JP5228080B2 - パターン欠陥検査方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウェハ上に作成された微細な回路の電気的欠陥を検査する方法および装置に関する。
半導体デバイスの製造過程において、ウェハ上に形成された回路パターンの欠陥を画像の比較検査により検出する方法として、点状に絞った電子線を走査するいわゆるSEM方式によるパターンの比較検査方法が、例えば[特許文献1]に記載されている。SEM式検査装置は,光学式検査装置より分解能が高く、電気的欠陥を検出できるという特徴を有している。しかし、SEM式検査装置で試料の検査を行う場合、電子線を点状に絞って試料表面上で2次元的に走査して像を得る手法であるため、走査時間が長くなり、今後の検査の高速化には根本的な障害がある。
また、高速化を図った電子線検査方法として、例えば[特許文献2]には、矩形状の電子線を半導体ウェハに照射し、発生する反射電子や二次電子を電子レンズにより結像する写像型の検査装置が記載されている。写像型検査装置は、SEM方式よりも大電流の電子線を一度に照射でき、かつ一括で画像を取得できるためSEM方式と比較して高速に画像を形成できることが期待できる。
しかし、写像型の検査装置では、像形成の際に二次電子の放出角度分布に広がりがあることが問題となる。二次電子の放出角度分布はコサイン則に従うため、ウェハ法線方向を基準として大きい角度で放出される二次電子が殆どである。これらの二次電子を全て対物レンズに取り込んで結像する場合は、対物レンズの収差のため十分な空間分解能が得られない。100 nmレベルの十分な空間分解能を得るためには、レンズの軸方向に対してわずかな開き角(例えば0.1 rad)内に放出する二次電子に制限して像を形成する必要がある。従って、一括画像形成のために電子線を面積ビームとして大電流を照射しても、実際に画像形成に寄与できる二次電子の割合が低いため、画像の必要なS/N比を確保することが困難である。反射電子を用いる場合も、照射ビーム電流に比べて二桁少ない放出量しか得られず、通常の写像型の検査装置では、高い欠陥検出感度と高速性の両立は困難である。
一方、高感度な欠陥検出と高速検出との両立する手法として、[特許文献3]には、ウェハ直上の逆電界によって試料に衝突する前に引き戻される電子(ミラー電子またはミラー反射電子と以下に称する)を、結像電子として用いた写像型のウェハ検査装置が開示されている。
ミラー電子結像型検査装置が、従来の二次電子や反射電子を結像する写像型検査装置と異なっている点は主に2つある。第1には、試料からのミラー電子は、二次電子のような広い角度分布を持たずほぼ試料表面真上に放出されるため、結像レンズ系にほぼすべてを取り込むことができ、画像信号量を増やすことである。第2には、入射する電子が試料直上でミラー反射する領域では、電子の運動エネルギーは極めて小さくなり表面のわずかな変動でも軌道を変化させるため、欠陥部分と正常部分の像コントラストの差が大きくなることである。高分解能で画像を取得しわずかな画像の差を検出する二次電子や反射電子結像型検査装置にくらべ、欠陥部分と正常部分の像コントラストの差が大きくなる分、画像処理の負担が少なくなることを意味している。これらの特徴に加え、ミラー電子結像型検査装置では、殆どの照射電子はウェハ直上で反射されるため基本的にはウェハに入射しない。電子ビームにはエネルギー分布が存在するためにわずかの高いエネルギーを持った電子が存在し、それらは電位障壁を通過して入射するが、それもたかだか数eVである。すなわち、SEM式検査装置や二次電子結像方式の検査装置などでは電子線によるダメージが懸念される試料に対しても検査の対象とすることができる。
ミラー電子結像型検査装置では、表面の凹凸によって形成される電位の変化を敏感に検出するが、SEM式検査装置と同様にウェハに形成された電気的欠陥についても感度を持たせることができる。例えば電気的導通不良欠陥が有る場合、その箇所は電気的に絶縁されているため、帯電させることによって表面の電位を導通している正常部とは異ならせることができ、その電位異常をミラー電子結像を用いて検出できる。しかし、ミラー電子結像型検査装置では、照射電子線はウェハ直前で殆ど逆電界によって追い返されるため、照射電子線で試料の帯電を制御することはできない。そのため、安定な検査像を得るためには、試料表面の帯電状態を一次電子線の照射前に制御する(予備帯電)ことが必要となる。予備帯電を行うには、二次電子を発生させるに足るエネルギーを持った紫外線などの光、または電子線を被検査試料に対して照射する、或は、所定の電位を試料表面に印加する等の方法により行なわれる。
[特許文献4]には、検査の前にあらかじめウェハを帯電させる予備帯電装置について記載されている。予備帯電によるウェハ表面の帯電電位は、絶縁物の種類や回路パターンによって異なるが、少しずつ電荷が逃げるため、ある時定数で減少する。これらの時定数は、ミラー電子画像を取得する時間に比べて十分長いが、ウェハ一枚全体の検査時間と比べると不十分であり、検査途中の予備帯電が必要となる。
電気的欠陥検出を行うために、電子線の予備照射によってウェハの帯電電位を制御するには、ウェハの直上に制御電極を設ける。この制御電極は[特許文献4]では、グリッド状の電極を用いて構成されており、照射電子ビームを透過しかつウェハ直上に電位を与えることができるようになっている。グリッド電極による帯電電位の制御原理を以下に説明する。予備照射する際、電子線の照射エネルギーは、二次電子放出効率が1以上となるような値に設定しておく。一般的な半導体デバイス用の絶縁膜材料では500V程度である。電子線の照射により、ウェハに形成された絶縁膜表面は、二次電子放出効率が1より大きいため正に帯電していく。ウェハ表面電位に対して相対的に正電位を制御電極に印加にした場合、発生した二次電子は制御電極に引き寄せられるので、ウェハ表面は正に帯電していく。ウェハ表面の帯電電位が制御電極の電圧と等しくなると、制御電極とウェハ表面間に電位勾配が無くなるため、発生した二次電子はウェハ表面に戻り始める。するとウェハ表面の正帯電が緩和され、再び制御グリッドとの間の電位勾配が復活し、二次電子は再び制御電極の方へ引き寄せられる。結局ウェハの表面の帯電電位は、制御電極の電位とほぼ等しい電位で釣り合うことになる。
