JP2009067852A - ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置 - Google Patents

ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置 Download PDF

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Kazuya Hamaya
和也 濱谷
Takeshi Onozuka
偉師 小野塚
Tadasuke Endo
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Abstract

【課題】本発明は、低熱膨張のガラス繊維布入り絶縁樹脂シートと、当該ガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを用いた壁間絶縁信頼性に優れる積層板、実装信頼性に優れる多層プリント配線板、及び熱衝撃性に優れる半導体装置を提供するものである。
【解決手段】
ガラス繊維織布と、シアネート樹脂を含む絶縁樹脂組成物とからなるガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートであって、たて糸中に存在する空隙の個数がたて糸10万本あたり10個以下であるガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートであることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガラス繊維布入り絶縁樹脂シート、積層板、多層プリント配線板および半導体装置に関するものである。
近年の電子部品・電子機器等の小型化・薄膜化等に伴って、それに用いられる回路基板等にも小型化・薄膜化が要求される。特に半導体パッケージ基板には、より高密度の回路配線パターンを形成することが必要となっている。また半導体パッケージ基板にフリップチップ方式等で半導体素子を搭載する場合、半導体パッケージ基板は、実装信頼性を確保するために充分な機械的強度を有している必要がある。
このため、内層回路基板として厚みがあり、機械強度を確保できるものが採用されてきた。しかしながら、高集積・高実装化に伴う高多層化により、多層プリント配線板の全体の厚みが増加するという問題があった。
多層プリント配線板は、内層回路基板に絶縁樹脂層と、導体回路層とを交互に積層していくビルドアップ方式により製造されるものが主流となっている。
そこで、多層プリント配線板の厚みを薄くしても、強度を確保するため、熱硬化性樹脂を用いた樹脂組成物をガラス繊維布に含浸させたプリプレグを多層プリント配線板の絶縁樹脂層に用いる検討がなされている(特許文献1、2)。
多層プリント配線板は、内層回路基板に絶縁樹脂層と、導体回路層とを交互に積層していくビルドアップ方式により製造されるものが主流となっている。このような方式により製造される多層プリント配線板は、配線の微細化のために微細なビアを狭ピッチで配列するため、使用するガラス繊維布に空隙が多数あると層間絶縁信頼性を確保するのが困難であった。
また微細なビアにより層間接続されるので、接続強度が低下したり、熱衝撃を受けると絶縁樹脂と導体層との間に発生する応力によりクラックや導体回路の断線が生じる場合があった。
特開2002−305374号公報 特開2003−73543号公報
本発明の目的は実装信頼性に優れ、かつ接続信頼性、絶縁信頼性に優れる、低熱膨張のガラス繊維布入り絶縁樹脂シートとこれを用いた積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を提供するものである。
このような目的は、下記(1)〜(10)に記載の本発明により達成される。
(1) たて糸とよこ糸から構成されるガラス繊維織布と、シアネート樹脂を含む絶縁樹脂組成物からなるガラス繊維布入り絶縁樹脂シートにおいて、前記ガラス繊維織布をたて糸と垂直方向に切断した時のたて糸中に存在する長さ空隙の個数が、たて糸10万本あたり10個以下であることを特徴とするガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
(2)前記ガラス繊維織布を構成するガラス繊維の引っ張り強度が、2.5GPa以上5.0GPa以下である(1)に記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
(3)前記ガラス繊維織布を構成するガラス繊維の線膨張係数が1ppm/℃以上10ppm/℃以下である(1)または(2)に記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
(4)前記ガラス繊維織布の厚さは、10μm以上100μm以下である(1)ないし(3)のいずれかに記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
(5)前記ガラス繊維織布の質量は、10g/m以上110g/m以下である(1)ないし(4)のいずれかに記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
(6)前記ガラス繊維織布に用いるガラス種は、Tガラスである(1)ないし(5)のいずれかに記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
(7)前記絶縁樹脂組成物は、無機充填材を含むものである(1)ないし(6)のいずれかに記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
(8)(1)ないし(7)のいずれかに記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを1枚以上重ね合わせ片面または両面に金属箔を積層してなる積層板。
