JPH10510702A - ヒトおよび非ヒト霊長類の多能性幹、前駆および成熟骨髄細胞の維持、増殖および分化のための系 - Google Patents

ヒトおよび非ヒト霊長類の多能性幹、前駆および成熟骨髄細胞の維持、増殖および分化のための系

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JPH10510702A JP8517803A JP51780395A JPH10510702A JP H10510702 A JPH10510702 A JP H10510702A JP 8517803 A JP8517803 A JP 8517803A JP 51780395 A JP51780395 A JP 51780395A JP H10510702 A JPH10510702 A JP H10510702A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒトまたは非ヒト霊長類のCD34+ 細胞などの多能性幹細胞のマウスへの移植方法に関する。この方法は、放射線照射を受けたマウスに、CD34+細胞などの増殖を支えるサイトカインを発現する、無限増殖性のヒトまたは非ヒト霊長類の骨髄ストロマ細胞を投与し、そして順次にまたは同時に精製ヒトまたは非ヒト霊長類のCD34+ 細胞を投与することを含む。ストロマ細胞およびCD34+ 細胞は腹腔内または静脈内注射によって投与することができる。本発明はヒトCD34+ 細胞に関する遺伝子治療プロトコルを評価するのに使用することができ、また骨髄移植中などに放射線照射を受けた患者の治療における用途をも有する。本発明はまたヒト造血作用の研究のための動物モデルをも提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 ヒトおよび非ヒト霊長類の多能性幹、前駆および成熟骨髄細胞の維持、 増殖および分化のための系 発明の背景 発明の分野 本発明は、ヒトの疾病状態の研究用として、マウスでヒト微細環境を作成する ための、ヒトの無限増殖性の細胞系の使用に関する。このヒト微細環境中におい て、ヒトおよび非ヒト霊長類の多能性幹細胞を維持し分化させることができる。 特に、本発明は、ヒトおよび非ヒト霊長類のCD34+ 幹細胞の移植、維持および 分化を支持するのに必要な、ヒトサイトカインを供給するヒト微細環境を形成さ せるための、マウス中へのヒト無限増殖性のストロマ細胞系(Lof(11-10)など) の注入に関する。こうしたヒト微細環境は、ヒトの造血の研究のための有益な動 物モデルを提供する。 先行技術の説明 生物医学の研究は、ヒトにおける各種の疾病状態の理解を深めるために、動物 モデルに大きく依存している。研究者は、動物モデルを使用して、疾病状態の理 解を深め、これらを疾病の過程と関連させることを目的としている。動物モデル は、アスピリンおよび金属の代謝の安全性からバクテリアおよびウイルスの感染 に至るまでの広範囲のあらゆるヒト疾病の研究に使用されて、成功してきている 。例えば、マウスは、アルツハイマー病(Wiら、Chung Kuo Chung Hsi I Chieh Ho Tsa Chih (China) 12:622,1992)、ブドウ球菌感染症(Bel'skiiら、Zh.Mikr obiol .Epidemiol.Immunobiol.(USSR) 3:16,1989)、脳障害(Rossら、Neurotox icology 9:581,1988)、強直症(Mahowaldら、Arthritis Rheum.31:1390,1988) 、自己免疫(Robertsら、J.Comp.Pathol.(England) 100:391,1989)、全身性狼 瘡(Mendlovic ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2260,1988)、癲癇(Kingら、E pilepsia 30:257,1989)、インスリン依存性糖尿病(Gottliebら、Diabetes Car e 11:29,1988)、膠原病(Rosenberg N.L.,Arthritis Rheum.31:806,1988)、お よび銅代謝(Shiraishi ら、Biol.Neonate (Switzerland)54:173,1988)の研究 のために使用されてきた。ラットもまた、嚢胞性線維症(Hunsinger ら、Med.Hy potheses(England) 28:81,1989)、骨粗鬆症(Yamazakiら、J.Bone Miner Res.4 :13,1989)、ならびに肥満および高血圧症(Crandallら、J.Appl.Physiol 64:1 094,1988)の研究のための動物モデルとして利用されて成功している。 齧歯類以外の動物種もまたヒトの疾病の研究のために使用されて成功している 。ブタは、E.coli感染症(Sarmiento ら、Am.J.Vet.Res.49:1154,1988)、アセ トアミノフェノン(Henne-Bruns ら、Res.Exp.Med.(Germany)188:463,1988)、 喘息(Karol M.H.,Bull.Eur.Physiopathol.Respir.(England)23:571,1987)、お よびヘルペスウイルス感染症(Hsiungら、Antiviral Res.(Netherlands)12:239, 1989)を研究するために使用され、また一方ヒツジは歯周炎(Ismaiel ら、J.Pe riodontol. 60:279,1989)および慢性静脈疾患(Jessupら、J.Vasc.Surg.8:569,1 988)の研究に利用された。