逆にウェハ表面電位に対して相対的に負電位を制御電極に印加した場合、発生した二次電子は制御電極から押し戻されウェハ表面に戻るため、実効的な二次電子放出効率が1より小さくなる。結局制御電極とウェハ表面の間の電位勾配がなくなるまで、ウェハ表面は負に帯電していく。このように、ウェハ表面の帯電電位は、制御電極でコントロールできる。
特開平05−258703号 特開平7−249393号 特開平11−108864号 特開2004−14485号
ウェハパターンの検査における更なる検査速度の高速化、欠陥検出精度の高精度化を達成するためには、従来技術では以下のような課題があった。
ミラー電子結像型検査装置の場合、予備照射によるウェハ内の電気的欠陥の帯電は、予備照射領域の全体としての帯電電位が均一である必要がある。その理由は、ミラー電子結像型検査装置では、ウェハ表面のある電位ポテンシャル面における照射電子の反射を利用し像にするため、ウェハの帯電電位が多少でも変動すると、照射電子線を反射させるポテンシャル面のウェハ表面からの高さが変動する。その結果、結像条件が変動し、ミラー電子像のコントラストが変動するからである。我々の実験の結果から、許される帯電電位の変動はおよそ0.5V以下であり、このように均一な帯電電位分布は、単純にグリッド電極を配置して電子ビームを照射するだけでは達成されえないことがわかっている。
また、従来のSEM式検査装置にも予備帯電装置を応用した例はあるが、SEM式検査装置では、検査時に照射電子がウェハに入射した際に発生する2次電子が照射領域を再帯電させるほか、2次電子の検出効率は数V程度の試料電位の変動では変化しないため、予備帯電による高精度な均一性は殆ど要求されない。ここでミラー電子結像型検査装置の場合、照射電子線はウェハ直前で殆ど逆電界によって追い返されるために、照射電子線で試料の帯電を制御することはできない。
また、ミラー電子結像方式の場合、要求される試料表面の帯電均一性が、±0.5V程度と非常にシビアであり、従来のSEM方式で用いられていた予備帯電技術では、十分な均一性を得ることができなかった。従来の予備帯電技術をミラー電子結像型の装置に適用した場合、具体的には以下のような問題が生じると考えられる。
帯電制御装置においては、制御電極としてグリッド電極が使用されており、帯電電位に2次元的な不均一分布が生じるという課題がある。グリッド状の電極を通して紫外線または電子線を照射して帯電制御をする場合、ウェハ上のグリッドに相当する部分には照射が行われないため、十分な電荷が供給されず、所望の帯電電位に達しない部分が形成されてしまう。予備照射による帯電制御は、被検査試料の検査前、検査中のいずれのタイミングでも実行されうるが、このような帯電の不均一が、検査精度に悪影響を及ぼすことは言うまでもない。
予備帯電装置等により検査時に予備照射を行う場合においては、帯電の不均一性は、特にウェハの移動方向に対して垂直な方向で大きくなる。ウェハは予備照射装置に対して相対的に移動しており、ウェハの移動方向に対しては照射領域が一部重なる場合が多い。従って、移動方向に沿う方向に対しては帯電状態が平均化され、不均一さがある程度緩和される。しかし、移動方向と垂直な方向の不均一については、この平均化は行われないため、帯電電位の不均一性が残されたままとなる。このように、帯電電位の不均一性に起因するミラー電子像における異常なコントラストによって、実際の検査においては欠陥でないものを欠陥として計数してしまい、正しい検査ができないという問題があった。
ミラー電子による検査像を取得する前に試料の検査領域を含む所望の領域を常に均一に帯電させる手段を設けることを特徴とする。
具体的には例えば、ミラー電子結像型検査装置に予備帯電装置を設け、かつ、予備帯電装置の帯電電位を制御する電極として、グリッド状電極ではなくスリット状の開口を持った電極を設け、その開口の長手方向をステージの移動方向と垂直な方向に向けて設置することにより、ステージ移動によって試料の帯電電位の平均化が達成されるようにした。また、予備帯電領域の境界における電位勾配を、予備照射領域の境界に近づくほど照射強度を減ずることによってなだらかにし、新たな予備帯電によって十分均一化が可能となるようにした。
本発明によれば、常に均一な帯電電位をウェハ上に形成できるため、半導体パターンの欠陥を高速かつ誤りなく検出することができる。
本発明によるミラー電子結像型検査装置の基本構成を説明する図。 ミラー電子結像型検査装置の検査動作を説明する図。 予備帯電装置の構成を説明する図。 予備帯電装置の引出電極の実施例について説明する図。 予備帯電装置の引出電極とビーム成形スリットの実施例について説明する図。 ビーム成形スリットの実施例について説明する図。 ビーム成形スリットの実施例について説明する図。 予備帯電装置の実施例を説明する図。 予備帯電装置の実施例を説明する図。 予備帯電装置の実施例を説明する図。 予備帯電装置の実施例を説明する図。 予備除帯電装置を用いたミラー電子結像型検査装置の実施例を説明する図。 予備除帯電装置の実施例を説明する図。 予備除帯電装置の実施例を説明する図。 予備除帯電装置を用いたミラー電子結像型検査装置の検査動作例を説明する図。 予備帯電によって生じる課題を説明する図。 ビーム成形スリットの実施例について説明する図。
