JP2004087483A - 基板の自動検査システムと方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】X線マスクや同等の導電基板を荷電粒子を使用して安価に且つ自動的に検査する方法を提供すること。
【構成】基板の位置を測定することにより、荷電粒子ビームを前記基板上に正確に位置付ける。測定された前記基板の所望位置に前記荷電粒子ビームを偏向させる。基板表面の前記所望位置を前記荷電粒子ビームでスキャンする。その結果として、基板の上面と底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する。以上のステップにより、荷電粒子を用いて基板を自動検査する。
【選択図】 図4
【構成】基板の位置を測定することにより、荷電粒子ビームを前記基板上に正確に位置付ける。測定された前記基板の所望位置に前記荷電粒子ビームを偏向させる。基板表面の前記所望位置を前記荷電粒子ビームでスキャンする。その結果として、基板の上面と底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する。以上のステップにより、荷電粒子を用いて基板を自動検査する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超小型電子回路の作成に使用される種々の記述基板の自動検査に関し、特にX線リソグラフィーに使用されるマスクの検査に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
適正な歩留りを有する超小型電子回路の生産に必要な条件は、製造プロセスで使用されるマスクに欠陥がないことである。過去12年間に多くのシステムが、光学マスクの自動検査に対して開発され、特許されてきた。例えばU.S.P.4,247,203 号及び4,805,123 号を参照して下さい。これらのシステムでは、フォトマスク或いはレチクル上の二つの隣接するダイ間を比較している。同様に、技術の進展によってレティクル上のダイを検査するのにCAD(Computer Aided Design)のデータベースとダイとを比較することによって達成する方法がもたらされた。U.S.P.4,926,487 を参照。しかしながら、X線マスクの欠陥は可視或いは紫外スペクトルでは見えないので、この様な光学システムは光学マスクに限定されている。更に光学検査は、基本的な回折限界によりその解像度に限界があり、その回折限界によりもちろん光学リソグラフィーも制限されている。位相シフトマスク技術を用いても、光学リソグラフィー技術では0.35ミクロン以下の線幅は達成できず、X線リソグラフィーを用いるとそれよりも小さな線幅を達成できることが予想されている。
【0003】
X線マスクの検査として、走査型電子顕微鏡技術が使用されることが期待されている。最近各会社は従来の電子顕微鏡をX線マスク検査に使用することを実験している。これらの実験において欠陥を検出することに成功しているが、従来の電子顕微鏡を用いると検査に時間がかかり、かつ非常に高度の熟練したオペレータを必要とする。このような2つの観点からその様なシステムを半導体製造に使用することは実際的でない。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の好ましい実施例には、荷電粒子を用いて基板の検査を自動的に行うシステムが開示されていて、そのシステムは、荷電粒子ビームを基板表面に向ける荷電粒子光学コラムと、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器と、前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステージと、前記基板の第1の部分を前記基板の第2の部分と比較するコンピュータと、を具備する。
【0006】
本発明の別の好ましい実施例には、荷電粒子を用いて基板の検査を自動的に行う方法が開示されていて、その方法は、荷電粒子光学コラムを使用して、荷電粒子ビームを基板表面に向けるステップと、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出するステップと、前記基板を保持するステージを連続的に移動して、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステップと、コンピュータを使用して、前記基板の第1の部分を前記基板の第2の部分と比較するステップとを具備する。
【0007】
本発明の更に別の実施例には、荷電粒子を用いて基板の検査を自動的に行うシステムが開示されていて、そのシステムは、荷電粒子ビームを基板表面に向ける荷電粒子光学コラムと、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器と、前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステージと、前記ステージの位置を決定する干渉計とを具備する。
【0008】
前記基板上の荷電粒子ビームの位置を制御する偏向コントローラを更に具備していてもよい。
【0009】
前記偏向コントローラは、前記干渉計から取り出された情報を使用して前記荷電粒子ビームの位置を制御することができる。
【0010】
本発明の更に別の好ましい実施例には、荷電粒子を用いて基板の検査を自動的に行う方法が開示されていて、その方法は、荷電粒子ビームを基板表面に向けるステップと、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出するステップと、前記基板を保持するステージを連続的に移動して、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステップと、干渉計を使用して、前記ステージが連続移動している間に、前記ステージの位置を決定するステップとを具備する。
【0011】
偏向コントローラを使用して、前記基板上の荷電粒子ビームの位置を制御するステップを更に具備していてもよい。
【0012】
また、前記偏向コントローラは、前記干渉計から取り出された情報を使用して前記荷電粒子ビームの位置を制御することもできる。
【0013】
本発明の更に別の好ましい実施例には、荷電粒子を用いて基板の検査を自動的に行うシステムが開示されていて、そのシステムは、荷電粒子ビームを基板表面に向ける荷電粒子光学コラムと、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器と、前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステージと、前記基板の第1の部分をデータベースから選られる画像データと比較するコンピュータとを具備する。
【0014】
本発明の更に別の好ましい実施例には、荷電粒子を用いて基板の検査を自動的に行う方法が開示されていて、その方法は、荷電粒子光学コラムを使用して、荷電粒子ビームを基板表面に向けるステップと、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出するステップと、前記基板を保持するステージを連続的に移動して、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステップと、コンピュータを使用して、前記基板の第1の部分をデータベースから得られる画像データと比較するステップとを具備する。
【0015】
【作用及び発明の効果】
本発明は、製造現場のX線マスクや同様な導電基板を自動的に検査する荷電粒子ビームを用いた経済的に実現できる検査システムを提供する。以下の説明では電子ビームが使用されるが、同様の技術が他のタイプの荷電粒子ビームに適用でき、したがって以下に示される電子ビームだけに限定されるものではない。本発明は、X線マスク、電子ビーム近接マスクやステンシルマスクの検査に対して有用に使用されるが、ここに開示される技術は任意の導電物質の高速電子ビームイメージングに適用可能であり、更にマスクやウェハーの製造でフォトレジストを露光するための電子ビーム書込みに対しても有用である。
【0016】
現在の走査型電子顕微鏡は、非常に遅いスキャンスピードを有し且つ通常の技能を越えたオペレーターの技能を必要とするので、経済的に実行可能な要求を満たすことはできない。
【0017】
本発明の新規な特徴は、種々のタイプの欠陥を検出できるとともに、それらの欠陥を区別できる能力である。散乱電子、透過電子や二次電子を同時に検出でき且つそれらを区別できる本発明によれば、欠陥を即座に分類できる。例えば、X線マスク上の伝達検出器のみにより検出される欠陥は、たぶん吸収物質によって存在しないものとなる。二次電子検出器によっては検出されるが後方散乱電子検出器では検出されない欠陥は大部分有機粒子であり、後方散乱電子検出器により検出される欠陥は大きい原子量を有する汚染物質である。X線マスク上の有機汚染物質のようなある種の欠陥はウェハー上にプリントされないので、種々のタイプの欠陥を区別できる能力は本発明の重要な利点である。この様に本発明によれば、欠陥を検出できるだけでなく、それらの欠陥を区別できる。
【0018】
このシステムは、半導体製造に適した多くの技術を使用する。汚染物質が掻き回されるのを防止するために、真空排気スピードと真空から常圧に戻す加圧スピードが制限され、気体の流れが層流の状態に保たれる。時間を節約するために、これらの動作は他のサンプルのスキャンと同時になされる。生産的でない時間を更に減じるために、6個の場発生源がタレット上に設けてある。最後に、通常オペレーターにより操作される電子ビームの主な調整は、コンピュータによりなされ、比較的技能の低い者でもシステムを使用できる。
【0019】
【実施例】
図1には本発明の検査システム10の全体のブロック図が示されている。システム10では、X線マスクや他の導電基板の自動検査装置が示されていて、そのセンサーとして走査型電子顕微鏡が使用されている。
【0020】
この検査システムは2つの動作モード、即ちダイ・ダイとダイ・データベースとを有している。両方のモードにおいて、欠陥は、マスクをスキャンすることにより導かれる電子ビーム像を基準と比較することにより検出される。ダイ・ダイ検査では、同じマスクの2つのダイからの信号が互いに比較され、一方ダイ・データベース検査では、電子顕微鏡から導かれる一つのダイからの信号が、ダイを作るのに使用されたデータベースからの信号と比較される。
【0021】
検査されるマスク57はホルダーに保持され、そのホルダーはマスクハンドラー34によってx−yステージ24上の電子ビームコラム20の下に自動的に位置付けられる。これはシステムコンピュータ36によってマスクハンドラー34に命令を送ることによって達成され、マスク57上のフラットやノッチ59(図2及び3を参照)を自動的に検出してハンドラー34でマスク57を適切に方向付けながら対象マスク57をカセットから取り出す。マスクはそれからコラム20にロード(装填)される。次に、オペレーターは光学アライメント系22を通してマスクを直接観察しつつ、マスク上の位置合わせ点を探し且つ確認(オペレータはマスク上のある特徴あるパターンを使用してこの作業をして良い。)する。これによって、ステージのx方向への移動がマスク上の検査領域のx軸と実質的に平行になっているのを見届ける。即ちマスク上ではこの様にして求められた領域が検査対象領域になる。これで粗いアライメント(位置合わせ作業)が終わる。
【0022】
オペレータは続けて最終のアライメントを行う。オペレーターは電子ビームにてマスクをスキャン(走査)し、画像ディスプレイ46に現れる像を観察する。それからすべての位置合わせ関連データをアライメントコンピュータ21に保存する。このコンピュータは、システムコンピュータ36と協調して作動し、x軸とy軸に沿った実際の総合的なあるべきx、y動作を計算する。これによってこの先オペレーターの位置合わせ作業は同一マスクに関しては一切不要になる。マスクの位置整合が正しくとれた時点で検査工程の初期条件は整ったことになる。
【0023】
コラム20とその光学アライメントシステム22、アナログ偏向回路30と検出器32は、以下に詳細に説明されるように、電子ビームをマスク57に入射させ、二次電子、後方散乱電子及びマスク57を透過する電子を検出する。上記作業の展開とデータの収集は、勿論コラム制御コンピュータ42、ビデオフレームバッファ44、画像捕獲(アクイジション)前置プロセッサ48、偏向コントローラ50、メモリブロック52の支援があって初めてなされるのである。VMEバス、即ちVME1,29はサブシステム間の通信リンクとして機能する。
【0024】
マスク57の検査期間におけるステージ24の位置と移動は、偏向コントローラ50、メモリブロック52とアライメントコンピュータ21の制御のもとで、ステージサーボ26と干渉計28とによって制御される。
【0025】
比較モードがダイ・データベースである場合には、メモリブロック52と通信しているデータベースアダプター54は、期待されたダイフォーマットと等価である信号源として使用される。
【0026】
実際の欠陥処理は、ポストプロセッサ58と結合している欠陥プロセッサ56によって、メモリブロック52のデータに基づきなされる。ポストプロセッサ58と欠陥プロセッサ56間の通信は、バスVME2 31を介してなされる。
【0027】
全体のシステムの動作は、イーサネットバス(Ethernet bus)に類似しているデータバス23を介して他のブロックと通信を行いながら、システムコンピュータ36、ユーザキーボード40とコンピュータディスプレイ38によってなされる。エザーネットはゼロックス会社の商標である。
【0028】
次に、図2にはダイ・データベースモードでの検査を行う本発明のスキャンパターンが示されている。ここではマスク57上に一つのダイ64が示されている。ダイ64内には検査すべき関心領域65或いは重要領域が存在する。この領域はマスク57上に重要な情報が記録されている領域である。ダイ64の検査をしているときに、x軸方向のスキャン移動は移動ステージ24によりなされ、y軸方向の移動は図示されたスオーシュ(刈り幅)60と同じ広さを有する各スオーシュ内に電子ビームを偏向することによりなされる。検査スオーシュがダイ64の右側に達すると、ステージ24は全体のスオーシュ幅以下でy方向に移動される。マスク57のx−y座標系はステージ24とコラム20のx−y座標系に正確に一致しないので、ステージ24の実際の移動とコラム20のビーム偏向は、それぞれ、ダイ64のスキャンの間にxとy成分をもつ。
