JP2005023117A - 多層配線板用接着シート、多層配線板およびこれを用いた電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、高弾性率、低熱膨張であり、かつめっき銅との高い密着性を有するセミアディティブ対応の接着シートとこれを用いた多層配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】
ビフェニル構造及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂とアクリロニトリルブタジエン共重合物の粒子状物とリン系難燃剤と熱硬化剤と無機フィラーを必須成分とした樹脂組成物をアラミド不織布に塗布、硬化させた接着シートを用いて、多層配線板の絶縁樹脂層を形成する。
【選択図】 なし
【解決手段】
ビフェニル構造及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂とアクリロニトリルブタジエン共重合物の粒子状物とリン系難燃剤と熱硬化剤と無機フィラーを必須成分とした樹脂組成物をアラミド不織布に塗布、硬化させた接着シートを用いて、多層配線板の絶縁樹脂層を形成する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層配線板を製造する際に用いられる接着シート及び多層配線板、およびこれを用いた電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化、軽量化、多機能化に伴い、プリント板実装の高密度化、さらには電子部品等の実装密度向上のため多層配線板の微細配線化が急速に進んでいる。これに伴い、多層配線板に搭載される電子部品は面実装型へと移行し、絶縁樹脂と電子部品の狭小化がすすんだため、絶縁樹脂に対して電子部品の機械的、熱的な応力が集中しやすくなってきた。さらには、耐久性、耐衝撃性に対する要求も高くなってきており、多層配線板に対する熱や落下などの内外的負荷に対する信頼性保証技術の確立が、欠かせないものとなっている。
一方、小型・軽量化、微細配線化を可能とする多層配線板の製造手法としては、ガラスクロスを含まない絶縁樹脂をプリプレグの代わりとして用い、ビアホールによる層間接続を行うセミアディティブ工法適用のビルドアップ多層配線板が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のビルドアップ多層配線板の場合、ガラスクロス等の基材を含まないためプリプレグに比較して高熱膨脹、低弾性率である。これらの理由のため実装基板では、TCTサイクル時に絶縁樹脂内部でのクラック発生やそり等の課題があった。このため接続信頼性、機械的強度、耐衝撃性に優れ、かつ微細配線化に適応し、めっき銅との高い接着強度を発現するセミアディティブ対応材料が求められていた。
【0004】
【課題を解決する手段】
(1)本発明は、ビフェニル及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂とアクリロニトリルブタジエンの共重合物の粒子状物とリン系難燃剤と熱硬化剤と無機フィラーを含む樹脂組成物を、アラミド不織布に含浸後、乾燥させる工程を経て半硬化状態にした接着シートに関する。
(2)また、本発明は、ビフェニル及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂が無機フィラーを含む全固形の割合で20〜70重量%である(1)記載の接着シートに関する。
(3)また、本発明は、アラミド不織布の目付け量が10〜55g/m2である(1)〜(2)記載の接着シートに関する。
(4)また、本発明は、(1)〜(3)記載の接着シートと回路形成された銅張積層板あるいは銅箔を所定枚数重ね、加熱加圧により積層硬化させた多層配線板に関する。
(5)また、本発明は、(1)〜(3)記載の接着シートを所定枚数重ね、加熱加圧により硬化させた絶縁樹脂層上に回路を形成する手法として、絶縁層を酸化性粗化液で処理し、さらにはめっきにより回路形成した多層配線板の製造方法に関する。
(6)また、本発明は、(1)〜(5)記載の接着シートもしくは多層配線板を用いた電子部品に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の絶縁樹脂組成物において、まずビフェニル構造及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂とは、分子中にビフェニル誘導体の芳香族環を含有したノボラック構造のエポキシ樹脂であり、日本化薬株式会社製のNC−3000S(商品名)やNC−3000−H(商品名)が使用できる。
【0006】
ビフェニル及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂の配合量は、溶剤を除いた無機フィラーを含む全固形中の割合で20〜70重量%である。ビフェニル構造及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂の配合量が無機フィラーを含む全固形中の割合で20〜70重量%とした理由は、20重量%以下では、接着強度が低下し、70重量%以上では回路導体とのはんだ耐熱性が低下するためである。
