処理を行ったレーザビームを用いると、半導体膜のアニールをより良好に行うことができる。なお、位相共役鏡は、光誘起屈折率効果を用いた方式、誘導ブリルアン散乱を用いた方式、誘導ラマン散乱を用いた方式、カー効果を用いた方式などがあるが、本実施例ではいずれの方式を用いても構わない。
図7(a1)に示すように、平面の波面を持つレーザビーム701が、歪みを持つ物体702を通過すると、その波面は変形する。703は波面が乱れた波を表す。図7(a2)のように波面が変形した波703が普通の鏡704で反射され、反射波705が再び物体を通過すると、図7(a3)に示すように、観測者Oが観測する波706の波面の変形量は倍になる。
図8に、鏡704の代わりに位相共役鏡710を用いた場合を示す。位相共役鏡710の場合では、反射波711は位相が反転しているため、再び歪みを持つ物体702を通過すると、波面の歪みが打ち消し合い、観測者Oが観測する波712は、波面の歪みがなくなる(図8(a1)〜(a3))。その結果、光が形を保ったまま伝播できるようになる。
位相共役鏡を利用したレーザ照射装置の一例を図9に示す。レーザ発振器901から射出されたレーザビームは、回折光学素子902に入射する。回折光学素子902によって、レーザビームの断面が線状、四角形状、または楕円形状になるように整形するとともに、レーザビームの強度分布を均一化する。この回折光学素子902を通過した光は、集光レンズ907によってスリット903上で結像される。
スリット903は、レーザビームの強度が弱い両端の領域を遮断することができ、同時にレーザビームの長軸方向の長さを調節することができる構造あるいは形状であれば、スリット903の材質や調整方法などには特に制限はない。このようなスリット903を用いてレーザビームの端部を遮断すると、強度が均一化されたレーザビームになる。
スリット903を通過した後に、ビームスプリッタ904でレーザビームを分割し、一方は半導体膜905に入射させ、他方は位相共役鏡906を作用させる。位相共役鏡906の代わりに通常の鏡を用いた場合は、スリットと鏡の間の距離の2倍だけ回折伝播するため大きく像が乱れる。しかし、位相共役鏡906を用いると、スリット903から位相共役鏡906までに発生する波面の乱れは共役反射により逆位相になるため、照射面、ここでは半導体膜905において位相が一致するように位相の補償が行われる。そのため、スリット903の像が良好に照射面に結像される。図9の構成を持つレーザ照射装置の場合では、スリット903と半導体膜905の間にはビームスポットを伸縮するレンズを配置しないため、スリット903の像が等倍で半導体膜905に結像される。
また、別のレーザ照射装置の例を図10に示す。まず、位相共役鏡1003を作用させることによって波面を整える。具体的にはレーザ発振器1000から射出した後、ビームスプリッタ1004でレーザビームを分割し、一方は回折光学素子1005に入射させ、他方は位相共役鏡1003を作用させる。位相共役鏡1003を用いると、波面の乱れは共役反射により逆位相になるため、回折光学素子1005において位相が一致するように位相の補償が行われる。レーザビームの波面を揃えた後、回折光学素子1005によって強度を均一にし、同時にレーザビームの断面形状を整形する。それはレーザビームの波面が揃っていると、回折光学素子1005で強度を均一にすることが容易になるからである。
回折光学素子1005を作用させることによって、レーザビームを線状、四角形状、または楕円状の断面にする。次にスリット1006を作用させる。スリット1006ではレーザビームの強度が弱い部分を遮断し、半導体膜のアニールに適した強度を持つレーザビームとする。そして、図11(a)、(b)に示すように、スリット1006を通過するときの像が半導体膜1009で投影されるように、投影レンズ1007と集光レンズ1008を配置する。なお、上面から見た図が図11(a)、側面から見た図が図11(b)である。
図11(a)において、スリット1006の開口部の幅をa、半導体膜1009におけるレーザビームの長軸の長さをb、投影レンズ1007の焦点距離をf、スリット1006の背面から投影レンズ1007の第1主点Hまでの距離をd、投影レンズ1007の第2主点Hから半導体膜1009までの距離をdとすると、a、b、f、d、dは、上に記した数式(1)、(2)の関係を満たす。
また、レーザビームの短軸方向にはレーザビームを集光させる。本実施例では、投影レンズ1007は凸型シリンドリカルレンズ、集光レンズ1008には凹型シリンドリカルレンズと凸型球面レンズを用いている。凸型球面レンズによるレーザビームの長軸方向への影響を小さくするため、凸型球面レンズの直前に凹型シリンドリカルレンズをレーザビームの長軸方向に作用するように配置している。
半導体膜1009を成膜した基板は、実施例1に示した絶縁物質を材料としている。基板は吸着ステージに固定され、レーザ照射処理の際に落ちないようになっている。吸着ステージはXステージ1010、Yステージ1011を用いて半導体膜の表面に平行な面上をX軸、Y軸方向に10mm/sec.程度以上の速度で移動が可能であり、ステージを適切な速度にて走査させることにより、半導体膜全面を結晶化することができる。
さらに、位相共役鏡をレーザ発振器1000内部に用いると、レーザ発振器1000内の増幅器の歪みを完全に補正することが可能になる。このため、高強度かつ位相がそろったレーザビームを射出させることができる。そのため、光学系を用いてビームの強度を均一にすることや、ビームの整形を行うことがより容易になる。
このように光学系を配置することによって、照射するレーザビームの強度分布は均一であり、ビーム端部の強度が不足している部分は除去することができる。さらに、スリットを通過することによって発生する回折光が半導体膜に到達して干渉縞を形成することはない。このような構成を持つことによって、強度分布が均一なビームを半導体膜全面に照射することができる。
本実施例では、本発明のレーザアニール装置を用いて、薄膜トランジスタ(TFT)を作製する工程を示す。なお、本実施例ではトップゲート型(順スタガ型)TFTの作製方法を記載しているが、トップゲート型TFTに限らず、ボトムゲート型(逆スタガ型)TFTなどでも同様に本発明を用いることができる。
図12(A)に示すように、絶縁表面を有する基板1200上に下地膜1201を形成する。本実施例では、基板1200としてガラス基板を用いる。なお、ここで用いる基板には、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、セラミックス基板、ステンレス基板などを用いることができる。また、PET、PES、PENに代表されるプラスチックや、アクリルなどに代表される合成樹脂を原料とする基板は、一般的に他の基板と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが、本工程の処理に耐え得るのであれば用いることができる。
下地膜1201は、基板1200に含まれるナトリウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が半導体中に拡散し、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを防ぐために設ける。このため、アルカリ金属やアルカリ土類金属の半導体中への拡散を抑えることのできる酸化珪素や窒化珪素、窒化酸化珪素などの絶縁膜を用いて形成する。また、下地膜1201は単層または積層構造のいずれでもよい。本実施例では、プラズマCVD法(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法)を用いて窒化酸化珪素膜を10〜400nmの膜厚になるように成膜した。
なお、基板1200として、ガラス基板またはプラスチック基板のようにアルカリ金属やアルカリ土類金属が多少なりとも含まれている基板を用いている場合には、不純物の拡散を防ぐために下地膜を設けることは有効であるが、石英基板など不純物の拡散がさほど問題にならない基板を用いる場合には必ずしも下地膜1201を設ける必要はない。
次いで、下地膜1201上に非晶質半導体膜1202を形成する。非晶質半導体膜1202は、公知の方法(スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法など)により、25〜100nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで形成する。ここで用いる非晶質半導体膜は、珪素やシリコンゲルマニウムなどを用いることができるが、ここでは珪素を用いる。シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。