慢性亜脱臼(De Boer ら、J.Manipulative Physiol. Ther. 11:366,1988)および呼吸困難症候群(Lachmann B.,Dev.Pharmacol.Ther (Switzerland) 13:164,1989)が成体および胎児ウサギにおいて研究され、一方高 シュウ酸尿症(Danpure ら、J.Inherit.Metab.Dis.(Netherlands)12:403,1989) がネコにおいて研究された。関節炎がラット(Bartholdら、Ann.NY Acad.Sci.53 9:264,1988)およびアカゲザル(Pritzkerら、PR Health Sci.J.(Puerto Rico)8 :99,1989)の両方において研究された。HIV感染症はチンパンジー、テナガザ ル、マウス、ウサギ、ヒヒおよびアカゲザルなどの動物モデルを使用して真剣に 研究されてきた(Spertzel R.O.,Antiviral Res.(Netherlands)12:223,1987)。 しかし、好適な動物モデルが利用できない場合、疾病およびその治療の研究は 強く妨げられかねない。特に、ヒトの造血の研究は、造血細胞の研究のための動 物モデルがないために、支障をきたしてきた。この好適な動物モデルがないこと は、ヒトの疾病に関する遺伝子治療の出現にともなって、今日特に切実である。 現在のところ、ある遺伝子治療を評価するために利用し得る唯一の方法は臨床治 験であるが、これは費用がかかり、複雑で時間を要する試みである。したがって 、遺伝物質をヒトの多能性幹細胞に導入する研究のための動物モデルはこの分野 にとって大きな前進をもたらすと思われる。 造血、すなわち成熟血液細胞の形成には多重系列の分化の複雑な図式が含まれ る(Metcalf,Nature 339:27-30,1989)。骨髄中で、多能性幹細胞が増殖し、前 駆細胞に分化して、その後これが各種の型の成熟血液細胞になる(Gordonら、Bo ne Marrow Transplant 4:335,1989;Dexterら、Ann.Rev.Cell Biol.3:423,1987 )。実際に、CD34造血細胞表面抗原の存在によって同定される多能性幹細胞は 、分化して全造血系の細胞となることができる(Sprangruide ら、Science 241: 58,1988)。 造血細胞の起源であるヒト骨髄細胞の増殖および分化の研究のため、重度の複 合免疫不全症(SCID)マウスを基礎とする、2つの動物モデルが開発された 。しかし、これらの両者のモデルには、障害および欠点があって、有用性には限 界がある。John Dick によって確立された第1の系では、ヒト骨髄を移植したS CIDマウスに、全身投与によって、ヒトサイトカインを供給する(Lapidot ら 、Science 255:1137-1141(1992))。(Dickら、Sem.Immunol.3:367-378(1991)も 参照されたい。)この系では精製した組み換えサイトカインを一週間に3回注入 する必要があるので、非常に経費がかかる。 Jim McCuneによって開発された第2の系は、SCIDマウスへのヒト胎児組織 の外科的移植を含む(McCuneら、Science 241:1632-1639(1988);およびKaneshi ma ら、Nature 348:561-562(1990))。McCuneの系においては、ヒト胎児肝、ヒ ト胎児胸腺および/またはヒト胎児リンパ節がSCIDマウスに移植される。こ れらのマウスは成熟ヒトT細胞およびB細胞の分化を支持する。McCuneの系は、 ヒト胎児骨を移植したSCIDマウス中での活性なヒト造血の持続にも成功して いる(Kyoizumiら、Blood 79:1704-1711(1992))。しかし、このMcCuneの系にお いて各マウスに実施する必要がある外科的手順は時間がかかり、費用もかさむ。 その上、胎児組織の有用性には限界があり、その使用については、この試みを論 争の余地あるものとしている。 発明の要約 したがって、各種の提案された遺伝子治療法がある欠陥を効果的に矯正するか どうかを試験することによってこの治療法を評価するための、前臨床アッセイと して使用することができる動物モデルを提供することが、本発明の1つの目的で ある。 ヒト骨髄細胞の増殖および分化を研究するための、低コストで直接的かつ用途 の広い方法を提供することが本発明の別の目的である。 無限増殖性のヒト細胞系を使用して、マウス中にヒト微細環境を提供すること が、さらに別の本発明の目的である。 図面および以下の本発明の記載から、本発明のその他の各種の目的および利点 が明らかとなるであろう。 これらの目的を達成するため、本発明は、マウスにヒトまたは非ヒト霊長類の 幹細胞を移植して、造血細胞の研究のために有用な動物モデルを作成する方法に 関する。一実施態様において、細胞は全造血細胞に分化する能力を有する原始幹 細胞である。好ましい態様において、幹細胞はCD34+ である。特定の態様にお いて、この方法には、マウスへの致死量または非致死量の放射線を照射する工程 ;幹細胞の増殖を支持するサイトカインを発現する無限増殖性のヒトまたは非ヒ ト霊長類の骨髄ストロマ細胞を被照射マウスに対して投与する工程;および精製 したヒトまたは非ヒト霊長類の幹細胞を被照射マウスへ投与する工程が含まれる 。 別の態様において、本発明はHIVなどの感染因子に対する遺伝子治療プロト コルの有効性を試験するための方法に関する。