JP2009188163A - 多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム、多層プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム、多層プリント配線板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高流動性と高信頼性を有する低熱膨張係数のエポキシ樹脂組成物を実現させた多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム及び多層プリント配線板を提供する。
【解決手段】(A)固体状多官能型エポキシ樹脂、(B)液状エポキシ樹脂、(C)重量平均分子量が30,000以下のフェノール性水酸基含有ポリアミドイミド及び(D)無機フィラーを含有する絶縁樹脂組成物の半硬化状態のフィルムが支持体表面に形成されてなる多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム及び、片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に絶縁樹脂層及び回路が逐次積層されてなり、絶縁樹脂層が前記絶縁樹脂組成物の硬化物であり、熱膨張係数が40ppm /K以下である多層プリント配線板である。
【選択図】なし

Description

本発明は、多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム、多層プリント配線板およびその製造方法に関し、高接続信頼性を有する低熱膨張係数のエポキシ樹脂組成物を実現させた多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム、多層プリント配線板およびその製造方法に関する。
多層プリント配線板を製造するには、片面または両面に内層回路を形成した絶縁基板上に、プリプレグと呼ばれるガラス布にエポキシ樹脂を含浸し半硬化状態にした材料と銅箔とを順次重ねて熱プレスにより積層一体化した後、ドリルで層間接続用のスルーホールと呼ばれる穴をあけ、スルーホール内壁と銅箔表面上に無電解めっきを行って、必要ならば更に電解めっきを行って回路導体として必要な厚さとした後、不要な銅をエッチングにより除去して多層プリント配線板を製造するのが一般的であった。
ところが、近年、電子機器の小型化、軽量化、多機能化が一段と進み、これに伴い、LSIやチップ部品等の高集積化が進みその形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。この為、多層プリント配線板については、電子部品の実装密度を向上するために、微細配線化の開発が進められている。この要求に合致する多層プリント配線板の製造手法として、ガラスクロスを含まない絶縁樹脂をプリプレグの代わりに絶縁層として用い、必要な部分のみビアホールで接続しながら配線層を形成するビルドアップ方式があり、軽量化や小型化、微細化に適した手法として主流になりつつある。
また、環境意識の高まりから燃焼時に有害な物質を発生する可能性がある材料は電子部品も含めて規制する動きが活発になっている。従来の多層プリント配線板には、燃焼時に有害な物質を発生する可能性があるブロム化合物が難燃化のために使用されてきたが、近い将来にブロム化合物の使用が困難になると予想される。
さらに、電子部品を多層プリント配線板に接続するために一般的に用いられるはんだについても、鉛を有さない鉛フリーはんだが実用化されつつある。この鉛フリーはんだは、従来の共晶はんだよりも使用温度が約20〜30℃高くなることから、従来にも増して材料には高いはんだ耐熱性が必要になっている。
さらに、前記ビルドアップ構造の多層プリント配線板において、高密度化をするために層数の増加と共に、ビア部分のフィルド化、スタック化が進んでいる。しかしながら、多層プリント配線板の薄型化のためにガラスクロスを含まない絶縁樹脂層は、熱膨脹率が大きい傾向を示すため、フィルド化、スタック化したビアの銅との熱膨張係数の差が、接続信頼性に大きく影響し,接続信頼性の懸念材料になっている。このようなことから、絶縁樹脂には熱膨脹率の小さい材料が要求されるようになってきた。
また、配線を埋め込むために,樹脂の流動性も重要になっている。一般に高分子材料を用いた樹脂組成物は、樹脂の溶融粘度が高くなり、回路埋め込み性に問題が生ずることがある。
一般に熱膨脹率を小さくするには、熱膨脹率の小さい無機フィラーを充填し、絶縁樹脂層全体の熱膨張係数を低下させる手法が用いられてきた。(例えば特許文献1参照)
しかしながら、多量の無機フィラーを充填することにより、流動性の低下や、絶縁信頼性の低下など、多くの問題が発生する。
一方で、熱膨脹率が小さいとされている樹脂として、液晶ポリマーなどを適用された例があるが(例えば特許文献2参照)、同様に流動性が低く、多層化が困難であったり、銅との接着力が低いなどの課題がある。
また、半導体パッケージの小型化・高密度化に伴って、ラインの微細化と供に、高多層化やビアのフィルド化、スタック化が要求されている。このようなビアにおいては、その接続信頼性の観点から、銅の熱膨張係数17ppm/Kに対する層間絶縁層の熱膨張係数の差が非常に影響する。
従って、多層プリント配線板用の絶縁樹脂を、銅の熱膨脹率に近い低熱膨張係数とし、熱サイクル試験などで接続信頼性を確保し、高密度化に対応可能な多層プリント配線板が期待されている。
特開2005−154727号公報 特開2005−150424号公報