続いて図12(B)に示すように、本発明のレーザアニール装置を用いて非晶質半導体膜1202にレーザ1203を照射して結晶化を行う。本実施例では、レーザ1203として、発振周波数が10MHz以上のセラミックスYAGレーザを用いる。セラミックYAGのレーザ結晶に、Nd、Ybなどの複数種のドーパントを添加し、多数の波長で発振を得る。なお、このレーザの基本波の中心波長は1030〜1064nm、発振波長の半値全幅が30nm程度である。この基本波をレーザ発振器内の非線形光学結晶によって、中心波長515〜532nm、発振波長の半値全幅が15nm程度の第2高調波に変換している。なお、本実施例では、レーザ1203は非線形光学素子により第2高調波に変換されているが、第2高調波以外の高調波であっても構わない。
ここで挙げたレーザに限らず、実施の形態、他の実施例で示したCWレーザ、または発振周波数が10MHzを超えるパルスレーザを用いることができる。
レーザ発振器から射出されたレーザビームは、回折光学素子によってレーザビームの形状を線状、四角形状、または楕円形状に整形させるとともに、レーザビームの強度分布を均一にする。その後、スリットによって強度が低いビームの端部を遮断するとともに、ビームの長軸方向の長さを調節する。回折光学素子とスリットを用いることにより、より強度が均一化されたレーザビームにすることができる。さらに、投影レンズとして凸型シリンドリカルレンズまたは凸型球面レンズを通すことにより、スリットの像を直接非晶質半導体膜1202に結像させる。なお、実施の形態や他の実施例で示したように、シリンドリカルレンズや凸型球面レンズを用いて集光した後に非晶質半導体膜1202に照射する。
以上の方法を用いることによって、スリットを通過することによって発生する回折光が非晶質半導体膜1202に到達して干渉縞を形成することはなく、強度分布が均一なレーザビームを非晶質半導体膜1202に照射することができる。このレーザビームを非晶質半導体膜1202に走査することによって、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒が形成されるだけではなく、隣接したレーザ照射領域の境界において、微結晶領域や凹凸の形成を抑制することが可能になる。このようにして半導体膜にレーザを照射することにより、半導体膜の全面が均一にアニールされ、この半導体膜によって作製される電子機器の特性を良好かつ均一にすることができる。
その後、図12(C)に示すように、レーザビームの照射によって形成された結晶性半導体膜1205を所定の形状にエッチングし、島状の半導体膜1206を形成する。さらに、この島状の半導体膜1206を覆うようにゲート絶縁膜1207を形成する。
ゲート絶縁膜1207は、少なくとも酸素または窒素を含む絶縁膜であれば良く、単層でも複層でもよい。その際の成膜方法は、プラズマCVD法やスパッタ法を用いることができる。本実施例では、プラズマCVD法で窒化酸化珪素(SiN(x>y、なお、x、y=1、2、3・・・))と、酸化窒素珪素(SiO(x>y、なお、x、y=1、2、3・・・))を連続成膜して、合計膜厚が115nmになるように形成した。なお、チャネル長の長さが1μm以下であるようなTFT(サブミクロンTFTともいう)を形成する場合、ゲート絶縁膜は10〜50nmの厚さで形成することが望ましい。
次に、ゲート絶縁膜1207上に導電膜を形成し、所定の形状にエッチングすることでゲート電極1208を形成する。その概略は以下の通りになる。まず、ゲート絶縁膜1207上に形成する導電膜の材料は、導電性を有する膜であれば良く、本実施例では、W(タングステン)とTaN(窒化タンタル)の積層膜を用いたが、Al(アルミニウム)とMo(モリブデン)を用いてMo、Al、Moの順に積層した導電膜や、Ti(チタン)とAlを用いてTi、Al、Tiの順に積層した導電膜を用いても良い。また、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、チタン(Ti)から選ばれた元素、またはこれらの元素を主成分とする合成材料または化合物材料を用いることができる。さらには、これらの材料の積層物を用いることもできる。
そして、この導電膜をパターンするためのレジストマスクを形成する。まず、導電膜上にフォトレジストをスピンコーティング法などにより塗布し、露光を行う。次に、フォトレジストに対して加熱処理(プリベーク)を行う。プリベークの温度は50〜120℃とし、後に行われるポストベークより低い温度で行う。本実施例では、加熱温度は90℃、加熱時間は90秒とした。
次に、フォトレジストに現像液を滴下するか、あるいはスプレーノズルから現像液をスプレーすることによって、露光されたレジストを現像する。
その後、現像されたフォトレジストを125℃、180秒で加熱処理を行ういわゆるポストベークを行い、レジストマスク中に残っている水分などを除去し、同時に熱に対する安定性を高める。以上の工程によってレジストマスクが形成される。このレジストマスクを基に導電膜を所定の形状にエッチングして、ゲート電極1208を形成する。
なお、このほかの方法として、所定の場所に材料を吐出することが可能な印刷法やインクジェット法に代表される液滴吐出法により、ゲート電極1208を直接ゲート絶縁膜1207上に形成してもよい。
吐出する材料は、導電体材料を溶媒に溶解または分散させたものを用いる。導電膜となる材料は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、タングステン(W)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バリウム(Ba)などの金属から少なくとも一種類、またはこれらの金属の合金を含むものである。溶媒は、酢酸ブチル、酢酸エチルなどのエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、アセトンなどの有機溶剤などを用いることができる。
また、組成物の粘度は0.3Pa・s以下とする。これは、乾燥を防止し、吐出口から組成物を円滑に吐出するためである。なお、用いる溶媒や用途に合わせて組成物の粘度や表面張力は適宜調整すると良い。
そして、ゲート電極1208またはゲート電極1208を形成する際に用いたレジストをマスクとして用い、島状の半導体膜1206にn型またはp型の導電性を付与する不純物を選択的に添加することによって、ソース領域1209、ドレイン領域1210、LDD領域1211などを形成する。上記の工程によって、Nチャネル型TFT1212および1213と、Pチャネル型TFT1214を同一基板上に形成することができる(図12(D))。
続いて、図12(D)に示すように、それらの保護膜として、絶縁膜1215を形成する。この絶縁膜1215は、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜を単層または積層構造で100〜200nmの厚さに形成する。窒化酸化珪素膜と酸化窒素珪素膜を組み合わせる場合では、ガスを切り替えることによって連続成膜をすることが可能である。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚100nmの酸化窒化珪素膜を形成した。絶縁膜1215を設けることにより、酸素や空気中の水分をはじめ、各種イオン性の不純物の侵入を阻止するブロッキング作用を得ることができる。
次いで、さらに絶縁膜1216を形成する。ここでは、SOG(Spin On Glass)法またはスピンコート法によって塗布されたポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリル、シロキサン(などの有機樹脂膜を用いることができる。また、無機層間絶縁膜(窒化珪素、酸化珪素などの珪素を含む絶縁膜)、low−k(低誘電率)材料などを用いることができる。絶縁膜1216は、ガラス基板上に形成されたTFTによる凹凸を緩和し、平坦化する意味合いが強いため、平坦性に優れた膜が好ましい。なお、シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基は、水素を少なくとも含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)またはフルオロ基のいずれかである材料である。また、置換基として、水素を少なくとも含む有機基とフルオロ基の双方を含んでいてもよい。
