JP2004158720A6 - レーザー装置及びレーザー照射方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板処理の効率を高めることができるレーザー照射方法を用いた半導体装置の作製方法及び該作製方法を用いて作製された半導体装置の提供を課題とする。
【解決手段】半導体膜のうち、パターニング後に基板上に残される部分をマスクに従って把握する。そして、少なくともパターニングすることで得られる部分に、走査方向の異なるレーザー光を2回照射するように、各レーザー光の走査部分を定め、該走査部分にビームスポットがあたるように、半導体膜を部分的に結晶化する。つまり本発明では、半導体膜全体にレーザー光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分に2回レーザー光が照射できるようにする。上記構成により、半導体膜のうち、パターニングにより除去される部分に無駄にレーザー光を照射する時間を省くことができ、パターニング後に得られる半導体膜の結晶性をより高めることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体膜のうち、パターニング後に基板上に残される部分をマスクに従って把握する。そして、少なくともパターニングすることで得られる部分に、走査方向の異なるレーザー光を2回照射するように、各レーザー光の走査部分を定め、該走査部分にビームスポットがあたるように、半導体膜を部分的に結晶化する。つまり本発明では、半導体膜全体にレーザー光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分に2回レーザー光が照射できるようにする。上記構成により、半導体膜のうち、パターニングにより除去される部分に無駄にレーザー光を照射する時間を省くことができ、パターニング後に得られる半導体膜の結晶性をより高めることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板又は半導体膜などをレーザー光を用いて結晶化又はイオン注入後の活性化をするレーザー処理装置及びレーザー照射方法と、当該レーザー装置を用いて形成された半導体装置及びその作製方法と、前記半導体装置を用いた電子機器と、該レーザー装置を用いた半導体装置の生産システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、基板上にTFTを形成する技術が大幅に進歩し、アクティブマトリクス型の半導体表示装置への応用開発が進められている。特に、多結晶半導体膜を用いたTFTは、従来の非晶質半導体膜を用いたTFTよりも電界効果移動度(モビリティともいう)が高いので、高速動作が可能である。そのため、従来基板の外に設けられた駆動回路で行っていた画素の制御を、画素と同一の基板上に形成した駆動回路で行うことが可能である。
【0003】
ところで半導体装置に用いる基板は、コストの面から単結晶シリコン基板よりも、ガラス基板が有望視されている。ガラス基板は耐熱性に劣り、熱変形しやすいため、ガラス基板上にポリシリコンTFTを形成する場合には、ガラス基板の熱変形を避けるために、半導体膜の結晶化にレーザーアニールが用いられる。
【0004】
レーザーアニールの特徴は、輻射加熱或いは伝導加熱を利用するアニール法と比較して処理時間を大幅に短縮できることや、半導体又は半導体膜を選択的、局所的に加熱して、基板に殆ど熱的損傷を与えないことなどが上げられている。
【0005】
なお、ここでいうレーザーアニール法とは、半導体基板又は半導体膜に形成された損傷層を再結晶化する技術や、基板上に形成された非晶質半導体膜を結晶化させる技術を指している。また、半導体基板又は半導体膜の平坦化や表面改質に適用される技術も含んでいる。適用されるレーザー発振装置は、エキシマレーザーに代表される気体レーザー発振装置、YAGレーザーに代表される固体レーザー発振装置であり、レーザー光の照射によって半導体の表面層を数十ナノ〜数十マイクロ秒程度のごく短時間加熱して結晶化させるものとして知られている。
【0006】
レーザーはその発振方法により、パルス発振と連続発振の2種類に大別される。パルス発振のレーザーは出力エネルギーが比較的高いため、ビームスポットの大きさを数cm2以上として量産性を上げることができる。特に、ビームスポットの形状を光学系を用いて加工し、長さ10cm以上の線状にすると、基板へのレーザー光の照射を効率的に行うことができ、量産性をさらに高めることができる。そのため、半導体膜の結晶化には、パルス発振のレーザーを用いるのが主流となりつつあった。
【0007】
ところが近年、半導体膜の結晶化においてパルス発振のレーザーよりも連続発振のレーザーを用いる方が、半導体膜内に形成される結晶の粒径が大きくなることが見出された。半導体膜内の結晶粒径が大きくなると、該半導体膜を用いて形成されるTFTの移動度が高くなる。そのため、連続発振のレーザーはにわかに脚光を浴び始めている。
【0008】
しかし、一般的に連続発振のレーザーは、パルス発振のレーザーに比べてその最大出力エネルギーが小さいため、ビームスポットのサイズが10−3mm2程度と小さい。そのため、1枚の大きな基板を処理するためには、基板におけるビームの照射位置を上下左右に移動させる必要があり、基板1枚あたりの処理時間が長くなる。よって、基板処理の効率が悪く、基板の処理速度の向上が重要な課題となっている。
【0009】
なお、複数のビームスポットを重ね合わせて合成し、1つのビームスポットとして用いることで、基板処理の効率を高める技術は、従来から用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】
特許第3221724号公報(第2頁、第11図)
【0011】
【特許文献2】
特開平4−282869号公報(第2−3頁、第1(a)図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した問題に鑑み、従来に比べて基板処理の効率を高めることができるレーザー装置、レーザー照射方法及び該レーザー装置を用いた半導体装置の作製方法の提供を課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のレーザー装置は、被処理物に対するレーザー光の照射位置を制御する第1の手段と、レーザー光を発振する第2の手段(レーザー発振装置)と、前記レーザー光を加工する第3の手段(光学系)と、前記第2の手段の発振を制御し、なおかつ第3の手段によって加工されたレーザー光のビームスポットがマスクの形状のデータ(パターン情報)に従って定められる位置を覆うように前記第1の手段を制御する第4の手段とを有している。
【0014】
なお、マスクのデータに従って定められる位置とは、半導体膜のうち、結晶化後にパターニングすることで得られる部分である。本発明では第4の手段において、絶縁表面に形成された半導体膜のうち、パターニング後に基板上に残される部分をマスクに従って把握する。そして、少なくともパターニングすることで得られる部分を結晶化することができるように第1のレーザー光の走査部分を定め、該走査部分にビームスポットがあたるように第1の手段を制御して、半導体膜を部分的に結晶化する。次に、第1の手段を制御して走査方向を変更し、少なくともパターニングすることで得られる部分を結晶化することができるように再びレーザー光の走査部分を定め、前記走査部分に第2のレーザー光を照射する。このとき、第1のレーザー光の走査方向と、第2のレーザー光の走査方向とは、90°に近ければ近いほど望ましい。
【0015】
上述したように本発明では、半導体膜全体にレーザー光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分が最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができる。
【0016】
また、第1のレーザー光によって得られる幾つかの結晶粒が、走査方向の異なる第2のレーザー光により1つのより大きな結晶粒となる。これは、第1のレーザー光の照射により特定の方向に成長した結晶粒を種結晶とし、第2のレーザー光によって該特定の方向とは異なる方向に結晶成長が行われるためだと考えられる。よって走査方向の異なる2回のレーザー光照射により部分的に結晶性の高い半導体膜が得られ、該半導体膜の結晶性がより高められた部分を用いてTFTの活性層を作製することで、移動度の高いTFTを得ることができる。
【0017】
本発明では、マスクを用いた選択的なレーザー光の照射を行うために、半導体膜の成膜後、レーザー光による結晶化の前に、半導体膜にレーザー光でマーカーを付ける。そして該マーカーの位置を基準として、マスクをもとにレーザー光を走査する位置を定める。
【0018】
上記構成によって、レーザー光照射にかかる時間を短縮化することができ、なおかつ基板の処理速度を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のレーザー装置の構成について説明する。図1に本発明の発光装置のブロック図を示す。
【0020】
本発明のレーザー装置100は、被処理物に対するレーザー光の照射位置を制御する第1の手段に相当するステージコントローラ101を有している。なお図1ではステージコントローラ101を用いて基板の位置を変えることで、レーザー光の照射位置を移動(走査)させたり、レーザー光の走査方向を変えたりすることができるが、本発明はこの構成に限定されない。光学系を用いてレーザー光を走査したり、レーザー光の走査方向を変えたりしても良い。
【0021】
また、本発明のレーザー装置100は、レーザー光を発振する第2の手段に相当するレーザー発振装置102を有している。なお図1では1つのレーザー発振装置102を設けている例について示しているが、本発明のレーザー装置100が有するレーザー発振装置102はこの数に限定されない。レーザー発振装置から出力される各レーザー光のビームスポットを互いに重ね合わせ、1つのビームスポットとして用いていても良い。
【0022】
レーザーは、処理の目的によって適宜変えることが可能である。本発明では、公知のレーザーを用いることができる。レーザーは、パルス発振または連続発振の気体レーザーもしくは固体レーザーを用いることができる。気体レーザーとして、エキシマレーザー、Arレーザー、Krレーザーなどがあり、固体レーザーとして、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライドレーザー、Ti:サファイアレーザー、Y2O3レーザーなどが挙げられる。固体レーザーとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti、Yb又はTmがドーピングされたYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶を使ったレーザーが適用される。当該レーザーの基本波はドーピングする材料によって異なり、1μm前後の基本波を有するレーザー光が得られる。基本波に対する高調波は、非線形光学素子を用いることで得ることができる。
【0023】
またさらに、固体レーザーから発せられらた赤外レーザー光を非線形光学素子でグリーンレーザー光に変換後、さらに別の非線形光学素子によって得られる紫外レーザー光を用いることもできる。
【0024】
なお本発明のレーザー装置は、上記4つの手段の他に、被処理物の温度を調節する手段を備えていても良い。
【0025】
また本発明のレーザー装置100は、レーザー発振装置102から発振されるレーザー光の、被処理物におけるビームスポットを加工することができる第3の手段に相当する光学系103を有している。
【0026】
なお、レーザー発振装置102から発振されるレーザー光の被処理物107におけるビームスポットの形状は、レーザーの種類によって異なるし、光学系により成形することもできる。例えば、ラムダ社製のXeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅30ns)L3308から射出されたレーザー光の形状は、10mm×30mm(共にビームプロファイルにおける半値幅)の矩形状である。また、YAGレーザーから射出されたレーザー光の形状は、ロッド形状が円筒形であれば円状となり、スラブ型であれば矩形状となる。このようなレーザー光を光学系により、さらに成形することにより、所望の大きさのレーザー光をつくることもできる。
【0027】
また、複数のレーザー発振装置を用いる場合、前記光学系を用いて各レーザー発振装置から出力されるビームスポットを互いに重ね合わせて1つのビームスポットを形成するようにしても良い。
【0028】
さらに本発明のレーザー装置100は、第4の手段に相当するCPU104を有している。CPU104はレーザー発振装置102の発振を制御し、なおかつレーザー光のビームスポットがマスクのデータに従って定められる位置を覆うように、第1の手段に相当するステージコントローラ101を制御することができる。
【0029】
図2(A)を用いて、アクティブマトリクス型の半導体装置を作製するために成膜された半導体膜500におけるレーザー光の走査方向について説明する。図2(A)では、破線501が画素部、破線502が信号線駆動回路、破線503が走査線駆動回路の形成される部分に相当する。
【0030】
図2(A)において矢印はレーザー光の走査方向を示している。本発明では、走査方向の異なる2つのレーザー光を半導体膜に照射しており、図2(A)の実線で示した矢印が1回目のレーザー光の走査方向であり、破線で示した矢印が2回目のレーザー光の走査方向を示している。そして、1回目のレーザー光と2回目のレーザー光が交差した領域に活性層が形成される。
【0031】
なお、図2(A)では1回目のレーザー光の走査方向と2回目のレーザー光の走査方向の角度がほぼ90°になっているが、角度はこれに限定されない。
【0032】
図2(B)に、1回目の走査におけるビームスポット507の拡大図を示す。また図2(C)に、2回目の走査におけるビームスポット507の拡大図を示す。本発明では、ビームスポット507の中心軸と、走査方向とが垂直であっても良いし、垂直にならないように(具体的には、ビームスポットの中心軸と、走査方向との間に形成される鋭角θAが45°±35°となるようにし、より望ましくは45°となるように)してもよい。ビームスポットの中心軸と、走査する方向とが垂直の場合、最も基板の処理効率が高まる。一方合成後のビームスポットの中心軸と、走査する方向とが45°±35°となるように、望ましくは45°により近い値になるように走査することで、走査する方向とビームスポットの中心軸とが垂直になるように走査した場合に比べて、活性層中に存在する結晶粒の数が多くなり、結晶の方位や結晶粒に起因する特性のばらつきを低減することができる。
【0033】
またレーザー光は、一般的にビームスポットのエッジの部分におけるエネルギー密度が他の部分よりも低くなっており、被処理物への処理が均一に行えない場合がある。よって、結晶化後に半導体膜をパターニングすることで得られる島状の半導体膜に相当する部分506と、レーザー光の軌跡のエッジとが重なることのないように、レーザー光を照射することが望ましい。
【0034】
なお、図2(A)では画素部501、信号線駆動回路502、走査線駆動回路503の全てにおいてレーザー光を2回照射しているが、本発明はこの構成に限定されない。図3(A)に、走査線駆動回路503において2回レーザー光を照射している場合について示す。この場合、走査線駆動回路503においてレーザー光が2回照射された部分に活性層が形成される。そして、画素部501、信号線駆動回路502においてはレーザー光が1回照射された部分において活性層を形成する。また図3(B)に、信号線駆動回路502において2回レーザー光を照射している場合について示す。この場合、信号線駆動回路502においてレーザー光が2回照射された部分に活性層が形成される。そして、画素部501、走査線駆動回路503においてはレーザー光が1回照射された部分において活性層を形成する。また、信号線駆動回路や走査線駆動回路の配置によっては画素部のみレーザー光を2回照射することが可能である。また、画素部、信号線駆動回路及び走査線駆動回路のいずれか2つにおいてのみレーザー光を2回照射することも可能である。
【0035】
そして本発明では、CPU104に入力される半導体膜のパターニングのマスクに従って、第1のレーザー光と第2のレーザー光のそれぞれについて、レーザー光を走査する部分を定める。なおレーザー光を走査する部分は、半導体膜の、結晶化後にパターニングすることで得られる部分を覆うようにする。CPU104では、半導体膜のうち、少なくともパターニングすることで得られる部分を結晶化することができるように、レーザー光の走査部分を定め、該走査部分にビームスポット即ち照射位置があたるように、第1の手段に相当するステージコントローラ101を制御して、半導体膜を部分的に結晶化する。
【0036】
図4(A)に、1回目のレーザー光の走査する部分と、マスクとの関係を示す。なお図4(A)では、ビームスポットの中心軸と走査方向とがほぼ垂直になっている。510は半導体膜のうち、パターニングに得られる島状の半導体膜を示しており、これらの島状の半導体膜510を覆うように、レーザー光の走査部分が定められる。511はレーザー光の走査部分であり、島状の半導体膜510を覆っている。図4(A)に示すように、本発明では1回目のレーザー光を半導体膜全面に照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。
【0037】
次に、図4(A)に示した半導体膜に対して2回目のレーザー光を照射する場合の、レーザー光の走査する部分とマスクとの関係を図4(B)に示す。図4(B)では、2回目のレーザー光の走査方向は1回目のレーザー光の走査方向と90°異なっている。2回目のレーザー光も島状の半導体膜となる部分510を覆うように、その走査部分が定められる。513は2回目のレーザー光の走査部分であり、島状の半導体膜510を覆っている。図4(B)に示すように、本発明では2回目のレーザー光を半導体膜全面に照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。
【0038】
よって、島状の半導体膜となる部分510には、走査方向の異なるレーザー光が2回照射されるので、結晶性がより高められる。また基板全面を照射するのではなく、半導体膜のマスクによって定められた部分が結晶化できるように必要最低限の部分にのみレーザー光が照射されているので、1枚の基板にかかる処理時間を抑えることができ、基板処理の効率を高めることができる
【0039】
なお、図4では1回目と2回目のレーザー光は、ともに半導体膜全面に照射されるのではなく、半導体膜のマスクによって定められた部分が結晶化できるように必要最低限の部分にのみ照射されている。本発明はこの構成に限定されず、1回目のレーザー光を半導体膜全面に照射し、2回目のレーザー光を部分的に照射するようにしても良い。逆に1回目のレーザー光を部分的に照射し、2回目のレーザー光を基板全体に照射するようにしてもよい。図5(A)に半導体膜全面に1回目のレーザー光を照射し、図5(B)に、図5(A)に示した半導体膜に対して2回目のレーザー光を照射した場合の様子を示す。514は1回目のレーザー光の走査部分であり、半導体膜全面を覆っている。そして515はパターニングによって得られる島状の半導体膜の形状を示しており、1回目のレーザー光の走査部分のエッジと重ならないような位置に配置されている。また516は2回目のレーザー光の走査部分を示しており、パターニングによって得られる島状の半導体膜515を覆っている。そして2回目のレーザー光は半導体膜全面に照射されてはおらず、少なくとも島状の半導体膜515にレーザー光があたるように部分的に照射されている。
【0040】
なお、結晶化後の半導体膜をTFTの活性層として用いる場合、2回のレーザー光の照射のうちのいずれか一方において、その走査方向がチャネル形成領域のキャリアが移動する方向と平行になるように定めるのが望ましい。
【0041】
図6にTFTの活性層の一例を示す。図6(A)ではチャネル形成領域が1つ設けられている活性層を示しており、チャネル形成領域520を挟むようにソース領域またはドレイン領域となる不純物領域521、522が設けられている。本発明のレーザー装置を用いて半導体膜を結晶化させるとき、1回目もしくは2回目のレーザー光の走査方向が矢印に示すように、チャネル形成領域のキャリアの移動する方向と平行になるように、走査方向を定めるようにする。
【0042】
523は1回目のレーザー光のビームスポットを示しており、実線で示した矢印の方向に走査する。ビームスポット523のうち、斜線で示した領域524において、エネルギー密度が、良好な結晶を得るために必要である値の範囲に入っている。活性層全体に、斜線で示した領域524のレーザー光が照射されるようにすることで、活性層の結晶性をより高めることができる。
【0043】
また525は2回目のレーザー光のビームスポットを示しており、破線で示した矢印の方向に走査する。図6(A)に示すとおり1回目のレーザー光と2回目のレーザー光の走査方向は異なっている。ビームスポット525のうち、斜線で示した領域526において、良好な結晶を得るために必要なエネルギー密度を満たしている。活性層全体に、斜線で示した領域526のレーザー光が照射されるようにすることで、活性層の結晶性をより高めることができる。
【0044】
また、図6(B)では、チャネル形成領域が3つ設けられている活性層を示しており、チャネル形成領域530を挟むように不純物領域533、534が設けられている。また、チャネル形成領域531を挟むように不純物領域534、535が設けられており、さらにチャネル形成領域532を挟むように不純物領域535、536が設けられている。そして、本発明のレーザー装置を用いて半導体膜を結晶化させるとき、1回目のレーザー光は実線の矢印の方向に走査する。そして2回目のレーザー光の走査方向は破線の矢印に示すように、チャネル形成領域のキャリアが移動する方向と平行になるように、走査方向を定めるようにする。
【0045】
なお、本発明では1回目と2回目いずれか一方において、レーザー光の走査方向とキャリアの移動する方向とが平行になるようにすれば良いが、結晶の成長方向はエネルギー密度の高いレーザー光の走査方向により強く影響を受けるので、エネルギー密度の高いレーザー光に方向を合わせるのがより好ましい。
【0046】
図30を用いて、アクティブマトリクス型の半導体装置を作製するために成膜された半導体膜におけるレーザー光の走査方向と、各回路における活性層のレイアウトとの関係について説明する。
【0047】
図30において、基板上に半導体膜850が成膜されている。破線853で囲まれた部分は画素部が形成される部分であり、画素部853に複数の活性層となる部分856が設けられている。破線854で囲まれた部分は信号線駆動回路が形成される部分であり、信号線駆動回路854に複数の活性層となる部分857が設けられている。破線855で囲まれた部分は走査線駆動回路が形成される部分であり、走査線駆動回路855に複数の活性層となる部分858が設けられている。
【0048】
なお、各回路が有する活性層となる部分856、857、858は、実際には数十μm単位の小さいサイズであるが、ここでは図を分かり易くするために、あえて図30では実際のサイズよりも大きく図示した。各回路が有する活性層となる部分856、857、858は、チャネル形成領域のキャリアが移動する方向が2つ(第1の方向と第2の方向)に大別されるようにレイアウトされている。
【0049】
851は1回目のレーザー光照射により結晶化される部分であり、全ての活性層となる部分856、857、858を覆っている。そして1回目のレーザー光の走査方向は、第1の方向と平行になるように走査されている。
【0050】
そして852は2回目のレーザー光により結晶化される部分である。2回目のレーザー光の走査方向は、1回目のレーザー光の走査方向とは異なっており、第2の方向と平行になっている。そして、2回目のレーザー光は、全ての活性層となる部分856、857、858を覆っているわけではなく、チャネル形成領域のキャリアが移動する方向が第2の方向と平行になっている活性層のみ覆っている。図30では、複数の活性層858のうち、チャネル形成領域のキャリアの移動する方向と2回目のレーザー光の走査方向とが平行になる活性層のみ、2回目のレーザー光が照射されている。
【0051】
なお、レーザー光の走査部分を定めるためには、半導体膜に対するマスクの位置を定めるためのマーカーを、半導体膜に形成する必要がある。図7に、アクティブマトリクス型の半導体装置を作製するために成膜された半導体膜において、マーカーを形成する位置を示す。なお、図7(A)は1つの基板から1つの半導体装置を作製する例を示しており、図7(B)は1つの基板から4つの半導体装置を作製する例を示している。
【0052】
図7(A)において540は基板上に成膜された半導体膜であり、破線541が画素部、破線542が信号線駆動回路、破線543が走査線駆動回路の形成される部分に相当する。544はマーカーが形成される部分(マーカー形成部)であり、半導体膜の4隅に位置するように設けられている。
【0053】
なお図7(A)ではマーカー形成部544を4つそれぞれ4隅に設けたが、本発明はこの構成に限定されない。半導体膜におけるレーザー光の走査部分と、半導体膜のパターニングのマスクとの位置合わせをすることができるのであれば、マーカー形成部の位置及びその数は上述した形態に限定されない。
【0054】
図7(B)において550は基板上に成膜された半導体膜であり、破線551は後の工程において基板を分断するときのスクライブラインである。図7(B)では、スクライブライン551の沿って基板を分断することで、4つの半導体装置を作製することができる。なお分断により得られる半導体装置の数はこれに限定されない。
【0055】
552はマーカーが形成される部分(マーカー形成部)であり、半導体膜の4隅に位置するように設けられている。なお図7(B)ではマーカー形成部552を4つそれぞれ4隅に設けたが、本発明はこの構成に限定されない。半導体膜におけるレーザー光の走査部分と、半導体膜のパターニングのマスクとの位置合わせをすることができるのであれば、マーカー形成部の位置及びその数は上述した形態に限定されない。
【0056】
マーカーを形成する際に用いるレーザーは、代表的にはYAGレーザー、CO2レーザー等が挙げられるが、無論この他のレーザーを用いて形成することは可能である。
【0057】
次に、本発明のレーザー装置を用いた半導体装置の生産システムについて説明する。
【0058】
図8に本発明の生産システムの流れをフローチャートで示す。まずCADを用いて半導体装置の設計を行う。そして、設計された半導体膜のパターニングのマスクの形状に関する情報を、レーザー装置が有するCPUに入力する。
【0059】
一方、非晶質半導体膜を基板上に成膜した後、非晶質半導体膜が成膜された基板をレーザー装置に設置する。そして、レーザーを用いて半導体膜の表面にマーカーを形成する。
【0060】
CPUでは入力されたマスクの情報に基づき、マーカーの位置を基準にして、1回目及び2回目のレーザー光の走査部分を決定する。なお、2回目のレーザー光の走査部分は、1回目のレーザー光の走査方向と2回目のレーザー光の走査方向との間の角度によって異なる。1回目のレーザー光の走査方向と2回目のレーザー光の走査方向の角度は、予めメモリ等に記憶しておいても良いし、手動でその都度入力するようにしても良い。そして形成されたマーカーを基準にして、1回目のレーザー光の走査部分にレーザー光を照射し、半導体膜を部分的に結晶化する。
【0061】
次に、第1の手段を用いてレーザー光の走査方向を、定められた値だけ変更し、2回目のレーザー光の照射を行う。そして半導体膜を部分的に結晶化させる。
【0062】
そして、レーザー光を照射した後、レーザー光照射により得られた多結晶半導体膜をパターニングしてエッチングし、島状の半導体膜を形成する。以下、島状の半導体膜からTFTを作製する工程が行われる。TFTの具体的な作製工程はTFTの形状によって異なるが、代表的にはゲート絶縁膜を成膜し、島状の半導体膜に不純物領域を形成する。そして、ゲート絶縁膜及びゲート電極を覆うように層間絶縁膜を形成し、該層間絶縁膜にコンタクトホールを形成し、不純物領域の一部を露出させる。そして該コンタクトホールを介して不純物領域に接するように層間絶縁膜上に配線を形成する。
【0063】
なお、比較対象のために、図9に従来の半導体装置の生産の流れをフローチャートで示す。図9に示すように、CADによる半導体装置のマスク設計が行われる。一方で、基板に非晶質半導体膜が成膜され、該非晶質半導体膜が成膜された基板をレーザー装置に設置する。そして、非晶質半導体膜全体にレーザー光が照射されるように走査し、非晶質半導体膜全体を結晶化させる。そして、結晶化により得られた多結晶半導体膜にマーカーを形成し、該マーカーを基準として多結晶半導体膜をパターニングして島状の半導体膜を形成する。そして該島状の半導体膜を用いてTFTを作製する。
【0064】
このように本発明の生産システムでは、図9に示すような従来の場合とは異なり、マーカーをレーザー光を用いて非晶質半導体膜を結晶化させる前に形成する。そして、半導体膜のパターニングのマスクの情報に従って、レーザー光を走査させる。
【0065】
上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができるので、レーザー光照射にかかる時間を短縮化することができ、なおかつ基板の処理速度を向上させることができる。
【0066】
なお、図10に、触媒を用いて半導体膜を結晶化させる工程を含む場合の、本発明の生産システムのフローチャートを示す。触媒元素を用いる場合、特開平7−130652号公報、特開平8−78329号公報で開示された技術を用いることが望ましい。
【0067】
図10の図8と異なる点は、非晶質半導体膜を成膜後にNiを用いて結晶化させる工程(NiSPC)を含んでいる点である。例えば特開平7−130652号公報に開示されている技術を用いる場合、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液を非晶質半導体膜に塗布してニッケル含有層を形成し、500℃、1時間の脱水素工程の後、500〜650℃で4〜12時間、例えば550℃、8時間の熱処理を行い結晶化する。尚、使用可能な触媒元素は、ニッケル(Ni)の以外にも、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、といった元素を用いても良い。
【0068】
そして図10では、2回のレーザー光照射を用いて、NiSPCにより結晶化された半導体膜の結晶性をさらに高める。レーザー光照射により得られた多結晶半導体膜は触媒元素を含んでおり、図10ではレーザー光照射後にその触媒元素を結晶質半導体膜から除去する工程(ゲッタリング)を行う。ゲッタリングは特開平10−135468号公報または特開平10−135469号公報等に記載された技術を用いることができる。
【0069】
具体的には、レーザー照射後に得られる多結晶半導体膜の一部にリンを添加し、窒素雰囲気中で550〜800℃、5〜24時間、例えば600℃、12時間の熱処理を行う。すると多結晶半導体膜のリンが添加された領域がゲッタリングサイトとして働き、多結晶半導体膜中に存在するリンをリンが添加された領域に偏析させることができる。その後、多結晶半導体膜のリンが添加された領域をパターニングにより除去することで、触媒元素の濃度を1×1017atoms/cm3以下好ましくは1×1016atoms/cm3程度にまで低減された島状の半導体膜を得ることができる。
【0070】
このように本発明では、半導体膜全体にレーザー光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができ、基板1枚あたりにかかる処理時間を大幅に短縮することができる。
【0071】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0072】
(実施例1)
レーザー光を照射して形成される結晶質半導体膜は、複数の結晶粒が集合して形成されている。その結晶粒の位置と大きさはランダムなものであり、結晶粒の位置や大きさを指定して結晶質半導体膜を形成する事は難しい。そのため前記結晶質半導体を島状にパターニングすることで形成された活性層中には、結晶粒の界面(粒界)が存在することがある。
【0073】
結晶粒内と異なり、粒界には非晶質構造や結晶欠陥などに起因する再結合中心や捕獲中心が無数に存在している。この捕獲中心にキャリアがトラップされると、粒界のポテンシャルが上昇し、キャリアに対して障壁となるため、キャリアの電流輸送特性を低下することが知られている。よって、TFTの活性層、特にチャネル形成領域中に粒界が存在すると、TFTの移動度が著しく低下したり、また粒界において電流が流れるためにオフ電流が増加したりと、TFTの特性に重大な影響を及ぼす。また同じ特性が得られることを前提に作製された複数のTFTにおいて、活性層中の粒界の有無によって特性がばらついたりする。
【0074】
半導体膜にレーザー光を照射したときに、得られる結晶粒の位置と大きさがランダムになるのは、以下の理由による。レーザー光の照射によって完全溶融した液体半導体膜中に固相核生成が発生するまでにはある程度の時間が掛かる。そして時間の経過と共に、完全溶融領域において無数の結晶核が発生し、該結晶核からそれぞれ結晶が成長する。この結晶核の発生する位置は無作為であるため、不均一に結晶核が分布する。そして、互いの結晶粒がぶつかり合ったところで結晶成長が終了するため、結晶粒の位置と大きさは、ランダムなものとなる。
【0075】
一方、半導体膜を完全に溶融させるのではなく、部分的に溶融させることで結晶質半導体膜を形成する方法も提案されている。この場合、レーザー光の照射によって、半導体膜が完全溶融している部分と、固相半導体領域が残存している部分とが形成され、前記固相半導体領域を結晶核として結晶成長が始まる。完全溶融領域において核生成が発生するにはある程度時間が掛かるため、完全溶融領域において核生成が発生するまでの間に、前記固相半導体領域を結晶核として前記半導体膜の膜面に対する水平方向(以下、ラテラル方向と呼ぶ)に結晶が成長する。そのため、結晶粒は膜厚の数十倍もの長さに成長する。そして、時間の経過にしたがって完全溶融領域においても結晶化が始まり、該結晶核から成長した結晶とぶつかり合うと、上述したラテラル方向の結晶成長は終了する。以下、この現象をスーパーラテラル成長と言う。
【0076】
上記スーパーラテラル成長の場合、比較的大きな結晶粒が得られるが、前記スーパーラテラル成長が実現するレーザー光のエネルギー領域は非常に狭く、また、大結晶粒の得られる位置については制御が困難であった。さらに、大結晶粒以外の領域は無数の核生成が発生した微結晶領域、もしくは非晶質領域であり、結晶の大きさは不均一であった。
