JP2008143971A - 絶縁樹脂組成物、基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板、及び、半導体装置 - Google Patents

絶縁樹脂組成物、基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板、及び、半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 高耐熱性、低熱膨張性に加え、微細な回路を形成することができる多層プリント配線板を製造できる絶縁樹脂組成物と、これを用いた基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板、及び、半導体装置を提供するものである。
【解決手段】 (A)ビスフェノールS骨格を有する重量平均分子量が1.0×10〜2.5×10であるフェノキシ樹脂、(B)硫黄原子を含まないフェノキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂、(D)無機充填材を含むことを特徴とする絶縁樹脂組成物。また前記の絶縁樹脂組成物を絶縁層に用いた基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板、及び、半導体装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、絶縁樹脂組成物、基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板、及び、半導体装置に関するものである。
近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、高密度実装化等が進んでいる。そのため、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等は、従来にも増して、小型化かつ高密度化されている。このようなプリント配線板等の高密度化への対応として、ビルドアップ方式による多層配線板が多く採用されている。
ビルドアップ方式による多層プリント配線板は、通常、絶縁樹脂組成物で構成される厚さ100μm以下の絶縁層と回路層とを積層成形して製造される。また、回路層間の接続方法としては、従来のドリル加工に代わって、レーザー法、フォト法等によるビアホールの形成が挙げられる。これらの方法は、小径のビアホールを自由に配置することで高密度化を達成するものであり、各々の方法に対応した各種ビルドアップ用絶縁樹脂組成物が提案されている。
さらに、高密度化のためには微細回路形成が必要になるが、それを達成する技術としてはセミアディティブ法が広く知られている。セミアディティブ法は、絶縁層表面の粗化処理に続き、下地になる無電解めっき処理を施し、めっきレジストにより被回路形成部を保護した後、電気めっきにより回路形成部の銅厚付けを行い、レジスト除去とソフトエッチングにより絶縁層上に回路を形成する方法である。
このとき、絶縁層とめっき金属との密着性は、粗化処理により形成される絶縁層表面の凹凸の形成が大きな要因である。凹凸が大きすぎると、微細回路形成が難しくなり、めっき金属の密着性も低下する。よって加工性、信頼性の観点から絶縁層表面は均一で緻密な凹凸状であることが望まれる。
また、ビルドアップ多層配線板による方法では、微細なビアにより回路層間が接続されるため、接続強度が低下し、場合によっては熱衝撃を受けると絶縁層を形成する絶縁樹脂組成物と回路を形成する金属との熱膨張差から発生する応力により、回路にクラックや断線が発生する問題点があった。
特開平06−260760号公報
本発明は、多層プリント配線板の絶縁層に用いた場合に、冷熱サイクル等の熱衝撃性試験により、回路層の剥離やクラックが発生しない高耐熱性、低熱膨張性に加え、全面に均一な凹凸を有し、緻密な粗化を形成することで微細な回路パターンを形成することができる多層プリント配線板を製造できる絶縁樹脂組成物と、これを用いた基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板、及び、半導体装置を提供するものである。
このような目的は、下記の本発明(1)〜(10)により達成される。
(1) 下記成分を必須成分とする多層プリント配線板用絶縁樹脂組成物。
(A)ビスフェノールS骨格を有する重量平均分子量が1.0×10〜2.5×10であるフェノキシ樹脂
(B)実質的に硫黄原子を含まないフェノキシ樹脂
(C)エポキシ樹脂
(D)無機充填材
(2) 前記(A)ビスフェノールS骨格を有する重量平均分子量が1.0×10〜2.5×10であるフェノキシ樹脂は、ビフェニル骨格を有するものである(1)に記載の絶縁樹脂組成物。
(3) 前記(D)無機充填材は、平均粒子径が1.5μm以下である(1)または(2)に記載の絶縁樹脂組成物。
(4) 前記(D)無機充填材は、絶縁樹脂組成物に対して20〜85重量%含む(1)ないし(3)のいずれかに記載の絶縁樹脂組成物。
(5)前記絶縁樹脂組成物が、さらにシアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーを含む (1)ないし(4)のいずれかに記載の絶縁樹脂組成物。
(6) 前記シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーは、フェノールノボラック骨格を有する(5)に記載の絶縁樹脂組成物。