この方法には、第1および第2の マウスに致死量または非致死量の放射線を照射する工程;CD34+ 幹細胞の増殖 を支持するサイトカインを発現する無限増殖性のヒトまたは非ヒト霊長類の骨髄 ストロマ細胞を被照射マウスに投与する工程;第1グループのヒトCD34+ 幹細 胞中への提案された治療用遺伝子セグメントを導入する工程;この遺伝子セグメ ントを発現する第1グループのCD34+ 幹細胞から細胞を精製する工程;第2グ ループのヒトCD34+ 幹細胞中へ対照用遺伝子セグメントを導入する工程;遺伝 子セグメントを発現する精製されたCD34+ 幹細胞を第1の被照射マウスへ投与 する工程および対照細胞の第2の被照射マウスへ投与する工程;両方の被照射マ ウスをレトロウイルスでチャレンジする工程;および2種のマウスからのヒトC D34+ 幹細胞の生存を比較する工程、が含まれる。 さらに別の態様において、本発明はヒトの造血の研究のための動物モデルに関 する。このモデルには、無限増殖性のヒトまたは非ヒト霊長類の骨髄ストロマ細 胞の存在下で、ヒトまたは非ヒト霊長類のCD34+ 幹細胞が移植された齧歯類が 含まれる。好ましい態様において、この齧歯類はSCIDマウスなどのマウスで ある。 図面の簡単な説明 図1は、ヒトストロマ細胞系 Lof(11-10)におけるサイトカインmRNA転写 物の相対発現率を示す。 図2は、致死量の照射を受け、ヒトストロマ細胞系 Lof(11-10)で再構成され た、SCIDマウスの生存率を示す。 図3は、DNAポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による、SCIDマウス中の Lof(11-10)の検出を示す。 図4は、逆転写酵素(RT)依存性RNA PCRによる、SCIDマウスの 骨髄コンパートメント中のヒトおよびサルCD34+ 由来細胞の検出を示す。レー ン1−4は、腹腔内注射(i.p.)による1×107のLof(11-10)細胞に加えて、静 脈内注射(i.v.)による3×105のヒトCD34+ 細胞を投与されたマウスを示す 。レーン5は、1×107のLof(11-10)細胞 i.v. に加えて2×105のサルCD34+ 細胞 i.v. を投与されたマウスを示す。レーン6−8は、1×107のLof(11-10) 細胞 i.p. に加えて2×105のサルCD34+ 細胞 i.v. を投与されたマウスを示 す。 発明の詳細な説明 本発明は、ヒトまたは非ヒト霊長類の多能性幹細胞を齧歯類に移植する方法に 関する。発明者らは、重度の複合免疫不全症(SCID)マウスを使用して、ヒ トまたは非ヒト霊長類の多能性CD34+ 幹細胞をSCIDマウス中に移植する方 法を開発した。本方法の開発のためにはマウスを利用したが、いかなる齧歯類で も使用することができる。好ましい齧歯類としてSCIDマウスが含まれる。こ れらのマウスは、マウスによる成熟T細胞およびB細胞の産生を妨げる突然変異 scid遺伝子を有している。これらのマウス中で、その他の全造血系は正常に 産生される。 多能性幹細胞は機能面から、そして表現型から定義することができる。機能面 では、多能性幹細胞は多重系列の分化および自己再生能を有する造血細胞である 。多能性幹細胞は細胞表面のマーカーによって表現型で定義することもできる。 例えば、ヒト幹細胞は、CD34+ 、CD38- 、HLA−DR- 、THY+ および Rh123- として特徴づけられてきた。 本方法において、ヒトおよび非ヒト霊長類の多能性幹細胞が齧歯類、好ましく はマウスに移植される。ヒトおよび非ヒト霊長類の幹細胞がマウス中で維持され 分化することを目的として、この細胞を移植するために、最初にマウスに致死量 または非致死量の放射線を照射する。例えば、各マウスを200 または400 ラドの ガンマ線を照射して被曝させることができる。照射後、マウスに幹細胞の増殖を 支持する無限増殖性の細胞を1用量与える。一つの態様において、支持し得る細 胞はサイトカインを発現する無限増殖性の骨髄幹細胞である。最後に、精製した ヒトまたは非ヒト霊長類のCD34+ 細胞をマウスに1回注入する。 齧歯類に移植する細胞は、好ましくは、骨髄、末梢血液または臍帯血から得る ことができるCD34+ 幹細胞である。これらの細胞は、当業界で公知の方法を使 用して、ヒトまたは非ヒト霊長類の骨髄または血液から単離することができる。 この移植方法に有用なその他の細胞として、限定するわけではないが、胎児肝お よび胎児胸腺が含まれる。 後に投与されるCD34+ 幹細胞などの原始造血細胞が付着することができる基 体をマウス内に提供するために、無限増殖性の骨髄ストロマ細胞を被照射マウス に投与する。これらのストロマ細胞は、細胞の増殖および分化のために必要なサ イトカインを産生することによって、こうした細胞の養育をも行なう。無限増殖 性の骨髄ストロマ細胞は、マウス内で、幹細胞の移植、分化および自己再生が生 じ得る微細環境として働く。 無限増殖性のストロマ細胞は好ましくはヒトサイトカインを産生する。好適な 無限増殖性の骨髄ストロマ細胞として、限定するわけではないが、Lof(11-10)細 胞系が含まれる。このLof(11-10)細胞系は、天然にヒトサイトカインを産生し、 したがってin vitroでCD34+ 細胞の増殖を支持することができるので、好まし い。Lof(11-10)細胞系は、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、GM−CSF 、M−CSF、G−CSFおよびSCF(幹細胞因子)を産生する。その上、こ れ らの細胞は、トランスフォームされた細胞ではないSV40ラージT細胞抗原を使 用して無限増殖性化され、マウスに投与したとき腫瘍を形成しない。 本発明で利用する無限増殖性の骨髄幹細胞は、Lof(11-10)細胞系のように、所 望のサイトカインを天然に産生するものもある。また、当業界で公知の標準的な 方法を使用して、所望のサイトカインまたは所望のその他の支持成分を産生する ように、骨髄幹細胞を遺伝学的に操作することができる。