JP2010285523A - 樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線、および半導体装置 - Google Patents

樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線、および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、低線熱膨張率で、高いガラス転移温度、高弾性率、難燃性を維持しつつ、信頼性に優れるプリプレグ、多層プリント配線板、及び半導体装置を製造することができる樹脂組成物を提供するものである。
【解決手段】
本発明の多層プリント配線板用絶縁樹脂組成物は、(A)シアネート樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)ベーマイト、(D)芳香族アミノシラン、(E)平均粒径が2.0μm以下のシリカを必須成分とすることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

多層プリント配線板用樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線、および半導体装置に関するものである。
近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、更には高密度実装化等が進んでいる。そのため、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等は、従来にも増して、小型化かつ高密度化が進んでいる。
また、半導体装置の形態も性能要求を満足すべく、様々な形態が開発されている。
従って、半導体装置に用いられるプリント配線板も従来にまして、高い難燃性、耐熱性、高剛性、低熱膨張性、低吸水性、高信頼性などの特性が求められる。
これまで、耐熱性、低熱膨張性等に優れるプリント配線板に用いられる樹脂組成物としては、シアネート樹脂組成物が知られており(例えば、特許文献1、および特許文献2参照)、ビスフェノールシアネート樹脂やノボラック型シアネート樹脂などのシアネート樹脂と、他の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂との樹脂組成物が、近年、多層プリント配線板に幅広く使用されている。
様々な検討がなさされた結果、ノボラック型シアネート樹脂を用いた樹脂組成物は、高いガラス転移温度を有し、低膨張率の硬化物を得ることができる点で、様々な半導体装置に用いる多層プリントに適用できることが見出されている。
しかし、半導体装置に更なる小型・薄型化の要求、及び高信頼性の要求に対し、より過酷な条件での信頼性が求められている。
ところが、ノボラック型シアネート樹脂を用いた樹脂組成物は、従来よりも過酷な吸湿処理の条件下では、吸水率が高くなり、十分な性能が得られない場合があった。
また、シアネート樹脂を用いた樹脂組成物よりなるプリプレグを所定枚数重ねて積層した積層板は、吸湿処理後の半田耐熱試験で不良が発生し、またシアネート樹脂を用いた樹脂組成物を用いたプリント配線板は、デスミア性が低下する場合があった。
さらに、シアネート樹脂を用いた樹脂組成物を用いたプリント配線板を用いた半導体装置は、260℃という高温のリフロー試験において不良が発生することがあった。
特開平11−124433号公報 特開2003−268136号公報 特開平11−116741号公報 WO95/06085号公報
本発明の樹脂組成物をプリプレグとして用いた場合、従来の低線熱膨張率、高いガラス転移温度、高弾性率、難燃性を維持しつつ、該プリプレグを用いた多層プリント配線板は、吸湿処理後の半田耐熱性に優れ、また、多層プリント配線板の製造工程におけるデスミア性に優れ、さらには該多層プリントリ配線板を用いた半導体装置は、260℃という高温でのリフロー試験を繰り返し行っても良好な結果を得ることができる樹脂組成物を提供するものである。
本発明は、このような目的は、下記(1)〜(10)に記載の本発明により達成される。
(1) 多層プリント配線板用絶縁樹脂組成物であって、
(A)シアネート樹脂、
(B)エポキシ樹脂、
(C)ベーマイト、
(D)芳香族アミノシラン、
(E)平均粒径が2.0μm以下のシリカ
を必須成分とする樹脂組成物。
(2)前記(D)芳香族アミノシランは、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランである(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記(C)ベーマイトは、平均粒径が0.5〜5μmである(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4) 前記(C)ベーマイトの含有量が、樹脂組成物の20重量%以上65重量%以下である(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5) 前記(B)エポキシ樹脂は、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂、およびアントラセン型エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種である(1)ないし(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6)(1)ないし(5)のいずれかに記載の樹脂組成物をガラス繊維基材に塗布してなるプリプレグ。
