JP2000256537A - エポキシ樹脂組成物、その製造方法、および樹脂付き金属箔、ならびにそれを用いた多層プリント配線板 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、その製造方法、および樹脂付き金属箔、ならびにそれを用いた多層プリント配線板

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JP2000256537A
JP2000256537A JP11064024A JP6402499A JP2000256537A JP 2000256537 A JP2000256537 A JP 2000256537A JP 11064024 A JP11064024 A JP 11064024A JP 6402499 A JP6402499 A JP 6402499A JP 2000256537 A JP2000256537 A JP 2000256537A
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健二 小笠原
Kiyotaka Komori
清孝 古森
Shingo Yoshioka
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行大 八田
Katsuhiko Ito
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃焼時に有害な物質を生成しない難燃性組成
物であり、また樹脂付き金属箔に使用、製造した際に
は、絶縁用樹脂層が割れたり、剥がれたりし難く、か
つ、耐熱性が優れた多層プリント配線板が得られる樹脂
を提供する。 【解決手段】 フェノール性水酸基を有する特定のリン
含有化合物(A)、分子内に平均1.8個以上のエポキ
シ基を有するエポキシ樹脂、及び、粒子径が1.0 μm以
下の架橋ゴムを必須成分として含有するエポキシ樹脂組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層プリント配線
板および多層プリント配線板の製造に用いられるエポキ
シ樹脂、その製造方法、さらにそれを用いた樹脂付き金
属箔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在難燃性エポキシ樹脂は、その自己消
化性、良好な機械的、電気的特性を有しており様々な電
気絶縁材料に使用されている。これら従来の難燃性エポ
キシ樹脂は、樹脂に難燃性を付与するために臭素を主と
するハロゲン系化合物を含有しており、これらを含有す
ることにより成形組成物が自己消化性を有するが、これ
らの組成物が火災等で燃焼した際に、不利な条件下では
ポリ臭素化されたジベンゾダイオキシンおよびフラン等
の人体に悪影響を及ぼす化合物が形成される。さらに、
臭素含有化合物は、その成形組成物を加熱した際に臭素
が分解しやすく、長期耐熱性が悪い。そのため臭素を主
とするハロゲン系化合物を添加しないで、要求される難
燃性を達成することの出来るエポキシ樹脂組成物に対し
て要求があった。
【0003】一方、多層プリント配線板の製造方法とし
て、導電用金属箔にエポキシ樹脂組成物等の絶縁用樹脂
を塗布し乾燥半硬化して絶縁層を形成して成る樹脂付き
金属箔を、回路パターンが形成された内層用基板に積層
成形して多層プリント配線板を製造する方法が知られて
いる。しかし、この半硬化した絶縁用樹脂層は一般に脆
く、取り扱い等において樹脂層に大きな力が加わると樹
脂層が割れ、その樹脂層の割れた粉が金属箔から剥がれ
る場合があった。そして樹脂層が割れたり、剥がれた樹
脂付き金属箔を用いて製造した多層プリント配線板は、
割れたり、剥がれた部分の絶縁部に空洞が生じ、内層回
路と外層回路の間の絶縁性が低下する場合があった。ま
た、樹脂層が剥がれた樹脂付き金属箔を使用した場合、
樹脂層の破断された粉が積層時に浮遊して、金属箔の絶
縁用樹脂層を形成していない側の面に付着し、得られる
積層板の導電用金属箔上に微細な樹脂硬化物が形成され
る場合があった。そして、多層プリント配線板を製造す
るために、この樹脂硬化物が形成された積層板表面の外
層の導電用金属箔をエッチングして導体回路を形成した
場合、樹脂硬化物が形成された部分がエッチングされず
に残って、導体回路間にショート不良が発生する場合が
あり、多層プリント配線板の歩留まりが低いという問題
もあった。
【0004】そのため、フェノキシ樹脂や非架橋のゴム
を可塑性付与成分として樹脂組成物中に適当量配合する
ことにより、樹脂組成物を柔構造とし、絶縁用樹脂層が
割れたり、剥がれたりし難くすることが検討されてい
る。しかし、このような可塑性付与成分を絶縁用樹脂組