【0029】
関心領域65を十分に検査するために、検査はパターン62を前後に移動して行われる。パターン62によって示される各軌道は、図示されたスオーシュ60の幅を有する隣接スオーシュとわずかに重なるスオーシュである。
【0030】
ダイ・データベースモードでは、各スオーシュに対応する信号が、完璧ダイの対応するスオーシュに対するデータベースアダプター54からのシミュレーションされた信号と比較される。この処理は、次のダイが検査される前に検査すべき関心領域65の各スオーシュに対して繰り返される。
【0031】
図3はダイ・ダイ検査のスキャンパターンを示していて、マスク57は左から右にダイ68、70、66を有している。この検査モードでは、図2に示されたものと同様に、前後に移動されるスキャンパターン63が使用されている。しかし、検査モードはダイ・ダイモードであるので、ステージ24は、3個のダイが各スオーシュに沿ってx軸方向に移動されるまでy方向には進行されない。
【0032】
このモードでは、ダイ68の第1パス(行程)のデータはダイ70の第1パスのデータと比較するためにメモリブロック52にストアされる。ダイ68とダイ70とが比較されている同じときに、ダイ70のデータは、ダイ66の第1パスからのデータと比較するためにメモリブロック52にストアされる。次に第2のパスへ進む、即ちリターンすると、パスの順序は逆になり、ダイ66の第2のパスからのデータはダイ70からのデータと比較するためにストアされ、ダイ70からのデータはダイ68の第2のパスからのデータと比較するためにストアされる。この検査と比較のパターンは、マスク57の関心領域の全てを検査するに必要な回数ほど繰り返される。
【0033】
より詳細には、ダイ・ダイモードを使用して、電子ビームがダイ68と70のスオーシュをスキャンすると、3種類の検出器からの信号33が取得前置プロセッサ48に送られ、メモリブロック52にストアするためにデジタル信号に変換される。ダイ68、70からのデータが欠陥プロセッサ56に同時に送られると、2つのデータ間の重要な不一致が欠陥として指定される。次に欠陥プロセッサ56からの欠陥データを蓄積してポストプロセッサ53に送られ統合される。ポストプロセッサは、欠陥のサイズや種々の特性を決定し、その情報をシステムコンピュータ36がバス23を介して利用可能な状態にする。
【0034】
ダイ・データベース検査モードでは、システム10は上記と同様に動作するが、メモリブロック52が一つのダイからのデータを受信する点、欠陥プロセッサ56での比較のための参照データがデータベースアダプター54によって提供される点が異なっている。
【0035】
全てのマスクが検査されると、欠陥のリストと共にその位置がコンピュータディスプレイ38に表示され、オペレーターはキーボード40によって欠陥見直しを開始できる。この命令に応答して、システム10は各欠陥の周囲をスキャンし、オペレーター用にその像をディスプレイ46上に表示する。
【0036】
スキャン光学
あるキー要素とコラム20の特別な設計によって、殆ど100倍以上の画像形成スピードが達成される。高速の画像形成スピードを達成する際にまず真っ先に必要な条件は、より高いビーム電流である。というのはS/N比を考慮することが画像形成スピードにおける基本的制限であるからである。本発明では、高輝度の熱放射場源が、鋭角の非常に高いビーム強度と非常に高いビーム電流を生成するのに使用されている。しかし、電子電流が高いとクーロン相互反発作用が発生する。このことを解決するために、高電場はカソードの近傍に形成され、ビーム系がまた急速に拡大される。コラムの設計には、その領域における電荷密度を上昇させる電子のクロスオーバーがないようにし、クーロン反発作用問題を少なくするために大きな開口数が使用されている。
【0037】
マスクを高速度、例えば100メガピクセルでスキャンするための要求に対して、検出器は、二つの連続するスキャンピクセルからの二次(リターン)電子を一時的に分離することができる。このことは、各ピクセルのドウェル時間に比較して、到着時間があまり広がっていないことが要求されていることを意味する。各ピクセルでの到着時間の広がりを少なくするために、電子はターゲットを離れた後にすぐに加速される。検出器での到着時間の広がりは結果として約1ナノ秒に維持される。到着時間の広がりを更に少なくするために、逆バイアスされた高周波ショットキーバリア検出器が、検出されるべき各タイプの電子に対して用いられる。このショットキー検出器は単に例として示されたのであって、使用可能な他のタイプの半導体検出器を使用してもよい。
【0038】
電子光学
電子光学サブシステムは、走査型電子顕微鏡に機能的には似ている。それには、スキャン電子ビームプローブと、マスク表面の像形成に必要な二次電子、透過電子と後方散乱電子検出素子が設けられている。検査の間、電子ビームはある方向にスキャンされ、一方ステージはそれに直角な方向に移動される。低電圧の二次電子、高エネルギーの透過電子或いは後方散乱電子のいずれかがビデオ信号を生成するために使用され、その信号はデジタル化されて長短スオーシュ像の形でストアされる。高解像度の自動化された欠陥検出への応用がユニークであるばかりでなく、この光学システムの新規な点は、検査に必要な解像度で高速かつ低ノイズの像を得るのに使用されている新規な技術と従来の技術とを組み合わせている点である。
【0039】
ビームは、典型的には、非常に高速な5マイクロ秒周期ののこぎり波掃引を使用して、512ピクセル(18−100μm幅)のフィールドをスキャンする。偏向は歪みを発生することはなく、表面にほぼ垂直であり、従って画像特性はスキャンフィールドで一様である。
【0040】
検出は効果的に行われ、プローブ中の各電子により発生される二次電子の大部分が像形成に使用される。検出システムのバンド幅は、短い走行時間効果によりピクセルレイトに匹敵している。二次電子は共軸で抽出されるので、エッジがマスク上でどのような方向を向いていようとも、エッジ形状の正確な画像が得られる。
【0041】
図4は、光学システムの要素と、その機能を理解するために必要な関連するある電源を示している。電子銃は、熱放射場カソード81、放射制御電極83とアノードアパーチャを有するアノード85とからなる。カソード81は、電源99によって−20KeVのビーム電圧に保持されている。カソード81の表面の電界強度に依存するエミッション電流は、カソード81の電圧に関して負であるバイアス供給源91に接続された電極83の電圧によってコントロールされている。カソード81は電流源93によって加熱される。カソード81の近くの磁気コンデンサレンズ95は電子ビームをコリメートするために使用される。上部の偏向システム97は、アラインメント(位置整合)、スチグメーション(無非点収差)及びブランキングのために使用される。この光学系には更に、数個のホールからなるビーム制限アパーチャ99が設けられている。ビーム100は一対の静電気プレレンズ偏向器101、103によって偏向され、ビームは対物レンズ104上の点の回りに収束される。対物レンズ104は下部極片106、中間電極107と上部極片105とからなる。ビームは結局、マスク57上を中心に遠隔操作されてスキャンされる。殆ど平行なビームが対物レンズ104によって再度収束され、マスク57を照らす1x倍に拡大された像を形成する。
【0042】
二次電子イメージモードでは、二次電子が対物レンズ104を通って上の方に取り出される。ステージ24、マスク57と下部のレンズ極片106は電源111によって数百ボルトの負の電位にフローティングされていて、その結果二次電子は偏向器112と113を通る前にこのエネルギーに加速される。中間電極107は、電源115によってステージに関して正にバイアスされていて、マスクを離れるとすぐ電子を加速し、基板の欠陥領域から発生する二次電子を効率よく集める目的で使用される。フローティングステージ24と中間電極107の組み合わせにより、二次電子検出器117への電子走行時間のムラが実質的に除去される。二次電子はレンズ104を通って再び後方に戻るので、帰還二次電子はウイーンフィルタとして機能する偏向器113、112によって検出器117の方に偏向される。ここで、リターンビームは検出器117のアノード118に接続された電源119により高エネルギー状態に再加速され、二次電子を増幅に充分なエネルギーレベルでショットキーバリア固体検出器117に衝突させる。検出器ダイオード117は電源121により逆バイアスされている。検出器ダイオード117からの増幅信号は前置増幅器122に送られ、そこからビデオ取得前置プロセッサ48と関連する電子回路とに、図1の信号33の二次電子コンポーネントである高電圧絶縁ファイバ光学リンク125を介して送られる。
【0043】
部分的に透明な基板の検査を可能とするために、透過電子検出器129がステージ24の下に設けられている。透過電子はマスク57を高エネルギーで通過し、再加速を必要としない。上部素子123、中央素子124と下部素子127とからなる透過静電レンズが、透過電子ビームをショットキーバリア固体検出器129による検出に適した径に広げるために使用される。電極123はステージ24と同じ電位に保持され、一方電極124は電源114により0から−3KVに保持される。透過電子検出器129からの信号は増幅器133により増幅され、図1の信号33の透過電子コンポネントであるファイバ光学リンク135により伝送される。
【0044】
光学システムはまた、一次電子とほぼ同じエネルギーレベルで基板表面を離れる後方散乱電子の収集を可能とするように設計されている。後方散乱電子検出器160は、一次電子がそれを通過できるホールを有している点を除いて検出器117に類似したショットキーバリアダイオード検出器である。後方散乱信号は前置増幅器162により増幅され、また前置プロセッサ48に送られる。
【0045】
図5は、コラム20内及びマスク57の下の種々の電子ビーム通路(パス)の概略図である。電子はフィールドエミッションカソード81から径方向に放射され、非常に小さな輝点源から発生したように見える。加速場とコンデンサレンズの磁場との結合した作用の基で、ビームは平行ビームにコリメートされる。ガンアノードアパーチャ87は使用できない角度で放射された電子を阻止し、一方残りのビームはビーム制限アパーチャ99に入射する。図4の上部偏向器97は最終のビームが丸くなり、図4の素子105、106、107からなる対物レンズの中心を通ることを保証するためにスチグメーションとアライメント用に使用される。図4のコンデンサレンズ95の中心は、カソード81と制限アパーチャ99により規定された軸に機械的に一致している。偏向作用により、電子は示されたパスを通り、その結果スキャンされ収束されたプローブ、即ち基板の衝突点のビームは対物レンズ104から出てくる。
【0046】
スキャンビーム100の径とその電流は、数個のファクターにより決定される。放射源からの角エミッション(1.0mA/ステラジアン)と、最終アパーチャ99により規定されるアパーチャ角は、ビーム電流を決定する。プローブ径は両レンズの収差によって決定され、両レンズは球面収差と色収差を小さくするために高励起(フィールド幅/焦点距離)に対して設計されている。ビームの相互作用効果(個々のビーム電子間の反発による統計的ぼけ)は、マスク57上のプローブサイズの半分を占めるこのような高電流システムにおいて重要である。これらの効果は、中間的クロスオーバーを避け、40cmの短いビームパスを使用し、電子源及びマスク57において比較的大きな半角のレンズを使用することにより小さくできる。所定のビームスポットを得るために、アパーチャ径は、最大可能電流を供給しながらこれらの効果をバランスさせるように選択される。ビーム源からのビームを拡大したり或いは縮小したりするためにレンズ強度を変化させることは可能であるが、この様なシステムでは、スポットサイズがアパーチャを使用してまず調整される。
【0047】
図4のウイーンフィルタ偏向器113は、高エネルギーのスキャンビーム100に殆ど影響を与えないで、約100eVの二次電子ビーム167を偏向する。ウイーンフィルタは、静電的8極偏向器112と4極磁気偏向器113からなり、互いに直角に電場と磁場をクロスするように配置されている。帰還二次電子は両方の場によって側方に偏向される。しかしながら、一次スキャン電子100は反対方向に移動しているので、ウイーンフィルタが二次ビーム167を広角に偏向しても、ウイーンフィルタが一次スキャンビーム100に力を及ぼさないようにこれらの場の強度を選択しなければならない。ウイーンフィルタと呼ばれているものは共軸抽出に対して効果的に使用される。二次電子偏向器117のアノード118は、再加速の間にビーム167が固体検出器117のコレクタに集められ収束されるような形状をしている。
【0048】
図5には、検出される透過電子と後方散乱電子のパスが示されている。後方散乱電子を検出するために、ウイーンフィルタ112、113のみがオフされ、従って、これらの電子は同じパスを通ってシステムの上方に進み、環状の後方散乱検出器160へ至る。透過電子は、マスク57と図4の電極システム123、124を通過し、透過電子検出器129の表面を満たすように広がった後、高エネルギーで検出器129に衝突する。
【0049】
図6に示すように、制限されたカソード寿命に対する電子銃の寄与を少なくするために、電子銃構造は高電圧に浮いている6角形の回転タレット137上に設けられた6個のカソード/制御電極構成を含んでいる。各構成はアノード87上の位置に回転され、図4の適当な電源91、93と電気的接触を保ちながらその位置にロックされる。
【0050】
図4の前置レンズ偏向器101、103からなる静電的偏向システムは、高スピードの鋸波偏向電圧によって駆動される非常に均一な場を必要とする。その構造は、モノリシックなセラミック/メタル構成であり、エッチングされて20個の偏向プレートを形成している。4個のドライバが各2つのステージに対して必要であって、ステージ24とマスク57の座標システムとマッチするように回転されるスキャンを達成する。
【0051】
自動チューニングとセットアップが、オペレーターの操作を簡略化するために設けられている。レンズと偏向/スチグメーション素子と全ての高電圧制御源はDAC制御の下にあり、図1のようにコラム制御コンピュータ42にインターフェースされている。種々の場合に、特定の機能に対する偏向比と静電プレート電圧を調整するルーチンは、コラム制御コンピュータ42に内在していて、ガン制御とセットアップは、定格値に基づいていて、エミッション電流、アパーチャ電流と電源設定にたいするA/Dフィードバックを使用して適用可能なルーチンによって変更される。