さらに、フォトリソグラフィ法を用いてゲート絶縁膜1207、絶縁膜1215および絶縁膜1216をパターン加工して、ソース領域1209、ドレイン領域1210に達するコンタクトホールを形成する。
次に、導電性材料を用いて導電膜を形成し、この導電膜をパターン加工することによって配線1217を形成する。その後、保護膜として絶縁膜1218を形成すると、図12(D)に示すような半導体装置が完成する。
本発明のレーザアニール方法を用いた半導体装置の作製方法は、上述したTFTの作製工程に限定されない。本発明のレーザビームの照射方法を用いて結晶化された半導体膜をTFTの活性層として用いることで、素子間の移動度、閾値およびオン電流のばらつきを抑えることができる。
また、レーザビームによる結晶化の前に、触媒元素を用いた結晶化工程を設けてもよい。その触媒元素としては、ニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)といった元素を用いることができる。
なお、触媒元素を添加し、加熱処理を行って結晶化を促進した後にレーザビームの照射を行ってもよいし、加熱処理の工程を省略してもよい。また、加熱処理を行った後、その温度を保ちつつレーザ処理を行ってもよい。
本実施例では、半導体膜の結晶化に本発明のレーザ照射方法を用いた例を示したが、半導体膜にドーピングした不純物元素の活性化を行うために用いてもよい。また、本発明を用いた半導体装置の作製方法は、集積回路や半導体表示装置の作製方法にも用いることができる。
また、本発明を用いると、半導体膜が均一にアニールされる。従って、本発明の方法によって形成された半導体膜を用いて作製した全てのTFTは特性が良好であり、個々のTFTの特性は均一である。
また、本実施例は、実施の形態や他の実施例と自由に組み合わせることができる。
本実施例では、本発明のレーザ照射装置による結晶化方法に、触媒元素による結晶化方法を組み合わせて、より結晶化を良好に行う例について説明する。
まず、図13(A)に示すように、基板1300上に下地膜1301を形成し、下地膜1301上に半導体膜1302を成膜する工程までは、実施例2を参照して行う。次に、図13(B)に示すように、半導体膜1302の表面に、重量換算で10〜100ppmのNiを含む溶液、例えば酢酸ニッケルの溶液をスピンコート法で塗布し、半導体膜1302の表面近傍にニッケルを導入した領域を形成する。なお、図13(B)の点線は、触媒元素を導入したことを示す。触媒の導入は上記方法に限定されず、スパッタ法、蒸着法、プラズマ処理などを用いて導入しても良い。
そして、500〜650℃で4〜24時間、例えば500℃、14時間の加熱処理を行う。この加熱処理により、触媒元素が導入された領域から、触媒元素が導入されていない領域に向かって、すなわち、矢印で示すように、半導体膜1302表面から基板1300に向かって縦方向に結晶化が促進され、結晶化された半導体膜1303が形成される(図13(C))。
加熱処理は、ランプの輻射を熱源としたRTA(Rapid Thermal Anneal)、又は加熱された気体を用いるRTA(ガスRTA)で設定加熱温度740℃、180秒のRTAを行ってもよい。ここでの設定加熱温度は、パイロメータで測る基板の温度であり、その温度を熱処理時の設定温度としている。他には、ファーネスアニール炉を用いて550℃にて4時間の熱処理があり、これを用いて加熱処理をしても良い。結晶化温度の低温化及び時短化は触媒作用のある金属元素の作用によるものである。
なお、本実施例では触媒元素としてニッケル(Ni)を用いているが、その以外にも、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)といった元素を用いても良い。
次に図13(D)に示すように、レーザ照射装置を用いて半導体膜1303を結晶化する。本実施例で用いるレーザ発振器は、Ti:サファイアレーザである。Ti:サファイアレーザは、1種類のドーパントで多波長の発振を可能にするレーザである。レーザビーム1304の基本波の中心波長は660〜1180nmである。この基本波をレーザ発振器内の非線形光学結晶によって、中心波長330〜540nmの第二高調波に変換し、発振周波数を10MHz以上にして照射する。なお、本実施例では、第二高調波を用いているが、第二高調波以外の高調波であっても構わない。
また、レーザーとして、実施の形態や他の実施例で示したCWレーザ、または発振周波数が10MHzを超えるパルスレーザを用いることができる。
レーザ発振器から射出されたレーザビーム1304は、回折光学素子によってビームの強度分布を均一化された後、スリットによって端部の強度が低い部分を遮断する。さらに、投影レンズとして凸型シリンドリカルレンズをレーザビーム1304の長軸方向に作用させ、スリットの像を直接半導体膜に結像させる。このようにして断面の強度が均一化されたレーザビーム1304を半導体膜に照射する。
以上に述べたレーザ照射方法を行うことにより、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒が形成されるだけではなく、隣り合うレーザ照射領域の境界において、微結晶領域や凹凸の形成を抑制することができる。
上述した半導体膜1303へのレーザビーム1304の照射により、結晶性がより高められた半導体膜1305が形成される。なお、触媒元素を用いて結晶化された半導体膜1305内には、触媒元素(ここではNi)がおおよそ1×1019atoms/cm程度の濃度で含まれていると考えられる。次に、半導体膜1305内に存在する触媒元素のゲッタリングを行う。ゲッタリングによって、半導体膜中に混入する金属元素を除去することができるため、オフ電流を低減することが可能である。
まず、図14(A)に示すように半導体膜1305の表面に酸化膜1306を形成する。1nm〜10nm程度の膜厚を有する酸化膜1306を形成することで、後のエッチング工程において半導体膜1305の表面がエッチングにより荒れるのを防ぐことができる。なお、酸化膜1306は公知の方法を用いて形成することができる。例えば、硫酸、塩酸、硝酸などと過酸化水素水を混合させた水溶液や、オゾン水で、半導体膜1305の表面を酸化することで形成しても良いし、酸素を含む雰囲気中でのプラズマ処理や、加熱処理、紫外線照射等により形成しても良い。また酸化膜を別途、プラズマCVD法やスパッタ法、蒸着法などで形成しても良い。
次に酸化膜1306上に、希ガス元素を1×1020atoms/cm以上の濃度で含むゲッタリング用の半導体膜1307を、スパッタ法を用いて25〜250nmの厚さで形成する。ゲッタリング用の半導体膜1307は、半導体膜1305とエッチングの選択比を大きくするため、半導体膜1305よりも膜の密度の低い方がより望ましい。希ガス元素としてはヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)から選ばれた一種または複数種を用いる。
次に、図14(B)に示すように、ファーネスアニール法やRTA法を用いて加熱処理を施し、ゲッタリングを行う。ファーネスアニール法で行なう場合には、窒素雰囲気中にて450〜600℃で0.5〜12時間の加熱処理を行なう。また、RTA法を用いる場合には、加熱用のランプ光源を1〜60秒、好ましくは30〜60秒点灯させ、それを1〜10回、好ましくは2〜6回繰り返す。ランプ光源の発光強度は任意なものとするが、半導体膜が瞬間的には600〜1000℃、好ましくは700〜750℃程度にまで加熱されるようにする。
加熱処理により、半導体膜1305内の触媒元素が、拡散により矢印に示すようにゲッタリング用の半導体膜1307に移動し、ゲッタリングされる。
次に、ゲッタリング用の半導体膜1307を選択的にエッチングして除去する。エッチングは、ClFによるプラズマを用いないドライエッチング、或いはヒドラジンや、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド((CHNOH)を含む水溶液などアルカリ溶液によるウエットエッチングで行なうことができる。このとき酸化膜1306によって半導体膜1305がエッチングされるのを防ぐことができる。