(7)前記(6)に記載のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね合わせた積層体の少なくとも片面に金属箔を有する積層板
(8)前記(7)に記載のプリプレグを絶縁層に用いてなる多層プリント配線板。
(9)前記(8)に記載の積層板を内層回路基板に用いてなる多層プリント配線板。
(10)前記(8)または(9)に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
本発明の樹脂組成物をプリプレグとして用いた場合は、当該プリプレグは、従来の低線熱膨張率、高いガラス転移温度、高弾性率、難燃性を維持することができる。
さらに前記プリプレグを用いた多層プリント配線板は、吸湿処理後の半田耐熱性に優れ、また、多層プリント配線板の製造工程におけるデスミア性に優れ、さらには該多層プリントリ配線板を用いた半導体装置は、280℃という高温でのリフロー試験においても良好な結果を示す樹脂組成物を提供するものである。
以下、本発明の多層プリント配線板用樹脂組成物、プリプレグ、積層板、および半導体装置について説明する。
本発明の多層プリント配線板用絶縁樹脂組成物は、(A)シアネート樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)ベーマイト、(D)芳香族アミノシラン、(E)平均粒径が2.0μm以下のシリカを必須成分とすることを特徴とする。
多層プリント配線板用絶縁樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」という場合がある。)に用いる(A)シアネート樹脂は、樹脂組成物の耐熱性及び難燃性を向上させることができ、かつ、樹脂組成物の線熱膨張率を小さくするこができる。
本発明で用いる(A)シアネート樹脂は、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
シアネート樹脂の種類としては特に限定されないが、例えば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂などを挙げることができる。
前記(A)シアネート樹脂は、分子内に2個以上のシアネート基(−O−CN)を有することが好ましい。例えば、2,2'−ビス(4−シアナトフェニル)イソプロピリデン、1,1'−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、ビス(4−シアナト-3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル−1−(1−メチルエチリデン))ベンゼン、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル、フェノールノボラック型シアネートエステル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、1,1,1−トリス(4−シアナトフェニル)エタン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、2,2-ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-又は2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4'−ジシアナトビフェニル、およびフェノールのノボラック型、クレゾールノボラック型の多価フェノール類とハロゲン化シアンとの反応で得られるシアネート樹脂等が挙げられる。これらの中で、フェノールノボラック型シアネート樹脂が難燃性、および低熱膨張性に優れ、2,2'−ビス(4−シアナトフェニル)イソプロピリデン、およびジシクロペンタジエン型シアネートエステルが架橋密度の制御、および耐湿信頼性に優れている。
本発明では、フェノールノボラック型シアネート樹脂が低熱膨張性の点から好ましい。また、更に他のシアネート樹脂を1種類あるいは2種類以上併用したりすることもでき、特に限定されない。
本発明においては、(A)シアネート樹脂を単独で用いてもよいし、重量平均分子量の異なる(A)シアネート樹脂を併用したり、前記(A)シアネート樹脂とそのプレポリマーとを併用したりすることもできる。
前記プレポリマーは、通常、前記(E)シアネート樹脂を加熱反応などにより、例えば3量化することで得られるものであり、樹脂組成物の成形性、流動性を調整するために好ましく使用されるものである。
前記プレポリマーは、特に限定されないが、例えば3量化率が20〜50重量%のプレポリマーを用いた場合、良好な成形性、流動性を発現できる。
また、上記(A)シアネート樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の中に5〜60重量%であることが好ましい。さらに好ましくは10〜50重量%である。これにより、シアネート樹脂は、効果的に耐熱性、および難燃性を発現させることができる。シアネート樹脂の含有量が前記下限値未満であると熱膨張性が大きくなり、耐熱性が低下する場合があり、前記上限値を超えると樹脂組成物を用いたプリプレグの強度が低下する場合がある。(A)シアネート樹脂の含有量は、特に好ましくは樹脂組成物の中に10〜40重量%である。
本発明の樹脂組成物に用いる(B)エポキシ樹脂は、特に限定されないが、実質的にハロゲン原子を含まないものが好ましい。ここで、「実質的にハロゲン原子を含まない」とは、エポキシ樹脂の合成過程において使用されたハロゲン系成分に由来するハロゲンが、ハロゲン除去工程を経ても尚、エポキシ樹脂に残存していることを許容することを意味する。通常、エポキシ樹脂中に30ppmを超えるハロゲン原子を含まないことが好ましい。
ハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂として例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4’-シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4’-(1,4)-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4’-(1,3-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタンノボラック型エポキシ樹脂、1,1,2,2−(テトラフェノール)エタンのグリシジルエーテル類、3官能、または4官能のグリシジルアミン類、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用もでき、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーを併用することもできる。
これらエポキシ樹脂の中でも特にビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、吸湿半田耐熱性および難燃性を向上させることができる。
前記(B)エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の5重量%以上、60重量%以下とすることが好ましい。含有量が前記下限値未満であると樹脂組成物の硬化性が低下したり、当該樹脂組成物より得られるプリプレグ、または多層プリント配線板の耐湿性が低下したりする場合がある。
また、前記上限値を超えるとプリプレグ、または多層プリント配線板の線熱膨張率が大きくなったり、耐熱性が低下する場合がある。(B)エポキシ樹脂の含有量は、好ましくは樹脂組成物の10重量%以上50重量%以下である。
前記(B)エポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量1.0×10以上、2.0×10以下が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であると絶縁樹脂層の表面にタック性が生じる場合が有り、前記上限値を超えると半田耐熱性が低下する場合がある。重量平均分子量を前記範囲内とすることにより、これらの特性のバランスに優れたものとすることができる。
前記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えばGPCで測定することができる。
本発明の樹脂組成物に用いる(C)ベーマイトは、ギブサイトを変性して得られるアルミナ一水和物で、脱水開始温度が高い。これを用いた難燃効果を有する樹脂組成物も報告されている(特許文献3、4等参照)。
しかしながら、本発明は、(C)ベーマイトと(D)芳香族アミノシランの相乗効果により、吸水性を低下させることに成功し、さらに(A)シアネート樹脂、(B)エポキシ樹脂、(E)平均粒径が2.0μm以下のシリカを添加させることを特徴とすることで、従来の低線熱膨張率、高いガラス転移温度、高弾性率、難燃性を維持しでき、積層板に用いた場合、または多層プリント配線板に用いた場合、吸湿処理後の試験において、金属箔とプリプレグ、プリプレグ間の密着性に優れることを見出した。
本発明の樹脂組成物に用いる(D)芳香族アミノシランは、特に限定されないが、例えば、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン等の2級の芳香族アミノシラン、および3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン等の1級の芳香族アミンが挙げられる。これらの中でも、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等の2級の芳香族アミノシランが好ましい。これにより、ベーマイトとの組み合わせによる吸湿率の低下だけでなく、多層プリント配線板製造工程中のレーザー照射後の樹脂残渣除去工程において、デスミア性に優れた樹脂組成物を得ることができる
(D)芳香族アミノシランの含有量は、(C)ベーマイト100重量部に対して0.05重量%以上5重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.2重量%以上2.5重量%以下が好ましい。(D)芳香族アミノシランの含有量が前記上限値を超えると、積層板の製造時おいて本発明の樹脂組成物を含浸してなるプリプレグの成形性が低下する場合があり、前記下限値未満であると、回路と本発明の樹脂組成物より形成される絶縁層との密着力が低下する場合がある。
本発明の樹脂組成物に用いる前記(E)平均粒径が2.0μm以下のシリカ(以下、単に「(E)シリカ」という場合がある)は、本発明の樹脂組成物を樹脂ワニスとした場合、樹脂ワニス中での(E)シリカの沈降等の現象を防止することができる。一方、(E)シリカの平均粒子径は、0.05μm以上であることが好ましい。(E)シリカの平均粒子径が0.05μm未満であると、本発明の樹脂組成物を用いて樹脂ワニスを調製する際に、樹脂ワニスの粘度が高くなるため、作業性に影響を与える場合があるからである。(E)シリカの平均粒子径を前記範囲内とすることにより、これらの特性のバランスに優れたものとすることができる。(E)シリカの平均粒子径は、さらに好ましくは0.1μm以上1.0μm以下である。
(E)シリカの平均粒子径は、島津製作所SALD−7000等の一般的な機器を用いて測定することができる。
