JP4317337B2 - 細胞株継代用酵素溶液、および、それを用いた霊長類胚性幹細胞の培養増殖方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、霊長類胚性幹(ES)細胞株の継代に適した継代用酵素溶液、該溶液を用いた霊長類ES細胞の培養方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ES細胞は、初期の胚から誘導される迅速に増殖する未分化の全能性細胞であり、胚性腫瘍細胞と類似の性質を示し、高いin vitro分化能を有し、集合塊として培養するだけで多種類の細胞が分化する。ES細胞は、着床前の段階の胚より確立されており、それらは3つの胚葉、即ち、外胚葉、中胚葉、及び内胚葉由来の種々の細胞型へ分化する多分化能を有する(M.J.Evans及びM.H.Kaufman、Nature 292:154-156 (1981);G.R.Martin、Proc.Natl.Acad.Sci. USA. 78:7634-7638 (1981))。ヒトを含む哺乳動物の移植、創薬および遺伝子治療において利用できるあらゆる型の細胞や組織を供給し得るものとして、特にヒトを含む霊長類のES細胞の単離、増殖には多大な期待が寄せられている。
【0003】
ES細胞株を樹立するためには通常、胚盤胞の内部細胞塊由来の細胞を使用して培養を開始する。桑実胚の解離細胞、または着床を遅らせた胚盤胞を使用することもできる。しかしながら、これらの胚細胞は直ちに上皮様細胞等に分化する。従って、未分化幹細胞の性質を保持した細胞を維持するためには、STO細胞株や胎仔から調製した初代繊維芽細胞を使用したフィーダー細胞層の上で、適当な細胞密度を保ちながら培養液を頻繁に交換し、細胞の解離と継代を繰り返すことが必要である。ES細胞の樹立に使用される標準的な方法は、Evansら(Nature 292:154-156 (1981))、Martinら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:7634-7638 (1981))、E.J.Robertson ed."Embryo-derived stem cells "(IRL Press Ltd., Oxford (1987)『Teratocarcinoma and Embryonic Stem Cells, A Practical Approach』)等に記載されている。
【0004】
従来法によるES細胞株の樹立は、例えば、フィーダー細胞層として繊維芽細胞を使用し、次のように行われる。まず、フィーダー細胞層上で初期胚、特に胚盤胞若しくは着床遅延胚盤胞を培養することにより初期胚をフィーダー細胞層に定着させた後、胚外周の栄養芽細胞の伸展成長が始まる。さらに初期胚内部に存在するICMが伸展した栄養芽細胞上でドーム状に増殖を開始し、十分にICMが増殖した時点でICMのみを分離・分散して新たなフィーダー細胞層上に継代する。継代されたICM由来細胞の内、未分化形態を維持したまま増殖を続けるものがごくわずかに出現するようになる。この未分化細胞をさらに継代・増殖していくことでES細胞株が樹立される。
【0005】
培養液としては、DME培養液を基礎培養液とし、これに非必須アミノ酸混合液・核酸混合液・メルカプトエタノール・新生児牛血清及び/又は牛胎児血清を加えたものが考案されている(Doetschman T.C. et al., J.Embryol.Exp.Morph. 87:27-45 (1985))。またマウスES細胞株を樹立・維持する際にEC細胞培養上清(Martin G.R., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:7634-7638 (1981))またはバッファローラット肝臓細胞培養上清(BRL−CM)を一定量上記培養液に添加することで分化抑制および増殖が同時に促進されることが報告され(Smith,A.G.&Hooper, M.L., Dev.Biol. 121:1-9 (1987))、これらに含まれる活性は分化抑制活性(differentiation-inhibing activity:DIA)と呼ばれた。さらにその後、DIAは白血病抑制因子(leukemiainhibiting factor:LIF)という一種のサイトカインであることが判明している(Williams, R.L. et al., Nature 336:684-687 (1988))。ES細胞は、フィーダー細胞層及び/または白血病阻害因子(LIF)の存在下のその未分化の状態を維持するような条件下では明らかに無限の寿命を有する(R.Williamsら、Nature 336:684-687 (1988))。