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、高接続信頼性を有する低熱膨張係数のエポキシ樹脂組成物を実現させた多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム、多層プリント配線板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記のような課題を解決するために検討を進めた結果、多層プリント配線板における絶縁層として、固体状多官能エポキシ樹脂、液状エポキシ樹脂、フェノール性水酸基含有ポリアミドイミドおよび無機フィラーを必須成分として含んだ絶縁樹脂を用いれば、高接続信頼性を確保できる低熱膨脹率の絶縁樹脂組成物が得られることを見出した。
すなわち本発明は、以下の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム、多層プリント配線板およびその製造方法を提供するものである。
1.(A)固体状多官能型エポキシ樹脂、(B)液状エポキシ樹脂、(C)重量平均分子量が30,000以下のフェノール性水酸基含有ポリアミドイミド及び(D)無機フィラーを含有する絶縁樹脂組成物の半硬化状態のフィルムが支持体表面に形成されてなることを特徴とする多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
2.前記絶縁樹脂組成物が全固形分中の含有量として、(D)無機フィラーが5〜30容量%であり、(D)無機フィラーを除く成分中で、(A)固体状多官能型エポキシ樹脂が20〜60質量%、(B)液状エポキシ樹脂が5〜30質量%、(C)重量平均分子量が30,000以下のフェノール性水酸基含有ポリアミドイミドが5〜40質量%である上記1のフィルム。
3.前記絶縁樹脂組成物が、さらに難燃剤として(E)リン含有フェノール樹脂を含有し、ハロゲン化合物を含有しないものである上記1又は2の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
4.(E)リン含有フェノール樹脂中のリン含有量が(D)無機フィラーを除く前記絶縁樹脂組成物の固形分中で0.7〜3質量%である上記3の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
5.前記絶縁樹脂組成物が、さらに(F)架橋ゴム粒子を含有する上記3又は4の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
6.(A)固体状多官能型エポキシ樹脂および(B)液状エポキシ樹脂と(F)架橋ゴム粒子との固形分質量比が80/20〜98/2である上記5の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
7.片面又は両面に内層回路を有する基板の内層回路上に絶縁樹脂層及び回路が逐次積層されている多層プリント配線板であって、絶縁樹脂層が上記1〜6のいずれかの多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムにおける絶縁樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする多層プリント配線板。
8.絶縁樹脂層の熱膨張係数が40ppm/K以下である上記7の多層プリント配線板。
9.片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に、上記1〜6のいずれかに記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムであって、支持体が金属箔でない絶縁フィルムの、半硬化状態の絶縁樹脂組成物のフィルムを内層回路に接して積層する工程(イ)、支持体を剥離除去した後に加熱することにより半硬化状態の絶縁樹脂組成物を硬化して絶縁樹脂層を得る工程(ロ)および絶縁樹脂層表面に回路を形成する工程(ハ)を有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
10.工程(ロ)と工程(ハ)との間に、絶縁樹脂層の表面を酸化性粗化液で粗面処理する工程を有する上記9の多層プリント配線板の製造方法。
11.工程(ハ)が、金属めっき法により回路を形成することからなる上記9又は10の多層プリント配線板の製造方法。
12.工程(イ)が、片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に、上記1〜6のいずれかの多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムであって、支持体が金属箔である絶縁フィルムの、半硬化状態の絶縁樹脂組成物のフィルムを内層回路に接して積層する工程(イ)、加熱することにより半硬化状態の絶縁樹脂組成物を硬化して絶縁樹脂層を得る工程(ロ)、金属箔をエッチングして回路を形成する工程(ハ)を有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
本発明の支持体付き絶縁フィルムを用いた多層プリント配線板は、絶縁樹脂層の熱膨張係数が低く,難燃性に優れ、良好な接続信頼性を有し、半導体パッケージの高密度化・ラインの微細化に対応可能な特性に優れたものである。
また、本発明によれば、はんだ耐熱性にも優れており環境に配慮した鉛フリーはんだの使用が可能な多層プリント配線板を製造することが可能である。また、環境に悪影響を与える可能性があるハロゲン化合物を一切使用しないで難燃性を実現させることができる。
まず、本発明の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムおよび多層プリント配線板に使用される絶縁樹脂組成物について説明する。
(A)固体状多官能型エポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有する常温で固体のエポキシ樹脂であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられる。