成物に配合した樹脂付き金属箔では、得られる樹脂硬化
物のガラス転移温度が低く、それらを積層成形して製造
した多層プリント配線板の耐熱性が低いという問題があ
った。
【0005】そのため、絶縁用樹脂層が割れたり、剥が
れたりし難く、かつ、耐熱性が優れた多層プリント配線
板が得られる樹脂付き金属箔が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題に鑑みてなされたものであって、その目的とする
ところは、燃焼時に有害な物質を生成しない難燃性組成
物であり、また樹脂付き金属箔に使用、製造した際に
は、絶縁用樹脂層が割れたり、剥がれたりし難く、か
つ、耐熱性が優れた多層プリント配線板が得られる樹脂
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明のエポ
キシ樹脂組成物は、 A)下記化学式Aで示されるリン含有化合物(A)、
【0008】
【化7】
【0009】(ただし、Rはフェノール性水酸基を2個
以上有する有機基である。) B)分子内に平均1.8個以上のエポキシ基を有するエ
ポキシ樹脂、及び C)粒子径が1.0 μm以下の架橋ゴムを必須成分として
含有する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のエポキシ樹脂組成物は、
フェノール性水酸基を有する特定のリン含有化合物
(A)と、エポキシ樹脂と、粒子径が1.0 μm以下の架
橋ゴムとを必須成分として含有するので、これから得ら
れる成形品は、難燃性を有し、かつ該リン含有化合物に
よる可塑性と、架橋ゴムによる可塑性により、半硬化
(Bステージ)樹脂や、硬化物において良好な柔軟性を
有し、更に耐熱性、電気特性、耐水性等の特性も非常に
良好である。
【0011】リン含有化合物(A)を表わす化学式Aの
Rが、化学式B、Cに表される基である場合、難燃性と
ともに硬化物において特に耐熱性、電気特性、耐水性等
の特性がさらに良好である。
【0012】
【化8】
【0013】
【化9】
【0014】架橋ゴムとは、従来のブタジエン−アクリ
ロニトリル共重合ゴム等の表面に例えば、カルボキシル
基、グリシジル基等の官能基が分布した状態のものを2
次架橋させ、必要に応じてその後に粉砕したものであ
る。本発明において架橋ゴムとしては、特に限定するも
のではないが、SBR、BR、ブチルゴム、等の化学的
組成を有するものが使用される。特にブタジエン−アク
リロニトリル共重合ゴムを用いた場合、Bステージ樹脂
や、硬化物において適正な可塑性が得られると共に、成
形後のガラス転移点温度(Tg)の低下が無く、樹脂へ
の分散性等も良好である。
【0015】ゴム成分として粒子径が1.0 μmより大き
い架橋ゴムを用いた場合は、分散性が悪く、均一な可塑
性が得られない。従って、粒子径はより微細な方が望ま
しく、0.5 μm以下であれば更に望ましい。ただし、可
塑性付与を効果的に得るためには0.02μm以上である方
が望ましい。また、ゴム成分として非架橋ゴムを用いた
場合は、成形後のガラス転移温度(Tg)の低下が激し
く、また、加熱時の強度低下も激しい。
【0016】粒子径が1.0 μm以下の架橋ゴムの添加重
量が、樹脂固形分に対して0.2phr以上、15phr 以下であ
る場合、適正な可塑性が得られると共に、成形後のガラ
ス転移点温度(Tg)の低下が少ない。15phr よりも多
い場合、樹脂硬化物の強度が低下し、0.2phr未満である
場合、可塑化効果が小さい。より好ましくは3phr 以
上、10phr 以下である。
【0017】エポキシ樹脂としては、分子内に平均1.
8個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が用いられ
るが、中でも、分子内に平均して1.8〜2.5個(約
2個)のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(2官能のエ
ポキシ樹脂)を用いた場合、樹脂の可塑化効果も大き
い。この分子内に平均して1.8〜2.5個(約2個)
のエポキシ基を有するエポキシ樹脂として、ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂を用いた場合、接着力等の良好な
硬化物となり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を用い
た場合、難燃性が得られ易くなり、化学式Dで表される
ビフェニル型エポキシ樹脂を用いた場合、吸水率が低
く、高Tgの硬化物となる。また、化学式Eで表されるナ
フタレン型エポキシ樹脂を用いることにより、Tgが高
い硬化物が得られる。
【0018】エポキシ樹脂として分子内に平均して2.