本発明の一実施例の構成について以下に図面を参照して詳述する。
図1に、予備帯電装置を搭載したミラー電子結像型検査装置の概略を示す。但し、本図には真空排気用のポンプやその制御装置、排気系配管などは略されている。
まず、本装置の電子光学系の主な要素を説明する。電子銃101から放出された照射電子線901は、コンデンサレンズ102によって収束されながら、E×B偏向器103により偏向されて、クロスオーバー902を形成した後、試料ウェハ104上に略平行束となって照射される。図中ではコンデンサレンズ102は1つに描かれているが、より光学条件を最適化するために複数のレンズを組み合わせたシステムであっても良い。本実施例では電子銃101にZr/O/W型のショットキー電子源を用いている。Zr/O/W型ショットキー電子源を用いた電子銃は、大電流ビーム(例えば、1.5μA)、かつエネルギー幅が1.5eV以下の均一な電子線を安定に供給できるため、高速検査を目的とする本装置に適している。但し、本発明においては、Zr/O/W型電子源に限らず、輝度が高く電子源のサイズが小さい電子源であれば有用であるので、例えばカーボンナノチューブなどを利用した電子源でも使用することができる。電子銃101への引出電圧、引き出された電子線への加速電圧、および電子源フィラメントの加熱電流などの、運転に必要な電圧電流は、電子銃制御装置105により供給、制御されている。
E×B偏向器103の設置位置は、結像電子線903の結像面904近傍とした。このとき照射電子線901に対してE×B偏向器103により収差が発生する。この収差を補正する必要がある場合は、照射系コンデンサレンズ102とE×B偏向器103の間にもう一つ収差補正用のE×B偏向器106を配置する。
E×B偏向器103によってウェハ104に垂直な軸に沿うように偏向された照射電子線901は、対物レンズ107により試料ウェハ104表面に対し垂直な方向に入射する面状の電子線に形成される。対物レンズ107の焦点面上には、照射系コンデンサレンズ102により微細なクロスオーバーが形成されるので、平行性の良い電子線を試料ウェハ104に照射できる。照射電子線901が照射する試料ウェハ104上の領域は、たとえば2500μm、10000μmといった大きな面積とする。
ウェハステージ108に搭載された試料ウェハ104には、電子線の加速電圧とほぼ等しいか、僅かに低い(絶対値の大きい)負電位が印加されている。照射電子線901は、この負電位によってウェハ104に殆ど衝突することなくウェハ104の手前で減速、反射されてミラー電子として上方に引き戻される。ウェハ104に印加される電圧の供給と制御は、ウェハ電圧制御装置109が行う。ウェハの極近傍で照射電子を反射させるため、照射電子線901の加速電圧との差を精度良く調整する必要があり、電子銃制御装置105と連動制御を行う。
ウェハ側から飛来した電子はウェハ104上の回路パターンの電気的欠陥に関する情報を反映しており、電子結像光学系を用いた像形成により、欠陥判定のための画像として装置に取り込まれる。ミラー電子は対物レンズ107により収束作用を受け、E×B偏向器103は下方から進行した電子線に対しては偏向作用を持たないように制御されているので、そのまま垂直に上昇し、中間レンズ110、投影レンズ111によって画像検出部112に拡大投影される。本図では投影レンズ111は1つとして描かれているが、高い倍率や像歪の補正などのために複数の電子レンズで構成されていても良い。画像検出部112は像を電気信号に変換しウェハ104表面の局部的な帯電電位の分布すなわち欠陥像を、画像処理部112に送る。
電子光学系には、ここで説明した他に、各電子光学素子に正しく電子ビームを通すためのアライナや、像の歪を補正するスティグマなどの補助的電子光学素子も適宜設置されるが、本図には省略されている。これらの補助的な電子光学素子を含めた電子光学系の制御は、電子光学系制御装置113が行う。
次に、画像検出部112について説明する。画像検出には、ミラー電子像を光学像に変換するための蛍光板112aと光学画像検出装置112bとを光学像伝達系112cにより光学結合させる。本実施例では、光学像伝達系112cとして、光ファイバー束を用いている。光ファイバー束は、細い光ファイバーを画素数と同じ本数束ねたもので、光学像を効率よく伝達できる。また、十分な光量をもった蛍光像が得られる場合は光学伝達効率を低くしても良く、上記光ファイバー束の代わりに光学レンズを用い、光学レンズによって蛍光板112a上の光学像を光学画像検出素子112bの受光面上に結像させるようにしてもよい。この場合、光学伝達系の自由度が増し、光学像の拡大や歪補正などの像加工をより容易に行える。また、光学像伝達系に増幅装置を挿入し、光学画像検出装置112bに十分な光量の光学像を伝達できるようにしても良い。光学画像検出装置112bは、その受光面上に結像された光学像を電気的な画像信号に変換して出力する。光学画像検出装置112bとしては、CCD、MCP(マイクロチャンネルプレート)、フォトダイオードなどを用いることができる。また、時間蓄積型のCCDを用いたTDIセンサを用いてもよい。
ウェハステージ108は、画像検出部112の画像取り込みのタイミングと同調して駆動されなければならない。特に、光学画像検出装置112bとしてTDIセンサを用いる場合では、画像信号の画素間の転送とウェハステージ108の動きとを正しく同期させないと像分解能が著しく低下する。そこでウェハステージにはウェハステージの位置を検出する位置検出器114を備え、ステージ制御装置115によりステージ駆動を制御すると伴に、位置検出器114からのステージ位置情報を元に画像取り込みのタイミングを画像検出部112に送信する。
