JP5515225B2 - 多層プリント配線板、及び半導体装置 - Google Patents

多層プリント配線板、及び半導体装置 Download PDF

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本発明は、多層プリント配線板、及び半導体装置に関するものである。
エポキシ樹脂などに代表される絶縁樹脂組成物の硬化物は、機械的特性、電気的特性、化学的特性等に優れており、電気・電子機器部品等の広い用途に使用されている。これらの熱硬化性樹脂組成物には、火災に対する安全性を確保するため難燃性が付与されている場合が多い。
絶縁樹脂組成物を難燃化する手法のひとつとして、臭素化エポキシ樹脂等のハロゲン含有化合物を用いる方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、ハロゲン含有化合物は高度な難燃性を付与できるものの、例えば、臭素化芳香族化合物は、熱分解で腐食性を有する臭素、臭化水素を生ずるだけでなく、酸素の存在下で分解した場合には毒性の高いポリブロモジベンゾフラン、ポリブロモジベンゾオキシンを生成する可能性がある。そして、臭素を含有する老朽廃材の処分は極めて困難である。このような理由から、ハロゲン含有化合物に代わる難燃剤が検討されている。
ハロゲン含有化合物を用いない難燃化技術としては、ホスフィンオキサイド化合物などのリン含有化合物を用いる方法や(例えば、特許文献2〜4参照。)、水酸化アルミニウムを用いる方法がある(例えば、特許文献5参照)。
また近年、電子機器の高機能化の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、高密度実装化が進んでおり、これらに使用される高密度実装対応の多層プリント配線板等は、従来にも増して、小型化や高密度化での用途も広がっている。これらの用途でも利用可能とするためには、多層プリント配線板の低熱膨張化や接続信頼性が重要となってくる(例えば、特許文献6参照。)。
特開2000−212249号公報 特開2001−254001号公報 特開2004−067968号公報 特開平11−124489号公報 特開2005−20692号公報 特開2005−7783号公報
本発明は、電子機器に用いられる多層プリント配線板に用いた場合に、冷熱サイクル試験等の熱衝撃試験により、導体回路層の剥離やクラックが発生しない低熱膨張性、高温、多湿の環境下においても高い絶縁信頼性、及び高い難燃性を有し、さらに微細配線の加工が可能な高密度、高多層成形の多層プリント配線板、及び半導体装置を提供するものである。
このような目的は、下記[1]〜[1]に記載の本発明により達成される。
[1]内層回路基板の片面または両面に、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートを積層することによりビルドアップ層が形成されてなる多層プリント配線板であって、
前記内層回路基板を構成する絶縁樹脂層は、
(a)金属イオン性不純物の濃度が300ppm以下である金属水酸化物、
(b)ハロゲン化されていないエポキシ樹脂、
(c)紫外線吸収剤、
(d)硬化剤、および
(e)モリブデン酸亜鉛で表面処理された、金属水酸化物以外の無機充填材
を含む絶縁樹脂組成物よりなり、当該絶縁樹脂組成物の硬化後の線膨張係数が、25℃において6ppm/℃以上60ppm/℃以下であり、
前記(a)金属水酸化物は、水酸化アルミニウムであり、
前記(a)金属水酸化物の含有量は、前記絶縁樹脂組成物の1重量%以上40重量%以下であり、
前記(e)モリブデン酸亜鉛で表面処理された金属水酸化物以外の無機充填材は、タルクの表面がモリブデン酸亜鉛で表面処理されたものであることを特徴とする多層プリント配線板。
[2]前記多層プリント配線板は、内層回路基板の片面にビルドアップ層を少なくとも2層以上有し、前記ビルドアップ層の少なくとも1層が、前記キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートで形成されたものである[1]項に記載の多層プリント配線板。
[3]前記キャリア箔付き極薄銅箔のキャリア箔の厚みは、9μm以上30μm以下である[1]または[2]項に記載の多層プリント配線板。
[4]前記キャリア箔付き極薄銅箔の極薄銅箔の厚みは、0.5μm以上10μm以下である[1]ないし[3]項のいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
[5]前記絶縁樹脂組成物の硬化物は、300℃における重量減少率が15%以下である[1]ないし[]項のいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
]前記(a)金属水酸化物の平均粒径は、0.1μm以上10μm以下である[1]ないし[]項のいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
] 前記(a)金属水酸化物は、300℃における重量減少率が、20重量%以上40重量%以下である[1]ないし[]項のいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
]前記(a)金属イオン性不純物の濃度が300ppm以下である金属水酸化物の金属水酸化物中に含まれる金属イオン性不純物は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びカルシウムイオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上である[1]ないし[]項のいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
記(e)モリブデン酸亜鉛で表面処理された金属水酸化物以外の無機充填材の含有量は、前記絶縁樹脂組成物の5重量%以上70重量%以下である[1]ないし[]項のいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
[1]前記(d)硬化剤は、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、アリールアルキレン型ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のノボラック型フェノール樹脂である[1]ないし[]項のいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
[1] 前記(c)紫外線吸収剤は、クマリン構造を有する化合物である[1]ないし[1]項のいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
[1][1]ないし[1]項のいずれか一項に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
多層プリント配線板は、ハロゲン含有化合物、リン含有化合物を用いることなく難燃性を達成することができるとともに、従来のものと比較して、優れた低熱膨張性、絶縁信頼性、微配線加工性を発現できる多層プリント配線板、及び半導体装置を得ることができるものである。
以下に本発明の多層プリント配線板、及び半導体装置について詳細に説明する。
本発明の多層プリント配線板は、内層回路基板の片面または両面にキャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートを積層し、加熱、加圧成形することにより得られる。
具体的には、内層回路基板の片面または両面に、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートの樹脂層側が接着するように重ね合わせ、例えば真空プレス機などを用いて加熱、加圧成形する。そして、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法などによって、回路を形成することにより、多層プリント配線板を得ることができる。
加熱、加圧成形する条件は、特に限定はされないが、加熱温度は120〜220℃が好ましく、特に150〜200℃が好ましい。また、加圧する圧力は、特に限定されないが、2〜5MPaが好ましく、特に2.5〜4MPaが好ましい。
ここで、本発明に用いるキャリア箔付き極薄銅箔は、加熱、加圧成形後に、キャリア箔を引き剥がし極薄銅箔に回路成形加工を施すことができ、微細配線加工が可能となる。
本発明の多層プリント配線板は、内層回路基板の片面にビルドアップ層を、少なくとも2層以上有し、前記ビルドアップ層の少なくとも1層が、前記キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートで形成されたものであることが好ましい。 尚、最外層はソルダーレジストを形成し、半導体素子の接続用電極部を設ける。
