JP2012153752A - 樹脂組成物、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
本発明の別の目的は、ワニスのチキソが高くならないようにすることにより、ワニスの製造上の困難さを克服することにある。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)充填材、(C)表面処理剤で処理された平均粒径5〜100nmの微粒子を必須成分とすることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】図1
Description
また、ワニスのチキソが高くなるとワニスの製造が困難となるため、ワニスのチキソが高くならないようにすることは、製造上克服すべき課題となっていた。
本発明の別の目的は、ワニスのチキソが高くならないようにすることにより、ワニスの製造上の困難さを克服することにある。
[1](A)エポキシ樹脂、(B)充填材、(C)表面処理剤で処理された平均粒径5〜100nmの微粒子を必須成分とすることを特徴とする樹脂組成物。
[2]前記表面処理剤は、メトキシシラン化合物である請求項1に記載の樹脂組成物。
[3]前記メトキシシラン化合物は、エポキシシラン、ビニルシラン、(メタ)アクリレートシラン、フェニルシラン、アニリドシランの群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
[4]前記樹脂組成物は、さらに(D)シアネート樹脂を含むものである、請求項1または3に記載の樹脂組成物。
[5][1]乃至[4]項のいずれか一に記載の樹脂組成物を基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
[6][5]項に記載のプリプレグ、又は当該プリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の少なくとも片面に金属箔を有することを特徴とする積層板。
[7][1]乃至[4]項のいずれか一に記載の樹脂組成物よりなる絶縁層をフィルム上、又は金属箔上に形成してなる樹脂シート。
[8][5]項に記載のプリプレグ、又は[7]項に記載の樹脂シートを内層回路基板に用いてなることを特徴とするプリント配線板。
[9]内層回路基板は、[5]項に記載のプリプレグ、または[6]項に記載の積層板を用い製造されることを特徴とするプリント配線板。
[10]内層回路基板に、[1]乃至[4]項のいずれか一に記載の樹脂組成物を絶縁層に用いてなるプリント配線板。
[11][8]乃至[10]項のいずれか一に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなることを特徴とする半導体装置。
まず、樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)充填材、(C)表面処理剤で処理された平均粒径5〜100nmの微粒子を必須成分として含有することを特徴とする。
これらのエポキシ樹脂の中でも特に、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びノボラック型エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。これにより、耐熱性及び難燃性を向上させる。
前記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算の重量平均分子量として特定することができる。
コアシェル型ゴム粒子とは、粒子がコア層とシェル層を有するゴム粒子をいい、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマー、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、または外層のシェル層がガラス状ポリマー、中間層がゴム状ポリマー、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。コア層のゴム状ポリマーとして、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエン、イソプロピレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリルニトリル等のモノマーよりなる架橋ゴムを選択することができる。また、コア層を被覆するシェル層としては、メチルメタアクリレート、スチレン、アクリロニトリルの単独重合体あるいはその共重合体等を選択することができる。シェル層を構成する樹脂には、官能基としてエポキシ基、カルボキシル基等の導入も可能であり、用途により選択することができる。