画像処理部116は、画像信号記憶部116a、欠陥判定部116bより構成されている。画像記憶部116aは、電子光学条件、画像データ、およびステージ位置データを、電子光学系制御装置113、画像検出部112、およびステージ制御装置115からそれぞれ取得し、画像データを試料ウェハ上の座標系に関係付けて記憶する。欠陥判定部116bは、ウェハ上の座標付けがされた画像データを用い、あらかじめ設定された値との比較、あるいは隣接パターン像との比較、または隣接ダイにおける同一パターン箇所の像との比較、などの様々な欠陥判定法により欠陥を判定する。欠陥の座標および、対応するピクセルの信号強度は検査装置制御部117に転送、記憶される。これらの欠陥判定の方法は、ユーザーが設定するかまたは、あらかじめウェハの種類に対応付けられた方法を検査装置制御部117が選択する。
装置各部の動作条件は、検査装置制御部117から入出力される。検査装置制御部117には、予め電子線発生時の加速電圧、電子線偏向幅・偏向速度、ウェハステージ移動速度、画像検出素子からの画像信号取り込みタイミング等々の諸条件が入力されており、各要素の制御装置を総括的に制御し、ユーザーとのインターフェースとなる。検査装置制御部117は、役割を分担し通信回線で結合された複数の計算機から構成されていても良い。また、モニタ付入出力装置118が設置されている。
本実施例のミラー電子結像型検査装置は、電子線がウェハ104に殆ど衝突することがないので、試料ウェハが十分帯電しない。しかし、電気的欠陥を検出するためには正常部との差が生じるための十分な帯電をさせる必要がある。そこで、予備帯電装置119を備える構成とした。
予備帯電装置119a,119bはいずれも予備帯電制御装置120により制御されている。予備帯電装置119aおよび119bによって形成されたウェハ上の帯電電位は、照射電子線がウェハ表面極近傍で反射する状態を乱さないようにするため、予備帯電制御装置120はウェハ電圧制御装置109及び電子銃制御装置105と連動制御を行う。これらの動作の詳細を図2を用いて説明する。図2には装置を真空に維持するための真空排気系、画像処理系、ステージ制御系、電子光学系、制御系などは図示されていない。図2はミラー電子結像型検査装置を上面から見ている。図2では電子光学系カラムの詳細は省かれており、ミラー電子結像のための対物レンズ107の位置のみ図示されている。真空チャンバ201内に納められているウェハステージ108は、ウェハ全体を検査できるように図中矢印で示されている様にX方向には往復移動しながら少しずつY方向に移動する。予備帯電装置119a,119bは、対物レンズの107の両側に一個ずつ配した。これは、カラムに対して往復運動をするウェハに対して、検査直前に効率よく予備帯電を行うためであり、また、検査前に帯電させ、かつ検査後に除電するためでもある。予備帯電装置119a,119bの制御系および電気配線は図中略した。
被検査ウェハ104はまず、ウェハカセットなどに入れる等してウェハ投入口203にセットされる。その後搬送ロボット204により、大気開放した予備チャンバ202に搬送される。次に予備チャンバ202の投入口が閉じられた後、予備チャンバ202は真空ポンプにより真空に引かれ、常時真空に維持されている試料チャンバ201の真空を破ることなくウェハ104は搬入される。このウェハ搬入時においては、ウェハステージ108は図中のHPの位置に移動しウェハを受け取る。ウェハを試料チャンバ201に搬送後予備チャンバ202との出入り口は閉じられる。
光学画像検出装置112bにTDIセンサが用いられている場合は、画素信号の積分方向とウェハステージ108の連続運動方向とは一致している。また、検査中の予備帯電を行う際の予備帯電装置の配置もウェハステージの連続運動方向に沿っている必要がある。ウェハ検査においては、被検査ウェハのパターンの配列によって、ステージの連続運動方向を90度回転させる場合がある。すなわち、検査すべきパターンが図中X方向に密に並んでおり、Y方向に粗に並んでいる場合には図中矢印Aの様なステージ運動でよいが、パターンの配列がその逆の場合はこの向きを90度回転した運動の方が望ましい。しかし、通常TDIセンサの取り付け角度は一定で、すなわち図2の場合には画素信号の積分方向はX方向であり、予備帯電装置119の配置もX方向に沿っており、このままであると上述のように検査の運動方向の90度回転ができない。従って、搬送ロボット204はウェハ投入口203にセットされたウェハを、予備チャンバ202に搬送する際に、ユーザーが指定した検査の運動方向に従ってウェハを回転させ、予備チャンバ202のウェハステージにウェハを設置する機構を備えている。あるいはこの機構に加えて、ウェハ投入口203を2種類設け、矢印Aの検査運動を行うときと、これを90度回転させた運動を行うときとに分けても良い。またあるいは、搬送ロボット204は常に同じウェハの向きで予備チャンバ202にウェハを搬送するが、搬送後予備チャンバ202のウェハステージがユーザーの指定した検査運動に合わせて回転し、ウェハの設置の向きがウェハステージの連続移動方向と矛盾の無いようにして、真空チャンバ201に搬送されるようにしても良い。またあるいは、ウェハステージ108自体にウェハ回転機構を付加し、真空チャンバ201の中でウェハの設置向きとウェハステージの連続運動方向とにユーザーが予め設定した関係を満たすようにしても良い。
ウェハの設置が終了した後の検査動作を図2中ウェハの右上から行うときを例にして説明する。ウェハステージ108はまず、予備帯電装置119aの左側に最初の検査部位が来るように移動する。検査が開始されると、ウェハステージ108は右へと移動し、予備帯電装置119aはあらかじめ設定された条件で予備照射を行い、ウェハを順次帯電させていく。ウェハが対物レンズ107を通過する際にミラー電子像が取得され検査画像から欠陥を検出する。その後、予備帯電装置119bの下を通過する際、必要ならば再帯電を行う。再帯電には、帯電電位を0Vとした場合の除電も含む。