(9)(1)ないし(7)のいずれかに記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート及び/または(8)に記載の積層板を用いてなる多層プリント配線板
(10)(9)に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
本発明のガラス繊維布入り絶縁樹脂シートは、絶縁信頼性に優れ、かつ薄型化可能な高強度、低熱膨張である積層板を作製可能とし、当該ガラス繊維布入り絶縁樹脂シート用いた熱衝撃性に優れる多層プリント配線板、及び実装信頼性に優れる半導体装置を提供するものである。
以下本発明の基材入り絶縁樹脂層、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置について詳細に説明する。
本発明のガラス繊維布入り絶縁樹脂シートは、シアネート樹脂を含む樹脂組成物で構成されていることを特徴とする。これにより、前記ガラス繊維布入り絶縁樹脂シートの熱膨張係数を小さくすることが出来る。さらに、ガラス繊維布入り絶縁樹脂シートの機械強度にも優れる。
前記シアネート樹脂は、例えばハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。具体的には、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でもノボラック型シアネート樹脂が好ましい。これにより、架橋密度増加による耐熱性向上と、樹脂組成物等の難燃性を向上することができる。ノボラック型シアネート樹脂は、硬化反応後にトリアジン環を形成するからである。さらに、ノボラック型シアネート樹脂は、その構造上ベンゼン環の割合が高く、炭化しやすいためと考えられる。
前記ノボラック型シアネート樹脂としては、例えば式(I)で示されるものを使用することができる。
Figure 2009067852
前記式(I)で示されるノボラック型シアネート樹脂の平均繰り返し単位nは、特に限定されないが、1〜10が好ましく、特に2〜7が好ましい。平均繰り返し単位nが前記下限値未満であるとノボラック型シアネート樹脂は結晶化しやすくなり、汎用溶媒に対する溶解性が比較的低下するため、取り扱いが困難となる場合がある。また、平均繰り返し単位nが前記上限値を超えると溶融粘度が高くなりすぎ、絶縁樹脂層の成形性が低下する場合がある。
前記シアネート樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量5.0×10〜4.5×10が好ましく、特に6.0×10〜3.0×10が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であると絶縁樹脂層を硬化物の機械的強度が低下する場合があり、さらに絶縁樹脂層を作製した場合にタック性が生じ、樹脂の転写が生じたりする場合がある。また、重量平均分子量が前記上現値を超えると硬化反応が速くなり、多層プリント配線板に用いた場合に、成形不良が生じたり、層間ピール強度が低下したりする場合がある。
前記シアネート樹脂等の重量平均分子量は、例えばGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、標準物質:ポリスチレン換算)で測定することができる。
また、特に限定されないが、前記シアネート樹脂はその誘導体も含め、1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用したり、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーを併用したりすることもできる。
前記熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の5〜50重量%が好ましく、特に20〜40重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であるとガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを形成するのが困難となる場合があり、前記上限値を超えるとガラス繊維布入り絶縁樹脂シートの強度が低下する場合がある。
前記シアネート樹脂を含む樹脂組成物は、エポキシ樹脂(実質的にハロゲン原子を含まない)を含むことが好ましい。前記エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂 ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用したり、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーを併用したりすることもできる。
これら中でも特にアリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、吸湿半田耐熱性および難燃性を向上させることができる。
前記アリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に一つ以上のアリールアルキレン基を有するエポキシ樹脂をいう。例えばキシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂が好ましい。ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は、例えば式(II)で示すことができる。
Figure 2009067852
前記式(II)で示されるビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂の平均繰り返し単位nは、特に限定されないが、1〜10が好ましく、特に2〜5が好ましい。平均繰り返し単位nが前記下限値未満であるとビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は結晶化しやすくなり、汎用溶媒に対する溶解性が比較的低下するため、取り扱いが困難となる場合がある。また、平均繰り返し単位nが前記上限値を超えると樹脂の流動性が低下し、成形不良等の原因となる場合がある。