【0052】
ビームをセンターに位置付けるには、レンズ電流が変化したときに偏向を除去する他の公知のルーチンに基づいてなされる。これらの操作は、2軸フレームスキャン機能によってイメージされる特定のテストサンプルを使用していて、それらはアラインメントと検査に必要な画像分析能力を利用する。焦点はマスクの高さの変化を補償するために自動的に維持され、一方スチグメイションが検査の前になされる。これらのルーチンは、取得前置プロセッサ48とそれに関連した電子回路を使用した、画像のコントラストと調和内容の解析に基づいている。
【0053】
本発明では、光学系の定格動作状態は20KeVのビームエネルギーを使用し、ビーム電流とスポットサイズの関係は、0.05μmでの300nA から0.2 μmでの1,000nA まで変化する。スキャンスピードは、100 メガピクセル/秒で画像形成される512ピクセルスキャンフィールドを使用して5マイクロ秒である。検出器117のダイオード電流増幅率は、5KeVでの約1000から20KeVでの5000である。全体のシステムは、0.05μmスポットを使用する100 メガピクセル/秒で約14%のエッジコントラスト以上のサンプルに対してこの動作状態領域以上を達成する。取得電子回路は、1以上のスキャンラインを集積化するために設けられ、低バンドで記録されるべき低コントラストの像と高解像度の像が得られる。
【0054】
欠陥プロセッサ
ダイ・ダイ検査の場合には、欠陥プロセッサ56の機能は、ダイ68から導出された画像データをダイ70から導出された画像データと比較することであり、ダイ・データベース検査の場合には、ダイ64から導出された画像データをデータベースアダプター54から得られるデータと比較することである。欠陥プロセッサ56のルーチンと基本的構成は、米国特許第4,644,172 号に開示された欠陥プロセッサと略同じである。米国特許第4,644,172 号は、1987年2月17日に発行され、本出願の出願人に譲渡された、サンドランド等による”自動ウェファ検査システムの電子制御”であり、欠陥を決定するのに3つのパラメータを使用している。一方、本発明の4つのパラメータを使用している。
【0055】
ダイ・ダイ検査或いはダイ・データベース検査のどちらも、メモリブロック52から全てのデータを得ていて、そのデータは各検出器に対してピクセル当たり6ビットの形式を使用している。欠陥プロセッサ56では、下記の4つのパラメータが2入力の各検出器の各ピクセルに対して決定される。
【0056】
a. I:ピクセルのグレイスケール値
b. G:グレイスケールピクセルの傾きの絶対値
c. P:グレイスケール値の傾きの位相又は向き
d. C:局所的傾き関数の輪郭の曲率
グレイスケール値は、特定のピクセルに対するメモリブロック52の単なる値である。傾きの大きさと傾きの方向は、まずxとyの通常の演算子成分を計算して得られる。
【0057】
【数1】
従って傾きの大きさは[(Sx )2 +(Sy )2 ]1/2 であり、方向は tan−1(Sx /Sy )である。
【0058】
曲率は以下のように定義される。
【0059】
【数2】
ここで、係数aijは状況に依存して選択されるパラメータの組であり、Rijは以下のように定義される
【数3】
ここで、Iijは、画像のi番目の列とj番目の行におけるピクセルのグレイスケール値であり、aijとbklは経験的に得られるパラメータである。
【0060】
好ましい実施例における代表値は以下の通りである。
【0061】
【数4】
上述した方法で、量I,G,P,Cは画像の各ピクセルに対して定められる。ダイ68の所定のピクセルAに対して、これらのパラメータはダイ70の対応するピクセルBのパラメータと比較され、更にピクセルBに隣接する8個のピクセルのパラメータと比較される。もしもピクセルBに隣接する各ピクセルに対して、少なくとも一つのパラメータがピクセルAの同じパラメータと所定の許容誤差以上の値だけ相違していると、ピクセルBは2つのダイの欠陥と見做される。
【0062】
同様にして、ダイ70の各ピクセルのパラメータはダイ68の対応する隣接ピクセルのパラメータと比較され、その結果適当なピクセルが欠陥を有していると見做される。
【0063】
このアルゴリズムの物理的実行は、上述の米国特許第4,644,172 号に開示されたパイプラインロジックでなされる。行列演算は、100 メガピクセル/秒の速度で欠陥データを計算できるパイプライン計算システムに接続されたApplication Specific Integrated Circuit (ASIC)で実行される。
【0064】
偏向器コントローラ
ダイ・ダイモードでは、偏向器コントローラ50の機能は、ダイ68の各スオーシュ60内の等距離グリッド点に電子ビーム100を位置付けることである。この結果、検出器129、160、117の出力は、ダイ70の対応する位置における同じ検出器の出力と比較される。同様に、ダイ・データベースモードでは、データベースアダプター54から得られるシミュレートされた画像は、ダイからの検出器117の出力と比較される。偏向器コントローラ50は、図7と以下の説明に示されるように、ステージ24と電子ビーム100の位置を制御してこれを実行する。
【0065】
スオーシュにおける第1のダイ1をスキャンする場合には、アライメントコンピュータ21の出力はゼロに設定される。というのは、第1のダイの第1のスオーシュをスキャンする期間には、ミスアライメントは存在しないからである。従って、この期間に、偏向器コントローラ50はコラムコンピュータ42からのみ命令を受ける。これらの命令と、x,y干渉計28から得る位置データに基づいて、偏向器コントローラ50は、ステージ24の望ましい移動を計算し、その対応する信号をステージサーボ26に送ってステージ24を移動させる。偏向器コントローラ50は、同様にしてビーム100の所望の偏向を計算し、これらのデータをアナログ偏向器回路30に送る。ステージ24が移動すると、その位置はx−y干渉計28によって定常的にモニタされ、所望のステージ位置からの不一致が決定され、偏向器コントローラ50によりステージサーボドライブ26に帰還される誤差信号を生成するのに使用される。ステージ24の高慣性のため、これらの誤差信号はステージ位置の高周波誤差を修正することはできない。x,y方向の高周波誤差は、偏向器コントローラ50により計算される電子ビーム100の偏向によって修正される。偏向器コントローラ50はこれらの信号をデジタル形式でアナログ偏向回路30に送る。
【0066】
ビーム100がダイ68をスキャンするとき、グレイスケール値はメモリブロック52にストアされている。電子ビーム100がダイ70をスキャンし始めるとすぐに、これらの値はまたメモリブロック52にストアされ、すぐにまた欠陥プロセッサ56とアライメントコンピュータ21に送られる。アライメントコンピュータ21では、ダイ68とダイ70からの2つのデータは、アライメント(位置整合)のために比較される。もしも位置整合していない場合には、位置整合修正信号が発生され偏向器コントローラ50に送られる。この位置整合信号はバーニア調整(微調整)として使用され、マスク57の調整位置にビーム100を位置付ける。
【0067】
ダイ・データベースモードでは、偏向器コントローラ50は、ダイ・ダイモードでの機能とほぼ同様に働くが、データベースアダプター54の出力がスオーシュの第1のダイから得られる入力画像に置き代わる点が相違している。
【0068】
偏向器コントローラ50はまた、ステージ24の動き、スピードと方向と共に電子ビーム偏向のパラメータを計算し規定する。
【0069】
アライメントコンピュータ
アライメントコンピュータの機能は、グレイスケール値の形式で2つのデジタル画像を受けて、ピクセル距離のずれの形式で、画像間の位置整合からのずれを決定することである。これらのアライメント計算の好ましい実施例は、米国特許第4,805,123 号に開示されている。この米国特許は1989年2月14日に発行され、本願と同じ譲受人に譲渡されていて、Specht等による”Automatic Photomask and Reticle Inspection Method and Apparatus Including Improved Defect Detector and Sub−System”である。この好ましい実施例では、位置整合修正信号51は全体の関心領域に亘って連続的に計算される。または、マスク57上の少数の特定特徴点を選択し、これらの特徴点でのみ位置整合のずれを計算してもよい。この場合、スキャンプロセスでアライメントは急速には変化しないと仮定している。後者の場合には、フォースコンピュータ会社(Force Computer, Inc.)のモデルCPU 30ZBE のような単一ボードコンピュータが位置整合(アライメント)計算を実行するために使用される。
【0070】
アナログ偏向
アナログ偏向回路30は、図4の20極プレート101、103に対してアナログランプ機能を発生する。このサブシステムの動作は図9に示されている。偏向コントローラ50からのデジタル信号はスロープDAC230によりアナログ電圧に変換され、その出力はランプ発生器232に導かれる。ランプの振幅はDAC234を使用して可変にでき、一方オフセットはDAC236によりコントロールされる。サンプルホールド回路238、240は、それぞれ、ランプのスターととエンドを規定するために使用される。高電圧で低ノイズのドライバが波形を増幅し、ダイナミックレンジが±180Vのランプを発生する。このランプは偏向器プレート101、103に印加される。
【0071】
メモリブロック
メモリブロック52は3個の同一なモジュールからなり、各モジュールは偏向器117、129、160の各タイプの異なる一つに対応している。図10に示すように、概念的にメモリブロック52の各モジュールは2つの先入れ先出方式(ファイフォ First In − First Out) メモリからなる。第1のファイフォはダイ68から得られる全体のスオーシュの各検出器に対応したグレイスケール値をストアし、一方、第2のファイフォはより短くて、ダイ70の数スキャンにのみ対応した各検出器に対するグレイスケール値をストアする。これら2つのファイフォからの出力は欠陥プロセッサ56とアライメントコンピュータ21に送られる。各ファイフォは100MHz の速度で動作し、検出器当り8ビットで各ピクセルのグレイスケール値をストアする。
【0072】
メモリは、その入力レジスタ302に、各種検出器に対する取得プリプロセッサ48から並列に送られてくる8バイトを受け取る。シフトレジスタのように働く入力レジスタ302は、入力レジスタの8セクションが一杯になるまで、8バイトを右にシフトし、そして他の8バイトを受けとる。入力レジスタの8セクションが一杯になると、64バイトがメモリ303にクロックで送られる。
【0073】
これを実行するのはDRAM303である。通常128メガバイトがシステムに使用される。
【0074】
画像捕獲(アクイジション)前置プロセッサ
画像捕獲前置プリプロセッサ48は、各検出器117、160、129からのアナログ信号を変換し、これらを100MHz の速度で8ビット値にデジタル化し、メモリブロック52に蓄積するために出力信号をリフォーマットする。
【0075】
画像捕獲前置プロセッサ48は3個の同一のモジュールからなり、その内の一つが図11に示されている。各モジュールは対応する検出器からの出力を受けとり、その出力をADC(A/D変換器)9により8ビットにデジタル化し、それを多重スキャンインテグレーター11に送る。多重スキャンインテグレータ11の目的は、ノイズを減少させるために同じピクセルからのグレイスケール値を平均化することである。この様な状況下において、ピクセルは再びスキャンされ、例えば数回再びサンプル化される。その得られた結果はそのピクセルの平均値である。この値はシフトレジスタ13に送られる。そのシフトレジスタ13は、メモリブロック52に8バイトを並列に送る前にその8バイトをシリーズに受けとる。
【0076】
干渉計
ステージ24のxとyの位置は、Teletrac TIPS V のようなx−y干渉計28によってモニタされる。その位置は28ビットに規定され、最下位ビットは約2.5 ナノメータに対応する。
【0077】
システムコンピュータ
システム10の全体の制御はシステムコンピュータ36によってなされ、システムコンピュータ36によりハウスキーピングタスクを含めて種々のステップシーケンスが順序だってなされる。シーケンスの各イベントはプログラムされた時間に達成され、コンピュータ36のスループットを最大にするために多数のコンフリクトしないシーケンスが同時になされる。
【0078】
コンピュータ36により達成されるルーチンは、システムとユーザとの相互通信が、関連したマウスやトラックボールポインティング装置を有するキーボード40か或いはリモートコンピュータでのデータ通信によりなされるように設計されている。ローカル通信に対しては、コンピュータディスプレイ38がシステムコンピュータ36からのグラフィックやテキストを表示する。
【0079】
システムコンピュータ36のルーチンは、4つの通信タスクに組織化されている。
【0080】
1.コラムコントロールコンピュータ42、ポストプロセッサ58、マスクハンドラー34との全ての通信がなされるマスタータスク。このタスクはまた、レンズセッティング、真空圧、ビーム電流等のマシーン動作パラメータを記録しているシステムコンピュータ上のファイルを保持している。
【0081】
2.コンピュータディスプレイ38上のディスプレイを管理し、キーボード40とマウス入力を扱うユーザインターフェースタスク。このタスクは、データファイルを変更したり、アクションを開始するためにメッセージをシステムの他の部分に送ることによって、ユーザキーボード40とマウス入力に応答する。
【0082】
3.マスタタスクを介してコラムコントロールコンピュータ42へ画像取得スオーシュの記述を送る検査タスク。
【0083】
4.キーボード40からのコマンド入力を受入れ可能なコマンド言語解釈タスク。このタスクはまた、繰返し動作の自動スケジュールを可能とするタイマーを管理する。更に、このタスクは、全てのマシーン動作とその動作が生じる時間とを記述しているテキストログファイルを生成しかつ更新する。このタスクは通常サービスエンジニアによるマシーン制御にのみ使用される。
