JP5589363B2 - シリコーンゴム微粒子含有エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板及び半導体装置 - Google Patents

シリコーンゴム微粒子含有エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板及び半導体装置 Download PDF

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本発明は、シリコーンゴム微粒子含有エポキシ樹脂組成物(以下、単に「エポキシ樹脂組成物」と称する場合がある。)、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板及び半導体装置に関するものである。
近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、さらには高密度実装化等が進んでおり、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等は、従来にも増して、小型薄型化、高密度化、及び多層化が進んでいる。従って、難燃性等の基本要求を満たし、且つ、高密度で微細な導体パターンを形成できるプリント配線板として、特に、低熱膨張性、ドリル加工性に優れ、デスミア処理を良好に行うことができるものが求められている。
プリント配線板の製造に用いられるプリプレグは、一般的に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂組成物を溶媒に溶解させてワニスとし、これを基材に含浸させて加熱乾燥させることにより作製される。従来、プリプレグの耐熱性、低熱膨張性、デスミア耐性等を向上させるために無機充填剤を含有させた樹脂組成物、あるいはプリプレグのドリル加工性等を向上させるために可とう成分を含有させた樹脂組成物を用いて、プリプレグの作製が行われている。
例えば、特許文献1に開示されているエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、水酸化アルミニウム又は球状シリカ及び水酸化アルミニウムを含む無機充填剤、コアシェル構造を有し、シェル部分が前記エポキシ樹脂と相溶する樹脂で構成されている微粒子からなる可とう成分を含有し、硬化状態での厚み(Z)方向の熱膨張係数αが48以下であることを特徴とし、前記エポキシ樹脂組成物を用いて作製した積層板が、寸法安定性及び孔あけ加工性が良好で、孔あけ加工時のクラックの発生が抑制されることが記載されている。
特開2009−74036号公報
しかしながら、無機充填材の微粒子又は可とう成分の微粒子を多量に含有した樹脂組成物のワニスは、粘度が高くなるため、基材へ充分量の樹脂組成物を含浸させること、及び微粒子を均一に含浸させることが困難となったり、プリプレグの凹凸と微粒子による圧力がばらつくことにより、樹脂と微粒子との分離が発生しやすく、得られる金属張積層板にスジ状のムラが発生したりするという問題点がある。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、本発明の目的は、基材への含浸性が良好で、難燃性、低熱膨張性、ドリル加工性、及びデスミア耐性に優れるプリプレグを作製でき、表面のスジ状ムラの発生が非常に少ない金属張積層板を作製できる、シリコーンゴム微粒子含有エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、前記シリコーンゴム微粒子含有エポキシ樹脂組成物を用いて作製したプリプレグ、前記シリコーンゴム微粒子含有エポキシ樹脂組成物又は前記プリプレグを用いて作製した金属張積層板、前記金属張積層板、前記プリプレグ、及び前記エポキシ樹脂組成物のうち少なくともいずれか1つを用いて作製したプリント配線板、及び前記プリント配線板を用いて作製した性能に優れる半導体装置、を提供することにある。
上記の目的は、下記(1)〜(13)に記載の本発明により達成される。
(1)固形分基準で、エポキシ樹脂5〜30重量%と、レーザー回折散乱法により測定される体積基準粒度分布のメディアン径(D50)として特定される平均粒子径1μm〜10μmのシリコーンゴム微粒子5〜50重量%と、レーザー回折散乱法により測定される体積基準粒度分布のメディアン径(D50)として特定される平均粒子径10nm〜150nmのシリカナノ粒子1〜10重量%と、を含有し、
前記シリカナノ粒子の含有量に対する、前記シリコーンゴム微粒子の含有量の重量比(シリコーンゴム微粒子の重量/シリカナノ粒子の重量)が、2〜20であることを特徴とする、エポキシ樹脂組成物。
(2)前記シリコーンゴム微粒子は、シリコーンゴムからなるコア部を、シリコーン樹脂で被覆したコアシェル構造粒子である、上記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(3)前記シリカナノ粒子の平均粒子径が40nm以上100nm以下である上記(1)又は(2)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(4)さらに、シアネート樹脂を含むものである上記(1)乃至(3)のいずれか一に記載のエポキシ樹脂組成物。
(5)さらに、マレイミド樹脂を含むものである上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載のエポキシ樹脂組成物。
(6)前記エポキシ樹脂は、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性エポキシ樹脂、及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)乃至(5)のいずれか一に記載のエポキシ樹脂組成物。
(7)上記(1)乃至(6)のいずれか一に記載のエポキシ樹脂組成物を基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
(8)基材中に上記(1)乃至(6)のいずれか一に記載のエポキシ樹脂組成物を含浸してなる樹脂含浸基材層の少なくとも片面に金属箔を有することを特徴とする金属張積層板。
(9)上記(7)に記載のプリプレグ又は当該プリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の少なくとも片面に金属箔を重ね、加熱加圧することにより得られる上記(8)に記載の金属張積層板。
(10)上記(8)又は(9)に記載の金属張積層板を内層回路基板に用いてなることを特徴とするプリント配線板。
(11)内層回路上に、上記(7)に記載のプリプレグを絶縁層に用いてなるプリント配線板。
(12)内層回路上に、上記(1)乃至(6)のいずれか一に記載のエポキシ樹脂組成物を絶縁層に用いてなるプリント配線板。
(13)上記(10)乃至(12)のいずれか一に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなることを特徴とする半導体装置。
本発明によれば、シリコーンゴム微粒子と、シリカナノ粒子とを組み合わせてエポキシ樹脂組成物に含有させることにより、前記エポキシ樹脂組成物のワニスは低粘度の状態で前記2種類の粒子を多量に含むことができ、前記エポキシ樹脂組成物の基材への含浸性が良好である。前記エポキシ樹脂組成物を用いて作製したプリプレグは、難燃性、低熱膨張性、ドリル加工性、及びデスミア耐性に優れる。前記エポキシ樹脂組成物又は前記プリプレグを用いて作製した金属張積層板は、表面のスジ状ムラの発生が非常に少ない。さらに、前記金属張積層板、前記プリプレグ、及び前記エポキシ樹脂組成物のうち少なくともいずれか1つを用いて、性能に優れるプリント配線板を得ることができる。また、本発明によれば、前記プリント配線板を用いて、性能に優れる半導体装置を得ることができる。