「(E)シリカ」は、溶融シリカが好ましい。特に球状溶融シリカが好ましい。(E)シリカは、他の無機充填材と比較して低熱膨張性に優れる点で好ましい。その形状は破砕状、球状等あるが、球状であるものが好ましい。球状であると樹脂組成物中における(E)シリカ含有量を多くしても、流動性に優れている。また、前記球状シリカの製造方法は、特に限定されることなく、公知の方法によって得ることができる。前記球状シリカの製造方法としては、例えば乾式シリカ法、湿式シリカ法、ゾル-ゲル法によるシリカ製造方法等を挙げることができる。
前記(E)シリカの含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の20重量%以上85重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは25重量%以上75重量%以下である。(B)シリカの含有量が前記下限値未満であると、線熱膨張率が高くなったり、吸水率が高くなる場合がある。また、前記上限値を超えると、樹脂組成物の流動性の低下により絶縁樹脂層の成形性が低下する場合がある。シリカの含有量を前記範囲内とすることにより、樹脂組成物の線熱膨張係数を35ppm以下にすることができる。
尚、本発明において、含有成分の樹脂組成物に対する含有量とは、含有成分の溶解及び/又は分散を目的として含有させる溶剤を除いた成分の合計量を100重量%とするものである。
前記(E)シリカの比表面積は、特に限定されないが、1m/g以上200m/g以下であることが好ましい。比表面積が前記上限値を超えると(E)シリカ同士が凝集しやすくなり、樹脂組成物の構造が不安定になる場合がある。また前記下限値未満であると多層プリント配線板用絶縁樹脂組成物中に(E)シリカを充填し難い場合がある。尚、比表面積は、BET法により求めることができる。
前記(E)シリカは予め官能基含有シラン類及び/又はアルキルシラザン類で表面処理して用いてもよい。表面処理を予め施すことで、シリカの凝集を抑制することができ、本発明の樹脂組成物中にシリカを良好に分散させることができる。また、(B)エポキシ樹脂と(E)シリカ表面の密着性が向上するため、機械強度に優れる絶縁層が得られる。
前記官能基含有シラン類及び/又はアルキルシラザン類の官能基含有シラン類としては公知のものを使用することができる。例えばエポキシシラン、スチリルシラン、メタクリロキシシラン、アクリロキシシラン、メルカプトシラン、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメトキシルジエトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルシラン、イソシアネートシラン、スルフィドシラン、クロロプロピルシラン、ウレイドシラン化合物等を挙げることができる。
前記アルキルシラザン類としては、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザンなどを挙げることができる。これらの中でもアルキルシラザン類としてはヘキサメチルジシラザン(HMDS)が好ましい。
前記(E)シリカへ予め表面処理する官能基含有シラン類及び/又はアルキルシラザン類の量は、特に限定しないが、前記(E)シリカ100重量部に対して0.01重量%以上5重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.1重量%以上3重量%以下が好ましい。カップリング剤の含有量が前記上限値を超えると、多層プリント配線板製造時において絶縁層にクラックが入る場合があり、前記下限値未満であると、樹脂成分と(E)シリカとの結合力が低下する場合がある。
尚、(E)シリカの表面処理に用いる前記官能基含有シラン類として、アミノシランカップリング剤に該当する成分を使用する場合、この表面処理用アミノシランカップリング剤は、本願の樹脂組成物の必須成分である(D)芳香族アミノシランとする。すなわち、表面処理用アミノシランカップリング剤の使用量は、(D)芳香族アミノシランの使用量として計算する。
前記(E)シリカを予め官能基含有シラン類及び/又はアルキルシラザン類で表面処理する方法は、特に限定されないが、湿式方式または乾式方式が好ましい。特に好ましくは湿式方式が好ましい。湿式方式の方が、乾式方式と比較した場合、(E)シリカ表面へ均一に処理することができる。
本発明の樹脂組成物は、さらにフェノール系硬化剤を使用することができる。フェノール系硬化剤としてはフェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類など公知慣用のものを単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
前記フェノール硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂との当量比(フェノール性水酸基当量/エポキシ基当量)が1.0未満、0.1以上好ましい。これにより、未反応のフェノール硬化剤の残留がなくなり、吸湿耐熱性が向上する。更に、厳しい吸湿耐熱性を必要とする場合は、0.2〜0.5の範囲が特に好ましい。これは、フェノール樹脂は、硬化剤として作用するだけでなく、シアネート基とエポキシ基との硬化を促進することができる。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、上記成分以外の添加物を、特性を損なわない範囲で添加することが出来る。上記成分以外の成分は、例えば、イミダゾール類、トリフェニルホスフィン、および4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤、アクリレート類等の界面活性剤、染料、および顔料等の着色剤等を挙げることが出できる。