(7)前記絶縁樹脂組成物が、さらに硬化触媒を含む(1)ないし(6)のいずれかに記載の絶縁樹脂組成物。
(8)(1)ないし(7)のいずれかに記載の絶縁樹脂組成物からなる絶縁層を基材上に形成してなる基材付き絶縁樹脂シート。
(9)(8)に記載の基材付き絶縁樹脂シートを、内層回路板の内層回路パターンが形成された面に重ね合わせて加熱加圧成形して得られる多層プリント配線板。
(10)(9)に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載した半導体装。
本発明の絶縁樹脂組成物は、高耐熱性、低熱膨張性であるため、多層プリント配線板の絶縁層に用いた場合に、冷熱サイクル等の熱衝撃性試験において、回路層の剥離やクラックが発生しない。また本発明の絶縁樹脂組成物からなる絶縁層を基材上に形成してなる基材付き絶縁樹脂シートにより微細回路を形成した多層プリント配線板が製造でき、前記プリント配線板に半導体素子を搭載した半導体装置は信頼性に優れるものである。
以下、本発明の絶縁樹脂組成物、基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板、及び、半導体装置について説明する。
本発明の絶縁樹脂組成物は、(A)ビスフェノールS骨格を有する重量平均分子量が1.0×10〜2.5×10であるフェノキシ樹脂、(B)実質的に硫黄原子を含まないフェノキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂、(D)無機充填材を必須成分とすることを特徴とする。
また、本発明の基材付き絶縁樹脂シートは、前記絶縁樹脂組成物からなる絶縁層を基材上に形成してなるものであり、本発明の多層プリント配線板は、前記基材付き絶縁樹脂シートを内層回路板の内層回路パターンが形成された面に重ね合わせて加熱加圧成形して得られる多層プリント配線板であり、さらに本発明の半導体装置は、前記多層プリント配線板に半導体素子を搭載したものである。
本発明の絶縁樹脂組成物は、(A)ビスフェノールS骨格を有する重量平均分子量が1.0×10〜2.5×10であるフェノキシ樹脂を含有する。ビスフェノールS骨格を有することで、多層プリント配線板を製造する際のメッキ金属の付着性を向上させることができる。さらに、重量平均分子量が1.0×10〜2.5×10であることにより他の樹脂との溶解性が向上し、絶縁樹脂組成物からなる絶縁層の表面が均一で緻密な凹凸状となるため、微細な回路、及び、絶縁層への密着性に優れる。重量平均分子量が、前記下限値未満であると、基材付き絶縁樹脂シートの絶縁樹脂層の溶融粘度が下がり、回路埋込み時の樹脂フローが大きくなることで、絶縁層表面が不均一で大きな凹凸状態となり、微細回路形成を行うことが難しい場合がある。重量平均分子量が、前記上限値以上では他の樹脂との溶解性が低下する可能性があり、絶縁層表面が十分に均一で緻密な凹凸状態にならない可能性がある。尚、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、標準物質:ポリスチレン換算)で測定し求めることができる。
前記(A)ビスフェノールS骨格を有する重量平均分子量が1.0×10〜2.5×10であるフェノキシ樹脂は、さらにビフェニル骨格を有することが好ましい。ビフェニル骨格の剛直性によりガラス転移温度を高くすることができる。
前記(A)ビスフェノールS骨格を有する重量平均分子量が1.0×10〜2.5×10であるフェノキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが絶縁樹脂組成物全体に対して3〜20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜15重量%である。前記フェノキシ樹脂の含有量は、前記下限値未満であると、基材付き絶縁樹脂シートの絶縁樹脂層の溶融粘度が下がり、回路埋込み時の樹脂フローが大きくなることで、絶縁層表面が不均一で大きな凹凸状態になる場合がある。前記上限値以上では他の樹脂との溶解性が低下する可能性があり、絶縁層表面を十分均一な凹凸が得られない場合がある。尚、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、標準物質:ポリスチレン換算)で測定し求めることができる。
次に、本発明の絶縁樹脂組成物に用いる(B)実質的に硫黄原子を含有しないフェノキシ樹脂とは、フェノキシ樹脂構造に硫黄原子を含まないフェノキシ樹脂をいい、合成過程等で微量に硫黄原子を含む成分の不純物が含まれていても特に問題ない。
(B)実質的に硫黄原子を含有しないフェノキシ樹脂は、構造に硫黄原子を含まなければ特に限定されないが、ビスフェノールA骨格及び/又はビスフェノールF骨格を有することが好ましい。これにより他の樹脂との相溶性および塗膜性が向上し、絶縁層表面が十分均一で緻密な凹凸状態であり、微細な回路を形成することができる。
前記(B)実質的に硫黄原子を含有しないフェノキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、絶縁樹脂組成物全体の3〜25重量%であることが好ましく、さらに好ましくは、5〜20重量%である。フェノキシ樹脂の含有量が、下限値未満であると、フェノキシ樹脂を含有することで得られる基材付き絶縁樹脂シートの製膜性の効果を十分に得られない場合があり、フェノキシ樹脂の含有量が、上限値以上であるとワニス粘度の増大により他の樹脂との溶解性が低下する場合がある。