本発明の金属張積層板の製造方法の一例に用いられる、金属箔、絶縁樹脂層、及び基材について、各々の幅方向寸法の形態例を示す概略図である。 (1)実施例1で得られた金属張積層板の金属箔層の表面を撮影した写真であり、(2)比較例1で得られた金属張積層板の金属箔層の表面を撮影した写真であり、(3)金属張積層板の金属箔層の表面の写真を説明する図である。
(シリコーンゴム微粒子含有エポキシ樹脂組成物)
まず、シリコーンゴム微粒子含有エポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明のシリコーンゴム微粒子含有エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、平均粒子径1μm〜10μmのシリコーンゴム微粒子と、平均粒子径10nm〜150nmのシリカナノ粒子と、を含有することを特徴とする。
シリコーンゴム微粒子と、シリカナノ粒子とを併用してエポキシ樹脂組成物に含有させることにより、前記エポキシ樹脂組成物のワニスが低粘度の状態で、前記3種類の粒子を多量に含有させることができる。これは、正の表面ゼータ電位を有するシリコーン微粒子と、負の表面ゼータ電位を有するシリカナノ粒子とが引き合うことにより、多量の粒子を含んでいてもワニスが低粘度となるからである。
前記シリコーンゴム微粒子は、オルガノポリシロキサンで形成されたゴム弾性微粒子であれば特に限定されず、例えば、シリコーンゴム(オルガノポリシロキサン架橋エラストマー)そのものからなる微粒子、及びシリコーンゴムからなるコア部をシリコーン樹脂で被覆したコアシェル構造粒子等が挙げられる。前記シリコーンゴム微粒子としては、KMP−605、KMP−600、KMP−597、KMP−594(信越化学(株)製)、トレフィルE−500、トレフィルE−600(東レ・ダウコーニング(株)製)等の市販品を用いることができる。
前記シリコーンゴム微粒子は、平均粒子径が1〜10μmであり、含浸性に優れる点から、1〜5μmが好ましい。
前記シリコーンゴム微粒子の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物全体の固形分基準で5〜50重量%であることが好ましく、含浸性に優れる点から、特に10〜40重量%であることが好ましい。
前記シリカナノ粒子は、平均粒子径が10〜150nmであり、含浸性の点から、40〜100nmが好ましい。平均粒子径が10nm未満では、基材のフィラメント間を広げることができず、また150nmより大きい場合は、フィラメント間に入り込むことができない場合があるからである。
前記シリカナノ粒子としては、特に限定されないが、例えば、VMC(Vaperized Metal Combution)法、PVS(Physical Vapor Synthesis)法等の燃焼法、破砕シリカを火炎溶融する溶融法、沈降法、ゲル法等の方法によって製造したものを用いることができる。これらの中でもVMC法が特に好ましい。前記VMC法とは、酸素含有ガス中で形成させた化学炎中にシリコン粉末を投入し、燃焼させた後、冷却することで、シリカ微粒子を形成させる方法である。前記VMC法では、投入するシリコン粉末の粒子径、投入量、火炎温度等を調整することにより、得られるシリカ微粒子の粒子径を調整できる。
また、前記シリカナノ粒子としては、NSS−5N(トクヤマ(株)製)、Sicastar43−00−501(Micromod社製)等の市販品を用いることもできる。
前記シリカナノ粒子の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物全体の固形分基準で1〜10重量%であることが好ましく、特に2〜5重量%であることが好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に含浸性に優れる。
前記シリカナノ粒子の含有量に対する、前記シリコーンゴム微粒子の含有量の重量比(シリコーンゴム微粒子の重量/シリカナノ粒子の重量)は、特に限定されないが、1〜50であることが好ましく、特に2〜20であることが好ましい。重量比が前記範囲内であると、特に成形性を向上することができる。重量比が前記範囲より大きい又は小さいと、含浸性が悪くなり、ボイド発生による半田不具合耐熱性、絶縁信頼性の低下が起こりやすくなる。
尚、前記シリコーンゴム微粒子及び前記シリカナノ粒子の平均粒子径は、例えば、レーザー回折散乱法により測定することができる。粒子を水中で超音波により分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(HOEIBA製、LA−500)により、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)を平均粒子径とする。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物は、特性を損なわない範囲で、ベーマイト、シリカ、水酸化アルミニウム、タルク等の無機充填剤を含んでいてもよい。
前記エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4’−シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4’−(1,4−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4’−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタンノボラック型エポキシ樹脂、1,1,2,2−(テトラフェノール)エタンのグリシジルエーテル類、3官能、又は4官能のグリシジルアミン類、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性エポキシ樹脂、メトキシナフタレン変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、メトキシナフタレンジメチレン型エポキシ樹脂等のナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、上記エポキシ樹脂をハロゲン化した難燃化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用することもでき、1種類又は2種類以上と、それらのプレポリマーを併用することもできる。
これらのエポキシ樹脂の中でも特に、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性エポキシ樹脂、及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。これにより、耐熱性及び難燃性を向上させる。
前記エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物全体の固形分基準で5〜30重量%とすることが好ましい。含有量が前記下限値未満であると、エポキシ樹脂の硬化性が低下したり、当該エポキシ樹脂組成物より得られるプリプレグ、又はプリント配線板の耐湿性が低下したりする場合がある。また、前記上限値を超えると、プリプレグ又はプリント配線板の線熱膨張率が大きくなったり、耐熱性が低下したりする場合がある。
前記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量400〜18000が好ましい。重量平均分子量が前記下限未満であると、ガラス転移点が低下し、前記上限値を超えると流動性が低下し、基材に含浸できない場合がある。重量平均分子量を前記範囲内とすることにより、含浸性に優れたものとすることができる。