例えば、Lof(11-10)細 胞は、IL-3、さらにSCF、IL-7またはIL-2などのヒトサイトカインをさ らに産生するように改変することが可能である。 無限増殖性の骨髄ストロマ細胞および精製CD34+ 細胞は、CD34+ 細胞の移 植を促進するのに十分な量で投与する。好ましくは、各齧歯類に0.1-5.0×107個 の骨髄ストロマ細胞を投与し、より好ましくは、各齧歯類に0.1,0.5,1.0,ま たは5.0×107個の細胞を与える。好ましくは、各齧歯類に0.1-5.0×105個のCD 34+ 細胞を与える。より好ましくは、各齧歯類に0.1,0.5,1.0,または5.0×105 個の用量のCD34+ 細胞を与える。 これらの2つの細胞集団は、マウスに対して同時にまたは順次投与することが できる。好ましくは、最初に無限増殖性の骨髄ストロマ細胞を腹腔内(i.p.)投 与し、次に精製CD34+ を静脈内(i.v.)投与する。例えば、無限増殖性の骨髄 ストロマ細胞投与の約10日後、好ましくは無限増殖性の骨髄ストロマ細胞投与の 2-7日後に、精製CD34+ 細胞を投与することができる。 本発明は、マウス動物モデルにヒトおよび非ヒト霊長類のCD34+ 細胞を移植 するための、低コストで直接的で、そして用途の広い系である。無限増殖性の骨 髄ストロマ細胞を細胞培養液中で増殖させることが可能であるため、この方法は 比較的低コストである。例えば、Lof(11-10)細胞はT225フラスコ当たり 1×107 個まで増殖させることができ、これはマウス1匹に導入するのに十分な細胞数で ある。無限増殖性の骨髄ストロマ細胞の注入は実施が容易であり、そしてこれに よってマウス中にヒトサイトカインの持続的な供給が提供される点において、こ の方法は直接的である。最後に、この方法は用途が広い。無限増殖性の骨髄スト ロマ細胞が、その他のヒト成長因子、表面受容体および/またはサイトカイン遺 伝子を発現するようにすることができる。 本発明にしたがって、CD34+ 細胞などのヒト幹細胞を移植したマウスは、ヒ ト血液細胞の全系列を産生する。移植されたCD34+ 細胞は増殖して、ヒトT細 胞およびヒトB細胞を含む全血液細胞系に分化することができ、それによって、 マウス中にヒト造血微細環境を樹立することができる。このヒト造血に関する動 物モデルはいくつかの用途を有する。例えば、本発明のマウスは in vivoでの感 染性疾患の研究のためのモデルとして使用することができる。このモデルはまた 、in vivo での抗ウイルス活性に関する化合物のスクリーニングのために使用す ることもできる。このマウスモデルは、造血増殖因子、免疫モジュレーターおよ び/または免疫毒素に関するアッセイのために使用することもできる。最後に、 ヒトCD34+ 細胞を移植したマウスは、ヒトモノクローナル抗体およびヒト細胞 溶解性T細胞クローンを製造するのに使用することができる。 本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトサイトメガロウイルス(C MV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)およびエプスタイン・バーウイルス (EBV)などの感染性因子に対する遺伝子治療プロトコルの有効性を試験する ための方法にも関する。この試験方法において、推定上の治療用遺伝物質をヒト CD34+ 細胞に導入し、その後このCD34+ を齧歯類に移植して、この遺伝物質 の導入によってin vivo でのCD34+ 細胞およびその子孫の生存が延長されるか どうかを判定する。例えば、上記のようなマウス中に、遺伝学的に操作したCD 34+ 細胞を移植する。その後このマウスを感染性因子でチャレンジし、CD34+ 細胞およびその子孫の生存を判定する。 例をあげると、AIDSの原因となる因子であるHIVに対するある遺伝子治 療プロトコルの有効性を判定するのに、本試験方法を使用することができる。H IV感染に対して有効な遺伝子治療プロトコルならば、in vivo で細胞にHIV に対する抵抗性を付与するはずである。ある特定の遺伝子治療プロトコルを使用 して、in vivo で細胞にHIV感染に対する抵抗性を付与することができる場合 、さらに研究を進めてAIDS患者におけるこの分子の介在の治療上の効果を最 適化が保証されるはずである。 本発明の方法において、提案された抗HIV遺伝子をヒトCD34+ 細胞中に導 入し、続いてこの遺伝子を発現している細胞を精製する。提案された抗HIV遺 伝子のCD34+ 細胞中への導入は、ウイルス仲介ベクター系などの当業界で標準 的な手法によって実施することができる。CD34+ 発現細胞の精製は、薬物の選 択性または抗HIV遺伝子と同時に導入された遺伝子の表面発現などの当業界に おける手法によって容易に実施することができる。ヒトCD34+ 細胞の別個のア リコートに対照遺伝子を導入する。対照遺伝子としては、例えば、提案された抗 HIV遺伝子の発現を妨げるようなフレームシフトがある、提案された抗HIV 遺伝子が含まれる。 致死量または非致死量の放射線照射を受け、CD34+ 細胞の増殖を支持するサ イトカインを発現する無限増殖性のヒト骨髄ストロマ細胞の1用量を与えられた マウスの1または2集団を使用して、提案された抗HIV遺伝子および対照抗H IV遺伝子の効果を分析することができる。2つのマウス集団を使用する場合、 1集団に提案された抗HIV遺伝子を発現するヒトCD34+ 細胞を投与し、他方 の集団にヒトCD34+ 対照細胞を与える。その後マウスをHIVでチャレンジす る。提案された抗HIV遺伝子を発現するヒトCD34+ 細胞およびその子孫の半 減期および生存をCD34+ 対照細胞と比較する。