JP2003111588A6 - ヒト多能性幹細胞の増殖および分化のための技術 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ヒト多能性幹細胞の増殖、増殖を促進する培養条件、ならびに遺伝的改変、cDNAライブラリーの産生、および組織再生を目的とする分化した細胞の産生を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、ヒト多能性幹細胞の増殖、増殖を促進する培養条件、ならびに遺伝的改変、cDNAライブラリーの産生、および組織再生を目的とする分化した細胞の産生を提供する。1つの実施形態において、本発明は、フィーダー細胞を本質的に含まない、増殖中の霊長類多能性幹(pPS)細胞を含有する組成物である。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
(技術分野)本発明は、胚細胞の細胞生物学の分野に一般的に関与する。より詳細には、本発明は、ヒト多能性幹細胞の増殖、増殖を促進する培養条件、ならびに遺伝的改変、cDNAライブラリーの産生、および組織再生を目的とする分化した細胞の産生のための使用に関与する。
【0002】
(関連申請書の参考)本願は、以下の係属中の米国特許出願(USSN60/175,581,2000年1月11日提出;USSN60/213,740、2000年6月22日提出;USSN60/213,739、2000年6月22日提出;USSN60/216,387、2000年7月7日提出;USSN60/220,064、2000年7月21日提出;および09/688/031、2000年10月10日提出)に対して優先権を主張する。
【0003】
米国における手続き上の目的に対して、これらの優先権出願は、本明細書中によって、それら全体が参考として本明細書中に援用される。
【0004】
【従来の技術】
(背景)最近の発見は、幹細胞が、疾患、感染の過程で、または先天性異常のために損傷した細胞および組織の置換源であり得るという期待を生じた。推定される幹細胞の種々の型は、それらが分裂する場合に、分化して、心臓、肝臓、または脳のような特定の組織の独特の機能を実行し得る細胞へ成熟する。特に重要な開示は、ほとんどいずれの細胞型へ分化する能力を有すると考えられる、多能性幹細胞の発生である。
【0005】
多能性幹細胞の初期の研究は、マウスにおいて実施された(Robertson,Meth. Cell Biol.75:173,1997;およびPedersen,Reprod. Fertil.Dev.6:543,1994に総説される)。マウス幹細胞は、早期胚細胞および胚組織の両方から単離され得る。多能性幹細胞の所望される特徴は、それらが、未分化状態におけるインビトロでの不明確な増殖を可能にし、正常な核型を保持し、そしてすべての三つの胚性胚葉(内胚葉、中胚葉および外胚葉)の派生物に分化する能力を保持することである。
【0006】
ヒト多能性幹細胞の調製の開発は、多くの技術的な困難を克服する工程を含み、マウス細胞における研究に比べてほとんど進歩していない。
【0007】
Thomsonら(米国特許第5,843,780号; Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:7844,1995)は、初めて霊長類から多能性幹細胞を首尾よく単離し、そして増殖させた。彼らは、それに続いてヒト胚盤胞からヒト胚性幹(hES)細胞株を誘導した(Science 282:114,1998)。Gearhartおよび共同研究者らは、胎児性腺組織からヒト胚性生殖(hEG)細胞株を誘導した(Shamblottら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13726,1998;および米国特許第6,090,622号)。
【0008】
hES細胞およびhEG細胞の両方が、長い期間探求された以下の多能性胚細胞の特徴を有することが報告された:それらが、分化することなくインビトロにおいて長期増殖し得ること、それらが、通常の核質を有すること、そしてそれらが、多くの異なる細胞型を産生し得るままであること。このことによって、これらは、遺伝的な異常、外傷または疾患状態によって損なわれたほとんどすべての組織の再生のための貯蔵器として作用する、ヒトの治療における使用に関してかなりの見込みを保有する。
【0009】
治療のための多能性幹細胞の使用への重要な問題は、多能性幹細胞が、分化を防ぐためにフィーダー細胞の層の上に伝統的に培養されることである(米国特許第5,843,780号;米国特許第6,090,622号)。培養環境においてフィーダー細胞が存在しないとき、hPS細胞は、まもなく死ぬか、または約束される細胞の異種の集団に分化する。白血病阻害因子(LIF)は、マウスPS細胞の分化を阻害するが、これは、ヒトPS細胞の分化の防止において、フィーダー細胞の役割を置き換えるのではない。不幸にも、フィーダー細胞の使用は、生産コスト、損傷、スケールアップを増加させ、そして多能性幹細胞をフィーダー細胞成分から分離させることを必要とする、混合した細胞集団を産生させる。
【0010】
別の問題は、幹細胞の各々の患者の処置に必要な特定の型の組織への分化を制御することである。分化の過程のよりよい理解が、多能性幹細胞の増殖および分化の間の遺伝子発現を観察することによって獲得されるということが本発明の仮説である。
【0011】
国際特許公開WO99/20741(Geron Corp.)は、Methods and Materials for the Growth ofPrimate−Derived Primordial Stem Cellsという表題である。低浸透圧および低エンドトキシンレベルである、実質的に未分化状態である霊長類由来の始原幹細胞を増殖するための細胞培養培地が、提供される。基本培地は、フィーダー細胞の基質またはフィーダー細胞マトリックス上の霊長類由来の始原幹細胞の増殖を支持するのに有効な血清と組み合せる。培地は、非必須アミノ酸、抗酸化剤、およびヌクレオシドまたはピルビン酸塩のいずれかである成長因子をさらに含む。
【0012】
初期ヒト発生についての配列に基づく研究は、胎児の器官および組織から産生されたライブラリー(例えばI.M.A.G.E協会(http://image.llnl.gov/)から供給される胎児ライブラリーの)に焦点が置かれた。国際特許公開WO98/00540(Incyte)は、THP−1細胞および膀胱腫瘍由来のcDNAライブラリーから単離された幹細胞抗原の部分配列を報告する。
【0013】
未分化の多能性幹細胞の増殖および操作を容易にする新たな技術は、胚性細胞療法の完全な可能性の理解への主要な業績である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、ヒト多能性幹細胞の増殖、増殖を促進する培養条件、ならびに遺伝的改変、cDNAライブラリーの産生、および組織再生を目的とする分化した細胞の産生を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
(発明の要旨)本開示は、フィーダー細胞の非存在下において、霊長類多能性幹(pPS)細胞を培養するための改良された系を提供する。フィーダー細胞の役割は、細胞外マトリックス上における培養を支持し、そして馴化培地において細胞を培養する工程によって置き換えられる。商業的スケールで馴化培地を産生し得る永久的な細胞株が、提供される。ウイルスベクターまたはDNA/脂質複合体を用いて細胞に導入することによって、pPS細胞を遺伝的に変更する方法もまた、発見された。本開示において記載される系は、pPS細胞分化の生物学の研究における使用の目的に、pPS細胞の大量の増殖を可能にし、ヒト治療における使用の目的に重要な生成物の産生を可能にする。
【0016】
本質的にフィーダー細胞を含まない増殖中のpPS細胞を含む組成物が、本開示において記載される。この組成物は、フィーダー細胞の培養物から培地を収集することによって産生された馴化培地、および細胞外マトリックス成分によってコートされた基質もまた含み得る。pPS細胞は、未分化状態においてこの増殖条件下に継代され、そして拡大され得る。
【0017】
本開示は、培地中において細胞を培養することによって培地を馴化する工程、および馴化培地を収集する工程を含む、本質的にフィーダー細胞を含まない増殖環境下において、霊長類多能性幹(pPS)細胞を培養するために適切な馴化培地を産生するための方法もまた提供する。培地を馴化するために用いられる細胞は、非悪性供給源由来であり、そして通常の核型を有するような、大規模な培養が可能である(60日またはそれ以上のような)ような一つ以上の所望される特徴を有し得、線維芽細胞に特徴的な形態的な特徴または細胞マーカーを有し得、そして不死化される(例えば、テロメラーゼ逆転写酵素を発現するように遺伝的に改変されることによって)。ヒト胚性幹細胞から適切なヒトフィーダー細胞株を産生するための方法を記載する本開示は、フィーダー細胞を含まない培養物においてpPS細胞が分化することを引き起こす工程または可能にする工程を含む、分化した細胞集団を産生する方法を提供する。
【0018】
本開示はまた、直接分化によって(フィーダー細胞の存在または非存在下において培養された)pPS細胞から分化した細胞を産生するための方法を提供する。細胞懸濁液が、過増殖、コロニーの形成、胚様体の形成、または他の凝集体の形成が存在する前に未分化のドナー培養物から調製され、次いで固体表面上へ直接的にプレートする。表面は、(ポリリシンまたはポリオルニチンのような)ポリカチオンを帯び得る。特定の細胞系統への分化はまた、フィーダー細胞のない培養においてまたはリプレーティング後のいずれかにおいて、分化を阻害する血清または因子を除去すること、および/または分化を促進する因子を添加することによって促進され得る。
【0019】
本開示は、細胞毒性または細胞の調節についての化合物のスクリーニングの方法もまた提供し、この方法は、化合物に本発明の分化した細胞を接触させる工程、化合物との接触に起因する、任意の細胞における表現型または代謝の変化を決定する工程、およびこの変化を細胞毒性あるいは細胞機能または生化学における他のすべての変化と相関させる工程を含む。
【0020】
遺伝子およびタンパク質の発現は、pPS細胞から得られる異なる細胞集団の間で比較され得、そして分化の過程において上方制御または下方制御される因子を同定および特徴付けするために使用され得、そして変質した遺伝子のヌクレオチドコピーを産生する。
【0021】
本開示は、遺伝的に変更された霊長類の多能性幹(pPS)細胞を産生するための方法もまた提供する。一つのバリエーションにおいて、pPS細胞は、フィーダー細胞のない培養においてトランスフェクトされる。別のバリエーションにおいて、pPS細胞は、薬剤耐性であり、そして首尾よくトランスフェクトされたpPS細胞の薬剤選択に耐えるフィーダー細胞を含む培養においてトランスフェクトされる。トランスフェクションに用いるベクターは、未分化のpPS細胞において転写を促進するプロモーターに作動可能に連結されたタンパク質コード領域をしばしば含む。霊長類の多能性幹(pPS)細胞またはそれから分化した細胞の集団もまた、提供され、ここで実質的な比率の細胞が、ポリヌクレオチドを用いて安定にトランスフェクトされているか、またはこのポリヌクレオチドを遺伝的に受け継いだこのような細胞の子孫である。
【0022】
本開示は、分化前または後の霊長類の多能性幹(pPS)細胞からのmRNA調製物またはcDNAライブラリーを産生するための方法もまた提供し、この方法は、本質的にフィーダー細胞のない、未分化のpPS細胞の培養物を提供する工程、必要に応じてpPS細胞を分化させる工程、そして未分化または分化した細胞からのmRNAを単離する工程を含む。これらの技術は、cDNA発現またはサブトラクションライブラリーの調製に用いられ得る。mRNAを、フィーダー細胞のないpPS培養物から得る場合、cDNAライブラリーは、未分化のpPS細胞、またはpPS細胞から分化した細胞のいずれかにおいて、mRNAレベルで発現された少なくとも1,000の遺伝子を含み得、本質的に他の脊椎動物のcDNAを含まない。未分化のpPS細胞、およびその分化した子孫において発現する遺伝子に対する配列情報は、cDNAおよび発現した遺伝子のタンパク質誘導体、ならびにその遺伝子産物に対する特異的な抗体の調製に用いられ得る。
【0023】
本発明は、フィーダー細胞を本質的に含まない、増殖中の霊長類多能性幹(pPS)細胞を含有する組成物を提供する。本発明はまた、この組成物の細胞の分化を引き起こすか、または分化を可能にすることによって調製される、分化した細胞集団を提供する。
【0024】
本発明はまた、フィーダー細胞を本質的に含まない増殖環境において、霊長類多能性幹(pPS)細胞を培養するために適切な馴化培地を産生するための細胞株を提供する。
【0025】
本発明はまた、未分化の霊長類多能性幹(pPS)細胞のドナー培養物から、以下の工程を包含する方法によって産生される分化した細胞を提供する:a)この未分化のドナー培養物から細胞の懸濁液を調製する工程;b)この懸濁された細胞を、それらが胚様体を形成せずに分化するように、固相表面上に再播種し、そして培養する工程;およびc)分化した細胞をこの固相表面から収集する工程。
【0026】
本発明はまた、霊長類多能性幹(pPS)細胞の集団を提供し、この未分化のpPS細胞の少なくとも25%が、ポリヌクレオチドで安定にトランスフェクトされているか、またはこのポリヌクレオチドを遺伝したそのような細胞の子孫である、霊長類多能性幹(pPS)細胞の集団である。
【0027】
本発明はまた、未分化のpPS細胞またはpPS細胞から分化した細胞のいずれかにおいてmRNAレベルで発現される少なくとも1,000遺伝子のcDNAライブラリーであって、他の脊椎動物のcDNAを本質的に含まない、cDNAライブラリーである。
【0028】
本発明はまた、細胞傷害性または細胞調節について化合物をスクリーニングする方法を提供し、この方法は、本発明の分化した細胞を、この化合物と接触させる工程、この化合物との接触から生じるこの細胞における任意の表現型または代謝変化を決定する工程、およびこの変化を細胞傷害性または細胞調節と相関させる工程を包含する。
【0029】
1つの実施形態において、本発明のpPS細胞は、ヒト胚性幹(hES)細胞である。
【0030】
本発明は、フィーダー細胞を本質的に含まない、増殖中の霊長類多能性幹(pPS)細胞を含む、組成物を提供する。1つの実施形態において、この組成物は、フィーダー細胞の培養物から培地を収集することによって産生された馴化培地をさらに含む。さらに別の実施形態において、これらの組成物は、細胞外マトリクス成分(例えば、Matrigel(登録商標)、ラミニンまたはコラーゲン)をさらに含む。
【0031】
本発明はまた、霊長類多能性幹(pPS)細胞を培養するための方法を提供し、この方法は、フィーダー細胞を本質的に含まないが、フィーダー細胞の培養物から培地を収集することによって産生された馴化培地を含む増殖環境において、pPS細胞を培養する工程を包含する。
【0032】
本発明はまた、フィーダー細胞を本質的に含まない増殖環境において、霊長類多能性幹(pPS)細胞を培養するために適切な馴化培地を産生するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:a)この培地中で細胞を培養することによって培地を馴化する工程であって、ここで、この細胞は、少なくとも60日間培養中で増殖し得る正倍数体細胞である、工程;およびb)この馴化培地を収集する工程。別の実施形態において、本発明は、この方法によって産生された、フィーダー細胞を本質的に含まない増殖環境における、霊長類多能性幹(pPS)細胞の培養を支持するための馴化培地を提供する。
【0033】
1つの実施形態において、馴化培地を産生するために使用される本発明の細胞株は、1つ以上の以下の特性を有する:
i)正倍数体である;
ii)不死化マウス細胞株である;
iii)ヒト細胞株である;
iv)線維芽細胞株である;または
v)少なくとも60日間培養中で増殖し得る。
【0034】
本発明はまた、ヒト胚性幹(hES)細胞の培養物を、線維芽様細胞を含む分化した細胞の集団へと分化させ、次いで、線維芽様細胞をこの培養物から選択することによって得られた、ヒト細胞株を提供し、ここで、この線維芽様細胞の培養物から培地を収集することによって産生された馴化培地は、フィーダー細胞を本質的に含まない培養環境においてpPS細胞の増殖を支持する。
【0035】
1つの実施形態において、馴化培地を産生するために使用される本発明の細胞株は、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)を上昇したレベルで発現するように遺伝的に変更されている。
【0036】
本発明はまた、分化した細胞集団を産生する方法を提供し、この方法は、本発明の組成物の細胞の分化を引き起こすか、または可能にさせる工程を包含する。
【0037】
本発明はまた、未分化の霊長類多能性幹(pPS)細胞のドナー培養物から分化した細胞を産生するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:a)この未分化のドナー培養物由来の細胞の懸濁液を調製する工程;b)この懸濁した細胞を、それらが胚様体を形成せずに分化するように、固相表面上に再播種する工程;およびc)この固相表面から分化した細胞を収集する工程。本発明はまた、霊長類多能性幹(pPS)細胞のドナー培養物から分化した細胞を産生するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:a)フィーダー細胞を本質的に含まない、霊長類多能性幹(pPS)細胞の培養物を提供する工程;b)この細胞が培養される培地を変更する工程;およびc)この変更した培地中での一定時間の培養後に、分化した細胞を収集する工程。1つの実施形態において、これらのpPS細胞のドナー培養物は、本発明の、フィーダー細胞を本質的に含まない培養物である。別の実施形態において、これらの方法は、以下の少なくとも1つの特徴を有する:i)固相表面が、ポリカチオン(例えば、ポリリジンまたはポリオルニチン)を保有する;ii)細胞が再播種後に培養される培地からの分化を阻害する、血清、血清置換物、または因子を取り除くことによって、分化が促進される;またはiii)細胞が再播種後に培養される培地において、分化を促進する因子(例えば、脳由来神経栄養性因子(BDNF)またはニュートロフィン−3(NT−3))を添加することによって、分化が促進される。本発明はまた、上記の方法によって産生される、分化した細胞集団を提供する。本発明はまた、細胞毒性または細胞の調節について化合物をスクリーニングする方法であり、この方法は、これらの化合物に、この分化した細胞を接触させる工程、化合物との接触に起因する任意の細胞における表現型または代謝の変化を決定する工程、およびこの変化を細胞毒性または細胞機能と相関させる工程を含む。
【0038】
本発明は、未分化の霊長類多能性幹(pPS)細胞と比較して、方向付けられた(committed)細胞、または分化した細胞において異なるレベルで発現されるmRNAに含まれるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを産生するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:a)方向付けられた細胞または分化した細胞における複数のmRNAの発現レベルを、未分化のpPS細胞における同じmRNAの発現レベルと比較して、測定する工程。b)この未分化のpPS細胞と比較して、方向付けられた細胞または分化した細胞において異なるレベルで発現されるmRNAを同定する工程;およびc)この同定したmRNAに含まれる少なくとも30の連続するヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドを調製する工程。
【0039】
本発明は、遺伝的に改変された霊長類多能性幹(pPS)細胞を産生する方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:a)本発明の本質的にフィーダー細胞を含まないpPS細胞の組成物を、提供する工程;b)この組成物中のpPS細胞中にポリヌクレオチドを移入する工程;および、次いで、必要に応じて、c)このポリヌクレオチドで遺伝的に改変されている細胞を優先的に選択する工程。本発明はまた、遺伝的に改変された霊長類多能性幹(pPS)細胞を産生する方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:a)薬剤耐性のフィーダー細胞の層上にpPS細胞の組成物を提供する工程;b)この組成物中のpPS細胞中にポリヌクレオチドを移入する工程;および、次いで、必要に応じて、c)このフィーダー細胞が耐性である薬剤を使用して、この組成物において遺伝的に改変されている細胞を優先的に選択する工程。1つの実施形態において、これらのポリヌクレオチドは、未分化のpPS細胞においてコード領域の転写を促進するプロモーターに作動可能に連結されたタンパク質コード領域を含む。
【0040】
本発明はまた、霊長類多能性幹(pPS)細胞の集団を提供し、ここで、未分化のpPS細胞の少なくとも25%が、ポリヌクレオチドで安定にトランスフェクトされているか、またはこのポリヌクレオチドを遺伝している細胞の子孫である。本発明はまた、この細胞を分化することによって得られる、遺伝的に改変された分化した細胞の集団を提供する。
【0041】
本発明は、分化前または後の霊長類多能性幹(pPS)細胞から、mRNA調製物またはcDNA発現ライブラリーを産生する方法を提供し、この方法は、本質的にフィーダー細胞を含まない未分化のpPS細胞の培養物を提供する工程、必要に応じてこのpPS細胞を分化させる工程、およびこの未分化または分化した細胞から、mRNAを単離する工程を包含する。1つの実施形態において、この方法は、本質的にフィーダー細胞を含まないpPS細胞からmRNAを単離する工程、およびこのmRNAのcDNAのコピーをクローニングベクターに組換える工程を包含し、ここで、このcDNAのコピーは、未分化のpPS細胞においてこのcDNAの転写を促進する、転写調節制御エレメント(例えば、PGKプロモーター)に作動可能に連結される。別の実施形態において、これらの方法は、第1の細胞集団において、第2の細胞集団と比較して差示的に発現される転写物について富化されたcDNAサブトラクションライブラリーを生成するための方法であって、第1の細胞集団および第2の細胞集団から得られたmRNA(または、そのcDNAコピー)の調製物を、その両方の調製物に存在するポリヌクレオチドをクロスハイブリダイズさせる条件下で、共にインキュベートする工程;および、次いで、クロスハイブリダイズされなかったポリヌクレオチドを、クローニングベクターに組換える工程を包含する。本発明はまた、これらの方法に従って産生されたcDNAライブラリーを提供する。本発明はまた、未分化のpPS細胞、またはpPS細胞から分化した細胞のいずれかにおいてmRNAレベルで発現された少なくとも1,000遺伝子のcDNAライブラリーを提供し、これは、本質的に他の脊椎動物のcDNAを含まない。1つの実施形態において、これらのライブラリーのcDNAセグメントの少なくとも30%は、その対応するmRNAのコード領域全体を含む。
【0042】
本発明はまた、未分化または分化したpPS細胞において発現されるmRNAの配列を含むポリヌクレオチドを産生するための方法を提供し、この方法は、これらの方法に従って得られたmRNAまたはcDNA由来のヌクレオチド配列を決定する工程、およびその決定した配列を含むポリヌクレオチドを製造する工程を包含する。
【0043】
本発明はまた、未分化または分化したpPS細胞において発現されるポリペプチドの配列を含むアミノ酸を産生するための方法を提供し、この方法は、これらの方法に従って得られたmRNAまたはcDNAのタンパク質コード領域由来のアミノ酸配列を決定する工程、およびその決定した配列を含むタンパク質を製造する工程を包含する。
【0044】
本発明はまた、未分化または分化したpPS細胞において発現されるポリペプチドに特異的な抗体を産生するための方法を提供し、この方法は、これらの方法に従って得られたmRNAまたはcDNAのタンパク質コード領域由来のアミノ酸配列を決定する工程、およびその決定した配列を含むタンパク質を用いて、動物を免疫化するか、または免疫応答性の細胞または粒子に接触させる工程を包含する。
【0045】
1つの実施形態において、本発明のpPS細胞は、ヒト胚性幹(hES)細胞である。
【0046】
本発明のこれらおよび他の局面は、以下に続く記載から明らかである。
【0047】
【発明の実施の形態】
(詳細な説明)本開示は、分化を抑制するためにフィーダー細胞の層を必要とすることなく、インビトロにおける霊長類多能性幹(pPS)細胞を増殖させるための系を提供する。
【0048】
フィーダー細胞の役割は、分化なしに細胞の増殖を支持する培養環境における特徴によって置き換え得ることが発見された。その特徴の一つは、Matrigel(登録商標)およびラミニンによって例示される細胞外マトリックスのような、培養表面上の適切な基質である。別の特徴は、馴化培地に例示される、いくつかの方法において効果的に分化を抑制する因子を含む培養培地の使用である。pPS細胞を支持するように培地を馴化するための細胞は、初代胚性線維芽細胞、テロメア化した線維芽細胞、および培養されたpPS細胞から分化し、そして選択された線維芽様細胞を含む。
【0049】
例示的な調製において、未分化のhESコロニーを、フィーダー細胞上のhES培養物から回収し、次いで各9.6cm2ウエルに約15コロニーで、馴化培地中の各Matrigel(登録商標)基質の上に播種した。播種の次の日、未分化のhES細胞は、約100〜2000個の細胞の小さなコロニーとして可視であり、そして単一の細胞が、分化しているか、または死んでいるようにみえるコロニーの中間に存在する。hES細胞が増殖されるにつれて、コロニーは、大きくそしてコンパクトになり、これは、培養皿の表面領域の大部分を提案する。コンフルエント近くになると、細胞のほとんどが、未分化細胞の形態的な特徴を有し、コロニーの間にある分化細胞は、培養物中の細胞の10%未満に相当した。
【0050】
倍化速度は、ほぼ20〜40時間程度であり、フィーダー細胞上に増殖されるhES細胞と比較し得る。培地は、毎日換えられ、そして細胞は、6日または7日ごとに分割および継代された。最初の播種の19日後、細胞は免疫蛍光法によって細胞表面の表現型に関して試験された。90%以上を超える細胞が、SSEA−4およびTra−1−60に関して陽性に染色され;80%以上を超える細胞が、Tra−1−81に関して陽性に染色されたが、15%未満が、SSEA−1に関して陽性に染色された。このことは、調製物中の細胞の少なくとも約80%は、未分化hES細胞として予測される表現型を有したことを示す。
【0051】
フィーダー細胞が、高品質の馴化培地を産生する能力を失わせることなく、長期間の培養において不死化および維持され得ることもまた発見された。例えば、初代マウス胚性線維芽細胞は、これらテロメラーゼ逆転写酵素を発現するように遺伝的に改変することによって、不死化され得る(実施例8)。培地を馴化するのに適切なヒト細胞が、インビトロにおいて胚性幹細胞を分化することによって得られ得ることもまた発見された。hES細胞は、懸濁液中における胚様体の形成、そして次いで線維芽様細胞の同種の集団が得られるような様式での培養によって分化された(実施例12および13)。
【0052】
形質導入されていないhEF細胞株およびテロメア化されたhEF細胞株の両方は、連続細胞培養物中で増殖し、そして馴化培地を産生するために用いられた。この培地中において増殖されるhES細胞の培養は、初代mEFフィーダー細胞の層の上に直接的に増殖されたhES細胞と区別できない未分化hES細胞の形態的な特徴を有するコロニーを形成することが発見された(図14、パネルA)。このことは、培養を続けるために、反復的に初代フィーダー細胞の培養物を調製する必要性を除去し、一貫して高品質な商業的スケールにおいてpPS細胞を産生させることを可能にするという理由で、重要である。
【0053】
フィーダー細胞を含まない環境においてpPS細胞を培養することは、多数の重要な利点を有する。例えば:
・pPS細胞およびその誘導体の産生は、商業的産生にまで、より容易に拡大縮小可能である。培養を支持するために、継続中の基準でフィーダー細胞を産生する必要がなく、そして細胞の継代が機械的に行われ得る。
・細胞の方向付けられた前駆体への分化または最終的に分化した細胞への分化が、フィーダーを含まない培養物中で促進される。フィーダーを含まない培養物から形成される胚様体は、より一貫した細胞集団を産生する。あるいは、直接的な分化が、フィーダーを含まない幹細胞を、適切な固相支持体上に直接プレーティングすることによって、行われ得る。条件に依存して、顕著に均一な細胞集団が、得られ得る。
・フィーダーを含まずにpPS細胞を生成し得ること、そして培地を馴化するためにヒト細胞を使用することは、規制の調査の展望から魅力的である−pPS細胞は、培養物中に、異種成分および他の細胞由来の癌性起源の成分を含まない。
・薬剤、毒素または可能性のある分化モジュレーターのスクリーニングもまた促進される。物質が、培養物を支持するために使用されるフィーダー細胞に対する二次的な効果を伴わずに、培養培地に添加され得る。
・高い質のmRNAおよびcDNAライブラリーが、フィーダーを含まないpPS細胞培養物を使用して容易に産生され得る。培養物面積1cm2あたりのmRNAの収量が、より高い。このライブラリーは、フィーダー細胞からの転写物(異なる種または異なるヒト遺伝子型のcDNA)の混入がなく、そして発現パターンは、90%程度の高い未分化pPS細胞表現型を反映し得る。発生の間に調節される遺伝子の全長cDNAが富化されたサブトラクションライブラリーもまた、得られ得る。
・フィーダー細胞を含まない培養物の遺伝子トランスフェクションは、トランスフェクションされた細胞の薬物耐性マーカーによる選択を促進し、そしてかなりより高いレベルの一過性発現を生じる。薬物耐性フィーダー上、またはフィーダーを含まない培養物上のいずれにおいても、pPS細胞を分化させることなくpPS細胞を遺伝的に改変する方法が見出された。フィーダーを含まない系は、トランスフェクションの効率を改善するというさらなる利点を有する。モデル実験において、フィーダーを含まない培養物中の約15%の細胞がマーカー遺伝子でトランスフェクションされ、一方、初代フィーダー層におけるトランスフェクション効率は、代表的には、ポジィティブであった初代フィーダー層上でトランスフェクトされた未分化hES細胞のほんの5%のみであり、このことは、トランスフェクション効率が、フィーダーを含まない培養条件を用いて有意に増強されることを示す。
【0054】
本発明において提供される技術は、研究および治療使用のための、多能性幹細胞の可能性のある使用における重要な進歩を示す。本発明のさらなる進歩が、以下の節から理解される。
【0055】
(定義)プロトタイプの「霊長類多能性幹細胞」(pPS細胞)は、受精後の任意の時点の前胚性組織、胚性組織、または胎児組織由来の多能性細胞であり、正常な条件下で、いくつかの異なる細胞型の子孫を産生し得る特徴を有する。pPS細胞は、当該分野で受け入れられている標準的試験(例えば、適切な宿主内で奇形腫を形成する能力)に従って、3つの胚層(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)の各々の誘導体である子孫を生成し得る。
【0056】
pPS細胞の定義に含まれるものは、Thomsonら(Science 282:1145、1998)によって記載されるようなヒト胚性幹(hES)細胞;Thomsonら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:7844、1995;Developmental Biology 38:133、1998)によって記載されるアカゲザルまたはマーモセットの幹細胞のような他の霊長類の由来の胚性幹細胞;およびShamblottら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13726、1998)において記載されるヒト胚性生殖(hEG)細胞によって例示される種々の型の胚細胞である。多能性細胞の他の型もまた、この用語に含まれる。胚性組織由来であるか、胎児組織由来であるかまたは他の供給源由来であるかにかかわらず、3つの生殖層の全ての誘導体である子孫を産生し得る霊長類起源の任意の細胞が含まれる。本発明の多くの実施形態について、核型が正常であり、悪性供給源由来でないpPS細胞を使用することが、有利である。
【0057】
pPS細胞培養物は、集団中の幹細胞およびその誘導体のかなりの割合が、それらを胚起源または成体起源の分化した細胞と明らかに区別する、未分化細胞の形態学的特徴を示す、「未分化」または「実質的に未分化」として記載される。未分化のpPS細胞は、当業者によって容易に認識され、そして高い核/細胞質の比および目立った核小体を有し、顕微鏡視野において2次元で代表的に現れる。集団内の未分化細胞のコロニーが、分化した隣接細胞によってしばしば囲まれることが理解される。それにもかかわらず、その集団が適切な条件下において培養または継代される場合、未分化のコロニーが存続し、そして、個々の未分化細胞は、細胞集団のかなりの割合を構成する。実質的に未分化である培養物は、少なくとも20%の未分化pPS細胞を含み、そして(未分化である同一の遺伝子型を有する細胞の百分率に関する)優先性を増加するために、少なくとも40%、60%または80%を含み得る。本開示において記載される方法を使用して、実質的に未分化である培養物中に、比較的低い割合(5%または10%程度の低さでさえある)の分化したpPS細胞を含む培養物を生じるか、または継代することが、時として可能である。