(A)固体状多官能型エポキシ樹脂の含有量は、(D)無機フィラーを除く絶縁樹脂組成物の全固形分中で20〜60質量%であるのが好ましい。20質量%以上とすることにより、必要なはんだ耐熱性が得られ、60質量%以下とすることにより回路導体との必要な接着強度が得られる。
本発明の方法に用いられる(B)液状エポキシ樹脂としては、例えば、常温で液体のビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂などが挙げられる。
(B)液状エポキシ樹脂の含有量は、(D)無機フィラーを除く絶縁樹脂組成物の全固形分中で5〜30質量%であるのが好ましい。5質量%以上とすることにより、必要な樹脂の流動性が得られ、30質量%以下とすることによりガラス転移温度(Tg)が高くなり、必要な耐熱性が得られる。
(C)成分のフェノール性水酸基含有ポリアミドイミドは、分子構造中にアミド基およびイミド基の他にエポキシ樹脂と反応性のあるフェノール性水酸基を有するものである。ポリアミドイミド樹脂は、イミド環に起因した高ガラス転移温度(Tg)化が容易なこと、アミド基に起因した金属類との高接着性を示すこと、溶剤に可溶なこと等から、多くの研究が行われている。
ポリアミドイミド樹脂の製造方法としては、例えば、無水トリメリット酸と、芳香族ジイソシアネートとを反応させる工程を備える、いわゆるイソシアネート法が知られている。このイソシアネート法の応用例としては、特許第2897186号公報及び特開平4−182466号公報に記載のように、芳香族トリカルボン酸無水物と芳香族ジアミンとをジアミン過剰条件で反応させ、次いでジイソシアネートを反応させる方法がある。
(C)成分のフェノール性水酸基含有ポリアミドイミドは、上記の如き方法で製造される一般のポリアミドイミドの特性を損なうことなく、さらにエポキシ基と反応可能なフェノール性水酸基を導入したものである。フェノール性水酸基の導入方法として、例えば上記公報記載の方法において芳香族トリカルボン酸無水物と芳香族ジアミンとをジアミン過剰条件で反応させ、次いでジイソシアネートを反応させる際に、同時にフェノール性水酸基を有する芳香族ジカルボン酸、例えば、ヒドロキシイソフタル酸等を共重合させる方法などがある。
本発明においては、フェノール性水酸基含有ポリアミドイミドの重量平均分子量が30,000以下であることが必要である。重量平均分子量が30,000を超えると、樹脂の流動性が低下して回路埋め込み性等で問題が生じることがある。
重量平均分子量を制御するには,上記ジアミン類,カルボン酸類,イソシアネート類の配合量を調整することにより可能である。
(C)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミドの含有量は、(D)無機フィラーを除く絶縁樹脂組成物の全固形分中で5〜40質量%であることが好ましい。5質量%以上とすることにより、樹脂の熱膨張係数を低く保つことができ、40質量%以下とすることにより金属めっき時に、緻密な粗化形状を保つことができるからである。
(D)無機フィラーとしては、例えば、シリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、エーロジル、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらは単独でもあるいは混合して用いても良い。なお、難燃性や低熱膨張の点から水酸化アルミニウム又はシリカを単独あるいはそれらを併用して用いることが好ましい。これらの無機フィラーは、分散性を高める目的にカップリング剤で処理しても良く、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等既知の混練方法により分散しても良い。
(D)無機フィラーの含有量は、絶縁樹脂組成物の全固形分中で5〜30容量%にするのが好ましく、さらに好ましくは20〜25容量%である。5容量%以上とすることにより低熱膨脹への効果が得られ、また30容量%を以下とすることにより粗化後の表面粗さが大きくなって微細粗化形状に不適になることがない。
任意成分である(E)リン含有フェノール樹脂は、2官能フェノール樹脂と有機リン化合物を反応して得られたものであり、例えば、三光株式会社製のHCA−HQ(商品名)等が使用できる。その含有量は、リン含有量が無機フィラーを除く絶縁樹脂組成物の固形分中で0.7〜3質量%の範囲になるようにするのが難燃性を発現するために好ましい。リン含有量が0.7質量%以上とすることにより必要な難燃性の発現が得られ、リン含有量が3質量%以下とすることにより、必要なはんだ耐熱性が得られる。
難燃剤として(E)リン含有フェノール樹脂を使用し、ハロゲン化合物を使用しないことにより、環境に配慮した難燃性の絶縁樹脂とすることができる。
任意成分である(F)架橋ゴム粒子は、後述するデスミア処理によって、硬化後の絶縁樹脂層表面に微細な凹凸を形成し、めっきによって形成した配線との接着強度を向上させるために用いる。また、架橋ゴム粒子は、多層プリント配線板用の接着フィルムの耐折り曲げ性の向上に寄与するため、その取扱い性が向上する利点もある。
(F)架橋ゴム粒子としては、例えば、アクリロニトリルとブタジエンの共重合物、具体的には、アクリロニトリルとブタジエンとを共重合したアクリロニトリルブタジエンゴム粒子(NBR)や、アクリロニトリルとブタジエンとアクリル酸などのカルボン酸とを共重合したカルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、ポリブタジエンやNBRをコアとしアクリル酸誘導体をシェルとしたブタジエンゴム−アクリル樹脂のコア−シェル粒子が使用可能である。