次に、半導体装置について説明する。
前記多層プリント配線板に、接続用電極部に対応して設けられた半田バンプを有する半導体素子を搭載する。搭載する方法は、特に限定されないが、例えば、フリップチップボンダーなどを用いて、接続用電極部と半導体素子の金属バンプとの位置合わせを行った後、IRリフロー装置、熱板、その他の加熱装置を用いて半田バンプを融点以上に加熱し、基板上の多層プリント配線板と半田バンプとを溶融接合することにより搭載できる。
半導体素子を多層プリント配線板に搭載後、多層配線板と半導体素子との間に液状封止樹脂を充填し、半導体装置を製造することができる。
前記半田バンプは、錫、鉛、銀、銅、ビスマスなどからなる合金で構成されることが好ましい。尚、接続信頼性を良くするため、あらかじめ多層プリント配線板上の接続用電極部に半田ペースト等、比較的融点の低い金属の層を形成しておいても良い。この接合工程に先んじて、半田バンプ、及び/または多層プリント配線板上の接続用電極部の表層にフラックスを塗布することで接続性を向上させることもできる。
次に本発明の多層プリント配線板を構成する内層回路基板について説明する。
本発明に用いる内層回路基板は、金属箔、及び/またはフィルムと絶縁樹脂層とを有する積層板より製造することができる。これにより、誘電特性、高温多湿化での機械的、電気的接続信頼性に優れた多層プリント配線板を得ることができる。
尚、積層板を製造する際、絶縁樹脂層は、1枚でもよく、複数枚積層して用いてもよい。
1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。また、絶縁樹脂層を2枚以上積層するときは、複数枚重ね合わせた絶縁樹脂層の最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ね、加熱、加圧することで積層板を得ることができる。前記加熱する温度は、特に限定されないが、120〜220℃が好ましく、特に150〜200℃が好ましい。また、前記加圧する圧力は、特に限定されないが、2〜5MPaが好ましく、特に2.5〜4MPaが好ましい。
本発明に用いる内層回路基板は、前記積層板に回路を形成することで製造できる。回路形成方法は、金属箔を有する積層板の場合は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法などによって、前記積層板の金属箔面に回路を形成することができる。ここで、導体回路部分を黒化処理等の粗化処理したものを好適に用いることができる。これにより導体回路部分は、内層回路基板上に形成するビルドアップ層との密着を高めることができる。
また、フィルムを有する積層板の場合は、例えば、フィルムを剥離し、アディティブ法により回路形成をすることができる。この場合も、形成された導体回路部分を黒化処理等の粗化処理したものを好適に用いることができる。これにより導体回路部分は、内層回路基板上に形成するビルドアップ層との密着を高めることができる。
次に前記内層回路基板を構成する絶縁樹脂層について説明する。
前記絶縁樹脂層は、絶縁樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるものである。これにより、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性等の各種特性に優れたプリント配線板を製造するのに好適な絶縁樹脂層(以下、樹脂層Xということがある。)を得ることができる。
樹脂層Xに用いる繊維基材としては、例えば、ガラス織布、ガラス不織布等のガラス繊維基材、ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維、全芳香族ポリアミド樹脂繊維等のポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維、全芳香族ポリエステル樹脂繊維等のポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維等を主成分とする織布または不織布で構成される合成繊維基材、クラフト紙、コットンリンター紙、リンターとクラフトパルプの混抄紙等を主成分とする紙基材等の有機繊維基材等が挙げられる。これらの中でもガラス繊維基材が好ましい。これにより、樹脂層Xの強度が上がり、また低吸水化することができる。また、樹脂層Xの線膨張係数を小さくすることができる。
前記絶縁樹脂組成物を繊維基材に含浸させる方法には、例えば、前記絶縁樹脂組成物を有機溶剤に分散させて樹脂ワニスに調製し、繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーター装置による塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、繊維基材に対する絶縁樹脂組成物の含浸性を向上させることができる。なお、繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
前記樹脂ワニスに用いられる溶媒は、前記絶縁樹脂組成物中の樹脂成分に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系等が挙げられる。
前記樹脂ワニス中の不揮発分濃度としては特に限定されないが、40〜80重量%が好ましく、特に50〜65重量%が好ましい。これにより、樹脂ワニスの粘度を好適な水準とすることができ、繊維基材への含浸性を更に向上させることができる。前記繊維基材に前記絶縁樹脂組成物を含浸させ、所定温度、例えば80〜200℃で乾燥させることにより絶縁樹脂層を得ることが出来る。
次に前記樹脂層Xを形成する絶縁樹脂組成物について説明する。
前記内層回路基板を構成する樹脂層Xは、
(a)金属イオン性不純物の濃度が300ppm以下である金属水酸化物、
(b)実質的にハロゲン化されていないエポキシ樹脂、
(c)紫外線吸収剤、
(d)硬化剤
を含む絶縁樹脂組成物よりなり、絶縁樹脂組成物の硬化物(以下、単に硬化物ということがある)の線膨張係数は、25℃において6ppm/℃以上60ppm/℃以下である。これにより、硬化物を多層プリント配線板や半導体装置に用いた際、冷熱サイクル試験等の熱衝撃試験において導体回路層の剥離やクラックの発生を抑制したり、半田リフロー時の基板の反りを抑制できる。前記線膨張係数は、8ppm/℃以上40ppm/℃以下が好ましく、さらに10ppm/℃以上30ppm/℃以下が好ましく、さらには12ppm/℃以上20ppm/℃以下が好ましい。これにより前記作用を効果的に発現させることができる。
線膨張係数が前記下限値未満であると、多層プリント配線板の厚みによっては樹脂層Xと導体回路との線膨張のミスマッチにより、半田リフロー試験時における多層プリント配線板の反りを抑制することができなくなことがある。また、前記上限値を超えると、こちらも導体回路との線膨張のミスマッチにより、半田リフロー試験時における多層プリント配線板の反りや冷熱サイクル試験等の熱衝撃試験において、導体回路層の剥離やクラックの発生を抑制することができなくなる恐れがある。
尚、硬化物の線膨張係数は、樹脂の種類、樹脂の含有量、充填材の種類、充填材の量に依存する。本発明は、樹脂の選択、選択した樹脂の含有量と(a)金属イオン性不純物の濃度が500ppm以下である金属水酸化物、後述する(e)モリブデン酸亜鉛で表面処理された、金属水酸化物以外の無機充填材、或いは選択した無機充填材を含有量とを調整することで任意に線膨張係数を設定することができる。
前記絶縁樹脂組成物に用いる(a)金属イオン性不純物の濃度が300ppm以下である金属水酸化物(以下、単に(a)金属水酸化物ということがある)は、金属水酸化物中に含有する金属イオン性不純物の濃度が300ppm以下である。これにより、硬化物を多層プリント配線板や半導体装置に用いた際、HAST試験やPCT試験などの高温、多湿下で処理しても高い絶縁信頼性を保持することができる。また、特に限定はされないが、前記金属イオン性不純物の濃度は、300ppm以下、さらには200ppm以下が好ましい。これにより前記作用を効果的に発現させることができる。
前記上限値を超えると絶縁信頼性が損なわれる恐れがある。
金属イオン性不純物の濃度は、金属水酸化物を純水中で80℃、24時間処理し、純水中に金属イオンを抽出した後、ICP−MS(誘導結合プラズマイオン源質量分析装置)を用い測定できる。
前記絶縁樹脂組成物に用いる(a)金属水酸化物に含まれる金属イオン性不純物は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、フランシウムイオン、ベリリウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、亜鉛イオン、スズイオン、及び鉛イオンからなる郡より選ばれる少なくとも1種類以上であることが望ましい。これらの中でも特にナトリウムイオン、カリウムイオンであることが望ましい。これらの濃度が前記範囲内であれば、硬化物を多層プリント配線板や半導体装置に用いた際、高温、多湿条件下に曝されるHAST試験やPCT試験などにおいても高い絶縁信頼性を保持することができる。