【0084】
システムコンピュータの例として、UNIX オペレーティングシステムのもとでランする Sun Microsystems SPARC プロセッサがある。UNIXは、AT&Tの登録商標である。
【0085】
コラムコントロールコンピュータ
コラムコントロールコンピュータ42は、オートフォーカスコンピュータ、真空コントロールコンピュータと偏向指令コンピュータからなる。オートフォーカスコンピュータの機能と実行は、本願の標題“オートフォーカスシステム”の節で説明され、真空システムについては、標題“真空システム”の節でなされる。
【0086】
コラムコントロールコンピュータ42は、システムコンピュータ36から指令を受ける。
【0087】
コラムコンピュータ42は、Force Computer, Inc.によって作られている CPU30ZBEのような 68030ベースの単一ボードコンピュータで実行される。
【0088】
ポストプロセッサ
ポストプロセッサ58は、欠陥プロセッサ56から、各タイプの検出器に対するあらゆる欠陥ピクセルを示すマップを受信する。ポストプロセッサ58はこれらのマップを結び付け、各欠陥のサイズと位置を決定し、これらを欠陥のタイプに分類する。これらのデータはシステムコンピュータ36に利用可能である。実際には、ポストプロセッサは、Force Computer, Inc.によって作られている CPU30ZBEのような 68030ベースの単一ボードコンピュータとして実行される。
【0089】
ビデオフレームバッファ
ビデオフレームバッファ44は、商業的に入手可能なビデオフレームメモリであり、ピクセル当たり12ビットで、480x512 ピクセルの記憶容量を有している。適切なフレームバッファは Image Technology Inc.のモデル FG100V である。ビデオフレームバッファは1秒間に30回、画像ディスプレイをリフレッシュする。
【0090】
画像ディスプレイ
画像ディスプレイ46は、SONYモデル PVM 1342Qのような、商業的に入手可能なカラーモニタである。擬似色カラー技術が、オペレータによる画像の評価のために使用されている。そのような技術は白黒画像の異なるグレイシェイド(白に近い灰色か黒に近い灰色かの尺度)値に異なる色を割り当てる。
【0091】
データベースアダプター
データベースアダプター54は、ダイにパターンを形成するために使用されるCAD(Computer Aided Design) データを基にして、各ピクセルに対応するグレイスケールとを生成する画像シミュレーターである。代表的には、データベースアダプターへの入力は、集積回路のパターン形成に使用されるフォーマットのデジタル磁気テープである。これらのデジタルデータは、画像捕獲前置プロセッサ48の出力と同じフォーマットで、スオーシュに組織されたピクセルデータの流れに変換される。そのようなデータベースアダプターは、米国特許第4,926,489号に既に開示されている。米国特許第4,926,489 号は、1990年5月15日に発行され、本出願と同じ譲受人に譲渡されたDanielson 等による”Reticle Inspection System” である。
【0092】
マスクハンドラー
マスクハンドラー34の機能は、カセットからマスク57を自動的に取出して、それをマスクホルダーに適切な方向に向けて置くことである。これは、半導体産業においてウェファを輸送し操作するのに通常使用されているウェファハンドラーに類似のロボット装置である。マスクハンドラーの第1の機能は、図2と図3のフラット59の方向を決定することである。マスクハンドラー34は、マスクの回転中心に関して径方向に向いたリニアCDDセンサーで光学的にフラットを検知する。マスクが回転すると、イメージセンサの出力はデジタル形式に変換され、Force Computer Inc. の CPU 30ZBEのような単一ボードコンピュータにストアされる。コンピュータはフラット59の位置を決定する。そしてマスクは適切な方向に回転され、自動的にマスクハンドラーに位置決めされる。マスクを有するマスクホルダーは、図8の負荷エレベータ210に載せられる。ハンドラーの全ての動作はシステムコンピュータ36により制御される。
【0093】
ステージ
ステージ24の機能は、電子ビーム100と光学アライメントシステム22のもとでマスク57を移動させることである。システムの複雑さを最小にするために、ステージ24は2自由度、つまりxとy方向の自由度のみを有するように選ばれていた。即ち、ステージ24は、マスク57のx−y面に垂直な方向に回転も移動もできない。言い換えれば、ステージは、x、y或いは斜め方向へ平行移動だけできる。この代わりに、電子ビームラスターの回転は、任意のスキャンをビームの静電的偏向の2成分に分解し、ステージを機械的サーボにより同様な方法で移動することにより、電子的に達成される。対物レンズはマスクの高さ方向の変化を補償するために充分な範囲の可変焦点を有しているので、z軸方向の移動は必要ない。
【0094】
ステージ24は、直線性、直角性及び繰り返し性において非常に精密に制御できる装置である。交差したローラベアリングが使用されている。ステージは真空状態でも使用でき、電子ビーム100と干渉しないように非磁性体である。ステージはオープンフレームを有しているので、透過電子ビーム108がその下の検出器129に到達できる。オープンフレームはまた、載置プロセスにおいて下からマスク57をオープンフレーム上に置くために使用される。
【0095】
図示しない3位相ブラシュレスリニアモータが軸当り2個使用されて、最良のシステム機能を達成るるようにステージ24を駆動していた。適切なリニアモータは、Anorad Inc. によって作られたAnoline モデル L1 と L2 である。
【0096】
真空システム
真空システム全体はコラムコントロールコンピュータ42の制御下にある。システムの種々の場所に配置された図示しない従来の圧力センサが圧力を測定し、その結果をコラムコントロールコンピュータ42に報告する。このコンピュータが、スタート時、或いはマスクのローディング及び非ローディング期間に、必要に応じて種々のバルブを時間制御する。後者のルーチンは、標題”ローディング動作”においてより詳しく説明する。真空状態が電子ビーム動作に対して不適切であると、高電圧は自動的にカットオフされ、電子源81がダメージを受けるのを防止している。この動作は、コンピュータ42、36と圧力センサとを組み合わせて実行されている。同時に空気離隔弁145(図6と図8)が、コラムの超高真空領域140の汚染を防止するために動作する。真空システムの動作を以下に説明する。
【0097】
電子銃の真空システムは、前もってべーキングされその後は何の操作もなく只維持されるように設計された2段階の差動的に動作するポンプシステムである。約10−9トールの超高真空領域140はイオンポンプ139によって排気されて、ガンアノード開口87から離隔されている。約10−8トールの中間の真空領域141は、イオンポンプ149によって排気され、空気ガン離隔弁145とアパーチャ機構99によりメイン真空領域143から離隔されている。これらの真空素子は、電子生成おいてフィールドエミッションに適した環境を提供する。
【0098】
下部コラム領域143の真空状態は、ターボポンプ204によって維持され、と同時に検査チャンバー206の真空状態はターボポンプ208により提供される。検査チャンバー206は、プレートによって下部コラム領域143から離隔されており、このプレートには電子ビームが通れるような小さな孔が開けられている。この様に真空領域206と143を離隔することによって、検査すべき基板がかなりの蒸気圧を有するフォトレジスト物質でコートされた場合にも、高真空状態を維持することができる。
【0099】
真空システムは2つのエアロック224、226を有している。一方はマスク57を検査チャンバ206に載置するために使用され、他方は検査終了後にマスク57を取り出すために使用される。両方のチャンバは各々、並列に配置されたバルブ212と214を介して真空ポンプに接続されている。バルブ212はロックチャンバ224を低速で排気するために設けられ、一方バルブ214は大きなオリフィスを有し大容積を排気することができる。同様の構成がチャンバ226に対しても設けられている。この2つの構成を設けた目的は、荷電粒子が排気プロセスにおいて攪乱されるのを防止し、かつチャンバを排気たり加圧するのに必要な時間を少なくするためである。
【0100】
以下に詳細に説明されるように、最初、マスクがエアロック224に置かれると、低速バルブ212だけが開かれ、チャンバ内の流速は、エアロック領域224の荷電粒子が攪乱されないように充分に低く維持される。チャンバ内の圧力が低下して空気流が分子領域、即ち荷電粒子がもはや攪乱されない領域に達すると、大きなバルブ214が開けられ、エアロック内に残っている空気が急速に排気される。同様の2ステップ動作が加圧プロセスでも使用される。
【0101】
ロード(装填)動作
以前に説明したように、マスク57はマスクハンドラー34のアダプターとともに移動し、載置エレベーター210に搭載される。この時、エアロック224は大気圧状態にある。エアロック224を低速で排気できるバルブ212が開けられる。ロック224の圧力が分子流の圧力に達すると、高容量のバルブ214が開けられ、残りの空気が排気される。そしてゲートバルブ216が開けられ、エレベーター210はバルブ216を通ってマスク57を検査チャンバ206に押上げ、それをステージ24に載置する。マスク57の検査が終了すると、逆プロセスが行われて、マスク57はマスクを収納するのに使用されているカセットに再び収められる。
【0102】
この代わりに、マスクのカセットを同様の方法でチャンバに載置することもできる。マスクの集合の各々が検査されると、マスクのカセットが除去されて、マスクの次のカセットに交換される。
【0103】
更に、本発明のダブルロック配置によると、1つのチャンバー内であるマスクを検査しながら、同時に第2のチャンバを使用して、第2のマスクを挿入して加圧したり、或いは降圧して除去したりできる。
【0104】
オートフォーカスシステム
電子ビーム100は、図4に示されたシステムの対物レンズ104の電流を変化させて収束される。マスク57や他の基板は平坦ではなく、またステージ24の表面はコラム20の軸に完璧に垂直ではないので、最適な焦点電流は関心領域を越えて変化する。この変化はx軸とy軸方向の距離の関数として見た場合に小さいので、マスク57上の数個の指定点で最適なフォーカス電流を決定することは可能であり、これらの間の任意の点に対して所望のフォーカス電流を補間することができる。
【0105】
検査プロセスを準備し開始する際に、システムは指定点で最適なフォーカス電流を測定する。このフォーカス・キャリブレーション・プロセスは、ビームを指定点に位置付けし、それからマスク57の特徴エッジに垂直な直線に沿ってグレイスケール値を測定するステップからなる。例えばフォーカス電流の10個の異なる値に対して、デジタル化されたグレイスケール値は、図示しないハイパスフィルタで畳み込まれる。最良のフォーカス電流は、ハイパスフィルタからの出力のうちで最大の値に対応した電流である。好ましい実施例では、二次微分フィルタが使用され、この実施例では以下のような畳こみ係数を有している。
【0106】
−4 0 0 0 8 0 0 0 −4
最良の結果に対して、ハイパスフィルタの出力は平滑化されるべきである。
【0107】
フォーカスコンピュータはコラムコントロールコンピュータ42の一部である。フォーカス計算は、畳み込み集積回路と数個のDSP素子からなる特別な目的のハードウエアで実行される。
【0108】
光学アライメントシステム
光学アライメントシステム22は、ダイが検査チャンバに入った後に、ダイの粗いアライメントを視覚的に実行するために、オペレーターによって使用される。サブシステムは、真空チャンバへのウインドウと、ディスプレイ46上にイメージを表示するために、CCDカメラ上にマスクを投影するレンズとからなる。オペレーターは2つのレンズのうちの一つを選択できる。本発明では、これらは経験的に決定される。この二つのレンズのうち一方は、マスクを見る倍率が0.46であり、他方はその倍率が5.8 である。マスクからのフィルムでレンズの光学面がコーティングされるのを防止するために、全てのレンズは真空の外に置かれている。
【0109】
本発明は、数種の動作モード及び典型的なルーチンと装置に沿って説明されたが、当業者なら、上記記述と図面に示された内容から種々の変更して実施できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステムの全体ブロック図。
【図2】ダイ・データベース検査に対して本発明で使用されているスキャンパターン図。
【図3】ダイ・ダイ検査に対して本発明で使用されているスキャンパターンのグラフ図。
【図4】電子光学コラムと収集システムの機能要素を示す概略図。
【図5】図4に示された電子光学コラムと収集システムを通る一次電子、二次電子、後方散乱電子と透過電子の行程を示す概略図。
【図6】マルチヘッド電子銃と真空系の概略図。
【図7】本発明の位置決め制御システムのブロック図。
【図8】本発明の真空システムの概略図。
【図9】本発明のアナログ偏向システムのブロック図。
【図10】図1に示された本発明のメモリのブロック図。
【図11】本発明の画像捕獲(アクイジション)前置プロセッサーのブロック図。
【符号の説明】
10…検査システム
20…電子ビームコラム
21…アライメントコンピュータ
22…光学アライメントシステム
23…データバス
24…x−yステージ
26…ステージサーボ
28…干渉計
29…VME1
30…アナログ偏向回路
31…VME2
32…検出器
33…信号
34…マスクハンドラー
36…システムコンピュータ
38…コンピュータディスプレイ
40…ユーザキーボード
42…コラム制御コンピュータ
44…ビデオフレームバッファ
46…画像ディスプレイ
48…画像捕獲(アクイジション)前置プロセッサ
50…偏向コントローラ
52…メモリブロック
54…データベースアダプター
56…欠陥プロセッサ
57…マスク
58…ポストプロセッサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、超小型電子回路の作成に使用される種々の記述基板の自動検査に関し、特にX線リソグラフィーに使用されるマスクの検査に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