5〜3.9個(約3個)のエポキシ基を有するエポキシ
樹脂(3官能のエポキシ樹脂)を用いた場合には、Tg
がさらに高い硬化物が得られる。エポキシ樹脂として、
化学式Fで代表される構造を有するエポキシ樹脂を用い
ると低吸水、高Tgの特徴を持つ硬化物が得られる。
【0019】また、エポキシ樹脂としてフェノールノボ
ラック型エポキシ樹脂を用いた場合には、高いTgであ
り、かつ難燃性が得られ易い硬化物となる。これらのエ
ポキシ樹脂の硬化剤としてジシアンジアミドを用いるこ
とにより接着性、耐熱性、電気絶縁性、Tg等、性能バ
ランスの良好な硬化物となる。本発明のエポキシ樹脂組
成物にポリビニルアセタール樹脂を添加して用いると、
更にBステージ樹脂や硬化物に可塑性が付与でき、樹脂
付き金属箔に使用した場合でも樹脂層が割れたり、樹脂
の粉が落ち難くなる。
【0020】これらのエポキシ樹脂組成物のリン成分含
有量が、樹脂固形分全体の0.8 〜5.0 重量%である場
合、良好な難燃性が得られる。最適なリン成分含有量
は、使用するエポキシ樹脂により異なるが、リン成分含
有量が、樹脂固形分全体の0.8 重量%未満の場合、安定
した難燃性が得られ難く、5.0 重量%を越える場合は、
硬化物の特性が悪化したり、架橋ゴム成分の分散性が悪
化する。より好ましくは1.2〜2.5重量%である。
ここでリン成分含有量とは、リン原子の含有量に換算し
た値であり、例えば、分子量324の物質にリン原子が
1個あり、この物質を50wt%含む配合であれば、
4.78wt%のリン成分含有量になる(リン原子の原
子量が約31であるから、31/324 ×0.5 =0.0478)。
【0021】本発明のエポキシ樹脂組成物中に、紫外線
等で蛍光を発する化学物質、または樹脂を含有すること
により、樹脂組成物を用いて製造した多層プリント配線
板の回路形成後の検査の際に、銅箔パターンをシルエッ
ト状に浮き立たせ、これによりパターン形状を認識し、
外観検査が行いやすくなる。本発明の樹脂組成物を製造
する際、全部又は一部のエポキシ樹脂とフェノール性水
酸基を有するリン含有化合物(A)とを、予め3級アミ
ン又はトリフェニルホスフィン等の促進剤を用いて、加
熱、反応させ(予備反応)、その後に、他の成分、すな
わち架橋ゴムや残りのエポキシ樹脂等を配合することに
より、硬化物の耐熱、耐水特性が大幅に向上する上、B
ステージ化樹脂の保存安定性が良くなる。すなわち、長
期保存時の樹脂の粘度上昇が抑えられるため、樹脂付き
金属箔等の状態で長期保管しても成形性等の悪化が無
い。
【0022】この予備反応は、エポキシ樹脂のエポキシ
基1.0 に対してリン含有化合物(A)のフェノール性水
酸基0.3 〜1.0 、より好ましくは0.4 〜0.8 のモル比率
で行うのが、保存安定性、良好な硬化物を得るためには
望ましいが、この限りではない。また、この予備反応に
用いるエポキシ樹脂は、2官能又は3官能のエポキシ樹
脂が望ましく、これらの官能基数の少ないエポキシ樹脂
を予備反応に用いた場合、特に安定した生成物が得られ
る。
【0023】これらのエポキシ樹脂組成物を得る際、溶
媒を用いても良いし、また無溶媒で行っても良い。これ
らのエポキシ樹脂組成物を得る際、硬化促進剤、その他
特性付与剤を必要に応じて添加しても良い。このように
して得られたエポキシ樹脂組成物を、コンマコータ、転
写コーター、カーテンコータ、ダイコータ等を使用して
銅箔、アルミ箔等の金属箔に塗布し、連続、又は非連続
的に加熱乾燥してBステージ化し、絶縁層を形成して樹
脂付き金属箔を得る。
【0024】この際の金属箔厚、絶縁層樹脂厚は任意で
あるが、金属箔としては8 μm〜80μm、絶縁層樹脂厚
としては20μm〜200 μmが一般的である。上記樹脂付