前記絶縁樹脂組成物に用いる(a)金属水酸化物の平均粒径は、特に限定されないが、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。これにより、絶縁樹脂組成物からなる樹脂ワニスの粘度及び絶縁樹脂組成物をBステージ化した際の最低溶融粘度の調整が容易となり、また加熱加圧時の成形性や回路配線の埋め込み性も良好となる。さらに、Bステージ化あるいは硬化後の絶縁樹脂組成物の表面を化学的及び/あるいは物理的な処理によって粗化した際の樹脂表面粗さを調整することができる。平均粒径は、例えば粒度分布計(HORIBA製、LA−500)により測定することができる。
前記(a)金属水酸化物の平均粒径は、さらに0.1μm以上8μm以下が好ましく、さらに0.1μm以上5μm以下が好ましく、特に0.1μm以上3μm以下が好ましい。これにより前記作用を効果的に発現させることができる。
(a)金属水酸化物の平均粒径が前記下限値未満では、絶縁樹脂組成物からなるワニスの粘度が高くなるため繊維基材への含浸しにくくなり、樹脂層Xの作製が困難となる。さらに絶縁樹脂組成物をBステージ化した際の最低溶融粘度が高くなるため、加熱加圧時の成形性や回路配線の埋め込み性が低下する。また、前記上限値を超えると、Bステージ化あるいは硬化状態の絶縁樹脂組成物よりなる樹脂層Xの表面を化学的及び/あるいは物理的な処理によって粗化した際の樹脂表面粗さが大きくなったり、絶縁信頼性が低下したりする。
前記樹脂層Xの表面を化学的及び/あるいは物理的な処理によって粗化する際の表面粗さは特に限定はされないが、Ra(算術平均粗さ)が1μm以下であることが好ましい。これにより、高周波回路基板の用途で用いる場合には、導体回路の信号伝搬速度へ与える影響を軽減することができる。
前記(a)金属水酸化物は、特に限定されないが、平均粒径が単分散の金属水酸化物を用いることもできるし、平均粒径が多分散の金属水酸化物を用いることができる。さらに平均粒径が単分散及び/または、多分散の水酸化物を1種類または2種類以上とを併用することもできる。
前記(a)金属水酸化物の300℃における重量減少率は、20重量%以上40重量%以下であることが好ましい。これにより、耐熱性を損なわずに難燃性を付与することができる。前記重量減少率が前記下限値未満では、十分に難燃性を発揮することが難しく、前記上限値を超えると、耐熱性が悪化する恐れがある。
なお、重量減少率は、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定)により、試料を30℃から500℃まで10℃/分の条件で昇温させ、試料の重量変化を追跡し、((30℃の試料重量)−(300℃の試料重量))/(30℃の試料重量)×100で求まる値とした。
前記(a)金属水酸化物の含有量は、特に限定はされないが絶縁樹脂組成物全体に対して、1重量%以上50重量%以下であることが好ましい。これにより、耐熱性を損なわずに難燃性を付与することができる。含有量さらに2重量%以上45重量%以下が好ましく、さらに5重量%以上40重量%以下が好ましく、特に10重量%以上30重量%以下が好ましい。これにより、前記作用を効果的に発現させることができる。含有量が前記下限値未満では、難燃性の効果を十分に得られない恐れがあり、前記上限値を超えると、耐熱性が低下する恐れがある。
前記(a)金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ガリウム、及び水酸化ジルコニルよりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上であることが好ましい。これにより、難燃性を付与することができる。これらの中でも特に水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。これにより、耐熱性を損なわずに難燃性を付与することができる。
前記絶縁樹脂組成物で用いる(b)実質的にハロゲン化されていないエポキシ樹脂(以下、単に(b)エポキシ樹脂ということがある)は、ハロゲン化されていないものである。これにより、硬化物の熱分解時に、ハロゲンに起因する腐食性、毒性を有する成分の発生をなくすことができる。また、ノボラック型エポキシ樹脂は、この絶縁樹脂組成物の硬化物の架橋密度を増加させ、高い難燃性と耐熱性とを付与することができることから、実質的にハロゲン化合物を用いることなく、難燃性を付与することができる。
前記(b)エポキシ樹脂は、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂を挙げることができる。これらの中でもクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、前記効果に加えて、硬化物の吸水率を低下させ、高湿環境下での耐湿性を向上させることができる。
前記(b)エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂全体の60〜90重量%であることが好ましい。さらに好ましくは65〜75重量%である。これにより、前記作用を効果的に発現させることができる。
(b)エポキシ樹脂の含有量が前記下限値未満であると、耐熱性を向上させる効果が充分でないことがある。また、前記上限値を超えると、硬化物が硬くなり、ドリル加工性や打ち抜き加工性が低下することがある。
前記絶縁樹脂組成物は、前記(b)エポキシ樹脂以外に、さらにエポキシ樹脂を用いることができる。このようなエポキシ樹脂としては例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などが挙げられる。
ここで、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を併用すると、繊維基材への含浸性を向上させることができる。また、固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を併用すると、銅箔への密着性を向上させることができる。
前記絶縁樹脂組成物に用いる(c)紫外線吸収剤は、前記絶縁樹脂組成物を用いてプリント配線板のソルダーレジストを露光する際、照射した紫外線がプリント配線板を透過して反対面のソルダーレジストを感光させ、反対面の本来露光すべきでない部分のソルダーレジストも同時に露光してしまうことを防ぐことができる。
前記(c)紫外線吸収剤としては、例えば、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、クマリン誘導体等を挙げることができる。この中でもクマリン誘導体が好ましく、例えば7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリンなどが挙げられる。
これらは、露光機に利用されているランプの波長領域での光の吸収率が高いため、より効果的に露光時の光の透過を防ぐことができる。
前記(c)紫外線吸収剤の含有量は、特に限定はされないが、前記絶縁樹脂組成物100重量%に対して、0.1重量%以上10重量%以下が好ましい。さらに0.2重量%以上5重量%が好ましく、さらには0.3重量%以上2重量%以下が好ましい。
含有量が前記下限値未満であると露光時の前記内層回路基板の樹脂層Xを形成する絶縁樹脂組成物の紫外線の吸収が弱く、光透過を効率良く防ぐ効果が現れない場合があり、前記上限値を超えると、耐熱性やプレス成形性が低下したり、内層回路基板作製後に紫外線吸収剤が溶出する場合がある。
前記(d)硬化剤は、例えばフェノール樹脂などのエポキシ基と反応する基を有する化合物、もしくはイミダゾールなどのエポキシ基同士の反応を促進する化合物を用いることができる。前記フェノール樹脂は、特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、アリールアルキレン型ノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用したり、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーを併用したりすることもできる。これらの中でも特に、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。これにより、さらに吸湿半田耐熱性を向上させることができる。