【0058】
本開示において、培養物または細胞集団が「分化することなく」増殖するといわれる場合は常に、増殖後に、組成物が上記の定義に従って実質的に未分化であることを意味する。分化することなく少なくとも4回の継代(約20回の倍増)を通じて増殖する集団は、起源の培養物と同程度のコンフルエンスにおいて評価した場合、実質的に同じ割合(または、可能性として、より高い割合の未分化細胞)の未分化細胞を含む。
【0059】
「フィーダー細胞」または「フィーダー」は、別の型の細胞と同時培養され、第二の型の細胞が増殖し得る環境を提供する1つの型の細胞である。フィーダー細胞は、必要に応じて、支持する細胞と異なる種由来である。例えば、pPS細胞の特定の型が、本開示において以下に記載されるように、マウス胚性線維芽細胞、不死化マウス胚性線維芽細胞、またはhES細胞から分化したヒト線維芽細胞様細胞の初代培養物によって支持され得る。pPS細胞との同時培養において、フィーダー細胞は、照射または抗有糸分裂薬剤(例えば、マイトマイシンc)での処理によって代表的に不活化され、フィーダー細胞が支持する細胞よりも増殖することを防ぐ。馴化培地の生成における使用のために、細胞の不活化は任意であり得、そして部分的に培地産生の機械的な局面に依存する。
【0060】
pPS細胞集団は、pPS細胞がpPSの増殖を支持するための新鮮なフィーダー細胞が添加されない分割の後に少なくとも1回増殖した場合、フィーダー細胞を「実質的に含まない」といわれる。フィーダー細胞を含有する以前の培養物が、新鮮なフィーダーが添加されない培養物についてのpPSの供給源として使用される場合、継代を生き残るいくつかのフィーダー細胞が存在することが、認識される。例えば、hES細胞が、ほぼコンフルエンスの約375,000個の照射された初代胚性線維芽細胞の表面上の9.6cm2ウェル中に、しばしば培養される。培養の終了までに、おそらく150,000個のフィーダー細胞が、なお生存可能であり、そして分割され、そして約100万〜150万の数に増殖したhESとともに継代される。1:6分割の後、hES細胞は、一般に増殖を再開するが、線維芽細胞は増殖せず、そして培養の約6日の終了までに、ほんの少しの割合のみが生存可能である。この培養物は、フィーダー細胞を本質的に含まず、組成物は、約5%未満のフィーダー細胞を含む。1%、0.2%、0.05%、または0.01%未満(培養物中の総細胞の%として示す)のフィーダー細胞を含む組成物が、ますますより好ましい。
【0061】
本開示において、培養物または細胞集団が、「フィーダーを含まない」といわれる場合は常に、上記の定義に従って(明示的に必要とされる場合、さらなる拘束にのみ供される)、組成物が、フィーダー細胞を本質的に含まないことを意味する。
【0062】
「増殖環境」は、目的の細胞がインビトロにおいて増殖する環境である。環境の特徴としては、細胞が培養される培地、温度、O2分圧およびO2、ならびに存在する場合、支持する構造(例えば、固体表面上の基板)が挙げられる。
【0063】
「栄養培地」は、増殖を促進する栄養を含有する、細胞培養のための培地である。栄養培地は、適切な組み合わせにおいて以下の任意のものを含有し得る:等張生理食塩水、緩衝液、アミノ酸、抗生物質、血清または血清置換物、および外来的に添加された因子。「馴化培地」は、培地中に第1の集団の細胞を培養し、次に培地を回収することによって調製される。次に、馴化培地(細胞によって培地中に分泌される任意のものとともに)を使用して、第2の集団の細胞の増殖を支持し得る。
【0064】
「制限された発生系列細胞」は、胚組織に由来する(代表的には、pPS細胞の分化または部分的分化による)細胞である。これらの細胞は、増殖し得、そしていくつかの異なる細胞型に分化し得るが、そのレパートリーの範囲は制限されている。例は、血球型について多能性である造血細胞、ならびに類洞内皮細胞、肝細胞、および可能性のある他の肝細胞について多能性である肝細胞前駆体である。別の例は、オリゴデンドロサイトおよびアストロサイトへと発達するグリア細胞前駆体、ならびにニューロンへと発達するニューロン前駆体を生成し得る神経制限細胞である。
【0065】
用語「ポリヌクレオチド」とは、任意の長さのヌクレオチドのポリマー性形態をいう。含まれるものは、遺伝子および遺伝子フラグメント、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、単離されたDNAおよびRNA、核酸プローブ、ならびにプライマーである。本開示において使用される場合、用語ポリヌクレオチドとは、互換可能に、二本鎖分子および一本鎖分子をいう。他に特定されるか、または必要とされない限り、ポリヌクレオチドである本発明の任意の実施形態は、二本鎖形態、ならびに二本鎖形態を作製することが公知であるかまたは予測される2つの相補的な一本鎖形態の各々の両方を含む。同一性の程度について、ポリヌクレオチド間で比較がなされる場合、相補的鎖が容易に生成され、比較されるポリヌクレオチド間での同一性の程度を最大化するセンス鎖またはアンチセンス鎖が選択されるか、または予測されることが、無条件に理解される。配列同一性の百分率は、第1に、試験されるポリヌクレオチドを参照対応物と整列し、次に、明らかな挿入または欠失の存在についてのペナルティーを用いずに、比較される配列間で共有される残基の数を、試験をする領域の百分率として計数することによって計算される。
【0066】
「制御エレメント」または「制御配列」は、ポリヌクレオチドの機能的調節(例えば、複製(replication)、複製(duplication)、転写、スプライシング、翻訳、またはポリヌクレオチドの分解)に寄与する分子の相互作用に関与するヌクレオチド配列である。転写制御エレメントとしては、プロモーターおよびエンハンサーが挙げられる。
【0067】
遺伝子エレメントは、その遺伝子エレメントがその予測された機能に従った様式において作動することを許容する構造的関係にその遺伝子エレメントがある場合、「作動可能に連結」される。例えば、プロモーターは、そのプロモーターがコード配列の転写の開始を補助する場合、コード領域に作動可能に連結される。この機能的関係が維持される限り、プロモーターとコード配列との間に介在配列が存在し得る。
【0068】
「クローニングベクター」は、宿主細胞において、ビヒクル中に挿入された配列の複製を許容するポリヌクレオチドビヒクル(例えば、プラスミド、バクテリオファージ、または植物ウイルスもしくは動物ウイルス)である。cDNAライブラリーの場合、複製したベクターは、複数の遺伝子から転写された不均一のmRNA調製物からコピーされた異種ポリヌクレオチド挿入物を含む。挿入物が、宿主細胞において、タンパク質レベルまたはmRNAレベルにおいて挿入物の発現を許容する転写調節制御エレメントに作動可能に連結される場合、ビヒクルはまた、「発現ベクター」といわれ得る。
【0069】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、本開示において互換可能に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、改変されたアミノ酸を含み得、直鎖状であっても分岐していてもよく、そして非アミノ酸によって中断され得る。配列同一性の百分率は、第1に、試験されるポリペプチドを参照対応物とまたはプロトタイプと整列し、次に、挿入または欠失の存在についてのペナルティーを用いずに、比較される配列間で共有される残基の数を、試験をする領域の百分率として計数することによってポリペプチドについて計算される。置換がなされる場合、保存的置換(1つのアミノ酸が、類似の電荷、サイズ、疎水性、または芳香族性を有する別のアミノ酸によって置換される)が代表的により良好に許容される。所望の配列は、プロトタイプの機能を保つ:例えば、酵素活性、特異的基質の結合、および標準的な競合的阻害イムノアッセイにおいて検出可能なような特異的抗体の結合。
【0070】
ポリヌクレオチドが、人工的操作の任意の適切な手段によって細胞中に移入された場合、または細胞が、そのポリヌクレオチドを遺伝によって受け継いだ、初めに改変された細胞の子孫である場合、その細胞は、「遺伝子改変された」、「トランスフェクトされた」、または「遺伝子形質転換された」といわれる。ポリヌクレオチドは、目的のタンパク質をコードする転写可能な配列(細胞が、上昇したレベルのタンパク質を発現するのを可能にする)をしばしば含む。内在的遺伝子の作用を、機能的に改変するか、または廃止することを生じる任意の手段による遺伝子改変がまた、含まれる。
【0071】
遺伝子改変は、改変された細胞の子孫が、同一の改変を有する場合、「遺伝性」といわれる。遺伝子改変が遺伝性であるか否かの決定は、ポリヌクレオチド鋳型の存在の検出(例えば、PCR増幅による)によるか、または現れる遺伝的改変に依存する表現型の特徴(例えば、遺伝子産物の発現、もしくはその効果)の検出によって、なされ得る。
【0072】
遺伝子改変は、少なくとも4回の細胞複製を通して遺伝可能である場合(第7世代の細胞においてポリヌクレオチド鋳型の存在として検出可能)、「安定」だといわれる。表現型の発現(mRNAレベル、タンパク質レベル、または機能的レベルにおいて)は、第7世代の細胞における表現型の特徴が、親の遺伝子改変細胞における表現型の特徴の少なくとも10%(そしてしばしば少なくとも50%)の場合、「安定」だといわれる。安定な発現は、遺伝子改変もまた、安定であることを示す。遺伝子改変は、ポリヌクレオチド鋳型が、7回目の細胞分裂によって、最初の遺伝子改変された細胞の子孫に存在しない場合、「一過性」だといわれる。表現型の発現は、第7世代細胞における表現型の特徴が、最初に遺伝子改変された細胞における表現型の特徴の5%以下である場合に(鋳型の損失に起因しようと、またはその鋳型の発現を阻害するある機構のためであろうと)、「一過性」だといわれる。
【0073】
「細胞株」は、少なくとも10回の継代を通じて培養物中で増殖し得る細胞の集団である。この集団は、表現型において均一であり得るか、またはその集団は、測定可能に異なる表現型の混合物であり得る。細胞株の特徴は、全体として10回の継代の後に本質的に不変である、集団の特徴である。
【0074】
細胞は、細胞が、細胞中でTERTが転写されそして翻訳されるような様式において、任意の種のテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードする核酸を用いて遺伝子改変される場合、「テロメラーゼ化された」と記載される。この用語はまた、TERTのコード領域を上昇したレベルで発現する能力を遺伝によって受け継いだ、最初に遺伝子改変された細胞の子孫に適用される。TERTコード配列は、代表的には、哺乳動物TERT遺伝子(以下に記載されるように、ヒトおよびマウスのTERTによって例示される)から取り出されるか、または適用される。
【0075】
細胞株は、細胞株が以下の性質の少なくとも1つを有する場合、「永久」または「不死化」と記載される:1)(例えば、TRAPアッセイにおける増加したテロメラーゼ活性として)検出可能な、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)の上昇した発現について、遺伝子改変されている;2)別の状態では15回以下の集団の複製を行い得ない細胞株について、適切な培養条件下で、少なくとも20回の集団の複製にまで、その複製能力を伸ばすように遺伝子改変されている;または3)別の状態では15回を超えた集団の複製を行い得る細胞株について、代表的な培養条件下で、細胞株の複製能力を有意に伸ばすように遺伝子改変されている。この定義を満たす細胞として、初めに遺伝子改変された細胞のみではなく、列挙された判定基準を満たすような細胞の全ての子孫も挙げられることが理解される。
【0076】
本開示において使用される場合、用語「抗体」とは、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方をいう。この用語の境界は、意図的に、インタクトな免疫グロブリン分子のみならず、免疫グロブリン分子のフラグメントおよび誘導体(例えば、単鎖Fv構築物)、ならびに当該分野において公知の技術によって調製され得、そして所望の抗原結合特異性を保持する、T細胞レセプターのような免疫グロブリンの等価物のフラグメントおよび誘導体を包含する。
【0077】
(一般的技術)本発明の実施において有用な一般的技術をさらに精巧にするために、実施者は、細胞生物学、組織培養、および発生学の標準的な教科書および総説を参照し得る。これらには、Teratocarcinomas and embryonic stem cells:A practical approach(E.J.Robertson編、IRL Press Ltd.1987);Guide to Techniques in Mouse Development(P.M.Wassermanら編、Academic Press 1993);Embryonic Stem Cell Differentiation in Vitro(M.V.Wiles、Meth.Enzymol.225:900、1993);Properties and uses ofEmbryonic Stem Cells:Prospects forApplication to Human Biology and Gene Therapy(P.D.Rathjenら、1993)が含まれる。幹細胞の分化は、Robertson、Meth.Cell Biol.75:173、1997;およびPedersen、Reprod.Fertil.Dev.10:31、1998に概説される。
【0078】
分子遺伝学および遺伝子操作の方法は、一般に、現在の版のMolecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrookら);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編);Animal Cell Culture(R.I.Freshney編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(MillerおよびCalos編);CurrentProtocols in Molecular BiologyおよびShort Protocols in Molecular Biology、第三版(F.M.Ausubelら編);およびRecombinant DNAMethodology(R.Wu編、Academic Press)に記載される。本開示において参照される遺伝子操作のための試薬、クローニングベクター、およびキットは、BioRad、Stratagene、Invitrogen、およびClonTechのような市販業者から入手可能である。
【0079】
mRNAおよびcDNAライブラリーの調製およびそれらの分析に関与する一般的な技術について、当業者は、RNA Methodologies:A Laboratory Guide for Isolation and Characterization(R.E.Farrell、AcademicPress、1988);cDNA Library Protocols(CowellおよびAustin編、Humana Press);Functional Genomics(HuntおよびLivesey編、2000);ならびにAnnual Review of Genomics and Human Genetics(E Lander編、Annual Reviewによって毎年刊行)を利用できる。技術はまた、他の発現ライブラリーの記載から推論され得る。例えば、Developmental EmbryonicMouse Libraries(米国特許第5,789,158号);Method for Generating a Subtracted cDNALibrary(米国特許第5,643,761号);Comparative Gene Transcript Analysis(WO95/20681、Incyte Pharmaceuticals);A Gene Trap Approach in Mouse Embryonic Stem Cells(Skarnesら、Genes Dev.6:903、1992);Sasakiら、Genomics 49:167、1998;Adjayeら、Genomics 46:337、1997;Nishiguchiら、J.Biochem.、119:749、1996;およびPhillipsら、Science 288:1635、2000。
【0080】
抗体を、惹起、精製および改変するために用いられる一般的な技術、ならびに免疫細胞化学を含む免疫アッセイの設計および実行について、読者は、Handbook of Experimental Immunology(WeirおよびBlackwell編);Current Protocols inImmunology(Coliganら編);ならびにMethods ofImmunological Analysis(Masseyeffら編、Weinheim:VCH Verlags GmbH)を参照する。
【0081】
細胞培養および培地収集における一般技術は、Large Scale Mammalian Cell Culture(Huら、Curr.Opin.Biotechnol.8:148、1997);Serum−free Media(K.Kitano、Biotechnology 17:73、1991);Large Scale Mammalian Cell Culture(Curr.Opin.Biotechnol.2:375、1991);およびSuspension Culture of Mammalian Cells(Birchら、Bioprocess Technol.19:251、1990)において要点が述べられる。他の興味深い読み物としては、Understanding Media.(M.McLuhan、Mentor NY、1964)およびThe Medium is the Message(M.McLuhanおよびQ.Fiore、Bantam NY、1967)が挙げられる。
【0082】
(多能性幹細胞の供給源)本発明に従う培養および分化のために適切な供給源細胞としては、妊娠の後に形成された組織由来の多能性細胞の樹立株が挙げられる。例示的な初代組織供給源は、胚性組織(例えば、胚盤胞)、または妊娠の間の任意の時間に採取された胎児組織(代表的には妊娠10週前であるが、その必要はない)である。非限定的な例は、霊長類胚性幹(ES)細胞および胚性生殖(EG)細胞の樹立株である。そのような細胞の最初の樹立または安定化の間の本開示の技術の使用もまた意図される。この場合、供給源細胞は、列挙された組織から直接採取された初代多能性細胞である。
【0083】
(培地およびフィーダー細胞)pPS細胞を単離し、そして増殖するための培地は、得られる細胞が所望の特徴を有し、そしてさらに増殖し得る限り、任意のいくつかの異なる処方を有し得る。適切な供給源は、以下のとおりである:ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、Gibco #11965−092;ノックアウトダルベッコ改変イーグル培地(KO DMEM)、Gibco #10829−018;200mML−グルタミン、Gibco #15039−027;非必須アミノ酸溶液、Gibco #11140−050;β−メルカプトエタノール、Sigma#M7522;ヒト組換え塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、Gibco#13256−029。例示的な血清含有ES培地は、80% DMEM(代表的にはKO DMEM)、20% 非熱非働化規定ウシ胎仔血清(FBS)、0.1mM 非必須アミノ酸、1mM L−グルタミン、および0.1mM β−メルカプトエタノールを用いて作製される。この培地を濾過して、2週間以内4℃で保存する。血清を含まないES培地を、80% KO DMEM、20%血清置換物、0.1mM 非必須アミノ酸、1mM L−グルタミン、および0.1mM β−メルカプトエタノールを用いて作製する。全ての血清置換物が作用するわけではない;効果的な血清置換物は、Gibco #10828−028(専売特許の処方;製品は、製造業者より入手可能)である。培地を濾過して、2週間以内4℃で保存する。使用直前に、ヒトbFGFを、最終濃度4ng/mLで添加する。
【0084】
pPS細胞は、代表的には、種々の方法においてpPS細胞を支持する(例えば、pPS細胞の生存もしくは増殖を促進するかまたは分化を阻害する可溶性因子の産生)フィーダー細胞の層上で培養する。フィーダー細胞は、代表的には線維芽細胞型細胞であり、しばしば、胚組織または胎児組織由来である。頻繁に使用される供給源は、マウス胚である。有用なフィーダー細胞株は、胚性線維芽細胞を得て、それらをトランスフェクトしてテロメラーゼを発現させ、次にそれらを継代するかまたは将来の使用のために冷凍することによって得られた。細胞株をほぼコンフルエントにまでプレーティングし、照射して増殖を防ぎ、pPS細胞培養を支持するために使用する。
【0085】
1つの例において、pPS細胞を、最初に誘導し、そして初代胚性線維芽細胞上で支持する。マウス胚性線維芽(mEF)細胞は、異系交配CF1マウス(SASCO)または他の適切な株から得られ得る。妊娠13日目のマウスの腹部を、70%エタノールでふき取り、そして脱落膜をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中に取り除く。胚を回収し;胎盤、膜、および軟組織を取り除く;そして死体をPBSで二回洗浄する。次に、これらを、2mL トリプシン/EDTAを含む新鮮な10cmの細菌ディッシュに移し、微細に細分化する。5分間37℃でのインキュベートの後、トリプシンを、10%のFBSを含有する5mLのDMEMで不活化し、そして混合物を15mLの円錐チューブに移す。砕片を2分間沈降させ、上清を10mLの最終容量とし、そして10cmの組織培養プレート上またはT75フラスコ上にプレーティングする。このフラスコを、攪拌せずに24時間インキュベートし、その後、培地を置きかえる。フラスコがコンフルエントである時に(約2〜3日)、細胞を、新しいフラスコに1:2に分割する。
【0086】
フィーダー細胞をmEF培地(90% DMEM(Gibco #11965−092)、10% FBS(Hyclone #30071−03)、および2mM グルタミンを含む)中で増殖させる。mEFをT150フラスコ(Corning #430825)において増殖させ、一日おきに細胞をトリプシンで1:2に分割し、細胞をコンフルエント以下に保つ。フィーダー細胞層を調製するために、細胞を、増殖を阻害するが、hES細胞を支持する重要な因子の合成を許容する線量(約4000ラドのγ線照射)で照射する。6ウェルの培養プレート(例えば、Falcon #304)を、1ウェルあたり1mLの0.5%ゼラチンを用いて一晩37℃でインキュベーションすることによってコートし、そして1ウェルあたり375,000個の照射されたmEFをプレーティングする。フィーダー細胞層を、プレーティングの5時間〜4日後に使用する。pPS細胞を播種する直前に、培地を、新鮮なhES培地で置換する。
【0087】
(ヒト胚性幹(hES)細胞の調製)ヒト胚性幹(hES)細胞を、Thomsonら(米国特許第5,843,780号;Science 282:1145、1998;Curr.Top.Dev.Biol.38:133頁以降、1998;Proc.Natl.Acad.Sci.USA、 92:7844、1995)によって記載されるように調製し得る。
【0088】
手短には、ヒト胚盤胞を、ヒトのインビボ着床前胚から得る。あるいは、インビトロで受精した(IVF)胚を使用し得るか、または1細胞期のヒト胚を、胚盤胞段階まで増殖させ得る(Bongsoら、Hum Reprod 4:706、1989)。ヒト胚を、G1.2培地およびG2.2培地中で胚盤胞段階まで培養する(Gardnerら、Fertil.Steril.69:84、1998)。発生した胚盤胞を、ES細胞単離のために選択する。透明帯を、プロナーゼ(Sigma)への手短な曝露によって胚盤胞から取り除く。内部細胞塊を、免疫手術(immunosurgery)(胚盤胞を、1:50希釈のウサギ抗ヒト脾臓細胞抗血清に対して30分間曝露し、次にDMEM中で5分間3回洗浄し、そして1:5希釈のモルモットの補体(Gibco)に3分間曝露する(Solterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 72:5099、1975を参照のこと))によって単離する。DMEMでの2回のさらなる洗浄後、溶解した栄養外胚葉細胞をインタクトな内部細胞塊(ICM)から、緩やかなピペッティングによって取り除き、そしてICMをmEFフィーダー層上にプレーティングする。
【0089】
9〜15日後、内部細胞塊誘導増殖は、1mM EDTAを伴うカルシウムおよびマグネシウムを含まないリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)に曝露することによって、ディスパーゼまたはトリプシンに曝露することによって、またはマイクロピペットを用いる機械的解離のいずれかによって、凝集塊に解離され、次いで、新鮮培地中のmEF上に再移植される。解離された細胞は、新鮮なES培地におけるmEFフィーダー層上に再移植され、そしてコロニー形成について観察される。未分化な形態を示すコロニーは、個々にマイクロピペットにより選択され、機械的に凝集塊に解離され、そして再移植される。ES様形態は、明らかに高い核対細胞質比および顕著な仁を有する緻密なコロニーとして特徴付けられる。次いで、生じたES細胞は、短時間のトリプシン処理、Dulbecco’sPBS(カルシウムもマグネシウムも伴わず、2mM EDTAを伴う)への曝露、IV型コラゲナーゼ(約200U/mL;Gibco)への曝露またはマイクロピペットによる個々のコロニーの選択により1〜2週間毎に慣用的に分割される。凝集塊の大きさは、約50〜100細胞が最適である。
【0090】
(ヒト胎児生殖(hEG)細胞の調製)ヒト胎児生殖細胞は、最後の月経期後、約8〜11週目に取得されたヒト胎児物質中に存在する始原生殖細胞から調製され得る。適切な調製方法は、Shamblottら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13726、1998および米国特許第6,090,622号において記載される。
【0091】
手短に言うと、生殖隆起を等張緩衝液でリンスし、次いで、0.1mL 0.05%トリプシン/0.53mMナトリウムEDTA溶液(BRL)中に置き、<1mm3の厚切りにする。次いで、この組織を100μLチップを介してピペッティングし、さらに細胞をばらばらにする。それを37℃で約5分間インキュベートし、次いで、約3.5mL EG増殖培地を添加する。EG増殖培地は、DMEM、4500mg/L D−グルコース、2200mg/L mM 炭酸水素ナトリウム;15%ES条件付きウシ胎児血清(BRL);2mMグルタミン(BRL);1mMピルビン酸ナトリウム(BRL);1000〜2000U/mL ヒト組換え白血病阻害因子(LIF、Genzyme);1〜2ng/mlヒト組換え塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF、Genzyme);および10μMフォルスコリン(10% DMSO中)である。代替的アプローチにおいて、EG細胞は、ヒアルロニダーゼ/コラゲナーゼ/デオキシリボヌクレアーゼを使用して単離される。腸間膜を伴う生殖腺原基または生殖隆起が、胎児物質から切り出され、この生殖隆起をPBSにてリンスし、次いで、0.1mlHCD消化溶液(0.01%ヒアルロニダーゼV型、0.002%デオキシリボヌクレアーゼI、0.1%コラゲナーゼIV型、すべてはEG増殖培地において調製されるSigma由来である)中に置く。組織をみじん切りにし、そして37℃において1時間または一晩インキュベートし、1〜3mLのEG増殖培地中に再懸濁し、そしてフィーダー層にプレートする。
【0092】
96ウェル組織培養プレートが、LIF、bFGFまたはフォルスコリンを含まない改変されたEG増殖培地において3日間培養されたフィーダー細胞のコンフルエント未満の層とともに調製され、5000rad γ−照射で不活性化される。適切なフィーダーはSTO細胞である(ATCC受託番号CRL1503)。約0.2mLの1次生殖細胞(PGC)懸濁液を各ウエルに添加する。第1の継代は、EG増殖培地において7〜10日後行われ、各ウエルを、照射されたSTOマウス線維芽細胞を用いて以前に調製された24ウェル培養皿の1ウェルに移す。この細胞を、形態学的にEG細胞と一致する細胞が観察されるまで毎日培地を交換して培養する(代表的には7〜30日後または1〜4継代後)。
【0093】
(フィーダー細胞の非存在下におけるpPS細胞の増殖)pPS細胞は、分化を促進することを伴わずに増殖を支持する培養条件の組み合わせを使用して、培養において連続的に増殖され得る。hES細胞は、フィーダー細胞の非存在下においてさえも、分化を伴わずに増殖され得ることが決定されてきた。フィーダーを含まない培養に関して、適合性の培養表面(基質)およびフィーダー細胞により提供される影響のいくつかを与える栄養培地を提供することは有益である。
【0094】
フィーダーを含まないpPS培養のための基質として特に適切なものは、細胞外マトリックス成分である(基底膜由来か、または接着分子レセプターリガンドカップリングの一部を形成する)。市販の調製物は、Matrigel(登録商標)という名前でBecton Dickensonより入手可能であり、そして通常の、または増殖因子を減少させた(Growth Facter Reduced)処方物において得られ得る。両方の処方物は、効果的である。Matrigel(登録商標)は、Engelbreth−Holm−Swarm腫瘍細胞由来の可溶性の調製物であり、再構成された基底膜を室温にて形成するゲルである。
【0095】
他の細胞外マトリックス成分および成分の混合物は、代替物として適切である。増殖される細胞型に依存して、細胞外マトリックスは、ラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、エンタクチン、ヘパラン硫酸塩など、単独で、または種々に組み合わせたものを含む。ラミニンは、脊椎動物におけるすべての基底膜の主要成分であり、これはインテグリンのヘテロダイマー(例えば、α6β1およびα6β4(ラミニンに対して特異的である))および他のヘテロダイマー(他のマトリックスと交叉反応する)と相互作用する。実施例において例示される培養条件を使用すると、コラーゲンIVは、hES細胞増殖を支持するが、コラーゲンIは支持しない。本明細書中に記載される実験手順を使用して試験され得る基質としては、他の細胞外マトリックス成分だけでなく、ポリアミン(例えば、ポリオルニチン、ポリリジン)および他の市販の被覆剤が挙げられる。
【0096】
多能性細胞を、適切な分布ならびに細胞の生存、増殖、および所望の特徴の保持を促進する培地の存在下において基質上にプレートする。これらの特徴は、接種分布に対する慎重な注意から利益を得る。この分布の1つの特徴は、プレーティング密度である。少なくとも、約15,000細胞cm-2のプレーティング密度は、生存を促進し、かつ分化を制限することが見出されてきた。代表的に、約90,000cm-2と約170,000cm-2との間のプレーティング密度が使用される。
【0097】
別の特徴は、細胞の分散である。マウス幹細胞増殖は、細胞を単一細胞懸濁液に分散させることを含む(Robinson,Meth.Mol.Biol.75:173,1997 177頁にて)。対照的に、霊長類のPS細胞を継代することは、以前は小さなクラスターにおいて、その細胞をともに維持する必要があると思われていた。細胞が完全に分散する前に、酵素消化を停止する(例えば、約5分、コラゲナーゼIVを使用する)。次いで、そのプレートをピペットを用いて、穏やかにはがし、そして、接着細胞の凝集塊(約10〜2000細胞の大きさ)のように懸濁されるまでピペットを用いて細胞を粉砕する。次いで、凝集塊をさらなる分散を伴わずに直接基質の上にプレートする。
【0098】
適切な酵素および培地が選択され、そしてプレーティング密度が十分に高い場合、霊長類のPS細胞は、さらに細かい細胞の懸濁液としてフィーダーを含まない培養をする傍ら、継代され得ることが現在発見されている。説明の目的で、フィーダーの非存在下において培養されたコンフルエントなヒト胚性幹細胞は、0.05%(wt/vol)トリプシン(Gibco)および0.053mM EDTAの溶液とともに5〜15分間37℃にてインキュベートすることによってプレートから除去される。ピペットを使用して、プレート内の残りの細胞を取り出し、そしてその細胞を、単一細胞およびいくつかの小さなクラスターを含む懸濁液に分散されるまでピペットを用いて粉砕する。次いで、この細胞を50,000〜200,000細胞/cm2の密度にてプレートして、生存を促進させ、かつ分化を制限する。この技術により継代されたES細胞の表現型は、細胞がコラーゲン消化によりクラスターとして収集される場合に観察されるものと類似している。別の選択肢として、この細胞は、そのプレートがコンフルエントになる前に、酵素を伴わずに収集され得る。この細胞をPBS中0.5mM EDTA単独の溶液において約5分間インキュベートし、培養容器から洗浄し、次いで、さらなる分散を伴わずに新しい培地にプレートする。