前記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算の重量分子量として特定することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、特に限定されないが、シアネート樹脂を含むことが好ましい。これにより、難燃性をより向上させることができる。
前記シアネート樹脂は、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化シアン化合物とフェノール類やナフトール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
前記シアネート樹脂の種類としては、特に限定されないが、例えば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂、及びナフトールアラルキル型シアネート樹脂等を挙げることができる。
前記シアネート樹脂は、分子内に2個以上のシアネート基(−O−CN)を有することが好ましい。例えば、2,2’−ビス(4−シアナトフェニル)イソプロピリデン、1,1’−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル−1−(1−メチルエチリデン))ベンゼン、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル、フェノールノボラック型シアネートエステル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、1,1,1−トリス(4−シアナトフェニル)エタン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、1,3−、1,4−、1,6−、1,8−、2,6−又は2,7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4,4−ジシアナトビフェニル、及びフェノールノボラック型、クレゾールノボラック型の多価フェノール類と、ハロゲン化シアンとの反応で得られるシアネート樹脂、ナフトールアラルキル型の多価ナフトール類と、ハロゲン化シアンとの反応で得られるシアネート樹脂等が挙げられる。これらの中で、フェノールノボラック型シアネート樹脂が難燃性、及び低熱膨張性に優れ、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)イソプロピリデン、及びジシクロペンタジエン型シアネートエステルが架橋密度の制御、及び耐湿信頼性に優れている。特に、フェノールノボラック型シアネート樹脂が低熱膨張性の点から好ましい。また、更に他のシアネート樹脂を1種類あるいは2種類以上併用したりすることもでき、特に限定されない。
前記シアネート樹脂は、単独で用いてもよいし、重量平均分子量の異なるシアネート樹脂を併用したり、前記シアネート樹脂とそのプレポリマーとを併用したりすることもできる。
前記プレポリマーは、通常、前記シアネート樹脂を加熱反応等により、例えば3量化することで得られるものであり、エポキシ樹脂組成物の成形性、流動性を調整するために好ましく使用されるものである。
前記プレポリマーは、特に限定されないが、例えば、3量化率が20〜50重量%のプレポリマーを用いた場合、良好な成形性、流動性を発現できる。
前記シアネート樹脂の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物全体の固形分基準で5〜60重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50重量%であり、特に好ましくは10〜40重量%である。含有量が前記範囲内であると、シアネート樹脂は、効果的に耐熱性、及び難燃性を発現させることができる。シアネート樹脂の含有量が前記下限未満であると熱膨張性が大きくなり、耐熱性が低下する場合があり、前記上限値を超えるとエポキシ樹脂組成物を用いて作製したプリプレグの強度が低下する場合がある。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、特に限定されないが、マレイミド樹脂を含むことが好ましい。これにより、耐熱性を向上させることができる。
前記マレイミド樹脂としては、特に限定されないが、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等のビスマレイミド樹脂が挙げられる。また、更に他のマレイミド樹脂を1種類あるいは2種類以上併用したりすることもでき、特に限定されない。
前記マレイミド樹脂は、単独で用いてもよいし、重量平均分子量の異なるマレイミド樹脂を併用したり、前記マレイミド樹脂とそのプレポリマーとを併用したりすることもできる。
前記マレイミド樹脂の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物全体の固形分基準で1〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜25重量%であり、さらに好ましくは5〜20重量%である。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物は、ポリイミド樹脂、トリアジン樹脂、フェノール樹脂、及びメラミン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、フェノール系硬化剤を使用することができる。フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類等公知慣用のものを単独あるいは2種類以上組み合わせて使用することができる。
前記フェノール系硬化剤の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂との当量比(フェノール性水酸基当量/エポキシ基当量)が1.0未満、0.1以上が好ましい。これにより、未反応のフェノール系硬化剤の残留がなくなり、吸湿耐熱性が向上する。更に、厳しい吸湿耐熱性を必要とする場合は、0.2〜0.5の範囲が特に好ましい。また、フェノール樹脂は、硬化剤として作用するだけでなく、シアネート基とエポキシ基との硬化を促進することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、上記成分以外の添加物を、特性を損なわない範囲で添加することができる。上記成分以外の成分は、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオイル型カップリング剤等のカップリング剤、イミダゾール類、トリフェニルホスフィン、及び4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤、アクリル系重合物等の表面調整剤、染料及び顔料等の着色剤等を挙げることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、プリプレグの調製の際に、溶媒に溶解させてワニスとして用いられる。前記ワニスの調製方法は、特に限定されないが、例えば、前記シリコーンゴム微粒子、前記シリカナノ粒子、及び前記無機充填剤を溶媒に分散したスラリーを調製し、当該スラリーにその他のエポキシ樹脂組成物の成分を添加し、さらに前記溶媒を加えて溶解・混合させる方法等が挙げられる。シリカナノ粒子のようなナノサイズの粒子は、凝集し易く、樹脂組成物に配合する際に2次凝集等を形成してしまうことが多いが、スラリー状のものを用いることで、このような2次凝集を防止することができ、分散性が向上される。
前記溶媒としては、特に限定されないが、前記エポキシ樹脂組成物に対して良好な溶解性を示す溶媒が好ましく、例えば、MEK、シクロヘキサノン、MIBK、ANON、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。尚、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。