前記エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、シアネート樹脂を含む樹脂組成物全体の1〜55重量%が好ましく、特に2〜40重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であるとシアネート樹脂の反応性が低下したり、得られる製品の耐湿性が低下したりする場合があり、前記上限値を超えると耐熱性が低下する場合がある。
前記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量5.0×10〜2.0×10が好ましく、特に8.0×10〜1.5×10が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であるとガラス繊維布入り絶縁樹脂シートにタック性が生じる場合が有り、前記上限値を超えるとガラス繊維布入り絶縁樹脂シート作製時、ガラス基材への含浸性が低下し、均一な製品が得られない場合がある。
前記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えばGPCで測定することができる。
前記前記シアネート樹脂を含む樹脂組成物は、フェノール樹脂を含むことが好ましい。前記フェノール樹脂としては、例えばノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アリールアルキレン型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用したり、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーを併用したりすることもできる。これらの中でも特に、アリールアルキレン型フェノール樹脂が好ましい。これにより、さらに吸湿半田耐熱性を向上させることができる。
前記アリールアルキレン型フェノール樹脂としては、例えばキシリレン型フェノール樹脂、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂等が挙げられる。ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂は、例えば式(III)で示すことができる。
Figure 2009067852
前記式(III)で示されるビフェニルジメチレン型フェノール樹脂の繰り返し単位nは、特に限定されないが、1〜12が好ましく、特に2〜8が好ましい。平均繰り返し単位nが前記下限値未満であると耐熱性が低下する場合がある。また、前記上限値を超えると他の樹脂との相溶性が低下し、作業性が低下する場合がある。
前述のシアネート樹脂(特にノボラック型シアネート樹脂)とアリールアルキレン型フェノール樹脂との組合せにより、架橋密度をコントロールし、反応性を容易に制御できる。
前記フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の1〜55重量%が好ましく、特に5〜40重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると耐熱性が低下する場合があり、前記上限値を超えると低熱膨張の特性が損なわれる場合がある。
前記フェノール樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量4.0×10〜1.8×10が好ましく、特に5.0×10〜1.5×10が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であるとガラス繊維布入り絶縁樹脂シートにタック性が生じる場合が有り、前記上限値を超えるとガラス繊維布入り絶縁樹脂シート作製時、ガラス繊維布への含浸性が低下し、均一な製品が得られない場合がある。
前記フェノール樹脂の重量平均分子量は、例えばGPCで測定することができる。
更に、前記シアネート樹脂(特にノボラック型シアネート樹脂)と前記フェノール樹脂(アリールアルキレン型フェノール樹脂、特にビフェニルジメチレン型フェノール樹脂)と前記エポキシ樹脂(アリールアルキレン型エポキシ樹脂、特にビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂)との組合せを用いて多層プリント配線板を作製した場合、特に優れた寸法安定性を得ることが出来る。
本発明のガラス繊維布入り絶縁樹脂シートに用いられるシアネート樹脂を含む樹脂組成物は、無機充填材を含むことが好ましい。これにより、前記ガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを用いたプリント配線板や半導体装置の厚さが薄くても、機械強度を高め、半導体素子を実装後の半田リフローなど熱履歴がかかった際の反りをより効果的に低減することができ、さらに線膨張係数を小さくすることができる。
前記無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。無機充填材として、これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用したりすることもできる。
これらの中でも特に、シリカが好ましく、溶融シリカ(特に球状溶融シリカ)が低熱膨張性に優れる点で好ましい。その形状は破砕状、球状があるが、ガラス繊維織布への含浸性を確保するために樹脂組成物の溶融粘度を下げるには球状シリカを使う等、その目的に応じて使用できる。