次に、本発明のプリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは上記樹脂組成物を基材に含浸してなるものである。これにより、耐熱性、低膨張性および難燃性に優れたプリプレグを得ることができる。前記基材としては、例えばガラス織布、ガラス不繊布、ガラスペーパー等のガラス繊維基材、紙、アラミド、ポリエステル、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂等の合成繊維等からなる織布や不織布、金属繊維、カーボン繊維、鉱物繊維等からなる織布、不織布、マット類等が挙げられる。これらの基材は単独又は混合して使用してもよい。これらの中でもガラス繊維基材が好ましい。これにより、プリプレグの剛性、寸法安定性を向上することができる。
前記樹脂組成物を前記基材に含浸させる方法は、例えば基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターによる塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法等が挙げられる。
これらの中でも、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、基材に対する樹脂組成物の含浸性を向上することができる。なお、基材を樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
前記樹脂ワニスに用いられる溶媒は、前記樹脂組成物に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。前記樹脂ワニスの固形分は、特に限定されないが、前記樹脂組成物の固形分30〜80重量%が好ましく、特に40〜70重量%が好ましい。これにより、樹脂ワニスの基材への含浸性を向上できる。前記基材に前記樹脂組成物を含浸させ、所定温度、例えば90〜180℃で乾燥させることによりプリプレグを得ることが出来る。
次に、積層板について説明する。
本発明の積層板は、上記のプリプレグを加熱加圧成形してなるものである。これにより、耐熱性、低膨張性および難燃性に優れたプリント配線板を得ることができる。プリプレグ1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。また、プリプレグを2枚以上積層することもできる。プリプレグ2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。次に、プリプレグと金属箔とを重ねたものを加熱加圧成形することでプリント配線板を得ることができる。前記加熱する温度は、特に限定されないが、120〜220℃が好ましく、特に150〜200℃が好ましい。前記加圧する圧力は、特に限定されないが、1.5〜5MPaが好ましく、特に2〜4MPaが好ましい。また、必要に応じて高温漕等で150〜300℃の温度で後硬化を行ってもかまわない。
次に、本発明の多層プリント配線板について説明する。
多層プリント配線板は、前記積層板を内層回路板として用いる。積層板の片面又は両面に回路形成する。場合によっては、ドリル加工、レーザー加工によりスルーホールを形成し、めっき等で両面の電気的接続をとることもできる。
前記内装回路基板に市販の樹脂シート、または前記本発明のプリプレグを重ね合わせて加熱加圧成形し、多層プリント配線板を得ることができる。
具体的には、上記樹脂シートの絶縁層側と内層回路板とを合わせて、真空加圧式ラミネーター装置などを用いて真空加熱加圧成形させ、その後、熱風乾燥装置等で絶縁層を加熱硬化させることにより得ることができる。
ここで加熱加圧成形する条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度60〜160℃、圧力0.2〜3MPaで実施することができる。また、加熱硬化させる条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度140〜240℃、時間30〜120分間で実施することができる。
あるいは、前記本発明のプリプレグを内層回路板に重ね合わせ、これを平板プレス装置などを用いて加熱加圧成形することにより得ることができる。ここで加熱加圧成形する条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度140〜240℃、圧力1〜4MPaで実施することができる。このような平板プレス装置等による加熱加圧成形では、加熱加圧成形と同時に絶縁層の加熱硬化が行われる。
また、本発明に係る多層プリント配線板の製造方法は、前記樹脂シート、または本発明のプリプレグを、内層回路基板の内層回路パターンが形成された面に重ね合わせて連続積層する工程、及び導体回路層をセミアディティブ法で形成する工程を含む。
前記樹脂シート、または本発明のプリプレグより形成された絶縁層の硬化は、次のレーザー照射および樹脂残渣の除去を容易にし、デスミア性を向上させるため、半硬化状態にしておく場合もある。また、一層目の絶縁層を通常の加熱温度より低い温度で加熱することにより一部硬化(半硬化)させ、絶縁層上に、一層ないし複数の絶縁層をさらに形成し半硬化の絶縁層を実用上問題ない程度に再度加熱硬化させることにより絶縁層間および絶縁層と回路との密着力を向上させることができる。この場合の半硬化の温度は、80℃〜200℃が好ましく、100℃〜180℃がより好ましい。尚、次工程においてレーザーを照射し、絶縁層に開口部を形成するが、その前に基材を剥離する必要がある。基材の剥離は、絶縁層を形成後、加熱硬化の前、または加熱硬化後のいずれに行っても特に問題はない。