前記ワニスが含むエポキシ樹脂組成物の固形分は、特に限定されないが、30〜80重量%が好ましく、特に40〜70重量%が好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の基材への含浸性を向上できる。
(プリプレグ)
次に、プリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、前記エポキシ樹脂組成物を基材に含浸し、加熱乾燥してなるものである。本発明では、エポキシ樹脂組成物にシリコーンゴム微粒子と、シリカナノ粒子とを併用して含有させることにより、これらの粒子を多量に含んでいるにも関わらず、粘度の低いエポキシ樹脂組成物が得られ、当該エポキシ樹脂組成物を充分に基材に含浸したプリプレグを得ることができ、得られたプリプレグは、難燃性、低熱膨張性、ドリル加工性、及びデスミア耐性に優れる。
前記基材としては、例えばガラス織布、ガラス不織布、ガラスペーパー等のガラス繊維基材、紙、アラミド、ポリエステル、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂等の合成繊維等からなる織布や不織布、金属繊維、カーボン繊維、鉱物繊維等からなる織布、不織布、マット類等が挙げられる。これらの基材は単独又は混合して使用してもよい。これらの中でもガラス繊維基材が好ましい。これにより、プリプレグの剛性、寸法安定性を向上することができる。
前記エポキシ樹脂組成物を前記基材に含浸させる方法は、例えば基材をエポキシ樹脂組成物のワニスに浸漬する方法、各種コーターにより塗布する方法、スプレーにより吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、基材をエポキシ樹脂組成物のワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、基材に対するエポキシ樹脂組成物の含浸性を向上することができる。尚、基材をエポキシ樹脂組成物のワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。前記基材に前記エポキシ樹脂組成物を含浸させ、所定温度、例えば90〜180℃で乾燥させることによりプリプレグを得ることができる。
(金属張積層板)
次に、金属張積層板について説明する。
本発明の金属張積層板は、基材に上記のエポキシ樹脂組成物を含浸してなる樹脂含浸基材層の少なくとも片面に金属箔を有するものである。
本発明の金属張積層板は、例えば、上記のプリプレグ又は当該プリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の少なくとも片面に金属箔を張り付けることで製造できる。
プリプレグ1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。また、プリプレグを2枚以上積層することもできる。プリプレグ2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。次に、プリプレグと金属箔とを重ねたものを加熱加圧成形することで金属張積層板を得ることができる。
本発明の金属張積層板は、前記エポキシ樹脂組成物のワニスが低粘度のためにフローは大きいものの、前記エポキシ樹脂組成物がシリコーンゴム微粒子とシリカナノ粒子とを併用して含有することにより、これらの粒子の流動性と樹脂流動性とのバランスが良く、シリコーンゴム微粒子のクッション効果により粒子による圧力のばらつきが少ないため、表面のスジ状ムラは非常に少ない。
図2は、(1)実施例1で得られた金属張積層板の金属箔層の表面を撮影した写真、(2)比較例1で得られた金属張積層板の金属箔層の表面を撮影した写真、及び(3)金属張積層板の金属箔層の表面の写真を説明する図であり、前記(3)は、金属張積層板の金属箔層表面、及び当該金属箔層表面上に発生したスジ状ムラを表わす。シリコーンゴム微粒子と、シリカナノ粒子とを併用して含有したエポキシ樹脂組成物を用いた本発明の金属張積層板である(1)では、金属箔層の表面にスジ状ムラが見られないのに対し、シリコーンゴム微粒子と、シリカナノ粒子とを併用して含有していないエポキシ樹脂組成物を用いた金属張積層板である(2)では、スジ付近に特に大きなフローがあり、金属箔層の表面にスジ状ムラが発生している。
前記加熱する温度は、特に限定されないが、120〜220℃が好ましく、特に150〜200℃が好ましい。前記加圧する圧力は、特に限定されないが、0.5〜5MPaが好ましく、特に1〜3MPaが好ましい。また、必要に応じて高温槽等で150〜300℃の温度で後硬化を行っても構わない。
また、別の方法として、本発明の金属張積層板は、WO2007/040125に記載されているような方法によって製造することもできる。この方法は、(a)片面側に絶縁樹脂層が形成された第一及び第二の絶縁樹脂層付き金属箔の絶縁樹脂層側を、基材の両面側にそれぞれ重ね合わせ、減圧条件下でこれらを接合する工程と、(b)前記接合後に、前記絶縁樹脂の溶融温度以上の温度で加熱処理する工程とを有することを特徴とする、金属張積層板の製造方法である。尚、前記絶縁樹脂層は、本発明のエポキシ樹脂組成物からなる。
前記(a)工程での減圧条件は、常圧より700Torr以上減圧した条件であることが好ましく、さらに好ましくは、常圧より740Torr以上減圧した条件である。
前記(b)工程での加熱温度は、前記絶縁樹脂の溶融温度以上の温度、つまり本発明のエポキシ樹脂組成物の溶融温度以上の温度である。前記(b)工程により、絶縁層付き金属箔と基材とが接合した時点で残存していた、減圧ボイドあるいは実質的な真空ボイドを消失させることができ、非充填部分が非常に少ない、あるいは、実質的に存在しない金属張積層板を製造することができる。
前記(a)〜(b)工程により製造される金属張積層板は、例えば図1(1)〜(3)に示したような、第一及び第二の絶縁樹脂層付き金属箔3a、3aとして、基材4よりも幅方向寸法が大きい金属箔を有するとともに、基材4よりも幅方向寸法が大きい絶縁樹脂層を有するものを用いた形態が挙げられる。この形態では、前記(a)工程において、基材4の幅方向寸法の内側領域(基材4が存在する領域)では、第一及び第二の絶縁樹脂付き金属箔3a、3aは、それぞれ基材4と接合することができる。また、基材4の幅方向寸法の外側領域(基材4が存在していない領域)では、第一及び第二の絶縁樹脂層付き金属箔3a、3aそれぞれが有する絶縁樹脂層面を直接接合することができる(図1(2))。これらの接合は減圧下で実施するため、基材4の内部、あるいは、絶縁樹脂層付き金属箔3aと基材4との接合面等に非充填部分が残存していても、これらを減圧ボイドあるいは実質的な真空ボイドとすることができるので、(b)工程の加熱処理により容易に消失させることができ、(b)工程において、幅方向の周辺部から空気が進入して新たなボイドが形成されるのを防ぐことができる(図1(3))。
尚、第一及び第二の絶縁樹脂層付き金属箔3a、3aのうち一方又は両方が、基材4と幅方向寸法が同じ絶縁樹脂層を有していてもよいが、より簡易に絶縁樹脂層により基材を封じて密閉することができ、ボイドが少ない金属張積層板を製造することができる点から、図1に示す形態が好ましい。
図1等の金属張積層板は、特に限定されないが、例えば、絶縁樹脂層付き金属箔を製造する装置及び金属張積層板を製造する装置を用いて製造される。