前記無機充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、0.01〜5.0μmが好ましく、特に0.1〜2.0μmが好ましい。無機充填材の粒径が前記下限値未満であるとワニスの粘度が高くなるため、ガラス繊維織布への樹脂組成物の含浸性が低下する場合がある。また、前記上限値を超えると、ワニス中で無機充填材の沈降等の現象が起こる場合がある。この平均粒子径は、例えば粒度分布計(HORIBA製、LA−500)により測定することができる。
また前記無機充填材は、特に限定されないが、平均粒子径が単分散の無機充填材を用いることもできるし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いることができる。さらに平均粒子径が単分散及び/または、多分散の無機充填材を1種類または2種類以上とを併用したりすることもできる。
更に平均粒子径5.0μm以下の球状シリカ(特に球状溶融シリカ)が好ましく、特に平均粒子径0.01〜2.0μmの球状溶融シリカが好ましい。これにより、無機充填材の充填性を向上させることができる。
前記無機充填材の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の20〜80重量%が好ましく、特に30〜70重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に低熱膨張、低吸水とすることができる。
前記シアネート樹脂を含む樹脂組成物は、特に限定されないが、カップリング剤を用いることが好ましい。前記カップリング剤は、シアネート樹脂と、前記無機充填材との界面の濡れ性を向上させることにより、ガラス繊維織布に対して絶縁樹脂等および無機充填材を均一に定着させ、耐熱性、特に吸湿後の半田耐熱性を改良することができる。
前記カップリング剤としては、特に限定されないが、具体的にはエポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。これにより、無機充填材の界面との濡れ性を高くすることができ、それによって耐熱性をより向上させることできる。
前記カップリング剤の添加量は、前記無機充填材の比表面積に依存するので特に限定されないが、無機充填材100重量部に対して0.05〜3重量部が好ましく、特に0.1〜2重量部が好ましい。含有量が前記下限値未満であると無機充填材を十分に被覆できないため耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると反応に影響を与え、曲げ強度等が低下する場合がある。
シアネート樹脂を含む樹脂組成物は、必要に応じて硬化促進剤を用いても良い。前記硬化促進剤としては公知の物を用いることが出来る。例えばナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾール等のイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等、またはこの混合物が挙げられる。硬化促進剤として、これらの中の誘導体も含めて1種類を単独で用いることもできるし、これらの誘導体も含めて2種類以上を併用したりすることもできる。
前記硬化促進剤の含有量は、特に限定されないが、シアネート樹脂を含む樹脂組成物全体の0.05〜5重量%が好ましく、特に0.2〜2重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると硬化を促進する効果が現れない場合があり、前記上限値を超えるとガラス繊維布入り絶縁樹脂シートの保存性が低下する場合がある。
本発明のガラス繊維布入り絶縁樹脂シートに用いられるガラス繊維織布は、たて糸と垂直方向に任意に切断した時のたて糸中に存在する空隙の個数が、たて糸10万本あたり10個以下である。これにより、前記ガラス繊維布入り絶縁樹脂シートをプリント配線板に用いた際、スルーホールまたはビア間の絶縁信頼性の低下を抑制できる。前記空隙は、ガラス繊維織布のたて糸、または、よこ糸のどちらでも構わないが、空隙確認の検査の便宜上、たて糸10万本あたり10個以下であることが望ましい。また、前記空隙の個数は、たて糸10万本あたり8個以下が好ましく、さらに5個以下が好ましく、さらには3個以下が好ましい。これにより絶縁信頼性の低下を抑制することを効果的に発現させることができる。
また前記空隙の個数が上限値を越えると、スルーホールまたはビア間の絶縁信頼性が損なわれ、これにより実用上問題なく多層プリント配線板や半導体装置を作製するために、単位面積当たりに形成可能なスルーホールまたはビアの個数が制限される。
前記ガラス繊維織布の空隙の個数は、ガラス繊維織布をガラスの屈折率に近い溶剤に浸漬し、光学顕微鏡で観察することで、確認することができる。ガラスの屈折率に近い溶剤としては、例えばベンジルアルコールが挙げられる。
本発明のガラス繊維布入り絶縁樹脂シートに用いるガラス繊維織布の引っ張り強度は、2.5GPa以上5.0GPa以下である。これにより、前記ガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを用いたプリント配線板の厚みが0.2mm以下であっても、機械強度を高めることができる。前記引っ張り強度が前記下限値未満であると、プリント配線板の厚みが薄いときに十分な機械強度を得ることが難しく、前記上限値を超えるとプリント配線板製造時における打ち抜き性やメカニカルドリルによるスルーホール加工性が悪化することがある。
前記引っ張り強度は、例えばテンシロンを用いて5℃/分の条件で0℃〜280℃まで昇温度させ、25℃における線膨張係数を測定することで、求めることができる。
本発明のガラス繊維布入り絶縁樹脂シートに用いるガラス繊維の線膨張係数は1ppm/℃以上10ppm/℃以下である。これにより前記ガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを用いた多層プリント配線板の厚みが0.2mm以下であっても、チップ実装後の半田リフローなど熱履歴がかかった際の多層プリント配線板の反りを低減できる。前記線膨張係数は特に1ppm/℃以上8ppm/℃以下が好ましく、さらに1ppm/℃以上6ppm/℃以下が好ましく、さらには2ppm/℃以上4ppm/℃以下が好ましい。これにより、上記作用を多層プリント配線板の効果的に反りを抑制することができる。