【0099】
新鮮なフィーダー細胞の非存在下においてプレートされたpPS細胞は、栄養培地において培養されることから利益を得る。一般的に、この培地は、細胞の生存を増強させる通常成分(等張緩衝液、必須無機質、および血清または血清に代わる何かのいずれか)を含む。フィーダー細胞により提供されるいくつかのエレメントを供給するように馴化された培地が特に有益である。
【0100】
馴化培地は、血清を含まない培地(例えば、血清の代わりに20%で追加されたKO DEMEおよび4ng/mL塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF))において約5〜6×104cm-2の密度において、照射された1次マウス胚性線維芽細胞(または別の適切な細胞調製)を培養することにより調製され得る。培養上清を約1日後に37℃にて収集する。付着依存性細胞を増殖するためのデバイスには、Tフラスコ、ローラーボトル(roller bottle)、ガス透過性バッグ(gas−permeable bag)、ホローファイバーバイオリアクター(hollow fiber bioreactor)、フラットベッドバイオリアクター(flat−bed bioreactor)、およびパラレルプレートバイオリアクター(parallel plate bioreactor)が挙げられる。この細胞が、3次元マトリクスに移される場合、この細胞は、連続攪拌タンクバイオリアクターまたはエアリフトバイオリアクターにおいて培養され得る。
【0101】
以下の実施例において例示されるように、代表的に、1〜2日間馴化された培地を使用して、pPS細胞培養を1〜2日間支持し、次いで、培地を交換する。この培地は、馴化された後、直接使用され得、それはそのまま、または抽出物として保存され得る(例えば、4℃にて、2、6、もしくは14日間または−20℃にて凍結)。この培地をろ過する際には、注意が払われるべきである。他のフィルターが活性を除去するような場合、いくつかのフィルター(例えば、セルロースアセテート20μ非タンパク結合膜(Corning#430769)が適切であり得る。初期の研究において、代表的に培地は希釈されずに使用され得る。希釈の有効性および他の操作が、この培地を用いて7日間以上pPS細胞を維持すること、そしてこの培養物が未分化pPS細胞に特有な特徴を維持するか否かを決定することにより評価され得る。
【0102】
所望される場合、馴化培地が、pPS細胞培養に利益を与えるさらなる増殖因子ともに使用する前に追加され得る。hESのために、増殖因子様bFGFまたはFGF−4がしばしば使用される。hEGのために、増殖因子様bFGF、gp130のインデューサー(例えばLIFまたはオンコスタチン−M)およびおそらく環状AMPレベルを上昇させる因子(例えば、フォルスコリン)が増殖培地に追加され得る。他の型のpPS細胞は、培地中の他の因子(例えば、幹細胞因子(Steel因子、c−kitリガンド)またはIL−6)から利益を獲得し得る。馴化する前にbFGFまたはFGF−4のような増殖因子の両方をこの培地に添加し、次いで、pPS細胞の増殖を支持するためにこの培地を使用する前に再びbFGFまたはFGF−4のような増殖因子の両方をこの培地に添加することはしばしば有益である。
【0103】
本明細書中に記載される各条件が、独立して最適化され得、そして特定の条件の組み合わせが、さらなる試験に対して有効であると証明されることが認識されるべきである。このような最適化は、慣用的な実験の問題であり、この開示において提供される本発明の趣旨から逸脱しない。
【0104】
(馴化培地のために適切な細胞株)マウス線維芽細胞の初代培養に対する代替物として、馴化培地が、他の細胞型から調製され得る。テロメア化された胚性線維芽細胞株および線維芽細胞の形態学的特徴を有する分化したpPS細胞が例示的である。
【0105】
(馴化培地のための例示的な非ヒト細胞株)代表的に、フィーダー細胞は、線維芽細胞型の細胞を含む。1次胚細胞または胎性フィーダー細胞培養は、細胞の混合された集団であり、線維芽細胞ならびに初期の筋肉細胞および神経細胞の形態を有する細胞を含む。その集団において異なる細胞は、pPS培養を支持する際に異なる役割を果たし得、そしてその培養の分布および特徴が変化し得る。
【0106】
より持続性のフィーダー細胞株が、非ヒト種由来(例えば、マウス(先に記載されたように調製された))の胚性線維芽細胞を使用して本発明に従って培地を産生するために開発され得る。この細胞は、遺伝的に不死化遺伝子(例えば、テロメラーゼを発現する遺伝子)で改変される。細胞をテロメア化し、そしてテロメラーゼ活性を試験するための手順は、この開示において後ほど見出され得る。
【0107】
さらに、馴化培地のために使用される細胞は、遺伝的に改変され、1つ以上のさらなる特徴を提供する。例えば、スクリーニングの目的のために、1つ以上の抗生物質(例えば、ネオマイシン、ハイグロマイシン、またはピューロマイシン)に対する薬剤耐性遺伝子とともに細胞が提供され得る(実施例8)。細胞は、マーカー遺伝子(例えば、緑蛍光タンパク質(実施例8)、βガラクトシダーゼまたは免疫単離のためにタグを提供する特定の細胞表面抗原(例えば、短縮型NGFレセプター)とともに提供され得る。細胞はまた、pPS培養を支持するための培地の効力を提供する因子の生合成および分泌のための遺伝子とともに提供され得る。ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)および本開示において列挙される他の栄養補給剤が例示的である。
【0108】
培地を馴化するために使用される細胞株の複製能力を増加させるために、本開示の他のところで記載されるように細胞株はテロメア化(さもなくば不死化)され得る。
【0109】
(馴化培地のための例示的なヒト細胞株)ヒト胚由来細胞から分化した特定の特徴を有する細胞を使用して、未分化pPS細胞の培養を支持し得ることが発見された。ヒト胚細胞由来の特定の線維芽細胞様細胞(または間葉細胞)は、この特性を有し、そして先に記載されたアッセイに従って同定され得る。
【0110】
適切な細胞を得るための例示的な方法は、pPS細胞(例えば、hES細胞)の培養物を分化させることを含む。特定の表現型を有する分化した細胞は、混合された分化細胞の集団の中から選択され、そして選択された細胞を用いて培養することにより馴化された培地が、実質的にフィーダー細胞を含まない培養環境下においてpPS細胞の増殖を支持するその能力について試験される。
【0111】
pPSの分化は、例えば、ドナーpPS細胞培養物の過増殖によって、または胚様体(EB)を形成させる低い接着特性を有する基質を有する培養容器内でpPS細胞を培養することによって、最初に凝集体を形成することにより開始され得る。胚様体は、懸濁培養において作製され得る;未分化pPS細胞は、短時間のコラゲナーゼ消化によって収集され、クラスターに解離され、そして非接着性細胞培養プレートにプレートされる。その凝集体は数日毎に培地が与えられ、次いで、適切な期間の後、収集される(代表的に4〜8日間)。次いで、この細胞は、培地馴化細胞の濃縮を促進する培地において、および/または基質上で培養される。あるいは、未分化pPS細胞の懸濁液を調製し、次いで、培地馴化細胞への調節された分化を促進する基板上に直接プレーティングすることにより、直接pPS細胞を区別することによって得られ得る。適切な基材は、ポリ陽イオン性基質(例えば、ポリオルニチン、または細胞外マトリックス)で被膜されたガラスまたはプラスチックのカバースリップを含む。
【0112】
一旦、分化されると、その集団は、細胞が発現するいずれかのマーカー(例えば、免疫標識および蛍光分類によって、磁気ビーズによる分類によって、または夾雑細胞の免疫特異的溶解によって)に従って培地馴化細胞について濃縮され得る。
【0113】
hES細胞から分化した線維芽細胞様細胞は、本発明に従う馴化培地について特に適切であることが発見された。線維芽細胞様細胞が形態学的基準(特に、結合組織において見出される線維芽細胞のものと類似する細胞質プロセスを有する細胞の星状形態または紡錘形態)によって認識され得る。細胞の線維芽細胞性質のさらなる確認が、マーカーおよびその細胞の分泌産物(例えば、コラーゲンマトリクス、コラゲナーゼ、および線維芽細胞増殖因子の種々のアイソタイプ(特にbFGF))によって得られ得る。これらのマーカーは、転写または翻訳レベルにおいて検出される。
【0114】
次いで、分化したpPS細胞は、上記で概要を述べられたアッセイに従って試験され得、分化したpPS細胞は、培地がフィーダーを含まない培養におけるpPS細胞増殖を支持するという様式において馴化培地に適切であるか否かを決定する。
【0115】
この様式においてhESから分化し、かつ選択された細胞株は、代表的に、細胞培養において少なくとも約30日間複製し得る(実施例12および13;図12)。いくつかの実施形態において、その細胞は60日間または120日間複製する(約10倍増、25倍増、または50倍増)。高い複製能力は部分的である。なぜなら、これらの細胞は、実質的に不死である幹細胞から分化され、そして一次胚細胞と矛盾のない長さのテロメアを有するためである。これらの細胞は、しばしば、さらなる適応を伴わずに馴化培地に適切である。所望される場合、その細胞はまた、遺伝的に改変されて、テロメラーゼ逆転写酵素を発現し得るか、さもなくば、先に記載されるように不死化される。これは、老化を未然に防ぎ、そして非改変化細胞の複製能力を超えて複製能力を増加させ、これは、この培地の商業生産を促進し、かつバッチ間の再現性を改善する。
【0116】
必要に応じて、馴化培地に適した分化したヒトPS細胞はさらに適応され得、例えば、前節において記載されるように、遺伝的に細胞を改変して、増殖因子様bFGFを発現させるか、もしくはTERTを発現させるか、もしくはその細胞を不死化させることによって適応され得る。
【0117】
(それを産生するために馴化培地および細胞を試験する工程)馴化培地は、pPS細胞を初代マウス胚性線維芽細胞(mEF)(証明された標準)により馴化された培地の代わりにフィーダーを含まない培養系にスワップすることにより、pPS細胞を支持する能力について試験され得る。pPS細胞が、実質的に未分化な状態で増殖する場合、その馴化培地は、フィーダーを含まない培養においてpPS細胞を支持するものとして特徴づけられ得る。
【0118】
pPS細胞が分化するか否かを決定するための都合良い方法は、そのコロニーの形態的特徴を理解することである(以下に記載される)。このアッセイ方法に従って、コンフルエント未満の培養物(代表的に、継代約5日間後)における未分化pPS細胞の割合が、少なくとも、その馴化培地(必要に応じて、さらなる増殖因子を追加されるか、そうでなければ適切な場合には処理される)における4回の継代の間に実質的に減少しない場合、馴化培地はpPS細胞の増殖を支持し得ると見なされる。
【0119】
所望される場合、このアッセイの定量的読み出しが得られ、この培地中のpPS細胞支持因子の質または濃度を評価し得る。1つの例において、基礎培地が、種々の期間(例えば、6時間、12時間、24時間および48時間)の間馴化され、そしてその馴化培地は、連続24時間の期間の間、フィーダーを含まないpPS細胞培養物を支持するそれらの能力についてそれぞれ試験される。短い処理時間という理由のため、短い馴化期間により有効性を与えられた培地が所望され得る。別の例において、24時間馴化された基礎培地が、pPS培養を支持する能力について希釈分析により試験される(基礎培地における希釈工程、必要に応じて他の栄養剤が追加される)。より大きな希釈の後に有効である培地(例えば、1:1、1:2および1:4の馴化培地:希釈培地)が、保存の容易性のために所望され得る。特定の特徴の選択は、この適用に依存する。
【0120】
細胞株は、適切な時間で基礎培地において細胞を培養することにより、馴化培地を産生する能力について試験され得、次いで、上記のように、フィーダーを含まないpPS細胞培養を支持する能力についてその培地を試験する。馴化培地が、フィーダーを含まないpPS培養物を支持しない場合、その馴化の方法は、種々にパラメーター(例えば、培養時間、使用される基礎培地、細胞密度および培養後の培地の可能な処理またはさらなる添加剤の追加)において調節され得る。これらおよび他のパラメーターの調節は、経験的に、および慣用的な実験の問題として実行され得る。細胞株が、馴化の間の任意の培養パラメーターの慣用的な最適化後に、フィーダーを含まないpPS培養を支持する馴化培地を産生する場合、細胞株はその試験を通過したと見なされる。
【0121】
所望される場合、馴化培地およびこの培地を産生する細胞は、以下に記載されるように、それらが支持するpPS細胞の他の特徴に基づいて、さらに評価され得る。
【0122】
(馴化培地のバッチ産生)本発明の馴化培地は、この培地において細胞を培養することにより産生され、次いで、その細胞培養物から馴化培地を収集する。
【0123】
馴化のために使用される細胞は、すでに記載されるように、フィーダーを含まない形態においてpPS細胞を支持する能力を馴化培地に与える様式において培地を馴化する能力を有する。馴化のために使用される基礎培地は、任意の異なるいくつかの製法を有し得、その製法は、使用される細胞の型に部分的に依存する。その培地は、少なくとも培地の馴化のために使用される細胞株の培養を支持することが可能でなくてはならない。馴化後、その培地はまたpPSの培養を支持することが都合が良い。しかし、代替物として、この培地は、他の因子を追加され得るか、さもなくば馴化後、pPS細胞の培養について培地を適合するために処理され得る。
【0124】
フィーダーを含まない培養においてpPS細胞を支持するために、適切な基礎培地が、以下の成分から作製され得る;ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、Gibco#11965−092;ノックアウト(Knockout)ダルベッコ改変イーグル培地(KO DMEM)、Gibco#10829−018;Ham’sF12/50%DEME基礎培地;200mM L−グルタミン、Gibco#15039−027;非必須アミノ酸溶液、Gibco 11140−050;βメルカプトエタノール、Sigma#M7522;ヒト組換え塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、Gibco#13256−029。例示的な血清含有ES培地は、80%DEME(代表的にKO DEME)、20%限定されたウシ胎児血清(FBS)(熱非働化していない)、0.1mM非必須アミノ酸、1mM L−グルタミン、および0.1mM β−メルカプトエタノールとともに作製される。この培地をろ過し、そして4℃にて2週間を超えないように保存する。血清を含まないES培地は、80%KO DEME、20%血清置換、0.1mM 非必須アミノ酸、1mM L−グルタミン、および0.1mM β−メルカプトエタノールとともに作製される。すべての血清置換が役に立つわけではない;有効な血清置換は、Gibco#10828−028(特許製法;その製造業者から入手可能な製品)である。この培地をろ過し、そして4℃にて2週間を超えないように保存する。馴化のために使用される細胞を組み合わせる直前に、ヒトbFGFが、4ng/mLの最終濃度まで添加され得る。
【0125】
次いで、細胞にpPS細胞を支持する成分を培地に放出させるような環境下において、この選択培地を馴化のために使用される細胞と組み合わせる。必要に応じて、この細胞は、照射(例えば、約4,000rad)により、マイトマイシンCのような化学的失活剤を用いる処置により、または任意の他の有効な方法によって、不活性化され得る(すなわち、実質的な複製の不能を与えられる)。pPS細胞培養物を支持する際に使用する前に、培地が馴化細胞から分離される場合、細胞の不活性化は、必ずしも必要ではない。
【0126】
この細胞は、pPS細胞培養を支持する放出された因子の適切な濃度を可能にするための十分な時間で培地において培養される。代表的に、24時間37℃において培養することにより馴化された培地は、pPS細胞培養物を24時間支持する因子の濃度を含む。しかし、培養期間は、より長くまたはより短く調節され得、経験的に(または必須因子の濃度をアッセイすることにより)適切な期間を構成するものを決定する。馴化培地のバッチを収集した後、この細胞を使用して、さらなる培養期間(細胞が、適切な方法において培地を馴化する能力を保持する限り、所望される場合と同じくらい多くのサイクルの間)にわたって、さらなるバッチの培地を馴化し得る。例えば、胚性幹細胞の分化に由来する線維芽細胞様細胞を使用して、1日周期で1〜2週間にわたって培地を馴化し得る(実施例12および13)。
【0127】
培地を馴化するための培養装置の選択は、培地収集の規模および目的に基づいてなされ得る。初期の研究において、そしてスクリーニングする目的のために、標準的な培養フラスコまたは複数のウェルプレートにおいて培養培地を産生することは、しばしば都合が良い。初期のスケールアップが、多数の面を有するより大きな容器においてなされ得る(例えば、Nunc cell factories)。ラージスケール、自動化、またはGMPに従う産生は、より特殊化されたデバイスの使用を含み得る。
【0128】
連続的細胞培養系は、J.Furey(Genetic Eng.News20:10、2000年5月15日)により概説されている。灌流培養は、培養チャンバーからの培地の除去を含み、そして新鮮な培地を補填する。スピンバスケット系において、バスケット様デバイスをドライブシャフトに接続し、そして培地が交換され得る多孔性スクリーンにより覆われる。外部フィルター灌流系において、培養液は、中空繊維フィルターモジュールを介して容器から循環され、そしてその循環を提供するためのループに接続されたポンプを用いて、容器にもどす。特定の灌流系、ATF System(Refine Technology,Edison NJから市販)は、中空繊維ハウジングの一方の末端にある膜ポンプ、バイオリアクターと接続される中空繊維ハウジングのもう一方の末端から構成される。そのファイバーを介する、交流する接線方向の流れは、低い剪断層流を産生し、これは高流速、拡張性、および異なるバイオリアクターに対する適応性を提供する。
【0129】
ラージスケール培養系はまた、Aastrom Sciences Inc.,Ann Arbor MIから入手可能である。Aastrom ReplicellTM系は、小さな開始細胞集団からの拡張を提供する(Kollerら、Bone Marrow Transpl.21:653、1009;Kollerら、Blood 86:1784、1995)。Cellstasis(登録商標)培養技術は、Genespan Corp.、Bothell WAにより市販される。細胞は、キャピラリー外空間に存在し、そして中空線維は、培養環境に新鮮な培地および酸素をもたらす(R.Lewis、GeneticEng.News18(9)、1998年5月1日)。任意の他の適切なデバイスが、本発明とともに使用され得る。米国特許第4,501,815号は、分化細胞を培養するためのデバイスを記載する。米国特許第4,296,205号は、細胞培養および連続透析フラスコならびにそれらの用途を記載する。米国特許第5,994,129号は、生物学的細胞を維持する際に使用する移動式カセットを記載する。米国特許第5,362,642号は、細胞培養培地の貯蔵、再構成、分配、および収集についての閉じ込め系(containment system)を記載する。米国特許第6,022,742号は、培養デバイスおよび方法を記載する。
【0130】
本発明の特定の実施形態は、馴化培地を調製するための適合するデバイスであり、このデバイスは、培地を馴化し得る本発明の細胞を含む培養チャンバーおよび細胞による馴化の後、培養チャンバーから培地を回収するために必要に応じて閉鎖し得る排出ポートを有する。そのデバイスはまた、馴化された培地から培養細胞を分離させるプレート、中空線維、または他の構造の形態において大量移行ミクロ細孔表面を有し得、これは培地の自由な通過を可能にし、排出ポートへの通過を提供する。このデバイスはまた、新鮮な培地を導入するか、さらなる細胞を導入するか、または死細胞および細胞破片を除去するための1つ以上のポートを有し得る。連続フロー系について、ポンプは、循環を提供するために培地入口ポートまたは培地排出ポートに接続され得る。
【0131】
馴化培地の収集の後、適切である場合、馴化培地はpPS細胞増殖を支持するために直接使用され得る。この培地が、ろ過され、凍結され、さもなくば初めて新しい技術を使用して処理された場合、小さなバッチを試験して、再構成された培地においてなおも活性が存在するか否かを決定することは、価値がある。
【0132】
ある実施形態において、馴化培地に、pPS細胞培養のためになる付加的な増殖因子を使用前に補充した。hESに対して、bFGF様の増殖因子が、しばしば用いられる。フィーダー細胞なしの培養においてhES細胞を支持する培地の能力は、培地の馴化の前および後の両方においてbFGFを加えることによって利益を得うることが見出された(実施例11)。hEGに対して、培養培地に、bFGF様の増殖因子、LIF、IL−6またはオンコスタチン−Mのようなgp130のアクチベーター、およびフォルスコリンまたはコレラ毒素のようなおそらくは環状AMPレベルを上昇させる因子を補充し得る、pPS細胞の他の型は、(c−kitのリガンドである、Steel factorとしても公知の)幹細胞因子のような培地中の他の因子によって利益を得うる。
【0133】
特定の実施形態において、馴化培地が、さらに処理される。例えば、塩析または選択的な濾過によって濃縮され得るし、また有効な成分を分離または保管するために抽出され得る。次いで培地抽出物は、pPS培養物を支持するために、使用前に新鮮な培養培地によって再構成されるか、またはこれを補充され得る。
【0134】
調製後、培地は、上述のように、フィーダー細胞なしの培養においてpPS細胞を支持するために用いられ得る。それはまた、他の目的に適切であり、そして制限なくそのような目的に用いられ得る。例えば、培地は、さらに細胞の増殖を支持するが、または分化の制限するために、フィーダー細胞の存在下で培養されたpPSに添加され得る。培地はまた、経験的に決定され得るように、培養前駆細胞、または終末分化した細胞の他の型の増殖の維持または促進に用いられ得る。
【0135】
(フィーダー細胞非存在下において成長したpPS細胞の特徴付け)ヒトES細胞は、未分化の幹細胞の特徴的な形態的な特色を有する。二次元の標準的な顕微鏡画像において、hES細胞は、その画像の平面、突出した核小体、およびほとんど識別できない細胞接合部を伴う緻密なコロニー形成において核/細胞質の高い比を有する。細胞株は、標準的なGバンド技術(日常的な核型決定サービスを提供する、オークランドCAの細胞遺伝学研究室のような多くの臨床診断研究室において利用可能な技術)を用いて核型決定され得、そして公開されヒト核型と比較され得る。「正常な核型」を有する細胞(その細胞が正倍数性であり、その中にすべてのヒト染色体が存在し、そして目立って変質されていないことを意味する)を獲得することが所望される。
【0136】
hES細胞およびhEG細胞はまた、発現する細胞マーカーの特徴付けられ得る。一般的に、本開示において記述される組織特異的なマーカーは、膜結合型マーカーに対するフローサイトメトリー、細胞内マーカーに対する免疫組織化学、および培地中に分泌されたマーカーに対する酵素結合イムノアッセイのような、適切な免疫学的技術を用いて検出され得る。タンパク質マーカーの発現はまた、マーカー特異的なプライマーを用いた逆転写酵素PCRによって、mRNAレベルで検出され得る。さらなる詳細は、米国特許番号5,843,780を参照のこと。
【0137】
発生段階特異的胎児性抗原(SSEA)は、特定の胚性細胞型に特徴的である。SSEA−1,SSEA−3およびSSEA−4に対する抗体は、Developmental Studies Hybridoma Bank of the National Institute of Child Health and Human Development(Bethesda MD)より入手可能である。他の有用なマーカーは、Tra−1−60およびTra−1−81と命名された抗体(Andrewsら Cell Lines from Human Germ Cell Tumors、E.J.Robertson、1987、前出)を用いて検出可能である。マウスES細胞は、SSEA−1に対する陽性コントロールとして、そしてSSEA−4、Tra−1−60およびTra−1−81に対する陰性コントロールとして使用され得る。SSEA−4は、ヒト胚性癌(hEC)細胞に一貫して存在する。インビトロにおけるpPS細胞の分化は、結果としてSSEA−4、Tra−1−60、およびTra−1−81の発現の減少ならびにSSEA−1の発現の増加を導く。SSEA−1はまた、hEG細胞において見出される。pPS細胞はまた、製造者(Vector Laboratories,Burlingame CA)によって記載されたように、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定する工程、および次いでベクターレッドを基質として発色させる工程によって検出され得るアルカリフォスファターゼ活性の存在によって特徴付けられ得る。hTERTおよびOCT−4の発現(RT−PCRによって検出可能)ならびにテロメアーゼ活性(TRAPアッセイによって検出可能)はまた、多くの型の未分化のpPS細胞に特徴的である(実施例3)。
【0138】
増殖したpPS細胞の所望される他の特色は、三つすべての胚葉(内胚葉組織、中胚葉組織および外胚葉組織)の細胞へ分化する能力である。hES細胞の多能性は、約3.0X106の細胞を8〜12週齢の雄性SCIDマウスの後脚筋へ注入することによって確認し得る。結果生じる腫瘍は、発生8〜16週目において4%パラホルムアルデヒドで固定され得、そしてパラフィン包埋後に組織学的に検査され得る。三つすべての胚葉の組織(例えば、軟骨、平滑筋、または横門筋(中胚葉);毛嚢を伴った重層扁平上皮、心室層、中間層、または外套層を伴う神経管 (外胚葉);そして、繊毛円柱上皮、および吸収性の腸細胞または粘液分泌杯細胞によって裏打ちされた繊毛(内胚葉))を示す奇形腫が、発育する。pPS細胞の多能性は、本開示の下記の手順に従って、特定の細胞株への分化に関してさらに試験され得る。
【0139】
フィーダー細胞非存在下で成長するhES細胞の模範的な調製を、実施例1に下述する。培養19日において、細胞の80%より多くが、SSEA−4、Tra−1−60およびTra−1−81について陽性に染色されたが、細胞の15%未満が、SSEA−1について陽性に染色された。
【0140】
本開示に記載の特定の細胞集団は、実質的に未分化であり、そして新たなフィーダー細胞を加えることなく多岐の培養間で継代し得る。特定の継代中に、いくつかの細胞が、分化し得ることが確認された(特に低密度で単一細胞をリプレートした場合、または大きなクラスターが形成され得る場合)。しかし、培養物は、培養期間の間により大きな割合の未分化細胞を代表的には再樹立する。特に目的であるのは、フィーダー細胞なしの系において少なくとも3ヶ月の間増殖され得る細胞である。最適なことに、増殖した細胞が、約20〜40時間にすぎない倍化時間を有し得る。
【0141】
pPS細胞、またはpPS細胞から分化した細胞の複製能力が増加することが所望される場合、以下に記載の方法を用いて、それらは不死化またはテロメア化(分化前または後のどちらかに)され得る。
【0142】
(増殖されるpPS細胞の直接的な分化)本発明はまた、pPS細胞が、中間段階として胚様体を形成せずに、方向付けられた前駆細胞または十分に分化した細胞へ分化するための新しい系を提供する。
【0143】
胚様体の培養における一般的原理は、O’Shea,Anat.Rec(New Anat.257:323,1999)に報告されている。pPS細胞は、凝集が形成するのを許容する様式においてに培養される。多くの選択肢(例えば、ドナーpPS細胞培養の過成長によるか、またはEB形成を許容する低い接着性質を伴う基質を含む培養容器中でpPS細胞を培養することによる)が、この様式のために利用可能である。胚様体はまた、懸濁培養においても形成され得る。pPS細胞は、短いコラゲナーゼ分解によって収集され、クラスターへ解離され、そして非接着性細胞培養プレートへプレーティングされる。この凝集体は、2〜3日ごとに播かれ、次いで代表的には4〜8日の、適切な期間の後に収集される。この細胞は、次いで、特定の系統の細胞の濃縮を促進する培地および/または基質中で培養され得る。この基質は、Matrigel(登録商標)(Becton Dickenson)、ラミニン、コラーゲン、ゼラチン、または最初にマトリックス産生細胞株を培養し、次いでそのマトリックスが容器の表面に付着し続けるような方法で溶解および洗浄することによって産生されるマトリックスのようなマトリックス構成成分を含み得る。胚様体は、潜在的には内胚葉外面、そして中胚葉外面および外胚葉内面を有する、異種細胞集団を含む。
【0144】
pPS細胞が、中間の段階として胚様体または凝集体を形成することなく、方向付けられた前駆細胞または終末分化細胞へ分化し得ることが、現在までに発見されている。簡単には、未分化なpPS細胞の懸濁液が、調製され、次いで分化を促進する固体表面上にプレートされる。代表的には、pPS細胞は、過成長が許容される場合、コントロールされない様式において分化するので、このpPS細胞の培養物は、過密度時においてではなく、十分な密度にまで増殖した場合に、代表的には回収される。適切な懸濁液は、コラーゲナーゼIVとともに培養皿を約5〜20分間インキュベートし、次いで皿から細胞をかき集めることによって調製され得る。この細胞は、例えば、ピペット中で粉砕することによって分離され得る。分化の多くの型について、その細胞が完全には分離していないことが推奨され、ゆえにpPSの大多数は、約10〜200の細胞の凝集塊である。
【0145】
この懸濁液は、次いで、方向付けられた前駆細胞への調節された分化を促進する基質上にプレートされる。適切な基質は、接着性のガラス表面またはプラスチック表面を含む。例えば、ガラスカバーグラスは、ポリカチオン性基質(ポリリシン、ポリオルニチンのようなポリアミン、または他の同種のポリペプチドもしくは混合されたポリペプチド、または優勢な陽性電荷を伴う他のポリマー)によってコートされ得る。この細胞は、次いで、所望される細胞株への分化を促進するのに適応した、適切な栄養性培地中で培養される。
【0146】
いくつかの場合において、分化は、この培養培地から血清および血清置換体を除去することによって促進される。このことは、血清または血清置換体のない培地に置き換えることによって(例えば、再プレーティング時に、未分化細胞の成長を促進するかまたは分化を阻害するこの培地の一つ以上の構成成分を除去することによって)達成し得る。例は、特定の増殖因子、マイトジェン、白血球阻害因子(LIF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、および馴化培地中の他の構成成分を含む。
【0147】
いくつかの場合において、分化は、所望される細胞株への分化を促進する培地構成成分、または所望されない特徴を伴う細胞の成長を阻害する培地構成成分を加えることによって促進される。例えば、神経系統またはグリア系統へと方向付けられた細胞を産生するために、この培地は、効果的な組み合わせで、以下に示す任意の因子または培地成分を含み得る:脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン3(NT−3)、NT−4、上皮性増殖因子(EGF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、神経成長因子(NGF)、レチノイン酸(RA)、ソニックヘッジホッグ、FGF−8,アスコルビン酸、フォルスコリン、胎仔ウシ血清(FBS)、および骨形態形成タンパク質(BMP)。
【0148】
多能性幹細胞由来の組織細胞を得るための一般的な原理は、Pedersen(Reprod.Fertil.Dev.6:543,1994)、および米国特許第6,090,622号に論評される。神経性前駆体、神経系限定(restricting)の細胞前駆体およびグリア細胞前駆体に関しては、Bainら、Biochem.Biophys.Res.Commun.200:1252,1994;Trojanowskiら、Exp.Neurol.144:92,1997;Wojcikら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:1305−130;Mujtabaら、Dev.Biol.214:113,1999;および米国特許第5,851,832号、同第5,928,947号、同第5,766,948号、および同第5,849,553号を参照のこと。心筋および心筋細胞に関しては、Chenら、Dev.Dynamics 197:217,1993およびWobusら、Differentiation 48:173,1991を参照のこと。造血性の前駆体に関しては、Burkertら、New Biol.3:698,1991およびBieseckerら、Exp.Hematol.21:774,1993を参照のこと。米国特許第5,773,255号は、グルコース反応性インシュリン分泌膵β細胞株に関する。米国特許番号第5,789,246号は、肝細胞前駆細胞に関する。目的の他の前駆体は、軟骨細胞、骨芽細胞、網膜色素上皮細胞、繊維芽細胞、皮膚細胞(例えば、ケラチンノサイト、樹状細胞、毛胞細胞、腎管上皮細胞、平滑筋細胞および骨格筋細胞)、精巣前駆体、および血管上皮細胞にを含むが、これらに制限されない。