また、(B)実質的に硫黄原子を含有しないフェノキシ樹脂の重量平均分子量は、1.0×10〜8.0×10の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量は、前記下限値未満であると、基材付き絶縁樹脂シートの絶縁層の溶融粘度が下がり、回路埋込み時の樹脂フローが大きくなることで、絶縁層の表面が、均一で緻密な凹凸状にならない場合がある。また重量平均分子量が、前記上限値以上ではワニス粘度が高くなり取り扱いが難しくなる。重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、標準物質:ポリスチレン換算)で測定し求めることができる。
次に、本発明の絶縁樹脂組成物に用いる(C)エポキシ樹脂は、特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、多層プリント配線板の吸湿半田耐熱をさらに向上させることができる。また、前記効果に加えて、ハロゲン化合物を用いることなく基材付き絶縁樹脂シートに難燃性を付与することができる。
ここでアリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に一つ以上のアリールアルキレン基を有するエポキシ樹脂を指し、例えば、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、下記一般式(I)で表されるビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、ハロゲン化合物を用いることなく基材付き絶縁樹脂シートに高い難燃性を付与することができる。
前記一般式(I)で表されるビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂のnは、特に限定されないが、n=1〜10であることが好ましく、さらに好ましくはn=2〜5である。nの数が前記下限値より少ないとビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は結晶化しやすくなり、汎用溶媒に対する溶解性が若干低下するため、基材付き絶縁樹脂シートの製造時に絶縁樹脂組成物ワニスを調製する際に、取り扱いが難しくなることがある。また、前記一般式(I)のnは、前記上限値より多いと、樹脂の流動性が低下するため、基材付き絶縁樹脂シートの製膜性が低下し、取り扱いが難しくなる場合がある。
なお、ここで実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂中のハロゲン原子の含有量が1重量%以下であるものを用いることができる。
前記本発明に用いる(C)エポキシ樹脂の含有量は特に限定されないが、絶縁樹脂組成物全体の5〜50重量%であることが好ましく、さらに好ましくは、15〜45重量%である。これにより、基材付き絶縁樹脂シートと回路との密着性を高めることができる。(C)エポキシ樹脂の含有量が前記下限値未満であると、密着性、製膜性を向上させる効果が小さい。また、前記上限値以上であると、硬化性樹脂の硬化後、内層回路板の回路パターン形成された面と基材付き絶縁樹脂シートとの絶縁層との密着性が不十分となり、耐薬品性が低下する場合がある。
本発明の絶縁樹脂組成物に用いる(D)無機充填材は、特に限定されないが、例えば、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩等を挙げることができる。これらの中でもシリカが好ましい。さらには球状シリカであることが好ましく、球状溶融シリカであることが特に好ましい。これにより、絶縁樹脂組成物中における無機充填材の含有量を多くすることができ、基材付き絶縁樹脂シートの絶縁層を特に低熱膨張化させることができる。また絶縁樹脂組成物の溶融粘度を低く維持することができるので、多層プリント配線板を製造する際、内層回路板の回路パターンの凹凸を埋める成形性を向上させることができる。
前記(D)無機充填材の粒径は、平均粒子径が1.2μm以下であることが好ましく、さらに平均粒径が0.01〜1.0μmであることが好ましく、特に好ましくは0.2〜1.0μmである。平均粒径が前記下限値未満であると、絶縁樹脂組成物ワニスの粘度が高くなり、また、前記上限値を超えると、絶縁樹脂組成物ワニス中で無機充填材の沈降等が起こりやすく、いずれの場合も作業性が低下する場合がある。
前記(D)無機充填材の含有量は、絶縁樹脂組成物全体の20〜85重量%であることが好ましく、さらに好ましくは30〜65重量%である。(D)無機充填材の含有量が前記下限値未満であると、高弾性化、低熱膨脹化する効果が充分でない場合がある。また、前記上限値を超えると、流動性の低下により、この基材付き絶縁樹脂シートを用いて多層プリント配線板を製造する際の成形性が低下する場合がある。
本発明の絶縁樹脂組成物は、さらにシアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーを有することが好ましい。
前記シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマー樹脂としては特に限定されないが、例えば、ハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