適正な歩留りを有する超小型電子回路の生産に必要な条件は、製造プロセスで使用されるマスクに欠陥がないことである。過去12年間に多くのシステムが、光学マスクの自動検査に対して開発され、特許されてきた。例えばU.S.P.4,247,203 号及び4,805,123 号を参照して下さい。これらのシステムでは、フォトマスク或いはレチクル上の二つの隣接するダイ間を比較している。同様に、技術の進展によってレティクル上のダイを検査するのにCAD(Computer Aided Design)のデータベースとダイとを比較することによって達成する方法がもたらされた。U.S.P.4,926,487 を参照。しかしながら、X線マスクの欠陥は可視或いは紫外スペクトルでは見えないので、この様な光学システムは光学マスクに限定されている。更に光学検査は、基本的な回折限界によりその解像度に限界があり、その回折限界によりもちろん光学リソグラフィーも制限されている。位相シフトマスク技術を用いても、光学リソグラフィー技術では0.35ミクロン以下の線幅は達成できず、X線リソグラフィーを用いるとそれよりも小さな線幅を達成できることが予想されている。
【0003】
X線マスクの検査として、走査型電子顕微鏡技術が使用されることが期待されている。最近各会社は従来の電子顕微鏡をX線マスク検査に使用することを実験している。これらの実験において欠陥を検出することに成功しているが、従来の電子顕微鏡を用いると検査に時間がかかり、かつ非常に高度の熟練したオペレータを必要とする。このような2つの観点からその様なシステムを半導体製造に使用することは実際的でない。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の好ましい実施例には、荷電粒子を用いて基板の検査を自動的に行うシステムが開示されていて、そのシステムは、荷電粒子ビームを基板表面に向ける荷電粒子光学コラムと、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器と、前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステージと、前記基板の第1の部分を前記基板の第2の部分と比較するコンピュータと、を具備する。
【0006】
本発明の別の好ましい実施例には、荷電粒子を用いて基板の検査を自動的に行う方法が開示されていて、その方法は、荷電粒子光学コラムを使用して、荷電粒子ビームを基板表面に向けるステップと、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出するステップと、前記基板を保持するステージを連続的に移動して、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステップと、コンピュータを使用して、前記基板の第1の部分を前記基板の第2の部分と比較するステップとを具備する。
【0007】
本発明の更に別の実施例には、荷電粒子を用いて基板の検査を自動的に行うシステムが開示されていて、そのシステムは、荷電粒子ビームを基板表面に向ける荷電粒子光学コラムと、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器と、前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステージと、前記ステージの位置を決定する干渉計とを具備する。
【0008】
前記基板上の荷電粒子ビームの位置を制御する偏向コントローラを更に具備していてもよい。
【0009】
前記偏向コントローラは、前記干渉計から取り出された情報を使用して前記荷電粒子ビームの位置を制御することができる。
【0010】
本発明の更に別の好ましい実施例には、荷電粒子を用いて基板の検査を自動的に行う方法が開示されていて、その方法は、荷電粒子ビームを基板表面に向けるステップと、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出するステップと、前記基板を保持するステージを連続的に移動して、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステップと、干渉計を使用して、前記ステージが連続移動している間に、前記ステージの位置を決定するステップとを具備する。
【0011】
偏向コントローラを使用して、前記基板上の荷電粒子ビームの位置を制御するステップを更に具備していてもよい。
【0012】
また、前記偏向コントローラは、前記干渉計から取り出された情報を使用して前記荷電粒子ビームの位置を制御することもできる。
【0013】
本発明の更に別の好ましい実施例には、荷電粒子を用いて基板の検査を自動的に行うシステムが開示されていて、そのシステムは、荷電粒子ビームを基板表面に向ける荷電粒子光学コラムと、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器と、前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステージと、前記基板の第1の部分をデータベースから選られる画像データと比較するコンピュータとを具備する。
【0014】
本発明の更に別の好ましい実施例には、荷電粒子を用いて基板の検査を自動的に行う方法が開示されていて、その方法は、荷電粒子光学コラムを使用して、荷電粒子ビームを基板表面に向けるステップと、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出するステップと、前記基板を保持するステージを連続的に移動して、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステップと、コンピュータを使用して、前記基板の第1の部分をデータベースから得られる画像データと比較するステップとを具備する。
【0015】
【作用及び発明の効果】
本発明は、製造現場のX線マスクや同様な導電基板を自動的に検査する荷電粒子ビームを用いた経済的に実現できる検査システムを提供する。以下の説明では電子ビームが使用されるが、同様の技術が他のタイプの荷電粒子ビームに適用でき、したがって以下に示される電子ビームだけに限定されるものではない。本発明は、X線マスク、電子ビーム近接マスクやステンシルマスクの検査に対して有用に使用されるが、ここに開示される技術は任意の導電物質の高速電子ビームイメージングに適用可能であり、更にマスクやウェハーの製造でフォトレジストを露光するための電子ビーム書込みに対しても有用である。
【0016】
現在の走査型電子顕微鏡は、非常に遅いスキャンスピードを有し且つ通常の技能を越えたオペレーターの技能を必要とするので、経済的に実行可能な要求を満たすことはできない。
【0017】
本発明の新規な特徴は、種々のタイプの欠陥を検出できるとともに、それらの欠陥を区別できる能力である。散乱電子、透過電子や二次電子を同時に検出でき且つそれらを区別できる本発明によれば、欠陥を即座に分類できる。例えば、X線マスク上の伝達検出器のみにより検出される欠陥は、たぶん吸収物質によって存在しないものとなる。二次電子検出器によっては検出されるが後方散乱電子検出器では検出されない欠陥は大部分有機粒子であり、後方散乱電子検出器により検出される欠陥は大きい原子量を有する汚染物質である。X線マスク上の有機汚染物質のようなある種の欠陥はウェハー上にプリントされないので、種々のタイプの欠陥を区別できる能力は本発明の重要な利点である。この様に本発明によれば、欠陥を検出できるだけでなく、それらの欠陥を区別できる。
【0018】
このシステムは、半導体製造に適した多くの技術を使用する。汚染物質が掻き回されるのを防止するために、真空排気スピードと真空から常圧に戻す加圧スピードが制限され、気体の流れが層流の状態に保たれる。時間を節約するために、これらの動作は他のサンプルのスキャンと同時になされる。生産的でない時間を更に減じるために、6個の場発生源がタレット上に設けてある。最後に、通常オペレーターにより操作される電子ビームの主な調整は、コンピュータによりなされ、比較的技能の低い者でもシステムを使用できる。
【0019】
【実施例】
図1には本発明の検査システム10の全体のブロック図が示されている。システム10では、X線マスクや他の導電基板の自動検査装置が示されていて、そのセンサーとして走査型電子顕微鏡が使用されている。
【0020】
この検査システムは2つの動作モード、即ちダイ・ダイとダイ・データベースとを有している。両方のモードにおいて、欠陥は、マスクをスキャンすることにより導かれる電子ビーム像を基準と比較することにより検出される。ダイ・ダイ検査では、同じマスクの2つのダイからの信号が互いに比較され、一方ダイ・データベース検査では、電子顕微鏡から導かれる一つのダイからの信号が、ダイを作るのに使用されたデータベースからの信号と比較される。
【0021】
検査されるマスク57はホルダーに保持され、そのホルダーはマスクハンドラー34によってx−yステージ24上の電子ビームコラム20の下に自動的に位置付けられる。これはシステムコンピュータ36によってマスクハンドラー34に命令を送ることによって達成され、マスク57上のフラットやノッチ59(図2及び3を参照)を自動的に検出してハンドラー34でマスク57を適切に方向付けながら対象マスク57をカセットから取り出す。マスクはそれからコラム20にロード(装填)される。次に、オペレーターは光学アライメント系22を通してマスクを直接観察しつつ、マスク上の位置合わせ点を探し且つ確認(オペレータはマスク上のある特徴あるパターンを使用してこの作業をして良い。)する。これによって、ステージのx方向への移動がマスク上の検査領域のx軸と実質的に平行になっているのを見届ける。即ちマスク上ではこの様にして求められた領域が検査対象領域になる。これで粗いアライメント(位置合わせ作業)が終わる。
【0022】
オペレータは続けて最終のアライメントを行う。オペレーターは電子ビームにてマスクをスキャン(走査)し、画像ディスプレイ46に現れる像を観察する。それからすべての位置合わせ関連データをアライメントコンピュータ21に保存する。このコンピュータは、システムコンピュータ36と協調して作動し、x軸とy軸に沿った実際の総合的なあるべきx、y動作を計算する。これによってこの先オペレーターの位置合わせ作業は同一マスクに関しては一切不要になる。マスクの位置整合が正しくとれた時点で検査工程の初期条件は整ったことになる。
【0023】
コラム20とその光学アライメントシステム22、アナログ偏向回路30と検出器32は、以下に詳細に説明されるように、電子ビームをマスク57に入射させ、二次電子、後方散乱電子及びマスク57を透過する電子を検出する。上記作業の展開とデータの収集は、勿論コラム制御コンピュータ42、ビデオフレームバッファ44、画像捕獲(アクイジション)前置プロセッサ48、偏向コントローラ50、メモリブロック52の支援があって初めてなされるのである。VMEバス、即ちVME1,29はサブシステム間の通信リンクとして機能する。
【0024】
マスク57の検査期間におけるステージ24の位置と移動は、偏向コントローラ50、メモリブロック52とアライメントコンピュータ21の制御のもとで、ステージサーボ26と干渉計28とによって制御される。
【0025】
比較モードがダイ・データベースである場合には、メモリブロック52と通信しているデータベースアダプター54は、期待されたダイフォーマットと等価である信号源として使用される。
【0026】
実際の欠陥処理は、ポストプロセッサ58と結合している欠陥プロセッサ56によって、メモリブロック52のデータに基づきなされる。ポストプロセッサ58と欠陥プロセッサ56間の通信は、バスVME2 31を介してなされる。
【0027】
全体のシステムの動作は、イーサネットバス(Ethernet bus)に類似しているデータバス23を介して他のブロックと通信を行いながら、システムコンピュータ36、ユーザキーボード40とコンピュータディスプレイ38によってなされる。エザーネットはゼロックス会社の商標である。
【0028】
次に、図2にはダイ・データベースモードでの検査を行う本発明のスキャンパターンが示されている。ここではマスク57上に一つのダイ64が示されている。ダイ64内には検査すべき関心領域65或いは重要領域が存在する。この領域はマスク57上に重要な情報が記録されている領域である。ダイ64の検査をしているときに、x軸方向のスキャン移動は移動ステージ24によりなされ、y軸方向の移動は図示されたスオーシュ(刈り幅)60と同じ広さを有する各スオーシュ内に電子ビームを偏向することによりなされる。検査スオーシュがダイ64の右側に達すると、ステージ24は全体のスオーシュ幅以下でy方向に移動される。マスク57のx−y座標系はステージ24とコラム20のx−y座標系に正確に一致しないので、ステージ24の実際の移動とコラム20のビーム偏向は、それぞれ、ダイ64のスキャンの間にxとy成分をもつ。
【0029】
関心領域65を十分に検査するために、検査はパターン62を前後に移動して行われる。パターン62によって示される各軌道は、図示されたスオーシュ60の幅を有する隣接スオーシュとわずかに重なるスオーシュである。
【0030】
ダイ・データベースモードでは、各スオーシュに対応する信号が、完璧ダイの対応するスオーシュに対するデータベースアダプター54からのシミュレーションされた信号と比較される。この処理は、次のダイが検査される前に検査すべき関心領域65の各スオーシュに対して繰り返される。
【0031】
図3はダイ・ダイ検査のスキャンパターンを示していて、マスク57は左から右にダイ68、70、66を有している。この検査モードでは、図2に示されたものと同様に、前後に移動されるスキャンパターン63が使用されている。しかし、検査モードはダイ・ダイモードであるので、ステージ24は、3個のダイが各スオーシュに沿ってx軸方向に移動されるまでy方向には進行されない。
【0032】
このモードでは、ダイ68の第1パス(行程)のデータはダイ70の第1パスのデータと比較するためにメモリブロック52にストアされる。ダイ68とダイ70とが比較されている同じときに、ダイ70のデータは、ダイ66の第1パスからのデータと比較するためにメモリブロック52にストアされる。次に第2のパスへ進む、即ちリターンすると、パスの順序は逆になり、ダイ66の第2のパスからのデータはダイ70からのデータと比較するためにストアされ、ダイ70からのデータはダイ68の第2のパスからのデータと比較するためにストアされる。この検査と比較のパターンは、マスク57の関心領域の全てを検査するに必要な回数ほど繰り返される。