次に酸化膜1306をフッ酸により除去した後、半導体膜1305を所定の形状にエッチングし、島状の半導体膜1308を形成する(図14(C))。この島状の半導体膜1308を用いてTFTに代表される各種の半導体素子を形成することができる。なお、本発明においてゲッタリング工程は、本実施例に示した方法に限定されない。その他の方法を用いて半導体膜中の触媒元素を低減するようにしても良い。
なお、本実施例では、触媒元素を添加してから加熱処理を行って結晶化を促進してから、レーザビームの照射により結晶性をより高めている構成について説明した。本発明はこれに限定されず、加熱処理の工程を省略しても良い。具体的には、触媒元素を添加してから加熱処理の代わりにレーザビームの照射を照射し、結晶性を高めるようにしても良い。
また、本実施例は、実施の形態や他の実施例と自由に組み合わせることができる。
本発明を用いて作製したTFTを薄膜集積回路装置、または非接触型薄膜集積回路装置(無線ICタグ、RFID(無線認証、Radio Frequency Identification)タグとも呼ばれる)として用いることもできる。他の実施例で示した作製方法を用いることにより、薄膜集積回路装置や非接触型薄膜集積回路装置は、タグとしての利用やメモリとして利用することができる。
本発明を用いることによって、半導体膜全面に対して良好にレーザ照射処理を行うことができるようになるため、半導体素子のレイアウトや大きさの自由度を高めることや、集積度を向上することが可能となる。また、製作した薄膜集積回路装置や非接触型薄膜集積回路装置の製品品質は良好な状態であり、品質のばらつきを押さえることが可能になる。その具体例を、図を用いて説明する。
なお、無線ICタグの集積回路に用いられる半導体素子として絶縁分離されたTFTを用いた例を以下に示すが、無線ICタグの集積回路に用いられる半導体素子はTFTに限定されず、あらゆる素子を用いることができる。例えば、TFTの他に、記憶素子、ダイオード、光電変換素子、抵抗素子、コイル、容量素子、インダクタなどが代表的に挙げられる。
まず、図15(A)に示すように、スパッタ法を用いてガラス基板でなる第1の基板1500上に剥離層1501を形成する。剥離層1501は、スパッタ法、減圧CVD法、プラズマCVD法等を用いて形成することができる。本実施例では、膜厚50nm程度の非晶質シリコンを減圧CVD法で形成し、剥離層1501として用いる。なお剥離層1501はシリコンに限定されず、エッチングにより選択的に除去できる材料(例えば、W、Moなど)で形成すれば良い。剥離層1501の膜厚は、50〜60nmとするのが望ましい。
次いで、剥離層1501上に、下地絶縁膜1502を形成する。下地絶縁膜1502は第1の基板中に含まれるNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、半導体膜中に拡散し、TFTなどの半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを防ぐために設ける。また、下地絶縁膜1502は、後の半導体素子を剥離する工程において、半導体素子を保護する役目も有している。下地絶縁膜1502は単層であっても複数の絶縁膜を積層したものであっても良い。よってアルカリ金属やアルカリ土類金属の半導体膜への拡散を抑えることができる酸化珪素や、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素(SiON)、酸素を含む窒化珪素(SiNO)などの絶縁膜を用いて形成する。
次に、下地絶縁膜1502上に半導体膜1503を形成する。半導体膜1503は、下地絶縁膜1502を形成した後、大気に曝さずに形成することが望ましい。半導体膜1503の膜厚は20〜200nm(望ましくは40〜170nm、好ましくは50〜150nm)とする。
そして、実施の形態や他の実施例と同様に、半導体膜1503に対してレーザビーム1499を照射して半導体膜1503を結晶化する。半導体膜1503へのレーザビーム1499の照射により、結晶性半導体膜1504が形成される。なお、図15(A)は、レーザビーム1499の走査途中を示す断面図である。
本発明を用いることにより、照射面上にレーザの干渉縞を生じさせることがなく、強度が均一なレーザビームを得ることができる。このレーザビームを用いることにより、半導体膜に対して均一にレーザ処理を行うことが可能になる。
次いで、図15(B)に示すように、結晶構造を有する半導体膜1504を所定の形状にエッチングして、島状の半導体膜1505〜1507を形成した後、ゲート絶縁膜1508を形成する。ゲート絶縁膜1508は、プラズマCVD法又はスパッタリング法などを用い、窒化珪素、酸化珪素、窒素を含む酸化珪素又は酸素を含む窒化珪素を含む膜を、単層で、又は積層させて形成することができる。
なお、ゲート絶縁膜1508を形成した後、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行ない、島状の半導体膜1505〜1507を水素化する工程を行なっても良い。また、水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
次に図15(C)に示すように、ゲート電極1509〜1511を形成する。ここでは、SiとWをスパッタ法で積層するように形成した後、レジスト1512をマスクとしてエッチングを行なうことにより、ゲート電極1509〜1511を形成した。勿論、ゲート電極1509〜1511の導電材料、構造、作製方法は、これに限定されるものではなく、適宜選択することができる。例えば、n型を付与する不純物がドーピングされたSiとNiSi(ニッケルシリサイド)との積層構造や、TaN(窒化タンタル)とW(タングステン)の積層構造としてもよい。また、種々の導電材料を用いて単層で形成しても良い。また、ゲート電極とアンテナとを同時に形成する場合には、それらの機能を考慮して材料を選択すればよい。
また、レジストマスクの代わりに、SiO等のマスクを用いてもよい。この場合、所定の形状にエッチングしてSiO、SiON等のマスク(ハードマスクと呼ばれる。)を形成する工程が加わるが、エッチング時におけるマスクの膜減りがレジストよりも少ないため、所望の幅のゲート電極1509〜1511を形成することができる。また、レジスト1512を用いずに、液滴吐出法を用いて選択的にゲート電極1509〜1511を形成しても良い。
次いで、図15(D)に示すように、Pチャネル型TFTとなる島状の半導体膜1506をレジスト1513で覆い、ゲート電極1509、1511をマスクとして、島状の半導体膜1505、1507に、n型を付与する不純物元素(代表的にはP(リン)又はAs(砒素))を低濃度にドープする。このドーピング工程によって、ゲート絶縁膜1508を介してドーピングがなされ、島状の半導体膜1505、1507に、一対の低濃度不純物領域1516、1517が形成される。なお、このドーピング工程は、Pチャネル型TFTとなる島状の半導体膜1506をレジスト1513で覆わずに行っても良い。
次いで、図15(E)に示すように、レジスト1513をアッシング等により除去した後、Nチャネル型TFTとなる島状の半導体膜1505、1507を覆うように、レジスト1518を新たに形成し、ゲート電極1510をマスクとして、島状の半導体膜1506に、P型を付与する不純物元素(代表的にはB(ホウ素))を高濃度にドープする。このドーピング工程によって、ゲート絶縁膜1508を介してドーピングがなされ、島状の半導体膜1506に、一対のP型の高濃度不純物領域1520が形成される。
次いで、図16(A)に示すように、レジスト1518をアッシング等により除去した後、ゲート絶縁膜1508及びゲート電極1509〜1511を覆うように、絶縁膜1521を形成する。
その後、エッチバック法により、絶縁膜1521、ゲート絶縁膜1508を部分的にエッチングし、図16(B)に示すように、ゲート電極1509〜1512の側壁に接するサイドウォール1522〜1524を自己整合的(セルフアライン)に形成する。エッチングガスとしては、CHFとHeの混合ガスを用いた。なお、サイドウォールを形成する工程は、これらに限定されるものではない。