前記絶縁樹脂層付き金属箔を製造する装置において、金属箔は、例えば長尺のシート品を巻物形態にしたもの等を用い、これにより連続的に巻き出すことにより供給することができる。液状の絶縁樹脂は、絶縁樹脂の供給装置により、所定量が連続的に金属箔上に供給される。ここで液状の絶縁樹脂として、本発明のエポキシ樹脂組成物を溶剤に溶解、分散させた塗布液が用いられる。絶縁樹脂の塗工量は、コンマロールと、当該コンマロールのバックアップロールとのクリアランスにより制御することができる。所定量の絶縁樹脂が塗工された金属箔は、横搬送型の熱風乾燥装置の内部を移送し、液状の絶縁樹脂中に含有される有機溶剤等を実質的に乾燥除去し、必要に応じて、硬化反応を途中まで進めた絶縁樹脂層付き金属箔とすることができる。絶縁樹脂層付き金属箔は、そのまま巻き取ることもできるがラミネートロールにより、絶縁樹脂層が形成された側に保護フィルムを重ね合わせ、当該保護フィルムがラミネートされた絶縁樹脂層付き金属箔を巻き取って、巻物形態の絶縁樹脂層付き金属箔を得ている。
前記金属張積層板を製造する装置は、前記(a)〜(b)工程を実施できる装置である。前記金属張積層板を製造する装置において、(a)工程は、真空ラミネート装置を使用して実施される。真空ラミネート装置の内部には、前記(a)工程で得られた絶縁樹脂層付き金属箔と基材とが、それぞれ連続的に供給可能に設置されている。絶縁樹脂層付き金属箔は、絶縁樹脂層表面に前記保護フィルムがラミネートされているので、巻き取りロールにより、当該保護フィルムを剥離しながら連続的に供給される。また、基材は、巻物形態の基材から連続的に供給される。絶縁樹脂層付き金属箔は、それぞれ絶縁樹脂層側で繊維布を挟む形態で重ね合わされ、ラミネートロールにより接合される。このとき、絶縁樹脂層は、ほぼ無溶剤状態の未硬化物又は半硬化物であるが、熱溶融により流動化しているので、基材に含浸される。接合後の接合物は、そのまま次工程に送ることもできるし、ラミネートロールにより、温度と圧力を作用させて、絶縁樹脂層付き金属箔と基材との接合温度を調整することもできる。接合後の接合物は、横搬送型の熱風乾燥装置間を移送し、絶縁樹脂の溶融温度以上の温度で加熱処理する。これにより、接合物の内部に残存している比充填部分を消失させることができる。加熱処理後の金属張積層板は、ピンチロールで挟みながら、これを連続的に巻き取ることにより、巻物形態の金属張積層板とすることができる。
(プリント配線板)
次に、本発明のプリント配線板について説明する。
本発明のプリント配線板は、上記の金属張積層板を内層回路基板に用いてなる。
また、本発明のプリント配線板は、内層回路上に、上記のプリプレグを絶縁層に用いてなる。
また、本発明のプリント配線板は、内層回路上に、上記のエポキシ樹脂組成物を絶縁層に用いてなる。
本発明においてプリント配線板とは、絶縁層の上に金属箔等の導電体で回路を形成したものであり、片面プリント配線板(一層板)、両面プリント配線板(二層板)、及び多層プリント配線板(多層板)のいずれであってもよい。多層プリント配線板とは、メッキスルーホール法やビルドアップ法等により3層以上に重ねたプリント配線板であり、内層回路基板に絶縁層を重ね合わせて加熱加圧成形することによって得ることができる。
前記内層回路基板としては、例えば、本発明の金属張積層板の金属層に、エッチング等により所定の導体回路を形成し、導体回路部分を黒化処理したものを好適に用いることができる。
前記絶縁層としては、本発明のプリプレグ、又は本発明のエポキシ樹脂組成物からなる樹脂フィルムを用いることができる。尚、前記絶縁層として、前記プリプレグ又は前記エポキシ樹脂組成物からなる樹脂フィルムを用いる場合は、前記内層回路基板は本発明の金属張積層板からなるものでなくてもよい。
以下、本発明のプリント配線板の代表例として、本発明の金属張積層板を内層回路基板として用い、本発明のプリプレグを絶縁層として用いる場合の多層プリント配線板について説明する。
前記金属張積層板の片面又は両面に回路形成し、内層回路基板を作製する。場合によっては、ドリル加工、レーザー加工によりスルーホールを形成し、メッキ等で両面の電気的接続をとることもできる。この内層回路基板に前記プリプレグを重ね合わせて加熱加圧形成することで絶縁層を形成する。同様にして、エッチング等で形成した導体回路層と絶縁層とを交互に繰り返し形成することにより、多層プリント配線板を得ることができる。
具体的には、前記プリプレグと前記内層回路基板とを合わせて、真空加圧式ラミネーター装置などを用いて真空加熱加圧成形させ、その後、熱風乾燥装置等で絶縁層を加熱硬化させる。ここで加熱加圧成形する条件としては、特に限定されないが、一例を挙げると、温度60〜160℃、圧力0.2〜3MPaで実施することができる。また、加熱硬化させる条件としては、特に限定されないが、一例を挙げると、温度140〜240℃、時間30〜120分間で実施することができる。
尚、次工程においてレーザーを照射し、絶縁層に開口部を形成するが、その前に基材を剥離する必要がある。基材の剥離は、絶縁層を形成後、加熱硬化の前、又は加熱硬化後のいずれに行っても特に問題はない。
次に、絶縁層にレーザーを照射して、開孔部を形成する。前記レーザーは、エキシマレーザー、UVレーザー及び炭酸ガスレーザー等が使用できる。
レーザー照射後の樹脂残渣等(スミア)は過マンガン酸塩、重クロム酸塩等の酸化剤等により除去する処理、すなわちデスミア処理を行うことが好ましい。デスミア処理が不十分で、デスミア耐性が十分に確保されていないと、開孔部に金属メッキ処理を行っても、スミアが原因で上層金属配線と下層金属配線との通電性が十分に確保されなくなるおそれがある。また、平滑な絶縁層の表面を同時に粗化することができ、続く金属メッキにより形成する導電配線回路の密着性を上げることができる。
次に、外層回路を形成する。外層回路の形成方法は、金属メッキにより絶縁樹脂層間の接続を図り、エッチングにより外層回路パターン形成を行う。
さらに絶縁層を積層し、前記同様回路形成を行っても良いが、多層プリント配線板では、回路形成後、最外層にソルダーレジストを形成する。ソルダーレジストの形成方法は、特に限定されないが、例えば、ドライフィルムタイプのソルダーレジストを積層(ラミネート)し、露光、及び現像により形成する方法、又は液状レジストを印刷したものを露光、及び現像により形成する方法によりなされる。尚、得られた多層プリント配線板を半導体装置に用いる場合、半導体素子を実装するため接続用電極部を設ける。接続用電極部は、金メッキ、ニッケルメッキ及び半田メッキ等の金属皮膜で適宜被覆することができる。
前記金メッキの代表的な方法の1つとして、ニッケル−パラジウム−金無電解メッキ法がある。この方法では、接続用電極部に、クリーナー等の適宜の方法により前処理を行った後、パラジウム触媒を付与し、その後さらに、無電解ニッケルメッキ処理、無電解パラジウムメッキ処理、及び無電解金メッキ処理を順次行う。
ENEPIG法は、前記ニッケル−パラジウム−金無電解メッキ法の無電解金メッキ処理段階において、置換金メッキ処理を行う方法である。下地メッキとしての無電解ニッケルメッキ皮膜と、無電解金メッキ皮膜との間に無電解パラジウムメッキ皮膜を設けることによって、接続用電極部における導体材料の拡散防止性、耐食性が向上する。下地ニッケルメッキ皮膜の拡散防止を図ることができるので、Au−Au接合の信頼性が向上し、また金によるニッケル酸化を防止することができるので、熱負荷の大きい鉛フリー半田接合の信頼性も向上する。ENEPIG法では、通常、無電解パラジウムメッキ処理を行う前に表面処理を行って、メッキ工程での導通不良の発生を防ぐ必要があり、導通不良が甚だしい場合には隣接する端子間でショートを起こす原因となる。一方、本発明のプリント配線板は、表面処理を行わなくても上記のような導通不良がなく、簡単にメッキ処理を行うことができる。
(半導体装置)
次に、本発明の半導体装置について説明する。
前記で得られたプリント配線板に半田バンプを有する半導体素子を実装し、半田バンブを介して、前記プリント配線板との接続を図る。そして、プリント配線板と半導体素子との間には液状封止樹脂を充填し、半導体装置を形成する。半田バンプは、錫、鉛、銀、銅、ビスマス等からなる合金で構成されることが好ましい。