架橋型ゴム粒子は、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子、スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。
なお、このようなゴム粒子は、硬化物の機械強度を高める、硬化物の応力緩和、低熱膨張化などの効果を付与することもできる。
上記の平均粒径の充填材を用いることにより、さらに含浸性が向上する。
前記(C)表面処理剤で処理された平均粒径5〜100nmの微粒子の微粒子とは、特に限定されないが、例えば、VMC(Vaporized Metal Combustion)法、PVS(Physical Vapor Synthesis)法等の燃焼法、破砕シリカを火炎溶融する溶融法、沈降法、ゲル法等の方法によって製造したシリカ微粒子、硫酸バリウム、酸化チタン、亜鉛等の微粒子が挙げられる。シリカ微粒子の場合、電気絶縁材料として用いるため、特にイオン性不純物や粒子径が制御されていることが好ましく、必要な純度をもつシリコンを酸素と反応させてシリカを形成し、そのシリカを微細化することで、イオン性物質の含有量が所定値以下に制御された微粒子を得ることができる。予めシリコンを微細化することで、微細化されたシリカ粒子を得ることができる。更に、微粒子の粒径を制御したい場合には遠心力による重力分級などの一般的な分級方法にて分級を行うことができる。また、イオン性不純物を低減する手法としては、一般的な製法にて微粒子を製造した後、その微粒子を洗浄することで、イオン性物質を溶解・除去する方法が挙げられる。洗浄に用いる好ましい溶媒としては水(特にイオン交換などによりイオン性物質の含有量を低減させた水)が挙げられる。洗浄回数の増加、洗浄に用いる溶媒量の増加により、イオン性物質の含有量を低減させることができる。また、洗浄時に加熱することで粘度を低下させることができ、更なる洗浄効果の向上が期待できる。前記シリカ粒子としては、NSS−5N(トクヤマ(株)製)、Sicastar43−00−501(Micromod社製)、アドマナノ等の市販品を用いることもできる。また、テトラアルコキシシランの重縮合により形成されたコロイドシリカも用いることができる。テトラアルコキシシランとしてはテトラエトキシシラン(TEOS)やその他任意のアルコキシ基を有するものが挙げられる。このようにして製造されたコロイドシリカとしては扶桑化学工業(株)製コロイドシリカPL−3が挙げられる。
好ましくは、均一に表面処理が施される点で、あらかじめ微粒子の表面に前記表面処理剤で処理をしておくことが好ましい。
あらかじめ、微粒子の表面を処理する方法は、特に限定されないが、例えば、湿式方式または乾式方式などが挙げられる。特に好ましくは湿式方式である。湿式方式の方が、乾式方式と比較した場合、微粒子表面へ均一に処理することができる。湿式方式とは、媒質中に分散させたスラリー状態の粒子に対し、表面処理を行うことをいう。前記水系媒質とは親水性が高い微小粒子を分散できる媒質であり、表面処理工程において液体であることが望ましい。
水系媒質は、例えば、水、メタノール、アセトン等が挙げられるが、その他の有機溶媒と混合して用いてもよい。
また、水系媒質中で表面処理を施した後、水系有機溶媒を用いて、微小粒子を分散する媒質を水系媒質から水系有機溶媒に徐々に置換することができる。
ここで、水系有機溶媒とは、水系媒質よりも沸点が高く、水系媒質と混合できる有機溶媒のことである。水系媒質として水を採用する場合に、水系有機溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(プロピレングリコール−1−メチルエーテル、沸点119℃程度;プロピレングリコール−2−メチルエーテル、沸点130℃程度)、ブタノール(沸点117.7℃)、N−メチル−2−ピロリドン(沸点204℃程度)、γ−ブチロラクトン(沸点204℃程度)などが例示できる。
また、プリプレグを薄く(厚さ120μm以下)しても強度に優れ、プリプレグの線熱膨張率を小さくすることができる。更に、アディティブ法によるめっき銅の密着性に優れ、微細回路形成が可能となり、樹脂表面に過マンガン酸等の処理を施した場合、耐薬品性に優れ、低Raの粗面形成が可能になる。なお、Raは樹脂表面の算術平均粗さであり、JIS B0601に準拠して測定することができる。