検査領域が予備帯電装置119bを通過したら、Y方向にあらかじめ設定された量だけ図の上方向に微動し、X方向は反転して移動する。ウェハの移動方向が反転するので、この走査においては予備帯電装置119bがミラー電子像取得時に必要な帯電電位にまで帯電させ、予備帯電装置119aが再帯電を行うことになる。ウェハの走査方向の切替に伴う予備帯電装置119a,119bの条件切替は、検査装置制御部117の指令により予備帯電制御装置120が行う。被検査ウェハが帯電状態を維持しやすいウェハの場合は、予備帯電装置119は検査中に間歇的に動作させても良い。予備帯電装置119が帯電させる領域は検査視野よりも十分広く、ウェハが1度X方向に走査されただけで広い領域を帯電させることができる。従って、次回以降の走査においては予備帯電装置119の動作を停止することができる。予備帯電装置119のONとOFFのタイミングは検査装置制御部117がユーザーの設定に従って決定し、予備帯電制御装置120に指令する。
図3に予備帯電装置119の詳細を示す。図3aは予備帯電装置の断面を示している。予備帯電を行うための照射ビームが電子線の場合である。電子線源としてはカーボンナノチューブ(CNT)を利用した電子源に代表されるような面状電子源301を用いている。電子源301は絶縁された台302を通して真空チャンバ201内に設置されており、電子線の加速電圧Vaを与えるためのケーブルが導入端子303を介して真空外から接続されている。グリッド状の引出電極304は、真空チャンバ201と絶縁されて設置されており、引出電圧Veを印加するためのケーブルが導入端子303を介して真空外に導かれている。本図では電子源301と引出電極304は各々独立に真空チャンバ201に取り付けられているが、これらを一体の構造物として製作されたものを使用しても良い。
ウェハ104の帯電を制御する帯電制御電極305は、ウェハ104になるべく近接するように真空チャンバから絶縁されて設置されている.CNT電子源のような面状電子源の場合はビームの平行性が良いため、グリッド状電極を用いた場合,グリッドの陰となって電子線が透過しない部分がそのまま陰となってウェハに到達し、照射ビーム強度に格子状の不均一が生じる。検査中ウェハはX方向に移動しているので、X方向に沿った方向の不均一分布は平均化されるが、移動方向と垂直な方向(Y方向)の不均一性は平均化されない。帯電電位の均一性が要求されるミラー電子結像では、この様な照射電子線強度の不均一は画像のコントラスト異常を引き起こし、虚報発生の原因となる。図3bに帯電制御電極305の構造を示す。帯電制御電極305は、導電性の板に検査時のステージ運動方向(X方向)に沿った方向を幅Wc、検査時のステージ運動方向(X方向)と垂直な方向(Y方向)に沿った方向を長さLcとした開口を設ける構造とした。長さLcは幅Wcより長いものとした。帯電制御電極305の印加電圧Vcを与えるためのケーブルが導入端子303を介して真空外に導かれている。各電極への印加電圧などは、ユーザーの設定に従って予備帯電制御装置120から供給されている。
さらに本実施例では、引出電極304と帯電制御電極305との間に、ビーム成形スリット306を設けている。図3cにビーム成形スリット306の構造を示す。ビーム成形スリット306は、導電性の板に幅Ws、長さLsの開口を設けた構造をしているが、帯電制御電極305の幅Wcと長さLcに対して、Ws<Wc、Ls<Lcの関係を保っている。ビーム成形スリット306は、電子源301からの電子が帯電制御電極305に衝突しないようにするために設置されている。ビーム成形スリット306の設置により、帯電制御電極305が電子線に曝されることによって発生する2次電子が、ウェハ104上に形成された帯電電位を乱す危険性を防ぐことができる。さらに、ビーム形成スリット306に電子線照射によるコンタミネーションを防ぐための加熱機構を備えておけば、吸着物質の帯電による電子線の異常偏向を防ぐことができ、ウェハへの均一な照射を維持することができる。
本実施例により、予備帯電動作において常に均一な電子線照射をウェハに対して行うことができるため、均一な帯電電位を形成することができ、ウェハ検査の精度を向上させることができる。
本実施例では、図1のような装置構成において、予備帯電装置119における引出電極を通常用いられるグリッド電極以外の構造で構成した例を説明する。図4に引出電極の構造を示す。電子線が通る開口401上に極細の導電性のワイヤー402を平行に並べたすだれ構造になっている。ワイヤー402を張る向きは、検査時のウェハステージの運動方向と垂直な方向(Y方向)である。本実施例を図1または図3(a)のような予備帯電装置に搭載することにより、電子線引出しの段階から、検査時のウェハステージ運動方向と垂直な方向に対して、均一な電子線照射をウェハに対して行うことができる。そのため、より均一性を高めた帯電電位を形成することができ、ウェハ検査の精度をさらに向上させることができる。
被検査ウェハの種類に依っては、所望の帯電電位に達するまでにウェハに供給しなければならない電荷量が多い場合がある。 検査時の予備帯電においてはウェハステージの速度は変えられないため、より多くの電荷を供給するためには電子源からの電流を増加させる,あるいは照射面積をウェハステージの運動方向に広げる、という手段が必要である。電子源からの電流を増やすと,電子源の寿命が短くなるなど不都合が生じやすい。そこで本実施例では、図1または図3(a)のような予備帯電装置において、開口を複数設けた帯電制御電極501およびビーム成形スリット502を用いて、ビームの照射面積を広げた構成とした。図5に帯電制御電極501とビーム成形スリット502の構成を示す。帯電制御電極501及びビーム成形スリット502の開口のピッチP(ステージ運動方向(X方向)における開口部の開口始点Aから隣接する開口部の開口始点Bまでの距離P)を同じにし、帯電制御電極501の開口の内側のみを電子線が通過するように、ビーム成形スリット502を用いて調整できる。