【0149】
Geron Corporationの研究者は、成長因子レセプターに結合するリガンドの存在下においてpPS細胞または胚様体細胞を培養することが、神経性前駆細胞の富化を促進することを発見した。この成長環境は、フィブロネクチンのような神経細胞支持可能な細胞外マトリックスを含み得る。適切な増殖因子は、EGF、bFGF、PDGF、IGF−1、そしてこれらリガンドに対するレセプターに対する抗体を含むが、これらに限定されない。レチノイン酸のような補因子もまた、含まれ得る。培養された細胞は、次いで、A2B5のようなマーカーを発現するか否かを基準にして必要に応じて分離され得る。適当な環境下において、A2B5マーカーの発現が豊富な細胞の集団は、神経細胞(成熟したニューロンを含む)、およびグリア細胞(星状細胞および稀突起膠細胞を含む)の両方を産生する能力を有し得る。必要に応じて、例えば、cAMPのアクチベータ−を含む培地中での培養によって、この細胞集団は、さらに分化する。目的のマーカーは、以下を含むが、それに限定されない:ニューロン特異的βチューブリンIIIまたは微小管結合タンパク質2(MAP2);星状細胞に存在するグリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP);稀突起膠細胞特異的ガラクトセレブロシド(GalC)またはミエリン塩基性タンパク質(MBP);未分化hES細胞に特徴的なOCT−4;神経前駆体および他の細胞に特徴的なネスチン(Nestin)またはムサシ(Musashi);およびにpPS細胞から分化した神経性前駆体の集団に見られるA2B5およびNCAMの両方。
【0150】
Geron Corporationの研究者はまた、肝細胞分化薬剤の存在下におけるpPS細胞または胚様体細胞の培養が肝細胞様細胞の富化を促進することを発見した。この成長環境は、コラーゲンまたはMatrigel(登録商標)のような肝細胞支持可能な細胞外マトリックスを含み得る。適切な分化薬剤は、酪酸塩およびそのアナログの種々の異性体(n−酪酸塩によって例証される)を含む。培養された細胞は、ジメチルスルフォキシド(DMSO)様のような有機溶媒のような肝細胞成熟因子;レチノイン酸のような成熟補因子;またはサイトカインもしくはホルモン(例えば、グルココルチコイド、上皮性増殖因子(EGF)、インシュリン、トランスフォーミング増殖因子(TGF−αおよびTGF−β)、繊維芽細胞増殖因子(FGF),ヘパリン、肝細胞増殖因子(HGF)、インターロイキン(IL−1およびIL−5)、インシュリン様増殖因子(IGF−IおよびIGF−II)、およびヘパリン結合増殖因子(HBGF−1))と、必要に応じて同時に、または連続的に培養される。pPS細胞から分化した肝細胞株は、以下に示すマーカーの少なくとも三つを代表的には示す:α1−アンチトリプシン(AAT)合成、アルブミン合成、アシアロ糖タンパク質レセプター(ASGR)発現、α−胎児性タンパク質の不在、グリコーゲン貯蔵の証拠、シトクロムp450活性の証拠、およびグルコース6リン酸化酵素活性の証拠。
【0151】
pPS細胞由来の混合した細胞集団に存在する細胞の型は、特徴的な形態およびそれらの発現するマーカーによって認識され得る。骨格筋に関しては:myoD、ミオゲニン、およびmyf−5。内皮細胞に関しては:PECAM(血小板内皮細胞接着分子)、Flk−1、tie−1、tie−2、血管内皮(VE)カドヘリン、MECA−32、およびMEC−14.7。平滑筋に関しては:特異的ミオシン重鎖。心筋細胞に関しては:GATA−4、Nkx2.5、心性トロポニンI、αミオシン重鎖、およびANF。膵細胞に関しては:pdxおよびインシュリン分泌。造血細胞およびその前駆体に関しては:GATA−1、CD34、β主要グロブリン、およびβ主要グロブリン様遺伝子βH1。
【0152】
適切な表面上への直接的なプレーティングによって、またはフィーダー細胞なしの培養においてpPS細胞を提供し、そして適切に培地を交換することによって分化するpPS細胞は、系統制限された細胞または終末分化した細胞の驚くほど同種の集団を産生し得る。用いられる条件に依存して、50%を十分超えて同種性を有する細胞集団(75%、90%、または98%同種性と同程度に)は、識別する技術の使用を有する必要なしでさえ、得られ得る。
【0153】
治療目的に関して、分化した細胞集団が、未分化のpPS細胞を実質的に含まないことが通常所望される。この集団から未分化な幹細胞を除去する一つの方法は、未分化な細胞において優先的な発現を生じるプロモーターの制御下にエフェクター遺伝子を有するベクターでこの細胞を形質転換することである。適切なプロモーターは、TERTプロモーターおよびOCT−4プロモーターを含む。エフェクター遺伝子は、この細胞を直接溶解し得る(例えば、毒素またはアポトーシスのメディエータをコードする遺伝子)。あるいは、エフェクター遺伝子は、仔の細胞を抗体またはプロドラッグのような外部の薬剤の毒性効果感受性にし得る。それが、ガンシクロビルに感受性であるように発現される細胞を生じる単純ヘルペスチミジンキナーゼ(tk)遺伝子が、例である。適切なTERTプロモーターtk構築物は、WO98/14593(Morinら)中に提供される。
【0154】
(cDNAライブラリー)フィーダー細胞と共に成長したかまたはフィーダー細胞なしの培養物から成長した未分化なpPS細胞は、これらの細胞の遺伝子発現パターンを反映するmRNAライブラリーおよびcDNAライブラリーを調製するのに用いられ得る。mRNAおよびcDNAはまた、分化した細胞から作製し得、そして分化中に上方制御または下方制御される転写物について濃縮されたサブトラクションライブラリーの生成に使用し得る。
【0155】
(mRNAの単離および増幅されたコピーの生成)cDNAライブラリーの調製は、pPS細胞またはそれらの分化した子孫からmRNAを単離する工程;このmRNAのポリヌクレオチドコピーを作製する工程、および補充され得る形態でポリヌクレオチドコピーを含むライブラリーを産生する工程を、代表的には含む。代表的には、このポリヌクレオチドコピーは、mRNAテンプレートより逆転写酵素反応によって産生されるcDNAであるが、本来のmRNA集団の配列を保持する他の任意の型のコピーは、使用され得る。さらに、異なる供給源(例えば、pPSおよび分化した細胞)由来のポリヌクレオチドコピーは、この二つの集団の間で差示的発現されるコピーが豊富であるライブラリーの産生のために差し引かれる。選択されたポリヌクレオチドコピーは、クローニングベクター中ヘ代表的に操作されるが、ベクター内、宿主細胞内でのこのコピーの再生の任意の方法、または化学的な手段は、等価なものとして理解される。
【0156】
例として、フィーダー細胞なしの培養におけるhES細胞は、コラゲナーゼを用いてマトリックスから分離されるか、遠心によって収集されるか、または適切な溶媒を用いて培養中で直接的に溶解される。総RNAは、標準の技術の適切な組み合わせ(例えば、酸フェノール/クロロホルム抽出、CsClを通した遠心、オリゴdTマトリックスへの結合、など;Sambrookら、前出を参照のこと)によってその細胞から調製する。実施例14に示すように、総RNAは、グアニジウムイソチオシアネートの溶液中で細胞を溶解する工程およびRNeasy(登録商標)スピンカラム(Qiagen Inc.,Valencia CA)のような適切なマトリックスに懸濁液中のRNAを結合する工程によって、収集されたhES細胞から単離され得る(米国特許第5,234,809号)。総RNAは、マトリックスから溶出され、次いでポリA+mRNAが、結合したdC1030オリゴヌクレオチドを有するOligotexTMビーズへ結合されることによって得られる。この結合画分は、低塩緩衝液中に収集され、そしてcDNAライブラリーを調製するのに用いられ得る。
【0157】
種々の方法は、mRNAを二本鎖DNAへ変換するために利用可能である。産生物は、開始mRNA集団をあらわすように設計された一次ライブラリーを含む:サブトラクションライブラリー(一つの集団において優先的に発現するmRNAを濃縮するために、二つ以上の異なるmRNA集団に共通するmRNA種が、最終cDNA調製物において減少されるライブラリー);規格化された(normalized)ライブラリ−(独立したmRNAの相関的存在度が、等しい表示に平均化されるライブラリー);および全長偏向(biased)ライブラリー(cDNAの産生物が、本来のmRNAのコード配列全体を含むcDNAを高頻度に産生するように至適化されるライブラリー)。
【0158】
これらの方法における第一の反応は、代表的には、オリゴdTプライマーまたはランダムヘキサマープライマーによってプライムされた温度依存的な逆転写反応を用いたmRNAの一本鎖cDNAへの任意の変換である。この反応は、商業的供給業者から容易に入手可能な種類の酵素である、逆転写酵素によって触媒される。SuperScript II(登録商標)(Life Technologies Inc.,Bethesda)が、例であり、これは、天然の酵素のRNAseH活性が減少し、それによって全長第一鎖DNAの産生の頻度が増加する逆転写酵素の改変型である。オリゴdTプライマーは、クローニングを容易にする制限エンドヌクレアーゼ認識配列を5’端に組み込むように、代表的には改善される。しばしば、一つのヌクレオチド三リン酸のメチル化型が、第一鎖反応に含まれる。そのため、最終cDNAは、最終産物を制限するのに代表的に用いられる制限エンドヌクレアーゼによる消化から防御される。
【0159】
逆転写酵素反応の一本鎖cDNA産物の二本鎖cDNAへの変換は、いくつかの手段によって達成され得る。代表的には、第一鎖cDNAは、適切なDNAポリメラーゼによる相補的な鎖合成のプライムを許容するように適応する。SMARTTM technology(ClonTech,Palo Alto,CA)は、第一鎖産物の末端の末端シトシン残基からの第二鎖合成をプライムする鎖スイッチオリゴヌクレオチドを利用する。第一鎖cDNA産物を適応させる他の技術は、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを用いたホモポリマー尾部の導入、続いて相補的なホモポリマーによる第二鎖プライミング、または適切なオリゴヌクレオチドの連結、続いて連結したオリゴと相補的なプライマーによる第二鎖プライミングを含む。この後者のアプローチを用いて、連結したオリゴヌクレオチドおよびその相補体は、クローニングを容易にする制限エンドヌクレアーゼ認識配列を含むように設計され得る。
【0160】
一つの例において、RNAse Hの作用が、RNA/DNA二重鎖に切れ目を導入するのに用いられ、次いでこの二重鎖は、E.coli由来のPol1のようなDNAポリメラーゼのプライミング部位に適切になる。この方法は、有効であるが、配列情報が、cDNAの5’端から失われ得る。5’末端(本来のmRNAのポリA+部位と逆の末端)の上にあるプライミングRNAは、引き続く二本鎖cDNAのプロセッシングによって失われる。あるいは、5’配列情報が保存された二本鎖DNAは、オリゴヌクレオチドプライマーと第一鎖cDNAの3’端との連合を含む。この連合反応は、T4RNAリガーゼ(一本鎖オリゴヌクレオチドの末端5’リン酸を第一鎖cDNA産物の3’ヒドロキシルに連結し得る酵素)によって触媒される。用いられたオリゴヌクレオチドは、cDNAへの連合を許容するために5’末端リン酸を提供し、そして自己鎖状体化を防ぐためにアミノ誘導体またはジデオキシ誘導体のような3’ブロッキング基を提供するように合成される。このオリゴヌクレオチドはまた、引き続くベクターへのクローニングに適切な部位を適合させる制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする。第一鎖産物へのオリゴヌクレオチドの連合に引き続き、第二鎖cDNA合成は、熱安定性のポリメラーゼのような適切なDNAポリメラーゼ活性を用いて、連合したオリゴと相補的なオリゴヌクレオチドによってプライミングされる。配列例:第一鎖cDNA連合オリゴ5’P−AGGTC GACGA GAGAG−3’NH−X(配列番号1)、ここではP=リン酸、NH−X=アミンブロッキング基;相補的オリゴ5’OH−CTCTC TCGTC GACCT−OH−3’(配列番号2)、ここでは−OH=ヒドロキシル基。
【0161】
特定の手順が、サンプル中の全長cDNAの比率を増加するのに用いられ得る。この目的に適切なのは、RIKEN Institute、Japanにおいて開発された技術(Carninciら、Methods Enzymol.303:19,1999;Itohら、Genome Res.9:463,1999;国際特許出願WO98/20122も参照のこと)である。mRNAは、ビオチンをそのmRNAの5’末端の7−メチルGキャップ構造に加えることによって適合される。第一鎖cDNAの産物は、すでに記載のように達成され、そしてcDNA/mRNAハイブリッドは、一本鎖mRNAを分解するRNAseIで処理される。全長cDNAとのハイブリダイゼーションによって保護されないmRNAは、加水分解され、一方全長cDNA/mRNAハイブリッドは、残存する。このハイブリッドは、5’キャップのビオチンと結合するストレプトアビジンでコートされたビーズを用いて精製され、そして標準的技術を用いて二本鎖cDNAへ変換される。サンプル中の全長cDNAの結果的な比率は、伝統的方法によって作製されたライブラリーに存在するものよりも、代表的に大いに高い。Life Technologies Inc.(Bethesda,MD)およびSeqwright Inc.(Houston,TX)を含むいくつかの商業ベンダーが、全長偏向cDNAを産生するためのサービスを提供する。
【0162】
サブトラクションライブラリーは、発現レベルが二つのmRNA集団の間で異なる遺伝子の豊富な供給源を提供する。サブトラクションライブラリーを作製するための方法は、以下の工程を代表的に含む:pPS細胞由来のmRNAを (例えば、すでに記載のようにcDNA集団を形成することによって) 増幅する工程;分化した細胞由来のmRNAを増幅する工程;pPS細胞およびその分化した細胞の両方において発現するmRNAから増幅したポリヌクレオチドをクロスハイブリダイズさせる条件下で二つのプールを一緒にインキュベートする工程;次いで、クロスハイブリダイズされなかった増幅したポリヌクレオチドを回収する工程。
【0163】
同様の方法において、サブトラクションライブラリーは、mRNA単離物の他の組み合わせ(例えば、(フィーダー細胞培養から得たpPS細胞)対(フィーダー細胞なしの培養中のpPS細胞);(部分的に分化した細胞対終末分化した細胞);(または二つ以上の異なる系統の分化した細胞の集団))から作製され得る。別の例において、(マトリックスもしくは分化を促進するほかの基質上へのプレーティングによって、またはDMSOもしくはレチノイン酸のような薬剤での処理によって)単層培養において分化したpPS細胞由来のcDNAは、それぞれのコロニーの辺縁に形成する分化した細胞の集団を補正するために、フィーダー細胞なしの培養中で成長するpPS細胞由来のcDNAから差し引かれる。サブトラクションライブラリーはまた、未分化なpPS細胞での発現パターンに対する、化合物または培養条件の変化の効果を確証するために、作製され得る。増幅されたmRNAは、その化合物または条件に曝された細胞から作製され、そしてコントロール細胞から増幅されたmRNAを差し引かれる。したがって、そのライブラリーは、その変化の結果として上方制御または下方制御される転写産物が濃縮される。
【0164】
サブトラクションライブラリーの調製は、以下のように示され得る:二つの独立したmRNAプールが調製され、一つはテスター(tester)そして他方はドライバ(driver)と称する。この例において、これらは適切な形態(しばしば一本鎖cDNA(一つのプールはセンス方向、他方はアンチセンス方向))に変換され、次いでハイブリダイゼーションさせるために混合される。両方のmRNA集団に共通の転写産物は、ハイブリッドを形成し、一方、一つのプールにおいてのみ見出される転写産物、または一つのプールにおいて実質的により高いレベルで発現される転写産物は、ハイブリダイズされずに残存する。次いで、このハイブリッドが、代表的にはクロマトグラフィーのカラムによる分配によってか、またはストレプトアビジン/ビオチンのような特定の生化学的な系を用いた回収によって、取り除かれる。テスターmRNAプールにおいてより高度に発現する遺伝子がこのとき濃縮されている、残存する一本鎖配列は、適切なベクターにクローン化される。サブトラクションライブラリー作製の多くの変化形が、開発された。規準化(normalization)を組み込んだ、サブトラクションハイブリダイゼーションの特徴を結びつけた方法は、市販されている(Suppressive Subtractive Hybridization(SSH),ClonTech,Palo Alto,CA)。
【0165】
(組換え発現ライブラリーの調製)これらの技法により作製された二本鎖cDNAは、種々のクローニングベクター中に操作され得る。適切なベクター系は、細菌宿主におけるクローニングのための細菌プラスミドおよびλバクテリオファージを含む。このcDNAがエンドヌクレアーゼ制限された末端とともに生成されるとき、クローニングは、しばしば、対応して制限されたベクターDNAとの連結により達成される。配列分析のためにプラスミドライブラリーが好適である。なぜなら、個々のクローンが、高スループット精製およびPCR増幅プロトコールによって容易にプロセッシングされ得るからである。
【0166】
本発明の特定の実施形態では、このクローニングベクターはまた、単離されたプラークが、遺伝子産物を得るために細胞中にトランスフェクトされ得るように設計された発現ベクターである。従って、増幅された転写物は、転写および翻訳制御要素の制御下でベクター中に配置される。例えば、プラスミドpCMVSportTM6.0(Life Technologies Inc.、Bethesda MD)は、多重クローニング部位の対向する側面上にSP6およびT7ウイルスRNAポリメラーゼプロモーターを含み、クローン化されたcDNAのセンスまたはアンチセンス鎖の転写を可能にする。同様に、CMVプロモーターカセットは、哺乳動物宿主細胞中に導入されるとき、インビボ転写を与える。従って、このようなベクター中に挿入されたcDNAは、pPS細胞を含む種々の宿主細胞における発現について試験され得る。このベクターはまた、多重クローニング部位に隣接するλファージ付着配列に特徴を持ち、それらを、LifeTechnologies GatewayTMベクターに適合するようにする。このGatewayTM系は、λファージの酵素カクテルおよびE.coli組換え酵素活性の使用により、クローン化配列のベクター間移動を可能にする配列で特異的に改変されているベクターを含む。これは、ベクター間で配列を移動するとき、制限酵素消化を用いる必要性を取り除く。
【0167】
特に重要なのは、多能性幹細胞におけるcDNAの発現について最適化されたライブラリーである。胚細胞におけるメチル化パターンおよびその他の調節制御機構は、大部分のその他の真核細胞型の中で活性である、CMVのようなプロモーターの制御下で遺伝子の転写を抑制し得る。pPS細胞中で活性なハウスキーピング遺伝子のプロモーターが、人工的に導入されたコード領域の転写を制御するために有効であり得ることが発見された。実施例14に示されるように、適切なプロモーターを、試験プロモーター配列、グリーン蛍光タンパク質またはβガラクトシダーゼのようなレポーター遺伝子、および薬物耐性遺伝子を含むレポーター構築物を用いて経験的に選択し得る。適切なプロモーターは、分化に失われる細胞の比率を実質的に増加することなく、レポーター遺伝子の発現を引き起こす特徴を有する。この選択戦略を用い、PGK、EF1α、およびUbiCのプロモーターが、pPS細胞で発現可能なライブラリーの構築に有効であると決定された。
【0168】
(組換え発現ライブラリーの特徴付け)cDNAライブラリーをいくつかの規準により特徴付け得る。cDNA長の単純かつ直接推定は、個々のクローンからのプラスミド調製物を、cDNA挿入物を放出する制限酵素で消化することによりなされ得る。この消化産物は、アガロースゲルを用いる電気泳動によりサイズ分けされ得、そして中間cDNA挿入物長が計算され得る。発現ライブラリーの特定の特徴付けは、個々のcDNAクローンの5’末端から生成された配列を、公開データベース中に見いだされる配列と比較することにより達成され得る。本発明のポリヌクレオチド単離物およびクローン化挿入物は、当該分野の任意の適切な方法を用いて配列決定され得る。例として、自動化DNAシークエンサーを用いて解析されるように蛍光産物を形成するPCRを基礎にする配列決定方法である。プラスミドDNAおよび配列決定プライマーを、蛍光により標識されたジデオキシヌクレオチドトリホスフェートを含むPCR反応条件下で反応させる。得られる反応産物を、ABI 377(Perkin−Elmer Biosystems、Foster CityCA)のような、適切なDNAシークエンサー上で分離する。蛍光シグナルが検出され、生の配列情報に変換され、そして処理される。これらの方法に実質的に基づくDNA配列決定サービスが、Lark Technologies、Houston、TX;およびIncyte Genomics、Palo Alto、CAのような会社から商業的に利用可能である。配列をコードするmRNAのオープンリーディングフレームを得ると、タンパク質遺伝子産物のアミノ酸配列は、通常、このコード配列を遺伝子コードに従って翻訳することによって、さらなる実験なくして決定され得る。
【0169】
配列データは、提示される独立遺伝子の数に基づいて、cDNAライブラリーの多様性の一般的な推定を提供する。例えば、UNIGENEコレクション(National Center for Biotechnology Information;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/UniGene/index.html)に対してcDNA配列を比較することは、大部分の配列について特有のクラスター同定物の割当を可能にする。評価されたcDNAの総数に対して割当られたクラスター同定物の数を比較することにより、クローン多様性の推定が達成され得る。
【0170】
より複雑でないmRNA供給源を提示するライブラリーは、より複雑なmRNA供給源から作製されたライブラリーに比較して、所定の数のcDNAで提示される相対的により少ない独立遺伝子配列を有する。本発明の特定の実施形態では、mRNA調製物、cDNA調製物、およびクローニングベクター中のライブラリーは、pPS細胞またはその分化した子孫においてmRNAレベルで発現される、少なくとも100、1,000、10,000、または50,000もの遺伝子を提示する配列を含む。
【0171】
ライブラリーはまた、それらが単一遺伝子型の細胞からの転写物を含むか否かにより特徴付けられ得る。異なるプラークからの粗配列データを、ヒト配列のデータベース、およびこれもまた存在していると疑われる他の種の配列とマッチされる。ライブラリー中の約1%未満の転写物コピーが、それらがcDNAライブラリーが所望する遺伝子型に由来しなかったことを確立して配列を有する場合、このライブラリーは、その他の種、脊椎動物、哺乳動物、および同じ種の異なる遺伝子型のcDNAが「本質的にない」と呼ばれる。本開示において記載される無フィーダー培養システムを用いて、外来転写物によるpPS細胞ライブラリーの汚染の程度は、フィーダー層上のpPS細胞の最後の培養からの継代の数に依存して0.2%、0.05%、0.01%、または0.001%未満であり得る。
【0172】
cDNAからの5’配列はまた、注釈付き完全長mRNA配列のコレクションと比較して完全長配列を提示するcDNAの比率を決定し得る。この文脈では、完全長配列は、コードされるタンパク質の開始メチオニンコドンを含むものとして規定され得る。例えば、5’配列の読みは、BLASTのような適切なサーチプログラムを用いてREFSEQコレクション(GenBank)と比較され得る。REFSEQエントリーにマッチさせるこれらcDNA配列について、配列アラインメントの評価は、cDNA配列が、REFSEQエントリーによりコードされるタンパク質の開始メチオニンを含むか否かを示し得、そしてそれ故、完全長cDNAの比率が推定され得る。このREFSEQコレクションは、完全長mRNAの推定されたサイズを示すために注釈付きであるので、この分析は、特定サイズのmRNAに対応する完全長cDNAのパーセンテージをさらに決定するために評価され得る。例えば、長さが1kbより大きいmRNAに対応する完全長cDNAのパーセンテージに対して、長さが1kbより小さいmRNAに対応する完全長cDNAのパーセンテージを比較することが可能である。
【0173】
このような産物が誘導される方法に依存して、対応するmRNAの全長コード領域を含むcDNAの比率は、調製物中のポリヌクレオチドまたはベクターの少なくとも15%、30%、そしてしばしば50%であり得る。挿入物の中間長さは、2本鎖cDNA調製物を取得かつ選択するために用いた方法に依存して、少なくとも約0.5kb、1kb、2kb、または4kbであり得る。
【0174】
(発現ライブラリーからの情報の使用)一旦、pPS細胞またはその分化した子孫からのmRNAまたはcDNAの配列が決定されると、それは、このような配列を含むポリヌクレオチド、それらがコードするポリペプチドおよびこのポリペプチドに特異的な抗体の製造に用いられ得る。
【0175】
ポリヌクレオチドは、研究、診断、または治療適用における任意の適切な目的のために核酸化学の技法により製造される。ヌクレオチド配列は改変されて、ネイティブのコード領域のセグメントを除去し、付加的コード配列を付加し、または任意の所望の目的のために変異およびその他の改変を導入し得る。実質的に同一のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドフラグメントが、ストリンジェントな条件下で、pPS細胞またはその分化した子孫からの発現ライブラリー中のcDNAに、ヒトゲノム中に含まれるか、またはその他の細胞型で発現されるその他のヌクレオチド配列に優先してハイブリダイズする。約100塩基対以上のプローブの結合のための高ストリンジェンシーの代表的条件は、2×SSC中65℃のハイブリダイゼーション反応、その後の0.1×SSCにおける繰り返し洗浄である。特定の実施形態では、製造されたポリヌクレオチドのセグメントは、本開示で記載されたように得たcDNAについて決定された配列または配列の一部に少なくとも約80%、90%、95%、または100%同一である。例示の配列と比較された、同一または相同配列中の連続残基の長さは、増加する優先度の順で、少なくとも約15、30、50、75、100、200または500残基であり得る。
【0176】
所望の核酸配列に基づき、ポリヌクレオチドは、任意の適切な技法によって製造され得る。約50塩基対未満のオリゴヌクレオチドが、商業的サービスによるか、またはトリエステル法もしくはホスファイト法のような公知の合成方法によるかのいずれかにより、化学合成により首尾よく調製される。適切な方法は、モノヌクレオシドホスホルアミダイトカップリングユニット(Hiroseら、Tetra.Lett.19:2449−2452、1978:米国特許第4,415,732号)を用いる固相合成である。改変された骨格を持つポリヌクレオチドは、米国特許第5,578,718号;同第5,541,307号;同5,378,825号に記載のように調製され得る。ペプチド核酸の調製は、米国特許第5,539,082号、第5,766,855号、第5,786,461号およびEP出願第97918549.2号に記載されている。
【0177】
あるいは、ポリヌクレオチドは、所望の配列を持つテンプレートを用いてPCR増幅により製造され得る。所望の配列に亘るオリゴヌクレオチドプローブをこのテンプレートにアニールし、DNAポリメラーゼにより伸長し、次いで高温で融解させ、テンプレートと伸長したオリゴヌクレオチドを解離させる。このサイクルを、所望の量の増幅されたポリヌクレオチドが得られるまで繰り返す(米国特許第4,683,195号および第4,683,202号)。適切なテンプレートは、pPS細胞またはその子孫から調製された発現ライブラリー、またはヒトにおいて対応する遺伝子が発現される任意の組織からのライブラリーを含む。大きなポリヌクレオチドの産生スケール量は、所望の配列を適切なクローニングベクター中に挿入すること、およびクローンを再生することか、またはこの配列を適切な宿主細胞中にトランスフェクトすることのいずれかによって首尾よく得られる。ヌクレオチドクローニングのための技法は、Sambrook、Fritsch & Maniatis(前述)中、および米国特許第5,552,524号中に与えられる。ポリヌクレオチドは、供給源に従って適合された、フェノール−クロロホルム抽出、アガロースゲル電気泳動、および当該分野で公知のその他の技法のような、核酸化学における標準的な技法により精製され得る。
【0178】
pPS細胞からのmRNAまたはcDNAの配列データはまた、コード領域に含まれる配列を含むペプチドを製造するために用いられ得る。アミノ酸配列を改変して、セグメントを除去もしくは付加するか、または任意の所望の目的のために変異およびその他の改変を導入し得る。実質的に同一のポリペプチドまたはポリペプチドフラグメントは、ヒトゲノム中に含まれるか、またはその他の細胞型で発現されるその他のヌクレオチド配列に優先して、pPS細胞またはその分化した子孫からの発現ライブラリーのcDNA中にコードされたタンパク質に特異的な抗体によって認識されるエピトープを共有する。特定の実施形態では、ペプチドは、増加する優先度の順で、mRNAまたはcDNA中にコードされるペプチドまたはペプチドフラグメントに、60%、80%、90%、95%または100%同一である。プロトタイプのポリペプチドと比較される同一または相同配列の長さは、全長タンパク質の長さまで、増加する優先度の順に、約7、10、15、25、50または100残基であり得る。
【0179】
ポリペプチドおよびそれらの改変体は、任意の適切な技法により製造され得る。短ポリペプチドは、固相化学合成により調製され得る。固相化学合成の原理は、Dugas & Penney、Bioorganic Chemistry、Springer−Verlag NY 54−92頁(1981)、および米国特許第4,493,795号に見いだされ得る。自動化固相ペプチド合成は、Applied Biosystems、Foster City CAから市販されるPE−Applied Biosystems 430Aペプチド合成機のようなデバイスを用いて実施され得る。
【0180】
より長いポリペプチドは、インビトロ翻訳系における翻訳、または適切な宿主細胞中の発現により首尾よく製造される。発現ベクターを生成するために、所望のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、転写および翻訳のための制御要素に作動可能に連結し、次いで、E.coliのような原核生物、酵母Saccharomyces cerevisiaeのような真核微生物、または昆虫もしくは哺乳動物細胞のような高等真核生物を含む、適切な宿主細胞中にトランスフェクトする。本発明のペプチドを産生するために適切な多くの発現系は、米国特許第5,552,524号に記載されている。発現クローニングが、Lark Technologies、Houston TXのような商業的サービスから利用可能である。産生後、タンパク質は、代表的には、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、またはHPLCを包含し得る、適切な組み合せのタンパク質化学の標準的な方法によって精製される。
【0181】
本発明のmRNAおよびcDNAによりコードされるポリペプチドに特異的なポリクローナルおよびモノクローナル抗体は、発現ライブラリー中のタンパク質コード領域からのアミノ酸配列を決定すること、および決定された配列を含むタンパク質で動物を免疫すること、またはそれを免疫コンピテント細胞または粒子と接触させることにより得られ得る。モノクローナル抗体の産生は、Harrow & Lane(1988)のような標準的な文献、米国特許第4,491,632号、同第4,472,500号および同第4,444,887号、ならびにMethods in Enzymology 73B:3(1981)に記載されている。特異的抗体分子(必要に応じて単鎖可変領域の形態にある)を得る他の方法は、免疫コンピテント細胞またはウイルス粒子のライブラリーを標的抗原と接触させること、およびポジティブに選択されたクローンを成長させることを含む。Marksら、New Eng.J.Med.335:730、1996、国際特許公開WO94/13804、WO92/01047、WO90/02809、およびMcGuinessら、Nature Biotechnol.14:1449、1996を参照のこと。本開示のpPSを用いてポジティブ選択すること、および(分化した胚細胞のような)より広範に分布した抗原を持つ細胞または成体由来幹細胞を用いてネガティブに選択することにより、所望の特異性が得られ得る。