前記のシアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーを用いることにより、基材付き絶縁樹脂シートの弾性率を向上させることができる。また、シアネート樹脂(特にノボラック型シアネート樹脂)は、剛直な化学構造を有するため、耐熱性に優れており、ガラス転移温度以上でも弾性率の低下が小さく、高温においても高弾性率を維持することができる。さらに、硬化反応によって水酸基などの分極率の大きな官能基が生じないため、誘電特性においても優れたものとすることができる。
前記シアネート樹脂の中でも、下記一般式(II)で表されるノボラック型シアネート樹脂が好ましい。これにより、前記効果に加えて、基材付き絶縁樹脂シートの絶縁層のガラス転移温度をさらに高くすることができるとともに、硬化後の絶縁層の難燃性をより向上させることができる。
前記式(II)で示されるノボラック型シアネート樹脂の平均繰り返し単位nは、特に限定されないが、1〜10が好ましく、特に2〜7が好ましい。平均繰り返し単位nが前記下限値未満であるとノボラック型シアネート樹脂は結晶化しやすくなり、汎用溶媒に対する溶解性が比較的低下するため、取り扱いが困難となる場合がある。また、プリプレグを作製した場合にタック性が生じ、プリプレグ同士が接触したとき互いに付着したり、樹脂の転写が生じたりする場合がある。平均繰り返し単位nが前記上限値を超えると溶融粘度が高くなりすぎ、プリプレグの成形性が低下する場合がある。
前記一般式(II)で表されるノボラック型シアネート樹脂の分子量としては特に限定されないが、重量平均分子量が5.0×10〜1.0×10であることが好ましく、さらに好ましくは7.0×10〜5.0×10である。重量平均分子量が前記下限値未満であると、基材付き絶縁樹脂シートの絶縁層部分の機械的強度が低下する場合がある。また、前記上限値を超えると、硬化前において、基材付き絶縁樹脂シートの絶縁層部分の弾性率が高くなり作業性が低下したり、溶融粘度が高くなり成形性が低下したりする場合がある。重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、標準物質:ポリスチレン換算)で測定し求めることができる。
なお、前記シアネート樹脂としては、これをプレポリマー化したものも用いることができる。すなわち、シアネート樹脂を単独で用いてもよいし、重量平均分子量の異なるシアネート樹脂を併用してもよい、またシアネート樹脂とそのプレポリマーとを併用してもよい。
ここでプレポリマーとは、通常、前記シアネート樹脂を加熱反応などにより、例えば3量化することで得られるものであり、絶縁樹脂組成物の成形性、流動性を調製するために好ましく使用されるものである。前記プレポリマーは、特に限定されないが、例えば、3量化率が20〜50重量%であるものを用いることができる。この3量化率は、例えば赤外分光分析装置を用いて求めることができる。
シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーの含有量は、特に限定されないが、絶縁樹脂組成物全体の5〜50重量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜40重量%である。
これにより、内層回路板の回路パターンが形成された面と基材付き絶縁樹脂シートとを強固に接合することができる。
本発明の絶縁樹脂組成物は、さらに硬化触媒を含有することが好ましい。硬化触媒としては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、キノリン、イソキノリン等の三級アミン類、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩、フェノール、ノニルフェノール、カテコール、ピロガール、ジヒドロキシナフタレンに代表される芳香族ヒドロキシ化合物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、ビス(2−エチル−4−メチル−イミダゾール)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−(シアノエチルアミノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ビス(シアノエトキシメチルイミダゾール)あるいはトリアジン付加型イミダゾール等に代表されるイミダゾール類等がある。また、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルトオクチル酸錫、オクチル酸コバルト等に代表される有機金属塩、銅アセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナート、コバルトアセチルアセトナート等に代表される有機金属錯体等がある。さらに、例えば、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ルイス酸などが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。