【0033】
より詳細には、ダイ・ダイモードを使用して、電子ビームがダイ68と70のスオーシュをスキャンすると、3種類の検出器からの信号33が取得前置プロセッサ48に送られ、メモリブロック52にストアするためにデジタル信号に変換される。ダイ68、70からのデータが欠陥プロセッサ56に同時に送られると、2つのデータ間の重要な不一致が欠陥として指定される。次に欠陥プロセッサ56からの欠陥データを蓄積してポストプロセッサ53に送られ統合される。ポストプロセッサは、欠陥のサイズや種々の特性を決定し、その情報をシステムコンピュータ36がバス23を介して利用可能な状態にする。
【0034】
ダイ・データベース検査モードでは、システム10は上記と同様に動作するが、メモリブロック52が一つのダイからのデータを受信する点、欠陥プロセッサ56での比較のための参照データがデータベースアダプター54によって提供される点が異なっている。
【0035】
全てのマスクが検査されると、欠陥のリストと共にその位置がコンピュータディスプレイ38に表示され、オペレーターはキーボード40によって欠陥見直しを開始できる。この命令に応答して、システム10は各欠陥の周囲をスキャンし、オペレーター用にその像をディスプレイ46上に表示する。
【0036】
スキャン光学
あるキー要素とコラム20の特別な設計によって、殆ど100倍以上の画像形成スピードが達成される。高速の画像形成スピードを達成する際にまず真っ先に必要な条件は、より高いビーム電流である。というのはS/N比を考慮することが画像形成スピードにおける基本的制限であるからである。本発明では、高輝度の熱放射場源が、鋭角の非常に高いビーム強度と非常に高いビーム電流を生成するのに使用されている。しかし、電子電流が高いとクーロン相互反発作用が発生する。このことを解決するために、高電場はカソードの近傍に形成され、ビーム系がまた急速に拡大される。コラムの設計には、その領域における電荷密度を上昇させる電子のクロスオーバーがないようにし、クーロン反発作用問題を少なくするために大きな開口数が使用されている。
【0037】
マスクを高速度、例えば100メガピクセルでスキャンするための要求に対して、検出器は、二つの連続するスキャンピクセルからの二次(リターン)電子を一時的に分離することができる。このことは、各ピクセルのドウェル時間に比較して、到着時間があまり広がっていないことが要求されていることを意味する。各ピクセルでの到着時間の広がりを少なくするために、電子はターゲットを離れた後にすぐに加速される。検出器での到着時間の広がりは結果として約1ナノ秒に維持される。到着時間の広がりを更に少なくするために、逆バイアスされた高周波ショットキーバリア検出器が、検出されるべき各タイプの電子に対して用いられる。このショットキー検出器は単に例として示されたのであって、使用可能な他のタイプの半導体検出器を使用してもよい。
【0038】
電子光学
電子光学サブシステムは、走査型電子顕微鏡に機能的には似ている。それには、スキャン電子ビームプローブと、マスク表面の像形成に必要な二次電子、透過電子と後方散乱電子検出素子が設けられている。検査の間、電子ビームはある方向にスキャンされ、一方ステージはそれに直角な方向に移動される。低電圧の二次電子、高エネルギーの透過電子或いは後方散乱電子のいずれかがビデオ信号を生成するために使用され、その信号はデジタル化されて長短スオーシュ像の形でストアされる。高解像度の自動化された欠陥検出への応用がユニークであるばかりでなく、この光学システムの新規な点は、検査に必要な解像度で高速かつ低ノイズの像を得るのに使用されている新規な技術と従来の技術とを組み合わせている点である。
【0039】
ビームは、典型的には、非常に高速な5マイクロ秒周期ののこぎり波掃引を使用して、512ピクセル(18−100μm幅)のフィールドをスキャンする。偏向は歪みを発生することはなく、表面にほぼ垂直であり、従って画像特性はスキャンフィールドで一様である。
【0040】
検出は効果的に行われ、プローブ中の各電子により発生される二次電子の大部分が像形成に使用される。検出システムのバンド幅は、短い走行時間効果によりピクセルレイトに匹敵している。二次電子は共軸で抽出されるので、エッジがマスク上でどのような方向を向いていようとも、エッジ形状の正確な画像が得られる。
【0041】
図4は、光学システムの要素と、その機能を理解するために必要な関連するある電源を示している。電子銃は、熱放射場カソード81、放射制御電極83とアノードアパーチャを有するアノード85とからなる。カソード81は、電源99によって−20KeVのビーム電圧に保持されている。カソード81の表面の電界強度に依存するエミッション電流は、カソード81の電圧に関して負であるバイアス供給源91に接続された電極83の電圧によってコントロールされている。カソード81は電流源93によって加熱される。カソード81の近くの磁気コンデンサレンズ95は電子ビームをコリメートするために使用される。上部の偏向システム97は、アラインメント(位置整合)、スチグメーション(無非点収差)及びブランキングのために使用される。この光学系には更に、数個のホールからなるビーム制限アパーチャ99が設けられている。ビーム100は一対の静電気プレレンズ偏向器101、103によって偏向され、ビームは対物レンズ104上の点の回りに収束される。対物レンズ104は下部極片106、中間電極107と上部極片105とからなる。ビームは結局、マスク57上を中心に遠隔操作されてスキャンされる。殆ど平行なビームが対物レンズ104によって再度収束され、マスク57を照らす1x倍に拡大された像を形成する。
【0042】
二次電子イメージモードでは、二次電子が対物レンズ104を通って上の方に取り出される。ステージ24、マスク57と下部のレンズ極片106は電源111によって数百ボルトの負の電位にフローティングされていて、その結果二次電子は偏向器112と113を通る前にこのエネルギーに加速される。中間電極107は、電源115によってステージに関して正にバイアスされていて、マスクを離れるとすぐ電子を加速し、基板の欠陥領域から発生する二次電子を効率よく集める目的で使用される。フローティングステージ24と中間電極107の組み合わせにより、二次電子検出器117への電子走行時間のムラが実質的に除去される。二次電子はレンズ104を通って再び後方に戻るので、帰還二次電子はウイーンフィルタとして機能する偏向器113、112によって検出器117の方に偏向される。ここで、リターンビームは検出器117のアノード118に接続された電源119により高エネルギー状態に再加速され、二次電子を増幅に充分なエネルギーレベルでショットキーバリア固体検出器117に衝突させる。検出器ダイオード117は電源121により逆バイアスされている。検出器ダイオード117からの増幅信号は前置増幅器122に送られ、そこからビデオ取得前置プロセッサ48と関連する電子回路とに、図1の信号33の二次電子コンポーネントである高電圧絶縁ファイバ光学リンク125を介して送られる。
【0043】
部分的に透明な基板の検査を可能とするために、透過電子検出器129がステージ24の下に設けられている。透過電子はマスク57を高エネルギーで通過し、再加速を必要としない。上部素子123、中央素子124と下部素子127とからなる透過静電レンズが、透過電子ビームをショットキーバリア固体検出器129による検出に適した径に広げるために使用される。電極123はステージ24と同じ電位に保持され、一方電極124は電源114により0から−3KVに保持される。透過電子検出器129からの信号は増幅器133により増幅され、図1の信号33の透過電子コンポネントであるファイバ光学リンク135により伝送される。
【0044】
光学システムはまた、一次電子とほぼ同じエネルギーレベルで基板表面を離れる後方散乱電子の収集を可能とするように設計されている。後方散乱電子検出器160は、一次電子がそれを通過できるホールを有している点を除いて検出器117に類似したショットキーバリアダイオード検出器である。後方散乱信号は前置増幅器162により増幅され、また前置プロセッサ48に送られる。
【0045】
図5は、コラム20内及びマスク57の下の種々の電子ビーム通路(パス)の概略図である。電子はフィールドエミッションカソード81から径方向に放射され、非常に小さな輝点源から発生したように見える。加速場とコンデンサレンズの磁場との結合した作用の基で、ビームは平行ビームにコリメートされる。ガンアノードアパーチャ87は使用できない角度で放射された電子を阻止し、一方残りのビームはビーム制限アパーチャ99に入射する。図4の上部偏向器97は最終のビームが丸くなり、図4の素子105、106、107からなる対物レンズの中心を通ることを保証するためにスチグメーションとアライメント用に使用される。図4のコンデンサレンズ95の中心は、カソード81と制限アパーチャ99により規定された軸に機械的に一致している。偏向作用により、電子は示されたパスを通り、その結果スキャンされ収束されたプローブ、即ち基板の衝突点のビームは対物レンズ104から出てくる。
【0046】
スキャンビーム100の径とその電流は、数個のファクターにより決定される。放射源からの角エミッション(1.0mA/ステラジアン)と、最終アパーチャ99により規定されるアパーチャ角は、ビーム電流を決定する。プローブ径は両レンズの収差によって決定され、両レンズは球面収差と色収差を小さくするために高励起(フィールド幅/焦点距離)に対して設計されている。ビームの相互作用効果(個々のビーム電子間の反発による統計的ぼけ)は、マスク57上のプローブサイズの半分を占めるこのような高電流システムにおいて重要である。これらの効果は、中間的クロスオーバーを避け、40cmの短いビームパスを使用し、電子源及びマスク57において比較的大きな半角のレンズを使用することにより小さくできる。所定のビームスポットを得るために、アパーチャ径は、最大可能電流を供給しながらこれらの効果をバランスさせるように選択される。ビーム源からのビームを拡大したり或いは縮小したりするためにレンズ強度を変化させることは可能であるが、この様なシステムでは、スポットサイズがアパーチャを使用してまず調整される。
【0047】
図4のウイーンフィルタ偏向器113は、高エネルギーのスキャンビーム100に殆ど影響を与えないで、約100eVの二次電子ビーム167を偏向する。ウイーンフィルタは、静電的8極偏向器112と4極磁気偏向器113からなり、互いに直角に電場と磁場をクロスするように配置されている。帰還二次電子は両方の場によって側方に偏向される。しかしながら、一次スキャン電子100は反対方向に移動しているので、ウイーンフィルタが二次ビーム167を広角に偏向しても、ウイーンフィルタが一次スキャンビーム100に力を及ぼさないようにこれらの場の強度を選択しなければならない。ウイーンフィルタと呼ばれているものは共軸抽出に対して効果的に使用される。二次電子偏向器117のアノード118は、再加速の間にビーム167が固体検出器117のコレクタに集められ収束されるような形状をしている。
【0048】
図5には、検出される透過電子と後方散乱電子のパスが示されている。後方散乱電子を検出するために、ウイーンフィルタ112、113のみがオフされ、従って、これらの電子は同じパスを通ってシステムの上方に進み、環状の後方散乱検出器160へ至る。透過電子は、マスク57と図4の電極システム123、124を通過し、透過電子検出器129の表面を満たすように広がった後、高エネルギーで検出器129に衝突する。
【0049】
図6に示すように、制限されたカソード寿命に対する電子銃の寄与を少なくするために、電子銃構造は高電圧に浮いている6角形の回転タレット137上に設けられた6個のカソード/制御電極構成を含んでいる。各構成はアノード87上の位置に回転され、図4の適当な電源91、93と電気的接触を保ちながらその位置にロックされる。
【0050】
図4の前置レンズ偏向器101、103からなる静電的偏向システムは、高スピードの鋸波偏向電圧によって駆動される非常に均一な場を必要とする。その構造は、モノリシックなセラミック/メタル構成であり、エッチングされて20個の偏向プレートを形成している。4個のドライバが各2つのステージに対して必要であって、ステージ24とマスク57の座標システムとマッチするように回転されるスキャンを達成する。
【0051】
自動チューニングとセットアップが、オペレーターの操作を簡略化するために設けられている。レンズと偏向/スチグメーション素子と全ての高電圧制御源はDAC制御の下にあり、図1のようにコラム制御コンピュータ42にインターフェースされている。種々の場合に、特定の機能に対する偏向比と静電プレート電圧を調整するルーチンは、コラム制御コンピュータ42に内在していて、ガン制御とセットアップは、定格値に基づいていて、エミッション電流、アパーチャ電流と電源設定にたいするA/Dフィードバックを使用して適用可能なルーチンによって変更される。
【0052】
ビームをセンターに位置付けるには、レンズ電流が変化したときに偏向を除去する他の公知のルーチンに基づいてなされる。これらの操作は、2軸フレームスキャン機能によってイメージされる特定のテストサンプルを使用していて、それらはアラインメントと検査に必要な画像分析能力を利用する。焦点はマスクの高さの変化を補償するために自動的に維持され、一方スチグメイションが検査の前になされる。これらのルーチンは、取得前置プロセッサ48とそれに関連した電子回路を使用した、画像のコントラストと調和内容の解析に基づいている。
【0053】
本発明では、光学系の定格動作状態は20KeVのビームエネルギーを使用し、ビーム電流とスポットサイズの関係は、0.05μmでの300nA から0.2 μmでの1,000nA まで変化する。スキャンスピードは、100 メガピクセル/秒で画像形成される512ピクセルスキャンフィールドを使用して5マイクロ秒である。検出器117のダイオード電流増幅率は、5KeVでの約1000から20KeVでの5000である。全体のシステムは、0.05μmスポットを使用する100 メガピクセル/秒で約14%のエッジコントラスト以上のサンプルに対してこの動作状態領域以上を達成する。取得電子回路は、1以上のスキャンラインを集積化するために設けられ、低バンドで記録されるべき低コントラストの像と高解像度の像が得られる。