【0182】
本発明のmRNAまたはcDNAから得られた配列データ由来のポリヌクレオチド、ポリペプチド、および抗体は、多くの重要な商業的用途を有する。例えば、pPS細胞で発現されるが、分化の間に減少する遺伝子またはタンパク質は、未分化状態の分子マーカーとして用いられ得る。抗体のような、これらのマーカーに対応する試薬は、免疫アフィニティー単離または補体媒介溶解による分化細胞の集団から未分化pPS細胞を除くために用いられ得る。分化の間に発現レベルが増加する遺伝子またはタンパク質は、同様の様式で、pPS細胞由来の特定の細胞型を精製、濃縮、取り出し、または除去するために用いられ得る。これらのマーカーは、中胚葉、内胚葉または外胚葉系列で発現される遺伝子またはタンパク質のような、広範なクラスの細胞分化の指標として供され得るか、または高度に分化した細胞型の限られたスペクトルの特異的マーカーとして供され得る。
【0183】
発現の間にアップレギュレートされる遺伝子はまた、pPS細胞の特定の系列への分化に影響するために有用である得る。例えば、転写因子、増殖因子、レセプターおよびシグナル伝達分子をコードする導入遺伝子の未分化pPS細胞における強制発現は、特定細胞系列への分化に影響する能力について試験され得る。
【0184】
(多能性幹細胞の遺伝的改変)本開示はまた、一時的または安定な様式のいずれかで、遺伝子的に改変されたpPS細胞を得るための系を提供する。これは多くの目的に所望される。pPS細胞の有望な1つは、研究、診断、および治療目的のための異なる組織型のリザーバーを得る能力である。特定の分化した細胞集団の濃縮を促進するために、分化に影響するか、または未分化細胞の除去を補助する遺伝子を導入することが可能であり得る。遺伝子選択の方法は、例えば、米国特許第5,602,301号、同第5,733,727号、および同第6,015,671号;および国際特許公開WO98/32868、WO99/53022、およびWO99/55841に記載される。
【0185】
特定の実施形態では、本発明は、薬物耐性であるフィーダー細胞の層上にpPS細胞の組成物を提供すること、この組成物中のpPS細胞中にポリヌクレオチドを移入すること;およびフィーダー細胞が耐性である薬物を用いてこの組成物中の遺伝的に改変された細胞を選択することによって遺伝的に改変されたpPS細胞を得る方法を提供する。特定の実施形態では、このポリヌクレオチドは、未分化pPS細胞でコード領域の転写を促進するプロモーターに作動可能に連結されたタンパク質コード領域を含む。他の実施形態では、このポリヌクレオチドは、pPS細胞を分化させることにより産生される1つ以上の細胞型でコード領域の転写を促進するプロモーターに作動可能に連結されたタンパク質コード領域を含む。
【0186】
幹細胞を遺伝子的に改変する他の理由は、テロメラーゼの触媒成分(TERT)のための発現系を提供することによりそれらを不死化すること、またはそうでなければ薬物スクリーニングのようなインビトロ使用のためにそれらを遺伝的に適合させることである。治療適用には、治療遺伝子で細胞を改変するか、または細胞を意図されたレシピエントと組織適合性にすることが有益であり得る。遺伝子改変はまた、分化後のソーティングのための細胞を調製するために用いられる得る。例えば、hES細胞は、OCT−4プロモーターまたはhTERTプロモーターのような未分化細胞に特異的なプロモーターの制御下(WO98/14593)で、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(細胞をガンシクロビル感受性にする)のような薬物感受性遺伝子でトランスフェクトされる。培養物を分化させた後、残存する未分化細胞を、ガンシクロビルを用いてこの集団から除去し得る。
【0187】
pPS細胞を、一時的であるか、または安定かつ細胞が分裂するとき遺伝可能であるかのいずれかである遺伝子改変を可能にする様式で遺伝子的に改変し得ることを発見した。この遺伝子的に改変された細胞は、培養中で未分化多能性形態で維持され得るか、またはそれは、遺伝子改変をなお保持しながら他の細胞型に分化され得る。有効な方法は、hES細胞を、初代フィーダー細胞上で増殖するときに遺伝子的に改変されることを可能にすることを発見した。hES細胞がトランスフェクション前に無フィーダー環境中にプレートされる方法もまた提供され、これは、多くの重要な利点を提供する。
【0188】
細胞中に移入されるポリヌクレオチドは、代表的には、細胞またはその子孫の表現型を所望の様式に変化させる機能を提供する。例えば、それは、未分化hES細胞中、または特定系列の分化細胞中の転写を促進するプロモーターの制御下にあるコード領域を含み得る。それはまた、アンチセンス反応性、三重鎖形成、またはリボザイム作用のような適切な機構により内因性遺伝子発現に影響し得る。
【0189】
hES細胞中にベクタープラスミドを移入する適切な方法は、米国特許第5,578,475号;同第5,627,175号;同第5,705,308号;同第5,744,335号;同第5,976,567号;同第6,020,202号;および同第6,051,429号に記載されるような、脂質/DNA複合体を含む。適切な試薬は、膜濾過水中の、ポリカチオン性脂質2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウム(propanaminium)トリフルオロアセテート(DOSPA)(ケミカルアブストラクツレジストリー名は:N−[2−(2,5−ビス(3−アミノプロピル)アミノ]−1−オキシペンチル(oxpentyl)}アミノ)エチル]−N,N−ジメチル−2,3−ビス(9−オクタデセニルオキシ)−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート)と中性脂質ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)との3:1(w/w)リポソーム処方物である、リポフェクタミンを含む。例示は、処方物Lipofectamine 2000TM(Gibco/Life Technologies #11668019から入手可能)である。他の試薬は以下を含む:FuGENETM 6Transfection Reagent(Roche Diagnostics Corp.#1814443から得られ得る、80%エタノール中の非リポソーム形態の脂質と他化合物のブレンド);およびLipoTAXITMトランスフェクション試薬(Invitrogen Corp.、#204110からの脂質処方物)。
【0190】
安定な遺伝子改変を持つhES細胞を産生するための適切なウイルスベクター系は、アデノウイルスおよびレトロウイルスを基礎にし、そして市販のウイルス成分を用いて調製され得る。
【0191】
多くの適用には、hES細胞の遺伝子改変は、2つの異なる協議事項への注意が必要である:十分に高い効率の遺伝子改変を達成すること、および所望されない経路に沿ってhES細胞の分化を促進しない様式でこの改変を実施することである。種々のトランスフェクションおよび形質導入系のスクリーニング、ならびに反応タイミングおよび反応条件の最適化は、検出可能な標識をコードする領域を持つ発現ベクターを用いる実験で首尾よく実施され得る。特に便利な標識は、ルシフェラーゼ、またはグリーン蛍光タンパク質(GFP)のような本質的蛍光である。この標識はまた、組織病理学で検出され得るか、または酵素反応によって定量化され得る酵素であり得る。例は、アルカリホスファターゼ、およびβガラクトシダーゼを含む。この標識はまた、標識された抗体で染色され、そして例えば、蛍光活性化細胞計数デバイス中で定量され得る細胞表面タンパク質であり得る。一旦、有効な系が同定され、そして最適化されると、次いでこの標識のコード領域は、目的の遺伝子で置換され得る。
【0192】
遺伝子的に改変された細胞を分化についてモニターするために、細胞は、SSEA−4、OCT−4、およびTERTのような、pPS細胞の特徴であるマーカーの発現について試験され得る。トランスフェクション効率は、それによって、未分化表現型を持つ細胞のパーセンテージとして算出され得る。遺伝子的に改変された細胞の多能性はまた、インビトロ(例えば、胚葉体形成による)またはインビボ(奇形腫形成)のいずれかで分化を誘導すること、および産生された細胞型を、遺伝子的に改変されないhES細胞によって産生されたものと比較することにより確認され得る。
【0193】
これらの規準、ならびにGFP含有プラスミドベクターを用いたトランスフェクションおよびSSEA−4の表面発現を追跡することにより、pPS細胞が再プレートされ、そしてベクターを添加する前48時間の間安定化される場合、遺伝子改変の効率が一般に改善され得ると決定された。GFPのようなマーカーのピーク発現は、約24時間後に生じる。
【0194】
遺伝子改変の効率はまれに100%であり、そして、通常、首尾よく改変された細胞について集団を濃縮することが所望される。線維芽細胞フィーダー細胞上でhES培養が用いられる場合、この効率は未分化細胞の5〜20%であり得る。遺伝子的に改変された細胞は、新たな遺伝子型の機能的特徴を利用することにより濃縮され得る。例えば、pPS細胞が、GFPのような標識で、またはNCAMのような免疫染色可能な表面マーカーと共にトランスフェクトされる場合、pPS細胞は、懸濁され、蛍光活性化細胞ソーティングにより分離され、そして再プレートされ得る。読者は、pPS細胞の完全な分離が、通常、分化を促進することに注意する。
【0195】
遺伝子的に改変された細胞を濃縮する特に有効な方法は、ネオマイシンまたはピューロマイシンのような薬物に対する耐性を用いるポジティブ選択である。これを達成するために、細胞は、マーカー遺伝子または目的の遺伝子のためのベクター系、および薬物耐性遺伝子を提供するベクター系と同時に接触させることにより遺伝子的に改変され得る。この混合物中の薬物耐性遺伝子の比率が低い場合(例えば3:1)、大部分の薬物耐性細胞はまた、目的の遺伝子を含む。あるいは、この薬物耐性遺伝子を、目的の遺伝子と同じベクター中に構築し得る。トランスフェクションが生じた後、培養物を対応する薬物で処理し、そして非トランスフェクト細胞を取り除く。不運なことに、hES培養中のフィーダー細胞もまた、通常、この薬物に感受性である。
【0196】
この問題を克服するために、本開示はまた、薬物耐性であるフィーダー細胞を提供する。分化することなくpPS細胞を増殖させるために適切な環境を提供することが知られる細胞は、薬物耐性遺伝子を導入され、次いでフィーダー細胞として作用するそれらの能力について再評価され得る。あるいは、(原発性マウス線維芽細胞のような)フィーダー細胞は、薬物耐性遺伝子についてトランスジェニックとされた非ヒト哺乳動物から作製され得る。このようなマウスは;例えばJackson Laboratoriesから市販されている。このフィーダー細胞はまた、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)、またはSV40ラージT抗原のための発現系で遺伝子的に改変することによって不死化され得る。
【0197】
実施例8は、ハイグロマイシン、ネオマイシン、およびピューロマイシンに対する薬物耐性遺伝子を有し、そしてテロメライズ(telomerize)されたNHG190と称される永久フィーダー細胞株を例示する。驚くべきことに、すべての操作、および遺伝子混乱にかかわらず、細胞はなお、高度に有効なフィーダーであり、分化なしにhES細胞の増殖を支持するマトリックス基質およびコファクターを提供する。NHG190細胞はまた、無フィーダー培養中でhES細胞を支持する馴化培地を作製するために適切である。実施例9は、薬物耐性遺伝子で遺伝的に改変されたhES細胞の長期間選択に、薬物耐性フィーダー細胞がどのように用いられ得るかを例示する。
【0198】
pPS細胞は、それらが無フィーダー培養中で増殖される場合に特に遺伝子改変を受け易いことが発見された(実施例10に示される)。DNA/脂質複合体を用いる一時的トランスフェクションは60%程度と高くあり得る。細胞は操作することが容易であり、そしてベクターに対するシンクとして作用するフィーダー細胞は周囲にない。薬物選択は、薬物耐性フィーダー細胞の利用可能性を必要としない。トランスフェクション後増殖する未分化pPSコロニーの数もまた改善され得る。
【0199】
遺伝子改変および薬物選択(薬物耐性フィーダーまたは無フィーダー培養)後、改変された表現型を示すコロニーを釣り上げ、そしてそれらを別々に培養することが可能である。釣り上げられたコロニーは、25〜100細胞の小クランプに分散され、そして適切な環境に再プレートされる。このセクションおよび本開示の他の箇所で概説される戦略のいくつかまたは全部を用いて、少なくとも約25%、50%、75%、または90%でさえある未分化細胞が、遺伝子的に改変されたpPS細胞の培養を達成することが可能である。
【0200】
(テロメル化された多能性幹細胞およびその誘導体)pPS細胞、線維芽細胞、または他の細胞型の複製する能力を増加させることが所望される場合、適切なベクターを用いて(上記に例証するように)、これらの細胞を遺伝的に変化させることによってそれらはテロメル化(telomerized)され得、その結果、これらの細胞はテロメラーゼ触媒成分(TERT)を発現する。特に適切なものは、ヒトテロメラーゼの触媒成分(hTERT)であり、国際特許公開WO98/14592において提供される。いくつかの適用のために、他のTERT配列が使用され得る(マウスTERTは、WO99/27113において提供される)。
【0201】
代表的には、ベクターは、意図された、分化していない細胞株または分化した細胞株において転写を促進する異種プロモーターの制御下でTERTコード領域を含む。TERTコード領域の発現を駆動し得る配列には、ウイルスLTR、エンハンサー、およびプロモーター(例えば、MPSV、SV40、MoLV、CMV、MSCV、HSV、TK)、真核生物プロモーター(例えば、β−アクチン、ユビキチン、EF1α、およびPGK)、またはそれらの組み合わせ(例えば、β−アクチンプロモーターと組み合わせたCMVエンハンサー)が含まれる。マーカー遺伝子の発現は、TERT遺伝子と同じプロモーターによって、別々の発現カセットとしてか、ポリシストロン性転写物の一部としてか(ここではTERTのコード領域およびマーカー遺伝子は、IRES配列によって分離され、両方の個々のタンパク質が、単一のプロモーターによって駆動される単一の転写物から作られることを可能にする)、または同じカセットの一部(TERTおよびマーカー遺伝子の両方のコード領域との間の融合物、TERTとマーカー遺伝子の両方の機能を提供するタンパク質を産生する)としてのいずれかで駆動され得る。ヒト細胞におけるテロメラーゼのトランスフェクションおよび発現は、Bodnarら、Science 279:349、1998およびJiangら、Nat.Genet.21:111,1999において記載される。
【0202】
テロメル化の前後で、テロメラーゼ活性およびhTERT発現は、標準的な試薬および方法を使用して決定され得る。例えば、pPS細胞は、TRAPアッセイ(Kimら、Science 266:2011,1997;Weinrichら、Nature Genetics 17:498,1997)を使用してテロメラーゼについて評価される。以下のアッセイキットは、研究目的で市販されている:TRAPeze(登録商標)XKテロメラーゼ検出キット(カタログ番号s7707;Intergen Co.,Purchase NY);およびTelo TAGGG テロメラーゼPCR ELISAplus(カタログ番号2,013,89;Roche Diagnostics,Indianapolis IN)。hTERT発現はまた、RT−PCRによってmRNAで評価され得る。以下のアッセイキットは、研究目的で市販されている:LightCycler TeloTAGGG hTERT定量キット(カタログ番号3,012,344;Roche Diagnostics)。
【0203】
細胞を不死化させる他の方法(例えば、SV40ラージT抗原をコードするDNAを用いて細胞を遺伝的に変化させること(米国特許第5,869,243号、国際特許公開WO97/32972)、エプスタイン−バーウイルスを用いる感染、mycまたはrasのようなオンコジーンの導入、アデノウイルスE1aのようなウイルス複製遺伝子の導入、および、所望の表現型を有する細胞を不死化された細胞株と融合すること)もまた、意図される。オンコジーン産物およびオンコウイルス産物を用いるトランスフェクションは、細胞が治療目的のために使用される場合は、より適切ではない。
【0204】
(増殖させたpPS細胞およびその誘導体の他の用途)本明細書の記載は、大量の多能性細胞がフィーダー細胞の必要性なしで商業的に産生され得、次いで前駆細胞または最終分化細胞に分化する方法を提供する。これらの細胞集団は、多くの重要な目的のために使用され得る。
【0205】
(特異的抗体の調製)フィーダー細胞なしで維持されるpPS細胞は、胚マーカー、幹細胞マーカー、生殖細胞マーカー、およびその細胞で発現され得る他の抗原に特異的である抗体を調製するために使用され得る。本明細書の開示で記載される細胞は、このような抗体を惹起する改善された方法を提供する。なぜなら、これらの細胞には、フィーダー細胞由来の抗原が本質的に夾雑していないからである。ポリクローナル抗体は、免疫原性型の本明細書の開示の細胞を脊椎動物に注入することによって調製され得る。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の産生方法は、上記に提供される。本明細書の開示のpPSを使用してポジティブに選択すること、および、より広範に分布する抗原を有する細胞(例えば、分化した胚細胞)または成体由来幹細胞を使用してネガティブに選択することによって、所望の特異性が得られ得る。
【0206】
(増殖因子、分化因子、および医薬のスクリーニング)pPS細胞は、培養中のpPS細胞の特徴に影響を与える因子(例えば、低分子薬物、ペプチド、ポリヌクレオチドなど)または状態(例えば、培養条件または操作)をスクリーニングするために使用され得る。この系は、試験化合物によるフィーダー細胞の摂動によって引き起こされる二次的な効果によって複雑化されない利点を有する。1つの適用において、増殖に影響を与える物質が試験される。馴化培地は、培養から除かれ、そしてより単純な培地(例えば、KO DMEM)が代用される。次いで、異なるウェルが、馴化培地の成分を置換するための候補である可溶性因子の異なるカクテルで処理される。各々の混合物の効力は、処理された細胞が、満足できる様式、最適には馴化培地と同様に、維持および増殖されるか否かについて決定される。強力な分化因子または条件は、試験プロトコールに従って細胞を処置することによって試験され得、次いで処理した細胞が、特定の系統の分化した細胞の機能的特性または表現型特性を発現するか否かを決定する。
【0207】
フィーダー細胞を含まないpPS培養物はまた、薬物探索において薬学的化合物の試験において使用され得る。候補の薬学的化合物の活性の評価は、一般的に、本発明の分化した細胞と候補化合物とを組み合わせること、任意の結果の変化を測定すること、および、次いで、観察された変化を有する化合物の効果を相関付けることを包含する。スクリーニングは、例えば、化合物が特定の細胞型に薬理学的な効果を有するように設計されるためにか、または他で効果を有するように設計された化合物は、意図されない副作用を有し得るためにかのいずれかの理由のためになされ得る。2つ以上の薬物が、可能な薬物−薬物相互作用効果を検出するために、組み合わせて(同時にまたは連続してのいずれかで、細胞と合わせることによって)試験され得る。いくつかの適用において、化合物は、最初に、潜在的な毒性についてスクリーニングされる(Castellら、375−410頁、「In vitro Methods in Pharmaceutical Research」、Academic Press、1997)。細胞毒性は、細胞の生存可能性、生存、形態に対する効果、特定のマーカー、レセプター、または酵素の発現または放出に対する効果、[3H]−チミジンまたはBrdU取り込みによって測定されるDNA合成または修復に対する効果、または分裂中期スプレッドによって決定される姉妹染色分体交換に対する効果によって決定され得る。読者は一般に、標準的な教科書「In vitro Methods in Pharmaceutical Research」、Academic Press、1997、および米国特許第5,030,015号を参照する。
【0208】
(ゲノム研究)本明細書の開示において記載される細胞は、前駆細胞に特徴的な転写物および新規に合成されるタンパク質の発現パターンを同定するために使用され得、そして分化の経路を指図する際に、または細胞間の相互作用を促進する際に補助し得る。目的の細胞集団の発現パターン(例えば、直接的に分化した、または胚様体もしくは特定の系統の細胞を通して分化したヒトPS細胞)は、コントロール細胞株(例えば、未分化のpPS細胞、他の型の前駆細胞、最終分化細胞、または別の種の分化した細胞(例えば、アカゲザルPS細胞))と比較される。
【0209】
タンパク質レベルで発現を比較するための適切な方法には、上記のイムノアッセイまたは免疫細胞化学技術が含まれる。転写レベルで発現を比較するための適切な方法には、mRNAのディファレンシャルディスプレイ法(Liangら、Cancer Res.52:6966,1992)およびマトリックスアレイ発現系(Schenaら、Science 270:467,1995;Eisenら、Methods Enzymol.303:179,1999;Brownら、Nat.Genet.21 補遺 1:33,1999)が含まれる。
【0210】
遺伝子発現の分析におけるマイクロアレイの使用は、Fritzら、Science 288:316,2000;「Microarray BiochipTechnology」M.Schena編、Eaton Publishing Company;「Microarray analysis」、Gwynne & Page,Science(1999年8月6日補遺);Pollackら、Nat.Genet 23:41,1999;Gerholdら、Trends Biochem.Sci.24:168,1999;インターネットURL www.Gene−Chips.com.における「Gene Chips(DNA Microarrays)」,L.Shiによって一般に概説される。マイクロアレイ分析を実行するためのシステムおよび試薬は、Affymetrix,Inc.,Santa Clara CA;Gene Logic Inc.,Columbia MD;HySeq Inc.,Sunnyvale CA;Molecular Dynamics Inc.,Sunnyvale CA;Nanogen,San Diego CA;およびSynteni Inc.,Fremont CA(Incyte Genomics,Palo Alto CAより獲得)のような会社から市販されている。
【0211】
固相アレイは、所望の位置でプローブを合成することによって、またはプローブフラグメントをプレ合成し、次いで固相支持体にそれを結合させることによってのいずれかで、特定の部位にプローブを結合させることによって製造される。種々の固体支持体が使用され得、これらには、ガラス、プラスチック、セラミックス、金属、ゲル、メンブレン、紙、および種々の組成のビーズが含まれる。米国特許第5,445,934号は、オンチップ合成の方法を開示し、ここではガラススライドが、光切断性の保護基を含む化学種で誘導体化される。各部位は、マスクを通しての放射によって連続して脱保護され、次いで光保護基を含むDNAモノマーと反応される。プレ合成されたプローブを固体支持体に結合させるための方法には、吸着、紫外線連結、および共有結合が含まれる。1つの例において、固体支持体は、プローブが結合する活性基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミン基、アルデヒド基、ヒドラジン基、エポキシド基、ブロモアセチル基、マレイミド基、またはチオール基)を有するように修飾される(米国特許第5,474,895号および同第5,514,785号)。
【0212】
プローブアッセイは、代表的には、ハイブリダイゼーション条件のために適切な条件下で目的のヌクレオチド配列を含む可能性のある液体によってアレイを接触させ、次に任意のハイブリッド形成を測定することによって行われる。例えば、サンプル中のmRNAまたはDNAは、適切な標識(例えば、蛍光標識Cy3またはCy5)に結合されたヌクレオチドの存在下で増幅される。条件は、ハイブリダイゼーションが正確な相補性の一致または種々の程度の相同性で生じるように適切に調整される。次いで、アレイは洗浄され、そして結合している核酸は、固相と結合している標識の存在または量を測定することによって決定される。異なるサンプルは、発現の相対量についてアレイ間で比較され得、必要に応じて目的の大部分の細胞において発現される遺伝子(例えば、リボソーム遺伝子またはハウスキーピング遺伝子)を使用してか、または、サンプル中の全ヌクレオチドの比率として標準化される。あるいは、2つ以上の異なる供給源からのサンプルは、異なる標識を有する各供給源から増幅されたポリヌクレオチドを調製することによって同じアレイ上で同時に試験され得る。
【0213】
例示的な方法は、Genetic MicrosystemsアレイジェネレーターおよびAxon GenePixTM Scannerを使用して行われる。マイクロアレイは、96または384ウェル様式で分析されるマーカー配列をコードするcDNAフラグメントを最初に増幅することによって調製される。次いで、cDNAは、スライドあたり5,000よりも高い密度で、スライドガラス上に直接スポットされる。目的の2つの細胞からのmRNA調製物を比較するために、1つの調製物は、Cy3標識されたcDNAに転換されるが、他方は、Cy5標識されたcDNAに転換される。その2つのcDNA調製物は、同時にマイクロアレイスライドにハイブリダイズされ、次いで、非特異性結合を除去するために洗浄される。アレイ上の任意の所定のスポットは、2つのもともとのmRNA調製物中の転写物の豊富さに比例して、cDNA産物の各々に結合する。次いで、そのスライドは、標識の各々に適切な波長でスキャンされ、得られる蛍光が定量され、そしてその結果は、アレイ上のそれぞれのマーカーについてのmRNAの相対的な豊富さの指標を与えるように形式付けられる。
【0214】
本発明の分化した細胞を特徴付けること、およびその細胞に影響を与えることにおける使用のための発現産物を同定することには、第1の細胞型(例えば、多能性前駆細胞、または特定の経路に沿って分化し得る細胞)におけるRNA、タンパク質、または他の遺伝子産物の発現レベルを分析すること;次いでコントロール細胞型における同じ産物の発現レベルを分析すること;2つの細胞型間の相対的な発現レベルを比較すること(代表的には、サンプル中の全タンパク質またはRNAによって標準化されるか、または両方の細胞型において同様のレベルで発現されることが予想される別の遺伝子産物(例えば、ハウスキーピング遺伝子)と比較して);および、次いで比較した発現レベルに基づいて目的の産物を同定すること、を包含する。
【0215】
産物は、代表的には、コントロールと比較して、本発明の分化したpPS細胞において、その相対的発現レベルが、少なくとも約2倍、10倍、または100倍上昇(または抑制)される場合に、目的の産物である。この分析は、必要に応じて、独立した座標軸上で各々の細胞型における発現レベルをマークすることによってコンピューターで補助され得、ここで、各々の座標軸に対するマークの位置は、それぞれの細胞における発現レベルに従い、次いで、マークの位置に基づいて目的の産物を選択する。あるいは、第1の細胞とコントロール細胞との間の発現の差違は、色のスペクトル上で表され得る(例えば、黄色が等価な発現レベルを表し、赤が増大した発現を表し、そして青が抑制された発現を表す場合)。次いで、目的の産物は、目的の1つのマーカーの発現を表す色に基づいて、または複数のマーカーを表す色のパターンに基づいて選択され得る。
【0216】
分化の間の発現レベルの変化を受ける遺伝子およびタンパク質は、多数の目的のために興味深い。例えば、発現がpPS細胞中で高く、そして分化の間に減少する場合、未分化状態の分子マーカーとして使用され得る。これらのマーカーに対応する試薬(例えば、抗体)が使用されて、例えば、免疫アフィニティー単離または補体媒介溶解によって、分化された細胞の集団から未分化のpPS細胞を除去し得る。発現が分化の間増加する場合に、マーカーは、類似の様式において、pPS細胞由来の特定の細胞型を精製、富化、除去、または排除するために使用され得る。これらのマーカーは、細胞分化の広範なクラス(例えば、中胚葉、内胚葉、または外胚葉の系統において発現される遺伝子またはタンパク質)の指標として働き得るか、または、高度に分化した細胞型のマーカーとして働き得る。
【0217】
発現の間に上方制御される遺伝子はまた、pPS細胞の特定の系統への分化に影響を与えるために有用であり得る。例えば、転写因子、増殖因子、レセプター、およびシグナル伝達分子をコードするトランスジーンの未分化pPS細胞での強制的な発現は、特定の細胞系統への分化に影響を与える能力について試験され得る。
【0218】
(治療的組成物)本発明の分化した細胞はまた、その必要のあるヒト患者において組織の再構築または再生のために使用され得る。その細胞は、意図された組織部位にその細胞を移植することを可能にし、そして機能的に欠損している領域を再構成または再生する様式で投与される。
【0219】
1つの例において、神経幹細胞は、処置される疾患に従って、中枢神経系の実質部位またはクモ膜下腔内の部位に直接的に移植される。移植は、1μLあたり25,000〜500,000細胞の密度の単一の細胞懸濁物または小さな凝集物を使用して行われる(米国特許第5,968,829号)。神経細胞移植物の効力は、McDonaldら(Nat.Med.5:1410,1999)によって記載されるように、急性的に損傷した脊髄についてのラットモデルにおいて評価され得る。首尾よい移植は、損傷において2〜5週間後に存在する移植片由来の細胞(星状細胞、稀突起神経膠細胞、および/またはニューロンに分化した)および損傷した末端から脊髄に沿っての移動、ならびに歩行(gate)、協調(coordination)、および重量負荷における改善を示す。
【0220】
心筋細胞の効力は、処置がない場合、左心室壁組織の55%が瘢痕組織になることを引き起こす心臓の低温障害についての動物モデルにおいて評価され得る(Liら、Ann.Thorac.Surg.62:654,1996;Sakaiら、Ann.Thorac.Surg.8:2074,1999、Sakaiら、J.Thorac.Cardiovasc.Surg.118:715,1999)。首尾よい処置は、瘢痕の領域を減少し、瘢痕の拡大を制限し、そして、収縮期の血圧、拡張期の血圧、そして生じた(developed)血圧によって決定されるように、心機能を改善する。心臓傷害はまた、左前空間動脈の遠位の部分において塞栓形成コイルを使用してモデル化され得(Watanabeら、Cell Transplant.7:239,1998)、そして処置の効力は、組織学および心機能によって評価され得る。本発明において具体化される心筋細胞調製物は、心筋を再生するために、そして不十分な心機能を処置するために、治療において使用され得る(米国特許第5,919,449号およびWO99/03973)。
【0221】
肝細胞および肝細胞前駆体は、肝障害を修復する能力についての動物モデルにおいて評価され得る。1つのそのような例は、D−ガラクトサミンの腹腔内注入によって引き起こされる傷害である(Dabevaら、Am.J.Pathol.143:1606,1993)。処置の効力は、肝細胞マーカーについての免疫組織化学的染色、増殖している組織において小管構造が形成されるか否かの顕微鏡的決定、および肝細胞特異的タンパク質の合成を回復させる処置の能力によって決定され得る。肝細胞は、直接的投与によって、または劇症肝不全の後に被験体の肝組織がそれ自体を再生する間に一時的に肝機能を提供する生物補助(bioassist)デバイスの一部として、治療において使用され得る。
【0222】
ヒトまたは獣医学的治療のために有用である本発明に従って調製される細胞は、最適には、薬学的組成物中に供給され得、ヒト投与のために十分に滅菌した条件下で調製される等張性の賦形剤を含む。医薬処方物における一般的な原理について、読者は、以下を参照する:Cell Therapy:Stem Cell Transplantation,Gene Therapy,and Cellular Immunotherapy,G.Morstyn & W.Sheridan編、Cambridge University Press,1996;およびHematopoietic Stem Cell Therapy,E.D.Ball,J.Lister & P.Law,Churchill Livingstone,2000。その組成物は、組織再生、または治療的に重要な代謝機能を回復させることにおける細胞の使用について書かれた説明書とともにパッケージされ得る。
【0223】
以下の実施例は、さらなる例示のために提供され、そして特許請求の範囲に記載される発明の実施におけるいかなる制限も意味されない。
【0224】
【実施例】
(実施例)