き金属箔を、回路パターン形成済みの内層用基板の両面
又は片面に、樹脂面を対向させて積層し、加熱成形し
て、さらに外層の回路形成を施して多層プリント配線板
が得られる。
【0025】
【実施例】以下の実施例及び比較例では、下記に示す原
料を使用した。 ・エポキシ樹脂1:エポキシ当量190のビスフェノー
ルA型2官能エポキシ樹脂;油化シェルエポキシ(株)
製 商品名エピコート828 ・エポキシ樹脂2:エポキシ当量172のビスフェノー
ルF型2官能エポキシ樹脂;大日本インキ工業(株)製
商品名EPICLON−830 ・エポキシ樹脂3:エポキシ当量195のビフェニル型
2官能エポキシ樹脂;油化シェルエポキシ(株)製 商
品名YX4000H ・エポキシ樹脂4:エポキシ当量150のナフタレン型
2官能エポキシ樹脂;大日本インキ工業(株)製 商品
名EPICLON−HP4032 ・エポキシ樹脂5:エポキシ当量210の3官能型エポ
キシ樹脂;三井化学(株)製 商品名VG3101(化
学式Fの構造を有する化合物) ・エポキシ樹脂6:エポキシ当量190のフェノールノ
ボラック型エポキシ樹脂;大日本インキ工業(株)製
商品名EPICLON−770 ・エポキシ樹脂7:エポキシ当量220の蛍光を発する
4官能エポキシ樹脂;米国シェル(株)製 商品名Ep
on1031 ・エポキシ樹脂8:エポキシ当量400の臭素化ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂(臭素化率=約48wt%);
東都化成(株)製 商品名YDB400 ・エポキシ樹脂9:エポキシ当量220のクレゾールノ
ボラック型エポキシ樹脂;東都化成(株)製 商品名Y
DCN704 ・硬化剤1:試薬ジシアンジアミド 分子量84,理論活性水素当量=21g/eq ・硬化剤2:水酸基当量105g/eq,融点約80℃
のフェノールノボラック樹脂;群栄化学(株)製 商品
名PSM6200 ・リン含有化合物1:化学式Aにおいて、Rが化学式B
である下記の化合物
【0026】
【化10】
【0027】リン含有量=約9.6wt% 三光(株)製 商品名HCA−HQ(水酸基当量約16
2g/eq) ・リン含有化合物2:化学式Aにおいて、Rが化学式C
である下記の化合物 リン含有量=約8.2wt%
【0028】
【化11】
【0029】三光(株)製 商品名HCA−NQ(水酸
基当量約188g/eq) ・リン含有化合物3:フェノール性水酸基を有しないリ
ン含有化合物;旭電化工業(株)製 商品名アデカスタ
ブPFR,リン含有量=約9.8wt% ・微粒子架橋ゴム:ブタジエン−アクリロニトリル共重
合ゴムの架橋ゴムであり(表面に分布するカルボキシル
基を2次架橋させたもの)、粒子径0.5μm以下のゴ
ム;日本合成ゴム社製 商品名XER−91 ・非架橋ゴム:日本合成ゴム社製 商品名N220SH
(上記微粒子架橋ゴムの非架橋ゴム品に相当する) ・ポリビニルアセタール樹脂:電気化学工業社製 商品
名6000AS ・溶媒1:試薬 メチルエチルケトン(MEK) ・溶媒2:試薬 メトキシプロパノール(MP) ・溶媒3:試薬 ジメチルホルムアミド(DMF) ・予備反応エポキシ樹脂1:エポキシ樹脂1(70重量
部)とリン含有化合物1(30重量部)を無溶剤で13
0℃でフラスコ内で加熱攪拌し、その後、促進剤として
の試薬のトリフェニルフォスフィンを0.2重量部を添
加、約3時間加熱攪拌を継続することにより、エポキシ
当量約540g/eq、150℃溶融粘度約40poise
のリン含有量約2.9wt%のエポキシ樹脂を得た。
【0030】・予備反応エポキシ樹脂2:エポキシ樹脂
2(70重量部)とリン含有化合物1(30重量部)を
無溶剤で130℃でフラスコ内で加熱攪拌し、その後、
促進剤としての試薬のトリフェニルフォスフィンを0.