【0077】
そこで、半導体膜を完全溶融させるようなエネルギー領域のレーザー光を用い、なおかつラテラル方向の温度勾配を制御することが出来れば、結晶粒の成長位置および成長方向を制御することが出来るのではないかと考えられている。そしてこの方法を実現するために様々な試みがなされている。
【0078】
例えば、コロンビア大のJames S. Im氏らは、任意の場所にスーパーラテラル成長を実現させることの出来るSequential Lateral Solidification method(以下、SLS法と言う。)を示した。SLS法は、1ショット毎にスリット状のマスクをスーパーラテラル成長が行われる距離程度(約0.75μm)ずらして、結晶化を行うものである。
【0079】
本実施例では、上記SLS法を本発明に適用した例について説明する。
【0080】
まず、1回目のレーザー光を半導体膜に照射する。1回目のレーザー光はマスクによって定められた部分にのみ照射するようにする。この1回目のレーザー光のエネルギー密度は、半導体膜の膜厚等によっても異なるが、マスクによって定められた部分の結晶性を高めることができる程度であれば良い。
【0081】
次に、走査方向を変え、マスクによって定められた部分に2回目のレーザー光を照射する。2回目のレーザー光はパルス発振のレーザーを用い、マスクによって定められた部分において、半導体膜を全厚さにわたって局部的に溶融させることができるようなエネルギー密度で照射する。
【0082】
図11(A)に、2回目のレーザー光照射の1ショット目を照射した直後の、半導体膜の様子を模式的に示す。半導体膜802は1回目のレーザー光照射によって結晶性が高められた部分に相当する。そして2回目のレーザー光の照射により、半導体膜802のビームスポット801があたっている部分において、半導体膜が全厚さにわたって局部的に溶融する。
【0083】
このとき、半導体膜802のビームスポットのあたっている部分においては、完全に半導体が溶融しているが、ビームスポットのあたっていない部分は溶融していないか、もしくは溶融していても温度がビームスポットのあたっている部分に比べて十分に低い。そのため、ビームスポットの端の部分が種結晶となり、矢印で示したようにビームスポットの端部から中心に向かってラテラル方向に結晶が成長する。
【0084】
そして時間の経過にしたがって結晶の成長が進んでいくと、完全に溶融した部分において発生した種結晶から生成した結晶粒とぶつかり合うか、もしくは反対側から成長してきた結晶粒とぶつかり合うかして、ビームスポットの中心部分803において結晶成長が終了する。図11(B)に結晶成長が終了した時点での半導体膜の様子を模式的に示す。ビームスポットの中心部分803では、他の部分に比べて微結晶が多数存在していたり、結晶粒どうしがぶつかり合うことで半導体膜の表面が不規則になっていたりする。
【0085】
次に、2回目のレーザー光照射の2ショット目を照射する。2ショット目は1ショット目のビームスポットから少しずらして照射する。図11(C)に、2ショット目を照射した直後の、半導体膜の様子を模式的に示す。2ショット目のビームスポットは、1ショット目のビームスポットがあたっていた部分801から位置がずれているが、図11(C)では、2ショット目のビームスポットが1ショット目によって形成された中心部803を覆う程度のずれである。
【0086】
このとき、2ショット目のビームスポット804のあたっている部分においては、完全に半導体が溶融しているが、ビームスポットのあたっていない部分は溶融していないか、もしくは溶融していても温度がビームスポットのあたっている部分に比べて十分に低い。そのため、ビームスポットの端の部分が種結晶となり、矢印で示したようにビームスポットの端部から中心に向かってラテラル方向に結晶が成長する。このとき、1ショット目によって結晶化された部分801のうち、2ショット目のビームスポットがあたっていない部分が種結晶となり、1ショット目によって形成されたラテラル方向に成長した結晶が、さらに走査方向に向かって成長する。
【0087】
そして時間の経過にしたがって結晶の成長が進んでいくと、完全に溶融した部分において発生した種結晶から生成した結晶粒とぶつかり合うか、もしくは反対側から成長してきた結晶粒とぶつかり合うかして、2ショット目のビームスポットの中心部分805において結晶成長が終了する。図11(D)に結晶成長が終了した時点での半導体膜の様子を模式的に示す。ビームスポットの中心部分805では、他の部分に比べて微結晶が多数存在していたり、結晶粒どうしがぶつかり合うことで半導体膜の表面が不規則になっていたりする。
【0088】
以下、3ショット目以降も同様に、ビームスポットを走査方向に少しずつずらして照射していくことで、図11(E)に示すように走査方向と平行に結晶が成長する。
【0089】
上記構成により、結晶粒の位置及び大きさを制御しながら、部分的に結晶化を行うことができる。
【0090】
次に、SLS法を本発明に適用した図11とは異なる例について説明する。
【0091】
まず、1回目のレーザー光を半導体膜に照射する。1回目のレーザー光はマスクによって定められた部分にのみ照射するようにする。この1回目のレーザー光のエネルギー密度は、半導体膜の膜厚等によっても異なるが、マスクによって定められた部分の結晶性を高めることができる程度であれば良い。
【0092】
次に、走査方向を変え、マスクによって定められた部分に2回目のレーザー光を照射する。2回目のレーザー光はパルス発振のレーザーを用い、マスクによって定められた部分において、半導体膜を全厚さにわたって局部的に溶融させることができるようなエネルギー密度で照射する。
【0093】
図12(A)に、2回目のレーザー光照射の1ショット目を照射した直後の、半導体膜の様子を模式的に示す。半導体膜812は1回目のレーザー光照射によって結晶性が高められた部分に相当する。そして2回目のレーザー光の照射により、半導体膜812のビームスポット811があたっている部分において、半導体膜が全厚さにわたって局部的に溶融する。そして、ビームスポットの端の部分が種結晶となり、矢印で示したようにビームスポットの端部から中心に向かってラテラル方向に結晶が成長する。
【0094】
そして時間の経過にしたがって結晶の成長が進んでいくと、完全に溶融した部分において発生した種結晶から生成した結晶粒とぶつかり合うか、もしくは反対側から成長してきた結晶粒とぶつかり合うかして、ビームスポットの中心部分813において結晶成長が終了する。図12(B)に結晶成長が終了した時点での半導体膜の様子を模式的に示す。ビームスポットの中心部分813では、他の部分に比べて微結晶が多数存在していたり、結晶粒どうしがぶつかり合うことで半導体膜の表面が不規則になっていたりする。
【0095】
次に、2回目のレーザー光照射の2ショット目を照射する。2ショット目は1ショット目のビームスポットから少しずらして照射する。図12(C)に、2ショット目を照射した直後の、半導体膜の様子を模式的に示す。2ショット目のビームスポットは、1ショット目のビームスポットがあたっていた部分811から位置がずれているが、図12(C)では、2ショット目のビームスポットが1ショット目によって形成された中心部813を覆わず、1ショット目のビームスポットがあたっていた部分と一部重なる程度のずれである。
【0096】
そして、2ショット目のビームスポットの端の部分が種結晶となり、矢印で示したようにビームスポットの端部から中心に向かってラテラル方向に結晶が成長する。このとき、1ショット目によって結晶化された部分811のうち、2ショット目のビームスポットがあたっていない部分が種結晶となり、1ショット目によって形成されたラテラル方向に成長した結晶が、さらに走査方向に向かって成長する。
【0097】
そして時間の経過にしたがって結晶の成長が進んでいくと、完全に溶融した部分において発生した種結晶から生成した結晶粒とぶつかり合うか、もしくは反対側から成長してきた結晶粒とぶつかり合うかして、2ショット目のビームスポットの中心部分815において結晶成長が終了する。図12(D)に結晶成長が終了した時点での半導体膜の様子を模式的に示す。ビームスポットの中心部分815では、他の部分に比べて微結晶が多数存在していたり、結晶粒どうしがぶつかり合うことで半導体膜の表面が不規則になっていたりする。
【0098】
以下、3ショット目以降も同様に、ビームスポットを走査方向に少しずつずらして照射していくことで、図12(E)に示すように走査方向と平行に結晶が成長する。上記構成により、結晶粒の位置及び大きさを制御しながら、部分的に結晶化を行うことができる。
【0099】
図12に示した照射方法によって得られる結晶は、ビームスポットの中心部が残されている、該中心部においては結晶性が芳しくないので、該中心部をチャネル形成領域に含まない様に、より好ましくは活性層に含まないように、活性層がレイアウトされているのが望ましい。
【0100】
なお、図11及び図12の照射方法の両方において、結晶粒の成長方向と、チャネル形成領域のキャリアの進む方向とが平行になるように活性層がレイアウトされていると、チャネル形成領域に含まれる粒界が少なくなるので、移動度が高くなり、オフ電流も抑えることができる。また、チャネル形成領域のキャリアの進む方向と結晶粒の成長方向とが、平行にならないような角度を有するように活性層がレイアウトされていると、チャネル形成領域に含まれる粒界が多くなる。しかし複数の活性層を比較したときに、各活性層のチャネル形成領域に含まれる全粒界に対する、活性層どうしの粒界の量の差の割合が小さくなり、作製されるTFTの移動度及びオフ電流値のばらつきが小さくなる。
【0101】
なお本実施例では、2回目のレーザー光照射においてSLS法を用いているが本実施例はこの構成に限定されない。例えば1回目にSLS法を用いて結晶化させた後に、2回目のレーザー光照射にパルス発振のレーザーを用いることで、1回目のレーザー光の照射によって形成された結晶粒内の欠陥をなくし、より結晶性を高めることが可能である。そして、パルス発振のレーザーの場合、一般的に連続発振のレーザーよりもエネルギー密度が高いので、ビームスポットの面積を比較的広げることができるので、基板一枚の処理時間を短くすることができ、処理効率を高めることができる。
【0102】
(実施例2)
本実施例では、本発明の複数のレーザー発振装置によって形成されるビームスポットの形状について説明する。
【0103】
図13(A)に、複数のレーザー発振装置からそれぞれ発振されるレーザー光の被処理物におけるビームスポットの形状の一例を示す。図13(A)に示したビームスポットは楕円形状を有している。なお本発明のレーザー装置において、レーザー発振装置から発振されるレーザー光のビームスポットの形状は、楕円に限定されない。ビームスポットの形状はレーザーの種類によって異なるし、光学系により成形することもできる。例えば、ラムダ社製のXeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅30ns)L3308から射出されたレーザー光の形状は、10mm×30mm(共にビームプロファイルにおける半値幅)の矩形状である。また、YAGレーザーから射出されたレーザー光の形状は、ロッド形状が円筒形であれば円状となり、スラブ型であれば矩形状となる。このようなレーザー光を光学系により、さらに成形することにより、所望の大きさのレーザー光をつくることもできる。
【0104】
図13(B)に図13(A)に示したビームスポットの長軸y方向におけるレーザー光のエネルギー密度の分布を示す。ビームスポットが楕円形状であるレーザー光のエネルギー密度の分布は、楕円の中心Oに向かうほど高くなっている。αは、エネルギー密度が、所望の結晶を得るために必要とする値を超えている、長軸y方向における幅に相当する。
【0105】
次に、図13に示したビームスポットを有するレーザー光を合成したときの、ビームスポットの形状を、図14(A)に示す。なお図14(A)では4つのレーザー光のビームスポットを重ね合わせることで1つのビームスポットを形成した場合について示しているが、重ね合わせるビームスポットの数はこれに限定されない。
【0106】
図14(A)に示すように、各レーザー光のビームスポットは、各楕円の長軸が一致し、なおかつ互いにビームスポットの一部が重なることで合成され、1つのビームスポットが形成されている。なお以下、各楕円の中心Oを結ぶことで得られる直線を中心軸と呼ぶ。
【0107】
図14(B)に、図14(A)に示した合成後のビームスポットの、中心軸方向におけるレーザー光のエネルギー密度の分布を示す。合成前の各ビームスポットが重なり合っている部分においてエネルギー密度が加算されるので、各楕円の中心Oの間においてエネルギー密度が平坦化される。
【0108】
図14(B)から、複数のレーザー光を重ね合わせてエネルギー密度の低い部分を互いに補い合うようにすることで、複数のレーザー光を重ね合わせないで単独で用いるよりも、半導体膜の結晶性を効率良く高めることができるということがわかる。例えば図14(B)の斜線で示した領域においてのみ、所望の結晶を得るために必要なエネルギー密度の値を超えており、その他の領域ではエネルギー密度が低かったと仮定する。この場合、4つのビームスポットを重ね合わせないと、中心軸方向の幅がαで示される斜線の領域でしか、所望の結晶を得ることができない。しかし、ビームスポットを図14(B)で示したように重ね合わせることで、中心軸方向の幅がβ(β>4α)で示される領域において所望の結晶を得ることができ、より効率良く半導体膜を結晶化させることができる。
【0109】
なお、ビームスポットが重なり合った部分のエネルギー密度は、必ずしも各ビームスポットのエネルギー密度の最高値と同じ高さでなくとも良い。例えば、各ビームスポットのエネルギー密度に対して±10%以内、より好ましくは±5%以内であっても良い。
【0110】
また、エネルギー密度を一定にしたままレーザー光の軌跡の幅を変えることができるので、レーザー光の軌跡のエッジが、パターニングによって得られる半導体と重なるのを防ぐことができる。また不必要な部分にレーザー光を照射することで基板に与えられるダメージを軽減することができる。
【0111】
本実施例の構成は、実施例1と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0112】
(実施例3)
本実施例では、実施例2に示したビームスポットを得るための光学系について説明する。
【0113】
図15に、本実施例の光学系の具体的な構成を示す。図15(A)は本発明のレーザー装置の光学系の側面図であり、図15(A)の矢印Bの方向から見た側面図を図15(B)に示す。なお図15(B)の矢印Aの方向から見た側面図が、図15(A)に相当する。
【0114】
図15はビームスポットを4つ合成して1つのビームスポットにする場合の光学系を示している。なお本実施例において合成するビームスポットの数はこれに限定されず、合成するビームスポットの数は2以上8以下であれば良い。
【0115】
401、402、403、404、405はシリンドリカルレンズであり、図15には示されていないが、本実施例の光学系はシリンドリカルレンズを6つ用いている。図16に図15に示した光学系の斜視図を示す。シリンドリカルレンズ403、404、405、406のそれぞれに、異なるレーザー発振装置からレーザー光が入射される。
【0116】
そしてシリンドリカルレンズ403、405によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ401に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズにおいてそのビームスポットの形状が加工され、被処理物400に照射される。また、シリンドリカルレンズ404、406によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ402に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズにおいてそのビームスポットの形状が加工され、被処理物400に照射される。
【0117】
被処理物400におけるレーザー光のビームスポットは互いに一部重なることで合成されて、1つのビームスポットになっている。
【0118】
なお、本実施例では、被処理物400に最も近いシリンドリカルレンズ401、402の焦点距離を20mmとし、シリンドリカルレンズ403〜406の焦点距離を150mmとする。そしてシリンドリカルレンズ401、402から被処理物400へのレーザー光の入射角θ1は、本実施例では25°とし、シリンドリカルレンズ403〜406からシリンドリカルレンズ401、402へのレーザー光の入射角θ2を10°とするように各レンズを設置する。
【0119】
なお各レンズの焦点距離及び入射角は設計者が適宜設定することが可能である。さらに、シリンドリカルレンズの数もこれに限定されず、また用いる光学系はシリンドリカルレンズに限定されない。本発明は、各レーザー発振装置から発振されるレーザー光のビームスポットを、半導体膜の結晶化に適した形状及びエネルギー密度になるように加工し、なおかつ全てのレーザー光のビームスポットを互いに重ね合わせて合成し、1つのビームスポットにすることができるような光学系であれば良い。
【0120】
なお本実施例では、4つのビームスポットを合成する例について示しており、この場合4つのレーザー発振装置にそれぞれ対応するシリンドリカルレンズを4つと、該4つのシリンドリカルレンズに対応する2つのシリンドリカルレンズとを有している。n(n=2、4、6、8)のビームスポットを合成する場合、nのレーザー発振装置にそれぞれ対応するnのシリンドリカルレンズと、該nのシリンドリカルレンズに対応するn/2のシリンドリカルレンズとを有している。n(n=3、5、7)のビームスポットを合成する場合、nのレーザー発振装置にそれぞれ対応するnのシリンドリカルレンズと、該nのシリンドリカルレンズに対応する(n+1)/2のシリンドリカルレンズとを有している。
【0121】
なお、戻り光がもときた光路をたどって戻るのを防ぐために、基板に対する入射角は、0より大きく90°より小さくなるように保つようにするのが望ましい。
【0122】
また、均一なレーザー光の照射を実現するためには、照射面に垂直な平面であって、かつ合成前の各ビームの形状をそれぞれ長方形と見立てたときの短辺を含む面または長辺を含む面のいずれか一方を入射面と定義すると、前記レーザー光の入射角度θは、入射面に含まれる前記短辺または前記長辺の長さがW、前記照射面に設置され、かつ、前記レーザー光に対して透光性を有する基板の厚さがdであるとき、θ≧arctan(W/2d)を満たすのが望ましい。この議論は合成前の個々のレーザー光について成り立つ必要がある。なお、レーザー光の軌跡が、前記入射面上にないときは、該軌跡を該入射面に射影したものの入射角度をθとする。この入射角度θでレーザー光が入射されれば、基板の表面での反射光と、前記基板の裏面からの反射光とが干渉せず、一様なレーザー光の照射を行うことができる。以上の議論は、基板の屈折率を1として考えた。実際は、基板の屈折率が1.5前後のものが多く、この数値を考慮に入れると上記議論で算出した角度よりも大きな計算値が得られる。しかしながら、ビームスポットの長手方向の両端のエネルギーは減衰があるため、この部分での干渉の影響は少なく、上記の算出値で十分に干渉減衰の効果が得られる。
【0123】
(実施例4)
本実施例では、複数のレーザー発振装置を用いた場合において、レーザー光照射の途中で、レーザー光のビームスポットの大きさを変える例について説明する。
【0124】
本発明のレーザー装置は、CPUにおいて、入力されたマスクの情報に基づきレーザー光を走査する部分を把握する。さらに本実施例では、ビームスポットの長さをマスクの形状に合わせて変えるようにする。
【0125】
図17に、半導体膜のパターニングのマスクの形状と、ビームスポットの長さの関係を一例として示す。560は半導体膜のパターニングのマスクの形状を示しており、2回のレーザー光照射による結晶化の後、該マスクに従って半導体膜がパターニングされる。
【0126】
563は1回目のレーザー光が照射された部分を示している。本実施例では1回目のレーザー光は半導体膜全面に照射しているが、パターニング後に活性層が得られる部分が少なくとも結晶化される様に、部分的にレーザー光を照射するようにしてもよい。また、パターニング後に活性層が得られる部分とエッジとが、重ならないようにすることが肝要である。
【0127】
561と562は、2回目のレーザー光が照射された部分を示している。なお561は、4つのレーザー発振装置から出力されたレーザー光のビームスポットを重ね合わせて合成することで得られるビームスポットを、走査した部分である。一方、562は、2つのレーザー発振装置から出力されたレーザー光のビームスポットを重ね合わせて合成することで得られるビームスポットを、走査した部分である。
【0128】
2つのレーザー発振装置から出力されたレーザー光を合成することで得られるビームスポットは、4つのレーザー発振装置のうちの2つのレーザー発振装置の発振を停止することで得られる。ただしこの場合、残された2つのレーザー発振装置から出力される2つのビームスポットが、重なっている事が重要である。
【0129】
なお本実施例のように、レーザー光を走査している途中でビームスポットの長さを変える場合、ビームスポットを短いほうから長いほうへ変えるよりも、長いほうから短いほうへ変えるほうがレーザー発振装置からの出力が安定するのでより好ましい。よって、CPUにおいてマスクの形状の情報をもとに、ビームスポットを長いほうから短いほうへ変えるようにレーザー光の走査順序を考慮したほうが良い。さらには、マスクの設計の段階で、レーザー光の走査順序を考慮に入れてマスクを設計するようにしても良い。
【0130】
上記構成により、レーザー光の軌跡の幅を変えることができるので、レーザー光の軌跡のエッジが、パターニングによって得られる半導体と重なるのを防ぐことができる。また不必要な部分にレーザー光を照射することで基板に与えられるダメージをさらに軽減することができる。
【0131】
なお、1回目のレーザー光を部分的に照射し、2回目のレーザー光照射を全面に行うようにしてもよい。
【0132】
本実施例は、実施例1〜3と組み合わせて実施することが可能である。
【0133】
(実施例5)
本実施例では、複数のレーザー発振装置を用いた場合において、レーザー光照射の途中で、光学系が有するシャッターによりレーザー光を遮り、所定の部分にのみレーザー光を照射する例について説明する。
【0134】
本発明のレーザー装置は、CPUにおいて、入力されたマスクの情報に基づきレーザー光を走査する部分を把握する。さらに本実施例では、走査するべき部分のみにレーザー光が照射されるようにシャッターを用いてレーザー光を遮る。このときシャッターは、レーザー光を遮ることが可能であり、なおかつレーザー光によって変形または損傷しないような材質で形成するのが望ましい
【0135】
図18に、半導体膜のパターニングのマスクの形状と、レーザー光が照射される部分の関係を一例として示す。570は半導体膜のパターニングのマスクの形状を示しており、レーザー照射による結晶化の後、該マスクに従って半導体膜がパターニングされる。
【0136】
573は1回目のレーザー光が照射された部分を示している。本実施例では1回目のレーザー光は半導体膜全面に照射しているが、パターニング後に活性層が得られる部分が少なくとも結晶化される様に、部分的にレーザー光を照射するようにしてもよい。また、パターニング後に活性層が得られる部分とエッジとが、重ならないようにすることが肝要である。
【0137】
571は、2回目のレーザー光が照射された部分を示している。破線はレーザー光がシャッターで遮られている部分を示しており、本実施例では結晶化させる必要のない部分にはレーザー光が照射しないか、照射されていてもそのエネルギー密度が低くなるようにすることができる。したがって、不必要な部分にレーザー光を照射することで基板に与えられるダメージをさらに軽減することができる。
【0138】
なお、1回目のレーザー光を部分的に照射し、2回目のレーザー光照射を全面に行うようにしてもよい。
【0139】
本実施例は、実施例1〜実施例4と組み合わせて実施することが可能である。
【0140】
(実施例6)
本実施例では、マーカー形成部423に設けられたマーカーの一例を示す。
【0141】
図19(A)に本実施例のマーカーの上面図を示す。421、422は半導体膜に形成された基準となるマーカー(以下、基準マーカーと呼ぶ)であり、それぞれ形状が矩形である。基準マーカー421は、全てその矩形の長辺が水平方向に配置されており、各基準マーカー421は一定の間隔を保って垂直方向に配置されている。基準マーカー422は全てその矩形の長辺が垂直方向に配置されており、各基準マーカー422は一定の間隔を保って水平方向に配置されている。
【0142】
基準マーカー421はマスクの垂直方向の位置を定める基準となり、基準マーカー422はマスクの水平方向の位置を定める基準となっている。424、425は半導体膜のパターニング用マスクのマーカーであり、それぞれ形状が矩形である。マーカー424はその矩形の長辺が水平方向に配置されるように、なおかつマーカー425はその矩形の長辺が垂直方向に配置されるように、半導体パターニング用のマスクの位置を定める。そして、マーカー424が定められた2つの隣り合う基準マーカー421の丁度真中に位置するように、なおかつマーカー425が定められた2つの隣り合う基準マーカー422の丁度真中に位置するように、半導体パターニング用のマスクの位置を定める。
【0143】
図19(B)に半導体膜に形成された基準マーカーの斜視図を示す。基板431に成膜された半導体膜430の一部は、レーザーによって矩形状に削られており、該削られた部分が基準マーカー421、422として機能する。
【0144】
なお本実施例に示したマーカーはほんの一例であり、本発明のマーカーはこれに限定されない。本発明で用いるマーカーは、半導体膜をレーザー光で結晶化させる前に形成することができ、なおかつレーザー光の照射による結晶化の後にでも用いることができるものであれば良い。
【0145】
本実施例は、実施例1〜5と組み合わせて実施することが可能である。
【0146】
(実施例7)
本実施例では、8つのレーザー発振装置を用いた本発明のレーザー装置の、光学系について説明する。
【0147】
図20、図21に、本実施例のレーザー装置に用いられる光学系の具体的な構成を示す。図20は本発明のレーザー装置の光学系の側面図であり、図20の矢印Bの方向から見た側面図を図21に示す。なお図21の矢印Aの方向から見た側面図が、図20に相当する。
【0148】
本実施例ではビームスポットを8つ合成して1つのビームスポットにする場合の光学系を示している。なお本発明において合成するビームスポットの数はこれに限定されず、合成するビームスポットの数は2以上8以下であれば良い。
【0149】
441〜450はシリンドリカルレンズであり、図20、図21には示されていないが、本実施例の光学系は12のシリンドリカルレンズ441〜452を用いている。図22に図20、図21に示した光学系の斜視図を示す。シリンドリカルレンズ441〜444のそれぞれに、異なるレーザー発振装置からレーザー光が入射される。
【0150】
そしてシリンドリカルレンズ450、445によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ441に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズ441においてそのビームスポットの形状が加工され、被処理物440に照射される。また、シリンドリカルレンズ451、446によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ442に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズ442においてそのビームスポットの形状が加工され、被処理物440に照射される。また、シリンドリカルレンズ449、447によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ443に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズ443においてそのビームスポットの形状が加工され、被処理物440に照射される。また、シリンドリカルレンズ452、448によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ444に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズ444においてそのビームスポットの形状が加工され、被処理物440に照射される。
【0151】
被処理物440におけるレーザー光のビームスポットは互いに一部重なることで合成されて、1つのビームスポットになっている。
【0152】
なお、本実施例では、被処理物440に最も近いシリンドリカルレンズ441〜444の焦点距離を20mmとし、シリンドリカルレンズ445〜452の焦点距離を150mmとする。そしてシリンドリカルレンズ441〜444から被処理物440へのレーザー光の入射角θ1は、本実施例では25°とし、シリンドリカルレンズ445〜452からシリンドリカルレンズ441〜444へのレーザー光の入射角θ2を10°とするように各レンズを設置する。
【0153】
なお各レンズの焦点距離及び入射角は設計者が適宜設定することが可能である。さらに、シリンドリカルレンズの数もこれに限定されず、また用いる光学系はシリンドリカルレンズに限定されない。本発明は、各レーザー発振装置から発振されるレーザー光のビームスポットを、半導体膜の結晶化に適した形状及びエネルギー密度になるように加工し、なおかつ全てのレーザー光のビームスポットを互いに重ね合わせて合成し、1つのビームスポットにすることができるような光学系であれば良い。
【0154】
なお本実施例では、8つのビームスポットを合成する例について示しており、この場合8つのレーザー発振装置にそれぞれ対応するシリンドリカルレンズを8つと、該8つのシリンドリカルレンズに対応する4つのシリンドリカルレンズとを有している。
【0155】
本実施例は、実施例1〜6と組み合わせて実施することが可能である。
【0156】
(実施例8)
本実施例ではアクティブマトリクス基板の作製方法について図23〜図26を用いて説明する。本明細書ではCMOS回路、及び駆動回路と、画素TFT、保持容量とを有する画素部を同一基板上に形成された基板を、便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0157】
まず、本実施例ではバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板600を用いる。なお、基板600としては、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性が有するプラスチック基板を用いてもよい。
【0158】
次いで、基板600上に酸化珪素膜、窒化珪素膜または酸化窒化珪素膜などの絶縁膜から成る下地膜601を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により形成する。本実施例では下地膜601として下地膜601a、601bの2層の下地膜を用いるが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いても良い(図23(A))。
【0159】
次いで、下地膜601上に、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで非晶質半導体膜692を形成する(図23(B))。なお、本実施例では非晶質半導体膜を成膜しているが、微結晶半導体膜、結晶性半導体膜であっても良い。また、非晶質珪素ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を用いても良い。
【0160】
次に、非晶質半導体膜692をレーザー結晶化法により結晶化させる。レーザー結晶化法は、本発明のレーザー照射方法を用いて行なう。具体的には、レーザー装置のCPUに入力されたマスクの情報に従って、非晶質半導体膜に走査方向の異なるレーザー光を2回照射する。そしてレーザー光が2回照射された部分を活性層として用いる。もちろん、レーザー結晶化法だけでなく、他の公知の結晶化法(RTAやファーネスアニール炉を用いた熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いた熱結晶化法等)と組み合わせて行ってもよい。
【0161】
非晶質半導体膜の結晶化に際し、連続発振が可能な固体レーザーを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を用いることで、大粒径の結晶を得ることができる。代表的には、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いるのが望ましい。具体的には、連続発振のYVO4レーザーから射出されたレーザー光を非線形光学素子により高調波に変換し、出力10Wのレーザー光を得る。また、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザー光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、10〜2000cm/s程度の速度でレーザー光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射する。
【0162】
なお2回のレーザー照射は、パルス発振または連続発振の気体レーザーもしくは固体レーザーを用いることができる。気体レーザーとして、エキシマレーザー、Arレーザー、Krレーザーなどがあり、固体レーザーとして、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライドレーザー、Ti:サファイアレーザー、Y2O3レーザーなどが挙げられる。固体レーザーとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti、Yb又はTmがドーピングされたYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶を使ったレーザー等も使用可能である。当該レーザーの基本波はドーピングする材料によって異なり、1μm前後の基本波を有するレーザー光が得られる。基本波に対する高調波は、非線形光学素子を用いることで得ることができる。
【0163】
上述したレーザー結晶化によって、非晶質半導体膜に2回レーザー光が照射されて結晶性が高められた領域693、694、695が形成される(図23(B))。