前記(D)シアネート樹脂は、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化シアン化合物とフェノール類やナフトール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
前記プレポリマーは、通常、前記シアネート樹脂を加熱反応等により、例えば3量化することで得られるものであり、樹脂組成物の成形性、流動性を調整するために好ましく使用されるものである。
前記プレポリマーは、特に限定されないが、例えば、3量化率が20〜50重量%のプレポリマーを用いた場合、良好な成形性、流動性を発現できる。
次に樹脂シートの説明をする。
本発明の樹脂シートは、絶縁層を2層以上有する場合、そのうちの少なくとも1層が本発明の樹脂組成物であることが好ましい。また本発明のプリント配線板用樹脂組成物よりなる絶縁層は、金属箔、またはフィルム上に直接本発明の樹脂組成物よりなる樹脂層を形成することが好ましい。こうすることでプリント配線板製造時において、本発明のエポキシ樹脂組成物からなる絶縁層と外層回路導体との間のめっきピール強度を高めることができる。
尚、金属の表面粗さ(Rz)は、10点測定を行い、その平均値とした。表面粗さは、JIS B0601に基づいて測定した。
次に、プリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、前記樹脂組成物を基材に含浸してなるものである。本発明では、(A)エポキシ樹脂、(B)充填材、(C)微粒子を必須成分とする樹脂組成物は、ワニス化の際に低チキソの状態で前記の充填材および微粒子を多量に含むことができると共に、基材へ十分含浸したプリプレグを得ることできる。更に(D)シアネート樹脂を含有することで、低熱膨張性に優れる積層板、およびプリント配線板を得ることができる。
また、得られたプリプレグは、流動性に優れる。さらに従来、流動性が悪く、プリプレグに用いることが難しかった充填材(例えば、タルク、水酸化アルミニウム、ベーマイトなど)についても、プリプレグに高充填することができる。
なお、本発明の樹脂組成物は、従来の樹脂組成物に比べ、低熱膨張性、ドリル加工性、信頼性、耐熱性、難燃性、デスミア耐性を高いレベルで満足することができる。
次に、積層板について説明する。
本発明の積層板は、基材に上記の樹脂組成物を含浸してなる樹脂含浸基材層の少なくとも片面に金属箔を有するものである。
本発明の積層板は、例えば、上記のプリプレグ又は当該プリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の少なくとも片面に金属箔を張り付けることで製造できる。
プリプレグ1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。また、プリプレグを2枚以上積層することもできる。プリプレグを2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。次に、プリプレグと金属箔とを重ねたものを加熱加圧成形することで金属箔を有する積層板を得ることができる。
この様な製造方法では、基材付きでプリプレグを作製するため、プリプレグは、面内で厚みが均一で、表面平滑性が高く、低圧成形が可能となり、厚み精度が高く、成形歪の小さい積層板とすることができる。そのため、プリント配線板、および半導体装置の反りや反りばらつきを低減し、歩留り良く製造することができる。
前記樹脂付き金属箔を製造する装置において、金属箔は、例えば長尺のシート品を巻物形態にしたもの等を用い、連続的に巻き出すことにより供給することができる。ワニス状の樹脂組成物は、供給装置により、所定量が連続的に金属箔上に供給される。ここでワニス状の樹脂組成物とは、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解、分散させた塗布液をいう。ワニス状の樹脂組成物の塗工量は、コンマロールと、当該コンマロールのバックアップロールとのクリアランスにより制御することができる。所定量の樹脂が塗工された金属箔は、横搬送型の熱風乾燥装置内部を移送され、ワニス液状の樹脂組成物中に含有される有機溶剤等を実質的に乾燥除去することで、必要に応じて、硬化反応を途中まで進めた樹脂付き金属箔とすることができる。樹脂付き金属箔は、そのまま巻き取ることもできるが、ラミネートロールにより絶縁樹脂層が形成された側に保護フィルムを重ね合わせ、当該保護フィルムがラミネートされた樹脂付き金属箔を巻き取って、巻物形態の樹脂付き金属箔を得ていることもできる。
次に、本発明のプリント配線板について説明する。