本実施例を図1のような装置に応用すれば,帯電電位の均一性を保ちながら,電子源に負担を与えることなくウェハに供給する電子線の量を増やすことができる。
本実施例では図1または図3(a)のような装置の予備帯電装置119において、ウェハに照射される電子の量を外側に向かって漸近的に少なくした例について述べる。
従来、ミラー電子結像型検査装置における予備帯電装置は結像電子光学系カラムの近傍に配置される。検査ウェハはX方向に往復運動をしながらY方向に少しずつ移動し、ウェハ全面が検査される。予備帯電を行う領域は、ミラー電子結像視野内の電位分布に予備照射領域の境界の影響が及ばなくするため、即ち検査領域に均一な帯電電位を形成するため、検査の視野に比べて十分大きくしなければならない。例えば、検査におけるミラー電子結像の視野サイズは100〜200ミクロンであるが、予備照射の領域のサイズは10 mm程度とそのサイズに大きな差がある。図16のように、ウェハのX方向の連続移動時では、予備帯電された領域はウェハの表面に帯状に繋がることとなる。すでに予備照射が行われた部分は所定の電位に帯電しており、予備照射が行われていない部分はすでに予備照射が行われた部分の電位とは異なる電位となっている。このような状態において、帯の幅は検査の視野より大きいため、これから検査をしなければならない未検査領域にこの帯電領域の境界がかかってしまうことになる。ミラー電子結像型検査装置は表面の電位分布を像として形成するので、電位勾配の存在する予備帯電領域の境界をそのままミラー電子で観察すると、線となって像に現れてしまう。この境界領域での電荷分布の変化が急峻であればあるほど、ミラー電子像に現れる線状のコントラストは強くなる。例えば帯電電荷の拡散時間が長い材料が成膜されているウェハの場合、予備帯電で帯電させた領域の境界における電位の急峻な変化が維持されてしまう。この境界領域部分に重なるパターンを検査する直前に改めて予備帯電が行われるが、予め生じてしまった帯電電荷量の差が完全に解消されるまで時間がかかり、この線が残留したまま像を取得することになる。そのような場合、直前に予備帯電を行っても、以前の検査において行われた予備帯電の結果残った境界が、以後の検査像取得時にコントラスト異常としてミラー電子像に現れる。このような帯電電位の不均一性に起因するミラー電子像における異常なコントラストによって、実際の検査においては欠陥でないものを欠陥として計数してしまい、正しい検査が出来ないという問題があった。
そこで本実施例では図1または図3(a)のような装置の予備帯電装置119において、図6aのようにビーム成形スリット601の開口形状を、両端に行くほど開口幅が狭くなるような開口幅変化部602を設けた。開口をこの様な形状にすることにより、ウェハに照射される電子の量を外側に向かって漸近的に少なくし、図6cに示すように、急峻な帯電電位境界をより緩い勾配の帯電電位変化とすることができ、急峻な電位勾配によるコントラストを生じさせないようにすることができる。また、図6bに示したビーム成形スリット603では図6aの様な形状の開口を複数並べて設けており、このスリットを用いることにより境界に急峻な電位分を発生させること無くウェハへの供給電荷量を増やすことができる。但し、いずれの場合でも、帯電制御電極の構造は図5と同様に矩形の開口でもよい。
実施例4においては、ビーム成形スリットの開口形状を両端に向かうほど幅が狭くなるようにした。しかし、図6bのように複数の開口を設ける場合は加工が複雑になる。そこで本実施例では図1または図3(a)のような装置の予備帯電装置119において、図7のように複数の開口の長さを少しずつ変化させる。本実施例に依れば、境界に急峻な電位分を発生させること無くウェハへの供給電荷量を増やすことができ、より容易な加工で、急峻な電位変化を生じさせない予備照射を実現できる。
これまでの実施例においては、予備照射電子を引き出すための引出電極が配されていた。本実施例では図1またのような装置の予備帯電装置119において、引き出し電極の変わりに、図7のような、スリット701そのものを電子源近傍に配置することにより、図8のようなビーム成形スリットと引き出し電極とを兼ねた構成とした。このような配置とすることにより、構造が簡単になる他に、引き出し電極のグリッドによって生じる照射電子分布の不均一性を根本から除去することができ、より一層の照射電子線量の均一化を図ることができる。
本実施例では、図1のような装置の予備帯電装置119に、図9のように実施例6の発明における引出電極兼用スリットと、帯電制御電極との間にブランカー901を配置した。予備照射は検査中に行われるが、帯電保持時間が十分長いウェハの場合は、検査中に連続して予備照射を行う必要はなく、あらかじめ測定された保持時間の間は予備照射を停止してもよい。すなわち、検査中に時間間隔をもって間歇的に予備照射を行う。その際、電子源からの電子線の発生自体を停止してしまうと、次に電子線の発生を行うときに電源の状態や電子源の状態がわずかに変動し、停止前と同一の照射強度を再現しない場合がある。また、電子源の繰り返しのON/OFFは電子源自体の寿命を短くする原因ともなる。そこで本実施例は電子源からの電子の発生を停止させることなく、ウェハへの電子線の照射を停止させる手段として、ブランカー901を設置している。電子線のウェハへの照射を停止させる場合は、ブランカー901にあらかじめ設定された電圧を印加し、電子線の軌道を大きく偏向することにより、電子線をブランカー901側壁によって遮蔽する。これらの照射タイミングの制御は予備帯電制御装置120により行われる。本実施例に拠れば、電子源の寿命を損ねることなく、また常に一定の電子線量を間歇的にウェハ上に照射することができる。