【0007】
アクリロニトリルブタジエンの共重合物の粒子状物と使用できるものとしては、アクリロニトリルブタジエンの共重合物がアクリロニトリルとブタジエンを共重合したNBRであり、アクリロニトリルとブタジエンとアクリル酸などのカルボン酸を共重合したものも使用可能である。
【0008】
リン系難燃剤は、接着樹脂シートの難燃化に必要とされるものであり、添加型あるいは反応型リン酸難燃剤であるリン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、リン含有エポキシ、反応性リン化合物が使用できる。その含有量はリン含有%が無機フィラーを除く絶縁樹脂全体中で0.7〜5%の範囲になるようにするのが難燃性を発現するために好ましく、0.7〜3%の範囲が特に好ましい。リン含有%が0.7%以下では難燃性の発現に不十分であり、リン含有%が5%以上になるとはんだ耐熱性が低下する。
【0009】
熱硬化剤は、各種フェノール樹脂類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジット類などが使用できるが、耐熱性や絶縁性も考慮するとノボラック型フェノール樹脂の使用が好ましい。これらの熱硬化剤は、エポキシ基に対して0.5〜1.5当量である。熱硬化剤がエポキシ基に対して0.5当量以下の場合は外層銅との接着性が低下し、1.5当量ではTgや絶縁性が低下する
【0010】
また反応促進剤としては潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類やBF3アミン錯体が使用できる。さらに好ましくは、絶縁樹脂の保存安定性やBステージの絶縁樹脂の取り扱い性及びはんだ耐熱性の点から2フェニルイミダゾールや2−エチル−4−メチルイミダゾールが好ましく、その配合量はビフェニル構造及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂の配合量に対して0.2〜0.6重量%が最適である。0.2重量%以下では、はんだ耐熱性が十分ではなく、0.6重量%を越えると絶縁樹脂の保存安定性やBステージの絶縁樹脂の取り扱い性が低下するからである。
【0011】
無機フィラーは、シリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、アエロジル、炭酸カルシウムの中から選ばれるものが使用可能であり、これらは単独あるいは混合して用いても良い。なお、難燃性や低熱膨張の点から水酸化アルミニウムとシリカを単独あるいは併用して用いるのが良い。またその配合量は、溶剤を除く絶縁樹脂全体の固形分中で5〜55wt.%にする必要がある。さらに好ましくは、10〜20wt.%が良い。5wt.%以下では外層回路導体との接着力が劣り、また50wt.%以上では粗化後の表面粗さがおおきくなり微細粗化形状に不適になる。
【0012】
これらの無機フィラーは、分散性を高める目的でカップリング処理しても良く、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等既知の混練方法により分散しても良い。
【0013】
本発明の絶縁樹脂組成物は溶剤に希釈して用いるがこの溶剤には、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等を使用できる。これらの溶剤は、単独あるいは混合系でも良い。この溶剤の前記樹脂に対する割合は、従来使用している割合でよく、絶縁樹脂の塗膜形成の設備にあわせてその使用量を調整する。
【0014】
アラミド不織布は、目付け量が10〜55g/m2のものが適しており、目付け量によって絶縁樹脂層の厚みを任意に変えることができる。目付け量が10g/m2以下では、不織布の強度の低下から塗工が困難になり、また55g/m2以上では絶縁樹脂の充填が不十分となりボイドが発生するためである。
【0015】
上記のようにして得られためっき銅との高い密着性を有する樹脂組成物を、多層配線板の絶縁樹脂成分としてアラミド不織布に含浸後、乾燥炉中で80から200℃の範囲で乾燥させることにより半硬化させて接着シートを得る。
【0016】
【実施例】
実施例1
下記組成のワニス状の樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物を目付け量40g/m2のアラミド不織布に含浸し、ついで150℃で10分間乾燥して、厚みが0.1mm樹脂分70%の接着シートを作製した。さらに、接着シートを全面エッチングした基板(日立化成工業社製、商品名:MCL−E−67、0.8t)の両面に2枚ずつ積層し、最外層には引き剥がし容易なセパニウム箔を配した後、高温真空プレスを用いて185℃、45分の加熱加圧を行った。積層終了後、最外層のセパニウム箔を剥離することにより硬化した絶縁樹脂を最外層に有する絶縁樹脂基板を作製した。
樹脂組成物:
ビフェニル系エポキシ樹脂(NC3000−H:日本化薬株式会社製、商品名 100重量部)
粒子状アクリロニトリルブタジエン(XER−91:JSR株式会社製、商品名