なお、前記多層プリント配線板を得る際に用いられる内層回路板は、例えば、銅張積層板の両面に、エッチング等により所定の導体回路を形成し、導体回路部分を黒化処理したものを好適に用いることができる。
次に、絶縁層に、レーザーを照射して、開孔部を形成する。前記レーザーは、エキシマレーザー、UVレーザーおよび炭酸ガスレーザー等が使用できる。
レーザー照射後の樹脂残渣等は過マンガン酸塩、重クロム酸塩等の酸化剤などにより除去することが好ましい。また、平滑な絶縁層の表面を同時に粗化することができ、続く金属メッキにより形成する導電配線回路の密着性を上げることができる。
次に、外層回路を形成する。外層回路の形成方法は、金属メッキにより絶縁樹脂層間の接続を図り、エッチングにより外層回路パターン形成を行う。樹脂シート、またはプリプレグを用いたときと同様にして、多層プリント配線板を得ることができる。
尚、金属箔を有する樹脂シート、またはプリプレグを用いた場合は、金属箔を剥離することなく、導体回路として用いるためにエッチングにより回路形成を行ってもよい。その場合、厚い銅箔を使用した基材付き絶縁樹脂シートを使うと、その後の回路パターン形成においてファインピッチ化が困難になるため、1〜5μmの極薄銅箔を使うか、または12〜18μmの銅箔をエッチングにより1〜5μmに薄くするハーフエッチングする場合もある。
さらに絶縁層を積層し、前記同様回路形成を行っても良いが、多層プリント配線板の設計上、最外層には、回路形成後、ソルダーレジストを形成する。ソルダーレジストの形成方法は、特に限定されないが、例えば、ドライフィルムタイプのソルダーレジストを積層(ラミネート)し、露光、および現像により形成する方法、または液状レジストを印刷したものを露光、および現像により形成する方法によりなされる。なお、得られた多層プリント配線板を半導体装置に用いる場合、半導体素子を実装するため接続用電極部を設ける。接続用電極部は、金めっき、ニッケルメッキおよび半田めっき等の金属皮膜で適宜被覆することができる。このような方法により多層プリント配線板を製造することができる。
次に、本発明の半導体装置について説明する。
前記で得られた多層プリント配線板に半田バンプを有する半導体素子を実装し、半田バンプを介して、前記多層プリント配線板との接続を図る。そして、多層プリント配線板と半導体素子との間には液状封止樹脂を充填し、半導体装置を形成する。半田バンプは、錫、鉛、銀、銅、ビスマスなどからなる合金で構成されることが好ましい。
半導体素子と多層プリント配線板との接続方法は、フリップチップボンダーなどを用いて基板上の接続用電極部と半導体素子の半田バンプとの位置合わせを行ったあと、IRリフロー装置、熱板、その他加熱装置を用いて半田バンプを融点以上に加熱し、多層プリント配線板と半田バンプとを溶融接合することにより接続する。尚、接続信頼性を良くするため、予め多層プリント配線板上の接続用電極部に半田ペースト等、比較的融点の低い金属の層を形成しておいても良い。この接合工程に先んじて、半田バンプおよび、または多層プリント配線板上の接続用電極部の表層にフラックスを塗布することで接続信頼性を向上させることもできる。

以下、本発明の樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、半導体装置の一例を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例、及び比較例において用いた原材料は以下の通りである。
(1)(A)シアネート樹脂として、フェノールノボラックシアネート樹脂:プリマセットPT−30(ロンザ社製)
(2)(B)エポキシ樹脂として、


(B1)ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂:NC3000(日本化薬社製、エポキシ当量275)

(B2)ノボラック型エポキシ樹脂:EOCN−1020−75(日本化薬社製、エポキシ当量200)
(B3)ナフタレン変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂:HP−5000(DIC社製、エポキシ当量250)



(B4)アントラセン型エポキシ樹脂:YX8800(ジャパンエポキシレジン、エポキシ当量181)
(3)(C)ベーマイトとして、
(C1)BMT−3E(河合石灰社製、平均粒径2.9μm)
(C2)AOH180(ナバルテック社製、平均粒径0.6μm)
(4)(D)芳香族アミノシランとして
(D1)2級の芳香族アミノシラン:KBM−573(信越化学工業社製、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)
(D2)1級の芳香族アミノシラン:SIA098(アズマックス社製、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン)
(5)(E)平均粒径が2.0μm以下のシリカとして
(E1)平均粒径1.2μm球状シリカ:SO−31R(アドマテックス社製、比表面積4.0m/g)
(E2)平均粒径0.5μm球状シリカ:SO−25R(アドマテックス社製、比表面積6.0m/g)
(6)フェノール樹脂として、MEH7851−4L(明和化成社製、水酸基当量187)
(7)その他のシランとして、
エポキシシラン:KBM−403(信越化学社製、3−グリシドキシプロピルトリメトキシラン)
アルキルアミノシラン:KBM−903(信越化学工業社製、3−アミノプロピルトリメトキシシラン)
(1) 樹脂ワニスの調製
<実施例1>