前記イミダゾール化合物は、特に限定されないが、例えば、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシルイミダゾリル)−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2−フェニルー4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルー5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどを挙げることができる。これらの中でも、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、及び、2−エチル−4−メチルイミダゾールから選ばれるイミダゾール化合物であることが好ましい。これらのイミダゾール化合物は、特に優れた相溶性を有することで、均一性の高い硬化物が得られるとともに、絶縁層表面は、微細かつ均一な粗化面となり、微細な回路を容易に形成することができるとともに、多層プリント配線板に高い耐熱性を発現させることができる。
また、本発明の絶縁樹脂組成物にはこのほか、基材付き絶縁樹脂シート製造時に気泡の発生を防止するための消泡剤、難燃性を向上させるための液状又は粉末の難燃剤、靭性、密着性を向上させるための熱可塑性樹脂等を添加することもできる。ここで用いられる熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
次に、本発明の基材付き絶縁樹脂シートについて説明する。
本発明の基材付き絶縁樹脂シートは、前記絶縁樹脂組成物からなる絶縁層を基材上に形成してなるものである。
ここで、絶縁樹脂組成物からなる絶縁層を基材上に形成する方法としては特に限定されないが、例えば、絶縁樹脂組成物を溶剤などに溶解・分散させて樹脂ワニスを調製して、各種塗工装置を用いて樹脂ワニスを基材に塗工した後、これを乾燥する方法、樹脂ワニスをスプレー装置にて基材に噴霧塗工した後、これを乾燥する方法、などが挙げられる。
これらの中でも、コンマコーター、ダイコーターなどの各種塗工装置を用いて、樹脂ワニスを基材に塗工した後、これを乾燥する方法が好ましい。これにより、ボイドがなく、均一な絶縁層の厚みを有する基材付き絶縁樹脂シートを効率よく製造することができる。
前記樹脂ワニスに用いられる溶媒は、前記絶縁樹脂組成物中の樹脂成分に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系等が挙げられる。
前記樹脂ワニス中の固形分含有量としては特に限定されないが、30〜80重量%が好ましく、特に40〜70重量%が好ましい。
本発明の基材付き絶縁樹脂シートにおいて、絶縁樹脂組成物を基材に形成してなる絶縁層の厚さとしては特に限定されないが、5〜120μmであることが好ましい。さらに好ましくは10〜80μmである。これにより、この基材付き絶縁樹脂シートを用いて多層プリント配線板を製造する際に、内層回路の凹凸を充填して成形することができるとともに、好適な絶縁層厚みを確保することができる。また、基材付き絶縁樹脂シートにおいては、絶縁層の割れ発生を抑え、裁断時の粉落ちを少なくすることができる。
本発明の基材付き絶縁樹脂シートに用いられる基材としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂フィルム、あるいは、銅及び/又は銅系合金、アルミ及び/又はアルミ系合金、鉄及び/又は鉄系合金、銀及び/又は銀系合金、金及び金系合金、亜鉛及び亜鉛系合金、ニッケル及びニッケル系合金、錫及び錫系合金等の金属箔などを用いることができる。
前記基材の厚みとしては特に限定されないが、10〜120μmのものを用いると、基材付き絶縁樹脂シートを製造する際の取り扱い性が良好であり好ましい。
なお、本発明の基材付き絶縁樹脂シートを製造するにあたっては、絶縁層と接合される側の絶縁基材表面の凹凸は極力小さいものであることが好ましい。これにより、本発明の作用を効果的に発現させることができる。
次に、本発明の基材付き絶縁樹脂シートを用いた多層プリント配線板について説明する。
本発明の多層プリント回路板は、前記本発明の基材付き絶縁樹脂シートの絶縁層側と内層回路板とを合わせて、真空加圧式ラミネーター装置などを用いて真空加熱加圧成形させ、その後、熱風乾燥装置等で加熱硬化させることにより得ることができる。
ここで加熱加圧成形する条件は、特に限定されないが、一例を挙げると、温度60〜160℃、圧力0.2〜3MPaで実施することができる。また、加熱硬化させる条件も特に限定されないが、一例を挙げると、温度140〜240℃、時間30〜120分間で実施することができる。
あるいは、前記本発明の基材付き絶縁樹脂シートの絶縁層を内層回路板に重ね合わせ、平板プレス装置などを用いて加熱加圧成形することにより得ることができる。ここで加熱加圧成形する条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度140〜240℃、圧力1〜4MPaで実施することができる。
なお、前記多層プリント配線板を得る際に用いられる内層は、例えば、銅張積層板の両面に、エッチング等により所定の回路を形成し、回路部分を黒化処理等の粗化処理したものを好適に用いることができる。
前記で得られた多層プリント配線板は、さらに、基材を剥離除去して、絶縁層表面を過マンガン酸塩、重クロム酸塩等の酸化剤などにより粗化処理した後、金属メッキにより新たな導電配線回路を形成することができる。本発明の絶縁樹脂組成物から形成された絶縁層は、前記粗化処理工程において、微細な凹凸形状を高い均一性で多数形成することができ、また、絶縁層表面の平滑性が高いため、微細な配線回路を精度よく形成することができるものである。