各ベクターに特異的なプライマ ーを用いた、脾臓および骨髄由来の細胞の限界希釈PCRなどの当業界で周知の 手法を使用して、これらの2つの集団を識別することができる。このようにして 、残存する細胞の数を時間の関数として測定し、各ベクターで形質導入された細 胞の半減期を評価することができる。 本系は、自己再生および終生の発現の能力がある、真性幹細胞への治療用遺伝 子の効果的な導入についてのアッセイのために使用することもできる。これは、 CD34+ 細胞の注入の14日後のSCID中で増殖しているヒト脾臓コロニーのP CR分析によって判定することができる。これらのコロニーは最も速くアッセイ し得る多能性幹細胞由来の細胞である。この細胞集団中への効果的な治療用遺伝 子の導入は、レシピエント患者における1回の遺伝子治療を保証するものとなる 。 CD34+ 細胞のわずか0.1−1パーセントが真性多能性幹細胞であり、残り99パ ーセントのCD34+ 細胞は各種の血液系列になることが約束された前駆細胞であ るから、このことは重要である。したがって、CD34+ 集団中での治療用遺伝子 の発現は、この治療用遺伝子が幹細胞中にあることを必ずしも意味するものでは ない。血液中の成熟細胞中での治療用遺伝子の発現は有用なはずだが、これらの 成熟細胞の寿命には限界がある。多能性で自己再生する幹細胞中に治療用遺伝子 を導入することによって、約束された前駆細胞の持続的な供給が保証され、それ によって治療用遺伝子で補強された、血液中の成熟細胞の持続的な供給が保証さ れる。 例を示すと、HIVの場合、抗HIV遺伝子がHIV感染患者の成熟T細胞お よび単球細胞中に存在するはずであり、AIDSウイルスを有しているにもかか わらず、個体が正常な生活をおくることが可能になるであろう。現在のところ、 幹細胞中への治療用遺伝子の導入に関する機能的アッセイは存在せず、霊長類に おける治験または骨髄移植の結果を待たなければならない。SCID脾臓内のヒ ト細胞についての本発明の脾臓コロニーアッセイの使用は、抗ウイルス遺伝子で 補強された、約束された前駆細胞および成熟細胞の持続的供給を保証する、ヒト 幹細胞中への治療用遺伝子の導入に関してアッセイするための方法の開発を大き く促進するであろう。 本発明はさらに、放射線に被曝した患者を治療して回復時間を減少させるため の方法に関する。放射線照射は、白血病を含む各種の型のガンの治療のために、 および骨髄移植を実施している患者の処置のために、一般的に使用されている。 患者が骨髄移植のために放射線を照射する時、前駆細胞(血液中で成熟細胞の起 源となる)およびストロマ細胞(幹および前駆細胞が再生し、増殖し、そして分 化するように育てる)を含めて、彼らのすべての骨髄が破壊される。全身の照射 と患者の中に“新しく”導入された骨髄細胞の増殖/分化の間隙の時間(1−2 ヵ月)が骨髄移植において最も決定的な時間である。この時が、患者が拒絶反応 (宿主対移植片疾患)または日和見感染(不全な免疫系による)を最も起こしや すい時期である。 サイトカイン療法は全身の照射と新しい細胞の増殖/分化の間の時期に使用す るのが有望であることが示され、幹および前駆細胞の増殖に必要なサイトカイン を供給するためには機能的なストロマ層の確立が重要であることを示唆している 。“新しく”導入された骨髄細胞は、結局はそれ自身のストロマ層を確立するこ とになる。しかし、in vitroで増殖させ、“新しい”骨髄とともに導入される、 ス トロマ細胞系の導入は、この不安定な間隙期を減少させるかも知れない。このス トロマ細胞はLof(11-10)細胞系を樹立するのに使用したものと同様の手順によっ て、患者自身の骨髄またはドナーから得ることができる。 本発明の好ましい態様を説明するために、以下の実施例に限定されるものでは ないがこれらの実施例においては、SCIDマウスをヒトおよびサルCD34+ 細 胞で再構成するために、無限増殖性のヒトストロマ細胞系 Lof(11-10)を使用し た。しかし、この論述はサイトカインを産生し得るヒト細胞を用いたいかなるマ ウスの再構成にも一般的に適用されるものと理解されるべきである。 実施例 実施例1: Lof(11-10) 細胞は in vitro でCD34+ 細胞の増殖を支持するサイトカインを 産生する Lof(11-10)は、S.W.Gartner によって記載されているように(クローン化され たSV40初期領域DNAでのトランスフェクション後にトランスフォームしたヒ ト骨髄ストロマ由来の細胞系の樹立および特性決定(1984)(Ph.D.論文、Stan ford University))、SV40ラージT抗原(pSV3gt)を含有するプラス ミドのトランスフェクションによって、ヒト骨髄から樹立されたヒト無限増殖性 のストロマ細胞系である。Lof(11-10)細胞が細胞増殖を支持するために必要とさ れるサイトカインを産生するかどうかを判定するため、Lof(11-10)細胞をT162 組織培養フラスコで10日間増殖させた。その後、逆転写酵素(RT)依存性RN A PCR分析を使用して、Lof(11-10)培養物中のサイトカインmRNA転写物 の発現を検出した。 簡単に述べると、培養したLof(11-10)細胞からRNAzol B RNA単離用溶媒 (Tel-Test)を使用して、製造元の使用説明書にしたがって、全RNAを単離し た。精製したRNA 10μgを、5 mMのMgCl2を含む0.1 M の酢酸ナトリウム5 0 μl反応液中で、RNase を含まないDNase 100 ユニットとともに、37 ℃で 30分インキュベートし、続いてフェノール/クロロホルムで抽出し、エタノール で沈殿させた。