【0054】
欠陥プロセッサ
ダイ・ダイ検査の場合には、欠陥プロセッサ56の機能は、ダイ68から導出された画像データをダイ70から導出された画像データと比較することであり、ダイ・データベース検査の場合には、ダイ64から導出された画像データをデータベースアダプター54から得られるデータと比較することである。欠陥プロセッサ56のルーチンと基本的構成は、米国特許第4,644,172 号に開示された欠陥プロセッサと略同じである。米国特許第4,644,172 号は、1987年2月17日に発行され、本出願の出願人に譲渡された、サンドランド等による”自動ウェファ検査システムの電子制御”であり、欠陥を決定するのに3つのパラメータを使用している。一方、本発明の4つのパラメータを使用している。
【0055】
ダイ・ダイ検査或いはダイ・データベース検査のどちらも、メモリブロック52から全てのデータを得ていて、そのデータは各検出器に対してピクセル当たり6ビットの形式を使用している。欠陥プロセッサ56では、下記の4つのパラメータが2入力の各検出器の各ピクセルに対して決定される。
【0056】
a. I:ピクセルのグレイスケール値
b. G:グレイスケールピクセルの傾きの絶対値
c. P:グレイスケール値の傾きの位相又は向き
d. C:局所的傾き関数の輪郭の曲率
グレイスケール値は、特定のピクセルに対するメモリブロック52の単なる値である。傾きの大きさと傾きの方向は、まずxとyの通常の演算子成分を計算して得られる。
【0057】
【数1】
従って傾きの大きさは[(Sx )2 +(Sy )2 ]1/2 であり、方向は tan−1(Sx /Sy )である。
【0058】
曲率は以下のように定義される。
【0059】
【数2】
ここで、係数aijは状況に依存して選択されるパラメータの組であり、Rijは以下のように定義される
【数3】
ここで、Iijは、画像のi番目の列とj番目の行におけるピクセルのグレイスケール値であり、aijとbklは経験的に得られるパラメータである。
【0060】
好ましい実施例における代表値は以下の通りである。
【0061】
【数4】
上述した方法で、量I,G,P,Cは画像の各ピクセルに対して定められる。ダイ68の所定のピクセルAに対して、これらのパラメータはダイ70の対応するピクセルBのパラメータと比較され、更にピクセルBに隣接する8個のピクセルのパラメータと比較される。もしもピクセルBに隣接する各ピクセルに対して、少なくとも一つのパラメータがピクセルAの同じパラメータと所定の許容誤差以上の値だけ相違していると、ピクセルBは2つのダイの欠陥と見做される。
【0062】
同様にして、ダイ70の各ピクセルのパラメータはダイ68の対応する隣接ピクセルのパラメータと比較され、その結果適当なピクセルが欠陥を有していると見做される。
【0063】
このアルゴリズムの物理的実行は、上述の米国特許第4,644,172 号に開示されたパイプラインロジックでなされる。行列演算は、100 メガピクセル/秒の速度で欠陥データを計算できるパイプライン計算システムに接続されたApplication Specific Integrated Circuit (ASIC)で実行される。
【0064】
偏向器コントローラ
ダイ・ダイモードでは、偏向器コントローラ50の機能は、ダイ68の各スオーシュ60内の等距離グリッド点に電子ビーム100を位置付けることである。この結果、検出器129、160、117の出力は、ダイ70の対応する位置における同じ検出器の出力と比較される。同様に、ダイ・データベースモードでは、データベースアダプター54から得られるシミュレートされた画像は、ダイからの検出器117の出力と比較される。偏向器コントローラ50は、図7と以下の説明に示されるように、ステージ24と電子ビーム100の位置を制御してこれを実行する。
【0065】
スオーシュにおける第1のダイ1をスキャンする場合には、アライメントコンピュータ21の出力はゼロに設定される。というのは、第1のダイの第1のスオーシュをスキャンする期間には、ミスアライメントは存在しないからである。従って、この期間に、偏向器コントローラ50はコラムコンピュータ42からのみ命令を受ける。これらの命令と、x,y干渉計28から得る位置データに基づいて、偏向器コントローラ50は、ステージ24の望ましい移動を計算し、その対応する信号をステージサーボ26に送ってステージ24を移動させる。偏向器コントローラ50は、同様にしてビーム100の所望の偏向を計算し、これらのデータをアナログ偏向器回路30に送る。ステージ24が移動すると、その位置はx−y干渉計28によって定常的にモニタされ、所望のステージ位置からの不一致が決定され、偏向器コントローラ50によりステージサーボドライブ26に帰還される誤差信号を生成するのに使用される。ステージ24の高慣性のため、これらの誤差信号はステージ位置の高周波誤差を修正することはできない。x,y方向の高周波誤差は、偏向器コントローラ50により計算される電子ビーム100の偏向によって修正される。偏向器コントローラ50はこれらの信号をデジタル形式でアナログ偏向回路30に送る。
【0066】
ビーム100がダイ68をスキャンするとき、グレイスケール値はメモリブロック52にストアされている。電子ビーム100がダイ70をスキャンし始めるとすぐに、これらの値はまたメモリブロック52にストアされ、すぐにまた欠陥プロセッサ56とアライメントコンピュータ21に送られる。アライメントコンピュータ21では、ダイ68とダイ70からの2つのデータは、アライメント(位置整合)のために比較される。もしも位置整合していない場合には、位置整合修正信号が発生され偏向器コントローラ50に送られる。この位置整合信号はバーニア調整(微調整)として使用され、マスク57の調整位置にビーム100を位置付ける。
【0067】
ダイ・データベースモードでは、偏向器コントローラ50は、ダイ・ダイモードでの機能とほぼ同様に働くが、データベースアダプター54の出力がスオーシュの第1のダイから得られる入力画像に置き代わる点が相違している。
【0068】
偏向器コントローラ50はまた、ステージ24の動き、スピードと方向と共に電子ビーム偏向のパラメータを計算し規定する。
【0069】
アライメントコンピュータ
アライメントコンピュータの機能は、グレイスケール値の形式で2つのデジタル画像を受けて、ピクセル距離のずれの形式で、画像間の位置整合からのずれを決定することである。これらのアライメント計算の好ましい実施例は、米国特許第4,805,123 号に開示されている。この米国特許は1989年2月14日に発行され、本願と同じ譲受人に譲渡されていて、Specht等による”Automatic Photomask and Reticle Inspection Method and Apparatus Including Improved Defect Detector and Sub−System”である。この好ましい実施例では、位置整合修正信号51は全体の関心領域に亘って連続的に計算される。または、マスク57上の少数の特定特徴点を選択し、これらの特徴点でのみ位置整合のずれを計算してもよい。この場合、スキャンプロセスでアライメントは急速には変化しないと仮定している。後者の場合には、フォースコンピュータ会社(Force Computer, Inc.)のモデルCPU 30ZBE のような単一ボードコンピュータが位置整合(アライメント)計算を実行するために使用される。
【0070】
アナログ偏向
アナログ偏向回路30は、図4の20極プレート101、103に対してアナログランプ機能を発生する。このサブシステムの動作は図9に示されている。偏向コントローラ50からのデジタル信号はスロープDAC230によりアナログ電圧に変換され、その出力はランプ発生器232に導かれる。ランプの振幅はDAC234を使用して可変にでき、一方オフセットはDAC236によりコントロールされる。サンプルホールド回路238、240は、それぞれ、ランプのスターととエンドを規定するために使用される。高電圧で低ノイズのドライバが波形を増幅し、ダイナミックレンジが±180Vのランプを発生する。このランプは偏向器プレート101、103に印加される。
【0071】
メモリブロック
メモリブロック52は3個の同一なモジュールからなり、各モジュールは偏向器117、129、160の各タイプの異なる一つに対応している。図10に示すように、概念的にメモリブロック52の各モジュールは2つの先入れ先出方式(ファイフォ First In − First Out) メモリからなる。第1のファイフォはダイ68から得られる全体のスオーシュの各検出器に対応したグレイスケール値をストアし、一方、第2のファイフォはより短くて、ダイ70の数スキャンにのみ対応した各検出器に対するグレイスケール値をストアする。これら2つのファイフォからの出力は欠陥プロセッサ56とアライメントコンピュータ21に送られる。各ファイフォは100MHz の速度で動作し、検出器当り8ビットで各ピクセルのグレイスケール値をストアする。
【0072】
メモリは、その入力レジスタ302に、各種検出器に対する取得プリプロセッサ48から並列に送られてくる8バイトを受け取る。シフトレジスタのように働く入力レジスタ302は、入力レジスタの8セクションが一杯になるまで、8バイトを右にシフトし、そして他の8バイトを受けとる。入力レジスタの8セクションが一杯になると、64バイトがメモリ303にクロックで送られる。
【0073】
これを実行するのはDRAM303である。通常128メガバイトがシステムに使用される。
【0074】
画像捕獲(アクイジション)前置プロセッサ
画像捕獲前置プリプロセッサ48は、各検出器117、160、129からのアナログ信号を変換し、これらを100MHz の速度で8ビット値にデジタル化し、メモリブロック52に蓄積するために出力信号をリフォーマットする。
【0075】
画像捕獲前置プロセッサ48は3個の同一のモジュールからなり、その内の一つが図11に示されている。各モジュールは対応する検出器からの出力を受けとり、その出力をADC(A/D変換器)9により8ビットにデジタル化し、それを多重スキャンインテグレーター11に送る。多重スキャンインテグレータ11の目的は、ノイズを減少させるために同じピクセルからのグレイスケール値を平均化することである。この様な状況下において、ピクセルは再びスキャンされ、例えば数回再びサンプル化される。その得られた結果はそのピクセルの平均値である。この値はシフトレジスタ13に送られる。そのシフトレジスタ13は、メモリブロック52に8バイトを並列に送る前にその8バイトをシリーズに受けとる。
【0076】
干渉計
ステージ24のxとyの位置は、Teletrac TIPS V のようなx−y干渉計28によってモニタされる。その位置は28ビットに規定され、最下位ビットは約2.5 ナノメータに対応する。
【0077】
システムコンピュータ
システム10の全体の制御はシステムコンピュータ36によってなされ、システムコンピュータ36によりハウスキーピングタスクを含めて種々のステップシーケンスが順序だってなされる。シーケンスの各イベントはプログラムされた時間に達成され、コンピュータ36のスループットを最大にするために多数のコンフリクトしないシーケンスが同時になされる。
【0078】
コンピュータ36により達成されるルーチンは、システムとユーザとの相互通信が、関連したマウスやトラックボールポインティング装置を有するキーボード40か或いはリモートコンピュータでのデータ通信によりなされるように設計されている。ローカル通信に対しては、コンピュータディスプレイ38がシステムコンピュータ36からのグラフィックやテキストを表示する。
【0079】
システムコンピュータ36のルーチンは、4つの通信タスクに組織化されている。
【0080】
1.コラムコントロールコンピュータ42、ポストプロセッサ58、マスクハンドラー34との全ての通信がなされるマスタータスク。このタスクはまた、レンズセッティング、真空圧、ビーム電流等のマシーン動作パラメータを記録しているシステムコンピュータ上のファイルを保持している。
【0081】
2.コンピュータディスプレイ38上のディスプレイを管理し、キーボード40とマウス入力を扱うユーザインターフェースタスク。このタスクは、データファイルを変更したり、アクションを開始するためにメッセージをシステムの他の部分に送ることによって、ユーザキーボード40とマウス入力に応答する。
【0082】
3.マスタタスクを介してコラムコントロールコンピュータ42へ画像取得スオーシュの記述を送る検査タスク。
【0083】
4.キーボード40からのコマンド入力を受入れ可能なコマンド言語解釈タスク。このタスクはまた、繰返し動作の自動スケジュールを可能とするタイマーを管理する。更に、このタスクは、全てのマシーン動作とその動作が生じる時間とを記述しているテキストログファイルを生成しかつ更新する。このタスクは通常サービスエンジニアによるマシーン制御にのみ使用される。
【0084】
システムコンピュータの例として、UNIX オペレーティングシステムのもとでランする Sun Microsystems SPARC プロセッサがある。UNIXは、AT&Tの登録商標である。
【0085】
コラムコントロールコンピュータ
コラムコントロールコンピュータ42は、オートフォーカスコンピュータ、真空コントロールコンピュータと偏向指令コンピュータからなる。オートフォーカスコンピュータの機能と実行は、本願の標題“オートフォーカスシステム”の節で説明され、真空システムについては、標題“真空システム”の節でなされる。
【0086】
コラムコントロールコンピュータ42は、システムコンピュータ36から指令を受ける。
【0087】
コラムコンピュータ42は、Force Computer, Inc.によって作られている CPU30ZBEのような 68030ベースの単一ボードコンピュータで実行される。
【0088】
ポストプロセッサ
ポストプロセッサ58は、欠陥プロセッサ56から、各タイプの検出器に対するあらゆる欠陥ピクセルを示すマップを受信する。ポストプロセッサ58はこれらのマップを結び付け、各欠陥のサイズと位置を決定し、これらを欠陥のタイプに分類する。これらのデータはシステムコンピュータ36に利用可能である。実際には、ポストプロセッサは、Force Computer, Inc.によって作られている CPU30ZBEのような 68030ベースの単一ボードコンピュータとして実行される。
【0089】
ビデオフレームバッファ