(実施例1:hEC細胞のフィーダー細胞を含まない継代)この実験において、初代マウス胚フィーダー細胞上で維持されてきた未分化のhES細胞を収集し、次いでフィーダー細胞の非存在下で維持した。培養物ウェルを、Matrigel(登録商標)でコートし、細胞を、放射した初代線維芽細胞の培養物から得られた馴化栄養培地の存在下で培養した。
【0225】
(初代マウス胚線維芽細胞(mEF)からの馴化培地(CM)の調製)Ca++およびMg++を含まないPBSで一回洗浄すること、および1.5〜2mLのトリプシン/EDTA(Gibco)中で約5分間インキュベートすることによって、T150フラスコから線維芽細胞を収集した。線維芽細胞がフラスコから脱離した後に、それらの細胞をmEF培地(DMEM+10% FBS)中で収集した。細胞に、4000radで照射し(140kVで508秒:Torrexジェネレーターにおいてシェルフ設定6)、計数し、そしてmEF培地中に約55,000細胞cm-2で播種した(525,000細胞/6ウェルプレートの1ウェル)。少なくとも4時間後、6ウェルプレートの9.6cmウェル当たり3〜4mLを使用して、培地をES培地を含むSRで交換した。馴化培地を、hES培養物の給餌のために毎日収集した。あるいは、培地を、培養フラスコ中にプレートしたmEFを使用して調製し、毎日、0.3〜0.4mLcm-2で培地を交換した。hES培養物に添加する前に、馴化培地を、4ng/mLのヒトbFGF(Gibco)で補充した。線維芽細胞培養物を、この系で約1週間使用した。その後新しく調製した細胞で置き換えた。
【0226】
(Matrigel(登録商標)コーティング:)増殖因子を減少させたMatrigel(登録商標)または通常のMatrigel(登録商標)(Becton−Dickinson,Bedford MA)を、4℃で融解した.Matrigel(登録商標)を、冷KO DMEM中で1:10〜1:500(代表的には、1:30)に希釈した。0.75〜1.0mLの溶液を、各9.6cm2ウェルに添加し、そして室温で1時間、または4℃で少なくとも一晩インキュベートした。コートしたウェルを、冷KO DMEMで1回洗浄し、その後細胞を添加した。コーティング後2時間以内にプレートを使用するか、または4℃でDMEM中に保存し、そして約1週間以内に使用した。
【0227】
(ヒトES培養物:)非分化のhESコロニーを、以下のようにフィーダー細胞上のhES培養物から収集した。培養物を、約200U/mLのIV型コラゲナーゼ中で、37℃で5分間インキュベートした。コロニーを、顕微鏡下で、個々のコロニーを20μLのピペットチップを使用して拾い上げることによってか、またはかき取って馴化培地(CM)中で小さなクラスターに解離させることによって収集した。次いで、これらの細胞を、馴化培地中のMatrigel(登録商標)に、各9.6cm2ウェルに対して15コロニーで播種した(1コロニーが約10,000細胞の場合、プレーティング密度は約15,000細胞cm-2)。
【0228】
Matrigel(登録商標)上の播種後の翌日、hES細胞は、小さなコロニー(約100〜2,000細胞)として見えた。そしてコロニー間に、分化しているかまたは死滅している細胞に見える細胞が存在した。hES細胞が増殖するにつれて、コロニーは、非常に大きくなり、そしてぎっしり詰まるようになり、このことは培養ディッシュの表面領域の大部分を表す。コロニー中のhES細胞は、高い核対細胞質比を有し、そしてフィーダー細胞上で維持されるhES細胞に類似の顕著な核小体を有した。コンフルエンスにおいて、コロニー間で分化した細胞は、培養物中の細胞10%未満を表した。
【0229】
播種の6日後、培養物はほぼコンフルエントになった。培養物を、KO DMEM中で、1mLの約200U/mLのIV型コラゲナーゼ溶液とともに、37℃で約5分間インキュベートすることによって分割した。このコラゲナーゼ溶液を吸引し、ウェルあたり2mLのhES培地を添加し、そしてhES細胞を、ピペットを用いてディッシュからこすり取った。細胞懸濁物を、15mLコニカルチューブに移し、6mLの容量までにし、そして、10〜2000細胞の小さなクラスターに細胞を解離させるために穏やかに摩砕した。次いで、この細胞を、上記のように、CM中の、Matrigel(登録商標)コートしたプレート上に再播種した。細胞を、1:3または1:6の比で、およそ90,000〜170,000細胞cm-2で播種し、各ウェルにおける容量を3mLにした。培地を毎日交換し、そして13日目に再度細胞を分割し、そして継代し、そして最初の播種から19日目に再度行う。
【0230】
最初の播種後19日目に、細胞を収集し、そして細胞表面マーカーに特異的な標識された抗体を使用して、免疫蛍光細胞サイトメトリーによって表面マーカー発現について評価した。この実験からの結果は以下の通りである:
【0231】
【表1】
Figure 2003111588
フィーダー細胞の非存在下で維持されるhES細胞について、高い割合がSSEA−4、Tra−1−60、またはTra1−81を発現する。これらの3つのマーカーは、フィーダー細胞上で維持される未分化のヒトES細胞上で発現される(Thomsonら、1998)。さらに、SSEA−1の非常に少ない発現が存在し、これは、未分化のES細胞上では発現しない(か、または、低いレベルで発現する)糖脂質である。SSEA−4、Tra−1−60、およびTra−1−81の免疫細胞化学評価は、これらのマーカーの発現が、ESコロニーに局在し、コロニー間の分化した細胞には局在しないことを示す。
【0232】
フィーダー細胞の非存在下で増殖するhES細胞はさらに、核型(G−バンディング(banding)によって評価される)、OCT−4の発現(PCRによって評価される、未分化のES細胞に付随するPOU転写因子ファミリーのメンバー)、奇形腫を形成する能力(約5×106細胞でのSCID/ベージュマウスへの注射1〜4ヶ月後)、および凍結保存についての適合性(速度制御フリーザーにおいて、10%DMSOおよび20〜30% SRを補充した標準培地中)によって特徴付けられ得る。
【0233】
hES細胞の培養物を、最初の播種後147日間にわたって、増殖能力または表現型の見かけの変化を伴わずに、フィーダー細胞の非存在下で増殖させた。mEF馴化培地中、Matrigel(登録商標)上で維持されるヒトES細胞は、約31〜33時間の倍加時間を有し、mEFフィーダー細胞上で増殖するhES細胞についての増殖速度に類似する。フィーダー細胞を含まない培養物の64時間後のH1細胞は、正常な核型を示した。
【0234】
(実施例2:Matrigel(登録商標)およびラミニンは、hES細胞のフィーダー細胞を含まない増殖を支持する)hES細胞の増殖は、初代マウス胚線維芽細胞(mEF)を使用して馴化された培地中で、異なるマトリックス成分の結果として生じる。
【0235】
hES培養物は、最初に、4ng/mLの組換えヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(hbFGF;Gibco)を補充したES培地(80%ノックアウトDMEM(Gibco BRL,Rockville,MD)、20%ノックアウト血清置換物(Gibco BRL,Rockville,MD)、1% 非必須アミノ酸(Gibco BRL,Rockville,MD)、1mM L−グルタミン(Gibco)、0.1mM β−メルカプトエタノール(Sigma,St.Louis,MO))中で維持されるフィーダー細胞培養物から収集した。培養物を、約200U/mLのIV型コラゲナーゼ中、37℃での約5〜10分間のインキュベーションによって継代した。次いで、コロニーを、顕微鏡下でPipetmanTMを用いて個々のコロニーを除去することによってか、または掻き取ることによって収集し、続いて馴化培地中で小さなクラスターに穏やかに解離させ、次いで、マトリックスコートしたプレートに播種する。
【0236】
採取したhES細胞を、mEF馴化培地中、Matrigel(登録商標)またはゼラチンに播種した。播種の翌日、Matrigel(登録商標)にプレートした細胞をプレートに付着させ、そしてフィーダー層上のhESコロニーよりあまり密集しない小さなコロニーを形成させた。次の数日後になると、コロニーのサイズが大きくなり、そして細胞がより密集した。得られた培養物は、分化した細胞に取り囲まれた、非常に密な未分化のコロニーを含んでいた。
【0237】
播種の約1週間後には培養物はコンフルエントになり、そして継代し得た。対照的に、ゼラチンに播種した細胞は、貧弱な生存を示し、そして生存した細胞は分化したようであった。3つのhES細胞株、H1、H7およびH9を、mEF馴化培地中、Matrigel(登録商標)において培養した。培養物を、100日を超えてES様形態を提示し続けるためのこれらの条件下で維持した。
【0238】
Matrigel(登録商標)の主要成分は、ラミニン、コラーゲンIV型およびヘパリン硫酸プロテオグリカンである。これらの成分がhES細胞培養を支持する能力を別々に試験した。ラミニン、コラーゲンIV型またはフィブロネクチン(全てSigmaから)を、PBS中、それぞれ20μg/ml、10μg/mlおよび5μg/mlの終濃度まで希釈した。
【0239】
ラミニン、フィブロネクチン、またはコラーゲンIV型上に播種したhES細胞は、未分化hES細胞のコロニーを有したが、フィブロネクチンまたはコラーゲンIV型上の培養物は、Matrigel(登録商標)またはラミニン上の培養物ほど多くの未分化コロニーを含んでいなかった。Matrigel(登録商標)またはラミニン上の細胞がコンフルエントに達したとき、コロニー内の細胞は非常に密集した状態になり、フィーダー上で維持された細胞と形態学的に非常に類似し、そして連続的に継代された。40日(6回継代)後、Matrigel(登録商標)およびラミニン上の細胞は、高い割合の、長期の培養期間中にES様形態を提示し続けたコロニーを含んでいた。しかし、フィブロネクチンまたはコラーゲンIV型上で維持した細胞は、適切なES形態を提示するコロニーがより少なかった。コントロールとして、非馴化培地中でMatrigel(登録商標)またはラミニン上で培養した細胞は、よりゆっくりと増殖するようであり、そして数回の継代の後に分化した形態を示した。
【0240】
図1は、フィーダーなしの培養物におけるhES細胞の形態を示す。パネルA(左側)は、非馴化培地(mEF/RM)中のフィーダー細胞上で、mEF馴化培地中のMatrigel(登録商標)、ラミニン、フィブロネクチン、またはコラーゲンIV型上で培養したH1株のhES細胞の形態を示す。パネルBは、実施例11に記載される種々の型の馴化培地中のMatrigel(登録商標)上で維持されたH9株のhES細胞の形態を示す。
【0241】
ラミニンは、脊椎動物における全ての基底層の主要成分であり、これは、細胞膜上のインテグリンヘテロ二量体(例えば、α1β1、α2β1、α3β1、α6β1、およびα6β4)と相互作用し、そして発生の間の細胞増殖および移動を媒介する。これらのインテグリンの中でも、α6β1およびα6β4は、ラミニンに特異的であり;他のインテグリンはまた、他のマトリクスと相互作用する。ラミニンレセプターがhES細胞上で発現されるか否か、およびラミニンまたはMatrigel(登録商標)上で培養しているhESがラミニンレセプターの発現を変化させるか否かを、別の実験で試験した。α1、α2、α3、α6、β1およびβ4を含むインテグリンの発現を、フィーダー上、馴化培地中のMatrigel(登録商標)またはラミニン上で維持した細胞に対してFACS分析により試験した。インテグリン発現を分析するために、ラミニン特異的インテグリン検査キット(Chemicon International,Inc.,Temecula,CA)によりインテグリン特異的抗体のパネルで細胞を染色し、そして以下で記載のようにFACSにより分析した。
【0242】
図1のパネルCは、非馴化培地(mEF/RM)中のフィーダー上、またはMatrigel(登録商標)上、またはmEF馴化培地(CM)中のラミニン上で維持したH1 hES細胞において測定したインテグリン発現を示す。
【0243】
Matrigel(登録商標)/馴化培地中で維持した細胞およびラミニン/馴化培地中で維持した細胞を、以下のように低温保存した:細胞を、10%DMSOおよびさらなる10%SR(計30%)を補充した標準hES培地(馴化培地でない)中で凍結した。細胞を馴化培地中のMatrigel(登録商標)上またはラミニン上で融解した。細胞は、融解後に通常の核型を維持した。
【0244】
mEF馴化培地中のMatrigel(登録商標)上で維持したヒトES細胞は、mEFフィーダー細胞上で増殖したhES細胞の増殖速度と類似して、約31〜33時間の倍加時間(doubling time)を示した。フィーダーなし培養物の64日後のH1細胞は、正常な核型を示した。
【0245】
(実施例3:フィーダーなしの培養におけるhES細胞の表現型マーカー)未分化hES細胞は、SSEA−4、Tra−1−60、Tra−1−81、OCT−4およびhTERTを発現する。フィーダーなしの条件下で維持された細胞がこれらのマーカーを維持したか否かを評価するために、細胞を免疫染色、逆転写酵素PCR増幅、およびテロメラーゼ活性に関するアッセイにより評価した。
【0246】
図2は、FACS分析によるフィーダーなしの細胞における表面マーカー発現を示す。パネルA:非馴化培地(mEF/RM)中のフィーダー上、mEF馴化培地中のMatrigel(登録商標)、ラミニン、フィブロネクチンおよびコラーゲンIV型上で維持されたH1細胞におけるSSEA−4の発現。アイソタイプコントロールを破線で示す。パネルB:異なるマトリクス上で培養したH1細胞におけるSSEA−1、SSEA−4、Tra−1−60およびTra−1−81の平均蛍光強度。パネルC:異なる細胞株に由来する馴化培地中のMatrigel(登録商標)上で培養したH9細胞におけるSSEA−1、SSEA−4、Tra−1−60およびTra−1−81の平均蛍光強度。
【0247】
蛍光活性化セルソーティング(FACS)による分析のために、hES細胞をPBS中0.5mM EDTA中で解離し、そしてPBS中0.1% BSAを含有する50μL希釈液中、約5×105細胞に再懸濁した。表面マーカー発現を分析するために、細胞を、希釈液中に希釈した一次抗体(IgGアイソタイプコントロール(0.5μg/試験)、IgMアイソタイプコントロール(1:10)、SSEA−1(1:10)、SSEA−4(1:20)、Tra−1−60(1:40)およびTra−1−81(1:80)を含む)中で4℃で30分間インキュベートした。希釈液で洗浄した後、細胞を、PEを結合体化したラット抗マウスκ鎖抗体(Becton Dickinson,San Jose,CA)とともに、4℃で30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、そしてFACSCaliburTMフローサイトメーター(Becton Dickinson,San Jose,CA)でCellQuestTMソフトウェアを用いて分析した。
【0248】
フィーダー上のhES細胞に類似して、Matrigel(登録商標)、ラミニン、フィブロネクチンまたはコラーゲンIV型上の細胞は、SSEA−4、Tra−1−60およびTra−1−81を発現した。それらは、SSEA−1(未分化hES細胞により発現されない糖脂質)をほとんど発現しなかった。
【0249】
図3は、組織化学により検出されたマーカー発現を示す。免疫細胞化学による分析のために、細胞を、ノックアウトDMEM中に希釈した一次抗体(SSEA−4(1:20)、Tra−1−60(1:40)およびTra−1−81(1:80)を含む)とともに37℃で30分間インキュベートした。次いで、細胞を温めたノックアウトDMEMで洗浄し、そして2%パラホルムアルデヒド中で15分間固定した。PBSで洗浄した後、細胞を、PBS中の5%ヤギ血清とともにRTで30分間インキュベートし、次いで、FITC結合体化ヤギ抗マウス抗体(1:125)(Sigma)とともにRTで30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、DAPIで染色し、そしてマウントした。細胞をまたアルカリホスファターゼ(未分化ES細胞のマーカー)の発現についても試験した。これは、細胞をチャンバースライド上で培養し、4%パラホルムアルデヒドで15分間固定し、次いで、PBSで洗浄することにより行った。次いで、細胞をアルカリホスファターゼ基質(Vector Laboratories,Inc.,Burlingame,CA)とともに遮光して1時間室温でインキュベートした。スライドを、マウントする前に100%エタノール中で2〜5分間リンスした。
【0250】
結果は、SSEA−4、Tra−1−60、Tra−1−81、およびアルカリホスファターゼがフィーダー上の細胞についてみられるように、Matrigel(登録商標)またはラミニン上のhESコロニーにより発現された(しかし、コロニー中で分化した細胞によってではない)ことを示す。
【0251】
図4は、逆転写酵素PCR増幅により検出されるように、フィーダー上およびフィーダーなしのH1細胞のOCT−4およびhTERT発現を示す。個々の遺伝子産物の放射活性相対量については、QuantumRNATM Alternate 18S Internal Standardプライマー(Ambion,Austin TX,USA)を、製造業者の指示に従って用いた。簡潔には、特定のプライマー対の増幅の線形範囲を決定し、次いで、alternate 18Sプライマー:コンペティマー(competimer)の適切な混合物と同時増幅させて、同時に生じる線形範囲を有するPCR産物を得た。PCR反応物にAmpliTaqTM(Roche)を添加する前に、この酵素を、製造業者の指示に従って、TaqStartTM抗体(ProMega)とともに予めインキュベートした。放射活性PCR反応物を5%非変性ポリアクリルアミドゲルで分析し、乾燥し、そしてホスホイメージスクリーン(MolecularDynamics)に1時間曝した。スクリーンをMolecular Dynamics Storm 860でスキャンし、そしてバンド強度をImageQuantTMソフトウェアを用いて定量した。結果を、hTERTまたはOCT−4バンドに組み込まれた放射活性の割合として表し、18Sバンドに組み込まれた放射活性に対して標準化した。
【0252】
特定のマーカーについてのプライマーおよび増幅条件は、以下のとおりである。OCT−4:センス(配列番号3)5’CTTGCTGCAG AAGTGGGTGG AGGAA−3’;アンチセンス(配列番号4)5’−CTGCAGTGTG GGTTTCGGGC A−3’;alternate 18:コンペティマー1:4;19サイクル(94℃30秒;60℃30秒;72℃30秒)、hTERT:センス(配列番号5)5’−CGGAAGAGTG TCTGGAGCAA−3’;アンチセンス(配列番号6)5’−GGATGAAGCGGAGTCTGGA−3’;alternate 18:コンペティマー1:12;34サイクル(94℃30秒;60℃30秒;72℃30秒)。
【0253】
転写因子OCT−4は、通常、未分化hES細胞において発現され、そして分化の際にダウンレギュレートされる。この実験において、馴化培地(CM)中のMatrigel(登録商標)またはラミニン上で21日間維持された細胞は、OCT−4を発現したのに対し、非馴化通常培地(RM)中のMatrigel(登録商標)中で維持された細胞は発現しなかったことが見出された。フィブロネクチンまたはコラーゲンIV型上で維持された細胞(これは、大きな程度の分化を示す)は、フィーダー、Matrigel(登録商標)またはラミニン上の細胞と比較して、より低レベルのOCT−4を発現した。
【0254】
hTERTおよびOCT−4発現は、Matrigel(登録商標)および通常培地を除く培養条件全てにおいてみられた。さらに、細胞をレチノイン酸(RA)またはジメチルスルホキシド(DMSO)(これらは、細胞分化を促進する因子である)に曝した後、hTERTの発現は顕著に減少した。
【0255】
図5は、TRAPアッセイにより測定されるテロメラーゼ活性を示す(Kimら、Science 266:2011,1997;Weinrichら、Nature Genetics 17:498,1997)。培養条件全てがmEF馴化培地中のMatrigel(登録商標)、ラミニン、フィブロネクチンまたはコラーゲンIV型上で40日後に陽性のテロメラーゼ活性を示した。
【0256】
(実施例4:インビトロおよびインビボ分化)インビトロ分化を、Matrigel(登録商標)、ラミニン、フィブロネクチンまたはコラーゲンIVで馴化培地中26日間維持したH1 hES細胞において誘導した。hES細胞を、約200U/mlコラゲナーゼIV中で37℃で10分間インキュベートすることによって小塊に解離し、そしてDMEM、20% FBS(Hyclone)、1mM グルタミン、0.1mM βメルカプトエタノール、および0.1mM 可欠アミノ酸(Gibco)を含む培地中で懸濁培養して、胚様体(EB)を形成させた。懸濁して4日後、凝集物をポリオルニチンコーティングプレート上に移し、そしてさらに7日間培養した。次いで、この培養物を収縮する細胞の存在について試験し、そして免疫細胞化学のために処理した。
【0257】
図6は、これらの細胞の免疫細胞化学分析の結果を示す。染色パターンは、ニューロンおよび心筋細胞系列(それぞれ、βチューブリンIIIおよび心臓トロポニンI)の細胞と一致した。分化の約8日後、収縮する領域を全ての培養物で同定した。α−フェトプロテイン(内胚葉系列のマーカー)についてもまた細胞を染色した。
【0258】
hES細胞を、SCIDマウスへの筋肉内注射により奇形種を形成する能力についてもまた試験した。フィーダー上またはフィーダーなしで維持した細胞を採取し、PBS中に再懸濁し、そしてSCID/ベージュマウスに筋肉内注射した(5×106細胞/部位)。腫瘍を切除し、そして組織学的分析のために処理した。フィーダーなしの培養物に由来するhES細胞は腫瘍を生成し、これを切除し、そして78〜84日後に組織学的分析のために処理した。
【0259】
図7は、mEFフィーダー細胞で維持したH7細胞(A)またはフィーダーなし培養物(B)に由来する奇形種の組織病理を示す。ムチン上皮成分、軟骨および神経組織は、フィーダー上で培養したhES細胞に由来する奇形種で観察された。嚢胞性上皮構造、おそらく歯科成分、軟骨および腺上皮または神経成分は、フィーダーなしのhES培養物に由来する奇形種において見出された。
【0260】
(実施例5:hES細胞の直接分化)凝集物形成の標準的方法を用いる分化を、本発明の技術と比較した。ここで、特定の条件下で固体表面に直接プレートすることにより細胞を分化させた。
【0261】
凝集物分化技術のために、アカゲザルおよびヒトのES株の単層培養物をコラゲナーゼIV中で5〜20分間インキュベートすることにより採取し、そしてこれらの細胞をプレートから掻き取った。次いで、これらの細胞を解離し、そして0.1mM 可欠アミノ酸、1mM グルタミン、0.1mM βメルカプトエタノールを補充したFBS含有培地(20% 熱非働化していないFBS(Hyclone))中、非接着性細胞培養プレートにプレートした。EBに、一日おきに1ウェル(6ウェルプレート)あたり2mlの培地を添加して供給した。培地の容積が4ml/ウェルを超えたときに、EBを採取し、そして新鮮な培地に再懸濁した。プレートを37℃のインキュベーター中に入れ、そしていくつかの場合には、振盪機(rocker)を用いて、懸濁物中の凝集物の維持を容易にした。懸濁して4〜8日後、凝集体が形成され、そしてさらに分化させるために基板上にプレートした。
【0262】
直接分化技術のために、アカゲザルおよびヒトのES細胞の懸濁物を同様の様式で調製した。次いで、細胞を約50〜100細胞の塊に砕くこと(trituration)により解離し、そしてポリオルニチンで処理したガラスのカバースリップ上にプレートした。細胞を、血清含有培地中、または分析の7〜10日間前に規定された培地で維持した。細胞を、ニューロン、およびグリア線維酸性タンパク質(GFAP)に特徴的であり、星状細胞に特徴的であるβチューブリンIIIおよびMAP−2についての免疫反応性により試験した。
【0263】
6つの異なるES株は、凝集物または直接分化技術のいずれかを用いて、ニューロンおよび星状細胞についてのマーカーを有する細胞に分化した。アカゲザルES細胞に由来する培養物において、ニューロンを含有した凝集物のパーセンテージは、49〜93%であった。ヒトES細胞に由来する培養物において、ニューロンを含有した凝集物のパーセンテージは、60〜80%であった。GABAおよびβ−チューブリンについての二重標識により、ニューロンの亜集団が阻害性神経伝達物質GABAを発現することが示された。星状細胞およびオリゴ樹状細胞(oligodendrocyte)を、それぞれGFAP免疫反応性およびGalC免疫反応性で同定した。従って、ヒトおよびアカゲザルのES細胞は、中枢神経系における3つの主要な細胞表現型全てを形成する能力を有する。
【0264】
ニューロトロフィン増殖因子ファミリーのいくつかのメンバーの効果を試験した。hES細胞を、コラゲナーゼを用いて採取し、解離し、そしてポリオルニチンコーティングしたカバースリップに再播種することにより分化させた。細胞を、DMEM/F12+N2+10%FBS中に一晩入れた。翌日、血清を培地から除去し、そして試験される10ng/ml ヒトbFGFおよび増殖因子と置換した。24時間後、bFGFを培地から取り出した。これらの培養物に、一日おきに補給した。これらを、分化の7日後に固定し、そして分析のために免疫染色した。ニューロン数をβチューブリンについて陽性の細胞を計数することにより評価した。10ng/mLの脳由来神経栄養因子(BDNF)の存在下で維持した培養物は、コントロール培養物より約3倍多いニューロンを形成した。ニューロトロフィン−3(1ng/ml)中で維持した培養物は、コントロール培養物より約2倍を超えるニューロンを形成した。
【0265】
心筋形成を評価するために、EBを懸濁培養の4日後、ゼラチンコーティングプレートまたはチャンバースライドに移した。播種後に表面に接着したEBを、増殖させ、そして異なる型の細胞に分化させた。自律的に収縮する細胞を、分化8日目に培養物の種々の領域で観察した。そして拍動する領域の数は、約10日目まで増加した。いくつかの場合において、EBの75%超が、収縮領域を有した。収縮する細胞は、形態的に、マウスES細胞由来の拍動する心筋に類似していた。これらの培養物において、収縮する領域の100%が心臓トロポニンI(cTnI)と免疫反応性であるが、最小限の免疫反応性が、拍動しない細胞において観察された。
【0266】
分化したEBの培養物を、cTnIに対するモノクローナル抗体を用いてウェスタンブロット分析に供した。このアッセイは、精製ネイティブヒトcTnIのサイズに対応する、強い31kDaタンパク質シグナルを与えた。これは、収縮する細胞を含む分化したヒトES細胞においては検出されたが、未分化ES細胞でも分化培養物でも検出されず、収縮する細胞の証拠がなかった。コントロールとして、このブロットは、βアクチン特異的抗体で再プローブし、全てのサンプルにおいて同様の量のタンパク質が存在したことを確認した。
【0267】
他の実験において、EBを8〜16日間培養し、そしてさらに10日間接着性培養物として維持した。RNAを分化したヒトES細胞から調製し、そして半定量的なRT−PCRを行って、内胚葉特異的産物であるα1アンチトリプシン、AFP、およびアルブミンの相対的発現を検出した。低レベルのα1アンチトリプシンおよびAFPを、未分化培養物において検出した;同じ培養物においてアルブミンはほとんどまたは全く検出されなかった。3つのマーカー全てが、分化後に有意に高いレベルで検出された。3つの内胚葉マーカー全ての発現は、16日目の胚様体よりも8日目の胚様体由来の培養物においてより高かった。
【0268】
(実施例6:未分化細胞および分化細胞による発現のマイクロアレイ分析)異なる遺伝子発現の分析を、未分化H9培養物由来のmRNAと、対応するEB由来のmRNAとを対比することにより行った。EBを増殖培地中で8日間維持するか、または増殖培地中で4日間維持し、次いで、0.5μM レチノイン酸で4日間処理した。EBを2日後、4日後または8日後に採取し、そして得られたmRNAを未分化培養物由来のmRNAと直接比較した。この分析は、比較的均質な細胞集団の、分化した細胞型の複雑な混合物への形質転換を追跡し、従って、読み出しは、遺伝子発現における変化の大きさ、および分化した細胞型に特異的な発現の変化の場合には、培養物におけるその細胞型の再提示の両方により影響が及ぼされる。これらの実験サンプル約10,000 cDNAにおいて使用されるアレイを選択して、特徴付けられたヒト遺伝子の大部分を表した。
【0269】
総RNAを、Qiagen RNAeasyTMミニプレップキットを用いて製造業者の指示に従ってヒトES培養物またはそれらの分化した誘導体から採取した。260nmでの紫外線吸収を測定することによりRNAを定量した。ポリA+mRNAを、Qiagen OligotexTMミニプレップを用いて製造業者の指示に従って総RNA調製物から調製した。最終的なmRNA調製物は、A260測定値により定量し、次いで、ネイティブアガロースゲル上での電気泳動後に目視検査した。サンプルRNAを、Cy3またはCy5標識cDNAプローブへ転換するために契約実験室(Incyte Pharmaceuticals,Palo Alto,CA)に送り、このプローブを、引き続きUNIGEM1.0アレイにハイブリダイズさせた。
【0270】
ハイブリダイズしたアレイの処理後に、蛍光測定値を定量し、そして結果を分析に返した。プローブ対形成を、Cy3チャネルの存在下で未分化ES細胞からのサンプルを用いて行い、そして分化したES細胞サンプルは、Cy5チャネルの存在下で行った。発現の変化(Cy3およびCy5チャネルを比較することにより測定される)は、一般に、差異が少なくとも2.5倍であったか否かを有意とみなした。
【0271】
hES細胞の分化は、多くの遺伝子(公知の機能を有さないESTを含む)の活性化および抑制に関与する。興味深いことに、分化の最後の4日間にわたるレチノイン酸の懸濁培養物への添加は、遺伝子発現パターンに対して比較的微少な効果を有した(4d−/4d+と8dとを比較のこと)。
【0272】
発現が分化の間に減少される遺伝子は、広範な機能をサンプリングする(メタロチオネイン、増殖因子(例えば、FGF9)、分泌型システインリッチタンパク質(例えば、オステオポンチン、AGF−BP5、Cyr61、結合組織増殖因子)、セレンドナータンパク質selDなどが挙げられる)。一般に、発現における最も有意な改変は、懸濁培養の4日後に生じ、そして細胞形態の変化の発生と一致する。興味深いことに、D−グルコースリン酸の異化に関与する2つの遺伝子(UDP−グルコースホスホリラーゼおよびホスホグルコムターゼ)の発現は、分化の際に劇的に減少し、このことは、グルコース代謝における潜在的な改変を示唆する。
【0273】
これらの実験において使用したアレイは、hTERTに対応するcDNAの特徴を含んでいない;しかし、TRF1についてのmRNAの発現の顕著な減少が観察された。TRF1は、基本的なテロメア結合因子であり、その発現は、テロメアの長さの短縮化と相関している。従って、テロメアの長さの正のレギュレーター(hTERT)および負のレギュレーター(TRF1)の両方の発現は、ES細胞の分化の間に減少した。
【0274】
内臓内胚葉および初期の肝臓分化と関連するいくつかの遺伝子は、この分析において顕著であった。これらの遺伝子は、α−フェトプロテイン、アポリポタンパク質A−II、アポリポタンパク質AI調節タンパク質−1、α1−アンチトリプシンならびにフィブリノーゲンのα、βおよびγ鎖を含む。この誘導は、分化の2日以内に明白になり、そしてレチノイド処置によって実質的に影響を及ぼされない。細胞性レチノイン酸結合タンパク質1および2(CRABP I、II)の発現の誘導は、レチノイドがCRAB I遺伝子のプロモーターの転写を特異的に阻害する、提唱された負のフィードバックループと一致して、レチノイド処理培養物においては観察されない。
【0275】
IL−6レセプターgp130の発現は、hES培養物において低く、そして分化の際に誘導される。これらの結果は、hES培養物におけるLIF応答性の欠如に関する分子的基礎を提供し(Thomsonら、1999;Reubinoffら、2000)、そしてマウスES細胞に対して、ヒトES細胞におけるgp130の実質的に異なる役割を示す。ここで、LIFシグナル伝達は、未分化状態の維持を直接的に意味する。
【0276】
他の分化誘導性遺伝子としては、タンパク質ホモログであるプレイオトロフィンおよびミッドカインが挙げられる。これらの分泌サイトカインは、ニューロン細胞型および肝臓細胞型のマイトジェンとして、または全身的な脈管形成因子としての役割が提唱された(Owadaら、1999;Satoら、1999)。このようにして、ES細胞分化において類似の役割が果たされ得る。DNA結合タンパク質(例えば、ホメオボックスb5タンパク質およびmeis1)の誘導は、分化プロセスにおいて転写調節因子の中心的な役割を反映するようである。
【0277】
(実施例7:初代mEFフィーダー層上で維持されたhES細胞の遺伝子改変)この実施例は、既に記載したように、初代mEF上で増殖させたhES細胞へ遺伝子改変を導入するための条件を提供する。トランスフェクトする前に、hES細胞をコラゲナーゼ(約200ユニット/mL)を用いてフィーダー層からはずし、18mlの最終容量で懸濁し、そしてゼラチンおよび初代mEFフィーダー細胞で予めコーティングした6ウェルプレート中、3ml/ウェルでプレートした。