【0164】
次に、部分的に結晶性が高められた結晶性半導体膜を所望の形状にパターニングして、結晶化された領域693、694、695から島状の半導体膜602〜606を形成する(図23(C))。
【0165】
また、島状の半導体膜602〜606を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。
【0166】
次いで、島状の半導体膜602〜606を覆うゲート絶縁膜607を形成する。ゲート絶縁膜607はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により110nmの厚さで酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成した。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0167】
また、酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化珪素膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
【0168】
次いで、ゲート絶縁膜607上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜608と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜609とを積層形成する。本実施例では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜608と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜609を積層形成した。TaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用い、窒素を含む雰囲気内でスパッタする。また、W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成した。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W膜中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。従って、本実施例では、高純度のW(純度99.9999%)のターゲットを用いたスパッタ法で、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができる。
【0169】
なお、本実施例では、第1の導電膜608をTaN、第2の導電膜609をWとしたが、特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。また、第1の導電膜をタンタル(Ta)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化チタン(TiN)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をWとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をAl膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をCu膜とする組み合わせとしてもよい。
【0170】
また、2層構造に限定されず、例えば、タングステン膜、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、タングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
【0171】
なお、導電膜の材料によって、適宜最適なエッチングの方法や、エッチャントの種類を選択することが重要である。
【0172】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク610〜615を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う(図24(B))。本実施例では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25:25:10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。
【0173】
この後、レジストからなるマスク610〜615を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30:30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0174】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層617〜622(第1の導電層617a〜622aと第2の導電層617b〜622b)を形成する。616はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層617〜622で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
【0175】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う(図24(C))。ここでは、エッチングガスにCF4とCl2とO2とを用い、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層628b〜633bを形成する。一方、第1の導電層617a〜622aは、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層628〜633を形成する。
【0176】
そして、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行い、島状の半導体膜にn型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。ドーピング処理はイオンドープ法、若しくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1014 atoms /cm2とし、加速電圧を40〜80kVとして行う。本実施例ではドーズ量を1.5×1013atoms/cm2とし、加速電圧を60kVとして行う。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いる。この場合、導電層628〜633がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に不純物領域623〜627が形成される。不純物領域623〜627には1×1018〜1×1020atoms/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。
【0177】
レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク634a〜634cを形成して第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で第2のドーピング処理を行う。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜1×1015atoms/cm2とし、加速電圧を60〜120kVとして行う。ドーピング処理は第2の導電層628b、630b、632bを不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層のテーパー部の下方の島状の半導体膜に不純物元素が添加されるようにドーピングする。続いて、第2のドーピング処理より加速電圧を下げて第3のドーピング処理を行って図25(A)の状態を得る。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1015〜1×1017 atoms /cm2とし、加速電圧を50〜100kVとして行う。第2のドーピング処理および第3のドーピング処理により、第1の導電層と重なる低濃度不純物領域636、642、648には1×1018〜5×1019 atoms /cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加され、高濃度不純物領域635、641、644、647には1×1019〜5×1021 atoms /cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加される。
【0178】
もちろん、適当な加速電圧にすることで、第2のドーピング処理および第3のドーピング処理は1回のドーピング処理で、低濃度不純物領域および高濃度不純物領域を形成することも可能である。
【0179】
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク650a〜650cを形成して第4のドーピング処理を行う。この第4のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる島状の半導体膜に前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域653、654、659、660を形成する。第2の導電層629b、632bを不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域を形成する。本実施例では、不純物領域653、654、659、660はジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成する(図25(B))。この第4のドーピング処理の際には、nチャネル型TFTを形成する島状の半導体膜はレジストからなるマスク650a〜650cで覆われている。第1乃至3のドーピング処理によって、不純物領域653、659と660にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、そのいずれの領域においてもp型を付与する不純物元素の濃度を1×1019〜5×1021atoms/cm3となるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。
【0180】
以上までの工程で、それぞれの島状の半導体膜に不純物領域が形成される。
【0181】
次いで、レジストからなるマスク650a〜650cを除去して第1の層間絶縁膜661を形成する。この第1の層間絶縁膜661としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚150nmの酸化窒化珪素膜を形成した。勿論、第1の層間絶縁膜661は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0182】
次いで、図25(C)に示すように、活性化処理としてレーザー照射方法を用いる。レーザーアニール法を用いる場合、結晶化の際に用いたレーザーを使用することが可能である。活性化の場合は、移動速度は結晶化と同じにし、0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.01〜10MW/cm2)のエネルギー密度が必要となる。また結晶化の際には連続発振のレーザーを用い、活性化の際にはパルス発振のレーザーを用いるようにしても良い。
【0183】
また、第1の層間絶縁膜を形成する前に活性化処理を行っても良い。
【0184】
そして、加熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行うと水素化を行うことができる。この工程は第1の層間絶縁膜661に含まれる水素により島状の半導体膜のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)や、3〜100%の水素を含む雰囲気中で300〜650℃で1〜12時間の加熱処理を行っても良い。この場合は、第1の層間絶縁膜の存在に関係なく半導体層を水素化することができる。
【0185】
次いで、第1の層間絶縁膜661上に無機絶縁膜材料または有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜662を形成する。本実施例では、膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成したが、粘度が10〜1000cp、好ましくは40〜200cpのものを用いても良い。表面に凸凹が形成されるものを用いても良い。
【0186】
本実施例では、鏡面反射を防ぐため、表面に凸凹が形成される第2の層間絶縁膜を形成することによって画素電極の表面に凸凹を形成した。また、画素電極の表面に凹凸を持たせて光散乱性を図るため、画素電極の下方の領域に凸部を形成してもよい。その場合、凸部の形成は、TFTの形成と同じフォトマスクで行うことができるため、工程数の増加なく形成することができる。なお、この凸部は配線及びTFT部以外の画素部領域の基板上に適宜設ければよい。こうして、凸部を覆う絶縁膜の表面に形成された凸凹に沿って画素電極の表面に凸凹が形成される。
【0187】
また、第2の層間絶縁膜662として表面が平坦化する膜を用いてもよい。その場合は、画素電極を形成した後、公知のサンドブラスト法やエッチング法等の工程を追加して表面を凹凸化させて、鏡面反射を防ぎ、反射光を散乱させることによって白色度を増加させることが好ましい。
【0188】
次に、第2の層間絶縁膜662を形成した後、第2の層間絶縁膜662に接するように、第3の層間絶縁膜672を形成する。
【0189】
そして、駆動回路686において、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線663〜667を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でもよいし、三層以上の積層構造にしてもよい。また、配線の材料としては、AlとTiに限らない。例えば、TaN膜上にAlやCuを形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成してもよい(図26)。
【0190】
また、画素部687においては、画素電極670、ゲート配線669、接続電極668を形成する。この接続電極668によりソース配線(633aと633bの積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線669は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。また、画素電極670は、画素TFTのドレイン領域690と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する島状の半導体膜685と電気的な接続が形成される。また本願では画素電極と接続電極とを同じ材料で形成しているが、画素電極670としてAlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いても良い。
【0191】
以上の様にして、nチャネル型TFT681とpチャネル型TFT682からなるCMOS回路、及びnチャネル型TFT683を有する駆動回路686と、画素TFT684、保持容量685とを有する画素部687を同一基板上に形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。
【0192】
駆動回路686のnチャネル型TFT681はチャネル形成領域637、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層628aと重なる低濃度不純物領域636(GOLD(Gate Overlapped LDD)領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域652、を有している。このnチャネル型TFT681と電極666で接続してCMOS回路を形成するpチャネル型TFT682にはチャネル形成領域640、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域653と、p型を付与する不純物元素が導入された不純物領域654を有している。また、nチャネル型TFT683にはチャネル形成領域643、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層630aと重なる低濃度不純物領域642(GOLD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域656を有している。
【0193】
画素部の画素TFT684にはチャネル形成領域646、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域645(LDD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域658を有している。また、保持容量685の一方の電極として機能する島状の半導体膜には、n型を付与する不純物元素およびp型を付与する不純物元素が添加されている。保持容量685は、絶縁膜616を誘電体として、電極(632aと632bの積層)と、島状の半導体膜とで形成している。
【0194】
本実施例の画素構造は、ブラックマトリクスを用いることなく、画素電極間の隙間が遮光されるように、画素電極の端部をソース配線と重なるように配置形成する。
【0195】
本実施例は、実施例1〜実施例7と組み合わせて実施することが可能である。
【0196】
(実施例9)
本実施例では、実施例8で作製したアクティブマトリクス基板から、反射型液晶表示装置を作製する工程を以下に説明する。説明には図27を用いる。
【0197】
まず、実施例8に従い、図26の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図26のアクティブマトリクス基板上、少なくとも画素電極670上に配向膜867を形成しラビング処理を行う。なお、本実施例では配向膜867を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ872を所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
【0198】
次いで、対向基板869を用意する。次いで、対向基板869上に着色層870、871、平坦化膜873を形成する。赤色の着色層870と青色の着色層871とを重ねて、遮光部を形成する。また、赤色の着色層と緑色の着色層とを一部重ねて、遮光部を形成してもよい。
【0199】
本実施例では、実施例7に示す基板を用いている。従って、少なくともゲート配線669と画素電極670の間隙と、ゲート配線669と接続電極668の間隙と、接続電極668と画素電極670の間隙を遮光する必要がある。本実施例では、それらの遮光すべき位置に着色層の積層からなる遮光部が重なるように各着色層を配置して、対向基板を貼り合わせた。
【0200】
このように、ブラックマスク等の遮光層を形成することなく、各画素間の隙間を着色層の積層からなる遮光部で遮光することによって工程数の低減を可能とした。
【0201】
次いで、平坦化膜873上に透明導電膜からなる対向電極876を少なくとも画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜874を形成し、ラビング処理を施した。
【0202】
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材868で貼り合わせる。シール材868にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料875を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料875には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図27に示す反射型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、対向基板のみに偏光板(図示しない)を貼りつけた。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつけた。
【0203】
以上のようにして作製される液晶表示装置はエネルギー分布が周期的または一様なレーザー光が照射され、大粒径の結晶粒が形成された半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、前記液晶表示装置の動作特性や信頼性が十分なものとなり得る。そして、このような液晶表示装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0204】
なお、本実施例は実施例1〜実施例8と組み合わせて実施することが可能である。
【0205】
(実施例10)
本実施例では、実施例8で示したアクティブマトリクス基板を作製するときのTFTの作製方法を用いて、発光装置を作製する例を以下に説明する。本明細書において、発光装置とは、基板上に形成された発光素子を該基板とカバー材の間に封入した表示用パネルおよび該表示用パネルにTFT等を実装した表示用モジュールを総称したものである。なお、発光素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Luminescence)が得られる有機化合物を含む層(発光層)と陽極層と、陰極層とを有する。また、有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)があり、これらのうちどちらか、あるいは両方の発光を含む。
【0206】
なお、本明細書中では、発光素子において陽極と陰極の間に形成された全ての層を有機発光層と定義する。有機発光層には具体的に、発光層、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等が含まれる。基本的に発光素子は、陽極層、発光層、陰極層が順に積層された構造を有しており、この構造に加えて、陽極層、正孔注入層、発光層、陰極層や、陽極層、正孔注入層、発光層、電子輸送層、陰極層等の順に積層した構造を有していることもある。
【0207】
図28(A)は、第3の層間絶縁膜750まで形成した時点での、本実施例の発光装置の断面図である。図28(A)において、基板700上に設けられたスイッチングTFT733、電流制御TFT734は実施例8の作製方法を用いて形成される。本実施例ではスイッチングTFT733は、チャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造としているが、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造もしくは三つ以上形成される構造であっても良い。また、本実施例では電流制御TFT734は、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造としているが、チャネル形成領域が二つ以上形成される構造であっても良い。
【0208】
基板700上に設けられた駆動回路が有するnチャネル型TFT731、pチャネル型TFT732は実施例8の作製方法を用いて形成される。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0209】
第3の層間絶縁膜750は、発光装置の場合、第2の層間絶縁膜751に含まれる水分が有機発光層に入るのを防ぐのに効果的である。第2の層間絶縁膜751が有機樹脂材料を有している場合、有機樹脂材料は水分を多く含むため、第3の層間絶縁膜750を設けることは特に有効である。
【0210】
実施例8の第3の層間絶縁膜を作製する工程まで終了したら、本実施例では第3の層間絶縁膜750上に画素電極711を形成する。
【0211】
なお、画素電極711は、透明導電膜からなる画素電極(発光素子の陽極)である。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。画素電極711は、配線を形成する前に平坦な第3の層間絶縁膜750上に形成する。本実施例においては、樹脂からなる第2の層間絶縁膜751を用いてTFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成される発光層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、発光層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
【0212】
次に、画素電極711形成後、ゲート絶縁膜752、第1の層間絶縁膜753、第2の層間絶縁膜751、第3の層間絶縁膜750にコンタクトホールを形成する。そして画素電極711を覆って第3の層間絶縁膜750上に導電膜を形成し、レジスト760を形成する。そしてレジスト760を用いて該導電膜をエッチングすることで、各TFTの不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線701〜707を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でもよいし、三層以上の積層構造にしてもよい。また、配線の材料としては、AlとTiに限らない。例えば、TaN膜上にAlやCuを形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成してもよい(図28(A))。
【0213】
また、配線707は電流制御TFTのソース配線(電流供給線に相当する)であり、706は電流制御TFTのドレイン領域と画素電極711とを接続する電極である。
【0214】
配線701〜707を形成後、図28(B)に示すようにレジスト760を除去せず、そのままパッシベーション膜712を形成する。パッシベーション膜712は、配線701〜707、第3の層間絶縁膜750及びレジスト760を覆うように形成する。パッシベーション膜712は、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウムもしくは窒化酸化アルミニウムを含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。そしてパッシベーション膜712をエッチングして、画素電極711の一部を露出させる。
【0215】
画素電極711の上には発光層713が形成される。なお、図28(B)では一画素しか図示していないが、本実施例ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けている。また、本実施例では蒸着法により低分子系有機発光材料を形成している。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としている。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
【0216】
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施例では低分子系有機発光材料を発光層として用いる例を示したが、中分子系有機発光材料や高分子系有機発光材料を用いても良い。なお、本明細書中において、昇華性を有さず、かつ、分子数が20以下または連鎖する分子の長さが10μm以下の有機発光材料を中分子系有機発光材料とする。また、高分子系有機発光材料を用いる例として、正孔注入層として20nmのポリチオフェン(PEDOT)膜をスピン塗布法により設け、その上に発光層として100nm程度のパラフェニレンビニレン(PPV)膜を設けた積層構造としても良い。なお、PPVのπ共役系高分子を用いると、赤色から青色まで発光波長を選択できる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機発光材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
【0217】
次に、発光層713の上には導電膜からなる陰極714が設けられる。本実施例の場合、導電膜としてアルミニウムとリチウムとの合金膜を用いる。勿論、公知のMgAg膜(マグネシウムと銀との合金膜)を用いても良い。陰極材料としては、周期表の1族もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用いれば良い。
【0218】
この陰極714まで形成された時点で発光素子715が完成する。なお、ここでいう発光素子715は、画素電極(陽極)711、発光層713及び陰極714で形成されたダイオードを指す。
【0219】
発光素子715を完全に覆うようにして保護膜754を設けても良い。保護膜754としては、炭素膜、窒化珪素膜もしくは窒化酸化珪素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。
【0220】
この際、カバレッジの良い膜を保護膜754として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い発光層713の上方にも容易に成膜することができる。また、DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、発光層713の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に発光層713が酸化するといった問題を防止できる。
【0221】
本実施例では、発光層と713は全てバリア性の高い炭素膜、窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウムもしくは窒化酸化アルミニウム等の無機絶縁膜で覆われているため、水分や酸素等が発光層に入って発光層が劣化するのをより効果的に防ぐことができる。
【0222】
特に第3絶縁膜750、パッシベーション膜712、保護膜754を、シリコンをターゲットとしたスパッタリング法により作製される窒化珪素膜を用いることで、より発光層への不純物の侵入を防ぐことができる。成膜条件は適宜選択すれば良いが、特に好ましくはスパッタガスには窒素(N2)又は窒素とアルゴンの混合ガスを用い、高周波電力を印加してスパッタリングを行う。基板温度は室温の状態とし、加熱手段を用いなくても良い。既に有機絶縁膜や有機化合物層を形成した後は、基板を加熱せずに成膜することが望ましい。但し、吸着又は吸蔵している水分を十分除去するために、真空中で数分〜数時間、50〜100℃程度で加熱して脱水処理することは好ましい。
【0223】
室温でシリコンをターゲットとし、13.56MHzの高周波電力を印加し、窒素ガスのみ用いたスパッタリング法で形成された窒化珪素膜は、その赤外吸収スペクトルにおいてN−H結合とSi−H結合の吸収ピークが観測されず、またSi−Oの吸収ピークも観測されていないことが特徴的であり、膜中に酸素濃度及び水素濃度は1原子%以下であることがわかっている。このことからも、より効果的に酸素や水分などの不純物の侵入を防ぐことができるのがわかる。
【0224】
さらに、発光素子715を覆って封止材717を設け、カバー材718を貼り合わせる。封止材717としては紫外線硬化樹脂を用いれば良く、内部に吸湿効果を有する物質もしくは酸化防止効果を有する物質を設けることは有効である。また、本実施例においてカバー材718はガラス基板や石英基板やプラスチック基板(プラスチックフィルムも含む)の両面に炭素膜(好ましくはダイヤモンドライクカーボン膜)を形成したものを用いる。
【0225】
こうして図28(B)に示すような構造の発光装置が完成する。なお、パッシベーション膜712を形成した後、保護膜を形成するまでの工程をマルチチャンバー方式(またはインライン方式)の成膜装置を用いて、大気解放せずに連続的に処理することは有効である。また、さらに発展させてカバー材718を貼り合わせる工程までを大気解放せずに連続的に処理することも可能である。
【0226】
こうして、基板700上にnチャネル型TFT731、pチャネル型TFT732、スイッチングTFT(nチャネル型TFT)733および電流制御TFT(pチャネル型TFT)734が形成される。
【0227】
さらに、図28を用いて説明したように、ゲート電極に絶縁膜を介して重なる不純物領域を設けることによりホットキャリア効果に起因する劣化に強いnチャネル型TFTを形成することができる。そのため、信頼性の高い発光装置を実現できる。
【0228】
また、本実施例では画素部と駆動回路の構成のみ示しているが、本実施例の製造工程に従えば、その他にも信号分割回路、D/Aコンバータ、オペアンプ、γ補正回路などの論理回路を同一の絶縁体上に形成可能であり、さらにはメモリやマイクロプロセッサをも形成しうる。
【0229】
以上のようにして作製される発光装置はエネルギー分布が周期的または一様なレーザー光が照射され、大粒径の結晶粒が形成された半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、前記発光装置の動作特性や信頼性が十分なものとなり得る。そして、このような発光装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0230】
なお本実施例で用いられる発光素子は、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層または電子輸送層等が、無機化合物単独で、または有機化合物に無機化合物が混合されている材料で形成されている形態をも取り得る。また、これらの層どうしが互いに一部混合していても良い。
【0231】
なお、本実施例は実施例1〜実施例8のいずれか一と組み合わせて実施することが可能である。
【0232】
(実施例11)
本発明のレーザー装置によって形成された半導体装置を用いた電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD(digital versatile disc)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それら電子機器の具体例を図29に示す。
【0233】
図29(A)は表示装置であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。本発明の半導体装置は表示部2003に用いることができる。半導体装置は自発光型であるためバックライトが必要なく、液晶ディスプレイよりも薄い表示部とすることができる。なお、表示装置は、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0234】