架橋ゴム粒子の含有量は(A)多官能エポキシ樹脂および(B)液状エポキシ樹脂と(F)架橋ゴム粒子の固形分配合比(質量比、以下同じ。)が80/20〜98/2であることが好ましい。固形分配合比を80/20以上とすることにより、必要なはんだ耐熱性が得られ、固形分配合比を98/2以下とすることにより、塗膜の必要な引っ張り伸び率が得られる。
本発明で用いられる絶縁樹脂組成物においては、(C)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミドや(E)リン含有フェノール樹脂が硬化剤としての作用があるが、必要に応じ、他の硬化剤を添加することができる。他の硬化剤には、各種フェノール樹脂類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジット類などが使用できる。フェノール樹脂類としては、ノボラック型フェノール樹脂、クレゾール型フェノール樹脂などが使用でき、酸無水物類としては、無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルハイミック酸等が使用でき、アミン類として、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、グアニル尿素等が使用できる。アミン類としては、回路導体との接着性からジシアンジアミドが好ましく、耐熱性や絶縁性も考慮するとジシアンジアミドとノボラックフェノールを併用することがさらに好ましい。
硬化剤の使用量は、(C)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミドと(E)リン含有フェノール樹脂を含めた合計量として、(A)固体状多官能エポキシ樹脂および(B)液状エポキシ樹脂のエポキシ基の合計量に対して0.5〜1.5当量であるのが好ましい。(C)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミドと(E)リン含有フェノール樹脂を含めた硬化剤の合計量を、エポキシ基の合計量に対して0.5当量以上とすることにより金属箔との必要な接着性が得られ、1.5当量以下とすることにより必要なガラス転移温度(Tg)や絶縁性が得られる。
また、本発明で使用される絶縁樹脂組成物には、硬化剤の他に、必要に応じて反応促進剤を添加することができる。反応促進剤としては潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類やBF3アミン錯体が使用できる。反応促進剤としては、絶縁樹脂組成物の保存安定性やBステージ状(半硬化状)の絶縁樹脂組成物の取り扱い性及びはんだ耐熱性の点から2−フェニルイミダゾールや2−エチル−4−メチルイミダゾールが好ましく、その配合量は(A)固体状多官能エポキシ樹脂および(B)液状エポキシ樹脂の合計量に対して0.2〜0.6質量%が最適である。0.2質量%以上とすることにより、粗化量が増加しないので微細配線形成に好適で、且つ、はんだ耐熱性が十分となる。0.6質量%以下とすることにより、絶縁樹脂組成物の保存安定性やBステージ状の絶縁樹脂組成物の取り扱い性が良好である。
本発明で使用される絶縁樹脂組成物は、前記の必須成分及び任意成分の他に、通常の多層プリント配線板用樹脂組成物に使用されるチキソ性付与剤、界面活性剤、カップリング剤等の各種添加剤を適宜配合できる。添加剤を用いる際は充分に撹拌した後、泡がなくなるまで静置して多層プリント配線板用絶縁樹脂組成物を得ることができる。
絶縁樹脂組成物の使用に際しては溶剤中で混合して希釈または分散させてワニスの形態とするのが作業性の点で好ましい。この溶剤には、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等を使用できる。これらの溶剤は、単独あるいは混合系でも良い。
溶剤使用量は、絶縁樹脂組成物の塗膜形成の設備に合わせてその使用量を調整すれば良い。例えば絶縁樹脂組成物のワニスをコンマコータでキャリアフィルムや金属箔に塗工する場合は、ワニス中の固形分濃度が30〜60質量%となるように溶剤使用量を調節することが好ましい。
本発明の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムは、上述の絶縁樹脂組成物の半硬化状態のフィルム(以下、「半硬化フィルム」と云う。)が支持体表面に形成されてなるものである。
半硬化フィルムが表面に形成される支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフテレート(以下、「PET」とも云う)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔などの金属箔を用いることができる。支持体には、コロナ処理や離型処理を施してあってもよい。支持体の厚さは、通常、10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmである。
支持体付き絶縁フィルムを得るには、例えば、絶縁樹脂組成物のワニスを前記のように作製し、このワニスを支持体上に塗布し、乾燥して半硬化状態とする方法が挙げられる。また、ワニスを支持体上に塗布する場合はコンマコータ、バーコータ、キスコータ、ロールコーター等が利用でき、塗布厚によって適宜使用される。塗布厚、塗布後の乾燥条件等は使用目的に合わせて適宜選択されるため特に制限するものではないが、一般にワニスに使用した溶剤が80質量%以上揮発する条件とすることが好ましい。