次いで、図16(C)に示すように、Pチャネル型TFTとなる島状の半導体膜1506を覆うように、レジスト1526を新たに形成し、ゲート電極1509、1511及びサイドウォール1522、1524をマスクとして、n型を付与する不純物元素(代表的にはP又はAs)を高濃度にドープする。このドーピング工程によって、ゲート絶縁膜1508を介してドーピングがなされ、島状の半導体膜1505、1507に、一対のn型の高濃度不純物領域1527、1528が形成される。
次に、レジスト1526をアッシング等により除去した後、不純物領域の熱活性化を行っても良い。例えば、50nmのSiON膜を成膜した後、550℃、4時間、窒素雰囲気下において、加熱処理を行なえばよい。また、水素を含むSiN膜を、100nmの膜厚に形成した後、410℃、1時間、窒素雰囲気下において、加熱処理を行なうことにより、多結晶半導体膜の欠陥を改善することができる。これは、例えば、多結晶半導体膜中に存在するダングリングボンドを終端させるものであり、水素化処理工程などと呼ばれる。
上述した一連の工程により、Nチャネル型TFT1530、Pチャネル型TFT1531、Nチャネル型TFT1532が形成される。上記作製工程において、エッチバック法の条件を適宜変更し、サイドウォールのサイズを調整することで、チャネル長0.2μm〜2μmのTFTを形成することができる。
さらに、この後、Nチャネル型TFT1530、1532およびPチャネル型TFT1531を保護するためのパッシベーション膜を形成しても良い。
次いで、図17(A)に示すように、Nチャネル型TFT1530、1532およびPチャネル型TFT1531を覆うように、第1の層間絶縁膜1533を形成する。
さらに、第1の層間絶縁膜1533上に、第2の層間絶縁膜1534を形成する。なお、第1の層間絶縁膜1533又は第2の層間絶縁膜1534と、後に形成される配線を構成する導電材料等との熱膨張率の差から生じる応力によって、第1の層間絶縁膜1533又は第2の層間絶縁膜1534の膜剥がれや割れが生じるのを防ぐために、第1の層間絶縁膜1533又は第2の層間絶縁膜1534中にフィラーを混入させておいても良い。
次いで、図17(A)に示すように、第1の層間絶縁膜1533、第2の層間絶縁膜1534及びゲート絶縁膜1508にコンタクトホールを形成し、Nチャネル型TFT1530、1532およびPチャネル型TFT1531に接続する配線1535〜1539を形成する。なお、配線1535、1536はNチャネル型TFT1530の高濃度不純物領域1527に、配線1536、1537はPチャネル型TFT1531の高濃度不純物領域1520に、配線1538、1539はNチャネル型TFT1532の高濃度不純物領域1528に、それぞれ接続されている。さらに配線1539は、Nチャネル型TFT1532のゲート電極1511にも接続されている。Nチャネル型TFT1532は、乱数ROMのメモリ素子として用いることができる。
次いで、図17(B)に示すように、配線1535〜1539を覆うように、第2の層間絶縁膜1534上に第3の層間絶縁膜1541を形成する。第3の層間絶縁膜1541は、配線1535が一部露出する様な位置に開口部を有するように形成する。なお、第3の層間絶縁膜1541は、第1の層間絶縁膜1533と同様の材料を用いて形成することが可能である。
次に、第3の層間絶縁膜1541上にアンテナ1542を形成する。アンテナ1542は、Ag、Au、Cu、Pd、Cr、Mo、Ti、Ta、W、Al、Fe、Co、Zn、Sn、Niなどの金属、金属化合物を1つまたは複数有する導電材料を用いることができる。そしてアンテナ1542は、配線1535と接続されている。なお、図17(B)では、アンテナ1542が配線1535と直接接続されているが、本発明の無線ICタグはこの構成に限定されない。例えば別途形成した配線を用いて、アンテナ1542と配線1535とを電気的に接続するようにしても良い。
アンテナ1542は印刷法、フォトリソグラフィ法、蒸着法または液滴吐出法などを用いて形成することができる。図17(B)では、アンテナ1542が単層の導電膜で形成されているが、複数の導電膜が積層されたアンテナ1542を形成することも可能である。例えば、Niなどで形成した配線に、Cuを無電解めっきでコーティングして、アンテナ1542を形成しても良い。
なお液滴吐出法とは、所定の組成物を含む液滴を細孔から吐出して所定のパターンを形成する方法を意味し、インクジェット法などがその範疇に含まれる。また印刷法にはスクリーン印刷法、オフセット印刷法などが含まれる。印刷法、液滴吐出法を用いることで、露光用のマスクを用いずとも、アンテナ1542を形成することが可能になる。また、液滴吐出法、印刷法だと、フォトリソグラフィ法と異なり、エッチングにより除去されてしまうような材料の無駄がない。また高価な露光用のマスクを用いなくとも良いので、無線ICタグの作製に費やされるコストを抑えることができる。
液滴吐出法または各種印刷法を用いる場合、例えば、CuをAgでコートした導電粒子なども用いることが可能である。なお液滴吐出法を用いてアンテナ1542を形成する場合、アンテナ1542の密着性が高まるような処理を、第3の層間絶縁膜1541の表面に施すことが望ましい。
密着性を高めることができる方法として、具体的には、例えば触媒作用により導電膜または絶縁膜の密着性を高めることができる金属または金属化合物を第3の層間絶縁膜1541の表面に付着させる方法がある。また、形成される導電膜または絶縁膜との密着性が高い有機系の絶縁膜、金属、金属化合物を第3の層間絶縁膜1541の表面に付着させる方法、第3の層間絶縁膜1541の表面に大気圧下または減圧下においてプラズマ処理を施し、表面改質を行なう方法などが挙げられる。
第3の層間絶縁膜1541に付着させる金属または金属化合物が導電性を有する場合、アンテナの正常な動作が妨げられないように、そのシート抵抗を制御する。具体的には、導電性を有する金属または金属化合物の平均の厚さを、例えば1〜10nmとなるように制御したり、これらの金属または金属化合物を酸化により部分的に、または全体的に絶縁化したりすれば良い。或いは、密着性を高めたい領域以外は、付着した金属または金属化合物をエッチングにより選択的に除去しても良い。また金属または金属化合物を、予め基板の全面に付着させるのではなく、液滴吐出法、印刷法、ゾル−ゲル法などを用いて特定の領域にのみ選択的に付着させても良い。なお金属または金属化合物は、第3の層間絶縁膜1541の表面において完全に連続した膜状である必要はなく、ある程度分散した状態であっても良い。
そして、図18(A)に示すように、アンテナ1542を形成した後、アンテナ1542を覆うように、第3の層間絶縁膜1541上に保護層1545を形成する。保護層1545は、後に剥離層1501をエッチングにより除去する際に、アンテナ1542を保護することができる材料を用いる。例えば、水またはアルコール類に可溶なエポキシ系、アクリレート系、シリコン系の樹脂を全面に塗布することで保護層1545を形成することができる。
次いで、図18(B)に示すように、無線ICタグを個別に分離するために溝1546を形成する。溝1546は、剥離層1501が露出する程度であれば良い。溝1546の形成は、ダイシング、スクライビングなどを用いることができる。なお、第1の基板1500上に形成されている無線ICタグを分離する必要がない場合、必ずしも溝1546を形成する必要はない。
次いで、図18(C)に示すように、剥離層1501をエッチングにより除去する。ここでは、エッチングガスとしてフッ化ハロゲンを用い、このガスを溝1546から導入する。例えばClF(三フッ化塩素)を用い、温度を350℃とし、流量を300sccmとし、気圧を798パスカル(798Pa)とし、処理時間を3時間とした条件で行う。また、ClFガスに窒素を混ぜたガスを用いても良い。ClF等のフッ化ハロゲンを用いることで、剥離層1501が選択的にエッチングされ、第1の基板1500をNチャネル型TFT1530、1532およびPチャネル型TFT1531から剥離することができる。なおフッ化ハロゲンは、気体であっても液体であってもどちらでも良い。
次に図19(A)に示すように、剥離されたNチャネル型TFT1530、1532、Pチャネル型TFT1531及びアンテナ1542を、接着剤1550を用いて第2の基板1551に貼り合わせる。接着剤1550は、第2の基板1551と下地絶縁膜1502とを貼り合わせることができる材料を用いる。接着剤1550は、例えば反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等の光硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。