図29(B)はデジタルスチルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。本発明の半導体装置は表示部2102及びその他回路に用いることができる。
【0235】
図29(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明の半導体装置は表示部2203及びその他回路に用いることができる。
【0236】
図29(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明の半導体装置は表示部2302に用いることができる。
【0237】
図29(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(DVD等)読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示するが、本発明の半導体装置はこれら表示部A、B2403、2404及びその他回路に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
【0238】
図29(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体2501、表示部2502、アーム部2503を含む。本発明の半導体装置は表示部2502及びその他回路に用いることができる。
【0239】
図29(G)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を含む。本発明の半導体装置は表示部2602及びその他回路に用いることができる。
【0240】
ここで図29(H)は携帯電話であり、本体2701、筐体2702、表示部2703、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706、外部接続ポート2707、アンテナ2708等を含む。本発明の半導体装置は表示部2703及びその他回路に用いることができる。なお、表示部2703は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることができる。
【0241】
なお、上述した電子機器の他に、フロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
【0242】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜10に示したいずれの構成の半導体装置を用いても良い。
【0243】
(実施例12)
本実施例では、1回目及び2回目のレーザー光の走査方向を、活性層のチャネル形成領域のキャリアが移動する方向に合わせて自在に転換させることができる、レーザー装置の構成について説明する。
【0244】
図31に、本実施例のレーザー装置1100の構成を示す。レーザー装置1100は、被処理物に対するレーザー光の照射位置を制御する第1の手段に相当するステージコントローラ1101を有している。なお図31ではステージコントローラ1101を用いて基板の位置を変えることで、レーザー光の照射位置を移動(走査)させたり、レーザー光の走査方向を変えたりすることができるが、本発明はこの構成に限定されない。光学系を用いてレーザー光を走査したり、レーザー光の走査方向を変えたりしても良い。
【0245】
また、レーザー装置1100は、レーザー光を発振する第2の手段に相当するレーザー発振装置1102を有している。なお図31では1つのレーザー発振装置1102を設けている例について示しているが、本発明のレーザー装置1100が有するレーザー発振装置1102はこの数に限定されない。レーザー発振装置から出力される各レーザー光のビームスポットを互いに重ね合わせ、1つのビームスポットとして用いていても良い。
【0246】
また本発明のレーザー装置1100は、レーザー発振装置1102から発振されるレーザー光の、被処理物におけるビームスポットを加工することができる第3の手段に相当する光学系1103を有している。さらに光学系1103には、レーザー発振装置1102から出力されるレーザー光を一次的に遮ることができるシャッター1105を備えている。シャッター1105を用いることで、レーザー発振装置1102からのレーザー光の出力を止めずに、被処理物1107へのレーザー光の照射を一次的に止めることができるので、レーザー光の出力を一定に保つことができる。
【0247】
なお、複数のレーザー発振装置を用いる場合、前記光学系を用いて各レーザー発振装置から出力されるビームスポットを互いに重ね合わせて1つのビームスポットを形成するようにしても良い。
【0248】
さらにレーザー装置1100は、第4の手段に相当するCPU1104を有している。CPU1104はレーザー発振装置1102の発振を制御し、なおかつレーザー光のビームスポットがマスクのデータに従って定められる部分を覆うように、第1の手段に相当するステージコントローラ1101を制御することができる。さらにCPU1104はシャッター1105の動作を制御しており、レーザー光の被処理物1107への照射を一次的に止めることができる。
【0249】
さらに本実施例では、マスクのデータの他に、各活性層のチャネル形成領域におけるキャリアの移動する方向も、CPU1104に入力する。そして各活性層において、キャリアの移動する方向と、1回目または2回目のレーザー光の走査方向とが平行になるように、レーザー光の走査方向及び照射部分を定める。
【0250】
図31(B)を用いて、被処理物1107がアクティブマトリクス型の半導体装置であった場合の、半導体膜におけるレーザー光の走査方向と、各回路における活性層のレイアウトとの関係について説明する。
【0251】
図31(B)において、基板上に半導体膜1850が成膜されている。破線1850で囲まれた部分は画素部が形成される部分であり、画素部1853に複数の活性層となる部分1856が設けられている。破線1854で囲まれた部分は信号線駆動回路が形成される部分であり、信号線駆動回路1854に複数の活性層となる部分1857が設けられている。破線1855で囲まれた部分は走査線駆動回路が形成される部分であり、走査線駆動回路1855に複数の活性層となる部分1858が設けられている。
【0252】
▲1▼に示す矢印は、1回目のレーザー光照射の走査方向であり、活性層となる部分1856、1857、1858にレーザー光が照射されている。▲2▼に示す矢印は、2回目のレーザー光照射の走査方向を示しており、活性層となる部分1857、1858にレーザー光が照射されている。
【0253】
本実施例では、2回目のレーザー光照射において、レーザー光の走査方向を信号線駆動回路1854と走査線駆動回路1855とで転換しており、走査方向が互いに交差している。各回路の複数の活性層となる部分1856、1857、1858のうち、1回目のレーザー光照射の走査方向とチャネル形成領域のキャリアの移動する方向とが平行ではなかった部分にのみ、そのキャリアが移動する方向と走査方向が平行な、2回目のレーザー光を照射している。さらに、1回目のレーザー光の走査方向とキャリアの移動方向とは一致しているが、2回目のレーザー光の走査方向とは一致していない部分について、たとえ該部分が2回目のレーザー光の走査経路にレイアウトされていても、シャッター1105を用いて2回目のレーザー光を照射させないようにすることもできる。上記構成によって、レーザー光の走査方向による活性層のレイアウトの制約が少なくなり、マスクの設計がより容易になる。
【0254】
なお、本実施例は実施例1〜実施例11のいずれか一と組み合わせて実施することが可能である。
【0255】
(実施例13)
本実施例では、複数のレーザー発振装置から出力されたレーザー光のビームスポットを互いに重ね合わせないレーザー発振装置の例について説明する。
【0256】
図32に、本実施例のレーザー装置の、ビームスポットの形状を示す。図32において、複数のビームスポット1700が被処理物上に形成されている。本実施例では4つのビームスポット1700a〜1700dを用いた例を示すが、ビームスポットの数はこれに限定されない。
【0257】
また、ビームスポットの形状は、本実施例では楕円形を有しているが、本実施例はこの構成に限定されない。各ビームスポットは、矢印の方向に走査されている。そして各ビームスポットは、矢印の方向において互いに一定の間隔を保っている。
【0258】
そして矢印の方向にビームスポットを走査したときに、各ビームスポットの軌跡が互いに重なるように、各ビームスポットが重なり合っている。
【0259】
よって、図32では、ビームスポット1700aが照射された部分(軌跡)に、ビームスポット1700bが重なることで、ビームスポット1700aが照射された部分を種結晶としてビームスポット1700bが照射された部分において結晶化が開始される。また同様に、ビームスポット1700bが照射された部分に、ビームスポット1700cが重なることで、ビームスポット1700bが照射された部分を種結晶として、ビームスポット1700cが照射された部分において結晶化が開始される。また同様に、ビームスポット1700cが照射された部分に、ビームスポット1700dが重なることで、ビームスポット1700cが照射された部分を種結晶として、ビームスポット1700dが照射された部分において結晶化が開始される。
【0260】
上記構成によって、レーザー光が照射された部分における結晶粒の向き及びその大きさを制御することができる。
【0261】
なお、本実施例は実施例1〜実施例12のいずれか一と組み合わせて実施することが可能である。
【0262】
(実施例14)
本実施例では、本発明の半導体装置の1つである発光装置の画素の構成について説明する。図33に本実施例の発光装置の画素の断面図を示す。
【0263】
図33において、911は基板、912は下地となる絶縁膜(以下、下地膜という)である。基板911としては透光性基板、代表的にはガラス基板、石英基板、ガラスセラミックス基板、又は結晶化ガラス基板を用いることができる。但し、作製プロセス中の最高処理温度に耐えるものでなくてはならない。
【0264】
8201はスイッチングTFT、8202は電流制御TFTであり、それぞれnチャネル型TFT、pチャネル型TFTで形成されている。有機発光層の発光方向が基板の下面(TFT及び有機発光層が設けられていない面)の場合、上記構成であることが好ましい。しかしスイッチングTFTと電流制御TFTは、nチャネル型TFTでもpチャネル型TFTでも、どちらでも構わない。
【0265】
スイッチングTFT8201は、ソース領域913、ドレイン領域914、LDD領域915a〜915d、分離領域916及びチャネル形成領域963、964を含む活性層と、ゲート絶縁膜918と、ゲート電極919a、919bと、第1層間絶縁膜920と、ソース信号線921と、ドレイン配線922とを有している。なお、ゲート絶縁膜918又は第1層間絶縁膜920は基板上の全TFTに共通であっても良いし、回路又は素子に応じて異ならせても良い。
【0266】
また、図33に示すスイッチングTFT8201はゲート電極919a、919bが電気的に接続されており、いわゆるダブルゲート構造となっている。勿論、ダブルゲート構造だけでなく、トリプルゲート構造などいわゆるマルチゲート構造(直列に接続された二つ以上のチャネル形成領域を有する活性層を含む構造)であっても良い。
【0267】
マルチゲート構造はオフ電流を低減する上で極めて有効であり、スイッチングTFTのオフ電流を十分に低くすれば、それだけ電流制御TFT8202のゲート電極に接続された保持容量が必要とする最低限の容量を抑えることができる。即ち、保持容量の面積を小さくすることができるので、マルチゲート構造とすることは発光素子の有効発光面積を広げる上でも有効である。
【0268】
さらに、スイッチングTFT8201においては、LDD領域915a〜915dは、ゲート絶縁膜918を介してゲート電極919a、919bと重ならないように設ける。このような構造はオフ電流を低減する上で非常に効果的である。また、LDD領域915a〜915dの長さ(幅)は0.5〜3.5μm、代表的には2.0〜2.5μmとすれば良い。なお、二つ以上のゲート電極を有するマルチゲート構造の場合、チャネル形成領域の間に設けられた分離領域916(ソース領域又はドレイン領域と同一の濃度で同一の不純物元素が添加された領域)がオフ電流の低減に効果的である。
【0269】
次に、電流制御TFT8202は、ソース領域926、ドレイン領域927及びチャネル形成領域905を含む活性層と、ゲート絶縁膜918と、ゲート電極930と、第1層間絶縁膜920と、ソース信号線931並びにドレイン配線932を有して形成される。本実施例において電流制御TFT8202はpチャネル型TFTである。
【0270】
また、スイッチングTFT8201のドレイン領域914は電流制御TFT8202のゲート930に接続されている。図示してはいないが、具体的には電流制御TFT8202のゲート電極930はスイッチングTFT8201のドレイン領域914とドレイン配線(接続配線とも言える)922を介して電気的に接続されている。なお、ゲート電極930はシングルゲート構造となっているが、マルチゲート構造であっても良い。また、電流制御TFT8202のソース信号線931は電源供給線(図示せず)に接続される。
【0271】
以上は画素内に設けられたTFTの構造について説明したが、このとき同時に駆動回路も形成される。図33には駆動回路を形成する基本単位となるCMOS回路が図示されている。
【0272】
図33においては極力動作速度を落とさないようにしつつホットキャリア注入を低減させる構造を有するTFTをCMOS回路のnチャネル型TFT8204として用いる。なお、ここでいう駆動回路としては、ソース信号側駆動回路、ゲート信号側駆動回路を指す。勿論、他の論理回路(レベルシフタ、A/Dコンバータ、信号分割回路等)を形成することも可能である。
【0273】
CMOS回路のnチャネル型TFT8204の活性層は、ソース領域935、ドレイン領域936、LDD領域937及びチャネル形成領域962を含み、LDD領域937はゲート絶縁膜918を介してゲート電極939と重なっている。
【0274】
ドレイン領域936側のみにLDD領域937を形成しているのは、動作速度を落とさないための配慮である。また、このnチャネル型TFT8204はオフ電流値をあまり気にする必要はなく、それよりも動作速度を重視した方が良い。従って、LDD領域937は完全にゲート電極に重ねてしまい、極力抵抗成分を少なくすることが望ましい。即ち、いわゆるオフセットはなくした方がよい。
【0275】
また、CMOS回路のpチャネル型TFT8205は、ホットキャリア注入による劣化が殆ど気にならないので、特にLDD領域を設けなくても良い。従って活性層はソース領域940、ドレイン領域941及びチャネル形成領域961を含み、その上にはゲート絶縁膜918とゲート電極943が設けられる。勿論、nチャネル型TFT8204と同様にLDD領域を設け、ホットキャリア対策を講じることも可能である。
【0276】
なお942、938、917a、917b、929はチャネル形成領域961〜964、905を形成するためのマスクである。
【0277】
また、nチャネル型TFT8204及びpチャネル型TFT8205はそれぞれソース領域上に第1層間絶縁膜920を間に介して、ソース信号線944、945を有している。また、ドレイン配線946によってnチャネル型TFT8204とpチャネル型TFT8205とのドレイン領域は互いに電気的に接続される。
【0278】
本発明のレーザー装置は、活性層の結晶化、活性化またはその他レーザーアニールを用いる工程において使用することができる。
【0279】
なお本実施例の構成は、実施例1〜13と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0280】
(実施例15)
本実施例では、ビームスポットを重ね合わせたときの、各ビームスポットの中心間の距離と、エネルギー密度との関係について説明する。
【0281】
図34に、各ビームスポットの中心軸方向におけるエネルギー密度の分布を実線で、合成されたビームスポットのエネルギー密度の分布を破線で示す。ビームスポットの中心軸方向におけるエネルギー密度の値は、一般的にガウス分布に従っている。
【0282】
合成前のビームスポットにおいて、ピーク値の1/e2以上のエネルギー密度を満たしている中心軸方向の距離を1としたときの、各ピーク間の距離をXとする。また、合成されたビームスポットにおいて、合成後のピーク値と、バレー値の平均値に対するピーク値の割増分をYとする。シミュレーションで求めたXとYの関係を、図35に示す。なお図35では、Yを百分率で表した。
【0283】
図35において、エネルギー差Yは以下の式1の近似式で表される。
【0284】
【式1】
Y=60−293X+340X2(Xは2つの解のうち大きい方とする)
【0285】
式1に従えば、例えばエネルギー差を5%程度にしたい場合、X≒0.584となるようにすれば良いということがわかる。Y=0となるのが理想的だが、それではビームスポットの長さが短くなるので、スループットとのバランスでXを決定すると良い。
【0286】
次に、Yの許容範囲について説明する。図36に、ビームスポットが楕円形状を有している場合の、中心軸方向におけるビーム幅に対するYVO4レーザーの出力(W)の分布を示す。斜線で示す領域は、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲であり、3.5〜6Wの範囲内に合成したレーザー光の出力エネルギーが納まっていれば良いことがわかる。
【0287】
合成後のビームスポットの出力エネルギーの最大値と最小値が、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギー範囲にぎりぎりに入るとき、良好な結晶性が得られるエネルギー差Yが最大になる。よって図36の場合は、エネルギー差Yが±26.3%となり、上記範囲にエネルギー差Yが納まっていれば良好な結晶性が得られることがわかる。
【0288】
なお、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲は、どこまでを結晶性が良好だと判断するかによって変わり、また出力エネルギーの分布もビームスポットの形状によって変わってくるので、エネルギー差Yの許容範囲は必ずしも上記値に限定されない。設計者が、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲を適宜定め、用いるレーザーの出力エネルギーの分布からエネルギー差Yの許容範囲を設定する必要がある。
【0289】
本実施例は、実施例1〜14と組み合わせて実施することが可能である。
【0290】
(実施例16)
図37を用いて、本発明の発光装置の画素の構成について説明する。
【0291】
図37において、基板6000に、下地膜6001が形成されており、該下地膜6001上にトランジスタ6002が形成されている。トランジスタ6002は活性層6003と、ゲート電極6005と、活性層6003とゲート電極6005の間に挟まれたゲート絶縁膜6004と、を有している。
【0292】
活性層6003は多結晶半導体膜を用いるのが好ましく、該多結晶半導体膜は、公知の技術により非晶質珪素膜を結晶化することで形成することができる。公知の結晶化方法としては、電熱炉を使用した熱結晶化方法、レーザー光を用いたレーザーアニール結晶化法、赤外光を用いたランプアニール結晶化法がある。本実施例では、XeClガスを用いたエキシマレーザー光を用いて結晶化する。また線状に加工したパルス発振型のエキシマレーザー光を用いるが、矩形であっても良いし、連続発振型のアルゴンレーザー光や連続発振型のエキシマレーザー光を用いることもできる。或いは特開平7−130652号公報で開示された技術に従って、触媒元素を用いる結晶化法で多結晶半導体膜を形成することもできる。
【0293】
また、スパッタ法、プラズマCVD法、熱CVD法などで形成した多結晶半導体膜を用いていても良い。
【0294】
なお、活性層は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムを用いるようにしても良い。シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。また窒化炭素が添加された珪素を用いていても良い。
【0295】
またゲート絶縁膜6004は、酸化珪素、窒化珪素または酸化窒化珪素を用いることができる。またそれらを積層した膜、例えばSiO2上にSiNを積層した膜を、ゲート絶縁膜として用いても良い。またSiO2は、
プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)、電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて、酸化シリコン膜を形成した。このようにして作製される酸化シリコン膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。また窒化アルミニウムをゲート絶縁膜として用いることができる。窒化アルミニウムは熱伝導率が比較的高く、TFTで発生した熱を効果的に拡散させることができる。またアルミニウムの含まれない酸化珪素や酸化窒化珪素等を形成した後、窒化アルミニウムを積層したものをゲート絶縁膜として用いても良い。また、SiをターゲットとしたRFスパッタ法を用いて形成されたSiO2をゲート絶縁膜として用いても良い。
【0296】
またゲート電極6005として、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また単層の導電膜ではなく、複数の層からなる導電膜を積層したものであっても良い。
【0297】
例えば、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をWとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をTiとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をAlとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をCuとする組み合わせで形成することが好ましい。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。
【0298】
また、2層構造に限定されず、例えば、タングステン膜、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、タングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
【0299】
なお、導電膜の材料によって、適宜最適なエッチングの方法や、エッチャントの種類を選択することが重要である。
【0300】
またトランジスタ6002は、第1の層間絶縁膜6006で覆われており、第1の層間絶縁膜6006上には第2の層間絶縁膜6007と、第3の層間絶縁膜6008とが積層されている。
【0301】
第1の層間絶縁膜6006は、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、酸化珪素、窒化珪素または酸化窒化珪素膜を単層でまたは積層して用いることができる。また酸素よりも窒素のモル比率が高い酸化窒化珪素膜上に、窒素よりも酸素のモル比率が高い酸化窒化珪素膜を積層した膜を第1の層間絶縁膜6006として用いても良い。
【0302】
なお、第1の層間絶縁膜6006を成膜した後、加熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行うと、第1の層間絶縁膜6006に含まれる水素により、活性層6003に含まれる半導体のダングリングボンドを終端する(水素化)ことができる。
【0303】
また第2の層間絶縁膜6007は、非感光性のアクリルを用いることができる。
【0304】
第3の層間絶縁膜6008は、水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的には、例えばDLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜等を用いるのが望ましい。
【0305】
また図37において6010は陽極、6011は電界発光層、6012は陰極であり、陽極6010と電界発光層6011と陰極6012が重なっている部分が発光素子6013に相当する。トランジスタ6002は、発光素子6013に供給する電流を制御する駆動用トランジスタであり、発光素子6013と直接、または他の回路素子を介して直列に接続されている。
【0306】
電界発光層6011は、発光層単独かもしくは発光層を含む複数の層が積層された構成を有している。
【0307】
陽極6010は第3の層間絶縁膜6008上に形成されている。また第3の層間絶縁膜6008上には隔壁として用いる有機樹脂膜6014が形成されている。有機樹脂膜6014は開口部6015を有しており、該開口部において陽極6010と電界発光層6011と陰極6012が重なり合うことで発光素子6013が形成されている。
【0308】
そして有機樹脂膜6014及び陰極6012上に、保護膜6016が成膜されている。保護膜6016は第3の層間絶縁膜6008と同様に、水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的には、例えばDLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜等を用いるのが望ましい。また上述した水分や酸素などの物質を透過させにくい膜と、該膜に比べて水分や酸素などの物質を透過させやすい膜とを積層させて、保護膜として用いることも可能である。
【0309】
また有機樹脂膜6014は、電界発光層6011が成膜される前に、吸着した水分や酸素等を除去するために真空雰囲気下で加熱しておく。具体的には、100℃〜200℃、0.5〜1時間程度、真空雰囲気下で加熱処理を行なう。望ましくは3×10−7Torr以下とし、可能であるならば3×10−8Torr以下とするのが最も望ましい。そして、有機樹脂膜に真空雰囲気下で加熱処理を施した後に電界発光層を成膜する場合、成膜直前まで真空雰囲気下に保つことで、信頼性をより高めることができる。
【0310】
また有機樹脂膜6014の開口部6015における端部は、有機樹脂膜6014上に一部重なって形成されている電界発光層6011に、該端部において穴があかないように、丸みを帯びさせることが望ましい。具体的には、開口部における有機樹脂膜の断面が描いている曲線の曲率半径が、0.2〜2μm程度であることが望ましい。
【0311】
上記構成により、後に形成される電界発光層や陰極のカバレッジを良好とすることができ、陽極6010と陰極6012が電界発光層6011に形成された穴においてショートするのを防ぐことができる。また電界発光層6011の応力を緩和させることで、発光領域が減少するシュリンクとよばれる不良を低減させることができ、信頼性を高めることができる。
【0312】
なお図37では、有機樹脂膜6014として、ポジ型の感光性のアクリル樹脂を用いた例を示している。感光性の有機樹脂には、光、電子、イオンなどのエネルギー線が露光された箇所が除去されるポジ型と、露光された箇所が残るネガ型とがある。本発明ではネガ型の有機樹脂膜を用いても良い。また感光性のポリイミドを用いて有機樹脂膜6014を形成しても良い。
【0313】
ネガ型のアクリルを用いて有機樹脂膜6014を形成した場合、開口部6015における端部が、S字状の断面形状となる。このとき開口部の上端部及び下端部における曲率半径は、0.2〜2μmとすることが望ましい。
【0314】
陽極6010は透明導電膜を用いることができる。ITOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いても良い。図37では陽極6010としITOを用いている。陽極6010は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄(ベルクリン洗浄)で研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、陽極6010の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
【0315】
また陰極6012は、仕事関数の小さい導電膜であれば公知の他の材料を用いることができる。例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。
【0316】
なお図37では、発光素子から発せられる光が基板6000側に照射される構成を示しているが、光が基板とは反対側に向かうような構造の発光素子としても良い。
【0317】
また図37ではトランジスタ6002と発光素子の陽極6010が接続されているが、本発明はこの構成に限定されず、トランジスタ6002と発光素子の陰極6001が接続されていても良い。この場合、陰極は第3の層間絶縁膜6008上に形成される。そしてTiN等を用いて形成される。
【0318】
なお、実際には図37まで完成したら、さらに外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(ラミネートフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)や透光性のカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。その際、カバー材の内部を不活性雰囲気にしたり、内部に吸湿性材料(例えば酸化バリウム)を配置したりするとOLEDの信頼性が向上する。
【0319】
なお、本発明は上述した作製方法に限定されず、公知の方法を用いて作製することが可能である。また本実施例は、実施例1〜実施例15と自由に組み合わせることが可能である。
【0320】
【発明の効果】
本発明では、半導体膜全体にレーザー光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができ、基板1枚あたりにかかる処理時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザー装置の構造を示す図。
【図2】被処理物においてレーザー光の移動する方向を示す図。
【図3】被処理物においてレーザー光の移動する方向を示す図。
【図4】被処理物においてレーザー光の移動方向を示す図。
【図5】被処理物においてレーザー光の移動方向を示す図。
【図6】TFTの活性層におけるレーザー光の移動方向を示す図。
【図7】マーカーの位置を示す図。
【図8】本発明の生産システムの流れを示すフローチャート。
【図9】従来の生産システムの流れを示すフローチャート。
【図10】本発明の生産システムの流れを示すフローチャート。
【図11】SLS法を用いた結晶化のメカニズムを説明する図。
【図12】SLS法を用いた結晶化のメカニズムを説明する図。
【図13】レーザービームの形状及びエネルギー密度の分布を示す図。
【図14】レーザービームの形状及びエネルギー密度の分布を示す図。
【図15】レーザー装置の光学系の図。
【図16】レーザー装置の光学系の図。
【図17】被処理物においてレーザー光の移動方向を示す図。
【図18】被処理物においてレーザー光の移動方向を示す図。
【図19】マーカーの構造を示す図。
【図20】本発明のレーザー装置の光学系の図。
【図21】本発明のレーザー装置の光学系の図。
【図22】本発明のレーザー装置の光学系の図。
【図23】本発明のレーザー装置を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図24】本発明のレーザー装置を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図25】本発明のレーザー装置を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図26】本発明のレーザー装置を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図27】本発明のレーザー装置を用いて作製された液晶表示装置の図。
【図28】本発明のレーザー装置を用いた発光装置の作製方法を示す図。
【図29】本発明の半導体装置を用いた電子機器の図。
【図30】被処理物においてレーザー光の移動する方向を示す図。
【図31】本発明のレーザー装置の構造を示す図と、被処理物においてレーザー光の移動する方向を示す図。
【図32】レーザービームの形状を示す図。
【図33】本発明のレーザー装置を用いた発光装置の断面図。
【図34】重ね合わせたビームスポットの中心軸方向におけるエネルギー密度の分布を示す図。
【図35】ビームスポットの中心間の距離とエネルギー差の関係を示す図。
【図36】ビームスポットの中心軸方向における出力エネルギーの分布を示す図。
【図37】本発明のレーザー装置を用いて作製された発光装置の断面図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板又は半導体膜などをレーザー光を用いて結晶化又はイオン注入後の活性化をするレーザー処理装置及びレーザー照射方法と、当該レーザー装置を用いて形成された半導体装置及びその作製方法と、前記半導体装置を用いた電子機器と、該レーザー装置を用いた半導体装置の生産システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、基板上にTFTを形成する技術が大幅に進歩し、アクティブマトリクス型の半導体表示装置への応用開発が進められている。特に、多結晶半導体膜を用いたTFTは、従来の非晶質半導体膜を用いたTFTよりも電界効果移動度(モビリティともいう)が高いので、高速動作が可能である。そのため、従来基板の外に設けられた駆動回路で行っていた画素の制御を、画素と同一の基板上に形成した駆動回路で行うことが可能である。
【0003】
ところで半導体装置に用いる基板は、コストの面から単結晶シリコン基板よりも、ガラス基板が有望視されている。ガラス基板は耐熱性に劣り、熱変形しやすいため、ガラス基板上にポリシリコンTFTを形成する場合には、ガラス基板の熱変形を避けるために、半導体膜の結晶化にレーザーアニールが用いられる。
【0004】
レーザーアニールの特徴は、輻射加熱或いは伝導加熱を利用するアニール法と比較して処理時間を大幅に短縮できることや、半導体又は半導体膜を選択的、局所的に加熱して、基板に殆ど熱的損傷を与えないことなどが上げられている。
【0005】