前記線膨張係数が前記下限値未満であると、基板の厚みによっては導体回路との線膨張のミスマッチにより、プレス成形時や半田リフロー時の多層プリント配線板の反りを抑制することができなくなことがある。また、前記上限値を超えると、こちらも導体回路との線膨張のミスマッチにより、プレス成形時や半田リフロー時の基板の反りや冷熱サイクル試験等の熱衝撃試験における導体回路層の剥離やクラックの発生を抑制することができなくなる恐れがある。
前記線膨張係数は、例えばTMAを用いて5℃/分の条件で0℃〜280℃まで昇温度させ、25℃における線膨張係数を測定することで、求めることができる。
本発明のガラス繊維織布の厚さは10μm以上100μm以下であることが好ましい。これにより、前記ガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを用いたプリント配線板の厚みを薄くでき、またプリント配線板製造時において、狭ピッチのスルーホールやビアを形成することができる。
本発明のガラス繊維織布の質量は10g/m以上110g/m以下であることが好ましい。これにより、前記ガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを用いたプリント配線板の厚みを薄くでき、またプリント配線板製造時において、狭ピッチのスルーホールやビアを形成することができる。
本発明のガラス繊維布入り絶縁樹脂シートに用いられるガラス繊維織布のガラス種は、Tガラスであることが好ましい。これにより、ガラス繊維織布の熱膨張係数を小さくすることができ、それによってガラス繊維布入り絶縁樹脂シートの熱膨張係数を小さくすることができる。また、ガラス繊維織布の引っ張り強度や弾性率が大きいため、前記ガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを用いたプリント配線板や半導体装置の機械強度や、半導体素子を多層プリント配線板に実装した後の半田リフローなど熱履歴がかかった際の反りを低減することができる。
次に、ガラス繊維布入り絶縁樹脂シートについて説明する。
本発明のガラス繊維布入り絶縁樹脂シートは、上述のシアネート樹脂を含む絶縁樹脂組成物をガラス繊維織布に含浸させてなるものである。これにより、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性等の各種特性に優れたプリント配線板を製造するのに好適なガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを得ることができる。
本発明で得られる絶縁樹脂組成物をガラス繊維織布に含浸させる方法には、例えば、絶縁樹脂組成物を用いて樹脂ワニスを調製し、ガラス繊維織布を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターによる塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、ガラス繊維織布を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、ガラス繊維織布に対する絶縁樹脂組成物の含浸性を向上させることができる。なお、ガラス繊維織布を樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
前記樹脂ワニスに用いられる溶媒は、前記絶縁樹脂組成物中の樹脂成分に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系等が挙げられる。
前記樹脂ワニス中の不揮発分濃度としては特に限定されないが、40〜80重量%が好ましく、特に50〜65重量%が好ましい。これにより、樹脂ワニスの粘度を好適な水準とすることができ、ガラス繊維織布への含浸性を更に向上させることができる。前記ガラス繊維織布に前記絶縁樹脂組成物を含浸させ、所定温度、例えば80〜200℃等で乾燥させることによりガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを得ることが出来る。
次に、積層板について説明する。
本発明の積層板は、上述のガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを少なくとも1枚以上積層してなるものである。これにより、誘電特性、高温多湿化での機械的、電気的接続信頼性に優れた積層板を得ることができる。
ガラス繊維布入り絶縁樹脂シート1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。また、ガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを2枚以上積層することもできる。ガラス繊維布入り絶縁樹脂シート2枚以上積層するときは、積層したガラス繊維布入り絶縁樹脂シートの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。次に、ガラス繊維布入り絶縁樹脂シートと金属箔等とを重ねたものを加熱、加圧することで積層板を得ることができる。前記加熱する温度は、特に限定されないが、120〜220℃が好ましく、特に150〜200℃が好ましい。また、前記加圧する圧力は、特に限定されないが、2〜5MPaが好ましく、特に2.5〜4MPaが好ましい。
前記金属箔を構成する金属としては、例えば銅及び銅系合金、アルミ及びアルミ系合金、銀及び銀系合金、金及び金系合金、亜鉛及び亜鉛系合金、ニッケル及びニッケル系合金、錫及び錫系合金、鉄および鉄系合金等が挙げられる。