(A)シアネート樹脂としてフェノールノボラックシアネート樹脂を15.7重量部、(B)エポキシ樹脂として(B1)ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂を14.0重量部、(C1)ベーマイトとして(C1)平均粒径2.9μmのベーマイトを39.0重量部、(D)芳香族アミノシランとして(D1)2級のアミノシランを0.2重量部、(E)平均粒径が2.0μm以下のシリカとして(E1)平均粒径1.2μmの球状シリカを21.6重量部、硬化剤としてフェノール樹脂を9.5重量部、メチルイソブチルケトンに溶解・混合させた。次いで、高速撹拌装置を用い撹拌して樹脂ワニスを調製した。
(2) プリプレグの作製
前記樹脂ワニスをガラス織布(厚さ94μm、日東紡績製Eガラス織布、WEA−2116)に含浸し、150℃の加熱炉で2分間乾燥して、プリプレグ中のワニス固形分が約50重量%のプリプレグを得た。
(3) 積層板の作製
前記プリプレグ4枚重ね、両面に12μmの銅箔(三井金属鉱業社製3EC−VLP箔)を重ねて、圧力3MPa、温度220℃で2時間加熱加圧成形し、厚さ0.40mmの両面に銅箔を有する積層板を得た。
(4)多層プリント配線板の製造
前記両面に銅箔を有する積層板を用いて、ドリル機で開孔後、無電解めっきで上下銅箔間の導通を図り、前記両面の銅箔をエッチングすることにより内層回路を両面に形成した。(L(導体回路幅)/S(導体回路間幅)=120/180μm、クリアランスホール1mmφ、3mmφ、スリット2mm)
次に内層回路に過酸化水素水と硫酸を主成分とする薬液(旭電化工業(株)製テックSO−G)をスプレー吹きつけすることにより粗化処理による凹凸形成を行った。
次に市販の樹脂フィルム(ビルドアップ材ともいう)(味の素ファインテクノ社製、ABF GX−13、厚さ40μm)を内層回路上に真空積層装置を用いて積層し、温度170℃、時間60分間加熱硬化し積層体を得た。
その後、前記で得られた積層体のプリプレグに、炭酸レーザー装置を用いてφ60μmの開孔部(ブラインド・ビアホール)を形成し、70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP)に15分浸漬後、中和して粗化処理を行った。次に脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅メッキ皮膜を約0.5μmの給電層を形成した。次にこの給電層表面に、厚さ25μmの紫外線感光性ドライフィルム(旭化成社製AQ−2558)をホットロールラミネーターにより貼り合わせ、最小線幅/線間が20/20μmのパターンが描画されたクロム蒸着マスク(トウワプロセス社製)を使用して、位置を合わせ、露光装置(ウシオ電機社製UX−1100SM−AJN01)にて露光、炭酸ソーダ水溶液にて現像し、めっきレジストを形成した。
次に、給電層を電極として電解銅めっき(奥野製薬社製81−HL)を3A/dm2、30分間行って、厚さ約25μmの銅配線を形成した。ここで2段階剥離機を用いて、前記めっきレジストを剥離した。各薬液は、1段階目のアルカリ水溶液層にはモノエタノールアミン溶液(三菱ガス化学社製R−100)、2段階目の酸化性樹脂エッチング剤には過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムを主成分とする水溶液(日本マクダーミッド社製マキュダイザー9275、9276)、中和には酸性アミン水溶液(日本マクダーミッド社製マキュダイザー9279)をそれぞれ用いた。
そして、給電層を過硫酸アンモニウム水溶液(メルテックス(株)製AD−485)に浸漬処理することで、エッチング除去し、配線間の絶縁を確保した。次に絶縁層を温度200℃時間60分で最終硬化させ、最後に回路表面にソルダーレジスト(太陽インキ社製PSR4000/AUS308)を形成し多層プリント配線板を得た。
(5)半導体装置の製造
前記多層プリント配線板は、半導体素子の半田バンプ配列に相当するニッケル金メッキ処理が施された接続用電極部を配したものを50mm×50mmの大きさに切断し使用した。半導体素子(TEGチップ、サイズ15mm×15mm、厚み0.8mm)は、Sn/Pb組成の共晶で形成された半田バンプを有し、半導体素子の回路保護膜はポジ型感光性樹脂(住友ベークライト社製CRC−8300)で形成されたものを使用した。半導体装置の組み立ては、まず、半田バンプにフラックス材を転写法により均一に塗布し、次にフリップチップボンダー装置を用い、多層プリント配線板上に加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることで半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂の硬化条件は、温度150℃、120分の条件であった。
<実施例2〜6、および比較例1〜3>
表1の配合量で、実施例1と同様にプリプレグ、積層板、多層プリント配線板、および半導体装置を得た。
前記で得られたプリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置について、以下の評価項目の評価を行った。また、実施例及び比較例の樹脂組成物の配合組成、各物性値、評価結果を表1、及び2に示す。尚、表中において、各配合量は「重量部」を示す。
物性値の評価方法は下記のとおりである。
(1)260℃マルチリフロー
前記で得られた半導体装置を、IPC/JEDECのJ−STD−20に準拠リフロー260℃リフロー炉を通し、10回毎に、超音波深傷検査装置で半導体装置の絶縁層の剥離、クラック、半導体素子裏面の剥離、および半田バンプの欠損、及び銅通不良を評価した。
各符号は以下の通りである。
◎:40回以上絶縁層の剥離等、または銅通不良なし。
○:20回以上、40回未満で絶縁層の剥離等、または銅通不良が発生した。
△:10回以上、20回未満で絶縁層の剥離等、または銅通不良が発生した。