半導体素子とプリント配線板との接続方法は、フリップチップボンダー等を用いて、基板上の接続用電極部と半導体素子の半田バンプとの位置合わせを行ったあと、IRリフロー装置、熱板、その他加熱装置を用いて半田バンプを融点以上に加熱し、プリント配線板と半田バンプとを溶融接合することにより接続する。尚、接続信頼性を良くするため、予めプリント配線板上の接続用電極部に半田ペースト等、比較的融点の低い金属の層を形成しておいてもよい。この接合工程に先んじて、半田バンプ及び/又はプリント配線板上の接続用電極部の表層にフラックスを塗布することで接続信頼性を向上させることもできる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)エポキシ樹脂組成物含有ワニスの調製
まず、シリコーンゴム微粒子(信越化学工業(株)製、KMP−600、平均粒子径5μm)37.5重量%、及びシリカナノ粒子(トクヤマ(株)製、NSS−5N、平均粒子径70nm)2.5重量%をANON:MIBK=1:1(v/v)の溶媒に分散させて、濃度65重量%のスラリーを調製した。このスラリーに、エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC3000、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、重量平均分子量1300、軟化点57℃、エポキシ当量276g/eq)28.7重量%、シアネート樹脂(ロンザジャパン(株)製、PT30、ノボラック型シアネート樹脂、重量平均分子量380)24.0重量%と、硬化剤としてフェノール樹脂(日本化薬(株)製、GPH−103、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂)7.3重量%とを溶解・混合させ、高速撹拌装置を用い撹拌して、エポキシ樹脂組成物が固形分基準で70重量%のワニスを得た。
(2)プリプレグの作製
前記ワニスをガラス織布(厚さ94μm、日東紡績製Eガラス織布、WEA−2116)に含浸し、180℃の加熱炉で2分間乾燥して、プリプレグ中のエポキシ樹脂組成物が固形分基準で約49重量%のプリプレグを得た。
(3)金属張積層板の作製
前記プリプレグを4枚重ね、その両面に12μmの銅箔(三井金属鉱業社製、3EC−VLP箔)を重ねて、圧力3MPa、温度220℃で2時間加熱加圧成形し、厚さ0.130mmの両面に銅箔を有する金属張積層板を得た。
(4)プリント配線板の製造
両面に銅箔を有する前記金属張積層板を、ドリル機で開孔後、無電解メッキで上下銅箔間の導通を図り、両面の銅箔をエッチングすることにより内層回路を両面に形成したL(導体回路幅(μm))/S(導体回路間幅(μm))=50/50。
次に、内層回路に過酸化水素水と硫酸を主成分とする薬液(旭電化工業(株)製、テックSO−G)をスプレー吹き付けすることにより、粗化処理による凹凸形成を行った。
次に前記プリプレグを内層回路上に真空積層装置を用いて積層し、温度170℃、時間60分間加熱硬化し、積層体を得た。
その後、得られた積層体が有するプリプレグに、炭酸レーザー装置(日立ビアメカニクス(株)製:LG−2G212)を用いてφ60μmの開孔部(ブラインド・ビアホール)を形成し、70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレートコンパクト CP)に15分浸漬後、中和して粗化処理を行った。
次に、脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅メッキ皮膜による約0.5μmの給電層を形成した。この給電層表面に、厚さ25μmの紫外線感光性ドライフィルム(旭化成社製、AQ−2558)をホットロールラミネーターにより貼り合わせ、最小線幅/線間が20/20μmのパターンが描画されたクロム蒸着マスク(トウワプロセス社製)を使用して、位置を合わせ、露光装置(ウシオ電機社製UX−1100SM−AJN01)にて露光、炭酸ソーダ水溶液にて現像し、めっきレジストを形成した。
次に、給電層を電極として電解銅めっき(奥野製薬社製81−HL)を3A/dm、30分間行って、厚さ約25μmの銅配線を形成した。ここで2段階剥離機を用いて、前記めっきレジストを剥離した。各薬液は、1段階目のアルカリ水溶液層にはモノエタノールアミン溶液(三菱ガス化学社製R−100)、2段階目の酸化性樹脂エッチング剤には過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムを主成分とする水溶液(日本マクダーミッド社製、マキュダイザー9275、9276)、中和には酸性アミン水溶液(日本マクダーミッド社製マキュダイザー9279)をそれぞれ用いた。
そして、給電層を過硫酸アンモニウム水溶液(メルテックス(株)製、AD−485)に浸漬処理することで、エッチング除去し、配線間の絶縁を確保した。次に、絶縁層を温度200℃、時間60分で最終硬化させ、最後に回路表面にソルダーレジスト(太陽インキ社製、PSR4000/AUS308)を形成し、プリント配線板を得た。
前記プリント配線板は、半導体素子の半田バンプ配列に相当する接続用電極部にENEPIG処理を施した。ENEPIG処理は、[1]クリーナー処理、[2]ソフトエッチング処理、[3]酸洗処理、[4]プレディップ処理、[5]パラジウム触媒付与、[6]無電解ニッケルメッキ処理、[7]無電解パラジウムメッキ処理、[8]無電解金メッキ処理の工程で行われた。
(5)半導体装置の製造
ENEPIG処理を施されたプリント配線板を50mm×50mmの大きさに切断し使用した。半導体素子(TEGチップ、サイズ15mm×15mm、厚み0.8mm)は、Sn/Pb組成の共晶で形成された半田バンプを有し、半導体素子の回路保護膜はポジ型感光性樹脂(住友ベークライト社製、CRC-8300)で形成されたものを使用した。半導体装置の組み立ては、まず、半田バンプにフラックス材を転写法により均一に塗布し、次にフリップチップボンダー装置を用い、プリント配線板上に加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることで半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂の効果条件は、温度150℃、120分の条件であった。
(実施例2)
スラリーの成分を、シリコーンゴム微粒子(信越化学工業(株)製、KMP−600、平均粒子径5μm)32.5重量%、及びシリカナノ粒子(トクヤマ(株)製、NSS−5N、平均粒子径70nm)2.5重量%、シリカ粒子(アドマテックス(株)製、SO−25R、平均粒子径0.5μm)5.0重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例3)
シリコーンゴム微粒子(信越化学工業(株)製、KMP−600、平均粒子径5μm)37.5重量%、及びシリカナノ粒子(トクヤマ(株)製、NSS−5N、平均粒子径70nm)2.5重量%をANON:MIBK=1:1(v/v)の溶媒に分散させて、濃度65重量%のスラリーを調製した。このスラリーに、エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC3000、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、重量平均分子量1300、軟化点57℃、エポキシ当量276g/eq)21.0重量%、シアネート樹脂(ロンザジャパン(株)製、PT30、ノボラック型シアネート樹脂、重量平均分子量380)39.0重量%と、硬化触媒としてオクチル酸亜鉛(東京化成(株)製)0.02重量%とを溶解・混合させ、高速撹拌装置を用い撹拌して、エポキシ樹脂組成物が固形分基準で70重量%のワニスを得た以外は、実施例1と同様にした。