なお、ここでいうレーザーアニール法とは、半導体基板又は半導体膜に形成された損傷層を再結晶化する技術や、基板上に形成された非晶質半導体膜を結晶化させる技術を指している。また、半導体基板又は半導体膜の平坦化や表面改質に適用される技術も含んでいる。適用されるレーザー発振装置は、エキシマレーザーに代表される気体レーザー発振装置、YAGレーザーに代表される固体レーザー発振装置であり、レーザー光の照射によって半導体の表面層を数十ナノ〜数十マイクロ秒程度のごく短時間加熱して結晶化させるものとして知られている。
【0006】
レーザーはその発振方法により、パルス発振と連続発振の2種類に大別される。パルス発振のレーザーは出力エネルギーが比較的高いため、ビームスポットの大きさを数cm2以上として量産性を上げることができる。特に、ビームスポットの形状を光学系を用いて加工し、長さ10cm以上の線状にすると、基板へのレーザー光の照射を効率的に行うことができ、量産性をさらに高めることができる。そのため、半導体膜の結晶化には、パルス発振のレーザーを用いるのが主流となりつつあった。
【0007】
ところが近年、半導体膜の結晶化においてパルス発振のレーザーよりも連続発振のレーザーを用いる方が、半導体膜内に形成される結晶の粒径が大きくなることが見出された。半導体膜内の結晶粒径が大きくなると、該半導体膜を用いて形成されるTFTの移動度が高くなる。そのため、連続発振のレーザーはにわかに脚光を浴び始めている。
【0008】
しかし、一般的に連続発振のレーザーは、パルス発振のレーザーに比べてその最大出力エネルギーが小さいため、ビームスポットのサイズが10−3mm2程度と小さい。そのため、1枚の大きな基板を処理するためには、基板におけるビームの照射位置を上下左右に移動させる必要があり、基板1枚あたりの処理時間が長くなる。よって、基板処理の効率が悪く、基板の処理速度の向上が重要な課題となっている。
【0009】
なお、複数のビームスポットを重ね合わせて合成し、1つのビームスポットとして用いることで、基板処理の効率を高める技術は、従来から用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】
特許第3221724号公報(第2頁、第11図)
【0011】
【特許文献2】
特開平4−282869号公報(第2−3頁、第1(a)図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した問題に鑑み、従来に比べて基板処理の効率を高めることができるレーザー装置、レーザー照射方法及び該レーザー装置を用いた半導体装置の作製方法の提供を課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のレーザー装置は、被処理物に対するレーザー光の照射位置を制御する第1の手段と、レーザー光を発振する第2の手段(レーザー発振装置)と、前記レーザー光を加工する第3の手段(光学系)と、前記第2の手段の発振を制御し、なおかつ第3の手段によって加工されたレーザー光のビームスポットがマスクの形状のデータ(パターン情報)に従って定められる位置を覆うように前記第1の手段を制御する第4の手段とを有している。
【0014】
なお、マスクのデータに従って定められる位置とは、半導体膜のうち、結晶化後にパターニングすることで得られる部分である。本発明では第4の手段において、絶縁表面に形成された半導体膜のうち、パターニング後に基板上に残される部分をマスクに従って把握する。そして、少なくともパターニングすることで得られる部分を結晶化することができるように第1のレーザー光の走査部分を定め、該走査部分にビームスポットがあたるように第1の手段を制御して、半導体膜を部分的に結晶化する。次に、第1の手段を制御して走査方向を変更し、少なくともパターニングすることで得られる部分を結晶化することができるように再びレーザー光の走査部分を定め、前記走査部分に第2のレーザー光を照射する。このとき、第1のレーザー光の走査方向と、第2のレーザー光の走査方向とは、90°に近ければ近いほど望ましい。
【0015】
上述したように本発明では、半導体膜全体にレーザー光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分が最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができる。
【0016】
また、第1のレーザー光によって得られる幾つかの結晶粒が、走査方向の異なる第2のレーザー光により1つのより大きな結晶粒となる。これは、第1のレーザー光の照射により特定の方向に成長した結晶粒を種結晶とし、第2のレーザー光によって該特定の方向とは異なる方向に結晶成長が行われるためだと考えられる。よって走査方向の異なる2回のレーザー光照射により部分的に結晶性の高い半導体膜が得られ、該半導体膜の結晶性がより高められた部分を用いてTFTの活性層を作製することで、移動度の高いTFTを得ることができる。
【0017】
本発明では、マスクを用いた選択的なレーザー光の照射を行うために、半導体膜の成膜後、レーザー光による結晶化の前に、半導体膜にレーザー光でマーカーを付ける。そして該マーカーの位置を基準として、マスクをもとにレーザー光を走査する位置を定める。
【0018】
上記構成によって、レーザー光照射にかかる時間を短縮化することができ、なおかつ基板の処理速度を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のレーザー装置の構成について説明する。図1に本発明の発光装置のブロック図を示す。
【0020】
本発明のレーザー装置100は、被処理物に対するレーザー光の照射位置を制御する第1の手段に相当するステージコントローラ101を有している。なお図1ではステージコントローラ101を用いて基板の位置を変えることで、レーザー光の照射位置を移動(走査)させたり、レーザー光の走査方向を変えたりすることができるが、本発明はこの構成に限定されない。光学系を用いてレーザー光を走査したり、レーザー光の走査方向を変えたりしても良い。
【0021】
また、本発明のレーザー装置100は、レーザー光を発振する第2の手段に相当するレーザー発振装置102を有している。なお図1では1つのレーザー発振装置102を設けている例について示しているが、本発明のレーザー装置100が有するレーザー発振装置102はこの数に限定されない。レーザー発振装置から出力される各レーザー光のビームスポットを互いに重ね合わせ、1つのビームスポットとして用いていても良い。
【0022】
レーザーは、処理の目的によって適宜変えることが可能である。本発明では、公知のレーザーを用いることができる。レーザーは、パルス発振または連続発振の気体レーザーもしくは固体レーザーを用いることができる。気体レーザーとして、エキシマレーザー、Arレーザー、Krレーザーなどがあり、固体レーザーとして、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライドレーザー、Ti:サファイアレーザー、Y2O3レーザーなどが挙げられる。固体レーザーとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti、Yb又はTmがドーピングされたYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶を使ったレーザーが適用される。当該レーザーの基本波はドーピングする材料によって異なり、1μm前後の基本波を有するレーザー光が得られる。基本波に対する高調波は、非線形光学素子を用いることで得ることができる。
【0023】
またさらに、固体レーザーから発せられらた赤外レーザー光を非線形光学素子でグリーンレーザー光に変換後、さらに別の非線形光学素子によって得られる紫外レーザー光を用いることもできる。
【0024】
なお本発明のレーザー装置は、上記4つの手段の他に、被処理物の温度を調節する手段を備えていても良い。
【0025】
また本発明のレーザー装置100は、レーザー発振装置102から発振されるレーザー光の、被処理物におけるビームスポットを加工することができる第3の手段に相当する光学系103を有している。
【0026】
なお、レーザー発振装置102から発振されるレーザー光の被処理物107におけるビームスポットの形状は、レーザーの種類によって異なるし、光学系により成形することもできる。例えば、ラムダ社製のXeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅30ns)L3308から射出されたレーザー光の形状は、10mm×30mm(共にビームプロファイルにおける半値幅)の矩形状である。また、YAGレーザーから射出されたレーザー光の形状は、ロッド形状が円筒形であれば円状となり、スラブ型であれば矩形状となる。このようなレーザー光を光学系により、さらに成形することにより、所望の大きさのレーザー光をつくることもできる。
【0027】
また、複数のレーザー発振装置を用いる場合、前記光学系を用いて各レーザー発振装置から出力されるビームスポットを互いに重ね合わせて1つのビームスポットを形成するようにしても良い。
【0028】
さらに本発明のレーザー装置100は、第4の手段に相当するCPU104を有している。CPU104はレーザー発振装置102の発振を制御し、なおかつレーザー光のビームスポットがマスクのデータに従って定められる位置を覆うように、第1の手段に相当するステージコントローラ101を制御することができる。
【0029】
図2(A)を用いて、アクティブマトリクス型の半導体装置を作製するために成膜された半導体膜500におけるレーザー光の走査方向について説明する。図2(A)では、破線501が画素部、破線502が信号線駆動回路、破線503が走査線駆動回路の形成される部分に相当する。
【0030】
図2(A)において矢印はレーザー光の走査方向を示している。本発明では、走査方向の異なる2つのレーザー光を半導体膜に照射しており、図2(A)の実線で示した矢印が1回目のレーザー光の走査方向であり、破線で示した矢印が2回目のレーザー光の走査方向を示している。そして、1回目のレーザー光と2回目のレーザー光が交差した領域に活性層が形成される。
【0031】
なお、図2(A)では1回目のレーザー光の走査方向と2回目のレーザー光の走査方向の角度がほぼ90°になっているが、角度はこれに限定されない。
【0032】
図2(B)に、1回目の走査におけるビームスポット507の拡大図を示す。また図2(C)に、2回目の走査におけるビームスポット507の拡大図を示す。本発明では、ビームスポット507の中心軸と、走査方向とが垂直であっても良いし、垂直にならないように(具体的には、ビームスポットの中心軸と、走査方向との間に形成される鋭角θAが45°±35°となるようにし、より望ましくは45°となるように)してもよい。ビームスポットの中心軸と、走査する方向とが垂直の場合、最も基板の処理効率が高まる。一方合成後のビームスポットの中心軸と、走査する方向とが45°±35°となるように、望ましくは45°により近い値になるように走査することで、走査する方向とビームスポットの中心軸とが垂直になるように走査した場合に比べて、活性層中に存在する結晶粒の数が多くなり、結晶の方位や結晶粒に起因する特性のばらつきを低減することができる。
【0033】
またレーザー光は、一般的にビームスポットのエッジの部分におけるエネルギー密度が他の部分よりも低くなっており、被処理物への処理が均一に行えない場合がある。よって、結晶化後に半導体膜をパターニングすることで得られる島状の半導体膜に相当する部分506と、レーザー光の軌跡のエッジとが重なることのないように、レーザー光を照射することが望ましい。
【0034】
なお、図2(A)では画素部501、信号線駆動回路502、走査線駆動回路503の全てにおいてレーザー光を2回照射しているが、本発明はこの構成に限定されない。図3(A)に、走査線駆動回路503において2回レーザー光を照射している場合について示す。この場合、走査線駆動回路503においてレーザー光が2回照射された部分に活性層が形成される。そして、画素部501、信号線駆動回路502においてはレーザー光が1回照射された部分において活性層を形成する。また図3(B)に、信号線駆動回路502において2回レーザー光を照射している場合について示す。この場合、信号線駆動回路502においてレーザー光が2回照射された部分に活性層が形成される。そして、画素部501、走査線駆動回路503においてはレーザー光が1回照射された部分において活性層を形成する。また、信号線駆動回路や走査線駆動回路の配置によっては画素部のみレーザー光を2回照射することが可能である。また、画素部、信号線駆動回路及び走査線駆動回路のいずれか2つにおいてのみレーザー光を2回照射することも可能である。
【0035】
そして本発明では、CPU104に入力される半導体膜のパターニングのマスクに従って、第1のレーザー光と第2のレーザー光のそれぞれについて、レーザー光を走査する部分を定める。なおレーザー光を走査する部分は、半導体膜の、結晶化後にパターニングすることで得られる部分を覆うようにする。CPU104では、半導体膜のうち、少なくともパターニングすることで得られる部分を結晶化することができるように、レーザー光の走査部分を定め、該走査部分にビームスポット即ち照射位置があたるように、第1の手段に相当するステージコントローラ101を制御して、半導体膜を部分的に結晶化する。
【0036】
図4(A)に、1回目のレーザー光の走査する部分と、マスクとの関係を示す。なお図4(A)では、ビームスポットの中心軸と走査方向とがほぼ垂直になっている。510は半導体膜のうち、パターニングに得られる島状の半導体膜を示しており、これらの島状の半導体膜510を覆うように、レーザー光の走査部分が定められる。511はレーザー光の走査部分であり、島状の半導体膜510を覆っている。図4(A)に示すように、本発明では1回目のレーザー光を半導体膜全面に照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。
【0037】
次に、図4(A)に示した半導体膜に対して2回目のレーザー光を照射する場合の、レーザー光の走査する部分とマスクとの関係を図4(B)に示す。図4(B)では、2回目のレーザー光の走査方向は1回目のレーザー光の走査方向と90°異なっている。2回目のレーザー光も島状の半導体膜となる部分510を覆うように、その走査部分が定められる。513は2回目のレーザー光の走査部分であり、島状の半導体膜510を覆っている。図4(B)に示すように、本発明では2回目のレーザー光を半導体膜全面に照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。
【0038】
よって、島状の半導体膜となる部分510には、走査方向の異なるレーザー光が2回照射されるので、結晶性がより高められる。また基板全面を照射するのではなく、半導体膜のマスクによって定められた部分が結晶化できるように必要最低限の部分にのみレーザー光が照射されているので、1枚の基板にかかる処理時間を抑えることができ、基板処理の効率を高めることができる
【0039】
なお、図4では1回目と2回目のレーザー光は、ともに半導体膜全面に照射されるのではなく、半導体膜のマスクによって定められた部分が結晶化できるように必要最低限の部分にのみ照射されている。本発明はこの構成に限定されず、1回目のレーザー光を半導体膜全面に照射し、2回目のレーザー光を部分的に照射するようにしても良い。逆に1回目のレーザー光を部分的に照射し、2回目のレーザー光を基板全体に照射するようにしてもよい。図5(A)に半導体膜全面に1回目のレーザー光を照射し、図5(B)に、図5(A)に示した半導体膜に対して2回目のレーザー光を照射した場合の様子を示す。514は1回目のレーザー光の走査部分であり、半導体膜全面を覆っている。そして515はパターニングによって得られる島状の半導体膜の形状を示しており、1回目のレーザー光の走査部分のエッジと重ならないような位置に配置されている。また516は2回目のレーザー光の走査部分を示しており、パターニングによって得られる島状の半導体膜515を覆っている。そして2回目のレーザー光は半導体膜全面に照射されてはおらず、少なくとも島状の半導体膜515にレーザー光があたるように部分的に照射されている。
【0040】
なお、結晶化後の半導体膜をTFTの活性層として用いる場合、2回のレーザー光の照射のうちのいずれか一方において、その走査方向がチャネル形成領域のキャリアが移動する方向と平行になるように定めるのが望ましい。
【0041】
図6にTFTの活性層の一例を示す。図6(A)ではチャネル形成領域が1つ設けられている活性層を示しており、チャネル形成領域520を挟むようにソース領域またはドレイン領域となる不純物領域521、522が設けられている。本発明のレーザー装置を用いて半導体膜を結晶化させるとき、1回目もしくは2回目のレーザー光の走査方向が矢印に示すように、チャネル形成領域のキャリアの移動する方向と平行になるように、走査方向を定めるようにする。
【0042】
523は1回目のレーザー光のビームスポットを示しており、実線で示した矢印の方向に走査する。ビームスポット523のうち、斜線で示した領域524において、エネルギー密度が、良好な結晶を得るために必要である値の範囲に入っている。活性層全体に、斜線で示した領域524のレーザー光が照射されるようにすることで、活性層の結晶性をより高めることができる。
【0043】
また525は2回目のレーザー光のビームスポットを示しており、破線で示した矢印の方向に走査する。図6(A)に示すとおり1回目のレーザー光と2回目のレーザー光の走査方向は異なっている。ビームスポット525のうち、斜線で示した領域526において、良好な結晶を得るために必要なエネルギー密度を満たしている。活性層全体に、斜線で示した領域526のレーザー光が照射されるようにすることで、活性層の結晶性をより高めることができる。
【0044】
また、図6(B)では、チャネル形成領域が3つ設けられている活性層を示しており、チャネル形成領域530を挟むように不純物領域533、534が設けられている。また、チャネル形成領域531を挟むように不純物領域534、535が設けられており、さらにチャネル形成領域532を挟むように不純物領域535、536が設けられている。そして、本発明のレーザー装置を用いて半導体膜を結晶化させるとき、1回目のレーザー光は実線の矢印の方向に走査する。そして2回目のレーザー光の走査方向は破線の矢印に示すように、チャネル形成領域のキャリアが移動する方向と平行になるように、走査方向を定めるようにする。
【0045】
なお、本発明では1回目と2回目いずれか一方において、レーザー光の走査方向とキャリアの移動する方向とが平行になるようにすれば良いが、結晶の成長方向はエネルギー密度の高いレーザー光の走査方向により強く影響を受けるので、エネルギー密度の高いレーザー光に方向を合わせるのがより好ましい。
【0046】
図30を用いて、アクティブマトリクス型の半導体装置を作製するために成膜された半導体膜におけるレーザー光の走査方向と、各回路における活性層のレイアウトとの関係について説明する。
【0047】
図30において、基板上に半導体膜850が成膜されている。破線853で囲まれた部分は画素部が形成される部分であり、画素部853に複数の活性層となる部分856が設けられている。破線854で囲まれた部分は信号線駆動回路が形成される部分であり、信号線駆動回路854に複数の活性層となる部分857が設けられている。破線855で囲まれた部分は走査線駆動回路が形成される部分であり、走査線駆動回路855に複数の活性層となる部分858が設けられている。
【0048】
なお、各回路が有する活性層となる部分856、857、858は、実際には数十μm単位の小さいサイズであるが、ここでは図を分かり易くするために、あえて図30では実際のサイズよりも大きく図示した。各回路が有する活性層となる部分856、857、858は、チャネル形成領域のキャリアが移動する方向が2つ(第1の方向と第2の方向)に大別されるようにレイアウトされている。
【0049】
851は1回目のレーザー光照射により結晶化される部分であり、全ての活性層となる部分856、857、858を覆っている。そして1回目のレーザー光の走査方向は、第1の方向と平行になるように走査されている。
【0050】
そして852は2回目のレーザー光により結晶化される部分である。2回目のレーザー光の走査方向は、1回目のレーザー光の走査方向とは異なっており、第2の方向と平行になっている。そして、2回目のレーザー光は、全ての活性層となる部分856、857、858を覆っているわけではなく、チャネル形成領域のキャリアが移動する方向が第2の方向と平行になっている活性層のみ覆っている。図30では、複数の活性層858のうち、チャネル形成領域のキャリアの移動する方向と2回目のレーザー光の走査方向とが平行になる活性層のみ、2回目のレーザー光が照射されている。
【0051】
なお、レーザー光の走査部分を定めるためには、半導体膜に対するマスクの位置を定めるためのマーカーを、半導体膜に形成する必要がある。図7に、アクティブマトリクス型の半導体装置を作製するために成膜された半導体膜において、マーカーを形成する位置を示す。なお、図7(A)は1つの基板から1つの半導体装置を作製する例を示しており、図7(B)は1つの基板から4つの半導体装置を作製する例を示している。
【0052】
図7(A)において540は基板上に成膜された半導体膜であり、破線541が画素部、破線542が信号線駆動回路、破線543が走査線駆動回路の形成される部分に相当する。544はマーカーが形成される部分(マーカー形成部)であり、半導体膜の4隅に位置するように設けられている。
【0053】
なお図7(A)ではマーカー形成部544を4つそれぞれ4隅に設けたが、本発明はこの構成に限定されない。半導体膜におけるレーザー光の走査部分と、半導体膜のパターニングのマスクとの位置合わせをすることができるのであれば、マーカー形成部の位置及びその数は上述した形態に限定されない。
【0054】
図7(B)において550は基板上に成膜された半導体膜であり、破線551は後の工程において基板を分断するときのスクライブラインである。図7(B)では、スクライブライン551の沿って基板を分断することで、4つの半導体装置を作製することができる。なお分断により得られる半導体装置の数はこれに限定されない。
【0055】
552はマーカーが形成される部分(マーカー形成部)であり、半導体膜の4隅に位置するように設けられている。なお図7(B)ではマーカー形成部552を4つそれぞれ4隅に設けたが、本発明はこの構成に限定されない。半導体膜におけるレーザー光の走査部分と、半導体膜のパターニングのマスクとの位置合わせをすることができるのであれば、マーカー形成部の位置及びその数は上述した形態に限定されない。
【0056】
マーカーを形成する際に用いるレーザーは、代表的にはYAGレーザー、CO2レーザー等が挙げられるが、無論この他のレーザーを用いて形成することは可能である。
【0057】
次に、本発明のレーザー装置を用いた半導体装置の生産システムについて説明する。
【0058】
図8に本発明の生産システムの流れをフローチャートで示す。まずCADを用いて半導体装置の設計を行う。そして、設計された半導体膜のパターニングのマスクの形状に関する情報を、レーザー装置が有するCPUに入力する。
【0059】
一方、非晶質半導体膜を基板上に成膜した後、非晶質半導体膜が成膜された基板をレーザー装置に設置する。そして、レーザーを用いて半導体膜の表面にマーカーを形成する。
【0060】
CPUでは入力されたマスクの情報に基づき、マーカーの位置を基準にして、1回目及び2回目のレーザー光の走査部分を決定する。なお、2回目のレーザー光の走査部分は、1回目のレーザー光の走査方向と2回目のレーザー光の走査方向との間の角度によって異なる。1回目のレーザー光の走査方向と2回目のレーザー光の走査方向の角度は、予めメモリ等に記憶しておいても良いし、手動でその都度入力するようにしても良い。そして形成されたマーカーを基準にして、1回目のレーザー光の走査部分にレーザー光を照射し、半導体膜を部分的に結晶化する。
【0061】
次に、第1の手段を用いてレーザー光の走査方向を、定められた値だけ変更し、2回目のレーザー光の照射を行う。そして半導体膜を部分的に結晶化させる。
【0062】
そして、レーザー光を照射した後、レーザー光照射により得られた多結晶半導体膜をパターニングしてエッチングし、島状の半導体膜を形成する。以下、島状の半導体膜からTFTを作製する工程が行われる。TFTの具体的な作製工程はTFTの形状によって異なるが、代表的にはゲート絶縁膜を成膜し、島状の半導体膜に不純物領域を形成する。そして、ゲート絶縁膜及びゲート電極を覆うように層間絶縁膜を形成し、該層間絶縁膜にコンタクトホールを形成し、不純物領域の一部を露出させる。そして該コンタクトホールを介して不純物領域に接するように層間絶縁膜上に配線を形成する。
【0063】
なお、比較対象のために、図9に従来の半導体装置の生産の流れをフローチャートで示す。図9に示すように、CADによる半導体装置のマスク設計が行われる。一方で、基板に非晶質半導体膜が成膜され、該非晶質半導体膜が成膜された基板をレーザー装置に設置する。そして、非晶質半導体膜全体にレーザー光が照射されるように走査し、非晶質半導体膜全体を結晶化させる。そして、結晶化により得られた多結晶半導体膜にマーカーを形成し、該マーカーを基準として多結晶半導体膜をパターニングして島状の半導体膜を形成する。そして該島状の半導体膜を用いてTFTを作製する。
【0064】
このように本発明の生産システムでは、図9に示すような従来の場合とは異なり、マーカーをレーザー光を用いて非晶質半導体膜を結晶化させる前に形成する。そして、半導体膜のパターニングのマスクの情報に従って、レーザー光を走査させる。
【0065】
上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができるので、レーザー光照射にかかる時間を短縮化することができ、なおかつ基板の処理速度を向上させることができる。
【0066】
なお、図10に、触媒を用いて半導体膜を結晶化させる工程を含む場合の、本発明の生産システムのフローチャートを示す。触媒元素を用いる場合、特開平7−130652号公報、特開平8−78329号公報で開示された技術を用いることが望ましい。
【0067】
図10の図8と異なる点は、非晶質半導体膜を成膜後にNiを用いて結晶化させる工程(NiSPC)を含んでいる点である。例えば特開平7−130652号公報に開示されている技術を用いる場合、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液を非晶質半導体膜に塗布してニッケル含有層を形成し、500℃、1時間の脱水素工程の後、500〜650℃で4〜12時間、例えば550℃、8時間の熱処理を行い結晶化する。尚、使用可能な触媒元素は、ニッケル(Ni)の以外にも、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、といった元素を用いても良い。
【0068】
そして図10では、2回のレーザー光照射を用いて、NiSPCにより結晶化された半導体膜の結晶性をさらに高める。レーザー光照射により得られた多結晶半導体膜は触媒元素を含んでおり、図10ではレーザー光照射後にその触媒元素を結晶質半導体膜から除去する工程(ゲッタリング)を行う。ゲッタリングは特開平10−135468号公報または特開平10−135469号公報等に記載された技術を用いることができる。
【0069】
具体的には、レーザー照射後に得られる多結晶半導体膜の一部にリンを添加し、窒素雰囲気中で550〜800℃、5〜24時間、例えば600℃、12時間の熱処理を行う。すると多結晶半導体膜のリンが添加された領域がゲッタリングサイトとして働き、多結晶半導体膜中に存在するリンをリンが添加された領域に偏析させることができる。その後、多結晶半導体膜のリンが添加された領域をパターニングにより除去することで、触媒元素の濃度を1×1017atoms/cm3以下好ましくは1×1016atoms/cm3程度にまで低減された島状の半導体膜を得ることができる。
【0070】
このように本発明では、半導体膜全体にレーザー光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができ、基板1枚あたりにかかる処理時間を大幅に短縮することができる。
【0071】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0072】
(実施例1)
レーザー光を照射して形成される結晶質半導体膜は、複数の結晶粒が集合して形成されている。その結晶粒の位置と大きさはランダムなものであり、結晶粒の位置や大きさを指定して結晶質半導体膜を形成する事は難しい。そのため前記結晶質半導体を島状にパターニングすることで形成された活性層中には、結晶粒の界面(粒界)が存在することがある。
【0073】
結晶粒内と異なり、粒界には非晶質構造や結晶欠陥などに起因する再結合中心や捕獲中心が無数に存在している。この捕獲中心にキャリアがトラップされると、粒界のポテンシャルが上昇し、キャリアに対して障壁となるため、キャリアの電流輸送特性を低下することが知られている。よって、TFTの活性層、特にチャネル形成領域中に粒界が存在すると、TFTの移動度が著しく低下したり、また粒界において電流が流れるためにオフ電流が増加したりと、TFTの特性に重大な影響を及ぼす。また同じ特性が得られることを前提に作製された複数のTFTにおいて、活性層中の粒界の有無によって特性がばらついたりする。
【0074】
半導体膜にレーザー光を照射したときに、得られる結晶粒の位置と大きさがランダムになるのは、以下の理由による。レーザー光の照射によって完全溶融した液体半導体膜中に固相核生成が発生するまでにはある程度の時間が掛かる。そして時間の経過と共に、完全溶融領域において無数の結晶核が発生し、該結晶核からそれぞれ結晶が成長する。この結晶核の発生する位置は無作為であるため、不均一に結晶核が分布する。そして、互いの結晶粒がぶつかり合ったところで結晶成長が終了するため、結晶粒の位置と大きさは、ランダムなものとなる。
【0075】
一方、半導体膜を完全に溶融させるのではなく、部分的に溶融させることで結晶質半導体膜を形成する方法も提案されている。この場合、レーザー光の照射によって、半導体膜が完全溶融している部分と、固相半導体領域が残存している部分とが形成され、前記固相半導体領域を結晶核として結晶成長が始まる。完全溶融領域において核生成が発生するにはある程度時間が掛かるため、完全溶融領域において核生成が発生するまでの間に、前記固相半導体領域を結晶核として前記半導体膜の膜面に対する水平方向(以下、ラテラル方向と呼ぶ)に結晶が成長する。そのため、結晶粒は膜厚の数十倍もの長さに成長する。そして、時間の経過にしたがって完全溶融領域においても結晶化が始まり、該結晶核から成長した結晶とぶつかり合うと、上述したラテラル方向の結晶成長は終了する。以下、この現象をスーパーラテラル成長と言う。
【0076】
上記スーパーラテラル成長の場合、比較的大きな結晶粒が得られるが、前記スーパーラテラル成長が実現するレーザー光のエネルギー領域は非常に狭く、また、大結晶粒の得られる位置については制御が困難であった。さらに、大結晶粒以外の領域は無数の核生成が発生した微結晶領域、もしくは非晶質領域であり、結晶の大きさは不均一であった。
【0077】
そこで、半導体膜を完全溶融させるようなエネルギー領域のレーザー光を用い、なおかつラテラル方向の温度勾配を制御することが出来れば、結晶粒の成長位置および成長方向を制御することが出来るのではないかと考えられている。そしてこの方法を実現するために様々な試みがなされている。
【0078】
例えば、コロンビア大のJames S. Im氏らは、任意の場所にスーパーラテラル成長を実現させることの出来るSequential Lateral Solidification method(以下、SLS法と言う。)を示した。SLS法は、1ショット毎にスリット状のマスクをスーパーラテラル成長が行われる距離程度(約0.75μm)ずらして、結晶化を行うものである。
【0079】
本実施例では、上記SLS法を本発明に適用した例について説明する。
【0080】
まず、1回目のレーザー光を半導体膜に照射する。1回目のレーザー光はマスクによって定められた部分にのみ照射するようにする。この1回目のレーザー光のエネルギー密度は、半導体膜の膜厚等によっても異なるが、マスクによって定められた部分の結晶性を高めることができる程度であれば良い。
【0081】
次に、走査方向を変え、マスクによって定められた部分に2回目のレーザー光を照射する。2回目のレーザー光はパルス発振のレーザーを用い、マスクによって定められた部分において、半導体膜を全厚さにわたって局部的に溶融させることができるようなエネルギー密度で照射する。
【0082】
図11(A)に、2回目のレーザー光照射の1ショット目を照射した直後の、半導体膜の様子を模式的に示す。半導体膜802は1回目のレーザー光照射によって結晶性が高められた部分に相当する。そして2回目のレーザー光の照射により、半導体膜802のビームスポット801があたっている部分において、半導体膜が全厚さにわたって局部的に溶融する。
【0083】
このとき、半導体膜802のビームスポットのあたっている部分においては、完全に半導体が溶融しているが、ビームスポットのあたっていない部分は溶融していないか、もしくは溶融していても温度がビームスポットのあたっている部分に比べて十分に低い。そのため、ビームスポットの端の部分が種結晶となり、矢印で示したようにビームスポットの端部から中心に向かってラテラル方向に結晶が成長する。
【0084】
そして時間の経過にしたがって結晶の成長が進んでいくと、完全に溶融した部分において発生した種結晶から生成した結晶粒とぶつかり合うか、もしくは反対側から成長してきた結晶粒とぶつかり合うかして、ビームスポットの中心部分803において結晶成長が終了する。図11(B)に結晶成長が終了した時点での半導体膜の様子を模式的に示す。ビームスポットの中心部分803では、他の部分に比べて微結晶が多数存在していたり、結晶粒どうしがぶつかり合うことで半導体膜の表面が不規則になっていたりする。
【0085】
次に、2回目のレーザー光照射の2ショット目を照射する。2ショット目は1ショット目のビームスポットから少しずらして照射する。図11(C)に、2ショット目を照射した直後の、半導体膜の様子を模式的に示す。2ショット目のビームスポットは、1ショット目のビームスポットがあたっていた部分801から位置がずれているが、図11(C)では、2ショット目のビームスポットが1ショット目によって形成された中心部803を覆う程度のずれである。
【0086】