DNase で処理した 5μg のRNAサンプルを、0.1 mg/mlのラ ンダムプライマーおよび600 ユニットのモロニーマウス白血病ウイルスRT (Bethesda Research Laboratories)を用いたプライマー伸長によって、cDN Aに変換した。RNAおよびランダムプライマーを70℃で10分加熱し、続いて氷 上で急冷した。その後混合物を、50 mM Tris−HCl(pH 8.3)、40 mM KCl、6 mMMgCl2、10 mM DTTおよび 750μM dNTPを含有する40μ lの反応容量中で、37℃で1時間インキュベートした。PCR増幅の前に、90℃ で 5分加熱することによって、RT反応を停止させた。 逆転写酵素によってcDNAに変換したDNase 処理RNA、およびしなかっ たDNase 処理RNAのアリコートを、逆転写cDNA 2μl 、10 mM Tris −HCl(pH 8.3)、50 mM KCl、2 mMMgCl2、200 mM dNTPおよび Taq DNAポリメラーゼ(Perkin-Elmer/Cetus)1.5 ユニットを含有する 50 μ l の反応容量中で28サイクル、0.5 μM の配列特異的プライマーの対を用いて増 幅させた。使用した特異的プライマーの対は以下のものである: PCRプロファイルは、変性、アニーリング、伸張反応のそれぞれについて、 94℃で1分、60℃で1分、および72℃で3分で構成される。このPCRプロファ イルの開始前に、サンプルを94℃で3分インキュベートし、28回のPCRサイク ルの後に、72℃で20分の最終伸張時間を与えた。 増幅生成物を、0.5μg/mlの臭化エチジウムの存在下で 1.2%アガロースゲル 上で分離し、ナイロン膜に移し、以下の配列を有する32P末端標識オリゴデオキ シリボヌクレオチドでプローブした。 プローブの配列は、増幅のために使用したプライマーの内部で、これに重複し ない領域を示すものとした。ImageQuant ソフトウェア(Molecular Dynamics) を備えたPhosphorlmagerスキャナー(Sunnyvale,CA)を使用して、ナイロン膜か ら直接ハイブリダイゼーションシグナルを定量した。 図1に示す結果は、Lof(11-10)細胞がCD34+ 幹細胞などの細胞の増殖を支持 する、IL-1β、IL-8、M−CSFおよびβ−ACTINなどのサイトカイン を産生することを表している。タンパク質合成阻害剤の存在下では、短命なmR NA様IL-6、GM−CSFおよびG−CSFなどとともにその他のサイトカイ ンもまた発現される。 ELISAイムノアッセイを使用して、Lof(11-10)細胞、5637細胞(ヒト膀胱 原発ガン)およびGCT細胞(ヒト線維性組織球腫(histicytoma))によるサイ トカインの発現を定量した。5637およびGCT細胞系は American Type Culture Collection(ATCC),Rockville,MD から入手することができる。簡単に述べると 、R & D Systems(Minneapolis,MN)のELISAキットを使用して、製造元の使 用説明書にしたがって、培養上清についてサイトカインの測定を実施した。EL I SAの結果を下記表1に示す。 実施例2: Lof(11-10) 細胞は in vitro でCD34+ 前駆細胞を支持する 最初に、ストロマフィーダー層としてLof(11-10)細胞を使用して、ストロマ依 存性の長期骨髄培養を樹立する試みを行なった。しかし、Lof(11-10)細胞の急速 な増殖はこれらの培養物から栄養素を枯渇させ、そのため共存培養系中でのCD 34+ 造血前駆細胞の増殖および分化を阻害した。この問題を回避するため、親株 の Lof(11-10)培養物からの20%馴化培地を含有する14日目の造血メチルセルロ ース培養物を、CD34+ 細胞の増殖ならびにCFU−M,CFU−GおよびCF U−GMコロニーと名付けた細胞集団への分化を支援するために使用した。in v itro アッセイにおいて標準品を使用して、コロニーの成長を検出した。Lof(11- 10)細胞は、5637またはGCT細胞系のいずれかから得られた馴化培地と同様に 、コロニー形成を支援した(表2および3)。5637およびGCT系は両者とも、 そのトランスフォームした表現型のために腫瘍形成の原因となるので、SCID マウスに使用することができない。Lof(11-10)細胞は無限増殖性の化されており 、マウスで腫瘍を形成することはない。 実施例3: Lof(11-10) 細胞によるSCIDマウスの再構成 SCIDマウスを再構成する目的は、原始ヒトCD34+ 造血細胞が付着するた めの基体を提供し、またヒトサイトカインの産生によってヒトCD34+ 細胞を養 育する微細環境を樹立することであった。SCIDマウスを再構成するため、各 マウスに200 ラド(非致死量)または 400ラド(致死量)のガンマ線を照射した 。その中でCD34+ 細胞が再増殖するための内部空間を提供するためにマウスに 放射線を照射した。照射の4時間後に、上記のようにして得られた5×107個のLo f(11-10)細胞をマウスに腹腔内注入(i.p.)した。対照として、Lof(11-10)細胞 を含まない Iscove 培地を2匹のSCIDマウスに注入した。 Lof(11-10)細胞の注入の5−7日後、各マウスに 3〜5 ×105個の精製ヒトC D34+ 細胞または 2〜5 ×105個の精製サルCD34+ 細胞を静脈内(i.v.)注入 した。骨髄由来のCD34+ 細胞は、インフォームドコンセントを行なった健康な ドナーから、局所麻酔下で後部腸骨稜より得た。簡単に述べると、抗凝血剤とし てEDTAを含有する20 ml 注射器中に骨髄を吸引した。