次に半導体装置について説明する。
本発明の半導体装置は、前記で得られた多層プリント配線板に半導体素子を搭載するものである。最適温度で、3kg/cm、10秒間熱圧着し、次に、最高温度240℃、220℃以上で30秒間のリフロー炉を通す。その後、アンダーフィル剤を充填し、150℃で2時間硬化させて、半導体装置を得ることが出来る。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
(1)樹脂ワニスの調製
ビスフェノールSエポキシ樹脂とビフェニルエポキシ樹脂との共重合体であり、末端部はエポキシ基を有しているフェノキシ樹脂(A−1)(JER製YX8100重量平均分子量15,000)10重量部、ビスフェノールAの重合体であり、末端部はエポキシ基を有しているフェノキシ樹脂(B−1)(JER製YP−50 重量平均分子量40,000)10重量部、(C)エポキシ樹脂としてビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000、エポキシ当量275、重量平均分子量2000)20重量部、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30、重量平均分子量約700)20重量部、硬化触媒としてイミダゾール化合物(四国化成工業株式社製、キュアゾール1B2PZ(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール))0.2重量部をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、(D)無機充填材として球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス製、SO−25R、平均粒子径0.5μm)39.6重量部とエポキシシランカップリング剤(GE東芝シリコーン株式会社製、A−187)0.2重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製した。
(2)基材付き絶縁樹脂シートの製造
前記で得られた樹脂ワニスを、厚さ25μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの片面に、コンマコーター装置を用いて乾燥後の絶縁フィルムの厚さが60μmとなるように塗工し、これを160℃の乾燥装置で10分間乾燥して、基材付き絶縁樹脂シートを製造した。
(3)多層プリント配線板1の製造
所定の内層回路パターンが両面に形成された内層の表裏に、前記で得られた基材付き絶縁樹脂シートの絶縁層面を内側にして重ね合わせ、これを、真空加圧式ラミネーター装置を用いて、温度100℃、圧力1MPaで真空加熱加圧成形し、その後、熱風乾燥装置にて170℃で60分間加熱硬化を行い、多層プリント配線板1を製造した。
なお、内層としては、下記の銅張積層板を使用した。
・絶縁層:ハロゲンフリー FR−4材、厚さ0.4mm
・導体層:銅箔厚み18μm、L/S=120/180μm、クリアランスホール1mmφ、3mmφ、スリット2mm
(4)多層プリント配線板2の製造
前記で得られた多層プリント配線板1から基材を剥離し、80℃の膨潤液(アトテックジャパン株式会社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に10分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン株式会社製、コンセントレート コンパクト CP)に20分浸漬後、中和して粗化処理を行った。
これを脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅メッキ皮膜を約1μm、電気メッキ銅30μm形成させ、熱風乾燥装置にて200℃で60分間アニール処理を行い、多層プリント配線板2を得た。
(5)半導体装置の製造
前記多層配線板2を用い、太陽インキ製造(株)製、PSR−4000 AUS703を印刷し、半導体素子搭載パッド等が露出するように、所定のマスクで露光し、現像、キュアを行い、回路上のソルダーレジスト層厚さが12μmとなるように形成した。
次に、ソルダーレジスト層から露出した回路層上へ、無電解ニッケルめっき層3μmと、さらにその上へ、無電解金めっき層0.1μmとからなるめっき層を形成した。
得られた多層プリント積層板を50mm×50mmサイズに切断し、15mm×15mmサイズの半導体素子をフリップチップボンダー、リフロー炉にて接合し、アンダーフィルを充填することによって、半導体装置を作製した。
<実施例2>
フェノキシ樹脂(B−1)10重量部に代えて、ビスフェノールFの重合体であり、末端部はエポキシ基を有しているフェノキシ樹脂(B−2)(JER製4010P 重量平均分子量35,000)10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製して、基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板1、2及び半導体装置を製造した。
<実施例3>