(実施例4)
シリコーンゴム微粒子(信越化学工業(株)製、KMP−600、平均粒子径5μm)37.5重量%、及びシリカナノ粒子(トクヤマ(株)製、NSS−5N、平均粒子径70nm)2.5重量%をANON:MIBK=1:1(v/v)の溶媒に分散させて、濃度65重量%のスラリーを調製した。このスラリーに、エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC3000、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、重量平均分子量1300、軟化点57℃、エポキシ当量276g/eq)22.2重量%、シアネート樹脂(ロンザジャパン(株)製、PT30、ノボラック型シアネート樹脂、重量平均分子量380)15.0重量%、マレイミド樹脂(ケイアイ化成(株)製、BMI−70、(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビスマレイミド樹脂)22.8重量%と、硬化触媒としてオクチル酸亜鉛(東京化成(株)製)0.02重量%とを溶解・混合させ、高速撹拌装置を用い撹拌して、エポキシ樹脂組成物が固形分基準で70重量%のワニスを得た以外は、実施例1と同様にした。
(実施例5)
シリコーンゴム微粒子(信越化学工業(株)製、KMP−600、平均粒子径5μm)37.5重量%、及びシリカナノ粒子(トクヤマ(株)製、NSS−5N、平均粒子径70nm)2.5重量%をANON:MIBK=1:1(v/v)の溶媒に分散させて、濃度65重量%のスラリーを調製した。このスラリーに、エポキシ樹脂(東都化成(株)製、ESN−375、ナフタレン型エポキシ樹脂、重量平均分子量700、軟化点75℃、エポキシ当量167g/eq)28.7重量%、シアネート樹脂(ロンザジャパン(株)製、PT30、ノボラック型シアネート樹脂、重量平均分子量380)24.0重量%と、硬化剤としてフェノール樹脂(日本化薬(株)製、GPH−103、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂)7.3重量%とを溶解・混合させ、高速撹拌装置を用い撹拌して、エポキシ樹脂組成物が固形分基準で70重量%のワニスを得た以外は、実施例1と同様にした。
(実施例6)
シリコーンゴム微粒子(信越化学工業(株)製、KMP−600、平均粒子径5μm)37.5重量%、及びシリカナノ粒子(トクヤマ(株)製、NSS−5N、平均粒子径70nm)2.5重量%をANON:MIBK=1:1(v/v)の溶媒に分散させて、濃度65重量%のスラリーを調製した。このスラリーに、エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC3000、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、重量平均分子量1300、軟化点57℃、エポキシ当量276g/eq)28.7重量%、シアネート樹脂(ロンザジャパン(株)製、PT30、ノボラック型シアネート樹脂、重量平均分子量380)24.0重量%と、硬化剤としてフェノール樹脂(明和化成(株)製、MEH−7500、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、水酸基当量97g/eq)7.3重量%とを溶解・混合させ、高速撹拌装置を用い撹拌して、エポキシ樹脂組成物が固形分基準で70重量%のワニスを得た以外は、実施例1と同様にした。
(実施例7)
スラリーの成分を、シリコーンゴム微粒子(信越化学工業(株)製、KMP−605、平均粒子径2μm)37.5重量%、及びシリカナノ粒子(トクヤマ(株)製、NSS−5N、平均粒子径70nm)2.5重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例8)
スラリーの成分を、シリコーンゴム微粒子(信越化学工業(株)製、KMP−597、平均粒子径5μm)37.5重量%、及びシリカナノ粒子(トクヤマ(株)製、NSS−5N、平均粒子径70nm)2.5重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
(比較例1)
シリコーンゴム微粒子(信越化学工業(株)製、KMP−600、平均粒子径5μm)37.5重量%、及びシリカ粒子(アドマテックス(株)製、SO−25R、平均粒子径0.5μm)2.5重量%をANON:MIBK=1:1(v/v)の溶媒に分散させて、濃度65重量%のスラリーを調製した。このスラリーに、エポキシ樹脂(東都化成(株)製、ESN−375、ナフタレン型エポキシ樹脂、重量平均分子量700、軟化点75℃、エポキシ当量167g/eq)38.0重量%と、硬化剤としてフェノール樹脂(明和化成(株)製、MEH−7500、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、水酸基当量97g/eq)22.0重量%とを溶解・混合させ、高速撹拌装置を用い撹拌して、エポキシ樹脂組成物が固形分基準で70重量%のワニスを得た以外は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
スラリーの成分を、シリコーンゴム微粒子(信越化学工業(株)製、KMP−600、平均粒子径5μm)37.5重量%、及びシリカ粒子(アドマテックス(株)製、SO−25R、平均粒子径0.5μm)2.5重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
(比較例3)
スラリーの成分を、シリカ粒子(アドマテックス(株)製、SO−25R、平均粒子径0.5μm)37.5重量%、及びシリカナノ粒子(トクヤマ(株)製、NSS−5N、平均粒子径70nm)2.5重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
(比較例4)
スラリーの成分を、シリコーンゴム微粒子(信越化学工業(株)製、KMP−600、平均粒子径5μm)40.0重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
実施例及び比較例で得られたプリプレグ、金属張積層板、プリント配線板、及び半導体装置等について以下の評価を行った。評価項目を内容と共に示す。得られた結果を表1に示す。
(1)線膨張係数
得られた金属張積層板の銅箔をエッチングにより除去し、評価用試料として2mm×2mmを採取し、TMA装置(TAインスツルメント社製)を用いて、10℃/分の条件で、30〜150℃まで昇温させ、50〜100℃における厚み方向(Z方向)の線膨張係数(CTE)を測定した。
(2)難燃性
前記金属張積層板の製造において、前記プリプレグを10枚重ね、その両面に12μmの銅箔を重ねて、圧力3MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形し、厚さ1.02mmの両面金属張積層板を得た。前記で得られた金属張積層板の銅箔をエッチングし、UL−94規格に従い、1.0mm厚のテストピースを垂直法により測定した。
規格外:全焼するものが5本のテストピース中1本以上あった。
(3)ドリル摩耗性
得られた金属張積層板を3枚重ねて、ユニオンツール(株)製ドリルビット(UV L0950)により、ドリル回転速度160rpm、送り速度3.2m/分のドリル加工条件で、φ150の孔あけ加工3000穴を行い、使用前のドリル刃幅を100%とし、使用後のドリル刃幅の残存率を測定した。
(4)プリプレグ含浸性
得られた金属張積層板の断面観察を行った。断面観察は、走査電子顕微鏡を用いた。含浸性は、断面観察結果において、観察されたボイドの面積で評価した。
○:全面積10%未満の箇所で、未含浸ボイドが見られたが、実用可能レベルであった。