10重量部)
熱硬化剤フェノールノボラック型樹脂(HP−850:日立化成工業株式会社製、商品名 10重量部)
硬化促進剤(2−フェニルイミダゾール:四国化成工業株式会社製、商品名 0.3重量部)
難燃剤リン酸エステル、(PX−200:大八化学工業製、商品名 25重量部)
充填剤球状シリカ(アドマファインSC2050:株式会社アドマテックス社製、商品名 16重量部)
溶剤メチルエチルケトン(55重量部)
【0017】
ついで絶縁樹脂層を化学粗化するために、膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:200ml/L、NaOH:5g/Lの水溶液を作製し、70℃に加温して5分間浸漬処理する。次に、粗化液として、KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液を作製し、80℃に加温して10分間浸漬処理する。引き続き、中和液(SnCl2:30g/L、HCl:300ml/L)の水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和した。
絶縁樹脂層表面に無電解めっきを施こすために、まず、PdCl2を含む無電解めっき用触媒であるHS−202B(日立化成工業株式会社製、商品名)に、室温−10分間浸漬処理し、水洗し、無電解銅めっきであるCUST−202めっき液(日立化成工業株式会社製、商品名)に室温−15分間浸漬し、さらに硫酸銅電解めっきを行った。その後、アニールを180℃−60分間行い絶縁層表面上に厚さ35μmの導体層を形成した。
【0018】
実施例2
実施例1と同一の樹脂を用いて、表1に示す配合比率を変更した以外は実施例1と同じ方法により接着シート並びに多層配線板を得た。
【0019】
実施例3
実施例1と同一の樹脂を用いて、表1に示す配合比率を変更した以外は実施例1と同じ方法により接着シート並びに多層配線板を得た。
【0020】
実施例4
実施例1と同一の樹脂を用いて、表1に示す配合比率を変更した以外は実施例1と同じ方法により接着シート並びに多層配線板を得た。
【0021】
比較例1
実施例1においてアラミド不織布を基材として用いずに、樹脂組成物をPETフィルム上に塗工を行い、100℃−10分乾燥して接着シートを製造し、バッチ式真空加圧ラミネータにより前面エッチングした基板にフィルムをラミネートし、続いて180℃、45分熱硬化を行い、絶縁樹脂を最外層に有する絶縁樹脂基板を作製した。その他は実施例1と同様に行った。
【0022】
以上の様にして、最外層に銅体を有する絶縁基板を製作し、その各々について、はんだ耐熱性、めっき銅の接着強度、弾性率ならびに熱膨張係数の測定を行った。その結果を表1に示す。測定方法は下記に示す。
【0023】
[接着強度]
最外層の銅箔の一部に幅10mm、長さ100mmの部分を形成し、この一端を剥がしてつかみ治具により垂直方向に約50mm室温中で引き剥がした時の荷重を測定した。
[はんだ耐熱性]
片面に銅めっき付きの50×50mmの試験片を、288℃のはんだ漕にフロート、180秒保持し、めっき銅と樹脂間での膨れ発生の有無を確認した。
[塗膜の伸び率、弾性率]
実施例、比較例で作製した接着シートに対して、多層配線板作製時と同様の熱処理を加えることにより、絶縁樹脂の硬化物を得た。この硬化物を所定の大きさに切断し、オートグラフ引っ張り試験機により樹脂が破断するまでの伸び率と弾性率を算出した。
[熱膨脹係数]
実施例、比較例で作製した接着シートに対して多層配線板作製と同様の熱処理を加えることにより、絶縁樹脂の硬化物を得た。この硬化物を所定の大きさに切断し、TMA法によりTg以下でのX方向の熱膨脹係数を算出した。
【表1】
表1から、本発明の接着シートを用いた多層配線板の特性は、実施例1〜4に示したように、めっき銅との接着強度が良好であり、高弾性率、低熱膨張係数を示すことを確認した。
【0024】
【発明の効果】
本発明により、絶縁樹脂にビフェニル及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂とアクリロニトリルブタジエンの共重合物の粒子状物とリン系難燃剤と硬化剤と無機フィラーを必須成分する樹脂組成物を高強度、高弾性率であるアラミド不織布を基材として含浸し、半硬化させた接着シートを用いる多層配線板の製造方法を提供する。この多層配線板は、従来のセミアディティブ工法に対応した接着シートに比べ、低熱膨張、高弾性率であることを特徴とし、さらにはめっき銅との高い接着性を示すことから、多層配線板の機械的強度、耐衝撃性及び接続信頼性の向上が見込まれる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層配線板を製造する際に用いられる接着シート及び多層配線板、およびこれを用いた電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化、軽量化、多機能化に伴い、プリント板実装の高密度化、さらには電子部品等の実装密度向上のため多層配線板の微細配線化が急速に進んでいる。これに伴い、多層配線板に搭載される電子部品は面実装型へと移行し、絶縁樹脂と電子部品の狭小化がすすんだため、絶縁樹脂に対して電子部品の機械的、熱的な応力が集中しやすくなってきた。さらには、耐久性、耐衝撃性に対する要求も高くなってきており、多層配線板に対する熱や落下などの内外的負荷に対する信頼性保証技術の確立が、欠かせないものとなっている。