骨髄細胞をPBSで1 :2に希釈し、フィコールハイパック密度勾配遠心に供した。間期の単核細胞を PBS中で2回洗浄し、高親和性CD34モノクローナル抗体K6.1を連結させた 磁性粒子を使用して、さらに精製した。このモノクローナル抗体K6.1は、SP-2/ 0-AG14 形質細胞腫細胞((ATCC),Rockville,MD)と生きているKG-1a 細胞(A TCC,Rockville,MD)で免疫しておいたBALB/cByJ マウスからの脾細胞(Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)を融合させることによって製造した。磁気選別の後 、細胞から粒子を化学的に解離させて、この細胞をCD34陽性細胞とした(Kirs henbaum ら、J.Immunol.14:1410,1991)。 2つの細胞集団の注入の間の時間間隔は、CD34+ 細胞の導入の前にLof(11-1 0)細胞を移植を可能にするためであった。初めにSCIDマウスをLof(11-10)細 胞で再構成することによって、CD34+ の造血多能性幹、前駆および血液系列前 駆細胞を育成するために必要なヒトサイトカインが供給された。その上、Lof(11 -10)細胞は再構成中のCD34+ 細胞にとっての細胞の“ホーミング”および初期 の付着(1−10日目)のための基体として作用した。 最初の実験において、SCIDマウスを 400ラドで照射した。Lof(11-10)細胞 を含まない培地を注入したマウス(n=2)は7日目に死亡したが、lof(11-10) 細胞を注入されたマウス(n=5)は照射後50日目まで生存した(図2参照)。 このことは、Lof(11-10)細胞がマウスを再構成し、マウスを致死量の放射線照射 から一時的に保護した結果、マウスの生存が6倍に増加したことを示唆している 。 SCIDマウス中のLof(11-10)細胞の存在は、DNA PCRを使用して確認 した。簡単に述べると、対照またはLof(11-10)細胞を注入したマウスの脾臓およ び骨髄の両方からDNAを精製した。アリコート(1μg)を、10 mM Tris− HCl(pH 8.3)、50 mM KCl、2 mMMgCl2、200 mM dNTPおよびT aq DNAポリメラーゼ(Perkin-Elmer/Cetus)1.5 ユニットを含有する 50 μl の反応容量中で28サイクル、T−抗原またはマウスリボソーム 28S遺伝子に対す る0.5 μM の配列特異的プライマー対によって増幅させた。使用した特異的プ ライマー対は以下のものである: PCRプロファイルは、変性、アニーリング、伸張反応のそれぞれについて、 94℃で1分、60℃で1分、および72℃で3分で構成される。 増幅生成物を、0.5μg/mlの臭化エチジウムの存在下で 1.2%アガロースゲル 上で分離し、ナイロン膜に移し、それぞれT−抗原またはマウス 28S遺伝子に対 する、32P末端標識オリゴデオキシリボヌクレオチドでプローブした。使用した プローブは以下のものである: プローブの配列は、増幅のために使用したプライマーの内部でこれに重複しな い領域を示すものとした。ImageQuant ソフトウェア(Molecular Dynamics)を 備えた Phosphorlmager スキャナー(Sunnyvale,CA)を使用して、ナイロン膜か ら直接ハイブリダイゼーションシグナルを定量した。このDNA PCR実験の 結果を図3に示す。 循環ヒトIL-6の存在は、Lof(11-10)細胞が機能してそれらが保持するヒトサ イトカインを発現していることを表している。ヒトIL-6の測定は、動物の血液 から得られた血漿について、ELISA分析によって行なった(表4)。 注入されたLof(11-10)細胞から発現されたヒトサイトカインが循環しており、 これが静脈内注入されたヒトCD34+ 細胞の移植を支持する能力があることの別 の証拠が、メチルセルロースコロニー形成によって測定される、マウスの骨髄前 駆細胞に対するこれらの影響によって示される(表5)。放射線照射はメチルセ ルロースアッセイにおけるコロニーの数を減少させるが、Lof(11-10)細胞を接種 された動物は放射線照射されてもコロニー形成の回復を示し、Lof(11-10)細胞が 、マウスの前駆細胞 P20への放射線照射の悪影響を逆転させることができる放射 線保護性のサイトカインを発現していることを示唆している。 Lof(11-10)細胞がヒトおよび霊長類のCD34+ 細胞を支持することの究極の証 明は、この動物への二次的な静脈内注射の結果、3週間後にマウス骨髄内にCD 34+ が存在するようになるという事実から得られる(図4)。 SCIDマウスの脾臓および骨髄コンパートメントについて、Lof(11-10)また はCD34+ の移植がこれらのコンパートメント内で生じたかどうかを分析した。 被照射マウスに腹腔内注入したLof(11-10)細胞が脾臓に移動したことがわかった (図3)。 このマウスの骨髄内で検出されたCD34+ 細胞は、これらがクラス2陽性で、 逆転写酵素依存性RNA PCRによって、HLA−DRアルファ転写物を発現 するという事実によって示されたように、ヒトCD34+ 由来であった。Lof(11-1 0)細胞はクラス1陽性であるがクラス2陰性である。骨髄中で観察されたPCR シグナルがCD34+ 由来のものであることの別の証拠は、これらの調製物中にD NA−PCRによってSV40T抗原が検出されなかったことから得られる。逆転 写酵素依存性RNA PCRを使用して、各種の細胞表面受容体の発現に続いて 、骨髄内でのCD34+ 細胞の分化の状態がさらに特性決定されるであろう。 * * * * * これまでに示したすべての刊行物はその全部を参照として本明細書中に取り込 まれている。 