△:全面積10〜30%の箇所で、未含浸ボイドが見られ、実用不可であった。
×:全面積50%以上の箇所で、未含浸ボイドが見られ、実用不可であった。
(5)デスミア耐性
得られたプリプレグを4枚重ねて、炭酸レーザー装置(日立ビアメカニクス(株)製:LG−2G212)を用いてφ60μmのビアホール500穴を形成し、70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレートコンパクト CP)に15分浸漬後、中和して粗化処理を行うことでデスミア処理を行い、デスミア処理による減膜量を測定した。
(6)スジ状ムラの発生状況
図2に、(1)実施例1で得られた金属張積層板の表面を撮影した写真、(2)比較例1で得られた金属張積層板の表面を撮影した写真、及び(3)金属張積層板の金属箔層の表面の写真を説明する図を示す。写真に示すように、比較例1の金属張積層板の金属箔層の表面には、スジ状のムラが発生したが、実施例1の金属張積層板の金属箔層の表面は、スジ状のムラが見られなかった。
(7)ENEPIG特性
以下の手順でENEPIG工程を行って作製したプリント配線板の細線間の金属析出を
SEM観察により確認した。
[1]クリーナー処理
クリーナー液として上村工業(株)製ACL−007を用い、上記テストピースを液温50℃のクリーナー液に5分間浸漬した後、3回水洗した。
[2]ソフトエッチング処理
クリーナー処理後、ソフトエッチング液として過硫酸ソーダと硫酸の混液を用い、上記テストピースを液温25℃のソフトエッチング液に1分間浸漬した後、3回水洗した。
[3]酸洗処理
ソフトエッチング処理後、上記テストピースを液温25℃の硫酸に1分間浸漬した後、3回水洗した。
[4]プレディップ処理
酸洗処理後、上記テストピースを液温25℃の硫酸に1分間浸漬した。
[5]パラジウム触媒付与工程
プレディップ処理後、端子部分にパラジウム触媒を付与するために、パラジウム触媒付与液として上村工業(株)製KAT−450を用いた。上記テストピースを、液温25℃の当該パラジウム触媒付与液に2分間浸漬した後、3回水洗した。
[6]無電解Niめっき処理
パラジウム触媒付与工程の後、上記テストピースを液温80℃の無電解Niめっき浴(上村工業(株)製NPR−4)に35分間浸漬した後、3回水洗した。
[7]無電解Pdめっき処理
無電解Niめっき処理後、上記テストピースを液温50℃の無電解Pdめっき浴(上村工業(株)製TPD−30)に5min)分間浸漬した後、3回水洗した。
[8]無電解Auめっき処理
無電解Pdめっき処理後、上記テストピースを液温80℃の無電解Auめっき浴(上村工業(株)製TWX−40)に30min)分間浸漬した後、3回水洗した。
○:回路間50μm×50μmの範囲で金属析出部の割合が面積で5%以下。
×:回路間50μm×50μmの範囲で金属析出部の割合が面積で5%以上。
表1に記載されている評価結果より、以下のことがわかる。
比較例1及び比較例2では、本発明で特定したシリカナノ粒子を用いなかったことに起因し、プリプレグ含浸性が悪いため、線膨張係数、難燃性、デスミア耐性、及びENEPIG特性が実用可能なレベルに達していなかった。
比較例3では、本発明で特定したシリコーンゴム微粒子を用いなかったことに起因し、ドリル摩耗性が実用可能なレベルに達していなかった。
比較例4では、本発明で特定したシリコーンゴム微粒子を多量に用いたことに起因し、線膨張係数は良好であるものの、本発明で特定したシリカナノ粒子を用いなかったことに起因し、プリプレグ含浸性が悪いため、難燃性、デスミア耐性、及びENEPIG特性が実用可能なレベルに達していなかった。
尚、比較例1、比較例2、及び比較例4は、ドリル摩耗性の数値は実施例の結果と同等であるものの、テストピースはボイドが非常に多量に含んだ状態であり、実施例と客観的に対比することはできない。
また、比較例1、比較例2、及び比較例4の線膨張係数試験では、テストピースのプリプレグ含浸性が悪かったため、充填性の高い部分を選定して測定を行った。
実施例1〜8で得られた本発明のエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板、及び半導体装置は、線膨張係数、難燃性、ドリル摩耗性、プリプレグ含浸性、デスミア耐性、及びENEPIG特性のすべてが良好であった。従って、本発明で特定した、エポキシ樹脂と、シリコーンゴム微粒子と、シリカナノ粒子とを含むことを特徴とするシリコーンゴム微粒子含有エポキシ樹脂組成物を用いることにより、性能の優れたプリプレグ、金属張積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得られることがわかる。
3a…絶縁樹脂層付き金属箔
4…基材

Claims (13)

  1. 固形分基準で、エポキシ樹脂5〜30重量%と、レーザー回折散乱法により測定される体積基準粒度分布のメディアン径(D50)として特定される平均粒子径1μm〜10μmのシリコーンゴム微粒子5〜50重量%と、レーザー回折散乱法により測定される体積基準粒度分布のメディアン径(D50)として特定される平均粒子径10nm〜150nmのシリカナノ粒子1〜10重量%と、を含有し、
    前記シリカナノ粒子の含有量に対する、前記シリコーンゴム微粒子の含有量の重量比(シリコーンゴム微粒子の重量/シリカナノ粒子の重量)が、2〜20であることを特徴とする、エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記シリコーンゴム微粒子は、シリコーンゴムからなるコア部を、シリコーン樹脂で被覆したコアシェル構造粒子である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記シリカナノ粒子の平均粒子径が40nm以上100nm以下である請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. さらに、シアネート樹脂を含むものである請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. さらに、マレイミド樹脂を含むものである請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記エポキシ樹脂は、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性エポキシ樹脂、及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
  8. 基材中に請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を含浸してなる樹脂含浸基材層の少なくとも片面に金属箔を有することを特徴とする金属張積層板。
  9. 請求項7に記載のプリプレグ又は当該プリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の少なくとも片面に金属箔を重ね、加熱加圧することにより得られる請求項8に記載の金属張積層板。
  10. 請求項8又は9に記載の金属張積層板を内層回路基板に用いてなることを特徴とするプリント配線板。
  11. 内層回路上に、請求項7に記載のプリプレグを絶縁層に用いてなるプリント配線板。
  12. 内層回路上に、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を絶縁層に用いてなるプリント配線板。
  13. 請求項10乃至12のいずれか一項に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなることを特徴とする半導体装置。
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