フェノキシ樹脂(B−1)10重量部に代えて、ビスフェノールFの重合体であり、ビスフェノールAとビスフェノールFの共重合体であり、末端部はエポキシ基を有しているフェノキシ樹脂(B−3)(EP−4275重量平均分子量35,000)10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にし、樹脂ワニスを調製して、基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板1、2及び半導体装置を製造した。
<実施例4>
フェノキシ樹脂(A−1)代えて、ビスフェノールSエポキシ樹脂とビフェニルエポキシ樹脂との共重合体であり、末端部はエポキシ基を有しているフェノキシ樹脂(A−2)(JER製YX8100重量平均分子量11,000)10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製して、基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板1、2及び半導体装置を製造した。
<実施例5>
フェノキシ樹脂(A−2)7重量部、フェノキシ樹脂(B−1)7重量部、(C)エポキシ樹脂としてビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂18重量部、ノボラック型シアネート樹脂18重量部、無機充填材として球状溶融シリカ49.6重量部にした以外は、実施例4と同様にして樹脂ワニスを作製し、基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板1、2及び半導体装置を製造した。
<比較例1>
フェノキシ樹脂(A−1)に代えて、ビスフェノールSエポキシ樹脂とビフェニルエポキシ樹脂との共重合体であり、末端部はエポキシ基を有しているフェノキシ樹脂(A−3)(重量平均分子量35,000)10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製して、基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板1、2及び半導体装置を製造した。
<比較例2>
ビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂を用いず、(C)エポキシ樹脂としてビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂25重量部、ノボラック型シアネート樹脂25重量部にした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板1、2及び半導体装置を製造した。
<比較例3>
実質的に硫黄を含まないフェノキシ樹脂を用いず、(C)エポキシ樹脂としてビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂25重量部、ノボラック型シアネート樹脂25重量部にした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板1、2及び半導体装置を製造した。
<比較例4>
(C)エポキシ樹脂を用いず、フェノキシ樹脂(A−1)15重量部、フェノキシ樹脂(B−1)15重量部、ノボラック型シアネート樹脂30重量部にした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板1、2及び半導体装置を製造した。
<比較例5>
(D)無機充填材を用いず、フェノキシ樹脂(A−1)(重量平均分子量15,000)20重量部、フェノキシ樹脂(B−1)20重量部、(C)エポキシ樹脂としてビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂29.8重量部、ノボラック型シアネート樹脂29.8重量部にした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、基材付き絶縁樹脂シート、多層プリント配線板1、2及び半導体装置を製造した。
実施例及び比較例の組成物の配合組成、並びに評価結果を表1に示す。表中において、各配合量は「重量部」を示す。尚、評価方法は、以下の通りである。
1.基材付き絶縁樹脂シートの評価
(1)線膨張係数
基材付き絶縁樹脂シート2枚の絶縁層側どうしを内側にして重ね合わせ、これを、真空プレス装置を用いて圧力2MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形を行った後、基材を剥離除去して、樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物から4mm×20mmの評価用試料を採取し、TMA(熱機械的分析)装置(TAインスツルメント社製)を用いて、10℃/分で昇温して測定した。
○ : 35ppm/℃未満(25℃‐100℃の範囲の線膨張係数)
× : 35ppm/℃以上(25℃‐100℃の範囲の線膨張係数)
(2)Tg (ガラス転移温度)
基材付き絶縁樹脂シート2枚の絶縁樹脂層側どうしを内側にして重ね合わせ、これを、真空プレス装置を用いて圧力2MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形を行った後、基材を剥離除去して、樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物から、10mm×30mmの評価用試料を切り出し、DMA(動的熱機械測定)装置(TAインスツルメント社製)を用いて、5℃/分で昇温し、tanδのピーク位置をガラス転移温度とした。