2重量部を添加、約4時間加熱攪拌を継続することによ
り、エポキシ当量約580g/eq、150℃溶融粘度
約100poise のリン含有量約2.5wt%のエポキシ樹
脂を得た。
【0031】以下の実施例及び比較例は、下記に示す方
法で、成形、評価などを行なった。 <エポキシ樹脂組成物の製造> A法:予めメチルエチルケトン溶液に約20wt%で均一
に分散した微粒子架橋ゴムと、リン含有化合物、エポキ
シ樹脂、その他添加剤を、所定の溶媒に投入し、特殊機
加工工業社製「ホモミキサー」で、約1000rpmに
て約90分混合した。その後、硬化促進剤(試薬2-エチ
ル-4- メチルイミダゾール)を配合し、再度約15分攪
拌し、その後脱気して、25℃で約500〜1000po
ise の樹脂ワニスを得た。 B法:先述の予備反応エポキシ樹脂を製造し、その後、
その予備反応エポキシ樹脂、予めメチルエチルケトン溶
液に約20wt%で均一に分散した微粒子架橋ゴムと、リ
ン含有化合物、必要に応じてその他のエポキシ樹脂、そ
の他添加剤を、所定の溶媒に投入し、特殊機加工工業社
製「ホモミキサー」で、約1000rpmにて約90分
混合した。その後、硬化促進剤(試薬2-エチル-4- メチ
ルイミダゾール)を配合し、再度約15分攪拌し、その
後脱気して、25℃で約500〜1000poise の樹脂
ワニスを得た。 <樹脂付き銅箔の製造>銅箔としては、厚さ0.018 mm
の銅箔(古河サーキットフォイル(株)製 商品名G
T)を用いた。
【0032】また、樹脂の塗工、浸透方法は以下の工法
で行なった。銅箔の粗化面に、各種のエポキシ樹脂組成
物を室温にてコンマコーターで塗工し、その後非接触タ
イプの加熱ユニットにより約130〜170℃で加熱す
ることにより溶媒を乾燥、樹脂を成形に適するレベルま
でBステージ化させ、樹脂層厚75〜85μmの樹脂付
き銅箔を得た。 <評価項目> 1.耐黒化処理接着力 上記の様にして製造した樹脂付き銅箔を、厚さ0.2m
mで、表面の銅箔を後述する内層処理(黒化処理)を施
した内層コア両面板(松下電工製CR1766,銅箔厚
35μm)を内層板として、この内層板の上下に上記の
樹脂付き銅箔を1枚ずつ重ねて、170℃90分加熱し
ながら、約30kgf/cm2 で加圧して成形した。
【0033】上記の成形板の、内層の黒化処理板との接
着力を90度ピール試験方法により25℃で評価した。
(JIS C6481) [内層コア両面板の銅箔処理(黒化処理)] 処理液:亜塩素酸ナトリウム50g/L,水酸化ナトリ
ウム10g/L,リン酸三ナトリウム10g/Lの水溶
液 上記の水溶液で両面の銅箔を、95℃60秒酸化処理し
たものを黒化処理板として内層板に用いた。 2.難燃性評価 上記の様にして製造した樹脂付き銅箔を、厚さ0.2m
mで、表面の銅箔を全面除去した難燃性の内層コア両面
板(松下電工製CR1766)を内層板として、この内
層板の上下に上記の樹脂付き銅箔を1枚ずつ重ねて、1
70℃90分加熱しながら、約30kgf/cm2 で加
圧して成形した。この成形板の表面の銅箔を除去し、長
さ125mm、幅13mmに切断し、Under WritersLab
oraoriessの「Test for Flammability of Plastic Mate
rials-UL94 」に従って燃焼挙動のテストを実施した。
また、消炎性の差異を把握するため、消炎までの平均時
間を把握した。 3.吸水率の評価 上記の様にして製造した樹脂付き銅箔を、樹脂面側を張
り合わせ、上記と同様にして成形し、その後、銅箔を除
去し、樹脂厚約160μmの硬化物を得た。この硬化物
を長さ500mm、幅400mmに切断し100℃にて
2時間煮沸し、吸水量を測定した。
【0034】吸水率=(吸水後の重量−吸水前の重量)
/吸水前の重量×100 4.ガラス転移温度(Tg) 上記の吸水率評価用サンプルを、長さ30mm、幅5m
mに切断し、粘弾性スペクトロメータ装置によりtan δ
を測定し、そのピーク温度をTgとした。 5.耐熱性 上記の様にして製造した樹脂付き銅箔を、厚さ0.2m
mで、表面の銅箔を上述の内層処理(黒化処理)を施し
た内層コア両面板(松下電工製CR1766,銅箔厚3
5μm)を内層板として、この内層板の上下に上記の樹
脂付き銅箔を1枚ずつ重ねて、170℃90分加熱しな
がら、約30kgf/cm2 で加圧して成形した。
【0035】このサンプルを50mm×50mmに切断
し、4枚のサンプルを準備し、オーブンにて60分加熱
し、多層板のフクレ等の外観異常を評価し、4枚とも良
品となった温度を把握した。 6.樹脂付き銅箔の樹脂保存安定性 上記の様にして製造した樹脂付き銅箔を40℃の乾燥機
内に放置し、その樹脂のみを削り落とし、130℃の溶
融粘度が、初期値に対して50%増加する時間を評価し