なお、第2の基板1551として、フレキシブルな紙またはプラスチックなどの有機材料を用いることができる。
次いで、図19(B)に示すように、保護層1545を除去した後、アンテナ1542を覆うように接着剤1552を第3の層間絶縁膜1541上に塗布し、カバー材1553を貼り合わせる。カバー材1553は第2の基板1551と同様に、フレキシブルな紙またはプラスチックなどの有機材料を用いることができる。接着剤1552の厚さは、例えば10〜200μmとすれば良い。
また接着剤1552は、カバー材1553と第3の層間絶縁膜1541及びアンテナ1542とを貼り合わせることができる材料を用いる。接着剤1552は、例えば反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等の光硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。
上述した各工程を経て、無線ICタグが完成する。上記作製方法によって、トータルの膜厚が0.3μm以上3μm以下、代表的には2μm程度の飛躍的に薄い集積回路を第2の基板1551とカバー材1553との間に形成することができる。
なお、集積回路の厚さは、半導体素子自体の厚さのみならず、接着剤1550と接着剤1552との間に形成された各種絶縁膜及び層間絶縁膜の厚さを含めるものとする。また、無線ICタグが有する集積回路の占める面積を、5mm四方(25mm)以下、より望ましくは0.3mm四方(0.09mm)〜4mm四方(16mm)程度とすることができる。
なお、本実施例では、耐熱性の高い第1の基板1500と集積回路の間に剥離層を設け、エッチングにより剥離層を除去することで基板と集積回路とを剥離する方法について示したが、本発明の無線ICタグの作製方法は、この構成に限定されない。例えば、耐熱性の高い基板と集積回路の間に金属酸化膜を設け、この金属酸化膜を結晶化により脆弱化して集積回路を剥離しても良い。或いは、耐熱性の高い基板と集積回路の間に、水素を含む非晶質半導体膜を用いた剥離層を設け、レーザビームの照射によりこの剥離層を変質させた後に除去することで、基板と集積回路とを剥離しても良い。あるいは、集積回路が形成された耐熱性の高い基板を機械的に削除または溶液やガスによるエッチングで除去することで集積回路を基板から切り離しても良い。
なお、本実施例では、アンテナを集積回路と同じ基板上に形成している例について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。別の基板上に形成したアンテナと集積回路とを、後に貼り合わせることで、電気的に接続するようにしても良い。
なお、一般的にRFIDで用いられている電波の周波数は、13.56MHz、2.45GHzが多く、これらの周波数の電波を検波できるように無線ICタグを形成することが、汎用性を高める上で非常に重要である。
本実施例の無線ICタグでは、半導体基板を用いて形成されたRFIDよりも電波が遮蔽されにくく、電波の遮蔽により信号が減衰するのを防ぐことができるというメリットを有している。よって、半導体基板を用いずに済むので、無線ICタグのコストを大幅に低くすることができる。
なお、本実施例では、集積回路を剥離して、可撓性を有する基板に貼り合わせる例について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。例えばガラス基板のように、集積回路の作製工程における熱処理に耐えうるような、耐熱温度を有している基板を用いる場合、必ずしも集積回路を剥離する必要はない。
また、本実施例は、実施の形態や他の実施例と自由に組み合わせることができる。
他の実施例で示した作製方法を用いて作製した無線ICタグの具体的な使用例を以下で説明する。
本発明を用いることによって、半導体膜全面に対して良好にレーザ照射処理を行うことができるようになるため、半導体素子のレイアウトや大きさの自由度を高めることや、集積度を向上することが可能となる。また、従来技術に比較して、本発明を用いて作製したTFT用いた無線ICタグは、品質が良好で、品質のばらつきがないものとなる。
図20(A)は、パスポート2001に無線ICタグ2002を貼り付けている状態を示している。また、パスポート2001に無線ICタグ2002を埋め込んでもよい。同様にして、運転免許証、クレジットカード、紙幣、硬貨、証券、商品券、チケット、トラベラーズチェック(T/C)、健康保険証、住民票、戸籍謄本などに無線ICタグを貼り付けることや埋め込むことができる。この場合、本物であることを示す情報のみを無線ICタグに入力しておき、不正に情報を読み取ったり書き込んだりできないようにアクセス権を設定する。これは、本発明を用いて形成したTFTを用いることにより実現できる。このようにタグとして利用することによって、偽造されたものと区別することが可能になる。
このほかに、無線ICタグをメモリとして用いることも可能である。図20(B)は、無線ICタグ2011を野菜の包装に貼り付けるラベルに埋め込んだ例を示している。また、包装そのものに無線ICタグを貼り付けたり埋め込んだりしても構わない。無線ICタグ2011には、生産地、生産者、製造年月日、加工方法などの生産段階のプロセスや、商品の流通プロセス、価格、数量、用途、形状、重量、賞味期限、各種認証情報などを記録することが可能になる。無線ICタグ2011からの情報は、無線式のリーダ2012のアンテナ部2013で受信して読み取り、リーダ2012の表示部2014に表示することによって、卸売業者、小売業者、消費者が把握することが容易になる。また、生産者、取引業者、消費者のそれぞれに対してアクセス権を設定することによって、アクセス権を有しない場合は読み込み、書き込み、書き換え、消去ができない仕組みになっている。
また、無線ICタグは以下のように用いることができる。会計の際に無線ICタグに会計を済ませたことを記入し、出口にチェック手段を設け、会計済みであることを無線ICタグに書き込まれているかをチェックする。会計を済ませていないで店を出ようとすると、警報が鳴る。この方法によって、会計のし忘れや万引きを予防することができる。
さらに、顧客のプライバシー保護を考慮すると、以下に記す方法にすることも可能である。レジで無線ICタグから商品情報を読み取り、さらに(1)無線ICタグに入力されているデータを暗証番号などでロックする、(2)無線ICタグに入力されているデータそのものを暗号化する、(3)無線ICタグに入力されているデータを消去する、(4)無線ICタグに入力されているデータを破壊する、のいずれかを行う。これらは、他の実施例にて挙げたメモリを用いることによって実現することができる。そして、出口にチェック手段を設け、(1)〜(4)のいずれかの処理が行われたか、または無線ICタグのデータに何も処理が行われていない状態であるかをチェックすることによって、会計の有無をチェックする。このようにすると、店内では会計の有無を確認することが可能であり、店外では所有者の意志に反して無線ICタグの情報を読み取られることを防止することができる。
なお、(4)の無線ICタグに入力されているデータを破壊する方法をいくつか挙げることができる。例えば、(a)無線ICタグが有する電子データの少なくとも一部に「0(オフ)」若しくは「1(オン)」、または「0」と「1」の両方を書き込んでデータを意味のないデータに書き換える方法や、(b)無線ICタグに電流を過剰に流し、無線ICタグが有する半導体素子の配線の一部を物理的に破壊する方法などを用いることができる。
他の無線ICタグの使い方として、無線ICタグを付けている商品の情報を冷蔵庫や洗濯機などの家庭用電化製品が持つリーダで読み取ることにより、商品の品質管理方法や取り扱い方法を自動で調節させることが可能になる。さらに、モニタを家庭用電化製品に付けて、商品情報を表示させることも可能である。
例えば、商品(例えば食品)には、保存に適した温度状態や湿度状態がある。また、季節ごとに冷蔵庫内の温度設定を行うことは省エネルギーの観点上、重要なことである。しかし、これを消費者が自力で調節するのは非常に面倒なことである。ところが、調節を怠ると、商品をすぐに傷めたり、季節によっては必要以上に電力を消費したりすることもある。
図21(A)は、無線ICタグ2100が付いている商品2101を冷蔵庫2102に出し入れするところを示す。ここで読み取ったデータの流れを図21(B)に示す。また、商品2101の出し入れに伴って冷蔵庫が行う処理の流れ図を図22に示す。