このとき、2ショット目のビームスポット804のあたっている部分においては、完全に半導体が溶融しているが、ビームスポットのあたっていない部分は溶融していないか、もしくは溶融していても温度がビームスポットのあたっている部分に比べて十分に低い。そのため、ビームスポットの端の部分が種結晶となり、矢印で示したようにビームスポットの端部から中心に向かってラテラル方向に結晶が成長する。このとき、1ショット目によって結晶化された部分801のうち、2ショット目のビームスポットがあたっていない部分が種結晶となり、1ショット目によって形成されたラテラル方向に成長した結晶が、さらに走査方向に向かって成長する。
【0087】
そして時間の経過にしたがって結晶の成長が進んでいくと、完全に溶融した部分において発生した種結晶から生成した結晶粒とぶつかり合うか、もしくは反対側から成長してきた結晶粒とぶつかり合うかして、2ショット目のビームスポットの中心部分805において結晶成長が終了する。図11(D)に結晶成長が終了した時点での半導体膜の様子を模式的に示す。ビームスポットの中心部分805では、他の部分に比べて微結晶が多数存在していたり、結晶粒どうしがぶつかり合うことで半導体膜の表面が不規則になっていたりする。
【0088】
以下、3ショット目以降も同様に、ビームスポットを走査方向に少しずつずらして照射していくことで、図11(E)に示すように走査方向と平行に結晶が成長する。
【0089】
上記構成により、結晶粒の位置及び大きさを制御しながら、部分的に結晶化を行うことができる。
【0090】
次に、SLS法を本発明に適用した図11とは異なる例について説明する。
【0091】
まず、1回目のレーザー光を半導体膜に照射する。1回目のレーザー光はマスクによって定められた部分にのみ照射するようにする。この1回目のレーザー光のエネルギー密度は、半導体膜の膜厚等によっても異なるが、マスクによって定められた部分の結晶性を高めることができる程度であれば良い。
【0092】
次に、走査方向を変え、マスクによって定められた部分に2回目のレーザー光を照射する。2回目のレーザー光はパルス発振のレーザーを用い、マスクによって定められた部分において、半導体膜を全厚さにわたって局部的に溶融させることができるようなエネルギー密度で照射する。
【0093】
図12(A)に、2回目のレーザー光照射の1ショット目を照射した直後の、半導体膜の様子を模式的に示す。半導体膜812は1回目のレーザー光照射によって結晶性が高められた部分に相当する。そして2回目のレーザー光の照射により、半導体膜812のビームスポット811があたっている部分において、半導体膜が全厚さにわたって局部的に溶融する。そして、ビームスポットの端の部分が種結晶となり、矢印で示したようにビームスポットの端部から中心に向かってラテラル方向に結晶が成長する。
【0094】
そして時間の経過にしたがって結晶の成長が進んでいくと、完全に溶融した部分において発生した種結晶から生成した結晶粒とぶつかり合うか、もしくは反対側から成長してきた結晶粒とぶつかり合うかして、ビームスポットの中心部分813において結晶成長が終了する。図12(B)に結晶成長が終了した時点での半導体膜の様子を模式的に示す。ビームスポットの中心部分813では、他の部分に比べて微結晶が多数存在していたり、結晶粒どうしがぶつかり合うことで半導体膜の表面が不規則になっていたりする。
【0095】
次に、2回目のレーザー光照射の2ショット目を照射する。2ショット目は1ショット目のビームスポットから少しずらして照射する。図12(C)に、2ショット目を照射した直後の、半導体膜の様子を模式的に示す。2ショット目のビームスポットは、1ショット目のビームスポットがあたっていた部分811から位置がずれているが、図12(C)では、2ショット目のビームスポットが1ショット目によって形成された中心部813を覆わず、1ショット目のビームスポットがあたっていた部分と一部重なる程度のずれである。
【0096】
そして、2ショット目のビームスポットの端の部分が種結晶となり、矢印で示したようにビームスポットの端部から中心に向かってラテラル方向に結晶が成長する。このとき、1ショット目によって結晶化された部分811のうち、2ショット目のビームスポットがあたっていない部分が種結晶となり、1ショット目によって形成されたラテラル方向に成長した結晶が、さらに走査方向に向かって成長する。
【0097】
そして時間の経過にしたがって結晶の成長が進んでいくと、完全に溶融した部分において発生した種結晶から生成した結晶粒とぶつかり合うか、もしくは反対側から成長してきた結晶粒とぶつかり合うかして、2ショット目のビームスポットの中心部分815において結晶成長が終了する。図12(D)に結晶成長が終了した時点での半導体膜の様子を模式的に示す。ビームスポットの中心部分815では、他の部分に比べて微結晶が多数存在していたり、結晶粒どうしがぶつかり合うことで半導体膜の表面が不規則になっていたりする。
【0098】
以下、3ショット目以降も同様に、ビームスポットを走査方向に少しずつずらして照射していくことで、図12(E)に示すように走査方向と平行に結晶が成長する。上記構成により、結晶粒の位置及び大きさを制御しながら、部分的に結晶化を行うことができる。
【0099】
図12に示した照射方法によって得られる結晶は、ビームスポットの中心部が残されている、該中心部においては結晶性が芳しくないので、該中心部をチャネル形成領域に含まない様に、より好ましくは活性層に含まないように、活性層がレイアウトされているのが望ましい。
【0100】
なお、図11及び図12の照射方法の両方において、結晶粒の成長方向と、チャネル形成領域のキャリアの進む方向とが平行になるように活性層がレイアウトされていると、チャネル形成領域に含まれる粒界が少なくなるので、移動度が高くなり、オフ電流も抑えることができる。また、チャネル形成領域のキャリアの進む方向と結晶粒の成長方向とが、平行にならないような角度を有するように活性層がレイアウトされていると、チャネル形成領域に含まれる粒界が多くなる。しかし複数の活性層を比較したときに、各活性層のチャネル形成領域に含まれる全粒界に対する、活性層どうしの粒界の量の差の割合が小さくなり、作製されるTFTの移動度及びオフ電流値のばらつきが小さくなる。
【0101】
なお本実施例では、2回目のレーザー光照射においてSLS法を用いているが本実施例はこの構成に限定されない。例えば1回目にSLS法を用いて結晶化させた後に、2回目のレーザー光照射にパルス発振のレーザーを用いることで、1回目のレーザー光の照射によって形成された結晶粒内の欠陥をなくし、より結晶性を高めることが可能である。そして、パルス発振のレーザーの場合、一般的に連続発振のレーザーよりもエネルギー密度が高いので、ビームスポットの面積を比較的広げることができるので、基板一枚の処理時間を短くすることができ、処理効率を高めることができる。
【0102】
(実施例2)
本実施例では、本発明の複数のレーザー発振装置によって形成されるビームスポットの形状について説明する。
【0103】
図13(A)に、複数のレーザー発振装置からそれぞれ発振されるレーザー光の被処理物におけるビームスポットの形状の一例を示す。図13(A)に示したビームスポットは楕円形状を有している。なお本発明のレーザー装置において、レーザー発振装置から発振されるレーザー光のビームスポットの形状は、楕円に限定されない。ビームスポットの形状はレーザーの種類によって異なるし、光学系により成形することもできる。例えば、ラムダ社製のXeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅30ns)L3308から射出されたレーザー光の形状は、10mm×30mm(共にビームプロファイルにおける半値幅)の矩形状である。また、YAGレーザーから射出されたレーザー光の形状は、ロッド形状が円筒形であれば円状となり、スラブ型であれば矩形状となる。このようなレーザー光を光学系により、さらに成形することにより、所望の大きさのレーザー光をつくることもできる。
【0104】
図13(B)に図13(A)に示したビームスポットの長軸y方向におけるレーザー光のエネルギー密度の分布を示す。ビームスポットが楕円形状であるレーザー光のエネルギー密度の分布は、楕円の中心Oに向かうほど高くなっている。αは、エネルギー密度が、所望の結晶を得るために必要とする値を超えている、長軸y方向における幅に相当する。
【0105】
次に、図13に示したビームスポットを有するレーザー光を合成したときの、ビームスポットの形状を、図14(A)に示す。なお図14(A)では4つのレーザー光のビームスポットを重ね合わせることで1つのビームスポットを形成した場合について示しているが、重ね合わせるビームスポットの数はこれに限定されない。
【0106】
図14(A)に示すように、各レーザー光のビームスポットは、各楕円の長軸が一致し、なおかつ互いにビームスポットの一部が重なることで合成され、1つのビームスポットが形成されている。なお以下、各楕円の中心Oを結ぶことで得られる直線を中心軸と呼ぶ。
【0107】
図14(B)に、図14(A)に示した合成後のビームスポットの、中心軸方向におけるレーザー光のエネルギー密度の分布を示す。合成前の各ビームスポットが重なり合っている部分においてエネルギー密度が加算されるので、各楕円の中心Oの間においてエネルギー密度が平坦化される。
【0108】
図14(B)から、複数のレーザー光を重ね合わせてエネルギー密度の低い部分を互いに補い合うようにすることで、複数のレーザー光を重ね合わせないで単独で用いるよりも、半導体膜の結晶性を効率良く高めることができるということがわかる。例えば図14(B)の斜線で示した領域においてのみ、所望の結晶を得るために必要なエネルギー密度の値を超えており、その他の領域ではエネルギー密度が低かったと仮定する。この場合、4つのビームスポットを重ね合わせないと、中心軸方向の幅がαで示される斜線の領域でしか、所望の結晶を得ることができない。しかし、ビームスポットを図14(B)で示したように重ね合わせることで、中心軸方向の幅がβ(β>4α)で示される領域において所望の結晶を得ることができ、より効率良く半導体膜を結晶化させることができる。
【0109】
なお、ビームスポットが重なり合った部分のエネルギー密度は、必ずしも各ビームスポットのエネルギー密度の最高値と同じ高さでなくとも良い。例えば、各ビームスポットのエネルギー密度に対して±10%以内、より好ましくは±5%以内であっても良い。
【0110】
また、エネルギー密度を一定にしたままレーザー光の軌跡の幅を変えることができるので、レーザー光の軌跡のエッジが、パターニングによって得られる半導体と重なるのを防ぐことができる。また不必要な部分にレーザー光を照射することで基板に与えられるダメージを軽減することができる。
【0111】
本実施例の構成は、実施例1と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0112】
(実施例3)
本実施例では、実施例2に示したビームスポットを得るための光学系について説明する。
【0113】
図15に、本実施例の光学系の具体的な構成を示す。図15(A)は本発明のレーザー装置の光学系の側面図であり、図15(A)の矢印Bの方向から見た側面図を図15(B)に示す。なお図15(B)の矢印Aの方向から見た側面図が、図15(A)に相当する。
【0114】
図15はビームスポットを4つ合成して1つのビームスポットにする場合の光学系を示している。なお本実施例において合成するビームスポットの数はこれに限定されず、合成するビームスポットの数は2以上8以下であれば良い。
【0115】
401、402、403、404、405はシリンドリカルレンズであり、図15には示されていないが、本実施例の光学系はシリンドリカルレンズを6つ用いている。図16に図15に示した光学系の斜視図を示す。シリンドリカルレンズ403、404、405、406のそれぞれに、異なるレーザー発振装置からレーザー光が入射される。
【0116】
そしてシリンドリカルレンズ403、405によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ401に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズにおいてそのビームスポットの形状が加工され、被処理物400に照射される。また、シリンドリカルレンズ404、406によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ402に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズにおいてそのビームスポットの形状が加工され、被処理物400に照射される。
【0117】
被処理物400におけるレーザー光のビームスポットは互いに一部重なることで合成されて、1つのビームスポットになっている。
【0118】
なお、本実施例では、被処理物400に最も近いシリンドリカルレンズ401、402の焦点距離を20mmとし、シリンドリカルレンズ403〜406の焦点距離を150mmとする。そしてシリンドリカルレンズ401、402から被処理物400へのレーザー光の入射角θ1は、本実施例では25°とし、シリンドリカルレンズ403〜406からシリンドリカルレンズ401、402へのレーザー光の入射角θ2を10°とするように各レンズを設置する。
【0119】
なお各レンズの焦点距離及び入射角は設計者が適宜設定することが可能である。さらに、シリンドリカルレンズの数もこれに限定されず、また用いる光学系はシリンドリカルレンズに限定されない。本発明は、各レーザー発振装置から発振されるレーザー光のビームスポットを、半導体膜の結晶化に適した形状及びエネルギー密度になるように加工し、なおかつ全てのレーザー光のビームスポットを互いに重ね合わせて合成し、1つのビームスポットにすることができるような光学系であれば良い。
【0120】
なお本実施例では、4つのビームスポットを合成する例について示しており、この場合4つのレーザー発振装置にそれぞれ対応するシリンドリカルレンズを4つと、該4つのシリンドリカルレンズに対応する2つのシリンドリカルレンズとを有している。n(n=2、4、6、8)のビームスポットを合成する場合、nのレーザー発振装置にそれぞれ対応するnのシリンドリカルレンズと、該nのシリンドリカルレンズに対応するn/2のシリンドリカルレンズとを有している。n(n=3、5、7)のビームスポットを合成する場合、nのレーザー発振装置にそれぞれ対応するnのシリンドリカルレンズと、該nのシリンドリカルレンズに対応する(n+1)/2のシリンドリカルレンズとを有している。
【0121】
なお、戻り光がもときた光路をたどって戻るのを防ぐために、基板に対する入射角は、0より大きく90°より小さくなるように保つようにするのが望ましい。
【0122】
また、均一なレーザー光の照射を実現するためには、照射面に垂直な平面であって、かつ合成前の各ビームの形状をそれぞれ長方形と見立てたときの短辺を含む面または長辺を含む面のいずれか一方を入射面と定義すると、前記レーザー光の入射角度θは、入射面に含まれる前記短辺または前記長辺の長さがW、前記照射面に設置され、かつ、前記レーザー光に対して透光性を有する基板の厚さがdであるとき、θ≧arctan(W/2d)を満たすのが望ましい。この議論は合成前の個々のレーザー光について成り立つ必要がある。なお、レーザー光の軌跡が、前記入射面上にないときは、該軌跡を該入射面に射影したものの入射角度をθとする。この入射角度θでレーザー光が入射されれば、基板の表面での反射光と、前記基板の裏面からの反射光とが干渉せず、一様なレーザー光の照射を行うことができる。以上の議論は、基板の屈折率を1として考えた。実際は、基板の屈折率が1.5前後のものが多く、この数値を考慮に入れると上記議論で算出した角度よりも大きな計算値が得られる。しかしながら、ビームスポットの長手方向の両端のエネルギーは減衰があるため、この部分での干渉の影響は少なく、上記の算出値で十分に干渉減衰の効果が得られる。
【0123】
(実施例4)
本実施例では、複数のレーザー発振装置を用いた場合において、レーザー光照射の途中で、レーザー光のビームスポットの大きさを変える例について説明する。
【0124】
本発明のレーザー装置は、CPUにおいて、入力されたマスクの情報に基づきレーザー光を走査する部分を把握する。さらに本実施例では、ビームスポットの長さをマスクの形状に合わせて変えるようにする。
【0125】
図17に、半導体膜のパターニングのマスクの形状と、ビームスポットの長さの関係を一例として示す。560は半導体膜のパターニングのマスクの形状を示しており、2回のレーザー光照射による結晶化の後、該マスクに従って半導体膜がパターニングされる。
【0126】
563は1回目のレーザー光が照射された部分を示している。本実施例では1回目のレーザー光は半導体膜全面に照射しているが、パターニング後に活性層が得られる部分が少なくとも結晶化される様に、部分的にレーザー光を照射するようにしてもよい。また、パターニング後に活性層が得られる部分とエッジとが、重ならないようにすることが肝要である。
【0127】
561と562は、2回目のレーザー光が照射された部分を示している。なお561は、4つのレーザー発振装置から出力されたレーザー光のビームスポットを重ね合わせて合成することで得られるビームスポットを、走査した部分である。一方、562は、2つのレーザー発振装置から出力されたレーザー光のビームスポットを重ね合わせて合成することで得られるビームスポットを、走査した部分である。
【0128】
2つのレーザー発振装置から出力されたレーザー光を合成することで得られるビームスポットは、4つのレーザー発振装置のうちの2つのレーザー発振装置の発振を停止することで得られる。ただしこの場合、残された2つのレーザー発振装置から出力される2つのビームスポットが、重なっている事が重要である。
【0129】
なお本実施例のように、レーザー光を走査している途中でビームスポットの長さを変える場合、ビームスポットを短いほうから長いほうへ変えるよりも、長いほうから短いほうへ変えるほうがレーザー発振装置からの出力が安定するのでより好ましい。よって、CPUにおいてマスクの形状の情報をもとに、ビームスポットを長いほうから短いほうへ変えるようにレーザー光の走査順序を考慮したほうが良い。さらには、マスクの設計の段階で、レーザー光の走査順序を考慮に入れてマスクを設計するようにしても良い。
【0130】
上記構成により、レーザー光の軌跡の幅を変えることができるので、レーザー光の軌跡のエッジが、パターニングによって得られる半導体と重なるのを防ぐことができる。また不必要な部分にレーザー光を照射することで基板に与えられるダメージをさらに軽減することができる。
【0131】
なお、1回目のレーザー光を部分的に照射し、2回目のレーザー光照射を全面に行うようにしてもよい。
【0132】
本実施例は、実施例1〜3と組み合わせて実施することが可能である。
【0133】
(実施例5)
本実施例では、複数のレーザー発振装置を用いた場合において、レーザー光照射の途中で、光学系が有するシャッターによりレーザー光を遮り、所定の部分にのみレーザー光を照射する例について説明する。
【0134】
本発明のレーザー装置は、CPUにおいて、入力されたマスクの情報に基づきレーザー光を走査する部分を把握する。さらに本実施例では、走査するべき部分のみにレーザー光が照射されるようにシャッターを用いてレーザー光を遮る。このときシャッターは、レーザー光を遮ることが可能であり、なおかつレーザー光によって変形または損傷しないような材質で形成するのが望ましい
【0135】
図18に、半導体膜のパターニングのマスクの形状と、レーザー光が照射される部分の関係を一例として示す。570は半導体膜のパターニングのマスクの形状を示しており、レーザー照射による結晶化の後、該マスクに従って半導体膜がパターニングされる。
【0136】
573は1回目のレーザー光が照射された部分を示している。本実施例では1回目のレーザー光は半導体膜全面に照射しているが、パターニング後に活性層が得られる部分が少なくとも結晶化される様に、部分的にレーザー光を照射するようにしてもよい。また、パターニング後に活性層が得られる部分とエッジとが、重ならないようにすることが肝要である。
【0137】
571は、2回目のレーザー光が照射された部分を示している。破線はレーザー光がシャッターで遮られている部分を示しており、本実施例では結晶化させる必要のない部分にはレーザー光が照射しないか、照射されていてもそのエネルギー密度が低くなるようにすることができる。したがって、不必要な部分にレーザー光を照射することで基板に与えられるダメージをさらに軽減することができる。
【0138】
なお、1回目のレーザー光を部分的に照射し、2回目のレーザー光照射を全面に行うようにしてもよい。
【0139】
本実施例は、実施例1〜実施例4と組み合わせて実施することが可能である。
【0140】
(実施例6)
本実施例では、マーカー形成部423に設けられたマーカーの一例を示す。
【0141】
図19(A)に本実施例のマーカーの上面図を示す。421、422は半導体膜に形成された基準となるマーカー(以下、基準マーカーと呼ぶ)であり、それぞれ形状が矩形である。基準マーカー421は、全てその矩形の長辺が水平方向に配置されており、各基準マーカー421は一定の間隔を保って垂直方向に配置されている。基準マーカー422は全てその矩形の長辺が垂直方向に配置されており、各基準マーカー422は一定の間隔を保って水平方向に配置されている。
【0142】
基準マーカー421はマスクの垂直方向の位置を定める基準となり、基準マーカー422はマスクの水平方向の位置を定める基準となっている。424、425は半導体膜のパターニング用マスクのマーカーであり、それぞれ形状が矩形である。マーカー424はその矩形の長辺が水平方向に配置されるように、なおかつマーカー425はその矩形の長辺が垂直方向に配置されるように、半導体パターニング用のマスクの位置を定める。そして、マーカー424が定められた2つの隣り合う基準マーカー421の丁度真中に位置するように、なおかつマーカー425が定められた2つの隣り合う基準マーカー422の丁度真中に位置するように、半導体パターニング用のマスクの位置を定める。
【0143】
図19(B)に半導体膜に形成された基準マーカーの斜視図を示す。基板431に成膜された半導体膜430の一部は、レーザーによって矩形状に削られており、該削られた部分が基準マーカー421、422として機能する。
【0144】
なお本実施例に示したマーカーはほんの一例であり、本発明のマーカーはこれに限定されない。本発明で用いるマーカーは、半導体膜をレーザー光で結晶化させる前に形成することができ、なおかつレーザー光の照射による結晶化の後にでも用いることができるものであれば良い。
【0145】
本実施例は、実施例1〜5と組み合わせて実施することが可能である。
【0146】
(実施例7)
本実施例では、8つのレーザー発振装置を用いた本発明のレーザー装置の、光学系について説明する。
【0147】
図20、図21に、本実施例のレーザー装置に用いられる光学系の具体的な構成を示す。図20は本発明のレーザー装置の光学系の側面図であり、図20の矢印Bの方向から見た側面図を図21に示す。なお図21の矢印Aの方向から見た側面図が、図20に相当する。
【0148】
本実施例ではビームスポットを8つ合成して1つのビームスポットにする場合の光学系を示している。なお本発明において合成するビームスポットの数はこれに限定されず、合成するビームスポットの数は2以上8以下であれば良い。
【0149】
441〜450はシリンドリカルレンズであり、図20、図21には示されていないが、本実施例の光学系は12のシリンドリカルレンズ441〜452を用いている。図22に図20、図21に示した光学系の斜視図を示す。シリンドリカルレンズ441〜444のそれぞれに、異なるレーザー発振装置からレーザー光が入射される。
【0150】
そしてシリンドリカルレンズ450、445によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ441に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズ441においてそのビームスポットの形状が加工され、被処理物440に照射される。また、シリンドリカルレンズ451、446によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ442に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズ442においてそのビームスポットの形状が加工され、被処理物440に照射される。また、シリンドリカルレンズ449、447によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ443に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズ443においてそのビームスポットの形状が加工され、被処理物440に照射される。また、シリンドリカルレンズ452、448によってそのビームスポットの形状が加工されたレーザー光が、シリンドリカルレンズ444に入射する。入射したレーザー光はシリンドリカルレンズ444においてそのビームスポットの形状が加工され、被処理物440に照射される。
【0151】
被処理物440におけるレーザー光のビームスポットは互いに一部重なることで合成されて、1つのビームスポットになっている。
【0152】
なお、本実施例では、被処理物440に最も近いシリンドリカルレンズ441〜444の焦点距離を20mmとし、シリンドリカルレンズ445〜452の焦点距離を150mmとする。そしてシリンドリカルレンズ441〜444から被処理物440へのレーザー光の入射角θ1は、本実施例では25°とし、シリンドリカルレンズ445〜452からシリンドリカルレンズ441〜444へのレーザー光の入射角θ2を10°とするように各レンズを設置する。
【0153】
なお各レンズの焦点距離及び入射角は設計者が適宜設定することが可能である。さらに、シリンドリカルレンズの数もこれに限定されず、また用いる光学系はシリンドリカルレンズに限定されない。本発明は、各レーザー発振装置から発振されるレーザー光のビームスポットを、半導体膜の結晶化に適した形状及びエネルギー密度になるように加工し、なおかつ全てのレーザー光のビームスポットを互いに重ね合わせて合成し、1つのビームスポットにすることができるような光学系であれば良い。
【0154】
なお本実施例では、8つのビームスポットを合成する例について示しており、この場合8つのレーザー発振装置にそれぞれ対応するシリンドリカルレンズを8つと、該8つのシリンドリカルレンズに対応する4つのシリンドリカルレンズとを有している。
【0155】
本実施例は、実施例1〜6と組み合わせて実施することが可能である。
【0156】
(実施例8)
本実施例ではアクティブマトリクス基板の作製方法について図23〜図26を用いて説明する。本明細書ではCMOS回路、及び駆動回路と、画素TFT、保持容量とを有する画素部を同一基板上に形成された基板を、便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0157】
まず、本実施例ではバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板600を用いる。なお、基板600としては、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性が有するプラスチック基板を用いてもよい。
【0158】
次いで、基板600上に酸化珪素膜、窒化珪素膜または酸化窒化珪素膜などの絶縁膜から成る下地膜601を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により形成する。本実施例では下地膜601として下地膜601a、601bの2層の下地膜を用いるが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いても良い(図23(A))。
【0159】
次いで、下地膜601上に、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで非晶質半導体膜692を形成する(図23(B))。なお、本実施例では非晶質半導体膜を成膜しているが、微結晶半導体膜、結晶性半導体膜であっても良い。また、非晶質珪素ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を用いても良い。
【0160】
次に、非晶質半導体膜692をレーザー結晶化法により結晶化させる。レーザー結晶化法は、本発明のレーザー照射方法を用いて行なう。具体的には、レーザー装置のCPUに入力されたマスクの情報に従って、非晶質半導体膜に走査方向の異なるレーザー光を2回照射する。そしてレーザー光が2回照射された部分を活性層として用いる。もちろん、レーザー結晶化法だけでなく、他の公知の結晶化法(RTAやファーネスアニール炉を用いた熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いた熱結晶化法等)と組み合わせて行ってもよい。
【0161】
非晶質半導体膜の結晶化に際し、連続発振が可能な固体レーザーを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を用いることで、大粒径の結晶を得ることができる。代表的には、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いるのが望ましい。具体的には、連続発振のYVO4レーザーから射出されたレーザー光を非線形光学素子により高調波に変換し、出力10Wのレーザー光を得る。また、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザー光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、10〜2000cm/s程度の速度でレーザー光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射する。
【0162】
なお2回のレーザー照射は、パルス発振または連続発振の気体レーザーもしくは固体レーザーを用いることができる。気体レーザーとして、エキシマレーザー、Arレーザー、Krレーザーなどがあり、固体レーザーとして、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライドレーザー、Ti:サファイアレーザー、Y2O3レーザーなどが挙げられる。固体レーザーとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti、Yb又はTmがドーピングされたYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶を使ったレーザー等も使用可能である。当該レーザーの基本波はドーピングする材料によって異なり、1μm前後の基本波を有するレーザー光が得られる。基本波に対する高調波は、非線形光学素子を用いることで得ることができる。
【0163】
上述したレーザー結晶化によって、非晶質半導体膜に2回レーザー光が照射されて結晶性が高められた領域693、694、695が形成される(図23(B))。
【0164】
次に、部分的に結晶性が高められた結晶性半導体膜を所望の形状にパターニングして、結晶化された領域693、694、695から島状の半導体膜602〜606を形成する(図23(C))。
【0165】
また、島状の半導体膜602〜606を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。
【0166】
次いで、島状の半導体膜602〜606を覆うゲート絶縁膜607を形成する。ゲート絶縁膜607はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により110nmの厚さで酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成した。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0167】
また、酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化珪素膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
【0168】
次いで、ゲート絶縁膜607上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜608と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜609とを積層形成する。本実施例では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜608と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜609を積層形成した。TaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用い、窒素を含む雰囲気内でスパッタする。また、W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成した。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W膜中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。従って、本実施例では、高純度のW(純度99.9999%)のターゲットを用いたスパッタ法で、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができる。
【0169】
なお、本実施例では、第1の導電膜608をTaN、第2の導電膜609をWとしたが、特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。また、第1の導電膜をタンタル(Ta)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化チタン(TiN)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をWとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をAl膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をCu膜とする組み合わせとしてもよい。
【0170】
また、2層構造に限定されず、例えば、タングステン膜、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、タングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