本発明のプリント配線板は、上記のプリプレグ、または積層板を内層回路基板に用いてなる。
また、本発明のプリント配線板は、内層回路上に、上記のプリプレグ、および/または樹脂シートを絶縁層に用いて製造することができる。
また、本発明のプリント配線板は、上記の樹脂組成物を絶縁層に用いることにより製造される。
前記内層回路基板としては、例えば、本発明の金属箔を有する積層板の金属層に、エッチング等により所定の導体回路を形成し、導体回路部分を黒化処理したものを好適に用いることができる。
前記絶縁層としては、本発明のプリプレグ、又は本発明の樹脂組成物からなる樹脂フィルムを用いることができる。尚、前記絶縁層として、前記プリプレグ又は前記樹脂組成物からなる樹脂フィルムを用いる場合は、前記内層回路基板は本発明の積層板からなるものでなくてもよい。
前記積層板の片面又は両面に回路を形成し、内層回路基板を作製する。場合によっては、ドリル加工、レーザー加工によりスルーホールを形成し、メッキ等で両面の電気的接続をとることもできる。この内層回路基板に前記プリプレグを重ね合わせて加熱加圧成形することで絶縁層を形成する。同様にして、エッチング等で形成した導体回路層と絶縁層とを交互に繰り返し成形することにより、多層プリント配線板を得ることができる。
前記金メッキの代表的な方法の1つであるENEPIG法は、前記ニッケル−パラジウム−金無電解メッキ法の無電解金メッキ処理段階において、置換金メッキ処理を行う方法である。下地メッキとしての無電解ニッケルメッキ皮膜と、無電解金メッキ皮膜との間に無電解パラジウムメッキ皮膜を設けることによって、接続用電極部における導体材料の拡散防止性、耐食性が向上する。下地ニッケルメッキ皮膜の拡散防止を図ることができるので、Au−Au接合の信頼性が向上し、また金によるニッケル酸化を防止することができる。ので、熱負荷の大きい鉛フリー半田接合の信頼性も向上する。ENEPIG法では、通常、無電解パラジウムメッキ処理を行う前に表面処理を行って、メッキ工程での導通不良の発生を防ぐ必要があり、導通不良が甚だしい場合には隣接する端子間でショートを起こす原因となる。一方、本発明のプリント配線板は、表面処理を行わなくても上記のような導通不良がなく、簡単にメッキ処理を行うことができる。
次に、本発明の半導体装置について説明する。
前記で得られたプリント配線板に半田バンプを有する半導体素子を実装し、半田バンブを介して、前記プリント配線板との接続を図る。そして、プリント配線板と半導体素子との間には液状封止樹脂を充填し、半導体装置を形成する。半田バンプは、錫、鉛、銀、銅、ビスマス等からなる合金で構成されることが好ましい。
(1)エポキシ樹脂/ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000、エポキシ当量276
(2)シアネート樹脂/ノボラック型シアネート樹脂:ロンザジャパン社製プリマセットPT−30
(3)フェノール系硬化剤/ビフェニルジメチレン型ノボラック樹脂:日本化薬社製GPH−103、水酸基当量231
(4)ベーマイト:河合石灰社製BMT−3L、平均粒子2.9μm
(5)シリコーンパウダー:信越化学工業社製KMP‐600、平均粒子径5μm
(6)球状シリカ:アドマッテクス社製SO−31R、平均粒子径1.0μm、ヘキサメチルジシラザン処理品
(7)平均粒径5〜100nmの微粒子:アドマテックス社製アドマナノ50、平均粒子径50nm、ビニルトリメトキシシラン処理品
(8)平均粒径5〜100nmの微粒子:アドマテックス社製アドマナノ50、平均粒子径50nm、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン処理品
(9)平均粒径5〜100nmの微粒子:アドマテックス社製アドマナノ50、平均粒子径50nm、フェニルトリメトキシ処理品
(10)平均粒径5〜100nmの微粒子:アドマテックス社製アドマナノ50、平均粒子径50nm、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン処理品
(11)カップリング剤:信越化学工業社製KBM−573
(1)樹脂ワニスの調製