本発明の多層プリント配線板は、片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に絶縁樹脂層及び外層回路が逐次積層されており、絶縁樹脂層には、前記絶縁樹脂組成物の硬化物である、本発明の支持体付き絶縁フィルムの半硬化フィルムが硬化してなる絶縁樹脂層であってもよい。前記絶縁樹脂組成物は多層プリント配線板作製時の熱履歴により硬化する。
本発明の多層プリント配線板における絶縁樹脂層の熱膨脹率は40ppm/K以下であることが好ましい。なお、下限は他の特性に支障が生じない限り、特に制限されない。40ppm/K以下とすることにより、熱サイクル試験などの温度変化で金属箔との熱膨脹率の差により絶縁樹脂内部にクラックやビア内のめっき金属にクラックが発生することがなく、接続信頼性が大きくなる。
次に、本発明の多層プリント配線板の製造方法を説明する。図1は本発明の多層プリント配線板の製造方法を説明するための(a)〜(f)工程の断面図である。
本発明の多層プリント配線板の製造方法では、まず、片面または両面に第一の回路(内層回路)1を形成した基板2が使用される[図1(a)参照]。
この基板としては、通常のプリント配線板において用いられている公知の積層板、例えば、ガラス布−エポキシ樹脂、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス紙−エポキシ樹脂等が使用でき特に制限はない。また、ビスマレイミド−トリアジン樹脂を含浸させたBT基板、さらにはポリイミドフィルムを基材として用いたポリイミドフィルム基板等も用いることができる。
内層回路1を形成する方法については、特に制限はなく、金属箔と前記基板を張り合わせた金属張り積層板を用い、金属箔の不要な部分をエッチング除去するサブトラクティブ法や、前記基板の必要な個所に無電解めっきによって回路を形成するアディティブ法等、公知の方法を用いることができる。
なお、図1(a)には基板2の片面に内層回路1を形成した例を示すが、両面金属張積層板を用いて内層回路1を基板2の両面に形成することもできる。
次に、必要に応じて内層回路1の表面を接着性に適した状態に表面処理する。この手法も、特に制限はなく、例えば、次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ水溶液により内層回路1の表面に酸化銅の針状結晶を形成し、形成した酸化銅の針状結晶をジメチルアミンボラン水溶液に浸漬して還元するなど公知の製造方法を用いることができる。
本発明の多層プリント配線板の製造方法は、片面または両面に第一の回路を有する基板の内層回路上に、前記の絶縁樹脂組成物のフィルムを積層する工程(イ)、絶縁樹脂組成物を硬化して絶縁樹脂層を得る工程(ロ)および絶縁樹脂層表面に第二の回路を形成する工程(ハ)を有するものである。
上記により内層回路を有する基板を製造した後、工程(イ)により片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に絶縁樹脂組成物の層3を形成する[図1(b)参照]。
図1(b)では、内層回路(第一の回路)1は基板2の片面に形成されているが、前述のように、両面に形成されていても良く、この場合は絶縁樹脂組成物の層3を両方の内層回路上に形成できる。また、この形成方法に特に制限はない。例えば、前記した本発明の支持体付き絶縁フィルムを絶縁樹脂組成物の層3に積層して形成する方法が挙げられる。
前述のように、支持体付き絶縁フィルムの支持体としてはPET等のプラスチックフィルムや金属箔等が挙げられるが、絶縁フィルム硬化前に支持体を剥離除去する場合は離型性のプラスチックフィルム等が好ましい。また、支持体が銅箔等の金属箔の場合は、剥離せずに後述する第二の回路を形成するための金属箔として引き続き用いることができる。支持体付き絶縁フィルムは、半硬化フィルムを内層回路と接して重ね、ラミネート法やプレス装置を用いて積層される。
その後、半硬化フィルムを加熱硬化させて第一の絶縁樹脂層3とする工程(ロ)を行う[図1(b)参照]。その硬化温度は後のめっき処理や金属箔のアニール処理などを考慮した温度や時間で行う。すなわち、あまり硬化を進めると後のめっき処理時に金属箔との接着性が低下したり、反面硬化が足りないとめっき処理時のアルカリ処理液に浸食されめっき液に溶解するような現象が生じたりする。従って、150〜190℃で30〜90分間の熱処理を与えて硬化するのが望ましい。
なお、工程(イ)の加圧積層工程と工程(ロ)の加熱硬化工程とは同時でも別に行ってもよい。加圧積層条件は、半硬化フィルムに内層回路1の凹凸が埋め込まれれば良く、通常0.5〜20MPaが好ましい。
上記工程において、さらに、内層回路(第一の回路)と続く工程で形成される第二の回路を層間接続するために第一の絶縁樹脂層3にビアホールを形成することもできる[図1(b)参照]。
このビアホールの形成手法として特に制限はなく、レーザ法やサンドブラスト法などを用いることができる。
次に、以下のような回路加工を施すことにより第二の回路4を形成し、さらに内層回路(第一の回路)1と第二の回路4との層間接続を形成する工程(ハ)を行う[図1(c)参照]。
なお、第二の回路4を形成するための手法としては、(1)前記の第一の絶縁樹脂層表面に無電解めっき用の触媒を付与して無電解めっきにより全面に金属(回路導体)を析出させ、必要な場合には電気めっきによって回路導体を必要な厚さにした後、不要な箇所をエッチング除去して形成する方法、(2)めっき触媒を含有した第一の絶縁樹脂層を用いて、めっきレジストを形成して必要な箇所のみ無電解めっきにより金属を析出させる方法及び(3)めっき触媒を含有しない第一の絶縁樹脂層を粗化し、めっき触媒を付与した後、めっきレジストを形成して必要な箇所のみ無電解めっきにより金属を析出させる方法等を用いることができる。