【0006】
ヒトES細胞ラインも確立されており、それらはマウスES細胞と類似した分化能を示した(J.A.Thomsonら、Science 282:1145-1147 (1998);J.A.Thomsonら、Dev.Biol. 38:133-165 (1998);B.E.Reubinoffら、Nat.Biotechnol. 18:399-404 (2000))。しかしながら、マウスES細胞はヒトES細胞とあまりに多くの点で異なり、従来のマウスES細胞株の培養に用いられていた酵素溶液や培地では、サルやヒト等の霊長類のES細胞を安定して長期にわたって維持し、増殖させることは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
既に安定した培養増殖方法が確立されているマウスES細胞と比べ、ヒトを含む霊長類のES細胞培養方法に関しては更なる改善が求められていた。特に、未分化幹細胞の状態を維持し、自発的な細胞分化を抑制して増殖させる方法、および細胞増殖中に随時数を増やした培養器に移し替える細胞継代において細胞の損失が少ない細胞解離方法が求められている。本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ヒトを含む霊長類由来のES細胞の細胞継代に用いるのに最適な酵素溶液、および、効率よい霊長類ES細胞の培養増殖方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、カニクイザル(Macaca fascicularis)胚盤胞より4つのESセルラインを確立した。改良したトリプシン溶液、および培養用として特定の組成の無血清培地を用いることにより、培養後6ヶ月以上経っても、それらはうまく未分化の状態、そして正常な核型に維持された。カニクイザルのES細胞はヒトのES細胞と性質が酷似していることから、カニクイザルの継代用トリプシン溶液および培養に用いた培地は、ヒトを含むその他の霊長類由来のES細胞の継代および培養に利用した場合にも、ES細胞を安定して維持増殖させると考えられる。本発明は、より具体的には、
(1) トリプシンおよび塩化カルシウムを含む、霊長類ES細胞の細胞株継代用酵素溶液、
(2) さらに、血清代替物を含む、請求項1に記載の酵素溶液。
(3) トリプシンを0.05〜0.5%、及び、塩化カルシウムを0.5〜5mMの濃度で含む、(1)または(2)に記載の酵素溶液、並びに
(4) (1)〜(3)に記載の細胞株継代用酵素溶液を用い、細胞を継代することを特徴とする、霊長類ES細胞の培養方法
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、霊長類ES細胞の継代に用いるのに適した細胞株継代用酵素溶液に関する。該酵素溶液は、トリプシン、塩化カルシウムを含むものである。好ましくは、さらに血清代替物を含むものである。ここで、トリプシンは約0.05〜0.5%、好ましくは0.1〜0.3%の範囲で含まれる。また、塩化カルシウムは約0.5〜5mM、好ましくは1〜2mMの範囲で含まれる。そして、血清代替物としては、多数のものが知られており、それらの中から各ES細胞に適した血清代替物を選択することができる。血清代替物の種類等により、本発明の酵素溶液中で用いる濃度は変化するが、当業者であれば濃度を適宜設定することができる。例えば、好ましくは、ノックアウト血清リプレースメント(KSR;登録商標)が用いられ、KSRは約10〜30%、好ましくは15〜25%の範囲で含まれる。本発明の細胞株継代用酵素溶液は、カニクイザルおよびヒトを含む霊長類のES細胞の確立に適したものであり、以下の実施例において示すように、ES細胞の確立において、ピペッティング等により細胞を解離させる際に用いることができる。
【0010】