【0171】
なお、導電膜の材料によって、適宜最適なエッチングの方法や、エッチャントの種類を選択することが重要である。
【0172】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク610〜615を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う(図24(B))。本実施例では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25:25:10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。
【0173】
この後、レジストからなるマスク610〜615を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30:30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0174】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層617〜622(第1の導電層617a〜622aと第2の導電層617b〜622b)を形成する。616はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層617〜622で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
【0175】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う(図24(C))。ここでは、エッチングガスにCF4とCl2とO2とを用い、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層628b〜633bを形成する。一方、第1の導電層617a〜622aは、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層628〜633を形成する。
【0176】
そして、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行い、島状の半導体膜にn型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。ドーピング処理はイオンドープ法、若しくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1014 atoms /cm2とし、加速電圧を40〜80kVとして行う。本実施例ではドーズ量を1.5×1013atoms/cm2とし、加速電圧を60kVとして行う。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いる。この場合、導電層628〜633がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に不純物領域623〜627が形成される。不純物領域623〜627には1×1018〜1×1020atoms/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。
【0177】
レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク634a〜634cを形成して第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で第2のドーピング処理を行う。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜1×1015atoms/cm2とし、加速電圧を60〜120kVとして行う。ドーピング処理は第2の導電層628b、630b、632bを不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層のテーパー部の下方の島状の半導体膜に不純物元素が添加されるようにドーピングする。続いて、第2のドーピング処理より加速電圧を下げて第3のドーピング処理を行って図25(A)の状態を得る。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1015〜1×1017 atoms /cm2とし、加速電圧を50〜100kVとして行う。第2のドーピング処理および第3のドーピング処理により、第1の導電層と重なる低濃度不純物領域636、642、648には1×1018〜5×1019 atoms /cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加され、高濃度不純物領域635、641、644、647には1×1019〜5×1021 atoms /cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加される。
【0178】
もちろん、適当な加速電圧にすることで、第2のドーピング処理および第3のドーピング処理は1回のドーピング処理で、低濃度不純物領域および高濃度不純物領域を形成することも可能である。
【0179】
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク650a〜650cを形成して第4のドーピング処理を行う。この第4のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる島状の半導体膜に前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域653、654、659、660を形成する。第2の導電層629b、632bを不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域を形成する。本実施例では、不純物領域653、654、659、660はジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成する(図25(B))。この第4のドーピング処理の際には、nチャネル型TFTを形成する島状の半導体膜はレジストからなるマスク650a〜650cで覆われている。第1乃至3のドーピング処理によって、不純物領域653、659と660にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、そのいずれの領域においてもp型を付与する不純物元素の濃度を1×1019〜5×1021atoms/cm3となるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。
【0180】
以上までの工程で、それぞれの島状の半導体膜に不純物領域が形成される。
【0181】
次いで、レジストからなるマスク650a〜650cを除去して第1の層間絶縁膜661を形成する。この第1の層間絶縁膜661としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚150nmの酸化窒化珪素膜を形成した。勿論、第1の層間絶縁膜661は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0182】
次いで、図25(C)に示すように、活性化処理としてレーザー照射方法を用いる。レーザーアニール法を用いる場合、結晶化の際に用いたレーザーを使用することが可能である。活性化の場合は、移動速度は結晶化と同じにし、0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.01〜10MW/cm2)のエネルギー密度が必要となる。また結晶化の際には連続発振のレーザーを用い、活性化の際にはパルス発振のレーザーを用いるようにしても良い。
【0183】
また、第1の層間絶縁膜を形成する前に活性化処理を行っても良い。
【0184】
そして、加熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行うと水素化を行うことができる。この工程は第1の層間絶縁膜661に含まれる水素により島状の半導体膜のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)や、3〜100%の水素を含む雰囲気中で300〜650℃で1〜12時間の加熱処理を行っても良い。この場合は、第1の層間絶縁膜の存在に関係なく半導体層を水素化することができる。
【0185】
次いで、第1の層間絶縁膜661上に無機絶縁膜材料または有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜662を形成する。本実施例では、膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成したが、粘度が10〜1000cp、好ましくは40〜200cpのものを用いても良い。表面に凸凹が形成されるものを用いても良い。
【0186】
本実施例では、鏡面反射を防ぐため、表面に凸凹が形成される第2の層間絶縁膜を形成することによって画素電極の表面に凸凹を形成した。また、画素電極の表面に凹凸を持たせて光散乱性を図るため、画素電極の下方の領域に凸部を形成してもよい。その場合、凸部の形成は、TFTの形成と同じフォトマスクで行うことができるため、工程数の増加なく形成することができる。なお、この凸部は配線及びTFT部以外の画素部領域の基板上に適宜設ければよい。こうして、凸部を覆う絶縁膜の表面に形成された凸凹に沿って画素電極の表面に凸凹が形成される。
【0187】
また、第2の層間絶縁膜662として表面が平坦化する膜を用いてもよい。その場合は、画素電極を形成した後、公知のサンドブラスト法やエッチング法等の工程を追加して表面を凹凸化させて、鏡面反射を防ぎ、反射光を散乱させることによって白色度を増加させることが好ましい。
【0188】
次に、第2の層間絶縁膜662を形成した後、第2の層間絶縁膜662に接するように、第3の層間絶縁膜672を形成する。
【0189】
そして、駆動回路686において、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線663〜667を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でもよいし、三層以上の積層構造にしてもよい。また、配線の材料としては、AlとTiに限らない。例えば、TaN膜上にAlやCuを形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成してもよい(図26)。
【0190】
また、画素部687においては、画素電極670、ゲート配線669、接続電極668を形成する。この接続電極668によりソース配線(633aと633bの積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線669は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。また、画素電極670は、画素TFTのドレイン領域690と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する島状の半導体膜685と電気的な接続が形成される。また本願では画素電極と接続電極とを同じ材料で形成しているが、画素電極670としてAlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いても良い。
【0191】
以上の様にして、nチャネル型TFT681とpチャネル型TFT682からなるCMOS回路、及びnチャネル型TFT683を有する駆動回路686と、画素TFT684、保持容量685とを有する画素部687を同一基板上に形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。
【0192】
駆動回路686のnチャネル型TFT681はチャネル形成領域637、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層628aと重なる低濃度不純物領域636(GOLD(Gate Overlapped LDD)領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域652、を有している。このnチャネル型TFT681と電極666で接続してCMOS回路を形成するpチャネル型TFT682にはチャネル形成領域640、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域653と、p型を付与する不純物元素が導入された不純物領域654を有している。また、nチャネル型TFT683にはチャネル形成領域643、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層630aと重なる低濃度不純物領域642(GOLD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域656を有している。
【0193】
画素部の画素TFT684にはチャネル形成領域646、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域645(LDD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域658を有している。また、保持容量685の一方の電極として機能する島状の半導体膜には、n型を付与する不純物元素およびp型を付与する不純物元素が添加されている。保持容量685は、絶縁膜616を誘電体として、電極(632aと632bの積層)と、島状の半導体膜とで形成している。
【0194】
本実施例の画素構造は、ブラックマトリクスを用いることなく、画素電極間の隙間が遮光されるように、画素電極の端部をソース配線と重なるように配置形成する。
【0195】
本実施例は、実施例1〜実施例7と組み合わせて実施することが可能である。
【0196】
(実施例9)
本実施例では、実施例8で作製したアクティブマトリクス基板から、反射型液晶表示装置を作製する工程を以下に説明する。説明には図27を用いる。
【0197】
まず、実施例8に従い、図26の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図26のアクティブマトリクス基板上、少なくとも画素電極670上に配向膜867を形成しラビング処理を行う。なお、本実施例では配向膜867を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ872を所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
【0198】
次いで、対向基板869を用意する。次いで、対向基板869上に着色層870、871、平坦化膜873を形成する。赤色の着色層870と青色の着色層871とを重ねて、遮光部を形成する。また、赤色の着色層と緑色の着色層とを一部重ねて、遮光部を形成してもよい。
【0199】
本実施例では、実施例7に示す基板を用いている。従って、少なくともゲート配線669と画素電極670の間隙と、ゲート配線669と接続電極668の間隙と、接続電極668と画素電極670の間隙を遮光する必要がある。本実施例では、それらの遮光すべき位置に着色層の積層からなる遮光部が重なるように各着色層を配置して、対向基板を貼り合わせた。
【0200】
このように、ブラックマスク等の遮光層を形成することなく、各画素間の隙間を着色層の積層からなる遮光部で遮光することによって工程数の低減を可能とした。
【0201】
次いで、平坦化膜873上に透明導電膜からなる対向電極876を少なくとも画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜874を形成し、ラビング処理を施した。
【0202】
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材868で貼り合わせる。シール材868にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料875を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料875には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図27に示す反射型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、対向基板のみに偏光板(図示しない)を貼りつけた。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつけた。
【0203】
以上のようにして作製される液晶表示装置はエネルギー分布が周期的または一様なレーザー光が照射され、大粒径の結晶粒が形成された半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、前記液晶表示装置の動作特性や信頼性が十分なものとなり得る。そして、このような液晶表示装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0204】
なお、本実施例は実施例1〜実施例8と組み合わせて実施することが可能である。
【0205】
(実施例10)
本実施例では、実施例8で示したアクティブマトリクス基板を作製するときのTFTの作製方法を用いて、発光装置を作製する例を以下に説明する。本明細書において、発光装置とは、基板上に形成された発光素子を該基板とカバー材の間に封入した表示用パネルおよび該表示用パネルにTFT等を実装した表示用モジュールを総称したものである。なお、発光素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Luminescence)が得られる有機化合物を含む層(発光層)と陽極層と、陰極層とを有する。また、有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)があり、これらのうちどちらか、あるいは両方の発光を含む。
【0206】
なお、本明細書中では、発光素子において陽極と陰極の間に形成された全ての層を有機発光層と定義する。有機発光層には具体的に、発光層、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等が含まれる。基本的に発光素子は、陽極層、発光層、陰極層が順に積層された構造を有しており、この構造に加えて、陽極層、正孔注入層、発光層、陰極層や、陽極層、正孔注入層、発光層、電子輸送層、陰極層等の順に積層した構造を有していることもある。
【0207】
図28(A)は、第3の層間絶縁膜750まで形成した時点での、本実施例の発光装置の断面図である。図28(A)において、基板700上に設けられたスイッチングTFT733、電流制御TFT734は実施例8の作製方法を用いて形成される。本実施例ではスイッチングTFT733は、チャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造としているが、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造もしくは三つ以上形成される構造であっても良い。また、本実施例では電流制御TFT734は、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造としているが、チャネル形成領域が二つ以上形成される構造であっても良い。
【0208】
基板700上に設けられた駆動回路が有するnチャネル型TFT731、pチャネル型TFT732は実施例8の作製方法を用いて形成される。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0209】
第3の層間絶縁膜750は、発光装置の場合、第2の層間絶縁膜751に含まれる水分が有機発光層に入るのを防ぐのに効果的である。第2の層間絶縁膜751が有機樹脂材料を有している場合、有機樹脂材料は水分を多く含むため、第3の層間絶縁膜750を設けることは特に有効である。
【0210】
実施例8の第3の層間絶縁膜を作製する工程まで終了したら、本実施例では第3の層間絶縁膜750上に画素電極711を形成する。
【0211】
なお、画素電極711は、透明導電膜からなる画素電極(発光素子の陽極)である。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。画素電極711は、配線を形成する前に平坦な第3の層間絶縁膜750上に形成する。本実施例においては、樹脂からなる第2の層間絶縁膜751を用いてTFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成される発光層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、発光層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
【0212】
次に、画素電極711形成後、ゲート絶縁膜752、第1の層間絶縁膜753、第2の層間絶縁膜751、第3の層間絶縁膜750にコンタクトホールを形成する。そして画素電極711を覆って第3の層間絶縁膜750上に導電膜を形成し、レジスト760を形成する。そしてレジスト760を用いて該導電膜をエッチングすることで、各TFTの不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線701〜707を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でもよいし、三層以上の積層構造にしてもよい。また、配線の材料としては、AlとTiに限らない。例えば、TaN膜上にAlやCuを形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成してもよい(図28(A))。
【0213】
また、配線707は電流制御TFTのソース配線(電流供給線に相当する)であり、706は電流制御TFTのドレイン領域と画素電極711とを接続する電極である。
【0214】
配線701〜707を形成後、図28(B)に示すようにレジスト760を除去せず、そのままパッシベーション膜712を形成する。パッシベーション膜712は、配線701〜707、第3の層間絶縁膜750及びレジスト760を覆うように形成する。パッシベーション膜712は、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウムもしくは窒化酸化アルミニウムを含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。そしてパッシベーション膜712をエッチングして、画素電極711の一部を露出させる。
【0215】
画素電極711の上には発光層713が形成される。なお、図28(B)では一画素しか図示していないが、本実施例ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けている。また、本実施例では蒸着法により低分子系有機発光材料を形成している。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としている。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
【0216】
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施例では低分子系有機発光材料を発光層として用いる例を示したが、中分子系有機発光材料や高分子系有機発光材料を用いても良い。なお、本明細書中において、昇華性を有さず、かつ、分子数が20以下または連鎖する分子の長さが10μm以下の有機発光材料を中分子系有機発光材料とする。また、高分子系有機発光材料を用いる例として、正孔注入層として20nmのポリチオフェン(PEDOT)膜をスピン塗布法により設け、その上に発光層として100nm程度のパラフェニレンビニレン(PPV)膜を設けた積層構造としても良い。なお、PPVのπ共役系高分子を用いると、赤色から青色まで発光波長を選択できる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機発光材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
【0217】
次に、発光層713の上には導電膜からなる陰極714が設けられる。本実施例の場合、導電膜としてアルミニウムとリチウムとの合金膜を用いる。勿論、公知のMgAg膜(マグネシウムと銀との合金膜)を用いても良い。陰極材料としては、周期表の1族もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用いれば良い。
【0218】
この陰極714まで形成された時点で発光素子715が完成する。なお、ここでいう発光素子715は、画素電極(陽極)711、発光層713及び陰極714で形成されたダイオードを指す。
【0219】
発光素子715を完全に覆うようにして保護膜754を設けても良い。保護膜754としては、炭素膜、窒化珪素膜もしくは窒化酸化珪素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。
【0220】
この際、カバレッジの良い膜を保護膜754として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い発光層713の上方にも容易に成膜することができる。また、DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、発光層713の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に発光層713が酸化するといった問題を防止できる。
【0221】
本実施例では、発光層と713は全てバリア性の高い炭素膜、窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウムもしくは窒化酸化アルミニウム等の無機絶縁膜で覆われているため、水分や酸素等が発光層に入って発光層が劣化するのをより効果的に防ぐことができる。
【0222】
特に第3絶縁膜750、パッシベーション膜712、保護膜754を、シリコンをターゲットとしたスパッタリング法により作製される窒化珪素膜を用いることで、より発光層への不純物の侵入を防ぐことができる。成膜条件は適宜選択すれば良いが、特に好ましくはスパッタガスには窒素(N2)又は窒素とアルゴンの混合ガスを用い、高周波電力を印加してスパッタリングを行う。基板温度は室温の状態とし、加熱手段を用いなくても良い。既に有機絶縁膜や有機化合物層を形成した後は、基板を加熱せずに成膜することが望ましい。但し、吸着又は吸蔵している水分を十分除去するために、真空中で数分〜数時間、50〜100℃程度で加熱して脱水処理することは好ましい。
【0223】
室温でシリコンをターゲットとし、13.56MHzの高周波電力を印加し、窒素ガスのみ用いたスパッタリング法で形成された窒化珪素膜は、その赤外吸収スペクトルにおいてN−H結合とSi−H結合の吸収ピークが観測されず、またSi−Oの吸収ピークも観測されていないことが特徴的であり、膜中に酸素濃度及び水素濃度は1原子%以下であることがわかっている。このことからも、より効果的に酸素や水分などの不純物の侵入を防ぐことができるのがわかる。
【0224】
さらに、発光素子715を覆って封止材717を設け、カバー材718を貼り合わせる。封止材717としては紫外線硬化樹脂を用いれば良く、内部に吸湿効果を有する物質もしくは酸化防止効果を有する物質を設けることは有効である。また、本実施例においてカバー材718はガラス基板や石英基板やプラスチック基板(プラスチックフィルムも含む)の両面に炭素膜(好ましくはダイヤモンドライクカーボン膜)を形成したものを用いる。
【0225】
こうして図28(B)に示すような構造の発光装置が完成する。なお、パッシベーション膜712を形成した後、保護膜を形成するまでの工程をマルチチャンバー方式(またはインライン方式)の成膜装置を用いて、大気解放せずに連続的に処理することは有効である。また、さらに発展させてカバー材718を貼り合わせる工程までを大気解放せずに連続的に処理することも可能である。
【0226】
こうして、基板700上にnチャネル型TFT731、pチャネル型TFT732、スイッチングTFT(nチャネル型TFT)733および電流制御TFT(pチャネル型TFT)734が形成される。
【0227】
さらに、図28を用いて説明したように、ゲート電極に絶縁膜を介して重なる不純物領域を設けることによりホットキャリア効果に起因する劣化に強いnチャネル型TFTを形成することができる。そのため、信頼性の高い発光装置を実現できる。
【0228】
また、本実施例では画素部と駆動回路の構成のみ示しているが、本実施例の製造工程に従えば、その他にも信号分割回路、D/Aコンバータ、オペアンプ、γ補正回路などの論理回路を同一の絶縁体上に形成可能であり、さらにはメモリやマイクロプロセッサをも形成しうる。
【0229】
以上のようにして作製される発光装置はエネルギー分布が周期的または一様なレーザー光が照射され、大粒径の結晶粒が形成された半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、前記発光装置の動作特性や信頼性が十分なものとなり得る。そして、このような発光装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0230】
なお本実施例で用いられる発光素子は、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層または電子輸送層等が、無機化合物単独で、または有機化合物に無機化合物が混合されている材料で形成されている形態をも取り得る。また、これらの層どうしが互いに一部混合していても良い。
【0231】
なお、本実施例は実施例1〜実施例8のいずれか一と組み合わせて実施することが可能である。
【0232】
(実施例11)
本発明のレーザー装置によって形成された半導体装置を用いた電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD(digital versatile disc)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それら電子機器の具体例を図29に示す。
【0233】
図29(A)は表示装置であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。本発明の半導体装置は表示部2003に用いることができる。半導体装置は自発光型であるためバックライトが必要なく、液晶ディスプレイよりも薄い表示部とすることができる。なお、表示装置は、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0234】
図29(B)はデジタルスチルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。本発明の半導体装置は表示部2102及びその他回路に用いることができる。
【0235】
図29(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明の半導体装置は表示部2203及びその他回路に用いることができる。
【0236】
図29(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明の半導体装置は表示部2302に用いることができる。
【0237】
図29(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(DVD等)読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示するが、本発明の半導体装置はこれら表示部A、B2403、2404及びその他回路に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
【0238】
図29(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体2501、表示部2502、アーム部2503を含む。本発明の半導体装置は表示部2502及びその他回路に用いることができる。
【0239】
図29(G)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を含む。本発明の半導体装置は表示部2602及びその他回路に用いることができる。
【0240】
ここで図29(H)は携帯電話であり、本体2701、筐体2702、表示部2703、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706、外部接続ポート2707、アンテナ2708等を含む。本発明の半導体装置は表示部2703及びその他回路に用いることができる。なお、表示部2703は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることができる。
【0241】
なお、上述した電子機器の他に、フロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
【0242】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜10に示したいずれの構成の半導体装置を用いても良い。
【0243】
(実施例12)
本実施例では、1回目及び2回目のレーザー光の走査方向を、活性層のチャネル形成領域のキャリアが移動する方向に合わせて自在に転換させることができる、レーザー装置の構成について説明する。
【0244】
図31に、本実施例のレーザー装置1100の構成を示す。レーザー装置1100は、被処理物に対するレーザー光の照射位置を制御する第1の手段に相当するステージコントローラ1101を有している。なお図31ではステージコントローラ1101を用いて基板の位置を変えることで、レーザー光の照射位置を移動(走査)させたり、レーザー光の走査方向を変えたりすることができるが、本発明はこの構成に限定されない。光学系を用いてレーザー光を走査したり、レーザー光の走査方向を変えたりしても良い。
【0245】