【0278】
次いで、再プレートした細胞を異なるトランスフェクション系で試験した。これらのトランスフェクション系としては以下が挙げられる:MammalianTransfection Kit(CaPO4およびDEAE試薬)、Stratagene cat#200285;TransIT−LT1 Mirus(Panvera)、cat# MIR 2310;ポリブレン(Sigma);ポリ−L−リジン(Sigma);SuperfectTM(Qiagen);EffecteneTM(Qiagen);LipofectinTM(LifeTechnologies);Lipofectamine(Lipofectamine 2000TMとは異なる)(Life Technologies);CellfectinTM(Life Technologies);DMRIE−C(Life Technologies);Lipofectamine 2000(Life Technologies);およびBioRadTMGene Pulserを用いたエレクトロポレーション。
【0279】
使用した条件下で、Lipofectamine 2000TM(GibcoLife technologies cat#11668019,特許係属中)およびFuGENETM(Fugent L.L.C.の登録商標;脂質および他の成分の専売ブレンド(proprietary blend)であり、Roche Diagnostic Corporation cat#1 814443から購入した)の両方が、良好なトランスフェクション効率を生じた。この効率は、これらの試薬を、再プレートした後、約48時間にわたり再プレーとしたhES細胞と接触させた場合、概して最良であった。
【0280】
Lipofectamine 2000TMを用いるトランスフェクションを、以下のように行った:プラスミドDNA(3〜5μgのpEGFP−C1、ClonTech cat.#6084−1)を水で100μlの最終容量に希釈した。予備実験において、5〜30μlのLipofectamine 2000TM(Gibco,cat#11668−019)をOptiMEMTM(Gibco,cat#11−58−021)で100μlの最終容量まで希釈した。次いで、DNA溶液をLipofectamine 2000TM溶液にゆっくりと添加し、そして穏やかに混合した。この混合物を、800μlのOptiMEMTMを補充する前に、室温で20〜30分間インキュベートした。細胞を3mlの予め温めておいたOptiMEMTMで洗浄し、そしてウェルあたり(9.6cm2)、0.5〜1mlのDNA/脂質混合溶液中、37℃で4時間インキュベートした。いくつかの実験においては、4mlのmEF馴化培地を添加する前に、4時間で複合体を取り出した;他では、十分なmEF馴化培地を、3.5mlの最終容量に達するまでウェルに添加し、そしてこの混合物を細胞上に一晩放置した。他の実験では、DNA:脂質混合物を、3.5mlの最終容量になるように、十分なmEF馴化培地を含むウェルに添加し、そして細胞をこの混合物中で一晩インキュベートした。
【0281】
FuGENETMを用いるトランスフェクションを、以下の通りに行った。各ウェルを、FuGENETM 6(Roche Diagnostics Corp.)を用いて、製造業者の指示書に記載されるようにFuGENETM試薬のDNAに対する比を3:2として、10μgのDNAでトランスフェクトした。OptiMEMTM無血清培地をトランスフェクションに用いた。「古いプロトコル」では、FuGENETM−DNA複合体の添加の4時間後、2.5mLの標準的なhES培地を、各トランスフェクトしたウェルに添加した。改定されたプロトコル(「3:2L」)では、トランスフェクトしたウェルには、標準的なhES培地を供給しなかった。トランスフェクションの24時間後、GFP−発現を、フローサイトメトリーによって評価した。
【0282】
トランスフェクションの48時間前に、hES細胞を、ゼラチンおよびmEFフィーダー層で上記のようにコーティングした6ウェルプレートに播種した。hES細胞を、FuGENETM 6(Roche)またはLipofectamine 2000TM(Gibco)を製造業者の説明書に従って用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を、蛍光顕微鏡またはフローサイトメトリーの下で目視によってGFP発現について評価した。図1に示す実験では、3つの方法(標準的なLipofectamine 2000TMプロトコル、標準的なFuGENETMプロトコル、およびDNA/脂質混合物を細胞とともに一晩放置する改変FuGENETMプロトコル)を比較した。この結果は、Lipofectamine 2000TMは高い百分率のGFP発現細胞を一貫して生じたが、改変FuGENETMプロトコルは、より高い平均蛍光強度を有するGFP発現細胞を生じたことを実証した。
【0283】
アデノウイルスベクターを用いる一過性の形質導入を以下の通りに行った。ベクターAd5CMV5−GFP(本明細書ではAd5GFPと呼ぶ)は、CMVプロモーターの制御下のグリーン蛍光タンパク質コード領域を含む。このベクターを、Quantum Biotechnologies、カタログ番号ADV0030から購入した。形質導入の72時間前に、hES細胞を、ゼラチンおよびmEFフィーダー層で上記の通りにコーティングした24ウェルプレートに播種した。形質導入前に、3ウェルのhES細胞を、0.05%トリプシン/5mM EDTA(Sigma)を37°で用いて剥離させ、500μLの標準的なmEF増殖培地に再懸濁し、そして血球計算板(75,000個のmEFフィーダー細胞を、各ウェルから差し引いた)で計数して、トランスフェクション前の細胞数を樹立した。アデノウイルスのストックを、使用直前に氷上で融解した。
【0284】
Ad5GFPを用いた感染については、増殖培地を、hES細胞を含むウェルから吸引し、そして1mLのhES培地+9μLのAd5 GFPストックで置き換えた(40のMOI)。2時間後、ウイルス含有培地を、1ウェルあたり1mLのhES培地で置き換えた。各形質導入したウェルに、1mLの新鮮hES培地を24時間毎に再度供給した。GFP発現を、フローサイトメトリーによって評価した。代表的な実験からの結果は、発現が、形質導入の24時間後に最も高いが、少なくとも8日間は低レベルで維持されたことを示した(より後の時点では、hES細胞の過剰増殖に起因して大量の分化が引き起こされた)。
【0285】
図8は、フィーダー層にプレートし、そしてアデノウイルスベクターAd5GFP(30のMOI)またはレトロウイルスベクターGRN354(40のMOI、実施例9)のいずれかに48時間後に感染させたhES細胞のFACS分析を示す。それぞれ24時間後または48時間後、細胞を回収し、幹細胞マーカーSSEA−4に対する抗体を用いて染色し、そしてGFP発現についてフローサイトメトリーによって評価した。上のパネルは、偽感染培養物におけるバックグラウンド蛍光およびSSEA−4ポジティブ染色を示す。下のパネルは、GFPの発現から生じるグリーン蛍光のレベルを示す。
【0286】
(実施例8:不死化フィーダー細胞の調製)初代マウス胚性線維芽細胞(Robertson,前出)を、遺伝子を変更してヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)を発現することによって不死化し得る。この線維芽細胞(mEF)を、MoLV LTRによって駆動されるhTERTコード配列およびSV40初期プロモーターによって駆動されるピューロマイシン耐性遺伝子を含むレトロウイルス構築物pBABE puro hTERTに感染させる。初代mEFの単離株を、10%ウシ胎児血清(HyClone)、2mMグルタミン(Gibco/BRL)、および90% 高グルコースDMEM(Gibco/BRL)を含む増殖培地中で培養する。mEFを、3日毎に1:2の比で分ける。
【0287】
このように4回分けた後、5×105mEFを、100mMディッシュにプレートする。翌日、細胞を、増殖培地を、5mLのレトロウイルスストック(1×106pfu/mL)および4μg/mLポリブレンを含む混合物と交換することによって感染させ、そして37℃でインキュベートする。8時間後、さらに5mLのレトロウイルス/ポリブレン混合物を添加し、そして細胞を37℃にてインキュベートする。
【0288】
翌日、レトロウイルス/ポリブレン混合物を取り出し、そして新鮮な増殖培地と置き換える。4時間後、mEfを、0.5%トリプシン/500mM EDTA(Gibco/BRL)を用いてプレートから取り出し、そして25mLの増殖培地/フラスコにおいて2本のT150フラスコ中に再度プレートする。翌日、この培地を、0.5μg/mLピューロマイシンを補充した増殖培地で置き換ええる。
【0289】
細胞を、1週間に1回、1:4の比で8週間にわたって分け、そしてピューロマイシン含有培地中で維持する。8週間後、細胞をトリプシン処理し、そして150mmプレートあたり2,000細胞の密度で再度プレートする。個々のコロニーを、26日後にクローングシリンダーを用いて単離し、増殖させ、そしてテロメラーゼ活性についてスクリーニングする。
【0290】
(マウスフィーダー細胞株NH190)霊長類の多能性幹(pPS)細胞の培養のための馴化培地に適切である、永続的なマウス細胞株を樹立した。NHG190株は、三重薬物耐性であり、グリーン蛍光タンパク質(GFP)を発現する、テロメラーゼを用いて不死化されたマウス胚線維芽細胞株である。
【0291】
2つのマウス株を、抗生物質ネオマイシンまたはハイグロマイシンに対する耐性についての導入遺伝子を有するJackson Laboratory(Bar Harbor,Maine)から入手した。Jackson LabsからのC57BL/6J TgN(pPGKneobpA)3EmsマウスおよびC57BL/6J−TgN(pPWL512hyg)1Emsマウスを交雑した。ネオマイシン耐性およびハイグロマイシン耐性の両方である胚を、受胎後13.5日で、フィーダー層のためにマウス胚性線維芽細胞(mEF)を調製するための標準的なプロトコル(E.J.Robertson,71−112頁、Teratocarcinoma and Embryonic Stem CellLines,E.J.Robertson編,Oxford:IRL Press,1987)に従って切開した。誘導されたmEF細胞を、凍結保存した。
【0292】
mEFを、20%ウシ胎児血清(HyClone)、2mM L−グルタミン(Gibco/BRL)、80% DMEM(Gibco/BRL)を含む増殖培地中で融解した。この細胞を4継代の間1:2の分割比を用いて増殖させた。約75%コンフルエンスに達した2本のフラスコに、エレクトロポレーションの4時間前に新鮮な培地を供給した。0.5%トリプシン/500mM EDTA(Gibco/BRL)を有する細胞をフラスコから取り出し、室温で400×gにて5分間によってペレット化し、そして4×106細胞/mLの濃度で増殖培地中に再懸濁した。
【0293】
細胞懸濁物を、2つの500μLアリコートにわけ、そして2つの0.4cmのギャップエレクトロポレーションキュベット(BioRad)に移した。1つのキュベットには5μgのコントロールプラスミド(pBS212;SV40初期エンハンサー/プロモーターによって駆動されるピューロマイシン耐性遺伝子)を入れる;他方のものには、5μgのpGRN190を入れた。pGRN190は、MPSVプロモーターによって駆動されるマウステロメラーゼ逆転写酵素(mTERT)コード領域+SV40初期エンハンサー/プロモーターによって駆動されるピューロマイシン耐性遺伝子を含む。細胞およびDNAを、手動で混合し、そしてBioRadキャパシタンスエキステンダーを300V、960μFに設定して、BioRad gene Pulserを用いてエレクトロポレーションした。
【0294】
細胞の各アリコートを、25mLの増殖培地を含む個々の150cmのプレートに移した。このプレート上の培地を、翌日交換し、そしてその次の日、増殖培地を、増殖培地+0.5μg/mLピューロマイシンによって置換した。このプレート上の培地を、エレクトロポレーション後29日目になるまで48時間毎に新鮮なピューロマイシン含有培地に交換した。この時点で、ピューロマイシン耐性細胞の大きな個々のコロニーは、pBS212をエレクトロポレーションしたプレートおよびpGRN190をエレクトロポレーションしたプレートの両方において明らかであった。コントロールプレートからの10個のコロニーおよびpGRN190をエレクトロポレーションしたプレートからの12個のコロニーを、クローニングシリンダーを用いて単離し、そして各コロニーを、48ウェルプレートの1ウェルに移した(1コロニーあたり1ウェル)。
【0295】
1週間後、48ウェルプレート中でコンフルエンスに達するまで増殖させた、全ての生存コロニー(3つのコントロールのコロニー、1個のpGRN190をエレクトロポレーションしたコロニー)を、24ウェルプレートのウェルに個々に移した。6日後、増殖し続けた唯一のコロニーは、pGRN190をエレクトロポレーションしたプレートに由来し、そして続いてNH190と命名した。この細胞を、増殖培地+0.5μg/mLピューロマイシンにおいて維持した。TRAPアッセイ(Kimら,Nucleic Acids Res.25:2595,1997)によるテロメラーゼ活性についての分析は、NH190細胞が、機能的なテロメラーゼ活性を発現することを実証した。
【0296】
混合した培養集団およびインビボにおける細胞のモニタリングを促進するために、NH190細胞を、グリーン蛍光タンパク質(GFP)の発現を付与するレトロウイルス構築物にさらに感染させた。プラスミドpEGFP−1由来の増強されたGFP配列は、ClonTechから入手可能なLiving ColorsTM蛍光タンパク質ベクターの一つである。これは、増強されたGFPコード領域を含み、制限ヌクレアーゼ切断部位を変更する変化を伴っており、そしてコードされたタンパク質の励起波長および発光波長がシフトする。EGFP−1配列は、ベクターpMSCV.neo、ClonTechカタログ番号K1062−1中にクローニングされた。NH190細胞に、操作されたベクターで形質導入し、そしてGFPポジティブ細胞を、FACSソーティングによって分離した。GFP発現細胞株を、NHG190と命名した。これらの細胞を、3ヶ月を超えて培養で保有した。
【0297】
(実施例9:薬物耐性NHG190フィーダー細胞株上で維持されたhES細胞の遺伝的変化)実施例8に記載されたNHG190細胞を、DMEM(Gibco)+20%ウシ胎仔血清(HyClone)および5mMグルタミン中で培養した。細胞を3日毎に1:10に分けた。サブコンフルエントな培養物を、トリプシンを用いて剥離させ、10mL培地中に懸濁し、そしてTorrex 150D X線ジェネレーターを用いて3500ラドの累積線量で照射した。照射した細胞を、400×gにて5分間ペレット化し、そしてNHG190培地または標準的なhES培地のいずれかに1mLあたり1.25×105細胞で再懸濁した。
【0298】
hES細胞を、Matrigel(登録商標)およびNHG190フィーダー細胞で予めコーティングした6ウェルプレートに再度プレートすることによりトランスフェクトした。播種の48時間後、hES細胞を、製造業者のプロトコルに従ってOptiMEMTM無血清培地中でFuGENETM 6(Roche)を用いて1ウェルあたり10μgDNAでトランスフェクトした。DNAは、neorを駆動するPGKプロモーターを含むプラスミドであった。4時間後、3mLのNHG190馴化培地を、各トランスフェクトしたウェルに添加した。細胞に、毎日3mLの馴化培地を再度供給した。トランスフェクションの48時間後、細胞に、200μg/mLの添加されたジェネティシン(Sigma)を含むNHG190馴化培地を重層し、これをその後、毎日交換した。選択の3日後、さらなる照射したNHG190フィーダー細胞を添加した(hES培地中、1.25×105細胞/ウェル)。24時間後、培地を、200μg/mLジェネティシンを含有するNHG190馴化培地で再度置き換え、毎日置き換えた。
【0299】
個々のコロニーを単離し、そして別の回の選択を通して増殖させた。さらに5日後、個々のコロニーは、顕微鏡によって同定され、そしてこのディッシュの外側にマークした。培地を除去し、そしてコラゲナーゼ(約200U/mL)で置換した。個々のコロニーを、p20ピペットのチップを用いて拾い、そして2mL NHG190馴化培地(ジェネティシンなし)を含む個々のチューブに移した。この懸濁物を、ばらばらのコロニーになるように5回磨砕し、そして各チューブの内容物を、ゼラチンおよび照射したNHG190細胞(1.875×105細胞/ウェル)でコーティングした12ウェルプレートのウェルに移した。細胞に、24時間後に2mLの新鮮な馴化培地を供給した。播種の2日後、細胞に、200μg/mLジェネティシンを含む2mLの馴化培地を重層し、毎日5日間置換した。各ウェルが50〜75%コンフルエントとなったら、細胞を、コラゲナーゼを用いて剥離し、6mL馴化培地に移し、そして10〜12回磨砕した。3mLの細胞懸濁物を、ゼラチンおよび照射したNHG190細胞(3.75×105細胞/ウェル)でコーティングした6ウェルプレートの2つのウェルの各々に添加した;細胞に、24時間の時点で3mLの馴化培地を再度供給した。次いで、細胞を、ジェネティシンを含む3mLの馴化培地を用いて5日間選択し、そして前のように1:6に分けた。
【0300】
レトロウイルスを用いる安定な形質導入を、以下の通りに行った。GRN354と命名されたレトロウイルスベクターを、Geron Corp.にて、ClonTech(カタログ番号K1062−1)から購入したPMSCVneoベクターを用いて構築した。eGFPコーディング領域を、MSCV LTRの下流に挿入した。LTRはGFPの発現を駆動し、そしてこのベクターはまた、マウスPGKプロモーターによって駆動されるneor遺伝子を含む。プレートを、0.5%ゼラチンおよびNHG190フィーダー細胞(24ウェルプレートについて1mLのNHG190培地中で7.5×104;6ウェルプレートについて3mLの培地中で3.75×105)でコーティングした。hES株H7を、24ウェルに調製したプレートに、hES培地(1mL/ウェル)中に播種した。48時間後、hES細胞の3つのウェルを、0.05%トリプシン/5mMEDTA(Sigma)を37℃で用いて剥離させ、500μL NHG190培地中に再懸濁させ、そして計数した。レトロウイルス構築物pGRN354のストックを、使用の直前に氷上で溶解した。増殖培地をウェルから吸引し、そして400μLのhES培地+8μLのレトロウイルス(10のMOI)および4μLの8mg/mLポリブレン溶液(Sigma)で置き換えた。2時間後、1ウェルあたり800μLのhES培地を添加した。各形質導入されたウェルに、24時間毎に1mLの新鮮なhES培地を再度供給した。
【0301】
形質導入の4日後、培地を、200μg/mLジェネティシンを含有する1mLのhES培地で置き換えた。ジェネティシン選択の3日後、細胞を、コラゲナーゼを用いて剥離し、磨砕し、3mLのhES培地に再懸濁し、ゼラチンおよびNHG190フィーダーでコーティングした6ウェルプレートの1ウェルに再度播種し、そして24時間後にhES培地を再度供給した。次いで、この培地を、ジェネティシンを含有するhES培地で再度置き換え、そして24時間毎に再度供給した。未分化コロニーは、この選択を生き延び、そして3ヶ月を超えて維持された。FACS分析は、50〜65%の選択された細胞が、たとえ低レベルであってもGFPを発現することを示した。この細胞の核型は正常であった。
【0302】
次いで細胞を、懸濁培養に移して、胚様体を形成させ、4日間分化させ、次いで20% FBS培地中に1週間プレートした。大量の分化が生じた後、この培養物を4%パラホルムアルデヒド中で固定し、そして蛍光顕微鏡のために調製した。多くの分化した細胞は、トランスフェクトされた未分化のhES細胞株よりも高レベルのGFPを発現した。このことは、分化した細胞型におけるMESV−LTRの分化活性化と一貫している。
【0303】
(実施例10:フィーダーフリー培養物におけるhES細胞のトランスフェクション)馴化培地中でラミニン上でフィーダーフリー培養物中で維持したhES細胞を、CMVプロモーターによって駆動されるグリーン蛍光タンパク質(GFP)を保有するプラスミドでトランスフェクトすることにより、遺伝的に改変した。
【0304】
mEF馴化培地を、先に記載の通りに調製した。mEFに照射し、そして約5.7×104細胞cm-2で播種した。少なくとも16時間後、この培地を、4ng/mLになるように添加したhbFGFを含むhES培地と交換した。馴化培地を、hES培養物の供給のために毎日収集した。hES培養物への添加の前に、この培地に、さらに4ng/mLのhbFGFを補充した。安定なトランスフェクタントの選択が必要な場合、mEF馴化培地に、200μg/mLのジェネティシン(Sigmaカタログ番号G5013)を補充した。
【0305】
mEFフィーダー層上で維持したH9 hES細胞を、37℃にて10分間の約200単位/mLのコラゲナーゼIVとのインキュベーションにより培養物から収集した。細胞を解離し、そして通常hES培地またはmEF馴化培地中に再懸濁した。次いで、通常培地中の細胞を、mEFフィーダー層上に再度播種しそしてmEF馴化培地中の細胞をMatrigel(登録商標)またはラミニン上にプレートした。全ての培養物についての播種密度は、約4×104細胞/cm2であった。フィーダー層上の細胞を通常培地中で維持し、一方、マトリックス上の細胞をmEF馴化培地中で、トランスフェクションの前に1日間または2日間維持した。馴化培地を、24時間毎に置き換えた。
【0306】
hES細胞培養物を、Lipofectamine 2000TMで上記のようにトランスフェクトした。GFP発現のFACS分析を以下の通りに行った。hES細胞を、PBS中の0.5mM EDTAを用いて収集し、そして約1×106細胞/試験で再懸濁した。細胞を、PBSおよび2% FBS、0.1%アジ化ナトリウムおよび2mM EDTAを含有する溶液中で洗浄した。SSEA−4染色を、Developmental Studies Hybridomas Banks(University of Iowa,Iowa City)から入手した抗体を1:15希釈で用いて同じ緩衝液中で行った。アイソタイプ適合コントロールを、Sigma(St.Louis MO,USA)から入手した。細胞を、100μlの最終容量において抗体とともに4℃にて30分間インキュベートし、洗浄し、そしてPEと結合体化したラット抗マウスκ鎖抗体(Becton Dickinson,San Jose,CA)とともに4℃にて30分間インキュベートした。サンプルを、先の通りに洗浄し、そしてGFPおよびSSEA−4発現についてFACScaliburTMフローサイトメーター(Becton Dickinson,San Jose,CA)でCellQuestTMソフトフェアを用いて分析した。
【0307】
mEF馴化培地中のラミニン上で維持したH9株のhES細胞を、プレーティング後24時間または48時間に、CMVプロモーターによって駆動されるGFPを保有するプラスミドでトランスフェクトした。最初の実験は、5μgのプラスミドおよび12μLのLipofectamine 2000TMの混合物を用いた。細胞に1mLのDNA/脂質複合体を入れ、そして37℃にて4時間インキュベートした後、3mLのmEF馴化培地を添加し、次いでトランスフェクションの24時間後にGFP発現についてモニタリングした。
【0308】
図9は、この実験の結果を示す。パネルA:ラミニン上で維持したH9細胞の形態。パネルB:Aに示されたのと同じコロニー中で観察されたGFPポジティブ細胞。パネルC:SSEA−4高集団(未分化細胞)におけるGFPポジティブ細胞の%のFACS分析。細胞を、播種の24(バー1および2)または48時間(バー3および4)にトランスフェクトし、そしてトランスフェクションの24時間(バー1および3)または48時間(バー2および4)後に分析した。明るい緑色の細胞が、トランスフェクションの24時間後に、ラミニン上の未分化ESコロニーの密な領域において観察された(パネルAおよびB)。最初の播種後48時間でのトランスフェクションは、最大効率を与えた:細胞の38%が、トランスフェクション後24時間でのFACS分析により決定したところ、GFPポジティブであった(パネルC)。
【0309】
次の実験は、mEFフィーダー上で維持した細胞と、mEF馴化培地中でMatrigel(登録商標)またはラミニンでコーティングしたプレート上で維持したH9細胞とのトランスフェクション効率を比較した。通常培地中で維持したフィーダー層上の細胞を、コントロールとして用いた。フィーダー上の細胞と、フィーダーのない細胞との間の形態学的差異は、播種後1日または2日で観察された。フィーダー上のコロニーは、フィーダー層なしで維持した細胞よりも密であった;フィーダーのない培養物中の個々のhES細胞は、それほど密でなく、そしてより平らであった。ラミニン上の細胞とMatrigel上の細胞との間で細胞にもコロニーの形態にも有意な差異は存在しなかった。これらの細胞を、播種後2日目に、CMVプロモーターによって駆動されるGFPを発現するプラスミドでトランスフェクトした。このトランスフェクションの24時間後、細胞を、蛍光顕微鏡下でGFP発現について調べた。
【0310】
細胞を、mEFフィーダー上で通常培地中で(mEF/RM)、ラミニン上でmEFによって馴化された培地中で(ラミニン/CM)、またはMatrigel(登録商標)上で馴化培地中で(Matrigel/CM)維持した。図10(A)に示すように、明るい緑色細胞が、フィーダーを含まない培養物の未分化のhESコロニー中に観察された。対照的に、極わずかな緑色細胞が、フィーダー上のコロニーにおいて観察された。FACS分析は、Matrigel(登録商標)上の16%の細胞およびラミニン上の14%の細胞がSSEA−4高集団中でGFPポジティブであり、一方、フィーダー上の細胞のほんの5%がポジティブであることを示した。これらの結果は、トランスフェクション効率が、フィーダーのない条件を用いることによって有意に増加したことを示す。
【0311】
次の実験は、1)DNA:脂質の比;2)mEF馴化培地の添加の4時間前の細胞へのDNA/脂質複合体の添加 対 mEF馴化培地の存在下での細胞への複合体の添加;および3)Lipofectamine 2000TM 対 FuGENETMの使用の効果を評価した。
【0312】
Lipofectamine 2000TMを用いるトランスフェクションは、上記に記載される。FuGENETMでのトランスフェクションを、以下の通りに行った。プラスミドDNA(5〜10μgのpEGFP−C1、ClonTechカタログ番号6084−1)を水中で希釈して、100μlの最終容量とした。先行実験において、5〜30μLのFuGENETMを、十分なOptiMEMTMに添加して、100μLの最終容量を達成した。次いで、DNA溶液を、FuGENETM溶液にゆっくりと添加し、そして穏やかに混合した。この混合物を800μlのOptiMEMTMを補充する前に室温で30分間インキュベートした。細胞を、3mLの予め温めたOptiMEMTMで洗浄し、そして1mLのDNA/脂質混合溶液中で37℃にて4時間インキュベートした。いくつかの実験では、4時間で、ウェルにさらに2mLのmEF馴化培地を入れた;他の実験では、DNA/脂質混合物を、2mLのmEF馴化培地を含むウェルに添加し、そして細胞をこの混合物中で一晩インキュベートした。
【0313】
結果を図10(B)に示す。最大効率は、以下の条件下で得られた:バー1=5μgのプラスミド+12μlのLipofectamine 2000TMの混合物、2.5mLのmEF馴化培地を含むウェルに1mLのDNA/脂質混合物を添加し、そしてこの細胞をこの混合物中で一晩インキュベートする。バー2および3=10μgのプラスミド+15μlのFuGENETMの混合物、そして細胞を1mLのDNA/脂質混合物中で4時間インキュベートし、その後、2.5mLのmEF馴化培地を添加する。L=Lipofeatamine2000TM;F=FuGENETM
【0314】
別のシリーズの実験では、hES細胞を、(コラゲナーゼの代わりに)滅菌PBS中の0.5mM EDTAの溶液を用いてフィーダーのない培養物中でマトリックスから剥離した後にトランスフェクトした。細胞を、個々の細胞が丸くなり始めるまでは37℃にて5分間インキュベートした。次いで、EDTA溶液を除去し、そして約1mLの馴化培地を、ウェルにピペットで入れ、細胞を剥離した。次いで、得られる細胞クラスターを、1:3または1:6の分割比で、フィーダーのない新たな培養物中で再度プレートした。これらの条件下で、これらの細胞を播種後24時間でリポフェクションした場合、最大の一過性のトランスフェクション効率が達成された。
【0315】
フィーダーのないhES細胞が安定な遺伝的改変を受けるか否かを調べるために、MatrigelTM(登録商標)上で維持したH1 hES細胞を、EF1aプロモーターによって駆動されるβ−ガラクトシダーゼを保有する7.5μgのプラスミドと、ネオホスホトランスフェラーゼ遺伝子を駆動するPGKプロモーターを保有する2.5μgのプラスミドとの混合物で同時トランスフェクトした。この細胞を、mEF馴化培地中のMatrigel(登録商標)上へのプレート後48時間でトランスフェクトした。10μgのプラスミド+15μlのFuGENETMを、1mLにおいて細胞とともに4時間インキュベートし、その後、2.5mLのmEF馴化培地を添加した。48時間後、培地を、200μg/mLジェネティシンを補充したmEF馴化培地に交換した。培養物を、このジェネティシンを含有する培地中で、毎日培地を交換しながら21日間を越えて維持した。全ての偽トランスフェクション培養物(すなわち、プラスミドではなく水と混合したFuGENETMを入れた培養物)は、48〜72時間以内に死んだ。薬物耐性コロニーが、FuGENETMおよびプラスミドの両方でトランスフェクトしたウェルにおいて、105個の元々トランスフェクトした細胞に対して約1の頻度で生じた。このコロニーを、ジェネティシン含有mEF馴化培地中で維持し、そして増殖させた。
【0316】
(実施例11:フィーダーを含まない培養物についての馴化培地の別の供給源)いくつかの細胞株からの馴化培地を、フィーダーのない培養物においてhES細胞の増殖を支持するそれらの能力について試験した。初代マウス胚性線維芽細胞(mEF)およびNHG190テロメラーゼ化mEF株の単離は、既に記載されている。STOは、ATCCから入手可能な形質転換されたマウス線維芽細胞株である。BJ 5taは、テロメラーゼ化されたヒト包皮線維芽細胞細胞株である。hTERT−RPEは、テロメラーゼ化したヒト網膜上皮細胞株である。
【0317】
細胞を増殖させるために用いた培地は以下の通りであった。1.mEF培地:90% DMEM(Gibco BRL,Rockville,MD)、10%ウシ胎児血清(FBS)(熱非働化)(Hyclone)、および2mM L−グルタミン。2.STO培地:0.1mM非必須アミノ酸を補充したmEF培地。3.BJ 5ta培地:90% DMEMおよび10% Cosmic仔ウシ血清(熱非働化していない)。4.NHG190培地:さらに10% FBSを補充したmEF培地。5.RPE培地:90% DMEM/F12、10% FBS(熱非働化していない)、10mL L−グルタミンおよび3.48g/L炭酸水素ナトリウム。6.分化培地:80%ノックアウトダルベッコ改変イーグル培地(KO DMEM)、1mM L−グルタミン、0.1mM β−メルカプトエタノールおよび1% 非必須アミノ酸、20%FBSを補充した。
【0318】
馴化培地を調製するために、それぞれの細胞株を、Ca++/Mg++を含まないPBSで1回洗浄し、トリプシン/EDTA(Gibco)中で約5分間インキュベートし、そしてmEF培地中に懸濁することにより収集した。細胞を約4000ラド(140kVで約508秒間;Torrexジェネレーター、EG&GAstrophysics Research Corp.,Long Beach CAにおける棚の設定6)で照射した。次いで、これらを計数し、そしてmEFについては約55,000細胞/cm2で、NHG190細胞については約38,000/cm2で、STO細胞については約95,000/cm2で、BJ 5ta細胞については約80,000/cm2で、RPE細胞については約90,000/cm2で播種した。少なくとも4時間後、培地を、4ng/mL bFGFを含有するES培地に交換した。馴化培地を、その後毎日収集し、そしてhES培養物への供給のために用いた。hES培養物への添加の前に、各馴化培地に、4ng/mLのヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(hbFGF;Gibco)を補充した。
【0319】
図1、パネルB(右側)は、非馴化の、通常培地(RM)と比較して、mEF、NHG190、STOおよびBJ 5ta細胞により馴化された培地中、Matrigel(登録商標)上で維持されたH9株のhES細胞の形態を示す。RPE馴化培地中の細胞は、培養の最初の週のうちに分化した。他の馴化培地中の細胞はすべて、適切なES形態を備えたhESコロニーを有していた。形態、培養の集密度、および非分化細胞に対する分化細胞の比率に基づき、馴化培地は、以下のように優先度が減少する順にランク付けされる:始原mEF、NHG190、STO、およびBJ5ta。
【0320】