まず、図21(A)に示すように、無線ICタグが付いている商品2101を冷蔵庫2102に出し入れする(ステップS1)。この際に、出し入れした商品の情報をリーダ2103が読み取る(ステップS2)。次に、商品のデータを冷蔵庫2102が有する演算装置2104に送信し(ステップS3)、必要に応じて演算装置2104は記憶装置2105に商品のデータを記憶させる。このデータには、商品の種類、保存に最適な温度(T)、湿度状態、賞味期限などが含まれる。同時に、冷蔵庫2102の温度(T)、湿度状態を測定し(ステップS4)、演算装置2104に送信する(ステップS5)。必要に応じて記憶装置2105にこのデータを記憶させておく。なお、以下では温度に注目して述べるが、他の要素に関しても同様に処理を行うことができる。
次に、演算装置2104は、出し入れした商品の保存に最適な温度(T)と冷蔵庫内の温度(T)のデータを記憶装置2105から取り出し、TとTの差の絶対値(T)を計算し、Tと一定値(a)が以下の式(4)の通りになるか比較する(ステップS6)。
|T−T|=T<a・・・(4)
が一定値(a)以上である場合、つまり、上の式が偽であるときには、冷蔵庫2102で保存することには不適であるので、音や光などの手段によって消費者に警告を出し(ステップS7)、冷蔵庫2102の温度変化を行わない。Tが一定値(a)以内の場合、すなわち上の式が真のときには、以下の処理に続く。
演算装置2104は、出し入れ後の商品の保存に最適な温度(T)を計算する(ステップS8)。さらに、この温度(T)と冷蔵庫内の温度(T)とを比較し(ステップS9)、その結果によって冷却の強弱を決定する。T>Tの場合では、冷却を弱めるように調節装置2106に制御信号を送信し(ステップS10)、T<Tの場合では、冷却を強くするように調節装置2106に制御信号を送信する(ステップS11)。調節装置2106は、制御信号に従って作動し(ステップS12)、冷蔵庫2102の温度がTになるように調節する。
なお、冷蔵庫2102において、リーダ2103、演算装置2104、および調節装置2106は、制御装置2107によって入出力がコントロールされている。なお、演算装置2104および制御装置2107としてCPUを用いてもよい。
他の機能として、冷蔵庫2102に入れている商品の種類や数を把握することによって、冷蔵庫2102内に商品があまり入っていない場合には冷却を弱め、商品がたくさん入っているときには逆に強くすることも可能になる。さらには、冷蔵庫2102内の特定の位置だけ冷却を弱めたり強めたりすることも可能になる。また、冷蔵庫2102にモニタ2108を設置することにより、冷蔵庫2102を開けることなく内部に何が入っているかを確認することができる。
また、冷蔵庫内に入れた品物に応じた冷却方法を実行することも可能である。無線ICタグの情報に従って、急速に冷却するか、またはゆっくり冷却するかを判断する。その判断に従って調節装置2106に制御信号を送り、調節装置2106は制御信号に従って冷却の調節を行う。
このように、状況に応じて冷蔵庫内の状態を制御することによって、商品を長時間良好に保存することができ、かつ無駄な電力の消費を少なくすることができる。なお、温度の調整の仕方はここに挙げた方法に限らない。
本実施例では食品を保存する冷蔵庫について説明したが、温度、湿度、明るさなどを調節して保存する必要がある品物(例として、(1)化学物質や医薬品、(2)細胞、細菌類、植物、動物などの生体、(3)酵素やDNAなどの生体に由来するもの)であれば、品物の情報を入力した無線ICタグを容器に付けたり、無線ICタグを試料自体に付けたりすることにより、同様に用いることが可能である。
洗濯機の場合では、洗濯に適した洗い方、洗剤の種類や量、洗濯に用いる水の量などを設定する必要がある。一般的に、洗濯物は大きさや種類が多様であるため、洗濯の設定は面倒である。近年では、機能がたくさんある洗濯機が数多く市販されているが、消費者が洗濯機の機能を使いこなせていない場合も多い。
一般的に市販されている一槽式脱水洗濯機では、洗濯兼脱水槽に洗濯物を入れた後、洗濯兼脱水槽を回すための動力を測定することによって洗濯物の重量を測定し、この洗濯物の重量によって水の量が決められる。従って、同じ重さであっても、シーツのように大きくてかさばるものと、デニム素材のジャケットのように小さいものをそれぞれ洗う場合では、水量も洗い方も全く同じように洗濯が行われてしまう。洗剤の量は洗濯に使う水の量に合わせて設定されるため、上記のような場合では適切な洗剤の量にならないこともある。
そこで、図23に示すように、衣類に無線ICタグ2300が埋め込まれている洗濯物2301を洗濯機2302に入れる際に、洗濯物の種類、大きさ、重量、素材などの情報を洗濯機に付いているリーダ2303が読み取り、その情報を演算装置に送信する。演算装置は、これらの洗濯物の情報から適切な洗濯コース、洗剤の種類と量、水量を判断する。そして、洗濯機に付いているモニタ2304に、投入すべき洗剤の種類と量が表示される。消費者はその表示に従って洗剤を投入し、洗濯機のスタートボタンを押せばよい。このようにして、自動的に洗濯に関する設定が行われた後、洗濯が行われる。
本発明を用いて作製したTFTを用いてさまざまな電子機器を完成することができる。その具体例を、図24を用いて説明する。
本発明を用いることによって、半導体膜上にレーザの干渉縞を生じさせることなく、強度が均一なレーザビームを得ることができる。このレーザビームを用いることにより、半導体膜全面を良好にアニールすることが可能になる。そのため、半導体装置のレイアウトや大きさに制限をなくすことや、集積度を向上することが可能になる。また、基板のどの部分においても結晶化度は同じであるため、製作した半導体素子の製品品質は良好であり、その品質のばらつきをなくすことも可能である。その結果、最終製品としての電子機器をスループット良く、良好な品質で作製することが可能になる。その具体例を、図を用いて説明する。
図24(A)は表示装置であり、筐体2401、支持台2402、表示部2403、スピーカー部2404、ビデオ入力端子2405などを含む。この表示装置は、他の実施例で示した作製方法により形成したTFTを駆動ICや表示部2403などに用いることにより作製される。なお、表示装置には液晶表示装置、発光表示装置などがあり、用途別にはコンピュータ用、テレビ受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。具体的には、ディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ、反射型プロジェクターなどを挙げることができる。
図24(B)はコンピュータであり、筐体2411、表示部2412、キーボード2413、外部接続ポート2414、ポインティングマウス2415などを含む。本発明を用いて形成されたTFTは、表示部2412の画素部だけではなく、表示用の駆動IC、本体内部のCPU、メモリなどの半導体装置にも適用が可能である。
また、図24(C)は携帯電話であり、携帯用の情報処理端末の1つの代表例である。この携帯電話は筐体2421、表示部2422、操作キー2423などを含む。本発明を用いて形成されたTFTは表示部2422の画素部やセンサ部2424だけではなく、表示用の駆動IC、メモリ、音声処理回路などに用いることができる。センサ部2424は光センサ素子を有しており、センサ部2424で得られる照度に合わせて表示部2422の輝度コントロールを行ったり、センサ部2424で得られる照度に合わせて操作キー2423の照明制御を抑えたりすることによって、携帯電話の消費電力を抑えることができる。
上記の携帯電話を初めとして、PDA(Personal Digital Assistants、情報携帯端末)、デジタルカメラ、小型ゲーム機などの電子機器に、本発明を用いて形成した半導体装置を用いることもできる。例えば、CPU、メモリ、センサなどの機能回路を形成することや、これらの電子機器の画素部や、表示用の駆動ICにも適用することが可能である。
また、図24(D)、(E)はデジタルカメラである。なお、図24(E)は、図24(D)の裏側を示す図である。このデジタルカメラは、筐体2431、表示部2432、レンズ2433、操作キー2434、シャッター2435などを有する。本発明を用いて形成されたTFTは、表示部2432の画素部、表示部2432を駆動する駆動IC、メモリなどに用いることができる。