前記(1)の方法を更に説明すると、まず、第二の回路4を第一の絶縁樹脂層3上にめっき法で形成する場合は、予め第一の絶縁樹脂層3を粗化処理するのが好ましい。粗化液としては、クロム/硫酸粗化液、アルカリ過マンガン酸粗化液、フッ化ナトリウム/クロム/硫酸粗化液、ホウフッ酸粗化液などの酸化性粗化液を用いることができる。
粗化処理としては、例えば、先ず膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルと苛性ソーダとの水溶液を70℃に加温して第一の絶縁樹脂層3を5分間浸漬処理する。次に、粗化液として、過マンガン酸カリウムと苛性ソーダとの水溶液を80℃に加温して10分間浸漬処理する。引き続き、中和液、例えば塩化第一錫(SnCl2)の塩酸水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和する。
粗化処理後、めっき触媒付与処理を行う。パラジウムを付着させるめっき触媒付与処理では、先ず、絶縁樹脂層を塩化パラジウム系のめっき触媒液に浸漬する。
次に、無電解めっき液に浸漬して第一の絶縁樹脂層3の表面全面(ビアホールを形成した場合はビアホール内面を含む)に厚さが0.3〜1.5μmの無電解めっき層(導体層)を析出させる。必要により、更に電気めっきを行って必要な厚さとする。無電解めっきに使用する無電解めっき液は、公知の無電解めっき液を使用することができ、特に制限はない。また、電気めっきについても公知の方法によることができ特に制限はない。これらのメッキは銅メッキであることが好ましい。
さらにエッチングにより、第二の回路4を形成する。なお、内層回路(第一の回路)1と第二の回路4の層間接続は、ビアホール内面の無電解めっき層により形成される。
また、絶縁樹脂組成物層の形成に金属箔付絶縁フィルムを用いた場合は、第二の回路4をエッチング法を用いて形成する。このエッチング法を用いる手法に特に制限はなく、厚み3μm程度の極薄金属箔を用いてパターンめっき法も用いることができる。この金属箔付絶縁フィルムを用いた場合の層間接続は、レーザ法等の方法でビアホールを設けた後、メッキ等により形成できる。
さらに、第一の回路1の表面処理と同様にして第二の回路4の表面処理を行い、前記第一の絶縁樹脂層3の形成と同様にして第二の絶縁樹脂層5を形成する[図1(d)参照]。むろん、この工程においても、前記の支持体付き絶縁フィルムを使用する。
以下、更に同様の工程を繰り返して絶縁樹脂層と回路とを交互に形成することにより、層数の多い多層プリント配線板を製造することができる。
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限されるものではない。
実施例および比較例で作製した絶縁樹脂組成物の硬化物、支持体付き絶縁フィルム及び多層プリント配線板について、熱膨張係数、接着強度、288℃はんだ耐熱性試験、接続信頼性試験および難燃性試験を実施した。
(1)熱膨張係数
各実施例及び比較例で得た支持体付き絶縁フィルムを銅箔にラミネートし、180で1時間乾燥後、銅箔を除去して試験片を作製し、熱膨張係数を測定した。測定は、TMA2940サーモメカニカルアナライザー(株式会社TAインスツルメンツ社製、商品名)を用い、試験片を3mm角程度に切断し、加重5g、昇温速度10℃/分の条件で250℃まで加熱後、−30℃まで冷却してひずみを除去し、再度、加重5g、昇温速度10℃/分の条件で300℃まで加熱して、その熱膨張量と試験片の長さから、熱膨張係数を算出した。
(2)接着強度(ピール強度)
各実施例及び比較例で作製した多層プリント配線板の第四の回路の一部に幅10mm、長さ100mmの部分を形成し、この一端を回路/絶縁樹脂層の界面で剥がしてつかみ具でつかみ、室温中で垂直方向に引張り速度約50mm/分で引き剥がした時の荷重を測定した。
(3)288℃はんだ耐熱性
各実施例及び比較例で作製した多層プリント配線板を25mm角に切断し、288±2℃に調整したはんだ浴に浮かべ、ふくれが発生するまでの時間を調べた。
(4)接続信頼性
各実施例及び比較例で作製した多層プリント配線板を使用して、−55〜125℃の冷熱サイクル試験(それぞれ15分)を行い,100サイクルごとに接続抵抗を測定し,接続不良の有無を確認した。
(5)難燃性試験
各実施例及び比較例において、内層回路として用いた前記ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板にエッチングを施して銅箔を完全に剥離した基板を作製し、この基板の両面に、片側の絶縁樹脂厚150μmとなるように前記ワニスを塗布して絶縁樹脂組成物層を形成した。そして、180℃で1時間の加熱を行うことにより、難燃性の試験片を作製した。試験法は、UL−94法に従い試験した。
製造例1(フェノール性水酸基含有ポリアミドイミドAの合成)
ディーンスターク還流冷却器、温度計及び撹拌器を備えた2Lのセパラブルフラスコに、芳香族ジアミン化合物である2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン〕〔和歌山精化工業(株)社製、商品名:BAPP〕30.8g、無水トリメリット酸(TMA)28.9g及び非プロトン性極性溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP) 230g を投入して反応溶液とし、これを80℃で30分間撹拌した。
続いて、反応溶液に水と共沸可能な芳香族炭化水素であるトルエン200mLを加え、160℃ で2時間還流した。水分定量受器に理論量の水が得られ、水の流出が見られなくなっていることを確認後、水分定量受器中の水とトルエンを除去し、反応溶液の温度をさらに180℃ まで上昇させて、反応溶液中のトルエンを除去した。