×:10回未満 絶縁層の剥離等、または銅通不良が発生した。
(2)吸湿半田耐熱性評価
前記両面に銅箔を有する積層板から50mm×50mmに切り出し、JIS6481に従い半面エッチングを行ってテストピースを作成した。125℃のプレッシャークッカーで処理した後、280℃のはんだ槽に銅箔面を下にして浮かべ、30秒の間にフクレが発生した個数率(全10個)。
◎:10個すべて異常なし
○:6個以上、9個以下満異常なし
△:2個以上、5個以下異常なし
×:9個または10個フクレやクラックが発生した。
(3)耐デスミア性評価
前記両面に銅箔を有する積層板の銅箔を全面エッチングして除去後、表面を70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP)に15分浸漬後、中和して粗化処理を行った。その後、多層プリント配線板の製造方法と同様に、無電解めっき、電解銅めっきを施した後、220℃で1時間の熱処理を行い、表面めっき膨れを評価した。評価サンプルは、50mm×50mmに切り出して、発生した個数率(全10個)。
◎:10個すべて異常なし
○:6個以上、9個以下満異常なし
△:2個以上、5個以下異常なし
×:9個または10個フクレが発生した。
(4)ガラス転移温度
前記で得られた積層板の銅箔をエッチングし、線熱膨張係数の測定で作製した厚さの100μm、10mm×60mmのテストピースを切り出し、動的粘弾性測定装置(DMA983、TAインスツルメント社製)を用いて3℃/分で昇温させ、tanδのピーク位置をガラス転移温度とした。
(5)線熱膨張係数
前記で得られた積層板の銅箔をエッチングし、厚さが100μm、4mm×40mmのテストピースを切り出し、TMAを用いて5℃/分の引っ張り条件で、25℃から150℃の範囲における線熱膨張係数を測定した。
(6)難燃性
前記積層板の製造において、前記プリプレグを10枚重ね、その両面に12μmの銅箔を重ねて、圧力3MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形し、厚さ0.12mmの両面銅張積層板を得た。
前記で得られた積層板の銅箔をエッチングし、UL−94規格に従い、1mm厚のテストピースを垂直法により測定した。
表1から明らかなように、実施例1〜12は、ガラス転移温度が、いずれも200℃以上と高く、線熱膨張係数が10ppm以下と低くなり、耐熱性、低熱膨張製、および難燃性に優れる。また、吸湿半田耐熱性に優れ、半導体装置もリフロー特性に優れる結果となった。また、耐デスミア性にも優れる。そのため多層プリント配線板のスルーホールめっき密着にも優れるため、吸湿半田耐熱性評価においても、メッキと絶縁層環でメッキ密着性に優れ、剥離等の不良が生じなかった。
これに対して、比較例を示す表2から明らかなように比較例1〜2は、吸湿半田耐熱性、およびリフロー特性、および耐デスミア性に劣る結果となった。吸湿半田耐熱性試験の不良箇所は、銅箔、およびプリプレグ層間の剥離が特にひどいことが確認できた。また、耐デスミア性評価では、デスミア処理後の表面状態を観察したところ、銅箔粗面の形状が大きく崩れて、小さくなっていることが分かった。アルキルアミノシランを用いた比較例3は、シアネート樹脂との反応が速く成形性が悪く、銅箔、およびプリプレグ界面の濡れ性に劣っていたため、耐熱性に劣る。
本発明の樹脂組成物は、従来の低線熱膨張率、高いガラス転移温度、高弾性率、難燃性を維持でき、積層板に用いた場合、または多層プリント配線板に用いた場合、吸湿処理後の試験において、金属箔とプリプレグ、プリプレグ間の密着性に優れる樹脂組成物であるため、微細配線加工を要求される、薄型の多層プリント配線板、並びに前記多層プリント配線板を用いた半導体装置に用いることができる。

Claims (10)

  1. 多層プリント配線板用絶縁樹脂組成物であって、
    (A)シアネート樹脂、
    (B)エポキシ樹脂、
    (C)ベーマイト、
    (D)芳香族アミノシラン、
    (E)平均粒径が2.0μm以下のシリカ
    を必須成分とする樹脂組成物。
  2. 前記(D)芳香族アミノシランは、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(C)ベーマイトは、平均粒径が0.5〜5μmである請求項1、または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(C)ベーマイトの含有量が、樹脂組成物の20重量%以上65重量%以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記(B)エポキシ樹脂は、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂、およびアントラセン型エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の樹脂組成物をガラス繊維基材に塗布してなるプリプレグ。
  7. 前記請求項6に記載のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね合わせた積層体の少なくとも片面に金属箔を有する積層板。
  8. 前記請求項7に記載のプリプレグを絶縁層に用いてなる多層プリント配線板。
  9. 前記請求項7に記載の積層板を内層回路基板に用いてなる多層プリント配線板。
  10. 前記請求項8または9に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
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