前記(d)硬化剤の含有量は、特に限定されないが、前記絶縁樹脂組成物の0.05〜10重量%が好ましく、特に0.2〜5重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると硬化を促進する効果が現れない場合があり、前記上限値を超えると絶縁樹脂層の保存性が低下する場合がある。
前記絶縁樹脂組成物は、さらに(e)モリブデン酸亜鉛で表面処理された、金属水酸化物以外の無機充填材を含むことが好ましい。これによって、耐熱性や絶縁信頼性を損なわずに、効果的に難燃性を付与することができる。
前記(e)モリブデン酸亜鉛で表面処理された、金属水酸化物以外の無機充填材の無機充填材としては、例えばタルク、焼成タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用したりすることもできる。
前記(e)モリブデン酸亜鉛で表面処理された、金属水酸化物以外の無機充填材は、特にタルクの表面をモリブデン酸亜鉛で表面処理したものであることが好ましい。これにより、耐熱性を損なわずに低熱膨張性や難燃性を付与することができる。
前記(e)モリブデン酸亜鉛で表面処理された、金属水酸化物以外の無機充填材(以下、単に、(e)無機充填材ということがある)の含有量は、特に限定はされないが、絶縁樹脂組成物全体に対して5重量%以上70重量%以下であることが好ましい。さらに10重量%以上60重量%以下が好ましく、さらに15重量%以上50重量%以下が好ましい。これにより、前記作用を効果的に発現させることができる。含有量が前記下限値未満では、低熱膨張性や難燃性の効果を十分に得られない恐れがあり、前記上限値を超えると、加熱加圧時の成形性が低下する恐れがある。
前記絶縁樹脂組成物は、特に限定されないが、カップリング剤を用いることが好ましい。前記カップリング剤は、前記絶縁樹脂組成物中の樹脂と、前記金属水酸化物及び前記無機充填材との界面の濡れ性を向上させることにより、絶縁樹脂等と金属水酸化物及び無機充填材とが結合し、機械強度、耐熱性、特に吸湿処理後の半田耐熱性を改良することができる。
前記カップリング剤としては、通常用いられるものなら特に限定されないが、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。これにより、エポキシ樹脂や硬化剤と金属水酸化物及び無機充填材の界面との濡れ性を高くすることができ、それによって耐熱性をより向上させることできる。
前記カップリング剤の含有量は、前記(a)金属水酸化物、(e)無機充填材、及びその他の無機充填材の比表面積に依存するので特に限定されないが、(a)金属水酸化物、(e)無機充填材、及びその他の無機充填材を合わせた100重量部に対して0.05〜3重量%が好ましく、特に0.1〜2重量%が好ましい。カップリング剤の含有量が前記下限値未満であると(a)金属水酸化物、(e)無機充填材、及びその他の無機充填材を十分に被覆できないため耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると反応に影響を与え、曲げ強度等が低下する場合がある。
前記絶縁樹脂組成物は、さらにフェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマ−、ポリブタジエン、エポキシ変性ポリブタジエン、アクリル変性ポリブタジエン、メタクリル変性ポリブタジエン等のジエン系エラストマーを併用しても良い。
また、前記絶縁樹脂組成物は、必要に応じて、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤等の前記成分以外の添加物を添加しても良い。
前記絶縁樹脂組成物の硬化物は、特に限定されないが300℃における重量減少率が15%以下であることが好ましい。これにより、硬化物を多層プリント配線板や半導体装置に用いた際、吸湿後の半田耐熱性を改良することができる。また前記重量減少率は10%以下がさらに好ましい。これにより前記作用を効果的に発現させることができる。
尚、重量減少率は、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定)により、試料を30℃から500℃まで10℃/分の条件で昇温させ、試料の重量変化を追跡し、((30℃の試料重量)−(300℃の試料重量))/(30℃の試料重量)×100で求まる値とした。
次に前記内層回路基板に積層するキャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートについて説明する。
キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層(以下、樹脂層Yという場合がある)とを有するシートは、樹脂組成物より構成される樹脂層Yをキャリア箔付き極薄銅箔上に形成してなるものである。
ここで、樹脂層Yを構成する樹脂組成物は、特に限定されないが、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられる。これにより、通常のビルドアップ層の形成を容易にすることができる。
樹脂層Yをキャリア箔付き極薄銅箔の極薄銅箔上に形成させる方法は、特に限定はされないが、例えば、樹脂組成物を溶剤などに溶解・分散させて樹脂ワニスを調製して、各種塗工装置を用いて樹脂ワニスを金属箔上に塗工した後、乾燥する方法、または、樹脂ワニスをスプレー装置にて金属箔に噴霧塗工した後、乾燥する方法などが挙げられる。
これらの中でも、コンマコーター、ダイコーターなどの各種コーター装置を用いて、樹脂ワニスを金属箔に塗工した後、乾燥する方法が好ましい。これにより、ボイドがなく、均一な樹脂層Yの厚みを有するキャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層Yとを有するシートを効率よく作製することができる。
前記樹脂ワニスに用いられる溶媒は、前記樹脂組成物中の樹脂成分に対して良好な溶解性を示すことが好ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系等が挙げられる。
上記樹脂ワニス中の固形分含有量は、特に限定されないが、30〜80重量%が好ましく、特に40〜70重量%が好ましい。
前記キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層Yとを有するシートにおいて、樹脂組成物から構成される樹脂層Yの厚さは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは10μm以上80μm以下である。これにより、このキャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層Yとを有するシートを用いて多層プリント配線板を製造する際に、内層回路の凹凸を充填して成形することができるとともに、好適な樹脂層厚みを確保することができ、またキャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層Yとを有するシートの裁断時に、樹脂層の割れ発生を抑え、樹脂層Yの粉落ちを少なくすることができる。
前記キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層Yとを有するシートに用いるキャリア箔付き極薄銅箔のキャリア箔は、例えば、銅及び/又は銅系合金、アルミ及び/又はアルミ系合金、鉄及び/又は鉄系合金、銀及び/又は銀系合金、金及び金系合金、亜鉛及び亜鉛系合金、ニッケル及びニッケル系合金、錫及び錫系合金等の金属箔などを用いることができる。
前記キャリア箔の厚さは、9μm以上30μm以下が好ましい。さらに10μm以上20μm以下がこのましく、さらには12μm以上18μm以下が好ましい。前記キャリア箔の厚さが前記下限値未満であると、例えば絶縁樹脂組成物の塗工時にキャリア箔付き極薄金属箔が切れたり、キャリア箔付き極薄金属箔のハンドリング性の低下や打痕、割れなどが発生する怖れがあり、前記上限値を超えると、極薄金属箔の厚みバラツキが大きくなったり、キャリア箔付き極薄金属箔をロールに巻き取る際に巻癖がきつくなる場合がある。
前記キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層Yとを有するシートに用いる極薄銅箔の厚さは、0.5μm以上10μm以下が好ましい。さらに、0.8μm以上5μm以下が好ましく、さらには1μm以上3μm以下が好ましい。前記極薄金属箔の厚さが前記下限値未満であると、キャリア箔を剥離後の極薄金属箔の傷つき、極薄金属箔のピンホールの発生、ピンホールの発生による回路パターン成形時のメッキバラツキ、回路配線の断線、エッチング液やデスミア液等の薬液の染み込みなどが発生する怖れがあり、前記上限値を超えると、極薄金属箔の厚みバラツキが大きくなったり、極薄金属箔の粗化面の表面粗さのバラツキが大きくなる場合がある。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