また、本発明の細胞株継代用酵素溶液と共に、霊長類ES細胞の培養に際し、無血清培地を使用することにより、霊長類におけるES細胞のクローニング効率を上げることができると考えられる。従来、ウシ胎児血清(FBS)を含む培地において必要とされた、定期的な幹細胞コロニーの回収を行わずに、長期間にわたりES細胞の未分化状態での維持が可能となる。無血清培地としては、例えば、約15〜25%、好ましくは約20%のKSRを含む培地が考えられる。
【0011】
本発明の細胞株継代用酵素溶液は、霊長類からのES細胞の継代に適したものである。ここでいう霊長類としては、これらに限定されるわけではないがカニクイザル等のサル、およびヒトを挙げることができる。また、本発明の酵素溶液は、今まで樹立・継代が困難とされてきたウサギ、ラット、ウシ、ブタ等の動物についても同様の効果を有する可能性がある。なお、本発明の酵素溶液および無血清培地は、遺伝的な改変を導入したES細胞に対して用いることもできる。
【0012】
さらに、本発明は、上述の本発明の細胞株継代用酵素溶液を用いるES細胞の培養方法に関する。これに限定されるわけではないが、具体的には、実施例において示すように、例えばカニクイザルの胚盤胞を調製し、そこから単離したICMをマイトマイシンCで不活性化したマウス胚繊維芽細胞のフィーダー細胞層上にプレートし、0.1mM 2-メルカプトエタノール、1000単位/ml白血球阻害因子(ESGRO)及び15%ウシ胎児血清(FBS)を補ったDulbecco's改変Eagle's 培地(DMEM) 並びにHam's栄養混合物F-12の1対1混合物中で3〜7日培養したものを二次培養を行なう前に、本発明の1mM塩化カルシウム及び20%KSRを含む0.25%トリプシン酵素溶液で、キャピラリーガラスを用いたピペッティングにより解離させることができる。さらに、20%KSR、及び1mM CaCl2を含むPBS中の0.25%トリプシンを含む本発明の無血清培地により二次培養することができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
( 1 ) カニクイザルES細胞ラインの確立
in vitro受精(IVF)、または細胞質内精子注入(ICSI)に続く7〜10日間のin vitro培養より、カニクイザルの胚盤胞を製造した(R.Toriiら、PrimatES 41:39-47 (2000);Hosoiら、準備中)。カニクイザル脾臓細胞に対するウサギ抗血清を用いてICMを免疫手術により分離した(D.Solter及びB.KnowlES、Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 72:5099-5102 (1973))。分離したICMをマイトマイシンCで不活性化したマウス胚繊維芽細胞のフィーダー細胞層上にプレートした。0.1mM 2-メルカプトエタノール、1000unit/mlESGRO(Gibco)、及び15%FBS(JRH)を補ったDMEM、並びにHam's栄養混合物F-12(Sigma)の1対1混合物中で培養した。場合により、FBSを20%KSR(GIBCO)で置換した。3〜7日後、新しいフィーダー細胞層上に移す前に、拡大したICMを0.25%トリプシン/1mM EDTA、及び微細なキャピラリーガラスを用いたピペッティングにより解離した。幹細胞様の形態のコロニーを回収し、機械的、またはトリプシン/EDTAを用いて解離し、拡張させるためにフィーダー細胞層へ移した。続いてのES細胞ラインの二次培養は、20%KSR及び1mM CaCl2を含むPBS中の0.25%トリプシン、または、DMEM中の1mg/ml IV型コラゲナーゼ(GIBCO)を用いて行った。これらの工程後、7個の独立した幹細胞ラインが分離された。しかしながら、続いての拡張の間、その内3個のラインが失われた。4個のセルライン(CMK5、6、7及び9と命名)の増殖に成功し、更なる分析に用いた。
【0014】
発明者らは、カニクイザル由来の32個の胚盤胞を用いて、4個のES細胞ラインを確立し、特徴付けた。この確立の効率は、ヒトES細胞ラインのそれ(14個の胚盤胞から5個)に匹敵する(Thomsonら、(1998)、上述)。これらのセルラインは、ヒト、及びその他のサルES細胞ラインと類似した形態を有していた。カニクイザルES細胞は、マウスES細胞と比べより密ではあるが、平たいコロニーを形成した。各細胞は、高い核/細胞質割合、及び顕著な核小体を有していた。マウスES細胞に典型的に見られる半球形にふくらんだコロニーは形成しなかった。二次培養直後には、上皮様の外見を呈したが、生育数日後には密に詰め込まれたコロニーを形成した。