その後、反応溶液を室温まで冷却してから、5−ヒドロキシイソフタル酸 9.1g、2,4−ジヒドロキシ安息香酸7.1g、ジイソシアネートである、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)37.6gを加え、反応溶液を170℃ に加熱して2時間反応させ、フェノール性水酸基含有ポリアミドイミド樹脂AのNMP溶液を得た。得られたフェノール性水酸基含有ポリアミドイミド樹脂Aのゲルパーミッションクロマトグラム(GPC)での分子量(Mw)は22,000であり、理論上のフェノール当量は654であった。
実施例1
(1)下記組成の絶縁樹脂組成物のワニスを作製した。このワニスを厚さ38μmのPETフィルム(支持体)上に塗工し、130℃で5分乾燥して膜厚40±3μmの支持体付き絶縁フィルムのロールを作製した。さらに、この支持体付き絶縁フィルムと前記回路板を、半硬化フィルムを回路板の内層回路と接する面側に重ね、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機株式会社製、商品名:MVLP−500)を用いて積層した。
[組成]
(A)ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:NC−3000H) 60質量部
(B)液状エポキシ樹脂:(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:JER−806) 20質量部
(C)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミド樹脂A 30.9質量部
〔製造例1のNMP溶液(固形分30質量%)103質量部を使用〕
(D)無機フィラー:球状シリカ(株式会社アドマテックス製、商品名:アドマファインSO−25R) 85質量部
(E)リン含有フェノール樹脂
(三光株式会社製、商品名:HCA−HQ) 28質量部
(F)架橋ゴム粒子:粒子状NBR
(JSR株式会社製、商品名:XER−91) 4質量部
・反応促進剤:2−フェニルイミダゾール
(四国化成工業株式会社製、商品名:2PZ) 0.3質量部
・溶剤:N−メチルピロリドン 70質量部
(2)次に、支持体のPETフィルムを剥がした後、180℃で60分の硬化条件で前記半硬化フィルムを硬化して第一の絶縁樹脂層を得た。
(3)この第一の絶縁樹脂層に層間接続用のビアホールを日立ビアメカニクス製CO2レーザ加工機(LCO−1B21型)を使用し、ビーム径100μm、周波数500Hzでパルス幅5μsec、ショット数4の条件で加工して作製した。
(4)第一の絶縁樹脂層を化学粗化するために、膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:200ml/L及びNaOH:5g/Lの水溶液を作製し、70℃に加温して5分間浸漬処理した。次に、粗化液として、KMnO4:60g/L及びNaOH:40g/Lの水溶液を作製し、80℃に加温して10分間浸漬処理した。引き続き、中和液(SnCl2:30g/L、HCl:300ml/L)の水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和した。
(5)第一の絶縁樹脂層の表面に第二の回路を形成するために、まず、塩化パラジュウム(PdCl2)を含む無電解めっき用触媒であるHS−202B(日立化成工業株式会社製、商品名)に、室温で10分間浸漬処理し、水洗し、無電解銅めっき用であるめっき液CUST−201(日立化成工業株式会社製、商品名)に室温で15分間浸漬し、さらに硫酸銅電解めっきを行った。その後、アニールを180℃で60分間行い第一の絶縁樹脂層表面およびビアホール内に厚さ20μmの導体層を形成した。
次に、めっき導体層の不要な箇所をエッチング除去するために、まず銅表面の酸化皮膜を#600のバフロール研磨で除去した後、エッチングレジストを形成し、次いでエッチングし、その後エッチングレジストを除去して、内層回路と接続したバイアホールを含む第二の回路を形成した。
(6)さらに、多層化するために、第二の回路の表面を、亜塩素酸ナトリウム:50g/l、NaOH:20g/l、リン酸三ナトリウム:10g/lの水溶液に85℃で20分間浸漬し、水洗して、80℃で20分間乾燥して第二の回路の表面上に酸化銅の凹凸を形成した。
(7)前記(1)〜(6)と同様の工程を繰り返して第二の絶縁樹脂層及び第三の回路を形成した三層の多層プリント配線板を作製した。
得られた絶縁樹脂組成物の硬化物(絶縁樹脂層)、支持体付き絶縁フィルム及び多層プリント配線板についての性能評価結果を第1表に示す。
実施例2
(A)エポキシ樹脂としてビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:NC3000H)を40質量部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製,商品名:N−770)20質量部を使用した他は実施例1と同様にして行った。性能評価結果を第1表に示す。
実施例3
(A)エポキシ樹脂としてフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:NC2000)50質量部を使用し、(D)無機フィラーの使用量を変更した他は実施例1と同様にして行った。性能評価結果を第1表に示す。
実施例4
(F)架橋ゴム粒子としてブタジエン−アクリル樹脂のコアシェルゴム(ローム&ハーツジャパン株式会社製,商品名:EXL−2655)4質量部を使用した他は実施例1と同様にして行った。性能評価結果を第1表に示す。
比較例1
(C)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミド樹脂Aに代えて、オルトクレゾールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製,商品名:KA−1165)15質量部を使用し、(D)無機フィラーの使用量を変更した他は実施例1と同様にして行った。性能評価結果を第1表に示す。