本実施例では、図1または図3(a)のような装置の予備帯電装置119において、図17のようにビーム成形スリットとして、上述の各々実施例で示したような所定の開口1701を予め複数設けた可動板1702を用いる。チップの大きさが同じで、予備電必要時間に大きな差が無いウェハ1711のみが検査される場合、開口の大きさを頻繁に変更する必要は無いが、異なる大きさのチップや、予備帯電にさらに時間のかかるウェハの検査に移行する場合には、新たなウェハに適した開口を選択し、開口を所望の位置に移動させ検査を行う。検査中はウェハ全体を検査できるようにX方向には往復移動しながら少しずつY方向に移動する方式としても良いが、Y方向の移動については検査中のウェハ1703の動きに可動板の動きを合わせて駆動装置により可動板1702を移動させても良い。これらの制御は予備帯電制御装置120により行う。本構成とすることにより、可動板に備えられた開口を選択するだけで、照射領域の大きさを変更することが可能となり検査の高速化が可能となる。
これまでの実施例は、予備帯電のための照射ビームとして電子線を前提としてきた。ウェハの帯電は紫外線の照射によっても電子線照射と同じように制御することができる。図1のような装置の予備帯電装置119として図10には電子源以外の照射線源として紫外線を用いた場合を示す。紫外線光源1001は、ウェハの光電子を励起するために十分なエネルギーをもった紫外線を発生する。紫外線光源1001はコントローラ1002で制御され、このコントローラは予備帯電制御装置120の指示に従って紫外光の強さや照射時間の設定や、紫外光のON/OFFなどを行う。通常そのような紫外線は、大気中を透過しない真空紫外線であるので、真空チャンバ内に光源は設置されている。紫外光が不必要な部分を照射しないように遮蔽するための外筒1003が設けられ、そのウェハ側に突き出た先端に、帯電制御スリット1004が配置されている。本実施例に拠れば、電子線に比べ安定な紫外線を用いて帯電を行うことができる。
実施例9では、紫外光源から紫外線は発散し、実際に帯電に寄与できる紫外線量が少なく、ウェハによっては所望の帯電させるために必要な電荷を発生させられない可能性がある。そこで本実施例では、図11のように、紫外光源に反射鏡1101を設置し、発散した紫外線を集光してウェハに到達するようにした。本実施例を図1のような装置に応用すれば、紫外光を効率よくウェハに照射することができ、より短時間でウェハの帯電を形成することができる。
これまでの実施例では、主に電気的欠陥検査を行うため検査中にウェハを同時に帯電させる場合について述べてきた。しかしこの場合、ビーム照射時間はウェハの移動速度で制限されるため、長いビーム照射時間を設定することは限界が生じる。また、半導体製造工程におけるプロセスによっては、ウェハ全体に大きな電位をもった帯電分布を生じさせる場合がある。このような大きな帯電電位は、限られた照射時間しか得られない検査と同時の予備照射では解消できず、ミラー電子結像に大きなコントラスト異常が生じる可能性がある。
そこで、本実施例では、図12のように予備チャンバ202から真空チャンバ201にウェハが搬送される際に、予備除帯電装置1201を用いて予め生じているウェハの帯電を消去、または検査時に行われる予備帯電で制御可能な電位まで減ずる。予備除帯電装置1201の設置位置は、予備チャンバ202と真空チャンバ201との間の開口部の真空チャンバ201側が望ましい。このような配置とすることによって、ウェハ搬送中に予備帯電によって帯電除去することができるため、検査時間に大きな支障をもたらさない。
予備除帯電装置1201の基本構成を図13に示した。図13は装置主チャンバの側から、予備チャンバ側からのウェハ投入口1304を見た図であり、ウェハ104は紙面裏側から表側へ移動台1303に戴置されて移動する。ウェハ全面に亘って電子ビームを均一に照射するために、ウェハの直径よりも長い電子源1301を用いた。電子源1301は例えば矩形の基板上に成長させたカーボンナノチューブであり、図示されていないがカーボンナノチューブからの電子の引き出しのために近傍にグリッド形状をした引出電極が設置されており、矩形の断面を持った電子ビームを発生させることができる。ウェハの直上には帯電制御電極1302が設置されている。帯電制御電極は矩形の開口とメッシュとからなり、ウェハ直上にほぼ0Vの電位を形成する。これまでの実施例における予備帯電装置のように、検査直前に均一な帯電分布を形成する必要は無く、検査中の予備帯電で再形成可能な程度にウェハの電位を制御すればよいため、帯電制御電極にメッシュ電極を用いている。なお、各部材を支持するための構造物や、電極に電源を供給するためのケーブルなどの詳細は省略した。これらの電子源、電極への印加電圧は、検査装置制御部117が制御する予備除帯電制御装置1305によって制御、供給される。
上記の実施例の様に矩形の大きなサイズを持った電子源以外にも、予備帯電装置119に用いられるような電子源を用いて予備除帯電装置1201の電子源を構成することができる、図14に示すように、個々に引出電極を備えた電子源1401を複数、かつ照射領域が重なるように少なくとも2列互い違いに配置する。十分な電子線照射が必要な場合は並列な電子源列の数を適宜増やす。この場合は電子源1401のほかに、真空紫外光源を複数並べても良い。