た。 7.樹脂付き銅箔の樹脂割れ角度 上記の様にして製造した樹脂付き銅箔を幅100mmに
切断し、図1のように銅箔を谷折りになるように曲げ、
樹脂の割れ(クラック)が生じる最低角度を評価した。 8.多層板微細回路の検査容易性 上記の様にして製造した樹脂付き銅箔を、回路パターン
形成済みの内層用基板上に、樹脂面を対向させて積層
し、加熱成形して、さらに外層の銅箔の回路形成を施し
て多層プリント配線板を製造した。その回路のパターン
形状検査を実施し、その容易性を比較し、○、×で評価
した。 9.ハロゲン含有率 蛍光X線分析装置により、Cl、Br等の主なハロゲン
の含有量を測定した。 実施例1〜16、比較例1〜6 先述の樹脂付き銅箔の製造方法により製造した各種樹脂
の樹脂付き銅箔について、先述の方法により評価した結
果を表1〜3に示す。各成分の配合重量部を()内に、
エポキシ当量を< >内に、リン含有化合物のフェノー
ル性水酸基当量を< >内に、それぞれ示した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】なお、比較例6では非架橋ゴムを配合して
いるので、架橋ゴム配合品(実施例1)に比べ、熱時
(100℃)の硬度が30%低いものであった。
【0041】
【発明の効果】本発明の様に、エポキシ樹脂と、特殊な
リン含有化合物(A)と、微細架橋ゴムとを用いること
により、Bステージ状態及び硬化物において柔軟性を有
し、かつハロゲン化合物を含有することなく難燃性を有
し、しかも耐熱性に優れた樹脂、又はその樹脂付き金属
箔、これを用いた積層板、多層板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例における樹脂付き銅箔の樹脂割れ角度
の評価方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 樹脂付き銅箔(銅箔面側) 2 樹脂付き銅箔(樹脂側) 3 φ=10mmの円柱棒 4 樹脂割れ角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 卓也 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 小笠原 健二 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 古森 清孝 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 吉岡 愼悟 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 八田 行大 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 伊藤 克彦 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AB17B AB33B AH02A AH03A AH03H AH10A AK23A AK27A AK27J AK29A AK29J AK53A AL01A AL05A AN00A AN00H AT00C BA02 BA03 BA07 BA10B BA10C CA02A CA23A GB43 JB20A JB20H JJ03 JJ07 JK13 JN13A YY00A YY00H 4J002 AC002 BE063 CD001 CD041 CD051 CD061 ET007 EW136 FD147 GQ00 GQ01 4J036 AC02 AD07 AD08 AF06 AF15 DC31 FA04 FB01 FB05 JA08

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A)下記化学式Aで示されるリン含有化合
    物(A)、 【化1】 (ただし、Rはフェノール性水酸基を2個以上有する有
    機基である。) B)分子内に平均1.8個以上のエポキシ基を有するエ
    ポキシ樹脂、及び C)粒子径が1.0 μm以下の架橋ゴムを必須成分として
    含有するエポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記化学式AのRが下記化学式Bで表さ
    れる基である、請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。 【化2】
  3. 【請求項3】 前記化学式AのRが下記化学式Cで表さ
    れる基である、請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。 【化3】
  4. 【請求項4】 前記粒子径が1.0 μm以下の架橋ゴムと
    してブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴムを用い
    る、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 前記粒子径が1.0 μm以下の架橋ゴムの
    添加重量が、樹脂固形分に対して0.2phr以上、15phr 以
    下である、請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記エポキシ樹脂として、分子内に平均
    して1.8〜2.5個のエポキシ基を有するエポキシ樹
    脂を用いる、請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ
    樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記分子内に平均して1.8〜2.5個
    のエポキシ基を有するエポキシ樹脂として、ビスフェノ
    ールA型エポキシ樹脂を用いる、請求項6記載のエポキ
    シ樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記分子内に平均して1.8〜2.5個
    のエポキシ基を有するエポキシ樹脂として、ビスフェノ
    ールF型エポキシ樹脂を用いる、請求項6記載のエポキ
    シ樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記分子内に平均して1.8〜2.5個
    のエポキシ基を有するエポキシ樹脂として、下記化学式
    Dで表されるビフェニル型エポキシ樹脂を用いる、請求
    項6記載のエポキシ樹脂組成物。 【化4】
  10. 【請求項10】 前記分子内に平均して1.8〜2.5
    個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂として、下記化学
    式Eで表されるナフタレン型エポキシ樹脂を用いる、請
    求項6記載のエポキシ樹脂組成物。 【化5】
  11. 【請求項11】 前記エポキシ樹脂として、分子内に平
    均して2.5〜3.9個のエポキシ基を有するエポキシ
    樹脂を用いる、請求項1〜5のいずれかに記載のエポキ
    シ樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 前記エポキシ樹脂として、下記の化学
    式Fで代表される構造を有するエポキシ樹脂を用いる、
    請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。 【化6】
  13. 【請求項13】 前記エポキシ樹脂として、フェノール
    ノボラック型エポキシ樹脂を用いる、請求項1〜5のい
    ずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 エポキシ樹脂の硬化剤としてジシアン
    ジアミドを用いる、請求項1〜13のいずれかに記載の
    エポキシ樹脂組成物。
  15. 【請求項15】 ポリビニルアセタール樹脂を必須成分
    として含む、請求項1〜14のいずれかに記載のエポキ
    シ樹脂組成物。
  16. 【請求項16】 リン成分含有量が樹脂固形分全体の0.
    8 〜5.0 重量%である、請求項1〜15のいずれかに記
    載のエポキシ樹脂組成物。
  17. 【請求項17】 エポキシ樹脂組成物内に蛍光を発する
    組成物または樹脂を含有する、請求項1〜16のいずれ
    かに記載のエポキシ樹脂組成物。
  18. 【請求項18】 請求項1〜17のいずれかに記載のエ
    ポキシ樹脂組成物の製造方法であって、全部又は一部の
    エポキシ樹脂とリン含有化合物(A)とを予め反応させ
    た後に、他の成分を配合する、請求項1〜17のいずれ
    かに記載のエポキシ樹脂組成物の製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項1 〜17のいずれかに記載のエ
    ポキシ樹脂組成物、又は請求項18の製造方法で製造さ
    れたエポキシ樹脂組成物を金属箔上に塗布、乾燥半硬化
    して得られる樹脂付き金属箔。
  20. 【請求項20】 前記金属箔として銅箔を用いた、請求
    項19記載の樹脂付き金属箔。
  21. 【請求項21】 回路パターン形成済みの内層用基板
    に、請求項19または20記載の樹脂付き金属箔を積層
    成形してなる多層プリント配線板。
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