また、レーザー装置1100は、レーザー光を発振する第2の手段に相当するレーザー発振装置1102を有している。なお図31では1つのレーザー発振装置1102を設けている例について示しているが、本発明のレーザー装置1100が有するレーザー発振装置1102はこの数に限定されない。レーザー発振装置から出力される各レーザー光のビームスポットを互いに重ね合わせ、1つのビームスポットとして用いていても良い。
【0246】
また本発明のレーザー装置1100は、レーザー発振装置1102から発振されるレーザー光の、被処理物におけるビームスポットを加工することができる第3の手段に相当する光学系1103を有している。さらに光学系1103には、レーザー発振装置1102から出力されるレーザー光を一次的に遮ることができるシャッター1105を備えている。シャッター1105を用いることで、レーザー発振装置1102からのレーザー光の出力を止めずに、被処理物1107へのレーザー光の照射を一次的に止めることができるので、レーザー光の出力を一定に保つことができる。
【0247】
なお、複数のレーザー発振装置を用いる場合、前記光学系を用いて各レーザー発振装置から出力されるビームスポットを互いに重ね合わせて1つのビームスポットを形成するようにしても良い。
【0248】
さらにレーザー装置1100は、第4の手段に相当するCPU1104を有している。CPU1104はレーザー発振装置1102の発振を制御し、なおかつレーザー光のビームスポットがマスクのデータに従って定められる部分を覆うように、第1の手段に相当するステージコントローラ1101を制御することができる。さらにCPU1104はシャッター1105の動作を制御しており、レーザー光の被処理物1107への照射を一次的に止めることができる。
【0249】
さらに本実施例では、マスクのデータの他に、各活性層のチャネル形成領域におけるキャリアの移動する方向も、CPU1104に入力する。そして各活性層において、キャリアの移動する方向と、1回目または2回目のレーザー光の走査方向とが平行になるように、レーザー光の走査方向及び照射部分を定める。
【0250】
図31(B)を用いて、被処理物1107がアクティブマトリクス型の半導体装置であった場合の、半導体膜におけるレーザー光の走査方向と、各回路における活性層のレイアウトとの関係について説明する。
【0251】
図31(B)において、基板上に半導体膜1850が成膜されている。破線1850で囲まれた部分は画素部が形成される部分であり、画素部1853に複数の活性層となる部分1856が設けられている。破線1854で囲まれた部分は信号線駆動回路が形成される部分であり、信号線駆動回路1854に複数の活性層となる部分1857が設けられている。破線1855で囲まれた部分は走査線駆動回路が形成される部分であり、走査線駆動回路1855に複数の活性層となる部分1858が設けられている。
【0252】
▲1▼に示す矢印は、1回目のレーザー光照射の走査方向であり、活性層となる部分1856、1857、1858にレーザー光が照射されている。▲2▼に示す矢印は、2回目のレーザー光照射の走査方向を示しており、活性層となる部分1857、1858にレーザー光が照射されている。
【0253】
本実施例では、2回目のレーザー光照射において、レーザー光の走査方向を信号線駆動回路1854と走査線駆動回路1855とで転換しており、走査方向が互いに交差している。各回路の複数の活性層となる部分1856、1857、1858のうち、1回目のレーザー光照射の走査方向とチャネル形成領域のキャリアの移動する方向とが平行ではなかった部分にのみ、そのキャリアが移動する方向と走査方向が平行な、2回目のレーザー光を照射している。さらに、1回目のレーザー光の走査方向とキャリアの移動方向とは一致しているが、2回目のレーザー光の走査方向とは一致していない部分について、たとえ該部分が2回目のレーザー光の走査経路にレイアウトされていても、シャッター1105を用いて2回目のレーザー光を照射させないようにすることもできる。上記構成によって、レーザー光の走査方向による活性層のレイアウトの制約が少なくなり、マスクの設計がより容易になる。
【0254】
なお、本実施例は実施例1〜実施例11のいずれか一と組み合わせて実施することが可能である。
【0255】
(実施例13)
本実施例では、複数のレーザー発振装置から出力されたレーザー光のビームスポットを互いに重ね合わせないレーザー発振装置の例について説明する。
【0256】
図32に、本実施例のレーザー装置の、ビームスポットの形状を示す。図32において、複数のビームスポット1700が被処理物上に形成されている。本実施例では4つのビームスポット1700a〜1700dを用いた例を示すが、ビームスポットの数はこれに限定されない。
【0257】
また、ビームスポットの形状は、本実施例では楕円形を有しているが、本実施例はこの構成に限定されない。各ビームスポットは、矢印の方向に走査されている。そして各ビームスポットは、矢印の方向において互いに一定の間隔を保っている。
【0258】
そして矢印の方向にビームスポットを走査したときに、各ビームスポットの軌跡が互いに重なるように、各ビームスポットが重なり合っている。
【0259】
よって、図32では、ビームスポット1700aが照射された部分(軌跡)に、ビームスポット1700bが重なることで、ビームスポット1700aが照射された部分を種結晶としてビームスポット1700bが照射された部分において結晶化が開始される。また同様に、ビームスポット1700bが照射された部分に、ビームスポット1700cが重なることで、ビームスポット1700bが照射された部分を種結晶として、ビームスポット1700cが照射された部分において結晶化が開始される。また同様に、ビームスポット1700cが照射された部分に、ビームスポット1700dが重なることで、ビームスポット1700cが照射された部分を種結晶として、ビームスポット1700dが照射された部分において結晶化が開始される。
【0260】
上記構成によって、レーザー光が照射された部分における結晶粒の向き及びその大きさを制御することができる。
【0261】
なお、本実施例は実施例1〜実施例12のいずれか一と組み合わせて実施することが可能である。
【0262】
(実施例14)
本実施例では、本発明の半導体装置の1つである発光装置の画素の構成について説明する。図33に本実施例の発光装置の画素の断面図を示す。
【0263】
図33において、911は基板、912は下地となる絶縁膜(以下、下地膜という)である。基板911としては透光性基板、代表的にはガラス基板、石英基板、ガラスセラミックス基板、又は結晶化ガラス基板を用いることができる。但し、作製プロセス中の最高処理温度に耐えるものでなくてはならない。
【0264】
8201はスイッチングTFT、8202は電流制御TFTであり、それぞれnチャネル型TFT、pチャネル型TFTで形成されている。有機発光層の発光方向が基板の下面(TFT及び有機発光層が設けられていない面)の場合、上記構成であることが好ましい。しかしスイッチングTFTと電流制御TFTは、nチャネル型TFTでもpチャネル型TFTでも、どちらでも構わない。
【0265】
スイッチングTFT8201は、ソース領域913、ドレイン領域914、LDD領域915a〜915d、分離領域916及びチャネル形成領域963、964を含む活性層と、ゲート絶縁膜918と、ゲート電極919a、919bと、第1層間絶縁膜920と、ソース信号線921と、ドレイン配線922とを有している。なお、ゲート絶縁膜918又は第1層間絶縁膜920は基板上の全TFTに共通であっても良いし、回路又は素子に応じて異ならせても良い。
【0266】
また、図33に示すスイッチングTFT8201はゲート電極919a、919bが電気的に接続されており、いわゆるダブルゲート構造となっている。勿論、ダブルゲート構造だけでなく、トリプルゲート構造などいわゆるマルチゲート構造(直列に接続された二つ以上のチャネル形成領域を有する活性層を含む構造)であっても良い。
【0267】
マルチゲート構造はオフ電流を低減する上で極めて有効であり、スイッチングTFTのオフ電流を十分に低くすれば、それだけ電流制御TFT8202のゲート電極に接続された保持容量が必要とする最低限の容量を抑えることができる。即ち、保持容量の面積を小さくすることができるので、マルチゲート構造とすることは発光素子の有効発光面積を広げる上でも有効である。
【0268】
さらに、スイッチングTFT8201においては、LDD領域915a〜915dは、ゲート絶縁膜918を介してゲート電極919a、919bと重ならないように設ける。このような構造はオフ電流を低減する上で非常に効果的である。また、LDD領域915a〜915dの長さ(幅)は0.5〜3.5μm、代表的には2.0〜2.5μmとすれば良い。なお、二つ以上のゲート電極を有するマルチゲート構造の場合、チャネル形成領域の間に設けられた分離領域916(ソース領域又はドレイン領域と同一の濃度で同一の不純物元素が添加された領域)がオフ電流の低減に効果的である。
【0269】
次に、電流制御TFT8202は、ソース領域926、ドレイン領域927及びチャネル形成領域905を含む活性層と、ゲート絶縁膜918と、ゲート電極930と、第1層間絶縁膜920と、ソース信号線931並びにドレイン配線932を有して形成される。本実施例において電流制御TFT8202はpチャネル型TFTである。
【0270】
また、スイッチングTFT8201のドレイン領域914は電流制御TFT8202のゲート930に接続されている。図示してはいないが、具体的には電流制御TFT8202のゲート電極930はスイッチングTFT8201のドレイン領域914とドレイン配線(接続配線とも言える)922を介して電気的に接続されている。なお、ゲート電極930はシングルゲート構造となっているが、マルチゲート構造であっても良い。また、電流制御TFT8202のソース信号線931は電源供給線(図示せず)に接続される。
【0271】
以上は画素内に設けられたTFTの構造について説明したが、このとき同時に駆動回路も形成される。図33には駆動回路を形成する基本単位となるCMOS回路が図示されている。
【0272】
図33においては極力動作速度を落とさないようにしつつホットキャリア注入を低減させる構造を有するTFTをCMOS回路のnチャネル型TFT8204として用いる。なお、ここでいう駆動回路としては、ソース信号側駆動回路、ゲート信号側駆動回路を指す。勿論、他の論理回路(レベルシフタ、A/Dコンバータ、信号分割回路等)を形成することも可能である。
【0273】
CMOS回路のnチャネル型TFT8204の活性層は、ソース領域935、ドレイン領域936、LDD領域937及びチャネル形成領域962を含み、LDD領域937はゲート絶縁膜918を介してゲート電極939と重なっている。
【0274】
ドレイン領域936側のみにLDD領域937を形成しているのは、動作速度を落とさないための配慮である。また、このnチャネル型TFT8204はオフ電流値をあまり気にする必要はなく、それよりも動作速度を重視した方が良い。従って、LDD領域937は完全にゲート電極に重ねてしまい、極力抵抗成分を少なくすることが望ましい。即ち、いわゆるオフセットはなくした方がよい。
【0275】
また、CMOS回路のpチャネル型TFT8205は、ホットキャリア注入による劣化が殆ど気にならないので、特にLDD領域を設けなくても良い。従って活性層はソース領域940、ドレイン領域941及びチャネル形成領域961を含み、その上にはゲート絶縁膜918とゲート電極943が設けられる。勿論、nチャネル型TFT8204と同様にLDD領域を設け、ホットキャリア対策を講じることも可能である。
【0276】
なお942、938、917a、917b、929はチャネル形成領域961〜964、905を形成するためのマスクである。
【0277】
また、nチャネル型TFT8204及びpチャネル型TFT8205はそれぞれソース領域上に第1層間絶縁膜920を間に介して、ソース信号線944、945を有している。また、ドレイン配線946によってnチャネル型TFT8204とpチャネル型TFT8205とのドレイン領域は互いに電気的に接続される。
【0278】
本発明のレーザー装置は、活性層の結晶化、活性化またはその他レーザーアニールを用いる工程において使用することができる。
【0279】
なお本実施例の構成は、実施例1〜13と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0280】
(実施例15)
本実施例では、ビームスポットを重ね合わせたときの、各ビームスポットの中心間の距離と、エネルギー密度との関係について説明する。
【0281】
図34に、各ビームスポットの中心軸方向におけるエネルギー密度の分布を実線で、合成されたビームスポットのエネルギー密度の分布を破線で示す。ビームスポットの中心軸方向におけるエネルギー密度の値は、一般的にガウス分布に従っている。
【0282】
合成前のビームスポットにおいて、ピーク値の1/e2以上のエネルギー密度を満たしている中心軸方向の距離を1としたときの、各ピーク間の距離をXとする。また、合成されたビームスポットにおいて、合成後のピーク値と、バレー値の平均値に対するピーク値の割増分をYとする。シミュレーションで求めたXとYの関係を、図35に示す。なお図35では、Yを百分率で表した。
【0283】
図35において、エネルギー差Yは以下の式1の近似式で表される。
【0284】
【式1】
Y=60−293X+340X2(Xは2つの解のうち大きい方とする)
【0285】
式1に従えば、例えばエネルギー差を5%程度にしたい場合、X≒0.584となるようにすれば良いということがわかる。Y=0となるのが理想的だが、それではビームスポットの長さが短くなるので、スループットとのバランスでXを決定すると良い。
【0286】
次に、Yの許容範囲について説明する。図36に、ビームスポットが楕円形状を有している場合の、中心軸方向におけるビーム幅に対するYVO4レーザーの出力(W)の分布を示す。斜線で示す領域は、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲であり、3.5〜6Wの範囲内に合成したレーザー光の出力エネルギーが納まっていれば良いことがわかる。
【0287】
合成後のビームスポットの出力エネルギーの最大値と最小値が、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギー範囲にぎりぎりに入るとき、良好な結晶性が得られるエネルギー差Yが最大になる。よって図36の場合は、エネルギー差Yが±26.3%となり、上記範囲にエネルギー差Yが納まっていれば良好な結晶性が得られることがわかる。
【0288】
なお、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲は、どこまでを結晶性が良好だと判断するかによって変わり、また出力エネルギーの分布もビームスポットの形状によって変わってくるので、エネルギー差Yの許容範囲は必ずしも上記値に限定されない。設計者が、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲を適宜定め、用いるレーザーの出力エネルギーの分布からエネルギー差Yの許容範囲を設定する必要がある。
【0289】
本実施例は、実施例1〜14と組み合わせて実施することが可能である。
【0290】
(実施例16)
図37を用いて、本発明の発光装置の画素の構成について説明する。
【0291】
図37において、基板6000に、下地膜6001が形成されており、該下地膜6001上にトランジスタ6002が形成されている。トランジスタ6002は活性層6003と、ゲート電極6005と、活性層6003とゲート電極6005の間に挟まれたゲート絶縁膜6004と、を有している。
【0292】
活性層6003は多結晶半導体膜を用いるのが好ましく、該多結晶半導体膜は、公知の技術により非晶質珪素膜を結晶化することで形成することができる。公知の結晶化方法としては、電熱炉を使用した熱結晶化方法、レーザー光を用いたレーザーアニール結晶化法、赤外光を用いたランプアニール結晶化法がある。本実施例では、XeClガスを用いたエキシマレーザー光を用いて結晶化する。また線状に加工したパルス発振型のエキシマレーザー光を用いるが、矩形であっても良いし、連続発振型のアルゴンレーザー光や連続発振型のエキシマレーザー光を用いることもできる。或いは特開平7−130652号公報で開示された技術に従って、触媒元素を用いる結晶化法で多結晶半導体膜を形成することもできる。
【0293】
また、スパッタ法、プラズマCVD法、熱CVD法などで形成した多結晶半導体膜を用いていても良い。
【0294】
なお、活性層は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムを用いるようにしても良い。シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。また窒化炭素が添加された珪素を用いていても良い。
【0295】
またゲート絶縁膜6004は、酸化珪素、窒化珪素または酸化窒化珪素を用いることができる。またそれらを積層した膜、例えばSiO2上にSiNを積層した膜を、ゲート絶縁膜として用いても良い。またSiO2は、
プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)、電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて、酸化シリコン膜を形成した。このようにして作製される酸化シリコン膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。また窒化アルミニウムをゲート絶縁膜として用いることができる。窒化アルミニウムは熱伝導率が比較的高く、TFTで発生した熱を効果的に拡散させることができる。またアルミニウムの含まれない酸化珪素や酸化窒化珪素等を形成した後、窒化アルミニウムを積層したものをゲート絶縁膜として用いても良い。また、SiをターゲットとしたRFスパッタ法を用いて形成されたSiO2をゲート絶縁膜として用いても良い。
【0296】
またゲート電極6005として、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また単層の導電膜ではなく、複数の層からなる導電膜を積層したものであっても良い。
【0297】
例えば、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をWとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をTiとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をAlとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をCuとする組み合わせで形成することが好ましい。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。
【0298】
また、2層構造に限定されず、例えば、タングステン膜、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、タングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
【0299】
なお、導電膜の材料によって、適宜最適なエッチングの方法や、エッチャントの種類を選択することが重要である。
【0300】
またトランジスタ6002は、第1の層間絶縁膜6006で覆われており、第1の層間絶縁膜6006上には第2の層間絶縁膜6007と、第3の層間絶縁膜6008とが積層されている。
【0301】
第1の層間絶縁膜6006は、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、酸化珪素、窒化珪素または酸化窒化珪素膜を単層でまたは積層して用いることができる。また酸素よりも窒素のモル比率が高い酸化窒化珪素膜上に、窒素よりも酸素のモル比率が高い酸化窒化珪素膜を積層した膜を第1の層間絶縁膜6006として用いても良い。
【0302】
なお、第1の層間絶縁膜6006を成膜した後、加熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行うと、第1の層間絶縁膜6006に含まれる水素により、活性層6003に含まれる半導体のダングリングボンドを終端する(水素化)ことができる。
【0303】
また第2の層間絶縁膜6007は、非感光性のアクリルを用いることができる。
【0304】
第3の層間絶縁膜6008は、水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的には、例えばDLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜等を用いるのが望ましい。
【0305】
また図37において6010は陽極、6011は電界発光層、6012は陰極であり、陽極6010と電界発光層6011と陰極6012が重なっている部分が発光素子6013に相当する。トランジスタ6002は、発光素子6013に供給する電流を制御する駆動用トランジスタであり、発光素子6013と直接、または他の回路素子を介して直列に接続されている。
【0306】
電界発光層6011は、発光層単独かもしくは発光層を含む複数の層が積層された構成を有している。
【0307】
陽極6010は第3の層間絶縁膜6008上に形成されている。また第3の層間絶縁膜6008上には隔壁として用いる有機樹脂膜6014が形成されている。有機樹脂膜6014は開口部6015を有しており、該開口部において陽極6010と電界発光層6011と陰極6012が重なり合うことで発光素子6013が形成されている。
【0308】
そして有機樹脂膜6014及び陰極6012上に、保護膜6016が成膜されている。保護膜6016は第3の層間絶縁膜6008と同様に、水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的には、例えばDLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜等を用いるのが望ましい。また上述した水分や酸素などの物質を透過させにくい膜と、該膜に比べて水分や酸素などの物質を透過させやすい膜とを積層させて、保護膜として用いることも可能である。
【0309】
また有機樹脂膜6014は、電界発光層6011が成膜される前に、吸着した水分や酸素等を除去するために真空雰囲気下で加熱しておく。具体的には、100℃〜200℃、0.5〜1時間程度、真空雰囲気下で加熱処理を行なう。望ましくは3×10−7Torr以下とし、可能であるならば3×10−8Torr以下とするのが最も望ましい。そして、有機樹脂膜に真空雰囲気下で加熱処理を施した後に電界発光層を成膜する場合、成膜直前まで真空雰囲気下に保つことで、信頼性をより高めることができる。
【0310】
また有機樹脂膜6014の開口部6015における端部は、有機樹脂膜6014上に一部重なって形成されている電界発光層6011に、該端部において穴があかないように、丸みを帯びさせることが望ましい。具体的には、開口部における有機樹脂膜の断面が描いている曲線の曲率半径が、0.2〜2μm程度であることが望ましい。
【0311】
上記構成により、後に形成される電界発光層や陰極のカバレッジを良好とすることができ、陽極6010と陰極6012が電界発光層6011に形成された穴においてショートするのを防ぐことができる。また電界発光層6011の応力を緩和させることで、発光領域が減少するシュリンクとよばれる不良を低減させることができ、信頼性を高めることができる。
【0312】
なお図37では、有機樹脂膜6014として、ポジ型の感光性のアクリル樹脂を用いた例を示している。感光性の有機樹脂には、光、電子、イオンなどのエネルギー線が露光された箇所が除去されるポジ型と、露光された箇所が残るネガ型とがある。本発明ではネガ型の有機樹脂膜を用いても良い。また感光性のポリイミドを用いて有機樹脂膜6014を形成しても良い。
【0313】
ネガ型のアクリルを用いて有機樹脂膜6014を形成した場合、開口部6015における端部が、S字状の断面形状となる。このとき開口部の上端部及び下端部における曲率半径は、0.2〜2μmとすることが望ましい。
【0314】
陽極6010は透明導電膜を用いることができる。ITOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いても良い。図37では陽極6010としITOを用いている。陽極6010は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄(ベルクリン洗浄)で研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、陽極6010の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
【0315】
また陰極6012は、仕事関数の小さい導電膜であれば公知の他の材料を用いることができる。例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。
【0316】
なお図37では、発光素子から発せられる光が基板6000側に照射される構成を示しているが、光が基板とは反対側に向かうような構造の発光素子としても良い。
【0317】
また図37ではトランジスタ6002と発光素子の陽極6010が接続されているが、本発明はこの構成に限定されず、トランジスタ6002と発光素子の陰極6001が接続されていても良い。この場合、陰極は第3の層間絶縁膜6008上に形成される。そしてTiN等を用いて形成される。
【0318】
なお、実際には図37まで完成したら、さらに外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(ラミネートフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)や透光性のカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。その際、カバー材の内部を不活性雰囲気にしたり、内部に吸湿性材料(例えば酸化バリウム)を配置したりするとOLEDの信頼性が向上する。
【0319】
なお、本発明は上述した作製方法に限定されず、公知の方法を用いて作製することが可能である。また本実施例は、実施例1〜実施例15と自由に組み合わせることが可能である。
【0320】
【発明の効果】
本発明では、半導体膜全体にレーザー光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査する。上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができ、基板1枚あたりにかかる処理時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザー装置の構造を示す図。
【図2】被処理物においてレーザー光の移動する方向を示す図。
【図3】被処理物においてレーザー光の移動する方向を示す図。
【図4】被処理物においてレーザー光の移動方向を示す図。
【図5】被処理物においてレーザー光の移動方向を示す図。
【図6】TFTの活性層におけるレーザー光の移動方向を示す図。
【図7】マーカーの位置を示す図。
【図8】本発明の生産システムの流れを示すフローチャート。
【図9】従来の生産システムの流れを示すフローチャート。
【図10】本発明の生産システムの流れを示すフローチャート。
【図11】SLS法を用いた結晶化のメカニズムを説明する図。
【図12】SLS法を用いた結晶化のメカニズムを説明する図。
【図13】レーザービームの形状及びエネルギー密度の分布を示す図。
【図14】レーザービームの形状及びエネルギー密度の分布を示す図。
【図15】レーザー装置の光学系の図。
【図16】レーザー装置の光学系の図。
【図17】被処理物においてレーザー光の移動方向を示す図。
【図18】被処理物においてレーザー光の移動方向を示す図。
【図19】マーカーの構造を示す図。
【図20】本発明のレーザー装置の光学系の図。
【図21】本発明のレーザー装置の光学系の図。
【図22】本発明のレーザー装置の光学系の図。
【図23】本発明のレーザー装置を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図24】本発明のレーザー装置を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図25】本発明のレーザー装置を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図26】本発明のレーザー装置を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図27】本発明のレーザー装置を用いて作製された液晶表示装置の図。
【図28】本発明のレーザー装置を用いた発光装置の作製方法を示す図。
【図29】本発明の半導体装置を用いた電子機器の図。
【図30】被処理物においてレーザー光の移動する方向を示す図。
【図31】本発明のレーザー装置の構造を示す図と、被処理物においてレーザー光の移動する方向を示す図。
【図32】レーザービームの形状を示す図。
【図33】本発明のレーザー装置を用いた発光装置の断面図。
【図34】重ね合わせたビームスポットの中心軸方向におけるエネルギー密度の分布を示す図。
【図35】ビームスポットの中心間の距離とエネルギー差の関係を示す図。
【図36】ビームスポットの中心軸方向における出力エネルギーの分布を示す図。
【図37】本発明のレーザー装置を用いて作製された発光装置の断面図。
Claims (11)
- レーザー発振装置と、
前記レーザー発振装置から出力されたレーザー光の、半導体膜におけるビームスポットの形状を加工する光学系と、
前記半導体膜に形成するパターン情報を記憶する第1の手段と、
前記加工されたレーザー光の照射位置を、互いに交差している第1の方向または第2の方向に走査させる第2の手段と、
マーカーを基準として、前記記憶されたパターン情報を用いて前記半導体膜のパターニング後に得られる島状の半導体膜となる領域を特定し、前記島状の半導体膜となる領域に、前記第1の方向に走査されたレーザー光及び前記第2の方向に走査されたレーザー光が照射されるように、前記第2の手段を制御する第3の手段と、
を有するレーザー装置であって、
前記レーザー光は、前記半導体膜のうち、前記島状の半導体膜となる領域を含む一部の領域にのみ照射されていることを特徴とするレーザー装置。 - レーザー発振装置と、
前記レーザー発振装置から出力されたレーザー光の、半導体膜におけるビームスポットの形状を加工する光学系と、
前記半導体膜に形成するパターン情報を記憶する第1の手段と、
前記加工されたレーザー光の照射位置を、互いに交差している第1の方向または第2の方向に走査させる第2の手段と、
マーカーを基準として、前記記憶されたパターン情報を用いて前記半導体膜のパターニング後に得られる島状の半導体膜となる領域を特定し、前記島状の半導体膜となる領域に、前記第1の方向に走査されたレーザー光及び前記第2の方向に走査されたレーザー光が照射されるように、前記第2の手段を制御する第3の手段と、
を有するレーザー装置であって、
前記レーザー光は、前記半導体膜のうち、前記島状の半導体膜となる領域を含む一部の領域にのみ照射されており、
前記半導体膜におけるレーザー光のビームスポットの、走査する方向における幅が可変であることいることを特徴とするレーザー装置。 - 請求項1または請求項2のいずれか一項において、前記レーザー発振装置は、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライドレーザー、Ti:サファイアレーザーまたはNd:YVO4レーザーから選ばれた一種または複数種であることを特徴とするレーザー装置。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記レーザー発振装置はパルス発振のレーザーであることを特徴とするレーザー装置。
- レーザー発振装置からレーザー光を出力し、
半導体膜のうち、パターン情報によって定められる領域に、前記レーザー光を第1の方向に走査して照射した後、前記レーザー光を第2の方向に走査して照射し、
前記第1の方向と第2の方向は互いに交差しており、
前記レーザー光は、前記半導体膜のうち、前記パターン情報によって定められる領域を含む一部の領域にのみ照射されていることを特徴とするレーザー照射方法。 - レーザー発振装置からレーザー光を出力し、
半導体膜のうち、パターン情報によって定められる領域に、前記レーザー光を第1の方向に走査して照射した後、前記レーザー光を第2の方向に走査して照射し、
前記レーザー光は、前記半導体膜のうち、前記パターン情報によって定められる領域を含む一部の領域にのみ照射されており、
前記第1の方向と第2の方向は互いに交差しており、
前記レーザー光のビームスポットの形状は矩形または楕円形であり、
前記ビームスポットの長手方向の中心軸と前記第1または第2の方向とがほぼ直角であることを特徴とするレーザー照射方法。 - レーザー発振装置からレーザー光を出力し、
半導体膜のうち、パターン情報によって定められる領域に、前記レーザー光を第1の方向に走査して照射した後、前記レーザー光を第2の方向に走査して照射し、
前記レーザー光は、前記半導体膜のうち、前記パターン情報によって定められる領域を含む一部の領域にのみ照射されており、
前記第1の方向と第2の方向は互いに交差しており、
前記レーザー光のビームスポットの形状は矩形または楕円形であり、
前記ビームスポットの長手方向の中心軸と前記第1または第2の方向との角度が10°以上80°以下であることを特徴とするレーザー照射方法。 - 請求項5乃至請求項7のいずれか一項において、前記レーザー発振装置はパルス発振のレーザーであり、前記第1のレーザー光または前記第2のレーザー光の照射により、前記半導体膜が厚さ全体にわたって溶融することを特徴とするレーザー照射方法。
- 請求項5乃至請求項8のいずれか一項において、前記レーザー発振装置は、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライドレーザー、Ti:サファイアレーザーまたはNd:YVO4レーザーから選ばれた一種または複数種であることを特徴とするレーザー照射方法。
- 請求項5乃至請求項7のいずれか一項において、前記レーザー発振装置は連続発振のエキシマレーザー、ArレーザーまたはKrレーザーから選ばれた一種または複数種であることを特徴とするレーザー照射方法。
- 請求項10において、前記レーザー光は第2高調波であることを特徴とするレーザー照射方法。
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