図24(F)はデジタルビデオカメラである。このデジタルビデオカメラは、本体2441、表示部2442、筐体2443、外部接続ポート2444、リモコン受信部2445、受像部2446、バッテリー2447、音声入力部2348、操作キー2449、接眼部2450などを有する。本発明を用いて形成されたTFTは、表示部2342の画素部、表示部2342を制御する駆動IC、メモリ、デジタル入力処理装置などに用いることができる。
この他にも、ナビゲーションシステム、音響再生装置、記録媒体を備えた画像再生装置などに用いることが可能である。これらの表示部の画素部や、表示部を制御する駆動IC、メモリ、デジタル入力処理装置、センサ部などの用途に、本発明を用いて形成されたTFTを用いることができる。
以上のように、本発明により作製された半導体装置の適用範囲は極めて広く、本発明により作製された半導体装置をあらゆる分野の電子機器に用いることができる。なお、これらの電子機器に使われる表示装置は、大きさや強度、または使用目的に応じて、ガラス基板だけでなく耐熱性の合成樹脂基板を用いることも可能である。それによってより一層の軽量化を図ることができる。
レーザ照射装置の概要を示す図である。 図1のレーザ照射装置の機能を説明する図である。 スリットの例を示す図である。 レーザ照射装置の光学系の詳細を示す図である。 レーザ照射装置の光学系の詳細を示す図である。 レーザ照射装置の概要を示す図である。 鏡による光の反射を説明する図である。 位相共役鏡による光の反射を説明する図である。 位相共役鏡を用いた本発明のレーザ照射装置の詳細を示す図である。 位相共役鏡を用いた本発明のレーザ照射装置の詳細を示す図である。 図9の光学系の位置関係を説明する図である。 半導体素子の作製過程を示す図である。 結晶性半導体膜の作製方法を示す図である。 結晶性半導体膜の作製方法を示す図である。 半導体装置の作製過程を示す図である。 半導体装置の作製過程を示す図である。 半導体装置の作製過程を示す図である。 半導体装置の作製過程を示す図である。 半導体装置の作製過程を示す図である。 半導体装置の具体的な使用方法を示した図である。 半導体装置の具体的な使用方法を示した図である。 半導体装置の情報処理方法を示す流れ図である。 半導体装置の具体的な使用方法を示した図である。 電子機器の例を示す図である。 レーザビームの強度分布と半導体膜における照射跡の関係を示す図である(背景技術)。 回折光学素子を用いたレーザー照射装置を説明するための図である(背景技術)。
符号の説明
101 レーザ発振器
102 回折光学素子
103 スリット
104 投影レンズ
105 集光レンズ
106 ミラー
107 半導体膜
108 吸着ステージ
109 Xステージ
110 Yステージ
301 開口部
302 遮蔽板
330 中心波長
501 レーザ発振器
502 回折光学素子
503 スリット
504 投影レンズ
505 集光レンズ
506 半導体膜
507 補正用レンズ
515 中心波長
601 レーザ発振器
602 回折光学素子
603 スリット
604 投影レンズ
605 集光レンズ
606 ミラー
607 半導体膜
608 吸着ステージ
609 Xステージ
610 Yステージ
901 レーザ発振器
902 回折光学素子
903 スリット
904 ビームスプリッタ
905 半導体膜
906 位相共役鏡
907 集光レンズ
1000 レーザ発振器
1003 位相共役鏡
1004 ビームスプリッタ
1005 回折光学素子
1006 スリット
1007 投影レンズ
1008 集光レンズ
1009 半導体膜
1010 Xステージ
1011 Yステージ

Claims (9)

  1. レーザ発振器と、
    ビームホモジナイザと、
    スリットと、
    第1の凹型シリンドリカルレンズと、
    投影レンズと、
    集光レンズと、
    レーザビームに対して照射面を相対的に移動する手段と、を有し、
    前記レーザ発振器より射出されたレーザビームは、連続発振のレーザビームまたは発振周波数が10MHz以上のパルスレーザビームであり、
    前記ビームホモジナイザによって、前記レーザ発振器より射出されたレーザビームの強度分布が均一化され、
    前記スリットによって、前記ビームホモジナイザを通過したレーザビームの端部が遮断され、
    前記第1の凹型シリンドリカルレンズは、前記スリットを通過したレーザビームの短軸方向に作用し、
    前記第1の凹型シリンドリカルレンズは、前記スリットと前記投影レンズの間に配置され、前記第1の凹型シリンドリカルレンズを通過したレーザビームが前記投影レンズに入射され、
    前記投影レンズを通過したレーザビームが前記集光レンズに入射されることを特徴とするレーザ照射装置。
  2. 請求項1において、
    前記投影レンズは、凸型シリンドリカルレンズまたは凸型球面レンズであることを特徴とするレーザ照射装置。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記スリットの開口部の幅をa、前記照射面における前記レーザビームの長軸の長さをb、前記投影レンズの焦点距離をf、前記スリットの射出側の面から前記投影レンズの第1主点までの距離をd、前記投影レンズの第2主点から前記照射面までの距離をdとすると、a、b、f、d、dは、1/f=(1/d)+(1/d)、d:d=a:bの関係を有することを特徴とするレーザ照射装置。
  4. レーザ発振器と、
    ビームホモジナイザと、
    集光レンズと、
    スリットと、
    ビームスプリッタと、
    位相共役鏡と、
    レーザビームに対して照射面を相対的に移動する手段と、を有し、
    前記レーザ発振器より射出されたレーザビームは、連続発振のレーザビームまたは発振周波数が10MHz以上のパルスレーザビームであり、
    前記ビームホモジナイザによって、前記レーザ発振器より射出されたレーザビームの強度分布が均一化され、
    前記集光レンズによって、前記ビームホモジナイザを通過したレーザビームが前記スリット上に集光され、
    前記スリットによって、前記集光レンズを通過したレーザビームの端部が遮断され、
    前記ビームスプリッタによって、前記スリットを通過したレーザビームが分割され、
    前記ビームスプリッタによって、分割されたレーザビームの一方は前記位相共役鏡に入射され、
    前記ビームスプリッタによって分割されたレーザビームの他方と、前記位相共役鏡で反射されたレーザビームとが、前記照射面に入射されることを特徴とするレーザ照射装置。
  5. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
    前記ビームホモジナイザは回折光学素子であることを特徴とするレーザ照射装置。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれか一項において、
    前記集光レンズは、凸型球面レンズ及び第2の凹型シリンドリカルレンズからなり、前記第2の凹型シリンドリカルレンズを通過したレーザビームが前記凸型球面レンズに入射されることを特徴とするレーザ照射装置。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
    前記スリットは、開口部の幅を調節するための遮蔽板を有することを特徴とするレーザ照射装置。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、
    前記レーザ発振器は、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト、YAlO、GdVO、多結晶のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVO 、光ファイバ内に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザから選ばれたレーザを発振するレーザ発振器であることを特徴とするレーザ照射装置。
  9. 請求項7または請求項8において、
    前記レーザ発振器より射出されたレーザビームは、非線形光学素子によって変換された高調波であることを特徴とするレーザ照射装置。
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