(実施例1)
(1)樹脂ワニスの調整
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(「エピクロンN-690」、エポキシ当量210、大日本インキ化学工業株式会社製)34重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)(「エピクロン850」、エポキシ当量190、大日本インキ化学工業株式会社製)10重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)(「エピクロン7050」、エポキシ当量1900、大日本インキ化学工業株式会社製)4重量部、硬化剤1重量部、およびエポキシシラン型カップリング剤(A−187、GE東芝シリコーン株式会社製)1重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、洗浄した金属水酸化物(1)(水酸化アルミニウム、HP−360、平均粒径2.7μm、金属イオン性不純物(ナトリウムイオン)濃度10ppm、300℃の重量減少率25%、昭和電工株式会社製)10重量部、無機充填材(1)(球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm、株式会社アドマテックス社製)35重量部、無機充填材(2)(モリブデン酸亜鉛処理タルク、ケムガード1100、シャーウィンウィリアムズカンパニー社製)5重量部、紫外線吸収剤(7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)0.1重量部を添加し、高速攪撹拌機を用いて10分攪撹拌して、樹脂ワニスを得た。金属イオン性不純物の濃度は、金属水酸化物を純水中で80℃、24時間処理し、純水中に金属イオンを抽出した後、ICP−MSにてナトリウムイオンを測定した。以下、特に断りがない場合は同様に測定した。
(2)絶縁樹脂層の製造
前記の樹脂ワニスをガラス織布(厚さ94μm、日東紡製、WEA−2116)に含浸し、150℃の加熱炉で2分間乾燥して絶縁樹脂層を得た。
(3)内層回路基板の製造
前記で得た絶縁樹脂層を所定枚数重ね、両面に3EC−M3−VLP(厚さ12μm、三井金属鉱業株式会社製)を重ねて、圧力4MPa、温度200℃で2時間成形し、両面に銅箔を有する積層板を得た。
次に前記で得られた積層板にスルーホールを形成後、サブトラクティブ法にて銅箔に所定の回路配線を形成し、回路配線表面に粗化処理を施し、内層回路基板を得た。
(4)多層プリント配線板の製造
前記で得られた内層回路基板にキャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートA(APL−4601、樹脂厚:60μm、キャリア箔厚:18μm、極薄銅箔厚:3μm、住友ベークライト株式会社製)の樹脂層面を内側にして重ね合わせ、これを真空プレス装置を用いて、圧力2MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形を行い、両面のキャリア箔を剥がすことにより、多層プリント配線板を得た。
(5)半導体装置の製造
前記の多層プリント配線板(厚さ0.1mmの絶縁樹脂層を2枚重ねて作製した積層板を使用し製造した内層回路基板を用いた。)の極薄銅箔を厚さ約1μmとなるようエッチングし、UV−YAGレーザー装置(ML605LDX、三菱電機株式会社製)を用いて開口部(ブラインド・ビアホール)を形成し、デスミア処理(マキュダイザーシリーズ、日本マクダーミッド株式会社製)を施した。次に極薄銅箔表面に、厚さ25μmの紫外線感光性ドライフィルム(AQ−2558、旭化成株式会社製)をホットロールラミネーターにより貼り合わせ、最小線幅/線間(L/S)が20/20μmのパターンが描画されたクロム蒸着マスク(株式会社トウワプロセス製)を使用して、位置合わせ、露光装置(UX−1100SM−AJN01、ウシオ電機株式会社製)により露光した。炭酸ソーダ水溶液にて現像し、めっきレジストを形成した。
次に、極薄銅箔を電極として電解銅めっき(81−HL、奥野製薬株式会社製)を3A/dm2、30分間行って、厚さ約20μmの銅配線を形成した。ここで2段階剥離機を用いて、前記めっきレジストを剥離した。各薬液は、1段階目のアルカリ水溶液層にはモノエタノールアミン溶液(R−100、三菱瓦斯化学株式会社製)、2段階目の酸化性樹脂エッチング剤には過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムを主成分とする水溶液(マキュダイザー9275、9276、日本マクダーミッド株式会社製)、中和には酸性アミン水溶液(マキュダイザー9279、日本マクダーミッド株式会社製)をそれぞれ用いた。
次に、極薄銅箔を過硫酸アンモニウム水溶液(AD−485、メルテックス株式会社製)に浸漬処理することで、エッチング除去し、配線間の絶縁を確保した。最後に、回路表面にドライフィルムタイプのソルダーレジスト(CFP−1121、住友ベークライト株式会社製)を真空ラミネーターにて回路埋め込みを行いながら形成し、露光・現像により半導体素子が実装できるよう接続用電極部を露出させ、ニッケル金メッキ処理を施し、50mm×50mmの大きさに切断し、多層プリント配線板を得た。得られたパッケージ基板に、半田バンプを有する半導体素子(厚さ0.75mm、15mm×15mm角)をフリップチップボンダー装置により実装し、リフロー炉にて接合し、半導体素子と多層プリント配線板との間にアンダーフィルを充填することによって、半導体装置を作製した。
(実施例2)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を30重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を9重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を5重量部、無機充填材(1)を40重量部、無機充填材(2)を10重量部とし、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートB(APL−4601、樹脂厚:60μm、キャリア箔厚:18μm、極薄銅箔厚:1.5μm、住友ベークライト株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例3)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を25重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を8重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を3重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を2重量部、無機充填材(1)を45重量部、無機充填材(2)を15重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例4)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を19重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を6重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を2重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を1重量部、無機充填材(1)を50重量部、無機充填材(2)を20重量部とし、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートB(APL−4601、樹脂厚:60μm、キャリア箔厚:18μm、極薄銅箔厚:1.5μm、住友ベークライト株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例5)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を17重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を4重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を2重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を5重量部、無機充填材(1)を65重量部、紫外線吸収剤を0.5重量部とし、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートC(APL−4601、樹脂厚:60μm、キャリア箔厚:18μm、極薄銅箔厚:2μm、住友ベークライト株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例6)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を12重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を4重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を2重量部、無機充填材(1)を65重量部、紫外線吸収剤を1重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例7)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を36重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を12重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を5重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を30重量部、無機充填材(1)を10重量部、紫外線吸収剤を0.06重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例8)
洗浄した金属水酸化物(1)を40重量部、無機充填材(1)を5重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
参考
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を28重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(2)を5重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を45重量部、無機充填材(1)を5重
量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
参考2)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を28重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(2)を5重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を50重量部、無機充填材(1)を配合
しなかった以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を36重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(1)を9重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を3重量部、無機充填材(1
)を10重量部、無機充填材(2)を30重量部とした以外は、実施例1と同様に作製し
た。
(実施例1
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を29重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(1)を13重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を6重量部とした以外は、
実施例1と同様に作製した。
(実施例1
洗浄した金属水酸化物(1)の代わりに洗浄した金属水酸化物(2)(水酸化アルミニ
ウム、HP−32、平均粒径8.0μm、金属イオン性不純物(ナトリウムイオン)濃度
200ppm、300℃の重量減少率30%、昭和電工株式会社製)を10重量部とした
以外は、実施例1と同様に作製した。
(参考例
洗浄した金属水酸化物(1)の代わりに洗浄した金属水酸化物(3)(水酸化アルミニウム、HP−42M、平均粒径1.0μm、金属イオン性不純物(ナトリウムイオン)濃度400ppm、300℃の重量減少率30%、昭和電工株式会社製)を10重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(参考例
洗浄した金属水酸化物(1)の代わりに洗浄した金属水酸化物(4)(水酸化アルミニウム、HP−43M、平均粒径0.6μm、金属イオン性不純物(ナトリウムイオン)濃度500ppm、300℃の重量減少率30%、昭和電工株式会社製)を10重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例1
洗浄した金属水酸化物(1)の代わりに洗浄した金属水酸化物(5)(水酸化アルミニウム、HS−320、平均粒径10.0μm、金属イオン性不純物(ナトリウムイオン)濃度20ppm、300℃の重量減少率25%、昭和電工株式会社製)を10重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例1
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の代わりにフェノールノボラック型エポキシ樹脂(「エピクロンN-770」、エポキシ当量190、大日本インキ化学工業株式会社製)を34重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例1
無機充填材(2)を40重量部とし、無機充填材(1)を配合しなかった以外は、実施例1と同様に作製した。
(比較例1)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を54重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を21重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を18重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を5重量部とし、無機充填材を配合しないで、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートD(APL−4601、樹脂厚:60μm、キャリア箔厚:35μm、極薄銅箔厚:5μm、住友ベークライト株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様に作製した。
(比較例2)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を36重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を12重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を5重量部、洗浄した金属水酸化物(1)の代わりに未洗浄の金属水酸化物(6)(水酸化アルミニウム、HP−42I、平均粒径1.0μm、金属イオン性不純物(ナトリウムイオン)濃度2800ppm、300℃の重量減少率25%、昭和電工株式会社製)を30重量部、無機充填材(1)を10重量部とし、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートD(APL−4601、樹脂厚:60μm、キャリア箔厚:35μm、極薄銅箔厚:3μm、住友ベークライト株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様に作製した。
(比較例3)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を57重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を18重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を7重量部、硬化剤を2重量部、無機充填材(1)を15重量部とし、洗浄した金属水酸化物(1)と無機充填材(2)を配合しないで、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートE(APL−4601、樹脂厚:60μm、キャリア箔厚:35μm、極薄銅箔厚:5μm、住友ベークライト株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様に作製した。