一方、小型・軽量化、微細配線化を可能とする多層配線板の製造手法としては、ガラスクロスを含まない絶縁樹脂をプリプレグの代わりとして用い、ビアホールによる層間接続を行うセミアディティブ工法適用のビルドアップ多層配線板が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のビルドアップ多層配線板の場合、ガラスクロス等の基材を含まないためプリプレグに比較して高熱膨脹、低弾性率である。これらの理由のため実装基板では、TCTサイクル時に絶縁樹脂内部でのクラック発生やそり等の課題があった。このため接続信頼性、機械的強度、耐衝撃性に優れ、かつ微細配線化に適応し、めっき銅との高い接着強度を発現するセミアディティブ対応材料が求められていた。
【0004】
【課題を解決する手段】
(1)本発明は、ビフェニル及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂とアクリロニトリルブタジエンの共重合物の粒子状物とリン系難燃剤と熱硬化剤と無機フィラーを含む樹脂組成物を、アラミド不織布に含浸後、乾燥させる工程を経て半硬化状態にした接着シートに関する。
(2)また、本発明は、ビフェニル及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂が無機フィラーを含む全固形の割合で20〜70重量%である(1)記載の接着シートに関する。
(3)また、本発明は、アラミド不織布の目付け量が10〜55g/m2である(1)〜(2)記載の接着シートに関する。
(4)また、本発明は、(1)〜(3)記載の接着シートと回路形成された銅張積層板あるいは銅箔を所定枚数重ね、加熱加圧により積層硬化させた多層配線板に関する。
(5)また、本発明は、(1)〜(3)記載の接着シートを所定枚数重ね、加熱加圧により硬化させた絶縁樹脂層上に回路を形成する手法として、絶縁層を酸化性粗化液で処理し、さらにはめっきにより回路形成した多層配線板の製造方法に関する。
(6)また、本発明は、(1)〜(5)記載の接着シートもしくは多層配線板を用いた電子部品に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の絶縁樹脂組成物において、まずビフェニル構造及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂とは、分子中にビフェニル誘導体の芳香族環を含有したノボラック構造のエポキシ樹脂であり、日本化薬株式会社製のNC−3000S(商品名)やNC−3000−H(商品名)が使用できる。
【0006】
ビフェニル及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂の配合量は、溶剤を除いた無機フィラーを含む全固形中の割合で20〜70重量%である。ビフェニル構造及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂の配合量が無機フィラーを含む全固形中の割合で20〜70重量%とした理由は、20重量%以下では、接着強度が低下し、70重量%以上では回路導体とのはんだ耐熱性が低下するためである。
【0007】
アクリロニトリルブタジエンの共重合物の粒子状物と使用できるものとしては、アクリロニトリルブタジエンの共重合物がアクリロニトリルとブタジエンを共重合したNBRであり、アクリロニトリルとブタジエンとアクリル酸などのカルボン酸を共重合したものも使用可能である。
【0008】
リン系難燃剤は、接着樹脂シートの難燃化に必要とされるものであり、添加型あるいは反応型リン酸難燃剤であるリン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、リン含有エポキシ、反応性リン化合物が使用できる。その含有量はリン含有%が無機フィラーを除く絶縁樹脂全体中で0.7〜5%の範囲になるようにするのが難燃性を発現するために好ましく、0.7〜3%の範囲が特に好ましい。リン含有%が0.7%以下では難燃性の発現に不十分であり、リン含有%が5%以上になるとはんだ耐熱性が低下する。
【0009】
熱硬化剤は、各種フェノール樹脂類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジット類などが使用できるが、耐熱性や絶縁性も考慮するとノボラック型フェノール樹脂の使用が好ましい。これらの熱硬化剤は、エポキシ基に対して0.5〜1.5当量である。熱硬化剤がエポキシ基に対して0.5当量以下の場合は外層銅との接着性が低下し、1.5当量ではTgや絶縁性が低下する
【0010】