また、フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
次に、多層プリント配線板について説明する。
多層プリント配線板は、前記積層板を用いて製造することができる。製造方法は、特に限定されないが、例えば、前記両面に銅箔を有する積層板を用い、ドリル機で所定の位置に開孔部を設け、無電解めっきにより、内層回路基板の両面の導通を図る。そして、前記銅箔をエッチングすることにより内層回路を形成する。
なお、内層回路部分は、黒化処理等の粗化処理したものを好適に用いることができる。また開口部は、導体ペースト、または樹脂ペーストで適宜埋めることができる。
次に前記本発明のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート、またはフィルム付き絶縁樹脂シートを用い、前記内層回路を覆うように、積層し、絶縁層を形成する。積層(ラミネート)方法は、特に限定されないが、真空プレス、常圧ラミネーター、および真空下で加熱加圧するラミネーターを用いて積層する方法が好ましく、更に好ましくは、真空下で加熱加圧するラミネーターを用いる方法である。
その後、前記絶縁樹脂層を加熱することにより硬化させる。硬化させる温度は、特に限定されないが、例えば、100℃〜250℃の範囲で硬化させることができる。好ましくは150℃〜200℃で硬化させることである。
次に、絶縁層に、炭酸レーザー装置を用いて開孔部を設け、電解銅めっきにより絶縁層表面に外層回路形成を行い、外層回路と内層回路との導通を図った。なお、外層回路は、半導体素子を実装するための接続用電極部を設けた。
その後、最外層にソルダーレジストを形成し、露光・現像により半導体素子が実装できるよう接続用電極部を露出させ、ニッケル金メッキ処理を施し、所定の大きさに切断し、多層プリント配線板を得ることができる。
次に半導体装置について説明する。
前記で得られた多層プリント配線板に半田バンプを有する半導体素子を実装し、半田バンプを介して、前記多層プリント配線板と半導体素子とを接続する。そして、多層プリント配線板と半導体素子との間には液状封止樹脂を充填し、半導体装置を形成する。半田バンプは、錫、鉛、銀、銅、ビスマスなどからなる合金で構成されることが好ましい。半導体素子と多層プリント配線板との接続方法は、フリップチップボンダーなどを用いて基板上の接続用電極部と半導体素子の半田バンプとの位置合わせを行ったあと、IRリフロー装置、熱板、その他加熱装置を用いて半田バンプを融点以上に加熱し、多層プリント配線板と半田バンプとを溶融接合することにより接続する。尚、接続信頼性を良くするため、予め多層プリント配線板上の接続用電極部に半田ペースト等、比較的融点の低い金属の層を形成しておいても良い。この接合工程に先んじて、半田バンプおよび、または多層プリント配線板上の接続用電極部の表層にフラックスを塗布することで接続信頼性を向上させることもできる。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
なお、本発明で用いたガラス繊維織布は以下の通りであり、各ガラス繊維織布の物性は表1に示す通りである。
[1]厚さ95m、質量104g/m、クロススタイル2116、日東紡績製、ガラスタイプA
[2]厚さ80μm、質量95g/m、クロススタイル2319、日東紡績製、ガラスタイプ
[3]厚さ42μm、質量48g/m、クロススタイル1078、日東紡績製、ガラスタイプB
[4]厚さ42μm、質量48g/m、クロススタイル1078、日東紡績製、ガラスタイプB
[5]厚さ95μm、質量104g/m、クロススタイル2116、日東紡績製、ガラスタイプA
[6]厚さ95μm、質量104g/m、クロススタイル2116、日東紡績製、ガラスタイプA
・ガラスタイプA
(物性)線膨張係数:5.8ppm/℃、引っ張り強度:3.2GPa、
ガラスの種類:Eガラス
・ガラスタイプB
(物性)線膨張係数:2.8ppm/℃、引っ張り強度:4.6GPa、
ガラスの種類:Tガラス
Figure 2009067852
前記で用いたガラス繊維織布の物性は以下の方法で求めた。
1.空隙の数
1060mm幅のガラス繊維織布を繊維織布の流れ方向に1000mm切り出し、これを任意の大きさで構わないが、幅265mm、長さ250mmの大きさに切り分けてベンジルアルコールに浸漬、光学顕微鏡で観察しながらガラス繊維織布内の空隙の数を数えることにより、ガラス繊維織布のたて糸10万本あたりの空隙の個数を求めた。ここで、ベンジルアルコールを用いるのは、ガラス繊維織布の屈折率にベンジルアルコールの屈折率が近いため、ガラス繊維織布内の空隙が見つけやすくなるためである。
2.線膨張係数
ガラス繊維織布をよこ糸方向4mm、たて糸方向20mmに切り、TMAを用いて5℃/分の引っ張り条件で、25℃での線膨張係数を測定した。
3.引張強度
ガラス繊維織布に使用したガラスのモノフィラメントを25mmに切り出し、テンシロンを用いて引張強度を測定した。
(実施例1)
(1)樹脂ワニスの調製
ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30、重量平均分子量約700)20.0重量部、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000H、エポキシ当量275)11.0重量部、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7851−3H、水酸基当量230)9.0重量部、およびエポキシシラン型カップリング剤(GE東芝シリコーン株式会社製、A−187)0.3重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製、球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm)59.7重量部を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌して、樹脂ワニスを得た。