(比較例4)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を57重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を18重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を7重量部、硬化剤を2重量部、無機充填材(2)を15重量部とし、洗浄した金属水酸化物(1)と無機充填材(1)を配合しないで、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートE(APL−4601、樹脂厚:60μm、キャリア箔厚:35μm、極薄銅箔厚:5μm、住友ベークライト株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様に作製した。
(比較例5)
紫外線吸収剤を配合しないで、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートE(APL−4601、樹脂厚:60μm、キャリア箔厚:35μm、極薄銅箔厚:5μm、住友ベークライト株式会社製)とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(比較例6)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を5重量部とし、硬化剤を配合しないで、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートE(APL−4601、樹脂厚:60μm、キャリア箔厚:35μm、極薄銅箔厚:5μm、住友ベークライト株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様に作製した。
表1に用いたキャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートの各層厚みを纏めて示す。
Figure 0005515225
実施例、参考例および比較例で得られた樹脂組成物、多層プリント配線板、半導体装置について、特性の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
Figure 0005515225
Figure 0005515225
評価方法は、以下の通りである。
1.線膨張係数
厚さ1.2mmの両面に銅箔を有する積層板の銅箔を全面エッチングし、得られた積層板から2mm×2mmのテストピースを切り出し、TMAを用いて5℃/分の条件で0℃〜280℃まで昇温させ、25℃における厚み方向(Z方向)の線膨張係数を測定した。なお、前記テストピース作製に用いた積層板は、前記積層板の製造において絶縁樹脂層(B)厚さ0.1mmの絶縁樹脂層(B)を12枚重ねて作製したものを用いた。
2.熱衝撃試験
前記で得られた半導体装置をフロリナート中で−55℃10分、125℃10分、−55℃10分を1サイクルとして、1000サイクル処理し、半導体装置を観察し、クラック有無を確認した。
各符号は以下の通りである。
○:クラック発生なし
×:クラック発生
3.基板の反り
温度可変レーザー三次元測定機(日立テクノロジーアンドサービス社製 形式LS220-MT100MT50)を用い、前記測定機のサンプルチャンバーに前記で得られた半導体装置の半導体素子面を下にして設置し、多層プリント配線板の高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値を反り量とした。
4.絶縁信頼性試験
厚さ0.4mmの両面に銅箔を有する積層板に、メカニカルドリルを用いて径0.4mm、壁間距離0.4mmのスルーホールを開け、その後メッキ、回路配線を形成して、85℃、85%RH、印加電圧50Vの条件下で1000h処理し、100Vで絶縁抵抗を測定した。なお、前記絶縁信頼性試験に用いた積層板は、前記積層板の製造において0.1mm厚の絶縁樹脂層(B)を4枚重ねて作製したものを用いた。
各符号は以下の通りである。
○:1.0×1010Ω以上
×:1.0×1010Ω未満
5.プレス成形性
内層回路銅の厚さが35μm、20mm径のアンクラッドが配列されたパターンのテスト基板上下に、上記の絶縁樹脂層(B)を各1枚、18μmの銅箔を重ねて、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形後、銅箔を全面エッチングしてプレス成形ボイドがないか確認した。
各符号は以下の通りである。
○:成形ボイドなし
×:成形ボイドあり
6.算術表面粗さ:Ra
厚さ0.6mmの両面に銅箔を有する積層板の銅箔を全面エッチング後、膨潤:80℃、5分、粗化:80℃、10分、中和:40℃、5分の条件でデスミアを行い、基板のRaを測定した。なお、前記積層板は、前記積層板の製造において0.1mm厚の絶縁樹脂層(B)を6枚重ねて作製したものを用いた。
7.ガラス転移温度
厚さ0.6mmの銅箔を全面エッチングし、得られた積層板から10mm×60mmのテストピースを切り出し、動的粘弾性測定装置(DMA983、TAインスツルメント社製)を用いて3℃/分で昇温し、tanδのピーク位置をガラス転移温度とした。なお、前記テストピース作製に用いた積層板は、前記積層板の製造において0.1mm厚の絶縁樹脂層(B)を6枚重ねて作製したものを用いた。
8.重量減少率
前記両面に銅箔を有する積層板の銅箔を全面エッチング後、絶縁樹脂組成物の硬化物を削り取り、TG−DTAを用い30℃から500℃まで10℃/分の条件で昇温し、((30℃の硬化物重量)−(300℃の硬化物重量))/(30℃の硬化物重量)×100から重量減少率(%)を算出した。
9.難燃性
UL−94規格に従い、積層板(厚さ1mm、銅箔を両面エッチングしたもの)のテストピースを垂直法により測定した。
10.吸水率
厚さ0.6mmの銅箔を全面エッチングし、得られた積層板から50mm×50mmのテストピースを切り出し、JISC 6481に従い測定した。前記テストピース作製に用いた積層板は、前記積層板の製造において0.1mm厚の絶縁樹脂層(B)を16枚重ねて作製したものを用いた。
.ピール強度
厚さ0.6mmの両面に銅箔を有する積層板をJIS C 6481に準拠して測定した。前記両面に銅箔を有する積層板は、前記積層板の製造において0.1mm厚の絶縁樹脂層(B)を6枚重ねて作製したものを用いた。
.吸湿半田耐熱
厚さ0.6mmの両面に銅箔を有する積層板から50mm×50mmに切り出し、JIS C 6481に従い半面エッチングを行ってテストピースを作成した。121℃のプレッシャークッカーで2時間処理した後、260℃のはんだ槽に銅箔面を下にして浮かべ、120秒後における外観の異常を調べた。なお、前記テストピース作製に用いた積層板は、前記積層板の製造において0.1mm厚の絶縁樹脂層(B)を6枚重ねて作製したものを用いた。
各符号は以下の通りである。
○:異常なし
×:フクレあり
.露光性
厚さ0.2mmの両面に銅箔を有する積層板の両面にサブトラクティブ法により回路を形成した後、ソルダーレジスト層をその両面に形成し、露光機にて紫外線露光を形成されたソルダーレジストを目視観察して、未現像部がないか確認した。尚、用いた積層板は、前記積層板の製造において0.1mm厚の絶縁樹脂層(B)を2枚重ねて作製したものを用いた。
各符号は以下の通りである。
○:ソルダーレジスト層に実用上問題なし
×:ソルダーレジスト層に実用上問題あり
.微細配線加工性
前記半導体装置を製造する際、前記多層プリント配線板にL/Sが20/20μm、厚さ約20μmの銅配線を形成後、電子顕微鏡にて銅配線の断線、厚みムラ、形状(幅、高さ)、及び銅配線間の距離に実用上問題がないか確認した。
○:銅配線の断線、厚みムラ、形状(幅、高さ)、及び銅配線間の距離に実用上問題なし
×:銅配線の断線、厚みムラ、形状(幅、高さ)、及び銅配線間の距離に実用上問題あり
表2、表3からも明らかなように、実施例1〜1は、絶縁樹脂組成物の硬化物の線膨張係数が低く、金属水酸化物、ノボラック型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、紫外線吸収剤及び、無機充填材を含有する絶縁樹脂組成物からなる絶縁樹脂層を内層回路基板とし、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートを積層することによりビルドアップ層が形成されてなる多層プリント配線板、及び半導体装置である。
実施例1〜1はいずれも、低熱膨張性、絶縁信頼性、難燃性、吸湿半田耐熱性等すべての評価において良好なものであった。
これに対し、比較例1は、無機充填材が含有ないため、線膨張係数が大きくなり、熱衝撃試験や吸湿半田耐熱試験においてクラックやフクレが発生した。
比較例2は、金属水酸化物中の金属イオン性不純物の濃度が高く、絶縁信頼性試験で絶縁抵抗値が低下した。
比較例3、4は、金属水酸化物を含有せず、無機充填材の含有量が少ないため、難燃性が低下した。