また反応促進剤としては潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類やBF3アミン錯体が使用できる。さらに好ましくは、絶縁樹脂の保存安定性やBステージの絶縁樹脂の取り扱い性及びはんだ耐熱性の点から2フェニルイミダゾールや2−エチル−4−メチルイミダゾールが好ましく、その配合量はビフェニル構造及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂の配合量に対して0.2〜0.6重量%が最適である。0.2重量%以下では、はんだ耐熱性が十分ではなく、0.6重量%を越えると絶縁樹脂の保存安定性やBステージの絶縁樹脂の取り扱い性が低下するからである。
【0011】
無機フィラーは、シリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、アエロジル、炭酸カルシウムの中から選ばれるものが使用可能であり、これらは単独あるいは混合して用いても良い。なお、難燃性や低熱膨張の点から水酸化アルミニウムとシリカを単独あるいは併用して用いるのが良い。またその配合量は、溶剤を除く絶縁樹脂全体の固形分中で5〜55wt.%にする必要がある。さらに好ましくは、10〜20wt.%が良い。5wt.%以下では外層回路導体との接着力が劣り、また50wt.%以上では粗化後の表面粗さがおおきくなり微細粗化形状に不適になる。
【0012】
これらの無機フィラーは、分散性を高める目的でカップリング処理しても良く、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等既知の混練方法により分散しても良い。
【0013】
本発明の絶縁樹脂組成物は溶剤に希釈して用いるがこの溶剤には、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等を使用できる。これらの溶剤は、単独あるいは混合系でも良い。この溶剤の前記樹脂に対する割合は、従来使用している割合でよく、絶縁樹脂の塗膜形成の設備にあわせてその使用量を調整する。
【0014】
アラミド不織布は、目付け量が10〜55g/m2のものが適しており、目付け量によって絶縁樹脂層の厚みを任意に変えることができる。目付け量が10g/m2以下では、不織布の強度の低下から塗工が困難になり、また55g/m2以上では絶縁樹脂の充填が不十分となりボイドが発生するためである。
【0015】
上記のようにして得られためっき銅との高い密着性を有する樹脂組成物を、多層配線板の絶縁樹脂成分としてアラミド不織布に含浸後、乾燥炉中で80から200℃の範囲で乾燥させることにより半硬化させて接着シートを得る。
【0016】
【実施例】
実施例1
下記組成のワニス状の樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物を目付け量40g/m2のアラミド不織布に含浸し、ついで150℃で10分間乾燥して、厚みが0.1mm樹脂分70%の接着シートを作製した。さらに、接着シートを全面エッチングした基板(日立化成工業社製、商品名:MCL−E−67、0.8t)の両面に2枚ずつ積層し、最外層には引き剥がし容易なセパニウム箔を配した後、高温真空プレスを用いて185℃、45分の加熱加圧を行った。積層終了後、最外層のセパニウム箔を剥離することにより硬化した絶縁樹脂を最外層に有する絶縁樹脂基板を作製した。
樹脂組成物:
ビフェニル系エポキシ樹脂(NC3000−H:日本化薬株式会社製、商品名 100重量部)
粒子状アクリロニトリルブタジエン(XER−91:JSR株式会社製、商品名
10重量部)
熱硬化剤フェノールノボラック型樹脂(HP−850:日立化成工業株式会社製、商品名 10重量部)
硬化促進剤(2−フェニルイミダゾール:四国化成工業株式会社製、商品名 0.3重量部)
難燃剤リン酸エステル、(PX−200:大八化学工業製、商品名 25重量部)
充填剤球状シリカ(アドマファインSC2050:株式会社アドマテックス社製、商品名 16重量部)
溶剤メチルエチルケトン(55重量部)
【0017】
ついで絶縁樹脂層を化学粗化するために、膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:200ml/L、NaOH:5g/Lの水溶液を作製し、70℃に加温して5分間浸漬処理する。次に、粗化液として、KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液を作製し、80℃に加温して10分間浸漬処理する。引き続き、中和液(SnCl2:30g/L、HCl:300ml/L)の水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和した。
絶縁樹脂層表面に無電解めっきを施こすために、まず、PdCl2を含む無電解めっき用触媒であるHS−202B(日立化成工業株式会社製、商品名)に、室温−10分間浸漬処理し、水洗し、無電解銅めっきであるCUST−202めっき液(日立化成工業株式会社製、商品名)に室温−15分間浸漬し、さらに硫酸銅電解めっきを行った。その後、アニールを180℃−60分間行い絶縁層表面上に厚さ35μmの導体層を形成した。
【0018】
実施例2
実施例1と同一の樹脂を用いて、表1に示す配合比率を変更した以外は実施例1と同じ方法により接着シート並びに多層配線板を得た。