ビデオフレームバッファ44は、商業的に入手可能なビデオフレームメモリであり、ピクセル当たり12ビットで、480x512 ピクセルの記憶容量を有している。適切なフレームバッファは Image Technology Inc.のモデル FG100V である。ビデオフレームバッファは1秒間に30回、画像ディスプレイをリフレッシュする。
【0090】
画像ディスプレイ
画像ディスプレイ46は、SONYモデル PVM 1342Qのような、商業的に入手可能なカラーモニタである。擬似色カラー技術が、オペレータによる画像の評価のために使用されている。そのような技術は白黒画像の異なるグレイシェイド(白に近い灰色か黒に近い灰色かの尺度)値に異なる色を割り当てる。
【0091】
データベースアダプター
データベースアダプター54は、ダイにパターンを形成するために使用されるCAD(Computer Aided Design) データを基にして、各ピクセルに対応するグレイスケールとを生成する画像シミュレーターである。代表的には、データベースアダプターへの入力は、集積回路のパターン形成に使用されるフォーマットのデジタル磁気テープである。これらのデジタルデータは、画像捕獲前置プロセッサ48の出力と同じフォーマットで、スオーシュに組織されたピクセルデータの流れに変換される。そのようなデータベースアダプターは、米国特許第4,926,489号に既に開示されている。米国特許第4,926,489 号は、1990年5月15日に発行され、本出願と同じ譲受人に譲渡されたDanielson 等による”Reticle Inspection System” である。
【0092】
マスクハンドラー
マスクハンドラー34の機能は、カセットからマスク57を自動的に取出して、それをマスクホルダーに適切な方向に向けて置くことである。これは、半導体産業においてウェファを輸送し操作するのに通常使用されているウェファハンドラーに類似のロボット装置である。マスクハンドラーの第1の機能は、図2と図3のフラット59の方向を決定することである。マスクハンドラー34は、マスクの回転中心に関して径方向に向いたリニアCDDセンサーで光学的にフラットを検知する。マスクが回転すると、イメージセンサの出力はデジタル形式に変換され、Force Computer Inc. の CPU 30ZBEのような単一ボードコンピュータにストアされる。コンピュータはフラット59の位置を決定する。そしてマスクは適切な方向に回転され、自動的にマスクハンドラーに位置決めされる。マスクを有するマスクホルダーは、図8の負荷エレベータ210に載せられる。ハンドラーの全ての動作はシステムコンピュータ36により制御される。
【0093】
ステージ
ステージ24の機能は、電子ビーム100と光学アライメントシステム22のもとでマスク57を移動させることである。システムの複雑さを最小にするために、ステージ24は2自由度、つまりxとy方向の自由度のみを有するように選ばれていた。即ち、ステージ24は、マスク57のx−y面に垂直な方向に回転も移動もできない。言い換えれば、ステージは、x、y或いは斜め方向へ平行移動だけできる。この代わりに、電子ビームラスターの回転は、任意のスキャンをビームの静電的偏向の2成分に分解し、ステージを機械的サーボにより同様な方法で移動することにより、電子的に達成される。対物レンズはマスクの高さ方向の変化を補償するために充分な範囲の可変焦点を有しているので、z軸方向の移動は必要ない。
【0094】
ステージ24は、直線性、直角性及び繰り返し性において非常に精密に制御できる装置である。交差したローラベアリングが使用されている。ステージは真空状態でも使用でき、電子ビーム100と干渉しないように非磁性体である。ステージはオープンフレームを有しているので、透過電子ビーム108がその下の検出器129に到達できる。オープンフレームはまた、載置プロセスにおいて下からマスク57をオープンフレーム上に置くために使用される。
【0095】
図示しない3位相ブラシュレスリニアモータが軸当り2個使用されて、最良のシステム機能を達成るるようにステージ24を駆動していた。適切なリニアモータは、Anorad Inc. によって作られたAnoline モデル L1 と L2 である。
【0096】
真空システム
真空システム全体はコラムコントロールコンピュータ42の制御下にある。システムの種々の場所に配置された図示しない従来の圧力センサが圧力を測定し、その結果をコラムコントロールコンピュータ42に報告する。このコンピュータが、スタート時、或いはマスクのローディング及び非ローディング期間に、必要に応じて種々のバルブを時間制御する。後者のルーチンは、標題”ローディング動作”においてより詳しく説明する。真空状態が電子ビーム動作に対して不適切であると、高電圧は自動的にカットオフされ、電子源81がダメージを受けるのを防止している。この動作は、コンピュータ42、36と圧力センサとを組み合わせて実行されている。同時に空気離隔弁145(図6と図8)が、コラムの超高真空領域140の汚染を防止するために動作する。真空システムの動作を以下に説明する。
【0097】
電子銃の真空システムは、前もってべーキングされその後は何の操作もなく只維持されるように設計された2段階の差動的に動作するポンプシステムである。約10−9トールの超高真空領域140はイオンポンプ139によって排気されて、ガンアノード開口87から離隔されている。約10−8トールの中間の真空領域141は、イオンポンプ149によって排気され、空気ガン離隔弁145とアパーチャ機構99によりメイン真空領域143から離隔されている。これらの真空素子は、電子生成おいてフィールドエミッションに適した環境を提供する。
【0098】
下部コラム領域143の真空状態は、ターボポンプ204によって維持され、と同時に検査チャンバー206の真空状態はターボポンプ208により提供される。検査チャンバー206は、プレートによって下部コラム領域143から離隔されており、このプレートには電子ビームが通れるような小さな孔が開けられている。この様に真空領域206と143を離隔することによって、検査すべき基板がかなりの蒸気圧を有するフォトレジスト物質でコートされた場合にも、高真空状態を維持することができる。
【0099】
真空システムは2つのエアロック224、226を有している。一方はマスク57を検査チャンバ206に載置するために使用され、他方は検査終了後にマスク57を取り出すために使用される。両方のチャンバは各々、並列に配置されたバルブ212と214を介して真空ポンプに接続されている。バルブ212はロックチャンバ224を低速で排気するために設けられ、一方バルブ214は大きなオリフィスを有し大容積を排気することができる。同様の構成がチャンバ226に対しても設けられている。この2つの構成を設けた目的は、荷電粒子が排気プロセスにおいて攪乱されるのを防止し、かつチャンバを排気たり加圧するのに必要な時間を少なくするためである。
【0100】
以下に詳細に説明されるように、最初、マスクがエアロック224に置かれると、低速バルブ212だけが開かれ、チャンバ内の流速は、エアロック領域224の荷電粒子が攪乱されないように充分に低く維持される。チャンバ内の圧力が低下して空気流が分子領域、即ち荷電粒子がもはや攪乱されない領域に達すると、大きなバルブ214が開けられ、エアロック内に残っている空気が急速に排気される。同様の2ステップ動作が加圧プロセスでも使用される。
【0101】
ロード(装填)動作
以前に説明したように、マスク57はマスクハンドラー34のアダプターとともに移動し、載置エレベーター210に搭載される。この時、エアロック224は大気圧状態にある。エアロック224を低速で排気できるバルブ212が開けられる。ロック224の圧力が分子流の圧力に達すると、高容量のバルブ214が開けられ、残りの空気が排気される。そしてゲートバルブ216が開けられ、エレベーター210はバルブ216を通ってマスク57を検査チャンバ206に押上げ、それをステージ24に載置する。マスク57の検査が終了すると、逆プロセスが行われて、マスク57はマスクを収納するのに使用されているカセットに再び収められる。
【0102】
この代わりに、マスクのカセットを同様の方法でチャンバに載置することもできる。マスクの集合の各々が検査されると、マスクのカセットが除去されて、マスクの次のカセットに交換される。
【0103】
更に、本発明のダブルロック配置によると、1つのチャンバー内であるマスクを検査しながら、同時に第2のチャンバを使用して、第2のマスクを挿入して加圧したり、或いは降圧して除去したりできる。
【0104】
オートフォーカスシステム
電子ビーム100は、図4に示されたシステムの対物レンズ104の電流を変化させて収束される。マスク57や他の基板は平坦ではなく、またステージ24の表面はコラム20の軸に完璧に垂直ではないので、最適な焦点電流は関心領域を越えて変化する。この変化はx軸とy軸方向の距離の関数として見た場合に小さいので、マスク57上の数個の指定点で最適なフォーカス電流を決定することは可能であり、これらの間の任意の点に対して所望のフォーカス電流を補間することができる。
【0105】
検査プロセスを準備し開始する際に、システムは指定点で最適なフォーカス電流を測定する。このフォーカス・キャリブレーション・プロセスは、ビームを指定点に位置付けし、それからマスク57の特徴エッジに垂直な直線に沿ってグレイスケール値を測定するステップからなる。例えばフォーカス電流の10個の異なる値に対して、デジタル化されたグレイスケール値は、図示しないハイパスフィルタで畳み込まれる。最良のフォーカス電流は、ハイパスフィルタからの出力のうちで最大の値に対応した電流である。好ましい実施例では、二次微分フィルタが使用され、この実施例では以下のような畳こみ係数を有している。
【0106】
−4 0 0 0 8 0 0 0 −4
最良の結果に対して、ハイパスフィルタの出力は平滑化されるべきである。
【0107】
フォーカスコンピュータはコラムコントロールコンピュータ42の一部である。フォーカス計算は、畳み込み集積回路と数個のDSP素子からなる特別な目的のハードウエアで実行される。
【0108】
光学アライメントシステム
光学アライメントシステム22は、ダイが検査チャンバに入った後に、ダイの粗いアライメントを視覚的に実行するために、オペレーターによって使用される。サブシステムは、真空チャンバへのウインドウと、ディスプレイ46上にイメージを表示するために、CCDカメラ上にマスクを投影するレンズとからなる。オペレーターは2つのレンズのうちの一つを選択できる。本発明では、これらは経験的に決定される。この二つのレンズのうち一方は、マスクを見る倍率が0.46であり、他方はその倍率が5.8 である。マスクからのフィルムでレンズの光学面がコーティングされるのを防止するために、全てのレンズは真空の外に置かれている。
【0109】
本発明は、数種の動作モード及び典型的なルーチンと装置に沿って説明されたが、当業者なら、上記記述と図面に示された内容から種々の変更して実施できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステムの全体ブロック図。
【図2】ダイ・データベース検査に対して本発明で使用されているスキャンパターン図。
【図3】ダイ・ダイ検査に対して本発明で使用されているスキャンパターンのグラフ図。
【図4】電子光学コラムと収集システムの機能要素を示す概略図。
【図5】図4に示された電子光学コラムと収集システムを通る一次電子、二次電子、後方散乱電子と透過電子の行程を示す概略図。
【図6】マルチヘッド電子銃と真空系の概略図。
【図7】本発明の位置決め制御システムのブロック図。
【図8】本発明の真空システムの概略図。
【図9】本発明のアナログ偏向システムのブロック図。
【図10】図1に示された本発明のメモリのブロック図。
【図11】本発明の画像捕獲(アクイジション)前置プロセッサーのブロック図。
【符号の説明】
10…検査システム
20…電子ビームコラム
21…アライメントコンピュータ
22…光学アライメントシステム
23…データバス
24…x−yステージ
26…ステージサーボ
28…干渉計
29…VME1
30…アナログ偏向回路
31…VME2
32…検出器
33…信号
34…マスクハンドラー
36…システムコンピュータ
38…コンピュータディスプレイ
40…ユーザキーボード
42…コラム制御コンピュータ
44…ビデオフレームバッファ
46…画像ディスプレイ
48…画像捕獲(アクイジション)前置プロセッサ
50…偏向コントローラ
52…メモリブロック
54…データベースアダプター
56…欠陥プロセッサ
57…マスク
58…ポストプロセッサ
Claims (6)
- 荷電粒子ビームを基板表面に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステージと、
前記ステージの位置を決定する干渉計と、
を具備することを特徴とする基板の自動検査システム。 - 前記基板上の荷電粒子ビームの位置を制御する偏向コントローラを更に具備することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
- 前記偏向コントローラは、前記干渉計から取り出された情報を使用して前記荷電粒子ビームの位置を制御することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
- 荷電粒子ビームを基板表面に向けるステップと、
前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出するステップと、
前記基板を保持するステージを連続的に移動して、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるステップと、
干渉計を使用して、前記ステージが連続移動している間に、前記ステージの位置を決定するステップと、
を具備することを特徴とする基板の自動検査方法。 - 偏向コントローラを使用して、前記基板上の荷電粒子ビームの位置を制御するステップを更に具備することを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 前記偏向コントローラは、前記干渉計から取り出された情報を使用して前記荷電粒子ビームの位置を制御することを特徴とする請求項5に記載の方法。
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