比較例2
(D)無機フィラーを使用しない他は実施例1と同様にして行った。性能評価結果を第1表に示す。
Figure 2009188163
第1表から、本発明の支持体付き絶縁フィルムの絶縁樹脂組成物を用いた多層プリント配線板の特性は、実施例1〜4に示すように、熱膨張係数が低く、難燃性に優れ、接続信頼性に良好な結果を示し、288℃はんだ耐熱性にも優れており環境に配慮した多層プリント配線板を製造することが可能であり、一方、本発明の支持体付き絶縁フィルムの絶縁樹脂組成物とは異なる樹脂を用いた比較例1〜2の多層プリント配線板は、熱膨張係数、難燃性、接続信頼性が悪化する傾向があることが確認される。
本発明の多層プリント配線板の製造方法を説明するための(a)〜(f)工程の断面図である。
符号の説明
1内層回路(第一の回路)
2基板
3第一の絶縁樹脂層
4第二の回路
5第二の絶縁樹脂層
6第三の回路
7第四の回路
8第三の絶縁樹脂層

Claims (12)

  1. (A)固体状多官能型エポキシ樹脂、(B)液状エポキシ樹脂、(C)重量平均分子量が30,000以下のフェノール性水酸基含有ポリアミドイミド及び(D)無機フィラーを含有する絶縁樹脂組成物の半硬化状態のフィルムが支持体表面に形成されてなることを特徴とする多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
  2. 前記絶縁樹脂組成物が全固形分中の含有量として、(D)無機フィラーが5〜30容量%であり、(D)無機フィラーを除く成分中で、(A)固体状多官能型エポキシ樹脂が20〜60質量%、(B)液状エポキシ樹脂が5〜30質量%、(C)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミドが5〜40質量%である請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記絶縁樹脂組成物が、さらに難燃剤として(E)リン含有フェノール樹脂を含有し、ハロゲン化合物を含有しないものである請求項1又は2に記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
  4. (E)リン含有フェノール樹脂中のリン含有量が(D)無機フィラーを除く前記絶縁樹脂組成物の固形分中で0.7〜3質量%である請求項3に記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
  5. 前記絶縁樹脂組成物が、さらに(F)架橋ゴム粒子を含有する請求項3又は4に記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
  6. (A)固体状多官能型エポキシ樹脂および(B)液状エポキシ樹脂と(F)架橋ゴム粒子との固形分質量比が80/20〜98/2である請求項5に記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
  7. 片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に絶縁樹脂層及び回路が逐次積層されている多層プリント配線板であって、絶縁樹脂層が請求項1〜6のいずれかに記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムにおける絶縁樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする多層プリント配線板。
  8. 絶縁樹脂層の熱膨張係数が40ppm/K以下である請求項7に記載の多層プリント配線板。
  9. 片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に、請求項1〜6のいずれかに記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムであって、支持体が金属箔でない絶縁フィルムの、半硬化状態の絶縁樹脂組成物のフィルムを内層回路に接して積層する工程(イ)、支持体を剥離除去した後に加熱することにより半硬化状態の絶縁樹脂組成物を硬化して絶縁樹脂層を得る工程(ロ)および絶縁樹脂層表面に回路を形成する工程(ハ)を有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  10. 工程(ロ)と工程(ハ)との間に、絶縁樹脂層の表面を酸化性粗化液で粗面処理する工程を有する請求項9に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  11. 工程(ハ)が、金属めっき法により回路を形成することからなる請求項9又は10に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  12. 片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に、請求項1〜6のいずれかに記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムであって、支持体が金属箔である絶縁フィルムの、半硬化状態の絶縁樹脂組成物のフィルムを内層回路に接して積層する工程(イ)、加熱することにより半硬化状態の絶縁樹脂組成物を硬化して絶縁樹脂層を得る工程(ロ)、金属箔をエッチングして回路を形成する工程(ハ)を有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
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