【0019】
実施例3
実施例1と同一の樹脂を用いて、表1に示す配合比率を変更した以外は実施例1と同じ方法により接着シート並びに多層配線板を得た。
【0020】
実施例4
実施例1と同一の樹脂を用いて、表1に示す配合比率を変更した以外は実施例1と同じ方法により接着シート並びに多層配線板を得た。
【0021】
比較例1
実施例1においてアラミド不織布を基材として用いずに、樹脂組成物をPETフィルム上に塗工を行い、100℃−10分乾燥して接着シートを製造し、バッチ式真空加圧ラミネータにより前面エッチングした基板にフィルムをラミネートし、続いて180℃、45分熱硬化を行い、絶縁樹脂を最外層に有する絶縁樹脂基板を作製した。その他は実施例1と同様に行った。
【0022】
以上の様にして、最外層に銅体を有する絶縁基板を製作し、その各々について、はんだ耐熱性、めっき銅の接着強度、弾性率ならびに熱膨張係数の測定を行った。その結果を表1に示す。測定方法は下記に示す。
【0023】
[接着強度]
最外層の銅箔の一部に幅10mm、長さ100mmの部分を形成し、この一端を剥がしてつかみ治具により垂直方向に約50mm室温中で引き剥がした時の荷重を測定した。
[はんだ耐熱性]
片面に銅めっき付きの50×50mmの試験片を、288℃のはんだ漕にフロート、180秒保持し、めっき銅と樹脂間での膨れ発生の有無を確認した。
[塗膜の伸び率、弾性率]
実施例、比較例で作製した接着シートに対して、多層配線板作製時と同様の熱処理を加えることにより、絶縁樹脂の硬化物を得た。この硬化物を所定の大きさに切断し、オートグラフ引っ張り試験機により樹脂が破断するまでの伸び率と弾性率を算出した。
[熱膨脹係数]
実施例、比較例で作製した接着シートに対して多層配線板作製と同様の熱処理を加えることにより、絶縁樹脂の硬化物を得た。この硬化物を所定の大きさに切断し、TMA法によりTg以下でのX方向の熱膨脹係数を算出した。
【表1】
表1から、本発明の接着シートを用いた多層配線板の特性は、実施例1〜4に示したように、めっき銅との接着強度が良好であり、高弾性率、低熱膨張係数を示すことを確認した。
【0024】
【発明の効果】
本発明により、絶縁樹脂にビフェニル及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂とアクリロニトリルブタジエンの共重合物の粒子状物とリン系難燃剤と硬化剤と無機フィラーを必須成分する樹脂組成物を高強度、高弾性率であるアラミド不織布を基材として含浸し、半硬化させた接着シートを用いる多層配線板の製造方法を提供する。この多層配線板は、従来のセミアディティブ工法に対応した接着シートに比べ、低熱膨張、高弾性率であることを特徴とし、さらにはめっき銅との高い接着性を示すことから、多層配線板の機械的強度、耐衝撃性及び接続信頼性の向上が見込まれる。
Claims (6)
- ビフェニル及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂とアクリロニトリルブタジエンの共重合物の粒子状物とリン系難燃剤と熱硬化剤と無機フィラーを含む樹脂組成物を、アラミド不織布に含浸後、乾燥させる工程を経て半硬化状態にした接着シート。
- ビフェニル及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂が無機フィラーを含む全固形の割合で20〜70重量%である請求項1記載の接着シート。
- アラミド不織布の目付け量が10〜55g/m2である請求項1〜2記載の接着シート。
- 請求項1〜3記載の接着シートと回路形成された銅張積層板あるいは銅箔を所定枚数重ね、加熱加圧により積層硬化させた多層配線板。
- 請求項1〜3記載の接着シートを所定枚数重ね、加熱加圧により硬化させた絶縁樹脂層上に回路を形成する手法として、絶縁層を酸化性粗化液で処理し、さらにはめっきにより回路形成した多層配線板の製造方法。
- 請求項1〜5記載の接着シートもしくは多層配線板を用いた電子部品。
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---|---|---|---|
JP2003187005A JP2005023117A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 多層配線板用接着シート、多層配線板およびこれを用いた電子部品 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101293775B1 (ko) | 2005-12-08 | 2013-08-06 | 도레이첨단소재 주식회사 | 내열성이 우수한 열경화성 접착 필름 |
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2003
- 2003-06-30 JP JP2003187005A patent/JP2005023117A/ja active Pending
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