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランで処理された平均粒径5〜100nmの微粒子(アドマテックス社製アドマナノ50、平均粒子径50nm)2.0重量%をメチルエチルケトンに混合させた。次いで、エポキシ樹脂としてビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000、日本化薬社製、エポキシ当量276)27.1重量%と、シアネート樹脂としてノボラック型シアネート樹脂(プリマセットPT−30、ロンザジャパン社製)32.5重量%と、硬化剤としてフェノール樹脂(GPH−103、日本化薬社製、水酸基当量231)8.1重量%とを溶解、混合させた。次いで、得られた混合物を、高速撹拌装置を用いて撹拌し、樹脂ワニスを調製した。次いで、第1充填材としてシリコーンパウダー(信越化学工業社製KMP‐600、平均粒子径5μm)9.7重量%と、第2充填材としてベーマイト(河合石灰社製BMT−3L、平均粒子2.9μm)20.3重量%と、添加剤としてカップリング剤(KBM−573、信越化学工業社製)0.3重量%とを、得られた樹脂ワニスに溶解、混合させた。次いで、得られた混合物を、高速撹拌装置を用いて撹拌し、樹脂ワニスを調製した。
前記ワニスをガラス織布(厚さ94μm、日東紡績製Eガラス織布、WEA−116)に含浸し、180℃の加熱炉で2分間乾燥して、厚さ100μmのプリプレグを得た。
前記プリプレグを4枚重ね、その両面に12μmの銅箔(三井金属鉱業社製、3EC−VLP箔)を重ねて、圧力3MPa、温度220℃で2時間加熱加圧成形し、絶縁樹脂層の厚み0.4mmの両面に銅箔を有する積層板を得た。
両面に銅箔を有する前記積層板を用い、ドリル機で開孔しスルーホールを形成した後、無電解メッキで上下銅箔間の導通を図った。
なお、スルーホール壁間の距離は、スルーホール壁間絶縁信頼性を評価するため、スルーホール壁間0.2mmとした。
両面の銅箔をエッチングすることにより内層回路を両面に形成した(L(導体回路幅(μm))/S(導体回路間幅(μm))=50/50)。
次に、内層回路に過酸化水素水と硫酸を主成分とする薬液(旭電化工業(株)製、テックSO−G)をスプレー吹き付けすることにより、粗化処理による凹凸形成を行った。
その後、得られた積層体が有するプリプレグに、炭酸レーザー装置(日立ビアメカニクス(株)製:LG−2G212)を用いてφ60μmの開孔部(ブラインド・ビアホール)を形成し、70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレートコンパクト CP)に15分浸漬後、中和して粗化処理を行った。
次に、脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅メッキ皮膜による約0.5μmの給電層を形成した。この給電層表面に、厚さ25μmの紫外線感光性ドライフィルム(旭化成社製、AQ−2558)をホットロールラミネーターにより貼り合わせ、最小線幅/線間が20/20μmのパターンが描画されたクロム蒸着マスク(トウワプロセス社製)を使用して、位置を合わせ、露光装置(ウシオ電機社製UX−1100SM−AJN01)にて露光、炭酸ソーダ水溶液にて現像し、めっきレジストを形成した。
なお、半導体素子の半田バンプ配列に相当する、前記プリント配線板の接続用電極部にENEPIG処理を施した。
ENEPIG処理は、[1]クリーナー処理、[2]ソフトエッチング処理、[3]酸洗処理、[4]プレディップ処理、[5]パラジウム触媒付与、[6]無電解ニッケルメッキ処理、[7]無電解パラジウムメッキ処理、[8]無電解金メッキ処理の工程で行われた。
ENEPIG処理を施されたプリント配線板を50mm×50mmの大きさに切断し、使用した。半導体素子(TEGチップ、サイズ15mm×15mm、厚み0.8mm)は、Sn/Pb組成の共晶で形成された半田バンプを有し、半導体素子の回路保護膜はポジ型感光性樹脂(住友ベークライト社製、CRC-8300)で形成されたものを使用した。半導体装置の組み立ては、まず、半田バンプにフラックス材を転写法により均一に塗布し、次にフリップチップボンダー装置を用い、プリント配線板上に加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることで半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂の硬化条件は、温度150℃、で、120分であった。
表1の配合量に従い、実施例1と同様にプリプレグ、積層板、プリント配線板、多層プリント配線板、および半導体装置を得た。
また、実施例及び比較例の樹脂組成物の配合組成、各物性値、評価結果を表1に示す。尚、表中において、各配合量は「重量部」を示す。
樹脂ワニスのチキソ性は、E型粘度計(円錐平板型回転粘度計)を用いてJIS K7117−2に準拠して測定した。具体的には、樹脂ワニス1mlを測定カップ中央に入れ、回転数10rpm、20rpmの測定を行った。チキソ性は10rpm/20rpmの粘度比を評価した。