比較例5は、紫外線吸収剤を含有していないため、露光性が低下した。
比較例6は、硬化剤を含有していないため、吸湿半田耐熱試験においてクラックやフクレが発生し、またプレス成形性が低下した。
本発明の多層プリント配線板は、半導体装置に好適に用いることができるほか、難燃性、半田耐熱性、絶縁信頼性、熱衝撃性等の信頼性に優れることから、高信頼性の要求される多層プリント配線板、及び半導体装置に好適に用いることができる。
[1]
内層回路基板の片面または両面に、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートを積層することによりビルドアップ層が形成されてなる多層プリント配線板であって、
前記内層回路基板を構成する絶縁樹脂層は、
(a)金属イオン性不純物の濃度が500ppm以下である金属水酸化物、
(b)ノボラック型エポキシ樹脂を含み、かつ、実質的にハロゲン化されていないエポキシ樹脂、
(c)紫外線吸収剤、
(d)硬化剤
を含む絶縁樹脂組成物よりなり、当該絶縁樹脂組成物の硬化後の線膨張係数が、25℃において6ppm/℃以上60ppm/℃以下であることを特徴とする多層プリント配線板。
[2]
前記多層プリント配線板は、内層回路基板の片面にビルドアップ層を少なくとも2層以上有し、前記ビルドアップ層の少なくとも1層が、前記キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートで形成されたものである[1]に記載の多層プリント配線板。
[3]
前記キャリア箔付き極薄銅箔のキャリア箔の厚みは、9μm以上30μm以下である[1]または[2]に記載の多層プリント配線板。
[4]
前記キャリア箔付き極薄銅箔の極薄銅箔の厚みは、0.5μm以上10μm以下である[1]ないし[3]のいずれかに記載の多層プリント配線板。
[5]
前記絶縁樹脂組成物は、(e)モリブデン酸亜鉛で表面処理された、金属水酸化物以外の無機充填材を含有する[1]ないし[4]のいずれかに記載の多層プリント配線板。
[6]
前記絶縁樹脂組成物の硬化物は、300℃における重量減少率が15%以下である[1]ないし[4]のいずれかに記載の多層プリント配線板。
[7]
前記(a)金属水酸化物の平均粒径は、0.1μm以上10μm以下である[1]ないし[6]のいずれかに記載の多層プリント配線板。
[8]
前記(a)金属水酸化物は、300℃における重量減少率が、20重量%以上40重量%以下である[1]ないし[7]のいずれかに記載の多層プリント配線板。
[9]
前記(a)金属水酸化物の含有量は、前記絶縁樹脂組成物の1重量%以上50重量%以下である[1]ないし[8]のいずれかに記載の多層プリント配線板。
[10]
前記(a)金属イオン性不純物の濃度が500ppm以下である金属水酸化物の金属水酸化物中に含まれる金属イオン性不純物は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びカルシウムイオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上である[1]ないし[9]のいずれかに記載の多層プリント配線板。
[11]
前記(a)金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、及び/または水酸化アルミニウムである[1]ないし[10]のいずれかに記載の多層プリント配線板。
[12]
前記(e)モリブデン酸亜鉛で表面処理された金属水酸化物以外の無機充填材は、タルクの表面がモリブデン酸亜鉛で表面処理されたものである[1]ないし[11]のいずれかに記載の多層プリント配線板。
[13]
前記(d)硬化剤は、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、アリールアルキレン型ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のノボラック型フェノール樹脂である[1]ないし[12]のいずれかに記載の多層プリント配線板。
[14]
前記(c)紫外線吸収剤は、クマリン構造を有する化合物である[1]ないし[13]のいずれかに記載の多層プリント配線板。
[15]
[1]ないし[14]のいずれかに記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。

Claims (12)

  1. 内層回路基板の片面または両面に、キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートを積層することによりビルドアップ層が形成されてなる多層プリント配線板であって、
    前記内層回路基板を構成する絶縁樹脂層は、
    (a)金属イオン性不純物の濃度が300ppm以下である金属水酸化物、
    (b)ハロゲン化されていないエポキシ樹脂、
    (c)紫外線吸収剤、
    (d)硬化剤、および
    (e)モリブデン酸亜鉛で表面処理された、金属水酸化物以外の無機充填材
    を含む絶縁樹脂組成物よりなり、当該絶縁樹脂組成物の硬化後の線膨張係数が、25℃において6ppm/℃以上60ppm/℃以下であり、
    前記(a)金属水酸化物は、水酸化アルミニウムであり、
    前記(a)金属水酸化物の含有量は、前記絶縁樹脂組成物の1重量%以上40重量%以下であり、
    前記(e)モリブデン酸亜鉛で表面処理された金属水酸化物以外の無機充填材は、タルクの表面がモリブデン酸亜鉛で表面処理されたものであることを特徴とする多層プリント配線板。
  2. 前記多層プリント配線板は、内層回路基板の片面にビルドアップ層を少なくとも2層以上有し、前記ビルドアップ層の少なくとも1層が、前記キャリア箔付き極薄銅箔と樹脂層とを有するシートで形成されたものである請求項1に記載の多層プリント配線板。
  3. 前記キャリア箔付き極薄銅箔のキャリア箔の厚みは、9μm以上30μm以下である請求項1または2に記載の多層プリント配線板。
  4. 前記キャリア箔付き極薄銅箔の極薄銅箔の厚みは、0.5μm以上10μm以下である請求項1ないし3のいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
  5. 前記絶縁樹脂組成物の硬化物は、300℃における重量減少率が15%以下である請求項1ないしのいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
  6. 前記(a)金属水酸化物の平均粒径は、0.1μm以上10μm以下である請求項1ないしのいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
  7. 前記(a)金属水酸化物は、300℃における重量減少率が、20重量%以上40重量%以下である請求項1ないしのいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
  8. 前記(a)金属イオン性不純物の濃度が300ppm以下である金属水酸化物の金属水酸化物中に含まれる金属イオン性不純物は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びカルシウムイオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上である請求項1ないしのいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
  9. 記(e)モリブデン酸亜鉛で表面処理された金属水酸化物以外の無機充填材の含有量は、前記絶縁樹脂組成物の5重量%以上70重量%以下である、請求項1ないしのいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
  10. 前記(d)硬化剤は、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、アリールアルキレン型ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のノボラック型フェノール樹脂である請求項1ないしのいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
  11. 前記(c)紫外線吸収剤は、クマリン構造を有する化合物である請求項1ないし1のいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
  12. 請求項1ないし1のいずれか一項に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
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