本実施例を用いた場合のウェハ検査の主な流れを図15に示した。図中には示されていないが、各動作における様々な条件は、予めまたは適宜検査装置制御部から各制御装置に伝達されるものとする。予備チャンバが大気開放されている状態でウェハ搬送ロボットからウェハが導入されると、予備チャンバのウェハ投入口は封止され真空排気を行う。同時に予備除帯電の運転を開始しウェハの搬送中の除帯電に備える。予備チャンバが十分な真空度になると、予備チャンバと検査装置主チャンバとの間のゲートバルブが開き、ウェハの搬送が開始される。このウェハ搬送時の移動速度は、十分な除電が行われる様に適宜調整されている。ウェハが完全に装置主チャンバに搬送されると、予備除帯電装置のビームが止められ、またはウェハから遮断され、ビーム照射を終了し、同時にゲートバルブが閉じる。ウェハは検査開始をホームポジション(HP)で待機し、次に検査開始位置まで移動する。その後予備帯電装置の運転が始まり、十分な安定な照射ビーム強度とレシピに従った電圧条件が得られているのを条件に検査が開始される。予備帯電をしながらのウェハの検査が終了すると、予備帯電装置はビームを停止、または、ウェハから遮断され、ウェハは再び待機位置(HP)へ戻される。ウェハの再検査が無ければ、再び予備除帯電装置がウェハにビーム照射できる条件へと運転を開始する。このときはウェハの電位が0Vとなるように電極条件が設定されている。予備チャンバの真空が十分よければ装置主チャンバと予備チャンバ間のゲートバルブが開き、ウェハの除電動作と搬送が行われる。ウェハが予備チャンバに完全に移動した後、予備除帯電装置のビームが停止、または遮断される。装置主チャンバと予備チャンバ間のゲートバルブが閉じて、予備チャンバの大気開放が行われ、その後ウェハは搬送ロボットにより予備チャンバから取り出され、ウェハ投入口へと戻ってくる。この段階では、ウェハの帯電はほぼ一様に0Vとなっており、次のプロセスになんら影響を与えない。
本実施例に依れば、種々のプロセスによって生じた意図しない帯電がウェハに予め形成されていても、安定かつ正確な検査が行うことができるばかりではなく、次のプロセスへの帯電の影響を除去することができる。
以上、本発明の実施例を述べた。これらの実施例の組み合わせもまた本発明に含まれる。
101:電子銃、102:コンデンサレンズ、103:E×B偏向器、104:試料ウェハ、105:電子銃制御装置、106:E×B偏向器、107:対物レンズ、108:ウェハステージ、109:ウェハ電圧制御装置、110:中間レンズ、111:投影レンズ、112:画像検出部、112a:蛍光板、112b:光学画像検出装置112c:光学像伝達系、113:電子光学系制御装置、114:位置検出器、115:ステージ制御装置、116:画像処理部、116a:画像信号記憶部、116b:欠陥判定部、117:検査装置制御部、118:モニタ付入出力装置、119a:予備帯電装置、119b:予備帯電装置、120:予備帯電制御装置、201:真空チャンバ、202:予備チャンバ、203:ウェハ投入口、204:ウェハ搬送ロボット、301:電子源、302:台、303:導入端子、304:引出電極、305:帯電制御電極、306:ビーム成形スリット、401:開口、402:ワイヤー、501:帯電制御電極、502:ビーム成形スリット、601:ビーム成形スリット、602:開口幅変化部、603:ビーム成形スリット、701:ビーム成形スリット、801:引出電極、901:ブランカ、1001:紫外光源、1002:コントローラ、1003:外筒、1004:帯電制御電極、1101:反射鏡、1201:予備除帯電装置、1301:電子源、1302:帯電制御電極、1303:移動台、1304:装置主チャンバへのウェハ投入口、1305:予備除帯電制御装置、1401:電子源、901:照射電子線、902クロスオーバー、903:結像電子線、904:結像面、HP:ホームポジション。

Claims (5)

  1. 導入口より導入された試料の第一の領域に第一の電子線を面状に照射し、該第一の電子線を該試料に入射する直前に反射させ、該反射された電子を結像することによって該試料上に形成された回路パターンの像を取得し、該回路パターン像をもとに該回路パターンに存する欠陥を検査する欠陥検査装置を用いた欠陥検査方法において、
    前記第一の領域を検査する前に、紫外線または第二の電子線を前記試料表面の第一の領域を含む第二の領域に照射して前記第一の領域の帯電分布を均一にする工程を有し、
    前記導入口の近傍において、第三の電子線または紫外線を照射する工程を有することを特徴とする欠陥検査方法。
  2. 請求項1に記載の欠陥検査方法において、
    前記第三の電子線または紫外線の照射領域において、前記試料が移動する方向に対して垂直方向の幅が前記試料の直径より長いことを特徴とする欠陥検査方法。
  3. 請求項1または2に記載の欠陥検査方法において、
    前記第三の電子線または紫外線を照射する工程は、複数の電子源または紫外線光源によって行うことを特徴とする欠陥検査方法。
  4. 導入口より導入された試料の第一の領域に対して電子線を照射する電子光学系と、
    前記試料を保持する試料ステージと、
    前記試料に照射された前記電子線が前記試料に入射せずに反射されるような電圧を前記試料ステージないし前記試料に印加する手段と、
    当該電圧印加により前記試料側から反射された電子を検出する手段と、
    当該検出手段の検出信号を基に、検査像を形成し前記試料の欠陥を検出する手段を有し、
    前記検査像を形成する前に紫外線あるいは第二の電子線を、前記第一の領域に照射する手段とを備え、
    前記導入口の近傍において、第三の電子線あるいは真空紫外線を照射する手段を備えることを特徴とする検査装置。
  5. 請求項4に記載の検査装置において、
    前記第三の電子線照射の手段は、複数の並列配置された電子源を備えることを特徴とする検査装置。
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