得られた金属張積層板の銅箔をエッチングで除去し、厚さが100μm、面積4mm×40mmのテストピースを切り出し、TMA装置(TAインスツルメント社製)を用いて5℃/分で昇温し、25℃から150℃の範囲における線熱膨張係数を測定した。
プリプレグ、または銅箔付きプリプレグを170℃の温度で、1時間硬化させ、硬化後の断面を観察した。(観察範囲は、500mm)
符号は以下の通り。
◎:全て良好に含浸した場合
○:モノフィラメントに微小未含浸箇所がある場合
△:モノフィラメントに未含浸箇所が多数ある場合
×:ボイドがある場合
前記実施例、および比較例で得られた両面に銅箔を有する積層板の成型性を評価した。
評価は、得られた積層板の表面状態の観察により行った。
具体的には、表面のスジ状のムラの有無を観察した。
符号は以下の通り。
○:スジ状のムラの発生がなく、良好な場合
×:スジ状のムラの発生あるか、または成形不良がある場合
前記実施例及び比較例で得られた金属張積層板を50mm×50mm角に切断したサンプルを用いて、JIS C-6481に基づいて、前記サンプルの片面の半分以外の全銅箔をエッチングで除去し、プレッシャークッカー試験機(エスペック社製)にて121℃、2気圧で2時間処理した後、260℃の半田槽に30秒間浸漬させて、外観変化の異常の有無を目視にて観察した。
各符号は以下の通りである。
○:異常がない場合
×:膨れ、剥がれある
前記実施例及び比較例で得られたプリント配線板を用い、スルーホール間の絶縁信頼性を評価した。
プリント配線板のスルーホール壁間0.2mm部分を用い、印加電圧20V、温度130℃、湿度85%の条件で、連続測定で評価した。
なお、絶縁抵抗値が108Ω未満となる時点で終了とした。
各符号は以下の通りである。
◎:200時間を超えた。
○:100時間以上200時間以下であった。
×:100時間未満であった。
一方、比較例1、および2では、平均粒径5〜100nmの微粒子が表面処理剤で処理されていないため、ワニスのチキソ比が高くなり、積層板の線熱膨張係数が高くなって、プリプレグの含浸性、積層板製造時の成形性が、実施例に比べ劣る結果となった。また、半田耐熱性も悪く、プリント配線板のスルーホール間の絶縁性も劣っていた。
11…金属箔
12…絶縁樹脂層
20…基材
30…樹脂付き高分子フィルムシート
31…高分子フィルムシート
32…絶縁樹脂層
40…プリプレグ
41…金属箔付きプリプレグ
42…高分子フィルムシート付きプリプレグ
51…金属箔を有する積層板
52…金属箔を有する積層板
Claims (11)
- (A)エポキシ樹脂、(B)充填材、(C)表面処理剤で処理された平均粒径5〜100nmの微粒子を必須成分とすることを特徴とする樹脂組成物。
- 前記表面処理剤は、メトキシシラン化合物である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記メトキシシラン化合物は、エポキシシラン、ビニルシラン、(メタ)アクリレートシラン、フェニルシラン、アニリドシランの群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物は、さらに(D)シアネート樹脂を含むものである、請求項1または3に記載の樹脂組成物。
- 請求項1乃至4のいずれか一に記載の樹脂組成物を基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
- 請求項5に記載のプリプレグ、又は当該プリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の少なくとも片面に金属箔を有することを特徴とする積層板。
- 請求項1乃至4のいずれか一に記載の樹脂組成物よりなる絶縁層をフィルム上、又は金属箔上に形成してなる樹脂シート。
- 請求項5に記載のプリプレグ、又は請求項7に記載の樹脂シートを内層回路基板に用いてなることを特徴とするプリント配線板。
- 内層回路基板は、請求項5に記載のプリプレグ、または請求項6に記載の積層板を用い製造されることを特徴とするプリント配線板。
- 内層回路基板に、請求項1乃至4のいずれか一に記載の樹脂組成物を絶縁層に用いてなるプリント配線板。
- 請求項8乃至10項のいずれか一に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなることを特徴とする半導体装置。
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