上述の発明を明確にし、そして理解する目的でかなり詳細に記載してきたが、 当業者がこの開示を読むことによって、この発明の真の範囲から離れることなく 、形式および詳細の各種の変更をすることができるものと認められよう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U G),AL,AM,AT,AU,BB,BG,BR,B Y,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES ,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,TJ,TM,TT,UA,UG,UZ,VN (71)出願人 ラ ルッサ,ヴァンス アメリカ合衆国 21045 メリーランド州, コロンビア,リトル フォックスイズ ラ ン 6125 (71)出願人 ホール,エリック アメリカ合衆国 09835−0007 エイイー, エフピーオー,ボックス 106,ピーエス シー 452,ナムル−3 (71)出願人 コーシャル,スメシュ アメリカ合衆国 20832 メリーランド州, オルネイ,フィドルリーフ テラス 18603 (72)発明者 モスカ,ジョセフ,ディー. アメリカ合衆国 21042 メリーランド州, エリコット シティー,ブルー バロー ライド 4201 (72)発明者 ガートナー,スザンヌ アメリカ合衆国 20878 メリーランド州, ノース ポトマック,エヴァーメイ コー ト 12305 (72)発明者 ケスラー,スティーブン アメリカ合衆国 94002 カリフォルニア 州,ベルモント,ヴァレー ビュー アベ ニュー 1713 (72)発明者 ラ ルッサ,ヴァンス アメリカ合衆国 21045 メリーランド州, コロンビア,リトル フォックスイズ ラ ン 6125 (72)発明者 ホール,エリック アメリカ合衆国 09835−0007 エイイー, エフピーオー,ボックス 106,ピーエス シー 452,ナムル−3 (72)発明者 コーシャル,スメシュ アメリカ合衆国 20832 メリーランド州, オルネイ,フィドルリーフ テラス 18603

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.i) 致死量または非致死量の放射線をマウスに照射する工程と、 ii)被照射マウスに無限増殖性のヒトまたは非ヒト霊長類の骨髄ストロマ細 胞を投与する工程と、 iii)被照射マウスに精製したヒトまたは非ヒト霊長類の幹細胞を投与する 工程と、 を含む、マウスへのヒトまたは非ヒト霊長類の幹細胞の移植方法。 2.無限増殖性の骨髄ストロマ細胞および精製幹細胞を、同時にまたは順次投与 する、請求項1記載の方法。 3.最初に該無限増殖性の骨髄ストロマ細胞を投与し、次に該精製幹細胞を投与 する工程を含む、請求項2記載の方法。 4.該無限増殖性の骨髄ストロマ細胞の投与の約10日後に、該精製幹細胞を投与 する、請求項3記載の方法。 5.該無限増殖性の骨髄ストロマ細胞の投与の2−7日後に、該精製幹細胞を投 与する、請求項4記載の方法。 6.無限増殖性の骨髄ストロマ細胞を腹腔内注入によって投与する、請求項1記 載の方法。 7.精製幹細胞を静脈内注入によって投与する、請求項1記載の方法。 8.精製幹細胞が精製CD34+ 幹細胞である、請求項1記載の方法。 9.マウスが免疫抑制される、請求項1記載の方法。 10.マウスがSCIDマウスである、請求項9記載の方法。 11.無限増殖性の骨髄ストロマ細胞がSV40ラージT抗原でトランスフェクショ ンされている、請求項1記載の方法。 12.無限増殖性の骨髄ストロマ細胞がLof(11-10)細胞である、請求項11記載の方 法。 13.i) 致死量または非致死量の放射線を第1および第2のマウスに照射する工 程と、 ii)被照射マウスに、CD34+ 幹細胞の増殖を支持するサイトカインを発現 する、無限増殖性のヒトまたは非ヒト霊長類の骨髄ストロマ細胞を投与する工 程と、 iii)提案された治療用遺伝子セグメントを第1グループのヒトCD34+ 幹 細胞中に導入する工程と、 iv)この遺伝子セグメントを発現する第1グループのCD34+ 幹細胞からの 細胞を精製する工程と、 v) 対照遺伝子セグメントを第2グループのヒトCD34+ 幹細胞中に導入す る工程と、 vi)工程(iv)の精製細胞を第1の被照射マウスに投与し、工程(v)の細胞を 第2の被照射マウスに投与する工程と、 vii)第1および第2の被照射マウスをレトロウイルスでチャレンジする工 程と、そして、 viii)第1および第2のマウスからのヒトCD34+ 幹細胞の生存を比較する 工程と、 を含む、レトロウイルスに対する遺伝子治療プロトコルの有効性を試験する方 法。 14.レトロウイルスがHIVである、請求項13記載の方法。 15.第1および第2のマウスがSCIDマウスである、請求項13記載の方法。 16.無限増殖性のヒトまたは非ヒト霊長類の骨髄ストロマ細胞の存在下で、ヒト または非ヒト霊長類のCD34+ 幹細胞が移植された齧歯類からなる、ヒトの造血 の研究のための動物モデル。 17.齧歯類がマウスである、請求項16記載の動物モデル。 18.マウスが免疫抑制されている、請求項17記載の動物モデル。 19.マウスがSCIDマウスである、請求項18記載の動物モデル。 20.無限増殖性の骨髄ストロマ細胞がSV40ラージT抗原でトランスフェクショ ンされている、請求項16記載の動物モデル。 21.無限増殖性の骨髄ストロマ細胞がLof(11-10)細胞である、請求項20記載の動 物モデル。
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