○:160℃以上
×:160℃未満
2.多層プリント配線板1の評価
(3)成形性
多層プリント配線板1の基材を剥離除去し、目視にて成形ボイドの有無を観察した。
○:成形ボイドのないもの
×:成形ボイドが発生したもの
3.多層プリント配線板2の評価
(4)デスミア性
多層プリント配線板2の粗化処理によって形成された表面凹凸の面内均一性で評価した。
◎ :全面で均一な凹凸形状
○ :不均一な部分が10%未満であるもの
× :不均一な部分が10%以上であるもの
(5)表面粗さ(Ra)
多層プリント配線板2の粗化処理後基板において、レーザー顕微鏡により表面粗さ(Ra)を測定した。
○ : 0.7μm以下であるもの
× : 0.7μm以上であるもの
(6)クラック
多層プリント配線板2の粗化処理後基板表面のクラック(樹脂割れ)有無をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察し、またクラックある場合はその深さをレーザー顕微鏡にて深さを測定した。
○ : クラック 2μm未満であるもの
× : クラック 2μm以上であるもの
(7)めっきピール
多層プリント配線板2より、めっき銅の引き剥がし強度をJIS C-6481にもと
づいて測定した。
○:0.6kN/m以上であるもの
×:0.6kN/m未満であるもの
4.半導体装置の評価
(8)熱衝撃試験
前記で製造した半導体装置をフロリナート中で−55℃30分、125℃30分を1サイクルとして、1000サイクル処理し、基板又は半導体素子等にクラックが発生していないか確認した。
○:異常なし
×:クラック発生
実施例および比較例で得られた絶縁樹脂組成物、基材付き絶縁シート、及び、多層プリント配線板、半導体装置について、特性の評価を行った結果を表1に示す。
実施例1〜5は、本発明の絶縁樹脂組成物を用いたものであり評価全般にわたり良好であった。一方、比較例1は、ビスフェノールSを有するフェノキシ樹脂の分子量が35,000と大きいものを用いた例であるが、ガラス転移温度(Tg)、線膨張係数は良好な値であったものの、その他の評価において好ましい結果を得ることができなかった。比較例2は、(A)ビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂を含有しない例であるが、すべての特性において好ましい結果を得ることができなかった。比較例3は、(B)実質的に硫黄原子を含有しないフェノキシ樹脂を含まない例であるが、すべての特性において好ましい結果を得ることができなかった。比較例4は、(C)エポキシ樹脂を含有しない例であるが、すべての特性において好ましい結果を得ることができなかった。比較例5は、(D)無機充填材を含有しない例であるが、線膨張係数が大きくなり、成形性を大幅に悪化させる結果、すべての特性において好ましい結果を得ることができなかった。
本発明の絶縁樹脂組成物は、絶縁樹脂組成物は、高耐熱性、低熱膨張性であり、また成形性、デスミア性に優れるため、高密度化により微細回路形成が必要な多層配線等の配線板を含むものに有用に用いることができる。

Claims (10)

  1. 下記成分を必須成分とする絶縁樹脂組成物。
    (A)ビスフェノールS骨格を有する重量平均分子量が1.0×10〜2.5×10であるフェノキシ樹脂
    (B)実質的に硫黄原子を含まないフェノキシ樹脂
    (C)エポキシ樹脂
    (D)無機充填材
  2. 前記(A)ビスフェノールS骨格を有する重量平均分子量が1.0×10〜2.5×10であるフェノキシ樹脂は、ビフェニル骨格を有するものである請求項1に記載の絶縁樹脂組成物。
  3. 前記(D)無機充填材は、平均粒子径が1.5μm以下である請求項1または2に記載の絶縁樹脂組成物。
  4. 前記(D)無機充填材の含有量は、絶縁樹脂組成物全体の20〜85重量%である請求項1ないし3のいずれかに記載の絶縁樹脂組成物。
  5. 前記絶縁樹脂組成物が、さらにシアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーを含む請求項1ないし4のいずれかに記載の絶縁樹脂組成物。
  6. 前記シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーは、フェノールノボラック骨格を有する請求項5に記載の絶縁樹脂組成物。
  7. 前記絶縁樹脂組成物が、さらに硬化触媒を含む請求項1ないし6のいずれかに記載の絶縁樹脂組成物。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の絶縁樹脂組成物からなる絶縁層を基材上に形成してなる基材付き絶縁樹脂シート。
  9. 請求項8に記載の基材付き絶縁樹脂シートを、内層回路板の内層回路パターンが形成された面に重ね合わせて加熱加圧成形して得られる多層プリント配線板。
  10. 請求項9に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載した半導体装置。
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