始原mEFからの馴化培地中で維持された細胞と同様に、NHG190、STOおよびBJ5taを含む他の細胞株により馴化された培地中のMatrigel(登録商標)またはラミニン上の細胞は、FACS分析により分析したとき、高レベルでSSEA−4、Tra−1−60およびTra−1−81を、しかし低レベルのSSEA−1を発現した(図2C)。mEF馴化培地またはNHG190馴化培地中のMatrigel(登録商標)またはラミニン上の細胞は、3つの胚葉細胞型に分化し得た。この分化した培養の免疫細胞化学的分析は、ニューロンに一致するβチューブリンIII(外胚葉系統)、心筋細胞に一致する心臓トロポニンI(中胚葉系統)、および内胚葉系統の細胞に一致するαフェトプロテインについて陽性の染色を示した。
【0321】
実施例1〜3では、mEFで調整する前に、そして次いでこの馴化培地を集めそしてhES細胞を養うために用いるときに再び、培地に、4ng/mLのhbFGFを添加することによって培地を調製した。hbFGFの培地への両方の添加が、ES細胞を未分化状態に維持するために必要である否かを決定するために、hbFGFの一方または両方の添加をなくした実験を実施した。
【0322】
hbFGFの第2が添加ないの馴化培地中で維持された培養は、初期継代では健常には見えず、そして培養29日後に分化したように見えた。hbFGFの第1の添加がない馴化培地中で維持された細胞は、大部分が分化した形態を示したが、培養27日後により小さい未分化コロニーをなお形成した。hbFGFのいずれの添加も行わない馴化培地中に維持された細胞は、18日後完全に分化した。対照的に、bFGFの両方の添加を行って調製した馴化培地中で培養した細胞は、長期間培養で健常かつ未分化であるように見えた。従って、フィーダー細胞で培養する前後の両方でbFGFを添加することにより馴化培地を調製することは、次のフィーダーのない(feeder−free)培養におけるhES細胞の分化を防ぐ助けとなる。
【0323】
馴化培地の貯蔵は以下のように試験した:回分培地は、上記のようにmEF細胞培養中で1−2日調整することにより調製し、そしてシールされた培養フラスコ中4℃で貯蔵した。フィーダーのないhES細胞培養を、貯蔵培地を毎日交換して維持した。未分化幹細胞の特徴的な形態特徴は、新鮮馴化培地中に維持されたhES細胞に匹敵して、少なくとも7日間後にもなお存在した。
【0324】
白血病阻害因子(LIF)が、フィーダーのないhES細胞を維持することにおいて馴化培地を置換し得るか否かを決定するために、H1およびH9株の細胞を、LIFを最終濃度1500、1,000、または500U/mL(R&Dsystemsからの組換えLIF;Catalog#250−L)で含むES培地中、Matrigel(登録商標)上で培養した。細胞は、陽性コントロールとしてのmEF馴化培地、および陰性コントロールとしての非馴化ES培地と同時に培養した。1週間後、LIFを含むかまたは含まない、いずれの培地における培養も、大きな程度の分化を示したが、mEF馴化培地中に維持された培養は、未分化コロニーを主に含んでいた。これらのデータは、LIFがフィーダー細胞の不在下では未分化状態にあるhES細胞を維持しないことを示す。
(実施例12:H9幹細胞株からのヒト胚線維芽細胞様細胞によって調整された培地)細胞は、線維芽細胞および間葉細胞の形態的規準を有するhES細胞に由来した。それらは、フィーダーのない培養でhES細胞を支持し得る。
【0325】
H9 hES細胞株を本開示の別の箇所に記載のように得た。胚様体を形成するため、hES細胞を、37℃10分間の約200U/mLのコラゲナーゼIVとのインキュベーションの後回収し、そして分化培地中小クラスターに解離させ、そして非接着性細胞培養プレート(Costar)中で培養し、懸濁液中に凝集体を形成した。約2×106細胞を各ウェル(9.6cm2)中に接種した。懸濁液中で2日後、凝集体をゼラチン被覆プレート中に写した。それらは、プレートに付着し、そして異なる形態を有する細胞に分化し続けた。線維芽細胞様細胞は、さらに11日後、分化細胞の混合集団中100〜1000細胞のクラスターで観察された。
【0326】
線維芽細胞様細胞を単離するため、培養を約200U/mLコラゲナーゼIV中3分間37℃でインキュベートした。線維芽細胞様細胞のクラスターを、顕微鏡下でPipetmanTMで取り出し、そして分化培地を含むチューブに直接移すか、またはコラゲナーゼ溶液中に放出し、そして次に集めた。細胞を遠心分離し、分化培地中に再懸濁し、そして6ウェルプレートの1つのウェル上にプレートした。細胞を増殖させ、そして連続的に継代した.第3回目の継代で、培養をmEF培地にスイッチした。すべての手順で、細胞は、2−3日毎に養われた。
【0327】
線維芽細胞様細胞中にテロメラーゼを導入するために、これらは、以下のように、レトロウイルスを発現するhTERTに感染させた。細胞を、感染の1日前に、8.6×104細胞/ウェル(9.6cm2)で6ウェルプレート上に接種し、mEF培地に交換される8時間前に、4μg/mLポリブレンを補填したウイルス含有培地とともにインキュベートした。異なるウェルを、pBABE−hTERTまたはpBABEベクターコントロールで感染した。pBABE−hTERTは、hTERTコード配列(5’UTRおよび3’UTRは除去、そしてATG開始コドンから−1〜−5の位置にあるKozakコンセンサス翻訳開始部位)を、市販のpBABE.puroのEcoRI部位中に、hTERTコード領域を5’LTRと同じ配向に配置してクローニングすることにより構築した(Ouelletteら、Hu.Mol.Gen.9:403、2000)。細胞をさらに6日培養し、そして最終濃度1.6μg/mLのピューロマイシン中でさらに8日間選択した。次いで細胞を回収し、そしてmEF培地中に再接種した。
【0328】
細胞を増殖させ、そして50日間線維芽細胞様形態を提示し続けた。細胞を、感染後20日に、TRAPアッセイのために集めた。細胞は、0日から27日までmEF培地中に維持され、そして28日から43日まで分化培地にスイッチした。細胞を選択後に各継代ごとに計数し、そしてその集団の倍化を計算した。
【0329】
テロメラーゼ化細胞株およびコントロール細胞株(コントロールレトロウイルスで非形質導入または形質導入)の両方は、50日の培養の間約7または8倍化する培養で増殖した。hTERT発現カセットで形質導入した細胞は、TRAPアッセイで陽性のテロメラーゼ活性を示したが、コントロール細胞は、任意の活性を示さなかった。hTERT−hEF細胞は、コントロール細胞の増殖速度と同様の増殖速度で連続的に継代した。
【0330】
馴化培地を調製するために、hTERTトランスフェクト細胞を、Ca++/Mg++を含まないPBSで1回洗浄し、そして1.5−2mLトリプシン/EDTA(Gibco)中で2分間インキュベートすることにより回収した。この細胞をプレートから脱離させた後、それらをmEF培地に集めた。それらを4000radで照射し、カウントしそして約3.7−5×105細胞/ウェルで接種した。少なくとも16時間後、培地を、hES培地+4ng/mL bFGFで交換した(4ng/mLの外から添加したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子を含む上記の血清補充培地)。6ウェルプレートのウェルあたり3〜4mLを用いた。
【0331】
馴化培地をhES培養を養うために毎日集めた。hES培養への添加の前に、馴化培地を4ng/mLのhbFGF(Gibco)で補填した。hTERT−hEF培養を、この系で1−2週の間用いた。
【0332】
この培地のhES細胞増殖を支持する能力を、H1 hES細胞株に対して試験した。hEF馴化培地により支持されたMatrigel(登録商標)上のフィーダーのない培養中に再プレートしたhES細胞の培養(パネルC&F)は、未分化hES細胞の形態特徴を持つコロニーを形成した。この培養は、始原mEFフィーダー細胞の層上に直接、または始原mEFにより調整された培地中Matrigel(登録商標)上で増殖したhES細胞から識別不能に見えた。hES細胞の健常コロニーは、サイズが増加し、そして未分化胚性幹細胞の特徴的な特色を有していた。2〜3のコロニーは、所定の程度の分化を示したが、分化の程度は、各々の培養条件の下で同様であった。
【0333】
接種後7日で、培養はほぼ集密になり、そして1:3または1:4の比、約130,000〜170,00細胞cm-2で分裂した。細胞を、30日にわたってこの条件下で、hES細胞の形態的特徴を提示しながら維持した。
【0334】
(実施例13:H1株からのhEFにより調整された培地)第2のヒト胚線維芽細胞(hEF)様細胞株を、H1と称する、異なるhES細胞株から発生させた。胚様体が以前のように形成され、そして4日後,懸濁液で、培養を、さらなる9日間のためにゼラチン被覆プレート上にプレートした。
【0335】
この実施例では、線維芽細胞をピペットにより選択するよりむしろ、バルク培養から発生させた。培養は、PBS中の2mg/mLコラゲナーゼII型において、37℃で30分間インキュベートした。細胞を回収し、解離し、遠心分離し、分化培地中に再懸濁し、そして6ウェルプレート中にプレートした。増殖細胞をhEF培地(90%DMEM、10%熱不活化FBS、0.1mM非必須アミノ酸、および2mMのL−グルタミン)中で継代し、そして2−3日毎に養った。2継代の後、この細胞集団は、線維芽細胞の形態的特徴を備え均一であるように見えた。このhEF細胞株をHEF1と称した。
【0336】
亜集団を、実施例12中のように、レトロウイルステロメラーゼ発現ベクター(pBABE−hTERT)、またはベクターコントロールで形質転換した。
【0337】
図11(パネルA)は、HEF1細胞株の形態を示す。パネルB(下)は、TRAPアッセイで測定したときのテロメラーゼ活性を示す。hTERT発現カセットで形質転換した細胞は、形質導入後20または65日で陽性のテロメラーゼ活性を示した。非形質導入細胞株、またはベクターコントロールで形質導入した細胞は、テロメラーゼ活性を示さなかった。
【0338】
図12は、hTERT形質導入HEF1細胞、およびベクターコントロールで形質導入された細胞の増殖曲線を示す。両方の株は、コントロール細胞が分裂することを停止した(多分それらはヘーフリック限度に到達したためである)38日の時点まで、ほぼ2日毎に倍化した。hTERTトランスフェクト細胞は、60日の時点(30倍化)を越えて一致した増殖速度で増殖を継続した。
【0339】
図13は、細胞老化の既知のバイオマーカーである(Dimitriら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:9363、1995)、老化関連βガラクトシダーゼに対する染色後の、hTERT形質導入細胞およびコントロール細胞の顕微鏡写真である。チャンバースライド上で増殖した細胞を、PBS中の0.2%のグルタルアルデヒド中で2分間固定し、PBSで洗浄し、そして40mMのクエン酸リン酸緩衝液pH6.0中の、1mg/mLの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−D−ガラクトシダーゼ(X−gal)、5mMのK4Fe(CN)6、5mMのK3Fe(CN)6、150mMのNaCl、2mLのMgCl2で一晩インキュベートした。HEF1コントロール細胞は、βガラクトシダーゼについて強く染色され、その一方、hTERT形質導入細胞は、染色されなかった。合わせた結果は、hTERTの発現が、HEF1細胞の寿命特徴を延長することを示す。
【0340】
培地は、6000radで照射したHEF1細胞を用いて実施例12におけるように調整し、そして約4.1〜5.5×104細胞cm-2で接種した。この培地を、Matrigel(登録商標)基体上で培養したH9 hES細胞株の増殖を支持するその能力について試験した。
【0341】
図14は、マウス胚線維芽細胞によるか、またはHEF1細胞株のいずれかにより調整した培地中に継代した後のhES細胞のコロニーを示す。hES細胞は、4継代の間、HEF1馴化培地を用いて維持され、未分化ES細胞の形態を提示し続けた。このhES細胞は、hTERTおよびOCT−4の発現を維持することが見出された。パネルBに示されるように、それらもまた、未分化hES細胞の特徴である、TRAPアッセイで測定されたとき、テロメラーゼ活性を示し続けた。
【0342】
(実施例14:cDNAライブラリー)ポリA+mRNAを、以下のように、未分化および分化pPS細胞から単離した。
【0343】
ヒト胚性幹細胞を、本開示の他の箇所で記載されたように、フィーダー細胞上からか、またはフィーダーのない環境中のいずれかで増殖した培養から得た.cDNAライブラリーは両方から得た。フィーダーのない培養を用いることは、マウスRNAを汚染することのないライブラリーを生成する利点を有し、そしてmRNA単離のために多数の細胞を産生するためにより容易に大規模化され得る。
【0344】
総RNAは、RNeasyTMプロトコールおよび試薬(Qiagen、Germany)を用い、製造業者の指示書に従ってhES細胞から単離された。簡単に述べれば、細胞を、グアニジニウムイソチオシアネート(GITC)の溶液を用いて培養皿中で直接溶解し、そして得られる抽出物を、RNAは結合するが夾雑物およびゲノムDNAは結合しない条件下で、RNeasyTMマトリックスに結合させた。このマトリックスを、製造業者により供給される定められた緩衝液で洗浄した後、総RNAを水で溶出し、そして260nmにおける吸光度により定量した。
【0345】
次いで、ポリA+mRNAを、総RNA調製物から、OligotexTMプロトコールおよび試薬(Qiagen、Germany)を用いることにより精製した。簡単に述べれば、共有結合したdC1030オリゴヌクレオチドを含むビーズマトリックスを総RNAと混合し、mRNAのポリA+テイルと、dC1030結合ビーズとの間の相互作用を可能にした。規定した洗浄溶液を用いた洗浄の後、結合したmRNAを、低塩緩衝液中に放出し、そして収率を260nmにおける吸光度により定量した。ゲル電気泳動で、ポリA+mRNAの全体の純度を確認した。
【0346】
cDNA合成は、標準的なプロトコール(SuperScriptTM Lambda System、Life Technologies、Rockville、MD)を用いて達成された。1μgのポリA+mRNAを、オリゴdT−NotIプライマー/アダプターおよびSuperScriptTMII逆転写酵素を用いて一本鎖cDNAに変換した。[32P]dCTPをこの反応中に含め、第1鎖変換効率の計算を可能にした。次いで、一本鎖cDNAを、DNAリガーゼおよびRNaseHの存在下、DNAポリメラーゼを用いて二本鎖cDNAに変換した(すべての酵素はE.coli起源)。この二本鎖cDNAを、SalIアダプターと連結し、次いでゲル排除クロマトグラフィーにより分析した。カラムフラクションの各々の一部分を、ゲル電気泳動により分析し、そして2kbpまたはそれより大きい推定中間サイズをもつcDNAを含むフラクションをプールした。次いで、サイズ選択されたcDNAプールを、NotIエンドヌクレアーゼで制限し,そしてNotI/SalI制限pSport1プラスミド(Life Technologies)と連結した。連結産物を用いて、UltraMaxTMコンピテントE.coli(Life Technologies)を形質転換し、それを次いでアンピシリンを含む培地プレート上にプレートした。代表的には、これらの方法により生成されたライブラリーは、個々のコロニーからのプラスミド調製物のPCRにより判定したとき、−1.2kbpの中間cDNA挿入サイズをもつ、5×106以上の独立クローンから構成されていた。
【0347】
cDNAライブラリーはまた、胚様体(EB)細胞から調製され、これは、hES細胞から分化した細胞の混合集団を含む。EBを調製するために、hES細胞の単層培養を、約200U/mLのコラゲナーゼIVと、約5−20分37℃でインキュベートすることにより回収した。このhES細胞を、クラスターに解離し、そして80%KO DMEM(Gibco)、20%非加熱不活化FBS(Hyclone)、0.1mM非必須アミノ酸、1mM グルタミン、および0.1mMβメルカプトエタノールを含む、分化培地中、非接着細胞培養プレート(Costar)中にプレートした。
【0348】
次いで、このEBを、9.6cm2ウェルあたり2mLの培地中1:2の比率で接種した。このEBは、一日おきに、ウェルあたり2mLの培地を4mL/ウェルまで添加すること、次いで集められそして2mLの新鮮培地中に再懸濁することにより養われた。総RNAは、懸濁培養中約2−8日後に調製された。あるいは、EBは、懸濁培養中に約4日間維持され、次いでゼラチン被覆プレート上にプレートし、そしてさらに7日間培養した。これは、多様な細胞集団の形成をもたらし、そしておそらくはより高い細胞密度のためにRNAの収率を向上させる。約20〜500×106細胞からの総RNAの収率は、約25〜2500μgであった。
【0349】
(hES細胞における発現のためのプロモーターの選択)種々のプロモーターを、未分化hES細胞における安定な長期間遺伝子発現を駆動するそれらの能力について試験した。構築物は、レトロウイルス形質導入によるか、またはFuGENETM媒介リポフェクションによるかのいずれかで導入した。
【0350】
6ウェルプレートにプレートされたhES細胞は、フィーダー層から、コラゲナーゼ(約200単位/mL)を37℃で7−10分間用いて取り出した。コロニーが脱離はじめるとき、各ウェルからのコラゲナーゼを吸引し、そして2mLの標準hES培地/ウェルで置換した。hES細胞を、単一ウェルの表面を5mLピペットで掻き取ることにより取り出し、そして50mLのコニカルチューブに移した。さらなるhES培地を添加して最終容量を10mLにした。細胞懸濁液を、10mLピペットで10−12回摩砕し、そしてさらなる8mLの標準hES培地を添加した。3mLの細胞懸濁液を、上記のようにゼラチンおよびmEFフィーダー層で予備被覆された6ウェルプレートの各ウェルに添加した(すなわち、6ウェルプレートの1ウェルが新たなプレートの6ウェルを接種するに十分であった)。
【0351】
レトロウイルスを用いる形質導入は、以下のように行った。GRN354と称するレトロウイルスベクターは、ClonTechから購入したPMSCVneoベクター(カタログ番号K1062−1)を用いてGeron Corp.で構築された。eGFPコード領域は、MSCV LTRから下流に挿入された。このLTRは、GFPの発現を駆動し、そしてこのベクターはまた、マウスPGKプロモーターにより駆動されるneor遺伝子を含む。
【0352】
プレートは、0.5%ゼラチンおよびNHG190フィーダー細胞(24ウェルプレートについて1mL NHG190培地中7.5×104;6ウェルプレートについて3mL培地中3.75×105)で被覆した。hES株H7を、hES培地中に、24ウェル調製プレート上に接種した(1mL/ウェル)。48時間後、3ウェルのhES細胞を、37℃で0.05%トリプシン/5mM EDTA(Sigma)を用いた脱離させ、500μLのNHG190培地中に再懸濁し、そして計数した。レトロウイルス構築物pGRN354のストックを使用の直前に氷上で融解した。増殖培地をウェルから吸引し、そして400μLhES培地プラス8μLのレトロウイルス(MOI 10)および4μLの8mg/mLポリブレン溶液(Sigma)で置換した。2時間後、800μLのhES培地をウェルあたり添加した。形質導入したウェルの各々に、1mLの新鮮hES培地を24時間毎に再供給した。
【0353】
形質導入の4日後、培地を、200μg/mLゲネチシンを含む1mLのhES培地で置換した。ゲネチシン選択の3日後、細胞をコラゲナーゼで脱離させ、摩砕し、3mLのhES培地中に再懸濁し、ゼラチンおよびNHG190フィーダーで被覆した6ウェルプレートの1つのウェル中に再接種し、そして24時間後、hES培地を再供給した。次いで培地を、ゲネシチンを含むhES培地で再び置換し、そして24時間毎に再供給した。
【0354】
FuGENETM6(Roche)を用いるリポフェクチンを、製造業者の指示書に従って構築した。このプラスミドDNA(5−10μgのpEGFP−C1、ClonTechカタログ番号6084−1)を水中に最終容量100μlまで希釈した。パイロット実験では、5−30μLのFuGENETMを、十分なOptiMEMTM溶液(Gibcoカタログ番号11−58−021)に添加し、100μLの最終容量を達成した。次いで、このDNA溶液をFuGENETM溶液にゆっくり添加し、そして穏やかに混合した。この混合物を、800μlのOptiMEMTMで補填する前に、30分間室温でインキュベートした。
【0355】
トランスフェクションの48時間前、hES細胞を、ゼラチンおよびmEFフィダー層で被覆した6ウェルプレート上に接種した。細胞を、3mLの余熱したOptiMEMTMで洗浄し、そして37℃で4時間DNA/脂質混合物中でインキュベートした。いくつかの実験では、4時間後、ウェルに、さらなる2mLのmEF馴化培地を入れた;他には、DNA/脂質混合物を、2mLのmEF馴化培地を含むウェルに添加し、そして細胞をこの混合物中で一晩インキュベートした。
【0356】
次の実験では、hES細胞のフィーダーのない培養を、FuGENETMを用いてトランスフェクトした。これらの実験では、未分化hES細胞を、mEF馴化培地プラス付加的な4ng/mL hbFGF中、Matrigel(登録商標)被覆6ウェルプレート上に接種した(約1.5×104細胞cm-2の代表的密度)。プレーティングの48時間後、細胞を、すでに記載したように、FuGENETMでトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞に、mEF馴化培地プラス4ng/mL hbFGFおよび200μG/mLゲネチシンを再供給した。次いで、細胞に、日毎のベースで200μG/mLゲネシチンを含む培地を再供給した。
【0357】
代表的実験の結果を表2に要約する。
【0358】
【表2】
Figure 2003111588
これらの規準により、PGK、EF1α、およびUbiCプロモーターは、未分化hES細胞におけるcDNAクローンの安定な長期間発現に適切である。
【0359】
この開示は、フィーダー細胞の非存在下でヒト多能性幹(pPS)細胞を培養するための改善されたシステムを提供する。そのフィーダー細胞の役割は、細胞外マトリックス上のその培養物を支持し、そしてその細胞を馴化培地で培養することによって置き換えられ得る。商業的規模で馴化培地を産生し得る永久的な細胞株が提供される。ウイルスベクターまたはDNA/脂質複合体を細胞に導入することによって、pPS細胞を遺伝的に変更する方法もまた見出された。本開示により記載されるシステムは、pPS細胞分化の生物学の研究、およびヒト治療における使用のための重要な製品の産生において使用するためのpPS細胞の大規模増殖を可能にする。
【0360】
本明細書で提供される組成物および手順は、以下の請求項で具現化される本発明の思想から逸脱することなく当業者によって効果的に改変され得ることが認識される。
【0361】
【表3】
Figure 2003111588
Figure 2003111588
【0362】
【発明の効果】
本発明は、ヒト多能性幹細胞の増殖、増殖を促進する培養条件、ならびに遺伝的改変、cDNAライブラリーの産生、および組織再生を目的とする分化した細胞の産生のための使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、フィーダー細胞のない培養におけるhES細胞の形態を示す顕微鏡写真のハーフトーン製版である。パネルA(左側)は、通例の培養培地(mEF/RM)中においてフィーダー細胞上に培養されたhES細胞の形態、あるいはmEF馴化培地中においてMatrigel(登録商標)、ラミニン、フィブロネクチン、またはコラーゲンIV上に培養されたhES細胞の形態を示す。パネルB(右側)は、馴化されていない通例の培地(RM)と比較された、mEF細胞、NHG190細胞、STO細胞およびBJ5Ta細胞によって馴化された培地中においてMatrigel(登録商標)上に維持されたhES細胞の形態を示す。通例の培地におけるhES細胞は、培養の最初の週の間に分化した。特定の型の馴化培地中におけるhES細胞は、未分化の細胞に関して適切な形態を持ったコロニーを含んだ。パネルCは、通例の培地(mEF/RM))中においてフィーダー細胞上に維持されたhES細胞、あるいはmEF馴化培地中においてMatrigel(登録商標)上またはラミニン上に維持されたhES細胞において測定されたインテグリン発現を示す棒グラフである。インテグリン構成成分α6およびβ1は、hES細胞の細胞外マトリックスへの接着における役割を演じ得る。
【図2】図2は、FACS解析によるフィーダー細胞なしの細胞における表面マーカー発現を示す。パネルAは、通例の培地(mEF/RM)中においてフィーダー細胞上に増殖されたhES細胞、または馴化培地を用いて細胞外マトリックス上に増殖されたhES細胞によって発現された糖タンパク質SSEA−4の発現を示すFACSスキャンプロフィールである。パネルBは、異なるマトリックス上で培養されたhES細胞に関する表面マーカーの蛍光強度を示す棒グラフである。パネルCは、異なる細胞株由来の馴化培地中においてMatrigel(登録商標)上に培養されたhES細胞に関する表面マーカーの蛍光強度を示す棒グラフである。
【図3】図3は、初期フィーダー細胞(mEF)によって増殖された細胞、あるいは馴化培地中において細胞外マトリックスMatrigel(登録商標)またはラミニン上に増殖された細胞に対する免疫組織化学によって検出されたマーカー発現を示す顕微鏡写真のハーフトーン製版である。フィーダー細胞のない培養物において増殖されたhES細胞は、マウス線維芽フィーダー細胞上に増殖されたhES細胞に類似する表現型のマーカーを有する。
【図4】図4は、通例の培地(RM)または馴化培地(CM)とともに、フィーダー細胞(mEF)あるいは細胞外マトリックス(Matrigel(登録商標)またはラミニン)とともに培養されたhES細胞におけるOCT−4およびhTERT発現の解析を提供する。上のパネルは、RT−PCRによるmRNAレベルでのOCT−4およびhTERTの発現を示すゲルのコピーである。下のパネルは、18sスタンダードに対するOCT−4またはhTERTの比率として表された、異なる基質上に増殖する細胞に対する発現のレベルを比較する棒グラフである。馴化培地中において、ラミニンおよびMatrigel(登録商標)上に生育されたhES細胞は、フィーダー細胞層上に増殖されたhES細胞のパターンと類似した発現パターンを有する。
【図5】図5は、TRAPアッセイによって培養されたhES細胞において測定されたテロメラーゼ活性を示す、ゲルのハーフトーン製版である。すべての培養条件は、フィーダー細胞なしの培養物において40日間後に、陽性のテロメラーゼ活性を示した。
【図6】図6は、胚様体形成を通しての分化を可能にされた、培養されたhES細胞において実施された免疫組織化学のハーフトーン製版である。hESが、フィーダー細胞上または細胞外マトリックス上において培養されたかどうかに関わらず、染色パターンは、異なる細胞型への分化の能力と一致する。染色パターンは、神経および心筋細胞系統(βチュブリンIIIおよび心臓のトロポニンI)の細胞をそれぞれ示す。内胚葉系統のマーカー、αフェトプロテインに対して染色した細胞もまた存在する。
【図7】図7は、異なる細胞系統へ分化する能力の別の指標として、hES細胞由来のテラトーマの組織病理学のハーフトーン製版である。パネルA(上列)は、mEFフィーダー細胞上で増殖されるhES由来のテラトーマにおける異なる細胞の数を示す。パネルB(下列)は、フィーダー細胞なしの培養において増殖されるhES由来のテラトーマにおける異なる細胞を示す。
【図8】図8は、GFP発現および未分化細胞のマーカーであるSSEA−4に関する、形質導入されたhES細胞のFACSプロフィールである。hES細胞は、フィーダー細胞層上にプレートされ、両方ともGFP発現カセットを含むアデノウイルスベクターAd5GFPまたはレトロウイルスベクターGRN354のいずれかを用いて、48時間後に感染された。細胞は、回収され、SSEA−4に対する抗体を用いて染色され、フローサイトメトリーによってGFP発現をアッセイした。上のパネルは、偽感染培養物におけるバックグラウンド蛍光およびSSEA−4陽性染色を示す。下のパネルは、GFPの発現から生じる緑色の蛍光のレベルを示す。
【図9】図9は、hESが、リポフェクションによってフィーダー細胞なしの培養物中で遺伝的に変更された実験の結果を示す。パネルAは、GFP発現のためにトランスフェクトされた後の、ラミニン上のhES細胞の形態を示す明視野顕微鏡写真のハーフトーンである。パネルBは、同一コロニーにおけるGFP発現を示す蛍光顕微鏡写真のハーフトーンである。パネルCは、種々の条件下におけるGFP発現細胞の割合を示す棒グラフである。
【図10】図10は、SSEA−4陽性細胞集団(未分化ES細胞)におけるGFP陽性細胞の割合を示す棒グラフである。パネルA:明るい緑色の細胞が、フィーダー細胞なしの培養の未分化hESコロニーにおいて観察された。対照的に、緑色の細胞は、フィーダー上で増殖されたhFS細胞のコロニーにおいて、ほとんど見出されなかった。FACS解析は、Matrigel(登録商標)上の細胞の16%およびラミニン上の細胞の14%が、SSEA−4陽性(未分化)細胞集団においてGFP陽性であり、一方、フィーダー細胞上の細胞のたった5%が、陽性であったことを示し、これは、トランスフェクション効率が、フィーダーを含まない条件を使用することによって有意に増加されることを示唆する。パネルBは、Lipofectamine2000TM(L)またはFuGENETM(F)の異なる条件を用いたGFPレポータープラスミドのトランスフェクション効率を示す。
【図11】図11は、フィーダー細胞なしの培養において、hES細胞を支持する馴化培地を産生し得るヒト細胞株の特徴を示す。パネルAは、HEF1細胞株が線維芽細胞の形態的な特徴を有することを示す、位相差顕微鏡写真のコピーである。パネルB(下)は、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)のレトロウイルスベクターで形質転換されたHEF1細胞が、テロメラーゼ活性を獲得したことを示すTRAPアッセイの結果のコピーである。
【図12】図12は、hTERTを形質導入されたHEF1細胞、およびベクターコントロールで形質転換された細胞の増殖を示すグラフである。両株は、最初、二日ごとに約一度倍加した。しかし、コントロール細胞は、38日目において増殖を停止し、一方hTERTトランスフェクト細胞は、一貫した増殖速度で60日以上増殖し続けた。
【図13】図13は、細胞の老化について既知の生物マーカーである、老化に関連したβガラクトシダーゼに対する染色の後の、hTERT形質導入細胞およびコントロール細胞の顕微鏡写真である。hTERTでのトランスフェクションは、細胞株の寿命を伸長し、そして老化を妨げる。
【図14】図14は、馴化培地への継代の後のhES細胞のコロニーを示す。パネルAは、初代マウス胚性線維芽細胞(mEF)によって、またはヒト線維芽細胞様細胞株HEF1によって馴化された培地中に維持されたhES細胞の培養物中の未分化のコロニーを示す、明視野顕微鏡写真のコピーである。パネルB(右)は、HEF1馴化培地を用いて維持されたhES細胞が、未分化細胞のテロメラーゼ活性の特徴を示すことを示した、TRAPの結果のコピーである。

Claims (8)

  1. フィーダー細胞を本質的に含まない、増殖中の霊長類多能性幹(pPS)細胞を含有する組成物。
  2. フィーダー細胞を本質的に含まない増殖環境において、霊長類多能性幹(pPS)細胞を培養するために適切な馴化培地を産生するための細胞株。
  3. 請求項1に記載の組成物の細胞の分化を引き起こすか、または分化を可能にすることによって調製される、分化した細胞集団。
  4. 未分化の霊長類多能性幹(pPS)細胞のドナー培養物から、以下の工程を包含する方法によって産生される分化した細胞:
    a)該未分化のドナー培養物から細胞の懸濁液を調製する工程;
    b)該懸濁された細胞を、それらが胚様体を形成せずに分化するように、固相表面上に再播種し、そして培養する工程;および
    c)分化した細胞を該固相表面から収集する工程。
  5. 霊長類多能性幹(pPS)細胞の集団であって、該未分化のpPS細胞の少なくとも25%が、ポリヌクレオチドで安定にトランスフェクトされているか、または該ポリヌクレオチドを遺伝したそのような細胞の子孫である、霊長類多能性幹(pPS)細胞の集団。
  6. 未分化のpPS細胞またはpPS細胞から分化した細胞のいずれかにおいてmRNAレベルで発現される少なくとも1,000遺伝子のcDNAライブラリーであって、他の脊椎動物のcDNAを本質的に含まない、cDNAライブラリー。
  7. 細胞傷害性または細胞調節について化合物をスクリーニングする方法であって、請求項3または4に記載の分化した細胞を、該化合物と接触させる工程、該化合物との接触から生じる該細胞における任意の表現型または代謝変化を決定する工程、および該変化を細胞傷害性または細胞調節と相関させる工程、を包含する、方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の組成物であって、前記pPS細胞が、ヒト胚性幹(hES)細胞である、組成物。
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