カニクイザルES細胞の形態は、現在までに報告されている他の霊長類ES細胞と類似しており、マウスES細胞の典型的な半球状コロニーと比べより平たいコロニーを形成した。他の霊長類ES細胞について報告されているように、LIFは、カニクイザルES細胞の未分化段階の維持に有効ではなかった。フィーダー細胞層を除いたゼラチン皿上にプレートすると分化し、LIFの存在下であっても成長が止まった。これにより、これらのES細胞ラインを維持するのにフィーダー細胞層は不可欠であることが示された。ES細胞の一部の集団は、フィーダー細胞層及びLIFの存在下であっても自発的に分化した。いくつかの場合、ES細胞ラインを維持するために幹細胞様コロニーを手で集めることが必要であった。
【0015】
( 2 ) 培養培地及び二次培養法の改善
以前から他のES細胞について報告されているのと同様に、カニクイザルのES細胞もクローニング効率が低かった。これは、遺伝子のトランスフェクション後に細胞クローンを単離する際、または形質転換体を選択する際に問題となるかも知れないと考えられる。カニクイザルES細胞のならし培地は、プレーディング効率に影響しなかったが、ES細胞により産生される未知のパラクリン因子、または細胞と細胞の接触が、始原ES細胞の増殖に必要とされるかもしれないと考えられた。また、ES細胞は二次培養の間、自発的に分化したため、持続的な生育を可能とするように10〜50個の細胞からなる幹細胞の塊に維持するために限定的な解離が必要とされた。トリプシンを用いたマウスES細胞のための標準的な解離手法では、サルES細胞に過度の損傷を与えたが、トリプシンを欠いた場合、十分に解離させることができなかった。種々の条件について試験した後、発明者らは、有効な二次培養のための適切な方法として、1mM CaCl2及び20%KSR(GIBCO)を補った0.25%トリプシンを用いることとした。
【0016】
ES細胞培養の間の分化した細胞の発生は、培養培地中のウシ胎児血清(FBS)をKSRにより置換することにより明らかに減少した。FBSは、KSRには存在しない成長因子等の分化誘導因子を含む可能性がある。このような無血清培地では、カニクイザルES細胞は、FBS培地を用いた場合に必要とされた幹細胞コロニーの定期的な回収なしでも、未分化の状態により長い期間にわたって維持された。しかしながら、KSR培地中では、FBS培地中と比べてES細胞はより平らな形態、及び、よりゆっくりとした成長率を示した。それでも、ES細胞培養物の分裂は3〜4日毎に起こった。bFGFは、ヒトES細胞のクローニング効率を上げることが報告されている(M.Amitら、Dev.Biol. 227:271-278 (2000))。しかしながら、未分化の状態のカニクイザルES細胞のクローニング効率、または維持にbFGFの添加はあまり効果がなかった。
【0017】
( 3 ) 核型決定
(1)に記載の方法に従ってES細胞を培養した後、培養から3〜5ヶ月後、慣用のGバンド法に核型決定を行った。培養から3〜6ヶ月後であっても、また、凍結解凍工程から回収された後でもカニクイザルES細胞は正常な核型を維持した。2つのセルラインは、雄の核型で、2つは雌の核型であった(表1)。これらのES細胞は、長期間の培養の後でも正常な核型を保持した。
【0018】
【表1】
【0019】
各セルラインの染色体数は、種々の継代数において数えた。また、およその培養期間を月数で示す。2培体(40+XX、またはXY)染色体を持つ群を正常として数えた。更に核の性別も示す。
【0020】
【発明の効果】
本発明の改良した細胞株継代用酵素溶液を用いることにより、ヒトを含む霊長類由来のES細胞の継代および培養を、ES細胞をうまく未分化の状態、そして正常な核型に維持した状態で安定して維持増殖させることができる。
Claims (4)
- トリプシンおよび塩化カルシウムを含む、霊長類ES細胞の細胞株継代用酵素溶液。
- さらに、血清代替物を含む、請求項1に記載の酵素溶液。
- トリプシンを0.05〜0.5%、および、塩化カルシウムを0.5〜5mMの濃度で含む、請求項1または2に記載の酵素溶液。
- 請求項1〜3に記載の細胞株継代用酵素溶液を用い、細胞を継代することを特徴とする、霊長類ES細胞の培養方法。
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