(2)ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートの製造
上述の樹脂ワニスを上記ガラス繊維織布(1)に含浸し、150℃の加熱炉で2分間乾燥して、厚さ約0.1mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た。
(3)積層板の製造
上述のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを所定枚数重ね、両面に厚さ12μmの銅箔を重ねて、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形することによって、両面に銅箔を有する積層板を得た。
(4)多層プリント配線板の製造
上述の積層板をスルーホール形成後サブトラクティブ法にての銅箔に所定の回路配線を形成し、回路配線の表面を粗化処理した後、積層板の両面にフィルム付き絶縁樹脂シート(APL−3601、樹脂厚:60μm、住友ベークライト株式会社製)を内層回路上に真空積層装置を用いて積層した。次にフィルムを剥離し、温度170℃、時間60分間加熱し、絶縁樹脂層を半硬化させた。尚、フィルム付き絶縁樹脂シートを積層する条件は、温度100℃、圧力1MPa、30秒間とした。
次に絶縁樹脂層に、炭酸レーザー装置を用いてφ60μmの開孔部(ブラインド・ビアホール)を形成し、70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に10分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP)に20分浸漬後、中和して粗化処理を行った。次に脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅メッキ皮膜を約0.5μmの給電層を形成した。次にこの給電層表面に、厚さ25μmの紫外線感光性ドライフィルム(旭化成社製AQ−2558)をホットロールラミネーターにより貼り合わせ、最小線幅/線間が20/20μmのパターンが描画されたクロム蒸着マスク(トウワプロセス社製)を使用して、位置を合わせ、露光装置(ウシオ電機社製UX−1100SM−AJN01)にて露光、炭酸ソーダ水溶液にて現像し、めっきレジストを形成した。
次に、給電層を電極として電解銅めっき(奥野製薬社製81−HL)を3A/dm2、30分間行って、厚さ約25μmの銅配線を形成した。ここで2段階剥離機を用いて、前記めっきレジストを剥離した。各薬液は、1段階目のアルカリ水溶液層にはモノエタノールアミン溶液(三菱ガス化学社製R−100)、2段階目の酸化性樹脂エッチング剤には過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムを主成分とする水溶液(日本マクダーミッド社製マキュダイザー9275、9276)、中和には酸性アミン水溶液(日本マクダーミッド社製マキュダイザー9279)をそれぞれ用いた。
次に、給電層を過硫酸アンモニウム水溶液(メルテックス(株)製AD−485)に浸漬処理することで、エッチング除去し、配線間の絶縁を確保した。次に絶縁樹脂層を温度200℃時間60分で最終硬化させ、最後に回路表面にソルダーレジスト(太陽インキ社製PSR4000/AUS308)を形成し多層プリント配線板を得た。
(5)半導体装置の製造
上述の多層プリント配線板を50mm×50mmサイズに裁断し、所定の位置に、300個の半田バンプを有する半導体素子(厚さ0.75mm、15mm×15mmサイズ)を、フリップチップボンダー、リフロー炉にて半田バンプを介し半導体素子と多層プリント配線板とを接合し、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることでデイジーチェーン型の半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂の硬化条件は、温度150℃、120分の条件であった。
(実施例2)
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(2)を用い、厚さ約0.10mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
(実施例3)
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(3)を用い、厚さ約0.05mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
(比較例1)
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(4)を用い、厚さ約0.05mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様にガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
(比較例2)
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(5)を用い、厚さ約0.10mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
(比較例3)
(1)樹脂ワニスの調製
ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000H、エポキシ当量275)22.9重量部、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7851−3H、水酸基当量230)17.0重量部、およびエポキシシラン型カップリング剤(GE東芝シリコーン株式会社製、A−187)0.3重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製、球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm)59.7重量部、イミダゾール化合物(四国化成工業株式社製、キュアゾール1B2PZ(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール))0.1重量部を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌して、樹脂ワニスを得た。
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(6)を用い、厚さ約0.10mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
実施例および比較例で得られた樹脂組成物、ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート、積層板、半導体装置について、特性の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2009067852
評価方法は、以下の通りである。
1. 線膨張係数
前記で得られた両面に銅箔を有する積層板の銅箔をエッチングし、縦20mm、横4mmの短冊状の試験片を作製し、TMAを用いて5℃/分の引っ張り条件で測定し、25℃での線膨張係数を求めた。
2.壁間絶縁信頼性試験
前記で得られた両面に銅箔を有する厚さ0.8mmの積層板(厚さ約0.1mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートの場合8枚重ねて作製した積層板)に、メカニカルドリルを用いて径0.4mm、壁間距離0.4mmのスルーホールを開け、その後メッキ、回路配線を形成して、85℃、85%RH、印加電圧50Vの条件下で500h処理し、100Vで絶縁抵抗を測定した。測定は、10サンプル作製し、すべてのサンプルで測定を行った。
○:10サンプル全て1.0×10Ω以上
△:1.0×10Ω以上がN≧8
×:1.0×10Ω以上がN<8
3.実装信頼性
前記で得られた半導体装置の接続部不良の有無を評価した。
○:接続不良なし
×:接続不良有り
4.熱衝撃性
上述の半導体装置の導通を確認後、フロリナート中で−55℃10分、125℃10分、−55℃10分を1サイクルとして、500サイクル処理し、半導体装置にクラックが発生していないか確認した。
○:クラック発生なし
×:クラック発生
表1からも明らかなように、実施例1〜3はいずれも、低熱膨張性、絶縁信頼性、実装信頼性、熱衝撃性すべての評価において良好な結果であった。
これに対し、比較例1、及び比較例2は、ガラス繊維織布のたて糸中の空隙の個数が多いため、壁間絶縁信頼性試験の結果が好ましくなかった。
比較例3は、ガラス繊維織布はシアネート樹脂を含まないため、実装信頼性、熱衝撃性において好ましくない結果となった。
本発明のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートは、積層板、該積層板よりなる多層プリント配線板、半導体装置に好適に用いることができるが、その他、低熱膨張性、熱衝撃性、及び壁間絶縁信頼性にも優れることから、小型化・薄膜化が要求される多層プリント配線板の中でも、高信頼性が要求される用途に用いることも可能である。

Claims (10)

  1. たて糸とよこ糸から構成されるガラス繊維織布と、シアネート樹脂を含む絶縁樹脂組成物からなるガラス繊維布入り絶縁樹脂シートにおいて、前記ガラス繊維織布をたて糸と垂直方向に切断した時のたて糸中に存在する長さ空隙の個数が、たて糸10万本あたり10個以下であることを特徴とするガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
  2. 前記ガラス繊維織布を構成するガラス繊維の引っ張り強度が、2.5GPa以上5.0GPa以下である請求項1に記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
  3. 前記ガラス繊維織布を構成するガラス繊維の線膨張係数が1ppm/℃以上10ppm/℃以下である請求項1または2に記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
  4. 前記ガラス繊維織布の厚さは、10μm以上100μm以下である請求項1ないし3のいずれかに記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
  5. 前記ガラス繊維織布の質量は、10g/m以上110g/m以下である請求項1ないし4のいずれかに記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
  6. 前記ガラス繊維織布に用いるガラス種は、Tガラスである請求項1ないし5のいずれかに記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
  7. 前記絶縁樹脂組成物は、無機充填材を含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シートを1枚以上重ね合わせ片面または両面に金属箔を積層してなる積層板。
  9. 請求項1ないし7のいずれかに記載のガラス繊維布入り絶縁樹脂シート及び/または請求項8に記載の積層板を用いてなる多層プリント配線板
  10. 請求項9に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
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